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特表2023-517038コネクタを有する積層ガラス、その製造方法および用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】コネクタを有する積層ガラス、その製造方法および用途
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20230414BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20230414BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20230414BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20230414BHJP
   B32B 3/04 20060101ALI20230414BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALN20230414BHJP
【FI】
C03C27/12 M
B60J1/00 H
C03C27/12 N
B32B17/06
B32B7/025
B32B3/04
H01Q1/32 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553176
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2021055805
(87)【国際公開番号】W WO2021176103
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】2003291.8
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213997
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドリュー チャンバーレイン
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
5J046
【Fターム(参考)】
4F100AB17D
4F100AD00E
4F100AG00A
4F100AG00B
4F100AK23C
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA13E
4F100DB01B
4F100DB10D
4F100DB10E
4F100DB16D
4F100DB16E
4F100DD05D
4F100DD05E
4F100EC032
4F100EC182
4F100EH71D
4F100EJ172
4F100EJ422
4F100GB07
4F100GB31
4F100GB41
4F100HB09D
4F100HB31E
4F100JG01B
4F100JG01D
4F100JG04B
4F100YY00C
4G061AA04
4G061AA30
4G061BA01
4G061BA02
4G061BA03
4G061BA10
4G061CA03
4G061CA05
4G061CB14
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD13
4G061CD18
5J046AA06
5J046AB17
5J046LA18
(57)【要約】
本発明は、第1および第2のガラスシート1、2およびそれらの間に配置された中間層材料のプライ3と、中間層材料のプライ3上に配置された導電性ストリップ4と、第2のガラスシート2の縁に配されたコネクタ5と、第2のガラスシート2の前記中間層材料のプライ3に面していない表面S4上にあり、前記導電性ストリップ4を部分的に覆い隠す、セラミックインク層6と、導電性ストリップ4がギャップ7内においてコネクタ5と接触するように構成されたセラミックインク層6内のギャップ7と、を備える、積層ガラス10に関する。本発明は、当該積層ガラスの製造方法およびその使用にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のガラスシート1、2およびそれらの間に配置された中間層材料のプライ3と、
前記中間層材料のプライ3上に配置された導電性ストリップ4と、
前記第2のガラスシート2の縁に配されたコネクタ5と、
前記第2のガラスシート2の前記中間層材料のプライ3に面していない表面S4上にあり、前記導電性ストリップ4を部分的に覆い隠す、セラミックインク層6と、
前記セラミックインク層6内のギャップ7であって、前記導電性ストリップ4が前記ギャップ7内においてコネクタ5と接触するように構成された、前記セラミックインク層6内のギャップ7と、
を備える、積層ガラス10。
【請求項2】
前記導電性ストリップ4は、前記コネクタ5に重なる、請求項1に記載の積層ガラス10。
【請求項3】
前記第1のガラスシート1または前記第2のガラスシート2の厚さは、2mm以下であり、より好ましくは1.8mm以下、より好ましくは1.4mm以下、より好ましくは1.0mm以下、最も好ましくは0.7mm以下である、請求項1または2に記載の積層ガラス10。
