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特表2023-517109身体的活動によって誘発される筋肉、靭帯または腱の痛みを予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物
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  • 特表-身体的活動によって誘発される筋肉、靭帯または腱の痛みを予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物 図1
  • 特表-身体的活動によって誘発される筋肉、靭帯または腱の痛みを予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】身体的活動によって誘発される筋肉、靭帯または腱の痛みを予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/706 20060101AFI20230414BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20230414BHJP
   C07H 19/048 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230414BHJP
   C07H 21/02 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 31/7084 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A61K31/706
A61P21/00
A61P29/02
A61P19/04
C07H19/048
A61P43/00 121
A61K45/00
C07H21/02
A61K31/7084
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555100
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2021056319
(87)【国際公開番号】W WO2021180916
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】2002476
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522361674
【氏名又は名称】ヌバミド エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ベルモンド, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】ギャルソン, ローラン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057DD01
4C057LL03
4C057LL05
4C057LL18
4C057LL21
4C057LL22
4C057MM02
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA081
4C084ZA941
4C084ZA961
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯、腱の痛みまたはこれらの組合せの予防および/または治療におけるその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド、その薬学的に許容される誘導体の1つ、またはその薬学的に許容される塩の1つ;ならびにこれらを含む組成物に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療におけるその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
NMNの薬学的に許容される誘導体が、背部痛の予防および/または治療における局所投与を介したその使用のための、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)、アルファ-NMN、式(I)を有する化合物
【化1】
、またはこれらの薬学的に許容される立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-Xは、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から選択され;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、(C~C12)アルキル、(C~C12)チオ-アルキル、(C~C12)ヘテロアルキル、(C~C12)ハロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、H、(C~C12)アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アルキルアリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、およびC(O)CHRAANHの中から選択され;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-Rは、H、P(O)R10、およびP(S)R10、および
【化2】
の中から選択され、ここで、nは、1または3から選択される整数であり;ここで、
-RおよびR10は、互いに独立して、OH、OR11、NHR13、NR1314、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C12)アリール、(C~C)アルキルアリール、(C~C)アリールアルキル、(C~C)ヘテロアルキル、(C~C)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCHRA’C(O)R12の中から選択され;ここで:
-R11は、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C10)アルキルアリール、置換(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C10)ハロアルキル、ヘテロアリール、-(CHC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C~C15)アルキル、-(CHSC(O)(C~C15)アルキル、-(CHC(O)O(C~C15)アルキル、および-(CHC(O)O(C~C15)アルキルアリール(ここで、nは、1から8から選択される整数である);P(O)(OH)OP(O)(OH);ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C~C)アルコキシ、(C~C)ハロアルコキシ、-N(R11a、C~Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b;NHSO(C~Cアルキル)、-SON(R11aSO(ここで、R11aのそれぞれは、Hおよび(C~C)アルキルから独立して選択され、R11bは、OH、C~Cアルコキシ、NH、NH(C~Cアルキル)、またはN(C~Cアルキル)から独立して選択される)の群の中から選択され;
-R12は、H、(C~C10)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)ハロアルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C)アルキルアリール、および(C~C12)ヘテロアリールの中から選択され;ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノの中から選択される1個または2個の基で所望により置換されていてもよく;
-RおよびRA’は、H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)チオ-アルキル、(C~C10)ヒドロキシアルキル、(C~C10)アルキルアリール、および(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびにタンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸の中から選択される側鎖の中から独立して選択され;ここで、前記アリール基は、ヒドロキシル、(C~C10)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、およびシアノの中から選択される基で所望により置換されていてもよく;または
-RおよびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;または
およびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-O-CH-CH-CHR-O-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリールの中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;
-Rは、H、OR、NHR13、NR1314、NH-NHR13、SH、CN、N、およびハロゲンの中から選択され;
-ここで、R13およびR14は、互いに独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルキルアリール、および-CR-C(O)-ORの中から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素原子、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ベンジル、インドリル、またはイミダゾリルであり;ここで、(C~C)アルキルおよび(C~C)アルコキシは、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、またはカルボキシル基のうちの1つまたは複数で所望により互いに独立して置換されていてもよく、ベンジル基は、1つまたは複数のハロゲンまたはヒドロキシル基で所望により置換されていてもよく;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、1つまたは複数のハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシルで所望により置換されたC~Cシクロアルキル基を形成しており;Rは、水素、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、または(C~C)シクロアルキルであり;
-Yは、CH、CH、C(CHおよびCCHの中から選択され;

【化3】
は、Yに沿った単結合または二重結合を表し;

【化4】
は、Rの位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
または
式(Ia)を有する化合物
【化5】
またはその立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-X’およびX’は、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から独立して選択され;
-R’およびR’13は、H、アジド、シアノ、C1~C8アルキル、C1~C8チオ-アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC1~C8アルキルから選択され;
-R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12は、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C~C12アルキル、C~C12チオアルキル、C~C12ヘテロ-アルキル、C~C12ハロアルキル、およびORの中から独立して選択され;ここで、Rは、H、C~C12アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、またはC(O)CHRAANH2基の中から選択してもよく;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-R’およびR’は、H、アジド、シアノ、C~Cアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC~Cアルキルから選択され;
-R’およびR’14は、H、OR、NHR、NRR’、NH-NHR、SH、CN、N、およびハロゲンの中から独立して選択され;ここで、RおよびR’は、独立して、Hおよび(C~C)アルキルアリールから選択され;
-Y’1およびY’2は、CH、CH、C(CH、またはCCHの中から独立して選択され;
-M’は、Hまたは好適な対イオンから選択され;

【化6】
は、Y’およびY’に応じて単結合または二重結合を表し;

【化7】
は、R’およびR’13の位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
およびこれらの組合せである、請求項1に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の薬学的に許容される誘導体が、表1からの、化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-E、化合物I-F、化合物I-G、化合物I-H、化合物I-I、化合物I-J、好ましくは化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-F、およびこれらの組合せの中から選択される、請求項2に記載のその使用のための、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
化合物Ia-AからIa-Iの中から、好ましくは、表2の式Ia-Bを有する化合物、式Ia-Cを有する化合物、式Ia-Eを有する化合物、式Ia-Fを有する化合物、式Ia-Hを有する化合物、式Ia-Iを有する化合物、および式Ia-Gを有する化合物から選択される、請求項2または3に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
局所的に投与されることが意図される、請求項1から4のいずれか一項に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
身体的活動がスポーツの実践である、請求項1から5のいずれか一項に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせた、その使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
筋肉痛が、ソアネス(soreness)、拘縮、痙攣、伸展、筋挫傷、筋断裂、筋線維の部分的もしくは完全な裂傷、またはこれらの組合せの中から選択され;靭帯の痛みが、捻挫、靭帯の部分的もしくは完全な断裂またはこれらの組合せから選択され;腱痛が、腱炎、腱滑膜炎、滑液包炎またはこれらの組合せから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療におけるその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項10】
局所経路を介して投与されることを意図する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の総重量に対して、0.05重量%から15重量%の間、好ましくは1重量%から10重量%の間、より好ましくは3重量%から5重量%の間の量で、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの追加の治療剤を更に含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯、腱またはこれらの組合せの予防および/または治療における局所投与を介したその使用のための薬学的に許容される誘導体が、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)、アルファ-NMN、式(I)を有する化合物
【化8】
、またはこれらの薬学的に許容される、立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-Xは、O、CH、S、Se、CHF、CFおよびC=CHの中から選択され;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、(C~C12)アルキル、(C~C12)チオ-アルキル、(C~C12)ヘテロアルキル、(C~C12)ハロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、H、(C~C12)アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アルキルアリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、およびC(O)CHRAANHの中から選択され;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-Rは、H、P(O)R10、およびP(S)R10および
【化9】
の中から選択され、ここで、nは、1または3から選択される整数であり;ここで、
-RおよびR10は、互いに独立して、OH、OR11、NHR13、NR1314、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C12)アリール、(C~C)アルキルアリール、(C~C)アリールアルキル、(C~C)ヘテロアルキル、(C~C)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCHRA’C(O)R12の中から選択され;ここで、
-R11は、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C10)アルキルアリール、置換された(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C10)ハロアルキル、ヘテロアリール、-(CHC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C~C15)アルキル、-(CHSC(O)(C~C15)アルキル、-(CHC(O)O(C~C15)アルキル、および-(CHC(O)O(C~C15)アルキルアリール(ここで、nは、1から8から選択される整数である);P(O)(OH)OP(O)(OH);ハロゲン、ニトロ、シアノ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、-N(R11a、C~Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b;NHSO(C~Cアルキル)、-SON(R11aSO(ここで、R11aのそれぞれは、Hおよび(C~C)アルキルから独立して選択され、R11bは、OH、C~Cアルコキシ、NH、NH(C~Cアルキル)、またはN(C~Cアルキル)から独立して選択される)の群の中から選択され;
-R12は、H、C~C10アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10ハロアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C18アリール、C~Cアルキルアリール、およびC~C12ヘテロアリールの中から選択され;ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびシアノの中から選択される1個または2個の基で所望により置換されていてもよく;
-RおよびRA’は、H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)チオ-アルキル、(C~C10)ヒドロキシアルキル、(C~C10)アルキルアリール、および(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびにタンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸の中から選択される側鎖の中から独立して選択され;ここで、前記アリール基は、ヒドロキシル、(C~C10)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、およびシアノの中から選択される基で所望により置換されていてもよく;または
-RおよびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;または
およびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-O-CH-CH-CHR-O-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;
-Rは、H、OR、NHR13、NR1314、NH-NHR13、SH、CN、N、およびハロゲンの中から選択され;
