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特表2023-517118TLSP抑制および皮膚炎症性疾患の治療または改善のための龍眼肉含有混合生薬抽出物を含む局所用組成物およびその使用
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  • 特表-TLSP抑制および皮膚炎症性疾患の治療または改善のための龍眼肉含有混合生薬抽出物を含む局所用組成物およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】TLSP抑制および皮膚炎症性疾患の治療または改善のための龍眼肉含有混合生薬抽出物を含む局所用組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/77 20060101AFI20230414BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 36/23 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 36/69 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230414BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230414BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20230414BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALN20230414BHJP
【FI】
A61K36/77
A61P29/00
A61P17/00
A61K36/23
A61K36/69
A61P43/00 121
A61K8/9789
A61Q19/00
C12Q1/686 Z ZNA
C12Q1/6876 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555139
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 KR2021002964
(87)【国際公開番号】W WO2021182865
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0031482
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0022675
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522362833
【氏名又は名称】メディヘルプライン カンパニー,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522362844
【氏名又は名称】パク,オク ナム
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パク,オク ナム
【テーマコード(参考)】
4B063
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ28
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR56
4B063QR62
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4B063QR77
4B063QS25
4B063QX01
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC662
4C083AD112
4C083AD202
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD432
4C083AD642
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE13
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4C088AB40
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4C088CA03
4C088MA07
4C088MA63
4C088NA05
4C088ZA89
4C088ZB11
4C088ZC52
4C088ZC75
(57)【要約】
TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカイン発現を抑制したり、皮膚炎症性疾患を治療および改善するための竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物を有効成分として含む局所用医薬組成物および化粧料組成物に関する。
【代表図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカイン発現を抑制したり、皮膚炎症性疾患を治療および改善するための竜眼肉(Longanae Arillus)、藁本(Ligustici Tenuissimi Rhizoma)およびオンジ(Polygalae radix)の混合生薬抽出物を有効成分として含む、局所用医薬組成物。
【請求項2】
前記混合生薬抽出物は、(a)0.01-100:0.01-100:0.01-100重量部(w/w)の範囲の竜眼肉、藁本およびオンジの乾燥重量(w/w)を基準とした混合比を有する竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物、または(b)0.01-100:0.01-100:0.01-100重量部(w/w)の範囲の竜眼肉、藁本およびオンジの乾燥重量(w/w)を基準とした混合比を有する竜眼肉、藁本およびオンジの各抽出物の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項3】
前記抽出物は、水、C-C低級アルキルアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、など、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ヘキサン、ブチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリンから選択される1つ以上の溶媒で抽出されることを特徴とする、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項4】
前記皮膚炎症性疾患が、加齢またはアトピーに起因する掻痒症、アトピー性皮膚炎、乾癬などのような慢性再発性皮膚炎;接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、神経皮膚炎、乾皮症、紅斑、炎症性皮膚炎、乾癬またはアトピー性疾患の群から選択される疾患であることを特徴とする、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項5】
竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物およびその薬学的に許容される担体の有効量を前記哺乳動物に局所的に投与する段階を含む、TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカイン発現を抑制する、または哺乳動物の皮膚炎症性疾患を治療または改善する方法。
【請求項6】
有効成分であって、TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカインを抑制する、またはヒトを含む哺乳動物の皮膚炎症性疾患を治療または改善するために使用される局所用製剤を調製するための竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物の使用。
【請求項7】
TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカインを抑制する量で竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物を有効成分として含むTLSP発現抑制剤。
【請求項8】
TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカインを抑制する、または皮膚炎症性疾患を治療または改善する有効な量であって、竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物を有効成分として含む化粧料組成物。
【請求項9】
前記抽出物は、水、C-C低級アルキルアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、など、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ヘキサン、ブチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリンから選択される1つ以上の溶媒で抽出されることを特徴とする、請求項8に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記皮膚炎症性疾患が、加齢またはアトピーに起因する掻痒症、アトピー性皮膚炎、乾癬などのような慢性再発性皮膚炎;接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、神経皮膚炎、乾皮症、紅斑、炎症性皮膚炎、乾癬またはアトピー性疾患の群から選択される疾患であることを特徴とする、請求項8に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記組成物は、化粧水、スキンソフナー、スキントナー、収斂剤、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、水分クリーム、ハンドクリーム、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディクレンザー、トリートメント、美容液などから選択された形態であることを特徴とする、請求項8に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TSLP抑制および皮膚炎症性疾患の治療または改善のための龍眼肉(Longanae Arillus)を含む混合生薬抽出物を含む局所用組成物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アトピー性皮膚炎、乾癬などの慢性再発性皮膚炎と炎症性疾患(アトピー性皮膚炎)は、原因が非常に多様で治療が非常に困難である。
【0003】
特に、一部のアトピー性皮膚炎患者からは、フィラグリン遺伝子が変異し、皮膚障壁が損傷し、細菌感染やダニ由来の異物感染により深刻な炎症反応を起こす。
【0004】
このような遺伝的因子以外にも、角質層のセラミドの減少による水分保持力の低下や、皮膚表面のpH上昇による角化細胞の異常な除去などは、皮膚障壁機能障害とともに皮膚疾患の重症度を決定づける要因となり得る。さらに、これらの皮膚疾患のほとんどは幼児期および青年期に集中され、情緒的および教育的社会問題を惹起する。
【0005】
特に、このような皮膚疾患に伴う耐え難いかゆみによる掻破数が増え、さらに症状を悪化させる。最近、皮膚角化細胞に存在するインターロイキンおよび 胸腺間質リンホポエチン(TSLP)などの様々なサイトカインがその発現を増加させ、皮膚の下に存在する感覚神経を刺激し、かゆみや皮膚炎を引き起こすことが知られている(Mack et al., 2018, Trends Immunol..2018 Dec;39(12):980-991)。
【0006】
炎症反応は、生物や組織への物理的作用、各種化学物質の接触、細菌感染など任意の基質変化をもたらす侵入が発生した際に、損傷部位を修復し再生するメカニズムである。
【0007】
外部刺激により、炎症成分のような様々な血管活性物質が局所的に放出され、血管透過性が高まり、炎症を引き起こすが、場合によっては、不均一な炎症反応が粘膜の損傷を促進し、様々な他の疾患を引き起こす(Willoughby DA. (1975) Human arthritis applied to animal models. Towards a better therapy. Annals of the Rheumatic Disease. 34, 471-478.)。
【0008】
炎症性指標としてのプロ炎症性サイトカインには、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-6(IL-6)、単球化学誘引タンパク質-1(MCP1)などが含まれる ( Yun HJ, Heo SK, Yi HS, Kim CH, Kim BW and Park SD. (2008) Anti-inflammatory effect of injinho-tang in Raw264.7 Cells. Kor. J. Herbology. 23(2), 169-178)。
【0009】
現在、アトピー性皮膚炎の治療には、注射剤や軟膏剤形態のコルチゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾンなどのような様々な抗ヒスタミン剤やステロイドが一般的に使用されているが、満足のいく効果が得られなかった。特に、ステロイド療法は、毛細血管が拡張し、皮膚層が薄くなり、過敏反応がさらに酷くなり、また、ステロイド投与を中断すると、ステロイドのリバウンドによる症状がより悪化する。
【0010】
したがって、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を治療し改善する上で、 天然由来原料からこれまで従来使用されていた薬物よりも副作用が少ない、より効果的な薬物および化粧品の開発が依然として必要とされている。
【0011】
ムクロジ科(Sapindaceae)に属するラムヤイ(Dimocarpus longan)、リュウガン(Euphoria longan)または同種の種皮である、竜眼肉(Longanae Arillus)は、グルコース、フルクトース、タンパク質などを含有し、心筋保護効果、食欲増進効果などを示すことが報告されている(Chung B. S et al, Dohaehyangyakdaesajeon,youngrimsa, 2nd Ed.p197-198,1998)。
【0012】
セリ科(Umbelliferae)に属するLigusticum tenuissimum Kitagawa、Ligusticum sinense Oliv、Ligusticum jeholense Nakai et Kitagawaまたは同種の根茎または根である藁本(Ligustici Tenuissimi Rhizoma)は、クニジリド(cnidilide)、3-ブチルフタリド(phthalide)などを含有し、抗菌効果などを示すことが報告されている(Chung B. S et al, Dohae-hyangyakdaesajeon,youngrimsa,2nd Ed.P428-429,1998)。
【0013】
ヒメハギ科(Polygalaceae)に属するイトヒメハギ(Polygala tenuifolia Willd)または同種の根であるオンジ(Polygalae radix)は、様々なサポニンを含有し、去痰作用、抗菌作用などを示すことが報告されている(Chung B. S et al, Dohaehyangyakdaesajeon,youngrimsa,2nd Ed.P798-799,1998)。
【0014】
しかし、その開示内容が本願に引用され含まれた上記文献のどこにも皮膚炎症疾患に対する強力な治療効果を示す竜眼肉、藁本およびオンジの局所的に適用される混合生薬抽出物の予防または改善活性について報告または開示がされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Mack et al., 2018, Trends Immunol.. 2018 Dec; 39(12):980-991.
【非特許文献2】Willoughby DA. (1975) Human arthritis applied to animal models. Towards a better therapy. Annals of the Rheumatic Disease. 34, 471-478。
【非特許文献3】Yun HJ, Heo SK, Yi HS, Kim CH, Kim BW and Park SD. (2008) Anti-inflammatory effect of injinho-tang in Raw264.7 Cells. Kor. J. Herbology. 23(2), 169-178。
