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特表2023-517061スキャナとして使用するためのデジタルカメラのキャリブレーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】スキャナとして使用するためのデジタルカメラのキャリブレーション
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230414BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20230414BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20230414BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20230414BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N21/78 A
G01N35/02 C
G01N35/04 F
G01N35/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553697
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2021054106
(87)【国際公開番号】W WO2021180442
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】102020106228.1
(32)【優先日】2020-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】516353216
【氏名又は名称】イムンディアグノスティック アー ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アルムブルスター,フランツ パウル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ベン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルツァー,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】クノラー,トルステン
【テーマコード(参考)】
2G043
2G054
2G058
【Fターム(参考)】
2G043EA01
2G054AA02
2G054AA07
2G054AB02
2G054AB04
2G054AB05
2G054CA20
2G054CA21
2G054CA30
2G054CD04
2G054CE02
2G054EA05
2G054EA06
2G054EB02
2G054FA02
2G054FA08
2G054FA12
2G054FA33
2G054FA42
2G054FA44
2G054GA03
2G054GB10
2G054GE06
2G054JA01
2G054JA02
2G054JA08
2G058CC09
2G058GA02
2G058GC02
2G058GC05
2G058GD02
2G058GD03
(57)【要約】
【課題】 イムノクロマトグラフィーによって検体中の分析物の存在を定量化する分析物テストシステム
【解決手段】イムノクロマトグラフィーによって検体中の分析物の存在を定量化する分析物テストシステムは、イムノクロマトグラフィーを備えたテストカセット(10)が描かれたカメラテストカードと、デジタルカメラ(16a)、光源(16b)及びプロセッサ(16c)からなる携帯型プロセッサ装置(16)とからなり、これらのソフトウェア及びハードウェア(16c)は、カメラ及び対象物の姿勢推定及びイムノクロマトグラフィー関心領域における光の測定を行うように構成されている。このシステムにより、カメラの自動キャリブレーションが可能となり、ポイントオブケア診断に使用するスキャナとして認証される。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノクロマトグラフィーに供される試験サンプル中の分析物の濃度を決定するためのコンピュータに実装されたシステムであって、該システムは、
イムノクロマトテストを収容するように適合され、テストサンプル中の分析物(T)の存在及び量を示す1つ以上の可視応答線(12)及びコントロール線(C)を有する関心領域(ROI)を表示するように構成されたテストカセット(10)と、
デジタルカメラ(16a)と、光源(16b)と、プロセッサ(16c)とを備え、前記プロセッサ(16c)は、前記カメラ(16a)により取り込まれたデジタル画像を処理し、分析結果を表すように構成されている、携帯型プロセッサ装置(16)と、を備え、
1つ以上のテストカセットと、
(i)カメラテストカードを特定するデータ、
(ii)カメラテストカード上の点と投影されたデジタル画像との対応を見つけるための3つ以上の基準マーカ、
(iii)イムノクロマトテストの可視応答線(12)に比較可能に印刷され、テスト(T)及びコントロール(C)のための2つ以上の応答線(12)を示す2つ以上の関心領域(ROI)と、
を描写するカメラテストカードを特徴とし、
前記プロセッサ(16c)は、少なくとも3つの基準マーカ(14)の存在及び対応関係について過渡デジタル画像のストリームを順次分析し、見つかった場合、カメラテストカードと前記携帯型プロセッサ装置(16)との間の位置、傾斜、回転アライメント、スキュー及び距離を推定するための新しい座標系を計算し、全体の姿勢、角度及び距離が許容範囲内で見つかった場合、
前記プロセッサ(16c)は、前記過渡デジタル画像について、関心領域及びその光の測定値、並びに最大光反射の領域について調べ、それらが関心領域(ROI)に近いか又はその中にあるかどうかを調べるように構成され、前記過渡デジタル画像上の干渉する光の反射を除外するために、前記光源から放射された光による最大光反射の領域が前記関心領域(ROI)の外に位置するように前記携帯型プロセッサ装置をオフセットし、それによって前記カメラテストカード上及び前記関心領域(ROI)内に最適化された光条件を提供するために前記携帯型プロセッサ装置の位置調整を行うステップと、を含み、前記プロセッサ(16c)は、一時的なデジタル画像上の関心領域内で最適化された光条件を提供するために、前記デジタルカメラの露出値(EV)を適応させるようにさらに構成され、
前記プロセッサ(16c)は、前記過渡デジタル画像上の関心領域(ROI)を走査して分析し、テスト(T)及びコントロール(C)の応答線の光学強度を決定し、それらの応答線の比率(C/T)を記録するように構成され、
前記プロセッサ(16c)は、テスト(T)及びコントロール(C)に対する他の異なる応答線の第2の強度比(C/T)を決定するために別の関心領域(ROI)のデジタル画像を撮影し、両方の比が許容範囲内にある場合、それぞれ、構成されているカメラテストカードに対して最適に配置された携帯型プロセッサ装置(16)に基づいて、与えられた異なる応答線(T)の光学強度の範囲が許容範囲内にある場合に、与えられた光学強度の範囲を満たすようにカメラパラメータを設定し、それによってデジタルカメラ及び光源をキャリブレーションするステップと、
前記プロセッサ(16)は、ポイントオブケア診断及び遠隔医療のためのイムノクロマト検査の走査及び評価のための医療機器に適したカメラ装置、光源及びソフトウェアを認証するように構成される、システム。
【請求項2】
前記カメラテストカードは、テスト(T)の応答線が最小値の光強度を有する関心領域(ROI)と、テスト(T)の応答線が高値の光強度を有する別の関心領域(ROI)と、光強度が等しい各関心領域のコントロール(C)の応答線とを描画していることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
任意の被検サンプルで、所定の光強度を有するコントロール(C)の均一な応答線を表示するように構成されたイムノクロマトテストに基づく、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサ(16c)は、遠隔医療のために分析データを医師に転送するように構成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサ(16c)は、前記デジタルカメラ、前記光源及び前記ソフトウェアの認証を、保存及び/又は定期的な更新のために中央装置に転送するように構成されている、請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサ(16c)は、前記中央装置または前記医師によって契機が生じた場合、証明書の更新を実施するための指示を受信するように構成されている、請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、保存された多数の過渡画像から応答線(T、C)の強度比(T/C)を決定し、応答線の光学強度の定量分析のために中央値比(T/C)を選択するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記関心領域(ROI)のデジタル画像は、前記イムノクロマトテストを収容するテストカセット上に存在する基準又はマーカとの関係で、任意の程度の誤差を補正する、請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
基準又はマーカ(14)が、ラテラルフローイムノクロマトグラフィー検査の特性データをコード化する又はアクセスを提供するデータの機械可読表現又はデータへのリンクを含む、請求項1乃至8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサ(16c)は、前記可視応答線(T,C)を有する関心領域の位置に関する外部データを採用するように構成されている、請求項1乃至9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
糞便カルプロテクチン、血清カルプロテクチン、血中または血清中のビタミンD、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、アルブミン、便潜血、グルテン免疫原性ペプチド、膀胱癌マーカー、結核菌、牛黄菌、アフリカ黄菌、ヘリコバクター・ピロリ、インフルエンザウイルスA・B、トロポニンI、白癬、フェリチン、Dダイマー、CRP、A群溶血性レンサ球菌、B群溶血性レンサ球菌、遺伝子組換え生物、穀物およびその製品、ひよこ豆およびその製品、ピーナッツおよびその製品、ヘーゼルナッツおよびその製品、マカダミアおよびその製品、マスタードおよびその製品、大豆およびその製品、ごまおよびその製品、クルミおよびその製品、ピスタチオおよびその製品、ルーピンおよびその製品、セロリおよびその製品、魚およびその製品、甲殻類およびその製品に含まれるアレルゲンが存在するか、濃度または量を測定する、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の検査システムと共に使用し、デジタルカメラ(16a)、光源(16b)及びプロセッサ(16c)を含む携帯電話(16)において、デジタル画像の撮影、データの機械可読表現の読み取り、遠隔サーバとのデータ及び画像データの交換、並びに情報、データ及び検査結果のディスプレイへの表示を支援する、ソフトウェア、であって、