-ここで、R13およびR14は、互いに独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルキルアリール、および-CR-C(O)-ORの中から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素原子、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ベンジル、インドリル、またはイミダゾリルであり;ここで、(C~C)アルキルおよび(C~C)アルコキシは、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、またはカルボキシル基のうちの1つまたは複数で所望により互いに独立して置換されていてもよく、ベンジル基は、1つまたは複数のハロゲンまたはヒドロキシル基で所望により置換されていてもよく;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、1つまたは複数のハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシルで所望により置換されたC~Cシクロアルキル基を形成しており;Rは、水素、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、または(C~C)シクロアルキルであり;
-Yは、CH、CH、C(CHおよびCCHの中から選択され;

【化10】
は、Yに沿った単結合または二重結合を表し;

【化11】
は、Rの位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
または
式(Ia)を有する化合物
【化12】
またはその立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-X’およびX’は、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から独立して選択され;
-R’およびR’13は、H、アジド、シアノ、C1~C8アルキル、C1~C8チオ-アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC1~C8アルキルから選択され;
-R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12は、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C~C12アルキル、C~C12チオアルキル、C~C12ヘテロ-アルキル、C~C12ハロアルキル、およびORの中から独立して選択され;ここで、Rは、H、C~C12アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、またはC(O)CHRAANH2基の中から選択してもよく;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-R’およびR’は、H、アジド、シアノ、C~Cアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC~Cアルキルから選択され;
-R’およびR’14は、H、OR、NHR、NRR’、NH-NHR、SH、CN、N、およびハロゲンの中から独立して選択され;ここで、RおよびR’は、独立して、Hおよび(C~C)アルキルアリールから選択され;
-Y’1およびY’2は、CH、CH、C(CH、またはCCHの中から独立して選択され;
-M’は、Hまたは好適な対イオンから選択され;

【化13】
は、Y’およびY’に応じて単結合または二重結合を表し;

【化14】
は、R’およびR’13の位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
およびこれらの組合せの中から選択される、請求項9から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
NMNの薬学的に許容される誘導体が、表1からの化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-E、化合物I-F、化合物I-G、化合物I-H、化合物I-I、化合物I-J、好ましくは化合物IB、化合物IC、化合物ID、化合物IF、表2からの化合物Ia-A、式Ia-Bの化合物、式Ia-Cの化合物、式Ia-Eの化合物、式Ia-Fの化合物、式Ia-Hの化合物、式Ia-Iの化合物、式Ia-Gの化合物およびこれらの組合せから選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの治療剤が、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症物質、コルチゾン、コルチゾン誘導体、筋肉弛緩薬またはこれらの組合せであってもよい、請求項12に記載の組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体的活動によって、特にスポーツ活動の実践によって誘発される、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せを予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
身体的活動、特にスポーツの実践は、良好な身体状態を維持し、自身の健康を改善する役割を果たす。世界保健機構(WHO)は、被験者の年齢に応じて持続時間および強度が異なる健康のための身体的活動に関する世界的な勧告を作製した(ISBN番号:9789241599979で利用可能)。
【0003】
しかし、あまりにも強すぎたり、下手に行われたり、不良な設備を用いた方法で身体的活動を実践することは、筋肉、腱、もしくは靭帯の痛み、またはそのような痛みの組合せをもたらす場合がある。例えば、筋肉痛、例えばスポーツを実践した後の身体の痛み、または高強度のスポーツを実践した場合の腱、靭帯、および筋肉における痛み、またはスポーツを実践中に損傷を経験することは一般的である。
【0004】
筋肉は、収縮性細胞または筋線維から主に構成される組織である。筋肉は身体の動作を可能にする。筋肉には、骨格横紋筋、平滑筋、および心筋の3つのタイプが存在する。本発明は、骨格横紋筋に影響を及ぼし、平滑筋または心筋には影響を及ぼさない筋肉痛に関する。腱は、筋肉の末端に位置する。筋肉を骨に繋ぐ構造であり、この構造は非常に非弾性である。腱は、動作の間に筋肉によって大きな牽引力を受ける。靭帯は、動作の間の関節の結合を維持するために、一方の骨から他方の骨につながる構造である。
【0005】
したがって、そのような痛みは、基本的な病理学的状態、例えば、変形性関節症、炎症性の病状、例えば関節炎または軟骨の炎症、腫瘍、自己免疫疾患、オステオパシー、軟骨疾患等によって引き起こされることはない。そして、外傷性状態、例えば、骨折、脱臼または挫傷によって引き起こされるものでもない。
【0006】
そのような痛みは一般的に一過性で局在的であり、非常に激しいものではない。そのような痛みの治療はセルフメディケーションを伴うことが多く、局所もしくは経口経路を介したまたは注射によって投与される鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)または筋弛緩薬の投与が一般的に含まれる。
【0007】
しかし、これらの薬物の投与は、とりわけ、臓器、例えば、胃、肝臓および腎臓にダメージをもたらす。更に、それらの有効性は経時的に低下し、用量を増加させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、身体的活動によって、特にスポーツの実践によって誘発される、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せを治療および/または予防するための、先行技術の欠点を減少させる新規の組成物を開発する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、以下に記載する本発明によって達成される。
【0010】
本発明は、身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療におけるその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0011】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)であってもよい。
【0012】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、アルファ-NMNであってもよい。
【0013】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、式(I)を有する化合物
【0014】
【化1】
、またはこれらの薬学的に許容される立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
- Xは、O、CH、S、Se、CHF、CFおよびC=CHの中から選択され;
- Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
- R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、(C~C12)アルキル、(C~C12)チオ-アルキル、(C~C12)ヘテロアルキル、(C~C12)ハロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、H、(C~C12)アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アルキルアリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、およびC(O)CHRAANHの中から選択され;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
- Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
- Rは、H、P(O)R10、P(S)R10および
【0015】
【化2】
の中から選択され、ここで、nは、1または3から選択される整数であり;ここで、
-RおよびR10は、互いに独立して、OH、OR11、NHR13、NR1314、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C12)アリール、(C~C)アルキルアリール、(C~C)アリールアルキル、(C~C)ヘテロアルキル、(C~C)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCHRA’C(O)R12の中から選択され;ここで:
-R11は、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C10)アルキルアリール、置換(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C10)ハロアルキル、ヘテロアリール、-(CHC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C~C15)アルキル、-(CHSC(O)(C~C15)アルキル、-(CHC(O)O(C~C15)アルキル、および-(CHC(O)O(C~C15)アルキルアリール(ここで、nは、1から8から選択される整数である);P(O)(OH)OP(O)(OH);ハロゲン、ニトロ、シアノ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、-N(R11a、C~Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b;NHSO(C~Cアルキル)、-SON(R11aSO(ここで、R11aのそれぞれは、Hおよび(C~C)アルキルから独立して選択され、R11bは、OH、C~Cアルコキシ、NH、NH(C~Cアルキル)、またはN(C~Cアルキル)から独立して選択される)の群の中から選択され;
-R12は、H、C~C10アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10ハロアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C18アリール、C~Cアルキルアリール、およびC~C12ヘテロアリールの中から選択され;ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびシアノの中から選択される1個または2個の基で所望により置換されていてもよく;
-RおよびRA’は、H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)チオ-アルキル、(C~C10)ヒドロキシアルキル、(C~C10)アルキルアリール、および(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびにタンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸の中から選択される側鎖の中から独立して選択され;ここで、前記アリール基は、ヒドロキシル、(C~C10)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、およびシアノの中から選択される基で所望により置換されていてもよく;または
-RおよびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;または
およびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は、-O-CH-CH-CHR-O-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;
-Rは、H、OR、NHR13、NR1314、NH-NHR13、SH、CN、N、およびハロゲンの中から選択され;ここで、R13およびR14は、互いに独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルキルアリール、および-CR-C(O)-ORの中から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素原子、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ベンジル、インドリル、またはイミダゾリルであり;ここで、(C~C)アルキルおよび(C~C)アルコキシは、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、またはカルボキシル基のうちの1つまたは複数で所望により互いに独立して置換されていてもよく、ベンジル基は、1つまたは複数のハロゲンまたはヒドロキシル基で所望により置換されていてもよく;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、1つまたは複数のハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシルで所望により置換されていてもよいC~Cシクロアルキル基を形成しており;Rは、水素、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、または(C~C)シクロアルキルであり;
-Yは、CH、CH、C(CHおよびCCHの中から選択され;
【0016】
【化3】
は、Yに沿った単結合または二重結合を表し;
【0017】
【化4】
は、Rの位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
または
式(Ia)を有する化合物
【0018】
【化5】
またはその立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
X’およびX’は、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から独立して選択され;
R’およびR’13は、H、アジド、シアノ、C1~C8アルキル、C1~C8チオ-アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC1~C8アルキルから選択され;
R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12は、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C~C12アルキル、C~C12チオアルキル、C~C12ヘテロ-アルキル、C~C12ハロアルキル、およびORの中から独立して選択され;ここで、Rは、H、C~C12アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、またはC(O)CHRAANH2基の中から選択してもよく;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
R’およびR’は、H、アジド、シアノ、C~Cアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC~Cアルキルから選択され;
R’およびR’14は、H、OR、NHR、NRR’、NH-NHR、SH、CN、N、およびハロゲンの中から独立して選択され;ここで、RおよびR’は、独立して、Hおよび(C~C)アルキルアリールから選択され;
Y’およびY’は、CH、CH、C(CH、またはCCHの中から独立して選択され;
M’は、Hまたは好適な対イオンから選択され;
【0019】
【化6】
は、Y’およびY’に応じて単結合または二重結合を表し;
【0020】
【化7】
は、R’およびR’13の位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0021】
第1の好ましい実施形態において、薬学的に許容される誘導体は式(I)を有する化合物である。
【0022】
第1の実施形態の1つの変形において、Xは酸素を表す。
【0023】
第1の実施形態の1つの変形において、RおよびRはそれぞれ、互いに独立して水素を表す。
【0024】
第1の実施形態の1つの変形において、R、R、RおよびRはそれぞれ、互いに独立して、水素またはOHを表す。
【0025】
第1の実施形態の1つの変形において、YはCHを表す。
【0026】
第1の実施形態の1つの変形において、YはCHを表す。
【0027】
第1の実施形態の1つの変形において、Rは水素を表す。
【0028】
第1の実施形態の1つの変形において、RはP(O)(OH)を表す。
【0029】
第1の実施形態の1つの変形において、
Xは酸素を表し;および/または
およびRは、それぞれ独立して、水素を表し;および/または
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素を表すか、またはR、R、RおよびRは独立してOHを表し;および/または
Yは、CHまたはCHを表し;および/または
はP(O)R10を表し、ここで、RおよびR10は、OH、OR11、NHR13、NR1314、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10シクロアルキル、C~C12アリール、C~Cアリールアルキル、C~Cアルキルアリール、C~Cヘテロアルキル、C~Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCRA’C(O)R12の中から独立して選択される。
【0030】
第1の実施形態の1つの特に好ましい変形において、本発明の化合物は、式I-BからI-Jを有する化合物の中から選択され:
【0031】
【表1】
【0032】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、アルファ-NMN(化合物I-F)であってもよい。
【0033】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)(化合物I-CまたはI-D)であってもよい。
【0034】
好ましい第2の実施形態において、薬学的に許容される誘導体は、式(Ia)を有する化合物である。
【0035】
第2の実施形態の1つの変形において、X’1およびX’2は、それぞれ独立して、酸素を表す。
【0036】
第2の実施形態の1つの変形において、R’7およびR’14は、それぞれ独立して、NHを表す。
【0037】
第2の実施形態の1つの変形において、R’1および/またはR’13は、それぞれ独立して水素を表す。
【0038】
第2の実施形態の1つの変形において、R’6および/またはR’8は、それぞれ独立して水素を表す。
【0039】
第2の実施形態の1つの変形において、R’2、R’3、R’4、R’5R’9、R’10、R’11、およびR’12は、それぞれ独立して水素を表す。
【0040】
第2の実施形態の1つの変形において、R’2、R’3、R’4、R’5R’9、R’10、R’11、およびR’12は、それぞれ独立して、OHを表す。
【0041】
第2の実施形態の1つの変形において、Y’1およびY’2は、それぞれ独立して、CHを表す。
【0042】
第2の実施形態の1つの変形において、Y’1およびY’2は、それぞれ独立して、CH2を表す。
【0043】
