(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】マイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システム及びその補助潤滑方法
(51)【国際特許分類】
F16N 7/02 20060101AFI20230417BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20230417BHJP
F16N 7/32 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
F16N7/02
F16C17/02 Z
F16C17/02 A
F16N7/32 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554226
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2021128539
(87)【国際公開番号】W WO2022166285
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110170023.7
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518229179
【氏名又は名称】青▲島▼理工大学
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 暁寒
(72)【発明者】
【氏名】郭 峰
(72)【発明者】
【氏名】禹 涛
(72)【発明者】
【氏名】梁 鵬
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA07
3J011EA06
3J011JA02
3J011KA02
3J011MA23
3J011MA27
3J011RA01
(57)【要約】
本発明は水潤滑滑り軸受の技術分野に属し、具体的にはマイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システム及びその補助潤滑方法に関し、微小油滴供給システムは水潤滑軸受に微量の潤滑油滴を供給し、具体的なステップは、水潤滑軸受に注油孔を開設し、微小油滴供給システムのマイクロフルイディクスチャネルを注油孔内まで延ばされ、水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭うとき、微小油滴供給システムが水相を連続相とし、油相を分散相とし、マイクロフルイディクス技術を利用して水相中に1つ1つの微小油滴を形成し、微小油滴が水の流れとともに注油孔を介して接触領域に流れ込んで油膜を発生させ、脆弱な水膜を代替し、軸受に潤滑油を微量で離散的な形で断続的に供給することにより、水潤滑軸受の非正常動作状況下での潤滑性能を高め、水潤滑軸受の摩擦と摩耗を低減し、水潤滑軸受の耐用年数を延ばし、給油時間が短く、油消費量が少なく、環境への汚染が少なく、市場における大きな将来性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法であって、具体的には、
水潤滑軸受の軸受ライニングに注油孔を開設し、微小油滴供給システムのマイクロフルイディクスチャネルを注油孔内まで延ばすステップS1と、
純水潤滑条件下で、水潤滑軸受の軸心軌跡検出装置を利用して水潤滑軸受の軸心軌跡を測定し、測定された信号を産業用コンピュータの観測制御及びデータ処理システムに入力し、適時な記録、記憶及び分析を行い、それにより軸心軌跡のリアルタイム曲線を取得し、軸心軌跡の測定を実現するステップS2と、
水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭い、即ち測定された軸心軌跡の形状が不規則で、大きなリング内に小さなリングが套設される現象が生じ始めるとき、水潤滑軸受の潤滑状態が混合潤滑に変化し始めることを表し、このとき、微小油滴供給システムを起動し、微小油滴供給システムは水相を連続相とし、油相を分散相とし、マイクロフルイディクス技術を利用して水相中に1つ1つの微小油滴を形成し、微小油滴が水の流れとともに注油孔を介して水潤滑軸受の接触領域に流れ込んで油膜を発生させ、脆弱な水膜を代替して、水潤滑軸受の支持能力を向上させ、水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭う際のトライボロジー性能を改善するステップS3と、
水潤滑軸受の軸心軌跡が楕円に戻って、改めて幾何学的中心近傍に戻る場合、水潤滑軸受が流体動圧潤滑状態に達し、微量潤滑油供給を行う必要がなくなり、微小油滴供給システムが水潤滑軸受の軸心軌跡検出装置からのフィードバックに基づいて動作を停止するステップS4と、を含むことを特徴とするマイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法。
