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特表2023-517170粉体を出発材料とする積層造形システムのためのドクターブレードユニット
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  • 特表-粉体を出発材料とする積層造形システムのためのドクターブレードユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】粉体を出発材料とする積層造形システムのためのドクターブレードユニット
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/214 20170101AFI20230417BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230417BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230417BHJP
   B22F 12/67 20210101ALI20230417BHJP
【FI】
B29C64/214
B33Y30/00
B22F10/28
B22F12/67
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546037
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2021054932
(87)【国際公開番号】W WO2021175737
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】102020105819.5
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507332907
【氏名又は名称】アー エル デー ヴァキューム テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ALD Vacuum Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Otto-von-Guericke-Platz 1, 63457 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ニーブリング,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】オスマンリック,ファド
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL74
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
本発明は、粉体を出発材料とする積層造形システムのためのドクターブレードユニットに関する。本発明によるドクターブレードユニットによって、ドクターブレードの直線性の向上と、コンストラクションレベルに対する平行性の向上が達成される。ドクターブレード1は、調整可能な締結部材によってクロスメンバー3に吊り下げられ、クロスメンバー3は、一方側では固定ベアリング4によって、他方側ではフローティングベアリング5によって、ガイドブラケット6に固定されている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を出発材料とする積層造形システムのための、ドクターブレード(1)と前記積層造形システムに水平方向に移動可能に取り付けられるサスペンションシステム(2)とを含んで構成されるドクターブレードユニットにおいて、
前記サスペンションシステム(2)は、一方側がロケーティングベアリング(4)に、他方側がフローティングベアリング(5)に取り付けられているクロスメンバー(3)を備え、
前記クロスメンバー(3)は、前記ロケーティングベアリング(4)および前記フローティングベアリング(5)を介して、それぞれガイドブラケット(6)に接続され、
前記ドクターブレード(1)は、その長さに沿って複数の締結手段(7)を介して前記クロスメンバー(3)の下に吊り下げ方式で締結され、前記締結手段(7)は、前記積層造形システムのコンストラクションレベルに関して前記ドクターブレード(1)を平行に配置するために前記ドクターブレード(1)と前記クロスメンバー(3)との間の間隔調整を可能にする
ことを特徴とする、ドクターブレードユニット。
【請求項2】
前記ドクターブレード(1)は、シングルブレード、ダブルブレードまたはマルチブレードを含むことを特徴とする、請求項1に記載のドクターブレードユニット。
【請求項3】
前記ガイドブラケット(6)は、前記積層造形システムにおけるトルク剛性を有する案内に適していることを特徴とする、請求項1または2に記載のドクターブレードユニット。
【請求項4】
前記クロスメンバー(3)は中空体として構成されていることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項5】
前記クロスメンバー(3)は、矩形または楕円形の断面を有することを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項6】
