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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】チューナブルレーザベースの光源
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/34 20060101AFI20230414BHJP
   H04B 10/114 20130101ALI20230414BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20230414BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20230414BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
G02B6/34
H04B10/114
G02B26/10 101
G02B6/42
G02B6/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556132
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2021055720
(87)【国際公開番号】W WO2021185608
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】20163505.9
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴレーヘン ヨリス ヤン
(72)【発明者】
【氏名】コルネリッセン ヒューゴ ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】オー チン ワン
(72)【発明者】
【氏名】リンナーツ ヨハン パウル マリー ヘラルド
【テーマコード(参考)】
2H045
2H137
5K102
【Fターム(参考)】
2H045AA00
2H045AD00
2H137AA04
2H137BB02
2H137BC02
2H137BC05
2H137BC23
2H137BC51
2H137CA33
2H137DA07
2H137DA19
5K102AA22
5K102AB09
5K102AH02
5K102AH27
5K102AL23
5K102MB02
5K102MC01
5K102PB13
5K102PC02
5K102PH49
5K102RB02
(57)【要約】
Li-Fi通信のためのチューナブルレーザベースの光源は、レーザ(1)と、第1の光学要素(3)と、第2の光学要素(4)とを備える。第1の光学要素(3)は、レーザ(1)から発せられたスキャニングビーム(2)を反射及び/又は屈折させるように構成される。第2の光学要素(4)は、第1の光学要素(3)によって反射及び/又は屈折されたスキャニングビーム(2)を広げるように構成される。スキャニングビーム(2)は、広がり方向(S1)の第1のスキャニング長さ及びスキャニング方向(S2)の第2のスキャニング長さで延びるスキャニングエリアをスキャンするように構成される。第2の光学要素(4)は、スキャニングビーム(2)を広がり方向(S1)に第1のスキャニング長さよりも大きな幅に広げるように構成され、レーザ(1)及び第1の光学要素(3)は、スキャニングビーム(2)がスキャニング方向(S2)に沿って掃引されることを可能にするように協働するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作中にスキャニングビームを発するためのレーザと、
前記レーザから発せられたスキャニングビームを反射及び/又は屈折させるように構成される第1の光学要素と、
前記第1の光学要素によって反射及び/又は屈折されたスキャニングビームを広げるように構成される第2の光学要素と、
を備える、Li-Fi通信のためのチューナブルレーザベースの光源であって、
前記スキャニングビームは、スキャニングエリアをスキャンするように構成され、
前記スキャニングエリアは、広がり方向の第1のスキャニング長さ及びスキャニング方向の第2のスキャニング長さで延び、
前記広がり方向と前記スキャニング方向とは相互に直交し、
前記第2の光学要素は、前記スキャニングビームを前記広がり方向に前記第1のスキャニング長さよりも大きな幅に広げるように構成され、
前記レーザ及び前記第1の光学要素は、前記スキャニングビームが前記スキャニング方向に沿って掃引されることを可能にするように協働するように構成される、チューナブルレーザベースの光源。
【請求項2】
前記レーザは、波長チューナブルレーザであり、前記第1の光学要素は、回折格子であり、これにより、波長が変えられる場合、反射された前記スキャニングビームが前記スキャニング方向に沿って掃引されることを可能にする、請求項1に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項3】
前記第1の光学要素は、ブレーズド格子である、請求項2に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項4】
前記第1の光学要素は、前記スキャニングビームを反射する及び前記スキャニングビームを前記広がり方向に広げるように構成される回転可能及び/又は変形可能な格子である、請求項2又は3に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項5】
前記第1の光学要素及び前記第2の光学要素は、同じ光学要素である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項6】