【非特許文献4】Chung B. S et al, Dohaehyangyakdaesajeon, youngrimsa, 2nd Ed. p197-198, 1998。
【非特許文献5】Chung B. S et al, Dohaehyangyakdaesajeon, youngrimsa, 2nd Ed. P428-429, 1998。
【非特許文献6】Chung B. S et al, Dohaehyangyakdaesajeon, youngrimsa, 2nd Ed. P798-799, 1998。
【非特許文献7】Matsumoto Mithio; Manual for the development of transdermal applied preparation. Seisi Press, 1st Ed., 1985。
【非特許文献8】Jeong et al., 2019, J. Invest. Dermatol., May; 139 (5): pp1098-1109。
【非特許文献9】Li et al., Drug. Des. Devel. Ther., 2016, Feb. 19; 10:781-191。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
龍眼肉(Longanae Arillus)、藁本(Ligustici Tenuissimi Rhizoma)、オンジ(Polygalae radix)の混合生薬抽出物の抗炎症効果を調べるために、本発明者らは、皮膚炎症に関与するサイトカイン(RPLPO、TSLP、GM-CSF、およびIL-1ベータ)の発現に対する抑制試験のようなin vitro実験(実験例1);だけでなく、BALB/Cマウスによるアトピー性皮膚炎抑制効果のようなin vivo実験(実験例2);試験動物を用いた皮膚炎症に関与する様々なサイトカイン(GADPH、TSLP、GM-CSF、IL-4、IL-10、IL-13、IL-31およびIL-33)の発現抑制試験(実験例3);試験動物を用いたTSLPサイトカイン発現抑制試験(実験例4)を含む様々な実験を集中的に行った。このような調査の結果、本発明者らは、本発明の混合生薬抽出物がTLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカイン発現を強力に抑制および改善させたり、皮膚炎症性疾患を治療および改善することを確認することにより最終的に本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
背景技術の問題を解決するための技術的解決策は、皮膚炎症性疾患を治療および予防するため新規生薬剤形の開発にある。
【0018】
したがって、本発明の目的は、TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカイン発現を抑制したり、皮膚炎症性疾患を治療および改善するための竜眼肉(Longanae Arillus)、藁本(Ligustici Tenuissimi Rhizoma)およびオンジ(Polygalae radix)の混合生薬抽出物を有効成分として含む局所用医薬組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0019】
上述のように、本発明者らは、皮膚炎症に関与するサイトカイン(RPLPO、TSLP、GM-CSFおよびIL-1ベータ)の発現に対する抑制試験 のようなin vitro実験(実験例1);だけでなく、BALB/Cマウスによるアトピー性皮膚炎抑制効果のようなin vivo実験(実験例2);試験動物を用いた皮膚炎症に関与する様々なサイトカイン(GADPH, TSLP、GM-CSF、IL-4、IL-10、IL-13、IL-31およびIL-33)の発現抑制試験(実験例3);試験動物を用いたTSLPサイトカイン発現抑制試験(実験例4)を行うことにより、本発明の混合組成物の抗炎症に強力な効果がある。したがって、本発明の混合抽出物が局所用医薬剤または化粧料組成物の形態として、皮膚炎症の改善または治療に非常に有用であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】試験試料(WIN)、デキサメタゾン(DEX)および蒸留水(DIW)で処理した皮膚炎誘発背部の皮膚病変を示す。
図2】試験試料(WIN)、デキサメタゾン(DEX)および蒸留水(DIW)で処理した皮膚炎誘発背部の皮膚病変におけるH&Eおよびトルイジンブルー(TB)染色試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願で定義される用語「混合生薬抽出物」は、混合生薬抽出物、すなわち、(a)竜眼肉、藁本およびオンジの乾燥重量(w/w)を基準とした混合比が0.01-100:0.01-100:0.01-100重量部(w/w)、好ましくは、0.1-50:0.1-50:0.1-50重量部(w/w)、より好ましくは、0.1-10:0.1-10:0.1-10重量部(w/w)、さらに好ましくは、1-5:1-5:1-5重量部(w/w)、最も好ましくは、1-3:1-3:1-3重量部(w/w)である、竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物;又は(b)竜眼肉、藁本およびオンジの乾燥重量(w/w)を基準とした混合比が0.01-100:0.01-100:0.01-100重量部(w/w)、好ましくは、0.1-50:0.1-50:0.1-50重量部(w/w)、より好ましくは、0.1-10:0.1-10:0.1-10重量部(w/w)、さらに好ましくは、1-5:1-5:1-5重量部(w/w)、最も好ましくは、1-3:1-3:1-3重量部(w/w)である、竜眼肉、藁本およびオンジの各抽出物の混合物を含む。
【0022】
本発明の別の目的は、TLSP(胸腺間質リンホポエチン)サイトカインを抑制する量の竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物を有効成分として含むTLSP発現抑制剤を提供することである。
【0023】
本願に開示する用語「抽出物」は、水、C-C低級アルキルアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、など、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ヘキサン、ブチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリン、好ましくは、水、メタノール、エタノール、より好ましくは、水または水中10~90%(v/v)エタノール、最も好ましくは、水または水中20~80%(v/v)エタノールから選択される1つ以上の溶媒で抽出することができる抽出物を含む。
【0024】
本願に開示される用語「皮膚炎症性疾患」は、加齢またはアトピーに起因する掻痒症、アトピー性皮膚炎、乾癬などのような慢性再発性皮膚炎;接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、神経皮膚炎、乾皮症、紅斑、炎症性皮膚炎、乾癬またはアトピー性疾患;好ましくは、加齢による掻痒症または細胞サイトカインの発現増加によるアトピー、アトピー性皮膚炎、乾癬などの慢性再発性皮膚炎;接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、神経皮膚炎、乾皮症、紅斑、炎症性皮膚炎、乾癬またはアトピー性疾患;より好ましくは、加齢による掻痒症または細胞TLSPサイトカインの発現の増加によるアトピー、アトピー性皮膚炎、乾癬などの慢性再発性皮膚炎;接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、神経皮膚炎、乾皮症、紅斑、炎症性皮膚炎、乾癬またはアトピー性疾患の群から選択される疾患を含む。
本願に開示される用語「抗炎症」はこれらに限定されるものではなく、様々な炎症を抑える全てのメカニズムを意味する。
【0025】
炎症は、病原体、損傷した細胞、または刺激物質などの有害な刺激に対する身体組織の複雑な生物学的反応の一部であり、熱、痛み、発赤、腫れなどの非特異的免疫応答を「炎症反応」と呼ぶ。
【0026】
炎症は、(a)有害な刺激に対する身体の初期反応である急性炎症であって、血液からの血漿および白血球(特に顆粒球)の損傷した組織への移動の増加によって達成され、その後、一連の生化学的事象が伝播され、そして局所血管系、免疫系、および損傷した組織内の様々な細胞に関連する炎症反応成熟によって達成される、炎症、および(b)慢性炎症として知られる炎症の長期化により、炎症部位に存在する細胞の種類、例えば、単核細胞の漸進的な変化をもたらし、炎症過程における組織の同時破壊および治癒を特徴とする、炎症として分類することができる。