第2の実施形態の1つの変形において、本発明による化合物は、式Ia-AからIa-Iを有する化合物の中から選択される
【0044】
【表2】
【0045】
有利には、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、哺乳動物における、好ましくはヒトにおける身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの治療および/または予防において使用してもよい。
【0046】
好ましくは、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、局所経路を介して投与されることを意図する。
【0047】
有利には、痛みは、腫瘍、関節炎、痛風、変形性関節症、関節変形、結合組織疾患、背部痛(dorsopathy)、神経変性疾患、神経障害、遺伝的疾患、自己免疫疾患、ミオパチー、オステオパシー、骨粗鬆症、軟骨疾患、血管症、ウイルス感染、真菌感染、細菌感染、寄生生物、医薬、外科手術、健康診断の有害な副作用、石灰化、外傷(身体的活動によって誘発されるものを除く)、先天異常またはこれらの組合せから選択される病状のうちの1つに起因するものではない。
【0048】
有利には、筋肉痛は、ソアネス(soreness)、拘縮、痙攣、伸展(引っ張られた/張り詰めた筋肉)、筋挫傷、筋断裂、筋線維の部分的もしくは完全な裂傷、またはこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0049】
有利には、靭帯の痛みは、捻挫、靭帯の部分的もしくは完全な断裂またはこれらの組合せであってもよい。
【0050】
有利には、腱の痛みは、腱炎、腱滑膜炎、滑液包炎、またはこれらの組合せであってもよい。
【0051】
好ましくは、痛みは筋肉痛である。
【0052】
1つの好ましい実施形態において、身体的活動はスポーツを実践することである。
【0053】
有利には、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、1日あたり1から10回の間、好ましくは1日あたり1から5回の間、より好ましくは1日1から3回の間投与されることを意図する。
【0054】
好ましい実施形態において、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、1日2回投与されることを意図する。
【0055】
有利には、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせて使用してもよい。
【0056】
有利には、少なくとも1つの治療剤は、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、コルチゾン、コルチゾン誘導体、筋弛緩薬、アルニカ、サリチル酸、エスシン、カプサイシン、ズカプサイシン、トラゾリン、ジメチルスルホキシド、イドロシルアミド、またはこれらの組合せであってもよい。
【0057】
有利には、鎮痛薬は、パラセタモール、ネフォパム、ケタニン、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノイド、アスピリン、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サリチルアミド、コデイン、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ジヒドロコデイン、コデイノン、トラマドール、モルヒネ、モルヒノン、ブプレノルフィン、フェンタニル、アセチルフェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、ヘロイン、ヒドロモルフォン、ナルブフィン、オキシコドン、ヒドロキシコドン、オキシモルフォン、ラウダナム、メタドン、ペチジン、デキストロプロポキシフェン、エンドルフィン、タペンタドール、テバイン、ビコジン、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0058】
有利には、非ステロイド性抗炎症薬は、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケトロラク、アルミノプロフェン、アセクロフェナク、メフェナム酸、ニフルム酸、チアプロフェン酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、エトドラク、エトリコキシブ、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、メロキシカム、ナブメトン、ピロキシカム、スリンダク、テノキシカム、ニメスリド、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0059】
有利には、コルチゾン誘導体は、ベタメタゾン、シプロフロキサシン、コルチバゾール(cortivazol)、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0060】
有利には、筋弛緩薬は、局在作用性筋弛緩薬、中枢作用性筋弛緩薬、カルバミン酸エステルおよびその誘導体、ならびにこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0061】
有利には、筋弛緩薬は、バクロフェン、キニーネ、メフェネシン、チザニジン、テトラゼパム、チオコルチコシド、アセチルヘキサペプチド-8、μ-コノトキシンCnIIIc(ミューコノトキシンCnIIIc)、ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテート、ならびに局在的に使用されるボツリヌス毒素、ならびにこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0062】
好ましくは、筋弛緩薬は局在作用性筋弛緩薬である。
【0063】
有利には、カルバミン酸エステルはメトカルバモールであってもよい。
【0064】
有利には、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、筋肉、靭帯、もしくは腱の凝り、またはこれらの組合せを減少させることが可能である。
【0065】
有利には、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、筋肉、靭帯、もしくは腱の機能、またはこれらの組合せを改善することが可能である。
【0066】
本発明はまた、身体的活動に起因する筋肉痛、靭帯の痛み、腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療におけるその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む組成物に関する。
【0067】
好ましくは、本発明による組成物は、局所経路を介して投与されることを意図する。
【0068】
有利には、本発明による組成物は、ゲル、溶液、油中水エマルション、水中油エマルション、油、クリーム、軟膏/膏薬、またはリニメントの形態であってもよい。
【0069】
1つの好ましい実施形態において、本発明による組成物は、油中水エマルションまたは水中油エマルション;より好ましい方式では(on a more preferred basis)、水中油エマルションの形態である。
【0070】
より好ましい実施形態において、本発明による組成物は、親水性または親油性ゲルの形態、より好ましい様式では親水性ゲルの形態である。
【0071】
有利には、本発明による組成物は医薬組成物であってもよい。
【0072】
有利には、本発明による組成物は、NMN、その薬学的に許容される塩、またはその薬学的に許容される誘導体を、組成物の総重量に対して、0.05重量%から15重量%の間、好ましくは1重量%から10重量%の間、より好ましい方式では3重量%から5重量%の間で含まれる量で含んでいてもよい。
【0073】
有利には、本発明による組成物は、1日あたり1から10回の間、好ましくは1日あたり1から5回の間、より好ましい方式では1日あたり1から3回の間で投与してもよい。
【0074】
1つの好ましい実施形態において、本発明による組成物は、1日2回で投与してもよい。
【0075】
有利には、本発明による組成物はまた、上述のような身体的活動によって誘発される、筋肉痛、靭帯の痛み、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療におけるその使用のための、上記で定義された少なくとも1つの追加の治療剤を含んでいてもよい。
【0076】
定義
本発明において、以下の用語は以下の意味を有する。
【0077】
別段指示がない限り、本発明において明確に定義されていない置換基の命名は、結合点に向かって隣接する官能基に続く官能基の末端部分を命名することによって得られる。
【0078】
単独でのまたは別の置換基の一部としての「アルキル」は、式CnH2n+1を有するヒドロカルビル基を指し、ここで、nは1以上の数である。一般的に、本発明のアルキル基は、1から12個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子、より好ましくは1から6個の炭素原子、更により好ましくは1から2個の炭素原子を含む。アルキル基は、直鎖状または分岐状であってもよく、本発明において示すように置換されていてもよい。本発明の実施の目的に好適なアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチルおよびt-ブチル;ペンチルおよびその異性体、例えば、n-ペンチルおよびイソ-ペンチル;およびヘキシルおよびその異性体、例えばn-ヘキシルおよびイソ-ヘキシル;ヘプチルおよびその異性体(例えば、n-ヘプチル、イソ-ヘプチル);オクチルおよびその異性体(例えば、n-オクチル、イソ-オクチル);ノニルおよびその異性体(例えば、n-ノニル、イソ-ノニル);デシルおよびその異性体(例えば、n-デシル、イソ-デシル);ウンデシルおよびその異性体;ドデシルおよびその異性体の中から選択してもよい。好ましくは、アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルの中から選択してもよい。飽和および分岐状アルキル基は、限定するものではないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、および3,3-ジエチルヘキシルから選択してもよい。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチルおよびt-ブチルである。Cx~Cy-アルキルは、xからy個の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0079】
「エン」という接尾辞がアルキル基とともに使用された場合(「アルキレン」)、それは本明細書において定義されるアルキル基が、他の基への結合点として2つの単結合を有することを示す。「アルキレン」という用語は、メチレン、エチレン、メチルメチレン、プロピレン、エチルエチレン、および1,2-ジメチルエチレンを含む。
【0080】
「アルケニル」という用語は、本明細書において使用される場合、直鎖状または分岐状であってもよく、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む不飽和ヒドロカルビル基を指す。好適なアルケニル基は、2から12個の間の炭素原子、好ましくは2から8個の間の炭素原子、および更により好ましくは2から6個の間の炭素原子を含む。アルケニル基の例は、エテニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニルおよびその異性体、2-ヘキセニルおよびその異性体、2,4-ペンタジエニルおよび他の類似の基である。
【0081】
「アルキニル」という用語は、本明細書において使用される場合、不飽和が1つまたは複数の炭素-炭素三重結合の存在に起因するある種の一価不飽和ヒドロカルビル基を指す。アルキニル基は、一般的に好ましくは、アルケニル基に関して本明細書において上述したものと同じ数の炭素原子を有する。限定するものではないが、アルキニル基のいくつかの例としては、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、3-ブチニル、2-ペンチニルおよびその異性体、2-ヘキシニルおよびその異性体等がある。
【0082】
「アルコキシ」は、酸素原子によって別の部分に結合している、本明細書において上記で定義するようなアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、イソプロポキシ、エトキシ、tert-ブトキシなどの基がある。アルコキシ基は、1つまたは複数の置換基で所望により置換されていてもよい。本発明の化合物に含まれるアルコキシ基は、可溶化基で所望により置換されていてもよい。
【0083】
「アリール」は、本明細書において使用される場合、単環(例えば、フェニル)または互いに縮合(例えば、ナフチル)もしくは共有結合した複数の芳香環を有し、一般的に、5から18個、好ましくは5から12個、より好ましい方式では6から10個の原子を含み、前記環の少なくとも1つが芳香族である多価不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指す。芳香環は、それに縮合した1つまたは2つの追加の環(シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール)を所望により含んでいてもよい。アリールはまた、本明細書において挙げる炭素環式系の部分的に水素化された誘導体を含むことを意図する。アリールの例としては、フェニル、ビフェニリル、ビフェニレンイル、5-または6-テトラリニル;ナフタレン-1-または-2-イル;4-、5-、6または7-インデニル;1-、2-、3-、4-、または5-アセナフチレニル;3-、4-、または5-アセナフテニル;1-、または2-ペンタレニル;4-、または5-インダニル;5-、6-、7-、または8-テトラヒドロナフチル;1,2,3,4-テトラヒドロナフチル;1,4-ジヒドロナフチル;1-、2-、3-、4-、または5-ピレニルがある。
【0084】
アリール基における少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた場合、得られた環は本明細書において「ヘテロアリール」環と称する。
【0085】
「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されたアリール基を指す。
【0086】
「アミノ酸」は、アルファ-アミノカルボン酸、すなわち、カルボン酸基のアルファ位においてカルボン酸官能基およびアミノ官能基を含む分子、例えば、タンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸を指す。
【0087】
「タンパク質原生アミノ酸」は、生体内でリボソームによってメッセンジャーRNAが翻訳される間にタンパク質中に組み込まれるアミノ酸、すなわち、アラニン(ALA)、アルギニン(ARG)、アスパラギン(ASN)、アスパルテート(ASP)、システイン(CYS)、グルタメート(グルタミン酸)(GLU)、グルタミン(GLN)、グリシン(GLY)、ヒスチジン(HIS)、イソロイシン(ILE)、ロイシン(LEU)、リシン(LYS)、メチオニン(MET)、フェニルアラニン(PHE)、プロリン(PRO)、ピロリシン(PYL)、セレノシステイン(SEL)、セリン(SER)、トレオニン(THR)、トリプトファン(TRP)、チロシン(TYR)、またはバリン(VAL)を指す。
【0088】
「非タンパク質原生アミノ酸」は、本明細書において使用される場合、生存生物の遺伝子コードにおいて自然にコードされないかまたは認められないアミノ酸を指す。限定するものではないが、非タンパク質原生アミノ酸のいくつかの例は、オルニチン、シトルリン、アルギニノスクシネート、ホモセリン、ホモシステイン、システイン-スルフィン酸、2-アミノムコン酸、δ-アミノレブリン酸、β-アラニン、シスタチオニン、γ-アミノブチレート、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、5-ヒドロキシトリプトファン、D-セリン、イボテン酸、α-アミノブチレート、2-アミノイソブチレート、D-ロイシン、D-バリン、D-アラニン、およびD-グルタミン酸である。
【0089】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書において使用される場合、環式アルキル基、すなわち、1または2つの環構造を有する一価の飽和または不飽和ヒドロカルビル基を指す。「シクロアルキル」という用語は、単環式または二環式ヒドロカルビル基を含む。シクロアルキル基は、環において3個以上の炭素原子を含んでいてもよく、全般的に、本発明によれば、3から10個、より好ましくは3から8個の炭素原子、更により好ましくは3から6個の炭素原子を含む。シクロアルキル基の例としては、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルがあり、シクロプロピルが特に好ましい。
【0090】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、活性成分が製剤化および/または投与されるものの中に溶媒または希釈剤として使用され、動物に、好ましくはヒトに投与した場合に有害反応、アレルギー反応または他の反応をもたらすことがない不活性担体または支持物質を指す。これは、全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延物質、ならびに他の類似の成分を含む。ヒトへの投与に関しては、調製物は、規制当局、例えば、米国食品医薬品局(FDA)または欧州医薬品庁(EMA)に要求されるような、無菌性、一般的安全性および純度の特定の基準を満たしていなければならない。本発明の意味の範囲内において、「薬学的に許容される賦形剤」は、全ての薬学的に許容される賦形剤ならびに全ての薬学的に許容される担体、希釈剤および/またはアジュバントを含む。
【0091】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。好ましいハロ基は、フルオロおよびクロロである。
【0092】
「ハロアルキル」は、単独でも組合せでも、本明細書において上記で定義するような1つまたは複数の水素原子がハロゲンで置き換えられた、本明細書において上記で定義するような意味を有するアルキル基を指す。そのようなハロアルキルラジカルの例として、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチル、および類似のラジカルが挙げられてもよい。「Cx~Cy-ハロアルキル」および「Cx~Cy-アルキル」は、xからy個の炭素原子を含むアルキル基を指す。好ましいハロアルキル基は、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルである。
【0093】
「ヘテロアルキル」は、1つまたは複数の炭素原子が、酸素、窒素および硫黄原子の中から選択されるヘテロ原子で置き換えられた、本明細書において上記で定義するようなアルキル基を指す。ヘテロアルキル基において、ヘテロ原子は、アルキル鎖に沿って炭素原子のみに結合しており、すなわち、各ヘテロ原子は、少なくとも1つの炭素原子によって他の全てのヘテロ原子から分離されている。しかし、窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は所望により四級化されていてもよい。ヘテロアルキルは、炭素原子のみを用いて別の基または分子に結合しており、すなわち、結合原子は、ヘテロアルキル基に含まれるヘテロ原子から選択されない。
【0094】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書において使用される場合、単独でも別の基の一部としても、これらに限定されるものではないが、5から12個の炭素原子の芳香環または縮合もしくは共有結合した1個または2個の環を含む環系を指し、一般的に5個または6個の原子を含み、前記環の少なくとも1つは芳香族であり;ここで、これらの環のうちの1つまたは複数における1つまたは複数の炭素原子は、酸素、窒素、および/または硫黄原子で置き換えられており、窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化され、窒素ヘテロ原子は所望により四級化されることが可能である。これらの環は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環に縮合していてもよい。限定するものではないが、そのようなヘテロアリールのいくつかの例としては、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリジニル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、ジオキシニル、チアジニル、トリアジニル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾリル、チエノ[3,2-b]フラニル、チエノ[3,2-b]チオフェニル、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾリル、チエノ[2,3-d]イミダゾリル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、1,3-ベンゾオキサゾリル、1,2-ベンゾイソオキサゾリル、2,1-ベンゾイソオキサゾリル、1,3-ベンゾチアゾリル、1,2-ベンゾイソチアゾリル、2,1-ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-ベンゾオキサジアゾリル、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル、1、2,3-ベンゾチアジアゾリル、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル、チエノピリジニル、プリニル、イミダゾ[l,2-a]ピリジニル、6-オキソ-ピリダジン-1(6H)-イル、2-オキソピリジン-1(2H)-イル、6-オキソ-ピリダジン-1(6H)-イル、2-オキソピリジン-1(2H)-イル、1,3-ベンゾジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニルがある。
