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特表2023-517192電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法
<図1>
  • 特表-電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法 図1
  • 特表-電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法 図2
  • 特表-電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法 図3
  • 特表-電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法 図4
  • 特表-電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法 図5A
  • 特表-電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法 図5B
  • 特表-電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法 図6
  • 特表-電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】電気輸送車両にパワーを供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効減少を計測する方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230417BHJP
   B60M 3/00 20060101ALI20230417BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20230417BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20230417BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230417BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230417BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230417BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20230417BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20230417BHJP
【FI】
G06Q50/06
B60M3/00 D
B60L1/00 A
B60L7/14
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y20/30
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552903
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2021055175
(87)【国際公開番号】W WO2021175847
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】2002195
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512011200
【氏名又は名称】フェブレ トランスポール トゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ オーバン
【テーマコード(参考)】
5G064
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064BA07
5G064CB08
5G064CB10
5G064DA03
5G064DA11
5H125AA05
5H125AC02
5H125BC25
5H125BE01
5H125CB02
5H125CC04
5H125EE70
5L049CC06
(57)【要約】
輸送車両のグループに供給する電気ネットワークによって消費されるエネルギーの低減を計測する方法であって、方法は、-時間の期間Pにわたって、少なくとも1つの起動信号を機器の少なくとも1つのアイテムの少なくとも1つのエネルギー節約装置に送信するステップ(S1)であって、起動信号は、時間の期間Pにわたって、エネルギー節約装置を交互に起動及び停止するように構成されている、ステップと、-電気ネットワークによって時間の期間Pにわたって消費された電気パワーの信号を取得するステップ(S2)と、-起動信号に応答して電気ネットワークによって消費されたエネルギーの低減を推定するステップ(S3)と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送車両のグループに供給している電気ネットワークによって消費されるエネルギーの低減を計測する方法であって、前記グループの少なくとも1つの車両(100)は、
-前記電気供給により、或いは、前記輸送車両のグループの車両(100)の制動から生成された電気エネルギーにより、供給されるように構成された機器の少なくとも1つのアイテムと、
-起動された際に、前記電気輸送車両のグループの車両の前記制動から生成された前記電気エネルギーを表すパラメータ(6b)を考慮することにより、前記機器のアイテムに適用される動作制御信号(6c)が生成されるように、構成されたエネルギー節約装置(8)と、
を有し、
前記方法は、
時間の期間Pにわたって、少なくとも1つの起動信号(12)を機器(1)の少なくとも1つのアイテムの少なくとも1つのエネルギー節約装置(8)に送信するステップ(S1)であって、前記起動信号(12)は、前記時間の期間Pにわたって前記エネルギー節約装置(8)を交互に起動及び停止するように構成されている、ステップと、
-前記電気ネットワークによって前記時間の期間Pにわたって消費された電気パワーの信号を取得するステップ(S2)と、
-前記起動信号(12)に応答して前記電気ネットワークによって消費されたエネルギーの低減を推定するステップ(S3)と、
を有する、方法。
【請求項2】
