(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】安全注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
A61M5/32 510H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515636
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2021116135
(87)【国際公開番号】W WO2022170757
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】202110180431.0
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522091988
【氏名又は名称】上海康徳莱医療器械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 森
(72)【発明者】
【氏名】梁 棟科
(72)【発明者】
【氏名】周 紅欣
(72)【発明者】
【氏名】李 蕾
(72)【発明者】
【氏名】林 鵬
(72)【発明者】
【氏名】顧 艷
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH12
4C066HH17
4C066KK05
4C066LL26
(57)【要約】
本願は、シリンジ、針基及びプランジャを備える安全注射器を開示する。針基における第1係止爪はシリンジ内壁における第1凹溝に係接され、針基の近位端及びプランジャの遠位端のうちの一方には第2係止爪が設けられ、他方には制限部材が設けられ、第2係止爪と制限部材は斜面を介して当接可能である。注射を行うためにプランジャが遠位端へ摺動すると、第2係止爪を斜面に沿って摺動させ、第2係止爪は斜面の付勢力を受けてシリンジの径方向に収縮又は展開し、且つ摺動して制限部材を越えて制限部材に係止され、それにより針基とプランジャとのロックを実現し、この過程では、プランジャは摺動して第1係止爪に付勢力を間接的に加えて、第1係止爪を第1凹溝内から滑り出させ、又は引き込みを行うためにプランジャが近位端へ摺動すると、針基に近位端への引張り力を加えて、第1係止爪を第1凹溝内から滑り出させ、針基がプランジャとともに全体として近位端へ摺動し、それによりプランジャの引き込みストロークを短縮させ、安全注射器の全体構造が簡単になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全注射器であって、
内壁面に第1凹溝(111)が設けられるシリンジ(1)と、
外壁面に少なくとも2つの第1係止爪(34)が設けられ、前記第1係止爪(34)が前記第1凹溝(111)内に係接される針基(3)と、
前記シリンジ(1)内に密封して摺動可能に設けられるプランジャ(2)と、を備え、
前記針基(3)の近位端及びプランジャ(2)の遠位端のうちの一方には径方向に突出している少なくとも2つの第2係止爪(33)が設けられ、他方には制限部材が設けられ、前記第2係止爪(33)と前記制限部材が斜面を介して当接可能であり、
注射状態では、前記プランジャ(2)が遠位端へ摺動すると、前記第2係止爪は前記斜面に沿って摺動し前記斜面の作用を受けてシリンジの径方向に変形して、前記制限部材を越えて前記制限部材に係止され、注射状態又は引き込み状態では、前記第1係止爪(34)はプランジャ(2)の摺動によって駆動されて前記第1凹溝(111)から離脱することを特徴とする安全注射器。
【請求項2】
前記第2係止爪は径方向に外へ突出し、前記針基(3)又はプランジャ(2)に設けられ、前記制限部材は制限係止リング(21)であり、注射状態では、前記第2係止爪は前記斜面の作用を受けてシリンジの径方向に収縮して前記制限係止リング(21)の内孔に滑り込んで、前記制限係止リング(21)を越えて前記制限係止リング(21)に係止されることを特徴とする請求項1に記載の安全注射器。
【請求項3】
前記制限係止リング(21)の側壁に少なくとも1つの第1逃がし孔(212)が設けられ、
注射状態では、前記第2係止爪は前記第1逃がし孔(212)内に1対1で対応して伸び込んで、前記制限係止リング(21)の側壁に係止されることを特徴とする請求項2に記載の安全注射器。
【請求項4】
前記第2係止爪は前記針基(3)の近位端に設けられ、前記制限係止リング(21)は前記プランジャ(2)の遠位端に設けられ、
前記針基(3)は、
外壁面が前記シリンジの内壁に密封して設けられ、内孔に針管(4)が取り付けられる環状本体(31)と、
少なくとも2つの脚部(32)であって、2つの前記脚部(32)が同一円周上に均一に分布し、いずれかの前記脚部(32)の遠位端が前記環状本体(31)の近位端の端面に固定される少なくとも2つの脚部(32)と、を備え、
前記第1係止爪(34)と第2係止爪は前記脚部(32)の外壁面に1対1で対応して突出して固定され、前記第1係止爪(34)は前記第2係止爪と前記環状本体(31)との間に位置し、
注射状態では、前記第2係止爪は前記斜面に沿って摺動して、前記脚部(32)をシリンジの径方向に内へ揺動させ、前記第1係止爪(34)を駆動して前記第1凹溝(111)から離脱させることを特徴とする請求項2又は3に記載の安全注射器。
【請求項5】
前記脚部(32)は少なくとも3つであり、すべての前記脚部(32)は同一円周上に均一に分布し、前記第1係止爪(34)及び前記第2係止爪はいずれも少なくとも3つであることを特徴とする請求項4に記載の安全注射器。
【請求項6】
前記第1凹溝(111)の近位端の溝壁は溝口から溝底へ傾斜する第1制限傾斜面として構成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の安全注射器。
【請求項7】
前記シリンジ(1)の取付室は針基室(11)及び前記針基室(11)に連通する移行室(12)を備え、前記針基室(11)と前記移行室(12)との間に第1段差構造(9)を形成するように、前記移行室(12)の内径は前記針基室(11)の内径よりも大きく、
前記針基(3)は前記針基室(11)内に設けられ、前記第2係止爪が前記移行室(12)内に伸び込むように前記脚部は前記第1段差構造(9)の内孔に挿設されていることを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の安全注射器。
【請求項8】
前記プランジャ(2)外にゴムピストン(5)が套設され、前記プランジャ(2)が前記ゴムピストン(5)を介して前記移行室(12)内に摺動可能に密封して設けられることを特徴とする請求項7に記載の安全注射器。
【請求項9】
前記ゴムピストン(5)は、近位端が前記プランジャ(2)に固定され、遠位端が遠位端への前記プランジャ(2)の摺動時に作用する押圧力を受けて、前記第1段差構造(9)の近位端の端面に密着して押圧され、前記ゴムピストン(5)の外壁面に少なくとも1つの環状の密封突起(51)が設けられ、前記密封突起(51)は前記プランジャ(2)とともに摺動可能に前記移行室(12)の内壁面に密封して当接されることを特徴とする請求項8に記載の安全注射器。
