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特表2023-516996動的適合による携帯型自動人命救助システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】動的適合による携帯型自動人命救助システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230414BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552580
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 IL2021050235
(87)【国際公開番号】W WO2021176451
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/983,805
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522345467
【氏名又は名称】シーピーアール ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン、シャノック
(72)【発明者】
【氏名】クナフォー、ダニー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
患者の現在の医学的状態に関するデータを収集するため、及び収集データをメイン・コンピュータに伝送するために利用される1つ又は複数のセンサと、所定の医学的状態及び対応する人命救助処置プロトコルについての1つ又は複数のセンサから受け取られたデータを処理し、これにより、患者に実行されるべき初期の人命救助処置プロトコルを決定し、したがって、対応する人命救助デバイスを作動させるように構成されたメイン・コントローラを動作させるように、適切なハードウェア及びソフトウェアによって適合されたメイン・コンピュータと、固定手段を制御可能なように作動させるため、及び患者への人命救助処置を実行するために1つ又は複数の人命救助デバイスを制御可能なように作動させるために、メイン・コンピュータによって動作されるように適合されたメイン・コントローラと、患者への自動人命救助システムの堅い取付けを確保するために、メイン・コントローラによって制御可能なように作動する2つ以上の固定手段と、患者への人命救助処置を実行するために、メイン・コントローラによって制御可能なように作動する1つ又は複数の人命救助デバイスと、1つ又は複数のバッテリとを備える、携帯型自動人命救助システム。携帯型自動人命救助システムは、患者の進展する医学的状態を継続的にモニタし、対応的に、所与の処置、すなわち、1つ又は複数の人命救助デバイスの動作を適合させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型自動人命救助システムであって、
a)患者の現在の医学的状態に関するデータを収集するため、及び前記収集データをメイン・コンピュータに伝送するために利用される1つ又は複数のセンサと、
b)所定の医学的状態及び対応する人命救助処置プロトコルについての前記1つ又は複数のセンサから受け取られたデータを処理し、これにより、前記患者に実行されるべき初期の人命救助処置プロトコルを決定し、したがって、対応する人命救助デバイスを作動させるように構成されたメイン・コントローラを動作させるように、適切なハードウェア及びソフトウェアによって適合されたメイン・コンピュータと、
c)固定手段を制御可能なように作動させるため、及び前記患者への人命救助処置を実行するために1つ又は複数の人命救助デバイスを制御可能なように作動させるために、前記メイン・コンピュータによって動作されるように適合されたメイン・コントローラと、
d)患者への前記自動人命救助システムの堅い取付けを確保するために、前記メイン・コントローラによって制御可能なように作動する2つ以上の固定手段と、
e)前記患者への人命救助処置を実行するために、前記メイン・コントローラによって制御可能なように作動する1つ又は複数の人命救助デバイスと、
f)1つ又は複数のバッテリと
を備え、
前記携帯型自動人命救助システムが、患者の進展する前記医学的状態を継続的にモニタし、対応的に、所与の処置、すなわち、前記1つ又は複数の人命救助デバイスの前記動作を適合させる、
携帯型自動人命救助システム。
【請求項2】
前記患者の現在の医学的状態のより正確な検出を可能にするための、前記患者の医療履歴に関するデータベースをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のセンサが、ECGセンサ、血液酸素飽和度センサ、血圧センサ、ブドウ糖血中濃度センサ、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ又は複数の人命救助デバイスが、胸部圧迫デバイス、除細動器、呼吸支援デバイス、外部ペースメーカ、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記メイン・コントローラが、電気信号、空気圧信号、水圧信号、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択された制御信号によって、前記人命救助デバイスを制御可能なように作動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記2つ以上の固定手段が、横たわる患者の身体の下側を横方向に把持するように適合された少なくとも2つの把持アームを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記2つ以上の固定手段が、与圧ガスコンテナ、空気膨張手段、水膨張手段、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択された与圧手段によって膨張する1つ又は複数の膨張性パッドを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
聴覚警告、視覚警告、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択されたアラート手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アラート手段が、必要な動作時点で、及び前記システムが電気ショックを患者に放電する前の必要な間隔時点で、処置している人をガイドするために利用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記バッテリの充電レベルについて示すバッテリ状態指示手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ又は複数のセンサが、有線接続、Bluetooth(登録商標)接続、Wifi(登録商標)接続、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択された接続手段によって、前記システムと通信するために接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