前記レーザは、固定スペクトルレーザであり、前記第1の光学要素は、前記スキャニングビームを反射する及び前記スキャニング方向に沿って回転により前記スキャニングビームを掃引するように構成される回転可能なミラーである、請求項1に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項7】
前記第2の光学要素は、前記広がり方向に、及び、長手方向に前記スキャニング方向に延びる広がりレンズであり、前記スキャニング方向の前記広がりレンズの曲率は、実質的にゼロである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項8】
当該チューナブルレーザベースの光源は、第3の光学要素を備え、前記第3の光学要素は、前記レーザから発せられたスキャニングビームが前記第1の光学要素によって反射及び/又は屈折される前に前記第3の光学要素を通過するように配置され、前記第3の光学要素は、前記スキャニングビームをコリメートするためのコリメータ光学系を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項9】
前記第3の光学要素は、前記スキャニング方向に前記スキャニングビームをコリメートするように構成される、請求項8に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項10】
当該チューナブルレーザベースの光源は、ケーシングを備え、前記レーザ、前記第1の光学要素及び前記第2の光学要素は、前記ケーシングと一体化される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項11】
前記ケーシングは、光を透過させるための光出口窓を備え、前記光出口窓の一部は、前記広がりレンズを画定するように形成される、請求項7に従属する請求項10に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項12】
前記広がりレンズは、前記広がり方向が、
前記レーザがスキャニングビームを発する方向と平行に、又は
前記レーザがスキャニングビームを発する方向と直交に
延びるように配置される、請求項7、請求項7に従属する請求項8乃至10のいずれか一項又は請求項11に記載のチューナブルレーザベースの光源。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のチューナブルレーザベースの光源を含む、Li-Fiシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Li-Fi通信のためのチューナブルレーザベースの光源に関する。
【背景技術】
【0002】
ライトフィデリティ(Li-Fi:Light fidelity)は、無線通信技術の中で新たな技術として注目されている。Li-Fiシステムは、高速データ通信速度を可能にし、帯域幅が広く、これにより、他のソースからの干渉のリスクを低減する。しかしながら、干渉のリスクはLi-Fiシステム内で依然として存在し、特に複数のデバイスが同じLi-Fiシステムで動作している場合に存在する。
【0003】
例えば、オフィス環境は、十分なカバレッジを実現するために、各々が数平方メートルを照らす、複数のアクセスポイントを有する可能性がある。これらのアクセスポイントと通信可能なデバイスも、少なくとも1つのアクセスポイントとのコンタクトが確立されるようにするために、数平方メートルのエリアを照らす可能性がある。同じアクセスポイントに接続されるデバイスは、当該アクセスポイントの帯域幅を共有するが、場合によっては、デバイスは、2つ以上のアクセスポイントに接続され、不要な干渉を招く可能性がある。アクセスポイントへの干渉は帯域幅の低下を招き、これは、特に高データレートの需要が高まることが予想されるので望ましくない。
【0004】
干渉の問題を回避するために、ポイントツーポイント通信がLi-Fiシステムのために提案されている。ポイントツーポイント通信は、小さなエリアのみを照らすために、狭ビームに依存し、特に、関心のある(of interest)ポイントに向けられる。ビームの照準(aiming)は、狭ビームを調整するミラー又は格子を用いて行われる。Ton Koonen "Indoor Optical Wireless Systems: Technology, Trends, and Applications" JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL. 36, NO. 8, pp1459-1467, APRIL 15, 2018において、狭ビームのステアリングのためのパッシブ2次元セットアップが述べられており、このセットアップでは、狭ビームのステアリングを実現するために、2つの格子が波長チューナブルレーザと共に使用されている。
【0005】
