(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】粉末剤を送達するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20230417BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61B17/00 400
A61B17/94
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550879
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 US2021021159
(87)【国際公開番号】W WO2021178853
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ピック、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】レーティネン、ローリー
(72)【発明者】
【氏名】エバーズ、ライアン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM18
4C160MM43
4C160NN30
(57)【要約】
薬剤を送達するためのデバイスは、エンクロージャ(104)を画定するハウジング(106)を備える。このハウジング(106)は、薬剤を格納するように構成される。デバイスは、加圧流体の流れを受けるための、エンクロージャ(104)と流体連通する入り口(112)と、エンクロージャ(104)と流体連通する出口(114)と、エンクロージャ(104)内に配置されたフィルタ(120)とをさらに備える。フィルタ(120)の壁の孔は、流体が、孔を通過して、壁の内表面によって画定されたチャネル(122)へと入ることが可能にされるように構成される。作動部材は、作動部材の近位に配置された薬剤の部分が作動部材の遠位に通過することを防止される第1の構成と、作動部材の近位に配置された薬剤の部分が作動部材の遠位に通過することを許容される第2の構成との間で移行するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を送達するためのデバイスであって、
エンクロージャを画定するハウジングであって、薬剤を格納するように構成されたハウジングと、
加圧流体の流れを受けるための、前記エンクロージャと流体連通する入り口と、
前記エンクロージャと流体連通する出口と、
前記エンクロージャ内に配置されたフィルタであって、前記フィルタの壁が複数の孔を含み、前記孔は、前記流体が、前記孔を通過して、前記壁の内表面によって画定されたチャネルへと入ることが可能にされるように構成される、フィルタと、
前記エンクロージャ内に配置された作動部材であって、前記作動部材の近位に配置された前記薬剤の部分が前記作動部材の遠位に通過することを防止される第1の構成と、前記作動部材の近位に配置された前記薬剤の部分が前記作動部材の遠位に通過することを許容される第2の構成との間で移行するように構成される、作動部材と
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記作動部材が、回転可能なシャフトを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記回転可能なシャフトが、前記回転可能なシャフトの長手方向軸に対して実質的に垂直に延在する開口を含み、前記第2の構成では、前記薬剤が前記開口を通過することが可能である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記開口が、前記開口の長手方向軸に対して遠位方向に、前記開口の直径が径方向内側に先細りする第1の部分と、前記開口の前記直径が一定である第2の部分とを含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記開口が、前記開口の前記長手方向軸に対して遠位方向に、前記開口の前記直径が径方向外側に先細りする、前記第2の部分の遠位の第3の部分を含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記チャネルが、前記チャネルの長手方向軸に対して遠位方向に、前記チャネルの直径が径方向内側に先細りする第1の部分を含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の部分が遠位端内で遠位に終端し、前記チャネルが、前記チャネルの前記直径が一定である、前記遠位端に隣接する第2の部分を含み、前記チャネルの前記第2の部分が前記開口の前記第1の部分の近位である、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記チャネルが、前記開口の遠位に第3の部分を含み、前記チャネルの前記第3の部分では、前記チャネルの前記長手方向軸に対して遠位方向に、前記チャネルの前記直径が径方向内側に先細りする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記フィルタが、焼結される、多孔性金属を含む、または格子印刷材料を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記孔が、蛇行経路に沿って延在する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記孔は、前記薬剤が前記孔を通過することが可能にされないように構成される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記薬剤が、50ミクロンから600ミクロンの間の粒子直径を有する粉末であり、前記孔が、2ミクロンから100ミクロンの間の直径を有する、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記流体が、前記第1の構成と前記第2の構成の両方で前記出口を通過することが可能にされる、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記作動部材が、前記ハウジングの長手方向軸に対して実質的に垂直な平面内で移動するように構成されたスライダである、請求項1または9乃至13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記流体が乱流パターンで前記フィルタを出る、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示のさまざまな態様は、一般に、薬剤を送達するためのデバイスおよび方法に関する。より詳細には、実施形態では、本開示は、止血剤などの粉末剤の送達のためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの医学手技では、身体内部の出血を最小にするまたは止めることが必要であることがある。たとえば、内視鏡下での医学手技は、消化管内、たとえば食道、胃、または腸内の、出血組織の止血を必要とすることがある。
【0003】
内視鏡下での手技中、使用者は、内視鏡のシースを患者の体管腔へと挿入する。使用者は、内視鏡のハンドルを利用して、手技中に内視鏡を制御する。ツールは、たとえばハンドル内のポートを介して、内視鏡の遠位端の近くの手技部位において治療を送達するために、内視鏡の作業チャネルに通過される。手技部位は、オペレータから離れている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
離れた部位において止血を達成するために、止血剤は、内視鏡の作業チャネルに挿入されたデバイスによって送達されてよい。薬剤送達は、たとえば、機械システムを通して達成され得る。そのようなシステムは、しかしながら、送達を達成するために多数の工程または作動を必要とすることがあったり、薬剤送達の所望の率もしくは薬剤の所望の投与量を達成しないことがあったり、送達デバイスの薬剤詰まり部分をもたらすことがある、薬剤の一貫性のない投与をもたらすことがあったり、または胃腸管内の深くにある治療部位に薬剤が到達しないことがあったりする。現在の開示は、これらの問題または当技術分野における他の問題のうちの1つまたは複数を解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願明細書において開示される態様の各々は、他の開示される態様のいずれかに関連して説明される特徴のうちの1つまたは複数を含んでよい。
薬剤を送達するためのデバイスは、エンクロージャを画定するハウジングを備えてよい。このハウジングは、薬剤を格納するように構成されてよい。デバイスは、加圧流体の流れを受けるための、エンクロージャと流体連通する入り口と、エンクロージャと流体連通する出口と、エンクロージャ内に配置されたフィルタとをさらに備えてよい。フィルタの壁は、複数の孔を含んでよい。孔は、流体が、孔を通過して、壁の内表面によって画定されたチャネルへと入ることが可能にされるように構成されてよい。デバイスは、エンクロージャ内に配置された作動部材をさらに備えてよい。この作動部材は、作動部材の近位に配置された薬剤の部分が作動部材の遠位に通過することを防止される第1の構成と、作動部材の近位に配置された薬剤の部分が作動部材の遠位に通過することを許容される第2の構成との間で移行するように構成されてよい。
【0006】
