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特表2023-517005過負荷軽減のための送信ブランチ切替えの方法および装置
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  • 特表-過負荷軽減のための送信ブランチ切替えの方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】過負荷軽減のための送信ブランチ切替えの方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20230414BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J3/00 170
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552642
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 JP2020037355
(87)【国際公開番号】W WO2021240835
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】202041022301
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
2.ブルートゥース
3.UNIX
4.Linux
5.BLACKBERRY
6.ORACLE
7.FREEBSD
8.RED HAT
9.UBUNTU
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジ ネラダラ
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA01
5G066AA03
5G066AA06
5G066AB03
5G066AE04
5G066AE09
(57)【要約】
一実施形態では、本発明は、電力系統における複数の送電ブランチから1つの送電ブランチを選択する方法およびデバイスに関する。電力系統における少なくとも1つの過負荷が検出される。第1のセットの送電ブランチを得るため、少なくとも1つのラジアルブランチおよびクリティカルブランチが、複数の送電ブランチから排除される。複数の送信ブランチそれぞれに対する少なくとも一対のアナログおよびデジタルパラメータが計算され、1つまたは複数の閾値と比較され、複数の伝送線路が選別されて第2のセットの送信ブランチが得られる。機能停止が電力系統においてシミュレートされ、1つまたは複数の動的制約に基づいて電力系統の安定性がチェックされて、第2のセットの送信ブランチから最も弱いブランチが特定され排除される。第2のセットの送電ブランチのランクが再構成され、切り替える送電ブランチが選択される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統(100)における複数の送信ブランチから1つの送信ブランチを選択する方法(300)であって、
前記電力系統における少なくとも1つの過負荷を検出するステップ(302)と、
第1のセットの送信ブランチを得るため、少なくとも1つのラジアルブランチおよび少なくとも1つのクリティカルブランチを前記複数の送信ブランチから排除するステップ(304)と、
前記第1のセットの送信ブランチそれぞれに対して、少なくとも一対のアナログおよびデジタルパラメータを計算するステップ(306)と、
計算された前記少なくとも一対のアナログおよびデジタルパラメータを1つまたは複数の閾値と比較するステップ(308)と、
第2のセットの送信ブランチを得るため、前記比較に基づいて前記複数の送信ブランチを選別するステップ(310)と、
1つまたは複数の目的関数に基づいて、前記第2のセットの送信ブランチそれぞれをランク付けするステップ(312)と、
前記電力系統における機能停止をシミュレートして、前記第2のセットの送信ブランチそれぞれの前記ランク付けを再構成するステップ(314)と、
1つまたは複数の動的制約に基づいて前記電力系統の安定性をチェックするステップ(316)と、
前記電力系統の前記安定性の結果に基づいて、前記電力系統における前記第2のセットの送信ブランチから1つまたは複数の最も弱い送信ブランチを特定するステップ(320)と、
特定された前記1つまたは複数の最も弱い送信ブランチを前記第2のセットの送信ブランチから排除するステップ(322)と、
前記特定された1つまたは複数の最も弱い送信ブランチを排除した後、前記第2のセットの送信ブランチのランクを再構成するステップ(324)と、
再構成された前記ランクに基づいて、前記第2のセットの送信ブランチから1つの送信ブランチを選択するステップ(326)とを含む、方法。
【請求項2】
前記第2のセットの送信ブランチそれぞれをランク付けする前記ステップの後、前記第2のセットの送信ブランチの前記ランク付けに基づいて1つの送信ブランチを選択するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の送信ブランチそれぞれに対して、1つまたは複数のアナログおよびデジタルパラメータを計算する前記ステップが、前記複数の送信ブランチそれぞれに対してテブナン等価を計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アナログおよびデジタルパラメータが、電圧、インピーダンス、角度、電圧偏差、インピーダンス偏差、角度偏差、スイッチギヤ状態のうち1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値が、前記電力系統の前記システムオペレータによって、あるいは静的限界、および1つまたは複数の電力潮流方程式を使用した利用可能送電容量(ATC)に基づいて計算することによって定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の目的関数が、1つまたは複数の最適化方法を使用して解が求められ、
前記1つまたは複数の目的関数が、
最小損失、
最小発電コスト、
最小角度偏差、
最小電圧偏差を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電力系統の安定性をチェックする前記ステップが、ある期間にわたって前記電力系統の挙動をチェックするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電力系統の安定性をチェックする前記ステップが、前記電力系統における前記複数の送信ブランチおよび少なくとも1つのノードの安定性をチェックするステップを含み、送信ブランチがそれぞれ2つのノードの間に接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電力系統の前記安定性が、前記電力系統の過渡安定度、電圧安定性、周波数安定性、および角度安定性のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電力系統の前記1つまたは複数の動的制約が、角度、電圧、および周波数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのクリティカルブランチが前記システムオペレータによって定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