【請求項2】
微小油滴供給システムは、T型マイクロフルイディクスチャネルを用いて油相を微小油滴に剪断し、T型マイクロフルイディクスチャネルが垂直管及び水平管を備え、垂直管が水平管に垂直に交差し、垂直管の水平管寄り端がテーパー状に小さくなりであり、垂直管内が油相であり、水平管内が水相であり、T型マイクロフルイディクスチャネルに接続される配管がいずれもマイクロフルイディクスチャネルであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法。
【請求項3】
T型マイクロフルイディクスチャネル及びマイクロフルイディクスチャネルをいずれも超撥油処理することを特徴とする請求項2に記載のマイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法。
【請求項4】
ステップ(1)における注油孔が軸受ライニングの接触領域に近接する位置に設置され、水潤滑軸受の軸受台にねじ穴が開設され、ねじ穴が注油孔と連通し、微小油滴供給システムのマイクロフルイディクスチャネルがねじ穴を介して注油孔内まで延ばされ、マイクロフルイディクスチャネルの末端が注油孔の内側ポートと同一平面であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法。
【請求項5】
水潤滑軸受の軸心軌跡検出装置は渦電流変位センサであり、微量潤滑油供給システムが用いる潤滑油は市販されている環境に優しい動物油又は植物油を選択することを特徴とする請求項1に記載のマイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法。
【請求項6】
微小油滴供給システムの本体構造は潤滑油供給システム、水供給システム及びT型マイクロフルイディクスチャネルを備え、潤滑油供給システムがマイクロフルイディクスチャネルを介してT型マイクロフルイディクスチャネルの垂直管の入口端に接続され、水供給システムがマイクロフルイディクスチャネルを介してT型マイクロフルイディクスチャネルの水平管の入口端に接続され、T型マイクロフルイディクスチャネルの水平管の出口端がマイクロフルイディクスチャネルを介して水潤滑軸受の注油孔に接続されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水潤滑滑り軸受の技術分野に属し、具体的には、マイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システム及びその補助潤滑方法に関し、微小油滴供給システムは水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭う際のトライボロジー性能の調整に用いられる。
【背景技術】
【0002】
船舶推進システムにおいて、滑り軸受が潤滑油を潤滑媒体として用いる場合、潤滑油が漏れて、汚染が生じ、生態環境をひどく破壊することが発生しやすい。
【0003】
近年以来、環境保護意識の強化及び環境立法の完全化に伴い、汚染がなくコストが低い水を潤滑剤とする水潤滑軸受は、既に各国が競って研究するホットスポットとなっている。しかしながら、水の粘度が低く、成膜能力が低く、水潤滑軸受の使用中にはなお多くの問題がある。プロペラアームの配置による軸受の非均一な荷重、軸受の起動停止段階の低速回転、外荷重の短時間衝撃等は、いずれも摩擦対偶間の水膜の破裂を引き起こし、軸受が摩耗して故障してしまう恐れがある。上記条件は軸受の鳴音騒音をもたらして、艦船の隠蔽性に影響し、艦載ソナー作用距離及び艦船の対抗能力を低下させるとともに、艦船に乗る快適性にも影響する恐れもある。従って、上記問題をどのように解決するかは水潤滑軸受の研究分野におけるキーポイントである。
【0004】
潤滑媒体として、潤滑油の性能は水よりも遥かに優れ、且つ潤滑に本当に必要な液体潤滑剤の使用量は非常に少ない。極めて少量の液体潤滑剤を水に加えて接触領域に入れることにより、水潤滑軸受の性能を明らかに向上させることができる。
【0005】
マイクロフルイディクスは最近数年の新興の学科及び技術として、マイクロチャネル(寸法が数十~数百マイクロメートルである)を利用して微小流体を処理又は操作し、その重要な特徴の1つは、マイクロスケール環境において独特な流体性質、例えば層流及び液滴等を有することである。マイクロチャネルの設計及び流体の流速の制御によって、剪断力、粘力及び表面張力を利用して速度差を発生させ、それにより液流を微小液滴に分解する。
【0006】