USBポート、メモリ・カード・リーダ・ポート、イーサネット(登録商標)・ポート、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択された接続ポートをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
メモリ・カード・リーダをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
イーサネット(登録商標)接続ポートをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
医療支援との連絡及び他の所定の連絡のための遠隔通信手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記遠隔通信手段が、セルラー通信デバイス、Wifi通信デバイス、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ECGセンサが、前記2つ以上の固定手段と統合される、請求項3に記載のシステム。
【請求項18】
1つの除細動電極が、前記患者の胸と接触し、その一方で、第2の除細動電極が、前記患者の背中と接触し、したがって、心臓の反対側からの電気ショックの生成を可能にする、請求項3に記載のシステム。
【請求項19】
a)外部サーバとのデータ及び制御信号の遠隔交換を可能にするためのモバイル・フォン・アプリケーションと、
b)患者の血圧測定を可能にするための血圧カフと、
c)電話番号を変え、障害を受け取る、遠隔システム動作のための外部遠隔制御と
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
調節メカニズムが、前記固定手段の移動を調節するための横方向のレール及び縦方向のロッドを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記メイン・コンピュータが、患者の進行中の前記医学的状態を継続的に記録するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
ユーザが自分の状態を検査できるようにする自己検査動作をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムが使用中でないときの格納のためのウォール・キャビネットをさらに備え、前記ウォール・キャビネットが、ゲル層で滑らかにされた前記システムのECGリードを維持するために対応して位置付けられたゲル・ソケットで適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つが、装着可能なブレスレット内に埋め込まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
少なくとも1つのECGセンサと、パルス・センサと、装着した人が緊急状態に遭遇していることを検出したときに、対応する救急サービスと通信するための通信手段とを備える、装着可能なモニタリング・ブレスレット。
【請求項26】
1つ又は複数の装着可能なモニタリング・ブレスレットであって、前記1つ又は複数の装着可能なモニタリング・ブレスレットを装着した1人又は複数の人によって遭遇された医学的緊急事態を検出すると同時に、救急サービスにアラートし、聴覚アラートを鳴らすように構成された、壁に取り付けられた制御ボックスと通信するように適合された、1つ又は複数の装着可能なモニタリング・ブレスレットを備える、モニタリング及びアラートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人命救助装置の分野に関する。より詳細には、本発明は、医療従事者の存在を必要としない、変動する患者の状態に適合された完全な人命救助処置の実施のための携帯型自動人命救助システムである。
【背景技術】
【0002】
米国での第1の死亡要因は、心不全によるものである。このような心不全が4~6分以内に処置されない場合、脳は、受け取る酸素の不足により不可逆的ダメージを負う。大多数の心不全は、救急救命士が患者に達する前に発生するので(救急救命士が患者に達するのに10分以上かかる)、患者が生存する見込みは、非常に低い。
【0003】
心不全は、心臓発作、心停止、及び心拍数不整(cardiac rate irregularities)であり得る。場合によっては、除細動器で心臓に電気ショックを与えると、患者の状態を改善させることができるが、いかなる場合でも、患者が通常の状態に戻るまでに、心圧迫及び継続的呼吸が必要である。
【0004】
心臓の事象を処置するために病院で通常使用される従来のCPRシステムは大きくて扱いにくく、治療部位の専門家の存在も必要である。心臓圧迫は、例えば、医師又は救急救命士の介入を必要とする。ほとんどの場合、心臓圧迫を行う医師/救急救命士はすぐに疲れてきて、第2の専門的な人が医師/救急救命士に取って変わる必要がある。頻繁に、医師/救急救命士は、蘇生時の心臓状態に関する即時の情報を有しておらず、したがって、医師/救急救命士は、患者に特に必要な周期的圧迫を実施することができない。
【0005】
人が心不全を患っているとき、脳傷害を防ぎ、患者の呼吸を保つために(心臓機能不全は呼吸停止を引き起こす恐れがある)、蘇生させ、蘇生させつつ心臓人工呼吸及び心圧迫を実施して、脳への血流を継続させる必要がある。
【0006】
心不全は、以下などの、いくつかの理由で起こり得る。
1.不規則な心拍数-この場合、心臓をマッサージしつつ、心拍数を回復させるために、電気パルスを送る除細動器が使用される。
2.心筋梗塞又は心臓に出入りする血管の閉塞-この場合、特定の状態に対応する特定の速さ及び力で心圧迫を実施することが非常に重要である。
【0007】
従来の蘇生及び心圧迫システムは、大きくて扱いにくくて重く、手動又は半手動で(完全に自動的というわけではない)操作され、医者、看護師、又は救急救命士の熟練チームがこれらを操作する必要がある。
【0008】
既存のCPRシステムは、通常、一定の速さ及び規模で心圧迫を実施するが、これは、患者の変化する状態にとって常に良いわけではない。心圧迫に対するポジティブな反応があるとき、心圧迫の規模及び速さは下げられるべきである。その一方で、改善がなく、それどころか悪化しているとき、心圧迫の強度及び速さは、脳への血流を保ち、脳傷害を防ぐために、上げられるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、心停止を患う患者に完全な人命救助処置を実施するための、携帯型自動人命救助システムを提供することが本発明の目的である。
【0010】
専門的な医学的介入が利用可能になるまでの長時間、病院でのケアで利用可能なシステムと同様の、完全な人命救助処置を実施するための、携帯型自動人命救助システムを提供することが本発明のもう1つの目的である。
【0011】
変動する患者の状態に対する完全な人命救助処置を自動的に実施するために、コンピュータ化された適合による携帯型自動人命救助システムを提供することが本発明のさらにもう1つの目的である。
【0012】
救急救命士/医師の到着前に、患者に完全な人命救助処置を自動的に実施するように適合された、熟練した操作者を必要としない、携帯型自動人命救助システムを提供することが本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の他の目的及び長所が、以下の段落で詳しく説明される。