電力系統(100)における複数の送信ブランチから1つの送信ブランチを選択するコンピューティングデバイス(105)であって、
プロセッサ(110)と、
前記プロセッサ(110)に通信可能に結合されたメモリ(112)とを備え、
前記メモリ(112)がプロセッサ実行可能命令を格納し、前記命令が実行されると、前記プロセッサに、
前記電力系統における少なくとも1つの過負荷を検出させ、
第1のセットの送信ブランチを得るため、少なくとも1つのラジアルブランチおよび少なくとも1つのクリティカルブランチを前記複数の送信ブランチから排除させ、
前記第1のセットの送信ブランチそれぞれに対して、少なくとも一対のアナログおよびデジタルパラメータを計算させ、
計算された前記少なくとも一対のアナログおよびデジタルパラメータを1つまたは複数の閾値と比較させ、
第2のセットの送信ブランチを得るため、前記比較に基づいて前記複数の送信ブランチを選別させ、
1つまたは複数の目的関数に基づいて、前記第2のセットの送信ブランチそれぞれをランク付けさせ、
前記電力系統における機能停止をシミュレートして、前記第2のセットの送信ブランチそれぞれの前記ランク付けを再構成させ、
1つまたは複数の動的制約に基づいて前記電力系統の安定性をチェックさせ、
前記電力系統の前記安定性の結果に基づいて、前記電力系統における前記第2のセットの送信ブランチから1つまたは複数の最も弱い送信ブランチを特定させ、
特定された前記1つまたは複数の最も弱い送信ブランチを前記第2のセットの送信ブランチから排除させ、
前記特定された1つまたは複数の最も弱い送信ブランチを排除した後、前記第2のセットの送信ブランチのランクを再構成させ、
再構成された前記ランクに基づいて、前記第2のセットの送信ブランチから1つの送信ブランチを選択させる、コンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記プロセッサが、
前記第2のセットの送信ブランチそれぞれをランク付けする前記ステップの後、前記第2のセットの送信ブランチの前記ランク付けに基づいて1つの送信ブランチを選択するように構成された、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記複数の送信ブランチそれぞれに対して、1つまたは複数のアナログおよびデジタルパラメータを計算するステップが、前記複数の送信ブランチそれぞれに対してテブナン等価を計算するステップを含むように、前記プロセッサが構成された、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記アナログおよびデジタルパラメータが、電圧、インピーダンス、角度、電圧偏差、インピーダンス偏差、角度偏差、スイッチギヤ状態のうち1つまたは複数を含む、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記閾値が、前記電力系統の前記システムオペレータによって、あるいは静的限界、および1つまたは複数の電力潮流方程式を使用した利用可能送電容量(ATC)に基づいて計算することによって定義される、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記1つまたは複数の目的関数が、1つまたは複数の最適化方法を使用して解が求められ、
前記1つまたは複数の目的関数が、
最小損失、
最小発電コスト、
最小角度偏差、
最小電圧偏差を含む、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記プロセッサが、ある期間にわたって前記電力系統の挙動をチェックするように構成された、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記プロセッサが、前記電力系統における前記複数の送信ブランチおよび少なくとも1つのノードの安定性をチェックするように構成され、送信ブランチがそれぞれ2つのノードの間に接続される、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項20】
前記電力系統の前記安定性が、前記電力系統の過渡安定度、電圧安定性、周波数安定性、および角度安定性のうち少なくとも1つを含む、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項21】
前記電力系統の前記1つまたは複数の動的制約が、角度、電圧、および周波数を含む、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1つのクリティカルブランチが前記システムオペレータによって定義される、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、電力系統の分野に関する。より詳細には、本発明の主題は、電力系統における過負荷軽減のための送信ブランチの切替えに関する。
【背景技術】
【0002】
電力網は、複数の伝送線路および配電線路ならびに発電源(例えば、発電機)で構成される。電力網において、1つもしくは複数の送信ブランチまたは発電源が故障するシナリオがあり得る。これはシステムの過負荷を引き起こす。過負荷は、電力網ネットワーク内部においてリアルタイムで起こることがある。過負荷は、電力網内部の発電および配電の問題を引き起こし、したがって過負荷を軽減する必要がある。
【0003】
電力網ネットワークの過負荷を緩和する既存のシステムは、発電源のスケジュールを調節する必要がある。スケジュールの調節は、発電源、例えば発電機の電力を再送出することを伴う。しかしながら、発電源の電力のかかる再送出には運用コストが関与する。したがって、電力網ネットワークの過負荷を軽減する新規な手法を見出すことが、当該分野において必要とされている。
【0004】
