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特表2023-517204低侵襲性組織破砕システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】低侵襲性組織破砕システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/02 20060101AFI20230417BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20230417BHJP
【FI】
A61N7/02
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553671
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 US2021021368
(87)【国際公開番号】W WO2021178961
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/986,410
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512034863
【氏名又は名称】ヒストソニックス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ストペック,ジョシュア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ35
4C160JJ36
(57)【要約】
任意の数の機構を含み得る、組織の治療のために構成された組織破砕治療システムが提供される。本明細書では、有効な非侵襲性および低侵襲性治療、診断および研究法を提供するシステムおよび方法が提供される。具体的には、本明細書では、介在/非標的組織または構造に対して無用な組織損傷を生じさせずに、様々な異なる領域において、様々な異なる条件下で標的合わせされた有効な組織破砕をもたらす最適化されたシステムおよび方法が提供される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科手術システムによって患者の組織を治療する方法であって、
前記ロボット外科手術システムのイメージングサブシステムによって標的組織場所を特定するステップと、
前記ロボット外科手術システムの腹腔鏡サブシステムによって前記標的組織場所を組織破砕治療のために準備するステップと、
準備された前記標的組織場所に前記ロボット外科手術システムの組織破砕サブシステムによって組織破砕治療を実施するステップとを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムが内視鏡ロボットシステムを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムが超音波イメージングシステムを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムがCTイメージングシステムを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムが拡張または強化マルチモダリティイメージングシステムを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムが蛍光透視イメージングシステムを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムが、前記ロボット外科手術システムのロボットアーム上に配置されたイメージングデバイスを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記標的組織場所の準備をするステップが、前記患者の外面と前記標的組織場所との間の介在組織を切除するステップをさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記標的組織場所が空洞/管腔身体器官、導管、または管腔を含み、前記標的場所の準備をするステップが、前記標的組織場所および/または前記場所への経路内に音響窓を形成するために前記腹腔鏡サブシステムによって前記標的組織場所を流体化するステップをさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、組織破砕治療を実施するステップが、前記標的組織場所を溶解または液化するステップをさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記標的組織場所が第1の組織構造と第2の組織構造とを含み、組織破砕治療を実施するステップが、前記第1の組織構造を溶解または液化するが、前記第2の組織構造を溶解も液化もしない、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記第1の組織構造が軟組織を含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記第1の組織構造が癌組織を含む、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、前記第1の組織構造が腫瘍組織を含む、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、前記第2の組織構造が血管を含む、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、前記第2の組織構造が胆管を含む管を含む、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、組織破砕を実施するステップが、
前記標的組織場所内の1つまたは複数の場所におけるキャビテーション閾値を評価するステップと、
評価された前記キャビテーション閾値に基づいて組織破砕治療パラメータを最適化するステップとをさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記組織破砕サブシステムが3以上の自由度を含むロボットアーム上に配置されている、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記ロボット外科手術システムがカート/カラムベースの外科手術システムを含む、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、前記ロボット外科手術システムがベッドベースの外科手術システムを含む、方法。
【請求項21】
外科手術システムであって、
患者の標的組織場所を特定するように構成された少なくとも1つのイメージングサブシステムと、
前記外科手術システムの少なくとも1つのロボットアーム上に配置された腹腔鏡サブシステムであって、前記標的組織場所を組織破砕治療のために準備するように構成された腹腔鏡サブシステムと、
前記外科手術システムの少なくとも1つのロボットアーム上に配置された組織破砕サブシステムであって、準備された前記標的組織場所に組織破砕治療を実施するように構成された組織破砕サブシステムとを含む、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムが内視鏡ロボットシステムを含む、システム。
【請求項23】
請求項21に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムが超音波イメージングシステムを含む、システム。
【請求項24】
請求項21に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムがCTイメージングシステムを含む、システム。
【請求項25】
請求項21に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムが拡張または強化マルチモダリティイメージングシステムを含む、システム。
【請求項26】
請求項21に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムが蛍光透視イメージングシステムを含む、システム。
【請求項27】
ロボット外科手術システムによって患者の組織を治療する方法であって、
前記ロボット外科手術システムのイメージングサブシステムによって標的組織場所を特定するステップと、
前記ロボット外科手術システムの組織破砕サブシステムによって前記標的組織場所を外科手術のために準備するステップと、
前記ロボット外科手術システムの腹腔鏡サブシステムによって、準備された前記標的組織場所に外科手術を行うステップとを含む、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムが内視鏡および/または腹腔鏡ロボットシステムを含む、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムが超音波イメージングを含む、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムがCTイメージングシステムを含む、方法。
【請求項31】
請求項27に記載の方法であって、前記イメージングサブシステムが、前記ロボット外科手術システムのロボットアーム上に配置されたイメージングデバイスを含む、方法。
【請求項32】
請求項27に記載の方法であって、前記標的組織場所の準備をするステップが、前記組織破砕サブシステムによって前記標的組織場所内の軟組織をスケルトナイズするステップをさらに含む、方法。
【請求項33】
請求項27に記載の方法であって、前記組織破砕サブシステムによって前記標的組織場所を外科手術のために準備するステップは、
前記標的組織場所内の1つまたは複数の場所におけるキャビテーション閾値を評価するステップと、
評価された前記キャビテーション閾値に基づいて組織破砕治療パラメータを最適化するステップと、
前記標的組織場所の第1の組織構造のみを溶解または液化し、前記標的組織場所の第2の組織構造を溶解も液化もしないように組織破砕治療を実施するステップとを含む、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、前記第1の組織構造が軟組織を含む、方法。
【請求項35】
請求項33に記載の方法であって、前記第1の組織構造が癌組織を含む、方法。
【請求項36】
請求項33に記載の方法であって、前記第1の組織構造が腫瘍組織を含む、方法。
【請求項37】
請求項33に記載の方法であって、前記第2の組織構造が血管を含む、方法。
【請求項38】
請求項33に記載の方法であって、前記第2の組織が胆管を含む管を含む、方法。
【請求項39】
請求項27に記載の方法であって、前記組織破砕サブシステムが3以上の自由度を含むロボットアーム上に配置されている、方法。
【請求項40】
請求項27に記載の方法であって、前記ロボット外科手術システムがカート/カラムベースの外科手術システムを含む、方法。
【請求項41】
請求項27に記載の方法であって、前記ロボット外科手術システムがベッドベースの外科手術システムを含む、方法。
【請求項42】
請求項27に記載の方法であって、前記外科手術を行うステップが、前記腹腔鏡サブシステムによって前記標的組織場所の1つまたは複数の組織を切除するステップをさらに含む、方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、切除するステップが、エネルギーベースの切断、封止、および/または、結紮デバイス使用を行うステップ、単極または双極デバイスを使用するステップ、内部ステープリングおよび/または内部クリッピングを行うステップをさらに含む、方法。
【請求項44】
請求項27に記載の方法であって、前記標的組織場所が、肝臓、腎臓、膵臓、頭部/首、甲状腺、脾臓、前立腺、心臓、肺、中央脈管構造、末梢脈管構造、脊髄および/または脳組織を含む、方法。
【請求項45】
請求項27に記載の方法であって、前記外科手術が肝臓の1つまたは複数の肝葉または区域を分割することをさらに含む、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記肝臓の分割された前記肝葉または区域が身体から除去される、方法。
【請求項47】
外科手術システムであって、
患者の標的組織場所を特定するように構成された少なくとも1つのイメージングサブシステムと、
前記外科手術システムの少なくとも1つのロボットアーム上に配置された組織破砕サブシステムであって、前記標的組織場所を外科手術のために準備するように構成された組織破砕サブシステムと、
前記外科手術システムの少なくとも1つのロボットアーム上に配置された腹腔鏡サブシステムであって、準備された前記標的組織場所に外科手術を行うように構成された腹腔鏡サブシステムとを含む、システム。
【請求項48】
請求項47に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムが内視鏡ロボットシステムを含む、システム。
【請求項49】
請求項47に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムが超音波イメージングシステムを含む、システム。
【請求項50】
請求項47に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムがCTイメージングシステムを含む、システム。
【請求項51】
請求項47に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムが拡張または強化マルチモダリティイメージングシステムを含む、システム。
【請求項52】
請求項47に記載のシステムであって、前記イメージングサブシステムが蛍光透視イメージングシステムを含む、システム。
【請求項53】
ロボット外科手術システムによって組織を治療する方法であって、
前記ロボット外科手術システムの内視鏡ロボットシステムによって標的空洞器官場所にアクセスするステップと、
前記標的空洞器官場所内に音響窓を形成するために前記標的空洞器官場所を流体化するステップと、
前記ロボット外科手術システムの組織破砕サブシステムによって、流体化された前記標的空洞器官場所に組織破砕治療を実施するステップとを含む、方法。
【請求項54】
請求項53に記載の方法であって、前記標的空洞器官が肺を含む、方法。
【請求項55】
請求項53に記載の方法であって、前記標的空洞器官が結腸を含む、方法。
【請求項56】
請求項53に記載の方法であって、前記標的空洞器官場所を流体化するステップが、前記内視鏡ロボットシステムによって前記標的空洞器官場所を流体化するステップを含む、方法。
【請求項57】
請求項53に記載の方法であって、前記アクセスするステップと、前記流体化するステップと、前記実施するステップとを、リアルタイムイメージングガイダンス下で行うステップをさらに含む、方法。
【請求項58】
請求項53に記載の方法であって、前記リアルタイムイメージングガイダンスが、CT、蛍光および/または円錐ビームCTデータ/イメージングを含む、方法。
【請求項59】
請求項53に記載の方法であって、前記リアルタイムイメージングガイダンスが超音波イメージングを含む、方法。
【請求項60】
ロボット外科手術システムによって組織を治療する方法であって、
前記ロボット外科手術システムの腹腔鏡ロボットシステムによって標的空洞器官場所にアクセスするステップと、
前記標的空洞器官場所への音響窓を形成するために前記標的空洞器官に隣接する体腔を流体化するステップと、
前記ロボット外科手術システムの組織破砕サブシステムによって前記標的空洞器官場所に組織破砕治療を実施するステップとを含む、方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法であって、前記標的空洞器官が肺を含む、方法。
【請求項62】
請求項60に記載の方法であって、前記標的空洞器官が結腸を含む、方法。
【請求項63】
請求項60に記載の方法であって、前記体腔を流体化するステップが前記腹腔鏡ロボットシステムによって前記体腔を流体化するステップを含む、方法。
【請求項64】
請求項60に記載の方法であって、前記アクセスするステップと、前記流体化するステップと、前記実施するステップとを、リアルタイムイメージングガイダンス下で行うステップをさらに含む、方法。
【請求項65】
請求項60に記載の方法であって、前記リアルタイムイメージングガイダンスがCTイメージングを含む、方法。
【請求項66】
請求項60に記載の方法であって、前記リアルタイムイメージングガイダンスが超音波イメージングを含む、方法。
【請求項67】
請求項60に記載の方法であって、前記標的空洞器官場所内に音響窓を形成するために前記標的空洞器官場所を流体化するステップと、
前記組織破砕サブシステムによって、流体化された前記標的空洞器官場所内で組織破砕治療を実施するステップとさらに含む、方法。
【請求項68】
請求項67に記載の方法であって、超音波、X線ベースのイメージングおよび/または光学イメージングを含む1つまたは複数のモダリティを使用して、前記標的器官場所がリアルタイムで視覚化される方法。
【請求項69】
請求項67に記載の方法であって、組織破砕焦点の位置が、リアルタイムイメージングガイダンスによって提供されるフィードバックに基づいて更新可能である、方法。
【請求項70】
請求項60に記載の方法であって、内視鏡/腹腔鏡ロボットが、2つ以上のロボットアームを使用して、リアルタイムイメージングガイダンス、1つまたは複数の手術器具/ツール、および組織破砕治療トランスデューサの位置の操作を同時に可能にする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、米国特許法第119条の下で2020年3月6日に出願された「Minimally Invasive Historipsy Systems and Methods」という名称の米国仮特許出願第62/986,410号の利益を主張し、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による援用