【請求項10】
前記第1段差構造(9)は遠位端から近位端へ台形に分布している第1段差(91)及び第2段差(92)を備え、
注射状態では、前記制限係止リング(21)の遠位端の端面は第1段差(91)の段差面に当接され、前記ゴムピストン(5)の遠位端の端面は第2段差(92)の段差面に当接されることを特徴とする請求項9に記載の安全注射器。
【請求項11】
前記取付室は前記移行室(12)の近位端に連通する制限室(13)をさらに備え、前記移行室(12)と前記制限室(13)との間に第2段差構造(10)を形成するように、前記制限室(13)の内径は前記移行室(12)の内径よりも大きく、
前記安全注射器は前記プランジャ(2)の外壁面に固定される弾性制限リング(6)をさらに備え、前記制限室(13)の内壁面に制限突起(131)が設けられ、前記弾性制限リング(6)の自由状態での外径は少なくとも前記移行室(12)の近位端の内径よりも大きく、前記制限突起(131)の内径よりも大きく、
引き込み状態では、前記弾性制限リング(6)は近位端が前記第2段差構造の近位端によって前記制限室(13)内に制限され、遠位端が前記制限突起(131)に当接されることを特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載の安全注射器。
【請求項12】
前記弾性制限リング(6)の外周壁に切欠きが設けられることを特徴とする請求項11に記載の安全注射器。
【請求項13】
前記プランジャ(2)外に套設され前記制限室(13)内に位置する係止スリーブ(7)をさらに備え、
前記係止スリーブ(7)の外壁面に環状ボス(71)が設けられ、前記環状ボス(71)の外周壁は前記制限室(13)の内壁面に密着し、
引き込み状態では、前記弾性制限リング(6)はプランジャ(2)の摺動によって駆動され、近位端が前記環状ボス(71)に当接されて、前記係止スリーブ(7)が前記制限突起(131)へ摺動して前記制限突起(131)に当接されるように推進することを特徴とする請求項11又は12に記載の安全注射器。
【請求項14】
前記第2段差構造(10)は遠位端から近位端へ段階的に分布している第3段差(101)及び第4段差(102)を備え、
注射状態では、前記係止スリーブ(7)の遠位端は第3段差(101)の段差面に当接され、前記環状ボス(71)は第4段差(102)の段差面に当接され、引き込み状態では、弾性制限リング(6)の遠位端は第3段差(101)の段差面に当接可能であることを特徴とする請求項13に記載の安全注射器。
【請求項15】
前記移行室(12)は直筒部及び前記直筒部の近位端に固定される第1括れ部を備え、前記第1括れ部の内径はその遠位端から近位端へ徐々に小さくなり、
前記弾性制限リング(6)の自由状態での外径は前記第1括れ部の内径よりも大きく、前記直筒部の内径以下であることを特徴とする請求項11~14のいずれか一項に記載の安全注射器。
【請求項16】
前記プランジャ(2)の外壁面に環状溝が設けられ、前記環状溝の溝底に折断部(23)が形成されることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の安全注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療器具の技術分野に属し、具体的には、安全注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
注射は現代医療に欠かせない医療手段であり、注射器は医療に不可欠な医療器具である。注射器は人為的に破壊されていない場合、再利用されると、例えば、いくつかの血液ウイルスの拡散による交差感染などの患者又は使用者の交差感染を引き起こしてしまう。
【0003】
従って、現在、市販の注射器は一般に、自己破壊型使い捨て安全注射器を使用している。従来技術は、シリンジ、プランジャ、針基、針管及びロックリングを備える自己破壊型使い捨て安全注射器を提供している。針管は針基の遠位端に固定され、針基の近位端の外壁面に弧状突起が設けられ、シリンジの内壁面に弧状突起が係接される弧状凹溝が設けられ、針基の近位端の端面に制限凹溝が設けられ、制限凹溝のノッチが係合フックを形成し、ロックリングはリング本体と、リング本体の内壁面に成形される複数の弾性止め爪と、リング本体の遠位端に成形される係止コアとを備え、係止コアの遠位端に外へフランジが形成され、該フランジは係止フックを形成する。ロックリングの係止コアは針基の制限凹溝内に伸び込み、環状本体及び弾性止め爪は制限凹溝の近位端外に位置し、環状本体の外壁面はシリンジの内壁面に密着される。
【0004】
注射前、係止コアの係止フックと針基の係合フックが一定の距離離れており、プランジャが注射を行う時、プランジャの遠位端に円錐台が設けられ、プランジャがシリンジ内でロックリングの方向へ徐々に移動する時、円錐台がロックリングの環状本体を貫通して弾性止め爪に係止されると、注射が完了する。注射完了後、後続でプランジャを自己破壊するように、針基と針管を全体としてシリンジ内に引き込む必要があり、プランジャの円錐台が弾性止め爪に係止されるため、プランジャが近位端へ移動すると、プランジャはロックリングを駆動して全体として近位端へ移動させ、このとき、針基は移動せず、プランジャが近位端へ移動し続けるにつれて、係止フックが係合フックに係止されると、針基とロックリングが一体に固定され、プランジャが近位端へ移動し続けると、ロックリングと針基を全体として駆動してシリンジの近位端へ移動させ、針基の外壁面における弧状突起がシリンジの内壁面における弧状凹溝内から滑り出て、針基がシリンジに接触して係接関係となり、プランジャとロックリング及び針基をシリンジ内に引き込むことを実現する。
【0005】
即ち、この安全注射器は、プランジャの遠位端と針基との嵌合がロックリングを介して移行接続され、注射完了後、プランジャが針基とロックリングを全体として近位端のシリンジ内へ移動させる際に、まず、プランジャはロックリングを駆動して第1距離移動させて、ロックリングの係止フックを係合フックと嵌合させ、その後、プランジャはロックリングと針基を全体として駆動してシリンジの近位端へ移動させる必要があり、その結果、プランジャが針基と針管を駆動して引き込むストロークが長く、プランジャにかかる引張り力が大きいとともに、注射器の構造が複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本願が実際に解決しようとする技術的問題は、従来の安全注射器のプランジャの遠位端と針基との嵌合がロックリングを介して移行接続され、針基と針管がプランジャに伴って引き込むストロークが長く、プランジャにかかる引張り力が大きいとともに全体構造が複雑であるという欠陥である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本願の一態様によれば、
内壁面に第1凹溝が設けられるシリンジと、
外壁面に少なくとも2つの第1係止爪が設けられ、前記第1係止爪が前記第1凹溝内に係接される針基と、
前記シリンジ内に密封して摺動可能に設けられるプランジャと、を備え、
前記針基の近位端及びプランジャの遠位端のうちの一方には径方向に突出している少なくとも2つの第2係止爪が設けられ、他方には制限部材が設けられ、前記第2係止爪と前記制限部材が斜面を介して当接可能であり、