【0095】
シクロアルキル基における少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた場合、得られた環は、本明細書において「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」と称する。
【0096】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、または「ヘテロシクロ」という用語は、それ自体でまたは別の基の一部として本明細書において使用される場合、完全に飽和のまたは部分的に不飽和の(例えば、3から7員単環式、7から11員二環式基、または合計で3から10個の環原子を含む)、炭素原子を含む少なくとも1つの環において少なくとも1つのヘテロ原子を有する非芳香族環式基を指す。ヘテロ原子を含む複素環式基の各環は、窒素、酸素および/または硫黄原子の中から選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有していてもよく、ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は所望により四級化されていてもよい。複素環式基のいずれの炭素原子も、オキソ(例えば、ピペリドン、ピロリジノン)で置換されていてもよい。複素環式基は、原子価が許す場合、環または環系においていずれのヘテロ原子または炭素原子にも結合していてもよい。多環複素サイクルの環は、1つまたは複数のスピロ原子によって縮合、橋掛け、および/または結合していてもよい。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、オキセタニル、ピペリジニル、アゼチジニル、2-イミダゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピペリジニル、3H-インドリル、インドリニル、イソインドリニル、2-オキソピペラジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、2-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、3-ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、2,5-ジオキソイミダゾリジニル(dioximidazolidinyl)、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、インドリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリン-1-イル、テトラヒドロイソキノリン-2-イル、テトラヒドロイソキノリン-3-イル、テトラヒドロイソキノリン-4-イル、チオモルホリン-4-イル、チオモルホリン-4-イルスルホキシド、チオモルホリン-4-イルスルホン、1,3-ジオキソラニル、1,4-オキサチアニル、1H-ピロリジニル、テトラヒドロ-1,1-ジオキソチオフェニル、N-ホルミルピペラジニル、およびモルホリン-4-イルの基がある。
【0097】
「前駆体」という用語はまた、本明細書において使用される場合、そのin vivo生体内変換産物が活性薬物である式(I)または(Ia)を有する化合物の薬理学的に許容される誘導体、例えばエステルを指す。前駆体はバイオアベイラビリティの増加によって特徴付けられ、in vivoで活性化合物に容易に代謝される。本発明の目的に適切な前駆体としては、特に、カルボン酸エステル、特にジオキソレンのアルキルエステル、アリールエステル、アシルオキシアルキルエステル、およびカルボン酸エステル;アスコルビン酸エステルがある。
【0098】
「薬学的に許容される」という用語は、規制機関によって承認されているかもしくは承認される可能性があるか、または動物、より好ましくはヒトにおいて使用するために薬局方で挙げられている状況のものを指す。それは、生物学的ではないかあるいは望ましくないものではない物質に関連していてもよく;すなわち、物質は、有害な生物学的影響、またはそれが含まれる組成物の構成要素のうちの1つとの有害な相互作用をもたらすことなく個体に投与することができる。好ましくは、「薬学的に許容される」塩または賦形剤は、欧州薬局方(「Ph.Eur.」と表示される)および米国薬局方(一般的に「United States Pharmacopeia(USP)」と称される)によって認可された任意の塩または任意の賦形剤を指す。
【0099】
「活性成分」または「治療剤」という用語は、被験者に投与した場合に、疾患または状態の1つまたは複数の症状の進行、悪化または増悪を減速または停止させ;疾患または状態の症状を軽減し;疾患または状態を治癒させる分子または物質を指す。これらの実施形態のうちの1つによれば、治療成分は、天然または合成の小分子である。別の実施形態によれば、治療成分は、生物学的分子、例えば、オリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、DNA断片、アプタマー、抗体などである。「薬学的に許容される塩」としては、これらの前記塩の酸付加物塩および塩基付加塩がある。好適な酸付加物塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。挙げることができる例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ素酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、チクロ、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプ酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、硫酸メチル、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸塩(xinofoate)がある。好適な塩基性塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例として、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、モルホリン、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、および亜鉛の塩を挙げることができる。酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩および化学カルシウム塩も形成してもよい。好ましい薬学的に許容される塩は、塩酸塩/塩化物、臭化物/臭化水素酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩および酢酸塩である。
【0100】
薬学的に許容される塩は、以下のうちの1つまたは複数によって調製してもよい:
-化合物と所望の酸とを反応させることによる方法;
-化合物と所望の塩基とを反応させることによる方法;
-化合物の好適な前駆体から塩基性もしくは酸性条件下で酸もしくは塩基不安定性保護基を除去することによるか、または所望の酸を使用して好適な環式前駆体、例えば、ラクトンもしくはラクタムを開環することによる方法;または
-最初の塩と適切な酸とを反応させることによるか、または適切なイオン交換カラムを用いて、化合物の1つの塩を別のものに変換することによる方法。
【0101】
これらの反応の全ては、溶液中で一般的に行われる。塩は、溶液から析出してもよく、ろ過収集しても溶媒を蒸発させることによって回収してもよい。塩のイオン化の程度は、完全にイオン化されているものからほぼイオン化されていないものまで様々であってもよい。
【0102】
「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物および1つまたは複数の薬学的に許容される溶媒分子、例えばエタノールを含む分子複合体を記載するために本明細書において使用される。
【0103】
「置換基」または「置換された」という用語は、化合物または基における水素ラジカルが非保護形態で、またはそれが保護基によって保護されている場合は、反応条件下で実質的に安定な任意の所望の基によって置き換えられることを示す。好ましい置換基の例としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ、またはフルオロ);アルキル;アルケニル;本明細書において上述したようなアルキニル;ヒドロキシ;アルコキシ;ニトロ;チオール;チオエーテル;イミン;シアノ;アミド;ホスホナト;ホスフィン;カルボキシル;チオカルボニル;スルホニル;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;酸素(-O);ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル);縮合環または非縮合環単環式または多環式であってもよいシクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル);または縮合環または非縮合環単環式または多環式であってもよいヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチアジニル);縮合または非縮合の単環式または多環式アリールまたはヘテロアリール(例えば、アリール、ヘテロアリール、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチアジニル);縮合または非縮合の単環式または多環式(例えば、アリール、ヘテロアリール、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチアジニル)、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジジニル、ピリダジミニル、ピリダジミニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、またはベンゾフラニル);アミノ(第一級、第二級または第三級);COCH;CONH2;OCHCONH;NH2;SONH;OCHF;FC;OCFがあり;更にこれらの基も、縮合環ブリッジまたは構造、例えば、-OCHO-で所望により置換されていてもよい。これらの置換基は、これらの基の中から選択される置換基によって所望により更に置換されていてもよい。ある特定の表現において、「置換基」または形容詞の「置換された」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ハロアルキル、-C(O)NR1112、-NR13C(O)R14、ハロ、-OR13、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、-C(O)R13、-NR1112、-SR13、-C(O)OR’13、-OC(O)R13、-NR13C(O)NR1112、-OC(O)NR1112、-NR13C(O)OR14、-S(O)rR13、-NR13S(O)rR14、-OS(O)rR14、S(O)rNR1112、-O、-S、および-NR13より構成される基から選択される置換基を指し、ここで、rは、1または2であり;R11およびR12は、出現ごとに独立して、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたアリールアルキル、または所望により置換されたヘテロアリールアルキルであるか;またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、所望により置換されたヘテロシクロアルキル、または所望により置換されたヘテロアリールであり;R13およびR14は、出現ごとに独立して、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたアリールアルキル、または所望により置換されたヘテロアリールアルキルである。ある特定の変形において、「置換基」または形容詞の「置換された」という用語は可溶化基を指す。
【0104】
「投与」という用語またはこの変形(例えば、「投与する」)は、単独か薬学的に許容される組成物の一部かどうかにかかわらず、状態、症状、または疾患の治療または予防の文脈においてそれを受けることになる患者に活性成分を提供することを指す。
【0105】
「治療すること」、「治癒すること」、および「治療」という用語は、本明細書において使用される場合、状態もしくは疾患および/またはこれらと関連する症状の軽減、緩和、または除去を含むことを意味する。
【0106】
「予防する」、「妨げる」および「予防」という用語は、本発明において使用される場合、状態もしくは疾患および/またはこれらと関連する症状の発症を遅延させるかまたは妨げるかまたは予防するか;患者が状態または疾患に罹患するのを予防するか;または患者の所定の疾患または状態に罹患するリスクを低下させる目的を果たす方法を指す。
【0107】
不斉炭素の結合は、実線の三角形
【0108】
【化8】
、点線の三角形
【0109】
【化9】
、またはジグザグ線
【0110】
【化10】
を使用して本明細書において表されることがある。
【発明を実施するための形態】
【0111】
本発明の目的は、身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療における局所投与を介したその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0112】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は、全ての生存細胞に存在する補酵素である。NADは、その酸化形態であるNAD+、またはその還元形態であるNADHのいずれかとして細胞内に存在する。NADの役割は、代謝の酸化-還元反応に関与する電子担体の役割である。NADはまた、タンパク質の翻訳後修飾の文脈において多数の細胞プロセス、例えばアデノシン二リン酸(ADP)リボシル化に更に関与する。
【0113】
NADは、アミノ酸、例えば、トリプトファンまたはアスパルテートから細胞によってデノボ合成される場合がある。しかし、NAD合成のための主要経路は、細胞、主に細胞核が、化合物をリサイクルして前駆体からNADを再形成することによるサルベージ経路であるため、このようなデノボ合成はわずかである。NADの前駆体としては、ナイアシン、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、およびニコチンアミドがある。
【0114】
NMNは、サルベージ経路によってNADの合成を可能にする化合物のうちの1つであり、式
【0115】
【化11】
を有する。
【0116】
本発明者らは実際、NMN、薬学的に許容される塩および/またはこれらの誘導体、および本発明による組成物の使用が、身体的活動に、特にスポーツの実践に起因する筋肉痛、靭帯の痛み、腱の痛み、またはこれらの組合せを軽減することを可能にすることを実証している。
【0117】
本発明者らは実際、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物の使用は、身体的活動に、特にスポーツ活動によって誘発される、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せ、特に筋肉痛の低下において特に効果的であることを証明することを実証している。
【0118】
より正確には、発明者らは、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物の使用は、十分に効果的な様式で、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せ、好ましくは筋肉痛を減少させることを可能にし、その結果、従来の治療法の必要性が回避されることを実証した。本発明者らは実際、本発明によるNMNまたはそれを含む組成物が投与された被験者が、それらの筋肉、靭帯または腱の痛み、特にそれらの筋肉痛を治療するための従来の治療法を用いなければならなくなることを回避することができたことを実証した。
【0119】
WHOによれば、「身体的活動」という用語は、エネルギー消費を必要とする骨格筋によって生じる任意の身体の動作として定義される。身体的活動は、職業的活動と関連していてもよい。余暇の身体的活動としては、監督なしで行われる活動としてのスポーツ:例えば、公園および緑地において、田園において散歩すること、自転車に乗ること、キックスケーターに乗ることであってもよく;無料で使用できる特殊な設備(施設が整ったフィットネストレイル、マルチスポーツグラウンド、屋外フィットネスエリア、自転車道、ハイキングサーキット等)を使用して身体的活動を行ってもよい。家庭内/世帯内活動は、家の中の活動か外の活動かにかかわらず(whether inc or out activites domestiques)、家で行われる身体的活動(階段の昇降、家事-掃除機掛け、食料雑貨の運搬、DIY、ガーデニング)に関連する。最後に、1つの好ましい実施形態において、本発明の適用性は、スポーツの実践に起因する筋肉、靭帯、腱の痛みおよびこれらの組合せにまで及ぶ。
【0120】
WHOによれば、スポーツを実践することまたは「エクササイズを行うこと」は、より意図的で構造化された反復的である身体的活動のサブカテゴリーに対応し、身体状態および適応度の1つまたは複数の側面を改善または維持することを目的としている。本発明の文脈において、スポーツ(sport)、スポーツ(sports)およびスポーツ活動の実践は、区別なく言及される。ANSES(フランス国立食品環境労働衛生安全庁)によれば、スポーツはまた、参加者が共通の一連のルールを忠実に守り、パフォーマンスの目的が定義されている場合(例えば:チームスポーツ、体操、水中体操/水中運動、ランニング、ノルディックウォーキング、サイクリング、クロスカントリースキー、ボート、水泳)、身体的活動として定義してもよい。
【0121】
健康のための身体的活動に関する世界的な勧告は、標的集団の年齢および身体的活動の強度を考慮してWHOによって作成されている。例えば、WHOの身体的活動のガイドラインは、5から17歳の子供および青年は、1日あたり60分を超える身体的活動が更なる健康上の利点を提供することになるという知識に基づいて、1日あたり中等度から激しい強度の身体的活動を少なくとも60分行う必要があり;筋肉および骨を強化する活動を1週あたり少なくともそれぞれ3日組み込むべきであることを推奨している。更に、WHOの身体的活動のガイドラインは、18~64歳の年齢の成人は、1週あたり、少なくとも150分の中等度の強度の身体的活動、または少なくとも75分の激しい強度の身体的活動、または中等度の強度および激しい強度の身体的有酸素活動のいくつかの同等のものの組合せに取り組むべきであることを推奨している。更なる健康上の利点を得るために、成人は、その中等度の強度の身体的活動または1週あたり300分と同等のものを増加するべきであり、全ての主要な筋肉群に関与する筋肉強化活動にも参加するべきであり、これは週に2日以上実践するべきである。同様にWHOの身体的活動のガイドラインは、65歳以上の成人は、1週あたり、少なくとも150分の中等度の強度の身体的活動、または少なくとも75分の激しい強度の身体的活動、または中等度の強度および激しい強度の身体的有酸素活動のいくつかの同等のものの組合せに取り組むべきであることを推奨している。同様に、更なる健康上の利点は、その中等度の強度の身体的活動、または1週あたり300分と同等のものを増加させることによって得てもよい。運動性が低下している人は、週に3日以上、機能的バランスを強調し、強化し、転倒を予防する役割を果たす身体的活動に参加するべきである。全ての主要な筋肉群に関与する筋肉強化活動は、週に2日以上行うべきである。
【0122】
更に、身体内に自然に存在する分子であるNMNの使用は多くの利点を有する。特に、NMNは、患者においていずれの耐性問題ももたらすことはない。実際、NMNおよび本発明による組成物の使用は、いずれのアレルギーも誘発しない。更に、NMNおよび本発明による組成物の使用は、従来の治療に伴って頻繁に遭遇する有害な副作用を誘発しない。
【0123】
特に、NMNは、身体的または心理的依存現象のいずれも誘発しない。NMNは、コルチゾンまたはその誘導体の慢性投与に伴って観察されるような骨脆弱症または感染に対する脆弱性のいずれも誘発しない。したがって、筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せ、特に身体的活動、特にスポーツの実施に起因する筋肉痛を予防および/または治療するためのNMNおよび本発明による組成物の使用は、患者にとって安全である。
