(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチドを配列決定するための方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20230417BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20230417BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20230417BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577994
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2021055939
(87)【国際公開番号】W WO2021180733
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513212280
【氏名又は名称】イルミナ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピース ジャレド
(72)【発明者】
【氏名】ボヤノヴィック マシャド クララ
(72)【発明者】
【氏名】マキナニー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ボーテル ジョナサン マーク
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR62
4B063QR82
4B063QS24
4B063QS39
(57)【要約】
本発明は、ハイスループット核酸配列決定の方法における改善、特にペアワイズ配列決定中に伸長反応を実行する方法の改善に関する。本発明は、ペアワイズ配列決定中に鎖再合成伸長反応を実行するための方法に関し、前記鎖再合成伸長反応は、第1の配列決定リードと第2の配列決定リードとの間で実行され、前記鎖再合成伸長反応は、1つ以上の固定化プライマーを伸長させて第1の鋳型鎖をコピーして第2の固定化鋳型鎖を生成し、鎖再合成伸長反応が、55℃未満、好ましくは38℃の温度で非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用して実行されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペアワイズ配列決定中に鎖再合成伸長反応を実行するための方法であって、前記鎖再合成伸長反応は、第1の配列決定リードと第2の配列決定リードとの間で実行され、前記鎖再合成伸長反応は、1つ以上の固定化プライマーを伸長させて第1の鋳型鎖をコピーして第2の固定化鋳型鎖を生成し、前記鎖再合成伸長反応が、55℃未満の温度で非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用して実行されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記非熱安定性ポリメラーゼが、55℃未満、好ましくは50℃未満、45℃未満、40℃未満、39℃未満、38℃以下、約38℃、又は約37℃、特に好ましくは約38℃の最適な培養温度及び/又は最適な活性温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記伸長反応が、55℃未満、好ましくは50℃未満、好ましくは40℃未満、好ましくは38℃+/-2℃、好ましくは38℃+/-1℃、好ましくは38℃の温度で実行される、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記非熱安定性ポリメラーゼが、Bsu、phi29、Klenow、及びDNA PolymeraseI(E.coli)、好ましくはBsu又はその機能的断片である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記鎖再合成伸長反応が、複数サイクルの伸長及び変性によって繰り返される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15回以上のサイクル、好ましくは2~5回のサイクル、2~4回のサイクル、3~5回のサイクル、3回のサイクル、又は4回のサイクル、最も好ましくは3回のサイクルを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各サイクルが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、又は30分間続き得る、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
伸長及び変性の以下のサイクル:3×5分;3×30分;12×2分;6×4分;2×12分又は3×5分;好ましくは12×2分、を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
変性が、実質的に前記伸長反応の前記温度で実行される、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
変性が、酢酸、HCl、若しくは硝酸などの酸性核酸変性剤;NaOHなどの塩基性核酸変性剤;又はDMSO、ホルムアミド、ベタイン、グアニジン、サリチル酸ナトリウム、プロピレングリコール、若しくは尿素などのその他の核酸変性剤;好ましくは、ホルムアミド及びNaOH、特に好ましくはホルムアミドを使用して実行される、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記鎖再合成伸長反応が、前記配列決定リード工程よりも低い温度で実行される、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第1の鋳型鎖がクラスターである、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記クラスターが架橋増幅によって初期に生成された、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記同じ非熱安定性鎖置換ポリメラーゼが、初期クラスター生成及び前記鎖再合成伸長反応中に使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の鋳型鎖が、前記鎖再合成伸長反応で使用される前記ポリメラーゼと同じ前記ポリメラーゼを使用する増幅反応によって生成される、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記固定化プライマーのうちの少なくとも1つが、前記3’末端でブロックされ、前記ブロックが、前記鎖再合成伸長反応の前に除去される、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ブロックが、リン酸基であり、ホスファターゼで処理されて前記ブロックを除去する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記鎖再合成伸長反応の前に制限酵素で処理して前記固定化プライマーを短縮し、伸長のために遊離3’ヒドロキシルをリリースする工程を更に含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記固定化プライマーが、前記鎖再合成伸長反応の前に伸長される、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記固定化プライマーが、5’-オーバーハングとの非固定化相補的配列のハイブリッド形成によって伸長され、前記固定化プライマーは、前記オーバーハングをコピーするために伸長される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
標的二本鎖ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域のペアワイズ配列決定のための方法であって、前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記同じ標的二本鎖ポリヌクレオチドにあり、前記ペアワイズ配列決定が、請求項1~20のいずれか一項に開示される工程を含む、方法。
【請求項22】
クラスター化配列上の前記二本鎖鋳型のそれぞれからの配列決定情報の2つの連結されたリード又はペアリードを取得するための、請求項21に記載の方法の使用。
【請求項23】
配列決定反応のデータ品質を改善する方法であって、請求項1~20のいずれか一項に記載の伸長反応を実行することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイスループット核酸配列決定の方法における改善、特にペアワイズ配列決定中に伸長反応を実行する方法の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸配列決定法は、当該技術分野において長年周知である。いくつかのこのような方法は、蛍光標識された核酸類似体の連続的な組み込みサイクルに基づく。このような「合成による配列決定(sequencing by synthesis)」又は「サイクル配列決定(cycle sequencing)」方法において、添加された塩基の同一性は、蛍光標識を検出することによって各ヌクレオチドの添加後に決定される。
【0003】
特に、米国特許第5,302,509号は、鋳型鎖に相補的な標識ポリヌクレオチドを連続的に組み込むために、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼを使用して複数の伸長反応を実施することを含む、ポリヌクレオチド鋳型を配列決定するための方法を記載している。このような「合成による配列決定」反応において、鋳型鎖に基づいて対となる新規のポリヌクレオチド鎖は、鋳型鎖に相補的な個々のヌクレオチドを連続的に組み込むことによって、5’から3’方向に構築される。配列決定反応で使用される基質ヌクレオシド三リン酸は、異なる3’標識を有する3’位置で標識され、連続したヌクレオチドとして組み込まれたヌクレオチドの同一性の決定を可能にする。
