(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】生物学的流体中に存在する種を捕捉し且つ検出するシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/574 20060101AFI20230414BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230414BHJP
C12Q 1/24 20060101ALI20230414BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230414BHJP
G01N 15/00 20060101ALI20230414BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
G01N33/574 D
C12M1/00 A
C12Q1/24
C12Q1/02
G01N15/00 B
G01N27/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554965
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 FR2020052138
(87)【国際公開番号】W WO2021099749
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522196294
【氏名又は名称】スマートキャッチ
(71)【出願人】
【識別番号】510309020
【氏名又は名称】セントレ ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィック(セ・エン・エル・エス)
(71)【出願人】
【識別番号】508242067
【氏名又は名称】アンスティテュ・ナショナル・デ・シヤンス・アプリケ・ドゥ・トゥールーズ
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DES SCIENCES APPLIQUEES DE TOULOUSE
(71)【出願人】
【識別番号】513004087
【氏名又は名称】インスチチュート ナショナル ポリテクニク デ トゥールーズ
【氏名又は名称原語表記】Institut National Polytechnique de Toulouse
【住所又は居所原語表記】6,Allee Emile Monso,Toulouse Cedex 4,31029 France
(71)【出願人】
【識別番号】517264018
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ トゥールーズ トロワズィエム-ポール サバティエ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス‐ゼンテノ,アレハンドロ カユム
(72)【発明者】
【氏名】ブーリエ,ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ブウ,エリーゼ
(72)【発明者】
【氏名】サーフ,アライン
(72)【発明者】
【氏名】オーベール,エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィウ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】マラヴォー,ベルナール
【テーマコード(参考)】
2G060
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G060AA07
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF03
2G060AF06
2G060AG03
2G060FA17
2G060KA09
4B029AA09
4B029BB11
4B029CC10
4B029CC11
4B029HA06
4B063QA01
4B063QQ03
4B063QS39
4B063QX04
(57)【要約】
本発明は、流体中に存在する少なくとも1つの種を検出するための、好ましくは、人間または動物の生物学的流体中に存在する少なくとも1つの循環細胞または細胞凝集体、具体的には、血液流体中に存在する循環腫瘍細胞(CTC)を検出するためのシステムに関し、検出システムは、流体を濾過するための手段(20)を含み、濾過するための手段(20)は、濾過膜(21)を含み、濾過膜は、流体中に存在する所与のタイプの種を保持するように構成される少なくとも1つの細孔(22)を含み、濾過手段(20)は、流体中の動作中に、少なくとも1つの細孔(22)が占められるときでさえも、生物学的流体の循環の連続性を保証するように設計される、少なくとも1つの開口(23)を更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中に存在する少なくとも1つの種、好ましくは、人間または動物の生物学的流体中に存在する少なくとも1つの循環細胞または細胞凝集体、具体的には、血液流体中に存在する循環腫瘍細胞を検出するシステムであって、
前記流体のための濾過手段を含み、該濾過手段は、濾過膜を含み、該濾過膜は、前記流体中に存在する所与のタイプの種を保持するように構成される少なくとも1つの細孔を含み、前記濾過手段は、前記流体内の動作中に、前記少なくとも1つの細孔が占められるときでさえも、前記生物学的流体の循環の連続性を保証するように構成される、少なくとも1つの開口を更に含む、
システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの細孔の周囲に配置される複数の電極を更に含み、前記電極は、AC電気信号によって分極される1つ以上の電気回路を形成することで、1つ以上の細胞が細孔内または細孔付近に収容されるやいなや、これらの電極間の複素インピーダンスの変動の測定を可能にし、複素インピーダンス係数およびその位相の変動の測定は、細胞のタイプを区別することを可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電極に適用される前記AC電気信号は、前記電極によって作り出される電場が、前記電極間に生成される誘電泳動力の故に前記細孔内の細胞の捕捉または放出を可能にするような周波数を有する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記分極周波数は、前記細胞を前記電極間で中心化し且つ前記細胞を前記細孔内に保持するように、前記捕捉中に正の誘電泳動力を誘起する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記分極周波数は、全ての捕捉された細胞を分離する負の誘電泳動力を誘起し、前記周波数は、典型的には、1MHzである、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記周波数は、ある細胞タイプを選択的に分離する誘電泳動力を誘起し、前記周波数は、50KHz~150KHzの間にあり、好ましくは、前記腫瘍細胞を分離するために100KHzにある、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記分極周波数は、前記捕捉された細胞をそれらの誘電特性に依存する異なる時に分離するために、10kHz~200kHzの間で段階的に増加される、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
電磁共振器回路を形成するように前記電極に接続される誘導器を更に含み、前記電極および前記誘導器は、好ましくは、遠隔に探索可能である、捕らえられた細胞の存在を検出する回路を形成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記濾過膜は、ガラスまたは金属、例えば、ニッケル、金またはポリマ、強磁性材料、磁性金属、例えば、NiFe、またはガラスおよびシリコンまたはニッケルおよびシリコンの組み合わせ、窒化ケイ素、酸化ケイ素、シリコンまたはより一般的に生体適合性材料および無毒材料を含む群から選択される材料で作られる、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記細孔は、0.1μm~100μmの間の、好ましくは、8μm~12μmの間または8μm~15μmの間の断面寸法を有し、且つ/或いは、