前記ソフトウェアは、多数の過渡的なデジタル画像を順次処理し、デジタルカメラ(16a)の姿勢推定のための所定の基準画像(14)の存在について各デジタル画像を分析し、発見されて許容される場合、
前記ソフトウェアは、前記応答線からなる関心領域について各過渡デジタル画像を解析し、発見された場合に解析するように構成され、
前記ソフトウェアは、反射光の尺度について各関心領域を検査し、絶対輝度、輝度勾配、暗いピクセルの領域が許容可能であると判断された場合に、前記ソフトウェアは、前記各関心領域を分析し、
前記ソフトウェアは、前記関心領域のさらなる解析のために前記過渡的なデジタル画像の画像データを保存するように構成される、ソフトウェア。
【請求項13】
関心領域内の応答線(T、C)の光強度を決定するように構成され、さらに、イムノクロマトテストに供された被験者の定量結果を決定するためのキャリブレーションデータ及びその他の預託データを取得するように構成されている、
請求項12に記載のソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィー、特にラテラルフローイムノクロマトグラフィーに供されたテストサンプル中の分析物の存在と含有量を可視光線の使用により分析及び決定するシステム、方法及びソフトウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラテラルフローイムノクロマトグラフィーテストは、分析及び診断において広く使用されている(WO/2019/215199及び前記文献に引用されている文献を参照)。ラテラルフローテストの結果は、通常、表示ゾーン内の1つ以上の可視的な着色線の読み出しによって決定される。検出可能となる線の強度は、標識された分析物の固定化に起因し、テストサンプル中に存在する分析物の量に比例する。しかし、線の光学的強度は、線の幅だけでなく、分離材の多孔性、厚さ、種類、ランニングバッファーのpH、温度、サンプルの経時変化、光の条件、視力など多くの要因に依存するため、簡単に決定することはできない。このため、あらかじめ制御された光条件下でテスト反応線の光強度を読み取るための特殊なスキャナが開発されている。一方、パーソナルデジタルデバイスやスマートフォンはこの目的に使用し得、ポイントオブケア診断や遠隔医療にさらなる利点をもたらすと思われる。しかし、カメラの画質や光源(懐中電灯、スマートフォンのトーチ)に多面的なばらつきがあるため、その用途は限定される。一般的なアッセイストリップフォーマットは、迅速な結果を提供し、操作が簡単で、費用対効果が高いが、応答線の光学強度を決定するために、高価なキャリブレーションスキャナーとハウジング装置が依然として用いられている(CN1455242A、WO2005/066624A1、EP 2 927 688 A1、EP 2 835 643 A1、EP 1 605 249 B1、US200211345を参照)。
【0003】
US 9,350,956 B2 は、薬物検査結果を即座に取得するための携帯電話の使用について述べている。WO2010/118124は、画像データをリモートサーバに送信して分析する皮膚及び毛髪サンプルの分析システムについて述べている。US 8,935,007 B2、EP 2 839 264 B1、EP 2 839 280 B1は、ラテラルフロークロマトグラフィーテストカセット、デジタルカメラ付きスマートフォン、デジタル画像の解釈用ソフトウェアに基づくポイントオブケア診断のためのシステムを開示している。EP 2 646 809 B1及びEP 3 470 825 A1は、撮像された検査装置の回転ずれまたはスキューに関連する誤差の程度が所定の値より大きい場合に、カメラソフトウェアがデジタル画像を拒否するように構成されたシステムを教示している。US 9,390,237 B1(マイクロラボデバイス社)及びEP 2 923 335 B1は、テストカセットに関連する位置情報に基づいて、記録画像のコンピュータ実装による透視変換を行う携帯型カメラシステムを教示するものである。US 9,410,827 B2及びUS 9,989,952 B2は、テストカセットのデジタル画像の取り込みが、テストカセットに印刷されたキャリブレーションデータの取り込みも含むシステムを請求している。前記キャリブレーションデータは、二次元バーコードに符号化され、分析に使用できるイムノクロマトアッセイのキャリブレーション情報を直接提供する。
【0004】
EU規則2017/745の第2条では、「医療機器」として、疾病、負傷または障害の診断、予防、監視、予測、予後、治療または緩和のために人間に使用することを意図した機器、装置、ソフトウェア、試薬または物品が定義されている。これは、人体に由来する検体の体外検査のためのシステム及び手段にも適用される。つまり、ポイントオブケア検査システムの各要素は、欧州経済地域(EEA)において認証((CE)マーク)を必要とする。したがって、ポイントオブケア診断に使用される民生機器やアプリケーションの一つひとつをチェックし、キャリブレーション、記録、認証する必要がある。一方、スマートフォンのカメラやその光源(フラッシュライト、スマートフォンのトーチ)は、指先でのタッピングや一般的な汚染によりすぐに機能しなくなり、携帯電話やそのデジタルカメラ機器は多くの異なるブランドや版のため、デジタル画像や結果が改ざんされる危険性が非常に高くなる。診断システム全体は、携帯電話、カメラ装置、カメラソフトウェア、キャリブレーションされたラテラルフローイムノアッセイの共同セットと考える必要がある。このようなシステムは、動物用診断薬だけでなく、食品管理、環境分析、その他の技術分野でも使用される可能性がある。フロースルー型イムノクロマトテストは、標準的な手順で製造し、認証を受けることができる。全く同じテストのデジタル画像をデジタルカメラで作成し、さらに正確な定量結果を得るために処理及びスキャンする場合、カメラ装置が異なるため、システム全体及び各構成要素をキャリブレーション、記録及び承認する必要がある。そのため、現状では問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記目的は、請求項1に記載のコンピュータに実装されたテストシステムによって達成される。他の態様は、請求項1に記載のテストシステムと共に使用するためのカメラテストカードに関する。好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、イムノクロマトグラフィーに供されるテストサンプル中の被分析物の濃度を決定するためのコンピュータ実装システムを提供し、該システムは以下を備える。(i)イムノクロマトグラフィーテストを収容するように適合され、前記テストサンプル中の分析物(T)の存在及び量を示す1つ以上の可視応答線及びコントロール線(C)を有する関心領域(ROI)を表示するように構成されたテストカセット、及び(ii)デジタルカメラ、光源及びプロセッサからなり、前記プロセッサが前記カメラ(16a)により取り込んだデジタル画像を処理し分析結果を表示するよう構成された携帯型プロセッサ装置。このシステムは、本発明によれば、1つ以上のテストカセットを示すカメラテストカードと、(a)カメラテストカードを識別するデータと、(b)カメラテストカード上の点とその投影デジタル画像との対応関係を見つけることを可能にする1つ以上の基準マーカーと、(c)テスト(T)及びコントロール(C)に対する1つ以上の応答線を示す、イムノクロマトテストの可視応答線に比較可能に印刷した1つ以上の関心領域(ROI)とを含み、ここで、(d)前記プロセッサが、いくつかの基準マーカーの存在及び対応について過渡デジタル画像のストリームを順次分析するように構成され、いくつかの基準マーカーが見つかった場合には、(e)カメラテストカードと前記プロセッサ装置との間の位置、傾斜、回転アライメント、スキュー及び距離を推定するために新しい座標系を計算し、全体の姿勢、角度及び距離が許容範囲内に見つかった場合には、(f)前記プロセッサが、関心領域及びその光の測定値について前記過渡デジタル画像に調べるように構成されている。そして、最大光反射領域を調べ、それらが関心領域(ROI)に近いか又は領域内にある場合、過渡デジタル画像上の干渉する光反射を除くために、光源から放射された光による最大光反射領域が関心領域(ROI)の外に位置するように、携帯型プロセッサ装置をオフセットし、それにより、カメラテキストカード上及び関心領域(ROI)内に最適化した光条件を与えるために携帯型プロセッサ装置の位置調整を行い、(g)前記プロセッサは、前記過渡的なデジタル画像上の関心領域内で最適化された光条件を提供するために、前記デジタルカメラの露出値(EV)を適合させるようにさらに構成され、(h)前記プロセッサは、前記一時的なデジタル画像上の関心領域(ROI)を走査して分析し、テスト(T)及びコントロール(C)の応答線の光学強度を決定し、それらの応答線の比率(C/T)を記録するように構成され、(i)前記プロセッサは、テスト(T)及びコントロール(C)用の他の異なる応答線の第2の強度比(C/T)を決定するために、別の関心領域(ROI)のデジタル画像を撮影し、両方の比がそれぞれ許容範囲内にある場合、与えられた異なる応答線(T)用の光学強度の所定の範囲を満たすようにカメラパラメータをセットするように構成される。それによって、カメラテストカードに対して最適に配置された携帯型プロセッサ装置に基づいてデジタルカメラ及び光源をキャリブレーションし、与えられた応答線の光学的強度の範囲が許容範囲内にある場合、(k)前記プロセッサは、ポイントオブケア診断及び遠隔医療用のイムノクロマトグラフテストを走査及び評価する医療機器に適したカメラ装置、光源及びソフトウェアを認証するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、カメラテストカードは、好ましくは、テスト(T)のための応答線が最小値の光強度を有する関心領域(ROI)と、テスト(T)のための応答線が高い値の光強度を有する別の関心領域(ROI)と、同じ光強度のそれぞれの関心領域におけるコントロール(C)に対する応答線とを示している。
【0008】
いくつかの実施形態では、システムは、任意のテストサンプルで、所定の光学強度を有するコントロール(C)の均一な応答線を表示するように構成されているイムノクロマトグラフィーテストに基づく。
【0009】
いくつかの好ましい実施形態では、システムは、遠隔医療のために分析データを医師に転送するように構成されたプロセッサを含んでいる。プロセッサはまた、デジタルカメラ、光源及びソフトウェアの証明書を、保管及び/又は定期的な更新のために中央装置に転送するように構成されてもよい。中央装置または医師によって行われる場合、プロセッサは証明書の更新を行うための指示を受信するように構成されていることが最も好ましい。