注射状態では、前記プランジャが遠位端へ摺動すると、前記第2係止爪は前記斜面に沿って摺動し前記斜面の作用を受けてシリンジの径方向に変形して、前記制限部材を越えて前記制限部材に係止され、注射状態又は引き込み状態では、前記第1係止爪はプランジャの摺動によって駆動されて前記第1凹溝から離脱する安全注射器を提供する。
【0008】
選択肢として、上記安全注射器において、前記第2係止爪は径方向に外へ突出し、前記針基又はプランジャに設けられ、前記制限部材は制限係止リングであり、注射状態では、前記第2係止爪は前記斜面の作用を受けてシリンジの径方向に収縮して前記制限係止リングの内孔に滑り込んで、前記制限係止リングを越えて前記制限係止リングに係止される。
【0009】
選択肢として、上記安全注射器において、前記制限係止リングの側壁に少なくとも1つの第1逃がし孔が設けられ、
注射状態では、前記第2係止爪は前記第1逃がし孔内に1対1で対応して伸び込んで、前記制限係止リングの側壁に係止される。
【0010】
選択肢として、上記安全注射器において、前記第2係止爪は前記針基の近位端に設けられ、前記制限係止リングは前記プランジャの遠位端に設けられ、
前記針基は、
外壁面が前記シリンジの内壁に密封して設けられ、内孔に針管が取り付けられる環状本体と、
少なくとも2つの脚部であって、2つの前記脚部が同一円周上に均一に分布し、いずれかの前記脚部の遠位端が前記環状本体の近位端の端面に固定される少なくとも2つの脚部と、を備え、
前記第1係止爪と第2係止爪は前記脚部の外壁面に1対1で対応して突出して固定され、前記第1係止爪は前記第2係止爪と前記環状本体との間に位置し、
注射状態では、前記第2係止爪は前記斜面に沿って摺動して、前記脚部をシリンジの径方向に内へ揺動させ、前記第1係止爪を駆動して前記第1凹溝から離脱させる。
【0011】
選択肢として、上記安全注射器において、前記脚部は少なくとも3つであり、すべての前記脚部は同一円周上に均一に分布し、前記第1係止爪及び前記第2係止爪はいずれも少なくとも3つである。
【0012】
選択肢として、上記安全注射器において、前記第1凹溝の近位端の溝壁は溝口から溝底へ傾斜する第1制限傾斜面として構成され、
引き込み状態では、前記プランジャは近位端へ摺動して、前記第1係止爪を駆動して前記第1制限傾斜面から滑降させる。
【0013】
選択肢として、上記安全注射器において、前記シリンジの取付室は針基室及び前記針基室に連通する移行室を備え、前記針基室と前記移行室との間に第1段差構造を形成するように、前記移行室の内径は前記針基室の内径よりも大きく、
前記針基は前記針基室内に設けられ、前記第2係止爪が前記移行室内に伸び込むように前記脚部は前記第1段差構造の内孔に挿設されている。
【0014】
選択肢として、上記安全注射器において、前記プランジャ外にゴムピストンが套設され、前記プランジャが前記ゴムピストンを介して前記移行室内に摺動可能に密封して設けられる。
【0015】
選択肢として、上記安全注射器において、前記ゴムピストンは、近位端が前記プランジャに固定され、遠位端が遠位端への前記プランジャの摺動時に作用する押圧力を受けて、前記第1段差構造の近位端の端面に密着して押圧され、前記ゴムピストンの外壁面に少なくとも1つの環状の密封突起が設けられ、前記密封突起は前記プランジャとともに摺動可能に前記移行室の内壁面に密封して当接される。
【0016】
選択肢として、上記安全注射器において、前記第1段差構造は遠位端から近位端へ台形に分布している第1段差及び第2段差を備え、
注射状態では、前記制限係止リングの遠位端の端面は第1段差の段差面に当接され、前記ゴムピストンの遠位端の端面は第2段差の段差面に当接される。
【0017】
選択肢として、上記安全注射器において、前記取付室は前記移行室の近位端に連通する制限室をさらに備え、前記移行室と前記制限室との間に第2段差構造を形成するように、前記制限室の内径は前記移行室の内径よりも大きく、
前記安全注射器は前記プランジャの外壁面に固定される弾性制限リングをさらに備え、前記制限室の内壁面に制限突起が設けられ、前記弾性制限リングの自由状態での外径は少なくとも前記移行室の近位端の内径よりも大きく、且つ前記制限突起の内径よりも大きく、
引き込み状態では、前記弾性制限リングは近位端が前記第2段差構造の近位端によって前記制限室内に制限され、遠位端が前記制限突起に当接される。
【0018】
選択肢として、上記安全注射器において、前記弾性制限リング(6)の外周壁に切欠きが設けられる。
【0019】
選択肢として、上記安全注射器において、前記プランジャ外に套設され前記制限室内に位置する係止スリーブをさらに備え、
前記係止スリーブの外壁面に環状ボスが設けられ、前記環状ボスの外周壁は前記制限室の内壁面に密着し、
引き込み状態では、前記弾性制限リングはプランジャの摺動によって駆動され、近位端が前記環状ボスに当接されて、前記係止スリーブが前記制限突起へ摺動して前記制限突起に当接されるように推進する。
【0020】
選択肢として、上記安全注射器において、前記第2段差構造は遠位端から近位端へ段階的に分布している第3段差及び第4段差を備え、
注射状態では、前記係止スリーブの遠位端は第3段差の段差面に当接され、前記環状ボスは第4段差の段差面に当接され、引き込み状態では、弾性制限リングの遠位端は第3段差の段差面に当接可能である。
【0021】
選択肢として、上記安全注射器において、前記移行室は直筒部及び前記直筒部の近位端に固定される第1括れ部を備え、前記第1括れ部の内径はその遠位端から近位端へ徐々に小さくなり、
前記弾性制限リングの自由状態での外径は前記第1括れ部の内径よりも大きく、且つ前記直筒部の内径以下である。
【0022】
選択肢として、上記安全注射器において、前記プランジャの外壁面に環状溝が設けられ、前記環状溝の溝底に折断部が形成される。
【発明の効果】
【0023】
本願の技術案は、以下の利点を有する。
【0024】
1.本願に係る安全注射器によれば、シリンジ、針基、針管及びプランジャを備える。針基の外壁における第1係止爪がシリンジの内壁における第1凹溝に係接されることで、針基をシリンジの内壁に取り付けることを実現し、針基の近位端及びプランジャの遠位端のうちの一方には少なくとも2つの第2係止爪が設けられ、他方には制限部材が設けられ、第2係止爪と制限部材が斜面を介して当接可能である。
【0025】
注射を行うためにプランジャが遠位端へ摺動すると、第2係止爪を斜面に沿って摺動させ、斜面は第2係止爪に付勢力を加え、シリンジの径方向及び軸方向にそれぞれ第1成分及び第2成分を有し、第1成分の作用によって、第2係止爪はシリンジの径方向に収縮し又は径方向に展開し、第2成分の作用によって、第2係止爪は摺動して制限部材を越え、その後、第2係止爪への斜面の付勢力を解除し、第2係止爪は径方向に復帰して制限部材に係止され、針基とプランジャとのロックを実現し、この過程では、プランジャは摺動して第1係止爪に付勢力を間接的に加えて、第1係止爪を第1凹溝内から滑り出させ、又は、注射完了後、プランジャの引き込み動作を行い、第2係止爪が制限部材にロックされるため、プランジャが近位端へ摺動すると、針基に近位端を向く引張り力を加えて、第1係止爪を第1凹溝内から滑り出させ、針基とシリンジの分離を実現し、その後、針基がプランジャとともに全体として近位端へ摺動し、それによりプランジャの引き込みストロークを短縮させ、引き込みに必要な引張り力が小さいとともに、ロックリングを設ける必要がなく、安全注射器の全体構造が簡単になり、安全注射器の生産も容易になる。