また、過負荷を緩和する現在のシステムは、過負荷が将来の時点で起こり得るシナリオを考慮していない。例えば、送信ブランチの切替えが実施された後、電力系統が再び故障するシナリオが生じることがある。したがって、過負荷が将来発生する可能性をチェックし、かかる過負荷に適宜備える電力系統が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本発明は、電力系統における複数の送信ブランチから1つの送信ブランチを選択する方法およびシステムに関する。電力系統における少なくとも1つの過負荷が検出される。第1のセットの送信ブランチを得るため、少なくとも1つのラジアルブランチおよびクリティカルブランチが、複数の送信ブランチから排除される。複数の送信ブランチそれぞれに対する少なくとも一対のアナログおよびデジタルパラメータが計算され、1つまたは複数の閾値と比較され、複数の伝送線路が選別されて第2のセットの送信ブランチが得られる。機能停止が電力系統においてシミュレートされ、1つまたは複数の動的制約に基づいて電力系統の安定性がチェックされて、第2のセットの送信ブランチから最も弱いブランチが特定され排除される。第2のセットの送信ブランチのランクが再構成され、切り替える送信ブランチが選択される。
【0006】
上述の概要は単なる例示であり、いかなる形でも限定であることを意図しない。上述した例示の態様、実施形態、および特徴に加えて、図面および以下の詳細な記載を参照することにより、更なる態様、実施形態、および特徴が明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面は、本開示に組み込まれるとともにその一部を構成するものであり、例示的実施形態を例示し、記載と併せて開示の原理を説明する役割を果たす。図面中、参照番号の一番左の桁は、その参照番号が最初に登場する図面を特定する。同様の特徴および構成要素を参照するのに、図面全体を通して同じ番号が使用される。本発明の主題の実施形態によるシステムおよび/または方法のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付図面に関連して以下に記載する。
図1】本開示のいくつかの実施形態による例示的な環境を示す図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による電力網を示す図である。
図3A】本開示のいくつかの実施形態による方法を示すフローチャートである。
図3B】本開示のいくつかの実施形態による方法を示すフローチャートである。
図4】本開示のいくつかの実施形態によるテブナンの等価回路の計算を示す図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態によるグラフのプロットを示す図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態によるコンピューティングデバイス示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書のいずれのブロック図も、本発明の主題の原理を具体化する例示的システムの概念図を表すものであることが、当業者には認識されるべきである。同様に、いずれのフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体で実質的に表され、コンピュータまたはプロセッサによって実行されてもよい、様々なプロセスを表すものであることが認識されるであろう。
【0009】
本文書において、「例示」という単語は、本明細書では、「例、実例、または例示としての役割を果たす」ことを意味するのに使用される。本明細書において「例示」として記載される、本発明の主題のいずれの実施形態または実現例も、必ずしも他の実施形態よりも好ましいかまたは有利なものとして解釈されるものではない。
【0010】
本開示は、様々な修正および代替形態を容認可能であるが、その特定の実施形態は例として図面に示されており、以下に詳細に記載される。しかしながら、本開示を開示する形態に限定しようとするものではなく、反対に、本開示は、本開示の趣旨および範囲内にある全ての修正、等価物、および代替物を網羅するものであることが理解されるべきである。
【0011】
「備える」、「備えている」という用語、またはそれらの他の任意の変形は、非排他的包含を網羅するものとし、そのため、一連の構成要素もしくはステップを備えるセットアップ、デバイス、または方法は、それらの構成要素もしくはステップのみを含むのではなく、明示的に列挙されないか、あるいはかかるセットアップまたはデバイスまたは方法に固有の、他の構成要素もしくはステップを含んでもよい。換言すれば、「~を備える」に先行するシステムまたは装置の1つもしくは複数の要素は、更なる制約なしに、他の要素または追加の要素がシステムまたは方法に存在することを除外しない。
【0012】
「含む」、「含んでいる」という用語、またはそれらの他の任意の変形は、非排他的包含を網羅するものとし、そのため、一連の構成要素もしくはステップを含むセットアップ、デバイス、または方法は、それらの構成要素もしくはステップのみを含むのではなく、明示的に列挙されないか、あるいはかかるセットアップまたはデバイスまたは方法に固有の、他の構成要素もしくはステップを含んでもよい。換言すれば、「~を含む」に先行するシステムまたは装置の1つもしくは複数の要素は、更なる制約なしに、他の要素または追加の要素がシステムまたは方法に存在することを除外しない。
【0013】
本開示の実施形態の以下の詳細な記載において、本開示の一部を形成するものであり、本開示が実践されてもよい特定の実施形態が例示として示される、添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示を実践できるようにするのに十分詳細に記載され、他の実施形態が利用されてもよいこと、および本開示の範囲から逸脱することなく変更がなされてもよいことが理解されるべきである。したがって、以下の記載は限定的な意味でみなされないものとする。
【0014】
本発明で使用される様々な用語は以下の通りである。
【0015】
電力系統:電力系統は、少なくとも1つの伝送線路および発電源を包含するネットワークと定義することができる。
送信ブランチ:送信ブランチは、2つのノードを接続する電線と定義することができる。
ノード:ノードは、1つまたは複数の電力系統構成要素間の相互接続点または接合点である。ノードは、送信ブランチのエンドポイントと定義することができる。ノードは、1つもしくは複数の発電源および/または負荷に接続することができる。発電源は、例えば発電機を含むことができる。ノードの例は、負荷、補償デバイス、または一般的な電力系統設備を含むことができる。
過負荷:過負荷は、電力系統中に存在する設備の容量が侵害される状況と定義することができる。
機能停止:電力系統における機能停止は、1つまたは複数のネットワーク要素(例えば、伝送線路または1つもしくは複数の発電源)が故障するシナリオと定義することができる。したがって、過負荷は機能停止の結果である。
最も弱いノード:最も弱いノードは、過渡安定度制約、同位角安定性、電圧安定性、および周波数安定性のうち少なくとも1つを侵害する傾向を有するノードである。
角度安定性:ショート不良MVAが少ないノード。