【0027】
一般に、損傷した細胞のマクロファージは、様々なサイトカインを放出し、Tリンパ球を活性化し、リンパ球である肥満細胞は様々なヒスタミンを放出し、内部障壁反応を起こし、感染した細胞の炎症を誘導する。したがって、細胞サイトカインの発現レベルは、炎症反応の活性化(他の様態ら、抗炎症活性)の指標として用いることができる。本願に開示される「抗炎症活性」は、様々な皮膚炎症に対する抑制活性を意味する。
【0028】
サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、およびマクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、および肥満細胞などの免疫細胞だけでなく、内皮細胞を含む広範囲の細胞によって産生される腫瘍壊死因子、線維芽細胞、および様々な病原体、例えば、ウイルスなどの侵入によって引き起こされる免疫学的な進行を通じて放出される、多様な基質細胞を含むすべての免疫学的物質を意味する。
【0029】
一般に、サイトカインは 感染初期に放出されるが、免疫システムが異常に活性化されると、持続的に放出される。一週間以上などの長期間にわたって高レベルのサイトカインが放出されたときを、本発明者らは「サイトカインストーム(storm)」と呼んでいる。これは自然免疫系がサイトカインと呼ばれるプロ炎症性シグナル送達分子が抑制不能となり、過剰な放出を惹起する、また、免疫細胞が感染部位に極度に大量にホーミングすることで炎症を悪化させ、血管を弛緩させて血管外漏出を起こし、最悪の場合、死に至らしめる、生理的反応である。本願に開示する用語「サイトカイン発現の抑制活性」は、サイトカインストームの予防、治療または改善として解釈することができる。
【0030】
本願に開示する用語「サイトカイン」は、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎に関与する様々なサイトカイン、具体的には、TLSP(胸腺間質リンホポエチン)、コロニー刺激因子(CSF)、例えば、GM-CSF(顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子)、M-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)など、インターロイキン、例えばインターロイキン-1(IL-1)、IL-4、IL-10、IL-12、IL-13、IL-31、IL-33など、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターフェロンガンマ(IFNγ)などの群から選択されたサイトカインを含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の抽出物は、以下の好ましい実施形態に従って調製することができる。
【0032】
本発明の場合、前記抽出物は、以下のように調製することができる。
【0033】
本願で定義されている用語「竜眼肉、藁本、およびオンジの混合生薬抽出物」は;「竜眼肉、藁本、およびオンジ」をスライスして洗浄し、第1段階の基本抽出物質として使用する段階;0.01-100:0.01-100:0.01-100重量部(w/w)、好ましくは、0.1-50:0.1-50:0.1-50重量部(w/w)、より好ましくは、0.1-10:0.1-10:0.1-10重量部(w/w)、さらに好ましくは、1-5:1-5:1-5重量部(w/w)、最も好ましくは、1-3:1-3:1-3重量部(w/w)範囲の竜眼肉、藁本およびオンジの乾燥重量(w/w)を基準とした混合比でよく混ぜ合わせ、第2段階の混合物質を得る段階;第3段階において、水、C-C低級アルキルアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、など、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ヘキサン、ブチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリン、好ましくは、水、メタノール、エタノール、より好ましくは、水または水中10~90%(v/v)エタノール、最も好ましくは、水または水中20~80%(v/v)エタノールからなる群から選択される抽出溶媒1~20倍体積(v/w)、好ましくは4~8倍体積(v/w)を混合物質に添加する段階;第4段階において、50℃~120℃、好ましくは、約80℃~100℃の温度範囲で1~24時間、好ましくは、2~12時間の範囲の間、熱水抽出、冷水抽出、還流抽出または超音波抽出、好ましくは、熱水抽出による抽出法で各溶液を抽出する段階;前記抽出過程を繰り返し、各濾液を濾過、凍結乾燥、自然乾燥または熱風乾燥過程を介した乾燥、好ましくは凍結乾燥過程により収集し、本発明の竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物を得る段階を含む手順によって調製することができる。
【0034】
本発明の別の目的は、上述のように、本発明の竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物を調製する方法を提供することである。
【0035】
本発明の別の目的は、TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカインを抑制する、または皮膚炎症性疾患を治療および改善するための上記のような方法で調製された竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物を有効成分として含む局所用医薬組成物を提供するものである。
【0036】
本発明の別の態様によれば、有効量の竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物、およびその薬学的に許容される担体を哺乳動物に局所投与する段階を含む、哺乳動物のTLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカインを抑制する、または皮膚炎症性疾患を治療または改善する方法もまた提供される。
【0037】
本発明の別の態様によれば、ヒトを含む哺乳動物のTLSP(胸腺マトリックスリムポポエチン)サイトカインを抑制する、または皮膚炎症性疾患を治療または改善するために使用される局所剤形を調製するための竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物の有効成分としての使用もまた提供される。
【0038】
本発明の組成物は、使用方法によって従来の担体、アジュバントまたは希釈剤をさらに含むことができる。前記担体は、用途および適用方法によって適切な物質として用いられることが好ましいが、これに限定されるものではない。適切な希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Science(Mack Publishing co、Easton PA)の書面テキストに挙げられている。
【0039】
以下、下記の剤形化方法および賦形剤は、単なる例示であり、いずれの方法でも本発明を限定するものではない。
【0040】
本発明による本発明の組成物は、薬学的に許容される担体、アジュバントまたは希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギン酸、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油を含む局所用医薬組成物として提供することができる。剤形は 充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、保湿剤、香味剤、乳化剤、防腐剤などをさらに含むことができる。本発明の組成物は、当業界で周知の任意の手続きを介して患者に投与した後、有効成分の迅速、持続放出または遅延放出を提供できるように剤形化することができる。
【0041】
局所投与のために、本発明の抽出物は、クリーム、ゲル、パッチ、スプレー溶液、エマルジョン、軟膏、ローション、リニメント(liniment)、バーム、溶液、懸濁液、パック、ペースト、エアロゾル、カタプラズマなどの局所用製剤を含む軟膏およびクリームの形態で剤形化することができる。