【0014】
携帯型自動人命救助システムであって、
a)患者の現在の医学的状態に関するデータを収集するため、及び収集データをメイン・コンピュータに伝送するために利用される1つ又は複数のセンサと、
b)所定の医学的状態及び対応する人命救助処置プロトコルについての1つ又は複数のセンサから受け取られたデータを処理し、これにより、患者に実行されるべき初期の人命救助処置プロトコルを決定し、したがって、対応する人命救助デバイスを作動させるように構成されたメイン・コントローラを動作させるように、適切なハードウェア及びソフトウェアによって適合されたメイン・コンピュータと、
c)固定手段を制御可能なように作動させるため、及び患者への人命救助処置を実行するために1つ又は複数の人命救助デバイスを制御可能なように作動させるために、メイン・コンピュータによって動作されるように適合されたメイン・コントローラと、
d)患者への自動人命救助システムの堅い取付けを確保するために、メイン・コントローラによって制御可能なように作動する2つ以上の固定手段と、
e)患者への人命救助処置を実行するために、メイン・コントローラによって制御可能なように作動する1つ又は複数の人命救助デバイスと、
f)1つ又は複数のバッテリと
を備え、
携帯型自動人命救助システムが、患者の進展する医学的状態を継続的にモニタし、対応的に、所与の処置、すなわち、1つ又は複数の人命救助デバイスの動作を適合させる、
携帯型自動人命救助システム。
【0015】
システムは、患者の現在の医学的状態のより正確な検出を可能にするための、患者の医療履歴に関するデータベースをさらに備え得る。
【0016】
1つ又は複数のセンサは、ECGセンサ、血液酸素飽和度センサ、血圧センサ、ブドウ糖血中濃度センサ、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択され得る。
【0017】
1つ又は複数の人命救助デバイスは、胸部圧迫デバイス、除細動器、呼吸支援デバイス、外部ペースメーカ、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択され得る。
【0018】
メイン・コントローラは、電気信号、空気圧信号、水圧信号、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択された制御信号によって、人命救助デバイスを制御可能なように作動させる。
【0019】
2つ以上の固定手段は、横たわる患者の身体の下側を横方向に把持するように適合された少なくとも2つの把持アームを備え得る。
【0020】
2つ以上の固定手段は、与圧ガスコンテナ、空気膨張手段、水膨張手段、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択された与圧手段によって膨張する1つ又は複数の膨張性パッドを備え得る。
【0021】
システムは、聴覚警告、視覚警告、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択されたアラート手段をさらに備え得る。
【0022】
アラート手段は、必要な動作時点で、及びシステムが電気ショックを患者に放電する前の必要な間隔時点で、処置している人をガイドするために利用され得る。
【0023】
システムは、バッテリの充電レベルについて示すバッテリ状態指示手段をさらに備え得る。
【0024】
1つ又は複数のセンサは、有線接続、Bluetooth(登録商標)接続、Wifi(登録商標)接続、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択された接続手段によって、システムと通信するために接続され得る。
【0025】
システムは、USBポート、メモリ・カード・リーダ・ポート、イーサネット(登録商標)・ポート、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択された接続ポートをさらに備え得る。
【0026】
システムは、メモリ・カード・リーダをさらに備え得る。
【0027】
システムは、イーサネット(登録商標)接続ポートをさらに備え得る。
【0028】
システムは、医療支援との連絡及び他の所定の連絡のための遠隔通信手段をさらに備え得る。
【0029】
遠隔通信手段は、セルラー通信デバイス、Wifi通信デバイス、又はそのいずれかの組合せから成るグループから選択され得る。
【0030】
ECGセンサは、2つ以上の固定手段と統合され得る。
【0031】
1つの除細動電極が、患者の胸と接触し得、その一方で、第2の除細動電極が、患者の背中と接触し、したがって、心臓の反対側からの電気ショックの生成を可能にし得る。
【0032】
システムは、
a)外部サーバとのデータ及び制御信号の遠隔交換を可能にするためのモバイル・フォン・アプリケーションと、
b)患者の血圧測定を可能にするための血圧カフと、
c)電話番号を変え、障害(fault)を受け取る、遠隔システム動作のための外部遠隔制御と
をさらに備え得る。
【0033】
調節メカニズムは、固定手段の移動を調節するための横方向のレール及び縦方向のロッドを備える。
【0034】
メイン・コンピュータは、患者の進行中の医学的状態を継続的に記録するように適合される。
【0035】
システムは、ユーザが自分の状態を検査できるようにする自己検査動作をさらに備え得る。
【0036】
システムは、システムが使用中でないときの格納のためのウォール・キャビネットをさらに備え得、ウォール・キャビネットは、ゲル層で滑らかにされたシステムのECGリードを維持するために対応して位置付けられたゲル・ソケットで適合される。
【0037】
1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つは、装着可能なブレスレット内に埋め込まれ得る。
【0038】
少なくとも1つのECGセンサと、パルス・センサと、装着した人が緊急状態に遭遇していることを検出したときに、対応する救急サービスと通信するための通信手段とを備える、装着可能なモニタリング・ブレスレット。
【0039】
1つ又は複数の装着可能なモニタリング・ブレスレットであって、1つ又は複数の装着可能なモニタリング・ブレスレットを装着した1人又は複数の人によって遭遇された医学的緊急事態を検出すると同時に、救急サービスにアラートし、聴覚アラートを鳴らすように構成された、壁に取り付けられた制御ボックスと通信するように適合された、1つ又は複数の装着可能なモニタリング・ブレスレットを備える、モニタリング及びアラートシステム。
【0040】
本発明の上記及び他の特性及び長所は、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例の以下の例証的且つ非限定的な詳細な説明を通じてより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A】本発明の実施例による、携帯型自動人命救助システムの例示的構成のブロック図である。
図1B】本発明の実施例による、携帯型自動人命救助システムの例示的構成のブロック図である。
図1C】本発明の実施例による、携帯型自動人命救助システムの例示的構成のブロック図である。
図1D】本発明の実施例による、提案のシステム100の例示的インターフェース・ブロック図である。