前記起動信号(12)の周波数スペクトルは、前記ネットワークによって消費されたパワーの信号(50)の周波数スペクトルが前記起動信号(12)の不存在下において最小振幅を有する周波数において最大振幅をしており、前記エネルギー節約装置(8)は、連続的に起動又は停止されている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記起動信号(12)は、前記エネルギー節約装置(8)の前記起動に対応する第1値と、前記エネルギー節約装置(8)の前記停止に対応する第2値と、を有する少なくとも2つの別個の値を取得するように構成されたデジタル信号である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記起動信号(12)は、前記起動信号(12)の前記値が一定である遷移期間を有し、前記遷移期間は、前記エネルギー節約装置(8)の前記遷移状態の持続時間超である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記遷移期間の前記持続時間は、ランダムピッキングによって取得されている請求項1及び4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ネットワークによって消費される前記エネルギーの低減を推定するステップ(S3)は、
-前記時間の期間Pにわたって、前記エネルギー節約装置(8)が起動されている際に前記ネットワークによって消費された電気エネルギーを算出するサブステップと、
-前記時間の期間Pにわたって、前記エネルギー節約装置(8)が停止されている際に前記ネットワークによって消費された電気エネルギーを算出するサブステップと、
-前記エネルギー節約装置(8)が起動されている際に前記ネットワークによって消費された前記平均エネルギーと前記エネルギー節約装置(8)が停止されている際に前記ネットワークによって消費された前記平均エネルギーの間の差を算出するサブステップと、
を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ネットワークによって消費された前記エネルギーの低減を推定するステップ(E3)は、
―前記時間の期間Pにわたって前記ネットワークによって消費された合計電気パワーの前記信号と前記起動信号(12)の間の相互相関を算出するステップを有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電気輸送車両のグループの前記車両(100)は、前記電気供給ネットワークの同一のサブステーションに接続された車両のサブセットとして分散されており、且つ、前記ネットワークによって前記時間の期間Pにわたって消費された電気パワーの信号を取得する前記ステップ(E2)は、
-前記時間の期間Pにわたって、車両のそれぞれのサブセットによって消費された電気パワーの信号を判定するサブステップと、
-前記時間の期間Pにわたって車両(100)のそれぞれのサブセットによって消費された電気パワーの前記信号の合計によって前記電気輸送車両のグループの前記車両(100)によって消費された合計電気パワーの前記信号を算出するサブステップと、
-前記ネットワークによって前記時間の期間Pにわたって消費された電気パワーの前記信号を推定するサブステップと、
を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
電気輸送車両(100)のそれぞれのサブセットによって消費された前記電気パワーの信号は、前記電気ネットワークのそれぞれのサブステーションにより、判定され且つサーバー(71)に送信されている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記送信ステップ(S1)は、同一の起動信号(12)を前記電気輸送車両のグループのそれぞれのエネルギー節約装置(8)に同時に送信する前記サーバー(71)によって実行されている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記送信ステップ(S1)は、機器のそれぞれのアイテム(1)内において担持されたメモリによって実行されており、前記起動信号(12)は、前記メモリ内において保存されている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
それぞれのメモリ内には、前記起動信号(12)が前記エネルギー節約装置(8)に送信され始める瞬間tのみならず、前記起動信号(12)が前記エネルギー節約装置(8)に送信されている前記瞬間tから始まる経過の前記時間の期間Pが更に保存されている請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気乗員輸送車両に供給するネットワークによって消費されるエネルギーの有効低減を計測する方法に関する。
【0002】
本発明は、具体的には、電気ネットワークによって供給されている、例えば、列車、地下鉄、路面電車、トロリーバス、などのようなレール輸送用の車両のグループに適用される。
【背景技術】
【0003】
電気輸送ネットワークが益々使用されるようになっていることから、車両に供給している電気ネットワークがピーク時点において不足する可能性が生じている。
【0004】
更には、現時点において、乗員輸送、特にレール輸送、は、フランスにおいて最大の電気消費者の1つである。
【0005】
従って、電気輸送ネットワークにおいて、特に、消費のピークにおいて、電気エネルギーの消費を低減することが必要になりつつある。
【0006】
レール車両などの電気乗員輸送車両においては、車両牽引システムに続いて空調システムが最大の電気エネルギー消費者となる機器である。例として、路面電車のケースにおいては、空調システムによる消費は、路面電車の合計電気エネルギー消費の50%超になり得る。
【0007】
これらの電気車両においては、このようなオンボード空調システムは不可欠である。即ち、これらは、外部の天候状態に従って乗員用の快適な温度においてキャビン内の温度を維持することのみならず、キャビンの内部のCOのレベルを調節するためにキャビンの内部の空気を入れ替えることをも可能にしている。
【0008】
空調システムによる消費量を低減するための機器は既に存在している。具体的には、(特許文献1)において記述されているシステムは、具体的には、所与の車両のグループにおいて、制動フェーズにおいて特定の車両によって生成されたエネルギーをグループのその他の車両の空調システムによって再使用することを可能にしている。システムは、グループの車両の制動フェーズによって生成されたエネルギーから可能な限り受益するために、グループの空調システムの時間にわたって電気エネルギー消費を分散させるように更に制御されている。
【0009】
このシステムによって得られるエネルギー節約は、量の観点において大きい。但し、得られるエネルギー節約の定量化において難しさが生じている。実際に、電気エネルギーの節約が合計電気エネルギーの消費との関係において割合が依然として小さいことから、グループの車両によって消費される合計電気エネルギーの信号に基づいて空調システムによる電気エネルギー消費の低減を判定することが困難である。実際に、この低減の大きさが小さいことから、エネルギーの節約は、グループの車両によって消費される合計エネルギーの信号ノイズ以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】仏国特許出願第3051424号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、電気輸送車両のグループに供給するネットワークにおける有効エネルギー節約の定量化を可能にする技術的解決策を提供することを対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この関連において、本発明は、輸送車両のグループに供給する電気ネットワークによって消費されるエネルギーの低減を計測する方法に関し、グループの少なくとも1つの車両は、