【請求項4】
第1のガラスシート1の厚さは、第2のガラスシート2の厚さよりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項5】
中間層材料のプライ3の厚さは、0.76mm以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項6】
前記ギャップ7は、前記第2のガラスシート2の縁から前記第2のガラスシート2の中心に向かって、好ましくは少なくとも22mm、さらに好ましくは少なくとも28mm、延在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項7】
前記ギャップ7は、前記第2のガラスシート2の縁と平行に、好ましくは少なくとも32mm、より好ましくは少なくとも38mm、延在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項8】
前記導電性ストリップ4の厚さは、100μm以下、より好ましくは50μm以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項9】
前記コネクタ5は、導体51と、前記導体51を少なくとも部分的に覆う絶縁フィルム52と、を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項10】
前記コネクタ5は、100μm以下、より好ましくは80μm以下の導体厚さを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項11】
前記コネクタ5は、50μm以下、より好ましくは30μm以下の絶縁フィルム厚さを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項12】
前記コネクタ5は、接着フィルム53によって前記第2のガラスシート2に結合され、前記接着フィルム53の厚さは、好ましくは130μm以下、より好ましくは100μm以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層ガラス10。
【請求項13】
第1および第2のガラスシート1、2を準備し、その間に中間層材料のプライ3を配置するステップと、
中間層材料のプライ3の上または前記第2のガラスシート2の上に導電性ストリップ4を配置するステップと、
外部回路と接続するために、前記第2のガラスシート2の縁にコネクタ5を配するステップと、
セラミックインク層6を前記第2のガラスシート2の中間層材料のプライ3に面していない表面S4上に堆積させ、導電性ストリップ4を部分的に覆い隠すステップと、
前記導電性ストリップ4が前記ギャップ7内において前記コネクタ5と接触するように、前記セラミックインク層6内にギャップ7を構成するステップと、
を含む、請求項1に記載の積層ガラス10の製造方法。
【請求項14】
前記導電性ストリップ4を前記コネクタ5に重なるように構成するステップを含む、請求項13に記載の積層ガラス10の製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の積層ガラス10の、建物の窓、街路備品、タッチスクリーン、白物家電のドア、または陸、海、空用の乗物の窓への使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを有する積層ガラス、そのような積層ガラスの製造方法およびその使用(例えば窓における)に関する。
【背景技術】
【0002】
グレージング材料の2つのプライの間に位置する電気コネクタを有する積層ガラスは、よく知られている。車両の窓は、加熱回路のバスバーまたはアンテナの構成要素と電気的に接触するコネクタを備え得る。コネクタは、外部回路に接続するために積層ガラスの縁の近くに位置し得る。不明瞭化バンドとして知られるセラミックインク層は、積層ガラスの縁領域に設けられ得、縁のまたはその近くの構成要素の視野を覆い隠し得る。
【0003】
欧州特許出願公開第1466877号明細書(Noguchi)は、熱可塑性樹脂フィルムで互いに結合された2枚のガラスシートを備える積層フロントガラスを開示する。透明導電性フィルムに給電するためのバスバーは、積層ガラスの外側から数えて3番目の表面に形成される。枠状のセラミックプリントは、表面2上にあり、バスバーと給電線に接続されたバスバーの給電部分とを覆う。
【0004】
米国特許第7520416号明細書(Crumbach)は、2枚のガラスシートとそれらの間に配置された中間層とを備える積層ガラスを開示する。不明瞭化バンドは、ガラスシートの表面が露出する切り欠きを有する表面4に不透明なコーティングを形成する、印刷されたセラミックインク層によって提供される。導電体は、基板ガラスが露出する切り欠き内に印刷される。はんだ接続は、表面4上に作成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より軽量かつ強度が改善された電気コネクタを備える積層ガラスを提供することである。別の目的は、グレージング材料の薄いプライの破損を回避することによって歩留りを向上させる、当該積層ガラスを製造する方法を提供することである。別の目的は、業界標準に準拠した窓に当該積層ガラスを使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明は、請求項1に記載の特徴を備える積層ガラスを提供する。