前記ロケーティングベアリング(4)は、少なくとも2つの側面においてその周縁で前記クロスメンバー(3)を囲み、前記クロスメンバー(3)の前記ロケーティングベアリング(4)に対する三つの空間方向すべてにおける移動を阻止することを特徴とする、請求項1ないし5の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項7】
センタリングピンが前記ロケーティングベアリング(4)の内周に取り付けられ、前記センタリングピンが前記クロスメンバー(3)の対応する穴と能動的なロックで結合することを特徴とする、請求項1ないし6の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項8】
前記フローティングベアリング(5)は、その長手方向軸に沿って前記フローティングベアリング(5)に対する前記クロスメンバー(3)の移動が可能となる一方で、それに対して直交する二つの空間方向への移動が阻止されるように、その外周で前記クロスメンバー(3)をスライディングエレメントで囲むことを特徴とする、請求項1ないし7の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項9】
前記ドクターブレード(1)は、0.1~5m、好ましくは0.3~3mの長さを有することを特徴とする、請求項1ないし8の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項10】
前記ドクターブレード(1)と前記コンストラクションレベルとの最大間隔と最小間隔の差として定義される平行度偏差ΔPは、1~50μm、好ましくは10~25μmであることを特徴とする、請求項1ないし9の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項11】
前記サスペンションシステム(2)は、前記ドクターブレードの長さ1mあたり3から30個、好ましくは3から10個の締結手段(7)を有することを特徴とする、請求項1ないし10の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項12】
前記積層造形システムの運転中、前記ドクターブレード(1)の前記クロスメンバー(3)からの間隔の変更は、前記締結手段(7)に作用する電気機械式および/または油圧式アクチュエータによって可能であることを特徴とする、請求項1ないし11の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。
【請求項13】
前記締結手段(7)はねじ込み式ボルトであることを特徴とする、請求項1ないし12の何れか1項に記載のドクターブレードユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を出発材料とする積層造形システムのためのドクターブレードユニットに関する。ドクターブレードの改良された直線性及びコンストラクションレベルに関する平行性は、本発明によるドクターブレードユニットの方法で達成される。
【背景技術】
【0002】
ワークピースの積層造形のための装置および方法(Additive Manufacturing(AM)の用語の下でも知られている)は、先行技術によって知られている。ジェネレーティブ製造方法または3D印刷も語られている。ここで、原料は、粉末状、線状、液状の何れであってもよい。粉末法としては、例えば、選択的レーザ溶融(Selective Laser Melting:SLM)、選択的レーザ焼結(Selective Laser Sintering:SLS)または電子ビーム溶融(Electron Beam Melting:EBM)などが挙げられる。ここで、原料は、プラスチックまたは金属からなる。
【0003】
粉末状の原料を使用する方法の場合、原料は下降可能な作業面上に層の形で塗布され、そこでセクションで溶融または焼結される。その後、作業面を層の厚さ分だけ下げる。次に、別の層がその層にさらに塗布され、最初の層と同様の手順が実行される。ここで、溶融または焼結されるセクションは、三次元のワークピースが層ごとに構築されるように選択される。
【0004】
成分の品質のために、個々の層が均質な厚さを有することが不可欠である。特に、層は平面全体で同じ厚さでなければならず、また、最初は下降可能な作業面上にあり、その後、各前処理層上にあるコンストラクションレベルと平行でなければならない。これを達成するためには、粉体の正確な各塗布が必要であり、そのためには先ず第一に、高精度のドクターブレードとドクターブレードガイドが必要である。ここで、先行技術のドクターブレードの場合、二つの問題が発生し、これらの問題は、ドクターブレードが大きくなり、コンストラクション空間の温度が高くなるほど、より深刻になる。これらの一つは、ドクターブレードのたわみであり、ドクターブレードの直線性からのズレで生じ、原則として移動経路の中央で粉末層が薄くなること、二つ目の問題は、熱膨張である。
【0005】
積層造形方法は、当初はデザインモデルのみを提供するラピッドプロトタイピング方法であり、その規模も小さいことが多かったが、技術が進歩したことにより、より大きな機能部品が造られるようになった。特に、当初は高分子材料だけだった粉末材料に加え、金属、ガラス、セラミックで作成された材料も利用できるようになった。それに伴い、コンストラクションスペースも大きくなり、ドクターブレードのサイズも大きくなるため、前述のような問題が生じている。