【0042】
医薬投与形態の本発明の組成物は、その薬学的に許容される塩の形態で使用することができ、単独でまたは適切な組み合わせにより使用することができるだけでなく、他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用することもできる。
【0043】
本発明の抽出物または組成物の好ましい用量は、対象体の状態および体重、重症度、薬物形態、投与経路および投与期間によって異なり、当業者によって選択され得る。しかし、好ましい効果を得るためには、一般に本発明の抽出物を0.01-10g/kg、好ましくは1-5g/kg(重量/日)の範囲の量で局所投与することが推奨される。用量は一日に単一または多重用量で投与することができる。組成物の観点から、本抽出物は、組成物の総重量基準0.01-80重量%、好ましくは0.5-50重量%存在すべきである。
【0044】
本発明者らは、本組成物の抗炎症効果が皮膚炎症に関与するサイトカイン(RPLPO、TSLP、GM-CSFおよびIL-1β)の発現に対する抑制試験のようなin vitro実験(実験例1);だけでなく、BALB/Cマウスによるアトピー性皮膚炎抑制効果のようなin vitro実験(実験例2);試験動物を用いた皮膚炎症に関与する様々なサイトカイン(GADPH、TSLP、GM-CSF、IL-4、IL-10、IL-13、IL-31およびIL-33)の発現抑制試験(実験例3);試験動物を用いたTSLPサイトカイン発現抑制試験(実験例4)を行うことにより、強力であることが立証され、本発明の混合抽出物は、局所薬剤または化粧品組成物の形態で皮膚炎症性疾患の改善または治療に非常に有用であることを確認した。
【0045】
本発明のまた別の目的は、TLSP(胸腺間質リンホポイエチン)サイトカインを抑制する、または皮膚炎症性疾患を治療および改善するのに有効な量で、竜眼肉、藁本およびオンジの混合生薬抽出物を有効成分として含む化粧料組成物を提供することである。
【0046】
本発明の化粧料組成物は、組成物の総重量に0.001~40重量%、より好ましくは0.01~10重量%の本発明の組成物を含有することが好ましい。他の成分は、当技術分野で周知の従来の化粧料組成物の成分の混合物であってもよい。
【0047】
本発明の化粧料組成物は、組成物の総重量を基準に0.001-40重量%、より好ましくは、0.01-10重量%の本発明の組成物を含有することが好ましい。他の成分は、当業界で周知の従来の化粧料組成物の成分の混合物であってもよい。
【0048】
前記組成を含有する化粧料剤形は、例えば、化粧水、スキンソフナー、スキントナー、収斂剤、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、水分クリーム、ハンドクリーム、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディクレンザー、トリートメント、美容液などの任意の形態で調製することができる。
【0049】
以下、下記の剤形化方法および賦形剤は、単なる例示に過ぎないものであり、いかなる方法でも本発明を制限するものではない。
【0050】
本発明の化粧料組成物は、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、ペプチドポリマー、多糖類ポリマー、スフィンゴ脂質および海藻抽出物からなる群から選択される添加剤をさらに含むことができる。
【0051】
好ましい水溶性ビタミンは、化粧料に配合できるものはであるが、様々なビタミン、例えば、ビタミンB、B、B、ピリドキシン、ピリドキシンHCl、ビタミンB12、パントテン酸、ニコチン酸、ニコチンアミド、葉酸、ビタミンC、ビタミンHなど、それらの塩、例えば、チアミンHCl塩、アスコルビン酸Na塩等またはそれらの誘導体、例えば、アスコルビン酸-2-ホスホン酸Na塩、アスコルビン酸-2-ホスホン酸Mg塩が好ましく、これらは、微生物変換法、微生物培養物からの精製法、酵素法または化学合成法のような従来の方法により得ることができる。
【0052】
好ましい脂溶性ビタミンは、化粧料に配合できるものではあるが、本発明の実施例で使用される脂溶性ビタミンを含む、様々なビタミン、例えば、ビタミンA、D、D、E(dl-a-トコフェロール、d-a-トコフェロール、d-d-トコフェロール)、およびこれらの誘導体、例えば、パルミチン酸アスコルビン酸、ステアリン酸アスコルビン酸、ジパルミチン酸アスコルビン酸、酢酸-dl-a-トコフェロール、ニコチン酸dl-a-トコフェロールビタミンE、dl-パントテニルアルコール、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテルなどが好ましく、これらは微生物変換法、微生物培養物からの精製法、酵素的方法または化学合成法などのような従来の方法によって得ることができる。
【0053】
好ましいペプチドポリマーは、化粧料に配合できるものではあるが、本発明の実施例で使用されるペプチドポリマーを含む、コラーゲン、加水分解性コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、加水分解性ゼラチン、ケラチンなどが好ましい。
【0054】
好ましい多糖類ポリマーは、化粧料に配合できるものではあるが、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸Na、コンドロイチン硫酸またはそれらの塩(Na塩など)などが好ましい。例えば、コンドロイチン硫酸またはその塩などは、通常、哺乳動物または魚類から精製して使用することができる。
【0055】
好ましいスフィンゴ脂質は、化粧料に配合できるものではあるが、セラミド、フィトスフィンゴシン、スフィンゴ-リポポリサッカライドなどが好ましい。スフィンゴ脂質は、哺乳動物、魚類、貝類、酵母または植物などから従来の方法により精製して得ることができる。
【0056】
好ましい海藻抽出物(seaweed extract)は、化粧料に配合できるものではあるが、褐藻類、紅藻類、緑藻類などの抽出物またはこれらより単離した精製カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸Na、Kが好ましい。アルゲエキス(algae extract)は、海藻から従来の方法により精製して得ることができる。
【0057】
本発明の化粧料組成物は、前記必須成分と共に必要に応じて従来の化粧料組成物に使用される他の成分と組み合わせることができる。
【0058】
上記に記載された好ましい他の成分は、油成分、保湿剤、軟化剤、界面活性剤、有機または無機染料、有機粉体、紫外線吸収剤、保存剤、防腐剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、顔料、香水、冷媒、血液循環剤(circulator)、制汗剤(antihidrotic)、蒸留水などを含んでもよい。
【0059】
好ましい油成分は、エステル油、炭化水素油、シリコーンオイル、フッ素油、動物性油、植物性油などを含んでもよい。
【0060】
上記に記載の好ましいエステル油は、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソアルキル、グリセリルトリ(カプリル、カプリン酸)、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプル酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシル、ポリグリセリンオレアノール酸エステル、イソステアリン酸ポリグリセリンエステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアルキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、マレイン酸ジイソステアリル、ジ2-エチルヘキシルヒドロキシステアリン酸、コハク酸2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリルを含んでもよい。
【0061】
上記に記載の好ましい炭化水素油は、スクアレン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブデン、微細結晶質ワックス、ワセリンなどを含んでもよい。