【0007】
本発明は、第1および第2のガラスシートおよび少なくともそれらの間に配置された中間層材料のプライと、中間層材料のプライ上に配置された導電性ストリップと、外部回路に接続するために第2のガラスシートの縁に配されたコネクタと、第2のガラスシートの前記中間層材料のプライに面していない表面上にあり、導電性ストリップを部分的に覆い隠す、セラミックインク層と、導電性ストリップがギャップ内においてコネクタと接触するように構成されたセラミックインク層内のギャップと、を備える、積層ガラスを提供する。
【0008】
本発明は、導電性ストリップがギャップ内でコネクタと接触するように構成されたコネクタとセラミックインク層内のギャップとを有する積層ガラスが、ギャップを有しない従来技術と比較して改善された強度を有するため、有利である。ギャップは、セラミックインク層のない領域である。
【0009】
発明者は、驚くべきことに、導電性ストリップがコネクタと接触するまたは重なり合うため、ガラスシート上のセラミックインク層内のギャップによって、ガラスシートの表面4の圧縮応力がガラスシートの表面4の引張応力よりも大きくなることを発見した。好ましくは、導電性ストリップは、コネクタに重なる。
【0010】
米国特許第7520416号明細書では、セラミックプリント内のギャップは開示されておらず、導電性ストリップ内に切り欠きが設けられ、はんだ層の目視検査のための観察窓が設けられる。
【0011】
導電性ストリップがギャップ内のコネクタと接触するようにセラミックインク層内のギャップを構成した結果、積層ガラスの強度が向上し、車両フロントガラスの温度サイクル試験に合格した。
【0012】
好ましい実施形態では、強度の向上は、より薄いガラスを使用可能にするのに十分であり、車両のフロントガラスとして使用するのに適した軽量の製品を提供する。車両部品の軽量化は、車両の燃費向上に有利である。
【0013】
好ましくは、第1のガラスシートまたは第2のガラスシートの厚さは、2mm以下であり、より好ましくは1.8mm以下、より好ましくは1.4mm以下、より好ましくは1.0mm以下、最も好ましくは0.7mm以下である。
【0014】
好ましくは、第1のガラスシートの厚さは、第2のガラスシートの厚さより大きい。
【0015】
好ましくは、外側ガラスシートの厚さは、1.8mmであり、内側ガラスシートの厚さは、1.4mmであり、より好ましくは、外側ガラスシートの厚さは、2.1mmであり、内側ガラスシートの厚さは、1.0mmである。
【0016】
好ましくは、第1および第2のガラスシートは、ソーダ石灰ガラスおよび/またはフロートガラスである。
【0017】
好ましくは、第2のガラスシートは、焼鈍され、より好ましくは、20~25MPaの表面応力を有するように半強化され、より好ましくは、40~55MPaの表面応力を有するように熱強化され、最も好ましくは、65~69MPaの表面応力を有するように完全に焼戻しされる。
【0018】
好ましくは、中間層材料のプライは、熱可塑性樹脂などのポリマーであり、より好ましくは、ポリビニルブチラール(PVB)である。好ましくは、中間層材料のプライの厚さは、0.76mm以下である。中間層材料のプライは、中間層材料の2つのプライ、例えば音響性能のために0.76mmおよび0.38mmの厚さを有する一対のPVBプライ、または1つのプライが赤外線反射(IRR)コーティングを有する0.38mmおよび0.38mmの厚さを有する一対のPVBプライ、を備え得る。または中間層材料のプライは、中間層材料の3つの層を備え得、中間層は、厚さ0.1mmを有し、太陽光制御性能のためのコーティングを有するポリエチレンテレフタレート(PET)を備え得る。
【0019】
好ましくは、ギャップは、第2のガラスシートの縁から第2のガラスシートの中心に向かって、好ましくは少なくとも22mm、より好ましくは少なくとも28mm、延在する。
【0020】
好ましくは、ギャップは、第2のガラスシートの縁と平行に、少なくとも32mm、より好ましくは少なくとも38mm、延在する。
【0021】
好ましくは、第2のセラミックインク層は、積層ガラスの表面2上にある。
【0022】
好ましくは、セラミックインク層は、フリットおよび顔料を含み、好ましくは、セラミックインク層は、透明ではなく、より好ましくは黒色または不透明である。
好ましくは、セラミックインク層は、印刷され、より好ましくは、スクリーン印刷される。
【0023】
好ましくは、導電性ストリップは、金属、好ましくはスズメッキ銅などの銅であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下の厚さを有する。
【0024】
