(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20230414BHJP
【FI】
H01R12/91
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554185
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 IB2021052031
(87)【国際公開番号】W WO2021181325
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,クリスチャン ペリー
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,ジェシー アラン
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ,キース リチャード
(72)【発明者】
【氏名】シュロール,ニール,フランクリン
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,ニコラス リー
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ジョン ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】スワンガー,ネイサン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ラウデンブッシュ,ジェームス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ケスタ,エミリオ
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB26
5E223AB45
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB12
5E223CA13
5E223CB21
5E223CB22
5E223CB24
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DB11
5E223GA52
(57)【要約】
コネクタアセンブリ(20)は、対応する電気コネクタに嵌合するように構成されている第1の端部(23)を有する外側導電体(22)と、外側導電体(22)内に配置された導電性中心コンタクト(30)とを備える。中心コンタクト(30)は、対応する電気コネクタに嵌合するように構成されている第1の端部(32)と、回路基板(50)の第1の電気コンタクト(52)に電気的に接続する第2の端部(38)とを含む。外側コンタクト(40)が、外側導電体(22)の第2の端部(26)に摺動可能に取り付けられ、回路基板(50)の第2の電気コンタクト(54)に電気的に接続する。弾性要素(44)が、外側導電体(22)から離れる方向に回路基板(50)に向かって外側コンタクト(40)を付勢するように設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタアセンブリ(20)であって、
対応する電気コネクタに嵌合するように構成されている第1の端部(23)を有する外側導電体(22)と、
前記外側導電体(22)内に配置された導電性中心コンタクト(30)であって、前記対応する電気コネクタに嵌合するように構成されている第1の端部(32)と、回路基板(50)の第1の電気コンタクト(52)に電気的に接続するように構成されている第2の端部(38)とを含む、導電性中心コンタクトと、
前記外側導電体(22)の第2の端部(26)に摺動可能に接続され、かつ前記回路基板(50)の第2の電気コンタクト(54)に電気的に接続するように構成されている外側コンタクト(40)と、
前記外側導電体(22)から離れる方向に前記外側コンタクトを付勢するように構成されている弾性要素(44)と
を備える、コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記中心コンタクトの前記第2の端部(38)は、前記第1の端部(32)に対して前記コンタクト(30)の軸方向に可動であり、前記第1の端部(32)から離れる方向に弾性的に付勢される、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項3】
前記弾性要素(44)は、前記外側導電体(22)と前記外側コンタクト(40)との間に配置されたばねを含む、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項4】