【0124】
NMNおよび本発明による組成物はまた、大人だけではなく子供のために使用してもよい。NMNは実際、子供による耐容性も示す。本発明の文脈において、患者は、年齢が18歳未満の場合は子供、18歳以上の年齢から成人でとみなされる。結果として、本発明は、子供における筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せを治療することにおいても興味深いものである。
【0125】
本発明の実施に好適な塩は、NMNの有機または無機の塩基または酸から得られる。塩の例として、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、硫酸塩;ならびにナトリウム、カリウム、マグネシウム、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、安息香酸、炭酸、クエン酸、カルバミン酸、グルコン酸、乳酸、臭化メチル、硫酸メチル、硝酸、リン酸、二リン酸、コハク酸、スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリブロモメタンスルホン酸、およびトリフルオロ酢酸の塩を挙げることができる。好ましくは、塩は塩化物である。
【0126】
1つの特に好ましい実施形態において、NMNは双生イオンの形態である。「双生イオン」という用語は、反対の符号の電荷を有し、一般的に分子の非隣接原子上に位置する分子化学種を指すと理解される。
【0127】
NMNの誘導体は、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-Hと表記される)、アルファ-NMN;
式(I)を有する化合物
【0128】
【化12】
、またはこれらの薬学的に許容される立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-Xは、O、CH、S、Se、CHF、CFおよびC=CHの中から選択され;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、(C~C12)アルキル、(C~C12)チオ-アルキル、(C~C12)ヘテロアルキル、(C~C12)ハロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、H、(C~C12)アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アルキルアリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、およびC(O)CHRAANHの中から選択され;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-Rは、H、P(O)R10、P(S)R10および
【0129】
【化13】
の中から選択され、ここで、nは、1または3から選択される整数であり;ここで、
-RおよびR10は、互いに独立して、OH、OR11、NHR13、NR1314、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C12)アリール、(C~C)アルキルアリール、(C~C)アリールアルキル、(C~C)ヘテロアルキル、(C~C)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCHRA’C(O)R12の中から選択され;ここで:
-R11は、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C10)アルキルアリール、置換(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C10)ハロアルキル、ヘテロアリール、-(CHC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C~C15)アルキル、-(CHSC(O)(C~C15)アルキル、-(CHC(O)O(C~C15)アルキル、および-(CHC(O)O(C~C15)アルキルアリール(ここで、nは、1から8から選択される整数である);P(O)(OH)OP(O)(OH);ハロゲン、ニトロ、シアノ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、-N(R11a、C~Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b;NHSO(C~Cアルキル)、-SON(R11aSO(ここで、R11aのそれぞれは、Hおよび(C~C)アルキルから独立して選択され、R11bは、OH、C~Cアルコキシ、NH、NH(C~Cアルキル)、またはN(C~Cアルキル)から独立して選択される)の群の中から選択され;
-R12は、H、C~C10アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10ハロアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C18アリール、C~Cアルキルアリール、およびC~C12ヘテロアリールの中から選択され;ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびシアノの中から選択される1個または2個の基で所望により置換されていてもよく;
-RおよびRA’は、H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)チオ-アルキル、(C~C10)ヒドロキシアルキル、(C~C10)アルキルアリール、および(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびにタンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸の中から選択される側鎖の中から独立して選択され;ここで、前記アリール基は、ヒドロキシル、(C~C10)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、およびシアノの中から選択される基で所望により置換されていてもよく;または
-RおよびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;または
およびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-O-CH-CH-CHR-O-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;
-Rは、H、OR、NHR13、NR1314、NH-NHR13、SH、CN、N、およびハロゲンの中から選択され;ここで、R13およびR14は、互いに独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルキルアリール、および-CR-C(O)-ORの中から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素原子、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ベンジル、インドリル、またはイミダゾリルであり;ここで、(C~C)アルキルおよび(C~C)アルコキシは、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、またはカルボキシル基のうちの1つまたは複数で所望により互いに独立して置換されていてもよく、ベンジル基は、1つまたは複数のハロゲンまたはヒドロキシル基で所望により置換されていてもよく;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、1つまたは複数のハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシルで所望により置換されたC~Cシクロアルキル基を形成しており;Rは、水素、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、または(C~C)シクロアルキルであり;
-Yは、CH、CH、C(CHおよびCCHの中から選択され;
【0130】
【化14】
は、Yに沿った単結合または二重結合を表し;
【0131】
【化15】
は、Rの位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
または
式(Ia)を有する化合物
【0132】
【化16】
またはその立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
X’およびX’は、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から独立して選択され;
R’およびR’13は、H、アジド、シアノ、C1~C8アルキル、C1~C8チオ-アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC1~C8アルキルから選択され;
R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12は、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C~C12アルキル、C~C12チオアルキル、C~C12ヘテロ-アルキル、C~C12ハロアルキル、およびORの中から独立して選択され;ここで、Rは、H、C~C12アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、またはC(O)CHRAANH2基の中から選択してもよく;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
R’およびR’は、H、アジド、シアノ、C~Cアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC~Cアルキルから選択され;
R’およびR’14は、H、OR、NHR、NRR’、NH-NHR、SH、CN、N、およびハロゲンの中から独立して選択され;ここで、RおよびR’は、独立して、Hおよび(C~C)アルキルアリールから選択され;
Y’およびY’は、CH、CH、C(CH、またはCCHの中から独立して選択され;
M’は、Hまたは好適な対イオンから選択され;
【0133】
【化17】
は、Y’およびY’に応じて単結合または二重結合を表し;
【0134】
【化18】
は、R’およびR’13の位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0135】
本発明の意味の範囲内において、M’は、内部対イオンであっても外部対イオンであってもよい。
【0136】
第1の好ましい実施形態において、薬学的に許容される誘導体は式(I)を有する化合物である。
【0137】
第1の実施形態の1つの変形において、Xは酸素を表す。
【0138】
第1の実施形態の1つの変形において、RおよびRはそれぞれ、互いに独立して水素を表す。
【0139】
第1の実施形態の1つの変形において、R、R、RおよびRはそれぞれ、互いに独立して、水素またはOHを表す。
【0140】
第1の実施形態の1つの変形において、YはCHを表す。
【0141】
第1の実施形態の1つの変形において、YはCHを表す。
【0142】
第1の実施形態の1つの変形において、Rは水素を表す。
【0143】
第1の実施形態の1つの変形において、RはP(O)(OH)を表す。
【0144】
第1の実施形態の1つの変形において、
Xは酸素を表し;および/または
およびRは、それぞれ独立して、水素を表し;および/または
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素を表すか、またはR、R、RおよびRは独立してOHを表し;および/または
Yは、CHまたはCHを表し;および/または
はP(O)R10を表し、ここで、RおよびR10は、OH、OR11、NHR13、NR1314、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10シクロアルキル、C~C12アリール、C~Cアリールアルキル、C~Cアルキルアリール、C~Cヘテロアルキル、C~Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCRA’C(O)R12の中から独立して選択される。
【0145】
第1の実施形態の1つの特に好ましい変形において、本発明の化合物は、式I-BからI-Jを有する化合物の中から選択される。
【0146】
【表3】
【0147】
NMNの薬学的に許容される誘導体は、アルファ-NMN(化合物I-BまたはI-F)またはジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)(化合物I-DまたはI-C)、およびこれらの組合せであってもよい。
【0148】
第2の好ましい実施形態において、薬学的に許容される誘導体は、式(Ia)を有する化合物である。
【0149】
第2の実施形態の1つの変形において、X’1およびX’2は、それぞれ独立して、酸素を表す。
【0150】
第2の実施形態の1つの変形において、R’7およびR’14は、それぞれ独立して、NHを表す。
【0151】
第2の実施形態の1つの変形において、R’1および/またはR’13は、それぞれ独立して、水素を表す。
【0152】
第2の実施形態の1つの変形において、R’6および/またはR’8は、それぞれ独立して、水素を表す。
【0153】
第2の実施形態の1つの変形において、R’2、R’3、R’4、R’5、R’9、R’10、R’11、およびR’12は、それぞれ独立して、水素を表す。
【0154】
第2の実施形態の1つの変形において、R’2、R’3、R’4、R’5、R’9、R’10、R’11、およびR’12は、それぞれ独立して、OHを表す。
【0155】
第2の実施形態の1つの変形において、Y’1およびY’2は、それぞれ独立して、CHを表す。
【0156】
第2の実施形態の1つの変形において、Y’1およびY’2は、それぞれ独立して、CH2を表す。
【0157】
第2の実施形態の1つの変形において、本発明による化合物は、式Ia-AからIa-Iを有する化合物の中から選択される。
【0158】
【表4】
【0159】
好ましくは、式Iaを有する化合物は、化合物Ia-B、Ia-C、Ia-E、Ia-F、Ia-HおよびIa-I、ならびにこれらの組合せの中から選択される。
【0160】
したがって、従来の様式で使用される治療法の使用を減少させることによって、または実際それらを更に置き換えることによって、本発明は、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せのための従来の治療の使用を回避することまたは最低限でも減少させること、その結果、これらの治療法と関連する有害な副作用の出現を回避することまたは最低限でも減少させることを可能にする。
【0161】
使用
本発明によれば、NMN、薬学的に許容される誘導体またはこれらの薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、ある/いくつかの身体的活動に起因する筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せを予防および/または治療するために使用される。
【0162】
筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せを誘発する場合がある身体的活動は、人の身体状態および身体的活動の性質に部分的に依存する。
【0163】
身体的活動は、レクリエーション目的のために、職業目的のために、またはスポーツ目的のために取り組んでもよい。レクリエーション目的のための身体的活動の非限定的な例として、ウォーキング、買い物、DIY活動、家具の組み立て、ガーデニング、釣り、および調理を挙げることができる。筋肉、靭帯、または腱の痛みおよびこれらの組合せをもたらす場合がある身体的活動は、例えば、組み立てラインの作業、職業、例えば、理学療法士、整骨医、看護師、介護士、担架を運ぶ人/病院の用務員、消防士、救急隊(paramedic-first responder)、清掃員(janitorial personnel)、商店経営者、販売員、警備員において行われるような作業を必要とする身体的操作などであってもよい。
【0164】
身体的活動の様々な異なる形態の強度は人によって異なる。任意の活動が心肺持久力から有益となるためには、少なくとも10分単位で行う必要がある。その世界標準化身体活動質問票において、WHOは、仕事か余暇かにかかわらず、激しいかまたは中等度の身体的活動の例を提供している。例えば、激しい強度の身体的活動は、立て続けに連続して少なくとも10分間、呼吸または心拍数において実質的な増加、例えば、重い荷物を運ぶかまたは持ち上げること、建設現場で働くこと、石積み作業、ランニング、またはサッカーを行うことを必要とする。中等度の強度の身体的活動は、立て続けに連続して少なくとも10分間、早歩きまたは軽い荷物の運搬、水泳、自転車に乗ること、またはバレーボールを行うことであってもよい。身体的活動に関して、WHOは、ある場所から別の場所へ移動する様式、例えば、ウォーキングまたはサイクリングも考慮に入れている。軽い強度の身体的活動は、例えば、遅いウォーキングまたは食器洗いであってもよく;中等度の強度の身体的活動は、早歩きまたは水中運動/水中有酸素運動であってもよく、激しい強度の身体的活動は、ジョギングまたはテニスであってもよい。
【0165】
活動強度には4つの識別可能なレベルが存在し、身体的強度は各個体の認識に事実上依存する:
低強度の活動-例えば、車を運転すること、片付けること、食事の準備または調理-息切れまたは発汗は誘発しない。認識される行動レベルは、0から10のスケールで3または4で評価される。
中等度の強度の活動-例えば、早歩き、ランニング(8km/時間未満)、サイクリング(およそ15km/時間)、または階段の昇降-中等度の息切れおよびわずかな発汗を誘発する。認識される行動レベルは、0から10のスケールで5または6で評価される。会話を行うことが可能である。
高強度の活動-例えば、活発なまたは上り坂のウォーキング、ランニング、サイクリング(約20km/時間)または重い荷物の持ち上げ/移動-顕著な息切れおよび大量の発汗を誘発する。認識される行動レベルは、0から10のスケールで7または8で評価される。会話を行うことは困難である。
非常に高強度の活性-例えば、ランニング(9から18km/時間)、サイクリング(25km/時間を超える)、縄跳び-重度の息切れおよび非常に大量の発汗を誘発する。認識される行動レベルは、0から10のスケールで8を超えて評価される。会話を行うことは不可能である。
【0166】
好ましくは、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せは、スポーツの実践に起因する。
【0167】
筋肉、靭帯または腱の痛みおよびこれらの組合せをもたらすスポーツの例として、非網羅的なまたは非限定的な根拠であるが、ハイキング、ノルディックウォーキング、フィットネスウォーキング、ランニング、乗馬、アスレチック、ダンス、体操、ラケットスポーツ、格闘スポーツ、チームスポーツ、水中スポーツ、エクストリームスポーツを挙げることができる。ラケットスポーツの例として、非網羅的な様式であるが、テニス、バドミントン、スカッシュ、卓球およびテニスが挙げられてもよい。格闘スポーツの例として、武術、フランス式ボクシング、イギリス式ボクシング、タイ式ボクシング、フェンシング、レスリング、カポエイラ、キャッチ(職業レスリング)、サバットを挙げることができる。チームスポーツの例として、非網羅的な様式で、サッカー、ハンドボール、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、ポロおよび水球が挙げられてもよい。水中スポーツの例として、カヤック、セーリング、ウィンドサーフィン、ダイビング、カヌーを挙げることができる。エクストリームスポーツの例として、非網羅的な様式で、スカイダイビング、パラグライダー、カイトサーフィン、サーフィン、キャニオニング、登山、およびロッククライミングが挙げられてもよい。
【0168】
本発明によるNMN、誘導体またはこれらの塩、ならびにこれらを含む組成物は、実際、スポーツの実践と関連する筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せ、特に筋肉痛を従来の治療法の使用に頼ることなく軽減するために使用してもよい。
【0169】
特に、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、哺乳動物における、好ましくはヒトにおける身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せ、特に筋肉痛の治療および/または予防において使用してもよい。
【0170】