【0010】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、保存された多数の過渡画像から応答線(T、C)の強度比(T/C)を決定し、応答線の光学強度の定量分析のために中央値比(T/C)を選択するように構成されてもよい。これにより、任意の誤差からシステムを保護することができる。また、プロセッサが、イムノクロマトグラフィーテストを収容するテストカセット上に存在する基準又はマーカーに関連する任意の程度の誤差に対して関心領域(ROI)を補正するように構成されている場合にも言及される。いくつかの実施形態では、基準又はマーカーは、データの機械可読表現、又はラテラルフローイムノクロマトグラフィーテストの特性データへのアクセスを提供するデータソースへのリンクを含むことができる。
【0011】
いくつかの他の実施形態では、プロセッサは、可視応答線(T、C)を有する関心領域の位置に関する外部データを使用するように構成されてもよい。
【0012】
本システムの中核をなすイムノクロマトグラフィーテストは、サンプル中に、糞便カルプロテクチン、血清カルプロテクチン、血中または血清中のビタミンD、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、アルブミン、便潜血、グルテン免疫原性ペプチド、膀胱癌マーカー、結核菌、牛黄菌、アフリカ黄菌、ヘリコバクター・ピロリ、インフルエンザウイルスA・B、トロポニンI、白癬、フェリチン、Dダイマー、CRP、A群溶血性レンサ球菌、B群溶血性レンサ球菌、遺伝子組換え生物、穀物およびその製品、ひよこ豆およびその製品、ピーナッツおよびその製品、ヘーゼルナッツおよびその製品、マカダミアおよびその製品、マスタードおよびその製品、大豆およびその製品、ごまおよびその製品、クルミおよびその製品、ピスタチオおよびその製品、ルーピンおよびその製品、セロリおよびその製品、魚およびその製品、甲殻類およびその製品に含まれるアレルゲンが存在するか、濃度または量を測定するためのものであっても良い。
【0013】
本開示の他の態様は、デジタルカメラ、光源、及びプロセッサを備える携帯電話として説明されるテストシステムと共に使用するためのソフトウェアであり、このソフトウェアは、デジタル画像の撮影、データの機械可読表現の読み取り、リモートサーバとのデータ及び画像データの交換、並びにディスプレイ上での情報、データ及びテスト結果の表示をサポートする。開示されたソフトウェアは、複数の過渡デジタル画像を順次処理し、デジタルカメラの姿勢推定のための所定の基準画像の存在について、各デジタル画像を分析し、発見され、かつ、許容可能であれば、前記ソフトウェアは、応答線からなる関心領域について各過渡デジタル画像を分析し、発見できれば、前記ソフトウェアは、反射光の尺度、ならびに最大輝度の領域について各関心領域を調べ、絶対輝度、明るさ勾配、暗い画素の領域が検出されれば許容可能となるように設定されても良い。前記ソフトウェアは、関心領域のさらなる分析のために、前記一時的なデジタル画像の画像データを保存するように構成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、関心領域内の応答線(T、C)の光学強度を決定し、イムノクロマトグラフィーテストに供されたテストサンプルの定量的結果を決定するためのキャリブレーションデータ及び他の寄託データを取得するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
提供される開示は、ポイントオブケア診断及び遠隔医療のためのシステムにおいて、例えばイムノクロマト検査のスキャナとして使用する場合に、携帯電話を組み込むことを可能にするので、有利である。本開示は、複数の異なるテスト、分析物及びテストサンプル及びマトリックスに適合させることができるスマートフォンを用いたシステムを提供する。イムノクロマトグラフィーテストシステムは、もはや応答線の目視評価も特別な装置(ホルダー、三脚、ランプ、距離手段など)も必要とせず、任意のテストサンプルを用いていつでもどこでも行うことができる。携帯電話のカメラの位置や距離、光の測定値(輝度や輝度勾配)が自動的に調整され、専門家でなくても、より正確な定量結果を得ることができる。
【0016】
本発明は、その利点、好ましい実施形態及び実施例に関して説明されるが、これらに限定的されるものではない。本発明の範囲は、一連の特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】イムノクロマトグラフィーテストカセットの上面図であり、データマトリックス、バーコード、サンプル塗布パッド(S)、コントロールと分析対象物の反応線がある関心領域(C-コントロール、T-分析対象物)が示されている。図1A:対象分析対象物の陰性結果。
図1B】イムノクロマトグラフィーテストカセットの上面図であり、データマトリックス、バーコード、サンプル塗布パッド(S)、コントロールと分析対象物の反応線がある関心領域(C-コントロール、T-分析対象物)が示されている。図1B:対象分析対象物の陽性結果。
図2】携帯電話(カメラとフラッシュライト付きのスマートフォン)により、テスト結果を有するイムノクロマトグラフィーテストカセットを撮影している様子を透視したものである。
図3-1】光源(フラッシュライト、カメラトーチ)を用いたカメラ装置のキャリブレーション及び認証の処理手順を示すフローチャートである。
図3-2】光源(フラッシュライト、カメラトーチ)を用いたカメラ装置のキャリブレーション及び認証の処理手順を示すフローチャートである。
図4A】ArUcoマーカーを表示したカメラテストカードのコピーと、関心領域(ビューポート)を表示した2つのテストカセットの表示を示す。左のテストカセットは、テスト分析物(T)に対する非常に淡い応答線(印刷コピーでは見えない)及びコントロール(C)に対する標準化応答線を表示した関心領域を有し、右のテストカセットは、所定の陽性応答線(T)及びコントロールに対する標準化応答線(C)、コントロールに対する応答線は両方とも(左、右)所定の同一光学強度を有している。
図4B】携帯電話の自動露出値(時間、シャッター)を使用して実際の光条件下で撮影された印刷されたカメラテストカードの写真を示す。写真はカメラのフラッシュライト/トーチを使用して撮影されている。印刷されたカメラテストカードには、様々なArUcoマーカーと、異なる関心領域(ビューポート)を持つ2つのテストカセットが印刷されている。左側の関心領域にはテスト(T)の微弱な陽性反応線とコントロール(C)の標準的な反応線、右側の関心領域にはテスト(T)の完全に陽性反応線、コントロール(C)の反応線は両方の関心領域で同一の光学強度を有していることが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
このシステムは、カメラテストカードの投影された過渡デジタル画像を分析し、補正が不可能なデータを排除し、既知の一次データの事前に定義された画像と比較することができるという利点を提供するものである。このように、カメラテストカードは、カメラシステム、ライトまたはトーチシステム、露光システム、及び投影画像のスキャナソフトウェアからなるシステムの多次元キャリブレーションを可能にする。このため、過渡的な画像データはカメラテストカードで分析、調整、キャリブレーションされ、このステップは任意のスマートフォンやタブレットで行うことができる。さらに、過渡的なデジタル画像は、関心領域のみ、例えば、可視応答線と被検体(分析物)の信号を含む領域に対して優先的にキャリブレーションされるので、画像データは従来の50~100分の1に削減される。これらのシステムでは、まずテストカセットの「きれいな画像」(良好なアライメント、コントラスト、色)を選択し補正するが、その際、可視応答線の光学強度を評価する前に補正できない画像データを記録することは避けられない。これらは、テストサンプル中の分析物の含有量にのみ対応する。関心領域内の過渡画像と補正が不可能な画像データに優先順位を付けることにより、関心領域はデジタル画像全体のごく一部に過ぎないため、データの削減が可能になる。その結果、内蔵メモリや処理能力が限られたスマートフォンでも、複数の過渡画像を処理することが可能になる。さらに、スマホやタブレット市場向けに毎年20億台製造されているカメラのうち、半数以上がオートフォーカスを搭載している。カメラ内の1つまたは複数のレンズを、微小電気機械アクチュエーターを使って内外に出し入れし、そのレンズの位置に対する画像の鮮明度をアルゴリズムで計算する。そのため、内蔵された様々なオートフォーカスアルゴリズムは、透視変換やシャープネスやコントラストの補正のための後処理アルゴリズムを持つアプリケーションと相反する働きをする可能性がある。本願で説明するシステム及び方法は、過渡的な画像データの量を減少させ、したがって、関心領域内の光の測定値を即座に評価することを可能にする。関心領域内の光の測定値は、応答線に捕捉された被分析物の量に直接関連するため、アルゴリズムによってその後補正することができない一次光学データである。関心領域の過渡的な画像のシーケンスが分析されるとき、反射光の測定値が悪い画像は捨てられるので、不安定な決定の危険性を低くすることができる。言い換えれば、この方法は、関心領域のビデオストリームを分析し、例外的な特性を示さない光の測定値についてそれらの画像のみを分析するものである。これは、カメラの特性を利用するだけでなく、解析された過渡的な画像のデータを削減することによってのみ可能である。
【0019】