【0004】
正確な配列決定を実行するために、可逆的鎖終端構造修飾又は「ブロック基」を基質ヌクレオチドに添加して、ヌクレオチドが制御された様式で一度に1回組み込まれることを確実にし得る。各単一ヌクレオチドが組み込まれると、ブロック基は、ポリヌクレオチド鎖へのいずれかの更なるヌクレオチドの取り込みを防止する。最後に組み込まれた標識ヌクレオチドの同一性が決定されると、標識部分及びブロック基が除去され、次のブロックされ標識されたヌクレオチドがその後の配列決定のラウンドに組み込まれることを可能にする。
【0005】
「ペアエンド」又は「ペアワイズ」配列決定の技術(このような用語は、本明細書では同じ意味で用いられる)は、一般に、分子生物学の技術分野において、特に、全ゲノムショットガン配列決定との関係において周知である。ペアエンド配列決定は、単一のポリヌクレオチド二重鎖上の2つの場所からの配列の2つの「リード」の決定を可能にする。ペアエンドアプローチの利点は、ランダムな様式で2つの独立した鋳型のそれぞれからの「n」塩基を配列決定することからよりも、単一の鋳型から「n」塩基のそれぞれを2回延伸することから有意に多くの情報が得られる、ということである。配列情報の組み立てのための適切なソフトウェアツールを使用することにより、「ペアエンド」配列が完全にランダムではないという知識を使用することが可能であるが、単一の二本鎖で発生することが周知であり、したがって、ゲノムにおいて連結されている又は対になっている。この情報は、共通塩基配列への全ゲノム配列の組み立てを大幅に助けることが示されている。
【0006】
ペアエンド配列決定は、典型的には、特殊な環状ショットガンクローニングベクターを使用することによって実施されている。特定の単一部位でベクターを切断した後、配列決定される鋳型DNA(典型的には、ゲノムDNA)をベクターに挿入し、末端を再封止して新しい構成を形成する。挿入DNAに隣接するベクター配列には、反対の鎖上の挿入DNAの配列決定を可能にする配列決定プライマーの結合部位が含まれる。しかしながら、鋳型断片の両端での配列決定プライマーの必要性により、配列系配列決定技術の使用が非常に困難になる。通常一本鎖鋳型に依存する配列系技術では、相補鎖が表面に結合していないため、一般に、ヌクレオチド鋳型の一端からのみ配列が可能である。
【0007】
核酸配列決定反応のスループットを最大化するために、複数の鋳型分子を並行して配列決定し得ることが有利である。複数の鋳型の並列処理は、核酸配列技術の使用によって達成し得る。これらの配列は、典型的には、固体支持体材料上に固定化されたポリヌクレオチドの高密度マトリックスからなり、一般に、一本鎖鋳型に依存する。
【0008】
固体支持体上で実行し得るポリヌクレオチド鋳型のダブルエンド配列決定のための種々の方法が報告されている。例えば、複数の同一の固定化されたポリヌクレオチド鎖及び複数の同一の固定化された相補鎖から形成されたクラスター又は「コロニー」からなる配列を形成するために、増幅生成物を固体支持体上に固定化することを可能にする核酸増幅法が周知である。これらの方法に従って調製されたクラスター化配列上のDNAコロニー中に存在する核酸分子は、配列決定反応のための鋳型を提供し得る。
【0009】
国際公開第2008/041002号では、ペアワイズ配列決定法が記載されているが、(a)5’末端で固体支持体に連結された相補的な第1の鋳型鎖及び第2の鋳型鎖と、第1の鋳型鎖の3’末端にハイブリッド形成することが可能な1つ以上の5’末端固定化プライマーの複数のコピーとからそれぞれ形成される、その上に固定された複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドを有する固体支持体を提供することと、(b)第1の鋳型鎖が5’末端固定化プライマーにハイブリッド形成するように、複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドを処理することと、(c)第1の配列決定リードを実行して、鋳型ポリヌクレオチドの第1の領域の配列を決定することと、(d)伸長反応を実行して、固定化プライマーのうちの1つ以上を伸長させて、第1の鋳型鎖をコピーして第2の固定化鋳型鎖を生成することと、(e)複数の第1の固定化鋳型鎖及び第2の固定化鋳型鎖を処理して、固体支持体から第1の鋳型鎖を除去することと、(f)鋳型ポリヌクレオチドの第2の領域の配列を決定するために第2の配列決定リードを実行することであって、標的ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域の配列を決定することが、当該標的二本鎖ポリヌクレオチドの当該第1の領域及び当該第2の領域のペアワイズ配列決定を達成することと、を含む。
【0010】
運転速度の増加、効率の改善、精度の向上、及び/又はプロセス単純化を含む、配列決定プラットフォームを改善するための継続的な必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一態様によれば、ペアワイズ配列決定中に鎖再合成伸長反応を実行するための方法が提供されるが、当該鎖再合成伸長反応は、第1の配列決定リードと第2の配列決定リードとの間で実行され、当該鎖再合成伸長反応は、1つ以上の固定化プライマーを伸長させて第1の鋳型鎖をコピーして第2の固定化鋳型鎖を生成し、鎖再合成伸長反応が、55℃未満の温度で非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用して実行されることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様によれば、標的ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域のペアワイズ配列決定中に伸長反応を実行するための方法が提供されるが、当該第1の領域及び第2の領域は同じ標的ポリヌクレオチドにあり、当該ペアワイズ配列決定は以下の工程、
(a)それぞれが、第1の鋳型鎖及びその補体又は第2の鋳型鎖及びその補体から形成された、その上に固定された複数の第1の二本鎖鋳型ポリヌクレオチド及び第2の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドを有する固体支持体を提供することであって、第1の鋳型鎖及び第2の鋳型鎖は、5’末端で固体支持体に連結され、固体支持体に連結された第1の鋳型鎖又は第2の鋳型鎖は、5’固定化伸長プライマーを更に含む、固体支持体を提供することと、
(b)第1の鋳型鎖補体及び第2の鋳型鎖補体を選択的に除去し、第2の鋳型鎖を選択的に除去して、第1の配列決定プライマーの第1の鋳型鎖へのハイブリッド形成を可能にすることと、
(c)第1の配列決定リードを実行して、合成による配列決定技術又はライゲーションによる配列決定技術によって、鋳型ポリヌクレオチドの第1の領域の配列を決定することと、
(d)伸長反応を実行して、固定化プライマーのうちの1つ以上を伸長させて、第1の鋳型鎖をコピーして第2の固定化鋳型鎖を生成することと、
(e)第1の鋳型鎖を選択的に除去して、工程(d)で生成された第2の鋳型鎖への第2の配列決定プライマーのハイブリッド形成を可能にすることと、
(f)合成による配列決定技術によって、又はライゲーションによる配列決定技術によって、鋳型ポリヌクレオチドの第2の領域の配列を決定するための第2の配列決定リードを実行することであって、標的ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域の配列を決定することが、当該標的ポリヌクレオチドの当該第1の領域及び当該第2の領域のペアワイズ配列決定を達成する、第2の配列決定リードを実行することと、を含み、
工程(d)の伸長反応は、55℃未満の温度で非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用して実行される。
【0013】
驚くべきことに、第1の配列リード後に実行される伸長反応は、非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを用いてより低い温度で実行され得、更に高レベルの鎖再合成を保持することが見出された。非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用することで、より速い再生時間と、プロセス工程の減少を含む簡略化されたプロトコルと、使用される異なる試薬の数及び/又は使用される試薬の量の低減と、化学物質の複雑さを低減することと、及び/又は方法を実行するために使用されるカートリッジの複雑さを低減することと、を含む、更なる利点もまたもたらし得る。
【0014】
更なる態様によれば、標的ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域のペアワイズ配列決定のための方法が提供されるが、当該1の領域及び当該第2の領域は、同じ標的ポリヌクレオチドにあり、当該ペアワイズ配列決定は、本明細書に記載の伸長反応を含む。
【0015】
更なる態様によれば、本明細書に記載の伸長反応を実行することを含む、配列決定反応のデータ品質を改善する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による例示的な伸長反応のワークフローを示す。
【
図2】本発明による例示的な伸長反応のワークフローを示す。
【
図3】本発明による例示的な伸長反応のワークフローを示す。
【
図4】本発明による例示的な伸長反応のワークフローを示す。
【
図6A】本発明によるプロトコルの最適化分析を示す。
【
図6B】本発明によるプロトコルの最適化分析を示す。
【
図7】ペアエンド再合成のためのブリッジ増幅の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の特徴は、本発明の全ての態様に適用される。
【0018】
配列決定は、一般に、4つのコア工程を含む。1)配列決定に利用可能な複数の鋳型ポリヌクレオチドを形成するためのライブラリ調製、2)固体支持体上の増幅された単一鋳型ポリヌクレオチドの配列を形成するためのクラスター生成、3)クラスター配列の配列決定、及び4)標的配列を決定するためのデータ分析。