本願明細書において開示されるデバイスのいずれも、以下の特徴のいずれかを有してよい。作動部材は、回転可能なシャフトを含んでよい。この回転可能なシャフトは、回転可能なシャフトの長手方向軸に対して実質的に垂直に延在する開口を含んでよい。第2の構成では、薬剤は、開口を通過することが可能であってよい。開口は、開口の長手方向軸に対して遠位方向に、開口の直径が径方向内側に先細りする第1の部分と、開口の直径が一定である第2の部分とを含んでよい。開口は、開口の長手方向軸に対して遠位方向に、開口の直径が径方向外側に先細りする、第2の部分の遠位の第3の部分を含んでよい。チャネルは、チャネルの長手方向軸に対して遠位方向に、チャネルの直径が径方向内側に先細りする第1の部分を含んでよい。第1の部分は、遠位端内で遠位に終端してよい。チャネルは、直径が一定である、遠位端に隣接する第2の部分を含んでよい。チャネルの第2の部分は、開口の第1の部分の近位であってよい。チャネルは、開口の遠位の、第3の部分を含んでよい。チャネルの第3の部分内で、チャネルの直径は、チャネルの長手方向軸に対して遠位方向で、径方向内側に先細りしてよい。フィルタは、焼結されてよい。孔は、蛇行経路に沿って延在してよい。孔は、薬剤が孔を通過することが可能にされないように構成されてよい。薬剤は、50ミクロンから600ミクロンの間の粒子直径を有する粉末であってよい。孔は、2ミクロンから100ミクロンの間の直径を有してよい。流体は、第1の構成と第2の構成の両方で出口を通過することが可能にされてよい。作動部材は、ハウジングの長手方向軸に対して実質的に垂直な平面内で移動するように構成されたスライダであってよい。流体は、乱流パターンでフィルタを出てよい。
【0007】
別の例では、薬剤を送達するためのデバイスは、エンクロージャを画定するハウジングを備えてよい。このハウジングは、薬剤を格納するように構成されてよい。入り口は、加圧流体の流れを受けるために、エンクロージャと流体連通してよい。フィルタは、エンクロージャ内に配置されてよい。フィルタの壁は、複数の孔を含んでよい。孔は、流体の流れが、孔を通過して、壁の内表面によって画定されたチャネルへと入ることが可能にされるように構成されてよい。孔は、薬剤が孔を通過することが可能にされないように構成されてよい。出口は、チャネルと流体連通してよい。作動部材は、エンクロージャ内に配置されてよい。作動部材は、薬剤が出口を通過することを許容されない第1の構成と、薬剤が出口を通過することを許容される第2の構成との間で移行するように構成されてよい。流体は、第1の構成と第2の構成の両方で出口を通過することが可能にされてよい。
【0008】
本願明細書において開示されるデバイスのいずれも、以下の特徴のいずれかを有してよい。流体入り口からの流体が、孔を通過した後で出口を通過することのみが可能にされてよい。作動部材は、回転可能なシャフトの長手方向軸に対して実質的に垂直に延在する開口を有する回転可能なシャフトを含んでよく、第2の構成では、薬剤は、開口を通過することが可能にされる。
【0009】
別の例では、薬剤を送達するためのデバイスは、エンクロージャを画定し、粉末を保持するように構成されたハウジングを備えてよい。粉末は、50ミクロンから600ミクロンの間の粒子寸法を有してよい。入り口は、加圧ガスの流れを受けるための、エンクロージャと流体連通してよい。焼結フィルタは、エンクロージャ内に配置されてよい。フィルタの壁は、複数の蛇行して延在する孔を含んでよい。孔は、ガスが、孔を通過して、壁の表面によって画定されたチャネルに入ることが可能にされるように構成されてよい。孔は、粉末が孔を通過することが可能にされないように構成されてよい。孔は、2ミクロンから100ミクロンの間の直径を有してよい。出口は、チャネルと流体連通してよい。作動部材は、エンクロージャ内に配置されてよい。作動部材は、ガスと粉末の組み合わせが出口を通過することを許容される第1の構成と、ガスのみが出口を通過することを許容される第2の構成との間で移行するように構成されてよい。
【0010】
本願明細書において説明されるデバイスのいずれも、以下の特徴のいずれかを有してよい。作動部材は、回転可能なシャフトの長手方向軸に対して実質的に垂直に延在する開口を有する回転可能なシャフトを含んでよい。第2の構成では、薬剤は、開口を通過することが可能にされてよい。
【0011】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方が例示的で解説的なものにすぎず、特許請求される本発明を制限するものではないことが理解され得る。本願明細書において使用されるとき、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」という用語またはそれらの他の任意の変形は、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素のみを含まず、明示的にリストされない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有である他の要素を含んでよいように、非排他的包括形態を包含することを意図する。「直径」という用語は、要素が円形でない幅を指し得る。「遠位」という用語は、オペレータから離れる方向を指し、「近位」という用語は、オペレータに向かう方向を指す。「例示的な」という用語は、「理想的」ではなく「例」という意味で使用される。「ほぼ」という用語またはこれに似た用語(たとえば、「実質的に」)は、状態値の値±10%を含む。
【0012】
本願明細書に援用され、その一部を構成する添付の図面は、本開示の態様を例証し、本願明細書とともに、本開示の原理を解説する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2A】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図2B】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図2C】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図2D】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図2E】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図3A】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図3B】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図4A】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図4B】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図5】
図1の送達デバイスのための例示的なエンクロージャの一態様を示す図。
【
図6A】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図6B】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図6C】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図6D】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図6E】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図7A】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図7B】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図8A】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図8B】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図8C】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【
図8D】
図2A~
図5のエンクロージャとともに使用するための例示的なフィルタを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は、薬剤(たとえば、粉末剤)を格納するためのエンクロージャおよび医学手技の部位に対して薬剤を送達する計測/作動機構に関する。エンクロージャは、加圧流体が通過し得る焼結フィルタを含んでよい。薬剤は、焼結フィルタのチャネル内で受けられてよい。加圧流体が焼結フィルタを通過するとき、加圧流体は、同時にさまざまな異なるベクトルで薬剤を有するチャンバに入ってよく、薬剤を流体化してよい。焼結フィルタおよび/または計測/作動機構の態様は、薬剤が送達中でないときですら、加圧流体の流れを促進することがあり、これは、デバイスの減圧中の詰まりを防止するまたは最小にする助けとなり得る。
【0015】