図2A】本発明の実施例による、携帯型自動人命救助システム200の正面図である。
図2B図2Aのシステムの底面図である。
図3】本発明の実施例による、追加のアクセサリを概略的に示す図である。
図4】本発明の実施例による、図2A図2Bのシステムを装着した人の図である。
図5A】本発明の実施例による、横たわっている人への提案のシステムの側面利用を示す図である。
図5B】本発明の実施例による、横たわっている人への提案のシステムの側面利用を示す図である。
図5C】本発明の実施例による、横たわっている人への提案のシステムの側面利用を示す図である。
図6】本発明の実施例による、提案のシステムの例示的構成要素図である。
図7】提案のシステムの補助パーツの正面図である。
図8A】本発明の実施例による、携帯型自動人命救助システム800の上面図を概略的に示す図である。
図8B図8Aのシステムの底面図を概略的に示す図である。
図9図8A図8Bのシステムの透視図を概略的に示す図である。
図10】本発明の実施例による、提案のシステムの拡張可能な伸縮自在パッドを示す図である。
図11】本発明の実施例による、提案のシステムの拡張可能な伸縮自在パッドを示す図である。
図12A】本発明の実施例による、独立した装着可能なブレスレットを示し、その使用を示す図である。
図12B】本発明の実施例による、独立した装着可能なブレスレットを示し、その使用を示す図である。
図13】本発明の実施例による、提案のシステムの格納キャビネットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、患者の救急医療状態を最適に検出する能力があり、したがって、患者のバイタル・サイン(例えば、心電図(ECG:Electro Cardio Gram)信号、血圧、酸素レベル、心臓パルス、及びブドウ糖レベル)を継続的にモニタリングし、実行される処置プロトコルを患者の進展する医学的状態に適合させつつ、人工呼吸及び心圧迫デバイスによる心肺蘇生法(CPR:Cardio Pulmonary Resuscitation)などの人命救助処置を実施するための、携帯型自動人命救助システムに関する。提案のシステムは、コンパクトで、軽量で、任意の身体のサイズ及び形状の患者の身体に装着されるように適合され、医療スキルを何も必要とすることなく、普通の人によって簡単に作動することが可能である。
【0043】
提案される人命救助システムは、いくつかのセンサから受け取られたデータに基づいて、並びに事前に分かっている医学的状態及び対応する処置プロトコルについて、患者の現在の医学的状態を継続的にモニタ及び分析するように構成される。提案のシステムは、実行される処置(例えば、CPRデバイスの実行パラメータ)を患者の反応に、すなわち、患者の進展する医学的状態に継続的に適合させる(例えば、胸部圧迫の強度を低減させ、その一方で、標的血圧が取得される)。モニタされたデータ及び実行された処置プロトコルは絶えず保存され、処置の継続性及び将来の使用のために、医療スタッフによって取り出されることが可能である。
【0044】
図1A図1Cは、本発明の実施例による、携帯型自動人命救助システム100の例示的構成のブロック図を示す。システム100は、空気圧パルスなどの電気的手段又は電気機械的手段によって(本明細書の以下の図でさらに説明される)適切な人命救助デバイスを制御するように適合されたメイン・コントローラ120を操作することによって、患者の現在の医学的状態を検出し、対応する人命救助処置を決定し、決定された処置を実行するように構成されたメイン・コンピュータ110を備える。
【0045】
コンピュータ110は、専用医療ソフトウェアを動かす適切なハードウェア(例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信手段)を備え、専用医療ソフトウェアは、複数のセンサ、並びに患者の医療履歴に関するデータベース、並びに複数の所定の医学的状態及び対応する人命救助処置プロトコルのデータベースからコンピュータ110によって受け取られたデータを処理するように構成され、これらに従って、コンピュータ110は、コントローラ120を通じて、患者の現在の医学的状態を特徴付け、患者に実行されるべき初期の人命救助処置プロトコルを決定する。
【0046】
本発明の実施例によれば、患者の医学的状態をモニタリングし、特徴付けるために、以下のセンサが利用される。
a.患者の心臓機能を評価するためのデータを提供するECGモジュール102。コンピュータ110は、ECG信号データを受け取り、患者の心臓状態を表すいくつかのパラメータを使用して、このデータをデジタル・データにコンバートするように構成される。
b.患者の血液のパルス及び瞬間酸素飽和値を継続的に測定するパルス・オキシメータ103。パルス・オキシメータは、救急医療では決定的に重要なものであり、呼吸又は心臓障害を有する患者に関する有用な情報を提供する。
c.血圧計104は、心臓障害を示すものでもある血圧を測定する。
d.心臓障害として示された血糖の低下又は上昇の場合のシステムの不必要な作動を防ぐために血糖レベルを測定するための血糖計105(例えば、血糖レベルを推測するための超音波/電磁気波/光波/熱波の伝搬分析に基づく非侵襲性血糖センサ)。
【0047】
当然、提案のシステムは、上述のセンサ102~105又は当技術分野で現在知られている他のセンサを利用することに限定されず、対応する技術が継続的に発展しつつあるので、将来開発されるセンサからデータを受け取って処理するように容易に適合されることが可能である。
【0048】
コンピュータ110は、患者の医療履歴(すなわち、過去の医学的状態、与えられた処置、及び処置に対する患者の反応)に関するデータを格納する医療データベース109をさらに利用する。医療データベース109は、コンピュータ110によってローカルに(例えば、コンピュータ110と統合された内部電子媒体、コンピュータ110と近距離ワイヤレス通信中の電子ストレージ・デバイス、システム100の対応するポートに物理的に接続される患者の個人的なメモリ・デバイスなどの外部デバイス、若しくはその組合せ)、又は、適切な通信手段(例えば、Wifiデバイス、セルラー通信デバイスなど)を利用することによってコンピュータ110と通信するリモート・サーバによって遠隔的に格納され、これにより、コンピュータ110が、リモート・データベースにアクセスすること、及び/若しくはそのローカル・データベースを更新することが可能になる。
【0049】
患者の医療履歴を利用することは、異なる状態に解釈されることが可能なモニタされたバイタル・サインのセットを正しく分析するために不可欠であり得、例えば、患者が、低酸素飽和度及び速く浅い呼吸を示しており、したがって酸素で処置されているという事実からみて、特定の患者が慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者であるという知識は、投与される酸素レベルについての決定的な違いを作ることができる。
【0050】
医療データベース109は、特定の患者に関連しない医学的状態に関するデータ、及び対応する処置プロトコルをさらに格納し、ここで、データベース109によって格納された包括的な医療データは、センサ102~105から受け取られたデータによって特徴付けられる患者の現在の状態を、一般的な事前に分かっている医学的状態、及び特定の患者の医療履歴と比較し、したがって、患者の現在の医学的状態のより正確な検出を可能にすることによって、処置プロトコルを最適に決定するために、コンピュータ110によって最初に利用される。