[0002]本明細書において言及されているあらゆる刊行物および特許出願は、あたかも個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるものと具体的にかつ個別に示されているかのように同じ範囲まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]本開示は、健常、罹患および/または負傷組織の低侵襲性および非侵襲性治療のための、音響キャビテーション、方法、デバイスおよび処置を実現するように構成された新規な強力集束超音波治療(HITU)システムについて詳述する。本明細書に記載の音響キャビテーションシステムおよび方法は、組織破砕(ヒストトリプシ)とも呼ばれ、患者の軟組織の総合的治療および療法を提供するための、トランスデューサと、駆動電子部品と、位置決めロボットと、イメージングシステムと、組み込み治療計画および制御ソフトウェアとを含み得る。
【背景技術】
【0004】
[0004]組織破砕、またはパルス超音波キャビテーション治療は、音響エネルギーの極短強力バーストが、焦点体積内での制御されたキャビテーション(微小気泡形成)を生じさせる技術である。これらの微小気泡の激しい膨張と崩壊が、焦点体積内の細胞と組織構造を機械的に均質化する。これは、熱アブレーションの凝固壊死特性とはきわめて異なる最終結果である。非熱的組織破砕の範囲内で手術するには、低デューティサイクルで高振幅音響パルスの形態の音響エネルギーを送り込む必要がある。
【0005】
[0005]従来の集束超音波技術と比較すると、組織破砕は次のような重要な利点を有する。1)焦点における破壊プロセスが熱的ではなく機械的であり、2)超音波イメージングにおいてキャビテーションが明るく現れ、それによって治療の正しい標的合わせおよび限局化を確認し、3)何が治療されたかが操作者にわかるように、治療済み組織が、必ずではないが一般に超音波イメージングにおいてより暗く(より低エコーに)現れ、4)組織破砕が、制御された正確な方式で損傷を生じさせる。マイクロ波、高周波および高密度焦点超音波(HIFU)冷凍または放射などの熱アブレーション技術とは異なり、組織破砕は、組織の破壊のためにキャビテーションの機械的作用に依存し、熱、冷熱または電離エネルギーには依存しないということを強調しておくことが重要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]ロボット外科手術システムによって患者の組織を治療する方法であって、ロボット外科手術システムのイメージングサブシステムによって標的組織場所を特定するステップと、ロボット外科手術システムの腹腔鏡サブシステムによって標的組織場所を組織破砕治療のために準備するステップと、準備された標的組織場所にロボット外科手術システムの組織破砕サブシステムによって組織破砕治療を実施するステップとを含む、方法が提供される。
【0007】
[0007]実施形態によっては、イメージングサブシステムは、内視鏡ロボットシステム、超音波イメージングシステム、CTイメージングシステム、コーンCTイメージングシステム、拡張または強化マルチモダリティイメージングシステム、および/または蛍光透視イメージングシステムを含む。
【0008】
[0008]実施形態によっては、イメージングサブシステムは、ロボット外科手術システムのロボットアーム上に配置されたイメージングデバイスを含む。
【0009】
[0009]一実施形態では、標的組織場所の準備をするステップは、患者の外面と標的組織場所との間の介在組織を切除するステップをさらに含む。
【0010】
[0010]別の実施形態では、標的組織場所は、空洞/管腔身体器官、導管または管腔をさらに含み、標的組織場所の準備をするステップは、標的組織場所および/または標的組織場所への経路内に音響窓を形成するために、腹腔鏡サブシステムによって標的組織場所を流体化するステップをさらに含む。
【0011】
[0011]実施形態によっては、組織破砕治療を実施するステップは、標的組織場所を溶解または液化するステップをさらに含む。
【0012】
[0012]一実施形態では、標的組織場所は、第1の組織構造と第2の組織構造とを含み、組織破砕治療を実施するステップは、第1の組織構造を溶解または液化するが第2の組織構造を溶解も液化もしないステップをさらに含む。
【0013】
[0013]一実施形態では、第1の組織構造は、軟組織、癌組織、腫瘍組織、血管、または、胆管を含む管を含む。
【0014】
[0014]一実施形態では、組織破砕を実施するステップは、標的組織場所内の1つまたは複数の場所におけるキャビテーション閾値を評価するステップと、評価されたキャビテーション閾値に基づいて組織破砕治療パラメータを最適化するステップとをさらに含む。
【0015】
[0015]実施形態によっては、組織破砕サブシステムは、3以上の自由度を備えるロボットアーム上に配置される。
【0016】
[0016]一実施形態では、ロボット外科手術システムは、カート/カラムベースの外科手術システムを含む。
【0017】
[0017]別の実施形態では、ロボット外科手術システムは、ベッドベースの外科手術システムを含む。
【0018】
[0018]外科手術システムであって、患者の標的組織場所を特定するように構成された少なくとも1つのイメージングサブシステムと、外科手術システムの少なくとも1つのロボットアーム上に配置された腹腔鏡サブシステムであって、標的組織場所を組織破砕治療のために準備するように構成された腹腔鏡サブシステムと、外科手術システムの少なくとも1つのロボットアーム上に配置された組織破砕サブシステムであって、準備された標的組織場所に組織破砕治療を実施するように構成された組織破砕サブシステムとを含む、外科手術システムが提供される。
【0019】
[0019]実施形態によっては、イメージングサブシステムは、内視鏡ロボットシステム、超音波イメージングシステム、CTイメージングシステム、コーンCTイメージングシステム、拡張または強化マルチモダリティイメージングシステム、および/または蛍光透視イメージングシステムを含む。
【0020】
[0020]ロボット外科手術システムによって患者の組織を治療する方法であって、ロボット外科手術システムのイメージングサブシステムによって標的組織場所を特定するステップと、ロボット外科手術システムの組織破砕サブシステムによる手術のために標的組織場所の準備をするステップと、準備された標的組織場所でロボット外科手術システムの腹腔鏡サブシステムによって外科手術を行うステップとを含む方法が提供される。
【0021】
[0021]実施形態によっては、イメージングサブシステムは、内視鏡ロボットシステム、超音波イメージングシステム、CTイメージングシステム、コーンCTイメージング、拡張または強化マルチモダリティイメージングシステム、および/または蛍光透視イメージングシステムを含む。
【0022】
[0022]実施形態によっては、イメージングサブシステムは、ロボット外科手術システムのロボットアーム上に配置されたイメージングデバイスを含む。
【0023】
[0023]一実施形態では、標的組織の準備をするステップは、組織破砕サブシステムによって標的組織場所内の軟組織をスケルトナイズするステップをさらに含む。
【0024】
[0024]実施形態によっては、組織破砕サブシステムによって標的組織場所を手術のために準備するステップは、標的組織場所内の1つまたは複数の場所におけるキャビテーション閾値を評価するステップと、評価されたキャビテーション閾値に基づいて組織破砕治療パラメータを最適化するステップと、標的組織場所の第1の組織構造のみを溶解または液化し、標的組織場所の第2の組織構造を溶解も液化もしないように組織破砕治療を実施するステップとをさらに含む。
【0025】
[0025]一実施形態では、第1の組織構造は、軟組織、癌組織、腫瘍組織、血管、または、胆管を含む管を含む。
【0026】
[0026]実施形態によっては、組織破砕サブシステムは、3以上の自由度を備えるロボットアーム上に配置される。
【0027】
[0027]実施形態によっては、ロボット外科手術システムは、カート/カラムベースの外科手術システムを含む。
【0028】
[0028]他の実施形態では、ロボット外科手術システムは、ベッドベースの外科手術システムを含む。
【0029】
[0029]実施形態によっては、外科手術を行うステップは、標的組織場所の1つまたは複数の組織を腹腔鏡サブシステムによって切除するステップをさらに含む。一実施形態では、切除するステップは、エネルギーベースの切断、封止の実行および/または結紮デバイスの使用、単極または双極デバイスの使用、内部ステープリングおよび/または内部クリッピングの実行をさらに含む。
【0030】
[0030]一実施形態では、標的組織場所は、肝臓、腎臓、膵臓、頭部/首、甲状腺、脾臓、前立腺、心臓、肺、中央または末梢脈管構造、脊髄および/または脳組織を含む。
【0031】
[0031]実施形態によっては、外科手術は、肝臓の1つまたは複数の肝葉または区域を分割するステップをさらに含む。
【0032】
[0032]一実施形態は、肝臓の分割された肝葉または区域は、身体から除去される。
【0033】
[0033]外科手術システムであって、患者の標的組織場所を特定するように構成された少なくとも1つのイメージングサブシステムと、外科手術システムの少なくとも1つのロボットアーム上に配置された、標的組織場所を外科手術のために準備するように構成された組織破砕サブシステムと、外科手術システムの少なくとも1つのロボットアーム上に配置され、準備された標的組織場所で外科手術を行うように構成された腹腔鏡サブシステムとを含む、外科手術システムが提供される。
【0034】
[0034]実施形態によっては、イメージングサブシステムは、内視鏡ロボットシステムを含む。
【0035】
[0035]一実施形態では、イメージングサブシステムは、超音波イメージングシステムを含む。
【0036】
[0036]別の実施形態では、イメージングサブシステムは、CTイメージングシステムを含む。
【0037】
[0037]実施形態によっては、イメージングサブシステムは、拡張または強化マルチモダリティイメージングシステムを含む。
【0038】
[0038]他の実施形態では、イメージングサブシステムは、蛍光透視イメージングシステムを含む。
【0039】
[0039]ロボット外科手術システムによって組織を治療する方法であって、ロボット外科手術システムの内視鏡ロボットシステムによって標的空洞器官場所にアクセスするステップと、標的空洞器官場所内に音響窓を形成するために標的空洞器官場所を流体化するステップと、流体化された標的空洞器官場所にロボット外科手術システムの組織破砕サブシステムによって組織破砕治療を実施するステップとを含む方法が提供される。
【0040】
[0040]実施形態によっては、標的空洞器官は肺または結腸を含む。
【0041】
[0041]実施形態によっては、標的空洞器官場所を流体化するステップは、内視鏡ロボットシステムによって標的空洞器官場所を流体化するステップを含む。
【0042】
[0042]一実施形態では、方法は、リアルタイムイメージングガイダンス下で、アクセスステップと、流体化ステップと実施ステップとを行うステップをさらに含む。
【0043】
[0043]一実施形態では、リアルタイムイメージングガイダンスは、CT、蛍光および/または円錐ビームCTデータ/イメージングを含む。
【0044】
[0044]一実施形態では、リアルタイムイメージングガイダンスは、超音波イメージングを含む。
【0045】
[0045]ロボット外科手術システムによって組織を治療する方法であって、ロボット外科手術システムの腹腔鏡ロボットシステムによって標的空洞器官場所にアクセスするステップと、標的空洞器官場所への音響窓を形成するために標的空洞器官場所に隣接する体腔を流体化するステップと、ロボット外科手術システムの組織破砕サブシステムによって標的空洞器官場所に組織破砕治療を実施するステップとを含む方法が提供される。
【0046】
[0046]実施形態によっては、標的空洞器官は肺または結腸を含む。
【0047】
[0047]一実施形態では、体腔を流体化するステップは、腹腔鏡ロボットシステムによって体腔を流体化するステップを含む。
【0048】
[0048]別の実施形態では、方法は、リアルタイムイメージングガイダンス下で、アクセスステップと、流体化ステップと、実施ステップとを行うステップをさらに含む。
【0049】
[0049]実施形態によっては、イメージングサブシステムは、内視鏡ロボットシステム、超音波イメージングシステム、CTイメージングシステム、コーンCTイメージングシステム、拡張または強化マルチモダリティイメージングシステム、および/または蛍光透視イメージングシステムを含む。
【0050】
[0050]一実施形態では、方法は、標的空洞器官場所内に音響窓を形成するために標的空洞器官場所を流体化するステップと、流体化された標的空洞器官場所内で組織破砕サブシステムによって組織破砕治療を実施するステップとをさらに含む。
【0051】
[0051]実施形態によっては、標的器官場所は、超音波、X線ベースのイメージングおよび/または光学式イメージングを含む1つまたは複数のモダリティを使用してリアルタイムで視覚化される。
【0052】
[0052]一実施形態では、リアルタイムイメージングガイダンスによって与えられるフィードバックに基づいて組織破砕焦点の位置が更新されてもよい。
【0053】
[0053]別の実施形態では、内視鏡/腹腔鏡ロボットが、2つ以上のロボットアームを使用して、リアルタイムイメージングガイダンス、1つまたは複数の手術器具/ツール、および組織破砕治療トランスデューサの位置の操作を同時に可能にする。
【0054】
[0054]本発明の新規な特徴については、末尾の特許請求の範囲に具体的に記載される。本発明の原理が使用される例示の実施形態を記載する以下の詳細な説明と、添付図面とを参照すれば、本発明の特徴および利点をよりよく理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1A】[0055]超音波イメージングおよび治療システムを示す図である。
図1B】超音波イメージングおよび治療システムを示す図である。
図2A】[0056]非侵襲性組織破砕ロボットと協調する気管支鏡ロボットを示す図である。
図2B】[0057]円錐ビームCT環境における非侵襲性組織破砕ロボットと協調する気管支鏡ロボットを示す図である。
図3A】[0058]腹腔鏡/内視鏡ロボットと、別個の組織破砕ベッドサイドロボットカートとを含む、肺のためのマルチアプローチを示す図である。
図3B】[0059]非侵襲性組織破砕とともに使用可能とされた腹腔鏡/内視鏡ロボットを示す図である。
図4】[0060]ベッドまたは患者サイドカートベースとすることができる膵臓/肝臓切除のためのマルチアプローチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[0061]本開示のシステム、方法およびデバイスは、組織破壊、切断、スケルトナイズおよびアブレーションを含むがこれらには限定されない、健常、罹患および/または負傷組織の治療のための開腹手術、(腹腔鏡および経皮)低侵襲性手術、(ロボット対応医療システムに組込まれた)ロボット手術、内視鏡または完全経皮体外非進取性音響キャビテーションのために使用することができる。また、組織選択特性に起因して、デノボまたは幹細胞およびその他のアドジュバントの適用によるその後の組織再生を可能にする細胞骨格を形成するために組織破砕を使用することができる。最後に、標的への音響エネルギーの印加により薬剤の放出を局所的に生じさせことによって、化学療法および免疫療法などの送達薬剤の放出を生じさせるために、組織破砕を使用することができる。後述するように、音響キャビテーションシステムは、カート、治療、組み込みイメージング、ロボット、結合およびソフトウェアを含む、様々なサブシステムを含み得る。システムは、コンピュータ、ケーブルおよびコネクタ、ネットワーキングデバイス、電源、ディスプレイ、引き出し/収納部、ドア、車輪、および様々なシミュレーションおよびトレーニングツールなどを含むがこれらには限定されない、様々な他のコンポーネント、補助物および付属物も含み得る。本明細書で開示される新たな関連発明を含む、組織破砕を生じさせ/制御し/実施するあらゆるシステム、方法および手段が本開示の一部であるとみなされる。
【0057】
[0062]図1Aに、治療トランスデューサ102と、イメージングシステム104と、ディスプレイおよびコントロールパネル106と、ロボット位置決めアーム108と、カート110とを含む、本開示による組織破砕システム100を全体的に示す。システムは、図示されていない超音波結合界面と結合媒質源とをさらに含み得る。
【0058】
[0063]図1Bは、治療トランスデューサ102とイメージングシステム104の底面図である。図のように、イメージングシステムは治療トランスデューサの中央に位置づけられ得る。しかし、他の実施形態は、治療トランスデューサ内の他の場所に配置されるかまたは治療トランスデューサに直接組み込まれたイメージングシステムを含み得る。実施形態によっては、イメージングシステムは、治療トランスデューサの焦点におけるリアルタイムイメージングを生成するように構成される。システムは、標的組織の複数の視野を同時に提供するためと、それらの画像を単一の3D画像に統合するために、治療トランスデューサ内に複数のイメージングトランスデューサを配置することも可能にする。
【0059】