【0006】
さらに、金属やセラミックの加工には、プラスチックよりもかなり高い溶融温度や焼結温度が必要とされる。そこで、より強力なレーザのほか、粉体により大きなエネルギーを加えることができる照射ユニットとして、これらの方法のために電子ビーム銃が使用されている。この際発生する温度は、丁度固まったばかりの直近の層に新たに塗布される粉体を分配して新しい層を形成するために、ドクターブレードを加熱することにもなる。そのプロセスで発生するドクターブレードの熱膨張は、締結点間のドクターブレードに応力と変形を生じさせる。
【0007】
ポリマー粉末の場合、予熱された粉末ベッドには通常約180℃までの温度しか発生しないため、熱の問題は本質的にそれほど大きく発生しないが、チタン合金およびチタン合金のような金属の場合には、1200℃超までの温度が粉末ベッドには必要とされる。それゆえ、最大の問題は、本発明の主な適用分野である金属粉末を用いた電子ビーム法の場合に生じる。そこでは、例えば、ドクターブレードの中心で約400℃、ドクターブレードで粉末ベッドの上にないそのエッジ領域で約50℃の温度が典型的に発生する。その結果、ブレードのサスペンションシステムやブレード自体に、熱膨張によってかなりの応力が異なる深さで発生する。このため、直線性から外れることになる。
【0008】
EP2010370B1は、例えば、簡単な交換を可能にし、その過程でコンストラクションレベルに対する平行度を維持することを意図した粉体塗布装置について述べている。ここでは、フレーム状の受け具に挿入可能な交換し得るコーティングモジュールが利用されている。二枚のブレードは、コーティングモジュール内のウェブを介してエッジにネジ止めされている。ブレードのコンストラクションレベルに対する設定はフレーム状の受け具を介して行われ、受け具にはウェブを介してコーティングモジュールが引っ掛けられるようになっている。そのため、比較的大きな寸法の場合、外側の側面にのみ取り付けられたブレードがたわむという問題がある。熱歪みの発生の場合、二重サスペンションは、特に、まず、枠状の受け具におけるコーティングモジュールのブレード、次に、装置全体における枠状の受け具の、ブレードのコンストラクションレベルに対する直線性及び平行性に殊更悪い影響を与える。
【発明の概要】
【0009】
これらの問題から、本発明の目的は、先行技術からの装置の欠点が克服される方法によって、ドクターブレードユニットを提供することである。特に、本発明の目的は、大きな寸法および高い動作温度の場合であっても、特に均質であり、コンストラクションレベルに対して平行に配置される粉末層を塗布することができる装置を提供することである。
【0010】
この目的は、請求項1に記載のドクターブレードユニットの方法によって達成される。好ましい設計上のバリエーションは、従属請求項の主題である。
【0011】
粉体を出発材料とする積層造形システムのための本発明によるドクターブレードユニットは、ドクターブレードと、積層造形システムにおいて水平方向に移動可能に取り付けられるサスペンションシステムと、を含んで構成される。
【0012】
本出願においてドクターブレードについて言及する場合、この用語は、実際のブレードとそれらを用いて形成される複合ユニットの両方を含み、例えば、したがって、ダブルブレードの場合には、二つのブレードとそれらを接続する手段とを含む。
【0013】
サスペンションシステムは、一方側がロケーティングベアリングに、他方側がフローティングベアリングに取り付けられているクロスメンバーを備え、クロスメンバーは、ロケーティングベアリングおよびフローティングベアリングを介して、それぞれガイドブラケットに接続される。
【0014】
ドクターブレードは、その長さに沿って複数の締結手段を介してクロスメンバーの下に吊り下げ方式で締結され、締結手段は、積層造形システムのコンストラクションレベルに関してドクターブレードを平行に配置するためにドクターブレードとクロスメンバーとの間の間隔調整を可能にする。この目的のために、ドクターブレードの長さに応じて、それらの間の間隔を十分に短く保つ多数の締結手段が設けられ、たわみを防止し、吊り下げられたドクターブレードの直線性を正確に調整することが可能になる。そして、調整可能な締結手段全体を通じて、コンストラクションレベルに対する平行性が確立され得る。
【0015】
重要な観点は、塗布層の平面性である。ここで、使用される金属粉末の粉末粒径によって、達成可能な最大位置に制限が設けられる。本発明によるドクターブレードシステムによって、粉末層の平坦性は、平均粉末粒径(直径)d50の半分以下の偏差に相当するものが目指される。EBM法での通常の金属粉末は、約50μmの平均粒径(直径)d50である。特殊なケースでは、粒径の小さな粉末も使用される。従って、通常のシステム運用で目標とされる精度は、最大25μm、好ましくは最大10μmの偏差である。
【0016】