前記ばね(44)は、第1の端部で前記外側導電体(22)または前記外側コンタクト(40)の一方に固定して接続された弾性アームと、前記外側コンタクト(40)または前記外側導電体(22)の他方に摺動可能に接続された第2の端部とを含む、請求項3に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項5】
前記外側導電体(22)は、前記外側導電体(22)から半径方向に延び、かつ前記弾性アーム(44)の前記第2の端部に摺動可能に係合するように構成されている支承面(24)を含む、請求項4に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項6】
前記外側コンタクトの周りに半径方向に配置されたそれぞれの第1の端部と、前記外側導電体(22)の前記支承面(24)に係合するそれぞれの第2の端部とを有する複数の弾性アーム(44)をさらに備え、前記支承面(24)は、前記外側導電体(22)の周りに半径方向に配置されている、請求項5に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項7】
前記ばね(44)は、前記外側導電体(22)上に配置されたコイルばね(80)を含む、請求項3に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項8】
回路基板(50)をさらに備え、
前記回路基板(50)は、
前記回路基板(50)に形成された第1のコンタクト(52)と、
前記回路基板に形成され、かつ前記第1のコンタクトから電気的に絶縁された第2のコンタクト(54)と
を含む、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項9】
前記第1のコンタクト(52)は、前記中心コンタクト(30)の前記第2の可動端部(38)の直径よりも大きい直径を有する全体的に円形の形状を備えている、請求項8に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項10】
前記第2のコンタクト(54)は、前記第1のコンタクト(52)を少なくとも部分的に囲む、請求項8に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項11】
前記第2のコンタクト(54)は、前記第2のコンタクトの湾曲の軸に対して少なくとも240度の弧長にわたって延びる円弧形状を備えている、請求項10に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項12】
ハウジング(12、14)をさらに備え、
前記ハウジング(12、14)は、
前記外側導電体(22)を受け入れる第1のハウジング部(12)と、
前記第1のハウジング部(12)に連結された第2のハウジング部(14)と
を含み、
前記回路基板(50)は、前記第2のハウジング部(14)に固定して取り付けられている、請求項8に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【請求項13】
前記対応する電気コネクタは同軸高周波コネクタである、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35U.S.C.§119の下、2020年3月11日に出願された、米国仮特許出願第62/988,143号の優先権を主張する。本開示は、電気コネクタに関し、より詳細には、回路基板に電気的に接続可能な浮動ヘッダ(floating header)に関する。
【背景技術】
【0002】
センサアセンブリなどの電子部品は、多くの場合、それらの電子部品が使用される、より大きい電気システムの残りの部分とは別に収容またはパッケージされて、集積化を容易にし、損傷を受けやすい部品を厳しい環境条件からより良好に保護する。したがって、使用時に、これらの部品をシステムの他の要素と電気的に相互接続しなければならない。このような接続は、多くの場合、相補的な電気コネクタを介して様々な部品を接合するケーブルによって実現される。
【0003】
大量生産に適した規模で高性能の確実な相互接続を実現することは困難であり得る。例えば、部品および/もしくはハウジングを製造できる精度、ならびに/または関連するハウジングにもしくはハウジング内に部品を配置できる精度に悪影響を与える公差限界が、関連する悪影響を基礎となる電気システムに与えることがある。そのようなずれにより、部品の組立て、および/または、アセンブリの部品とコネクタとの間に必要な電気的接続を確実に形成することが困難になることが多い。さらに、高周波(RF)デバイスなどのいくつかの種類のデバイスの性能は、コネクタまたはインターフェースの部品間のインピーダンス整合のような、導電率の影響を非常に受けやすい場合がある。これらの性能の問題点は、基礎となるコネクタにより多くの制限を加える。