電圧安定性:無効電力余裕が最小である発電機、およびゾーン内におけるノード無効電力損失の変化が最大である負荷。
周波数安定性:小/大外乱に対して慣性が小さいかまたは周波数の変化率が大きいノード。
静的限界:定常状態動作の間、各ノード/設備が、計画基準ごとの最小および最大限界として、またはある時間システムオペレータによって表現される、運転制約を有するようになる。これらは、数秒から数分にわたる侵害に耐え得るネットワークの限界である。かかる限界の計算には、より短い時間フレームが、例えば数ミリ秒がかかる。例えば、±5%の電圧変動を有する400kVノードなどが可能である。
動的制約:これらは、過渡条件においてチェックされるべき制約である。これらは、数ミリ秒の時間フレーム内でチェックし定義する必要がある、ネットワークの限界である。かかる限界の計算には、より長い時間フレームが、例えば数秒/数分がかかる。例えば、事故除去が120ミリ秒未満の場合、ノードにおける角度安定性は安定となり、そうでなければシステムは不安定となる。
最も弱いノード:最も弱いノードは、過渡安定度制約、同位角安定性、電圧安定性、および周波数安定性のうち少なくとも1つを侵害する傾向を有するノードである。
角度安定性:ショート不良MVAが少ないノード。
電圧安定性:無効電力余裕が最小である発電機、およびゾーン内におけるノード無効電力損失の変化が最大である負荷。
周波数安定性:小/大外乱に対して慣性が小さいかまたは周波数の変化率が大きいノード。
静的限界:定常状態動作の間、各ノード/設備が、計画基準ごとの最小および最大限界として、またはある時間システムオペレータによって表現される、運転制約を有するようになる。これらは、数秒から数分にわたる侵害に耐え得るネットワークの限界である。かかる限界の計算には、より短い時間フレームが、例えば数ミリ秒がかかる。例えば、±5%の電圧変動を有する400kVノードなどが可能である。
動的制約:これらは、過渡条件においてチェックされるべき制約である。これらは、数ミリ秒の時間フレーム内でチェックし定義する必要がある、ネットワークの限界である。かかる限界の計算には、より長い時間フレームが、例えば数秒/数分がかかる。例えば、事故除去が120ミリ秒未満の場合、ノードにおける角度安定性は安定となり、そうでなければシステムは不安定となる。
【0016】
以下、本発明について図を利用して記載する。
【0017】
図1を参照すると、一実施形態による電力系統100が開示されている。図1は、電力網103と、通信ネットワーク102と、コンピューティングデバイス105とを備える系統100を開示している。電力網103は、通信ネットワーク102を介してコンピューティングデバイス105と通信していてもよい。
【0018】
電力網103は、複数の伝送線路と1つまたは複数の発電源とを包含してもよい。2つのノード間に接続された伝送線路は送信ブランチと称される。ノードは、1つもしくは複数の発電源および/または負荷に接続されてもよい。電力網103は図2に例示されている。図2に示されるように、送信ブランチは、ノード204、206、210、212、214、220、222、226、230の間に接続される。
【0019】
電力系統100における複数の送信ブランチのうちいくつかの送信ブランチは、クリティカルブランチおよびラジアルブランチとして分類されてもよい。クリティカルブランチは、電力系統100の運転に必要なものであり、それがないと電力系統100が適切に働かないことがある。一実施形態では、クリティカルブランチはシステムオペレータによって予め定義される。ラジアル送信ブランチは、ノードに直接接続されてもよい送信ブランチとして定義されてもよい。例えば、図2に示されるように、ノード226および230、204および206、212および214の間に接続された送信ブランチは、発電機(G)に直接接続されるので、ラジアル線路である。
【0020】
図2を参照すると、210および212の間に接続された送信ブランチが、例えば電源故障によって故障するシナリオが生じることがある。このため、210および226の間に接続された送信ブランチの間に過負荷が起こることがある。過負荷を軽減するには、送信ブランチの切替えが必要である。本開示は、1つの送信ブランチから別の送信ブランチに電源を切り替える新規な手法を提案する。切替えは、最小の計算で切り替える送信ブランチを選択することを要する。
【0021】
図1を参照すると、コンピューティングデバイス105は、プロセッサ110と、プロセッサ110に結合され、プロセッサ110によって実行される命令を格納するように構成されたメモリ112とを備える、任意の汎用コンピューティングデバイスであってもよい。コンピューティングデバイス105については、以下に詳細に記載する。
【0022】
図3を参照すると、電力系統における複数の送信ブランチから1つの送信ブランチを選択する方法が記載されている。
【0023】
ステップ302で、方法は、電力系統における少なくとも1つの過負荷を検出することを含む。プロセッサ110は、電力系統100において起こっている1つまたは複数の過負荷を検出してもよい。1つまたは複数の過負荷は、電力網103における1つまたは複数の送信ブランチの故障によって起こることがある。一実施形態では、1つまたは複数の過負荷は、電力系統における負荷の変化によって起こることがある。更に別の実施形態では、1つまたは複数の過負荷は、断続的な再生可能エネルギー生成によって起こることがある。例えば、図2に関して上述したように、210および212の間に接続された送信ブランチで機能停止が起こることがあり、それによって210および226の間で過負荷が起こることがある。一実施形態では、コンピューティングデバイス105は、過負荷検出モジュール(図示なし)を含んでもよい。過負荷検出モジュールは、電力系統100で起こっている1つまたは複数の過負荷を検出してもよい。
【0024】
ステップ304で、方法は、第1のセットの送信ブランチを得るため、少なくとも1つのラジアルブランチおよび少なくとも1つのクリティカルブランチを複数の送信ブランチから排除することを含む。上述したように、クリティカルブランチはシステムオペレータによって予め定義される。更に、ラジアル線路は、電力系統における1つもしくは複数の発電源および/または1つもしくは複数の負荷に直接接続されるものであってもよい。プロセッサ110は、電力網に存在する送信ブランチの総数から、ラジアルブランチおよびクリティカルブランチの数を排除するように構成される。クリティカルブランチおよびラジアルブランチを排除した後に得られる残りのブランチのセットは、第1のセットの送信ブランチと称される。少なくとも1つのクリティカルブランチおよび少なくとも1つのラジアルブランチは、電源故障の場合に送信ブランチを切り替える際に切り替えることが検討されないことがある。したがって、例えば、電力網において、100(本)の送信ブランチがあってもよく、そのうち10(本)がクリティカルブランチであっても良く、別の10(本)がラジアルブランチであってもよい。それ故、第1のセットの送信ブランチは80の送信ブランチを含んでもよく、即ち、合計100の送信ブランチから20のブランチ(10のラジアルブランチおよび10のクリティカルブランチ)を排除する。残りの80の送信ブランチは、電力系統100において過負荷が起こったとき、送信ブランチを選択して電源を切り替えるように、更に処理されてもよい。