ドクターブレードは、シングルブレード、ダブルブレードまたはマルチブレードから構成され得る。ドクターブレードは、中央で対称的にセンタリングされるように配置された固体ブロックの下に配置され、その固体ブロックを通して締結手段がクロスメンバーに接続される。固体ブロックへの接続は、水平ボルトと個々のブレードの間に挿入されるスペーサーエレメントによって、垂直な締結手段の領域に配置される切り欠き内で行う。ブレードはフレキシブルな薄い金属シートからなり、凹凸に柔軟に対応できるよう、櫛状の歯型が加工されている。プレワイパーは、固体ブロックの側面でブレードと平行にネジ止めされる。下端はブレードの下端から通常1mm、一般的には約0.5mmの間隔をあけている。プレワイパーは、ブレードにかかる粉体の圧力を最小にし、粉体を最初に分配して滑らかにする目的を満たす。ブロック全体は平らな、曲がったまたは角張った形状であり得る屋根のような構造で覆われる。
【0017】
ガイドブラケットは、好ましくは、積層造形システムにおけるトルク剛性を有する案内に適している。トルク剛性を有する案内とは、ガイドブラケットから積層造形システムへのトルクの伝達が可能であるように、ガイドブラケットが積層造形システムに接続されることを意味する。それゆえ、コンストラクションレベルの上の所定の方向への並進移動のみが可能であり、他の空間方向や回転は不可能である。
【0018】
積層造形システムにおけるサスペンションシステムの水平方向に可動な取り付けは、例えば、レールまたはガイドロッドを介して行われ得る。それらは、各側面に単数または複数、特に二重に存在し得る。それらは、水平に向けて配置される必要がなく、支持体として機能する必要はなく、むしろ、好ましくは、垂直に配向され得る。後者は、とりわけ、積層造形システムの構築空間に対するガイドブラケットのトルク剛性を有する接続を構成するために、ガイドブラケットのレールおよびレール受けをアリ溝状の接続および二重レールの形態とする実施形態の場合に有利である。
【0019】
ドクターブレードユニットのクロスメンバーは、中空体として構成し得る。これは、軽量化に寄与すると同時に、高い剛性を確保する。ここで、中空体は、端部側が開口し得、すなわち筒状であってもよいし、閉じた状態であってもよい。クロスメンバーは、好ましくは、矩形または楕円形の断面を有する。これにより、取り付けの際のトルクに対する抵抗が大きくなる。
【0020】
ロケーティングベアリングは、好ましくは、少なくとも二つの側面でクロスメンバーをその外周で囲み、三つの空間方向すべてにおいてロケーティングベアリングに対するクロスメンバーの移動を阻止する。
【0021】
センタリングピンがロケーティングベアリングの内周に取り付けられることができ、センタリングピンがクロスメンバーの対応する穴と能動的なロックで結合する。このようにして、ガイドブラケット上のクロスメンバーの確実な位置決めが達成される。さらに、センタリングピンは、クロスメンバーの締結を助け、特にコンストラクションレベルに平行な面において、コンストラクションレベルの上のクロスメンバーの移動方向に対して直交する方向へのクロスメンバーの移動を阻止する。
【0022】
フローティングベアリングは、その長手方向軸に沿ったフローティングベアリングに対するクロスメンバーの移動が可能となる一方、それに対して直交する二つの空間方向への移動が阻止されるように、その周辺でクロスメンバーをスライディングエレメントで囲み得る。温度上昇の際にドクターブレードとクロスメンバーが膨張すると、これを介して補償移動が行われ、その結果、ドクターブレードに変形をもたらすような応力が発生しない。
【0023】
ドクターブレードは、好ましくは0.1~5m、より好ましくは0.2~4.5mまたは0.25~4mまたは0.3~3mまたは0.3~2.5mの長さを有する。本発明によるドクターブレードユニットの利点は、長いドクターブレードほど、より大きくなる。
【0024】
平行度偏差ΔPは、ドクターブレードとコンストラクションレベルとの間の最大間隔と最小間隔の差として定義され、1~50μmが好ましく、2~45μmまたは3~40μmまたは4~35μmまたは5~30μmまたは10~25μmがより好ましいとされる。定義に従い、平行度偏差ΔPは、ドクターブレードの傾きと直線性からの偏差の両方を検出する。それは、ドクターブレードの調整の質の尺度である。したがって、本発明によるドクターブレードユニットは、層厚の優れた均一性を実現し、その結果、成分特性の向上を達成することができる。したがって、例えば、より小さい層厚を依然として確実に製造することができ、その結果、表面品質および解像度が向上する。
【0025】
サスペンションシステムは、ドクターブレードの長さ1メートルあたり、好ましくは3から30個、好ましくは3から25個または3から20個または3から15個または3から10個または3から5個の締結手段を有する。非常に長いドクターブレードと高い動作温度の場合でも、ドクターブレードの直線性が確実に設定されることが可能であるため、この数の締結手段が十分であることが証明された。
【0026】
締結手段は、好ましくはねじ込み式ボルトである。ここで、ボルトは、必要な調整移動量を提供することが可能であるように、十分に長いねじ山を有していなければならない。そして、ボルトは、単にナットによって調整することができる。これはドクターブレードの取り付けの際に行われる。必要であれば、個々のボルトを再調整して、直線性と平行性を再確立することができる。
【0027】