図1Aは、送達システム10を図示し、送達システム10は、粉末送達システムであってよい。送達システム10は、本体12を含んでよい。本体12は、薬剤を格納するエンクロージャ14(または他の源)を含んでもよいし、またはそれを受けるように構成されてもよい。エンクロージャ14は、本体12に対して薬剤を提供するために本体12に対して結合されてもよい、または、薬剤の蓋/エンクロージャが、エンクロージャ14に対して薬剤を供給するために、エンクロージャ14上にねじで留められてもよいし、エンクロージャ14に結合されてもよい。薬剤は、たとえば、止血剤などの粉末剤であってよい。薬剤は、あるいは、別のタイプの薬剤もしくは材料または薬剤の別の形態(たとえば、液剤またはゲル剤)であってもよいし、任意の所望の機能を有してもよい。エンクロージャ14は、本体12の構成要素を含む送達システム10の他の構成要素に取り外し可能に取り付けられてよい。本体12は、本願明細書においてさらに詳細に論じられるさまざまな特徴を有してよい。その全体が参照により本願明細書に援用される、2019年10月1日に出願された米国特許出願第16/589,633号は、例示的な送達デバイスおよびシステムの特徴を開示する。本開示の特徴は、上記で参照された出願において説明される特徴のいずれかと組み合わされてよい。本願明細書において説明される特徴は、単独で使用されてもよいし、組み合わせて使用されてもよく、相互に排他的でない。同様の参照番号および/または用語法は、可能なとき、類似の構造を表すために使用される。
【0016】
作動機構30は、加圧流体および/または薬剤の流れを始動するために使用されてよい。流体単独または薬剤と流体の組み合わせが、本体12の出口34から送達されてよい。本願明細書において使用されるとき、「遠位」/「第1の方向」という用語は、出口34に向かい、エンクロージャ14から離れる方向を指してよく、「近位」/「第2の方向」という用語は、反対方向を指してよい。出口34は、カテーテル36または患者の体管腔内の所望の場所に対して薬剤と流体の組み合わせを送達するための他の構成要素と流体連通してよい。
【0017】
図2A~
図2Eは、例となる分注部分100の態様を図示する。分注部分100は、送達デバイス10のエンクロージャ14の代わりに使用されることがある。
図2A~
図2Dは断面図を図示し、
図2Eは斜視図を図示する。
図2Cおよび
図2Dにおけるビューはそれぞれ、
図2Aおよび
図2Bのビューに対して90度回転される。
【0018】
分注部分100は、薬剤102を格納するエンクロージャ104(エンクロージャ14の性質のいずれかを有してよい)を含んでよい。
図2Aおよび
図2Bに示されるように、エンクロージャ104は、ハウジング106および蓋108の内表面によって画定されてよい。ハウジング106および/または蓋108は、蓋108の遠位端(図に図示される下端)がハウジング106の近位端(図に図示される上端)上にネジ留めされることを可能にするネジ110を含んでよい。たとえば、ハウジング106の外表面はネジを含んでよく、蓋108の内表面もネジを含んでよい。
【0019】
ハウジング106は、流体入り口112を有してよい(
図2Cおよび
図2D参照)。ハウジング106の壁は突起111を形成してよく、突起111は流体入り口112を画定し得る。突起111は、チューブ類または流体を送達するために使用される他の構造との嵌合を支援し得るリップまたは他の構造を含んでよい。流体入り口112は、ハウジング106の側面部分において図示されているが、流体入り口112は代替場所にあってもよいことが理解されるであろう。たとえば、流体入り口112は、ハウジング106の遠位表面(図におけるハウジング106の底部)内または蓋108の中にあってよい。ハウジング106は、出口114も有してもよい。カテーテルまたは他のタイプのチューブ類116は、以下でさらに詳細に説明されるように、出口114を画定し得る。出口114は、送達システム10の出口34と流体連通してよい。
【0020】
フィルタ120は、エンクロージャ104の近位部分内に配置されてよい。フィルタ120は、壁121を有してよい。フィルタ120の長手方向軸に沿ったフィルタ120の断面では、壁121は、略環状の形状を有してよい。壁121の内表面は、チャネル122を画定し得る。薬剤102は、少なくとも部分的にチャネル122内で受けられてよい。壁121の表面およびハウジング106の表面は、薬剤102の境界を形成する助けとなることがある。
【0021】
フィルタ120およびチャネル122は、実質的に円錐形または漏斗形であってよい。フィルタ120の近位端(図におけるフィルタ120の上部)において、チャネル122は、その最大直径(チャネル122の長手方向軸に対して垂直である)を有してよい。壁121は、遠位に(図の下部に向かって)移動すると、チャネル122が最小直径まで先細りするような角度をつけられてよい。チャネル122の形状に関するさらなる詳細は、以下で説明される。
【0022】
フィルタ120の近位端は、ハウジング106に対してシーリングされてよい。たとえば、壁121の外表面は、ハウジング106の内表面に対してシーリングされてよい。シーリングは、たとえば、フィルタ120の残り、フィルタ120の残りの上に適合されたシール(たとえば、Oリング・シール)、および/またはフィルタ120をハウジング106に対して固着させる接着剤などの物質と一体的に形成された構造を介して行われてよい。フィルタ120はハウジング106に対してシーリングされるので、薬剤および/または流体は、フィルタ120の近位端において壁121の外表面とハウジング106の内表面との間を通過しないことがある。フィルタ120の遠位端も、ハウジング106に対してシーリングされてよい。たとえば、フィルタ120の遠位端は、ハウジング106の遠位壁(図における下部壁)の内表面に対してシーリングされてよい。
【0023】
壁121は、一定の厚さを有してもよいし、いろいろな厚さを有してもよい。壁121は、蛇行通路が壁121の外表面と壁121の内表面との間に形成されるように、焼結されてよい。蛇行通路は、薬剤102が壁121の内表面と外表面との間の通路を通過しないようなサイズにされてよい。流体入り口112からの流体は、以下でさらに詳細に説明されるように、壁121内の開口を流れることが可能にされてよい。開口は、約40ミクロンから150ミクロンの間(たとえば、100ミクロン)のサイズを有してよい。薬剤102の粒子サイズは、約200ミクロンから600ミクロン(たとえば、320ミクロンから400ミクロン)にわたってよい。フィルタ120は、たとえば、付加製造技法(たとえば、3次元印刷)を介して形成されてよい。たとえば、フィルタ120を形成するために作製されたパターンまたはモデルは、焼結開口を組み込んでよい。そのような開口は、モデルフィルタ120を三角形または他の形状に分割するアルゴリズムによって形成されてよい。
図6Aおよび
図6Bは、そのようなアルゴリズムに従って作製されたフィルタ120’の部分を図示する。
図6Aは、そのようなフィルタ120’のズームインされた部分を図示し、
図6Bは、そのようなフィルタ120’のより広いビューを図示する。3重周期極小曲面(「TPMS」)などの他の方法が、代替的に、ジャイロイド、ダイヤモンド、または他の形状を形成するために使用されてよい。部品は、たとえば、粉末床溶融結合法を使用して(たとえば、電子ビームまたはレーザビームを介して)印刷されてよい。あるいは、フィルタ120のソリッドモデルが作製されてよく、エネルギーが、壁121内の孔(通路)を形成するために印加されてよい。たとえば、レーザが、金属粉末と発泡剤の組み合わせに適用されてよく、これは、孔/通路の発生をもたらす。あるいは、レーザは、金属粉末が溶融されるとき孔を形成するように較正されたエネルギーとともに印加されてよい。
図6C~
図6Eは、そのようなレーザに基づいた方法に従って作製されたそのようなフィルタ120’’の例を図示する。
図6Dは、フィルタ120’’の孔の詳細を図示する、
図6Cの拡大版を図示する。
図6Eは、フィルタ120’’の断面図を図示する。
【0024】
壁121の蛇行通路は、フィルタ120を流れる流体を、同時に、角度、速度、および/または圧力を含む多種多様のベクトルで、チャネル122に入らせ得る。壁121を出る流体は、乱流パターン(たとえば、放射状パターン)を有してよい。以下でも説明されるように、それとともに流体がチャネル122に入るいろいろなベクトルは、チャネル122内の薬剤102を流体化させることがある。流体の乱流(薬剤102の、液体砂効果などの流体化をもたらすことがある)は、出口114を通る薬剤102の流れの助けとなることがあり、薬剤102の詰まりを防止するまたは最小にし得る。流体化は、薬剤102の集塊物を分解し得る。薬剤102は、たとえば、酢酸キトサンなどの半凝集性材料を含んでよい。
【0025】
カテーテル116または別の構成要素(たとえば、チューブ類)は、チャネル122の遠位端内で受けられてよい。たとえば、カテーテル116の外表面は、壁121の内表面に対して適合してよい。カテーテル116は、接着剤、摩擦嵌め、隆起/溝、または他の適切な手段を介して、フィルタ120に対して固定されてよい。カテーテル116は、出口114を画定してよく、出口114は、出口34と流体連通してよい。
【0026】
回転可能なシャフト130は、シャフト130の長手方向軸がエンクロージャ104の長手方向軸および/またはカテーテル116の近位部分に対して横断関係にある(たとえば、これに対して実質的に垂直である)ように、エンクロージャ104を通って延在してよい。
図2Cおよび
図2Dでは、シャフト130は、ページの内外へ長手方向に延在して図示されている。
【0027】
開口132は、シャフト130内に形成されてよい。開口132は、シャフト130の長手方向軸に対して実質的に垂直に(または少なくともずれて)、シャフト130の全体を通って延在してよい。開口132は、いくつかの構成(
図2Cに図示される構成など)では、エンクロージャ104の長手方向軸と実質的に平行であってよい。以下でさらに詳細に説明されるように、シャフト130の第1の構成(
図2A、