上記に記載の好ましいシリコーンオイルは、ポリメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、ジメチルシロキサン-メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン-メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなどを含んでもよい。
【0062】
上記に記載の好ましいフッ素油は、パーフルオロポリエーテルなどを含んでもよい。
【0063】
好ましい動物性油または植物性油は、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ごま油、米糊油、紅花油、大豆油、トウモロコシ油、菜種油、アミグダリンオイル、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、フルーツ油、綿実油、ヤシ油(coconut palm oil)、ククイナッツ油(cucui nut oil)、小麦胚芽油(wheat embryo bud oil)、米胚芽油、シア脂、月見草油、マカデイミアナッツ油(marker daymia nut oil)、メドフォーム油(medo home oil)、卵黄油、ラノリン、ハンプシード油、ミンク油、オレンジラフィー油(orange ruppy oil)、ホホバ油、カナワワックス、液体ラノリン、固形ヒマシワックスなどを含んでもよい。
【0064】
好ましい保湿剤は、水溶性低分子保湿剤、親油性低分子保湿剤、水溶性重合体および脂溶性重合体を含むことができる。
【0065】
具体的に、好ましい水溶性低分子保湿剤は、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン-カルボン酸Na、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度>2)、ポリプロピレングリコール(重合度>2)、乳酸、乳酸塩などを含んでもよい。
【0066】
好ましい脂溶性低分子保湿剤としては、コレステロール、コレステリルエステルなどを含んでもよい。
【0067】
好ましい水溶性重合体は、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパラギン酸塩、トラガカント、キサンタンガム、HMC(ヒドロキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン、デキストリンなどを含んでもよい。
【0068】
好ましい脂溶性重合体は、ポリビニルピロリドン-エイコセン共重合体、ポリビニルピロリドン-ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、シリコーンポリマーなどを含んでもよい。
【0069】
好ましい軟化剤は、長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸、ロジン酸(rogic acid)、ラノリン脂肪酸コレステリルエステルなどを含んでもよい。
【0070】
好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを含んでもよい。
【0071】
具体的には、好ましい非イオン性界面活性剤は、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE-POP共重合体、POE-POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、ラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質などを含んでもよい。
【0072】
好ましいアニオン性界面活性剤は、脂肪酸石鹸、アルファ-アシルスルホン酸、スルホン酸アルキル、スルホン酸アルキルアリ、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルスルホン酸、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキルロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アシル化加水分解性コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどを含んでもよい。
【0073】
好ましいカチオン性界面活性剤は、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウムなどを含んでもよい。
【0074】
好ましい両性界面活性剤は、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型などを含んでもよい。
【0075】
好ましい有機および無機染料は、無機染料として、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレイ、ベントナイト、チタンフィルムマイカ(titan film mica)、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化第一鉄、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン、カーボンブラックおよびこれらの複合体;有機染料として、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂(silicone resin)、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン共-ジビニルベンゼン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CI顔料イエロー、CI顔料オレンジ;およびこれらの複合体などを含んでもよい。
【0076】
好ましい有機粉体は、金属石鹸、例えば、ステアリン酸カルシウム;アルキルリン酸金属塩(alkyl phosphonate metal salt)、例えば、セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリル酸亜鉛、ラウリル酸カルシウム;アシルアミノ酸多価金属塩、例えば、N-ラウロイル-b-アラニンカルシウム、N-ラウロイル-b-アラニン亜鉛、N-ラウロイル-グリシンカルシウムなど;アミドスルホン酸多価金属塩、例えば、N-ラウロイル-タウリンカルシウム、N-パルミトイル-タウリンカルシウム;N-アシル塩基性アミノ酸、例えば、Nε-ラウロイル-L-リジン、Nε-パルミトイル-リジン、Nα-パルミトイルオルニチン、Nα-ラウロリアルギニン、硬化ラノリン脂肪酸アシルアルギニンなど;N-アシルポリペプチド、例えば、N-ラウロイルグリシルグリシン;α-アミノ脂肪酸、例えば、α-アミノカプリル酸、α-アミノラウリン酸など;ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、四フッ化エチレンなどを含んでもよい。
【0077】
好ましい紫外線吸収剤は、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、けい皮酸ベンジル、パラメトキシけい皮酸2-エトキシエチル、パラメトキシけい皮酸オクチル、ジパラメトキシけい皮酸モノ-2-エチルヘキサングリセリル、パラメトキシけい皮酸イソプロピル、ジイソプロピル-ジイソプロピルけい皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸およびその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム(dihydroxy methoxy benzophenone disulfonate Na)、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを含んでもよい。
【0078】
好ましい保存剤は、ヒノキチオール、三塩素酸(trichloric acid)、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロロヘキシジングルクロネート、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ピリチオン亜鉛、ベザルコニウムHCl、感光素301、モノニトログアヤコールNa、ウンデシレン酸などを含んでもよい。
【0079】
好ましい酸化防止剤は、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エリソルベートなどを含んでもよい。
【0080】