【0019】
本発明は、ペアワイズ配列決定プロセス中に第1の配列決定工程と第2の配列決定工程との間で実行される再生工程(本明細書においては鎖再合成伸長反応又はクラスター再生とも呼ばれる)に関する。本発明は、当該伸長反応中の非熱安定性鎖置換ポリメラーゼの使用に関する。
【0020】
ペアワイズ配列決定の典型的な工程が周知であり、国際公開第2008/041002号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、重要な工程を簡単に説明する。本発明に適用可能な方法は、国際公開第08/041002号、国際公開第07/052006号、国際公開第98/44151号、国際公開第00/18957号、国際公開第02/06456号、国際公開第07/107710号、国際公開第05/068656号、米国特許出願第13/661,524号及び米国特許出願第2012/0316086号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。更なる情報は、米国特許出願第20060024681号、米国特許出願第200602926(U)号、国際公開第06110855号、国際公開第06135342号、国際公開第03074734号、国際公開第07010252号、国際公開第07091077号、国際公開第00179553号、及び国際公開第98/44152号に見出すことができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
配列決定のための好適な鋳型は、核酸コロニーを生成するために固相核酸増幅によって調製され得る。増幅される(次に配列決定される)鋳型は、一般に、ユニバーサルプライマーを含む周知の末端に隣接する未知の領域を含み、例えば、国際公開第07052006号に記載されている方法に従って調製され、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、鋳型は、ゲノムDNAの試料から、又はcDNAライブラリから誘導されてもよい。増幅は、国際公開第98/44151号、国際公開第00/18957号、国際公開第0206456号、又は国際公開第07107710号に記載されているものと類似した手順を使用して行うことができ、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。鋳型核酸が固相核酸増幅によって形成される場合、これらの非標的配列は、増幅反応に使用されるプライマーから誘導されてもよい。あるいは、非標的配列を断片化標的配列に結合して、それらを核酸分子に組み込んでもよい。
【0022】
例えば、ユニバーサルプライマーで増幅される好適な核酸は、増幅される標的ポリヌクレオチドの5’末端及び3’末端に周知のアダプタ配列を追加することによって、増幅(及び配列決定)される標的領域を含むポリヌクレオチドを修飾することにより調製され得る。
【0023】
アダプタは、典型的には、従来の手段によって合成されてもよい短いオリゴヌクレオチドである。アダプタは、種々の手段(例えば、サブクローニング、ライゲーション等)によって標的核酸断片の5’末端及び3’末端に結合してもよい。より具体的には、2つの異なるアダプタ配列が標的核酸分子に結合して、1つのアダプタが標的核酸分子の一端(すなわち、5’末端又は3’末端)に結合し、別のアダプタが標的核酸分子の他端(すなわち、それぞれ3’末端又は5’末端)に結合するように増幅される。アダプタによって隣接する標的核酸配列を含む得られた構成は、本明細書では「基質核酸構成」又は「鋳型ポリヌクレオチド」又は「鋳型構成」と呼ばれる場合がある。鋳型ポリヌクレオチドは、アダプタ配列による修飾の前に、有利にサイズ分割されてもよい。
【0024】
アダプタ配列は、固体支持体上に固定化された順方向プライマー及び逆方向プライマー(例えば、S1及びS2)を使用して、固体支持体上でのこれらの分子の増幅を可能にしてクラスターを形成する配列を含有する(これらの一般的な構造は、以下で更に詳細に説明される)。アダプタ内のこれらの配列は、本明細書では「プライマー結合配列」と呼ばれる場合がある。核酸増幅の鋳型として作用するために、鋳型構成の一本鎖は、順方向増幅プライマー(例えば、S1)に相補的な配列を含有しなければならず、これにより、順方向プライマー分子が、鋳型及び逆方向増幅プライマー(例えば、S2)に相補的な配列をコピーすることによって、相補鎖の合成を結合及びプライムすることができ、これにより、逆方向プライマー分子は、第2の相補鎖の合成を結合及びプライムすることができる。固定化プライマー分子へのハイブリッド形成を可能にするアダプタ内の配列は、典型的には、約20~40ヌクレオチド長であるが、本発明は、この長さの配列に限定されない。
【0025】
増幅プライマーにおける配列S1及びS2の正確な同一性、したがって、アダプタ内の同族配列は、一般に、PCR増幅を指示するためにプライマー分子がアダプタ配列と相互作用することができる限り、本発明にとって重要ではない。PCRプライマーの設計の基準は、一般に、当業者に周知である。
【0026】
鋳型ポリヌクレオチドはまた、タグ又はインデックス配列を更に含有するように調製されてもよい。例えば、その内容のそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第05068656号に記載されているようなタグ配列の使用は、各試料の同一性を保存しながら、同じ配列決定実行で複数の異なる試料を分析することを可能にする。タグは、第1のリードの終了時及び/又は第2のリードの開始時(又は終了時)で読み取ることができる。本発明は、クラスターあたり2つのリードに限定されず、クラスターあたり3つ以上のリードが、単に第1の伸長配列プライマーを脱水素化することによって得られ、鎖再合成伸長反応の前又は後に第2のプライマーを再ハイブリッド形成する。指数化に適した試料を調製する方法は、例えば、米国特許出願第60/899221号に記載されている。
【0027】
一例では、鋳型ポリヌクレオチドは、5’~3’方向に、第1のプライマー結合配列(例えば、P5)、インデックス配列(例えば、i5)、第1の配列結合部位(例えば、SBS3)、挿入断片、第2の配列結合部位(例えば、SBS12’)、第2のインデックス配列(例えば、i7’)、及び第2のプライマー結合配列(例えば、P7’)を含む。別の実施形態では、鋳型は、3’~5’方向に、第1のプライマー結合部位(例えば、P5に相補的であるP5’)、インデックス配列(例えば、I5に相補的であるi5’)、第1の配列結合部位(例えば、SBS3に相補的なSBS3’)、挿入断片、第2の配列結合部位(例えば、SBS12に相補的なSBS12)、第2のインデックス配列(例えば、I7に相補的であるi7)、及び第2のプライマー結合配列(例えば、P7’に相補的であるP7)を含む。いずれかの鋳型は、本明細書では「鋳型鎖」又は「鋳型ポリヌクレオチド」と呼ばれる。プライマー結合配列、インデックス配列、及び配列決定結合部位の組み合わせは、本明細書ではアダプタ配列と呼ばれる場合があり、単一の挿入断片は、5’アダプタ配列及び3’アダプタ配列に隣接している。
【0028】
P5プライマー結合配列の配列は、配列番号1又はその変異体を含んでもよく、P5’アダプタの配列は、配列番号3又はその変異体を含んでもよく、P7アダプタの配列は、配列番号2又はその変異体を含んでもよく、またP7’アダプタの配列は、配列番号4又はその変異体を含んでもよい。実施形態では、変異体は、配列番号1、2、3、又は4に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。より好ましくは、変異体は、配列番号1、2、3、又は4に対して少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の全配列同一性を有する。
配列番号1:P5配列
AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC
配列番号2:P7配列
CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT
配列番号3:P5’配列(P5に相補的)
GTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT
配列番号4:P7’配列(P7に相補的)
ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG
【0029】
ライブラリ調製後の次のコア工程は、クラスター生成であり、固体支持体上に増幅された単一鋳型ポリヌクレオチドの配列を形成する。上記で説明したように、鋳型ポリヌクレオチドの増幅を進行させるために、少なくとも2つの増幅プライマーの混合物が、好適な固体支持体の表面上に固定化される、又は「グラフト化」される。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「固体支持体」とは、水性液体に不溶性である(又は、少なくとも、液体を取り出した場合に実質的に膨潤しないよう十分に剛性であり、また液体が乾燥によって除去された場合に実質的に収縮しない)剛性基材を意味する。本発明は、例えば、ポリヌクレオチドなどの生体分子への共有結合を可能にする反応基を含む中間材料の層又はコーティングの適用によって「機能化」された基材又はマトリックス(例えば、ガラススライド、ポリマービーズ等)から構成される、固体支持体を利用してもよい。固体支持体は、平面基材であってもよい。固体支持体は、層状基材であってもよい。固体支持体は、ビーズであってもよい。本開示の構造化基材又は方法で使用し得る材料の更なる実施例は、米国特許出願公開第13/661,524号及び米国特許出願公開第2012/0316086(A1)号明細書に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
固相増幅によるコロニー生成の第1の工程として、順方向増幅プライマー及び逆方向増幅プライマーの混合物は、好適な固体支持体の表面上に固定化又は「グラフト化」されてもよい。
【0032】