図2C)では、開口132とチャネル122の長手方向軸は整合されてよく、したがって、流体および/または薬剤102は、チャネル122の、シャフト130の近位である部分から、開口132を通って、チャネル122の、シャフト130の遠位である部分へと通過する。シャフト130が第1の構成に対して回転されるシャフト130の第2の構成(
図2B、
図2D)では、流体および/または薬剤102が、チャネル122の、シャフト130の近位である部分との間で、チャネル122の、シャフト130の遠位である部分へと開口132を介して通過しないように、開口132の長手方向軸は、チャネル122の長手方向軸に対して不整合にされることがある。シャフト130が回転されると、チャネル122と開口132の長手方向軸は、整合したり、不整合したりされ得る。たとえば、チャネル122と開口132の長手方向軸は、シャフト130の各180度回転と整合されてよい。
【0028】
フィルタ120は、シャフト130を収容するように構成されてよい。たとえば、フィルタ120の円筒状コンジット152、154は、チャネル122の長手方向軸から径方向外側に延在してよい。円筒状コンジット152、154は、シャフト130の長手方向軸と平行である長手方向軸を有してよい。シャフト130は、円筒状コンジット152、154内で受けられてよい。いくつかの例では、円筒状コンジット152、154は、円筒状コンジットを通って円筒状コンジットの長手方向軸に対して横断方向に延在するチャネル122を形成する開口を有する円筒状コンジットをともに形成することがある。円筒状コンジット152、154、およびフィルタ120の他の表面は、シャフト130のまわりにスリーブを形成するように構成されてよい。シャフト130の表面は、シャフト130が第2の構成をとるとき、薬剤102がシャフト130を越えて遠位に移動しないことがあるように、壁121の内表面とのシールを形成してよく、開口132はチャネル122と流体連通しない。シールは、たとえば、フィルタ120および/またはシャフト130を形成する材料により、形成されてよい。シャフト130は、チャネル122を、シャフト130の近位にある近位部分142と、シャフト130の遠位にある遠位部分144に分割する効果を有してよい。
【0029】
シャフト130は、ハウジング106の側面内の開口156を通って延在してよい。開口156の長手方向軸は、シャフト130の長手方向軸と実質的に平行であってよく、開口156の長手方向軸は、互いと、および/またはシャフト130と、同一直線上にあってよい。突起158は、開口156のまわりに延在し、これを画定してよい。突起158の形状は、シャフト130の形状と相補的であってよい。たとえば、突起158は、環状または円筒状の形状を有してよい。シール159(たとえば、Oリング・シール)は、シャフト130と突起158の内表面との間でシールを作製するために、シャフト130のまわりに配置されてよい。シール159は、図に図示されるように、シャフト130の円周方向溝の中に配置されてもよいし、あるいは、シャフト130の同一高にある表面の周囲に配置されてよい。あるいは、シール159は、シャフト130と一体的に形成されてよい。シール159は、シャフト130と突起158の内表面との間の流体および/または薬剤の流れを防止し得る。
【0030】
シャフト130は、
図2Aおよび
図2Cに図示される第1の構成と、
図2Bおよび
図2Dに示される第2の構成とを有してよい。第1の構成(
図2Aおよび
図2C)では、薬剤102は、出口114を通って流れ得る。第2の構成(
図2Bおよび
図2D)では、薬剤102は、出口114を通って流れない(すなわち、薬剤102は、出口114を通って流れることが防止および/または妨害される)。
【0031】
送達システム10の使用の前に、シャフト130は、
図2Bおよび
図2Dの第2の構成をとってよい。第2の構成では、開口132の長手方向軸は、開口132がチャネル122と流体連通しないように、チャネル122と不整合にされるまたはこれからずれてもよい。開口132はチャネル122と流体連通しないので、薬剤102は、シャフト130を越えて出口114を通って遠位に流れることはできない。薬剤102は、チャネル122の近位部分142およびエンクロージャ104の他の部分の中で保たれてよい。
【0032】
作動機構30または別の作動機構の始動(シャフト130を第1の構成へ変換する)時、流体は、流体入り口112を通って流れることが可能にされてよい(
図2C~
図2E参照)。流体入り口112からの流体は、フィルタ120の遠位部分144の壁121の焼結部分を通過してよい。流体は、チャネル122へと流入し、カテーテル116へと流入し、出口114から流出してよい。入り口112からの流体はまた、壁121の焼結部分を通って、チャネル122の近位部分142へと流入してよい。しかしながら、シャフト130が第2の構成のままであるとき、薬剤102は、開口132へと入って、フィルタ120の遠位部分144内のチャネル122の部分へ流れないことがある。
図2Aおよび
図2Cにおける矢印は、流体が流体入り口112を通って流れる間の、第1の構成における流体の流れを図示する。
【0033】
シャフト130が、第1の構成(
図2Aおよび
図2C)へ回転されるとき、作動機構30を介して、または別個のアクチュエータを介して、薬剤102は、チャネル122を通って遠位部分144へ流れることが可能にされてよい。流体は、上記で説明されたように、引き続きフィルタ120の壁121を通って、近位部分142および遠位部分144へと流入してよい。チャネル122へと(たとえば、近位部分142へと)流入する流体は、薬剤102を流体化し得る。
【0034】
壁121の内表面および開口132を画定する表面は、チャネル122および開口132がチャネル122の近位端とチャネル122の遠位端との間にいろいろな直径を有するような形状にされてよい。薬剤102が遠位に移動すると、薬剤102は、チャネル122の、直径が変化する部分に遭遇し、これは、チャネル122内での薬剤102の詰まりを減少させる。薬剤102は、架橋を起こしやすいことがあり、このことが、チャネル122の直径の変動なしに詰まりをもたらすことがある。
【0035】
上記で説明されたように、チャネル122の第1の、近位部分162において、壁121の内表面は、遠位方向に移動しながら内側に先細りしてよい。第1の部分162の角度は、薬剤102の安息角よりも大きくて(すなわち、これよりも急であって)よい。薬剤102の安息角は、薬剤102がオリフィスを通って流れ、円錐体に似た堆積物内の表面上で集まるように、薬剤102の円錐体に似た堆積物によって形成される角度であってよい。安息角は、薬剤102がその上を流れる表面と円錐体に似た堆積物の表面との間の角度であってよい。安息角は、薬剤102の粒子間の移動に対する摩擦または抵抗に関係してよい。壁121は、薬剤102の安息角よりも大きい角度を有することがあるので、薬剤102は、重力により、漏斗チャネル122を通って自由に流れることがある。
【0036】
シャフト130のちょうど近位で、チャネル122の第2の部分164において、壁121の内表面は、一定の直径を有してよい。開口132の近位端は、チャネルの、開口132の近位端に隣接する部分よりも狭く(たとえば、わずかに狭く)てよい。あるいは、開口132の近位端は、チャネル122の、開口132に対して隣接および近接した部分と実質的に同じ幅を有してもよいし、これよりも大きい幅を有してもよい。
【0037】
開口132は、第1の部分166と、第2の部分168と、第3の部分170とを有してよい。第1の部分166では、シャフト130の内表面は、開口132のサイズが減少するように、遠位方向に移動しながら径方向内側に先細りしてよい。第2の部分168では、開口132は、一定のまたは実質的に一定の直径を有してよい。第3の部分170では、シャフト130の内表面は、開口132のサイズが増加するように、遠位方向に移動しながら径方向外側に先細りしてよい。開口132の遠位端は、開口132の遠位端に隣接するチャネル122のサイズと同じまたは実質的に同じサイズを有してよい。
【0038】
開口132の遠位端の遠位で、チャネル122の第3の部分172は、遠位に移動しながら内側にチャネル122の第4の部分174へ先細りする壁121の内表面によって画定されてよく、チャネル122の第4の部分174は、一定の直径を有してよい。第4の部分174の直径は、カテーテル116の内径と実質的に同じであってよい。
【0039】
チャネル122を通過する際、薬剤102は、最初に、狭窄部分(第1の部分162)を通り、一定の直径部分(第2の部分164)を通って、より広い部分(開口132の近位端)を通り、狭窄部分(第1の部分166)へ入り、一定の直径部分(第2の部分168)を通り、広がり部分(第3の部分170)を通って、狭窄部分(第3の部分172)を通り、次いで一定の直径部分174を通って、カテーテル116へと進む。通路122および開口132のこれらの交互の広がりセグメントと狭窄セグメントは、いくつかの実施形態では、たとえば、薬剤102の架橋の減少により、薬剤102の減少された詰まりをもたらし得る。チャネル122の、先細りしているおよび/または角度がつけられた部分は、約45度の角度を有してよい。
【0040】
薬剤102の所望の流れに続いて、シャフト130は、薬剤102がもはや出口114を通って流れることが可能でないように、第1の構成から第2の構成へ移行されてよい。流体は引き続き、上記で説明されたように、入り口112から出口114を通って流れてよい。そのような継続される流体流は、薬剤送達デバイス10を浄化する助けとなり得る。