【0025】
ステップ306で、方法は、第2のセットの送信ブランチそれぞれに対して、少なくとも一対のアナログおよびデジタルパラメータを計算することを含む。プロセッサは、上述のステップで得られた第1のセットの送信ブランチそれぞれに対して、アナログおよびデジタルパラメータを得るように構成される。例えば、アナログおよびデジタルパラメータは、(上述の例のように)80の送信ブランチ全てに対して得られてもよい。
【0026】
送信ブランチのアナログおよびデジタルパラメータを得るのに、送信ブランチそれぞれに対してテブナンの等価回路が得られる。図4は、2つのノード間に接続されたいずれか1つの送信ブランチに対して得られる、テブナンの等価回路を記載している。テブナン等価の計算は当該分野において知られており、テブナン等価の計算に関する記載は、この明細書では省略する。テブナンの等価回路を用いて、1つまたは複数のアナログおよびデジタルパラメータが得られる。1つまたは複数のアナログおよびデジタルパラメータは、電圧、インピーダンス、角度、電圧偏差、インピーダンス偏差、角度偏差、スイッチギヤ状態(ON/OFF)のうち1つまたは複数を含む。スイッチギヤ状態は、断流器状態(ON/OFF)、絶縁装置状態(ON/OFF)を含んでもよい。
【0027】
図4のテブナンの等価回路から、
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
式中、
は、送信端(送信ブランチの一方の側)におけるベクトル、電圧、および位相、
は、受信端(送信ブランチの他方の側)におけるベクトル、電圧、および位相である。
【0030】
【数3】
Zは、Zbus行列からの線路の複素インピーダンス/ブランチの移動、
Iは、電流ベクトルである。
【0031】
送信ブランチの受信端に伝送される複素AC電力は、次式のように計算することができる。
【0032】
【数4】
【0033】
ブランチモデルは、インピーダンスの抵抗成分によってより現実的であることができる。したがって、線路の両端間の電力伝達は、
【0034】
【数5】
【0035】
【数6】
P=線路の両端間における実際の電力
Q=線路の両端間における無効電力
δ=電力角度
θ=インピーダンス角度
【0036】
上述の電力伝達方程式を用いて、「利用可能送電容量」(ATC)ならびに伝達インピーダンスおよび電圧の既知の変数に基づいて、角度および電圧閾値が計算されてもよい。
ATCは次のように定義されてもよい。
ATC=ブランチの格付け-ブランチの電力潮流=Prating-Pflow
式中、ATCはブランチにおける最大許容可能な電力である。
【0037】
同様に、ブランチの抵抗およびキャパシタンスを無視し、線路を無損失として表現した場合、電力潮流方程式の最も単純な形態を表現することもできる。
【0038】
【数7】
【0039】
【数8】
【0040】
計算されたATC値には、上述の電力潮流方程式を使用することができる。
【0041】
方法は次に、ステップ308に進む。ステップ308で、方法は、計算された少なくとも一対のアナログおよびデジタルパラメータを1つまたは複数の閾値と比較することを含む。
【0042】
ステップ310で、方法は、第2のセットの送信ブランチを得るため、比較に基づいて第1のセットの送信ブランチを選別することを含む。
【0043】
ステップ308および310は、コンピューティングデバイス105によってグラフをプロットすることによって実施されてもよい。グラフは、1つもしくは複数のアナログおよび/またはデジタルパラメータの間でプロットされてもよい。例えば、グラフは、アナログおよびアナログパラメータの間、デジタルおよびデジタルパラメータの間、またはアナログおよびデジタルパラメータの間でプロットされてもよい。
【0044】
図5は、パラメータの角度と電圧との間のグラフのプロットを開示している。角度および電圧パラメータは、テブナンの等価回路から得られる。プロットされた角度および電圧パラメータは、さらに1つの閾値と比較される。閾値は、電力系統100のシステムオペレータによって、あるいは静的限界、および上述したような1つまたは複数の電力潮流方程式を使用した利用可能送電容量(ATC)に基づいて計算することによって定義される。図5に示されるように、太線は、安定した動作域境界、即ち閾値を定義する。動作域境界外にある角度および電圧パラメータ値は排除される。これは、動作域境界外にあるアナログおよびデジタルパラメータ値を有する送信ブランチが、更なるスクリーニングから排除されることを意味する。このようにして得られた残りの送信ブランチは、第2のセットの送信ブランチと称される。図5は点線も示している。この点線は、安全マージンと称されてもよく、システムオペレータによって定義されてもよい。
【0045】
一例として、電力網に存在する80の送信ブランチ全て(即ち、ラジアルおよびクリティカル送信ブランチを除外した後に得られる送信ブランチ)に対してグラフがプロットされる。80の送信ブランチそれぞれのアナログおよびデジタルパラメータが、1つまたは複数の閾値と比較され、アナログおよびデジタルパラメータが閾値外にある送信ブランチが排除される。したがって、この例では、記載した方法にしたがって排除されてもよい、50のブランチがあってもよい。したがって、第2のセットの伝送線路は30に等しくてもよい(合計80の線路から、アナログおよびデジタルパラメータが閾値外にある50のブランチを引く)。
【0046】
ステップ314で、方法は、1つまたは複数の目的関数に基づいて、第2のセットの送信ブランチそれぞれをランク付けすることを含む。プロセッサは、1つまたは複数の目的関数に基づいて、第2のセットの送信ブランチそれぞれをランク付けするように構成される。したがって、上述の例を考えると、第2のセットの伝送線路として得られた30の送信ブランチがプロセッサによってランク付けされる。1つまたは複数の目的関数は、例えば、最小損失、最小発電コスト、最小角度偏差、最小電圧偏差のものを含む。一実施形態では、1つまたは複数の目的関数は、1つまたは複数の最適化方法を使用して解が求められる。一実施形態では、目的関数は電力系統のシステムオペレータによって定義される。例えば、システムオペレータは、送信ブランチのランク付けに用いられてもよい目的関数の1つとして「最小損失」を定義してもよい。システムオペレータは、「最小損失」を目的関数の1つとして選択することによって、電力系統が最小損失を有するものであるはずだと定義してもよい。目的パラメータが選択されると、プロセッサは、ブランチにおける過負荷を軽減または排除することによって送信ブランチをランク付けする。ランク付けは、電力系統における損失が最小であるようにして行われる。例えば、「1」とランク付けされた送信ブランチを使用することは、最小損失を有し、その後に他のランク付けされた送信ブランチが続くものと推測される。