このステップではさらに、投影されたデジタル画像に基づいて、保持されたカメラデバイスの正確な姿勢を推定する必要がある。これは、カメラテストカード上に複数のArUcoマーカーや基準マーカーを設置することで実現できる。携帯電話上の集束した単一の光源は、対象物上で干渉反射を引き起こし、応答線の関心領域で非均質な照明を引き起こす可能性があるため、これは、必要とされる照明と露光システムの最適化のための最初のステップでもある。そのため、システムプロセッサは、投影画像上の最大輝度の領域(以下、ホットスポットとも呼ぶ)を追加で検索し、ホットスポットの1つが関心領域の近くにあるか、または関心領域内にある場合、最大輝度の領域が最終的に関心領域のかなり外側になるように、実際のテストカセットを対象とするフレームを構成する携帯型カメラの後方画像を動かし、それによって関心領域の均一な照明を達成する。次に、携帯型プロセッサ装置の最適位置は、テストカセット上の1つ以上の基準画像(例えば、QRコード、バーコード、標識又は文字)及び関心領域(ROI)に関して記録され、本明細書では、ディスプレイ又はビューポートとしても説明される。関心領域またはディスプレイは、テストサンプル中の分析物(T)の存在及び含有量を示す帯または線などの1つまたは複数の可視ゾーンとコントロールゾーン(C)を含む。本システムは、携帯電話などの携帯型プロセッサ装置、デジタルカメラ、及び光源を機能的に組み合わせて構成されている。前記プロセッサ装置は、前記カメラによって撮影されたデジタル画像を処理し、分析結果を表示するように構成されている。前記プロセッサは、さらに、1つ以上の基準画像の存在について複数の過渡的なデジタル画像を順次分析し、発見されて正しい場合、前記デジタルカメラと前記光源の姿勢推定を行い、許容される距離と位置の範囲内であれば、前記デジタルカメラと前記光源の姿勢推定を行うように構成されている。前記プロセッサは、関心領域(ROI)及びその光の尺度について各過渡デジタル画像を分析し、さらに、ホットスポット(投影デジタル画像上の最大輝度の領域)が近いか関心領域内にあるかを検索し、この場合、関心領域の均一な照明を得るために、実際のホットスポットが関心領域のかなり外に位置するように、テストカセットのフレーム及び/又は関心領域で眼球画像を移動するよう構成され、さらに、眼球画像と関心領域の間の距離を測定する。その後、投影されたデジタル画像上の関心領域の露出値は、関心領域の照明が最良の結果をもたらすまで、徐々に下げられる。最良の結果は、投影された過渡デジタル画像上のテスト(T)とコントロール(C)の応答線の光強度の比が、カメラテストカード上のテスト(T)とコントロール(C)の光強度の所定のピント比に一致する走査で得られる。この手順は、カメラテストカード上の両方の模擬関心領域について繰り返され、一方はテスト(T)用の最も淡い応答線を有し、他方はテスト(T)用の所定の規則的な光学強度を有する。その結果、強度比(Tfaint/Ccontrol)は測定範囲の光学的底値を表し、強度比(Tregular/Ccontrol)はスキャニングの測定範囲の2点キャリブレーションを提供する。システムが光学的底値を検出しない場合、カメラまたは照明は、本発明のイムノクロマトグラフィーテストのスキャニングに適していない。システムに障害が発生し、ポイントオブケア診断で使用するための認証が得られない。カメラテストカードで測定した強度比が許容範囲内にない場合、システムをキャリブレーションすることができず、不合格となる。カメラテストカードは、コントロール用の応答線をどのようなテストサンプルでも均一にすることができるため、実際のイムノクロマトテストのキャリブレーションに使用することができる。言い換えれば、コントロール線は、イムノクロマトテストが正しく行われたかどうかのチェックに使用され、テスト用応答線(Tfaint及びTregular)の光強度の固有の基準として使用される。
【0020】
デジタル画像を撮影する場合、カメラのレンズと内部光源(フラッシュ)は、テストデバイスから許容される距離内になければならない。カメラは、対象物に近すぎず、遠すぎない位置にある必要がある。距離が短い場合、フラッシュは対象物を過剰に露光し、テストストリップ上の濡れた部分が非常に反射しやすくなるため、関心領域の分析ができなくなる可能性がある。カメラレンズとフラッシュが対象物から遠すぎる場合、関心領域は十分に照明されず、最も重要なことは、関心領域が小さすぎて分析できないことである。適切に照明されたオブジェクトを得るため、またテスト線とコントロール線(T、C)の光強度を決定するための適切なサイズの関心領域を得るためには、カメラのあらかじめ定義された許容距離と姿勢が必要である。距離と姿勢の推定に問題がなければ、テストデバイス上の基準標識までの距離によって、関心領域を容易に特定することができる。ホットスポットとその光の測定のための過渡的なデジタル画像の解析は、上述したとおりであり、その後、関心領域のみに限定することができる。
【0021】
プロセッサは、ホットスポットを検索し、絶対輝度、輝度勾配、影及び暗い画素の領域、並びにそれらの組み合わせに関して、関心領域から反射された光の尺度を決定するように構成される。テスト及びコントロール(T、C)のための光強度が承認された画像データの複数又はセットから決定され得るように、プロセッサが関心領域の複数の承認された過渡画像データを検索し保存するように構成されることが機能的に重要である。後者は、記録された画像データの信頼性と品質を大きく向上させる。好ましい実施形態において、保存されたデジタル画像は、テスト及びコントロールのための光学的強度(T、C)の決定の前に、任意の回転ずれ又はスキューに関連する任意の程度の誤差についてさらに補正される。これは、例えば、それらが平行でなければならないので、応答線に基づいて行うことができる。
【0022】
分析物ラテラルフローテストは、好ましい実施形態では、テストサンプル中の分析物の存在及び含有量とは独立して、コントロール(C)のための定義された反応線を達成するために、所定量のコントロールを用いる。コントロールは、例えば、分析物を認識せず、反応しないが、コントロール線で結合するIgGや鶏IgYであってもよい。従って、コントロール線の強度は変化せず、その強度はテストサンプル中の被分析物の量に依存しない。一方、サンプル中に比較的多量の被分析物質が含まれている場合には、ばらつきが生じる。分析物は免疫反応性パートナーによって結合されるため、コントロールゾーンで結合されるために利用できる未結合の免疫反応性パートナーは少なくなる。そうすると、コントロールゾーンの強度が弱くなる。このようなことは、所定量のコントロールが添加された場合には起こらない。
【0023】
最も好ましい実施形態では、プロセッサは、保存された多数の画像からゾーン(T、C)の強度比(T/C)を決定し、テストサンプル中の分析物の定量的決定のために中央値比(T/C)を選択するように構成される。
【0024】
分析物テストシステムが、データの機械読み取り可能な表現(QRコード又はバーコード)を有する基準画像を有するテストデバイスからなる場合、そのようなコードは、例えばインターネットを介して又は直接電話回線によって、サーバ上の免疫クロマトグラフィーテストの特性データを符号化するか又はアクセスを提供してもよく、それは、決定した中央強度比(T/C)とテストサンプル中の分析物の定量決定とを相関させるために使用することができる。好ましい実施形態では、システムは、したがって、データ及び画像データをリモートサーバと交換するように構成される。
【0025】
分析物テストシステムは、関心領域内の可視ゾーン(T、C)の位置を特定するために、表示された基準画像の鮮明度及びコントラストに関するデータ又は表示された基準画像の位置に関するデータを採用するように構成されたプロセッサを更に含んでもよい。
【0026】
ラテラルフロークロマトグラフィーによって分析物の存在を評価するための分析物テストシステムは、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップを収容するように適合されたテストカセットから構成されている。ストリップは、使用後に、テストサンプル及びコントロール中の分析物の存在を示す1つ以上の可視線又は帯又は応答ゾーンを表示する。テストカセットは、バーコードやQRコードなどの1つ以上の基準画像、及び/又は標識や文字を表示することができる。スマートフォンは、デジタルカメラ、フラッシュ、及びプロセッサから構成される必要がある。プロセッサは、前記テストカセット、前記1つ以上の基準画像、及び前記サンプル及び前記コントロールに存在する分析物についての可視線、ゾーン又は帯の捕捉画像データを処理するように構成されている。前記プロセッサは、前記デジタルカメラと前記基準画像との間の距離を評価するために、1つ又は複数の基準画像について最初に画像データを分析し、前記距離が所定の範囲内であれば、その後、前記プロセッサは、関心領域及び/又は可視コントロールの信号について前記画像データを分析し、見つかった場合は、前記クロマトグラフィーストリップ(関心領域)からの反射光の特性について前記画像データを分析するよう構成されていることを特徴とする。そして、前記プロセッサは、前記クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性に関する任意の値の評価が所定の範囲外である場合、任意の画像データを拒絶するように構成されており、これにより、捕捉された画像データのみが、クロマトグラフィーストリップから反射された光の測定に関して良好かつ有効であると事前に検査された分析物の定量分析のために取り出され保存されることを特徴とする。クロマトグラフィーストリップは、関心領域に相当する。
【0027】
前記プロセッサは、輝度勾配、絶対輝度、影、鮮明度、吸光度、透過率、コントラスト及びそれらの組み合わせに関して反射光の特性を分析するように構成されてもよい。有効な画像データの複数のセットは、プロセッサデバイスによって取得及び保存され、分析物に対する信号を評価及び定量化するために画像データの1セットを選択するために処理されてもよい。より正確には、前記モバイルプロセッサ装置は、中央値に従って1つのセットを選択できるように、好ましくは1~13セット、より好ましくは3~11セット、最も好ましくは5~9セットの、承認済み画像データの不均一な数のセットを補足して取り出すように構成されてもよい。次いで、その関心領域は、テストサンプル中の被分析物の存在を評価し、定量化するために使用することができる。もちろん、プロセッサは、可視ゾーンの光学強度について承認された各過渡画像を分析し、Tゾーン及びCゾーンの中央値を得てもよい。
【0028】
他の実施形態では、基準画像は、印刷された形状、ロゴ、バーコード、QRコード、可視距離線及びドット、カセットの境界、ハウジング上の形状及びデザイン、クロマトグラフィーストリップ、制御線、ケーシング上の形状及びデザインから1以上選択されてもよい。基準画像は、キャリブレーション情報、テストのバッチ番号及び/又は有効期限、又はラテラルフローテストに関する全ての技術データ及びキャリブレーション情報を含むウェブサイトにアクセスするために必要なデータマトリックス(1又は複数のバーコード又はQRコード)であってよい。スマートフォンは、遠隔処理装置又はサーバとデータを送受信することが可能であってもよい。
【0029】
一実施形態では、前記プロセッサは、テストカセット上の関心領域から受光した光の特性に関して誤差値範囲を決定するように構成されてもよく、誤差値範囲は、捕捉された画像データをテストカセットから反射した光の予め定められた特性と比較することによって決定される。
【0030】
別の実施形態では、前記プロセッサは、取得された画像領域(関心領域)内の1つ以上の画素値を加算し、コントロール及びテストサンプルの信号の位置を特定するように構成されてもよい。前記プロセッサは、取得された画像領域(関心領域)内でピーク検索を行うように構成されてもよく、前記プロセッサは、ピーク高さ又はピーク面積を計算することによって、コントロール及びテストサンプルについての信号の強度を定量化し、テストサンプル中の分析物の濃度を決定するように適合されている。前記モバイルプロセッサ装置は、モバイル処理装置によって捕捉された画像データを比較するために、ケーシング又はテストカセット又はその両方に印刷された異なる割合の対照的な色又は項目を採用するように構成されてもよい。最も好ましいのは、可視ゾーン(T、C)の光学強度をさらに分析し定量化するために、RGBデータをグレースケールに変換することである。
【0031】