【0041】
流体の流れの間、エンクロージャ104は、加圧されることになることがある。分注部分100の態様は、特にシャフト130が第2の構成をとる間、エンクロージャ104の減圧を促進し得る。薬剤102が、減圧中に出口114から流れることが可能にされた場合、薬剤102は出口114を出てよく、このことが、薬剤送達デバイス10の詰まりにつながることがある。フィルタ120およびシャフト130は、シャフト130が第2の構成をとるとき、薬剤102が退出口114から引き出されるリスクなしに、エンクロージャ104が減圧することを可能にする。シャフト130は、出口114を通る薬剤102の通路を可能にしないので、流体は、薬剤102の流れなしに出口114から流れてよい。
【0042】
分注部分100は、放出弁180(
図2E)も含んでよい。放出弁180は、チャンバ104を減圧するための機構を提供し得る。たとえば、放出弁180は、圧力が(たとえば、手技中に)緊急放出を必要とする環境において特に有用であることがある。放出弁180は、手技の通常経過中にエンクロージャ104を減圧するための機構も提供し得る。放出弁180は、上記で説明された減圧仕組みに加えて、またはその代替として、使用されてよい。リリーフ圧力は、約60重量ポンド毎平方インチ・ゲージ圧(PSIG)(約413kPa)であってよい。
【0043】
分注部分100は、いくつかの実施形態では、数多くの利益を提供し得る。たとえば、フィルタ120は、流体が薬剤102と混ぜられると、流体の乱流を提供することができる。流体の乱流は、フィルタ120のないデバイスおよび/または乱流を可能にしないデバイスと比較して、出口34を通る薬剤102の流れに対して改善を提供し得る。分注部分100はまた、送達デバイス10の遠位部分への薬剤102の流れのないエンクロージャ104の減圧を可能にし得る。チャネル122および開口132の構成は、たとえば、薬剤102の架橋により、詰まりのない(または著しい詰まりのない)薬剤102の送達を促進する。
【0044】
図3Aは、代替分注部分200を図示する。分注部分200は、本願明細書において具体的に言及される場合を除き、分注部分100の性質のいずれかを有してよい。可能な場合には、同様の参照番号が使用される。分注部分200の態様は、分注部分100の態様と組み合わされてよく、相互に排他的でない。
【0045】
エンクロージャ104は、その中に配置されたフィルタ220を含んでよい。フィルタ220は、フィルタ120と同じ技法に従って製造されてよく、同じタイプの材料と、同じタイプの蛇行通路とを含んでよい。フィルタ220の形状は、フィルタ120の形状とは異なってよい。フィルタ220の遠位端(
図3Aにおける上端)は、フィルタ120と比較して、エンクロージャ104内でさらに近位に延在することがある。
【0046】
回転可能なシャフト230は、シャフト230の長手方向軸がエンクロージャ104の長手方向軸および/またはカテーテル116の近位部分に対して横断関係にある(たとえば、これに対して実質的に垂直である)ように、エンクロージャ104を通って延在してよい。回転可能なシャフト230は、回転可能なシャフト130の性質のいずれかを有してよい。シャフト230を通ってシャフト230の長手方向軸に対して実質的に垂直に延在する開口232の形状は、シャフト130の開口132の形状とは異なってよい。
【0047】
フィルタ220の壁221の内表面は、チャネル222を画定し得る。チャネル222の第1の、近位部分262において、壁221の内表面は、遠位方向に向かって内側に先細りしてよい(
図3Aにおける下部)。第1の部分262を画定する表面との角度は、薬剤102の安息角よりも大きくてよい(たとえば、この角度は、安息角よりも急であってよい)。薬剤102は、重力により、部分262を通って自由に流れ得る。
【0048】
シャフト230の近位で、チャネル222の第2の部分264において、壁221の内表面は、チャネル222の長手方向軸と実質的に平行な方向に延在してよい。第2の部分264は、管状の形状を有し、実質的に一定の直径を有してよい。
【0049】
開口232は、管状の形状を有し、実質的に一定の直径を有してよい。開口232は、第2の部分264と実質的に同じ直径を有してよい。あるいは、開口232の近位端は、第2の部分264よりも大きい幅を有してもよいし、これよりも小さい幅を有してもよい。開口232の遠位端は、開口232の遠位端に隣接するチャネル222のサイズよりも小さいサイズを有してよい。
【0050】
シャフト230の遠位に、チャネル222は、上記で説明された、チャネル122と同じ形状を有してよい。上記で言及されたように、分注部分100および200の特徴は、相互に排他的でない。たとえば、フィルタ120は、シャフト230とともに利用されてよく、フィルタ220は、シャフト130とともに利用されてよい。
【0051】
シャフト230が、(
図3Aに図示されるように)開口232を通る薬剤102の流れを可能にする構成をとる場合、薬剤102は、部分262内で遠位に進むとき、チャネル222の直径が一定である部分264に到達するまで、徐々に小さくなるチャネル222を通って進んでよい。薬剤102は、開口232を通る一定の直径の領域を引き続き通過してよい。開口232の遠位で、薬剤102は、部分172の近位端において、通路222の、より大きい直径部分に遭遇してよい。通路222の直径は、粉末102が部分174において通路222の一定の直径セグメントに遭遇するまで、部分172において遠位に先細りしてよい。
【0052】
通路122および開口132と同様に、通路222および開口232は、たとえば、通路222/開口232にわたる薬剤102の架橋により、薬剤102の詰まりを回避するように構成されてよい。通路232の形状とは別に、流体および薬剤102は、上記で
図2A~
図2Eに関して説明されたように流れてよい。
図3Aの構成は、薬剤102が第2の部分264および開口232を通る一貫した直径を通過することを可能にし得る。第2の部分264の焼結された、首に似た構造は、薬剤102をシステムの最も狭いセクションを通って移動させ流体化させておくのを支援し得る。
【0053】
図3Bは、別の分注部分300の一部分を図示する。分注部分300は、本願明細書において具体的に言及される場合を除き、分注部分100または200の性質のいずれかを有してよい。可能な場合には、同様の参照番号が使用される。分注部分100、200、および/または300の態様は、さまざまな組み合わせで組み合わされてよく、相互に排他的でない。
【0054】
分注部分300は、ハウジング306を含んでよく、ハウジング306は、本願明細書において指定されるものを除き、ハウジング106の性質のいずれかを有してよい。ハウジング306は、エンクロージャ304を画定してよく、エンクロージャ304は、エンクロージャ104の性質のいずれかを有してよい。
【0055】
エンクロージャ304は、その中に配置されたフィルタ320を含んでよい。フィルタ320は、フィルタ120、220と同じ技法に従って製造されてよく、同じタイプの材料と、同じタイプの蛇行通路とを含んでよい。フィルタ320の形状は、フィルタ120、220の形状とは異なってよい。フィルタ320は、壁321を含んでよい。壁321の内表面は、チャネル322を画定してよく、チャネル322は、薬剤102を受けてよい。上記でフィルタ120およびハウジング106に関して説明されたように、フィルタ320は、ハウジング306の内表面に対してシーリングされてよい。
【0056】
回転可能なシャフト330は、シャフト330の長手方向軸がエンクロージャ304の長手方向軸および/またはカテーテル116の近位部分に対して横断関係にある(たとえば、これに対して実質的に垂直である)ように、エンクロージャ104を通って延在してよい。回転可能なシャフト330は、回転可能なシャフト130、230の性質のいずれかを有してよい。開口332の形状は、開口132の形状と同じであるように図示されている。第1の部分366は、第1の部分166の性質のいずれかを有してよく、第2の部分368は、第2の部分168の性質のいずれかを有してよく、第3の部分370は、第3の部分170の性質のいずれかを有してよい。あるいは、開口332は、開口232の形状に似た形状を有してもよいし、代替形状を有してもよい。
図3Bは、薬剤102が開口332および出口114を遠位に通過することが可能にされる構成をとる回転可能なシャフト330を図示する。
【0057】
シャフト330は、ハウジング306内で、同一直線上の開口356を通って延在してよい。ハウジング306は、突起158に対応する構造を含まないことがあるが、代わりに、ハウジング106の表面を通って配置され、これと同一高にある開口を含んでよい。シャフト330は、シール159に対応する構造を含まなくてよい。あるいは、ハウジング306は、ハウジング106に似て構成されてよく、突起158を含んでよい、および/またはシャフト330は、シール159を含んでよい。あるいは、他の構造が、エンクロージャ104および/または304に対してシャフト130、230、および/または330をシーリングするために、分注部分100、200、および/または300のいずれかにおいて使用されてよい。
【0058】
チャネル322は、(シャフト330の近位および遠位に)先細り部分362と、(シャフト330の遠位に)直線部分374とを含んでよい。第1の部分362を画定する表面の角度は、薬剤102の安息角よりも大きくて(すなわち、これよりも急であって)よい。薬剤102は、重力により、部分362を通って自由に流れ得る。直線部分374は、たとえば、管状であってよい。シャフト330は、先細り部分362を通って延在してよい。フィルタ320は、円筒状コンジット152、154に対応する欠けた構造として図示されている。あるいは、フィルタ320は、突起152に類似した構造を含んでよい。