【0026】
2.本願に係る安全注射器によれば、第2係止爪は径方向に外へ突出し、前記針基又はプランジャに設けられ、前記制限部材は制限係止リングであり、注射状態では、前記第2係止爪は前記斜面の作用を受けてシリンジの径方向に収縮して前記制限係止リングの内孔に滑り込んで、径方向に内から外へ前記制限係止リングに係止され、それにより針基とプランジャとのロックを実現する。
【0027】
3.本願に係る安全注射器において、前記制限係止リングの側壁に少なくとも1つの第1逃がし孔が設けられ、注射状態では、前記第2係止爪は前記第1逃がし孔内に1対1で対応して伸び込んで、前記制限係止リングの側壁に係止され、それにより第2係止爪と制限係止リングとのロックの堅牢性を確保する。
【0028】
4.本願に係る安全注射器によれば、第2係止爪は針基の近位端に設けられ、制限係止リングはプランジャの遠位端に設けられ、針基は環状本体と少なくとも2つの脚部とを備え、第1係止爪と第2係止爪は前記脚部の外壁面に1対1で対応して突出して固定され、第1係止爪は前記第2係止爪と前記環状本体との間に位置し、注射状態では、第2係止爪は前記斜面に沿って制限係止リングの内孔へ摺動すると、脚部を駆動してシリンジの径方向に内へ揺動させ、それにより第1係止爪を脚部とともに径方向に内へ移動させて、前記第1係止爪を前記第1凹溝から離脱させ、それにより該安全注射器は引き込み過程で非常に小さい引張り力だけで、針基と針管を全体としてプランジャとともにシリンジの近位端へ引き込むことができる。
【0029】
5.本願に係る安全注射器によれば、取付室は前記移行室の近位端に連通する制限室をさらに備え、移行室と制限室との間に第2段差構造を形成するように、制限室の内孔の直径は移行室の内孔の直径よりも大きく、安全注射器は前記プランジャの外壁面に固定される弾性制限リングをさらに備え、前記制限室の内壁面に制限突起が設けられ、前記弾性制限リングの自由状態での外径は少なくとも前記移行室の近位端の内径よりも大きく、且つ前記制限突起の内径よりも大きく、
引き込み状態では、プランジャは弾性制限リングを駆動して同期移動させ、弾性制限リングは移行室の近位端で径方向に圧縮され、その後、制限室内に入って径方向に復帰し、弾性制限リングは近位端が前記第2段差構造の遠位端によって制限室内に制限され、遠位端が前記制限突起に当接され、それによりプランジャがシリンジに対して摺動不能であり、プランジャとシリンジの位置をロックし、安全注射器の再使用を徹底的に防止する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本願の具体的な実施形態又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかなように、以下説明される図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な努力をせずに、これらの図面に基づいてほかの図面を得ることができる。
【0031】
【
図1】本願の実施例1に係る安全注射器の斜視構造模式図である。
【
図4】
図1中のプランジャの一部及びゴムピストン、制限リングの分解模式図である。
【
図6b】
図6a中のシリンジの近位端の縦断面の斜視模式図である。
【
図6c】
図6a中のシリンジの近位端の縦断面の模式図である。
【
図6d】
図6a中のシリンジの遠位端の縦断面の模式図である。
【
図7a】
図1中の安全注射器の未注射時におけるプランジャの遠位端と針基の状態模式図である。
【
図7b】
図1中の安全注射器の未注射時におけるプランジャの近位端と係止スリーブの状態模式図である。
【
図8】
図1中の安全注射器の注射後におけるプランジャの遠位端と針基の状態模式図である。
【
図9】
図1中の安全注射器の注射完了及びプランジャ引き込み後におけるプランジャの近位端とシリンジの近位端の状態模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本願の技術案を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力をせずに得られるほかの実施例はすべて本願の保護範囲に属する。
【0033】
なお、本願の説明では、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続、中間媒体を介する間接接続であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解できる。
【0034】
また、以下説明される本願の様々な実施形態に係る技術的特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0035】
実施例1
本実施例は安全注射器を提供し、
図1及び
図2に示すように、シリンジ1、針基3、針管4及びプランジャ2を備える。
【0036】
シリンジ1は取付室を有し、
図6dに示すように、取付室の内壁面に第1凹溝111が設けられ、針基3の遠位端に針管4が取り付けられ、
図3に示すように、針基3の外壁面に少なくとも2つの第1係止爪34が設けられ、第1係止爪34が第1凹溝111内に係接され、プランジャ2はシリンジ1内に摺動可能に密封して設けられ、針基3の近位端及びプランジャ2の遠位端のうちの一方には径方向に突出している少なくとも2つの第2係止爪33が設けられ、他方には制限部材が設けられ、第2係止爪33と制限部材が斜面を介して当接可能である。
【0037】
本実施形態における近位端及び遠位端は、注射器を操作する者を基準とし、プランジャの操作端に近い側は近位端であり、逆には、プランジャの針管に近い側は遠位端である。
【0038】
注射を行うためにプランジャ2が遠位端へ摺動すると、第2係止爪33を斜面に沿って摺動させ、斜面は第2係止爪33に付勢力を加え、シリンジ1の径方向及び軸方向にそれぞれ第1成分及び第2成分を有し、第1成分の作用によって、第2係止爪33はシリンジ1の径方向に収縮し又は径方向に展開し、第2成分の作用によって、第2係止爪33はシリンジの軸方向に摺動して制限部材を越え、その後、第2係止爪33への斜面の付勢力を解除し、第2係止爪33はその変形能力で径方向に復帰して制限部材に係止され、針基3とプランジャ2とのロックを実現し、この過程では、プランジャは摺動して第1係止爪に付勢力を間接的に加えて、第1係止爪を第1凹溝内から滑り出させ(第1係止爪と第1凹溝が離脱する第1種の方式)、又は、注射完了後、プランジャ2の引き込み動作を行い、第2係止爪33が制限部材にロックされるため、プランジャ2が近位端へ摺動すると、針基3に近位端を向く引張り力を加えて、第1係止爪34を第1凹溝111内から滑り出させ(第1係止爪と第1凹溝が離脱する第2種の方式)、針基3がシリンジ1と分離し、その後、針基3がプランジャ2とともに全体として近位端へ摺動し、それによりプランジャ2の引き込みストロークを短縮させ、引き込みに必要な引張り力が小さいとともに、ロックリングを設ける必要がなく、安全注射器の全体構造が簡単になる。