しかしながら、ポイントツーポイント通信に依存するこれらのシステムは、2つの格子を用いた狭ビームのステアリングが複雑なセットアップであり、ポイントツーポイント通信を可能にするためのロックを達成するまでに高度なスキャニングを要するという不利な点が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、これらの問題を克服することであって、従来技術の問題を克服又は少なくとも緩和し、斯くして、スキャニング時間が短縮され、セットアップがシンプルである、チューナブルレーザベースの光源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、この目的及び他の目的は、動作中にスキャニングビーム(scanning beam)を発するためのレーザと、レーザから発せられたスキャニングビームを反射及び/又は屈折させるように構成される第1の光学要素と、第1の光学要素によって反射及び/又は屈折されたスキャニングビームを広げる(broaden)ように構成される第2の光学要素とを備える、Li-Fi通信のためのチューナブルレーザベースの光源(tunable laser based light source)であって、スキャニングビームは、スキャニングエリア(scanning area)をスキャンする(scan)ように構成され、スキャニングエリアは、広がり方向(broadening direction)の第1のスキャニング長さ(scanning length)及びスキャニング方向(scanning direction)の第2のスキャニング長さで延び、広がり方向とスキャニング方向とは相互に直交し、第2の光学要素は、スキャニングビームを広がり方向に第1のスキャニング長さよりも大きな幅に広げるように構成され、レーザ及び第1の光学要素は、スキャニングビームがスキャニング方向に沿って掃引されることを可能にするように協働するように構成される、チューナブルレーザベースの光源によって達成される。
【0008】
Li-Fi通信のためのチューナブルレーザベースの光源に広げられたスキャニングビーム(broadened scanning beam)を設けることにより、チューナブルレーザベースの光源のより連続的なスキャニング挙動(more continuous scanning behavior)が可能になる。スキャニングビームを第1のスキャニング長さよりも大きな幅に広げることにより、スキャニングビームによる1次元のスキャニングのみが必要とされることが可能になる。これにより、スキャニングビームによってスキャンする際に伴う自由度が低減され、これにより、スキャニングビームによるスキャニングに関連する複雑さが減少するさらに、スキャニングビームは1次元でスキャニングすることしか必要ないため、より高速なスキャニングが実現され得、これは、高速Li-Fiシステムで特に興味深いものである。
【0009】
本発明の文脈において、スキャニングビームという用語は、スキャニングに使用可能な任意のビームを表す。スキャニングビームは、固定波長(fixed wavelength)又はチューナブル波長(tunable wavelength)を有してもよい。
【0010】
本発明の文脈において、スキャニングエリアという用語は、スキャニングビームによってスキャニングされるべきエリアを表す。一実施形態において、レーザは、波長チューナブルレーザ(wavelength tunable laser)であり、第1の光学要素は、回折格子であり、これにより、波長が変えられる場合、反射及び/又は屈折されたスキャニングビームがスキャニング方向に沿って掃引されることを可能にする。
【0011】
レーザの波長を変えることによってスキャニングビームを掃引することは、可動部の必要性を排除し、ひいては機械的故障のリスクを低減し、動作時のノイズを最小限にする。さらに、レーザの波長はほぼ連続的に変えられ得るので、スキャニング方向に沿った高いスキャニング分解能(high scanning resolution)が得られる。回折格子は、反射型回折格子(reflective diffraction grating)又は透過型格子(transmission grating)であってもよい。
【0012】
一実施形態において、第1の光学要素は、ブレーズド格子(blazed grating)である。
【0013】
ブレーズド格子の使用は、特定の回折次数に対して最大の格子効率(grating efficiency)が実現されることを確実にする。これは、スキャニング方向に沿って掃引した場合にスキャニングビームが拡散しないことを保証するために、広げられたスキャニングビームに有利である。
【0014】
一実施形態において、第1の光学要素は、スキャニングビームを反射する及びスキャニングビームを広がり方向に広げるように構成される回転可能及び/又は変形可能な格子(rotatable and/or deformable grating)である。
【0015】
これにより、第1の方向へのビームの広がり(broadening)は、格子の移動によって可変である。これは、スキャニングビームを広げること及びスキャニングビームを集束させる(focus)ことの両方に使用されてもよい。さらに、スキャニングビームの狭まり(narrowing)は、向上したデータ接続を確立するためにレシーバにズームインするために使用されてもよい。データ接続を探索する場合、広いビームがスキャン時間を短縮するために望ましいが、ひとたび接続が確立されると、狭いビームが、レシーバにより多くのパワーを集中させ、信号対雑音比を向上させるので、望ましい可能性がある。
【0016】
一実施形態において、第1の光学要素及び第2の光学要素は、同じ光学要素である。
【0017】
同じ光学要素にスキャニングビームの広がり及び掃引の機能を設けることにより、システムの小型化が容易になる。
【0018】
一実施形態において、レーザは、固定スペクトルレーザ(fixed spectrum laser)であり、第1の光学要素は、スキャニングビームを反射する及びスキャニング方向に沿って回転によりスキャニングビームを掃引するように構成される回転可能なミラー(rotatable mirror)である。
【0019】
固定スペクトルレーザ及びピボット可能なミラー(pivotable mirror)の使用は、安価で製造が容易なセットアップである。ピボット可能なミラーは、MEMS(micro-electrical-mechanical system)デバイス、又はガルバノミラーであってもよい。