【0047】
ステップ316で、方法は、電力系統における機能停止をシミュレートして、第2のセットの送信ブランチそれぞれのランク付けを再構成することを含む。機能停止は、電力系統における将来の故障の可能性をチェックするためにシミュレートされてもよい。将来の故障は、例えば、第2のセットの送信ブランチから切り替える送信ブランチが選択されたときに起こることがあり、機能停止は、電力系統100における過負荷の結果として将来起こる。したがって、電力系統を将来に備えるため、電力系統は、系統100におけるさらに1つの機能停止についてチェックされる。さらに1つの機能停止は、当該分野で知られているシミュレーション技法によって行われる強制機能停止である。これにより、将来機能停止が電力系統において生じた場合に、電力系統100がその停止に備えていることが担保される。
【0048】
ステップ318で、方法は、1つまたは複数の動的制約に基づいて電力系統の安定性をチェックすることを含む。機能停止が電力系統においてシミュレートされると、プロセッサ110は、シミュレートされた環境における電力系統の安定性をチェックするように構成される。コンピューティングデバイス105のシステムオペレータは、シミュレートされた環境における電力系統100をシミュレートしてもよく、機能停止後の電力系統の安定性が所定の期間にわたってチェックされる。システムの安定性をチェックすることは、電力網103における1つまたは複数の送信ブランチおよびノードの安定性をチェックすることを含む。安定性は、機能停止が起こった後に電力系統がどの程度安定しているかを含んでもよい。これは、所定の期間の経過後に電力系統において別の機能停止/過負荷が起こるかをチェックすることを含む。一実施形態では、コンピューティングデバイス105は、電力系統100の安定性をチェックする安定性分析モジュール(図示なし)を含んでもよい。
【0049】
電力系統の安定性は、電力系統の過渡安定度、電圧安定性、周波数安定性、および角度安定性のうち少なくとも1つを含む。一実施形態では、安定性は、電力系統の動的制約のいずれかにおいて侵害があるかをチェックすることを含んでもよい。動的制約は、角度、電圧、および周波数を含んでもよい。しかしながら、動的制約は本明細書に定義するものに限定されなくてもよい。したがって、シミュレートされた環境において、プロセッサ110は、送信ブランチそれぞれの動的制約のいずれか、即ち角度、電圧、または周波数に何らかの変化があるかをチェックするように構成される。動的制約の侵害がない場合、プロセッサ110は、電力系統が安定していると判断するように構成される。あるいは、動的制約の侵害がある場合、プロセッサ110は、(第1のセットの送信ブランチから)動的制約を侵害している送信ブランチを、電力系統の最も弱いブランチ/ノードとして特定するように構成される。
【0050】
ステップ320で、方法は、電力系統の安定性の結果に基づいて、電力系統における第2のセットの送信ブランチから1つまたは複数の最も弱い送信ブランチを特定することを含む。最も弱い送信ブランチは、第2のセットの送信ブランチのうち、動的制約の最大の変化がある送信ブランチを含んでもよい。例えば、一位とランク付けされた送信ブランチは、所定の時間量に対してシミュレートされたとき、角度または電圧の値の変化が最大であってもよい。したがって、一位とランク付けされた送信ブランチは最も弱いノードとして特定されてもよい。
【0051】
ステップ322で、方法は、1つまたは複数の特定された最も弱い送信ブランチを第2のセットの送信ブランチから排除することを含む。プロセッサは、特定された1つまたは複数の最も弱い送信ブランチを第2のセットの送信ブランチから排除するように構成される。したがって、第2のセットの送信ブランチは、最も弱い送信ブランチを排除することによって更新されてもよい。
【0052】
ステップ324で、方法は、1つまたは複数の特定された最も弱い送信ブランチを排除した後、第2のセットの送信ブランチのランクを再構成することを含む。第2のセットの送信ブランチが更新されると、プロセッサは、第2のセットの送信ブランチのランクを再構成するように構成される。例えば、上述したように、ランク「1」の送信ブランチは最も弱い送信ブランチとして特定されてもよい。したがって、ランク「1」の送信ブランチは(最も弱いブランチなので)排除されてもよく、ランク「2」の送信ブランチが次に、ランク「1」の送信ブランチになってもよい。したがって、プロセッサは、第2のセットの送信ブランチを更新して、第2のセットの送信ブランチのうち残りの送信ブランチの再構成されたランクを得る。
【0053】
ステップ326で、方法は、再構成されたランクに基づいて、第2のセットの送信ブランチから1つの送信ブランチを選択することを含む。プロセッサは、第2のセットの送信ブランチに存在する送信ブランチの再構成されたランクに基づいて、送信ブランチを選択してもよい。例えば、ランク「1」の送信ブランチが切替えのために選択されてもよい。選択された送信ブランチは、電力系統100で起こる過負荷を軽減する、ブランチ切替えに使用されてもよい。
【0054】
一実施形態では、ステップ316~326は排除されてもよい。したがって、第2のセットの送信ブランチがランク付けされた後、ランク付けに基づいて送信ブランチが選択されて、電力系統100で起こる過負荷が軽減または排除される。
【0055】
方法300を記載する順序は限定としては解釈されないものとし、記載する方法ブロックのうち任意の数を任意の順序で組み合わせて、方法を実現することができる。加えて、本明細書に記載する主題の範囲から逸脱することなく、個々のブロックが方法から消去されてもよい。更に、方法は、任意の好適なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実現することができる。
【0056】
コンピューティングデバイス
図6は、本開示と一致する実施形態を実現する例示的なコンピューティングデバイス105のブロック図を示している。コンピューティングデバイス105は、中央処理装置(「CPU」または「プロセッサ」)110を含んでもよい。プロセッサ110は、統合システム(バス)コントローラ、メモリ管理制御装置、浮動小数点演算装置、グラフィックス処理装置、デジタル信号処理装置などの専用処理装置を含んでもよい。プロセッサ110は、I/Oインターフェース601を介して、1つまたは複数の入出力(I/O)デバイス609および610と通信して配設されてもよい。コンピューティングデバイス105はまた、安定性分析モジュールと過負荷検出モジュールとを含んでもよい。