【0059】
薬剤102がチャネル322を通って遠位に移動するとき、薬剤102は最初、開口332に到達するまで、先細り部分362を通過してよい。開口332の近位端は、チャネル322の、開口332の近位端に隣接する部分よりも狭くてよい。開口332内で、薬剤102は、一定の直径を有してよい第2の部分368に到達するまで、遠位に内側に先細りする第1の部分366を通過してよい。薬剤102は、次いで、遠位方向外側に先細りする幅を有してよい第3の部分370を通過してよい。
【0060】
チャネル322の、開口332の遠位端に隣接する部分は、開口332の遠位端と実質的に同じ幅を有してよい。薬剤102は、直線部分374に到達するまで、先細り部分362を引き続き通過し得る。直線部分374の幅は、カテーテル116の内径と同じであってよい。薬剤102は、直線部分374からカテーテル116へと入り、出口114を通り得る。
【0061】
通路122、222および開口132、232と同様に、通路322および開口332は、たとえば、通路322/開口332にわたる薬剤102の架橋により、薬剤102の詰まりを回避するように構成されてよい。通路322の形状とは別に、流体および粉末102は、上記で
図2A~
図2Eに関して説明されたように流れてよい。
【0062】
図4Aおよび
図4Bは、代替分注部分400を図示する。分注部分400は、以下で指定される場合を除き、上記で説明された分注部分100、200、300の性質を有してよい。分注部分400の態様は、上記で説明された分注部分100、200、300の態様と組み合わされてよい。
【0063】
分注部分400は、第1のハウジング406を含んでよく、第1のハウジング406は、本願明細書において指定されるものを除き、ハウジング106、306の性質のいずれかを有してよい。蓋408は、蓋108の性質のいずれかを有してよく、ネジ410を介して第1のハウジング406上で保たれてよい。
【0064】
ハウジング406は、第1のエンクロージャ404を画定してよく、第1のエンクロージャ404は、エンクロージャ104、304の性質のいずれかを有してよい。薬剤102は、第1のエンクロージャ404内に格納されてよい。ハウジング406の壁の内表面は、漏斗407を画定し得る。漏斗407の角度は、薬剤102の安息角よりも大きくて(すなわち、これよりも急であって)よい。薬剤102は、重力により、漏斗407を通って自由に流れ得る。
【0065】
ハウジング406は、第2のハウジング450の近位に配置されてよい。第2のハウジング450は、壁452を含んでよい。壁452は、第1のハウジング406の縁453内で部分的に受けられてよい。縁453の内表面および壁452の外表面は各々、縁453を壁452と嵌合するために使用されてよいネジを含んでよい。第2のハウジング450は、第2のエンクロージャ454を画定し得る。第2のハウジング450は、流体入り口112を有してよい。
【0066】
フィルタ420は、エンクロージャ454の遠位部分内で受けられてよい。フィルタ420は、フィルタ120、220、320のいずれかの性質を有してよい。フィルタ420の近位端および遠位端は、上記でフィルタ120に関して説明された機構のいずれかを使用して、エンクロージャ454を画定する第2のハウジング450の内表面に対してシーリングされてよい。フィルタ420は、チャネル422を画定する、実質的に漏斗の形状を有してよい。カテーテル116は、チャネル422内で受けられてよく、出口114を画定してよい。
【0067】
第1のハウジング406は、ハウジング406の遠位端の近くの開口462を画定し得る。開口462は、エンクロージャ104、454の長手方向軸に対して実質的に垂直な平面内で延在してよい。スライダ460(たとえば、プレート)は、開口462の中で受けられてよく、(エンクロージャ404、454の長手方向軸に対して垂直な)開口462の平面内で移動可能であってよい。作動機構30または別の作動機構の始動は、スライダ460を第1の構成(
図4A)と第2の構成(
図4B)との間で移行させてよい。
【0068】
第1の構成(
図4A)では、スライダ460は、第1のエンクロージャ404がエンクロージャ454と流体連通しないように、エンクロージャ404の遠位端を遮るおよび/または覆ってよい。スライダ460および/または第1のエンクロージャ404は、スライダ460が第1の構成をとるときスライダ460を近位または遠位に越える薬剤102および/または流体の通路を防止するシールを含んでよい。第1の構成では、流体の流れが(たとえば、作動機構30を介して)始動されるとき、流体は、入り口112を通り、フィルタ420の壁の焼結部分を通って、チャネル422へと通過してよい。流体は、次いで、カテーテル116へと入って、出口114を通過してよい。
【0069】
第2の構成(
図4B)では、スライダ460は、第1のエンクロージャ404の遠位端を遮らないまたは取り囲まない(または、少なくとも部分的に、これを遮らないもしくは取り囲まない)。したがって、第1のエンクロージャ404は、第2のエンクロージャ454と流体連通してよく、薬剤102は、第2の構成において第1のエンクロージャ404から第2のエンクロージャ454へと流れてよい。薬剤102は、薬剤102が入り口112からの流体と混ぜられ得る場合、チャネル422に入ってよい。流体は、薬剤102を流体化し得る。流体と混ぜられた薬剤102は、カテーテル116を通過して、出口114を通過してよい。
【0070】
動作中、使用者は、作動機構30を始動してよく、作動機構30は、入り口112を通る流体の流れのみを始動してもよいし、入り口112を通る流体の流れを始動し、スライダ460を第1の構成から第2の構成へ移行させてもよい。あるいは、別個の作動機構は、入り口112を通る流体の流れを始動するために、およびスライダ460を第1の構成から第2の構成へ移行させるために使用されてよい。スライダ460が第2の構成へ移行した後、薬剤102は、上記で説明されたように、出口114を通って流れ始めてよい。
【0071】
所望の量の薬剤102の送達に続いて、スライダ460は、第2の構成から第1の構成へ移行され、出口114を通る薬剤102の流れを停止してよい。スライダ460が第1の構成へ移行された後、流体の流れは、継続してもよいし、継続しなくてもよい。上記で分注部分100に関して説明されたように、分注部分400は、チャンバ454の減圧を促進し得る。スライダ460の第2の構成では薬剤102がチャンバ454に入ることが妨げられるので、チャンバ454は、薬剤102が出口114を通って引き出されることなく、減圧され得る(加圧流体が出口114を出得る)。出口114を通る薬剤102を引き出すことなくチャンバ454を減圧できることは、薬剤102の詰まりを防止または最小にし得る。
【0072】
図5は、代替分注部分500の部分を図示する。分注部分500は、上記で説明された分注部分100、200、300、400の特徴を有してよい。分注部分500は、ハウジング506を含んでよく、ハウジング506は、ハウジング106の特徴のいずれかを有してよい。ハウジング506は、蓋108などの蓋(図示せず)を受けてよい。ハウジング506は、エンクロージャ504を画定し得る。流体入り口112および出口514は、ハウジング506と流体連通してよい。
【0073】
フィルタ520は、ハウジング506の遠位部分内で受けられてよい。フィルタ520は、フィルタ120およびその中に形成される蛇行通路の材料性質を含めて、フィルタ120の性質を有してよい。フィルタ520の近位端は、たとえば、上記でフィルタ120に関して説明された機構によって、506の内表面に対してシーリングされてよい。フィルタ520は、円筒状形および/またはカップ形であってよい。フィルタ520は、平坦な遠位壁524(
図5に図示される底部表面)と、円筒状壁526とを有してよい。フィルタ520は、チャネル522を画定し得る。薬剤102は、チャネル522およびエンクロージャ504の他の部分の中で受けられてよい。開口は、遠位壁524内に形成されてよく、遠位壁524は、出口514と流体連通してよい。カテーテル116に対応する構造は
図5に図示されていないが、カテーテル116などのカテーテルは出口514および/または遠位壁524内の開口の中で受けられてよいことが理解されるであろう。
【0074】
動作中、入り口112を通る流体の流れが、始動されることがある。流体は、フィルタ520の壁(たとえば、円筒状壁526)を通過してよい。上記で論じられたように、入り口112がエンクロージャ504の遠位表面上に配置される場合、入り口112からの流体は、フィルタ520の底部にある空洞(図示せず)をパイプで通らされてよい。流体は、上記で(たとえば、フィルタ520に関して)説明されたように、さまざまなベクトルに沿って同時に退出口フィルタ520を有してよい。流体は、薬剤102と混ぜられてよく、薬剤102を流体化し得る。混ぜられた流体と薬剤102は、出口514を通過してよい。
【0075】