本発明の文脈において、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せは、身体的活動から、好ましくはスポーツの実践のみから生じる。そのような痛みは局在的または拡散的であり、これらの治療は外科的介入を必要としない。特に、そのような痛みは、身体的活動、特にスポーツの過度の実践;不正確に行われた動作/技法または不適切な動作;身体的活動、特にスポーツ活動を実践中の悪い姿勢;身体的活動、特にスポーツ活動後にストレッチを行わなかったこと;身体的活動、特にスポーツ活動を実践中の不適切な設備の使用;および/または休憩を行わなかったことに起因する場合がある。
【0171】
筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せは、ヒト身体における全ての筋肉に関与する。好ましくは、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せは、大腿部、ふくらはぎ、足、股関節部、臀部筋、僧帽筋、肩、腹部、二頭筋、三頭筋、前腕筋、首の筋肉、足の筋肉、アキレス腱、手、またはこれらの組合せに関与する。
【0172】
好ましくは、痛みは筋肉痛である。本発明の意味の範囲内で、筋肉痛は、骨格横紋筋に影響を及ぼし、平滑筋または心筋には影響を及ぼすことはない。筋肉痛は、ソアネス、拘縮、痙攣、伸展(引っ張られた/張り詰めた筋肉)、筋挫傷、筋断裂、筋線維の部分的もしくは完全な裂傷、またはこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0173】
「ソアネス」という用語は、身体的奮闘の行使に起因する1つまたは複数の筋肉の長期にわたる不随意の収縮を指す。ソアネスは筋肉が無酸素運動を行った、すなわち酸素の供給が行われなかった結果であり、酸素の欠乏における代謝に起因する乳酸の産生および細胞老廃物の蓄積を伴う。ソアネスは、奮闘を行使した後に出現し、1から7日間持続する場合がある。筋肉拘縮および痙攣は、筋肉または筋肉群のいくつかの筋線維の不随意の筋収縮に対応し、運動中に出現する。拘縮は、それがはるかに長期間にわたって持続するという点において痙攣とは異なる。実際、痙攣は、数分間しか持続しないが、拘縮は筋肉を静止させた場合、5から6日間持続する場合がある。痙攣および拘縮は通常、筋肉損傷(病変)と関連しない。
【0174】
「伸展」(引っ張られた/張り詰めた筋肉)という用語は、筋肉または筋肉群の外傷性伸展を指すと理解される。「筋挫傷」という用語は、皮膚を破壊することなく、皮膚の変色および腫れによって特徴付けられる、筋肉または筋肉群に匹敵する損傷を指すと理解される。
【0175】
有利には、筋肉痛は、国際疾病分類ICD-10(第10版、2019年版)のカテゴリーM62.1、M62.4、M62.6、R25.2のうちの1つおよびこれらの組合せに基づいて分類してもよい。
【0176】
有利には、靭帯の痛みは、捻挫、靭帯の部分的もしくは完全な断裂、またはこれらの組合せであってもよい。
【0177】
捻挫は、靭帯の伸展である。それが良性の場合、捻挫は「ひずみ」という用語で称される場合もあるが、この用語は医療専門家には使われていない。
【0178】
有利には、腱の痛みは、腱炎、腱滑膜炎、滑液包炎、またはこれらの組合せである。
【0179】
「腱炎」という用語は、腱の炎症を指すと理解される。「腱滑膜炎」という用語は、腱および周囲の滑液鞘の炎症を指す。「滑液包炎」という用語は、関節周囲の漿液包および腱の炎症を指し、関節または周囲の腱に対する反復的なストレスによって引き起こされることが多いと理解される。
【0180】
有利には、腱の痛みは、特に、ICD-10分類(第10版、2019版)のカテゴリーM65、好ましくはM65.2、M65.3、M65.4、M65.5、M65.6、M65.7、M65.8、M65.9、M66、M67、M70.6、M75.1(回旋腱板症候群)、M75.2、M75.3、M76、M77およびこれらの組合せに基づいて分類してもよい。
【0181】
ICD10(2019年版)によれば、痛みはイベント中に起こる場合があり、その活動コードは、コード0、すなわち「スポーツを実践する間」として、またはコード1、すなわち「ゲームおよび余暇活動に参加している間」として分類される。
【0182】
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、筋肉、靭帯もしくは腱の凝りまたはこれらの組合せを減少させること、および/または筋肉、靭帯、腱の機能またはこれらの組合せを改善することも可能にする。「筋肉の凝り」という用語は、筋肉が弛緩することが困難であることを指すと理解される。「筋肉の機能」は、筋肉が収縮するための能力を指す。「靭帯または腱の凝り」という用語は、動作を可能にするために靭帯または腱が伸展することが困難であることを指すと理解される。「靭帯または腱の機能」という用語は、動作を可能にするために靭帯または腱が正常に、すなわち誇張されていないかまたは制限されていない様式で伸展する能力を指すと理解される。
【0183】
しかし、本発明の文脈において、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せは、腫瘍、関節炎(ICD-10のクラスM00からM09およびM11からM14)、痛風(ICD-10クラスM10)、変形性関節症(ICD-10クラスM15からM19)、関節変形(ICD-10クラスM20およびM21)、結合組織疾患(ICD-10クラスM30からM36)、背部痛(ICD-10クラスM40からM54)、神経変性疾患、神経障害、遺伝的疾患、自己免疫疾患、ミオパチー(ICD-10クラスM60~M63)、オステオパシー(ICD-10クラスM80からM90)、骨粗鬆症、軟骨疾患(ICD-10クラスM91からM94)、血管症、ウイルス感染、真菌感染、細菌感染、寄生生物、医薬、外科手術、健康診断の有害な副作用、石灰化、外傷(身体的活動によって誘発されるものを除く)、先天異常またはこれらの組合せから選択される病状のうちの1つに起因するものではない。
【0184】
「神経変性疾患」という用語は、脳またはより一般的には神経系に影響を及ぼし、神経細胞の死滅をもたらす進行性の病状を指すと理解される。「神経障害」という用語は、末梢神経系、すなわち、手足の運動および感覚神経、ならびに臓器を制御する自立神経系の神経、更にまれには中枢神経系の全ての状態/障害を実質的に指すと理解される。神経障害は、これらに限定されるものではないが、アルコールの乱用、薬物負荷、糖尿病、ウイルス感染、ダメージを受けた神経を有する損傷に起因しているものでも、未知の原因によって引き起こされるものであってもよい。
【0185】
「遺伝的疾患」という用語は、身体におけるある特定の細胞の誤作動につながる1つまたは複数の染色体の1つまたは複数の異常に起因する疾患を指すと理解される。遺伝的疾患は、不活性または奇形のタンパク質の形成につながる遺伝子における欠失または突然変異に起因する場合がある。
【0186】
自己免疫疾患は、免疫系が過剰に活性化され、正常ヒト細胞を攻撃する疾患である。
【0187】
ミオパチーは、影響を受けた筋肉の強度における低下および様々な程度の萎縮によって特徴付けられる変性性筋肉疾患である。これらは、ほとんどの場合、遺伝性疾患である。「軟骨疾患」という用語は、軟骨に影響を与える疾患を指すと理解され、過度なまたは分布が不十分な圧力が軟骨にかかることに起因する場合がある。それは、軟骨の軟化として現れる場合がある。「骨粗鬆症」という用語は、骨組織の粗化を指すと理解され、閉経もしくは加齢に起因するかまたは突発性である場合がある。「血管症」という用語は、動脈または静脈の血管に影響を与える病状を指すと理解される。
【0188】
「外傷」という用語は、骨折、脱臼、亜脱臼、またはこれらの組合せを指すと理解される。
【0189】
痛みを測定するための様々な異なるスケールが存在する。そのような測定スケールは、例えば、フランス高等保健機構(https://www.has-sante.fr/upload/docs/application/pdf/2019-02/liste_echelles_douleur_2019.pdf)によって提供される文献において挙げられる。これらの中で、疼痛のVisual Analogue Scale(VAS)、数値スケール、簡単な言語スケールの注目すべきスケールを挙げることができる。Visual Analogue Scaleは、その紙の形式でまたはその「機械的」形式で、すなわち、あるタイプの定規として提示される場合がある。従来の形式は、100mmの長さの水平ラインが特徴である。患者は、印刷された線上に線を引くことによって(紙の形式)、またはこの線に沿ってカーソルを移動させることによって(機械定規)、自身の疼痛レベルを示す。それは白色の背景であり、文末以外に文字はない。いくつかのスケールが集団の特定のカテゴリーに関して開発されてきた。例えば、DoloplusおよびAlgoplusスケールは高齢者用に特に開発されてきた。
【0190】
投与様式およびガレノス形態
NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、およびそれを含む組成物は、好ましくは局所経路を介して投与されることを意図する。「局所経路」という用語は、身体、例えば皮膚または粘膜の部位におけるまたは外部表面上への組成物または物質の投与形態を指すと理解される。
【0191】
本発明を実施するのに好適なガレノスまたは医薬投薬形態は、ゲル、溶液、油中水エマルション、水中油エマルション、油、クリーム、軟膏/膏薬、またはリニメントである。
【0192】
「溶液」という用語は、液体相中に様々な成分を溶解し、その結果、唯一の均質相を形成することによって得られる、少なくとも1つの活性成分を投与するために使用される液体ガレノス形態を指すと理解される。
【0193】
「エマルション」という用語は、一方が他方中に小液滴の形態で分散している、2つの非混和性液体物質の不均質な混合物を指すと理解される。エマルションは、水および油のように自然に混合されることはない(非混和性の)2つの液体を混合するために使用される。エマルションは、特定の操作(いくつかの活性成分の撹拌、混合、添加)を使用することによって得てもよい。エマルションの外観は巨視的には均質であるが、微視的には不均質である。したがって、物質のうちの1つは、液滴の形態で第2の物質中に分散することになる。混合物は、乳化剤と称される第3の成分のおかげで安定なままであることが可能である(混合物の漸進的変化のスピードまたは動力学はほぼゼロである)。「油中水エマルション」は「水/油」と表記され、油性相中に分散した水性相からなる。「水中油エマルション」は「油/水」と表記され、水性相中に分散した油性相からなる。
【0194】
「クリーム」という用語は、局所使用のために投与されることを意図する半固形調製物を指すと理解される。
【0195】
「軟膏/膏薬」という用語は、皮膚に適用することを意図する半固形調製物を指すと理解される。
【0196】
「リニメント」という用語は、擦る(摩擦する)行為によって使用されることを意図する脂肪物質、例えば油を慣例的に含む液体医薬形態を指すと理解される。
【0197】
「ゲル」という用語は、場合により延性を有し、液体によって囲まれた巨大分子の3次元ネットワークからなる固体材料を指すと理解される。ゲルの形態の組成物は、皮膚中に十分に急速に浸透し、また新鮮な麻酔感覚を提供する役割を果たす。
【0198】
1つの好ましい実施形態において、ゲルは、疎水性ゲルまたは親水性ゲルであってもよい。有利には、ゲルは親水性ゲルである。
【0199】
1つの特に好ましい実施形態において、本発明による組成物は、油中水エマルションまたは水中油エマルションの形態であり、より好ましくは水中油エマルション(油/水またはO/Wと表記される)の形態である。
【0200】
NMNは非常に親水性であり、その結果、水性相中によく溶解する。
【0201】
有利には、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、1日あたり1から10回の間、好ましくは1日あたり1から5回の間、より好ましい様式では1日あたり1から3回の間投与されることを意図する。
【0202】
1つの特に好ましい実施形態において、NMN、その薬学的に許容される誘導体、もしくはその薬学的に許容される塩、またはこれらを含む組成物は、1日2回投与してもよい。
【0203】
治療上の組合せ
NMN、その薬学的に許容される誘導体、その薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物はまた、少なくとも1つの他の治療剤、特に身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療において慣例的に使用される治療剤と組み合わせて使用してもよい。
【0204】
本発明と併用してもよい治療剤の中でも、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、コルチゾン、コルチゾン誘導体、筋弛緩薬、アルニカ、サリチル酸、エスシン、カプサイシン、ズカプサイシン、トラゾリン、ジメチルスルホキシド、イドロシルアミド、またはこれらの組合せを挙げることができる。
【0205】
有利には、鎮痛薬は、パラセタモール、ネフォパム、ケタニン、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノイド、アスピリン、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サリチルアミド、コデイン、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ジヒドロコデイン、コデイノン、トラマドール、モルヒネ、モルヒノン、ブプレノルフィン、フェンタニル、アセチルフェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、ヘロイン、ヒドロモルフォン、ナルブフィン、オキシコドン、ヒドロキシコドン、オキシモルフォン、ラウダナム、メタドン、ペチジン、デキストロプロポキシフェン、エンドルフィン、タペンタドール、テバイン、ビコジン、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0206】
有利には、非ステロイド性抗炎症薬は、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケトロラク、アルミノプロフェン、アセクロフェナク、メフェナム酸、ニフルム酸、チアプロフェン酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、エトドラク、エトリコキシブ、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、メロキシカム、ナブメトン、ピロキシカム、スリンダク、テノキシカム、ニメスリド、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0207】
コルチゾン誘導体は、ベタメタゾン、シプロフロキサシン、コルチバゾール、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロンおよびトリアムシノロン、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0208】
アルニカは、Arnica montanaとして既知の植物である。それは、本発明による組成物中に組み込んでも、NMN、薬学的に許容される誘導体もしくはこれらの塩、または本発明による組成物と組み合わせて使用してもよい。アルニカは、特に、注入剤として、または膏薬、軟膏、ゲルもしくは局所適用に好適な任意の適切なガレノス形態中に組み込まれた抽出物の形態で使用してもよい。
【0209】
エスシンは、セイヨウトチノキまたはベータ-エスシンとも称され、NMNまたは記載されているそれを含む組成物の使用と組み合わせて痛みを減少させるために局所適用してもよい。
【0210】
カプサイシンおよびズカプサイシンは、コショウ科において認められるアルカロイドである。これらは好ましくは局在的に投与される。
【0211】
有利には、筋弛緩薬は、局在作用性筋弛緩薬、中枢作用性筋弛緩薬およびカルバミン酸エステルならびにその誘導体の中から選択してもよい。
【0212】
筋弛緩薬は、骨格横紋筋を弛緩させるために使用されるあるクラスの医薬品である。筋弛緩薬は筋肉に対して局在的にまたは中枢作用によって作用する。中枢作用性筋弛緩薬は、脊髄または脳における中枢神経系に作用する。
【0213】
本発明と組み合わせて使用してもよい筋弛緩薬の非限定的な例の目的で、バクロフェン、キニーネ、メフェネシン、チザニジン、テトラゼパム、チオコルチコシド、アセチルヘキサペプチド-8、μ-コノトキシンCnIIIc(ミューコノトキシンCnIIIc)、ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテート、ならびに局在的に使用されるボツリヌス毒素、ならびにこれらの組合せを特に挙げることができる。
【0214】
アセチルヘキサペプチド-8はアルジレリンとも称され、CAS番号:616204-22-9で登録されている。その作用はボツリヌス毒素の作用と類似している。μ-コノトキシンCnIIIc(またはミューコノトキシンCnIIIc)はボツリヌス毒素の誘導体であり:Navナトリウムチャネルおよびニコチン性アセチルコリン受容体として表示されるnAChrをブロックすることを可能にする。μ-コノトキシンCnIIIc(またはミューコノトキシンCnIIIc)は、CAS番号:936616-33-0およびUNIPROT番号I1SB07で登録されている。ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテートはCAS番号:823202-99-9で登録されている。それは筋収縮を減少させるために使用される。アルジレリン、μ-コノトキシンCnIIIc、およびジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテートは、好ましくは、局所経路を介して投与されることを意図する。
【0215】
1つの特に好ましい実施形態において、筋弛緩薬は筋肉に対して局在的に作用する。局在作用性筋弛緩薬は、筋肉内または局所経路を介して投与してもよい。
【0216】
有利には、カルバミン酸エステルはメトカルバモールであってもよい。
【0217】
少なくとも1つの他の追加の治療剤は局所または経口経路を介して、または注射によって投与してもよい。より正確には、少なくとも1つの他の治療剤は、慣例的に投与される経路によって投与してもよい。
【0218】
少なくとも1つの他の治療剤はまた、NMN、その薬学的に許容される塩、もしくはその薬学的に許容される誘導体、または本発明による組成物と同時にまたは異なる時間に投与してもよい。
【0219】
NMNおよびそれを含む組成物は、従来の治療法の使用を置き換えることを可能にするが、1つの実施形態において、筋肉、靭帯および/または腱の痛みを予防および/または治療するための従来の治療法と本発明とを組み合わせることを想定してもよい。実際に、そのような組合せは、従来の治療法の投与の用量および/または頻度を減少させ、その結果としてこれらの従来の治療法と関連する副作用を回避するかまたは最低限でも減少させることを可能にする。
【0220】
本発明による組成物および化合物は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時に、個別にまたは連続的に投与してもよい。「同時に」という用語は、2つの薬剤が同じ時間に投与されることを示すと理解される。「個別に」という用語は、第1の薬剤の投与と第2のものとの間の時間間隔が著しいこと、少なくとも1時間であることを示すと理解される。「連続的に」という用語は、2つの薬剤が、これら両方が同じ時期にわたって治療的に作用することが可能であるような時間枠内で交互に投与されることを示すと理解される。2つの薬剤を投与する間の最適な時間間隔は、本発明の化合物または組成物の投与法の正確な性質によって変わることになる。
【0221】
組成物
本発明による組成物は、身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療において使用するための、ニコチンアミドモノヌクレオチド、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを局所投与するための少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい。
【0222】
好ましくは、本発明による組成物は局所的に投与されることを意図する。
【0223】
そのような組成物は、身体的活動によって誘発される、特に本説明において記載されているようなスポーツの実施に起因する筋肉、靭帯もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せを軽減するのに特に有用である。
【0224】
本発明の文脈において、「賦形剤」は、組成物中に存在し、治療効果を有さないNMN以外の任意の物質を指す。賦形剤は、NMNまたはその他の追加の治療剤と化学的に相互作用しない。
【0225】
賦形剤は、増量剤、滑沢剤、香味剤、着色剤、乳化剤、圧縮剤、希釈剤、保存剤、ゲル化剤、可塑剤、界面活性剤、またはこれらの組合せの中から選択してもよい。当業者であれば、選択することになるガレノス形態に基づいて選択されることになる賦形剤をどのように決定するかを知っているであろう。
【0226】
本発明による組成物は医薬組成物であってもよい。
【0227】
有利には、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して、0.05重量%から15重量%の間、好ましくは1重量%から10重量%の間、より好ましくは3重量%から5重量%の間の量で、NMN、その塩のうちの1つまたはその薬学的に許容される誘導体のうちの1つを含んでいてもよい。最も好ましくは、本発明による組成物は、5%のNMN、薬学的に許容される誘導体またはこれらの塩を含む。