-前記電気供給により、或いは、前記輸送車両のグループの車両の制動から生成された電気エネルギーにより、供給されるように構成された機器の少なくとも1つのアイテムと、
-起動された際に、前記電気輸送車両のグループの車両の制動から生成される前記電気エネルギーを表すパラメータを考慮することにより、機器のアイテムに適用される動作制御信号が生成されるように構成されたエネルギー節約装置と、
を有し、
前記方法は、
-時間の期間Pにわたって、機器の少なくとも1つのアイテムの少なくとも1つのエネルギー節約装置に少なくとも1つの起動信号を送信するステップであって、前記起動信号は、時間の期間Pにわたって前記エネルギー節約装置を交互に起動及び停止するように構成されている、ステップと、
-前記電気ネットワークによって時間の期間Pにわたって消費された電気パワーの信号を取得するステップと、
-前記起動信号に応答して前記電気ネットワークによって消費されたエネルギーの低減を推定するステップと、
を有する。
【0013】
従って、時間の期間にわたってエネルギー節約装置を連続的に起動及び停止するように構成された起動信号を使用することにより、方法は、グループの車両に供給する電気ネットワークの全体的な消費に対するエネルギー節約装置の影響の評価を可能にしている。実際に、エネルギー節約装置の使用は、グループの特定の車両による電気の生成における収益性の実現と、グループの機器の消費のためのその生成されたエネルギーの使用と、を可能にしている。換言すれば、エネルギー節約装置の使用は、グループの車両によって生成されるエネルギーを適宜消費することにより、車両グループに供給している電気ネットワークによって消費されるエネルギーを低減することを対象としている。従って、エネルギー装置を連続的に起動することにより、方法は、所与の車両の電気の全体的消費に対する、のみならず、動作している車両グループに供給しているネットワークとの関係における、エネルギー節約装置のアクションの定量化を可能にしている。離隔したイベントが、実現されたエネルギー節約の過小評価又は過大評価に寄与しないように、評価を長い時間の期間にわたって実施することができる。グループのいくつかの車両がエネルギー節約装置を装備している際には、これらのエネルギー節約装置のそれぞれに、同一の起動信号が送信されている。
【0014】
起動信号の周波数スペクトルは、前記ネットワークによって消費されたパワーの信号の周波数スペクトルが起動信号の不存在下において最小振幅を有する周波数において最大振幅を有していてもよく、この場合に、エネルギー節約装置は、連続的に起動又は停止されている。
【0015】
起動信号は、エネルギー節約装置の起動に対応する第1値と、エネルギー節約装置の停止に対応する第2値と、を有する少なくとも2つの別個の値を有するように構成されたデジタル信号であってよい。
【0016】
このような方式で起動信号を選択することにより、方法は、グループの車両の利用の状態の影響を受けることなしに、車両グループによって消費されるエネルギーの節約を評価することを可能にしている。実際に、起動信号は、例えば、利用の際の天候状態及びレールネットワークのトポロジーなどの車両の利用において生じる物理的現象と混同され得ないように選択しなければならない。従って、エネルギー節約装置の起動及び停止は、このような装置を装備した車両の利用の状態とリンクされないように実装しなければならない。
【0017】
起動信号は、起動信号の値が一定である遷移期間を有していてもよく、この場合に、前記遷移期間は、エネルギー節約装置の遷移状態の持続時間超である。
【0018】
従って、エネルギー節約装置は、起動信号を受け取った際に、その起動及びその停止を実装することができる。遷移期間の持続時間は、ランダムピッキングによって取得することができる。
【0019】
また、このような方法は、起動信号の変化が完全にランダムになることを保証することができる。
【0020】
前記ネットワークによって消費されるエネルギーの低減の推定は、
-前記エネルギー節約装置が起動されている際に前記ネットワークによって消費される電気エネルギーを時間の期間Pにわたって算出するサブステップと、
-前記エネルギー節約装置が停止されている際に前記ネットワークによって消費される電気エネルギーを時間の期間Pにわたって算出するサブステップと、
-前記エネルギー節約装置が起動されている際に前記ネットワークによって消費される平均エネルギーとエネルギー節約装置が停止されている際に前記ネットワークによって消費される平均エネルギーの間の差を算出するサブステップと、
を有する。
【0021】
前記ネットワークによって消費されるエネルギーの低減の推定は、
-時間の期間Pにわたって前記ネットワークによって消費された合計電気パワーの信号と起動信号の間の相互相関を算出するステップを有する。
【0022】
前記電気輸送車両のグループの車両は、電気供給ネットワークの同一のサブステーションに接続された車両のサブセットとして分散されていてもよく、且つ、この場合に、時間の期間Pにわたって前記ネットワークによって消費される電気パワーの信号を取得するステップは、
-時間の期間Pにわたって、車両のそれぞれのサブセットによって消費される電気パワーの信号を判定するサブステップと、
-時間の期間Pにわたって車両のそれぞれのサブセットによって消費される電気パワーの信号の合計により、前記電気輸送車両のグループの車両によって消費される合計電気パワーの信号を算出するサブステップと、
-時間の期間Pにわたって前記ネットワークによって消費される電気パワーの信号を推定するサブステップと、
を有することができる。
【0023】
電気輸送車両のそれぞれのサブセットによって消費される電気パワーの信号は、電気ネットワークのそれぞれのサブステーションにより、判定することができると共にサーバーに送信することができる。
【0024】
送信ステップは、同一の起動信号を電気輸送車両のグループのそれぞれのエネルギー節約装置に同時に送信するサーバーにより、実行することができる。
送信ステップは、機器のそれぞれのアイテム内において担持されたメモリによって実行されてもよく、この場合に、前記起動信号は、前記メモリ内において保存されている。
【0025】
それぞれのメモリは、前記起動信号がエネルギー節約装置に送信され始める瞬間tのみならず、起動信号がエネルギー節約装置に送信されている瞬間tから始まる経過の時間の期間Pを更に有することができる。
【0026】
サブステーション及びエネルギー節約装置との間のサーバーの通信は、インターネットによって実施することができる。
【0027】