[0064]組織破砕システムは、1つまたは複数の治療トランスデューサを介して音響キャビテーション/組織破砕を生じさせ、適用し、集束させ、実施することができる治療サブシステムと、処置全体を通して治療部位および組織破砕効果のリアルタイム視覚化を可能にする組み込みイメージングサブシステム(または組み込みイメージングサブシステムへの接続)と、治療トランスデューサを機械的および/または電子的にステアリングし、治療トランスデューサと患者との間の音響結合を可能にするように結合サブシステムに接続/サポートし、または結合サブシステムと相互作用することをさらに可能にされたロボット位置決めサブシステムと含む様々なサブシステムのうちの1つまたは複数のサブシステムと、システムおよびコンピュータベースの制御システム(およびその他の外部システム)と通信、制御およびインターフェースするためのソフトウェアと、1つまたは複数のユーザインターフェースおよびディスプレイ、関連する誘導ワークフローを含む様々な他のコンポーネント、補助物、付属物とを含むことができ、これらすべては部分的にまたは連係して機能する。システムは、ポンプ、バルブおよび流量コントロール、温度および脱気コントロール、および洗浄および吸引機能を含むがこれらには限定されない、流体を供給および貯蔵する、様々な流体系および流体管理コンポーネントをさらに含み得る。システムは、様々な電源および保護装置も含み得る。
【0060】
カート
[0065]カート110は、一般に、特定の使用および処置に基づいて様々な方式およびフォームファクタで構成され得る。場合によっては、システムは類似した構成または異なる構成で構成された複数のカートを含み得る。実施形態によっては、カートは放射線環境で、さらに場合によってはイメージング(例えばCT、円錐ビームCT、および/またはMRIスキャン)と連係して使用されるように構成され、配置され得る。他の実施形態では、カートは、開腹手術または腹腔鏡手術および内視鏡用途のための手術室および無菌環境において、またはロボット対応手術室において使用するために配置可能であり、単独で、または、システムの使用および音響キャビテーション/組織破砕の実施の前またはその間またはその後に手術ロボットが特定の作業を行う外科ロボット処置の一部として、使用することができる。したがって、前述の実施形態に基づく処置環境に応じて、カートは、十分な作業空間と、患者の様々な解剖学的部位(胴、腹部、脇腹、頭部および首など)へのアクセスを提供するとともに、他のシステム(例えば、麻酔カート、腹腔鏡タワー、手術用ロボット、内視鏡タワーなど)のための作業空間を提供するように位置決めされ得る。
【0061】
[0066]カートは、患者が、処置前、処置中および処置後に多くの位置、角度および向きへの変更を可能にすることを含めて、そのような位置、角度および向きに向けられ、位置を変更されることができるように、患者面(例えば台またはベッド)と連係することも可能である。カートは、物理的/機械的な相互運用性(例えば、組織破砕前、破砕中および/または破砕後に撮像データを収集するための円錐ビームCT作業空間内で相互対応可能)を含む、処置および/または使用環境をサポートするためと、検査データおよび履歴医療記録データを含むがこれには限定されない患者医療データへのアクセスおよび表示を提供するためとに、1つまたは複数のモダリティの、超音波、CT、蛍光透視、円錐ビームCT、PET、PET/CT、MRI、光学、超音波、画像融合、および/または画像フローには限定されない、1つまたは複数の外部イメージングまたは画像データ管理および通信システムとインターフェースし、通信する機能をさらに含み得る。
【0062】
[0067]実施形態によっては、1つまたは複数のカートが連係するように構成され得る。一例として、1つのカートが治療トランスデューサ、および治療用発生器/増幅器などとともに使用可能な1つまたは複数のロボットアームを備えたベッドサイド移動カートを含み、一方、それと連係し、患者とは離れた位置にある随伴カートが、手術用ロボットおよびマスター/スレーブ構成のように、組み込みイメージングと、ロボットおよび治療面を制御するためのコンソール/ディスプレイとを含んでもよい。
【0063】
[0068]実施形態によっては、システムは、すべてのカートが1つのマスターカートのスレーブであり、音響キャビテーション処置を行うように装備された、複数のカートを含み得る。構成および場合によっては、1つのカート構成が、ある距離をおいた特定のサブシステムの格納を可能にして手術室の混雑を軽減し、一方、別の連係カートが基本的にベッドサイドサブシステムおよび構成部品(例えばデリバリシステムおよび治療構成部品)を含んでもよい。
【0064】
[0069]カート設計の多くの置換および構成を構想することができ、これらの実施例は本開示の範囲を決して限定しない。
【0065】
組織破砕
[0070]組織破砕は、組織の標的断片化および破壊が可能な高密度の強力な「気泡雲」を発生するための短い高振幅の集束超音波パルスを含む。組織破砕は、組織/流体界面を含む組織界面に向けられると、制御された組織侵食を生じさせることができ、バルク組織が標的とされると細胞以下レベルの明確に画定された組織断片化および破壊を生じさせることができる。冷熱および放射線方式のモダリティを含む他の形態のアブレーションとは異なり、組織破砕は組織の治療のために熱または電離(高)エネルギーには依存しない。その代わりに、組織破砕は、組織構造に機械的に作用し、場合によっては組織を細胞以下の成分に液化、懸濁、可溶化および/または破壊するために、焦点において生じる音響キャビテーションを使用する。
【0066】
[0071]組織破砕は以下を含む様々な形態で適用可能である。1)内在性閾値組織破壊(Intrinsic-Threshold Histotripsy):媒質内にキャビテーションを生じさせるために、内在性閾値を超える高振幅の負相/引張相圧力(例えば、水性軟組織の場合、約24~28MPa)の1サイクルから2サイクルのパルスを送り込む、2)衝撃散乱組織破砕(Shock-Scattering Histotripsy):典型的には持続時間が3サイクルから20サイクルのパルスを送り込む。発生した初期の個々の微小気泡から散乱した衝撃波(正相/圧縮相)が逆衝撃波を形成し、この逆衝撃波が入射負相/引張相と建設的に干渉して、内在性閾値を超える高振幅の負相/希薄相を形成する。このようにして、キャビテーション微小気泡のクラスタを生じさせる。パルスの引張相の振幅は、パルスの持続期間を通じて焦点域内において慣性キャビテーションを受けるように、媒質内に気泡核を生じさせるのに十分である。これらの核は、入射衝撃波を散乱させ、入射衝撃波は反転して内在的核形成の閾値を超えるように入射波と建設的に干渉する。3)沸騰組織破壊(Boiling Histotripsy):存続期間が約1msから20msのパルスを採用する。衝撃パルスの吸収が媒質を急速に加熱し、それによって内在核の閾値を低下させる。この内在的閾値が入射波のピーク負圧と一致すると、焦点において沸騰気泡が形成される。
【0067】
[0072]焦点において生じた大きな圧力が、特定の閾値を上回る音響キャビテーション気泡の雲を形成させ、それによって、有意な熱溶着を生じさることなく組織内の局所応力および歪みと機械的破壊とを生じさせる。キャビテーションが発生しない圧力レベルにおいて、焦点における組織上で最小効果が観察される。このキャビテーション効果は、約10MPaから30MPaのピーク負圧で、同様のパルス存続期間に水中において慣性キャビテーション閾値を規定する圧力レベルより有意に大きい圧力レベルでのみ観察される。
【0068】
[0073]組織破砕は、複数の方式および異なるパラメータで行うことができる。組織破砕は、集束超音波トランスデューサを患者の皮膚の上に音響結合させ、覆っている(および介在する)組織を通して経皮的に音響パルスを焦点域(治療域および部位)に送ることによって、完全に非侵襲的に行うことができる。組織破砕の用途は、経皮手法には限定されず、開腹手術、腹腔鏡手術、経皮およびロボットによる外科処置を含む、組織とトランスデューサの接触を可能にする任意の手段により適用可能である。組織破砕によって生じる気泡雲が例えばBモード超音波画像上のきわめて動的なエコー源性領域として観察可能であり、その使用(および関連する処置)によって連続的な可視化が可能であれば、組織破砕は超音波イメージングによる直接的可視化の下でさらに標的合わせ、計画、方向づけおよび観察され得る。同様に、処置され、断片化された組織はエコー輝度の動的変化(典型的には低下)を示し、これは治療を評価、計画、観察および監視するために使用することができる。
【0069】
[0074]一般に、組織破砕治療においては、1サイクル以上の音響サイクルの超音波パルスが印加され、気泡雲形成は最初に生じさせた、まばらに分布した気泡(または単一の気泡)からの正の衝撃波面の圧力解放散乱(場合によっては100MPa、P+を超える)に依存する。これを「衝撃散乱メカニズム」と呼ぶ。
【0070】
[0075]このメカニズムは、トランスデューサの焦点におけるパルスの初期負半サイクルで生じさせた1つの(またはまばらに分散した数個の)気泡に依存する。次に、これらのまばらに生じさせた気泡からの高ピーク正衝撃波面の圧力解放後方散乱に起因して、微小気泡の雲が形成される。これらの後方散乱高振幅希薄波は、内在的閾値を超え、したがって局在的な高密度気泡雲を生じさせる。次に、後続の音響サイクルのそれぞれが、トランスデューサに向かって成長する気泡雲面からの後方散乱によってさらなるキャビテーションを引き起こす。その結果、衝撃散乱メカニズムによって、超音波伝播方向とは逆に音響軸に沿って成長する細長い高密度の気泡雲が観察される。この衝撃散乱プロセスは、気泡雲発生をピーク負圧だけでなく音響サイクル数と正衝撃の振幅にも依存させる。非線形伝播によって生じる少なくとも1つの強力な衝撃波面がない場合、ピーク負半サイクルが内在的閾値を下回るときに高密度な気泡雲は生成されない。
【0071】
[0076]2サイクル未満の超音波パルスが印加される場合、衝撃散乱は最小化され得、高密度気泡雲の発生は、媒質の「内在的閾値」を超える印加超音波パルスの負半サイクルに依存する。これを「内在的閾値メカニズム」と呼ぶ。
【0072】
[0077]この閾値は、人体における軟組織などの水分含有量の高い軟組織の場合、26MPaから30MPaの範囲であり得る。実施形態によっては、この内在的閾値メカニズムを使用して、損傷の空間的広がりを明確かつより予測可能とすることができる。この閾値よりも有意に高くないピーク負圧(P-)では、トランスデューサの-6dBビーム幅の半分ほどのわずかなサブ波長の再現可能損傷が生じ得る。
【0073】
[0078]高周波組織破砕パルスでは、最小再現可能損傷の大きさはより小さくなり、これは精密な損傷生成を必要とする用途において有利である。しかし、高周波パルスは、減衰および歪みの影響をより受けやすく、より深い侵入深度(例えば身体の深い場所のアブレーション)において、または歪みを生じやすい媒質を介する(例えば経頭蓋処置またはパルスが骨を通して送られる処置)場合には問題のある治療となる。組織破砕は低周波数「ポンプ」パルス(典型的には<2サイクルであって100kHzと1MHzの間の周波数を有する)として、高周波「プローブ」パルス(典型的には<2サイクルであって2MHzを超えるかまたは2MHzと10MHの間の範囲の周波数を有する)と共にさらに適用することも可能であり、その場合、標的組織または媒質における内在的閾値を超えるように低周波パルスと高周波パルスのピーク負圧が建設的に干渉する。減衰および歪みに対してより耐性のある低周波パルスは、関心領域(ROI)に対するピーク負圧P-レベルを上昇させることができ、一方、より精密な精度を提供する高周波パルスは、ROI内の標的部位をピンポイント照射することができ、ピーク負圧P-を内在的閾値を超えて上昇させ得る。この手法を「二重周波数」、「二重ビーム組織破砕」または「パラメトリック組織破砕」と呼ぶ場合がある。
【0074】
[0079]焦点のステアリングおよび位置決めに関して上記の組織破壊効果を制御するとともに治療部位における、または介在組織内における組織効果(例えば集束前熱付帯損傷)を同時に管理する追加の手段を含む、衝撃散乱と、内在的閾値と、周波数合成および気泡操作を可能にする様々なパラメータとを使用する最適化された組織破砕を実施する追加のシステム、方法およびパラメータが、本明細書で開示するシステムおよび方法の一部として本明細書に含まれる。また、周波数、動作周波数、中心周波数、パルス繰り返し周波数、パルス、バースト、パルス数、サイクル、パルス長、パルス振幅、パルス期間、遅延、バースト繰り返し周波数、これらのセット、複数のセットのループ、複数および/または異なるセットのループ、ループのセット、およびこれらの様々な組み合わせまたは置換などを含むがこれらには限定されない、複数のパラメータを含み得る、様々なシステムおよび方法が、将来構想されるこれらの実施形態を含めて本開示の一部として含まれることが開示される。
【0075】
治療コンポーネント
[0080]治療サブシステムは、本明細書および以下において「組織破砕」とも呼ぶ音響キャビテーションと、沸騰組織破壊およびその他の熱高周波超音波手法を含むその派生物とを生じさせ、最適化し、実施し、視覚化し、監視し、制御するための他のサブシステムと共働し得る。なお、本開示の発明は、キャビテーション、機械的または組織破壊構成要素を含まない他の音響治療にもさらに有益であり得ることに留意されたい。治療サブシステムは、他にも機構がある中でも特に、組織内に超音波を送り込むように構成された超音波治療トランスデューサとパルス発生器システムとを含み得る。
【0076】
[0081]組織破砕および組織破砕の派生物を生じさせ、実施するために、治療サブシステムは、1つまたは複数の関数発生器、増幅器、治療トランスデューサおよび電源を含むがこれらには限定されないコンポーネントも含み得る。
【0077】
[0082]治療トランスデューサは、高振幅電気パルス(>1000Vまたは生体に損傷を生じさせ得る任意のその他の電圧)によって励起されるように構成された単一素子または複数の素子を含み得る。組織破壊のために治療トランスデューサを駆動するのに必要な振幅は、トランスデューサの設計および使用される材料(例えば、セラミックまたは単結晶を含む固体またはポリマー/圧電複合材)と、圧電材料の厚さに正比例するトランスデューサ中心周波数とに応じて異なる。したがって、高周波で動作するトランスデューサは、所与の表面圧力を生じさせるために必要な電圧が、低周波数の治療トランスデューサによって必要とされる電圧よりも低い。実施形態によっては、トランスデューサ素子は、圧電ポリマー複合材または固体圧電材料を使用して形成される。また、圧電材料は多結晶/セラミックまたは単結晶構造のものであってよい。実施形態によっては、トランスデューサ素子は、CMUTおよびPMUT設計を含む、MEMs技術を使用して、シリコンを使用して形成することができる。
【0078】
[0083]実施形態によっては、関数発生器は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはその他の適切な関数発生器を含み得る。FPGAは、本明細書の上記で開示したパラメータを使用して構成可能であり、これには、周波数、パルス繰り返し周波数、バースト、パルスを含み得るバースト数、パルス数、パルス長、パルス期間、遅延、バースト繰り返し周波数または期間が含まれるが、これらには限定されず、ここでバーストのセットはパラメータセットを含み得、ループセットは様々なパラメータセットを含み得、遅延ありもしくは遅延なし、または異なる遅延を有し、時間遅延が異なり、独立して制御される複数のループセットの繰り返しおよび/または新規ループセットの導入が可能であり、全体を通じてこれらの様々な組み合わせおよび置換が可能である。
【0079】
[0084]実施形態によっては、発生器または増幅器は、汎用単一サイクルまたは複数サイクルパルス発生器として、クラスDによる駆動または誘導駆動に対応するように、さらに想定されるあらゆる臨床用途、使用環境にわたって対応するように構成されることができ、これについても本開示でその一部を後述する。他の実施形態では、クラスDまたは誘導電流駆動器は、逓増/逓降コンポーネントをさらに提供するために、さらに場合によっては、好ましくは振幅の逓増を可能にするために、変圧器および/または単巻変圧駆動回路を含むように構成され得る。発生器または増幅器は、システムをさらにサポートするため、およびシステムの他の部品(例えば治療トランスデューサおよび/または増幅器回路コンポーネント)および/またはユーザを、使用環境、システムならびに治療システム、およびユーザの危害、損傷または問題を引き起こす可能性のある電気安全上の危険を含むがこれには限定されない様々な危険から保護する機能を設けるために、特定の保護機構も含み得る。
【0080】
[0085]開示の発生器は、システムが(使用可能ソフトウェアツールを介して)、上記で開示されているものを含むがそれらには限定されない様々なパラメータを選択、変更および制御することができる能力、および、治療を開始/停止し、電圧レベル、パルスおよび/またはバースト繰り返し周波数、サイクル数、デューティ比、使用可能チャネルおよび遅延などを設定し、読み取り、高電圧源とは独立した高速時間スケールでパルス振幅を変調する能力、および/またはその他のサービス、診断または治療機能を可能にし、サポートし得る。
【0081】
[0086]実施形態によっては、治療サブシステムおよび/または増幅器などのそのコンポーネントは、組み込みコンピュータ処理機能をさらに含み得、システム間でネットワーク化、接続、アクセス可能、および/または取り外し可能/ポータブル、モジュラおよび/または交換可能とすることができ、および/または他のシステムから/他のシステムによって駆動/指令され、または様々な組み合わせとされ得る。他のシステムには、他の音響キャビテーション/組織破砕、HIFU、HITU、放射線治療、高周波、マイクロ波および冷凍アブレーションシステム、ナビゲーションおよび位置決めシステム、開腹手術、腹腔鏡、単一切開/単一ポート、内視鏡および非侵襲性手術ロボット、他のエネルギー式または視角システムを含む腹腔鏡タワーまたは手術タワー、手術用システムラックまたはブーム、イメージングカートなどが含まれる。
【0082】