分子(例えば、核酸)の固体支持体への固定化又は結合に言及する場合、用語「固定化された」、及び「結合された」は、本明細書では同じ意味で用いられ、両方の用語は、明示的に又は文脈によって特に指示がない限り、直接的又は間接的、共有結合性又は非共有結合性を包含することが意図される。本発明のある種の実施形態では、共有結合が好ましい場合があるが、一般的に、必要とされるのは、例えば、核酸増幅及び/又は核酸配列決定を必要とする用途において、支持体を使用することが意図される条件下で、分子(例えば、核酸)が、支持体に固定化されたままである又は結合したままであるということである。核酸の、その他の核酸への結合を意味する場合、次に、用語「固定化された」及び「ハイブリッド形成された」とは、本明細書で使用され、一般に、相補的核酸間の水素結合を意味する。
【0033】
一実施例では、グラフト化工程は、一般に、3’末端にプライマー伸長を存在させない、5’末端で又はその近くでの支持体へのプライマーの共有結合を伴う。
【0034】
増幅プライマーは、典型的には、以下の構造を有するオリゴヌクレオチド分子である。
順方向プライマー:A-L-S1
逆方向プライマー:A-L-S2
式中、Aは、固体支持体への結合を可能にする任意の部分を表し、Lは、任意のリンカー部分を表し、S1及びS2は、(完全に又は部分的に)配列を所望される標的領域を含む基質核酸分子の増幅を可能にするポリヌクレオチド配列である。増幅プライマーにおける配列S1及びS2は、増幅することが望ましい特定の標的核酸に特有であってもよいが、その他の実施形態では、配列S1及びS2は、ユニバーサルプライマーでの増幅を可能にするために(例えば、上記のアダプタで)修飾された、周知の配列又は未知の配列の任意の標的核酸の増幅を可能にする「ユニバーサル」プライマー配列であってもよい。
【0035】
固体支持体上にグラフト化されたプライマーの混合物は、一般に、実質的に等しい量の順方向プライマー及び逆方向プライマーを含む。
【0036】
グループAは、固体支持体への結合(好ましくは共有結合)を可能にする任意の部分(非ヌクレオチド化学修飾を含む)であり得る。グループAは、ポリヌクレオチド鎖の5’末端に存在するホスホロチオネートなどの硫黄含有求核試薬を含んでもよい。あるいは、好適な化学物質が、リンカー又は核酸のいずれかを直接固体支持体に直接結合させるために使用される場合、グループAは省略されてもよい。
【0037】
Lは、含まれてもよいが厳密には必要ではないリンカー又はスペーサーを表す。リンカーは、増幅反応の結果として生成される固定化されたポリヌクレオチド分子中に存在する切断部位が、固体支持体から最適な距離に位置付けられる、又はリンカー自体が切断部位を含む場合があることを確実にするために、含まれてもよい。
【0038】
リンカーは、式(CH2)nを有する炭素含有鎖であってもよく、式中、「n」は、1~約1500、例えば、約1000未満、好ましくは100未満、例えば、2~50、特に5~25である。しかしながら、ポリヌクレオチドがその後に使用されることを意図している条件下で、例えば、DNA増幅又はDNA配列決定で使用される条件下で、リンカーが安定しているそれらの構造上に配置された制限のみで、種々のその他のリンカーを用いてもよい。
【0039】
炭素原子のみからならないリンカーもまた使用されてもよい。このようなリンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)を含んでもよい。
【0040】
主に炭素原子の鎖及びPEGから形成されたリンカーは、鎖を中断する官能基を含むように修飾されてもよい。このような基の例としては、ケトン、エステル、アミン、アミド、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホンが挙げられる。別々に又はこのような官能基の存在と組み合わせて、アルケン、アルキン、芳香族部分若しくはヘテロ芳香族部分、又は環状脂肪族部分(例えば、シクロヘキシル)を用いてもよい。シクロヘキシル又はフェニル環は、例えば、それらの1-及び4-位置を介してPEG又は(CH2)n鎖に接続されてもよい。
【0041】
主に飽和炭素原子の直鎖に基づいて所望により不飽和炭素原子又はヘテロ原子で中断される上記のリンカーの代替として、核酸又は単糖類単位(例えば、ブドウ糖)に基づくその他のリンカーが想到されてもよい。また、リンカーとしてペプチドを利用することも本発明の範囲内である。
【0042】
更なる実施形態では、リンカーは、1つ以上のヌクレオチドを含んでもよい。このようなヌクレオチドはまた、本明細書では「スペーサー」ヌクレオチドと呼ばれてもよい。典型的には、1~20個、より好ましくは1~15個、又は1~10個、より具体的には2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のスペーサーヌクレオチドが含まれてもよい。最も好ましくは、プライマーは、10個のスペーサーヌクレオチドを含む。ポリTスペーサーを使用することが好ましいが、その他のヌクレオチド及びこれらの組み合わせが使用され得る。好ましい一実施形態では、プライマーは、10Tスペーサーヌクレオチドを含んでもよい。
【0043】
進行するプライマーグラフト化反応に関して、増幅プライマーの混合物は、部分A(存在する場合)と支持体との間、又は核酸と担体との間の反応を可能にする条件下で、固体支持体へと適用される。固体支持体は、部分Aを介した共有結合を可能にするように好適に官能化されてもよい。グラフト化反応の結果は、固体支持体の少なくとも一部にわたるプライマーの実質的に均一な分布である。固体支持体がナノウェルを含む場合、次に、好ましい実施形態では、プライマーは、ナノウェルの位置に制限され、固体支持体の間質領域には存在しない。
【0044】
増幅プライマーの結合に続いて、固体支持体を鋳型ポリヌクレオチドと接触させて、鋳型と固定化プライマーとの間のハイブリッド形成を可能にする条件下で増幅する。上記の例では、鋳型ポリヌクレオチド上のP5’及びP7’プライマー結合配列は、固体支持体の表面上に存在する固定化プライマー(それぞれP5及びP7)に相補的である。本明細書で使用される場合、「’」は相補鎖を示す。
【0045】
鋳型は通常、好適なハイブリッド形成条件下で遊離溶液に添加されるが、これは当業者には明らかであろう。典型的には、ハイブリッド形成条件は、例えば、40℃で5xSSCである。次に、固相増幅は、(例えば、国際公開第98/44151号の方法に類似する方法によって)プライマー伸長工程となる増幅の第1の工程を進行し得るが、これは、鋳型にハイブリッド形成された固定化プライマーの3’末端にヌクレオチドを添加して、完全に伸長された固定化された相補鎖(又はポリヌクレオチド二本鎖)を生成する工程である。したがって、この相補鎖は、その3’末端に、固体支持体上に固定化された第2のプライマー分子に結合する又は「架橋」することが可能な配列を含み、鋳型として相補鎖を使用して第2の固定化プライマーの伸長から始まる新しい増幅のラウンドをもたらす。
【0046】
次に、その後の増幅反応は、国際公開第98/44151号又は国際公開第00/18957号に記載されるように実質的に進行してもよく、これは、「架橋」増幅生成物のコロニーから構成されるクラスター化配列の生成をもたらす。ここで、増幅生成物の両方の鎖は、5’末端で又はその近くで固体支持体上に固定化され得るが、この結合は、増幅プライマーの元の結合から誘導される。典型的には、各コロニー内の増幅生成物は、単一の鋳型(標的)分子の増幅から誘導される。あるいは、クラスターを生成する場合、その他の増幅手順を使用してもよく、当業者には周知であろう。例えば、増幅は、鎖置換ポリメラーゼを使用する等温増幅であってもよい、又は国際公開第2013/188582号に記載されるような排他的増幅あってもよい。
【0047】
架橋増幅生成物のその後の切断を可能にするために必要な修飾は、一方又は両方の増幅プライマーに有利に含まれてもよい。このような修飾は、増幅プライマーのどこに配置されてもよく、材料の程度に対して増幅反応の効率に影響を与えない。したがって、切断を可能にする修飾は、リンカー領域Lの一部、又は配列S1若しくはS2の一方又は両方を形成してもよい。例として、増幅プライマーは、とりわけ、ジオール結合、ウラシルヌクレオチド、リボヌクレオチド、メチル化ヌクレオチド、ペプチドリンカー、PCRストッパー、又は制限エンドヌクレアーゼの認識配列を含むように修飾されてもよい。固相増幅によって調製された全ての核酸分子は、最終的に増幅プライマーから誘導される配列を含有し得るため、プライマー中の任意の修飾が増幅生成物中に運ばれ得る。
【0048】
この文脈において、用語「固相増幅」とは、順方向増幅プライマー及び/又は逆方向増幅プライマーが5’末端で又はその近くで固体支持体に固定化(例えば、共有結合)されることを除いて、標準PCRに類似している増幅反応を意味する。したがって、PCR反応の生成物は、5’末端で又はその近くで固体支持体上に固定化される増幅プライマーの伸長によって誘導される伸長鎖である。固相増幅は、例えば、国際公開第98/44151号及び国際公開第00/18957号に記載されているものと類似した手順を使用して実行されてもよい。
【0049】
ポリヌクレオチド二重鎖は、典型的には、ホスホジエステル結合によって結合されたデオキシリボヌクレオチドから構成される2つの相補的なポリヌクレオチド鎖から形成されるが、更に1つ以上のリボヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチド化学部分及び/又は非天然に存在するヌクレオチド及び/又は非天然に存在する主鎖結合を含んでもよい。特に、二本鎖核酸は、非ヌクレオチド化学部分、例えば、一方又は両方の鎖の5’末端に、リンカー又はスペーサーを含んでもよい。非限定的実施例としては、二本鎖核酸は、メチル化ヌクレオチド、ウラシル塩基、ホスホロチオネート基、リボヌクレオチド、ジオール結合、ジスルフィド結合、ペプチド等を含んでもよい。切断を可能にするため、又はいくつかのその他の好適な特性を付与するため、例えば、固体支持体への共有結合を可能にするために、又はスペーサーとして作用して切断部位を固体支持体から最適な距離に位置付けるため、このような非DNA又は非天然修飾を含んでもよい。
【0050】