前記細孔は、100nm~100μmの間の間隔で離間し、
前記細孔の数は、100~100,000,000の間にある、
請求項1~9のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記細孔は、実質的に円形または実質的に楕円形または実質的に多角形もしくはスリット形であり、前記細孔は、好ましくは、円形である、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記膜の前記細孔は、幾つかの細孔のグループにおいて配置され、各グループは、あるパターンを有し、前記グループは、一列の細孔を介して互いに接続されることができる、請求項1~11のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
あるグループによって形成される前記パターンは、ある形状、すなわち、六角形、円形を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記膜は、正方形または星形構造に配置された細孔の幾つかのグループの細孔を含む、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記膜の前記細孔は、無作為に配置される、請求項1~14のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記濾過手段は、凹んだ領域を含む平面的な支持体を含み、前記凹んだ領域には、前記濾過膜が配置され、前記凹んだ領域には、前記開口が形成され、該開口は、前記濾過膜の周辺に配置される、請求項1~15のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記濾過手段が収容されるコンパートメントを含み、該コンパートメントは、入口モジュールおよび出口モジュールを含み、前記入口モジュールおよび前記出口モジュールは、流体が前記入口モジュールから前記出口モジュールに流れて前記濾過手段を通過することを可能にするように互いに接合される、請求項1~16のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
入口ラックと、出口ラックと、前記濾過手段を支持するブレードとを含み、前記入口ラックおよび前記出口ラックは、流体が前記入口ラックから前記出口ラックに流れて前記濾過手段を通過することを可能にするために、前記ブレードが前記入口ラックと前記出口ラックとの間にあるように互いに接合される、請求項1~17のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
直列に配置された請求項1~18のうちのいずれか1項に記載の複数のシステムを含む捕捉アセンブリであって、各システムは、1つのタイプの種を保持するように構成される濾過手段を含む、捕捉アセンブリ。
【請求項20】
入口モジュールと、出口モジュールと、前記入口モジュールと前記出口モジュールとの間に配置される少なくとも1つの中間モジュールとを含み、前記出口モジュールおよび前記中間モジュールは、濾過手段を支持し、前記モジュールは、それらを互いに固定する手段を含む、請求項19に記載の捕捉アセンブリ。
【請求項21】
入口ラックと、出口ラックと、前記入口ラックと前記出口ラックとの間に配置される少なくとも1つの中間ラックとを含み、前記出口ラックおよび前記中間ラックは、濾過手段を支持し、前記ラックは、それらを互いに固定して一体的なアセンブリを形成する手段を含む、請求項19に記載の捕捉アセンブリ。
【請求項22】
請求項2~20のうちのいずれか1項に記載のシステム内で流体を循環させるステップを含む、流体内で循環する細胞を捕捉する方法であって、
前記電極によって作り出される電場が、前記電極間で生成される前記誘電泳動力の故に、前記捕捉される細胞を前記細孔から捕捉または放出することを可能にするように、ある周波数を有する電極に電気信号を適用するステップを含む、
方法。
【請求項23】
前記分極周波数は、前記細胞を前記電極間で中心化し且つ前記細胞を前記細孔内に保持するように、前記捕捉中に正の誘電泳動力を誘起する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記分極周波数は、全ての捕捉された細胞を分離する負の誘電泳動力を誘起し、前記周波数は、典型的には、1MHzである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記周波数は、ある細胞タイプを選択的に分離する誘電泳動力を誘起し、前記周波数は、50KHz~150KHzの間にあり、好ましくは、前記腫瘍細胞を分離するために100KHzにある、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記分極周波数は、前記捕捉された細胞をそれらの誘電特性に依存する異なる時に分離するために、10kHz~200kHzの間で段階的に増加される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的または非生物学的流体(血液および血漿および血清のようなその誘導体、尿、水、空気、ならびに分析を必要とする任意の他の流体)中に存在する特定の種(species)または粒子(particles)を捕捉することの分野に関する。本発明は、具体的には、医学的モニタリングのために生物学的流体中に存在する関心の細胞を分析するための血液のような生物学的流体中に存在する関心の細胞の捕捉に関する。本発明は、癌性病理の診断のために並びに腫瘍学治療のために、癌性病理を患う患者の医学的モニタリングのための循環腫瘍細胞の検出および/または血液中に含まれる腫瘍細胞のほぼ完全な抽出に特に適用可能であり、本発明は、腫瘍細胞を濾過/抽出することを可能にする。本発明は、検出可能な細胞を用いた治療効果のモニタリングおよび予後(prognosis)にも適用される。
【背景技術】
【0002】
流体は、計数し且つ分析する関心のある幾つかのタイプの種またはビーズ(beads)を運ぶことがある。具体的には、動物または人間の生物学的流体は、幾つかのタイプの細胞を運び、その存在は、異なる病理のモニタリングまたは検出を可能にすることがある。
【0003】
具体的には、循環血液中の循環腫瘍細胞(以下、CTC:circulating tumor cells)は、癌の診断を助け、よって、患者のより良い治療を可能にするために研究される。
【0004】
実際には、癌性腫瘍はCTCを血流中に放出し、この現象が疾患の初期段階に現れることが示されている。1つ以上の細胞の生物学的および分子的分析は、正確な診断を可能にし、癌の攻撃性および治療の有効性に関する情報を提供する。従って、CTCは、癌の管理、診断、予後、およびモニタリングの全ての段階において興味深いバイオマーカ(biomarker)である。
【0005】
しかしながら、CTCは、癌患者の血液中に極めて低い濃度(約1/109正常血液細胞)で存在する。従って、これらの希少細胞の単離(isolation)および/またはほぼ完全な抽出は、極めて困難である。
【0006】
様々なインビトロ(試験管内)方法は、免疫検出(immunodetection)に基づいてこの単離を行うことが知られている。それらは、上皮由来の細胞に特異的な膜抗原であるEpCAM(上皮細胞接着分子)がCTCの表面に存在することに基づいている。7.5mlの血液試料が遠心分離され、次に、強磁性ナノ粒子の存在の下に置かれ、強磁性ナノ粒子は、抗EpCAM抗体をそれらの表面に有する。次に、CTCは、磁場を印加することによって他の細胞から分離される。
【0007】
以下の2つの欠点がこのシステムと関連付けられている。
- 極めて限られた血液試料(全血液量の0.15%に対応する7.5ml)が使用され、血液試料中のCTC数は、低濃度であるならば、極めて少ない。
- それは上皮間葉転換(EMT:epithelial-mesenchymal transition)中にEpCAMタンパク質を失ったCTCの検出を可能にせず、それはそれらの細胞の全集団の約2/3を表す。他方、それは限られた生活環(ライフサイクル)を持ち且つ最も危険ではない分化細胞(differentiated cells)の検出を可能にするにすぎない。
【0008】
血液試料からインビトロでCTCを単離する他のアプローチは、CTCのサイズに基づいて、知られている。具体的には、ISET(「上皮腫瘍細胞のサイズによる単離(Isolation by Size of Epithelial Tumor Cells)」)システムは、微小穿孔ポリカーボネート膜上での処置済み血液試料の濾過(赤血球の事前溶解)を使用する。このシステムにおいて、CTCは、印加される高圧に耐えるように、パラホルムアルデヒドの適用によって事前に硬化される(rigidified)。