上記で論じられたように、フィルタ120、220、320、420、520は、焼結壁を有してよく、それを通って、開口/孔が形成される。あるいは、焼結プロセスの代わりに、フィルタの壁が、たとえば、3次元(3D)印刷プロセスを含む他の任意の適切なプロセスを通じて、多孔性にされてよい。以下の説明は、フィルタ120、220、320、420、520の孔サイズおよび薬剤102の粒子寸法/サイズの例を提供する。フィルタ120、220、320、420、520の孔は、約2ミクロンから約100ミクロンにわたる(たとえば、40ミクロンまたは100ミクロン)サイズを有してよい。孔のサイズは、実質的に均一であってもよいし、変化してもよい。上記で説明されたように、フィルタ120、220、320、420、520の壁を通過する流体の、いろいろな同時ベクトルは、薬剤102を流体化させ得る(たとえば、液体砂効果を有してよい)。薬剤102の流体化は、薬剤102を通気すること、薬剤102の粒子間の摩擦を減少させること、薬剤102の粒子を動かすために、これらの粒子を流体(たとえば、空気または二酸化炭素)の中に懸濁すること、薬剤102の粒子のより迅速な送達、および/またはより少ない流体を使用した薬剤102の送達を含む、さまざまな利点を有してよい。流体化は、薬剤102の集塊物を分解し得る。薬剤102は、たとえば、酢酸キトサンなどの半凝集性材料を含んでよい。
【0076】
一実施形態では、
図7Aに見られるように、フィルタ620は、フィルタ620の近位部分624と遠位部分626との間に配置された中間壁622を含んでよい。フィルタ620の形状は、上記で説明されたフィルタ120、220、320、420の形状に類似してよい。近位部分624は、遠位部分626よりも大きい断面寸法を有してよい。中間壁622は、中間壁622が、近位部分624に隣接する対向する端よりも小さい断面寸法を、遠位部分626に隣接する端において有し得るように、近位部分624に対して遠位方向に向かって内側に先細りしてよい。別の言い方をすれば、壁622は、フィルタ620の先細り表面および/または部分を画定してよく、上記で図示および説明されたフィルタ120、220、320、420に類似した、実質的に漏斗または円錐形の形状を有してよい。
【0077】
壁622の内表面は、チャネルを画定してよく、このチャネルは、薬剤102を受けてよい。壁622の内表面との角度は、薬剤102の安息角よりも大きくてよい(たとえば、この角度は、安息角よりも急であってよい)。したがって、薬剤102は、重力により、壁622に沿って自由に流れ得る。遠位部分626の内表面は、フィルタ620の長手方向軸と実質的に平行である平面に沿って延在してよい。遠位部分626は、管状の形状を有し、実質的に一定の内径と外径とを有してよい。遠位部分626は、遠位部分626の遠位端において開口をさらに含んでよく、この開口は、遠位部分626の内径の直径と実質的に類似した直径を有する。この開口は、フィルタ620のチャネルと流体連通する。
【0078】
フィルタ620は、焼結(焼結プロセスを介して作製)されてよく、複数の孔628が、壁622、近位部分624、および遠位部分626を通って、その中に形成される。複数の孔628は、壁622、近位部分624、および遠位部分626の周囲全体のまわりと、壁622、近位部分624、および遠位部分626のすべての中に、形成されてよい。一実施形態では、複数の孔628のサイズ、形状、および/または分布は、互いに対して実質的に均一であってよい。他の実施形態では、複数の孔628は、壁622、近位部分624、および/もしくは遠位部分626のうちの1つもしくは複数に沿って、ならびに/またはその中に、互いに対していろいろなサイズ、形状、および/または空間分布を有してよい。いくつかの実施形態では、フィルタ620は、焼結される、多孔性金属から形成される、格子印刷材料から形成される、などであってよい。焼結されたおよび/または多孔性フィルタを提供することによって、流体化一貫性が増加され得て、薬剤102によって引き起こされる潜在的な詰まりが減少され得ることが理解されるべきである。
【0079】
他の実施形態では、
図7Bに見られるように、フィルタ720は、近位部分724と遠位部分726との間に配置され、少なくとも壁722の一部分および遠位部分726に沿って、ならびにその中に形成された複数の孔728をもつ、壁722を含んでよい。実施形態では、フィルタ720の、複数の孔728によって画定された多孔性部分は、たとえば、壁722の側面表面に沿ってなど、遠位部分726に隣接する端に沿って、壁722を通って形成されてよい。多孔性部分およびその複数の孔728のサイズ、形状、および/または場所は、フィルタ720からの薬剤102の送達率を決定し得ることが理解されるべきである。
図7Bの実施形態では、孔728の多孔性部分以外の、フィルタ720のすべての部分は、孔がなく、中実であり(solid)、したがって、気体、流体、または薬剤が通過することは可能でない。本願明細書においてさらに詳細に図示および説明されるように、多孔性部分のサイズ、場所、および/または形状は、フィルタからの薬剤の平均送達率などの、フィルタのためのいろいろな流体化性能能力を提供し得る。
【0080】
図8A~
図8Dで見られるように、複数の孔を備える多孔性部分は、フィルタのさまざまな側面および/もしくは部分に沿って、ならびに/またはその中に、位置決めされてよい。さらに、多孔性部分は、フィルタの1つまたは複数の側面および/または他の部分に対して、さまざまな適切なサイズ、形状、高さ、表面積、および/または寸法を有してよい。
図8A~
図8Dに図示されるフィルタは、実質的に類似した参照番号が、同様の構成要素を識別するために使用されるように、フィルタ720に実質的に類似していることが理解されるべきである。以下で図示および説明される例は、さまざまな設計の性能を比較するために、シミュレートされた薬剤送達条件でテストされた。例示的なフィルタの多孔性部分のサイズ、形状、および位置の違い以外に、さまざまな例示的なフィルタの動作および/または性能に影響する環境パラメータは、各フィルタの平均薬剤送達率、最小薬剤送達率、および/または最大薬剤送達率を決定するとき、制御された。たとえば、以下で例示的なフィルタの各々に関して詳細に説明される平均送達率、最大送達率、および最小送達率を決定する際、気体送達率(たとえば、5SLPMにおける)、フィルタの外形、粉末剤の微粒子サイズ、および/または粉末薬剤のタイプのうちの1つまたは複数が、例示的なフィルタの各々にわたって制御された。
【0081】
たとえば、
図8Aは、壁722Aの一部分およびフィルタ720Aの遠位部分728Aに沿っておよび/またはその中に延在する複数の孔728Aによって画定された多孔性部分を有するフィルタ720Aを図示する。たとえば、複数の孔728Aは、壁722Aおよび遠位部分726Aの円周の半分のまわりに延在してよい。別の言い方をすれば、孔728Aは、壁722Aおよび遠位部分726Aの外周の180度のまわりに形成されてよい。例では、複数の孔728Aは、少なくとも壁722Aの一部分および遠位部分726Aに沿っておよび/またはその中に位置決めされてよく、孔728Aは、0.00003081m
2(0.04775in
2(平方インチ))など、約0.00003078m
2(0.04770in
2)から0.00003084m
2(0.04780in
2)にわたる内部表面積を画定し得る。孔728Aは、0.8128cm(0.32in(インチ))などの、約0.762cm(0.30in)から0.889cm(0.35in)にわたる遠位部分726Aの遠位端から画定された高さ(長手方向の長さ)を有してよい。孔728Aを含む壁722Aの部分および遠位部分726Aは、約0.556g/sの最小送達率、約0.692g/sの最大送達率、および約0.066の標準偏差をもつ、約0.655g/sにおいて薬剤102の平均送達率を制御するようなサイズおよび/または形状にされてよい。多孔性部分を除外する、フィルタ720Aの残りの部分および/または側面は、孔のない中実(たとえば、不透過性)表面から形成されてよいことが理解されるべきである。したがって、薬剤102および/または加圧ガスは、中実構成を有する、フィルタ720Aの残りの部分および/または側面を通って流れることが阻止されてよい。
【0082】
図8Bは、フィルタ720Bの中間壁722Bのみの一部分に沿っておよびその中に(フィルタ720の円錐形部分内のみに)延在する複数の孔728Bによって画定された多孔性部分を有する別のフィルタ720Bを図示する。たとえば、孔728Bは、壁722Bの円周の8分の1のまわりに延在してよい。別の言い方をすれば、孔728Bは、壁722Bの外周の45度のまわりに形成されてよい。例では、複数の孔728Bは、少なくとも壁722Bの1つの側面に沿っておよびその中に位置決めされてよく、孔728Bは、0.00001542m
2(0.0239in
2)など、約0.0000151m
2(0.0234in
2)から0.00001577m
2(0.02444in
2)にわたる内部表面積を画定し得る。孔728Bは、0.3556cm(0.140in(インチ))などの、約0.3429cm(0.135in)から0.3683cm(0.145in)にわたる多孔性部分の遠位(底部)端から画定された高さ(長手方向の長さ)を有してよい。孔728Bを含む壁722Bの部分は、0.850g/sの最小送達率、約1.06g/sの最大送達率、および約0.065の標準偏差をもつ、約0.935g/sにおいて薬剤102の平均送達率を制御するようなサイズおよび/または形状にされてよい。多孔性部分を除外する、フィルタ720Bの残りの部分および/または側面は、孔のない中実(たとえば、不透過性)表面から形成されてよいことが理解されるべきである。したがって、薬剤102および/または加圧ガスは、中実構成を有する、フィルタ720Bの残りの部分および/または側面を通って流れることが阻止されてよい。
【0083】