この制限には、許容できる性能レベルを維持しながら上記の位置変化に対応できる方法が限定されることが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、解決すべき課題は、パッケージされた電子デバイスの部品を外部システムに確実に接続することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、対応する電気コネクタに嵌合するように構成されている第1の端部を有する外側導電体と、外側導電体内に配置され、かつ外側導電体から電気的に絶縁されている導電性中心コンタクトとを備える、電気ヘッダまたはコネクタアセンブリによって解決される。中心コンタクトは、対応する電気コネクタに嵌合するように構成されている第1の端部と、回路基板の第1の電気コンタクトに電気的に接続するように構成されている第2の端部とを含む。アセンブリの外側コンタクトが、外側導電体の第2の端部に摺動可能に接続され、回路基板の第2の電気コンタクトに電気的に接続するように構成されている。弾性要素が、外側導電体から離れる方向に回路基板に向かって外側コンタクトを付勢するように設けられている。
【0006】
電気デバイスは、第1のハウジング部と、第1のハウジング部に連結された第2のハウジング部とを含むハウジングを備える。回路基板が、ハウジング内に配置され、第1の電気コンタクトと、第1の電気コンタクトから電気的に絶縁された第2の電気コンタクトとを含む。ハウジング内に配置された高周波コネクタアセンブリが、対応する電気コネクタに嵌合するように構成されている第1の端部を有する外側導電体を含む。アセンブリは、導電性中心コンタクトをさらに含み、この導電性中心コンタクトは、外側導電体内に配置され、対応する電気コネクタに嵌合するように構成されている第1の端部と、回路基板の第1の電気コンタクトに接触する第2の端部とを有する。外側コンタクトが、外側導電体の第2の端部に摺動可能に接続され、回路基板の第2の電気コンタクトに電気的に接続する。
弾性要素が、外側導電体から離れる方向に外側コンタクトを付勢して第2の電気コンタクトに接触させるように設けられている。
【0007】
コネクタアセンブリは、第1の外側導電体と、第1の外側導電体内に配置された第1の誘電体と、第1の誘電体内に配置された第1の導電性中心コンタクトとを含む第1の電気コネクタを備える。アセンブリの第2の電気コネクタは、第1の電気コネクタに嵌合可能であり、第2の外側導電体と、第2の外側導電体内に配置された第2の誘電体と、第2の誘電体内に配置された第2の導電性中心コンタクトとを含む。第1のコネクタと第2のコネクタとの嵌合状態で、第1の電気コネクタならびに第2の電気コネクタの第1の外側導電体と第2の外側導電体、第1の導電性中心コンタクトと第2の導電性中心コンタクトとは、電気的に接続される。アセンブリは、弾性ブッシングをさらに備え、この弾性ブッシングは、第1の電気コネクタと第2の電気コネクタとの嵌合状態で、第1の誘電体および第2の誘電体の対向面間に配置され、対向面に接触する。
【0008】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態を説明するのに役立つ例示的な電子デバイスの斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態による、電気コネクタまたはヘッダと回路基板とを備える、
図1のデバイスの断面図である。
【
図5A】
図5A~
図5Cは、本開示の実施形態による、回路基板に対して様々な横方向位置または半径方向位置に配置されている、
図2~
図4のコネクタの一部の簡略化した上面図である。
【
図5B】
図5A~
図5Cは、本開示の実施形態による、回路基板に対して様々な横方向位置または半径方向位置に配置されている、
図2~
図4のコネクタの一部の簡略化した上面図である。
【
図5C】
図5A~
図5Cは、本開示の実施形態による、回路基板に対して様々な横方向位置または半径方向位置に配置されている、
図2~
図4のコネクタの一部の簡略化した上面図である。
【
図6A】
図6A~
図6Cは、回路基板がハウジングおよびコネクタに対して様々な垂直位置または軸方向位置に配置されている状態の、回路基板に嵌合した、本開示の実施形態によるハウジングおよびコネクタの一部を示す断面図である。
【
図6B】
図6A~
図6Cは、回路基板がハウジングおよびコネクタに対して様々な垂直位置または軸方向位置に配置されている状態の、回路基板に嵌合した、本開示の実施形態によるハウジングおよびコネクタの一部を示す断面図である。
【
図6C】
図6A~
図6Cは、回路基板がハウジングおよびコネクタに対して様々な垂直位置または軸方向位置に配置されている状態の、回路基板に嵌合した、本開示の実施形態によるハウジングおよびコネクタの一部を示す断面図である。
【
図7】本開示の別の実施形態によるコネクタの断面図である。
【