【0020】
一実施形態において、第2の光学要素は、広がり方向に、及び、長手方向にスキャニング方向に延びる広がりレンズ(broadening lens)であり、スキャニング方向の広がりレンズの曲率は、実質的にゼロである。
【0021】
広がるレンズを提供することにより、製造がシンプルなシステムが得られる。レンズは、両凸、平凸、平凹、両凹等、多種多様な幾何学的形状を想定することができる。
【0022】
一実施形態において、チューナブルレーザベースの光源は、第3の光学要素を備え、第3の光学要素は、レーザから発せられたスキャニングビームが第1の光学要素によって反射及び/又は屈折される前に第3の光学要素を通過するように配置され、第3の光学要素は、スキャニングビームをコリメートするためのコリメータ光学系を含む。
【0023】
スキャニングビームを反射及び広げる前にコリメートすることは、ビームが集束されることを確実にし、スキャニングビームのより長い信号範囲を可能にする。
【0024】
一実施形態において、第3の光学要素は、スキャニング方向にスキャニングビームをコリメートするように構成される。
【0025】
スキャニング方向にスキャニングビームをコリメートすることは、スキャニング方向のスキャニング分解能のロスを最小限にする。
【0026】
一実施形態において、チューナブルレーザベースの光源はさらに、ケーシングを備え、レーザ、第1の光学要素及び第2の光学要素は、ケーシングと一体化される。
【0027】
光学要素をケーシングと一体化することは、チューナブルレーザベースの光源が簡単に運ばれ、サイズをコンパクトにする。さらに、ケーシングは光学要素を保護し、埃及び他の粒子によってシステムが汚染されないようにすることができる。また、要素をケーシングと一体化することは、チューナブルレーザベースの光源を移動する、新しいレシーバに対して調整する、又はチューナブルレーザベースの光源をシステムに導入する際のチューナブルレーザベースの光源の較正時間を短縮するのにも役立つ。なぜなら、すべての光学要素は、光学要素を別個に移動させることなく一括して移動され得るからである。
【0028】
一実施形態において、ケーシングは、光を透過させるための光出口窓を備え、光出口窓の一部は、広がりレンズを画定するように形成される。
【0029】
さらに、ケーシングの光出口窓に広がりレンズを組み込むことは、コンパクトなチューナブルレーザベースの光源を可能にする。
【0030】
一実施形態において、広がりレンズは、広がり方向が、レーザがスキャニングビームを発する方向と平行に、又は、レーザがスキャニングビームを発する方向と直交に延びるように配置される。
【0031】
とりわけ、広がり方向がレーザがスキャニングビームを発する方向と直交するように延びる広がりレンズを有することが有利であり得る。なぜなら、これは、レーザがスキャニングビームを発する方向と平行に長手方向に延びる広がりレンズを可能にするため、狭いケーシングを可能にし得るからである。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様によるチューナブルレーザベースの光源を含む、Li-Fiシステムに関する。
【0033】
本発明は、特許請求の範囲に列挙されている特徴のすべての可能な組み合わせに関する。本発明の概念の他の目的、特徴、及び、利点は、以下の詳細な開示から、添付の特許請求の範囲から、及び、図面から明らかになる。ある態様に関連して述べられる特徴は、他の態様にも組み込まれることができ、該特徴の利点は、該特徴が組み込まれるすべての態様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明のこの及び他の態様が、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に述べられる。
図1】本発明の原理の概略図を示す。
図2】光学要素がケーシングと一体化されている、本発明の第1の実施形態の概略断面図を示す。
図3】光学要素がケーシングと一体化されている、本発明の第2の実施形態の概略斜視図を示す。
図4】光学要素がケーシングと一体化されている、本発明の第3の実施形態の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図に示されているように、レイヤ及び領域のサイズは、例示の目的で誇張されている場合があり、斯くして、本発明の実施形態の一般的な構造を例示するために提供されている。同様の参照数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0036】
本発明は、本発明の現在好ましい実施形態が示されている添付図面を参照して、以下にさらに完全に述べられる。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書で述べられている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供されており、本開示の範囲を当業者に完全に伝える。
【0037】
最初に図1を参照すると、本発明の原理の概略図が示されている。レーザ1がスキャニングビーム2を発しており、スキャニングビーム2は第1の光学要素3で反射される。レーザ1は、固定波長レーザ又はチューナブル波長レーザであってもよい。第1の光学要素3は、回折格子、ミラー又は変形可能な格子であってもよい。レーザ1と第1の光学要素3との協働(cooperation)により、スキャニングビーム2は、スキャニング方向S2に掃引されることができる。図1には示されていないが、スキャニングビーム2を広げるように構成される第2の光学要素がある。第2の光学要素は、第1の光学要素3によって反射されたスキャニングビーム2を広げるように構成される。とりわけ、第2の光学要素は、広がり方向S1に沿ってスキャニングビーム2を広げるように構成される。スキャニング方向S2における広げられたスキャニングビーム2の掃引により、スキャニングビーム2は、広がり方向S1及びスキャニング方向S2に沿って延びるスキャニングエリアをスキャンすることができる。とりわけ、第2の光学要素は、スキャニングビームを広がり方向S1に沿ってスキャニングエリアの幅よりも大きな幅に広げるように構成される。