別の実施形態では、分析物検査システムは、糞便カルプロテクチン、血清カルプロテクチン、血中または血清中のビタミンD、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、アルブミン、便潜血、グルテン免疫原性ペプチド、膀胱癌マーカー、結核菌、牛黄菌、アフリカ黄菌、ヘリコバクター・ピロリ、インフルエンザウイルスA・B、トロポニンI、白癬、フェリチン、Dダイマー、CRP、A群溶血性レンサ球菌、B群溶血性レンサ球菌、遺伝子組換え生物、穀物およびその製品、ひよこ豆およびその製品、ピーナッツおよびその製品、ヘーゼルナッツおよびその製品、マカダミアおよびその製品、マスタードおよびその製品、大豆およびその製品、ごまおよびその製品、クルミおよびその製品、ピスタチオおよびその製品、ルーピンおよびその製品、セロリおよびその製品、魚およびその製品、甲殻類およびその製品に含まれるアレルゲンの測定に適合させることができる。
【0032】
本開示の別の態様は、ラテラルフロークロマトグラフィーによってテストサンプル中の分析物の存在及び含有量を評価及び定量化するための、デジタルカメラ、光源及びプロセッサを備えたモバイルプロセッサ装置で使用するためのソフトウェアに関するものである。前記ソフトウェアは、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップを収容し、テストサンプル中の被分析物の存在について1つ以上の可視信号を表示するとともに、コントロールのために、このテストカセットは1つ以上の基準画像も表示するように適合されたテストカセットを撮像する手段を含んでよく、前記ソフトウェアは、前記カメラによって撮像した画像を処理して前記テストカセットの画像データを取得するように構成されていることを特徴としている。前記ソフトウェアは、前記1つ以上の基準画像と、前記サンプル中に存在する分析物及び前記コントロールのための可視信号とを取得し、前記ソフトウェアは、前記デジタルカメラと前記基準画像との間の距離を評価するために1つ以上の基準画像について最初に前記画像データを分析するように構成され、所定の範囲内にある場合、前記ソフトウェアは、可視コントロールの信号について前記画像データを分析するように構成され、見つかった場合、前記ソフトウェアは、前記クロマトグラフィーストリップから反射される光の特性について前記画像データを分析するように構成され、前記ソフトウェアが、前記クロマトグラフィーストリップから反射される光の性質に関連する任意の値の評価が所定の範囲外である場合に任意の画像を拒絶するように構成され、これにより、捕捉された画像データのみが分析物の存在の定量分析のために取り出され、その画像データは、前記クロマトグラフィーストリップから反射される光の性質に関して良好かつ有効であると事前に検査されたものである。前記ソフトウェアは、輝度勾配、絶対輝度、影、鮮明度、吸光度、コントラスト及びそれらの組み合わせに関して反射光の特性を分析するように構成されてもよい。
【0033】
好ましい実施形態は、デジタルカメラ、光源、及びプロセッサを備える携帯電話で使用するためのソフトウェアであって、このソフトウェアは、デジタル画像の撮影、データの機械可読表現の読み取り、リモートサーバとのデータ及び画像データの交換、並びにディスプレイ上での情報、データ及びテスト結果の表現をサポートするソフトウェアに関する。前記ソフトウェアが、多数の過渡的なデジタル画像を順次処理し、機械可読データを有する基準画像の存在について各デジタル画像を分析し、前記基準画像とデジタルカメラ(16a)との間の距離を決定し、発見されて許容可能であれば、前記ソフトウェアが、関心領域について各過渡デジタル画像を分析し、発見されれば、反射光の尺度について関心領域をそれぞれ調べ、絶対輝度、明るさの勾配、暗い画素の領域が許容可能と認められる場合に、前記ソフトウェアは、前記関心領域のさらなる解析のために前記過渡デジタル画像の画像データを保存するように構成される。
【0034】
ソフトウェアは、好ましくは、関心領域内の可視ゾーン(T、C)の位置及び光学強度を決定するように構成される。ラテラルフロークロマトグラフィーに供されるテストサンプルの定量結果を決定するためのキャリブレーションデータ及び他の預託データを取得するように更に構成されてもよい。
【0035】
分析物の正確な定量のための視覚信号の評価には、まずラテラルフロークロマトグラフィーテストとカメラとの間の距離(携帯型光学装置で行う場合)の決定、次に画像化されたクロマトグラフィー及び/またはテストカセットの光条件の決定が必要である。画像自体は、必要に応じて、例えば、あらゆる回転のずれや傾き、画像の安定化、光の温度やあらゆる色調のデータに関して、前もって補正することができる。画像のヒストグラムでさえも後処理が可能である。ゾーンの定量的な評価という点では、影を自動的に取り除くことができない関心領域に影がある場合は、ヒストグラムや階調データは、あまり役に立たない。したがって、テストとコントロールのためのゾーンの合理的な評価と定量的な評価の前に、関心領域(クロマトグラフィーストリップ上)の光の主要な測定が均一かつ良好でなければならない。これは、関心領域、例えば着色されたバンドまたはゾーンを有する領域における光の反射の測定に基づいて適用条件を事前に確立することによって達成することができる。
【0036】
ソフトウェアは、(過渡)画像が十分な明るさを持ち、距離が許容範囲内であると判断すると、過渡画像が生成後及びゾーンの定量評価のために取得され、保存される。受け入れられた画像データをテストサンプル中の分析物の濃度データに変換するには、バッチまたはロット固有のキャリブレーションデータを使用することができる。評価結果は、携帯型カメラ装置の画面上に保存及び/又は適切に提示されることができる。結果は、ディスプレイ上に提示されてもよいし、解釈とともに提示されてもよい。スマートフォンである場合、サンプル中の分析物の決定された濃度は、監督する医師に送信されることができる。これは、特定の診断用分析物や検査に義務付けられている場合もある。このシステムは、遠隔医療や便サンプルの分析に有利に使用することができる。このシステムは、スマートフォンの典型的なハードウェアに依存し、適応されているため、ラテラルフローテスト以外の外部ハードウェアは必要ない。
【0037】
本開示は、個人用携帯型カメラ端末(スマートフォン)で使用するラテラルフローテストを構成するシステムに関するものである。このシステムは、もともと、患者や医師が、生体サンプルに対して行ったラテラルフロークロマトグラフィーの結果を客観的に評価できるように設計されたものである。代表的な生体サンプルとして、便が挙げられるが、その採取は難しい。便検体の採取は、感染性下痢症などの消化器系疾患が疑われる場合、診断や適切な治療法を決定するための決定的なステップとなることがある。また、便検体は、例えば大腸がんの早期発見法である便潜血検査(FIT)やFOBTなどの非微生物学的検査や、セリアック病などの炎症性消化器疾患の治療を適切にモニタリングするために必要となることもある。しかし、便検体の採取は困難であり、一般的に、あるいは稀にしか医師の診察室では便検体が採取されない。患者からのフィードバックによると、早期の便潜血検査が死亡率を下げることが示されているにもかかわらず、このプロセスは困難であることが示されている。一般に、コンプライアンスは不十分であり(稀に60%以上)、患者がコンプライアンスを欠く理由としては、採取した検体の返送に対する十分なサポートが得られないことや、恥ずかしさを感じることなどが挙げられている。生便や凍結便の検体を渡すために、町中や陸地を車で移動することを希望する患者はいないのが実情である。そのため、患者の手元にある遠隔分析は、これらの障壁を解決するソリューションとなり得る。本発明の検査システムは、食品検査、獣医、農業、園芸、環境検査、薬物検査など、他の多くの検体に容易に適用できるが、本開示では、非限定的とみなされる代表例として便のテストに焦点を当てる。
【0038】
視覚的結果の解析は、携帯電話や携帯端末に内蔵されたカメラを用いて、ラテラルフローテストの色情報やグレー値を解析し、アルゴリズムによって処理し、数値、カラーコード、文字として与えられる。このように、患者や消費者が自ら定量的なラテラルフローテストを行うことで、診断や勧告に関する適切な情報を得ることができる。重要な臨床パラメータや分析物の場合、検査や分析が医師の監督下にあるように、本システムを自動証明書や認可に適合させて使用することができる。このように、単にサンプルに含まれる分析物の濃度が示される分析物もあれば、ユーザーに示される結果が、医師のオフィスや病院に来る必要があるという分析物もある。このように、スマートフォンは病気の適切な評価のために必要である場合があり、アレルゲンや汚染の濃度は、サンプル中の分析物の含有量の絶対値として与えられる場合がある。
【0039】
本開示はさらに、健康障害、特に慢性胃腸疾患、または炎症状態の長期にわたるモニタリング、及び時間とともに変化する可能性のある治療または投薬の有効性に関するものである。結果は、必要に応じて視覚的または数値的に表示され、同時に遠隔医療のために監督する医師に送信されることができる。そのため、患者や医師は不要な診察を受けずに済むため、大幅な時間短縮が期待できる。また、便検体の採取や分析にまつわる恥ずかしさも軽減される。
【0040】
[定義]
この文脈では、「テストカセット」という用語は、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップに通常使用されるような任意の種類のハウジングまたはエンベロープを指す。テストカセットは、テストサンプルを有する液体の塗布を可能にする複数の開口部、及び分離後の結果を表示する領域のためのビューポートを有してもよい。また、「テストカセット」という用語は、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップまたはラテラルフローイムノアッセイを構成するユニットを指す場合もある。
【0041】
「プロセッサ」という用語は、コンピュータ・プログラムの命令を実行する電子回路で、命令によって指定された演算、論理、制御、入出力(I/O)操作を行うものを指す。
【0042】
「基準画像」という用語は、印刷された企業ロゴ、キャプション、機械可読フォント、バーコード、QRコード、カラーコード、バッチ指定、及び距離線とドット、境界線、外縁、内縁、形状デザイン、テスト、コントロール線などの幾何学要素などの視覚的に認識可能な形態、形状及び/またはデータを含むコードを指すが、それに制限されるものではない。
【0043】
「可視信号」という用語は、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップ上でテスト反応を行った際に現れる、視覚的に認識可能な信号、色、形、幾何学的構造、線、点、反応ゾーンを指す。
【0044】
「コントロール」という用語は、テストが正しく行われたことを確認する、視覚的に認識可能な信号、色、形、幾何学的構造、線、点、またはゾーンを指す。本開示は、ラテラルフローテスト上のコントロールゾーンを指す。従来のラテラルフローテストは、反応しない分析物特異的抗体の結合をコントロールとして使用する。より正確には、種またはクラス特異的な抗体を認識する固定化抗体、例えば、モノクローナルマウス抗分析物抗体に結合する固定化ヤギ抗体を有するゾーンである。
【0045】