【0039】
図3に示すように、第2係止爪33は径方向に外へ突出し、針基3に設けられ、
図4に示すように、制限部材は制限係止リング21であり、プランジャ2に固定され、第2係止爪33の近位端の端面は第1斜面331となり、制限係止リング21の遠位端に第2斜面211が設けられ、第1斜面と第2斜面211は平行に当接され、第1斜面と第2斜面211の傾斜角度は一致し、
図4及び
図3中の第1斜面331と第2斜面211はいずれもシリンジ1の径方向において外から内へ下向きに傾斜している。
【0040】
注射過程では、プランジャ2は制限係止リング21を駆動して遠位端へ摺動させ、制限係止リング21の第2斜面211は第2係止爪33の第1斜面に沿って摺動し、第2係止爪33は第2斜面211の作用を受けてシリンジの径方向に収縮して制限係止リング21の内孔に滑り入り、第2係止爪33の第1斜面331とプランジャ2の第2斜面211が分離した後、第2係止爪33は制限係止リング21の第2斜面211の付勢力を受けなくなり、径方向に復帰して、第2係止爪33を制限係止リング21の近位端の端面に係止させ、それにより針基3とプランジャ2とのロック嵌合を実現する。
【0041】
変形として、上記斜面について、制限係止リング21のみに第2斜面211が設けられ、又は第2係止爪33のみに第1斜面331が設けられるようにしてもよく、プランジャ2の摺動中、第2係止爪33は斜面の付勢力を受けて径方向に収縮変形することもでき、さらに第2係止爪33を制限係止リング21に係止させる。
【0042】
以下の実施形態では、いずれも制限係止リング21がプランジャ2に固定され、第2係止爪33が針基3に固定されることを例として安全注射器の構造を具体的に説明する。
【0043】
制限係止リング21の構造について、
図4に示すように、好ましくは、制限係止リング21の側壁に少なくとも1つの第1逃がし孔212が設けられ、例えば、上記第2係止爪33は2つであり、対応して、第1逃がし孔212は2つであり、注射状態では、第2係止爪33は第1逃がし孔212内に1対1で対応して伸び込んで、制限係止リング21の側壁に係止され、それにより第2係止爪33とプランジャ2における制限係止リング21とのロックの堅牢性を確保する。
【0044】
変形として、第2係止爪33が複数であり、例えば、第2係止爪33が3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上である場合、複数の第2係止爪33は同一円周上に分布し、対応して上記第1逃がし孔212は複数であり、第2係止爪33は第1逃がし孔212内に1対1で対応して伸び込んで、制限係止リングの側壁に係止される。
【0045】
針基3の構造について、好ましくは、
図3に示すように、針基3は環状本体31及び少なくとも2つの脚部32を備え、環状本体31の外壁面が取付室内に密封して設けられ、環状本体31の内孔に針管4が取り付けられ、2つの脚部32は同一円周上に均一に分布し、いずれかの脚部32の遠位端が環状本体31の近位端の端面に固定され、第1係止爪34と第2係止爪33は脚部32の外壁面に1対1で対応して突出して固定され、第1係止爪34は第2係止爪33と環状本体31との間に位置し、第1係止爪34と第2係止爪33は脚部32に2段の係止爪を形成する。最も好ましくは、上記針基の環状本体は脚部、第2係止爪及び第1係止爪と一体成形され、いずれも医療用プラスチック製であり、それにより安全注射器の構造が簡単であるとともに、加工製造が容易であり、例えば、射出成形を採用する。勿論、ほかの医療用材料であってもよい。
【0046】
最も好ましくは、針基3における脚部32は複数であり、最も好ましくは、複数の脚部32は同一円周上に均一に分布し、環状本体31の近位端の端面に固定され、対応して、上記第1係止爪34及び第2係止爪33は複数であり、第1係止爪34及び第2係止爪33のそれぞれは脚部32の外壁面に1対1で対応して固定され、複数の脚部32及び第2係止爪33が設けられることで、第2係止爪33が制限係止リング21に係止されてロックする場合、複数のロック位置を形成し、さらに針基3とプランジャ2とのロックの堅牢性を確保する。
【0047】
2つの脚部32が一定の間隔離れているため、第2係止爪33は摺動時に制限係止リング21における第2斜面211の付勢力を受けて、2つの脚部32を駆動してその遠位端の周りに環状本体31に対してシリンジの径方向に内へ揺動させることができ、脚部32は第1係止爪34を駆動して径方向に内へ移動させ、第1係止爪34を第1凹溝111から離脱させて、注射状態では、プランジャは摺動して第1係止爪を駆動して第1凹溝内から滑り出ることを実現し、それによりプランジャ2の引き込み状態では、非常に小さい引張り力だけで、第2係止爪33を第2斜面211に沿って摺動させ、摺動中に第1係止爪34と第1凹溝111との離脱を実現でき、プランジャ2に伴う針基3の引き込みが容易になる。即ち、径方向付勢力によって脚部32を径方向に内へ揺動させて、第1係止爪34を第1凹溝111から分離させる。
【0048】
好ましくは、第1凹溝111の近位端側の溝壁はノッチが溝底へ傾斜するガイド弧状面、即ち、第1制限傾斜面111bとなり、例えば、
図6dでは、ガイド弧状面は上から下へシリンジ1の軸線に近づいて傾斜し、それにより脚部が内へ揺動する時、第1係止爪が第1制限傾斜面に沿って第1凹溝内から滑り出ることはさらに容易になる。
【0049】
変形として、上記針基は脚部が設けられず、第1係止爪と第2係止爪が環状本体31に直接設けられるようにしてもよく、注射過程では、プランジャの第2斜面は第2係止爪に付勢力を加えるが、第1係止爪を駆動して第1凹溝内から離脱させることができず、このとき、第1凹溝の近位端の溝壁は上記第1制限傾斜面111bであり、引き込み過程では、プランジャ2に近位端への引張り力を加えると、針基とプランジャがロックされるため、この引張り力では、針基3における第1係止爪34がガイド弧状面に沿って第1凹溝111内から滑り出て、即ち、軸方向付勢力によって第1係止爪34と第1凹溝111を分離させ、引き込み動作を実現する。
【0050】
第1凹溝111について、
図6dに示すように、第1凹溝111の遠位端の溝壁もノッチが溝底へ傾斜する第3斜面111aとなり、対応して、第1係止爪34の外壁面に第3斜面111aに密着して当接される第4斜面が設けられる。即ち、第1係止爪34の遠位端の外周面は円錐面となり、第1係止爪34の円錐面は第1凹溝111の第3斜面111aに密着して当接されることで、第1係止爪34と第1凹溝111との接続箇所の密封性を向上させる。
【0051】
最も好ましくは、上記第1凹溝111の内壁の形状は第1係止爪34の外壁の形状にマッチングすることで、第1係止爪34が第1凹溝111内に係合されると、両者が完全に密着し、接続箇所の密封性を向上させる。
【0052】
シリンジ1の取付室について、
図6aに示すように、取付室は遠位端から近位端へ順に設けられ且つ連通する針基室11及び移行室12を備え、針基室11と移行室12との間に第1段差構造9を形成するように、移行室12の内径は針基室11の内径よりも大きい。針基3は針基室11内に取り付けられ、上記第1凹溝111は針基室11の内壁面に設けられる。