本発明の更にその他の詳細及び利点については、以下の説明から明らかとなろう。
【0028】
以下の添付図面を参照して、決して限定を目的としてはいない例示用の例として付与されている以下の詳細な説明を参照した際に、例示用の一実施形態に従って本発明について十分に理解することができると共に、その利点について、更に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本明細書の方法が実装され得る空調システムの一例を示す図である。
図2】少なくとも1つの空調システムによって消費されるエネルギーの有効低減を計測する方法の一例のステップを示す図である。
図3】本方法の実装において使用され得る起動信号の第1の例を示す図である。
図4】本方法の実装において使用され得る起動信号の第2の例を示す図である。
図5A】起動信号の第3の例を示す図である。
図5B図5Aに示されている起動信号に応答した供給ネットワークのパワー応答を示す図である。
図6】本明細書において提示されている方法を実装し得る管理システムを示す図である。
図7図3の管理システムのサーバーによって実装される本明細書の方法の算出ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上述の図において表されている同一の部分は、同一の参照符号によって識別されている。
【0031】
本発明は、長距離又は近距離の移動を専門としているかどうかを問わず、例えば、地下鉄及び路面電車などの都市レール輸送用の車両などの、特にレール輸送車両内における、電気ネットワークによって供給されている乗員輸送車両の分野において用途を見出している。
【0032】
本発明は、具体的には、それぞれの車両が少なくとも1つの空調システムを有する乗員輸送車両のグループ又は組に適用される。
【0033】
具体的には、本発明は、車両のオンボード機器の電気エネルギー消費を低減するために使用されるエネルギー節約装置の使用に関する。電気輸送車両におけるオンボード機器は、多数に上り、空調システムのみならず、牽引システムを例として挙げることができる。
【0034】
仏国特許出願第3051424号明細書の主題であったこのようなエネルギー節約装置は、具体的には、機器の電気エネルギーの消費を制動フェーズにおけるグループの輸送車両の動作フェーズと同期化し、これにより、制動エネルギー回収装置を通じて電気エネルギーを生成することを可能にしている。
【0035】
わかりやすさを目的として、以下においては、機器の例としてオンボード空調システムを挙げることにより、本発明について説明する。また、当然のことながら、本発明は、例えば、制動システムなどの任意のタイプの機器に適用することができる。
【0036】
一般に、レールタイプの乗員輸送車両は、いくつかの空調システムを装備している。以下、本明細書においては、空調システムは、レール車両の1つ又は複数のキャビンを冷却又は加熱することができるシステムを意味している。乗員輸送車両のそれぞれのキャビンの空気の状態は、空調システムによって調節されている。例えば、レール車両において、それぞれのワゴンは、その独自の空気状態を調節する空調システムを有する。その他の例においては、同一の空調システムがいくつかの車両の空気状態を調節することができる。
【0037】
わかりやすさを目的として、本明細書においては、車両のグループのそれぞれの乗員輸送車両は、単一の空調システムを有するものと見なされている。但し、上述のように、車両は、いくつかの空調システムを有することができる。例えば、車両は、キャビンと同じ数の空調システムを有することができよう。
【0038】
従って、以下においては、車両の空調システムは、少なくとも1つの車両キャビンと関連する空調システムを意味している。更には、車両の温度は、車両の少なくとも1つのキャビンの温度を意味している。
【0039】
図1は、エネルギー節約装置を有する空調システムを示している。本発明による電気車両のグループに供給するネットワークによって消費されるエネルギーの低減を計測する方法は、その消費エネルギーがエネルギー節約装置の使用によって低減され得るこのような空調システムに対して適用することができる。
【0040】
空調システム1は、電気輸送車両100内において取り付けられている。電気輸送車両100は、電気供給ネットワーク2によって供給されている。
【0041】
空調システム1は、コンプレッサ、ファン、加熱抵抗器、などのような少なくとも1つのアクチュエータを有する。
【0042】
図1には、図を単純化するために、1つのアクチュエータ3のみが示されている。従って、この図示の例においては、アクチュエータは、コンプレッサ3aであり、この場合に、コンプレッサ3aの動作は、モーター3bによって実現されており、この場合に、モーター3bは、可変周波数インバータ3cによって供給されている。
【0043】
アクチュエータ3は、(例えば、所謂「リバーシブル」空調システムにおいて)熱又は冷気を生成していることに留意されたい。
【0044】
空調システム1は、コンプレッサ3aを作動させるモーター3bの速度を制御するコマンドなどの、アクチュエータ6cを動作させるコマンドを生成するように構成された調節システム6を更に有する。
【0045】
当然のことながら、アクチュエータ6cを動作させるコマンドは、ファンの速度、加熱抵抗器のスイッチング、などを制御するコマンドなどの、図には示されていないその他のコマンドを有する。
【0046】
従って、アクチュエータ6cを動作させるコマンドは、調節システム6から出力された信号である。
【0047】
調節システム6は、入力として、空気の状態を表すパラメータの第1の組6aを受け取っている。
【0048】
空気の状態を表すパラメータの組6aは、図示の実施形態においては、車両100の内側及び外側の温度と、COのレベルと、を有する。これらのパラメータは、空調システム内の従来のパラメータである。湿度などのその他のパラメータを使用することもできる。
【0049】
空調システム1は、エネルギー節約装置を更に有する。このエネルギー節約装置は、調節システム6がパラメータの第2の組6bを考慮するように、コマンド8aを調節システム6に送信するように構成されている。パラメータの第2の組6bは、グループの少なくとも1つの電気輸送車両との関係におけるパラメータ6bを有する。パラメータの値は、電気エネルギーが前記少なくとも1つの電気輸送車両によって消費されているかどうか、或いは、電気エネルギーが前記少なくとも1つの電気輸送車両によって生成されているかどうか、を通知している。
【0050】
少なくとも1つの電気輸送車両との関係における前記少なくとも1つのパラメータ6bは、空調システム1がその上部に取り付けられている電気輸送車両との、同一の電気供給ネットワーク2によって供給されている第2の電気輸送車両との、或いは、同一の電気供給ネットワーク2によって供給されているいくつかの電気輸送車両との、関係におけるものであってよいことに留意されたい。
【0051】