好ましいpH調整剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどを含んでもよい。
【0081】
好ましいアルコールは、セチルアルコールなどを含んでもよい。
【0082】
また、上記成分に添加できる他の成分およびその量は、本発明の目的および効果の範囲内に限定されないが、その他の成分の含有量は、全組成物の含有量のうち0.01-5%であることが好ましく、より好ましくは、0.01-3%の範囲である。
【0083】
本発明の化粧料組成物は、溶液、エマルジョン、粘着性混合物などに変形されることができる。
【0084】
水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、ペプチドポリマー、多糖類ポリマー、スフィンゴ脂質、海藻抽出物などのような上記成分および必要に応じて上記成分の他に添加することができる添加成分は、文献(Matsumoto Mithio; Manual for the development of transdermal applied preparation. Seisi Press, 1st Ed.,1985)に記載された従来の方法により得ることができる。
【0085】
本発明の化合物は、毒性および副作用がないので、安全に使用することができる。
【0086】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の組成物、使用および製剤に様々な変更および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【0087】
本発明は、以下の実施例によってより具体的に説明される。しかし、本発明はいかなる方法であってもこれらの実施形態に限定されないことを理解すべきである。
【実施例
【0088】
以下の実施例および実験例は、本発明の範囲を限定することなく本発明をさらに例示するためのものである。
【0089】
実施例1.本発明の混合抽出物(1)の調製
乾燥竜眼肉(Longanae Arillus)(Buyoung Yakup Co.Ltd.)20g、乾燥藁本(Ligustici Tenuissimi Rhizoma)(Buyoung Yakup Co.Ltd.)20gおよび乾燥オンジ(Polygalae radix)(Buyoung Yakup Co.Ltd.)20gを小片に切断した後、6倍体積(v/w)の20%エタノール水溶液と混合し、その混合物を90±5℃で3日間還流抽出した。抽出物をろ紙(孔径10μm未満)を通して濾過させ、残渣を除去した後、残りの残渣を4倍体積(v/w)の20%エタノール水溶液でさらに2回抽出し、抽出物をろ紙(孔径、10μm未満)を通して濾過した。
【0090】
収集した抽出物を一緒に混合し、真空下で濃縮し(16-21ブリックス)濃縮抽出物を得た。濃縮した抽出物を凍結乾燥過程により乾燥させ、粉砕し(50メッシュ未満)、本発明の混合抽出物(1)(以下、「WIN-1001X」と表す)20.5gを得た(乾燥基準粉末、収率33.4%)。
【0091】
実施例2-6.本発明の混合抽出物(2)-(6)の調製
実施例1に開示されたものとは異なる混合比および異なる溶媒を用いたことを除いては、全ての手順が実施例1と同様であり、竜眼肉(LA)、藁本(LT)およびオンジ(PR)の様々な本発明の混合抽出物、すなわち、本発明の混合抽出物(2)ないし本発明の混合抽出物(6)を得た。これを以下の実験にて試験試料として使用する。
【0092】
【表1】
【0093】
実験例1.サイトカイン発現に対する抑制効果(in vitro)
本発明の抽出物の抗炎症活性を決定するために、文献(Jeong et al.,2019,J.Invest.Dermatol.,May;139 (5):pp1098-1109)に記載された手順に従って、HaCaT細胞を用いた以下のサイトカイン発現抑制試験を行った。
【0094】
10%ウシ胎児血清、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン(D6429、Sigma-Aldrich Co.Ltd)を含有するDMEM培地にHaCaT細胞(ヒト表皮角化細胞、300493、CLS)を接種し、最適湿度(85~95%)および5%のCO雰囲気を維持しながらインキュベーター(HERA cell 150i, Thermo Fisher Scientific Co. Ltd.)でインキュベートした。
【0095】
遺伝子発現試験を行うために、インキュベートした細胞を12ウェルに移し、50ng/mlのTNFアルファ(RC214-12, Biobasic Co. Ltd )をそれと共に1時間処理し、炎症反応を誘導した。デキサメタゾン(200nM、陽性対照群、「DEX」、D4902,Sigma-Aldrich Co.Ltd.)および蒸留水(陰性対照群、「DIW」)を比較対照群として使用した。
【0096】
炎症誘発1時間後、実施例で調製した本発明の抽出物1μg/mlを同じ培地で処理し、1時間インキュベートした。インキュベーションした後、細胞からRNA(FATRR-001、Favorgen)を抽出し、cDNA合成キット(RRO36A、TAKARA)を用いてRNAからcDNAを合成した。合成されたcDNAとSybrgreenキット(RT500M、Enzynomics)を用いて重合反応を行った後、表2に示すような皮膚炎症に関与する様々なサイトカインに対するプライマー(RPLPO、TSLP、GM-CSF、およびIL-1β)を用いてリアルタイムPCRを行った。
【0097】
【表2】
【0098】
RT-PCRの定量的結果を示す表3から分かるように、本発明の抽出物で処理された試験試料群は、蒸留水(DIW)で処理した陰性対照群に比べて皮膚炎症に関与する様々なサイトカインの発現レベルが大幅に抑制されており、皮膚炎症に関与する様々なサイトカインの発現に対する試験試料の抑制活性は、デキサメタゾン(DEX)で処理した陽性対照群と同等であることが確認された。
【0099】
したがって、実施例1~6にて調製された各種の本発明の混合抽出物は、皮膚炎症に対する強力な抑制効果があることが確認された。
【0100】
【表3】
【0101】
実験例2.アトピー性皮膚炎抑制効果( in vitro )
本発明の抽出物のアトピー性皮膚炎抑制効果を確認するために、参考文献(Li et al.,Drug.Des.Devel.Ther.,2016, Feb.19;10:781-191)に記載の方法に従って、マウスを用いた動物モデル試験を行った。
【0102】
100μlの0.15%(w/v)DNFB(2,4-ジニトロフルオロベンゼン,D1529,Sigma-Aldrich Co.Ltd.)を6週齢のBALB/C雌マウス(DBL Co.,Ltd.Incheon,Korea)の腹腔に塗布し、中央背中毛を除去した後、7日目から16日目まで3日間隔で塗布し、皮膚炎症を誘導した。試験試料(本発明の抽出物WIN-1001X 10mg/ml、実施例で調製した)だけでなく、比較対照として使用したデキサメタゾン(200μM、陽性対照群、「DEX」、D4902、Sigma-Aldrich Co.Ltd.)および蒸留水(陰性対照群、「DIW」)は、DNFBの最初の処理日7日目から始まり、16日目まで全部適用した。
【0103】
試験群との比較のために、上記の手順に従ってDNFBの代わりにアセトンを、試験試料の代わりにDIWを使用したことを除けば、同様の試験を行った。
【0104】
図1に示すように、試料処理後16日目にマウスの背部の皮膚に皮膚炎が発生したことがみられ、皮膚炎の重症度は、4つの症状を基準として、すなわち(i)紅斑/出血、(ii)浮腫、(iii)擦過傷/浸軟、および(iv)傷跡/乾燥を合計12点とし、4つの点、すなわち0点(無症状)、1点(単純な皮膚炎)、2点(平均的な皮膚炎)および4点(重度の皮膚炎)に分類される。
【0105】
図1および表4に示すように、本発明の混合抽出物が陰性対照群に比べて皮膚炎に対して強力な改善効果を示し、その効果はデキサメタゾン(DEX)で処理した陽性対照群と同様の効果を示すことが確認された。
【0106】
【表4】
【0107】
また、試験動物の皮膚組織に対する組織学的分析を行った。
【0108】
具体的には、皮膚炎が発生した背部の皮膚組織を試料処理後16日目および固定してから12時間目に4℃を維持する振とう器(CR300、FINEPCR)に4%(w/v)のパラホルムアルデヒド溶液(P6148、Sigma-Aldrich)に固定し、脱水した透明組織をパラフィンに包埋し、スライス(5μm幅)して組織切片を作製した。