本発明者は、マイクロフルイディクス技術により、潤滑油に水中で油滴を形成させ、それを水潤滑軸受の補助潤滑に応用し、水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭うとき、微量の潤滑油を微小油滴の形で接触領域に一定の速度で断続的に注入して、水潤滑軸受のトライボロジー性能の調整を行い、これにより、水潤滑軸受の支持能力を向上させ、水潤滑軸受の摩擦と摩耗を低減し、危険を一時的に回避する目的を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の欠陥に対して、マイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システム及びその補助潤滑方法を提供し、該システムは注油量を正確に調整することができ、潤滑油微量供給のニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、マイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法を提供し、具体的には、
水潤滑軸受の軸受ライニングに注油孔を開設し、微小油滴供給システムのマイクロフルイディクスチャネルを注油孔内まで延ばすステップS1と、
純水潤滑条件下で、水潤滑軸受の軸心軌跡検出装置を利用して水潤滑軸受の軸心軌跡を測定し、測定された信号を産業用コンピュータの観測制御及びデータ処理システムに入力し、適時な記録、記憶及び分析を行い、それにより軸心軌跡のリアルタイム曲線を取得し、軸心軌跡の測定を実現するステップS2と、
水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭い、即ち測定された軸心軌跡の形状が不規則で、大きなリング内に小さなリングが套設される現象が生じ始めるとき、水潤滑軸受の潤滑状態が混合潤滑に変化し始めることを表し、このとき、微小油滴供給システムを起動し、微小油滴供給システムは水相を連続相とし、油相を分散相とし、マイクロフルイディクス技術を利用して水相中に1つ1つの微小油滴を形成し、微小油滴が水の流れとともに注油孔を介して水潤滑軸受の接触領域に流れ込んで油膜を発生させ、脆弱な水膜を代替して、水潤滑軸受の支持能力を向上させ、水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭う際のトライボロジー性能を改善するステップS3と、
水潤滑軸受の軸心軌跡が楕円に戻って、改めて幾何学的中心近傍に戻る場合、水潤滑軸受が流体動圧潤滑状態に達し、微量潤滑油供給を行う必要がなくなり、微小油滴供給システムが水潤滑軸受の軸心軌跡検出装置からのフィードバックに基づいて動作を停止するステップS4と、を含む。
【0009】
更に、微小油滴供給システムは、T型マイクロフルイディクスチャネルを用いて油相を微小油滴に剪断し、T型マイクロフルイディクスチャネルが垂直管及び水平管を備え、垂直管が水平管に垂直に交差し、垂直管の水平管寄り端がテーパー状に小さくなり、垂直管内が油相であり、水平管内が水相であり、T型マイクロフルイディクスチャネルに接続される配管がいずれもマイクロフルイディクスチャネルである。
【0010】
更に、T型マイクロフルイディクスチャネル及びマイクロフルイディクスチャネルをいずれも超撥油処理する。
【0011】
更に、ステップ(1)における注油孔が、軸受ライニングの接触領域に近接する位置に設置され、水潤滑軸受の軸受台にねじ穴が開設され、ねじ穴が注油孔と連通し、微小油滴供給システムのマイクロフルイディクスチャネルがねじ穴を介して注油孔内まで延ばされ、マイクロフルイディクスチャネルの末端が注油孔の内側ポートと同一平面である。
【0012】
更に、水潤滑軸受の軸心軌跡検出装置として、市販されている渦電流変位センサを用い、微量潤滑油供給システムが用いる潤滑油として、市販されている環境に優しい動物油又は植物油を選択する。
【0013】
本発明は、マイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムを更に提供し、その本体構造は、潤滑油供給システム、水供給システム及びT型マイクロフルイディクスチャネルを備え、潤滑油供給システムがマイクロフルイディクスチャネルを介してT型マイクロフルイディクスチャネルの垂直管の入口端に接続され、水供給システムがマイクロフルイディクスチャネルを介してT型マイクロフルイディクスチャネルの水平管の入口端に接続され、T型マイクロフルイディクスチャネルの水平管の出口端がマイクロフルイディクスチャネルを介して水潤滑軸受の注油孔に接続される。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明の利点は、
1.微量潤滑油供給の補助潤滑システムは、水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭うとき、軸受に潤滑油を微量で離散的な形で断続的に供給することにより、水潤滑軸受の非正常動作状況下での潤滑性能を高め、水潤滑軸受の摩擦と摩耗を低減し、水潤滑軸受の耐用年数を延ばし、