図8】本開示の実施形態による、相手側コネクタに係合した第1のコネクタを備えるコネクタアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を全体的に参照すると、例示的な電子デバイスまたはパッケージ10の斜視図が示されている。パッケージ10は、2部ハウジングを含み、第1のまたは上側ハウジング12と、それに嵌合する第2のまたは下側ハウジング14とを含む。ハウジング12、14は、カメラもしくは他のセンサなどの電子部品またはデバイスを内部に固定するのに適した成形ポリマーハウジングであってよい。本開示の実施形態によるヘッダまたは電気コネクタ20は、ハウジング12、14内に配置され、デバイスと、同軸RFケーブルのコネクタ付き端部(connectorized end,コネクタ化端部)などの対応するコネクタとに嵌合するように構成されている。詳細には、上側ハウジング12は、ハウジング内からコネクタ20の一部を受け入れるコネクタインターフェース16を含むことができる。
コネクタインターフェース16は、多くの自動車の適用に利用される標準化FAKRAインターフェースなどの任意の所望の構成に形成することができる。
【0011】
図2は、本開示の実施形態による例示的なパッケージ10の断面図である。電子デバイスのプリント回路基板(PCB)50(例えば、カメラが取り付けられた回路基板)が、ハウジング12、14内に配置されている。図示のように、PCB50は、ハウジング12、14内に、例えば下側ハウジング14に、固定して取り付けることができる。本開示の実施形態によるヘッダまたはコネクタ20は、少なくとも部分的にハウジング12、14内に配置され、単に例として、同軸ケーブルに接続するためにコネクタインターフェース16内に延びる第1の端部を含む。ケーブルとPCBに関連する電子デバイスとの間に電気的接続を確立するために、コネクタ20の第2の端部は、PCB50の1つまたは複数のコンタクト面またはコンタクトパッドに係合する。
【0012】
例えば、上記の部品のいずれかに関連する製造または位置の誤差により、パッケージの組立て中にPCB、コネクタ、および/またはコネクタインターフェースを理想的に位置合わせできなくなる。PCBにはんだ付けされたコネクタを備える従来技術の実施形態において、このタイプの位置合わせ不良は、デバイスの適切な組立てを妨げることがある。他の従来技術のアセンブリでは、このような不具合により、組立て後にPCBとコネクタとの間に不十分または不確実な電気的接触が生じることがある。ここで詳細に説明するように、本開示の実施形態はこのような不具合を改善し、PCBに可動に電気的に接触するコンタクト端部を有するコネクタを提供して、ハウジングの組立てプロセス中の、横方向または垂直方向におけるPCBとコネクタとのいかなる位置合わせ不良にも対応できるようにする。
【0013】
さらに
図2と、
図3および
図4とを参照すると、本開示の実施形態によるコネクタ20は、外側導電体または外殻22(例えば、一体のダイカスト本体)を含み、この外側導電体または外殻22は、ハウジング12、14内からコネクタインターフェース16内に画定された開口部内へ延びる円筒形の第1の端部23を有する。外側導電体22は、少なくとも1つの半径方向に延びる突起または支承面24を画定する中間部分をさらに含む。一実施形態において、3つの突起24が形成され、外側導電体22の中心軸に対して外側導電体22の周囲で互いに120度離間している。各突起24の第1の側は、上側ハウジング12の内面に係合または当接して、コネクタインターフェース16内における導電体22の第1の端部23の挿入深さを制限する。
外側導電体22の円筒形の第2の端部26が、中間部分から第1の端部23とは反対方向に延びる。外側導電体22は、コネクタ20の外側電気導体またはシールド導体(例えば、接地導体)を画定する。環状の外側シール29を第1の端部23上に配置して、コネクタ20と上側ハウジング12との間にシールを形成し、コネクタインターフェース16に形成された開口部をハウジング12、14の内部から絶縁することができる。
【0014】
中空の外側コンタクト40が、外側導電体22の第2の端部26に装着され、第2の端部26との可動な機械的および電気的接続部を画定し、外側コンタクトは、第2の端部との電気的接触を維持しながら、第2の端部に沿ってコネクタ20の軸方向に摺動可能である。第2の端部26は、内部に形成されたスロットまたはキャビティ27(
図3参照)を含むことができ、このスロットまたはキャビティ27は、外側コンタクト40の一部を受け入れて、外側コンタクトを第2の端部に摺動可能に固定するように構成されている。より詳細には、外側コンタクト40は、外側コンタクト40を貫通して形成されたスロット状開口部46を画定することができる。