本開示の好ましい実施形態は、所定の強度のコントロールゾーン、すなわちテストサンプル中に存在する分析物の量から独立している強度を得るために、ラテラルフローテストの塗布パッド中に規定された量の非分析物特異抗体を提供することを企図している。その結果、「コントロール」という用語は、従来のコントロールを指すだけでなく、外部及び内部キャリブレーションのための視覚ゾーン(C)の標準強度の「内部標準」を含んでいる。
【0046】
「明るさ」という用語は、光源が光って見える、または光を反射して見えるという視覚的知覚の属性を表している。言い換えれば、明るさとは、本開示では、輝度フラックス、より正確には、ターゲットを見たときに知覚される光束のことである。ターゲットは、本願では、ラテラルフロークロマトグラフィーの関心領域であり、以下では、ビューポート又は視覚的関心領域と記載する。本明細書で使用する明るさという用語は、テストゾーン及びコントロールゾーンの色の外観と、膜上の一般的に「白い」クロマトグラフィー材料から構成される。よく知られているように、ターゲットの光の反射または輝度は、異なる状況において異なる明るさの認識を引き起こす可能性がある。これが、ラテラルフロークロマトグラフィーのゾーンの視覚的な解釈が容易ではない理由である。ターゲットがまだ濡れているか乾いているかに依存し、周囲の光条件と写真の影に依存して解釈されることがある。様々な色外観モデルの中で、本発明者らは、好ましくは、赤、緑、青の色座標の算術平均を明るさとするRGB色空間を使用してソフトウェアをプログラムしているが、いくつかの成分が反射光を他のものより明るく見せている。ほとんどのカメラソフトウェアはRGB色空間を使用しているが、人間の視覚により近い表現もある。しかし、後者は信号ゾーンの強度を決定するのには関係しない。信号ゾーンの明るさや暗さの絶対値を使用することは良いことであるが、相対値やテストゾーンとコントロールゾーンの比率が使用される。ビューポートまたは関心領域の明るさを決定するために、「絶対的な明るさ」または輝度(反射光)が関心領域の長さと幅にわたって均質でなければならないので、さらに重要なパラメータは輝度の勾配である。明るさは、ビューポートや関心領域の異なる領域にある様々な画素領域の明るさを比較することで決定される。さらに、ビューポートに影や典型的でない暗い部分がないかどうかが調べられる。その結果、ビューポートの明るさ、その明るさの勾配の検査、及び典型的でない暗い領域(撮影影)の検索は、ラテラルフローテストの視覚ゾーンのさらなる処理と検査のために画像データが取り出され保存される前に過渡画像上で行われる。
【0047】
ホットスポットという用語は、対象物上の最大輝度領域と、最大輝度領域をスキャンした投影デジタル画像上の最大輝度領域を意味する。最大輝度領域が関心領域と重なる場合、カメラやプロセッサデバイス(懐中電灯や携帯電話のトーチ)の光源からの光の直接反射によるものだと考える必要がある。
【0048】
影とは、光源からの光が不透明な物体によって遮られた暗い部分のことである。照明されている物体の背後の容積を占める。
【0049】
シャープネス(アキュタンスともいう)は、画像のエッジコントラストに関連する視覚的知覚を表す。シャープネスまたはアキュタンスは、空間に対する明るさの微分の振幅に関係する。
【0050】
本明細書で使用する「吸収」という用語は、光を吸収する物理的プロセスを意味する。吸収率は、ある材料を通過する入射放射パワーと透過放射パワーの比の常用対数である。これは、透過した放射パワーの減衰を測定するものである。
【0051】
物質表面の透過率とは、放射エネルギーを透過させる効果のことである。
【0052】
視覚におけるコントラストとは、同時に、あるいは連続して見える2つ以上の領域の見え方の違いのことである。
【0053】
「過渡画像」という用語は、過渡画像が、画像データとテストサンプル中の分析物濃度との相関を可能にする光反射又は明るさの一次条件を満たすかどうかを評価するための、プロセッサの揮発性メモリ内の過渡データを意味する。画像データの取り出しと保存の前に、一時的な画像は切り取られ、ビューポートは切り取られる。関連データの切り出しは、基準画像(データマトリックス(QRコード)、バーコード、マーカー線など)が関心領域またはビューポートに対して固定的または既知の空間的関係にあるため、それらを用いて行われることになる。データマトリックスやバーコードは、データ(特にキャリブレーションデータ)の交換のためにサーバへのアクセスを提供することもある。
【0054】
画像データの「検索」、「取得」、「記録」、「保存」の用語は、サーバ上でキャリブレーションデータが確認できる有効期限の切れていないテストカセットから撮影した画像を光の尺度(明るさ、明るさ階調、影)の観点から検証した後の処理を指す。
【0055】
本テストシステムは、カメラ付き携帯端末またはスマートフォン用のソフトウェアと、法的、機能的、実用的な要件を満たすように適合及び設計された協同のラテラルフローテストで構成されている。スマートフォンはユーザーの個人的なスマートフォンであるため、この方法は、プロセッサやカメラデバイスの種類、世代、シリーズの多さに対応する必要がある。そのため、テストキットの各要素とアプリケーションソフトウェアは、ユーザーへの危害を避けるために、ユーザー個人のスマートフォンやカメラでテストされなければならない。個人のスマートフォンまたはカメラを最初にチェックする必要があり、これは、図4A及びBに示すようなカメラテストカードで即座にシステム及び方法に対して行うことができ、そこには、テストデバイスの永久基準標識と同様に、定義された可視ゾーン(T、C)付き関心領域が印刷されている。カメラとプロセッサは、可視ゾーンの印刷強度と同様に関心領域を識別し分析することができなければならず、これが正しく実行された場合にのみ、アプリケーションソフトウェアは、デジタルカメラが承認され、許容されると識別することになる。
【0056】
その後、ソフトウェア及び/又はスマートフォンは、ラテラルフローテストの関心領域から画像を取り込むように構成されてもよい。この目的のために、ラテラルフローストリップは、テストサンプルの規定された適用及び関心領域内の結果の読み出しのために、特定の開口部を有するカセット又はエンベロープに配置されてもよい。カセット、ハウジングまたはエンベロープは、指紋などに対する保護の理由から好ましい実施形態であるが、本システムの本質的な特徴ではない。ソフトウェアは、画像が実際に取り出され、保存され、さらなる分析及びゾーンの着色または光学強度の定量化に供される前に、対象物(ラテラルフローテスト)とカメラとの間の距離及び関心領域における光の測定に関して、及びその後の分析物の定量化に関して、過渡画像をチェックする。テストゾーン及びコントロールゾーン内の着色の強さを定量化するための主要なパラメータは、ラテラルフローテストにおける関心領域の距離及び光条件である。これらは視覚信号(線、バンド、ゾーン)の強度を決定するために関連する。ラテラルフローテストが多くの標準化に適合していれば、その領域で測定された強度は、問題の分析物の量に関連する。それらはロットや生産に依存するため、事前に慎重に決定する必要がある。信号の再現性とテストストリップに塗布されたサンプルの量の再現性を掛け合わせたものが、分析物の定量のための許容誤差より低いことが必須条件となる。これらの条件が満たされ、コントロールゾーンによって内部基準が提供されれば、テストゾーンとコントロールゾーンの強度は「単純な」スマートフォンカメラでも正確に決定でき、その強度の比率がサンプル中の分析物の量または濃度に関連付けられる。複数のゾーンの強度を用いて、測定範囲を広げることができる。メーカーの観点からすると、ゾーンの呼吸をコントロールするよりも、複数のテストゾーンを用意する方が簡単である。基準画像、より正確にはバーコードやデータマトリックス(QRコード)の機械読み取りは、距離や一般的な光の状態を評価するだけでなく、ロット番号、有効期限、キャリブレーションなどのデータを取り込み、画像をさらに処理して分析するために使用することができる。信号の正しい読み取りに必要な可視ゾーンが十分に照明されていれば、正確な結果を得ることができる。携帯型カメラ(プロセッサ装置)と対象物(テストカセットまたは関心領域)の間の距離も、画像上の受光を機械的に評価するために、あらかじめ定義された必要範囲内でなければならない。
【0057】
本願発明は、技術的な才能や専門知識を持たないユーザーにもガイダンスを提供し、携帯電話を、誰でも使用できる分析・診断ツールにアップグレードするシステム及びソフトウェアを提供するものである。このソフトウェアは、単にラテラルフローテストのバンド又はゾーンの定量分析を行うだけでなく、ラテラルフローテストの正しいやり方や特定の生物サンプルの分析前準備に関する指示を与えることもできる。本開示のシステムを用いれば、ポイントオブケアで分析テストを容易に実施し、その結果をほぼ瞬時に画像化して定量化し、及び/又は遠隔サーバに送信することができる。この結果は、サーバから一般の医師や医療センターに伝えられ、サーバは、遠隔医療に必要な証明書を提供したり確認したりすることもできる。遠隔サーバは、高度な画像処理分析を行うか、診断上の推奨事項を提供することができる。サーバは、品質管理、統計などの理由から、分析された画像とレポートをローカルまたはクラウドに転送、返却または保存することもでき、検査されたサンプルに関連する条件、パラメータまたは属性(例えば、時間、日付、人、GPSデータ、個人データ、その他の詳細など)も保存することができる。
【0058】
図1に示すように、テストカセット(10)には、コントロール(C)及びテスト(T)用の可視応答線を備えた関心領域またはビューポート(12)用の開口部がある(図1A、B)。分析物の測定範囲を広げるために、流れ方向を横切る方向に複数のテスト線(T)がある場合もある。テストカセット(10)の上面には、データマトリックスまたはQRコード(上側)とバーコード(右下側)の2種類の基準画像(14)がさらに表示される。アプリケーションパッド上のスポット(S)には、クロマトグラフィー分離のために、決められた量のテストサンプルが加えられることがある。
【0059】
図2に示すように、テストシステムは、テストカセット(10)と、携帯型プロセッサ装置(16)、例えば、デジタルカメラ(16a)とそのユーザー用のスクリーンまたはディスプレイ(22)を備えた携帯電話(16)から構成される。携帯電話(16)は、光源(16b)及びプロセッサ(16c)から構成される。携帯電話(16)は、関心領域又はビューポート(12)及び基準画像(14)を含む過渡画像を補正する。過渡的な画像は、ユーザーがスマートフォン(22)の「接眼」ディスプレイ(22)で見ることができ、距離と関心領域との光の尺度が正しければ、画像は携帯電話によって取得され保存されることになる。さらに、携帯電話(16)は、ロット番号や使用期限などを確認するためのデータや、検索及び保存した画像データの解析のためのキャリブレーションデータを保持するサーバにアクセスするためのデータを提供する参照符号に含まれるデータを読み取る。サーバにアクセスするためのデータは、基準画像(14)によって機械読み取り可能な形で提供されることがある。基準画像-QRコードとバーコードは、ケーシング(18)上のテストカセット(10)に隣接して印刷されている。