【0009】
一般に、インビトロ検出の感度は、少量の試料によって低減される。実際には、血液中のCTCが希であることを考えると、数ミリリットルの試料中のそれらの存在は、既に進行した癌の段階では数単位に達し得る。従って、より一層初期の段階でのそれらの検出は、殆ど不可能である。
【0010】
より最近では、生理的培地(physiological medium)中にCTCを捕捉し、それによって、それらの生存能力(viability)を可能な限り維持し、インビトロシステムで分析されるものよりも大きな血液量に潜在的にアクセスするために、インビボ(生体内)の使用またはアフェレーシス療法による使用のために設計されたシステムが開発されている。
【0011】
システムは、インビトロシステムよりも有利であるが、いずれのシステムも、特にリアルタイム使用のためのCTCの捕捉および同時計数を可能にしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
実際には、知られているシステムは、捕捉された細胞の腫瘍の性質を識別するために免疫染色(immunostaining)技法を使用する。これらの技法は、捕捉後の操作を必要とし、高価であり、ベッドサイドでの直接的なリアルタイム検出を可能にしない。加えて、使用されるプラットフォームは、捕捉された細胞を数えるために蛍光顕微鏡の使用を可能にするために透明でなければならない。更に、これらの技法は、標識付けられた細胞の完全性(integrity)を保証せず、それらは、生物学的分析または培養(culture)におけるそれらの使用の前に改変される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、従来技術の欠点を克服するシステムを提供する。
【0014】
この目的のために、本発明は、第1の態様に従って、流体中に存在する少なくとも1つの種、好ましくは、人間または動物の生物学的流体中に存在する少なくとも1つの循環細胞または細胞凝集体、具体的には、血液流体中に存在する循環腫瘍細胞を検出するシステムであって、流体のための濾過手段を含み、濾過手段は、濾過膜を含み、濾過膜は、流体中に存在する所与のタイプの種を保持するように構成される少なくとも1つの細孔を含み、濾過手段は、流体内の動作中に、少なくとも1つの細孔が占められるときでさえも、生物学的流体の循環の連続性を保証するように構成される、少なくとも1つの開口を更に含む、システムを提案する。
【0015】
第1の態様による発明は、有利には、以下の構成によって、単独で、或いはそれらの任意の技術的に可能な組み合わせにおいて、完成される。
【0016】
- システムは、少なくとも1つの細孔の周囲に配置される複数の電極を更に含み、電極は、AC電気信号によって分極される1つ以上の電気回路を形成することで、1つ以上の細胞が細孔内または細孔付近に収容されるやいなや、これらの電極間の複素インピーダンスの変動の測定を可能にし、複素インピーダンス係数およびその位相の変動の測定は、細胞のタイプを区別することを可能にする。
【0017】
- 電極に適用されるAC電気信号は、電極によって作り出される電場が、電極間に生成される誘電泳動力の故に細孔内の細胞の捕捉または放出を可能にするような周波数を有する。
【0018】
- 分極周波数は、細胞を電極間で中心化し且つ細胞を細孔内に保持するように、捕捉中に正の誘電泳動力を誘起する。
【0019】
- 分極周波数は、全ての捕捉された細胞を分離する負の誘電泳動力を誘起し、周波数は、典型的には、1MHzである。
【0020】
- 周波数は、ある細胞タイプを選択的に分離する誘電泳動力を誘起し、周波数は、50KHz~150KHzの間にあり、好ましくは、腫瘍細胞を分離するために100KHzにある。
【0021】
- 分極周波数は、捕捉された細胞をそれらの誘電特性に依存する異なる時に分離するために、10kHz~200kHzの間で段階的に増加される。
【0022】
- システムは、電磁共振器回路を形成するように電極に接続される誘導器を更に含み、電極および誘導器は、好ましくは、遠隔に探索可能である、捕らえられた細胞の存在を検出する回路を形成する。
【0023】
- 濾過膜は、ガラスまたは金属(ニッケル、金)またはポリマ、強磁性材料、磁性金属(NiFe)、またはガラスおよびシリコンまたはニッケルおよびシリコンの組み合わせ、窒化ケイ素、酸化ケイ素、シリコンまたはより一般的に生体適合性材料および無毒材料を含む群から選択される材料で作られる。
【0024】
- 細孔は、0.1μm~100μmの間の、好ましくは、8μm~12μmの間または8μm~15μmの間の断面寸法を有し、且つ/或いは、細孔は、100nm~100μmの間の間隔で離間する。細孔の数は、100~100,000,000の間にある。
【0025】
- 細孔は、実質的に円形または実質的に楕円形または実質的に多角形もしくはスリット形である。
【0026】
- 膜の細孔は、幾つかの細孔のグループにおいて配置され、各グループは、あるパターンを有し、グループは、一列の細孔を介して互いに接続されることができる。
【0027】
- あるグループによって形成されるパターンは、ある形状、すなわち、六角形、円形を有する。
【0028】
- 膜は、正方形または星形構造に配置された細孔の幾つかのグループの細孔を含む。
【0029】
- 膜の細孔は、無作為に配置される。
【0030】
- 濾過手段は、凹んだ領域(recessed area)を含む平面的な支持体を含み、凹んだ領域には、濾過膜が配置され、凹んだ領域には、開口が形成され、開口は、濾過膜の周辺に配置される
【0031】
- システムは、濾過手段が収容されるコンパートメントを含み、コンパートメントは、入口モジュールおよび出口モジュールを含み、入口モジュールおよび出口モジュールは、流体が入口モジュールから出口モジュールに流れて濾過手段を通過することを可能にするように互いに接合される。
【0032】
- システムは、入口ラックと、出口ラックと、濾過手段を支持するブレードとを含み、入口ラックおよび出口ラックは、流体が入口ラックから出口ラックに流れて濾過手段を通過することを可能にするために、ブレードが入口ラックと出口ラックとの間にあるように互いに接合される。
【0033】
第2の態様に従った本発明は、直列に配置された本発明に従った複数のシステムを含む捕捉アセンブリを提供し、各システムは、1つのタイプの種を保持するように構成される濾過手段を含む。
【0034】
第2の態様による発明は、有利には、以下の構成によって、単独で、或いはそれらの任意の技術的に可能な組み合わせにおいて、完成される
【0035】
- アセンブリは、入口モジュールと、出口モジュールと、入口モジュールと出口モジュールとの間に配置される少なくとも1つの中間モジュールとを含み、出口モジュールおよび中間モジュールは、濾過手段を支持し、モジュールは、それらを互いに固定する手段を含む。
【0036】
- 入口モジュールは、流体入口を含み、出口モジュールは、流体出口を含む。
【0037】
- アセンブリは、入口ラックと、出口ラックと、入口ラックと出口ラックとの間に配置される少なくとも1つの中間ラックとを含み、出口ラックおよび中間ラックは、濾過手段を支持し、ラックは、それらを互いに固定して一体的なアセンブリを形成する手段を含む。
【0038】
本発明は、本発明の第1の態様に従ったシステム内で流体を循環させるステップを含む、流体内で循環する細胞を捕捉する方法にも関し、当該方法は、電極によって作り出される電場が、電極間で生成される誘電泳動力の故に、捕捉される細胞を細孔から捕捉または放出することを可能にするように、ある周波数を有する電極に電気信号を適用するステップを含む。
方法。
【0039】
本発明による方法は、有利には、以下の構成によって、単独で、或いはそれらの任意の技術的に可能な組み合わせにおいて、完成される。
【0040】
- 分極周波数は、細胞を電極間で中心化し且つ細胞を細孔内に保持するように、捕捉中に正の誘電泳動力を誘起する。
【0041】
- 分極周波数は、全ての捕捉された細胞を分離する負の誘電泳動力を誘起し、周波数は、典型的には、1MHzである。
【0042】
- 周波数は、ある細胞タイプを選択的に分離する誘電泳動力を誘起し、周波数は、50KHz~150KHzの間にあり、好ましくは、腫瘍細胞を分離するために100KHzにある。
【0043】