好ましくは、コネクタは、導体と、導体を少なくとも部分的に覆う絶縁フィルムと、を備え、好ましくは、コネクタは、フラットケーブルであり、より好ましくは、導体は、導電性ストリップがコネクタと接触する場所に絶縁フィルムを有しない。
【0025】
好ましくは、コネクタは、100μm以下の導体厚さを有し、より好ましくは80μm以下の導体厚さを有する。
【0026】
好ましくは、コネクタは、50μm以下の絶縁フィルム厚さを有し、より好ましくは、30μm以下の絶縁フィルム厚さを有する。
【0027】
好ましくは、コネクタは、接着フィルムによって第2のガラスシートに結合され、好ましくは、接着フィルムの厚さは、130μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0028】
第2の態様では、本発明は、請求項13に記載のステップを含む積層ガラスを製造する方法を提供する。
【0029】
第1および第2のガラスシートを準備し、その間に中間層材料のプライを配置するステップと、中間層材料のプライの上または第2のガラスシートの上に導電性ストリップを配置するステップと、外部回路と接続するために、第2のガラスシートの縁にコネクタを配するステップと、セラミックインク層を第2のガラスシートの中間層材料のプライに面していない表面上に堆積させ、導電性ストリップを部分的に覆い隠すステップと、導電性ストリップが前記ギャップ内においてコネクタと接触するように、セラミックインク層内にギャップを構成するステップと、を含む、積層ガラスの製造方法を提供する。
【0030】
好ましくは、コネクタ5は、中間層材料のプライ3の上に配置される。
【0031】
好ましくは、導電性ストリップ4は、コネクタ5に重なるように構成される。
【0032】
一実施形態では、セラミックインク層は、事前焼成され得および/または第2のセラミックインク層は、事前焼成され得る。
【0033】
第3の態様では、本発明は、請求項15に記載の積層ガラスの使用を提供する。本発明は、建物の窓、街路備品、タッチスクリーン、白物家電のドアまたは陸、海、空の乗物の窓に使用され得る。好ましくは、本発明は、自動車の窓、すなわちフロントガラス、リアウィンドウ、サイドウィンドウまたはルーフウィンドウとして使用され得る。
【0034】
ここで、非限定的な図面、非限定的な実施例および比較例によって、本発明をさらに開示する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】セラミックインク層内にギャップを有する本発明の一実施形態の図である。
図2図1の一実施形態の断面図である。
図3】第2のセラミックインク層を有する本発明の一実施形態の図である。
図4図3の一実施形態の断面図である。
図5】導電性要素としてワイヤを有する本発明の一実施形態の図である。
図6図5の一実施形態の断面図である。
図7】導電性要素としてコーティングを有する本発明の一実施形態の図である。
図8図7の一実施形態の断面図である。
図9】コネクタの詳細を示す本発明の一実施形態である。
図10図9の一実施形態の断面図である。
図11図7の別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、中間層材料のプライ3によって共に結合された第1のガラスシート1と第2のガラスシート2とを備える、本発明による積層ガラス10を開示する。
【0037】
第1のガラスシート1の中間層材料のプライ3に面していない表面は、表面1(S1)である。第1のガラスシート1の中間層材料のプライ3に面する表面は、表面2(S2)である。第2のガラスシート2の中間層材料のプライ3に面する表面は、表面3(S3)である。第2のガラスシート2の中間層材料のプライ3に面していない表面は、表面4(S4)である。
【0038】
例えば、積層ガラス10は、第1のガラスシート1が外側ガラスシートであり、第2のガラスシート2が内側ガラスシートであり、表面S1、S2、S3、S4が外側から順に番号が振られる、窓である。
【0039】
導電性ストリップ4は、中間層材料のプライ3上に配置される。導電性ストリップ4の例は、電力を加熱要素に分配するためのバスバーまたはアンテナもしくはセンサー用の接続パッドを含む。2つの導電性ストリップ4は、加熱要素用の正および負のバスバーとして提供され得る。
【0040】
コネクタ5は、外部回路への接続のために第2のガラスシート2の端に配される。外部回路の例は、積層ガラス10を加熱するための電源、積層ガラス10の上のアンテナを介して信号を受信または送信するための増幅器を含む。2つのコネクタ5は、2つの導電性ストリップ4にそれぞれ接続する。
【0041】
セラミックインク層6は、第2のガラスシート2の中間層材料のプライ3に面していない表面S4上に堆積され、導電性ストリップ4を部分的に覆い隠す。セラミックインク層6は、端またはその近くの構成要素の視野を覆い隠すための不明瞭化バンドであり得る。
【0042】
セラミックインク層6内にギャップ7が設けられ、導電性ストリップ4がギャップ7内でコネクタ5と接触するかまたは重なるように構成される。ギャップ7は、任意の形状であり得る。例えば、(図示のような)長方形、三角形またはその他の多角形である。