【0057】
I/Oインターフェース601は、非限定的に、オーディオ、アナログ、デジタル、モノラル、RCA、ステレオ、IEEE-1394、シリアルバス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、赤外、PS/2、BNC、同軸、コンポーネント、コンポジット、デジタルビジュアルインターフェース(DVI)、高精細度マルチメディアインターフェース(HDMI)、RFアンテナ、S-ビデオ、VGA、IEEE 802.n/b/g/n/x、ブルートゥース、セルラー(例えば、符号分割多重アクセス(CDMA)、高速パケットアクセス(HSPA+)、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)、ロングタームエボリューション(LTE)、WiMaxなど)などの、通信プロトコル/方法を採用してもよい。
【0058】
I/Oインターフェース601を使用して、コンピューティングデバイス105は、1つまたは複数のI/Oデバイス609および610と通信してもよい。例えば、入力デバイス609は、アンテナ、キーボード、マウス、ジョイスティック、(赤外)リモートコントロール、カメラ、カードリーダ、ファックス機、ドングル、生体認証リーダ、マイクロフォン、タッチスクリーン、タッチパッド、トラックボール、スタイラス、スキャナ、記憶デバイス、送受信機、映像デバイス/ソースなどであってもよい。出力デバイス610は、プリンタ、ファックス機、映像ディスプレイ(例えば、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、プラズマ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)など)、オーディオスピーカなどであってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、ネットワークインターフェース603を介して、通信ネットワーク102と通信して配設されてもよい。ネットワークインターフェース603は、通信ネットワーク611と通信してもよい。ネットワークインターフェース603は、非限定的に、直接接続、イーサネット(例えば、ツイストペア10/100/1000 Base T)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、トークンリング、IEEE 802.11a/b/g/n/xなどを含む、接続プロトコルを採用してもよい。通信ネットワーク611は、非限定的に、直接相互接続、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ワイヤレスネットワーク(例えば、ワイヤレスアプリケーションプロトコルを使用)、インターネットなどを含んでもよい。ネットワークインターフェース603および通信ネットワーク611を使用して、コンピューティングデバイス105は、電力網612と通信して電力網612における偶発事態をスクリーニングしてもよい。ネットワークインターフェース603は、直接接続、イーサネット(例えば、ツイストペア10/100/1000 Base T)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、トークンリング、IEEE 802.11a/b/g/n/xなどを含むがそれらに限定されない、接続プロトコルを採用してもよい。
【0060】
通信ネットワーク611は、直接相互接続、eコマースネットワーク、ピアツーピア(P2P)ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ワイヤレスネットワーク(例えば、ワイヤレスアプリケーションプロトコルを使用)、インターネット、Wi-Fiなどを含むが、それらに限定されない。第1のネットワークおよび第2のネットワークは、様々なプロトコル、例えばハイパーテキストトランスファープロトコル(HTTP)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)などを使用して互いと通信する、異なるタイプのネットワークの関連を表す、専用ネットワークまたは共有ネットワークのどちらかであってもよい。更に、第1のネットワークおよび第2のネットワークは、ルータ、ブリッジ、サーバ、コンピューティングデバイス、記憶デバイスなどを含む、様々なネットワークデバイスを含んでもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、ストレージインターフェース604を介して、メモリ112(例えば、図6に示されない、RAM、ROMなど)と通信して配設されてもよい。ストレージインターフェース604は、シリアルアドバンストテクノロジーアタッチメント(SATA)、インテグレーテッドドライブエレクトロニクス(IDE)、IEEE-1394、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ファイバーチャネル、スモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI)などの接続プロトコルを採用する、メモリドライブ、リムーバブルディスクドライブなどを非限定的に含む、メモリ112に接続してもよい。メモリドライブは更に、ドラム、磁気ディスクドライブ、磁気光学ドライブ、光学ドライブ、冗長アレイ、独立ディスク冗長アレイ(RAID)、ソリッドステートメモリデバイス、ソリッドステートドライブなどを含んでもよい。
【0062】
メモリ112は、ユーザインターフェース606、オペレーティングシステム607などを非限定的に含む、一群のプログラムまたはデータベース構成要素を格納してもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス105は、本開示に記載するような、データ、変数、記録などのユーザ/アプリケーションデータ606を格納してもよい。かかるデータベースは、OracleまたはSybaseなど、フォールトトレラント、リレーショナル、スケーラブル、および安全なデータベースとして実現されてもよい。
【0063】
オペレーティングシステム607は、コンピューティングデバイス105のリソース管理および動作を容易にしてもよい。オペレーティングシステムの例としては、非限定的に、Apple Macintosh OS X、Unix、Unix系システムディストリビューション(例えば、Berkeley Software Distribution(BSD)、FreeBSD、NetBSD,OpenBSDなど)、Linuxディストリビューション(例えば、Red Hat、Ubuntu、Kubuntuなど)、IBM OS/2、Microsoft Windows(XP、Vista/7/8など)、Apple iOS、Google Android、Blackberry OSなどが挙げられる。