【0060】
一般に、ラテラルフロークロマトグラフィーによってサンプル中の分析物の存在を評価し定量化するための分析物テストシステムは、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップを収容し、分析物(T)ならびにコントロール(C)及び内部標準のための1つまたは複数の可視ゾーンを表示するように適合される検査カセットから構成される。テストカセットは、1つまたは複数の基準画像を表示することもできる。このシステムは、デジタルカメラと、光源と、プロセッサとを備える携帯端末をさらに備え、前記プロセッサ(16c)は、前記カメラ(16a)によって取り込まれた過渡画像を処理して、前記テストカセットの前記過渡画像データ及び前記1つ又は複数の基準画像を検査するように構成されていることを特徴としている。前記プロセッサは、前記デジタルカメラと前記基準画像との間の距離を評価するために、まず1つ以上の基準画像について前記画像データを分析し、所定の範囲内であれば、前記プロセッサは、関心領域又はビューポートにおける光の尺度(明るさ、明るさ勾配、輝度、影)について前記画像データを分析するよう構成されている。言い換えれば、前記プロセッサは、さらなる分析を行う前に、前記クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性について、最初に前記画像を分析するように構成されている。前記プロセッサは、前記クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性に関連する任意の値の評価が所定の範囲外である場合、全ての画像を拒絶又は無視するように構成されている。クロマトグラフィーストリップから反射された光の測定値に関して良好かつ有効であると事前に検査されたデータである画像データのみが、定量分析のために取り出されることになる。
【0061】
ソフトウェアは、反射光(輝度)の特性に関して許容される誤差または分散範囲から構成されることができる。この関連における一次パラメータは、絶対的な明るさ(輝度、反射)、関心領域(ビューポート)内の明るさ勾配、関心領域内の写真影に対応する暗さ又は暗部からなる群から選択されてもよい。二次パラメータは、鮮明度、吸光度、透過率、コントラスト、及びそれらの組み合わせからなる。測定値が許容範囲内であれば、撮影された過渡画像を取得し、視覚ゾーンの強度を分析するために処理することができる。ソフトウェアは、ビューポート領域(12)内の明るさ及び明るさ勾配を順次評価するように構成されてもよい。好ましくは、ソフトウェアは、ビューポート領域(関心領域)について、暗部領域(写真影)についても順次評価するように構成されている。ソフトウェアは、さらに、明るさ、明るさ勾配、影(暗部)だけでなく、反射(孤立した高輝度の領域)及びシャープネスについても逐次評価するように構成されてもよい。
【0062】
保存された画像の検索に続いて、テストカセット(10)上のコントロール(C)または基準画像(14)に基づいて、画像のずれを補正することができる。このステップは、一次光パラメータの評価の後に行うのが有利である。従来技術以外では、視覚ゾーンの強度を定量化する必要があるときに、前もって修正することができないので、端末は、光の測定値に関する所定の基準を満たさない画像を取得しない。ラテラルフロークロマトグラフィーによる分析対象物の定量分析には、正確で所定の光量が不可欠である。画像取得後の光特性の補正は、カメラソフトウェアが写真撮影の基準に従って「美しい写真」を作成する際に、常に任意に行われ、誤差が生じやすい。コントロール(C)と分析対象物(T)に対応する視覚信号(12)の周囲と上に適切な明るさがあって初めて、またテストカセット(10)上の基準画像(14)についても同様に、サンプル中の分析対象物の濃度の真の評価と定量化が可能になる。
【0063】
上述のように、基準画像(14)は、データの機械可読表現、例えば、1つ以上のバーコード及びQRコードであってもよい。機械可読データは、キャリブレーション情報、ロット番号及び/又は有効期限から構成されてもよいが、機械可読データは、これら全てのデータをクラウドから交換及び取得できるように、サーバにアクセスするための情報を提供することが好ましい。また、システムソフトウェアは、取得した画像データ及びテストデータを遠隔の処理装置に送信するように構成されてもよい。個人情報の場合は、暗号化された情報を送信するための証明書や認証データを提供することが望ましい。
【0064】
モバイル処理装置(16)は、テストゾーンの中央値、より正確には中央値T/Cを最終テスト結果として使用できるように、ビューポート及びラテラルフローテストの不均一な数の画像、好ましくは1~13枚、より好ましくは3~11枚、最も好ましくは5~9枚を取得、保存、及び/又は処理するよう構成されてもよい。先行技術以外では、開示されたシステム及びソフトウェアは、異なる露光設定で複数の画像を取り込み、それらを組み合わせて「より高いダイナミックレンジ」を有する画像を作成することはない。言い換えれば、開示されたシステムは、実際の画像の評価に依存し、光と反射の例外的な尺度を持つ画像は、捕捉され処理された複数の画像の中央値を選択することによって、最終的に無視される。
【0065】
携帯端末及びプロセッサ装置(16)のプロセッサ(16c)は、テストカセット(10)又はビューポート上の輝度又は明るさの許容範囲を有するように構成されてもよい。これは、光の測定値及び関連領域内の輝度が許容範囲外である場合及び/又は垂直方向及び長手方向に変化する場合にのみ画像を拒絶するようにソフトウェア及びデバイスが構成されていることを意味する。許容誤差は、テストカセット(10)上の基準画像(14)から決定することもできるが、ラテラルフロークロマトグラフィーの湿潤を考慮しないため、これはあまり好ましくない。
【0066】
他の実施形態では、プロセッサ(16c)は、コントロール(C)及び分析対象(T)のゾーンの位置を特定し、ピーク高さ(好ましい)またはピーク面積(統合信号)またはピークの任意のガウス範囲を介してそれらの比を決定するために、コントロール及びターゲットのゾーンの強度を定量化するためにピーク検索を行うように構成され得る。その後、対応するキャリブレーション値との相関により、テストサンプル中の分析対象物の濃度を決定する。
【0067】
このソフトウェアは、カメラと光源を持つ任意の携帯型端末で使用することができる。その他の要件は、プロセッサデバイスが一連の過渡的画像(ビデオシーケンス)の検査を可能にしなければならないということだけで、これは主にソフトウェアの問題であり、ハードウェアの問題ではない。このシステムは、理論的には、視覚的なバンドや信号ゾーンがある市販のラテラルフロー検査に使用することができる。実際には、ラテラルフローテストは、メンブレンとその上の分離材料の厚さを一定にし、アプリケーションパッド、コンジュゲーションゾーン、固定化レセプターのゾーンに関して、最も慎重に標準化しなければならない。マーカー色素は、視覚的な信号が適切かつ比例的に得られるように選択されなければならない。正確さと安全性のために、各POCTはロット固有のキャリブレーションデータを使用できるように、ロット識別のための機械読み取り可能なデータマトリックスまたはバーコードを必要とする場合がある。POCTや迅速検査の関心領域を持つ映像は、最終的にプロセッサやカメラによって取り出され保存される。映像は通常、空間的に分解されたRGB値の形でカメラから返される。つまり、各画素に対して、赤、緑、青の値が配信されます。計算は、RGB、HSV、HSL、Lab、CMYK、またはその他の色空間で実行されることができる。
【0068】
画像の正規化と回転誤差の除去は、単にアルゴリズムに従った画素の移動で済むので、遅れて行うことができる。これは、カセットのピクトグラムとあらかじめプログラムされた仮想ピクトグラムによって行うことができる。アライメントに使用できるPOCTカセットの他の特徴的な機能は、a)i)企業ロゴ、ii)キャプション、iii)機械可読フォント及びバッチ指定などのカセット上のプリントオン、b)i)外側エッジ、ii)内側エッジ、その他のiii)テストカセットの突出部などのテストカセット自体の地理的及び特徴的境界線、などである。記録された画像は、少なくとも、歪みのない視覚信号を分析するのに十分な解像度で存在することができる。視覚信号又はゾーンは、ラテラルフローテストの固定された幾何学的変数を用いて見出すことができるので、ラテラルフローテストに対するカメラの方向は、視覚ゾーンの分析に影響を与えることなく補正することができる。
【0069】
カメラの解像度は、応答線の強度比(T/C)や回転のずれや傾きがある場合には、あまり重要ではない。ラテラルフローテストにおける長さ、距離、サイズに関連するすべての固定情報は、ソフトウェアにあらかじめプログラムされており、装置のロットごとにキャリブレーションが必要となり、その結果、それぞれのケースに応じて提供される画像解像度に適応させることができる。
【0070】
図3を参照すると、いわゆるホットスポット(最大輝度、垂直反射光の領域)を特定し、信号抽出(信号カバレッジ)を最適化するように構成されたカメラテストカード(デバイスチェックカード)により、デバイスキャリブレーションが開始されることがフローチャートで示されている。
【0071】
[ポーズ推定]
このため、カメラテストカードには、カメラテストカードの二次元平面に対するデバイス(スマートフォン)の位置、傾き、回転、傾きを決定するためのArUcoマーカー(拡張現実マーカー、基準マーカー)が印刷されている。このデバイスの姿勢推定は非常に重要で、カメラテストカード上の点とその2次元仮想画像投影の間の対応関係を見つけることに基づいている。この難しいステップを簡単にするために、カメラテストカードにあらかじめ基準マーカーを印刷させておくことで、より簡略化された。2値の正方形基準マーカーの主な利点は、1つのマーカーでカメラの姿勢を得るのに十分な対応関係(その4つの角)を得ることができる点にあると考えられる。ArUcoマーカーは、広い黒枠とその識別子(ID)を決定する内部バイナリマトリクスで構成される合成正方形マーカーである。黒枠は画像内の高速検出を容易にし、2値化により識別とエラー検出・修正技術の適用を可能にする。内部の2値化により、エラー検出及び修正技術の適用が可能になるため、基準マーカーは特別に堅牢になる(参照:S. Garrido-Jurado, R. Munoz-Salinas, F. J. Madrid-Cuevas, and M. J. Marin-Jimenez.2014.”Automatic generation and detection of highly reliable fiducial markers under occlusion” (閉塞下での高信頼性基準マーカーの自動生成と検出)。パターン認識(Pattern Recogn.47, 6(2014年6月),2280-2292.DOI=10.1016/j.patcog.2014.01.005)。二値基準マーカーを有するカメラチェックカードは、好ましくは、装置キャリブレーション及び認証のために意図的に構成、製造、印刷された印刷厚紙である。