[0087]実施形態によっては、1つまたは複数の増幅器が、クラスD増幅器と、マッチング回路コンポーネントを含む関連駆動回路とを含み得る。トランスデューサ素子電気インピーダンスとマッチング回路コンポーネント(例えば直列のインダクタL1と並列のキャパシタC1とからなるLC回路)の選択とに応じて、トランスデューサ素子を駆動するのに必要な高振幅電気波形を有するように、合成インピーダンスを積極的に低く設定することができる。クラスD増幅器の最大振幅は、駆動MOSFET/IGBTトランジスタ、マッチング回路コンポーネントまたはインダクタ、および変圧器または単巻変圧器を含む使用回路コンポーネントに依存し、典型的には低kV(例えば1kVから3kV)の範囲であり得る。
【0083】
[0088]治療トランスデューサ素子は、組織破砕治療にとって十分な圧力出力を発生するような振幅(電圧)の電気波形によって励起される。励起電界は、圧電素子の厚さによる必要波形電圧として定義され得る。例えば、1MHzトランスデューサで動作する圧電素子は、同等の500kHz素子の厚さの半分であるため、同じ電界および表面圧力を達成するために必要な電圧は半分になる。
【0084】
[0089]治療サブシステムは、様々な処置(および処置状況)での使用に対応する、様々な設計および動作パラメータの治療トランスデューサも含み得る。システムは、同様の方式または異なる方式のシステムの様々な態様とさらに互換性があり、連係可能な1つまたは複数の治療トランスデューサを備えて構成され得る(例えば、共通のインターフェースおよび交換機構を使用してロボットアームとインターフェースしてよく、または逆に、特定用途向けイメージングプローブと異なる方式で連係するように適応し、その場合、異なるイメージングプローブが明確に異なる方式で治療トランスデューサとインターフェースし、一体化し得る)。
【0085】
[0090]治療トランスデューサは、大きさ、形状(例えば矩形または円形、解剖学的な曲線状のハウジングなど)、幾何形状、焦点距離、素子数、素子の大きさ、素子の分布(例えば環状パターン形成トランスデューサのリング数、リングの大きさ)、周波数、使用可能電子ビームステアリングなどを含み得る様々なパラメータで構成され得る。トランスデューサは、様々な材料(例えば圧電体、シリコンなど)、フォームファクタおよび種類(例えば機械加工部材、チップベースなど)、および/または様々な製造方法で構成され得る。
【0086】
[0091]トランスデューサは、臨床用途(例えば腹部腫瘍、末梢血管障害、脂肪アブレーションなど)および所望の結果(例えば、介在組織の熱傷のない音響キャビテーション/組織破砕)のために設計され、最適化されることができ、比較的浅い標的および表面の標的(例えば甲状腺結節または乳房結節)と、中枢性肝腫瘍または脳腫瘍などのより深いかまたは到達しにくい標的とを含む、幅広い動作範囲を提供する。トランスデューサは、周波数、パルス繰り返し率、パルス、パルス数、パルス長、パルス期間、遅延、繰り返し、同期遅延、同期期間、同期パルス、同期パルス遅延、様々なループセット、その他およびこれらの置換を含むがこれらには限定されない、上述のシステムコンポーネント(例えば関数発生器および増幅器など)によって使用可能とされる様々なパラメータおよびそのセットの下で、音響キャビテーション/組織破砕を可能にするように構成され得る。トランスデューサは、ミセルまたはナノ構造の注入、留置または送達を含む様々な手段により、組織内に蓄積させた薬物ペイロードの活性化を可能にするようにも設計可能である。
【0087】
組み込みイメージング
[0092]本開示のシステムは、処置を評価し、計画し、実施し、必要に応じて治療パラメータを調整するために、ユーザが、患者の生体構造、関連関心領域および治療/処置部位と、周囲組織および介在組織のフィードバックを視覚化し、監視し、収集/使用することができるようにする、様々なイメージングモダリティを含み得る。イメージングモダリティは、様々な超音波、X線、CT、MRI、PET、蛍光透視、光学、造影または造影剤型、および/またはこれらの様々な組み合わせを含み得る。強化された視覚化およびユーザ意思決定を可能にするために、様々な画像処理および特性解析技術も使用可能であることがさらに開示される。これらは、ユーザによって手動で、またはシステムによって自動的に選択または指令され得る。システムは、処置中に、様々なシステムユーザインターフェースおよびディスプレイに表示される、イメージングを使用する様々な局面をユーザが識別、規定および通知することができるようにする、並置、トグル、重ね合わせ、3D再現、区分化、位置合わせ、マルチモーダル画像癒合、画像フロー、および/または任意の方法を可能にするように構成され得る。例としては、関心領域、器官系、器官または組織内、器官または組織上および/またはその周囲の考えられる治療部位の位置特定、表示および特性解析、腺管、血管、神経、尿管、裂溝、嚢、腫瘍、組織損傷/負傷/疾病、その他の器官、結合組織などの重要構造など、および/または、これらのうちの1つまたは複数の互いに対する関係(例えば、腫瘍排出リンパ節または脈管、または臓器嚢近傍の腫瘍または下にある他の器官)の識別が、非限定的な例として含まれ得る。
【0088】
[0093]システムを、オンボード組み込みイメージングハードウェア、ソフトウェア、センサ、プローブおよびウェットウエアを含むように構成することができ、および/または、外部イメージングシステムおよび画像処理システムと通信およびインターフェースするように構成することができる。上記のコンポーネントは、システムの治療サブシステムコンポーネントに組み込みことも可能であり、その場合、プローブ、イメージングアレイなどが治療トランスデューサに電気的、機械的、または電気機械的に組み込まれる。これは、治療が直接視野内にある状態で、場合によってはイメージングに沿って、幾何学的に位置合わせされたイメージングと治療とを有することができる機能を、部分的に提供し得る。実施形態によっては、この組み込みは、治療トランスデューサとの関係におけるイメージング機能(例えばイメージングプローブ)の固定した向きを含み得る。他の実施形態では、イメージング製品は、それ自体の位置を移動または調整することができてもよく、これには、能動的に撮像しながら動的に移動/調整することを含む、角度、伸長(例えば治療トランスデューサまたは患者からの距離)、回転(例えば、超音波プローブの例における撮像面)、および/またはその他のパラメータの修正が含まれる。イメージングコンポーネントまたはプローブは、治療トランスデューサおよび/またはロボット対応位置決めコンポーネントなどのシステムの別の面を基準にしてその向きおよび位置が決定され得るようにエンコードすることができる。
【0089】
[0094]一実施形態では、システムは、システムディスプレイおよびソフトウェアを介してユーザが処置部位の視覚化し、監視し、フィードバックを受け取ることができるようにするようにさらに構成されたオンボード超音波機構を含むことができ、これには超音波イメージングおよび特性解析(およびその様々な形態)、超音波誘導型計画および超音波誘導型治療をすべてリアルタイムで可能にすることが含まれる。システムは、ユーザが手動、半自動化または完全自動化手段で(例えば手またはロボット対応撮像装置を使用して)患者を撮像することを可能にするように構成され得る。
【0090】
[0095]実施形態によっては、イメージングフィードバックおよび監視は、他の形態のイメージング(例えばCTまたはMRI)による表示または他の形態のイメージングと統合されるものを含む、気泡雲からの後方散乱、後方散乱におけるスペックル減少、後方散乱スペックル統計、組織の力学的特性(すなわちエラストグラフィ)、組織潅流(すなわち超音波造影)、剪断波伝播、アコースティックエミッション、電気インピーダンストモグラフィ、および/またはこれらの様々な組み合わせの変化を監視することを含み得る。
【0091】
[0096]実施形態によっては、気泡雲からの後方散乱からのフィードバックおよび監視を含むイメージングを、組織破砕プロセスが開始されたか否か、適正に維持されているか否か、または停止されたか否かを即座に決定する方法として使用することができる。例えば、この方法は、薬物送達、組織侵食などをリアルタイムで連続的に監視することを可能にする。また、この方法は、組織破砕プロセスをより高い強度で開始し、大幅により低い強度で維持することを可能にするフィードバックも提供することができる。例えば、任意のトランスデューサまたは超音波撮像装置によって後方散乱フィードバックを監視することができる。治療トランスデューサのフィードバックを測定することによって、補助トランスデューサが呼びかけパルスを送出することができるか、またはキャビテーションを受動的に検出するように構成され得る。また、薬物送達および/または組織侵食プロセスを最適化するように音響パラメータ(および関連システムパラメータ)を調整するために、受け取ったフィードバックの性質を使用することができる。
【0092】
[0097]実施形態によっては、後方散乱およびスペックル減少からのフィードバックおよび監視を含むイメージングが、システムにおいて構成され得る。
【0093】
[0098]後方散乱によるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、組織が徐々に機械的に細分され、言い換えると均質化され、破砕され、または侵食されるにつれて、このプロセスの結果として音響散乱のサイズと分散が変化する。このプロセスのある時点において、超音波がほとんど散乱しないレベルまで散乱粒度および密度が低減するか、または散乱量が大幅に減少する。この結果、コヒーレントな照明源、この場合、超音波が使用される場合に画像上に見られる光と暗いスポットとのコヒーレントな建設的干渉パターンと相殺的干渉パターンであるスペックルが、有意に減少する。ある程度の治療時間後、スペックル減少の結果として、治療体積内に暗い領域が生じる。スペックル減少の量は組織細分化の量と関係しているため、残存組織断片の大きさに関係付けられ得る。このサイズが細胞以下レベルまで縮小すると、残存している細胞がないとみなされる。したがって、所望のスペックル減少レベルに達するまで治療が進行し得る。スペックルは、標準超音波イメージングシステム上で容易に観察され、評価される。後方散乱の変化を評価するために、本明細書に記載のものを含む専用トランスデューサおよびシステムも使用可能である。
【0094】
[0099]また、スペックルによるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、散乱分布が変化せず、被写体の動きがない限り、画像がフレーム間で持続し、変化がきわめて少ないことがある。しかし、散乱の大きさがスペックル減少を生じさせるのに十分に縮小されるかなり前に、散乱は信号処理およびその他の手段によって検出されるのに十分に変化し得る。この系統の技術は、スペックル統計の変化の検出器として機能し得る。例えば、観察可能なスペックル減少が起こる前に、画像中の1つまたは複数のスペックルの大きさと位置の相関が失われ始める。スペックル無相関は、適切な動き補正後、組織の機械的破砕の感度の高い測定基準、したがって治療有効性の測定基準となり得る。このフィードバックおよび監視技術は、音響キャビテーション/組織破砕プロセスの結果としての変化の早期観察を可能にし、大幅なまたは完全な組織効果(例えば侵食の発生)の前に、組織における変化を特定することができる。一実施形態では、この方法は、治療部位/組織が経時的に破砕され、組織損傷/侵食が望まれない、高度な薬物送達のための音響キャビテーション/組織破壊プロセスを監視するために使用され得る。他の実施形態では、これには、次第に流体化する治療体積における散乱の動きによるスペックル無相関が含まれ得る。例えば、部分的または完全な組織侵食が望まれる場合である。
【0095】
[0100]エラストグラフィによるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、治療部位/組織が音響キャビテーション/組織破砕効果によりさらに細分化(均質化、破砕または侵食)されると、その力学的特性が、柔らかいが互いにつながった固体から、遠距離相互作用がほとんどない粘性流体またはペースト状に変化する。力学的特性のこのような変化は、MRIおよび超音波イメージングシステムを含む様々なイメージングモダリティによって測定可能である。例えば、超音波パルスを使用して組織の局在体積上に力(すなわち放射圧)を生じさせることができる。この組織反応(変位、歪みおよび速度)は、組織破砕治療中に有意に変化し得、組織破砕の状態をイメージングまたはその他の定量的手段により判断することを可能にする。
【0096】
[0101]システムは、剪断波伝播の変化によるフィードバックおよび監視も含み得る。背景情報として、組織の細分化は、組織をより流体化し、より固形状でなくし、流体系は一般に剪断波を伝播させない。したがって、組織の流体化の程度によって、組織破砕プロセスのフィードバックと監視の機会が与えられる。例えば、剪断波の伝播を観察するために超音波およびMRIイメージングシステムを使用することができる。治療体積におけるこのような波の消失が、組織破壊または破砕の測定基準として使用される。システムの一実施形態では、相互作用する剪断波を発生させ、測定するために、システムとサポートサブシステムとを使用することができる。例えば、2つの隣接した超音波焦点は、組織を特定の仕方で押すことによって組織に摂動を与える場合がある。隣接し合う焦点が流体にある場合、互いに相互作用するように伝播する剪断波はない。組織が流体化されていない場合、例えば、その消失が組織損傷と相関する2つの剪断波が非線形に相互作用する場合にのみ検出される異なる周波数により、外部手段を使用して相互作用が検出されることになる。したがって、システムは、音響キャビテーション/組織破砕処置のフィードバックおよび監視を強化するためにこのモダリティを使用するように構成され得る。
【0097】
[0102]アコースティックエミッションによるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、組織体積が細分化されるにつれて、それが音響キャビテーション/組織破砕に与える影響(例えばここでは気泡雲)が変化する。例えば、気泡が大きくなり、異なる寿命を有し、潰れて、無傷の組織と流体化した組織とで特性を変化させ得る。気泡は、組織が細分化された後でも移動し、相互作用することができ、より大きな気泡、または気泡間の共同的相互作用を生じさせ、これらすべての結果としてアコースティックエミッションが変化する。このようなエミッションは治療時に聞くことができ、治療中に変化する。このような変化と、変化と治療効果との相関関係の分析が、治療の進捗状況の監視を可能にし、システムの機能として構成され得る。
【0098】
[0103]電気インピーダンストモグラフィによるフィードバックおよび監視を含むシステムの場合、および背景情報として、治療部位全体の空間的電気特性に基づいて治療部位のインピーダンスマップを作成することができる。皮膚表面の電気測定を行うことにより、患者の治療部位の導電率または誘電率のイメージングを推定することができる。患者の皮膚に導電電極を取り付け、電極のうちのいくつかまたは全部に微小交流電流を印加する。この表面に1つまたは複数の既知の電流が注入され、電極を使用して複数の点で電圧が測定される。印加電流の異なる設定についてこのプロセスを繰り返すことができる。結果の画像の解像度は、採用する電極の数を変えることによって調整可能である。インピーダンスマップから皮膚表面内の治療部位の電気特性の測定量を求めることができ、システムおよびサポートサブシステムの構成に従ってこれを使用して音響キャビテーション/組織破砕(例えば具体的には気泡雲)の変化および場所と、組織破砕プロセスとを監視することができる。
【0099】
[0104]ユーザは、さらに、(画像上の)様々な関心領域または治療部位、および画定された治療標的を選択、注釈、マーク、強調および/または輪郭付けすることができるようにされてよく、これらはシステムに、撮像、試験および/または治療する場所をシステムソフトウェアとユーザインターフェースおよびディスプレイとを介して指令および指示するために使用することができる。構成によっては、ユーザは処置を行うために手動超音波プローブ(例えば診断用手持ち型プローブ)を使用し得る。別の構成では、システムは、指示された、および/またはシステムによって自動化された処置を行うためにロボットおよび/または電気機械式位置決めシステムを使用することができるか、または逆に、システムが手動使用と自動化使用の組み合わせを可能にし得る。
【0100】
[0105]システムは、治療部位(例えば、腫瘍、重要構造、骨解剖学的構造、解剖学的構造およびこれらの特徴の特定など)を含む、患者に対するシステムのナビゲーションおよび位置特定を可能にするための撮像および画像データセット位置合わせを含む、画像位置合わせを行う能力をさらに含み得る。一実施形態では、システムは、ユーザが、組み込み超音波を使用して関心領域、例えば肝臓を撮像および特定し、システムソフトウェアを介して/システムソフトウェアにおいて表示された肝臓内に含まれる腫瘍(またはその代理マーカ)を選択およびマークすることができるようにし、その際、上記システムは、システムによって規定され、システムの治療およびロボットサブシステムが上記マークされた腫瘍に対して同期された音響キャビテーション/組織破砕を行うことをさらに可能にする、座標系に画像データを位置合わせする。システムは、上記で開示したものを含む様々な画像セットを互いに位置合わせするとともに、(例えば、CTまたはMRI/超音波融合画像への治療トランスデューサおよびロボットサブシステム追跡による、上記画像への治療トランスデューサの)ナビゲーションと位置特定とを提供する能力をさらに含み得る。
【0101】