【0109】
皮膚表皮層を染色するためのH&E染色剤{ヘマトキシリン(S3309<DAKO)&エオシン(109844、Millipore)}または炎症病変に浸潤した肥満細胞を染色するためのトルイジンブルー(TB、185426、Sigma-Aldrich)で組織切片を染め、その結果は顕微鏡(EVOS XL.,Life Technologies)を用いて観察した。
【0110】
図2および表5~6から分かるように、本発明の混合抽出物で処理した試験群は、DIWで処理した陰性対照群に比べて皮膚表皮層の幅が著しく減少し、炎症病変に浸潤した肥満細胞数が減少した。その効果は、デキサメタゾン(DEX)で処理した陽性対照群と類似することが確認された。
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
実験例3.サイトカイン発現抑制効果(in vivo)
本発明の抽出物の抗炎症活性を確認するために、文献(Li et al.,Drug.Des.Devel.Ther .,2016,Feb 19;10:781-191)に記載の手順に従って、試験動物を用いた以下のサイトカイン発現抑制試験を行った。
【0114】
DNFB処理後16日目に、実験例2にて作製したマウスの背部の皮膚からRNA(FATRR-001、Favorgan)を抽出し、cDNA合成キット(RRO36A、TAKARA)を用いてRNAからcDNAを合成した。合成されたcDNAとSybrgreenキット(RT500M、Enzynomics)を用いて重合反応を行った後、表7に示すような、皮膚炎症に関与する様々なサイトカイン(GADPH、TSLP、GM-CSF、IL-4、IL-10、IL-13、IL-31およびIL-33)に対するプライマーを用いてリアルタイムPCRを行った。
【0115】
【表7】
【0116】
RT-PCRの定量的結果を示す表8から分かるように、本発明の抽出物で処理した試験試料群は、蒸留水(DIW)で処理した陰性対照群に比べて皮膚炎症に関与する様々なサイトカイン発現レベルを大幅に抑制し、皮膚炎症に関与する様々なサイトカインの発現に対する試験試料の抑制活性がデキサメタゾン(DEX))で処理した陽性対照群と同等であることが確認された。
【0117】
したがって、実施例で調製された本発明の混合抽出物が、皮膚炎症に対する強力な抑制効果を有することが確認された。
【0118】
【表8】
【0119】
実験例4.TSLPサイトカイン発現抑制効果(in vivo)
本発明の抽出物の抗炎症活性を確認するために、文献(Li et al.,Drug.Des.Devel.Ther .,2016,Feb 19;10:781-191)に記載の手順に従って、試験動物を用いた以下のTSLPサイトカイン発現抑制試験を行った。
【0120】
DNFB処理後16日目に、実験例2で作製したマウスの背部の皮膚からRNA(FATRR-001、Favorgan)を抽出し、cDNA合成キット(RRO36A、TAKARA)を用いてRNAからcDNAを合成した。合成されたcDNAとSybrgreenキット(RT500M、Enzynomics)を用いて重合反応を行った後、表7に示すような、皮膚炎症に関与するTSLPサイトカインに対するプライマーを用いてリアルタイムPCRを行った。
【0121】
RT-PCRの定量的結果を示す表9から分かるように、本発明の抽出物で処理した試験試料群は、蒸留水(DIW)で処理した陰性対照群に比べて皮膚炎症に関与するTSLPサイトカイン発現レベルを大幅に抑制し、皮膚炎症に関与するTSLPサイトカイン発現に対する試験試料の抑制活性が、デキサメタゾン(DEX)で処理した陽性対照群と同等であることが確認された。
【0122】
したがって、実施例で調製された本発明の混合抽出物がTSLPサイトカインの発現に対する強力な抑制効果を有することが確認された。
【0123】
【表9】
【0124】
統計分析
平均および標準誤差は、実験で得られた試験結果から計算した。有意差検定はt検定を用いて分析し、有意水準(P-値)は、P≦0.05=*、P≦0.01=**、およびP≦0.001=***で表した。
【0125】
本発明の方法
以下、賦形剤の剤形化方法および種類について説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。代表的な調製例は、以下の通り説明する。
【0126】
化粧水の調製
実施例の抽出物(WIN-1001X) 1.00%
グリセロール 3.00%
エタノール 1.00%
プロピレングリコール 0.10%
香料 微量
蒸留水 100%以下
【0127】
皮膚製剤は、従来のローションの調製方法に従って有効成分を溶解させて調製した。
【0128】
ローションの調製
実施例の抽出物(WIN-1002X) 3.00%
L-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム 1.00%
可溶性コラーゲン(1%溶液) 1.00%
クエン酸ナトリウム 0.10%
1,3-ブチレングリコール 3.00%
蒸留水 100%以下
【0129】
ローション製剤は、従来のローションの調製方法に従って有効成分を溶解させて調製した。
【0130】
クリームの調製
実施例の抽出物(WIN-1003X) 3.00%
ポリエチレングリコモノステアレート 2.00%
モノステアリン酸グリセリン 1.00%
セチルアルコール 4.00%
スクアレン 6.00%
トリ2-グリセリルエチルヘキサノエート 6.00%
スフィンゴ-糖脂質 1.00%
1,3-ブチレングリコール 3.00%
蒸留水 100%以下
【0131】
クリーム製剤は、従来のクリームの調製方法に従って有効成分を溶解させて調製した。
【0132】
パックの調製
実施例の抽出物(WIN-1004X) 5.00%
ポリビニルアルコール 13.00%
L-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム 1.00%
ラウロイルヒドロキシプロリン 1.00%
可溶性コラーゲン(1%溶液) 2.00%
1,3-ブチレングリコール 3.00%
エタノール 5.00%
蒸留水 100%以下
糖 20g
フルクトース 20g
レモン風味 最適量
蒸留水 100ml
【0133】
パック製剤は、従来のパックの調製方法に従って有効成分を溶解させて調製した。
【0134】
美容液の調製
実施例の抽出物(WIN-1005X) 2.00%
ヒドロキシエチレンセルロース(2%溶液) 12.00%
キサンタンガム(2%溶液)2.00%
1,3-ブチレングリコール3.00%
グリセリン濃度 4.00%
ヒアルロン酸ナトリウム 5.00%
蒸留水 100ml
【0135】
美容液の製剤は、従来の美容液の調製方法に従って有効成分を溶解させて調製した。
【0136】
したがって、説明されている本発明は、多様な方法で変形することができることは明らかである。このような変形は、本発明の精神および範囲から逸脱するものとみなされるべきではなく、当業者にとって自明であるようなあらゆる全ての変形は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0137】
このように本発明を記述したが、同一のものが多様な方法に変形できることは明らかである。このような変形は、本発明の精神および範囲から逸脱するものとみなされるべきではなく、当業者にとって自明であるようなあらゆる全ての変形は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明に記載するように、本発明は、竜眼肉、藁本、およびオンジの混合生薬抽出物を含む局所用組成物および化粧料組成物を提供し、本発明者らは、本発明の混合組成物の抗炎症効果が皮膚の炎症に関与するサイトカイン(RPLPO、TSLP、GM-CSFおよびIL-1β)の発現に対する抑制試験などのin vitro実験(実験例1);だけでなく、BALB/Cマウスによるアトピー性皮膚炎抑制効果などのin vivo実験(実験例2);試験動物を用いた皮膚炎症に関与する様々なサイトカイン(GADPH、TSLP、GM-CSF、IL-4、IL-10、IL-13、IL-31およびIL-33)の発現抑制試験(実験例3);試験動物を用いたTSLPサイトカイン発現抑制試験(実験例4)を行うことにより強力であることが立証された。したがって、本発明の混合抽出物が、局所用医薬品または化粧品組成物の形態で皮膚炎症の改善または治療に非常に有用であることを確認した。
図1
図2
【配列表】
2023517118000001.app
【国際調査報告】