ポリヌクレオチド鎖が相補鎖に部分的にのみハイブリッド形成される場合、例えば、短いヌクレオチドプライマーに対してハイブリッド形成された長いポリヌクレオチド鎖の場合、本明細書では一本鎖核酸と呼ばれる場合がある。
【0051】
次のコア工程は、クラスター配列を配列決定する。
【0052】
配列決定を容易にするために、配列決定プライマーの残りの固定化鎖への効率的なハイブリッド形成を可能にするために、鎖のうちの1つが表面から除去される場合、例えば、第2の鎖が除去されて第1の鎖が残っている又はその逆も同様であることが好ましい。直線化に好適な方法は以下に記載され、国際公開第07010251号においてより詳細に記載され、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
変性(及びその後の切断された鎖の再アニーリング)は、部分的又は実質的に一本鎖である配列決定鋳型の生成をもたらす。次に、配列決定反応は、鋳型の一本鎖部分への配列決定プライマーのハイブリッド形成によって開始されてもよい。本発明の実施形態では、配列決定は、以下に記載されるように、鎖置換ポリメラーゼ酵素を使用して実行され得る。
【0054】
本方法は、2つの配列決定反応を実施する必要があり得る。第1の配列決定反応は、溶液から添加された第1の配列決定プライマーによって開始され、第1の鋳型鎖の配列決定をもたらす、又は固定化された二重鎖内から遊離される固定化プライマーの3’ヒドロキシル基によって開始されてもよい。第2の配列決定反応は、溶液中に固定化又は適用のどちらかでされ得る、第2の配列決定プライマーによって開始される。(第1)鋳型鎖への溶液中の配列決定プライマーのハイブリッド形成は、プライマー及び鋳型鎖を、プライマーの鋳型へのアニーリングを促進する条件下で接触させることによって達成される。このような条件は、一般に、分子生物学の当業者に周知である。それにもかかわらず、本方法は、鋳型の1つの鎖から読み取られた配列を得ることによって、鋳型ポリヌクレオチドの両端から配列データを取得することを可能にし、(以下に説明されるように)固定化プライマーを使用して鎖をコピーし、第1の鎖を終結して第2のコピーされた鎖を配列決定する。これは、元の断片の両端から配列リードを与える。
【0055】
したがって、一実施例では、本発明は、本明細書では配列決定のために第1の領域及び第2の領域と呼ばれるポリヌクレオチド鋳型の領域を配列決定するための方法に関する。配列決定のための第1の領域及び第2の領域は、ポリヌクレオチド鋳型の両端にある(鋳型及びその相補体は、本発明ではそれぞれ、第1の鋳型鎖及び第2の鋳型鎖と呼ばれる)。鎖の配列が周知であるため、その相補鎖の配列もまた周知であり、したがって、2つの領域という用語は、一本鎖鋳型の両端又は二本鎖鋳型の両端に等しく適用され得、第1の領域及びその相補体が周知であり、第2の領域及びその補体が周知である。
【0056】
一実施例では、第1の配列決定リードは、第1の配列決定プライマー(リード1配列決定プライマー)の第1の配列決定結合部位(例えば、SBS3’)への結合、続いて相補鎖の合成及び配列決定を含んでもよい。これは、挿入断片の配列決定をもたらす。第2の工程では、インデックス配列決定プライマー(例えば、i7配列決定プライマー)は、第2の配列決定結合部位(例えば、SBS12)に結合し、インデックス配列の合成及び配列決定(例えば、i7プライマーの配列決定)をもたらす。クラスター再生に続いて(本明細書に記載されるように)、第2の配列リードがある。第2の配列決定リードは、インデックス配列決定プライマー(例えば、i5配列決定プライマー)の鋳型上の第1の配列決定結合部位の相補体(例えば、SBS3)への結合、並びにインデックス配列(例えば、i5)の合成及び配列決定を含んでもよい。第2の工程では、第2の配列決定プライマー(リード2配列決定プライマー)は、プライマー(例えば、i7配列決定プライマー)の補体に結合し、第2の配列決定結合部位(例えば、SBS12’)に結合して、逆方向に挿入断片の合成及び配列決定をもたらす。換言すれば、SBS3は、リード1、リード2のSBS12、i5のSBS3’、i7のSBS12’の配列決定プライマーである。
【0057】
配列決定は、任意の好適な「合成による配列決定」技術を使用して実行され得、ここで、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、引き続いて遊離3’ヒドロキシル基に添加され、典型的には配列決定プライマーのアニーリングによって提供され、5’~3’方向でポリヌクレオチド鎖の合成をもたらす。特定の実施形態では、添加されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの性質は、各添加後に決定される。
【0058】
1つの特定の配列決定法は、可逆的連鎖停止剤として作用し得る修飾ヌクレオチドの使用に依存する。好適なヌクレオチドは、国際公開第04018497号に記載されている。修飾されたヌクレオチドが、配列決定されている鋳型の領域に相補的な成長ポリヌクレオチド鎖に組み込まれると、更なる配列伸長を誘導するために利用可能な遊離3’-OH基が存在せず、したがって、ポリメラーゼは、更なるヌクレオチドを付加することができない。成長鎖に組み込まれた塩基の性質が決定されると、3’ブロックを除去して、次の連続したヌクレオチドの添加を可能にし得る。これらの修飾ヌクレオチドを使用して誘導される生成物を配列させることにより、DNA鋳型のDNA配列を推定することが可能である。このような反応は、修飾ヌクレオチドのそれぞれが、特定の塩基に対応することが知られている異なる標識に結合している場合、各組み込み工程で添加された塩基間の識別を促進する、単一の実験で行うことができる。好適な標識は、PCT出願PCT/GB/2007/001770号に記載されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、別個に添加される修飾ヌクレオチドのそれぞれを含む別個の反応が実行されてもよい。
【0059】
修飾ヌクレオチドにはまた、それらの検出を容易にするための標識を付けてもよい。特定の実施形態では、標識は蛍光標識である。各ヌクレオチドの種類には、異なる蛍光標識を付けてもよい。しかしながら、検出可能な標識は、蛍光標識である必要はない。DNA配列へのヌクレオチドの組み込みの検出を可能にする任意の標識が使用され得る。
【0060】
蛍光標識ヌクレオチドを検出するための1つの方法は、標識ヌクレオチドに特異的な波長のレーザー光の使用、又はその他の好適な照明源の使用を含む。組み込まれたヌクレオチド上の標識からの蛍光は、CCDカメラ又はその他の好適な検出手段によって検出されてもよい。好適な検出手段は、PCT/US2007/007991号に記載されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。第1の配列決定リードが完了し、十分なリード長が決定されると、残りの鎖をコピーすることができる。3’-ヒドロキシル基が最初に切断酵素で作成された場合、次に、同じ位置に新規の3’-ヒドロキシル基が再作成され得、この位置から伸長するが、配列決定反応の一部として組み込まれたヌクレオチドの3’-ヒドロキシル基から第1の鋳型鎖をコピーし続けることも同様に可能である。4つ全ての標識されていないヌクレオチド及びポリメラーゼとのこの伸長反応は、第1の鋳型の全ての塩基をコピーし得る。固定化プライマーは、切断酵素の制限部位を含有する場合があり、制限酵素による処理は、固定化されたプライマー、又は固定化鋳型二重鎖を短縮して、ブロックされていない3’ヒドロキシル基をリリースする場合がある。
【0061】
二本鎖の一本鎖のみで遊離3’-ヒドロキシルを生成する方法は、切断酵素による処置、又は特定のヌクレオチドを除去するための化学処理のいずれかを含む。好適な切断酵素は当該技術分野で周知であり、周知のニック部位から誘導される塩基を配列決定することを回避するために、それらの結合部位に対して3’遠隔である部位で切断することが好ましい。切断酵素は、表面に最も近い端部で鎖のうちの1つのみを切断する必要がある。好適な制限酵素の例には、Nt.BstNBI及びNt.AIwIが含まれるが、これらは、リリースされた3’-ヒドロキシルを超える定義された配列の塩基を有さない。
【0062】
第1の配列決定実行後、ヌクレオチドは、第2の配列決定実行を可能にするために(本明細書で更に論じられるように)再生工程を受ける。したがって、ヌクレオチドを脱保護して、鋳型鎖をコピーする更なるサイクルを可能にし得る。ヌクレオチドがジデオキシ修飾を行う場合、これは、エキソヌクレアーゼ、又はエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを使用して除去し得る。したがって、クラスターは、記載されるように2つのグラフト化プライマーで作成することができ、未使用のプライマーは、第1の配列決定反応中にブロックされ、次に、鋳型鎖の更なるコピーを可能にするために脱ブロックされる。増幅プライマーの一部は、増幅サイクルの伸長から3’ヒドロキシルをブロックする修飾で表面に結合してもよい。これは、その表面が2の代わりに3つ以上の増幅プライマーで処理されることを意味する。増幅プライマーのうちの少なくとも2つは、同一の配列の領域を含むべきであるが、少なくとも1つのプライマーは、直線化プロセス中に第2のプライマーを除去するために使用される条件に影響されず、3’ブロック部分を含有し得る。ブロック部分は、ホスフィン試薬で除去され得るアジドメチル基などの化学ブロックの形態をとってもよく、ホスファターゼで除去され得るリン酸基などの酵素的に除去可能であり得る、又は3’-5’エキソヌクレオリシスを使用して除去され得るヌクレオシド基の形態であってもよい。このようなヌクレオシド修飾としては、記載されるように除去され得る脱塩基部位、又はエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼによって除去され得る2’、3’ジデオキシヌクレオチドが挙げられる。更なる修飾は、制限酵素の認識配列を有する自己相補的領域を形成し得るオリゴヌクレオチド配列を使用することを含む。制限酵素による処置は、ヘアピン鎖を切断し、遊離3’ヒドロキシル基でより短い配列をリリースする必要がある。第1の配列決定実行後の表面の処理は、プライマーを脱ブロッキングして、残りの第1の鎖が脱保護されたプライマーにハイブリッド形成され、既に配列決定された鎖を再コピーすることを可能にし得る。