【0053】
好ましくは、針基室11の内壁面に環状段差が設けられ、
図3に示すように、対応して、上記環状本体31の外周壁に径方向に外へ突出する外縁が設けられ、外縁に第2環状凹溝311が設けられ、外縁は環状段差の段差面に当接され、シールリング312は第2環状凹溝311内に係接され、それにより針基3と針基室11との密封接続を実現するとともに、環状段差は針基3を針基室11内に制限する。針管4は近位端が環状本体31の内孔に挿接され、遠位端がシリンジ1の遠位端外に延出する。
【0054】
図1及び
図2に示すように、針基室11が位置するシリンジ1の外壁面に針管4を保護するための保護キャップ8がさらに套設される。保護キャップ8とシリンジ1との固定方式は複数種あり、螺合又は係合が挙げられ、又は従来のほかの嵌合方式も使用できる。
【0055】
プランジャ2について、
図7aに示すように、プランジャ2外にゴムピストン5が套設され、プランジャ2がゴムピストン5を介して移行室12内に摺動可能に密封して設けられ、脚部が第1段差構造9の内孔内に挿設されることで、第2係止爪33が移行室12内に伸び込む。
【0056】
図7aに示すように、好ましくは、ゴムピストン5は近位端がプランジャ2に固定され、遠位端が遠位端へのプランジャ2の摺動時に作用する押圧力を受けて第1段差構造9の近位端の端面に密着して押圧され、ゴムピストン5の外壁面に少なくとも1つの環状の密封突起51が設けられ、密封突起51はプランジャ2とともに摺動可能に移行室12の内壁面に密封して当接される。
【0057】
好ましくは、
図4に示すように、プランジャ2の外壁面に第3環状凹溝22が設けられ、ゴムピストン5の内壁面に径方向に内へ突出する環状の嵌合突起52が設けられ、
図7aに示すように、嵌合突起52は第3環状凹溝22内に嵌設され、ゴムピストン5の外壁面に2つの密封突起51が設けられ、1つの密封突起51はゴムピストン5の遠位端の外壁面に位置し、ゴムピストン5の遠位端は制限係止リング21の外壁面に套設され、且つ制限係止リング21の遠位端の端面外に延出していない。
【0058】
図6dに示すように、第1段差構造9は遠位端から近位端へ台形に分布している第1段差91及び第2段差92を備え、
図8に示すように、注射状態では、制限係止リング21の遠位端の端面は第1段差91の段差面に当接され、シリンジ1の軸方向にゴムピストン5は押圧変形され、ゴムピストン5の遠位端の端面は第2段差92の段差面に当接され、密封突起51は移行室12の内壁面に密封されることで、注射状態では、プランジャ2と移行室12の内壁面との密封接続を実現する。
【0059】
さらに好ましくは、
図8に示すように、制限係止リング21の外径と第1段差91の内孔の直径に等しく、制限係止リング21の外壁面は第1段差91の内孔壁に密着し、制限係止リング21の軸方向高さは第1段差91の内孔の軸方向高さと同じであることで、さらに両者の密着嵌合を確実にする。
【0060】
図6aに示すように、取付室は移行室12の近位端に連通する制限室13をさらに備え、移行室12と制限室13との間に第2段差構造10を形成するように、制限室13の内孔の直径は移行室12の内孔の直径よりも大きい。
【0061】
図4に示すように、安全注射器はプランジャ2の外壁面に固定される弾性制限リング6をさらに備え、例えば、プランジャ2の外周壁に第1円錐台及び第2円錐台が設けられ、2つの円錐台の間に環状係止溝24が形成され、弾性制限リング6は環状係止溝24内に套設され、弾性制限リングの両端はそれぞれ第1円錐台及び第2円錐台に当接される。
図6b及び
図6cに示すように、制限室13の内壁面に環状の制限突起131が設けられる。
【0062】
弾性制限リング6について、
図4に示すように、弾性制限リング6の外周壁に切欠き61が設けられることで、弾性制限リング6は径方向変形空間を有し、弾性制限リング6の自由状態での外径は少なくとも移行室12の近位端の内径よりも大きく、且つ制限突起131の内径よりも大きい。
【0063】
注射過程では、弾性制限リング6はプランジャ2とともに遠位端へ摺動し、弾性制限リング6は移行室12の近位端の内壁面による押圧を受けると、弾性制限リング6の切欠きの2つの端部は周方向に互いに接近し、弾性制限リング6は径方向に収縮し、従来の止め爪に比べて、変形空間を増加させ、弾性制限リング6の外壁面が移行室12の内壁面に当接されることで、弾性制限リング6と移行室12の内壁面との摩擦力を低減させ、それにより引き込み過程では、プランジャ2は弾性制限リング6を駆動して近位端へ摺動させる時、所要の引張り力が小さく、弾性制限リング6が制限室13内に滑り込むと、径方向押圧力を受けないため、弾性制限リング6の切欠き61の2つの端部は周方向に互いに分離し、弾性制限リング6は初期状態に復帰し、それにより弾性制限リング6は遠位端が移行室12の近位端の端面(即ち、第2段差構造10の近位端の端面)によって制限室13内に制限され、近位端が制限突起131に当接され、プランジャ2が再び遠位端へ摺動する時、弾性制限リング6の端面と移行室12の近位端の端面は面当接を形成し、弾性制限リング6を損傷し難く、プランジャ2が遠位端の方向へ再度摺動し難くなり、シリンジ1に対するプランジャ2の再注射又は再引き込みが不能であることを確保し、安全注射器の安全性を高める。
【0064】
最も好ましくは、例えば、
図6bに示すように、移行室12は直筒部122及び直筒部122の近位端に固定される第1括れ部121を備え、第1括れ部121の内径はその遠位端から近位端へ徐々に小さくなり、弾性制限リング6の自由状態での外径は第1括れ部の内径よりも大きく、且つ直筒部122の内径以下である。即ち、第1括れ部121の内壁面は第2制限傾斜面を形成する。
【0065】
プランジャ2が引き込む時、弾性制限リング6はプランジャ2とともにまず移行室の直筒部122で摺動し、径方向に収縮せず、弾性制限リング6は第1括れ部121の内孔に滑り込むと、第1括れ部の内孔壁による押圧力を受けて径方向に内へ収縮し、プランジャ2が弾性制限リング6を駆動して制限室13内に入らせると、弾性制限リング6は径方向に復帰し、遠位端が第2段差構造10の近位端によって制限室内に制限され、近位端が制限突起131に当接され、第2段差構造10の遠位端の内径と第1括れ部の近位端の内径が等しいため、制限突起131と第2段差構造10との嵌合によって、プランジャ2をシリンジ1に制限し、プランジャ2が近位端及び遠位端へ摺動不能になり、安全注射器の再使用を回避する。全引き込み過程では、弾性制限リング6は第1括れ部のみで押圧されて径方向に収縮することで、弾性制限リング6の外周壁と移行室12との摩擦力をさらに低減させ、引き込みに必要な引張り力を低減させる。
【0066】
さらに好ましくは、
図2、
図5及び
図7bに示すように、安全注射器はプランジャ2外に套設され且つ制限室13内に位置する係止スリーブ7をさらに備え、係止スリーブ7の外壁面に環状ボス71が設けられ、環状ボス71の外周壁が制限室13の内壁面に密着し、弾性制限リング6の自由状態での外径は係止スリーブ7の内径よりも大きく且つ環状ボス71の外径よりも小さい。
【0067】