【0051】
本発明の実施例によれば、システム100は、コントローラ120によって制御される(図1Bにも示された)以下の処置デバイスを備える。
a.標的血液循環を確保するために、コンピュータ110によって決定されるような、速さ(すなわち、1分当たりの圧迫)、振幅(例えば、5kgから25kgまで変動し得る振幅)、及びストローク(例えば、最大5cm)で、胸部圧迫を加えるように適合された胸部圧迫デバイス121。
b.コンピュータ110によって決定された振幅とタイミングで電気ショックを加えるための除細動器122(例えば、その一方で、条件付きの心ペース疾患(cardiac pace disorder)が検出される)。
c.マスク123aを通じて21%の酸素を含む周囲の空気を供給するように適合された(図1Cにおける詳細に示された)呼吸支援デバイス123、すなわち、コンピュータ110は、より高い酸素レベルの濃縮空気を患者が供給されるべきであると決定する一方で、コントローラ120は、マスク123aを通じて供給される空気を濃縮するように酸素タンク123bのバルブを制御する。
d.制御された速さ(例えば、1分当たり60~80回の頻度)で心臓に弱電流を提供するように適合された外部ペースメーカ124。
【0052】
把持アーム131を備える固定手段130が、図1Cにも示されており(以下の図2A図2B及び図9にさらに示されている)、把持アーム131は、コンピュータ110によって送られた固定コマンドによってコントローラ120によって制御される。固定手段130は、患者へのシステム100の堅い取付け、及び、電気モニタリング・センサ(例えば、ECG102)と処置デバイス(例えば、除細動器122)と患者との間の十分な接触を確保して、効果的なモニタリング及び処置を可能にするために必要である。第1のステップにおいて、2つの把持アーム131(図9にさらなる詳細がある)は、その最大範囲(例えば、大きい身体サイズの患者を閉じ込めるのに適した範囲)に最初に延ばされ、その後、患者の背中の下で把持し(すなわち、システム100が、横になった患者の胸に最初に位置付けられると推定する)、患者の胸の近くにシステム本体を保持するための旋回する動きが続く。伸縮自在パッド132は、患者の胸へのギャップを埋め、患者の胸にシステムの本体を締め付ける。本発明のいくつかの実施例によれば、酸素タンク123bによって提供される酸素で濃縮されることも可能な空気を、比較的低容量で酸素マスク123aに提供するために、単一の空気圧縮機132aがコントローラ120によって制御される(すなわち、対応する流量が、コンピュータ110によって決定される)。システム100は、過剰圧力が患者の身体に加わるのを回避しつつ、十分な取付けが達成されたことを検出するために、患者の胸との接触エリアに導入された、又は、ECGリード211と統合された、適切な圧力計(例えば、電位差センサ、容量センサ、圧電センサなど)も備える。
【0053】
固定締付け動作が完了する一方で、システム100は、患者の医学的状態をモニタリングし始め、コンピュータ110によって決定された人命救助処置を実行する。
【0054】
図1Dは、本発明の実施例による、提案のシステム100の例示的インターフェース・ブロック図を示す。コンピュータ110は、スマートフォン111などの隣接したモバイル・デバイスと(例えば、Bluetooth、Wifiなどの近距離通信手段によって)インターフェースすることができ、通信及び位置検出手段を利用して、救急サービスに連絡し、進行中の医学的緊急事態、患者の状態、及びその場所を更新し、これにより、患者への適切な医療支援を催促することができ、最も近い医療施設に通知され、患者の到着に備えてもらうことができる。本発明のいくつかの実施例によれば、システム100は、スマートフォン111の代わりに、又はこれと共に、内部セルラー・モデムを利用する。
【0055】
情報、ガイド、及び警告情報を患者の周囲に表示及び公表するための、コンピュータ110がインターフェースするディスプレイ画面112及びスピーカ113も図1Dに示されている。ディスプレイ112とスピーカ113両方がシステム100と統合されることが可能であるが、後者は、外部ディスプレイ112及び/又はスピーカ113とインターフェースするための有線/ワイヤレス接続手段で適合されることが可能である。
【0056】
(システム動作ステップ)
第1のステップにおいて、システムは、格納ボックス(例えば、建造物の壁に取り付けられた携帯ケース及び/又は格納ケース)から外され、患者の身体に置かれる(すなわち、最も緊急の医療の場合、患者は横たわっているか、水平面上に横たえられている)。格納ボックスからシステムを外すと、すぐ近くから人々にアラートして、支援すること、及び/患者に近いエリアを明らかにすることを行うように、アラームをトリガする(例えば、15秒など、限定的な期間、鳴らす)。アラームの終わりに、コンピュータ110は、1つ又は複数の所定の電話番号(例えば、地元の救急車サービス、家族、ホームドクターなど)にかけるために、スマートフォン111又は代替の統合通信手段を動作させる。次のステップにおいて、処置している人(すなわち、医療スキルを保持しているはずのない偶然通りかかった人)は、患者の胸にシステムを置き、患者の手を横に置き、その間、患者の肋骨の間の患者の胸の骨の中心の上に胸部圧迫デバイス121を位置付ける。
【0057】
同時に、処置している人は、患者の指の上にパルス・オキシメータ103を組み立て、血圧計104を作動させる。次のステップにおいて、処置している人は、(赤い)電源ボタンを押す。これに応答して、システムは、以下の動作を自動的に実施する。
1.把持アーム131がシステム本体から拡張し、次に患者の背中を把持し、システムが胸に対して押しつけられる。
2 (図8bに示されたような)システム800の底部にある(図11で説明される)伸縮自在パッド132が、システム800と患者の胸との間の調節可能な接触を作り出し、したがって、可変の身体パターン及びサイズへのシステム800の適合を可能にする。
この配置は、患者の胸の様々な形式を補う。ECG102パッド、及び除細動器122の除細動パッドは、患者の身体に対して押しつけられた伸縮自在パッド132の1つ(又は2つ)と統合される。自動的な押しつけは、センサを所望の場所に持ってくる。
3.コンピュータ110は、センサ102~105をトリガして、患者の医学的状態の取得を始める。センサは、連続的に(例えば、ECG102、パルス・オキシメータ103、血圧計104、及びブドウ糖メータ)、又は、断続的に(例えば、血圧計105)、動作されることが可能である。
4.データは、メイン・コンピュータ110にストリームされ、メイン・コンピュータ110は、患者の医学的状態を特徴付け、利用可能であれば患者の医療履歴も考慮する医療アルゴリズムを利用して、データベース109に格納された事前に分かっている状態と、患者の医学的状態とを比較し、最も似ている事前に分かっている状態及び対応する処置プロトコルを識別する。
6.コンピュータ110は、1つ又は複数の人命救助デバイスを制御可能なように(すなわち、コンピュータ110によって決定された処置プロトコルによって定義されたパフォーマンス・レベルで)作動させるようにコントローラ120を動作させる。
【0058】