[0106]システムは、様々な介入、内視鏡および手術環境において動作する能力も含むことができ、これには、単独動作および他のシステム(手術/腹腔鏡タワー、視覚システム、内視鏡システムおよびタワー、超音波使用可能内視鏡超音波(可撓性および剛体)、経皮/内視鏡/腹腔鏡および低侵襲ナビゲーションシステム(例えば、光学、電磁、形状検知、超音波使用可能など)との共同が含まれ、これらも様々な光学イメージング機能(例えばファイバおよび/またはデジタル)と連係するかまたは含むことができる。本開示のシステムは、これらのシステムと連係するように構成可能であり、実施形態によってはそれらのシステムと並置されて連係し、または他の実施形態では、システムの全部または一部(例えば音響キャビテーション/組織破砕使用可能内視鏡システムまたは腹腔鏡手術ロボット)が上記のシステム/プラットフォームに組み込まれてもよい。これらの環境の多くにおいて、例えば光学誘導型内視鏡/気管支鏡の使用時または使用前後、または別の実施例として腹腔鏡ロボット(例えば、Intuitive Da Vinch*Xiシステム)が組織/治療部位を観察/操作しているときに、治療トランスデューサを使用することができる。また、これらの環境および実施例は、通常の状況では存在し得ない(例えば、非侵襲性経胸腔治療による音響キャビテーション/組織破砕に備えて肺の一画または一葉を流体化する)人工音響窓の作成を可能にするために、上記他のシステム/プラットフォームが(局所的に)流体を送り込むために使用される場合を含み得る(例えば患者の上/周囲に外部から配置されたトランスデューサ)。本明細書で開示されているシステムは、本明細書に記載の他のシステムカート/コンソール/システム内にパッケージ化された、そのサブシステムハードウェアの全部または一部も含み得る(例えば、上記ナビゲーションまたは腹腔鏡システムから組み込まれ操作される音響キャビテーション/組織破砕システムおよび/またはサブシステム)。
【0102】
[0107]システムは、様々な上記のパラメータおよびその他のパラメータによって、組織/気泡雲相互作用による治療中/治療後の結果の組織効果を含む、気泡雲のリアルタイム視覚化を時空間的に表示するようにも構成可能であり、その場合、システムは気泡雲とその変化(例えばエコー輝度の低下および上昇)とを動的に撮像、視覚化および表示することができ、これには強度、形状、サイズ、場所、形態、持続性などが含まれ得る。これらの機能は、ユーザが治療を、1つの統合された処置およびインターフェース/システムにおいてリアルタイムで連続して追跡し、辿ることができるようにし、治療の安全性および有効性をその場で確認することができるようにし得る(これは、同じことを実現するために複数の処置を必要とするかまたは治療効果をリアルタイムで見ることができない(例えば放射線治療)か、またはそのようなことが実現不可能であるか(例えば熱アブレーション中の局所組織のリアルタイム視覚化)、および/または他の処置がさらなる侵襲性手法(例えば切開または穿刺)および処置ステップ間でスキャナにおいて反復撮像(CTまたはMRIスキャニング)を必要とする、他の介入または手術モダリティとは対照的である)。上記開示のシステム、サブシステム、コンポーネント、モダリティ、機構およびワークフロー/使用方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ユーザインターフェースおよび使用環境を使用可能にすることにより無制限な方式で実装可能であり、この分野における将来の改良、増強、および発明は、その結果のデータと、分析、人工知能またはデジタル健康用途およびシステムのためにそのデータを使用する手段とともに、本開示の範囲に含まれるものとみなされる。
【0103】
ロボット
[0108]システムは、音響キャビテーション/組織破砕を実施および監視するために、システムの他のサブシステムまたはコンポーネントとさらに共働し得る、1つまたは複数のロボットアームおよびコントローラを含むがこれらには限定されない、様々なロボットサブシステムおよびコンポーネントを含み得る。本明細書で上述したように、ロボットアームおよび制御システムは、1つまたは複数のカート構成に組み込まれ得る。
【0104】
[0109]例えば、システムの一実施形態は、組み込みロボットアームと制御システムとを備えたカートと、治療、組み込みイメージングおよびソフトウェアとを含み得、ロボットアームおよびその他の列挙されているサブシステムは、単一のベッドサイドカートのフォームファクタによりユーザによって制御される。
【0105】
[0110]他の実施形態では、ロボットサブシステムは、別個のマスターまたはカートからマスター/スレーブ構成で駆動され得る1つまたは複数の別個のカートにおいて構成されることができ、その場合、ロボット対応カートはベッド/患者の傍に配置され、マスターは上記カートから距離をおいた場所にある。
【0106】
[0111]開示のロボットアームは、複数の関節と、区画と、自由度とからなることができ、様々な使用および安全機能のために実装された様々な組み込みセンサの種類およびエンコーダも含み得る。検知技術およびデータには、一例として、視覚、電位差計、位置/位置特定、運動、力、トルク、速度、加速度、および/または動的ローディングなどが含まれ得る。場合によっては、ユーザがロボットコマンド(例えば、ロボットを好ましいセットアップ位置にし、または定位置に格納する手振り)を指示するためにセンサが使用され得る。ロボットアームに関するさらなる詳細は、Kassowらの米国特許公開第2013/0255426号に記載されており、参照によりその全体が本明細書で開示される。
【0107】
[0112]ロボットアームは、カートに収容可能なロボット制御システムから制御信号とコマンドを受信する。システムは、位置、追跡、パターン、トリガおよびイベント/アクションを含むがこれらには限定されない、様々な機能を提供するように構成され得る。
【0108】
[0113]位置は、固定位置、パレット位置、時間制御位置、距離制御位置、可変時間制御位置、可変距離制御位置を含むように構成され得る。
【0109】
[0114]追跡は、時間制御追跡および/または距離制御追跡を含むように構成され得る。
【0110】
[0115]移動のパターンは、中間位置または中間点と、空間内の画定された経路を通る一連の位置とを含むように構成され得る。
【0111】
[0116]トリガは、本明細書で開示されているものと、視覚/イメージング式、力、トルク、位置特定、エネルギー/パワーフィードバックおよび/またはその他を含むがこれらには限定されない、距離測定手段、時間、および/または様々なセンサ手段を含むように構成され得る。
【0112】
[0117]イベント/アクションは、近接方式(標的物に対する接近/離隔)、様々なエフェクタ(例えば治療トランスデューサ)の起動または停止、上記イベントの開始/停止/中断シーケンス、イベント/アクションのトリガまたはトリガの切り替え、移動のパターンの開始、移動のパターン間の変更/トグル、および/または、規定された作業および時空間にわたる時間ベースまたは時間的イベント/アクションを含む、様々な例を含むように構成され得る。
【0113】
[0118]一実施形態では、システムは、ユーザが(システムのソフトウェアおよび関連ユーザインターフェースを介して)治療トランスデューサをX、YおよびZ座標系によりマイクロ位置決めを行うことができるようにすることを可能とされた、3自由度ロボット位置決めシステムを含み、トランスデューサの粗マクロ位置決め(例えばトランスデューサを患者の身体に位置合わせする)は手動で行われる。実施形態によっては、ロボットは、X、Y、Zとピッチ、ロールおよびヨーを含む6自由度を含み得る。他の実施形態では、ロボットサブシステムは、ロボットアーム支持基部を患者面のおおよその方向に並行な線形軸に沿って位置決めすることができるようにし、および/または支持基部の高さを上方または下方に調整することができるようにし、それによってロボットアームの位置を患者、患者面、カート、結合サブシステム、追加のロボット/ロボットアーム、および/または、手術タワー、イメージングシステム、内視鏡/腹腔鏡システムなどを含むがこれらには限定されない追加の手術システムを基準にして修正することができるようにする、さらなる自由度を含み得る。
【0114】
[0119]1つまたは複数のロボットアームは、手動または半手動でアーム位置を操作および修正するのを支援する様々な機構も含み得、この機構は治療トランスデューサとロボットアームの最遠端関節の上またはその間でインターフェースし得る。実施形態によっては、この機構は、1つまたは複数の手による操作および手動制御を可能にするハンドルを含むように構成される。ハンドルは、アームの大まかな位置決めまたは微細位置決めを支援するようにロボットを作動させるために、様々な駆動機能またはモードを指令する(例えば自由駆動モードを起動または停止させる)ロボットアームのユーザ入力および電子制御機構を含むようにも構成され得る。治療トランスデューサがアームに直接インターフェースした状態で、まず治療トランスデューサ/ヘッドを結合溶液中で位置決めすることを可能にするか、または異なるワークフローにおいて、ユーザがまず結合溶液をセットアップすることができるようにし、後の/最終のセットアップステップとしてロボットアームが治療トランスデューサ/結合溶液とインターフェースすることができるようにするように、ロボットアームおよび治療ヘッドの初期位置決めのためのワークフローを構成することができる。
【0115】
[0120]実施形態によっては、ロボットアームは、腹腔鏡、単一ポート、内視鏡、これらのハイブリッドまたは組み合わせ、および/またはその他のロボットのロボットアームを含むことができ、システムの上記ロボットは上記アームを制御するマスターのスレーブとすることができ、場合によっては、1つまたは複数の腹腔鏡アーム(および計器)および様々な組織破砕システムコンポーネントを作動させることを含む、他のタスク(視覚、撮像、把持、切断、結紮、封着、閉鎖、ステープリング、アブレーション、縫合、マーキングなど)を並行して実行するように装備された複数の他のアームであってもよい。例えば、より理想的な音響アクセスを提供するように器官位置を操作することと、場合によっては呼吸運動を最小限にするように上記器官をさらに安定させることとを含む、手術部位の準備をするために、腹腔鏡ロボットを使用することができる。これと連動し、並行して、治療トランスデューサからのリアルタイム撮像(例えば超音波)の下で、腹腔鏡カメラによる同時視覚化とにより観察しながら、体腔を通して非侵襲性音響キャビテーションを実施するために、第2のロボットアームを使用することができる。他の関連態様では、内視鏡手法と非侵襲性手法の組み合わせ、さらには内視鏡と腹腔鏡と非侵襲性手法との組み合わせとともに、同様の手法が使用され得る。
【0116】
結合
[0121]システムは様々な結合サブシステム実施形態を含み得、それらは効果的な音響キャビテーション/組織破砕を提供するために患者への音響結合(例えばトランスデューサと患者との間に音響媒質とその支持を設ける)を可能とするように使用可能とされ、構成される。結合サブシステムは、開放溶液および密閉溶液と、音響媒質の動的制御を可能にするように構成され得るいくつかの機構とを含む、結合サブシステムの異なるフォームファクタを含み得る(例えば、温度、溶存ガス濃度、微粒子濾過レベル、滅菌など)。このような動的制御コンポーネントは、(カート内の)システムに直接組み込み可能であり、またはシステムと通信可能であるが外部に位置してもよい。
【0117】
[0122]結合サブシステムは、典型的には、最低限、結合媒質と、その結合媒質を収容する貯蔵器/容器と、支持構造とを含む。ほとんどの実施形態において、結合媒質は水であり、水は、処置前または処置中に調整され得る(例えば冷却、脱気、濾過など)。システムの構成とその使用目的/用途とに基づいて、様々な調整パラメータが採用され得る。
【0118】
[0123]貯蔵器または媒質容器は、患者に適応する/沿うような形態および形状とされ、治療トランスデューサが、画定された所要作業空間(治療トランスデューサが位置づけられ、および/または1つまたは複数の治療位置またはパターンを通り、患者からの様々な離隔位置および深度などで移動することができるようにする媒質の最低容積)に従って音響媒質内にはめ込まれ、機能することができるように形成され、形状とされることができ、上記貯蔵器または媒質容器は、機械的および/または電気機械的支持構造を使用して荷重および荷重の分散を機械的に支持することもできる。容器は、様々な形状、大きさ、曲率、および寸法のものであってよく、様々な材料(単一、複数、複合材料など)からなってよく、全体にわたって異なっていてもよい。実施形態によっては、容器は、挿入可能および取り外し可能、および/または内部に組み付けられ得るフィルム、覆布、膜、蛇腹などの機構を含み得る。容器は、様々なセンサ、排出管、ライト(例えばLED)、マーキング、文字などをさらに含み得る。
【0119】
[0124]一実施形態では、貯蔵器または媒質容器は密封可能フレームを収容しており、患者との界面として(後で治療トランスデューサを含む)貯蔵器と接触し、さらに、患者とトランスデューサとの間の媒質(例えば水)に障壁を与える、快適な手段を提供するようにその内部に膜および/またはフィルムが配置され得る。他の実施形態では、膜および/またはフィルムは、開口部を含み得、開口部の縁は患者に対して機械的密封を与えるが、その一方で患者との媒質連通(例えば患者との直接的水界面)を可能にする。これら両方の実施例における貯蔵器または媒質容器の上部構造は、(例えばこぼれを防ぐため、または追加の機構を提供するための)開放または密閉される構造の近位部(例えば上部)をさらに提供し得る。
【0120】
[0125]開示の膜は、様々なエラストマ、粘弾性ポリマー、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマ、熱硬化性ポリマー、シリコーン、ウレタン、硬質/軟質コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマーなどからなり得る。材料は、親水性、疎水性、表面改質、コーティング、抽出材料などとすることができ、性能、外見、または安定性を増強するための様々な添加物も含み得る。実施形態によっては、熱可塑性エラストマはスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)またはその他の同様の強い軟質のエラストマとすることができる。
【0121】
[0126]上記の材料は、成形、一体成形、熔射、超音波熔射および/または有用な実施形態を製作する任意のその他の加工法により、有用な膜として形成され得る。膜は、使い捨てまたはリポーザブル/再使用可能とすることができる。膜は、非殺菌、無菌洗浄、または無菌で提供されてよく、殺菌は、エチレンオキサイド、ガンマ、電子ビーム、高圧蒸気殺菌、蒸気、過酸化物、プラズマ、化学殺菌などを含むがこれらには限定されない、任意の既知の方法を含み得る。膜は、結合サブシステムの組み付け時に機械的安定性をもたせるように成形外枠をさらに備えて構成され得る。厚さ、厚さプロファイル、密度、配合(例えばポリマー分子量およびコポリマー比率)を含む膜の様々なパラメータは、この使用法のために最適化されることができ、これには、キャビテーション開始閾値および/または、膜の反射を含むがこれには限定されない超音波イメージングアーチファクトへの影響を最小限にすることを含む、特に音響特性を最大化するための最適化が含まれる。
【0122】
[0127]開放型貯蔵器または媒質容器は、場合によっては水の所定の仕様(例えば温度レベルおよびガス飽和率など)に従ったその中に送り込まれ得る事前調整媒質または水の使用を含む、様々な充填方法を含み得、または、充填と排出とを可能にする設計と一体化された追加の機構(例えばポート、バルブ、ホース、管、取り付け具、バッグ、ポンプなど)を含み得る。
【0123】
[0128]密閉型の貯蔵器または媒質容器は、密封のための様々な機構を含み得、実施形態によっては貯蔵器/容器の近位部/上部または構造に対する密封を含み、または他の場合には、密封はトランスデューサまたはトランスデューサハウジング上の機構に対して密封する実施形態を含み得る。また、一部の実施形態は、流体内の気泡または乱流発生の可能性を最小限にするためと、トランスデューサを移動させずに標的エリアに対する焦点距離の変更を可能にするために、これらの設計内の流体の量を制御する動的機能を含み得る。したがって、上記でいくつか開示した、様々な流体パラメータを監視し、制御する機能を含む、流体連通とその制御を可能にする組み込み機構(流体を要求に応じて供給/除去する機能)が設けられてもよい。この機能を提供するために、システム全体および一部として結合サブシステムは、様々な電気機械デバイス、システム、電力、検知、コンピューティングおよび制御システムなどを含み得る流体調整システムを含み得る。貯蔵器は、トランスデューサを移動させずに標的点を調整することができるようにするために、特定の制御された方式で貯蔵器を変形または形状変化させる信号を受信するように構成されてもよい。
【0124】
[0129]結合サポートシステムは、貯蔵器/容器および媒質を患者および作業空間(例えばベッド)とインターフェースさせる様々な機械サポートデバイスを含み得る。実施形態によっては、サポートシステムは、3以上の自由度を有する機械アームを含む。このアームは、フレーム、レール、カスタマイズされたレールまたは挿入物を含むがこれらには限定されないベッドの1つまたは複数の場所(機構)、および貯蔵器または容器の1つまたは複数の場所とインターフェースし得る。アームは、1つまたは複数のカート上に実装された機構とすることができ、カートは様々な非限定的な置換形態で構成されてよく、場合によっては、カートは、支持し、開示されている支持構造を提供する役割のみを備えてもよい。
【0125】
[0130]実施形態によっては、支持構造およびアームは、スタンドアロン型カートとして実装されるかまたは2つ以上のサブシステムをさらに含むカートに組み込まれた、ロボット対応アームとすることができ、またはロボット対応アームが介入、手術またはその他の種類の別のロボットのアームであり、ロボットアームおよび/または結合溶液機構(例えば、充填、排出など)を作動させ/制御する(例えば結合媒質内/内部に位置決めする)ための様々なユーザ入力機構をさらに含み得る。
【0126】
ソフトウェア
[0131]システムは、ユーザが多くの臨床用途のためにシステムと対話し、制御し、使用することができるようにする、様々なソフトウェアアプリケーション、機構およびコンポーネントを含み得る。ソフトウェアは、システムの治療、組み込みイメージング、ロボットおよびその他のコンポーネント、補助機構および付属物を含むがこれらに限定されないサブシステムのうちの1つまたは複数と通信し、連係することができる。