2.マイクロフルイディクス技術は微小油滴の形成に寄与し、連続的な給油が給油量を正確に制御できない欠陥を回避し、より少量の潤滑油でより優れた補助潤滑効果を実現することができ、潤滑油の使用量を減少させ、マイクロフルイディクスチャネルが接触領域に直接延在し、水の逆流及び接触領域の圧力は微小油滴が接触領域に入ることに与える影響を低減することができ、潤滑油が接触領域に入って潤滑に参加することをより容易にし、且つマイクロフルイディクスチャネルの微小寸法が水潤滑軸受システムの応力集中を増加させることがなく、
3.T型マイクロフルイディクスチャネルの油入口を収縮状に設計し、潤滑油が水の流れにより剪断されて油滴を形成することをより容易にするとともに、油滴が非静的な動作環境においてマイクロフルイディクスチャネルに粘着されることを防止するために、マイクロフルイディクスチャネルの内面を超撥油処理し、潤滑油をマイクロフルイディクスチャネルにおいて常に油滴の形で存在させ、
4.水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭うときだけに微量の潤滑油で潤滑を補助するため、給油時間が短く、油消費量が少なく、環境に優しい潤滑油環境への汚染が少なく、補助潤滑システムは構造が簡単で、製造コストが低く、市場における大きな将来性を有することにある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る実施例1の微小油滴供給システムの構造の原理模式図である。
【
図2】本発明に係る実施例1の水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭う際の軸心軌跡図である。
【
図3】本発明に係るマイクロフルイディクス技術による潤滑油滴の形成原理及び配管の内面の超撥油性薄膜の修飾の模式図である。
【
図4】本発明に係るStribeck曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら実施例によって本発明を更に説明する。
【0017】
本実施例は、マイクロフルイディクス技術に基づき、水潤滑軸受に微小油滴を供給する微小油滴供給システムに関する。微小油滴供給システムの本体構造は、貯水タンク1、揚水ポンプ2、一方向絞り弁3、微量給油ポンプ4、アンロード弁5及びT型マイクロフルイディクスチャネル6を備える。貯水タンク1と揚水ポンプ2がマイクロフルイディクスチャネルを介して接続され、一方向絞り弁3の入口端が第1マイクロフルイディクスチャネル7を介して揚水ポンプ2に接続され、一方向絞り弁3の出口端が第2マイクロフルイディクスチャネル14を介してT型マイクロフルイディクスチャネル6の水平管の入口端に接続され、T型マイクロフルイディクスチャネル6の垂直管の入口端が第3マイクロフルイディクスチャネル15を介して微量給油ポンプ4に接続され、T型マイクロフルイディクスチャネル6の水平管の出口端が第4マイクロフルイディクスチャネル16に接続される。第4マイクロフルイディクスチャネル16が、水潤滑軸受のねじ穴10を通過して軸受台8と軸受ライニング9との間の凹溝11に入って注油孔13まで延び、第4マイクロフルイディクスチャネル16の末端が注油孔13の内側ポートと同一平面である。アンロード弁5がマイクロフルイディクスチャネルを介して微量給油ポンプ4に接続されている。水潤滑軸受の本体構造は、軸受台8、軸受ライニング9、ねじ穴10、凹溝11、回転軸12、注油孔13を備え、軸受台8にねじ穴10が開けられ、軸受台8内に中空円柱構造の軸受ライニング9が設けられ、軸受ライニング9上に接触領域近傍に注油孔13が開けられている。注油孔13は円柱形構造であり、その一端が凹溝11と連通し、他端が軸受ライニング9内に延在している。凹溝11は軸受台8と軸受ライニング9との間に周方向に設置され、その一端がねじ穴10と連通し、他端が注油孔13と連通しており、凹溝の長さは、ねじ穴10と注油孔13との間において短い側の距離である。回転軸12が軸受ライニング9内に取り付けられ、回転軸12が軸受ライニング9に対して回転することができる。
【0018】
前記第1マイクロフルイディクスチャネル7、第2マイクロフルイディクスチャネル14、第3マイクロフルイディクスチャネル15、第4マイクロフルイディクスチャネル16及びT型マイクロフルイディクスチャネル6の内面をいずれも超撥油処理し、具体的には、室温で、5gのアルコキシシラン官能化ベタイン型両性イオン化合物を95gのアルコール溶剤(溶液A)に溶解するとともに、5gの寸法100nmのナノシリカと95gのメタノール溶剤を混合して溶液Bを調製し、15gの溶液A、5gの溶液B及び0.5gのイソプロパノール希釈剤、0.1gの水と5gのメタケイ酸メチルエステルシラン接着剤を混合して均一に撹拌し、第1マイクロフルイディクスチャネル7、第2マイクロフルイディクスチャネル14、第3マイクロフルイディクスチャネル15、第4マイクロフルイディクスチャネル16及びT型マイクロフルイディクスチャネル6を混合溶液に浸漬し、80℃の条件下で100min処理して、超撥油性内面(