ドクターブレードユニットの場合、一つの好ましい設計上のバリエーションでは、積層造形システムの運転中、ドクターブレードのクロスメンバーからの間隔の変更は、締結手段に作用する電気機械式および/または油圧式アクチュエータによって可能である。ドクターブレードユニットのこの自動化されたバリエーションでは、直線性と平行度からの偏差が光学的および/または機械的センサーによって測定され、監視される。この情報は、例えば、作動モータやアクチュエータ付き油圧ラインなどのアクチュエータを作動させるために使用され、直線性と平行性を再確立するために、締結手段の長さが適宜修正される。このアクティブシステムの助けにより、層厚の均一性のさらなる向上が再び達成され、その結果、成分特性がさらに改善される。特に、再調整のために積層造形システムを停止させる必要がないため、中断のない運転が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、ドクターブレードユニットの側断面図である。
図2図2は、ドクターブレードユニットをロケーティングベアリング側から見た斜視図である。
図3図3は、ドクターブレードユニットをフローティングベアリング側から見た斜視図である。
図4図4は、締結手段を通る断面を有するドクターブレードユニットの斜視断面図である。
図5図5は、締結手段及びドクターブレードの下部領域を示す図4の拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図は、本発明の一例として好ましい実施形態を示したに過ぎない。従って、制限的なものとして理解されるものではない。
【0030】
図1は、図2および図3に再び透視的に示される本発明によるドクターブレードユニットの側断面図である。図示されているドクターブレードユニットのその設計上のバリエーションは、ダブルブレードを有するドクターブレード(1)を備えている。サスペンションシステム(2)は、クロスメンバー(3)を備え、図では、左側がロケーティングベアリング(4)に、右側がフローティングベアリング(5)に取り付けられており、これらは順にガイドブラケット(6)にそれぞれ接続されている。この例では、ドクターブレード(1)は、末端のねじ山を持つボルトと関連したナットの形をした七つの締結手段(7)によってクロスメンバー(3)に固定されている。ドクターブレード(1)の長さは2mである。したがって、ドクターブレードサスペンションシステムは、ドクターブレードの長さ1メートルあたり3.5個の締結手段を有している。このようにして達成された平行度偏差ΔPは10μmであった。
【0031】
クロスメンバー(3)は、それ自体の重量とドクターブレード(1)の機械的荷重を支える。そのたわみは、締結手段(7)を介して補正することができ、その結果、その下に吊り下げられたドクターブレード(1)は、コンストラクションレベルに対して直線的かつ平行に配置されることができる。図2及び図3に見られるように、クロスメンバー(3)は、この例では、矩形の断面積と丸みを帯びたエッジを有する管状の中空体として構成されている。ガイドブラケット(6)は、トルク剛性を有する案内のため、それぞれの場合に、実質的に台形断面を有するレールとアリ継ぎの要領で係合させることができる二つのレール受け(8)を備える。これらのレールは、コンストラクションコンテナの側面の作業面に取り付けられる。このようにして、塗布された粉体を均すために、ドクターブレードユニットがコンストラクションレベル上を歪みなく移動することが保証される。
【0032】
図3に見られるように、フローティングベアリング(5)は、ここでは、クロスメンバー(3)を囲む四つのスライディングエレメント(9)によって形成されている。したがって、クロスメンバー(3)の長手方向軸への拡張が可能である。クロスメンバー(3)は、ロケーティングベアリング側で剛性的に保持されるが、フローティングベアリング側の方向に拡張し得、フローティングベアリング(5)を介してスライドすることができ、その結果、クロスメンバー(3)には拘束力が加えられない。
【0033】
図4および図5には、締結手段(7)周辺の領域が拡大された断面図が描かれている。図示の例では、締結手段(7)のボルトは、クロスメンバー(3)の内部でガイドスリーブ内を通り抜ける。曲げられた領域は、ブレード(10)の調整のための最大作動トラベルを指定する。二枚のブレード(10)は、中央で対称的にセンタリングされるように、固体のセントラルブロック(11)の下で固定される。固定は、固体のセントラルブロック(11)の対応する切り欠きに水平ボルトを介して行われ、ブレード(10)は互いに分離されるようにスペーサーエレメントを介して固定される。その両側には、二つのプレワイパー(12)がセントラルブロック(11)の外側の側面に取り付けられる。
【0034】
ドクターブレードユニット(図示せず)のアクティブ制御のために、例えばガイドブラケット(6)にレーザセンサシステムを取り付けることができ、レーザセンサシステムはドクターブレード(1)の直線性と平行度を監視する。このようにして得られた情報は、例えばナットを駆動する電動アクチュエータや圧電素子などを介して再調整に利用され得る。
【符号の説明】
【0035】
1 ドクターブレード
2 サスペンションシステム
3 クロスメンバー
4 ロケーティングベアリング
5 フローティングベアリング
6 ガイドブラケット
7 締結手段
8 レール受け
9 スライディングエレメント
10 ブレード
11 セントラルブロック
12 プレワイパー

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】