【0063】
第1の配列決定リードの配列決定生成物が除去されると、第1の鋳型鎖は固体支持体上に固定化されたままであり得る。第1の鋳型鎖は、その3’末端で、固体支持体上に固定化された第2のプライマーに相補的な配列を含むが、それは、その第2のプライマー分子に結合する又は「架橋」することが可能である。次に、伸長反応は、本明細書に更に記載されるように実行され得、固定化プライマーのうちの1つ以上を伸長して、第1の鋳型鎖をコピーし、第2の固定化鋳型鎖を生成し、その後、第2の配列リードで配列決定される。したがって、クラスターは、第2の配列リードを可能にするために再生され得る。本工程を多数回繰り返して、ペアエンド再合成を得てもよい。
図7は、本サイクルの一例を示す。ここで、架橋増幅は、乗算のラウンドを実行するために3つの試薬のサイクルを必要とする。第1の変性剤(LDR)を使用して、55℃でクラスターを変性させる。次に、変性剤の除去を促進するために、固体支持体(例えば、フローセル)にわたってH
2Oを押し出す。次に、鎖置換ポリメラーゼ酵素を使用して、利用可能な3’表面プライマーを伸長する。本サイクルは、ペアエンド再合成について以下に記載されるように繰り返されてもよい。
【0064】
この場合も、これは、両方の鎖が固定化される鋳型二重鎖を再生成する。ペアワイズ配列決定中の伸長反応(すなわち、第1の配列決定リード及び第2の配列決定リード間)に関して、伸長は、鎖置換ポリメラーゼ酵素を使用して実行される。
【0065】
更なる工程では、配列決定を開始する前に、遊離3’-ヒドロキシルプライマーを鋳型に相補的な複数の塩基で伸長することが有利であり得る。この両方は、固定化された二本鎖の融解温度を上昇させ、鋳型鎖が配列決定中にその他の固定化プライマーに再ハイブリッド形成されるのを防止するのに役立つが、これにより、クラスター内の問題が段階的に生じる。ライゲーション工程は、ホスファターゼ工程が固定化プライマーからリン酸基を除去した後に実行される。配列の20~30塩基の添加は、遊離3’ヒドロキシルに隣接してハイブリッド形成した5’-リン酸修飾プライマーとのライゲーション反応によって実施され得る。T4DNAリガーゼなどのリガーゼを使用して、ギャップを塞ぐことができる。Uヌクレオチドを除去するUSER処理の場合、プライマーの5’-塩基は、切除されたUを置き換えるTであり得る。ハイブリッド形成工程が効率的に実行されるために、5’-非固定化鎖は、上記の5’-3’エキソヌクレオリシス処理によって除去されている必要がある。遊離3’-ヒドロキシルを有するこのような固定化された伸長プライマーは、伸長された5’アンカー、又は伸長された固定化プライマーとして記載されるが、このような伸長プライマーの生成は、第1の鋳型鎖がその5’末端で固体支持体上に固定化されるプライマーにハイブリッド形成されるように、複数の鋳型ポリヌクレオチドの処理に関与する工程のうちの1つにすぎない。
【0066】
一実施例では、上記の伸長反応を行う前に、固定化プライマーを伸長することが有利であり得る。伸長は、固定化プライマーの3’末端を越えて伸長する配列を有するハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドを使用して実施し得、その配列はまた、鋳型の末端で対応する領域と同じ配列でもある。この伸長部分は、固定化プライマーの伸長の基礎として機能し得、したがって、伸長プライマーは、固定化された鋳型鎖に相補的である。伸長プライマーは、それらの長さが増加するため、鎖再合成工程の効率を改善する場合がある。第1の鎖の相補的配列が生成されると、第1の鎖は表面から除去され得る。
【0067】
表面からの第1の鋳型の除去により、新たに一本鎖の第2の鋳型を、再び3’末端から配列決定することが可能である。したがって、元の固定化鋳型の両端を配列決定し得る。第1の鎖は、8-オキソ-G残基のジオール切断又は除去などの好適な直交直線化処理工程によって除去され得、第1の鋳型鎖の変性後、第2の配列決定プライマーを第2の鋳型鎖にハイブリッド形成させて、第2の鋳型鎖を配列決定し得る。本直交直線化戦略はまた、鋳型の両端からのリードを可能にする。
【0068】
第1の鋳型鎖の選択的除去又は直線化はまた、いくつかのその他の方法で達成され得る。溶液中の配列決定プライマーのハイブリッド形成を可能にする直線化は、鋳型鎖上に機能的3’-ヒドロキシルを残す必要はなく、一方の鎖又は両方の鎖のいずれかを切断し得る。したがって、本明細書で使用される場合、用語「直線化」とは、相補鎖の選択的除去を意味する。増幅プライマーのうちの1つが、表面から切断され得るように固定化される場合、結果として生じる二本鎖DNAは、熱又は化学変性条件を使用して一本鎖に作成されて、プライマーのハイブリッド形成部位を含有する一本鎖分子を所与し得る。一本鎖分子は、固定化鋳型鎖の配列決定リードを可能にするために、溶液中の配列決定プライマーとハイブリッド形成され得る。当該切断部位は、化学的、酵素的、又は光化学的手段による第1の鋳型鎖の制御された切断を可能にする部位である。任意の好適な酵素的、化学的、又は光化学的切断反応を使用して、切断してもよい。多数の好適な方法は、国際公開第07010251号に記載されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。切断反応は、切断される鎖の一部又は全体の除去をもたらす場合がある。好適な切断手段としては、例えば、制限酵素消化が挙げられるが、この場合、切断部位は、二重鋳型の一方又は両方の鎖の切断を誘導する酵素のための適切な制限部位であり、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの間の結合のRNase消化又は化学的切断が挙げられるが、この場合、切断部位は、1つ以上のリボヌクレオチドを含む場合があり、還元剤(例えば、TCEP)とのジスルフィド結合の化学還元が挙げられるが、この場合、切断部位は、適切なジスルフィド結合を含むべきであり、過ヨウ素酸塩とのジオール結合の化学的切断が挙げられるが、この場合、切断部位は、ジオール結合を含むべきであり、脱塩基部位及びその後の加水分解などの生成等も挙げられる。
【0069】
一実施形態では、切断は、非天然ヌクレオチド、リボヌクレオチド、又は非ヌクレオチド化学修飾の1つ以上又は任意の組み合わせを含む鋳型ポリヌクレオチド二重鎖の一方又は両方の鎖の切断部位で起こる場合がある。
【0070】
本発明の方法で使用するための好適な切断技術には以下が含まれるが、これらに限定されず、これは、国際公開第2008041002号に詳細に記載されている。i)化学切断、ii)脱塩基部位の切断、iii)リボヌクレオチドの切断、iv)光化学的切断、v)PCRストッパー、vi)ペプチドリンカー、vii)酵素消化。
【0071】
次に、第2の配列決定プライマーが鋳型のコピーされた鎖にハイブリッド形成され、配列決定反応は、ヌクレオチドの連続的な添加を介して上記のように第2の配列決定プライマーに進行し、標的ポリヌクレオチドの第2の領域の配列の決定をもたらす。
【0072】
本明細書に記載のポリヌクレオチド二本鎖は、多くのこのような第1の二本鎖及び第2の二本鎖から構成される単一のクラスター又はコロニーの一部を形成し、クラスター又はコロニー自体は、典型的には、多くのこのようなクラスター又はコロニーの配列の一部を形成し得る。用語「クラスター」及び「コロニー」は、全体的を通して同じ意味で用いられ、複数の同一の固定化核酸鎖及び複数の同一の固定化された相補的核酸鎖からなる、固体支持体上の別個の部位を意味する。用語「クラスター化配列」とは、このようなクラスター又はコロニーから形成される配列を意味する。配列上の各ポリヌクレオチド二本鎖は同じユニバーサルプライマー認識領域を含み、同じプライマーを各クラスターの配列に使用することを可能にする。上記で説明したように、次に、第1の配列決定プライマーを第1の鋳型鎖にハイブリッド形成し、配列決定反応は、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの第1の配列決定プライマーへの連続的な組み込みを介して進行し、標的ポリヌクレオチドの第1の領域の配列の決定をもたらす。
【0073】
重要な特徴は、両方の配列決定実行がクラスター化配列上の同じクラスター又はコロニーで生じ得ることである。このような各コロニー内の各二重鎖の配列は、同じ二本鎖標的ポリヌクレオチドを含むが、異なるコロニーは、異なる二本鎖標的ポリヌクレオチドを含む二重鎖から形成されてもよい。特定の実施形態では、所与のクラスター化配列上のコロニーの少なくとも90%、より具体的には少なくとも95%が、異なる二本鎖標的ポリヌクレオチドを含む鋳型二本鎖から形成され得るが、配列上の各個々のコロニー内では、全ての鋳型二本鎖が同じ二本鎖標的ポリヌクレオチドを含み得る。
【0074】
上記で概説した配列決定法は限定的ではなく、本質的に、ヌクレオチドのポリヌクレオチド鎖への連続的な組み込みに依存する任意の配列決定方法論を使用し得る。好適な技術としては、例えば、パイロシーケンシング法(商標)、FISSEQ法(蛍光インサイチュ配列決定法、fluorescent in situ sequencing)、MPSS法(大規模並列配列決定法)、及びライゲーション系の方法による配列決定が挙げられる。配列決定される標的二本鎖ポリヌクレオチドは、配列決定が望まれる任意のポリヌクレオチドであってもよい。標的ポリヌクレオチドは、例えば、再配列決定用途などの周知の、未知の、又は部分的に周知の配列であってもよい。以下に詳細に記載される鋳型調製方法を使用して、本質的に、周知の、未知の、又は部分的に周知の配列の任意の二本鎖標的ポリヌクレオチドから始まる鋳型の配列を調製することが可能である。配列の使用により、同じ又は異なる配列の複数の標的を並列に配列することが可能である。ペアワイズ法の特定の用途は、ゲノムDNAの断片の配列決定にある。本方法は、本方法を使用して各標的分子について得られた配列の2つの領域が、出発標的分子のサイズに応じて、ゲノム内で互いに特定の距離内に連結されることが知られているため、ゲノム再配置の同定において特定の利点を提供する。
【0075】