【0127】
[0132]全体として、特定の重要度順序なく、ソフトウェアは、システムを初期設定し、セットアップし、システムにサービス提供し、データの通信/インポート/エクスポート/記憶を行い、ユーザによる様々な設定およびパラメータの変更/操作/構成/制御/指令を行い、安全およびユーザに関連する危険を低減し、処置を計画し、トランスデューサ、ロボットアーム、および駆動システムの様々な構成、関数発生器および増幅器回路/スレーブ、試験および治療超音波シーケンス、トランスデューサのステアリングおよび位置決め(電気機械および電子ビームステアリングなど)、治療パターン、イメージングおよびイメージングプローブのためのサポート、その手動および電気機械式/ロボット式移動、処置および治療部位内またはその周囲の様々な寸法(例えば1つの解剖学的部位から別の部位までの深度など)の測定/特性解析のための撮像サポート、原位置治療部位特性および状態(例えば音響キャビテーション/組織破砕閾値およびその異質性)の測定/特性解析のための治療前診断およびプロトコル、標的合わせおよび標的位置合わせ、キャリブレーション、マーキング/注釈、位置特定/ナビゲーション、位置合わせ、誘導、ワークフローの提供およびガイド、処置ステップ、治療計画およびプロトコルの自律的実行、自律的、および目視のための様々な視野および観察視点を含むソフトウェアによる表示に従ったリアルタイム撮像を使用して直接観察および目視しながらの自律的な実行、通信ツール(ビデオ、音声、共有など)、トラブルシューティング、指示、警告、警報の提供、および/または様々なネットワーキングデバイスおよびプロトコルを介した通信にサポートを提供する、機構およびサポートを提供し得る。また、ソフトウェアユーザインターフェースおよびサポートディスプレイが、ユーザがシステムとユーザフレンドリーに効果的に対話することを可能にする様々なボタン、コマンド、アイコン、グラフィクス、テキストなどを含むことができ、これらが非限定的な数の置換、レイアウトおよびデザインで提示され、複数のディスプレイ(例えばタッチスクリーンモニタとタッチパッド)を含むことができ、および/または1つまたは複数の外部ディスプレイまたはシステム(例えば、別のロボット、ナビゲーションシステム、システムタワー、コンソール、モニタ、タッチディスプレイ、モバイルデバイス、タブレットなど)とネットワーク化可能な、システムのための類似または異なる方式または機構セットで表示され得ることもさらに構想される。
【0128】
[0133]ソフトウェアは、1つまたは複数のコンピュータプロセッサを含む代表的なシステムの一部として、様々な上記の関数発生器(例えばFPGA)、増幅器、電源および治療トランスデューサをサポートし得る。ソフトウェアは、ユーザが音響キャビテーション/組織破砕のための様々なパラメータおよび設定を選択、決定および監視することを可能にするように構成されることができ、パフォーマンスおよび状態に関するフィードバックの観察/受領時に、ユーザが上記パラメータおよび設定を停止/開始/変更することができるようにし得る。
【0129】
[0134]ソフトウェアは、ユーザが複数のトランスデューサのリストまたはメニューから選択することができるようにし、上記トランスデューサがシステムに接続されると上記トランスデューサの自動検出(および選択されたアプリケーションに基づく適切なシーケンスおよびパラメータ設定の検証)をサポートするように構成され得る。他の実施形態では、ソフトウェアは、特定のトランスデューサ選択に基づいて標的合わせおよび増幅器設定(例えばチャネル)を更新することができる。ソフトウェアは、治療前入力および計画入力に基づいてトランスデューサ推奨も提供し得る。逆に、ソフトウェアは、上記治療トランスデューサ、増幅器および/または関数発生器の選択またはパラメータが誤っているか、不良または傷害を引き起こす場合、ユーザにエラーメッセージまたは警告を与え得る。これには、その詳細および場所を報告することがさらに含まれ得る。
【0130】
[0135]上記に加えて、ソフトウェアは、ユーザがリストまたはメニューから治療シーケンスおよびプロトコルを選択することと、選択されたおよび/または前に選択されたシーケンスおよびプロトコルを特定の臨床使用または患者プロファイルに関連付けて記憶することとを可能にするように構成され得る。関連プロファイルは、任意の関連付けられた患者、処置、臨床データおよび/または技術データを含むことができ、(例えば新たな治療を構築し、ガイドするためのシリアルデータセットを使用して)意思決定支援としてであるか処置自体の能動的一部としてであるかを問わず、現在または将来の治療または処置/介入を通知、修正および/またはガイドするために使用され得る。
【0131】
[0136]計画の一部として、または治療中に、ソフトウェア(システムの他のコンポーネントと連係して)は、音響キャビテーション/組織破砕を達成し、維持し、動的に制御すべく、治療パラメータが確実に最適化されるようにユーザ選択関心領域または定義済み治療範囲/体積全体の最小キャビテーション閾値を決定するために、ユーザが、上記領域または範囲/体積の様々な部位における音響キャビテーション/組織破砕閾値を評価および試験することができるようにし得る。一実施形態では、システムは、ユーザが様々な点における閾値パラメータを手動で評価し、試験することができるようにする。これらの点は、選択された関心領域および治療範囲/体積の画定された境界、境界の内部、および部位/位置の中心にある点を含み得、結果の閾値測定値がユーザに対して報告/表示されるとともに、治療の前に治療パラメータを更新するために使用することができる。別の実施形態では、システムは、上記のロボットサブシステムによって使用可能にされる自動閾値測定および更新を可能にするように構成されることができ、その場合、ユーザがロボットに指示することができるか、またはロボットが測定を自律的に実行するように指令され得る。
【0132】
[0137]ソフトウェアは、コンピュータプロセッサおよび1つまたは複数の関数発生器、増幅器、治療トランスデューサと連係することによって、最適化された音響キャビテーション/組織破砕を選択された範囲/体積全体において実施し、位置決めする様々な置換を可能にするように構成され得る。これには、純粋に電気機械式位置決め構成を使用した固定/自然焦点配置、(電気機械式位置決めを使用した、または使用しない)電子ビームステアリング、さらなる電気機械式位置決めによる新たに選択された固定焦点への電子ビームステアリング、横方向(XおよびY)電気機械式位置決めによる軸方向(Z軸)電子ビームステアリング、横方向電気機械式位置決めによる高速軸方向電子ビームステアリング、3D空間における高速ビームステアリング、閾値測定値に基づいて治療パラメータを更新する上述の機能に基づく1つまたは複数の音響キャビテーション/組織破砕パラメータの動的変更(例えば治療範囲/体積全体の振幅の動的調整)を含むこれらの様々な組み合わせを備えて構成されたシステムが含まれ得るが、これらには限定されない。
【0133】
その他のコンポーネント、補助機構および付属物
[0138]システムは、コンピュータ、コンピュータプロセッサ、高電圧電源を含む電源、コントローラ、ケーブル、コネクタ、ネットワークデバイス、セキュリティ、通信、病院情報システムを含む情報システムへの組み込みのためのソフトウェアアプリケーション、セルラ通信デバイスおよびモデム、手持ち型有線または無線コントローラ、高度視覚化用ゴーグルまたは眼鏡、拡張現実または仮想現実アプリケーション、カメラ、センサ、タブレット、スマートデバイス、電話、物のインタネット対応機能、特殊用途「apps」またはユーザトレーニング資料およびアプリケーション(ソフトウェアまたは紙ベース)、バーチャルプロクタまたはトレーナ、および/またはその他の対応機構、デバイス、システムまたはアプリケーション、および/または上記を使用する方法を含むがこれらには限定されない、様々なその他のコンポーネント、補助機構および付属物を含み得る。
【0134】
システム変形態様および方法/アプリケーション
[0139]広範囲な処置を行うことに加えて、システムは、ユーザを支援するための強化された計画、イメージングおよびガイダンスなどの追加の利点を可能にし得る。一実施形態では、システムは、ユーザが、患者、標的および用途固有の治療計画を作成することを可能にすることができ、その場合、システムは、計画時にシステムへのフィードバックに基づいて治療パラメータを最適化するように構成されることができ、計画は、システムおよび計画への特定の入力を収集するために様々な試験プロトコルを実行する機能をさらに含み得る。
【0135】
[0140]フィードバックは、様々なエネルギー、パワー、部位、位置、組織および/またはその他のパラメータを含み得る。
【0136】
[0141]システムおよび上記のフィードバックは、処置中のリアルタイム撮像の下で視覚化された、最適化された治療計画およびプロトコルの実施を自律的に(およびロボットにより)実行するようにさらに構成され、使用されることができ、それによってユーザが、治療の進行中に局所的治療組織効果を直接観察し、ユーザの裁量で治療を開始/停止/変更することができるようにする。試験と治療プロトコルの両方は、処置の間に、ユーザの裁量で、または実施形態によっては、システムに組み込まれた論理に基づいて、更新され得る。
【0137】
[0142]また、これらの利点の多くは、高密度焦点超音波(HIFU)、沸騰組織破砕(熱キャビテーション)を含む高密度治療超音波(HITU)を使用した熱アブレーションを含む他の形態の音響治療をさらに向上させることができ、本開示の一部とみなされることも理解されたい。本開示は、ミセル、ナノ構造または同様の保護構造における保護に起因して、または音響エネルギーが当てられたときにのみ活性化を可能にする分子配列により、活性が不活性である、事前に送達された不活性薬物ペイロードを活性化する手段としての組織破砕の応用も考慮する。
【0138】
[0143]別の態様では、部分的に、1つまたは複数の増幅器と、トランスデューサと電源とを含む治療サブシステムが、複数の音響キャビテーションおよび組織破砕駆動機能を可能にし、用途、方法および/または患者固有の使用に基づいて特定の利点を提供するように構成され得る。これらの利点には、より多くのエネルギーをより望ましい熱プロファイルと高速化された治療速度と短縮された処置時間で送り込むことを可能にし、電子ビームステアリングおよび/またはその他の機能を可能にし得る、治療パラメータのより優れた最適化および制御を行う機能が含まれるが、これには限定されない。
【0139】
[0144]本開示は、複数の駆動手法(例えば単一および複数サイクルパルス供給)を可能にし得る新規な「汎用」増幅器を含むシステムおよびサブシステムに関する新規なシステムおよび概念も含む。実施形態によっては、これには、電気安全性またはその他の危険(例えばトランスデューサおよび/または増幅器回路の損傷)に関してシステムおよびユーザをさらに保護するための様々な新規な機能が含まれ得る。
【0140】
[0145]別の態様では、システムおよび治療サブシステムは、多くの治療トランスデューサを含み得、これらの治療トランスデューサは、特定の用途および使用向けに構成され、広範囲な動作パラメータ(標的サイズ、深度、部位など)にわたる治療に対応することができ、広範囲な動作仕様(以下で詳述)を含み得る。トランスデューサは、ロボット対応システムおよび結合サブシステムにさらに適応し、インターフェースし、接続することができ、トランスデューサを音響結合デバイス内に、または音響結合デバイスに並置して配置することを可能にし、それによって、多くの実施形態において適切な音響窓を通した同時撮像および組織破砕治療を可能にする。音響キャビテーション/組織破砕の組織効果および気泡雲は、治療全体を通して、上記治療内でのその部位(例えば、腫瘍、周囲の健常組織、重要構造、脂肪組織など)に応じて外見および強度が変化する場合もしない場合もあり得るため、治療トランスデューサは、治療部位内のトランスデューサの位置を表示し、決定することが可能で、治療部位の直接視野(またはその表現)を提供することが可能な、組み込みイメージングプローブまたは位置特定センサも含むことができる。
【0141】
[0146]本明細書で開示するシステム、方法およびシステムの使用は、軟組織アブレーション、腫瘍学、免疫腫瘍学、高度画像誘導型処置、開腹、腹腔鏡、単一切開、自然孔、内視鏡、非侵襲性、これらの様々な組み合わせを含むがこれらには限定されない手術処置、血管のカテーテル式処置のための様々な介入空間、心臓血管、肺および/または神経頭蓋関連空間、美容/審美、代謝(例えば2型糖尿病)、形成および再建、眼球および眼科、整形外科、婦人科および男性医療の分野、および、罹患、負傷、無用な、または健常な組織、器官または細胞の治療のためのその他のシステム、デバイスおよび方法における満たされていない必要を克服するのに有益となり得る。
【0142】
[0147]治療時間を短縮し、有効性を向上させ、患者に送り込まれるエネルギー量および集束前組織加熱を低減することができる、組織内治療パターンを向上させるためのシステムおよび方法も提供される。
【0143】
使用環境
[0148]開示のシステム、使用方法、システムの使用は、麻酔などの様々なサポートシステムの有無を問わず多くの環境および状況において実施可能であり、これには、処置室、手術室、ハイブリッドルーム、入院および外来患者設備、通院設備、イメージングセンター、X線写真、放射線治療、腫瘍学、外科および/または任意の医療センター、および診療所、移動医療センターまたはシステム、自動車および関連車両(例えばバン)、航空機および船舶などの航空輸送手段および海上輸送手段、および/または一時的治療処置支援の提供が可能な任意の構造体(例えばテント)が含まれるがこれらには限定されない。場合によっては、本明細書で開示されているシステムおよび/またはサブシステムは、他の環境への組み込み機構、例えばMRIスキャナまたは患者面/ベッドへの組織破砕治療サブシステムの直接組み込みとして提供されることもでき、その場合、最小限、治療発生器とトランスデューサとがそれに組み込まれ、他の場合には、組織破砕構成はロボット位置決めシステムをさらに含み、ロボット位置決めシステムもスキャナ、またはベッド周りの設計に組み込まれ得る。
【0144】
マルチアプローチ組織破砕ロボットシステムおよび方法
[0149]現在、疾病および/または負傷を治療するために低侵襲性デバイスおよび手法を使用する処置を含む介入および外科医療処置において、および様々な種類の処置にわたって満たされていない重要なニーズが存在し、それらの満たされていないニーズはまったく新しい医療処置によって解決される可能性がある。現在の医療システムの機能はアクセスによって制限されることが多く、その場合、低侵襲性または非侵襲性手法が好ましいか、または現在の手段では好ましい/必要な組織効果を実現させる(例えば重大な負傷なしに重要構造の周囲を/貫通して手術する)ことができないか、またはシステムの物理的設定が特定の処置手法をあまり望ましくないものにするかまたは不可能にし、手法の組み合わせが強化された組織効果治療とともに、現在は不可能なまったく新しい処置および手法を可能にする可能性がある。
【0145】
[0150]本明細書では、ロボットシステムおよび方法が開示され、両者は、組織破砕および音響キャビテーションの標的化送達を可能にするために一緒に使用可能にされる、手動、半手動および/または自動手法の様々な組合せにより制御される、経皮/腹腔鏡、内視鏡および/または非侵襲性/経皮的デバイスの様々な組合せを使用することができ、組織破砕は、手術/処置中にさらなるステップを可能にするための1つのステップ(例えば、ロボット支援腹腔鏡切除により、手術不能な患者を手術可能にするための重要構造の周囲に取り込まれた腫瘍の治療)であるか、または逆に、組織破砕は、処置の主要な「治療または療法」目的であり、マルチアプローチシステム/方法の他のロボットシステムが他の支援処置ステップ(例えば、器官または器官空間の視覚化、結紮、流体化または安定化)のために使用される。これは、単一のロボットプラットフォームアーキテクチャ(例えば、内視鏡および非侵襲性手法用に構成されたアームを備えたベッドベースのロボット)において完全に可能とされてもよく、または逆に、これは、協調して動作する複数の別々のロボットアーキテクチャまたはシステムによって行われてもよい(例えば、協調的非侵襲性組織破砕カートベースのロボットと共働する内視鏡ベッドベースの外科手術ロボット)。
【0146】
[0151]本開示の概念を例示するための非限定的な代表的実施例として、このようなシステムおよび手法は、膵臓癌切除を可能にするために使用されてもよく、その場合、(通常は、外科手法を危険過ぎるものにする)腫瘍浸潤脈管構造の治療のために、ベッドサイド非侵襲性組織破砕ロボットシステムを使用することができ、その完了時に、マスタースレーブ腹腔鏡ロボット(カラムベースの患者側カート、例えばインテュイティブサージカル社のDa Vinci Xi System)を使用して膵臓(およびそれに付随する腫瘍)の腹腔鏡ロボットによる切除を完了させることができる。肝臓、腎臓、肺、結腸直腸を含むがこれらには限定されない他の癌関連外科処置、およびその他の複合処置のために複数のロボットシステムアーキテクチャを使用して同様の手法を使用することができ、その場合、より良好な外科手法をよりしやすくし、ダウンステージングまたは何らかの方式で支援することから多くの患者が恩恵を受けることになり、または、医学的な理由で通常であれば外科処置に適さないより多くの患者に外科処置を選択し、および/またはより多くの医療提供者/外科医がそのような処置を行うことができるようにする。
【0147】
マルチアプローチのセットアップおよび手術視点