図3に示される)を得て、それによりT型マイクロフルイディクスチャネル6において水の流れにより剪断された後の潤滑油が常に油滴の形で存在し得るようにする。
【0019】
前記貯水タンク1と揚水ポンプ2との間のマイクロフルイディクスチャネル、アンロード弁5と微量給油ポンプ4との間のマイクロフルイディクスチャネル、第1マイクロフルイディクスチャネル7、第2マイクロフルイディクスチャネル14、第3マイクロフルイディクスチャネル15、第4マイクロフルイディクスチャネル16及びT型マイクロフルイディクスチャネル6は、いずれも市販されるものであって、ポリテトラフルオロエチレンで製造され、その配管の直径寸法が数十~数百マイクロメートルである。
【0020】
前記T型マイクロフルイディクスチャネル6は垂直管及び水平管を備え、垂直管が水平管に垂直に交差し、垂直管の水平管寄り端がテーパー状に小さくなり、即ち、潤滑油が垂直管から水平管へ流れるとき、配管の直径が大から小さくなり、潤滑油が水平管に入る際の配管の直径が最も小さく、潤滑油が水の流れにより剪断されることをより容易にする。
【0021】
更に、第1マイクロフルイディクスチャネル7、第2マイクロフルイディクスチャネル14、第3マイクロフルイディクスチャネル15、第4マイクロフルイディクスチャネル16、貯水タンク1と揚水ポンプ2との間のマイクロフルイディクスチャネル、アンロード弁5と微量給油ポンプ4との間のマイクロフルイディクスチャネル、並びにT型マイクロフルイディクスチャネル6の垂直管及び水平管の直径はいずれも同じであり、水潤滑軸受の凹溝11の直径は第4マイクロフルイディクスチャネル16の直径よりも少々大きく、凹溝11の直径の大きさは第4マイクロフルイディクスチャネル16に凹溝を通らせることができるだけでなく、第4マイクロフルイディクスチャネル16を固定することもできる。T型マイクロフルイディクスチャネル6及び凹溝11の構造をより良く顕在化させるために、
図1を拡大処理する。
【0022】
本実施例に係るマイクロフルイディクス技術に基づく微小油滴供給システムの補助潤滑方法は、
典型的なStribeck曲線に基づいて、水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭うとき、軸受内部の水膜が破裂し、軸受摩擦対偶間の潤滑状態が流体動圧潤滑から混合潤滑ひいては境界潤滑になって、水潤滑軸受のひどい摩耗故障をもたらし、これを基に、異なる潤滑状態での軸心軌跡を測定し、軸心軌跡が幾何学的中心近傍の長軸及び短軸のうちのより小さな1つの楕円に位置し、且つ再現性が高い場合、水潤滑軸受が流体動圧潤滑状態にあり、軸心軌跡の形状が不規則で、大きなリング内に小さなリングが套設される現象が生じ始めるとき(
図2に示される)、水潤滑軸受の潤滑状態が混合潤滑に変化し始めることを表すステップS1と、
純水潤滑条件下で、水潤滑軸受が水環境に位置し、渦電流変位センサを利用して水潤滑軸受の軸心軌跡を測定し、測定された信号を産業用コンピュータの観測制御及びデータ処理システムに入力し、適時な記録、記憶及び分析を行い、それにより軸心軌跡のリアルタイム曲線を取得し、軸心軌跡の測定を実現するステップS2と、
水潤滑軸受が突然に起動停止段階の低速回転、外荷重の短時間衝撃等の可変荷重又は可変速度等の過酷な動作状況に遭うと、微小油滴供給システムは、水潤滑軸受の軸心軌跡が変化するフィードバックに基づいて、揚水ポンプ2が先に動作し始め、揚水ポンプ2が貯水タンク1内の水を一方向絞り弁3により水潤滑軸受内の環境水圧よりも大きな圧力でT型マイクロフルイディクスチャネル6に押し込み、軸受ライニング9と軸受台8との間に埋められた第4マイクロフルイディクスチャネル15に流れ込ませ、第4マイクロフルイディクスチャネル15内の水の流れが安定化した後、微量給油ポンプ4が動作し始め、微量給油ポンプ4が潤滑油を一定の流動性で第3マイクロフルイディクスチャネル15内に押し込み、潤滑油の流速が具体的な水潤滑軸受の応用構造に関連し、具体的な状況に応じて調整可能であり、微量の潤滑油がT型マイクロフルイディクスチャネル6内に到達した後、収縮口及び水の剪断力の存在により微小な油滴を形成し、水の流れとともに第4マイクロフルイディクスチャネル16に流れ込み、第4マイクロフルイディクスチャネル16内の潤滑油滴が注油孔13を通過して接触領域に入って油膜を発生させ、脆弱な水膜を代替して、水潤滑軸受の支持能力を向上させ、水潤滑軸受が突然に過酷な動作状況に遭う際のトライボロジー性能を改善するステップS3と、
軸受の軸心軌跡が楕円に戻って、改めて幾何学的中心近傍に戻る場合、水潤滑軸受が流体動圧潤滑状態に達し、微量潤滑油供給を行う必要がなくなり、微小油滴供給システムが渦電流変位センサに基づいてフィードバックし、アンロード弁5が微量給油ポンプ4をリリーフし、微小油滴供給システムが動作を停止するステップS4と、を含む。
【0023】
更に、微小油滴供給システムが用いる潤滑油は市販されている環境に優しい動物油又は植物油を選択する。
【国際調査報告】