本発明のいくつかの実施例によれば、システム100をその格納場所から外すと、コンピュータ110がトリガされ、スピーカ113を通じてガイド指示をストリームし始め、患者を準備させる方法(例えば「硬い表面に患者を横たえる」、「患者の手を横に置く」など)時点の、及び患者の胸に対するシステム100の配置で、処置している人をガイドする。
【0059】
図2Aは、本発明の実施例による、携帯型自動人命救助システム200の正面図を示す。システム200の本体は、2つの把持アーム131(例えば留め金)によって患者の肩に取り付けられ、その一方で、システム200は、患者の首が2つの留め金131の間の中心にある状態で患者の胸に位置付けられ、追加の把持アーム131が、患者の背中及び腰で患者の胸にシステム200を締め付ける。
【0060】
システム200は、現在の事象の診断を示すディスプレイ画面112(例えば、タッチ・スクリーン)、電源オン/オフ・ボタン201、システム200の適切な動作を自己検査するためのビルトイン・テスト(BIT:Built-In Test)ボタン202、様々なアクセサリ(例えば、システム200のバッテリを再充電するための充電ケーブル)をシステム200に接続するためのUSBソケット203、操作キーパッド204、バッテリ容量ステータス・チェック・ボタン205、実際の又は差し迫った電気ショックについて周囲の人々に警告を行うための電気アラーム光206、システムの操作者に対する聴覚警告及びガイダンス及び命令のためのスピーカ113、胸部圧迫デバイス121(その最上部カバーが図2Aに示されている)、並びに酸素マスク123aをさらに備え、酸素マスク123aは、必要なときにいつでも酸素濃縮空気による呼吸支援を行うために患者の顔に装着される。
【0061】
USBソケット203は、外部コンピュータ又はモバイル・デバイスをシステム200に接続し、これにより、例えば、テレホンデバイスを変更すること、及び専門医療スタッフ医師による使用のために測定データを検索することなど、コンピュータ又はモバイル・フォンから新しいデータを入力するためにも使用され得る。システム200は、外部メモリ・ドライブを接続するためのMICRO SDソケット(図示せず)、及び操作者がいつでもその動作を手動で中断できるようにするための緊急停止ボタン207も備える。
【0062】
システム200は、胸痛、圧迫感(tightness)、又は任意の他の苦痛を経験したときなどに、患者(又はユーザ)がだれでも、自分の状態を自主的に検査できるようにするための、自己検査ボタン208をさらに備える(すなわち、当然、コンピュータ110は、胸部圧迫デバイス121、除細動器122、又は呼吸支援デバイス123など、患者によって自主的に開始されるはずのない機能を自己検査ボタン208が開始するのを無効にするように構成される)。このような場合、ユーザは、自己検査ボタンによって作動したシステムを自分の胸に置き、コンピュータ110は、モニタリング手段(例えば、センサ102~105)を開始して、モニタされた情報をディスプレイ画面112に表示する。自己検査プロセスは、センサの読取りを完了させた後、自動的に終わり、アーム131が解放され、折り畳まれてその格納位置に戻る。システム200は、医師のコンピュータ/モバイル・デバイスなどの、所定のリモート・コンピューティング・デバイスに自己検査結果を投入するように構成され、実際の緊急状態が検出された場合、システム200は、所定の救急サービス・センターに結果を伝達して患者への医療支援を催促し、患者の地理的な居場所を送る。地理的な居場所は、システム200に組み込まれたGPSユニットによって、又は、患者によって装着されシステム200と通信中のウェアラブル・デバイスによって検出され得る。
【0063】
例えば、自己検査モードでは、提案のシステムは、また、ユーザが実施した血液検査の結果を分析すること、すなわち、人が最近心臓事象を経験したことを示す生物学的マーカとみなされ得る特定レベルの酵素(例えば、トロポニン)を検出することを行うように適合され得る。
【0064】
図2Bは、システム200の底面図であり、電気ショックを加えるように適合された(図1Aの)除細動器122の除細動パッド209、(図1Aの)胸部圧迫デバイス124の胸部圧迫ピストン210、システム200と患者の身体との間の十分な取付け及び接触を確保するために利用される(図11に詳述された)伸縮自在パッド132、並びに、患者の心臓からのECG信号を継続的に測定するためのECGセンサ102のECG検知リード211を示している。除細動パッド209は、また、これらのパッド209を介して所定の周波数で弱電流を心臓に送るための(図1Aの)外部ペースメーカ124に対応する。
【0065】
パッド132を実装するための代替のオプションは、空気圧縮機で満たされることが可能な膨張性パッドである。
【0066】
図3は、システム200によって提供可能な追加のアクセサリ及びサービスを概略的に示し、各動作デバイスからのコール及びデータを受け取り、スピーカ113及びディスプレイ112を介してユーザにヘルプ及びガイダンスを提供する24時間管理センター301、外部サーバとのデータ及び制御信号の遠隔交換を可能にするためのモバイル・フォン・アプリケーション302、接続されている限りバッテリを再充電し、電力をデバイスに提供するための電源設備及びケーブル303、患者の血圧測定を可能にするための血圧カフ304、患者の血液内の酸化ヘモグロビンの比率を測定するために患者の指先に取り付けられることになる血液酸素メータ103、血糖計105、酸素を酸素マスク123aに送るための酸素タンク123b、並びに、重要な電話番号を更新すること(すなわち、緊急時に提案のシステムによって連絡をとられる)、及び障害を受け取ることなどの、遠隔システム動作のための外部遠隔制御305から成る。
【0067】
図4は、本発明の実施例による、システム200を装着した人401の図である。酸素マスク123aが人の顔に装着され、システム200の本体が、胸の上の2つの把持アーム131、及び肩の上の2つの把持アーム131によって人の胸に取り付けられ、酸素濃度センサ103及び血糖測定器105が、人の指に取り付けられ、血圧計104が、患者の血圧を継続的に測定するために人の腕にあてがわれる。
【0068】
提案のシステムは、柔軟に装着可能なブレスレットの形のウェアラブル・センサ402と有線/ワイヤレス通信中であるように適合され、ブレスレットは、ユーザによってユーザの手に装着されることが可能である。ブレスレット402は、心臓パルスを検知するための内部センサ、オキシメータ、及び血糖測定器を備える。内部トランスミッタは、データを(すなわち、提案のシステムに)周期的に伝送し、データは、患者状態を評価するために分析される。心臓の苦痛又は機能不全を示す所定のパラメータを検出すると、提案のシステム100、システム200は、必要なCPR機能全てを作動させ、ユーザの居場所と共に、対応するアラートを対応する医療サービスに伝送する。
【0069】
ブレスレット402は、また、提案のシステムのコンピュータ110に追加の診断データを送るために、オキシメータ、血圧、ECG、及び温度といったさらなるセンサで適合され得る。本発明の実施例による、ブレスレット402は、オキシメータ103、血圧センサ104、及び血糖測定器105で内部に適合され、したがって、センサを別々に装着する必要性を無くす。
【0070】