【0072】
システムの精度は姿勢推定に大きく依存するため、誤差の原因を評価するために2つの異なるテストを実行する。投影誤差はシステムから生じ、それはカメラの仮想画像への変換行列に反映される。投影精度を調べるために、カメラ画像中のマーカーを検出し、相対位置を求める。4個のArucoマーカー(または少なくとも3個のArUcoマーカー)の中心は、ワールド座標系に代わるテストカード座標系を形成する。テストマーカー座標系では、原点を中心とした等距離の4点が定義され、これが投影される角点となる。この点をプロジェクタ画像座標に変換する。正方形のマーカーカードは、このコーナーポイント内に表示されるようにアフィン変換で歪ませる。理想は真四角である。両マーカー座標系の位置と回転の違いは、システムの投影による誤差を記述している。この方法により、カメラチェックカードに対するスマートフォンの完全な姿勢推定が可能となる。
【0073】
[露出オーバーの箇所(ホットスポット)]
姿勢推定に続いて、いわゆるカメラホットスポットの検索と検出が行われる。カメラホットスポットは、隣接するピクセルがすべて最大輝度(全光反射)またはそれに近い状態にある領域の中心点として定義できる。これは、インスタントカメラのチェックカードなどのオブジェクトが、フラッシュライトやスマートフォンのトーチなどの明るい単一または集中光源によって照明されている場合に発生する可能性がある。ホットスポットの大きさは、最大輝度の領域に依存または考慮される。プログラムライブラリOpenCV(オープンソースコンピュータビジョン)は、検出された輪郭から楕円を決定するために使用することができる。決定された長方形は、例えば、式 平方根(w+h)(ここで、w=幅、h=前記長方形の高さ)を使用して、ホットスポットの大きさを計算するために使用される。
【0074】
[信号の仕様]
私たちは、2種類のカメラチェックを設計した。カメラチェックは、基本的に実際のテストカセットの属性(特に関心領域)を、反射率、バンド、信号強度の観点から満たす図である。非常に低い信号と高い信号が図示されている(図4B参照)。
【0075】
[露出補正]
ほとんどの場合、信号が低いということは、画素が焼けてしまった、つまり情報が失われてしまったために低すぎるという解釈ができる。このような情報は復元できないので、自動で決定される露出設定を1/3EVに過少補正する(画像を暗くしながら取り込む)のがコツである。こうすることで、識別しにくい明るい部分の画素情報を保持することができる。最大で3回の調整(-1/3EV、-2/3EV、-1EV)をしている。
【0076】
[キャリブレーション]
ある一定の類似したキャリブレーション結果で、あるテストに対してデバイスを有効にすることができるはずである。言い換えれば、ユーザーが機器全体のキャリブレーションを行う必要性をなくすことである。
[収集情報]
- 確定ホットスポット(位置、大きさ)
- 過少補正値
- 最終オーバーレイ位置
- 補正信号値
- 最終的にスキャンされたカメラチェックの画像
【0077】
過渡画像の適性を最初に評価するために、1.携帯端末又はプロセッサは、テストカセットがカメラに対して正しく距離を取っているかどうかを独自に判断し、次に、バッチ固有の値が、過渡画像上の光の尺度又は明るさ及び明るさの勾配に関して測定される。実装には、機械読み取り可能なバッチ情報の位置とサイズ、及び印刷された企業ロゴのサイズと位置の登録が含まれる場合がある。また、2.画面に表示されるオーバーレイをもとに、カメラに対する両者の位置を確認するようにしてもよい。明るさとオーバーレイが一致した場合、視覚ゾーンをさらに分析するために、自動的に過渡画像の記録が開始される。3.点2と点1の組み合わせも考えられ、点2の画像を点1の方法でチェックし、満足できない場合は、該当する基準が満たされるまで画像を正規化(拡大縮小、回転、シフト、歪み)する。
【0078】
当業者であれば、焦点、傾き、位置、距離、サイズ、及び他のパラメータを決定するために、開口部及びマーカーの周りの枠組みも同様に使用できることを理解するであろう。カセットは、さらに、外部キャリブレーション(標準曲線)を可能にするために、バーコードまたは二次元速読コード(QR)の形態の個々のテストコードを印刷することができる。
【0079】
典型的な実施形態では、テストサンプル中の分析物の定量的決定のためのラテラルフローテストは、流体連通して、サンプルを受けるためのサンプルパッド、サンプルを濾過し、フロースルーをウィッキング方向に均一化するためのフィルターパッド、標識に結合した移動性免疫反応物質を含むコンジュゲートパッド、及び水吸着パッドを含んでなる。分離膜が、分析対象物の固定化捕捉分子からなる少なくとも1つの第1テストゾーンと、標識された免疫反応物質の固定化捕捉分子からなる1つの第2テストゾーンとを画定する、多孔質分離材料をその上に有する膜と、吸水性ウィッキングパッドとを備える。コンジュゲートパッドが、標識されているが免疫原性及び機能的に異なる少なくとも2種類の移動性免疫反応物質を含み、一方の移動性免疫反応物質が被分析物に結合して標識複合体を形成し、他方が被分析物と複合体を形成することに関して不活性であることが開示されたシステムにとって好ましい。第2テストゾーンにおけるこの標識反応は、他方の標識された免疫反応物質の被分析物との反応及び第1テストゾーンにおける標識複合体の捕捉から独立しており、一方、不活性標識免疫反応物質は内部参照(C)を提供するように所定量コンジュゲートパッドに供給される。
【0080】
ラテラルフローイムノアッセイのフォーマットは、抗原サンドイッチアッセイ、抗体アッセイ、または競合ハプテンアッセイから選択することができる。好ましい実施形態において、ラテラルフローアッセイは、サンプルパッド上のテストサンプルの適用及びビューポートにおけるテストゾーンの写真画像のための規定された開口部を有するカセット又はエンベロープに組み込まれる。当業者には理解されるように、第1の検出ゾーン内の固定化免疫反応体は、分析物のよりダイナミックな検出範囲を提供するために、第1のテストゾーン内の2つ以上の線内に存在してもよい。最も好ましい実施形態では、カセットは、第1テストゾーンの1つ以上の位置を示す印刷されたマーカー、及び任意にゾーンの適切な評価及び評価のための内部基準(C)を構成する第2テストゾーンの空間的配置を示すマーカーを有する。一実施形態では、タンパク質は、ディップスティック形式を使用してサンプルパッドに導入され、テストデバイスの一端とタンパク質を接触させる。
【0081】
他の実施形態では、タンパク質は、アプリケータ、例えば、ピペット、シリンジ、スポイトなどを用いてサンプルパッド上に塗布される。流体の適用量は、好ましくは約1~200μLの間、より好ましくは約3~100μLの間、最も好ましくは約5~50μLの間である。サンプル液は、緩衝生理食塩水、医薬組成物、及び生体液からなる群から選択することができる。サンプルパッド上に直接塗布される生体液は、血液、血漿、便抽出液、糞便液、尿、涙液、汗、唾液、及び羊水からなる群から選択されてもよい。被検サンプルは、動物由来又は植物由来の生体液であってもよい。また、被検液は、加工食品及び/又は動植物性材料の混合物であってもよい。
【0082】
一実施形態では、ラテラルフローテストのコンジュゲートパッドは、検出可能なマーカーを含んでいる。コンジュゲートパッド中の検出可能なマーカーは、サンプルパッド上に塗布された分析物を結合することが可能であってよい。コンジュゲートパッドは、さらに、検出可能なマーカー及びタンパク質(分析物)のテスト膜上への均一な移動を保証してもよい。別の実施形態では、検出可能なマーカーは、粒子、発光ラベル、熱量測定ラベル、蛍光ラベル、化学ラベル、酵素、放射性ラベル、金属コロイド、及び化学発光ラベルからなるが、これらに限定されるものではない。金コロイド球が最も好ましいが、他の金属ゾルやラテックス微粒子も使用することができる。炭素、セレン、または量子ドットなどの光安定性、色調整可能なナノ粒子も、検出可能なマーカーとして使用されてきた。検出可能なマーカーはまた、検出反応、例えば色反応を触媒する二次タンパク質、例えば酵素であってもよい。
【0083】
前述したように、テスト膜は少なくとも1つのテストゾーンと少なくとも1つのコントロールゾーンから構成される。定量可能な検出範囲を増加させる必要がある場合、テストゾーンを有する2つ以上のテスト線を使用してもよい。もちろん、1本以上のテスト線(ゾーン)は、コントロールゾーンの上流になければならない。
【0084】
一実施形態では、分析物検査装置は、(a)バーコード又は速読QRコードである個別コード、(b)サンプルパッドへのアクセス及び膜上のテストゾーンの視覚的制御のいずれかのためのカセット内の枠付き開口、(c)第1のテストゾーン及び第2のテストゾーンの位置を示すカセット上のマーカー、及び(d)ホワイトバランスを行うための規定領域を表示することができる。個別コードは、例えば、製造ロットを符号化し、QRコードは、テストゾーンのキャリブレーション及び解釈のためのデータを符号化してもよく、これにより、携帯型カメラ及びプロセッサ装置は、他のすべてが事前にダウンロードできることを条件に、インターネット接続なしでスタンドアロン動作に有効である。
【0085】
他の態様は、ラテラルフローイムノアッセイを使用してテストサンプル中の被分析物の量又は濃度を決定する方法に関し、本方法は以下を含む。(a)カメラを使用してラテラルフローイムノアッセイのデジタル画像を撮影すること、(b)第2のテストゾーンの位置についてデジタル画像を分析し、デジタル画像に基づいて第2のテストゾーンに見出されるラベルの実際の量を決定すること、(c)第2のテストゾーンに見出されるラベルの実際の量を第2のテストゾーンのラベルの目標量と比較して、第2のテストゾーンのデジタル画像の1又は複数のカラーチャンネルについてのそれぞれの目標値から、第2のテストゾーンのキャリブレーションデジタル画像により決定されるオフセットを決定すること、(e)決定されたオフセットに基づいて実際のデジタル画像を補正し、さらに、周囲光及び/又は支援用懐中電灯の色温度、並びに任意に、撮影されたデジタル画像に用いられるカメラ及びレンズの光学特性を調整するためにホワイトバランスを実行するステップと、(f)第1のテストゾーンの位置についてオフセット補正されたデジタル画像を分析し、第1のテストゾーンで見つかったラベルの定量的決定を行うこと、及び(g)同じ製造ロットのラテラルフロー免疫測定法によって決定された一連のキャリブレーション標準の値との比較によってテストサンプルに含まれる被分析物の量を決定するステップ。
【符号の説明】
【0086】
10 テストデバイス
12 ラテラルフローテスト、ビューポート、関心領域
14 基準画像
T テストゾーン、分析対象物に対する応答線
C コントロールゾーン、コントロールのための応答線
S サンプルパッド
16 携帯型プロセッサ装置
16a デジタルカメラ
16b 光源
16c プロセッサ
18 ケーシング
20 試薬
22 デジタルディスプレイ
図1A
図1B
図2
図3-1】
図3-2】
図4A
図4B
【国際調査報告】