【0064】
更に、本明細書で使用するとき、モジュールという用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルシステムオンチップ(PSoC)、組み合わせ論理回路、および/または記載する機能性を提供する他の好適な構成要素を指す。モジュールは、本開示に規定する機能性を備えて構成されると、新規なハードウェアとなる。
【0065】
更に、本開示と一致する実施形態を実現するのに、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体が用いられてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって読取り可能な情報またはデータが格納されてもよい、任意のタイプの物理的メモリを指す。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載する実施形態と一致するステップまたは段階をプロセッサに実施させるための命令を含む、1つまたは複数のプロセッサによって実行するための命令を格納してもよい。「コンピュータ-可読媒体」という用語は、有形のアイテムを含み、搬送波および過渡信号を除外する、即ち非一時的なものであることが理解されるべきである。例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、CD ROM、DVD、フラッシュドライブ、ディスク、および他の任意の既知の物理的記憶媒体が挙げられる。
【0066】
更にまた、記載する動作を実現する符号は、「伝送信号」の形で実現されてもよく、伝送信号は、空間を通って、または光ファイバ、銅線などの伝送媒体を通って伝播してもよい。符号または論理が符号化された伝送信号は更に、無線信号、衛星伝送、電波、赤外線信号、ブルートゥースなどを含んでもよい。符号または論理が符号化された伝送信号は、伝送局によって伝送し受信局によって受信することができ、伝送信号において符号化された符号または論理は、受信局および伝送局またはデバイスにおいて復号され、ハードウェアまたは非一時的コンピュータ可読媒体に格納されてもよい。
【0067】
単一のデバイスまたは物品が本明細書において記載される場合、単一のデバイス/物品の代わりに1つを超えるデバイス/物品(連携するか否かにかかわらず)が使用されてもよいことが、容易に明白となるであろう。同様に、1つを超えるデバイスまたは物品が本明細書において記載される場合(連携するか否かにかかわらず)、その1つを超えるデバイスまたは物品の代わりに単一のデバイス/物品が使用されてもよく、あるいは示される数のデバイスまたは物品の代わりに異なる数のデバイス/物品が使用されてもよいことが、容易に明白となるであろう。デバイスの機能性および/または特徴は、かかる機能性/特徴を有するものとして明示的に記載されない、1つまたは複数の他のデバイスによって代替的に具体化されてもよい。したがって、本発明の他の実施形態はデバイス自体を含む必要はない。
【0068】
最後に、本明細書で使用される言語は、可読性および教育の目的で主に選択されており、本発明の主題を描写または制限するためには選択されていないことがある。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、それよりもむしろそれに基づく出願の任意のクレームによって限定されるものとする。したがって、本発明の実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲で説明される、本発明の範囲の限定ではなく例証であるものとする。
【0069】
様々な態様および実施形態について本明細書に開示してきたが、他の態様および実施形態が当業者には明白となるであろう。本明細書に開示する様々な態様および実施形態は、例証目的であって限定しようとするものではなく、真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0070】
100 電力系統
102 通信ネットワーク
103 電力網
105 コンピューティングデバイス
202~232 ノード
110 プロセッサ
112 メモリ
300 方法
302~326 方法ステップ
601 I/Oインターフェース
603 ネットワークインターフェース
604 ストレージインターフェース
606 ユーザインターフェース
607 オペレーティングシステム
608 ウェブサーバ
609 入力デバイス
610 出力デバイス
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
電力系統:電力系統は、少なくとも1つの伝送線路および発電源を包含するネットワークと定義することができる。
送信ブランチ:送信ブランチは、2つのノードを接続する電線と定義することができる。
ノード:ノードは、1つまたは複数の電力系統構成要素間の相互接続点または接合点である。ノードは、送信ブランチのエンドポイントと定義することができる。ノードは、1つもしくは複数の発電源および/または負荷に接続することができる。発電源は、例えば発電機を含むことができる。ノードの例は、負荷、補償デバイス、または一般的な電力系統設備を含むことができる。
過負荷:過負荷は、電力系統中に存在する設備の容量が侵害される状況と定義することができる。
機能停止:電力系統における機能停止は、1つまたは複数のネットワーク要素(例えば、伝送線路または1つもしくは複数の発電源)が故障するシナリオと定義することができる。したがって、過負荷は機能停止の結果である。
最も弱いノード:最も弱いノードは、過渡安定度制約、同位角安定性、電圧安定性、および周波数安定性のうち少なくとも1つを侵害する傾向を有するノードである。
角度安定性:ショート不良MVAが少ないノード。
電圧安定性:無効電力余裕が最小である発電機、およびゾーン内におけるノード無効電力損失の変化が最大である負荷。
周波数安定性:小/大外乱に対して慣性が小さいかまたは周波数の変化率が大きいノード。
静的限界:定常状態動作の間、各ノード/設備が、計画基準ごとの最小および最大限界として、またはある時間システムオペレータによって表現される、運転制約を有するようになる。これらは、数秒から数分にわたる侵害に耐え得るネットワークの限界である。かかる限界の計算には、より短い時間フレームが、例えば数ミリ秒がかかる。例えば、±5%の電圧変動を有する400kVノードなどが可能である。
動的制約:これらは、過渡条件においてチェックされるべき制約である。これらは、数ミリ秒の時間フレーム内でチェックし定義する必要がある、ネットワークの限界である。かかる限界の計算には、より長い時間フレームが、例えば数秒/数分がかかる。例えば、事故除去が120ミリ秒未満の場合、ノードにおける角度安定性は安定となり、そうでなければシステムは不安定となる。
【国際調査報告】