図5A図5Cは、本発明の実施例による、横たわっている人への提案のシステムの側面利用を示し、ここでは、システム500が、最初に患者の胸に位置付けられ、胸部圧迫デバイス121が、胸の中心の上に位置付けられ、2つの肩の把持アーム131が、(図4に示されているように)患者の肩に位置付けられる。患者の腰の下を把持する左右の2つの把持アーム131は、最初に横方向に延び、次に、垂直状態に折れ曲がり(図5A)、今度は、垂直に収縮し(図5B)、最後に、患者の胸に完全に適合するまで横方向に収縮する(図5C)(ホルダー・システム800の完全な詳細は、図9に示されている)。
【0071】
当然、患者の身体に過剰な負荷をかけることなく堅く把持する説明された把持及び適合プロセスを逸脱することなく、横方向のレール/ラック及びピニオン配置並びに垂直空気拡張メカニズム、又は、アーム131の横方向及び垂直の拡張並びに回転を行う任意の他の配置などの、提案のシステムの異なるサイズ及び形状に適するように、複数の異なる拡張配置が当業者によって選択されることが可能である。
【0072】
図6は、本発明の実施例による、提案のシステムの例示的構成要素図を示す。提案のシステムは、外部電力充電源を伴う再充電可能バッテリ、動作電圧を安定させるためのキャパシタ、システムの機能的動作を制御するための制御システム、遠隔地の医学的な権限のある者と通信するためのセル・フォン、酸素濃縮空気で呼吸支援を行うためのブロワー及び酸素バルーン、除細動器、心圧迫ピストン、患者の身体への十分な取付けを確保するための伸縮自在パッド(ECGリードを測定する除細動パッドは、患者の身体に伸縮自在パッドで取り付けられる)、肩グラブ、胸グラブ、及び背中グラブ、(システムを救急医療センター、患者の医者、又は患者の家族に接続するための)SIMカードを有するコンピュータ、測定センサによる患者の心臓状態を分析するための医療ソフトウェアを含む。ソフトウェアは、大規模医療データベースに基づいて最適な処置を決定する。患者の心臓からのECG信号を継続的且つリアル・タイムに測定するためのECGセンサ、及びECG信号をデジタル読取値に変換するソフトウェア、患者の血液中の酸化ヘモグロビンの比率を測定するためのオキシメータ(この比率は、心圧迫の力と速さ、及び患者に与えられる必要がある酸素による蘇生空気の濃縮に影響を及ぼし得る)並びに患者の血圧を継続的且つリアル・タイムに測定するために血圧メータ、並びに、血糖レベルを測定するための糖センサ。
【0073】
患者の心臓から継続的且つリアル・タイムに測定するECG信号に従って、システム操作者は、除細動器で及びどの電力で患者に電気ショックを与える必要があるかを決め、アラームを作動させ、エリアを明らかにするために、ライトをオン及びオフし、0から5まで表示をカウントダウンする。次に、除細動器によって電気ショックが患者に与えられ、システムは、自動ピストンで患者に心圧迫を与え始め、同時に、患者の心拍数を決定及びモニタする。同時に、ペースメーカが継続的に動作し始める。
【0074】
システムは、背景雑音からECG信号を切り離し、メイン・コンピュータに達する前にシステム内の他の信号からECG信号を分離するために、ECG信号の規模を増加させるためのECG増幅器も備え得る。
【0075】
図7は、ブロワー、冷却システム、酸素タンク及び心圧迫プランジャ、酸素マスク、バッテリ、SIMカード、キャパシタ、電子カード、コンピュータ、ソフトウェア、並びにコントローラといった、提案のシステムの補助パーツの正面図である。
【0076】
図8Aは、本発明の実施例による、携帯型自動人命救助システム800の上面図を概略的に示す。システム800は、収縮可能ハンドル802(格納位置における、したがって、図8Aに示されていない)、電源オン/オフ・ボタン201、USBソケット203、タッチ・スクリーン112(図2Aにも示されている)、ジョイスティック操作パッド803(すなわち、タッチ・ディスプレイ112のタッチ・オペレータと一緒に、ジョイスティック・パッドは、図2Aのキーパッド204の機能をカバーする)、スピーカ113、格納状態のロボット把持アーム131(図8B図10にさらに示されている)、実際の又は迫っている電気ショックに関する周囲の人々への警告を行うための電気アラーム光206、システム800をすぐに停止するための緊急停止ボタン207、自己検査ボタン208、及びアクセサリ格納区画804などの異なる構成要素が統合されたエルゴノミクス形状の筐体801を備え、アクセサリ格納区画804には、ディスプレイ112及び/又はスピーカ113を通じてシステム800によって提供される聴覚及び/又は視覚命令及びガイダンスに従って、対応する状態で使用することができるアトロピン及びインスリン注射器などの補助アクセサリを格納することができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施例によれば、医学的スキルを持つ人による遠隔引継ぎが有効化され(すなわち、コンピュータ110は、スマートフォン111又は代替通信手段を通じて、このような引継ぎを権限付与するように適合される)、これにより、遠隔地の医療従事者は、システム800のモニタリング能力(例えば、センサ102~105及びデータベース109)を利用して、患者の状態を分析すること、及び、システム800の人命救助デバイス121~124を遠隔的に操作することができる。遠隔引継ぎ操作中、医療従事者は、コンピュータ110、並びにコンピュータ110を通じて、ディスプレイ112、スピーカ113、及びアラーム光206を遠隔的に制御することによって、さらなる人命救助動作時点に、並びに、電気ショックが実行されるときに立ち去ることを周囲に警告するように、臨時の処置者に命令することができる。
【0078】
図8Bは、携帯型自動人命救助システム800の底面図を概略的に示し、複数の伸縮自在パッド132(患者の胸に適合させるようにエルゴノミクス形状にされて図11にさらに示されている)、その格納状態の把持アーム131(図9図10にさらに示されており)、緊急停止ボタン207、患者の心臓状態の詳細なECGモニタリングを獲得するために利用される複数のECGリード211を示し、これらのいくつかは、図2Bのパッド209の代わりに、除細動器122及びペースメーカ124の電極として利用されることが可能である。
【0079】
システム800は、細くてエルゴノミクス形状のピストン210で適合され、ピストン210は、患者の胸骨にだけ圧迫を加え、したがって、胸の肋骨がその体積の大部分を維持することができ、したがって、人工血圧を高めるために、患者の心臓が収縮することを機械的に強制するのに必要な圧迫を実行しつつ、患者の肺からの空気の望ましくない過剰排出を回避するように適合される。
【0080】
デジタル・カメラなどの画像獲得デバイス805が図8Bにさらに示されており、画像獲得デバイス805は、例えば、システム800の適切なアライメント及び位置付けを可能にするために、患者の胸にクロス・マーカ・ラベルを最初に置き、その後、コンピュータ110が、検出されたクロス・マークと対応する仮想アライメントマークとの一致を探すことによって、患者の胸の上のシステム800の適切な位置付けを行うために利用される。いくつかの実施例によれば、システム800は、(例えば、対応する照射手段を通じて)患者の胸にアライメントマークを投影するように構成される。
【0081】
(胸ホルダ)