【0228】
目的の1つの変形において、本発明による組成物はまた、上記で検討されたような身体的活動によって誘発される、筋肉、靭帯、もしくは腱の痛み、またはこれらの組合せの予防および/または治療におけるその使用のための、上記で定義された少なくとも1つの他の追加の治療剤を含んでいてもよい。
【0229】
式(I)を有する化合物および式(Ia)を有する化合物を調製するための方法
式(I)または式(Ia)を有する化合物は、当業者に周知の任意の方法に従って調製してもよい。
【0230】
式(I)を有する化合物を調製するための化合物の調製法
式(I)を有する化合物は、国際特許出願WO2017/024255A1、および米国特許10,611,790B2に記載されている方法に従って、ならびに以下に記載される方法に従って特に調製してもよい。
【0231】
特に、本明細書において開示される式(I)を有する化合物は、基質A~Eから以下で本明細書で記載するように調製してもよい。これらの反応スキームは決して限定を意図するものではなく、それらに対する変形は、趣旨および範囲を本発明から逸脱することなく行ってもよいことを当業者であれば理解するはずである。
【0232】
1つの実施形態によれば、本発明は、本明細書において上述したような式(I)を有する化合物を調製するための化合物の調製法に関する。
【0233】
方法は、第1のステップにおいて、塩化ホスホリルおよびトリアルキルホスフェートの存在下で式(A)を有する化合物をモノリン酸化し、その結果、式(B)を有するホスホロジクロリデートを得ることを伴う
【0234】
【化19】
(式中、X、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【0235】
【化20】
は、式(I)を有する化合物に関して本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0236】
第2のステップにおいて、式(B)を有するホスホロジクロリデートを加水分解し、その結果、式(C)を有するホスフェートを得る
【0237】
【化21】
(式中、X、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【0238】
【化22】
は、式(I)を有する化合物に関して本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0239】
1つの実施形態によれば、式(A)を有する化合物は、当業者に既知の様々な方法を用いて合成される。
【0240】
1つの実施形態によれば、式(A)を有する化合物は、式(D)を有するペントースと式(E)を有する窒素含有誘導体との反応によって合成し(式中、R、R、R、R、R、R、R、Yは、式Iを有する化合物に関して本明細書において上述したとおりである)、その結果、式(A-1)を有する化合物を得、次いでこれを選択的に脱保護して、式(A)を有する化合物が得られる
【0241】
【化23】
(式中、X、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【0242】
【化24】
は、式(I)を有する化合物に関して本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0243】
1つの実施形態によれば、Rは、当業者に既知の好適な保護基である。1つの実施形態において、保護基は、トリアリールメチルおよび/またはシリルの中から選択される。限定するものではないが、トリアリールメチルのいくつかの例としては、トリチル、モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、および4,4’,4’’-トリメトキシトリチル基がある。限定するものではないが、シリル基のいくつかの例としては、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル、および[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルがある。
【0244】
1つの実施形態によれば、ペントースに結合したいずれのヒドロキシル基も、当業者に既知の適切な保護基によって保護される。
【0245】
保護基の選択および交換は当業者の知識および専門的技術の十分な範囲内である。保護基はまた、例えば、酸(例えば、無機または有機酸)、塩基またはフッ化物原料を用いて当業者に周知の方法によって除去してもよい。
【0246】
1つの好ましい実施形態において、式(E)を有する窒素含有誘導体は、ルイス酸の存在下での反応によって式(D)を有するペントースと結合され、その結果、式(A-1)を有する化合物が得られる。限定するものではないが、ルイス酸のいくつかの例としては、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)、BF.OEt、TiClおよびFeClがある。
【0247】
1つの実施形態において、本発明の方法はまた、当業者に周知の様々な方法によって式(A)を有する化合物を還元し、その結果、式(A’)を有する化合物が得られる還元ステップを更に含む(式中、CH、およびR、R、R、R、R、R、R、Y、
【0248】
【化25】
は、式(I)を有する化合物に関して本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0249】
1つの特定の実施形態において、本発明は、式I-A、I-C、I-E、I-Gを有する化合物を調製するための化合物の調製法に関する。
【0250】
第1のステップにおいて、式Eを有するニコチンアミドは、ルイス酸の存在下でカップリング反応させることによって式Dを有するリボーステトラアセテートと結合され、その結果、式A-1を有する化合物が得られる。
【0251】
【化26】
【0252】
第2のステップにおいて、式A-1を有する化合物のアンモニア処置が行われ、その結果、式I-Aを有する化合物が得られる。
【0253】
【化27】
【0254】
第3のステップにおいて、塩化ホスホリルおよびトリアルキルホスフェートの存在下で式I-Aを有する化合物がモノリン酸化され、その結果、式I-A’を有するホスホロジクロリデートが得られる。
【0255】
【化28】
【0256】
第4のステップにおいて、式Bを有するホスホロジクロリデートが加水分解され、その結果、式I-Cを有する化合物が得られる。
【0257】
【化29】
【0258】
1つの実施形態において、式I-Aを有する化合物を還元する還元ステップが行われ、その結果、式I-Eを有する化合物が得られる。
【0259】
次いで、式I-Eを有する化合物は、第4のステップにおいて記載されているようにモノリン酸化され、加水分解され、その結果、式I-Gを有する化合物が得られる。
【0260】
1つの実施形態によれば、式(I)を有する化合物は、以下の表における化合物I-AからI-Hから選択される。
【0261】
【表5】
【0262】
好ましくは、式(I)を有する化合物は、化合物I-A、化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-E、化合物I-F、化合物I-G、化合物I-H、化合物I-I、化合物I-J;好ましくは化合物I-C、化合物I-Dまたは化合物I-F、およびこれらの組合せの中から選択される。より好ましい方式では、式(I)を有する化合物は、化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-F、およびこれらの組合せの中から選択される。
【0263】
式(Ia)を有する誘導体を調製するための誘導体調製方法
特に、本明細書において示される式Iaを有する化合物は、基質X~XIIIから本明細書において以下に記載するように調製してもよい。これらの図は、決して限定を意図するものではなく、細部に関して、それらに対する変形は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行ってもよいことを通常の当業者であれば理解するはずである。
【0264】
1つの実施形態によれば、本発明は、本明細書において上述した式Iを有する化合物を調製するための化合物の調製法に関する。
【0265】
方法は、まず第1に、トリアルキルホスフェート中の塩化ホスホリルの存在下で、式Xを有する化合物をモノリン酸化して、化合物ホスホロジクロリデートXIを得ることからなる
【0266】
【化30】
(式中、X’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、Y’
【0267】
【化31】
は、本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0268】
第2のステップにおいて、第1のステップにおいて得られたホスホロジクロリデートXIの加水分解によって、式XIIを有するホスフェート化合物が得られる
【0269】
【化32】
(式中、X’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、Y’、M’、
【0270】
【化33】
は、本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0271】
次いで、第2のステップにおいて得られた式XIIを有するホスフェート化合物は、第1のステップにおいて記載したように得られた式XIIIを有するホスホロジクロリデート化合物と反応させて
【0272】
【化34】
(式中、X’、R’、R’、R’10、R’11、R’12、R’13、R’14、Y’
【0273】
【化35】
は、式Iaに関して本明細書において記載したとおりである)、本明細書において記載される式Iaを有する化合物を得る。
【0274】
1つの実施形態によれば、方法は、専門家に既知の様々な方法を使用して式Iaを有する化合物を還元して、式Iaを有する化合物を得る還元ステップを更に含む(式中、Y’およびY’は同一であり、それぞれCHを表し、X’、X’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12、R’13、R’14、Y’、Y’、および
【0275】
【化36】
は、式Iaに関して本明細書において記載したとおりである)。
【0276】
1つの変形において、Rは、当業者に既知の好適な保護基である。トリアリールメチルおよび/またはシリル基は好適な保護基の例である。限定するものではないが、トリアリールメチルのいくつかの例としては、トリチル、モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、および4,4’,4’’-トリメトキシトリチルがある。限定するものではないが、シリル基のいくつかの例としては、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル、および[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルがある。
【0277】
1つの表現によれば、ペントース環に結合した任意のヒドロキシ基は、当業者に既知の好適な保護基によって保護される。
【0278】
保護基の選択および交換は、当業者の知識および専門的技術の十分な範囲内である。任意の保護基はまた、当技術分野において既知の方法によって、例えば、酸(例えば、無機または有機酸)、塩基またはフッ化物原料を用いて除去してもよい。
【0279】
1つの好ましい実施形態によれば、式XVを有する窒素化合物は、ルイス酸の存在下でカップリング反応させることによってペントースXIVに付加されて、式X-1を有する化合物が得られる。限定するものではないが、好適なルイス酸のいくつかの例としては、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)、BF.OEt、TiClおよびFeClがある。
【0280】
1つの特定の実施形態によれば、本発明は、式VIIIを有する化合物
【0281】
【化37】
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは溶媒和物を調製するための化合物調製法に関する。
【0282】
第1のステップにおいて、式XVを有するニコチンアミドは、ルイス酸の存在下でカップリング反応させることによってリボーステトラアセテートXIVに添加されて、式X-1を有する化合物が得られる。
【0283】
【化38】
【0284】
第2のステップにおいて、式X-1を有する化合物のアンモニア処置によって、式Xを有する化合物が得られる。
【0285】
【化39】
【0286】
第3のステップにおいて、トリアルキルホスフェート中の塩化ホスホリルの存在下で式Xを有する化合物をモノリン酸化することによって、化合物ホスホロジクロリデートXIが得られる。
【0287】
【化40】
【0288】
第4のステップにおいて、第3のステップにおいて得られたホスホロジクロリデート化合物XIは部分的に加水分解されて、式XIIを有するホスフェート化合物が得られる。
【0289】
【化41】
【0290】
次いで、第5のステップにおいて、第4のステップにおいて得られた式XIIを有するホスフェート化合物は、第3のステップにおいて記載したように得られた式XIを有するホスホロジクロリデート化合物と反応させて、式VIIIを有する化合物を得る。
【0291】
別の特定の実施形態によれば、本発明は、式IXを有する化合物
【0292】
【化42】
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは溶媒和物を調製するための化合物の調製法に関する。
【0293】
1つの変形によれば、式IXを有する化合物は、本明細書において上述したようにあらかじめ合成された式VIIIを有する化合物から得られる。
【0294】
この実施形態において、式IXを有する化合物は、当業者に既知の好適な還元剤を使用して式VIIIを有する化合物を還元することによって得て、式IXを有する化合物が得られる。
【0295】
1つの実施形態によれば、好ましい本発明の化合物は、表2の化合物Ia-AからIa-Iである。
【0296】
【表6】
【0297】
好ましくは、式(Ia)を有する化合物は、式Ia-Bを有する化合物、式Ia-Cを有する化合物、式Ia-Eを有する化合物、式Ia-Fを有する化合物、式Ia-Hを有する化合物、式Ia-Iを有する化合物、および式Ia-Gを有する化合物、ならびにこれらの組合せの中から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0298】
図1】6日間の適用にわたる全体的な疼痛の漸進的変化を示すグラフである。
図2】6日間の適用にわたる、ストレス(ソリシテーション(solicitation))にさらされていない疼痛を伴う領域を呈する疼痛の漸進的変化を示すグラフである。
図3】6日間の適用にわたる、ストレス(ソリシテーション)にさらされた疼痛を伴う領域を呈する疼痛の漸進的変化を示すグラフである。
図4】6日間の適用にわたる、疼痛を伴う領域における凝りの漸進的変化を示すグラフである。
図5】6日間の適用にわたる、日常生活の動作の実行において経験した困難の漸進的変化を示すグラフである。
【実施例
【0299】
この説明の残りにおいて、提供される例は本発明の実例を意図し、決してその範囲を限定することを意図するものではない。
【0300】
実施例1
本発明による化合物の合成
材料および方法
全ての試薬は民間の供給会社から得、更に精製することなく使用した。薄層クロマトグラフィーは、TLCシリカゲル60 F254プラスチックシート(層厚0.2mm)、Merck製で行った。カラムクロマトグラフィーによる精製は、シリカゲル60(70~230メッシュASTM、Merck)で行った。融点は、デジタルデバイス(Electrothermal IA 8103)で補正せずに、またはWMEタイプのKofler加熱ベンチ(Wagner & Munz)で判定した。H、19F、および13C核磁気共鳴(NMR)および赤外線(IR)スペクトルによって、全ての化合物の構造を確認した。IRスペクトルは、Perkin Elmerスペクトル100 FT-IR分光器で記録し;NMRスペクトルは、Hスペクトルに関しては300または400MHz、13Cスペクトルに関しては75または100MHzスペクトル、19Fスペクトルに関しては282または377MHzで、BRUKER AC 300または400分光器で、溶媒としてCDCl、CDCN、DOまたはDMSO-dを使用して記録した。化学シフト(δ)は、(i)Hに関してはCHCl(δ7.27)を用いて間接的に;(ii)13Cに関してはCDCl(δ77.2)を用いて;(iii)19Fに関してはCFCl(内部標準)(δ0)を用いて直接的に、シグナルに対して百万分の1で示した。化学シフトはppmで提供され、ピークの多重度は以下のとおり表記される:s、シングレット;br s、広範なシングレット;d、ダブレット;dd、ダブレットのダブレット;ddd、ダブレットのダブレットのダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;quint、クインテット;m、マルチプレット。高分解能マススペクトル(HRMS)は、「Service central d’analyse de Solaize」(フランス国立科学研究センター-ソレーズ)から得、エレクトロスプレーイオン化飛行時間型(ESI-TOF)質量分析法を使用してWaters分光器で記録した。式Si(CHを有するテトラメチルシラン(TMS)は、NMRスペクトルのための参照化合物として使用される。
【0301】
プロトコール
ステップ1-式X-1を有する化合物の合成:式XIVを有する化合物(1.0当量)をジクロロメタン中に溶解する。式XVを有するニコチンアミド(1.50当量)およびTMSOTf(1.55当量)を室温で添加する。反応混合物を還流下で加熱し、反応が完了するまで撹拌する。混合物を室温に冷却し、ろ過する。ろ液を濃縮乾固し、その結果、粗製式X-1を有するNR(ニコチンアミドリボシド)テトラアセテートを得る。
【0302】
ステップ2-式Xを有する化合物の合成:式X-1を有する粗製NRテトラアセテートをメタノール中に溶解し、-10℃に冷却する。これに続いて、メタノール中の4.6Mアンモニア(3.0当量)を-10℃で添加し、混合物を、反応が完了するまでこの温度で撹拌する。Dowex HCR(H)をpHが6~7に達するまで添加する。反応混合物を0℃に加熱し、ろ過する。樹脂を、メタノールおよびアセトニトリルの混合物で洗浄する。ろ液を乾燥するまで濃縮する。残渣をアセトニトリル中に溶解し、濃縮して内容物を乾固させる。残渣をアセトニトリル中に溶解し、その結果、式Xを有する粗製ニコチンアミドリボシドトリフレートの溶液を得る。
【0303】
ステップ3-式XIを有する化合物の合成:アセトニトリル中の粗製NRニコチンアミドリボシドトリフレートの溶液をトリメチルホスフェート(10.0当量)で希釈する。アセトニトリルを真空下で蒸留し、混合物を-10℃に冷却する。オキシ塩化リン(4.0当量)を-10℃で添加し、混合物を、反応が完了するまで-10℃で撹拌する。
【0304】
ステップ4およびステップ5:式Ia-Aを有する化合物の合成:混合物を、アセトニトリルおよび水50/50の混合物を添加することによって加水分解し、続いてメチルtert-ブチルエーテル(またはtert-ブチルメチルエーテル)を添加する。混合物をろ過し、固体を水中に溶解する。水溶液を、重炭酸ナトリウムを添加することによって中和し、ジクロロメタンで抽出する。水性層を濃縮乾固し、その結果、NMN(化合物I-A)および式Ia-Aを有する化合物の粗製混合物を得る。
【0305】
式Ia-Aを有する化合物(β,βジNMN)の単離:NMNおよび式Ia-Aを有する化合物を、水で溶出しながらDowex 50wx8で精製することによって分離する。式Ia-Aを有する化合物を含む画分を濃縮して内容物を乾固させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(イソプロパノール/水勾配)によって精製する。純粋な画分を合わせ、濃縮する。残渣を凍結乾燥し、その結果、ベージュ色固形物の形態で化合物I-a-Aを得る。
31P NMR:δ(ppm,85%HPO基準:DO中0ppm)=-11.72;H NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=4.20(ddd,JH-H=11.9,3.5,2.4Hz,2H),4.35(ddd,JH-H=11.9,3.9,2.2Hz,2H),4.43(dd,JH-H=5.0,2.6Hz,2H),4.53(t,JH-H=5.0Hz,2H),4.59(m,2H),6.16(d,JH-H=5.4Hz,2H),8.26(dd,JH-H=8.1,6.3Hz,2H),8.93(d,JH-H=8.1Hz,2H),9.25(d,JH-H=6.2Hz,2H),9.41(s,2H);13C NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=64.84(CH),70.73(CH),77.52(CH),87.11(CH),99.88(CH),128.65(CH),133.89(Cq),139.84(CH),142.54(CH),146.04(CH),165.64(Cq);MS(ES+):m/z=122.8[Mニコチンアミド+H]+,650.8[M+H]+.