- 分極周波数は、捕捉された細胞をそれらの誘電特性に依存する異なる時に分離するために、10kHz~200kHzの間で段階的に増加される。
【0044】
異なる種の捕捉は、流体中を循環する種の物理的性質、特に、それらのサイズおよび変形能(deformability)に基づく。細胞の場合、流体は、生物学的(血液、尿、リンパ液、および一般的に人間または動物内で循環して分析されるべき関心のある細胞を運ぶ任意の流体)である。この生物学的流体は、緩衝液中で希釈されることがあり、或いは希釈されないことがある。この流体は、培養培地(culture medium)であってもよい。
【0045】
血液中に潜在的に存在する細胞について、血小板のサイズは、2~4μmであり、赤血球のサイズは、約7μmであり、白血球のサイズは、7~15μmであるが、非常に変形可能である。CTCのサイズは、4~25μmで異なるが、あまり変形可能でない。
【0046】
従って、細胞が低い変形能を有する限り、細胞は、濾過手段によって捕捉されることができる一方で、生物学的流体の他の非腫瘍成分が、インビボで存在するような通常の血流条件の下で通ることを可能にする。
【0047】
開口の存在は、捕捉された要素による濾過膜の充填にかかわらず、圧力および速度のインビボ条件の下での生物学的流体の循環の連続性を確実にする。
【0048】
好ましくは、濾過膜およびそのポートを電極に結合することによって、本発明は、物理的捕捉を、細孔の近傍に捕えられる細胞の検出と組み合わせる。よって、捕捉された細胞の計数は、リアルタイムで行われることができる。
【0049】
特に、CTCについては、これらは特定の誘電特性を有するため、それらは電極によって形成される電気回路のインピーダンスに影響を与える。それらは電気信号にリアルタイムで影響を及ぼし、従って、濾過手段によって捕捉された細胞または濾過手段の妨害率(rate of obstruction)のリアルタイム検出を可能にする。妨害率の検出は、濾過手段が飽和状態にならないで種を捕捉し得るかどうかを決定することを可能にする。CTCが捕捉されることがある他の細胞とは異なる誘電特性を有するという観察に基づいて、捕捉された細胞の中からそれらを識別することが可能である。
【0050】
それらの誘電特性に基づくCTCのリアルタイム電気的検出は、腫瘍細胞の免疫標識のステップ、および標識付けられた細胞の特徴付けに必要な光学顕微鏡法に適合するシステムの設定のステップを回避することを可能にする。よって、本発明は、濾過膜上のCTCの存在を直接的に特徴付けることを可能にして、デバイスの後続の操作を回避する。従って、医療情報は、より低コストで、非侵襲的に、即座に送達される。捕捉のリアルタイムモニタリングは、デバイスの曝露時間を、デバイスの情報の豊富さまたはスパース性(sparsity)、よって、提供される医療情報の正確さに合わせるために、ユーザが、分析される患者の血液流体および腫瘍負荷に対するデバイスの曝露時間を調節することを可能にすることによって、インビボおよびエクスビボの両方の用途のために有意な利点を有する。加えて、本発明は、血液中に含まれる循環腫瘍細胞の捕捉後の除去も可能にして、治療モダリティ(therapeutic modality)を提供する。
【0051】
本発明は、曝露された時間または容積の単位当たりの種の数に関する即時の初期情報を臨床医に提供し、次に、それはそのように捕捉された集団の分析によって補足されることができる。多くの分析方法は、最小限の試験を必要とすること、並びに、本発明は、しばしば高額の費用を負担する前に、分析を実施するための条件が満たされることを確実にすることも可能にすることが、留意されるべきである。加えて、試料の収集し、輸送し、調製する必要はない。情報の質は維持され、細胞はネイティブな生理学的条件の下で単離され、この情報は、迅速な意思決定のために、診察の場所で、専門家に直ちに返却される。本発明は、患者の治療のための有用なデータの生成も可能にする。血液流体の状態は、患者毎に、そして一日を通じて患者レベルで変化するので、本発明は、比較可能なデータベースを構築するための較正または参照として役立つように、局所的な流体速度測定と結合されることができる。
【0052】
有利には、電極によって形成される電気回路を共振器回路に結合することのお陰で、CTCの検出にリンクされるインピーダンス変動は、遠隔無線モードで非接触且つ遠隔に測定されることができる。
【0053】
抗体を用いてシステムの表面を機能化し(functionalize)、物理的および親和性(affinity)捕捉を組み合わせることも可能である。
【0054】
分析または再培養のための収集手段としての濾過デバイスからの捕捉された細胞の放出は、検出のために使用される電極と同じ電極を使用する電気刺激によって達成されることができる。
【0055】
本発明の追加の構成、目的および利点は、純粋に例示的であり且つ非限定的であり、添付の図面と併せて読まれるべき、以下の記述から明らかであろう
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】流体中に存在する種を捕捉するシステムを示している。
【
図2】本発明の一実施形態による濾過膜を示している。
【
図4a】異なる態様における濾過膜の図を示している。
【
図4b】異なる態様における濾過膜の図を示している。
【
図5】異なる態様における濾過膜の図を示している。
【
図6】異なる態様における濾過膜の図を示している。
【
図7】本発明による濾過膜のポートの周囲に電極を配置する2つの実施形態を示している。
【
図8】本発明のシステムのコンパートメントを示している。
【
図9a】本発明のシステムのコンパートメントの入力モジュールの異なる図を示している。
【
図9b】本発明のシステムのコンパートメントの入力モジュールの異なる図を示している。
【
図9c】本発明のシステムのコンパートメントの入力モジュールの異なる図を示している。
【
図9d】本発明のシステムのコンパートメントの入力モジュールの異なる図を示している。
【
図9e】本発明のシステムのコンパートメントの入力モジュールの異なる図を示している。
【
図10a】本発明のシステムのコンパートメントの出力モジュールの異なる図を示している。
【
図10b】本発明のシステムのコンパートメントの出力モジュールの異なる図を示している。
【
図10c】本発明のシステムのコンパートメントの出力モジュールの異なる図を示している。
【
図10d】本発明のシステムのコンパートメントの出力モジュールの異なる図を示している。
【
図10e】本発明のシステムのコンパートメントの出力モジュールの異なる図を示している。
【
図10f】本発明のシステムのコンパートメントの出力モジュールの異なる図を示している。
【
図11a】本発明によるシステムのコンパートメントモジュールにおける捕捉システムの取付けを示している。
【
図11b】本発明によるシステムのコンパートメントモジュールにおける捕捉システムの取付けを示している。
【
図12a】追加の中間モジュールを有する
図8のコンパートメントを示している。
【
図12b】追加の中間モジュールを有する
図8のコンパートメントを示している。
【
図12c】追加の中間モジュールを有する
図8のコンパートメントを示している。
【
図13a】本発明のシステムのコンパートメントの中間モジュールの異なる図を示している。
【
図13b】本発明のシステムのコンパートメントの中間モジュールの異なる図を示している。
【
図13c】本発明のシステムのコンパートメントの中間モジュールの異なる図を示している。
【
図13d】本発明のシステムのコンパートメントの中間モジュールの異なる図を示している。
【
図13e】本発明のシステムのコンパートメントの中間モジュールの異なる図を示している。
【
図13f】本発明のシステムのコンパートメントの中間モジュールの異なる図を示している。
【
図14】本発明の一実施形態によるラックおよびラックの組み合わせを示している。
【
図15】本発明の一実施形態によるラックおよびラックの組み合わせを示している。
【
図16】本発明の一実施形態によるラックおよびラックの組み合わせを示している。
【
図17】本発明の一実施形態によるラックおよびラックの組み合わせを示している。
【
図18】本発明の一実施形態に従って互いに組み立てられたラックを示している。
【
図19】本発明の一実施形態に従って互いに組み立てられたラックを示している。
【
図20】本発明の一実施形態に従って互いに組み立てられたラックを示している。
【
図21】本発明による捕捉および検出方法のステップを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図を通じて、類似の要素は、同一の参照を有する。