図9は、横たわっている患者を把持するためなどの(すなわち、図4図5に示されたような同様の様式の)、ロボット把持アーム131が自動的に導入された、システム800の透視図を概略的に示す。把持アームは、横方向の拡張メカニズム901(例えば、ラック及びピニオン配置)で、並びに、アーム131の下部902aの垂直拡張を可能にする適切な垂直拡張メカニズムで適合され、これにより、アーム131は、最初にその最も外側の状態まで横方向に延び、本質的に垂直な位置まで折れ曲がり、下部902aを地面に達するまで下に延ばすことができる(すなわち、適切な圧力/抵抗手段を利用して地面への接触を検出し、その後、アーム131の部分902aの収縮ステップが続き、部分902aが、患者の背中の下に入り込んで、患者の身体への堅い適合を実現する)。結果として、伸縮自在パッド132が堅く押しつけられて、患者の胸に適合する。
【0082】
本発明のいくつかの実施例によれば、下部902aは、除細動パッドとして利用されるのに適した導電性パッド903で適合され、これにより、前から後ろへの電気ショックの実行を可能にし(すなわち、1つの電極が患者の胸に接触し、その一方で、反対側の電極が患者の背中に接触する)、この電気ショックは、両方の電極が前側、すなわち患者の胸に接触する電気ショックの実行より、非常に効果的であることが分かった。
【0083】
自動導入及び把持プロセスは、単に、自己検査ボタン208(図8A)を押すことによって、又は、電源ボタン201が押された状態で患者の胸の上にシステム800が並べて配置されたことをシステム800が検出すると同時に自動的に、始めることができる。それでも、システム800は、部分的な位置付けしか実現されていない緊急事態(例えば、患者が苦痛を感じ、図13のキャビネット1300などの、システム800の格納手段からシステム800を取り出し、その後意識を失う)を識別するように構成され得る。このような場合、又は、人が医学的に危険な状態にあることが分かっている場合、システム800は、聴覚アラートのため、及び所定の医療支援要員と通信するためなどの、所定の緊急応答を実施することによって、このような部分的な動作に応答するように構成されることが可能である。
【0084】
(ECGセンサ)
患者の胸とのECGリード211の接触を強化するために、リード211は、図10に示された膨張性伸縮自在リード1001で適合され、膨張性伸縮自在リード1001を通じて、導電性のECGセンサ1002が配線される。システム800が伸縮自在パッド132(図8及び図11)によって患者の胸に適合しているとき、コンピュータ110は、センサ1002と患者の胸との間の十分な接触を実現するために、適切な水又は空気膨張システム1003を作動させて、所定の圧力に達するまで、液体/ガスで膨張性リード1001を満たすように、コントローラ120(図1C)に命令する。
【0085】
本発明の実施例によれば、リード1001は、リード211によって患者の胸に過剰圧力がかけられていないことを確認するために圧力計で適合される。システム800がオフにされると、水/空気の充填物は、ECGリード1001から出され(例えば、空気圧が周囲の気圧と均一にされる)、ECGリード1001の格納状態に伸縮自在に収縮する。
【0086】
図11は、本発明の実施例による、伸縮自在スプリング状圧迫可能パッド132を示す。伸縮自在パッド132は、生体適合性プラスチック・ポリマーから作られており、システム800と患者の胸との間の調節可能な接触を作り出し、したがって、可変の身体パターン及びサイズへのシステム800の適合を可能にするために、(図8bに示されたように)システム800の底部に置かれる。
【0087】
図12Aは、本発明のいくつかの実施例による、携帯型自動人命救助システムの独立したモニタリング・ブレスレットを示す。独立したブレスレット1201は、独立して利用されることが可能であり、パルス・センサ及びECGセンサ102、並びに、装着した人が緊急状態に遭遇していることをブレスレット1201のセンサで検出すると同時に対応する救急サービスと通信するための通信手段(例えば、セルラー・トランシーバ)を提供される。独立したブレスレット1201は、例えば、危険な睡眠時無呼吸事象及び乳児のゆりかごの死(cradle death)のアラートに非常に有用であり得る。
【0088】
ブレスレット1201は、センサの測定値の視覚指示を行うための、点灯式インジケータ1201aを備える。検知されたバイタル・サインが通常の範囲内であるとき、対応するインジケータ1201aは緑色光で点灯され、検知されたバイタル・サインが通常の範囲の外側であるとき、対応するインジケータ1201aは赤色光で点灯される。
【0089】
図12Bは、制御ボックス1202と通信するためのBluetooth通信デバイスを提供されたブレスレット1201の使用を概略的に示し、制御ボックス1202は、救急サービスにアラートするためのセルラー通信手段1203、及び、ブレスレット1201を装着している1人又は複数の人によって遭遇された医学的緊急事態を検出すると同時にアラーム音を鳴らすための聴覚アラート手段1204を備える。制御ボックスは、家の壁に、又は苦しんでいる水泳者に対する支援を催促するためにスイミング・プールに、取り付けられることが可能である。
【0090】
提案のシステムがスタンバイ状態又はオフにされているとき、システムは、図13に示された設計されたウォール・キャビネット1300に格納され、ウォール・キャビネット1300から、システムを簡単に外すことができる(アクセス可能であり、アクセス可能な高さにある)。キャビネットは、充電器に接続された電気ケーブルでつながれている。提案のシステムは、所定の頻度で(例えば、毎月1回)日常的にチェックされており、アラーム光206を動作させることによって、及び、例えばモバイル・フォンを介して所定の連絡窓口に送られたメッセージを通じて、検出された障害についてアラートする。検査は、自動的に実施されること、又は、図2AのBITボタン202などの、指名された検査ボタンをクリックすることによって手動で開始されることが可能である。各検査は、以下を含む。
a.バッテリ電圧検査及び低電圧アラーム。
b.心臓圧迫プランジャ検査は、ソフト・キャビネット・システムに対する低圧力作動を含む。
c.除細動器の助けによる電気市場検査(electric market test)-キャビネットにおける弱気相場フロー(weak market flow)。
d.同時ECG検査。
e.呼吸支援。
f.キャビネット内の同時ボディにシステムを閉じること。
本発明の実施例によれば、キャビネット1300は、建造物の壁に取り付けられるように適合された後部部材1301、及び、提案のシステムを快適に外して作動させるために、取外しできるように部材1301に取り付けられた(例えば、ヒンジで動く)前部部材1302を備える。後部部材は、また、ECGパッド211(図10)と対応して位置付けられたゲル・ソケットで適合され、したがって、ECGリード1002は、ゲル層で絶えず維持され、したがって、使用のためにキャビネット1300から提案のシステムが外されたときにいつでも、改善された接触を提供する準備ができている。
【0091】
本発明の実施例は、例証のために説明されてきたが、本発明は、特許請求の範囲を超えることなく、多くの変更、修正、及び適合により実行され得ることが理解されよう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
【国際調査報告】