【0306】
式Ia-Bを有する化合物(α,βジ-NMN)の合成
オキシ塩化リン(3.0eq.)を、-5℃でトリメチルホスフェート(20.0eq.)に添加する。β-NR塩化物(1.0eq.)を-5℃で分けて添加し、反応混合物を-5℃で一晩撹拌する。モルホリン(3.0eq.)を-10/0℃で滴下し、混合物を2~3時間撹拌する。次いで、α-NMN(1.0eq.)を-5℃で分けて添加し、反応混合物を-5℃で一晩撹拌する。加水分解を、-10/0℃で水(5vol.)を滴下することによって行い、混合物を、10~15℃で完全に均質化するまで撹拌する。次いで、反応混合物をジクロロメタンで抽出し(6*10vol.)、水性相を、ホルメート樹脂Purolite A600E(POCl起源のHClを中和するための理論量)に通して溶出することによって中和する。次いで溶出液を真空中、45/50℃で濃縮して、式Ia-Bを有する化合物を含む粗製物を得る。H+樹脂Dowex 50wx8 100~200メッシュを用いた水での溶出によって、ある特定の不純物を除去することが可能になる。化合物I-Bを含む画分を合わせ、真空中、45~50℃で濃縮する。次いで、粗製物を、10mM NaH2PO4水溶液を用いて溶出しながらLuna Polar RP 10μm固定相の分取クロマトグラフィーによって精製する。純粋な画分を合わせ、樹脂Purolite C100EH H+(Na+をH+で完全に交換するのに必要な量)で水を用いて溶出し、次いで、樹脂Purolite A600Eアセテート(HPO-をアセテートで完全に交換するのに必要な量)で溶出する。溶出液を真空中で濃縮し、残渣を凍結乾燥して、化合物Ia-Bを白色固形物の形態で得る。
31P NMR:δ(ppm,85%HPO基準:DO中0ppm)=-11.87,-11.69,-11.46,-11.29;H NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=4.10(ddd,J=11.1,6.1,3.1Hz,1H),4.15-4.25(m,2H),4.36(ddd,J=12.2,4.4,2.4Hz,1H),4.40(dd,J=4.9,2.4Hz,1H),4.44(dd,J=5.0,2.7Hz,1H),4.53(t,J=5.0Hz,1H),4.5(m,1H),4.85(m,1H),4.92(t,J=5.3Hz,1H),6.15(d,J=5.5Hz,1H),6.51(d,J=5.7Hz,1H),8.14(dd,J=8.0,6.3Hz,1H),8.26(dd,J=8.1,6.3Hz,1H),8.88(d,J=8.1Hz,1H),8.92(d,J=8.1Hz,1H),9.02(d,J=6.3Hz,1H),9.24(s,1H),9.26(d,J=6.4Hz,1H),9.40(s,1H);13C NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=64.83,64.87(CH2),65.30,65.35(CH2),70.65(CH),70.74(CH),71.92(CH),77.51(CH),87.03,87.10(CH),87.19,87.26(CH),96.57(CH),99.83(CH),126.89(CH),128.54(CH),132.44(Cq),133.81(Cq),139.85(CH),140.92(CH),142.50(CH),143.49(CH),145.06(CH),145.97(CH),165.64(Cq),165.88(Cq);MS(ES+):m/z=122.8[Mニコチンアミド+H]+,650.9[M+H]+.
【0307】
式Ia-Cを有する化合物(α、αジ-NMN)の合成
オキシ塩化リン(3.0eq.)を、-5℃でトリメチルホスフェート(20.0eq.)に添加する。α-NR塩化物(1.0eq.)を-5℃で少しずつ添加し、反応混合物を-5℃で一晩撹拌する。モルホリン(3.0eq.)を-10/0℃で滴下し、混合物を2~3時間撹拌する。次いで、α-NMN(1.0eq.)を-5℃で分けて添加し、反応混合物を-5℃で一晩撹拌する。加水分解を、-10/0℃で水(5vol.)を滴下することによって行い、混合物を、10~15℃で完全に均質化するまで撹拌する。次いで、反応混合物をジクロロメタンで抽出し(6*10vol.)、水性相を、ホルメート樹脂Purolite A600E(POCl起源のHClを中和するための理論量)に通して溶出することによって中和する。次いで、溶出液を真空中、45/50℃で濃縮して、式Ia-Cを有する化合物を含む粗製物を得る。H+樹脂Dowex 50wx8 100~200メッシュを用いた水での溶出によって、ある特定の不純物を除去することが可能になる。化合物I-Cを含む画分を合わせ、真空中、45~50℃で濃縮する。次いで、粗製物を、10mM NaHPO水溶液を用いて溶出しながらLuna Polar RP 10μm固定相の分取クロマトグラフィーによって精製する。純粋な画分を合わせ、樹脂Purolite C100EH H+(完全にNa+をH+で交換するのに必要な量)で水を用いて溶出し、次いで、樹脂Purolite A600Eアセテート(HPO-をアセテートで完全に交換するのに必要な量)で溶出する。溶出液を真空中で濃縮し、残渣を凍結乾燥して、化合物Ia-Cを白色固形物の形態で得る。
31P NMR:δ(ppm,85%HPO基準:DO中0ppm)=-11.40;H NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=4.14(ddd,J=11.4,3.4,2.8Hz,2H),4.23(ddd,J=11.6,3.3,2.8Hz,2H),4.44(dd,J=4.8,2.3Hz,2H),4.88(m,2H),4.96(t,J=5.3Hz,2H),6.54(d,J=5.7Hz,2H),8.15(dd,J=8.1,6.2Hz,2H),8.89(d,J=8.1Hz,2H),9.05(d,J=6.3Hz,2H),9.26(s,2H);13C NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=65.37(CH2),70.70(CH),71.95(CH),87.30(CH),96.62(CH),126.91(CH),132.45(Cq),140.94(CH),143.52(CH),145.07(CH),165.90(Cq);MS(ES+):m/z=122.7[Mニコチンアミド+H]+,650.8[M+H]+.
【0308】
実施例2
化合物I-A(NMNベータ)の有効性の研究
7名の女性および5名の男性被験者からなる年齢34.5±11.1歳の12名のボランティアの群に対して満足度研究を行った。この研究の主な目的は、5重量%のNMNを含むゲルを朝および/または夕方に適用した間の、被験者の筋肉および/または腱の疼痛の漸進的変化に関して被験者の満足度レベルを評価することであった。
【0309】
参加者の平均BMIは24.1±3.7kg/mであった。特に、6名の参加者は標準体重であり、4名の参加者は体重過多であり、2名の参加者は肥満であった。これらの患者はいずれも、自身の軟骨、筋肉、腱、靭帯もしくは骨を変化させるかまたは外科手術を必要とする慢性病状、例えば、変形性関節症、腫瘍、神経学的または遺伝的疾患、炎症性病状を呈していなかった。
【0310】
研究時において、膝に疼痛が存在する期間は平均で2.1±0.8日であった。これらの疼痛は、身体的活動(83.3%)またはガーデニングなどの活動(8.3%)の実践後に主に生じた。1名は自然疼痛を呈していた。他の11名のボランティアは、スポーツの実践または身体的活動後に疼痛を有していた。
【0311】
疼痛は、大腿部(66.7%)および肩(41.7%)において主に局在していた。しかし、参加者は、脚、首、腕、股関節部、手首、手、および肘における筋肉および/または腱の疼痛も経験していた。
【0312】
5%NMNを含む水中油エマルションの形態の組成物は、そのINCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)名で指定されている成分:水(Aqua)、液体パラフィン(Paraffinum liquidum)、セチルアルコール(Cetyl alcohol)、ステアリン酸グリセリル(Glyceryl stearate)、ベンジルPCA(Benzyl PCA)、セテアレス-20(Ceteareth-20)、セテアレス-12(Ceteareth-12)、パルミチン酸セチル(Cetyl Palmitate)、ココグリセリド(Cocoglycerides)、セテアリルアルコール(Cetearyl alcohol)、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)、NMNのように製剤化されていた。
【0313】
質量パーセントは、成分の質量を組成物の相質量に関連付け、次いで100をかけることによって計算される。
【0314】
研究は6日間にわたって行った。ベースライン時、すなわち、(D0)を含む状態で、選択された被験者は、自身の人口統計特性(年齢、体重、身長)を提供し、Visual Analogueスケールで疼痛の持続期間および強度を示していた。より正確には、被験者は、実際に経験した自身の疼痛を0%(まったく疼痛がない)から100%(最も激しい疼痛)のスケールで格付けする。1つの日から次の日までに感じる疼痛強度の測定値の違いによって、患者が経験した疼痛の軽減に対する情報が提供される。
【0315】
その後の5日間にわたって、被験者は、疼痛のVisual Analogue Scaleに毎晩記入し、発生した任意の不快感または問題を確実にするかまたは鎮痛薬の摂取をそこに報告する。
【0316】
6日目に、ボランティアは、WOMAC質問票、Lequesne質問票、疼痛のVisual Analogue Scale(VAS)への記入を完了し、これらは、PGI-I指標(「Patient Global Improvement Impression」に対する略語)によって測定した場合の腰部痛の軽減において認識された改善、Likertスケールでの筋肉および/または腱の疼痛の漸進的変化に関する満足度、ならびにゲルの適用および浸透の容易性、ゲルのテクスチャおよび匂いの評価、類似の疼痛が再発した場合に再びこれらを使用し、類似の性質の疼痛を呈する第3者へ使用を推奨する可能性を示す。PGI-I指標は、治療に対する応答を評価するための手段としての役割を果たす指標である。Likertスケールは、個人の態度を測定するために使用される心理測定ツールであり、応答する個人が自身の同意または不同意の程度を示す1つまたは複数の記載からなる。統計分析は、分散分析検定とも称されるANOVA検定、およびスチューデントのt検定を用いて行った。
【0317】
研究中の治療の遵守率は、平均で89.2%であった。被験者の約75%は、本発明による組成物を1日2回適用したのに対し、25%は組成物を1日1回しか適用しなかった。
【0318】
VASスケールで患者によって測定された全体的な疼痛の漸進的変化に関しては、これらのデータを要約した図1で認めることができ、疼痛は、本発明によるNMNを含む組成物を適用した5日間にわたって一定の様式で着実に減少し、D0における平均で73.8±5.7からD6における平均で20.8±26.2に低下した。特に、本発明によるNMNを含む組成物は、72.4%±34.2%(p<0.0001 Anova、p<0.0001スチューデント)の全体的な疼痛の減少を可能にする役割を果たした。D0と比較して、疼痛における50%の減少を達成するための平均期間に関しては、3.8±1.4日後に得られた。したがって、本発明によるNMNを含む組成物は、研究において被験者が経験した筋肉および/または腱の疼痛において有意な即効性の減少を可能にする役割を果たした。
【0319】
図2によれば、疼痛を伴う領域がストレス(ソリシテーション)にさらされていない疼痛はゲルの適用の5日間は、1日目を除いて一定の様式で着実に低下し、ベースライン時の51.9±19.2から16.9±22.9まで低下し、これは75.2%±32.3%(p<0.0001 Anova、p<0.0001 スチューデント)の有意な減少である。
【0320】
図3によれば、ストレス(ソリシテーション)にさらされた疼痛を伴う領域を呈する疼痛は、ゲルを適用した5日の間に一定の様式で着実に低下し、ベースライン時の77.1±6.7から23.2±27.4まで低下し、これは68.7%±37.7%.(p<0.0001 Nova、p<0.0001スチューデント)の有意な減少である。
【0321】
したがって、本発明によるNMNを含む組成物は、関連する筋肉群を休ませなかった場合ですら、被験者が経験する筋肉および/または腱の疼痛を減少させることを可能にする。
【0322】
疼痛を伴う領域における凝りもVASスケールを用いて測定した。図4によれば、疼痛を伴う領域における凝りの重症度は、ゲルを適用した5日の間に(1日目を除いて)一定の様式で着実に低下し、ベースライン時の68.2±14.3から21.5±26.5まで低下し、これは、66.6%±39.9%(p<0.0001 Anova、p<0.0001スチューデント)の有意な減少である。したがって、本発明によるNMNを含む組成物は、筋肉および/または腱の凝りを減少させることを可能にする。
【0323】
研究の被験者は、日常生活の動作の実行において経験した困難についても質問され、VASスケールによって測定した。図5によれば、日常生活の動作の実行において経験した困難は、ゲルを適用した5日の間に一定の様式で着実に低下し、ベースライン時の63.7±15.5から20.4±25.6まで低下し、これは、69.6%±35.4%(p<0.0001 Anova、p<0.0001スチューデント)の有意な減少である。したがって、本発明によるNMNを含む組成物は、筋肉および/または腱の機能を改善することを可能にする。
【0324】
研究の最後に、10名の被験者が有意な改善を経験した。ボランティアの約91.7%は自身の筋肉および/または腱の疼痛の漸進的変化に満足しており、そのうちの41.7%は非常に満足していた。
【0325】
研究の間、鎮痛薬または非ステロイド性抗炎症薬は、身体的またはスポーツ活動後に経験した筋肉および/または腱の疼痛のためか、別の病気のためかにかかわらず、いずれの被験者も摂取しなかった。したがって、NMNおよびそれを含む組成物は、従来の治療を用いなければならなくなることを回避することを可能にする。
【0326】
感覚刺激性の観点から、全ての患者の応答によって、ゲルは、適用することが容易であり(75%-非常に容易である);皮膚中に容易に浸透し(83.4%-非常に容易である);心地よいテクスチャであり(66.7%-非常に心地よい);心地よい香りであったことが確認された。疼痛における十分な改善は認められなかった1名の被験者を除いて、他の全ての研究参加者は、筋肉、靭帯および/または腱の疼痛が再発した場合に再びゲルを自身が使用する可能性があることをはっきりと認めた。
【0327】
最後に、被験者は、本発明による組成物を使用した後にいずれの有害な副作用を経験することも、いずれのアレルギーを発症することもなかった。
【0328】
したがって、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、身体的またはスポーツ活動によって誘発される、筋肉、靭帯および/または腱の疼痛の低下において効果的である。
【0329】
実際、使用された疼痛測定スケールにかかわらず、身体的活動によって誘発される疼痛における有意な減少が研究参加者において測定された。更に、本発明によるNMNを含む組成物は、筋肉および腱の疼痛を軽減するために慣例的に使用される鎮痛薬および非ステロイド性抗炎症薬の摂取を回避することを可能にする。したがって、本発明者らは、本発明による組成物およびNMN、ならびにその薬学的に許容される塩および誘導体は、疼痛を軽減し、従来の治療法を使用する必要性を回避するのに効果的であることを実証した。したがって、従来の治療法の使用を減少させることによって、本発明はこれらの有害な副作用も減少させることを可能にする。
【0330】
本発明に関連する研究に参加した被験者は、筋肉、腱または筋腱の疼痛のみを呈しており、靭帯の疼痛は呈していなかったが、本発明によるNMNおよびそれを含む組成物の使用は、個別に発生するか筋肉または腱の疼痛とともに発生するかにかかわらず、靭帯の疼痛に対して同じ効果を得るための手段を提供する。本研究の結果は、肩、大腿部、脚、首、腕、股関節部、手首、手および肘以外の筋肉群に対しても適用可能である。
【0331】
したがって、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、他のタイプの筋肉、靭帯もしくは腱の疼痛、またはこれらの組合せを治療または予防するために首尾よく使用することができる。更に、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、筋肉、靭帯および/または腱の痛みを治療するための従来の治療法の使用を減少させることを可能にする。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】