【0058】
本発明の態様は、生物学的流体中に存在する細胞(cells)の捕捉(capture)および検出(detection)の脈絡において以下に記載されるが、本発明は、生物学的または非生物学的流体(血液および血漿および血清のようなその誘導体、尿、水、空気、汚染物質など)中に存在する全てのタイプの種(species)またはビーズ(beads)の捕捉および検出に適用される。
【0059】
本発明は、種の捕捉に適用されること、並びに、種は、腫瘍細胞、腫瘍細胞の凝集体(aggregate)、血栓(blood clot)(血液である流体)、エキソソーム(exosome)を意味することが明記される。
【0060】
図1に関連して、流体中に存在する循環細胞(circulating cells)を捕捉するシステム1が、流体入口11と、流体出口12とを含む。流体は、本明細書に記載するシステムを循環し且つ通過することが理解されるべきである。
【0061】
そのようなシステム1は、自分の腕100を介して人間の血流に接続されてよいが、当然のことながら、それは、人間または動物の体の他の部分に接続されてもよい。好ましくは、システムは、(例えば、肘のしわ内の)末梢静脈に或いは人間または動物の中心静脈線に接続される。代替的に、そのようなシステム1は、一方では、流体を含む試験管101に接続されてよく、他方では、捕捉システム1を通過した後に流体を収集するシステム102に接続されてよい。
【0062】
エクスビボ(生体外)またはインビボ使用の場合、蠕動ポンプまたは圧力制御ポンプ13が流体入口に接続され、流量センサ14はポンプ13が調整されることを可能にする。ポンプ13は、以下に詳細に記載する説明する濾過手段20に流体を送達するために使用される。よって、入ってくる流体は、濾過手段20を通過し、患者または動物の体内または流体収集管内に再注入される。流体注入口および流体出口は、カテーテルによって或いは当業者に知られている任意の他の手段によって循環流体に接続され、システムが使用されるべき場所に適合される。
【0063】
代替的に、システムは、インビボで使用されることができ、ポンプを必要としない。この場合、それは直接的に循環流体内に配置される。
【0064】
濾過手段20は、捕捉された細胞を検出するための手段26に有利に結合される。
【0065】
検出手段26に関連する測定ユニット15は、検出された細胞に関する情報を測定する。
【0066】
システム1は、有線または無線端末2と通信する有線または無線通信インターフェース16も含む。そのような端末2は、ユーザが検出に関する様々な情報にアクセスすることを可能にするインターフェースを含む。
【0067】
(濾過手段)
図2および
図3は、濾過手段20の可能な実施形態を示している。このモノリシック濾過手段は、濾過膜21が配置される領域25を含む、例えば、円形の、平面的な支持体24を含む。
【0068】
膜は、例えば、円形であり、同じ形状の領域25に配置される。
【0069】
膜内には、濾過手段20が配置される生物学的流体中に存在する細胞を捕捉/保持するための少なくとも1つの細孔22(pore)が形成される。流体は、システムを通じて流れる。
【0070】
膜は、ガラスまたは金属(ニッケル、金)、またはポリマ、強磁性材料、磁性材料(NiFe)、多材料(ガラス/シリコン)、窒化ケイ素、酸化ケイ素、シリコン(ケイ素)を含むグループ(群)から選択される、生体適合性および無毒性の材料からなる。
【0071】
明らかに、流体が生物学的でない用途では、材料が生体適合性であるという事実は無関係である。
【0072】
細孔は、有利には、0.1μm~100μmの間の、好ましくは8μm~12μmまたは8μm~15μmの間の断面寸法を有し、典型的には、1,000~6,000の間の、好ましくは100~100,000,000の数である。細孔のサイズおよび数は、捕捉されるべき循環細胞のタイプと濾過手段が使用される方法(インビボ、エクスビボ、インビトロ)に依存する。
【0073】
相補的に、細孔は、0.1μm~100μmの間で、好ましくは8μm~12μmまたは8μm~15μmの間で離間する。
【0074】
細孔は、様々な形状を有する。それらは、実質的に円形、または実質的に楕円形、または実質的に多角形またはスリット形であってよい。
【0075】
有利には、膜の細孔は、複数の細孔のグループにおいて配置され、各グループは、パターンを有し、グループは、細孔の列を介して互いに連結可能である。
【0076】
例えば、
図2において、細孔は、4つのグループ210において配置され、各グループは、多角形の形状を有する。
【0077】
グループは、幾つかのパターンで、すなわち、正方形(
図2)または星形(
図4a)において膜の上に配置されることができる。星構造に関して、細孔は、六角形のグループ211において配置され、六角形のグループ211は、スリット形の細孔のグループ212によって互いに接続される。よって、星構造は、2つのグループの細孔を組み合わせることによって得られる。星構造は、膜の中心に配置された中央グループ211から延び、6つの枝が、この中央グループから延びている。各枝の上で、2つの多角形のグループが中央グループに接続され、スロット212は、多角形のグループを接続する。もちろん、枝の数は、枝当たりのグループの数と同様に異なることができる。
【0078】
代替的に、
図4bに関して示すように、グループ211’に配置される細孔は、互いに接続されず、互いに独立した場所212’にある。これは支持体24にある細孔の数を最大にする。
【0079】
流体流における連続性を可能にするために、細孔の周囲にある支持体に開口23が形成される。乱されない血流を維持するために、捕捉された要素による濾過領域の潜伏(occultation)の程度にかかわらず。
【0080】
図2および
図3を再び参照すると、開口は、膜の周囲の角度扇形(angular sector)のように形作られる。そのような形状は限定的でなく、他の形状を考えることができる。また、流体妨害(fluid disrupting)または流体濃縮要素(fluid concentrating elements)を配置することができる。
【0081】
開口の数および形状は、濾過手段20の機械的強度が損なわれるのが可能な限り少ないように最適化される。
図2および
図3に示す例では、4つの開口23が存在する一方で、
図5に示す例では、6つの開口23が存在する。
【0082】
代替的に、
図6に関して、膜は、周辺角度扇形の開口23に加えて、中央開口27を含んでよい。この例において、細孔は、スリット形のグループによって対に接続された多角形のグループである。2つの六角形のグループのセットは、中央開口24の周りに星形に分布されている。
【0083】
図4の構成について、以下のパラメータを使用することができる。
- 円形の細孔の直径8μm、9μm、10μm、11μm、12μm
- 5μmの細孔間距離、
- 細孔の数:4,246、3,395、2,717、2,287、1,880、
- 六角形のグループ当たりの平均細孔数:271、220、169、135、121、
- スリット当たりの平均細孔数: 54、45、40、27
- 細孔が占める表面積:0.213mm
2、0.216mm
2、0.217mm
2、
- 1つの開口の総表面積:0.111mm
2、
- 4つの開口が占める総面積:0.444mm
2。
【0084】
図5の構成のために以下のパラメータを使用することができる。
- 8μm、9μm、10μm、11μm、12μmの円形細孔の直径、
- 5μmのポート間距離、
- 3395、4246、2717、2287、1880の細孔数、
- 220、271、121、169、135の六角形のグループ当たりの平均細孔数、
- 45、54、40、27、54のスリット当たりの平均細孔数、
- 細孔が占める0.216mm
2、0.213mm
2、0.217mm
2の表面積、
- 0.111mm
2の1つの開口の表面積、
- 6つの開口が占める0.666mm
2の総表面積。
【0085】
図6の構成のために以下のパラメータを使用することができる。
- 8μm、9μm、10μm、11μm、12μmの細孔直径、
- 5μmの細孔間距離、
- 1227、486、386、324、271の細孔数、
- 220、169、135、121の六角形のグループ当たりの平均細孔数、
- 45、40、27のスリットあたりの平均細孔数、
- 細孔が占める0.213mm
2、0.216mm
2、0.217mm
2の表面積、
- 中央開口が占める0.057mm