本発明は、第1の配列決定リード後及び第2の配列決定リード前に、再生工程中に、非熱安定性鎖置換ポリメラーゼが有利に使用され得ることを特定した。換言すれば、非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用して、その鎖の配列決定後に第1の鋳型鎖の相補鎖を再合成し得る。上記で説明したように、これは、ペアエンド再合成と呼ばれる。
【0076】
「非熱安定性ポリメラーゼ」は、BSTのような熱安定性ポリメラーゼと対比してより低い温度で動作するように最適化されたポリメラーゼを包含することを意図する。
【0077】
「鎖置換ポリメラーゼ」は、合成中に遭遇する下流DNAを変位させる能力を示す。
【0078】
一実施形態では、本発明による非熱安定性ポリメラーゼは、55℃未満の最適な培養温度を有する。更なる実施形態では、本発明による非熱安定性ポリメラーゼは、50℃未満、45℃未満、40℃未満、39℃未満、38℃以下、約38℃、又は約37℃の最適な培養温度を有する。特に好ましい非熱安定性ポリメラーゼは、約38℃の最適な培養温度を有する。
【0079】
更なる実施形態では、本発明による非熱安定性ポリメラーゼは、55℃未満の最適な活性温度を有する。更なる実施形態では、本発明による非熱安定性ポリメラーゼは、50℃未満、45℃未満、40℃未満、39℃未満、38℃以下、約38℃、又は約37℃の最適な活性温度を有する。特に好ましい非熱安定性ポリメラーゼは、約38℃の最適な活性温度を有する。
【0080】
本発明による好適な非熱安定性鎖置換ポリメラーゼは、例えば、New England BioLabs,Inc.により見出され得、phi29、Bsu、Klenow、並びにDNA Polymerase I(E.coli)及びその機能的断片を含む。特に好ましいポリメラーゼはBsuである。代替的実施形態では、ポリメラーゼは、Bsu大型断片である。
【0081】
非熱安定性ポリメラーゼを使用することにより、伸長反応は、55℃未満、好ましくは50℃未満、好ましくは40℃未満、好ましくは38℃+/-2℃、好ましくは38℃+/-1℃、好ましくは38℃の温度で実施され得る。
【0082】
鎖置換ポリメラーゼの使用はまた利点をもたらし、鋳型鎖のそれ自体に対する再アニーリングにより課題を克服し得る。鎖置換ポリメラーゼの使用は、鋳型鎖が関連するプライマーにアニールして効率的な伸長を可能にするのを手助けする。
【0083】
第1の配列決定リード後の再生工程中の非熱安定性ポリメラーゼの使用は、多数の利点をもたらす。例として、熱安定性BSTの使用は、最適な%再合成を達成するために12回の再生サイクルを必要とするこの再生工程中に、以前から使用されている。対照的に、非熱安定性ポリメラーゼは、3回のみのサイクル後に許容可能な再合成を達成することが示されている。例えば、3回のみのサイクル後に79.4%の再合成を達成した実施例におけるPETv23×5mプロトコルを参照のこと。
【0084】
本工程は2つの配列決定工程の間にあり、これらの両方が60又は65℃で動作し得る適切なSBSポリメラーゼを使用して高温で実行されるため、ペアエンド再合成中の非熱安定性ポリメラーゼの使用は直観で分かるものではない。
【0085】
ペアエンド再合成中の非熱安定性ポリメラーゼの使用はまた、同じポリメラーゼが初期クラスター増幅中に使用されて、その後配列決定されるクラスター配列を生成する場合に、更なる利点をもたらす場合がある。例として、ExAmp(非熱安定性鎖置換ポリメラーゼBSUを含む増幅混合物)が初期クラスター生成工程及びペアエンド再合成工程の両方に使用される場合、次に、機械内で使用される試薬の総数が低減されて、カートリッジの複雑さも同様に低減される。このような利点は、COGSの最適化及びプロトコルの単純化をもたらし得る。
【0086】
一実施形態では、工程(d)は、複数サイクルの伸長及び変性によって繰り返される。これは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15回以上のサイクル、好ましくは2~5回のサイクル、2~4回のサイクル、3~5回のサイクル、3回のサイクル、又は4回のサイクル、最も好ましくは3回のサイクルを含んでもよい。より多くのサイクル数を必要とするポリメラーゼとの対照として、本発明は、再生工程を効率的に完了し得る。
【0087】
一実施形態では、各サイクルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、又は30分間続いてもよい。特に好ましいサイクルの種類は、5分である。特定の実施形態では、工程(d)は、以下の伸長及び変性のサイクルを含んでもよい。3×5分;3×30分;12×2分;6×4分;2×12分又は3×5分。特定の実施形態では、3×5分が好ましい。
【0088】
好ましい実施形態では、ペアワイズ配列決定中の伸長反応は、伸長及び変性のサイクルを含む。
【0089】
任意の好適な変性剤は、本発明に包含される。好適な変性剤は以下を含む:酢酸、HCl、若しくは硝酸などの酸性核酸変性剤;NaOHなどの塩基性核酸変性剤;又はDMSO、ホルムアミド、ベタイン、グアニジン、サリチル酸ナトリウム、プロピレングリコール、若しくは尿素などのその他の核酸変性剤。好ましい変性剤は、ホルムアミド及びNaOH、好ましくはホルムアミドである。
【0090】
一実施形態では、変性は、実質的に伸長反応の温度で実行される。
【0091】
特に好ましい実施形態では、伸長/変性サイクルは、それらの間に2回のサイクルの変性を伴う3回のサイクルの伸長を含む。更に好ましい実施形態では、変性サイクルは、第1の伸長サイクルの前に実行される。このような実施形態は、変性及び伸長の3つの交互サイクルを含む。ホルムアミドは、最も好ましい変性剤である。
【0092】
一実施形態では、伸長反応(d)は、配列決定リード工程よりも低い温度で実行される。配列決定工程は、一般に、より高い温度に最適化された異なるポリメラーゼ(例えば、SBSポリメラーゼ)を使用し得る。
【0093】
一実施形態では、複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドは、伸長反応工程(d)で使用されるポリメラーゼと同じポリメラーゼを使用する増幅反応によって生成される。
【0094】
工程(a)で当該固体支持体上に固定化された複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドは、好ましくはクラスターであってもよい。本発明は、当該クラスターを生成するための任意の方法を包含するが、1つの好ましい方法論は、架橋増幅を使用する。好ましい実施形態では、クラスターを生成するための当該架橋増幅は、工程(d)の伸長反応に使用される同じ非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用する。このようなアプローチは、プロセス全体で使用される増幅混合物を最小限に抑えることができるため、更なる方法論を合理化する。
【0095】
したがって、単一の非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを全ての増幅工程に使用して、固定化鋳型ポリヌクレオチドを生成又は再生し得る。第2のポリメラーゼを配列決定工程中に使用し得るが、これは、全体的なプロセス全体が2つのポリメラーゼで完了し得ることを意味する。このような合理化されたアプローチは、種々のプロセスの利点、複雑さの低減、及びCOGSの節約を提供する。
【0096】
用語「クラスター」及び「コロニー」は、全体的を通して同じ意味で用いられ、複数の同一の固定化核酸鎖及び複数の同一の固定化された相補的核酸鎖からなる、固体支持体上の別個の部位を意味する。用語「クラスター化配列」とは、このようなクラスター又はコロニーから形成される配列を意味する。
【0097】
本発明は、標的二本鎖ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域のペアワイズ配列決定のための方法を提供し、当該第1の領域及び当該第2の領域は、同じ標的二本鎖ポリヌクレオチドにあり、当該ペアワイズ配列決定は、本明細書に開示される工程(a)~(f)を含む。
【0098】
本方法は、クラスター化配列上の二本鎖鋳型のそれぞれからの配列決定情報の2つの連結されたリード又はペアリードを取得するために使用されてもよい。
【0099】
本発明は、本明細書に開示されるような伸長反応を実行することを含む、配列決定反応のデータ品質を改善する方法を提供する。
【0100】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例】
【0101】
ペアエンド配列決定は、国際公開第2008/041002号(例えば、実施例13を参照のこと)に記載されている方法に従って実行し得、以下の修正は、標的断片の第1の配列決定工程に従って以下に記載される。リード1配列決定の完了の成功に続いて、
1.フローセル表面結合i5プライマーの脱保護は、Illumina,Inc.から入手可能なJRMなどの緩衝液及びT4ポリヌクレオチドキナーゼを含む再合成混合物を使用して、酵素的に実行される。
2.次に、フローセルをイオン緩衝液、例えば、IlluminaInc.から入手可能なBB6緩衝液で洗浄する。
3.クラスターは、低バイアス変性試薬(LDR-100%ホルムアミド)で変性されて、リード1から伸長配列決定プライマーを除去する。
4.フローセル温度を38℃にする。
5.二本鎖クラスター(再合成)を再生するために、3つの後続のラウンドのLDR(100%ホルムアミド)及びExAmp(非熱安定性鎖置換ポリメラーゼBSUを含む増幅混合物)を、以下のように38℃で等温的に循環させる。LDR及びExAmpは、Illumina,Inc.から入手可能である。
5a.LDRは、フローセルの含有物を完全に置換することを意図した大きなフラッシュ係数でフローセルを通してフラッシュされる。
5b.次に、フローセルに対してExAmpをフラッシュして大きなフラッシュ係数を維持し、5分間培養する。
5c.工程5a及び5bを、合計3回の増幅のラウンドについて繰り返す。
6.次に、新たな二本鎖クラスターがリード2のために直線化され、プライマーハイブリッド形成は、国際公開第2008/041002号のように実行される。