プランジャ2の引き込み過程では、弾性制限リング6はプランジャ2とともに摺動して制限室13に徐々に入った後、弾性制限リング6は復帰した後、係止スリーブ7に套設され、弾性制限リングの近位端が環状ボス71に当接され、プランジャ2とともに引き込み摺動し続け、環状ボス71が制限突起131に当接されるまで、弾性制限リング6は環状ボス71を推進して係止スリーブ7全体を駆動して制限突起131へ摺動させ、対応して、弾性制限リング6の遠位端の端面が第2段差構造10の近位端によって制限室内に制限され又は第2段差構造の近位端の端面に直接当接され、
図9に示すように、プランジャ2に対する摺動制限を実現する。
【0068】
この実施形態では、係止スリーブ7が設けられることで、一方では、係止スリーブ7は弾性制限リング6、制限突起131と嵌合してプランジャ2の摺動を制限する役割を果たし、他方では、係止スリーブ7における環状ボス71の外壁面は制限室13の内壁面に密着し、両者は摺動可能な密封接続を形成する。
【0069】
さらに好ましくは、
図6b及び
図6cに示すように、上記第2段差構造10は遠位端から近位端へ段階的に分布している第3段差101及び第4段差102を備え、注射状態では、上記係止スリーブ7の遠位端は第3段差101の段差面に当接され、環状ボス71は第4段差102の段差面に当接され、それにより注射状態では、係止スリーブ7及び環状ボス71と第2段差構造10が密着に当接される密封接続を形成することを確保し、引き込み状態では、弾性制限リング6の遠位端は第3段差101の段差面に当接可能である。
【0070】
好ましくは、
図6cでは、制限突起131はシリンジ1の径方向に外から内へ傾斜する第3制限傾斜面となる。
【0071】
係止スリーブ7の構造について、
図5及び
図7bに示すように、係止スリーブ7の内孔の直径は近位端から遠位端へ徐々に小さくなることで、第2括れを形成し、第2括れの遠位端の内径はプランジャ2の外径に等しく又はプランジャ2の外径よりもやや大きいことで、プランジャ2が係止スリーブ7の内孔で摺動しやすい。係止スリーブ7の近位端の外壁面は近位端から遠位端へ外径が徐々に小さくなる第1円錐面72となり、環状ボス71の外周壁も近位端から遠位端へ外径が徐々に小さくなる第2円錐面73となり、対応して、
図6cに示すように、上記第3段差101の軸方向の壁面は第1円錐面72に対応する第3円錐面101aとなり、第4段差102の軸方向の壁面は第2円錐面73に対応する第4円錐面102bとなり、注射状態では、係止スリーブ7の近位端の第1円錐面72及び環状ボス71の第2円錐面73をそれぞれ第3段差101の第3円錐面及び第4段差102の第4円錐面に密着して設ける。
【0072】
さらに好ましくは、プランジャ2の外壁面に環状のV型凹溝が設けられ、V型凹溝の溝底に折断部23が形成され、
図4に示すように、プランジャ2の近位端の端部にハンドル部が設けられ、折断部23は上記弾性制限リング6とハンドル部との間に位置し、プランジャ2が引き込み摺動して弾性制限リング6を制限室13内に位置させると、弾性制限リング6は係止スリーブ7と嵌合してプランジャ2を制限室13内にロックし、このとき、プランジャ2の近位端に付勢力を加えてプランジャを折断させるだけで、安全注射器を完全に破壊することができる。上記折断部23によって、プランジャ2は力を受けると折断されやすくなる。
【0073】
また、なお、上記注射状態とは、注射開始位置及び注射終了位置を含めて注射開始位置から注射終了位置までの全注射過程であり、上記引き込み状態とは、引き込み開始位置及び引き込み終了位置を含めて、注射完了後、引き込み開始位置から引き込み終了位置までの全引き込み過程である。
【0074】
この実施形態における安全注射器の使用過程は以下の通りである。
【0075】
安全注射器は薬液吸引を完了し、注射する必要があるとき、プランジャ2をシリンジ1の先端部へ推進し(即ち、遠位端へ摺動させ)、制限係止リング21の第2斜面211が第2係止爪33の第1斜面に当接され、
図7aに示すように、このとき、さらにプランジャ2を推進し、ゴムピストン5の遠位端の端面が第2段差92の段差面に当接され、プランジャ2が推進され続けるに伴い、ゴムピストン5が押圧されて変形し、プランジャ2がゴムピストン5に対して第1段差91の内孔に押し込まれ、第2係止爪33の第1斜面及び弾性材料の特徴のため、制限係止リング21の第2斜面211が第2係止爪33の第1斜面に沿ってシリンジ1の先端部へ摺動し続けて、第2係止爪33が第2斜面211を超えて第1逃がし孔212内に伸び込んで制限係止リング21の側壁に係止されるまで、第2係止爪33及び脚部32を径方向に内へ変形させ、非常に小さい力を加えるだけで第2係止爪33と制限係止リング21とのロックを実現し、
図8に示すように、対応して、この過程では、係止スリーブは終始
図7bに示す状態にあり、それとともに、第2係止爪33及び脚部32が力を受けて中心へ収縮するため、第1係止爪34を駆動して第1凹溝111から滑り出て、即ち、第1制限傾斜面から滑降させ、針基3が針基室11から離脱する。このとき、注射器の注射が完了し、制限係止リング21の遠位端の端面が第1段差91の段差面に当接され、Oリングが存在するため、注射完了後、注射器の内部における薬液の残存量は最も低くなる。
【0076】
注射完了後、
図7bに示すように、プランジャ2を引き戻し(即ち、プランジャ2を近位端へ摺動させ)、プランジャ2の制限係止リング21と第2係止爪33がロックされるため、プランジャ2は針基3及び針管4をシリンジ1の移行室12内に引き戻すことができる。プランジャ2がシリンジ1の底部の近くに引き戻されると、第1括れ部(即ち、第2制限傾斜面)が存在し、弾性制限リング6の自由状態での外径が第1括れ部の内径よりも大きいため、弾性制限リング6は第2制限傾斜面により加えられる中心への圧力を受けて押圧されて変形し、それにより、第2制限傾斜面を越え、このとき、弾性制限リング6の近位端は係止スリーブ7の環状ボス71の遠位端に当接され、プランジャ2が引き込み移動し続けるに伴い、弾性制限リング6は係止スリーブ7を推進して制限室13のキャビティに沿って下へ摺動させる。
【0077】
プランジャ2が下へ底に到達すると、弾性制限リング6は係止スリーブ7を推進してシリンジ1の底部に到達させ、
図9に示すように、このとき、係止スリーブ7における環状ボス71の下方は制限突起131(即ち、第3制限傾斜面)に当接して固定され、且つ弾性制限リング6の上端は第2段差構造10の第3段差101の段差面に当接されるか又は当接されず、第3段差101の段差面も弾性制限リングの遠位端を制限室内に阻止し、対応して、針管はシリンジの移行室内に位置し、ここまで、プランジャ2全体及びその上の針基3がシリンジ1内の底部にロックされ、移動不能になり、最後に、プランジャ2を折って注射器の自己破壊を完了する。
【0078】