外側コンタクト40により画定された、または外側コンタクト40に取り付けられた弾性アーム47が、半径方向内方に開口部46内へ延びることができる。アーム47の自由端は、第2の端部26に係合、より詳細には、第2の端部26のスロット27に係合して、外側コンタクト40を第2の端部26に、少なくともスロットの長さに沿って摺動可能に摩擦嵌めで固定するように構成されている。
【0015】
外側コンタクト40は、端部から延びる電気コンタクト脚部またはタブ42をさらに含む。タブ42は、外側コンタクト40の周りに対称に配置することができ、例えば、3つのタブが、外側コンタクトの周囲または直径の周りで互いに120度離れて配置されている。タブ42は、PCB50に形成された1つもしくは複数のコンタクトまたはコンタクトパッドに当接または他の方法で接触するように構成されている。タブ42は、外側コンタクト40と一体に形成されていても、機械的に取り付けられる別個の要素を含んでいてもよい。一実施形態において、タブ42とアーム47とを、互いに一体に形成して外側コンタクト40に機械的に取り付けても、各々を外側コンタクトと一体に形成してもよい。
複数のタブ42を使用することにより、複数の同軸接地接触点を提供し、導体のシールド効果を向上させる。シールド効果は、外側コンタクト40のすべてまたは一部の全体的に均一な、かつ/または途切れのない態様、例えば、外側導電体22の第1の端部23の連続的な態様によっても向上する。
【0016】
外側コンタクト40は、外側コンタクト40と一体に形成された、または外側コンタクト40に取り付けられた1つまたは複数のばね44などの少なくとも1つの弾性要素を含む。図示の実施形態において、ばね44は、外側コンタクト40の端部から延びる弾性アームを画定する。ばね44の各々は、外側コンタクト40に対して固定された第1の端部に近接して湾曲することができる。各ばね44の残りの部分は、外側導電体22に向かう方向に、外側コンタクト40の本体に概ね平行に延びる。各ばね44の自由端は、外側コンタクト40から半径方向外方に延びるように形成または湾曲することができ、1つのまたは半径方向に延びる突起24に当接するように構成された(すなわち、サイズ決めされ位置付けされた)コンタクト面を画定する。
より詳細には、外側導電体22の半径方向に延びる突起24の各々は、支承面または押圧面を画定し、コネクタ20の組立状態で、この支承面または押圧面に対して、それぞれのばね44の自由端が作用することができる。このようにして、ばね44は、外側コンタクト40を外側導電体22から離れる方向に促すまたは付勢するように作用することにより、タブ42を介してPCB50の対応するコンタクトに押圧力を加え、確実な電気的接触および低い抵抗またはインピーダンスを保証すると共に、コネクタとPCBとの電気的接触に悪影響を与えることなく、コネクタに対するPCBの軸方向における位置の変動をある程度許容する。一実施形態において、外側コンタクト40は3つのばね44を含み、これらのばね44は、均一に力を分散させるように、外側コンタクトの周囲に互いに120度離れて配置され、タブ42に対して半径方向に互い違いになっている。
さらに他の実施形態において、ばね44は、PCB50に嵌合するための外側コンタクト40の電気コンタクトを画定することもでき、これによりタブ42が不要になる。
【0017】
ばね44を弾性アームとして具体化することができるが、本開示の範囲から逸脱することなく、他のタイプの弾性要素を使用してもよい。例えば、
図7は、外側コンタクト40上に配置された単一のコイルばね80を有するコネクタを示す。本実施形態では、導電体22の中間部分の半径方向に延びる支承面24の横方向または半径方向の寸法を小さくして、スペースを節約し、デバイスのパッケージングを改良しているが、それでも均一に分散された十分な圧縮力および軸方向浮動能力(axial float capability)を提供することができる。本実施形態において、PCB50に近接したコイルばね80の端部を、PCBに対向するコンタクトタブ42の凹面によって支持および/または捕捉することができる。
【0018】
特に
図3の分解図を参照すると、外側導電体22は中空であり、コネクタ20の中心コンタクトまたは導体アセンブリ30を受け入れる。一実施形態において、中心コンタクトアセンブリ30は、第1の端部で本体34に取り付けられた雄ピン32を含む導電性ばね式ピンまたは「ポゴ」ピンを含む。本体34は、ばね36または他の弾性要素と、プランジャ38または第2のピンとして具体化される、アセンブリの第2の可動端部とを受け入れるように構成されている。プランジャ38は、本体34内に可動に配置され、ばね36によって雄ピン32とは反対の方向に付勢される。外側導電体22は、内側シールまたはブッシング25を受け入れるようにさらに構成され、この内側シールまたはブッシング25を通して、アセンブリ30の雄ピン32は第2の端部26を介して配置される。
中心コンタクトアセンブリ30を誘電体39に収容して、外側導電体22および外側コンタクト40によって画定された外側導体からアセンブリを絶縁することができる。