【0038】
別の実施形態では、スキャニングビーム2の掃引及び広がりは、同じ光学要素によって実現されてもよい。これは、例えば、傾けることができる、及び/又は、例えば平坦から円筒形、凹形又は凸形に形状を変化することができる変形可能な格子を設けることによって行われることができる。この場合、格子の傾斜(tilting)及び/又は変形(deforming)は、スキャニングビーム2の広がり又は狭まりに使用されてもよく、広げられたスキャニングビームの掃引は、スキャニングビーム2の波長をチューニングする(tune)ことによって行われてもよい。この場合、第1の光学要素3及び第2の光学要素4は、単一の光学要素にまとめられてもよい。
【0039】
本発明の第1の実施形態の概略断面図を示す、図2を参照すると、光学要素は、ケーシング6と一体化されている。レーザ1、第1の光学要素3、及び第2の光学要素4はすべて、ケーシング6と一体化されている。さらに、第3の光学要素5もケーシング6と一体化されている。第3の光学要素5は、図示の実施形態では、コリメータである。第3の光学要素5は、レーザ1と第1の光学要素3との間に配置されている。レーザ1は、第3の光学要素5を通過するスキャニングビーム2を発しており、これにより、第1の光学要素3で反射される前にスキャニングビーム2を平行にする(parallelly align)。第1の光学要素3は、エシェル格子(echelle grating)である。第1の光学要素3で反射された後、スキャニングビーム2は、ケーシング6の光出口窓7を通過する。光出口窓7は、光出口窓7を通過するスキャニングビーム2のロスを制限するために、光学的に透明な材料から作られることが好ましい。図示の実施形態では、光出口窓の一部は、第2の光学要素4を画定するように形成される。第2の光学要素4は、平凸ジオメトリ(planoconvex geometry)を有する広がりレンズである。第2の光学要素4を通過するスキャニングビーム2は広げられる。図示の実施形態におけるレーザ1は、波長チューナブルレーザである。レーザ1の波長を変えることにより、第2の光学要素3で反射されたスキャニングビームは、異なる方向に反射される。これにより、スキャニングメカニズムが、レーザ1と第1の光学要素3との協働によって得られる。スキャニングビーム2は、エシェル格子で反射されることが示されているが、他の実施形態では、他のタイプの屈折又は回折格子が、格子によってスキャニングビーム2を屈折又は反射させるために使用されてもよい。
【0040】
本発明の第2の実施形態の概略斜視図を示す、図3を参照すると、光学要素3及び4が、ケーシング6と一体化されている。図2を参照する、本発明の第1の実施形態とは対照的に、スキャニングメカニズムは、波長チューナブルレーザが回折格子と協働することによって得られていない。代わりに、レーザ1は固定波長レーザであり、第1の光学要素3は回転可能なミラーである。第1の光学要素3を回転させながら、レーザ1から発せられたスキャニングビーム2を第1の光学要素3で反射させることにより、スキャニングメカニズムは得られ、これにより、スキャニングビーム2は、スキャニング方向S2に沿ってスキャンされることができる。第1の光学要素3は、広がり方向S1と平行な回転軸の周りに回転することができる。第2の光学要素4は、広がり方向S1に沿ってスキャニングビーム2を広げるように構成されるレンズである。レンズは、ケーシング6の光出口窓7の一部として形成される。レンズは、長手方向にスキャニング方向S2と平行に、且つ、レーザ1がスキャニングビーム2を発する方向と直交に延びている。さらに、スキャニング方向S2のレンズの曲率は、実質的にゼロである。実質的にゼロの曲率により、スキャニングビーム2はスキャニング方向S2において広げられず、スキャニング方向S2に沿って解像度が失われないことが保証される。
【0041】
本発明の第3の実施形態の概略斜視図を示す、図4を参照すると、第1の光学要素3及び第2の光学要素4が、ケーシング6と一体化されている。第3の実施形態は、第2の実施形態と同様であるが、広がりレンズである第2の光学要素4が90°回転されている変更点がある。広がりレンズ4の回転の結果、広がりレンズは、長手方向にスキャニング方向S2と平行に、且つ、レーザ1がスキャニングビーム2を発する方向と平行に延びている。
【0042】
当業者は、本発明が決して上記の好ましい実施形態に限定されるものではないことを認識する。それどころか、多くの修正及び変形が、添付の特許請求の範囲内で可能である。例えば、第2の光学要素としてレンズのみが述べられたが、リフレクタ又は他の光学要素も、広がり方向にスキャニングビームを拡幅する(wide)ために使用されてもよい。また、本発明は、本明細書で述べられる光学要素に限定されるものではなく、ビームスプリッタ又は位相変調器等、いくつかの他の光学要素が組み込まれてもよい。これらの他の光学要素は、レーザと第1の光学要素との間、第1の光学要素と第2の光学要素との間、及び/又は第2の光学要素の後に置かれてもよい。
【0043】
さらに、図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】