この実施形態における安全注射器によれば、安全注射器は完全に自己破壊され、安全性が高く、構造が簡単であり、コストが低く、製造が簡単であり、生産効率を向上させる。該安全注射器は、注射完了後、注射器の針基3、針管4が注射器のシリンジ1内に完全に固定されることで、操作ミス又は薄いシリンジ1による安全リスクを回避することもできる。プランジャ2の引き込みストロークが小さく、それに起因する患者の痛みが非常に小さく、構造が簡易であり、1ml、3ml等の小用量注射器、特にワクチン注射器に適用でき、針基3と第2係止爪33、第1係止爪34との一体構造の特性によって、生産製造の難度及びコストを大幅に低減させ、生産効率を向上させ、注射器の自己破壊操作が簡易になり、安全性が高く、安全注射器による損傷や事故のリスクを大幅に低減させる。
【0079】
実施例2
本実施例は安全注射器を提供し、実施例1に係る安全注射器との相違点について、
第2係止爪33と制限係止リング21の位置は交換され、第2係止爪33はプランジャ2の遠位端に設けられ、制限係止リング21は針基3の近位端に設けられる。同様に、プランジャ2が遠位端へ摺動する注射過程では、第2係止爪33の第1斜面が制限係止リング21における第2斜面211に沿って摺動して、第2係止爪33は径方向に収縮変形して制限係止リング21の内孔に滑り入り、その後、第1斜面と第2斜面211が分離した後、第2係止爪33は径方向に復帰し、第2係止爪33は制限係止リング21の遠位端に係止される。
【0080】
実施例1及び実施例2における安全注射器の変形実施形態として、上記実施例1及び実施例2では、第2係止爪33は第2斜面211又は第1斜面の付勢力を受けて径方向に収縮して制限係止リング21の内孔に滑り入り、その後、第2係止爪33は径方向に復帰し、制限係止リングの内孔内で内から外へ制限係止リング21に係止される。
【0081】
一方、本実施形態では、第2係止爪33は制限係止リング21の内孔から制限係止リング21に係止されるのではなく、制限係止リング21の外側端から制限係止リング21に係止される。具体的には、第1斜面及び第2斜面の傾斜方向は実施例1における傾斜方向とは逆であり、
図4及び
図3では、第1斜面331及び第2斜面211はシリンジ1の径方向において、いずれも外から内へ上向きに傾斜する。第2係止爪33が第2斜面211に沿って摺動する又は第1斜面が制限係止リング21で摺動すると、第2係止爪33は斜面の付勢力を受けて径方向に外へ展開し、2つの第2係止爪33間の距離が大きくなり、第2係止爪33は制限係止リング21の外側端から制限係止リング21を越えた後、径方向に復帰し、径方向に外から内へ制限係止リング21に係止され、対応して、第1凹溝に上記第1制限傾斜面111bが設けられ、引き込み過程では、プランジャは摺動して針基に引張り力を加えて、第1係止爪を駆動して第1制限傾斜面に沿って第1凹溝外に滑り出させる。
【0082】
さらに、制限係止リング21の変形実施形態として、制限係止リング21はほかの制限部材であり得る。例えば、制限部材はディスクであり、プランジャ2の遠位端はディスクの近位端に固定され、又は、ディスクは針基3の遠位端に固定され、プランジャ2が遠位端へ摺動して注射過程を実現し、第2係止爪33が斜面の当接力を受けて径方向に展開し、ディスクの外側端を越えてディスクを抱き締めるだけで、第2係止爪33と制限部材とのロックを実現することができる。
【0083】
明らかなように、上記実施例は単に明確に説明するための例であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明を基にほかの様々な変化や変更を行うこともできる。ここではすべての実施形態を一々列挙する必要も可能性もない。ここから派生される明らかな変化や変更も本願の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0084】
1-シリンジ;11-針基室;111-第1凹溝;111a-第3斜面;12-移行室;13-制限室;131-制限突起;
2-プランジャ;21-制限係止リング;211-第2斜面;212-第1逃がし孔;22-第3環状凹溝;23-折断部;24-環状係止溝;
3-針基;31-環状本体;311-第2環状凹溝;312-シールリング;32-脚部;33-第2係止爪;331-第1斜面;34-第1係止爪;
4-針管;
5-ゴムピストン;51-密封突起;52-嵌合突起;
6-弾性制限リング;
7-係止スリーブ;71-環状ボス;72-第1円錐面;73-第2円錐面;
8-保護キャップ;
9-第1段差構造;91-第1段差;101a-第3円錐面;92-第2段差;102b-第4円錐面;
10-第2段差構造;101-第3段差;102-第4段差。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
選択肢として、上記安全注射器において、前記取付室は前記移行室の近位端に連通する制限室をさらに備え、前記移行室と前記制限室との間に第2段差構造を形成するように、前記制限室の内径は前記移行室の内径よりも大きく、
前記安全注射器は前記プランジャの外壁面に固定される弾性制限リングをさらに備え、前記制限室の内壁面に制限突起が設けられ、前記弾性制限リングの自由状態での外径は少なくとも前記移行室の近位端の内径よりも大きく、且つ前記制限突起の内径よりも大きく、
引き込み状態では、前記弾性制限リングは遠位端が前記第2段差構造の近位端によって前記制限室内に制限され、近位端が前記制限突起に当接される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
5.本願に係る安全注射器によれば、取付室は前記移行室の近位端に連通する制限室をさらに備え、移行室と制限室との間に第2段差構造を形成するように、制限室の内孔の直径は移行室の内孔の直径よりも大きく、安全注射器は前記プランジャの外壁面に固定される弾性制限リングをさらに備え、前記制限室の内壁面に制限突起が設けられ、前記弾性制限リングの自由状態での外径は少なくとも前記移行室の近位端の内径よりも大きく、且つ前記制限突起の内径よりも大きく、
引き込み状態では、プランジャは弾性制限リングを駆動して同期移動させ、弾性制限リングは移行室の近位端で径方向に圧縮され、その後、制限室内に入って径方向に復帰し、弾性制限リングは遠位端が前記第2段差構造の近位端によって制限室内に制限され、近位端が前記制限突起に当接され、それによりプランジャがシリンジに対して摺動不能であり、プランジャとシリンジの位置をロックし、安全注射器の再使用を徹底的に防止する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記取付室は前記移行室(12)の近位端に連通する制限室(13)をさらに備え、前記移行室(12)と前記制限室(13)との間に第2段差構造(10)を形成するように、前記制限室(13)の内径は前記移行室(12)の内径よりも大きく、
前記安全注射器は前記プランジャ(2)の外壁面に固定される弾性制限リング(6)をさらに備え、前記制限室(13)の内壁面に制限突起(131)が設けられ、前記弾性制限リング(6)の自由状態での外径は少なくとも前記移行室(12)の近位端の内径よりも大きく、前記制限突起(131)の内径よりも大きく、
引き込み状態では、前記弾性制限リング(6)は
遠位端が前記第2段差構造の近位端によって前記制限室(13)内に制限され、
近位端が前記制限突起(131)に当接されることを特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載の安全注射器。
【国際調査報告】