2の表面積、
- 0.111mm2の1つの周辺開口の表面積、
- 6個の開口および中央開口が占める0.723mm
2の総表面積。
【0086】
(捕捉および検出および測定単位)
図3および
図7に関連して、濾過手段20を用いて、細孔によって捕捉された細胞を検出するために、捕捉および検出システムは、有利には、細孔22の周囲に配置された電極によって構成される検出手段26を含む。電極26は、互いに接続されて、電気的励起の周波数に依存する複素インピーダンスによって特徴付けられる1つ以上の電気回路を形成する。周波数に依存するこのインピーダンスの値は、細孔22をバイパスする電極の近傍にある細胞の存在によって影響される。
【0087】
具体的には、複素インピーダンスが電極間で測定されるように、AC電圧が所与の周波数で電極に印加される。測定されたインピーダンスの実部は、その空間を占める媒質の電気抵抗の特性である。虚部に関して、それは媒質の誘電特性、特に、その誘電率を反映する。電気的測定中に、我々は印加電圧に関する電流の位相シフトおよび複素インピーダンスの係数(modulus)を測定した。これらの2つの測定は、電気インピーダンスの実部および虚部の両方を探査する(probe)。
【0088】
細胞が電極間に位置付けられるとき、(その係数および「位相」による)測定された電気インピーダンスが修正される。インピーダンスの実部は、虚部と同様に修正される。従って、我々は、インピーダンス係数の変動によって並びに電流/電圧位相シフトの変動によって再現されるこれらの2つの変化を測定する。
【0089】
複素インピーダンスの測定は、細胞のタイプ、特に、腫瘍性/非腫瘍性を区別することを可能にする。それは実際にはこのタイプの検出を行うために最も価値のある情報を含む虚部の変化である。
【0090】
特に、CTCは、特定の誘電特性を有するので、それらは、他の潜在的に捕捉された細胞タイプと区別可能な方法において、このインピーダンスの値を変化させる。検出される変動に依存して、捕捉された細胞およびそれらのタイプを検出することが可能である。電極は、例えば、金、銅、プラチナ、ニッケル、圧電材料、導電性ポリマである。インピーダンスは、10Hz~1MHzの範囲内で測定され、或いは10Hz~5MHzの範囲でさえ測定される。
【0091】
従って、これらの電極は、捕捉された細胞が捕えられる細孔の近傍の媒質の誘電特性を電気的に探査するために、濾過膜の細孔を囲む。
【0092】
上述の信号周波数範囲の、電気インピーダンスの虚部は、細胞の細胞膜(plasma membrane)によって形成されるキャパシタンスによって支配される。膜タンパク質に富んだこの脂質二重層は、2つの導電性媒質、すなわち、細胞内媒質(細胞質(cytoplasm))および細胞外媒質(細胞を含む分析されるべき流体)を分離する優れた電気絶縁体であり、よって、キャパシタンスによって、すなわち、容量性起源(capacitive origin)の仮想インピーダンスによって記述される一種の電気コンデンサを形成する。電極間に細胞が存在しない場合、この膜キャパシタンスは、電気回路には存在しないが、セルが(電極から出現する電場が存在する領域において)電極間に位置付けられるときに、この膜キャパシタンスは、回路内に現れる。この変化は、測定されたインピーダンスの虚部の変動をもたらす。もちろん、同時に、インピーダンスの実部も修正される。よって、細胞の存在によって修正されたインピーダンスの両方の部分(実部および虚部)が、捕捉中に測定される。血液中を循環する腫瘍細胞は、非常に特異な細胞膜形態(morphology)を有し、健康な細胞には存在しない多数の隆起(protuberances)の存在をもたらす。これらの隆起は、健康細胞の血漿表面(plasma surface)と比較されるときに、腫瘍細胞の細胞膜の表面積を著しく増加させる。よって、細胞の膜キャパシタンスは、そのキャパシタンスが対向する導体の表面積に比例する平坦なコンデンサのように挙動する。これは、腫瘍細胞の膜キャパシタンスが健康細胞の膜キャパシタンスよりもずっと大きい理由を説明する。よって、実施される検出は、電気インピーダンスの虚部における変動の大きさの故に、捕捉デバイスによって保持される細胞を検出することのみならず、各々の捕捉された細胞の健康なまたは腫瘍の性質を予測することも可能にする。
【0093】
図7に示すように、電極は、様々な方法において、すなわち、細孔を巻き付けることによって、或いは細孔の周囲に直線軌道を形成することによって、細孔を取り囲むことができる。電極形状の選択は、細孔密度に依存する。代替的に、電極は、細孔の内壁に位置することができる。
【0094】
電極を接触パッド28に接続する接続トラック29が、直接(能動)測定のために必要とされる。接触パッド28は、電極間の細胞の存在によって誘発されるインピーダンス変動の値の直接的な測定を可能にする測定ユニット15に接続される。
【0095】
測定ユニットは、受動的および無線測定(デバイスの呼掛けおよび遠隔信号の受信)のための電磁共振器を形成するために電極に接続されたコイル151を含んでよい。次に、無線端末2は、非接触で検出回路のインピーダンスの変動を測定することができる。コイル151は、膜に含められることもでき、次に、そのインダクタンスの値は、遠隔的に測定されることができる。
【0096】
代替的に、電極と測定ユニット15との間のワイヤ接続が可能であり、検出回路のインピーダンス値が直接的に読み取られることを可能にする。
【0097】
端子2は、測定ユニット15に配線されることもできる。
【0098】
インピーダンス変動がどのように測定されるかにかかわらず、測定は直接的であり且つリアルタイムである。従って、膜の表面上の細胞の存在を決定することが可能である。捕捉細孔の近傍における細胞の存在によって誘発されるこのインピーダンス変動は、捕らえられる細胞の性質に依存し、従って、その測定は、捕えられた細胞のうちのいずれが腫瘍性であるかを区別することを可能にする。この測定は、検出されるべき細胞に対して非侵襲性であり、それらの生存能力(viability)に如何様にも影響しない。
【0099】
(捕捉および分離)
検出システムは、有利には、誘電泳動力の使用に基づき、誘電泳動力は、細孔と関連して、細胞を保持することを可能にするが、細胞を選択的に分離することも可能にする。
【0100】
実際には、(我々が次に電場の係数の勾配について述べる)不均一な電場が存在する媒質に浸される(bathed)細胞のような誘電物体は、その分極率(polarizability)の故にそれを運動させることができる力を受ける。
【0101】
この力は、誘電泳動の原理の基礎である。不均一なAC電場の存在の下で、電場の係数の2乗の勾配に対するこの力の方向は、AC電場の周波数および物体の誘電特性に依存する。所与のサイズおよび誘電率を有する物体について、電界周波数に依存して、誘電泳動力は、正(誘電物体は最も高い電場係数を有する領域に向かって移動する)または負(誘電物体は最も低い電場係数を有する領域に向かって移動する)であることができる。
【0102】
上述のように、細胞捕捉の間に、電極をリアルタイムで検出するために、AC電圧が電極に印加される。従って、平面的な形態の電極の構成は、分析されるべき流体に面する電極より上に不均一なAC電場の生成を引き起こす。
【0103】
高電場の領域は、捕捉デバイスの細孔に近く、低電場の領域は、微小電極より上の流体中に更に存在する。従って、誘電泳動力に関連するこれらの動電現象は、細孔の近傍に到達する細胞が、それらを捕捉細孔に向かって方向付けることができるか(正の誘電泳動)或いはそれらを反発させることができるか(負の誘電泳動)のいずれかの力を受けることを示す。
【0104】
誘電力が符号を変化させる周波数をカットオフ周波数(cut-off frequency)と呼ぶ。誘電物体は、その形状、サイズおよび誘電特性(その比誘電率)依存して、それ自体のカットオフ周波数を有する。
【0105】
循環血液細胞の場合、健康血液細胞のカットオフ周波数は約150kHzであるのに対し、腫瘍線細胞のカットオフ周波数は有意に低い(50kHz)。これは、再び、この周波数範囲における高い膜キャパシタンスに県連付けられる腫瘍細胞の異なる誘電特性の結果である。よって、これらの2つの周波数の間の中間周波数で電極を分極することによって、関心のある細胞は、空間内の好ましい方向において優先的に、選択的に方向付けられることができるように思われる。
【0106】
従って、電気インピーダンスを測定することによる検出と微小電極上の細胞のより良い固着(anchoring)またはそれらの分離(detachment)のいずれかをもたらすことができる力の印加との組み合わせを可能にする幾つかの構成において検出システムを使用することが可能である。