図4は、ハウジングに設置する前の、
図2および
図3のコネクタ20の分離組立図である。
【0019】
図5A~
図5Cは、本開示の実施形態によるコネクタ20およびPCB50の横方向または半径方向浮動機能を示し、明確にするために、コネクタの部品の大部分が取り外されている。図示するように、PCB50は、2つの電気コンタクトまたはコンタクトパッド、すなわち、信号もしくは中心コンタクト52と、接地もしくは外側コンタクト54とを含む。中心コンタクト52と外側コンタクト54とは、中心コンタクトアセンブリ30の第2の可動端部またはプランジャ38と、コネクタ20の外側コンタクト40のタブ42とにそれぞれ電気的に接続するように構成されている。中心コンタクト52は、PCB50に形成された円形の導電性コンタクトパッドとして画定され、このコンタクトパッドは、プランジャ38の対向コンタクト面と比較して、すべての寸法(例えば、円形パッドの場合は直径)が大きくなっている。
このため、PCB50に対するコネクタ20の横方向または半径方向の位置合わせ不良により、中心導体が中心コンタクト52と適切に電気的に接触できなくなることはない。1つの例示的な非限定的な実施形態において、中心コンタクトアセンブリ30の第2の端部またはプランジャ38と中心コンタクト52とは、
図5Aに示す理想的な位置から任意の方向において軸方向または横方向に少なくとも1mmずれることに対応するようにサイズ決めされる。一部の実施形態において、PCB50のコンタクト面と同一平面上の任意の方向における中心コンタクト52の最小寸法は、中心コンタクトアセンブリ30の接触端部(例えば、プランジャ38の接触面)の最大寸法よりも約2~3倍大きい。
【0020】
同様に、第2のまたは外側コンタクト54は、円弧状のパッド形状を備えることができる。一実施形態において、コンタクト54は、連続した円形またはリング状の外形であってよく、または複数の別個のコンタクトとして具体化されていてもよい。しかしながら、図示の実施形態において、コンタクト54は部分的に円形または半円形であり、湾曲の軸(例えば、中心コンタクト52の半径方向中心を通って画定された軸)に対して少なくとも240度にわたって延びる円弧状の外形を画定する。このようにして、外側コンタクト54は、少なくとも2つのコンタクトタブ42、または好ましくは、外側コンタクト40の端部の周囲に各々均一に離間した(例えば、半径方向に約120度離間した)3つのコンタクトタブとの接触を保証するようにサイズ決めされる。
図示の実施形態において、2つのコンタクトタブ42のみが外側コンタクト40に形成され、コンタクト54に接触しており、第2のコンタクト54の端部間に画定された間隙にはタブは存在しない。円弧状の外側コンタクト54は、中心コンタクト52の厚さまたは幅と同様に大きい寸法とされた厚さまたは幅をPCB50の平面方向に含むことができ、外側コンタクト40とPCB50との電気的接触を維持しながら、PCB50に対する外側コンタクト40の、少なくとも等量の半径方向または横方向の並進移動に対応するようになっている。
図5Bおよび
図5Cは、2つの方向のみの半径方向ずれを示すが、図から明らかなように、本開示の実施形態は、電気的接続性を維持しながら、任意の横方向または半径方向のずれに対応することができる。
【0021】
図6A~
図6Cは、本開示の実施形態によるコネクタ20およびPCB50の軸方向または垂直方向の浮動機能を示す。図示のように、コネクタ20は、
図6Aに示す理想的な位置に対して、
図6Bおよび
図6Cに示すPCBの軸方向の位置ずれに対応することができる。
図6Aに示すように、第1のハウジング12と第2のハウジング(14、図示せず)とが互いに取り付けられると、PCB50は、ばね44によって生じる圧縮力により、外側コンタクト40のコンタクトタブ42に当接する。図示の位置で、中心コンタクトアセンブリ30の第2の可動端部またはプランジャ38も、アセンブリの残りの部分に対して略中間位置に配置され、依然としていずれかの軸方向に自由に移動することができる。
同様に、外側コンタクト40は、外側導電体22の第2の端部26の長さに沿って中間位置に配置され、第2の端部26はPCB50から公称距離A(nominal distance A)をおいて位置決めされる。外側コンタクト40に加わるばね張力により、PCB50との確実な電気的接触を保証し、PCBの表面の凹凸(例えば、理想的な平面外形からの逸脱および他の表面変化)に対応する。
【0022】
図6Bに示すように、PCB50は、図示の軸方向において、コネクタ20からさらに離れて位置決めされる。この変化にもかかわらず、外側コンタクト40は、外側コンタクトを外側導電体22の第2の端部26に沿ってPCBに向かって付勢するばね44により加えられる圧力によって、PCB50に接触したままとなる。例示的な図示の位置で、第2の端部26は、PCB50から最大距離Bをおいて配置される。図示のように、外側コンタクト40が下方に移動すると、ばね44の自由端は、突起24において半径方向内方に摺動する。しかしながら、ばねは、外側導電体22の突起24に接触したままであるため、PCB50の外側コンタクト54に圧縮力を加え続け、適切な電気的接触が維持されることを保証する。