少なくとも1つの電気輸送車両との関係におけるパラメータ6bの値は、例えば、車両の運転との関係におけるアクションに依存している。車両の運転との関係におけるアクションは、電気制動又は牽引であってよい。従って、運転との関係におけるアクションを表すパラメータは、電気制動力又は牽引力であってよく、この場合に、その値は、電気制動力又は牽引力のレベルをそれぞれ表している。
【0052】
従って、例えば、少なくとも1つの電気輸送車両との関係におけるパラメータの値は、
-電気パワーの、又は牽引負荷の、又は制動負荷の、又は距離の、又は速度の、又は加速度の値、或いは、
-前記電気輸送車両のドアの開放又は閉鎖の状態を表す値(ドアの開放又は閉鎖は、車両が停止している際に作動している)、或いは、
-前記少なくとも1つの電気輸送車両に供給している前記電気供給ネットワーク2の電圧の値、
であってよい。
【0053】
電気供給ネットワークによって供給されている制動エネルギー回収装置を装備した電気輸送車両がその牽引モーターを使用して制動した際に(運転との関係におけるアクションは、制動アクションである)、電気輸送車両が、そのモーターによって生成された電気エネルギーが電気供給ネットワーク2に戻されるように設計されている場合には、電気供給ネットワーク上の電圧が増大することに留意されたい。
【0054】
逆に、電気供給ネットワーク2によって供給されている少なくとも1つの電気輸送車両が牽引力を適用した際には(運転との関係におけるアクションは、牽引である)、電気供給ネットワークの電圧値は低減される。
【0055】
図示の実施形態において、少なくとも1つの車両との関係におけるパラメータ6bは、牽引力、制動力、ドアの開放又は閉鎖状態を表す値、及び電気供給ネットワーク2の計測された電圧を有する。一実施形態において、列車の動作フェーズ、即ち、列車が牽引フェーズにあるのか、停止しているのか、或いは、惰走しているのか、を推定するために、加速度計を使用することができる。換言すれば、牽引力及び制動力との関係におけるパラメータのみならず、車両が走行中である又はレール上において停止しているという事実との関係におけるパラメータが、グループの車両100内のオンボード加速度計から到来する信号から推定されている。
【0056】
図1において記述されている実施形態において、空調システムは、エネルギー節約装置8への入力として、電気供給ネットワーク2によって供給されている少なくとも1つの電気輸送車両との関係におけるパラメータの値を生成するために、電気供給ネットワーク2の電圧を計測する手段7を更に有する。
【0057】
従って、エネルギー節約装置8は、起動信号12を介して起動又は停止されるように構成されている。エネルギー節約装置8が起動された際に、エネルギー節約装置は、空気の状態を表すパラメータ6aの値に従って、のみならず、電気エネルギーが前記少なくとも1つの電気輸送車両100によって消費されている又は電気エネルギーが前記少なくとも1つの電気輸送車両100によって生成されていることを通知する少なくとも1つの車両100との関係における少なくとも1つのパラメータ6bの値に従って、アクチュエータに適用される動作コマンド6cを生成するように構成された調節装置6にコマンド8aを送信するように構成されている。エネルギー節約装置8が停止された際には、コマンド8aは調節システム6に送信されていない。このケースにおいては、調節システムは、その結果、空気の状態を表すパラメータ6aの値のみに従ってアクチュエータに適用される動作コマンド6cを生成するように構成されている。
【0058】
当然のことながら、これは、電気輸送車両のいくつかのもののみがこのようなエネルギー節約装置8を装備しているということであってもよい。別の実施形態においては、グループの電気輸送車両のそれぞれは、車両100内のオンボード機器の1つ又は複数のアイテムごとに1つ又は複数のエネルギー節約装置8を装備することができる。
【0059】
本発明は、このようなエネルギー節約装置8の使用を通じた、車両グループ100の供給のために電気ネットワークによって提供されている電気エネルギーの節約の評価を対象としている。
【0060】
図2は、電気車両のグループの電気車両100内において、図1との関係において記述されているオンボード空調システムを有する1つ又は複数の車両を有する車両グループに供給している電気ネットワークによって消費されるエネルギーの有効低減を計測することを対象とする本明細書による方法20の一般的原理を示している。
【0061】
空調システム1は、調節システム6によって送信されたコマンド6cに従って、車両が接続されている電気ネットワークによって提供されるエネルギー及び/又は制動フェーズにおいてグループの1つ又は複数の車両100によって生成されたエネルギーにより、動作している。
【0062】
方法20は、実現されたエネルギー節約の判定、即ち、起動信号12から生じた、且つ、これにのみ起因した、エネルギーの差の定量化、を対象としている。
【0063】
方法20の第1ステップS1は、時間の期間Pにわたって、起動信号12を機器1のそれぞれのアイテムのそれぞれのエネルギー節約装置8に送信することを対象としており、この場合に、前記起動信号12は、前記時間インターバルPにわたって交互に前記エネルギー節約装置8を起動及び停止することができる。
【0064】
このステップは、車両グループ内に存在しているエネルギー節約装置8のいくつか又はすべてのもののアクションを一時停止することを対象としている。これを目的として、起動信号12は、グループ内に存在しているエネルギー節約装置8のすべてのもの又はいくつかのものに同時に送信されている。
【0065】
起動信号12は、調節システム6が生成動作コマンド6cの生成の際にパラメータ6bを考慮するように、コマンド8aの生成を起動又は停止するようにエネルギー節約装置8を起動又は停止するように構成された信号である。従って、起動信号12は、エネルギー節約装置8を抑制する、且つ、従って、アクチュエータ3用の動作コマンド6cの生成の際のパラメータ6bの考慮を一時停止する、ことを部分的に可能にしている。エネルギー節約装置8のこの抑制の時点においては、空調システム1は、連続的に消費している。換言すれば、エネルギー節約装置8の抑制の時点において、空調システム1による消費は、もはや、電気エネルギーを生成するグループの車両100の動作のフェーズ(具体的には、これらの車両が制動フェーズにあり且つ制動エネルギーを回収するための装置を通じてエネルギーを生成している際)と同期化されてはいない。このケースにおいては、空調システム1を制御するために、空気の状態6aのみが考慮されている。
【0066】
方法20の第2ステップS2は、車両100に供給している電気ネットワークによって時間の期間Pにわたって消費された電気パワーの信号を取得するというものである。
【0067】
電気ネットワークによって消費された電気パワーの信号は、車両100が接続されている電気ネットワークのために提供されている計測手段を介して直接的に取得することができる。当然のことながら、このような計測手段が、グループの車両100のそれぞれのもの内のオンボード計測手段であることを想定することができる。計測手段は、例えば、電気メータを有することができる。