【0107】
捕捉について、流体は、一方向に流れていると考えられる一方で、収集について、流体は、捕捉の方向とは反対の方向に流れていると考えられる。
【0108】
第1の構成は、捕捉である。捕捉の間に、正の誘電泳動力を誘発する分極周波数の選択は、電極上の細胞のより良い局在化(localization)を可能にし、よって、それらの電気的検出を容易にする。よって、細孔によって保持される細胞は、常に同じ方法で配置され、電気インピーダンス測定の非常に高い再現性をもたらす。しかしながら、この段階では、細孔を通過する全ての細胞を保持するような過剰な力を加えないことが重要である。
【0109】
第2の構成は、捕捉後の細胞の収集である。捕捉後、分極電圧は増加され(電場係数の勾配はより高い)、加えられる誘電泳動力は今やより一層強くなり、周波数は、負の誘電泳動による収集のために全ての捕捉された細胞を分離するように、高い値(1MHz)に調節される。この電気的分離の間に、分離された細胞をリザーバ内に収集するために、(捕捉の流体流とは反対の)流体流が適用される。このステップの間に、循環流体の性質は、細胞の生存能力を維持する一方で分離の誘電泳動力を最大にするように選択されることができる。
【0110】
第3の構成は、細胞の選択的な分離である。捕捉後、分極電圧は増加され(電場係数の勾配はより高い)、周波数は、50kHz~150kHzの間の中間周波数で位置付けることによって単一の細胞タイプを選択的に分離すように、今や調整される。この電気的分離の間に、(捕捉の流体流とは反対の)流体流が、分離された細胞を特定のリザーバ中に収集するために適用される。この工程の間に、循環流体の性質は、細胞生存能力を維持する一方で分離の誘電泳動力を最大にするように選択されることができる。次に、異なる細胞タイプを選択的および順次的に分離することが可能である。100kHzで、腫瘍細胞のみが分離されて収集される。
【0111】
第4の構成は、細胞の分離および分類(classification)である。捕捉後、分極電圧は増加され(電場係数の勾配はより高い)、周波数は、それらの誘電特性に依存して異なる時に細胞を分離するために、10kHz~200kHzの間で段階的に増加される。これらの電気的分離の間に、(捕捉の流体流とは反対の)流体流を適用して、順次式に分離された細胞を収集する。このステップの間に、循環流体の性質は、細胞の生存能力率を維持する一方で分離の誘電泳動力を最大にするように選択されることができる。分離された細胞は、チャネル内に収集され、チャネルの断面は、1つの細胞のみが一度に通過することを可能にする。次に、細胞は、それらの誘電泳動カットオフ周波数に依存し、従って、それらの誘電特性に依存する位置を有する列に配置される。従って、このキュー(待ち行列)において、細胞は、それらの膜キャパシタンスに従って順序付けられ、よって、健康細胞は、キューの終わりにあり、腫瘍細胞は、他端(キューの先頭)にあり、全ての可能な勾配をこれらの2つの端の間に有する。
【0112】
第5の構成は、関心のあるライセート(溶解産物)の収集である。捕捉後に、分極電圧は、強く増加され(電場係数の勾配はより一層高い)、加えられる誘電泳動力は非常に強く、周波数は低い値(10kHz)に調節され、細胞リーシス(溶解)が起こって、捕捉された細胞の内容物が放出される。この細胞リーシスの間に、(捕捉の流体流とは反対の)流体流を提供して、細胞ライセートをリザーバ中に収集する。
【0113】
(第1のタイプのコンパートメント)
ある実施形態によれば、
図8に示すように、捕捉および検出システムは、有利には、濾過手段20が収容されるコンパートメント30(区画)を含む。このコンパートメントは、雌部を形成する入口モジュール31と、雄部32を形成する出口モジュール32とを含む。よって、入口モジュールおよび出口モジュールは、それらを互いに螺合するか或いはそれらを連結(インターロック)することによって組み立てられることができる。
【0114】
【0115】
入力モジュール31は、出力モジュール32の雄部321を受け入れるための雌部310を形成するハウジング311を含む。入力モジュール31および出力モジュール32が互いに螺合されるならば、雌部は、雌ネジ山付きである一方で、雄部は、雄ネジ山付きである。
【0116】
コンパートメント内に流体を供給するために、入口モジュール31は、円錐部313によって延長された中空ロッド312を含む。中空ロッド312および円錐部313は雌部310に接続され、流体が入口モジュール31の入口ポート314から供給されることを可能にする。
【0117】
入口ポート314は、分析されるべき流体を供給するチャネルに接続されるように形作られる。雌部310は、円錐部313に接続された中空シリンダの形状を有する。円錐形状は、入口モジュールでの大量の流れを可能にする。
【0118】
出口モジュール32の雄部321は、濾過手段20を受け入れるように構成されたスロット322を含み、スロット322は、濾過手段20の形状に整合するように形作られ、濾過手段20は、濾過手段がスロット322内に挿入されて保持されることを可能にするタブ40(
図2を参照)を含む。濾過手段20は、スロット322に設けられた相補的なハウジング323内にタブを挿入することによってスロット322内に挿入され、次に、濾過手段20に回転を加えることによって、これらは静止したままの位置に導かれる。スロット322は、回転後に濾過手段を所定の場所にロックするためにタブを挿入するための溝324を含む。これらの溝は、濾過手段20のタブ40を受け入れるハウジング323の両側に機械加工される。電気接点が溝に設けられてよい。
図11aおよび
図11bは、スロット322内に配置された濾過手段20を示している。
【0119】
流体が濾過手段20から出ることを可能にするために、出口モジュール32は、中空シリンダ320に接続された中空ロッド325を含む。中空シリンダ320は、雄部321と中空ロッド320との間にある。中空ロッド325は、分析後に流体を排出するためのチャネルに接続されるように構成された出口ポート326を有する。
【0120】
入口モジュールおよび出口モジュールが組み立てられるときに、濾過手段は、コンパートメントの内側にあり、外部からは見えない。
【0121】
コンパートメントの利点は、必要に応じて、濾過手段を交換するために、コンパートメントを容易に分解できることである。
【0122】
濾過手段がコンパートメント内に配置されると、一体成形ユニットが得られる。
【0123】
コンパートメントは、好ましくは、特にインビボで使用されるときには、生体適合性材料で作られる。
【0124】
図12a、
図12bおよび
図12cに示すような、本発明の1つの実施形態によれば、濾過手段は、直列に配置されてよい。よって、多数の濾過膜が直列に存在し、各濾過膜は、1つの細胞タイプの捕捉に特異な特徴を有する。代替的に、濾過膜は、1つよりも多くの細胞タイプを捕捉するように画定されてよい。この場合、濾過膜は、異なるサイズおよび形状の細孔を含む。
【0125】
直列接続は、幾つかのモジュールを互いに組み立てることからなる。
【0126】
図12aでは、左から右に、上述のような入力モジュール31と、1つ以上の中間モジュール33と、同様に上述のような出力モジュール32とがある。
【0127】
【0128】
これらの図から分かるように、中間モジュール33は、雄部331と、雌部330とを含む。中間モジュール33は、入力モジュール31の雌部および出力モジュール32の雄部にそれぞれ螺装されてよく、或いはこれらにそれぞれ差し込まれてよい。中間モジュール33が螺装される場合、それは、雄ネジ山付き雄部と、雌ネジ山付き雌部とを含む。
【0129】
雄部331は、濾過手段20を受け入れるスロット332を含む。スロット332は、前述の出口モジュール32の形状および特徴と同じ形状および特徴を有する。
【0130】
要約すると、中間モジュール33は、流体出口のためのロッドを含まない点で、出力モジュールと本質的に異なる。
【0131】
従って、1つ以上の中間モジュールを設置することによって、幾つかのタイプの細胞を捕捉および検出するために、幾つかの濾過手段を直列に有することが可能である。
【0132】
また、モジュールは、流体が必要に応じて変更されることを可能にするように設けられてよい。例えば、モジュールは、流体が濾過手段によって濾過される前に、流体を凝縮することができる。
【0133】
よって、その結果は、異なる細胞タイプに適合されることができるモジュール式システムである。