【0102】
本発明によるワークフローのグラフィック表示を
図1に示す。ワークフローPETv2はJRMでの脱保護、続いて緩衝液洗浄を示す。次に、クラスターをLDRで変性し、続いて38℃に至るまで熱サイクルを行う。その後、ExAmp(BSUを含有)及びLDR(100%ホルムアミド)を使用して、3回の再生ラウンド及び変性ラウンドを続ける。
【0103】
代替のワークフローPETv1が
図2に示されており、
図1のワークフローと類似しているが、再生間のLDRによる変性を含まず、代わりに3回の連続した再生ラウンドに進む。
図3及び
図4は、
図1及び
図2を反映させているが、直線化を更に含む。
【0104】
実施形態では、SSCはまた、本発明によるプロトコルにおいて使用されてもよい。例えば、クラスターは、SSCとの再合成の前及び/又は後に洗浄されてもよい。
【0105】
これらのワークフローの再生効率は、その他の潜在的なワークフローに対して評価され、結果は、以下の表1に記載されるように、本発明によるペアエンドターンプロトコルでHSX配列決定実行から計算された再合成%を示す
図5に示されている。
【表1】
【0106】
試験した初期プロトコルは、3×5分のサイクル後にPETv1であった。これにより、許容可能であると考えられるが最適化されていない64%の再合成を達成した。培養時間を3×30分に増加させることで、再合成%が84%に増加し、培養時間及び化学サイクル数の両方を増加させることで、再合成%に対するプラスの影響もまたもたらされた(「PETv2 12サイクル-2分、LDRなし」は再合成%を71%へと改善した)。
【0107】
LDRを用いた実施例で、連続再生/変性サイクルの使用は、条件に応じて再合成%を76.5~101.2%に更に改善した。
【0108】
ExAmpの培養時間、化学サイクル数及び/又はLDR使用の頻度を増加させることで、再合成%に対するプラスの影響をもたらすことが見てとれる。典型的には、選択されたプロトコルは、~80%の再合成又はそれ以上を達成し得るが、優先的なプロトコルは、再合成%対時間対プロトコルの複雑さ及び試薬の使用の交換であり得る。
【0109】
プロトコルの最適化はまた、iCbot系のDOEを使用して考慮され、その結果は、
図6A及び
図6Bに示される。
【0110】
図6Aは、以下を示す:i)LDRサイクルが再合成%に有意な影響を有する;i)サイクル工程の数を増加させることもまた、再合成%を改善する。これは、LDRサイクルが使用される場合に特に見られる;iii)培養時間を増加させることが、再合成%に対してプラスであるが顕著ではない影響を有し、より短い実行時間が許容可能であることを示唆している。
【0111】
図6Bは、LDR=はい;4プッシュ;8.7分の培養時間である最適化されたパラメータを同定する実験に適合するモデルを示す。本明細書で論じられるように、最終的な最適化プロトコルは、再合成%を考慮するだけでなく、速度、試薬の使用、及び効率の観点から全体的な最適化をも考慮し得る。
【0112】
結論として、本発明は、配列決定実行中に鋳型を再生成するためのペアワイズ配列決定中の伸長反応が、55℃未満の温度で非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用して実行され得ることを特定している。これは、プロセスの利点をもたらす。更に、同じポリメラーゼが伸長反応及び同様に初期クラスター生成の両方に使用される場合、次に、全体的なプロセスを簡略化することができ、試薬及びプロトコル工程の数を低減し得る。
【0113】
本発明の実施形態は、以下の項を参照して、ここで説明することができる。
1.標的二本鎖ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域のペアワイズ配列決定中に伸長反応を実行するための方法であって、当該第1の領域及び当該第2の領域が、同じ標的二本鎖ポリヌクレオチドにあり、当該ペアワイズ配列決定が、以下の工程、
(a)その5’末端で固体支持体に連結された相補的な第1の鋳型鎖及び第2の鋳型鎖と、第1の鋳型鎖の3’末端にハイブリッド形成することが可能な1つ以上の5’末端固定化プライマーの複数のコピーとからそれぞれ形成される、その上に固定された複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドを有する固体支持体を提供することと、
(b)複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドの第2の鋳型鎖を選択的に除去して、第1の鋳型鎖の5’末端固定化プライマーへのハイブリッド形成を可能にすることと、
(c)第1の配列決定リードを実行して、合成による配列決定技術又はライゲーションによる配列決定技術によって、鋳型ポリヌクレオチドの第1の領域の配列を決定することと、
(d)伸長反応を実行して、固定化プライマーのうちの1つ以上を伸長させて、第1の鋳型鎖をコピーして第2の固定化鋳型鎖を生成することと、
(e)複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドの第1の鋳型鎖を選択的に除去して、工程(d)で生成された鋳型鎖への配列決定プライマーのハイブリッド形成を可能にすることと、
(f)合成による配列決定技術によって、又はライゲーションによる配列決定技術によって、鋳型ポリヌクレオチドの第2の領域の配列を決定するための第2の配列決定リードを実行することであって、標的ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域の配列を決定することが、当該二本鎖標的ポリヌクレオチドの当該第1の領域及び当該第2の領域のペアワイズ配列決定を達成する、第2の配列決定リードを実行することと、を含み、
工程(d)の伸長反応は、55℃未満の温度で非熱安定性鎖置換ポリメラーゼを使用して実行される、方法。
2.非熱安定性ポリメラーゼが、55℃未満、好ましくは50℃未満、45℃未満、40℃未満、39℃未満、38℃以下、約38℃、又は約37℃、特に好ましくは約38℃の最適な培養温度及び/又は最適な活性温度を有する、項目1に記載の方法。
3.伸長反応が、55℃未満、好ましくは50℃未満、好ましくは40℃未満、好ましくは38℃+/-2℃、好ましくは38℃+/-1℃、好ましくは38℃の温度で実行される、項目1~2のいずれかに記載の方法。
4.非熱安定性ポリメラーゼが、Bsu、phi29、Klenow、及びDNA PolymeraseI(E.coli)、好ましくはBsuである、項目1~3のいずれかに記載の方法。
5.工程(d)が、複数サイクルの伸長及び変性によって繰り返される、項目1~4のいずれかに記載の方法。
6.工程(d)が、複数サイクルの伸長及び変性によって繰り返される、項目5に記載の方法。
7. 2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15回以上のサイクル、好ましくは2~5回のサイクル、2~4回のサイクル、3~5回のサイクル、3回のサイクル、又は4回のサイクル、最も好ましくは3回のサイクルを含む、項目5又は項目6に記載の方法。
8.各サイクルが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、又は30分間続き得る、項目5~7のいずれか一項に記載の方法。
9.伸長及び変性の次のサイクルを含む、項目6に記載の方法。3×5分;3×30分;12×2分;6×4分;2×12分又は3×5分;好ましくは12×2分。
10.変性が、実質的に伸長反応の温度で実行される、項目6に記載の方法。
11.変性が、酢酸、HCl、若しくは硝酸などの酸性核酸変性剤;NaOHなどの塩基性核酸変性剤;又はDMSO、ホルムアミド、ベタイン、グアニジン、サリチル酸ナトリウム、プロピレングリコール、若しくは尿素などのその他の核酸変性剤;好ましくは、ホルムアミド及びNaOH、特に好ましくはホルムアミドを使用して実行される、項目5~9のいずれか一項に記載の方法。
12.伸長反応(d)が、配列決定リード工程よりも低い温度で実行される、項目1~11のいずれかに記載の方法。
13.工程(a)において当該固体支持体上に固定化された複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドがクラスターである、項目1~12のいずれかに記載の方法。
14.クラスターが架橋増幅によって生成される、項目13に記載の方法。
15.同じ非熱安定性鎖置換ポリメラーゼが、初期クラスター生成及び伸長反応工程(d)中に使用される、項目14に記載の方法。
16.複数の二本鎖鋳型ポリヌクレオチドが、伸長反応工程(d)で使用されるポリメラーゼと同じポリメラーゼを使用する増幅反応によって生成される、項目1~15のいずれかに記載の方法。
17.固定化プライマーのうちの少なくとも1つが3’末端でブロックされ、ブロックが工程(d)の前に除去される、項目1~16のいずれかに記載の方法。
18.ブロックがリン酸基であり、表面がホスファターゼで処理されてブロックを除去する、項目17に記載の方法。
19.工程(d)の前に制限酵素で処理して固定化プライマーを短縮し、伸長のために遊離3’ヒドロキシルをリリースする工程を更に含む、項目1~18のいずれかに記載の方法。
20.固定化プライマーが、工程(d)の前に伸長される、項目1~19のいずれかに記載の方法。
21.固定化プライマーが、5’-オーバーハングとの非固定化相補的配列のハイブリッド形成によって伸長され、固定化プライマーは、オーバーハングをコピーするために伸長される、項目20に記載の方法。
22.標的二本鎖ポリヌクレオチドの第1の領域及び第2の領域のペアワイズ配列決定のための方法であって、当該第1の領域及び当該第2の領域が、同じ標的二本鎖ポリヌクレオチドにあり、当該ペアワイズ配列決定が、項目1~21のいずれか一項に開示される工程(a)~(f)を含む、方法。
23.クラスター化配列上の二本鎖鋳型のそれぞれからの配列決定情報の2つの連結されたリード又はペアリードを取得するための、項目22に記載の方法の使用。
24.項目1~項目21のいずれか一項に記載の伸長反応を実行することを含む、配列決定反応のデータ品質を改善する方法。
【配列表】
【国際調査報告】