【0068】
方法20の第3ステップS3は、前記起動信号12に応答して電気ネットワークによって消費されているエネルギーの低減を推定するというものである。
【0069】
電気ネットワークによって消費された電気パワーの信号に基づいて、方法は、起動信号に対する類似性を有する電気パワーとの関係における情報を抽出することを対象としている。実際に、起動信号12のシグネチャ、即ち、その形態、は、起動信号12を受け取ったエネルギー節約装置8を有する空調システム1によって消費されているパワーの信号に影響を及ぼしている。これについては、図7との関係において更に詳細に説明する。
【0070】
従って、起動信号12は、そのシグネチャが、電気ネットワークによって消費された電気パワーの信号の成分と混同され得ないように選択されている。
【0071】
電気ネットワークによって消費されたパワーの信号と起動信号12の間の相互相関は、電気ネットワークによって消費されたパワーの信号と起動信号12の間の類似性との関係における情報の取得に加えて、節約されたエネルギーの値の取得を可能にしている。
【0072】
例えば、エネルギー節約装置8によって送信されたコマンド8aに応答した調節システムによるパラメータ6bの考慮の起動及び停止にそれぞれ対応している2つの値+1及び-1を有し得る起動信号12を示す図5Aの例を参照されたい。
【0073】
図5Bには、図5Aにおいて示されている起動信号を受け取った空調システム1を含む電気供給ネットワークによって消費されたパワーの信号50が示されている。
【0074】
これらの2つの信号12’’、50の間の相互相関は、次式のように表現され、
【数1】
ここで、P(t)は、ネットワークによって消費されたパワーの信号50であり、且つ、sa(t)は、起動信号12である。
【0075】
この特定のケースにおいては、空調システム1の応答時間、即ち、起動及び停止の際のエネルギー節約装置8の遷移状態、は、消費されるパワーの信号50の変化との関係において無視可能であると見なされている。従って、ネットワークによって消費されたパワーの信号50と起動信号12’’の間のx軸上の遅延の時間は、ゼロであるものと見なされている。
【0076】
図5A及び図5Bの例においては、0における(即ち、τ=0における)相互相関は、次式のように分類することが可能であり、
【数2】
ここで、EON及びEOFFは、それぞれ、(瞬間t及びt、t及びtの間の遷移期間にわたる)エネルギー節約装置8が有効である際の、且つ、エネルギー節約装置8が無効である際の、電気ネットワークによって消費された平均エネルギーである。従って、起動信号12と消費されたパワーの信号の間の相互相関は、
-エネルギー節約装置8が起動信号12によって抑制された際(OFF)と、
-エネルギー節約装置8が動作状態にある際(動作信号の値がONに対応する際)の
ネットワークによって消費された平均エネルギーの間の差に対応している。
【0077】
従って、ゼロにおけるこの相互相関は、エネルギー節約の評価の期間、即ち、起動信号が送信された期間、にわたって節約されたエネルギーを抽出することを可能にしている。
【0078】
当然のことながら、図3図5を参照して記述されているように、起動信号12の選択肢は、節約されたエネルギーの計算の最適化を可能にしている。具体的には、起動信号12は、図1を参照して記述された且つ車両100のグループ内に存在しているなどの空調システム1のすべてのもののエネルギー節約装置8を同時に抑制するように構成しなければならない。更には、このエネルギー節約装置8の抑制は、方法20が図1において記述されているものなどの空調システム1によって可能とされるエネルギー節約に過剰な影響を及ぼすような持続時間にわたるものであってはならない。
【0079】
図3図4、及び図5Aには、起動信号12の例が示されている。
【0080】
ここで示されている例においては、起動信号12は、デジタル信号である。これは、例えば、1及び0などの2つの別個の値を有するように構成されており、この場合に、これらの別個の値のそれぞれは、それぞれ、エネルギー節約装置8のパワーアップ(ON)及びエネルギー節約装置8の停止(OFF)に対応している。
【0081】
従って、起動信号12は、時間の期間Pにわたる2つの値1及び0の間の定数の変動であってよい。
【0082】
これらの起動信号12のそれぞれは、遷移期間によって特徴付けられている。遷移期間は、0から1への及びその逆方向の信号の値の2つの遷移の間の時間の期間を意味している。換言すれば、これは、起動信号12の値が2つのスイッチング動作の間において一定である時間の期間Pにおける時間の長さであってよい。
【0083】
図3の起動信号12の第1の例においては、この信号は、遷移期間T、T、T、T、T、及びTによって特徴付けられている。
【0084】
従って、図4及び図5Aの起動信号12’及び12’’の例も、(異なる長さの)遷移期間によって特徴付けられている。
【0085】
図示のように、信号が1である遷移期間T、T、Tと信号が0である遷移期間T、T、及びTは、必ずしも、同一の持続時間を有してはいない。例えば、図4に示されている例においては、遷移期間は、22分間~31分間の異なる持続時間を有する。
【0086】
一実施形態においては、起動信号12は、図4及び図5Aの起動信号12’及び12’’において表されているように、20~45分間の遷移期間において値のランダムピッキングによって取得することができる。
【0087】
一般に、遷移期間T、T、T、T、T、及びTは、
-車両100内の空調システム1の利用の際に発生するイベントと混同され得ないその独自のアイデンティティを起動信号12に付与するように:例として、遷移期間T、T、T、T、T、及びTは、例えば、検討されているラインの終点のステーションの間などの2つのステーションの間(連続的かどうかとは無関係に)の車両100の移動時間に等しくならないように選択されている。
-エネルギー節約装置8の遷移状態の持続時間よりも長くなるように:実際には、起動信号12は、エネルギー節約装置8のそれぞれに送信され、且つ、起動信号12の値の変化に従ってこれをターンオン又はオフしている。従って、遷移期間T、T、T、T、T、及びTは、エネルギー節約装置8がパワーアップの後に安定化するのに必要とされる時間超となるように選択しなければならない。従って、安定化時間が、図1を参照して提示されているエネルギー節約装置8の場合に平均で90秒である状態において、期間は、安定化時間の少なくとも3倍超(270秒)、且つ、好ましくは、安定化時間の10倍超、即ち、900秒超、となるように選択することができる。
-その使用によって得られたエネルギー節約に影響を及ぼすことになる過剰に長い持続時間にわたってエネルギー節約装置8を抑制しないように、即ち、起動信号が0である際の遷移期間T、T、及びTを車両の動作の持続時間の約20%の、好ましくは、車両の利用の持続時間の5%の、最大持続時間に制限するように、
大きさが設定されている。
【0088】