【0043】
2つのコネクタ5は、同じギャップ7内に設けられ得る。例えば、積層ガラスのフロントガラスに2つのコネクタを並べて配置すると、車両の配線機の2つのケーブルを簡単に接続することが可能である。
【0044】
図2は、線A-Aにおける図1の積層ガラス10の断面図である。導電性ストリップ4は、中間層材料のプライ3上にあり、ギャップ7内でコネクタ5と重なる。
【0045】
図3は、図1と同様の本発明の実施形態であり、第2のセラミックインク層8をさらに備える。第2のセラミックインク層8は、積層ガラス10の第2の表面上に位置する。
【0046】
図4は、図3の実施形態の断面図である。第2のセラミックインク層8は、ギャップ7の視野を覆い隠す。
【0047】
図5は、図3と同様の本発明の実施形態であり、積層ガラスの下縁にある第1の導電性ストリップ4と積層ガラスの上縁にある第2の導電性ストリップ14との間に延在する加熱要素9をさらに備える。加熱要素9は、複数の加熱ワイヤを備える。第1および第2の導電性ストリップ4、14は、各々、2つの加熱ゾーン(積層ガラスの左、右)の独立した切り替えを可能にするために、2つの第1のコネクタ5および2つの第2のコネクタ15によってそれぞれ別々に供給される2つの部分を有する。セラミックインク層6内の第2のギャップ17は、第2の導電性ストリップ14が第2のコネクタ15と重なる領域に設けられる。
【0048】
図6は、図5の実施形態の断面図であり、より良好な電気接触のために加熱ワイヤが第1の導電性ストリップ4と第3の導電性ストリップ24との間に挟まれていることを示す。好ましくは、低融点はんだのストリップ(図示せず)は、積層プロセス中にはんだが溶融し、加熱ワイヤの周りを流れるように、第1の導電性ストリップおよび/または第3の導電性ストリップ4、24の長さに沿って構成される。第1の導電性ストリップ4は、コネクタ5が第2のガラスシート2の表面S3により近くなるように、中間層材料のプライ3上に位置し得る。
【0049】
図7は、図5と同様の本発明の実施形態であるが、加熱要素9は、透明な導電性コーティングであり、分離した加熱ゾーンを有しない。2つのコネクタ5が積層ガラスの下縁に並んで設けられ、透明導電性コーティング内の除去ライン11によって互いに電気的に絶縁される。導電性ストリップ4の1つは、積層ガラスの側縁および上縁に沿って構成された導電性ストリップ延長部12が設けられ、加熱要素9に電力を供給するための第2のバスバーを形成する。
【0050】
図8は、図7の実施形態の断面図であり、透明導電性コーティングの除去ライン11によって、側縁近くの加熱要素9の一部が永久に加熱されないことを示す。
【0051】
図9は、図7と同様の本発明の実施形態であり、ここで、コネクタ5は、絶縁フィルム52によって少なくとも部分的に絶縁され、防水バリアとして機能する接着フィルム53によって第2のガラスシート2に取り付けられる、導体51を備える、絶縁ケーブルの形態、例えばフラットケーブルの形態で、より詳細に開示される。絶縁フィルム52は、通常、導体51を挟む2つの層を備え、少なくとも1つの層は、2つの層を結合し、導体51の両側を封止するエポキシ接着剤を有する。エポキシ接着剤は、熱硬化され得る。
【0052】
図10は、線X-Xにおける図9の実施形態の断面図であり、コネクタ5が第2のガラスシート2の縁の周りに折り畳まれ得ることを示す。接着フィルム53は、ギャップ7内の表面4S4に取り付けられ得る。
【実施例
【0053】
表1に示す共通の特徴を有する本発明の4つの実施例および4つの比較例を作製した。
【0054】
【表1】
【0055】
4つの実施例の間の差異を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
導電性ストリップ4がコネクタ5と重なる領域にギャップ7、すなわちセラミックインク層6がない部分、を有する、4つの実施例について各々5つのサンプル、合計20のサンプルを製造した。20個のサンプルすべてに、業界標準の熱サイクル試験を実施した。20個のサンプルすべてが試験に合格した。
【0058】
4つの実施例のそれぞれについて、導電性ストリップ4がコネクタ5と重なる領域において、表面4S4上にセラミックインク層6を有する比較例を製造した。比較例の少なくとも50%が熱サイクル試験に不合格であった。
【符号の説明】
【0059】
1 第1のガラスシート
2 第2のガラスシート
3 中間層材料のプライ
4 導電性ストリップ
5 コネクタ
6 セラミックインク層
7 ギャップ
8 第2のセラミックインク層
9 加熱要素
10 積層ガラス
11 除去ライン
12 導電性ストリップ延長部
14 第2の導電性ストリップ
15 第2のコネクタ
17 第2のギャップ
24 第3の導電性ストリップ
31 第1の中間層材料のプライ
32 第2の中間層材料のプライ
33 第3の中間層材料のプライ
51 導体
52 絶縁フィルム
53 接着フィルム
S1 第1の表面
S2 第2の表面
S3 第3の表面
S4 第4の表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】