[0152]また、本開示のマルチアプローチ組織破砕ロボットシステムは、セットアップ、環境および手術視点(例えば、システムに対するユーザの向き、ロボットアームおよび患者の配置)の様々な置換を可能にするように構成可能である。このようなシステムは、音響アクセス(例えば、予定/所望の音響経路に沿った超音波視覚化および組織破砕実施のための音響結合を可能にするデバイス/方法/材料)を含む、器具/デバイスアクセス(例えば、ポートまたはトロカール、様々な種類の内視鏡、カテーテルアクセスなど)の同時組合せを有するという独自の特徴も含む。セットアップおよびアクセスの無限の構成および組合せがあることが構想される。
【0148】
ロボットシステムアーキテクチャ
[0153]1つまたは複数の種類の本開示のマルチアプローチロボット方法を含み得るロボットシステムアーキテクチャに関しては、システムアーキテクチャは、ベッドベース、カラムベース、ブームベース、カートベース、イメージングベッドまたはガントリベースおよびポッドベースおよび/またはその他の構想されるシステムアーキテクチャ、およびこれらの組合せを含み得る。実施形態によっては、各セットが最低限1つのロボットアームを備えて使用可能とされるシステムの複数のセット(例えば複数のカート)を含み得る。システムアーキテクチャの混在組合せ(例えば、カラムおよびカートベース)を使用する実施形態では、それらの組合せは様々なソフトウェアおよび/または電気接続および関連通信プロトコル(例えば、他のアーキテクチャシステム上のシステム特徴/パラメータに対する制御に対する1つのシステムソフトウェアまたはアクセスを可能にする)を介して相互接続することができ、または(それらの間の直接の電気、機械および/またはソフトウェア通信接続なしに)協調的であるが独立して動作することができる。複数のシステム(およびアーキテクチャ)の使用は、環境を簡素化し、乱雑を避けるために1本または複数のケーブルを介して結合/接続されるように構成可能である。特定の機能は、電源、光学系、イメージング、超音波イメージング、病院情報システム、組織破砕治療、機械およびロボット制御、流体工学系、および/またはその他の制御のためのその他のサポートを含む、別個のケーブル類およびコネクタで提供可能である。コネクタ/ケーブルが、サイドパネル、アーム、コントロールパネルおよびユーザインターフェース、ディスプレイ、エンドエフェクタ、トランスデューサ、患者結合デバイスなどを含むがこれらには限定されない、システム上の様々な場所に位置づけられてもよい。
【0149】
制御システムおよびユーザインターフェース
[0154]ロボット/システム制御システムのためのシステム制御に関しては、システムは、上述のフォームファクタのそれぞれと一体になった(フォームファクタのローカル、例えば患者用サイドカート上の)コンソール、ユーザインターフェース、ディスプレイ、タッチディスプレイ、および関連するコントロール類(物理およびソフトウエア)を含むように構成可能されてもよく、または、マスター/スレーブ、コントロールルーム、および/または、ユーザが知られている通信方法を介して遠隔地からこのようなシステムを制御し、対話することをさらに可能にするその他の遠隔構成をさらに含むように構成されてもよい。
【0150】
マルチアプローチシステムのためのロボットアーム
[0155]本開示のシステムのロボットアームは、開腹手術、半開腹手術、腹腔鏡、シングルポート腹腔鏡、内視鏡および自然孔、経皮および/または非侵襲性(例えば身体を侵害しない)手術のための構成を含む、様々なアーキテクチャ、アーム基部、自由度、関節、リーチ、積載量、再現性、感知機能を含み得る。本開示のアームは、様々なデバイス、器具およびツールとインターフェースし、制御するように構成され、部分的に、全般的な既知の幾何形状、軌道、向き/姿勢、ツール/基部座標、寸法、動き、動きパターンおよび経路、およびロボットアームエンコーダおよび制御データによって、これらのアームの計算、位置合わせ、連係ならびに制御、およびモニタ/監視を行うようにさらに構成されてもよい。実施形態によっては、組織破砕手法用に構成されたロボットアームおよびシステムアーキテクチャは、組織破砕のロボット実施中にx線データ取得収集が可能なように(および衝突回避)、cアーム、蛍光透視、拡張蛍光透視および/または円錐ビームCT環境における設定を可能にする。
【0151】
システムエンドエフェクタ、器具類およびツール
[0156]本開示のロボットアームのうちの1つまたは複数のロボットアームによって使用されるシステム器具類およびツールの一部の実施例では、器具/ツールは、アクセスデバイス、はさみ、捕捉器具、クリップアプライヤ、ステープラ、内部ステープラ、切断/切開および/または焼灼機能を備えた、または備えない、高周波、超音波、マイクロ波を含むエネルギーベースのデバイス、スペーサ、止血鉗子、密封材/接着剤、その他の様々な電気手術およびアブレーションデバイス、針、針ドライバ、可撓性カテーテルまたは内視鏡ベースのデバイス、剛性または可撓性の器具を誘導するためのナビゲーション/位置決めデバイス、感知デバイス、生検デバイス、または処置のために必要な任意のその他のツールを含み得る。器具およびツールは、様々なインターフェースおよび器具挿入および駆動機構と支持アーキテクチャとを介してロボットアームとインターフェースすることができる。
【0152】
[0157]器具ドライバ(例えば、器具駆動機構または器具デバイスマニピュレータ)は、医療器具/デバイスを作動させるための電気機械手段と、器具を滅菌することができるようにするがシステムとは分離した、モータなどのいかなる電気機械コンポーネントも備えていなくてもよい取り外し可能/着脱式医療器具とを組み込んでもよい。ドライバは、制御回路にフィードバックを与えるように器具、ギアヘッド、モータ、エンコーダと連係するために駆動軸を介して器具に制御されたトルクを与えるように軸方向に配置された1つまたは複数の駆動ユニット(各駆動ユニットが個別の駆動軸を含む)と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路とを含み得る。器具は、器具の結合を可能にする駆動インターフェースを介した結合を可能にするために駆動入力/出力を使用して、ドライバとペアにされてもよい。実施形態によっては、器具インターフェースは、様々な構成および設計(例えば、非侵襲性/外面身体輪郭、開腹、腹腔鏡、シングルポート腹腔鏡、内視鏡)の治療トランスデューサと電気機械的にインターフェースするように設計されたインターフェースを含み、上記治療トランスデューサは電気機械的に結合されたイメージングトランスデューサを含んでもよく、イメージングトランスデューサは一例としてプローブの回転をサポートするようにエンコードされてもよい。
【0153】
[0158]器具は、システムによる自動認識のために電子的にキー付け/コード化されてもよく、システムソフトウェアが所与の処置のためのツールの様々な組合せを手引き、推奨および/または認識してもよく、逆に、所与の選択処置のために適切な組合せが選択されなかった場合にユーザにプロンプト、通知および/または警告してもよい。実施形態によっては、器具およびツールが互いを介して通される/交換されるように構成されてもよい(例えば、ロボットアームによって作動させられる可撓性内視鏡を通る針式デバイス)。
【0154】
[0159]器具は、任意の診断、介在または外科ツール、処置または治療を可能にする剛性または可撓性の任意の追加の補助デバイス/インプラント(例えば、基準マーカ、外科プローブ、組織/細胞染料、染色剤、ラベル、分子プローブおよび/または光素子など)をさらに含み得るがこれらには限定されない。
【0155】
マルチアプローチシステムのためのイメージングおよび視覚化
[0160]システム視覚化およびイメージングデバイスの一部の実施例では、システムが、例として光学視覚システムおよびオプティカルフロー法、蛍光、近赤外線、光散乱、弾性散乱分光法、光学コヒーレンストモグラフィ、内視鏡共焦点顕微鏡法、およびその他の様々なバイオフォトニクスおよび光学モダリティ、ラマン分光法などを含む、様々なモダリティおよびフレームワークを含み、および/またはこれらとともに動作するように構成されてもよい。システムは、患者、処置手法、デバイス/治療軌跡、治療場所を囲み/介在し、含む解剖学的部位/場所、重要構造、標的疾病/負傷/望まれない組織を囲む/含む解剖学的部位/場所、動的リアルタイム治療効果、および処置前/処置中/処置後治療検証などを、すべて1つまたは複数のロボットアームの位置/姿勢との関係において、1つまたは複数のユーザインターフェースを介して、1つまたは複数の視野で視覚化する機能を提供するために、様々な区分化、再現および画像処理方法に基づくがこれらには限定されない特化された画像位置合わせ、融合、フロー、仮想現実および拡張現実を含む、超音波、x線方式のシステム、コンピュータトモグラフィ(CT)、円錐ビームCT、拡張蛍光透視、蛍光透視、磁気共鳴イメージング(MRI)、光音響イメージング、低周波超音波/近赤外線イメージングプラットフォーム(例えばOpen Water法およびシステムに類似の)、およびこれらの様々な組合せを含むか、これらと通信するか、または統合されるように構成されてもよい。実施形態によっては、上記の視覚化および位置データは、ロボットエンコーダによってモニタされると、処置の開始時に自動画像位置合わせを可能にすることができ、または逆に、必要/希望に応じて、および/または緊急事態において、処置のより早期にタイムスタンプされた前の既知の位置/姿勢に戻ることを可能にすることができる。
【0156】
マルチアプローチを可能にする組織破砕システム
[0161]マルチアプローチロボット組織破砕治療システムとその中核組織破壊サブシステムは、組織破砕を形成し、感知し、強化し、修正し、実施し、動的に調節および制御するように構成されており、衝撃散乱、内在性閾値、およびシングル、マルチおよび/または部分サイクル組織破砕パルスを使用する任意の方法をさらに含む、そのすべての知られている方法を含むことができ、それらに基づくように構成することができる。また、組織破砕治療は、特定の最小数のパルスについて、1つの治療場所において1つの形状/大きさの最低限1つの気泡雲を使用して組織を部分的にまたは完全に破壊することを目的とし、意図して使用することができ、これは、通路を開くことからプラークの除去に至る用途の例を可能にすることができ、これには、免疫反応および経路、(例えば基準としての)組織のマーキング、絡み合った構造(例えば胆管または血管上に絡まった腫瘍)の除去、腫瘍、神経または神経中枢の治療、目の微細または繊細な構造体の治療、および、よく制御された組織破砕効果が重要な有用性をもたらす任意のその他の治療が含まれる。組織破砕治療は、他の組織タイプを残しながら特定の組織タイプを破壊するようにも設計可能であり、これは、重要な要因をいくつか挙げると、水分含有量、粘弾性および密な結合によって決まる異なる組織の異なるエネルギー必要量によって可能とされる能力である。
【0157】
[0162]組織破砕治療トランスデューサは、剛性、半可撓性または可撓性の内視鏡デバイス上、および経皮デバイス上の微小フォームファクタとして構成可能であり、または実施形態によっては、手関節または関節デバイスを含む腹腔鏡外科手法(<15mmデバイス)、開腹外科手法(例えば軸または棒上で使用可能な<5cm)用のより大きなフォームファクタを含んでもよく、または、他の実施形態では、身体の深部(腹腔または脳)に組織破砕パルスを送達するように設計されたより大きな(約20cm以上)身体輪郭構成であってもよい。これらは、固定焦点および/または1つまたは複数の方向または軸における電子焦点ステアリングをサポートするように装備された駆動ハードウェアによって支持された、様々な幾何形状および形状と数の個別/単体要素を含むことができる。トランスデューサは、線状、凸型または凹型であってもよい。上記の組織破砕サブシステムは、送信および/または送受信可能とされてもよく、キャビテーションマッピングのための様々なシステム/方法を含み、任意のロボットシステムまたはサブシステム手法に組み込まれた関連駆動ハードウェア(例えば、光学視覚化、電気外科装置などの他の中核サブシステムを収容する視覚システム補助カートに対する患者側カート/ロボット)を備える。
【0158】
マルチアプローチロボット組織破砕治療の実施例
【実施例1】
【0159】
[0163]図2Aおよび図2Bを参照すると、組織破砕システム200(上述の組織破砕システム100に対応する)と、手術台203上に載っている患者Pの治療場所/部位の準備をするように構成された内視鏡(気管支鏡)ロボットシステム202とを含む外科手術システムを含む、マルチアプローチロボット組織破砕システムおよび処置の一実施例が示されている。
【0160】
[0164]組織破砕システムは、準備済み治療場所/部位を介する、肺を標的とした治療または任意の空洞/管腔器官(結腸など)治療を可能にするために構成することができる。内視鏡ロボットシステムは、ナビゲーションおよび位置/位置特定感知機能を使用して、医師または外科医などのユーザが任意の所望の空洞器官場所にアクセスすることができるようにする。例えば、肺治療では、内視鏡ロボットシステムは、1つ(または複数)の疑わしい標的肺要素(または既知の癌)を含む肺内の任意の気道場所(およびレベル)にアクセスすることができ、その肺葉、区域、小区域レベルにおいて、ユーザがその選択されたレベル/解剖学的場所内に音響窓を形成するために気道を流体化することができるようにする。これらの特定の処置ステップは、組織破砕を含む音響治療を十分に受けるようにその場所を準備することを目的としている。気道の流体化は、生理食塩水、緩衝食塩水および/またはその他の水媒体を含む、生体適合媒体を使用することを含んでもよく、媒体は受容可能な酸素/ガス飽和率のものとしても構成され、そのように脱気されてもよい。流体化の方法は、気道の所定の場所/分岐点までナビゲートすることを含んでもよく、任意により、近接場所を流体から機械的に遮断/封止することを含み得る。場所の流体化および/または遮断は、位置合わせされた画像(例えばCTスキャンまたは光学画像)上で参照することができ、ナビゲーション、直接光学視覚化により、および/または(X線モニタリングを使用した)蛍光または円錐ビームCTにより、リアルタイムで追跡/モニタリングすることができる。
【0161】
[0165]内視鏡ロボットシステムは、構成によっては、分割気道樹との関係における位置の連続リアルタイム視覚化(例えば光学カメラ、カテーテル超音波など)および位置特定(例えば電磁ナビゲーション、形状感知など)の下で、および拡張蛍光透視および円錐ビームCT(例えば胸腔全体、CTと身体の乖離の視覚化など)を使用した全視野下において、イメージングシステム204によって流体化ステップを実行することを可能にし得る。構成によっては、視覚化機構は、追加の器具が挿入される前に除去する必要がある場合がある。1回または複数回挿入され、交換される気管支鏡ロボットまたは内視鏡のワーキングチャネルを通して使用される追加のデバイスも、これらのステップを実施するために使用可能である。これは、音響結合媒体、一例として脱気水または脱気生理食塩水を送達するためと、流体による(肺葉、区域または部分区域レベルの)流体化肺区画の封止を可能にするために使用可能とされたバルーンカテーテルまたはその他のデバイスをさらに含み得る。
【0162】
[0166]内視鏡/気管支鏡ロボットシステムと協調して動作して、非侵襲性組織破砕ロボットを標的空洞器官場所の上(例えば肺治療のために胸壁の上)に、組織破砕治療トランスデューサの幾何学的焦点をユーザ選択および定義済み空洞器官標的に位置合わせさせる姿勢および位置にして、位置づけることができる。次に、内視鏡ロボットシステムを介して提供された音響窓を通して組織破砕パルスおよび治療を送達するために組織破砕ロボットを使用可能にすることができる。実施形態および方法によっては、これらのステップの一部または全部は、患者がベッド上に位置づけられた状態で実行されて、拡張蛍光透視および円錐ビームCTデータを取得可能にし、データはロボット手法の一方または両方の実施中に取得される。拡張蛍光透視および円錐ビームCTが、計画、治療および治療検証の支援のために使用されてもよい。
【実施例2】
【0163】
[0167]実施例1に類似した別の実施形態では、気管支鏡ロボットがMonarchロボット(Auris Helth、JNJ)を含む。この特定の実施例は、すべての流体工学必要処置ステップのために同時連続光学イメージング、電磁ナビゲーションおよびワーキングチャネルアクセスを提供する。この実施例では、解剖学的部位、治療効果(例えば組織破砕気泡雲)、および組織効果(治療後の組織反射/散乱の変化)を視覚化するために、放射状プローブ気管支内超音波を使用することができる。
【実施例3】
【0164】
[0168]実施例1に類似した別の実施形態では、気管支鏡ロボットはIonロボット(インテュイティブサージカル社)を含む。この特定の実施例は、同時光学イメージングおよび形状感知位置特定を提供するが、さらに、流体工学サポートデバイスおよび関連ステップ(例えば、脱気水の送達と近接気道の封止のためのバルーンカテーテルの使用)のために、流体送達デバイスがワーキングチャネルに挿入することができるようにカメラシステムが除去される必要がある。別の関連実施例では、このマルチアプローチは、内視鏡ロボット(Ion)と組織破砕ベッドサイドカートロボットをすべて円錐ビームCT環境において使用するように構成可能であり(非侵襲性経肋間手法)、この場合、計画、肺準備および流体化、ナビゲーション、デバイス位置特定および、組織破砕前、破砕中および破砕後の治療の視覚化のための画像を取得するために、円錐ビームCTが使用される。円錐ビームは、トランスデューサの姿勢/位置を計算するためと、それに基づいて治療場所を予測するため、および超音波データを円錐ビームデータと位置合わせする(およびロボットアーム位置エンコーダと同期させる)ためにも使用可能である。
【実施例4】
【0165】
[0169]実施例1から実施例3に類似したさらなる実施例である、肺治療のための、Monarch(Auris Health、JNJ)またはIon(インテュイティブサージカル社)などの例示のロボットシステムの使用を含むマルチアプローチシステムでは、組織破砕ロボットは、ユーザが標的および周囲肺組織を視覚化することができるようにするために、さらにマルチアパーチャ超音波イメージング(MAUI)を備えて構成可能である。MAUIイメージング機構は、組織破砕治療トランスデューサに同軸に取り付けられたMAUIイメージングプローブとして構成可能であり、両方が組織破砕システムロボットアームの末端に取り付けられる。