例示として、時間の期間Pは、永久であってもよく、或いは、一日という最小持続時間であってもよい。この時間の期間Pにおいては、起動信号12を連続的に又は非連続的に送信することができる。
【0089】
起動信号12は、期間Pにわたって複数回にわたって送信することができる。例えば、起動信号12の2つの連続的な送信は、その値がランダムピッキングから到来し得る停止時間だけ、離隔させることができる。例えば、停止時間の値は、20~45分間の値のランダムピッキングの結果であってもよい。これは、具体的には、実現されるエネルギー節約に対する本方法20の影響を低減することを可能にしている。起動信号12の選択においては、起動信号12が電気ネットワークによって消費される又はグループの車両100によって生成されるパワーの特性から弁別される又はこれから区別されるように遷移期間T、T、T、T、T、及びTを選択することが決定的に重要である。
【0090】
これを目的として、起動信号12は、電気ネットワークによって消費されたパワーの信号50のフーリエ変換のモジュラスの振幅が最小である周波数において起動信号12のフーリエ変換のモジュラスが最大振幅を有するように選択することができる。
【0091】
換言すれば、グループの電気供給ネットワーク100によって消費されたパワーの信号50の周波数スペクトルは、電気ネットワークによって消費されたパワーの信号50のフーリエ変換のモジュラスの関数として表現されている。この第1周波数スペクトルが取得されたら、この第1スペクトルの振幅が最小である周波数値の範囲が識別されている。
【0092】
次いで、フーリエ変換モジュラスに従って表現されたその周波数スペクトルが、周波数値の識別された範囲内において選択された周波数において最大振幅を有するように、起動信号12が判定及び構成されている。
【0093】
従って、識別された周波数において、電気ネットワークによって消費されたパワー50の振幅スペクトルは、最小であり、且つ、起動信号12の振幅スペクトルは、最小である。
【0094】
理想的には、起動信号12は、起動信号12のフーリエ変換モジュラスの振幅の周波数の組が、電気ネットワークによって消費されたパワーの信号50のフーリエ変換モジュラスの振幅の周波数の組から結合解除されるように選択されている。
【0095】
これは、起動信号12がグループの電気輸送車両100のいくつかのみに送信されるというものであってよい。このケースにおいては、これは、起動信号12が十分な数の電気車両100にのみ送信されるというものであってよい。次いで、車両100のグループのすべての空調システム1について、エネルギー節約を外挿することができる。
【0096】
これは、起動信号12が毎日は送信されないというものであってよい。次いで、エネルギー節約の平均が、起動信号12が送信された日について推定されている。これは、エネルギー節約装置が停止される持続時間を低減する、且つ、従って、機器によって、且つ、従って、電気ネットワークによって、消費されるエネルギーに対する相対的に大きな節約を実施する、ことを可能にしている。
【0097】
起動信号12の特性は、一週間の利用において、一月の利用において、又は一年の利用において、実現されたエネルギー節約を評価することが望ましいかどうかに従って選択されている。
【0098】
一実施形態において、方法20を使用したエネルギー節約の計測は、グループの車両100を利用する際に連続的に、或いは、エネルギー節約評価期間と呼称される時間の期間にわたって、実行することができる。時間の期間Pは、このエネルギー節約評価時間に等しくてもよい。
【0099】
従って、記述されている起動信号12は、空気の状態と相関しておらず、且つ、電気輸送車両の動作の状態とも相関していない。従って、この信号のシグネチャ、即ち、起動信号12の形態又は特定のマーク、は、車両100の利用にリンクされた外部現象と混同され得ない。起動信号12のシグネチャは、電気ネットワークによって消費されるエネルギーを特徴付けている。これについては、図6及び図7参照して更に詳しく説明する。
【0100】
この起動信号12は、サーバーにより、或いは、起動信号12との関係における情報が保存されているメモリと関連するマイクロプロセッサにより、エネルギー節約装置8に送信することができる。
【0101】
図6及び図7には、第1のケースが示されている。
【0102】
第2のケースにおいては、メモリに結合されたマイクロプロセッサを少なくとも有するプログラム可能なカードが空調システム1によって担持されている。更には、メモリは、前記起動信号12が調節システム6に送信され始める日付及び時刻などの瞬間tのみならず、起動信号12が調節システム6に送信されている瞬間tからの経過の時間の期間Pを有する。従って、すべてのプログラム可能なカードは、グループの空調システム1が、期間Pにわたって瞬間においてエネルギー節約装置8に同時に起動信号12を送信するように構成されるように、同様にプログラミングされている。
【0103】
当然のことながら、これらのデータは、すべての空調システム1との関係においては、或いは、グループのその他の空調システム1との間において起動信号12、瞬間t、及び時間の期間Pとの関係における情報を伝達し得る空調システム1との関係において、ユーザーによってメモリ内において変更することができる。
【0104】
空調システム1のメモリ内のデータが均一ではない場合には、警告がサーバーに送信され、これにより、エネルギー節約に関係する計算が過小又は過大評価されたことを通知している。
【0105】
電気輸送車両100のグループが、図1に示されているものなどのオンボード空調システム1が存在しているいくつかの車両100を有する際には、起動信号12は、エネルギー節約装置8のそれぞれ又はいくつかに同時に送信されている。
【0106】
図6は、本発明による方法を実装するのに適した管理システム60の一例を示している。
【0107】
電気輸送車両100は、いくつかのサブステーション62、63、及び64を有する電気ネットワーク61によって供給されている。サブステーション62、63、及び64は、電気ネットワーク61の供給のポイントであり、これらは、電気エネルギーをネットワークに送っている。サブステーション62、63、及び64は、例えば、ネットワークに沿って分散された且つネットワークと並列で又はこれに対して直列に接続されたエネルギーコンバータであってよい。例えば、カテナリによる又はグラウンドによる供給のゾーンなどの別個の供給ゾーンが存在していてもよく、この場合に、これらのゾーンは、必ずしも1つに結合される必要はない。それぞれのサブステーションは、これらのサブステーション62、63、及び64のそれぞれにおいて消費される電気パワーの信号を計測し得る計測手段又は電気メータ65、66、67を装備している。
【0108】
従って、それぞれのサブステーション62、63、及び64において計測されるパワーは、前記サブステーション62、63、及び64に接続された車両100の組100a、100b、及び100によって消費されたパワーである。従って、例として、計測手段62は、サブステーション62に接続されている且つこれによって供給されている車両100の組100aによって消費された電気パワーの計測を可能にしている。