【0134】
(第2のタイプのコンパートメント)
図14、
図15、
図16および
図17に示すある実施形態によれば、捕捉および検出システムは、有利には、入力ラック41と、出力ラック42と、場合によっては、上記のように幾つかの濾過手段40を直列に接続するために入力ラック41と出力ラック42との間に配置される1つ以上の中間ラック43とを含む。
【0135】
濾過手段20は、出力ラック42内に収容され、必要に応じて、中間ラック43内に収容される。
【0136】
ラック41、42、43は、それらが互いに嵌合してラックのスタックを形成することができるようなものである(
図15を参照)。
【0137】
入口ラック41は、平行六面体(parallelepipedic)であり、ポート413から延びる中空ロッド412を含む頂面411を有する。これは流体が分析のために供給されることを可能にする。この入口ラック41は、出口ラック42または中間ラック43に接続される。入力ラック41は、その側面414、415にある可撓性タブ416、417を含み、可撓性タブは、入力ラック41が、それが接続される出力ラック42または中間ラック43の相補的なハウジング421、422、431、432内にクリップ留めされる(clipped)ことを可能にする。
【0138】
入力ラック41は、入力ラックの底面418(bottom surface)が、中間ラックまたは出力ラックの頂面423、433(top surface)上に位置するように、中間ラック43または出力ラック41にクリップ留めされる。
【0139】
出力ラック42は、平行六面体であり、その上面423(upper face)に、例えば、顕微鏡のために使用されるタイプのブレード50のためのハウジングを形成する溝424を含む(
図16を参照)。
【0140】
ハウジング424は、ブレード50が所定の位置に保持されることを可能にする、互いに反対に配置された2つのラグ425(lugs)を含む。この点において、プレートの形態にあるブレード50は、ラグ425に相補的なスロット52を有する。ブレード50は、ハウジング424の底に形成された受け入れ空間426上に載ることによってハウジング424内に挿入される。次に、ブレード50は、ハウジング424内に位置するように下げられる。出口ラック42は、例えば、分析されるべき流体を通過させるために、その中心に位置するその下面427(lower face)に位置するポートを有する。そのポートは、入口ラック41と共に使用されるものと類似のロッド428によって延長される。このロッドは、濾過手段20を通過した後に流体が排出されることを可能にするチャネルに接続されることができる。
【0141】
中間ラック43は、平行六面体であり、その上面433に、例えば、顕微鏡のために使用されるタイプのブレード50のためのハウジングを形成する溝434を含む(
図16を参照)。中間ラック43の頂面は、出力ラック42の頂面に類似する。中間ラック43は、2つのラックの間に配置されるように意図されているので、中間ラックの下面は、その側面435に可撓性タブ436、437を含み、それは、中間ラックが、中間ラックが接続されるべきラックの相補的なハウジング421、432内にクリップ留めされることを可能にする。中間ラック43は、流体が通過することを可能にする中央ポート438を含む。
【0142】
幾つかのラックが積み重ねられるとき、分析されるべき流体は、幾つかのラック内を循環し、従って、各ラックに特異的なブレード50によって支持される幾つかの濾過手段20を通過する。ブレード50は、濾過手段20の形状に適合した形状を有するスロット52を有し、濾過手段20は、それらがスロット内に挿入されて保持されることを可能にするタブ40(
図2を参照)を含む。濾過手段20は、タブをスロット52に設けられた相補的なハウジング53に挿入し、次に、濾過手段20に回転を加えることによって、スロット52に挿入され、後者は、静止したままに設定される。スロット52は、溝54を含み、タブは、回転後に濾過手段20を所定の場所にロックするように挿入される。これらの溝は、濾過手段20のタブ40を受け入れるスロット52の両側に機械加工される。電気接点が、溝に設けられることがある。
【0143】
第2のタイプのコンパートメントの利点は、それがブレード50をラックから容易に取り外すことを可能にすることである。
【0144】
更に、既述のように、出力ラックに加えて少なくとも1つの中間ラックを使用することは、各濾過膜が1つの細胞タイプを捕捉するための特定の特性を有する複数の濾過膜を直列に有することを可能にする。代替的に、濾過膜は、複数の細胞タイプを捕捉するように画定されることができる。この場合、濾過膜は、異なるサイズおよび形状の細孔を含む。
【0145】
ここで記載するラックは、平行六面体であるが、他の形状、具体的には、円筒形を取ることができる。
【0146】
(第3のタイプのコンパートメント)
図18、
図19および
図20に示す実施形態によれば、上述したものと類似するブレード70を備えて互いに積み重ねられた複数のラック60が設けられてよい。これらのラック60は、ブレード70を挿入するためのスロット61を含むブロックの形態を取り、ブレード70上には濾過手段20が挿入される。ブレード70は、溝62に挿入される。ブロックの中心にあるポート63は、上述のように、流体が流れることを可能にする。
【0147】
記述のラックとは異なり、ラックを互いにクリップ留めする代わりに、全てのラックによって形成されるアセンブリの機械的強度を向上させるために、ラックは、ラックのブロックを形成するロッド80によって保持される。好ましくは、4つのロッド80が設けられ、ラック70を通過し、ラック70は、ラック70の隅にあるポート64を含む。ラック70を互いに保持するために、金属ストリップによって形成された箔90(フォイル)が、ラック70をペアにして保持する。箔90は、バネとして作用し、ラックがもはやストレスを受けなくなると、ラックが容易に解放されることを可能にする。箔は、各ラック70の側面から突出するアーム65によって2つの積み重ねられたラックに取り付けられる。
【0148】
事実には、箔にもかかわらずラックを互いに保持するために、ラックコラムを囲む保持ブロック101、192、上方保持ブロック101および下方保持ブロック102が設けられる。
【0149】
第2のコンパートメントおよび第3のタイプのコンパートメントの場合、各ブレードは、同じブレードによって捕捉される複数の細胞タイプまたは同じブレードに捕捉されるより多数の細胞を有するために、任意に、複数の濾過手段を同じ平面上に支持することができる。
【0150】
(方法)
1つの態様において、本発明は、
図21に関連して流体中を循環する細胞を捕捉および検出する方法に関する。
【0151】
捕捉方法は、電極によって作り出される電場が、電極間に生成される誘電泳動力の故に、捕捉された細胞を細孔から捕捉または放出することを可能にするように、ある周波数を有する電極に電気信号を加えるステップを含むことがある。
【0152】
捕捉および検出のために、流体は上述のシステムを通じて流れている(ステップE1)。
【0153】
捕捉方法は、電極によって作り出される電場が、電極間で生成される誘電泳動力によって捕捉される細胞を細孔内に捕捉することを可能にするように、ある周波数を有する電極に電気信号を加えるステップを含んでよい(ステップE2)。
【0154】
有利には、分極周波数(polarization frequency)は、電極間の細胞を中心化し且つ細孔内の細胞を保持するように、捕捉中に正の誘電泳動力を誘起する。
【0155】
細胞を分離するために、流体が、捕捉のために使用される方向とは反対の方向に上記システムを通じて流れている(ステップE3)。
【0156】
捕捉後、細胞を分離できることが有利である。よって、本方法は、電極によって作り出される電場が、電極間に生成される誘電泳動力の故に細孔内の捕捉された細胞の放出を可能にするように、ある周波数を有する電極に電気信号を加えるステップを含む(ステップE4)。
【0157】
この目的のために、分極周波数は、全ての捕捉された細胞を分離する負の誘電泳動力を誘起し、周波数は、典型的には、1MHzである。
【0158】
捕捉後、腫瘍細胞のみを分離するために、周波数は、1つの細胞タイプを選択的に分離する誘電泳動力を誘起し、周波数は、50kHz~150kHzの間にあり、好ましくは、腫瘍細胞を分離するために100kHzにある。
【0159】
また、捕捉後、分極周波数は、誘電特性に依存する異なる時に細胞を分離するために、10kHz~200kHzの間で段階的に増加される。
【国際調査報告】