【実施例5】
【0166】
[0170]実施例1から実施例4に関連する別の実施形態では、図3Aを参照すると、外科手術システムが組織破砕システム300(上述の組織破砕システム100に対応)と、治療のために患者Pの空洞器官(肺など)にアクセスし、準備するように構成された腹腔鏡ロボット302とを含むことができる。上述のように、患者は手術台303に載ることができる。肺治療の実施形態では、腹腔鏡ロボットを、マスター/スレーブ構成(例えばインテュイティブサージカル社のDa Vinci Xi)を使用して、肺を楔状、亜区域、区域、または肺葉レベルの切除のために準備することができる。これと組み合わせて、組織破砕システム(ユーザコンソールを備えた患者側カート)を、腹腔鏡手術の直前に空洞器官(例えば関連肺腫瘍および関連結節部)を治療するように構成することができる。Da Vinciロボットを、標的空洞器官に隣接する患者の体腔(例えば肺における組織破砕適用の前の胸腔)を流体化することにより、組織破砕治療のための音響結合を可能にするためにさらに使用することができる。上述のように、外科手術システムは、治療中の視覚化を可能にするためにイメージングシステムを含むことができる。実施形態によっては、結節部/組織破砕前/破砕中/破砕後の腫瘍を観察するために、気管支内超音波(EBUS)が使用される。
【実施例6】
【0167】
[0171]実施例5と同様の、別の実施形態が図3Bに示されており、外科手術システムが組織破砕システム300と、肺などの標的空洞器官にアクセスし、手術するように構成された腹腔鏡ロボット302(およびアーム)とを含むことができ、ロボット内視鏡システムシステム304(可撓性)をさらに含む。ロボット内視鏡システムは、空洞器官自体を流体化するように構成することができる。この実施形態では、標的空洞器官が肺の場合、ロボット内視鏡システムは、肺内に/肺を貫通して方向づけられる治療のための強化音響結合を可能にするために、肺自体(肺全体、肺葉または肺小葉)および/または胸腔(肺外)を含み得る、肺を流体化するように構成可能である。図3Bの実施例である腹腔鏡ロボット302は、腹腔鏡により標的空洞器官にアクセスするように構成可能であり、標的器官を囲むかまたは隣接する患者体腔(例えば、肺治療の場合は胸腔)を流体化する能力さらに備える。同様に、内視鏡ロボットは、空洞器官自体内へのアクセスを可能にし、空洞器官を流体化する能力を備える。組織破砕治療は、複数の追加のロボットアームのうちの1つまたは別個のベッドサイドカートにより実施されてもよい。別の関連実施例では、外科手術システムは、超音波、CT、蛍光透視、マルチアパーチャ超音波イメージングを含む、上述のイメージングシステムのいずれを含んでもよい。
【実施例7】
【0168】
[0172]実施例6の考え方の構成を含む別の実施例は、重大な経肋間音響遮断による肝臓標的組織破砕治療を実施するためのシステムおよび方法を含む。この実施例は、組織破砕治療トランスデューサを、肋骨全体をカバーする状態で位置づけることができ(例えば、肋骨からの最大音響遮断)、肺内への、および肺を貫通する、より良好な音響窓をさらに設けるように気道および/または胸腔が流体化され、同様の経路を共有し得る腹部に方向づけられた治療を強化することができるシナリオをさらに含み得る。別の関連実施例では、組織破砕治療トランスデューサを備えて使用可能とおされたロボットアームが、肺実質内部および肝臓内部を視覚化するように構成されたマルチアパーチャ超音波イメージングプローブを含み得る。
【実施例8】
【0169】
[0173]別の実施例では、視覚化のための内視鏡と結合された1つのアームを含むベッド、カラムまたはカートベースのアーキテクチャのマルチアーム腹腔鏡ロボットが、第2のロボットアームから可能にされる非侵襲性(体外)組織破砕による治療中および/または治療後に、分子/外科プローブが見えなくなるのを観察するように構成される。一実施形態では、外科プローブは、標識された組織/細胞(例えば特異的に標識された腫瘍細胞)の直接蛍光視覚化を可能にする近赤外線プローブである。別の実施形態では、システム構成全体(腹腔鏡および非侵襲性)が、腹腔鏡アームの視覚システムによる近赤外線プローブと同時に(非侵襲性アームからの)Bモード超音波下でプローブと外科エンドエフェクタと組織と、標的組織または気泡雲のエコー輝度およびエコー輝度の変化とを視覚化する能力を提供し、腫瘍/組織が破壊されると、(見えなくなっている)分子/外科プローブが現れることにより、組織効果の即時の治療検証を可能にする。
【実施例9】
【0170】
[0174]別の実施例では、図4を参照すると、ロボットシステム401が上述のロボットの特徴/機能の多くを含むことができる。一実施形態では、ロボットシステムは、1)腹腔鏡手法用に構成された1つまたは複数のロボットアーム402と、2)内視鏡手法用に構成された1つまたは複数のロボットアーム403と、3)非侵襲性(組織破砕)手法用に構成された1つまたは複数のロボットアーム400と、4)音響アクセス/結合を含む患者アクセス/結合のための1つまたは複数の手動またはロボットアーム404とを含むことができる。内視鏡/腹腔鏡/組織破砕ロボットが別々である上述のシステムとは異なり、この実施形態は、各サブシステム用の複数のアームを備えた単一のロボットシステムを含む。ロボットシステム401は、様々な向きおよび観点に設定可能であり、最小化されたアーム衝突および強化されたセットアップと使いやすさを有する多観点処置を可能にする。それぞれのロボットアームは、マスター/スレーブ構成における単一のマスターから制御されてもよく、または異なるアーム(および付随するロボット対応ツール/エンドエフェクタ)が複数のユーザインターフェースまたはコンソールを介して作動/制御されてもよい。実施形態によっては、ロボットシステムはベッドベースのロボットシステムを含むことができる。他の実施形態では、ロボットシステムは患者側ベースのロボットとして構成可能である(例えばインテュイティブサージカル社のDa Vinci)。ロボットシステムは、外科器具、視覚化/イメージングプローブ(例えば、光学、超音波)および組織破砕治療トランスデューサを備えて構成可能であり、プライマリユーザインターフェースおよび制御システムはロボットマスターである。
【実施例10】
【0171】
[0175]実施例8に類似しているが各特定ツールが専用ベッドサードカートを介して結合され、作動させられ、制御される構成の他の実施例では、すべてのカートが1つまたは複数のユーザ入力デバイスまたはマスターに遠隔で接続される。実施形態によっては、組織破砕システムは、専用ユーザインターフェース/コンソールを介して制御されてもよい。他の実施形態では、すべてのロボットアームおよびデバイスが単一のマスターによって制御される。
【実施例11】
【0172】
[0176]本明細書で開示されている可能な構成のうちの1つまたは複数の構成は、膵臓腫瘍を治療するために使用され、脈管構造、膵管、胆管系、または敏感な胆管に損傷を与えることなく血管浸潤腫瘍をスケルトナイズすることを含む、腫瘍関連血管へのより良好な外科的アクセスおよび治療を可能にすることによって、早期または中期の医学的に手術不能な患者を手術可能な状態にする組織破砕を実施するように構成される。これを行うことにより、可能性のある有害事象を最小限にするように重大構造のより良好な準備および管理を可能にすることによって、一般的には重大過ぎる医学的患者リスクおよび負傷(組織出血穿孔に起因する意図しない付帯的負傷)を生じさせることになるはずの腫瘍が手術可能とされる可能性がある。
【0173】
[0177]例えば、一実施形態では、腹腔鏡/内視鏡/組織破砕システムを含むマルチアプローチロボットシステムが、医学的に手術不能な患者を手術可能な患者にするように構成可能である。患者が医学的に手術不能である多くの理由が考えられ、これには腫瘍関連血管または敏感な臓器間管腔または管にアクセス不能であることが含まれ得る。実施例によっては、上述のように、内視鏡ロボットシステムにより内部的に、または外部から標的器官(例えば膵臓)を視覚化することができる。次に、軟組織を液化または溶解させるために標的器官の標的領域に組織破砕治療を適用することができる。組織破砕は、軟組織のみを標的とし、血管、管、管腔などを標的にしないように特に調整可能である。例えば、特定の閾値のみを上回るキャビテーションを得るように組織破砕パルスを制御することによって、標的軟組織のみを溶解し、血管、管、管腔などが損傷を受けないままとすることができる。組織破砕治療の完了時、残りの組織構造(例えば、標的腫瘍、敏感な管、管腔などに血液供給する血管)を手術するために腹腔鏡ロボットシステムを使用することができる。
【実施例12】
【0174】
[0178]実施例11と同様に、腫瘍灌流の増加と薬物送達の向上をもたらすように、マルチアプローチロボット構成が膵臓腫瘍および間質の減量手術を可能にする、1つまたは複数のマルチアプローチ組織破砕ロボット。この実施例では、間質圧および腫瘍内の圧を低下させるために、軟組織および腫瘍の細胞成分と周囲の基質成分とを破壊するために組織破砕を使用することができる。腫瘍および隣接腫瘍組織を含む力学的により弾力のある基質構造および構造体の場合、所望の損傷/組織効果を与えるために変動パルスシーケンスを使用することができる。また、組織効果の程度を制御するために、部分的治療(および/またはその中の変動照射量、例えば総パルス数)を含む特定の空間パターンを送達するように、特定の気泡雲パターンおよび経路(パターンを通して気泡雲を移動させる)が変更されてもよい。あるいは、化学療法薬剤および/または免疫療法薬剤の局所使用のためにアブレーションキャビティを形成することができる。
【実施例13】
【0175】
[0179]外科医が、非侵襲的に組織破砕によって同時に治療しながら、内視鏡の使用を含む、膵臓および肝臓を直接視覚化することができるように構成されたマルチアプローチロボット。実施形態によっては、組織破砕治療が、標的器官系を切除のために準備するように構成され、準備は、切除をよりしやすくし(例えば、強化された血管および胆管管理)、可能性のある有害事象(例えば出血または膵臓漏洩)を最小限にするために、器官をスケルトナイズすることを含み得る。他の処置では、縫合糸、クリップ、双極、単極、超音波、マイクロ波などのエネルギーベースの結紮デバイスなどの一般的に使用される結紮デバイスおよびステープルデバイスによる後の治療のために、導管を損なわれないままにしてはさみまたは外科用メスとほぼ同様に組織を分割するために、組織破砕治療が使用されてもよい。
【実施例14】
【0176】
[0180]腎臓の組織温存手術を行うための複数のロボットアームを備えて構成されたマルチアプローチロボットであって、2つ以上の腹腔鏡ロボットアームが構成され、視覚化を含む腹腔鏡ツール/器具に結合され、1つまたは複数のロボットアームが非侵襲性組織破砕用に構成される。実施形態によっては、マルチアプローチロボットは、組織破砕前、破砕中または破砕後の腎臓の内部を視覚化するために、可撓性内視鏡対応ロボットアームと駆動システムとを備えて構成されてもよい。実施形態によっては、ロボットシステムは、リアルタイム超音波イメージングがロボットアームエンコーダによって得られた位置データに位置合わせされた状態で、超音波、およびCTおよび/またはMRIとの超音波融合を含むがこれらには限定されないイメージガイダンスを使用してもよい。
【0177】
[0181]別の実施例では、複合腹腔鏡および非侵襲性手法を使用する方法であるが単一のシステムから行う方法のために、ロボットが最小限の3アーム手法のために、腎臓および作業空間の腹腔鏡視覚化用の1つのアームと、1つまたは複数の腹腔鏡手術ツールと、1つの組織破砕トランスデューサとを備えることができる。この実施形態ではすべてのデバイスが単一のマスター/コンソールを介して制御され得る。
【実施例15】
【0178】
[0182]構想可能な上述の実施例またはマルチアプローチロボットシステム構成のうちのいずれかを含み、ロボットシステム、またはマルチロボットフォームファクタシステムのうちの1つが、治療の計画または方向付けを支援するためにフリーハンド超音波コンポーネントを使用する一実施例。さらに、一部の実施形態では、上記フリーハンド超音波デバイスが場合によっては6以上の自由度で位置的に追跡され、他の超音波画像またはビデオ、または他のイメージングモダリティ(例えば光学、CT、MRIなど)とさらに位置合わせされる。
【実施例16】
【0179】
[0183]マルチアプローチシステムが、脳内の出血または血塊を治療する現在の課題を克服するように構成され、出血、血塊または血栓を液化し、吸引するために、カテーテルベース、ベッド/手術台ベース(手術台側と一体化され、および/または手術台に隣接する)ロボット駆動システムが、非侵襲性経頭蓋組織破砕システム手法(ベッド/手術台側)と併用される。別の関連実施例では、このマルチアプローチ構成が、円錐ビームCT内で、1つの統合システム手法として実施されてもよい。
【実施例17】
【0180】
[0184]実施例16の一部の実施形態では、カテーテルベースのロボットがCorindus/Siemensロボットである。他の実施形態では、カテーテルベースのロボットがHansen血管内/神経血管内対応ロボットシステムであってもよい。また、場合によっては、ロボットのうちの1つまたは複数のロボット(カテーテルまたは組織破砕)が、ローカルコントロールルーム(円錐ビームCTも制御する)および/または遠隔地(例えば別の癌センター)から遠隔操作可能である。
【実施例18】
【0181】
[0185]神経内ロボット手法と非侵襲性経頭蓋組織破砕の組合せの実施例であり、用途は、治療すること、腫瘍残遺物または溶解物を脳から除去/吸引すること、圧力を解放すること、解剖学的構造(例えば脳室)を開くこと、および/または患部/周辺部位から侵攻性病変部を除去することである。逆に、上記に続いて、神経内ロボットが、薬物、免疫療法、細胞療法、局所放射線照射および/またはこれらの組合せを含む、治療を施し、前の組織破砕治療部位に戻るために使用されてもよい。
【実施例19】
【0182】
[0186]実施例16から実施例19に類似しているが、髄膜腫、硬膜下血腫、および硬膜外血腫など、治療場所が硬膜下または硬膜外であり、きわめて浅い実施例。
【実施例20】
【0183】
[0187]カテーテルベースのロボットが、低侵襲的に気泡雲の位置特定を容易にするためと、組織破砕トランスデューサを備えて構成されたロボットアームを使用可能にするために、カテーテルハイドロフォンの送達のためのナビゲーションおよびアクセスを提供するさらなる実施例。このマルチアプローチシステムは、1つの総合的システムとして、または協調して動作する協調ロボット/手法としてさらに構成可能である。
【実施例21】
【0184】
[0188]腹部手法および内臓組織の切除のために共に使用可能にされた、視覚化デバイスに結合されたアームと、組織マニピュレータ(例えば捕捉器具)と、クリップアプライヤおよび/または血管封止器具と、組織破砕トランスデューサとを備える最小限4つのロボットアームを備えて構成された外科手術ロボット。特定の一実施例では、組織破砕トランスデューサが、スケルトナイズされた組織(例えば肝臓)の封止の直後にクリップアプライヤ/血管封止器具が続くときに、即時組織キャビテーションとスケルトナイズとを実現するために使用される。
【実施例22】
【0185】
[0189](腹腔鏡により)流体で満たされたエンドバッグ内または格納デバイス内に器官/組織を安定させ、保持するために腹腔鏡ロボット(患者側カート)が使用され、非侵襲的に適用される第2の組織破砕治療トランスデューサを、エンドバッグまたは格納デバイスに収容された組織を液化/破壊するために使用することができる、一般的実施例。あるいは、第2の組織破砕治療トランスデューサは流体で満たされたバッグまたは格納デバイスに直接適用されてもよい。
【実施例23】
【0186】
[0190]甲状腺摘出のためのマルチアプローチロボット手法が実施され、複合/混在形態組織を除去するために手術器具類による経皮的手法が使用され、身体外部の甲状腺の上方の上記の組織破砕トランスデューサを結合/操作/方向付けするように使用可能とされたロボットアームにより非侵襲性組織破砕トランスデューサが作動させられる、一実施例。複合/混在形態組織は、超音波で観察したときに異種組織を含むことがあり、異種領域内の所望/ユーザ定義区画内の直接組織治療のために組織破砕が使用され、次に、経皮的手法により吸引/除去される。ユーザは、組織変化におけるリアルタイムフィードバックに基づいて希望に応じて治療を継続/反復することができる。
【実施例24】
【0187】
[0191]腹腔鏡ロボットが前立腺の切除のための手術器具類を備えて構成され、ロボットの1つのアームが経会陰治療用の非侵襲性組織破砕トランスデューサを含む、一実施例。関連するが別の実施形態では、同じ処置のために、境界および周縁部の腹腔鏡切除と、望ましくない残留組織残遺物の吸引とを可能にするために、経直腸組織破砕トランスデューサが使用される。
【0188】
[0192]身体全体および手法にわたるマルチアプローチ組織破砕ロボットシステムおよび方法のさらなる非限定的実施例を構想することができ、これらの実施例は、限定的であることが意図されていない。
【実施例25】
【0189】
[0193]腹腔鏡ロボットが結腸直腸腫瘍の切除のための外科器具類を備えて構成され、ロボットの1つのアームが経会陰治療用の非侵襲性組織破砕トランスデューサを含む、一実施形態。実施形態によっては、結腸中に音響窓を設けるために、組織破砕治療の前に結腸を流体化することができる。関連するが別の実施形態では、同じ処置のためと、境界および周縁部の腹腔鏡切除および望まれない残留組織残遺物の吸引を可能にするために、経直腸組織破砕トランスデューサが使用される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】