【0109】
グループの車両100のそれぞれは、図1に示されているように空調システム68、69、及び70を有する。これらの空調システム68、69、及び70のそれぞれは、具体的には、検討対象であるエネルギー節約装置8のそれぞれは、図3図5を参照して記述されているものなどの起動信号12を同時に受け取るように構成されている。
【0110】
従って、サブステーション62、63、及び64において消費及び計測された電気パワーは、グループの車両の空調システム68、69、及び70によって消費された電気パワーを含む。
【0111】
これらのサブステーション62、63、及び64のそれぞれにおいて時間の期間Pにわたって計測されたパワーは、サーバー71に送信されている。サブステーション62、63、及び64は、それぞれ、有線又は無線接続によってサーバー71に接続されている。
【0112】
サブステーション62、63、及び64のそれぞれにおいて消費されたパワーがサーバー71によって受け取られたら、図7に示されているように、期間Pにわたって実現されたエネルギー節約を評価するために、計算がサーバー71において実行されている。
【0113】
第1フェーズにおいては、エネルギー節約を評価するための評価期間Pにわたって、サーバー71によって受け取られたそれぞれのサブステーション62、63、及び64において消費されたパワーから、電気ネットワークによって消費された合計電気パワーの信号が推定されている。電気ネットワークによって消費された合計電気パワーの信号は、前記サブステーション62、63、及び64に個々に接続された車両100の車両100a、100b、及び100のそれぞれのサブセットによって消費された電気パワーの信号と電気ネットワークから生じたジュール発熱損を加算することにより、取得されている。
【0114】
明白な且つ既知のシグネチャを有するノイズに対応する電気パワーの部分を信号から除去するために、消費された合計電気パワーの信号をフィルタリングするように、フィルタ75を使用することができる。
【0115】
例えば、ステーション内の交通信号及び公共照明は、計測された消費された電気パワーの信号に影響を及ぼし得る。実際に、交通信号における電流の引き出しは、電気ネットワークによって消費されるパワーの信号の変動をもたらし得る。生成される変動は、大きい場合があり、且つ、従って、これらが誤って装置のアクションの結果であると見なされないように、フィルリングしなければならない場合がある。このフィルタリングは、サーバーにおいて実装されたアルゴリズムを介して実現することができる。
【0116】
従って、フィルタ75は、グループの利用にリンクされたイベントのシグネチャを電気ネットワークによって消費されたパワーの信号から抽出するために、これを識別することを可能にしている。このシグネチャは、ノイズと見なされており、且つ、従って、方法の残りの部分においては、特に実施されたエネルギー節約を評価するためには、考慮されることになっていない。
【0117】
次いで、電気ネットワークによって消費された合計パワーの信号と起動信号12の間の相互相関が実施されている。
【0118】
相互相関は、ここでは、電気ネットワークによって消費された合計パワーの信号内において、起動信号12のシグネチャに類似した形態を有するパワーの成分を識別するステップから構成されている。実際に、エネルギー節約装置8のアクションが起動信号12によるその起動又は停止に依存していると仮定した場合には、空調システム1によって消費されるパワーの信号が影響を受けることになる。
【0119】
上述のように、図5A及び図5Bとの関係において、空調システム68、69、及び70の組によって消費されたエネルギーの低減は、
-前記エネルギー節約装置8がパワーオンされている際に期間Pにわたって電気ネットワークによって消費された平均電気エネルギー(EON)、
-前記エネルギー節約装置8がパワーオンされていない際に期間Pにわたって電気ネットワークによって消費された平均電気エネルギー(EOFF)、
の間の差に等しいこの相互相関から推定されている。
【0120】
エネルギー節約装置8がパワーオンされている際に電気ネットワークによって消費される平均電気エネルギーは、起動信号12が期間Pにわたって値ONを有する際に電気ネットワークによって消費されるエネルギーに対応している。例えば、これは、図3に示されている起動信号の遷移期間T1、T3、及びT5において消費されたエネルギーである。次いで、電気ネットワークによって消費された平均エネルギーは、期間Pにわたって起動信号が値ONを有する遷移期間において消費されたエネルギーの合計をこれらの遷移期間T1、T3、及びT5の合計によって除算したものに等しい。
【0121】
次いで、同様に、エネルギー節約装置8がオフである際に電気ネットワークによって消費された平均エネルギーは、期間Pにわたって起動信号が値OFFを有する遷移期間T2、T4、及びT6において消費されたエネルギーの合計をこれらの遷移期間T2、T4、及びT6の合計によって除算したものに等しい。
【0122】
図3の起動信号12の例を参照すれば、エネルギーEON及びEOFFは、次式のように表現されている。
【数3】
【0123】
消費されたエネルギーEON及びEOFFのこれらの平均に基づいて、グループの車両100内において図1を参照して記述されているものなどの空調システム68、69、及び70の使用によって得られる平均のエネルギー節約を推定することができる。
【0124】
従って、エネルギー節約74は、エネルギー節約装置8が有効である(即ち、パワーオンされている)際に電気ネットワークによって消費される平均エネルギーとエネルギー節約装置8が無効である(即ち、パワー供給されていない)際に電気ネットワークによって消費される平均エネルギーの間の差に等しい。
【0125】
サブステーションとの間における且つ/又はグループの空調システム68、69、及び70との間におけるサーバー71による通信は、双方向無線リンクによって実施することができる。
【0126】
本出願において詳述されている実施形態は、限定を意図したものではない。具体的には、エネルギー節約装置は、エネルギー節約装置が機能している機器のアイテム内に統合されていてもよく、或いは、そうでなくてもよい。
【0127】
一実施形態において、少なくとも1つの電気輸送車両との関係おけるパラメータは、少なくとも、エネルギー節約装置を有する電気輸送車両と関係していることに留意されたい。
【0128】
別の実施形態において、少なくとも1つの電気輸送車両との関係におけるパラメータは、エネルギー節約装置を有する電気輸送車両とは異なる少なくとも1つの電気輸送車両と関係している。
【0129】
この実施形態においては、少なくとも1つの電気輸送車両との関係におけるパラメータは、電気供給ネットワークによって供給されているいくつかの電気輸送車両と関係している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
【国際調査報告】