図8Cは、中間壁722Cの一部分およびフィルタ720Cの遠位部分726Cに沿っておよびその中に延在する複数の孔728Cによって画定された多孔性部分を有する別のフィルタ720Cを図示する。たとえば、孔728Cは、壁722Cおよび遠位部分726Cの円周の4分の1のまわりに延在してよい。別の言い方をすれば、孔728Cは、壁722Cおよび遠位部分726Cの外周の90度のまわりに形成されてよい。例では、複数の孔728Cは、少なくとも壁722Cの1つの側面および遠位部分726Cに沿っておよびその中に位置決めされてよく、孔728Cは、0.00001542m
2(0.0239in
2(平方インチ))など、約0.0000151m
2(0.0234in
2)から0.00001577m
2(0.02444in
2)にわたる内部表面積を画定し得る。孔728Cは、0.8128cm(0.32in(インチ))などの、約0.762cm(0.30in)から0.889cm(0.35in)にわたる遠位部分726Cの遠位端から画定された高さ(長手方向の長さ)を有してよい。孔728Cを含む壁722Cの部分および遠位部分726Cは、0.313g/sの最小送達率、約0.433g/sの最大送達率、および約0.049の標準偏差をもつ、約0.374g/sにおいて薬剤102の平均送達率を制御するようなサイズおよび/または形状にされてよい。
【0084】
別の例では、孔728Cは、壁722Cおよび遠位部分726Cの円周の8分の1のまわりに延在してよい。別の言い方をすれば、孔728Cは、壁722Cおよび遠位部分726Cの外周の45度のまわりに形成されてよい。孔728Cは、0.00001542m2(0.0239in2(平方インチ))など、約0.0000151m2(0.0234in2)から0.00001577m2(0.02444in2)にわたる内部表面積を画定し得る。孔728Cは、0.9931cm(0.391in(インチ))などの、約0.9804cm(0.386in)から1.006cm(0.396in)にわたる遠位部分726Cの遠位端から画定された高さ(長手方向の長さ)を有してよい。孔728Cを含む壁722Cの部分および遠位部分726Cは、0.708g/sの最小送達率、約0.764g/sの最大送達率、および約0.023の標準偏差をもつ、約0.733g/sにおいて薬剤102の平均送達率を制御するようなサイズおよび/または形状にされてよい。
【0085】
さらなる例では、孔728Cは、0.000007678m2(0.0119in2(平方インチ))など、約0.000008m2(0.0124in2)から0.00000742m2(0.0115in2)にわたる内部表面積を画定し得る。孔728Cは、0.8128cm(0.320in(インチ))などの、約0.8001cm(0.315in)から0.8255cm(0.325in)にわたる遠位部分726Cの遠位端から画定された高さ(長手方向の長さ)を有してよい。複数の孔728Cを有する壁722Cの部分および遠位部分726Cは、0.385g/sの最小送達率、約0.550g/sの最大送達率、および約0.059の標準偏差をもつ、約0.452g/sにおいて薬剤102の平均送達率を制御するようなサイズおよび/または形状にされてよい。
【0086】
多孔性部分を除外する、フィルタ720Cの残りの部分および/または側面は、孔のない中実(たとえば、不透過性)表面から形成されてよいことが理解されるべきである。したがって、薬剤102および/または加圧ガスは、中実構成を有する、フィルタ720Cの残りの部分および/または側面を通って流れることが阻止されてよい。
【0087】
図8Dは、フィルタ720Dの中間壁722Dのみの一部分に沿っておよびその中に(円錐形部分内のみに)延在する複数の孔728Dによって画定された多孔性部分を有する別のフィルタ720Dを図示する。たとえば、孔728Dは、壁722Dの円周の4分の1のまわりに延在してよい。別の言い方をすれば、孔728Dは、壁722Dの外周の90度のまわりに形成されてよい。例では、複数の孔728Dは、少なくとも壁722Dの1つの側面に沿っておよびその中に位置決めされてよく、孔728Dは、0.00001542m
2(0.0239in
2)など、約0.0000151m
2(0.0234in
2)から0.00001577m
2(0.02444in
2)にわたる内部表面積を画定し得る。孔728Dは、0.2159cm(0.085in(インチ))などの、約0.2032cm(0.080in)から0.2286cm(0.090in)にわたる遠位部分726Dの遠位端から画定された高さ(長手方向の長さ)を有してよい。孔728Dを含む壁722Dの部分は、0.726g/sの最小送達率、約1.05g/sの最大送達率、および約0.131の標準偏差をもつ、約0.895g/sにおいて薬剤102の平均送達率を制御するようなサイズおよび/または形状にされてよい。多孔性部分を除外する、フィルタ720Dの残りの部分および/または側面は、孔のない中実(たとえば、不透過性)表面から形成されてよいことが理解されるべきである。したがって、薬剤102および/または加圧ガスは、中実構成を有する、フィルタ720Dの残りの部分および/または側面を通って流れることが阻止されてよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、フィルタは、
図7B~
図8Dにおいて図示および説明される多孔性部分の任意の組み合わせを含めて、複数の別個の多孔性部分を含んでよい。たとえば、多孔性部分の環状配列は、フィルタの壁の円周のまわりに均等に離隔されてもよいし、不均等に離隔されてもよい。
【0089】
図8A~
図8Dに見られるように、フィルタの多孔性部分のサイズ(たとえば、高さ、表面積、円周など)、形状、および位置は、薬剤102の送達率を決定し得る。フィルタを通る薬剤の送達率は、多孔性部分のサイズ、形状、および/または位置と比例し得るまたはこれと相関され得ることが理解されるべきである。したがって、フィルタは、たとえば、多孔性部分が、より大きいサイズおよび/または形状を有するとき、より高い送達率で薬剤102を送達するように構成されてよい。さらに、フィルタの送達率は、多孔性部分が少なくとも中間壁(円錐形部分)に沿っておよび/またはその中に位置決めされるとき、遠位部分と比較して、増加され得る。他のすべてが等しいならば、中間壁内により多い量の多孔性部分を有することは、薬剤の送達率を増加させる。
【0090】
薬剤102は、鱗形または実質的に球状の(ビーズ)形を含むさまざまな形状を有する粒子を含んでよい。鱗形粒子とビーズ(実質的に球状の)形粒子の両方とも、下記で説明されるように、粒子の密度の範囲で流体化されてよい。以下で説明されるデータは、10標準リットル毎分(SLPM)の流体流から生じ得る。
【0091】
一例では、半凝集性薬剤102は、約1.5グラム毎立方センチメートルの粒子密度を有することがある。半凝集性粒子は、鱗形または実質的に球状であり、サイズは約50ミクロンから約425ミクロンにわたる場合、0.2032cm(0.080インチ)の退出口オリフィスサイズでは、送達率は、約1.80グラム毎秒であることがある。半凝集性粒子は、鱗形または実質的に球状であり、サイズは約355ミクロンから約425ミクロンにわたる場合、約0.127cm(0.050インチ)の退出口オリフィスサイズでは、送達率は、約0.3グラム毎秒から約0.5グラム毎秒であることがある。あるいは、約500ミクロン~600ミクロンのサイズをもつ鱗形粒子は、約0.2032cm(0.080インチ)の退出口オリフィスサイズとともに使用されてよい。
【0092】
別の例では、ガラスビーズタイプの粒子をもつ薬剤102は、約2.7グラム毎立方センチメートルの粒子密度と、実質的に球状の形状とを有することがある。粒子が、約500ミクロンから約600ミクロンの間のサイズを有する場合、および退出口オリフィスが約0.2032cm(0.080インチ)のサイズを有する場合、送達率は、約0.60グラム毎秒であることがある。粒子が、約400ミクロンから約450ミクロンの間のサイズを有する場合、および退出口オリフィスが約0.127cm(0.050インチ)のサイズを有する場合、送達率は、約0.38グラム毎秒であることがある。粒子が、約400ミクロンから約450ミクロンの間のサイズを有する場合、および退出口オリフィスが約0.2032cm(0.080インチ)のサイズを有する場合、送達率は、約0.4グラム毎秒であることがある。上記の粒子サイズと送達率の組み合わせが使用されてよい。たとえば、約0.38グラム毎秒、約0.4グラム毎秒、または約0.60グラム毎秒の流量を達成するために、約0.2032cm(0.080インチ)のオリフィスサイズが、約500から約600ミクロンの間または約400から約450ミクロンの間の粒子サイズとともに使用されてよい。他の例では、約0.38グラム毎秒、約0.4グラム毎秒、または約0.60グラム毎秒の流量を達成するために、約0.127cm(0.050インチ)のオリフィスサイズが、約500から約600ミクロンの間または約400から約450ミクロンの間の粒子サイズとともに使用されてよい。
【0093】
本開示の原理は、本願明細書では特定の適用例のための実例となる例に関して説明されるが、本開示はそれに対して限定されないことが理解されるべきである。当技術分野における通常のスキルと本願明細書において提供される教示へのアクセスとを有する当業者は、追加の修正形態、適用例、および等価物の代用はすべて、本願明細書において説明される例の範囲内に入ることを認識するであろう。したがって、本発明は、前述の説明によって制限されると考えられるべきでない。
【国際調査報告】