プランジャ38は、同様にばね36によって下方に付勢され、PCB50の第1のコンタクト52との圧縮接触を維持する。
【0023】
同様に、
図6Cは、PCB50とコネクタ20との間の距離が短くなり、プランジャ38がコネクタ20にさらに押し込まれている様子を示す。図示のように、外側コンタクト40が外側導電体22の第2の端部26にさらに押し付けられると、ばね44の自由端は、
図6Aまたは
図6Bの位置と比較して、半径方向にさらに外方に広がる。このようにして、外側導電体22の第2の端部26を、PCB50に対して最小距離Cに対応する位置に付勢することができる。
【0024】
図示の状況の各々において、軸方向位置および/または半径方向位置のこのような変化にもかかわらず、PCBとの電気的接触が維持される。したがって、高性能の電気的接続を維持しながら、上記の部品の相対位置に影響を与える製造または組立ての不具合に対応することができる。
【0025】
図8を参照すると、本開示の上記の実施形態によるコネクタ20が、第2のまたは相手側コネクタ90に係合した状態で示されている。相手側コネクタ90は、外側導電体91と、誘電体92内に支持された導電性中心コンタクト96とを含む。図示の相対嵌合方向または挿入方向Iに行われる嵌合動作中、コネクタ20の外側導電体22は、相手側コネクタ90の外側導電体91によって受け入れられ、相手側コネクタ90の外側導電体91と電気的接触を確立することができる。同様に、コネクタ20、90が嵌合すると、コネクタ20の中心コンタクトアセンブリ30の雄ピン32が、相手側コネクタ90の対応する雌導電性中心コネクタまたはコンタクト96に係合して、これらの間に電気的接触を確立する。
【0026】
図8に見られるように、図示の内側シールまたはブッシング25を設けない従来技術のコネクタによれば、コネクタが完全嵌合位置を実現するまで、コネクタ20の誘電体39の前端部139と相手側コネクタ90の誘電体92の対向する前端部94とが互いに向かって付勢される。コネクタが完全に嵌合する前にこれらの誘電体が互いに接触しないことを保証するために、従来技術のコネクタは、完全嵌合位置において誘電体の対向する前端部139、94間に空隙が確実に存在するように、サイズ決めしなければならない。詳細には、部品の製造公差および組立公差が、両方の誘電体39、92の、図示の軸方向または挿入方向Iに沿った最終位置を大きく変化させ得る。
したがって、これらの部品間に意図しない干渉が確実に生じないようにするために、空隙を設けることにより、コネクタが完全嵌合状態を実現する可能性を防がなければならない。しかしながら、これらの絶縁誘電体間に空隙の存在が必要となることは、コネクタ間で誘電率の変化が軸方向に移動することによって生じるインピーダンスの変化により、RF信号性能を低下させることを理解されたい。
【0027】
本開示の実施形態によれば、コネクタ20の例示的な内側ブッシング25は、コネクタが完全嵌合状態または完全嵌合位置を実現することを防ぐことなく、誘電体の前面139、94を効果的に接合することによって、このような欠点を改善するように適合されている。より詳細には、例示的な実施形態において、内側ブッシング25は、外側導電体22(
図3も参照)の内部に装着された弾性ブッシングを含む。外側導電体22内に画定された環状に突出するリブ122が、ブッシング25の周囲に画定された対応する環状スロット125に係合することによって、ブッシング25を、外側導電体22内において軸方向の移動から保持することができる。
【0028】
図8に示す嵌合位置で、誘電体39の前端部139は、ブッシング25の第1の側に当接し、誘電体92の前端部94は、ブッシング25の第2の側に圧縮するように当接する。ブッシング25の弾性により、嵌合状態における各コネクタ20、90の最終的な軸方向位置に影響を与える上記の位置変化または寸法変化に、ブッシングによって対応する。詳細には、ブッシング25は、各誘電体39、92との接触を維持しながら、必要に応じて圧縮または拡張して、コネクタが完全嵌合位置を確立できるように適合されている。ブッシング25は、好ましくは誘電体39、92の誘電率と等しいまたは同様(例えば、10%以内、またはより好ましくは5%以内)の誘電率を有するシリコンまたは他の適切な材料から構成することができる。
このようにして、コネクタが、中心導電性経路に沿って連続した途切れのない誘電絶縁面を画定するため、信号インピーダンスが標準化され、上記の従来技術の配置と比べてコネクタの全体的なRF性能が向上する。
【国際調査報告】