(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】ニロガセスタットとBCMA指向療法での併用療法およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/417 20060101AFI20230417BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230417BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230417BHJP
A61P 39/02 20060101ALI20230417BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230417BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230417BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230417BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230417BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230417BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A61K31/417
A61P35/00
A61P35/02
A61P39/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K35/17
A61K39/395 M
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K9/20
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554833
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 US2021022177
(87)【国際公開番号】W WO2021183934
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521444387
【氏名又は名称】スプリングワークス、セラピューティクス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPRINGWORKS THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シアラー, トッド ウェブスター
(72)【発明者】
【氏名】エドゥリス, バドレディン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC14
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF68
4C084AA19
4C084MA16
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA13
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4C084ZB262
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4C084ZC372
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4C085AA14
4C085AA25
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4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086GA13
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC37
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA05
4C087MA16
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA13
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC37
4C087ZC75
(57)【要約】
本開示は、がんまたは軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象においてがんまたは軽鎖アミロイドーシスを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドとB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法とを含む併用療法を対象に投与することを含む方法およびその使用を提供する。一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、BCMA指向療法を対象に投与する前に、またはそれと同時に、またはその後に対象に投与される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を含む併用療法を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記がんが、B細胞成熟抗原(BCMA)の不十分な発現を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、前記対象からの血清試料中の検出可能な可溶性B細胞成熟抗原(BCMA)レベルを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記がんが血液がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記血液がんが多発性骨髄腫である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記がんが、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および骨髄性白血病(ML)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象において軽鎖アミロイドーシスを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を含む併用療法を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項8】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のBCMA陽性細胞の表面からのB細胞成熟抗原(BCMA)のシェディングを減少させる、請求項1または7に記載の方法。
【請求項9】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象からの血清試料中の可溶性B細胞成熟抗原(BCMA)のレベルを低下させる、請求項1または7に記載の方法。
【請求項10】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のB細胞成熟抗原(BCMA)陽性多発性骨髄腫細胞の割合を増加させる、請求項1または7に記載の方法。
【請求項11】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のBCMA陽性がん細胞の表面上の膜結合B細胞成熟抗原(BCMA)の密度を増加させる、請求項1または7に記載の方法。
【請求項12】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象におけるB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の活性を増強する、請求項1または7に記載の方法。
【請求項13】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、等しいレベルの有効性を維持しながら、単独で投与される前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の量と比較して、より低用量の前記BCMA指向療法を前記対象へ投与することを可能にする、請求項1または7に記載の方法。
【請求項14】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、増大したレベルの有効性を達成しながら、単独で投与される前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の量と比較して、より低い用量または同じ用量の前記BCMA指向療法を前記対象へ投与することを可能にする、請求項1または7に記載の方法。
【請求項15】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で投与する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で1日1回または2回投与する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの用量で1日1回または2回投与する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの用量で1日1回または2回投与する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約200mgの1日総用量で投与する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約150mgの1日総用量で投与する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの1日総用量で投与する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約75mgの1日総用量で投与する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの1日総用量で投与する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を前記対象に投与する前に、または前記投与と同時に、または前記投与の後に前記対象に投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象に、前記併用療法が第一選択療法として投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、前記対象が前記がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に前記対象に投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、前記がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて、前記対象に対するプロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、免疫療法、幹細胞移植、化学療法、標的療法、またはニロガセスタットジヒドロブロミドと組み合わせていないB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法のうちの1またはそれを超えるものによって以前に処置されている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記免疫療法がモノクローナル抗体である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記モノクローナル抗体がCD38に対するものである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが経口投与され、B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が静脈内または皮下投与される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法、自己キメラ抗原受容体T細胞療法、免疫療法、抗体薬物コンジュゲート療法、またはBCMAおよび免疫関連標的に対する二重特異性を有する二重特異性抗体療法のうちの1またはそれを超えるものを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が少なくとも自己キメラ抗原受容体T細胞療法を含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも免疫療法を含む、請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記免疫療法がモノクローナル抗体である、請求項34または37に記載の方法。
【請求項39】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも抗体薬物コンジュゲート療法を含む、請求項34記載の方法。
【請求項40】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、BCMAおよび免疫関連標的に対して二重特異性を有する二重特異性抗体療法を少なくとも含む、請求項34記載の方法。
【請求項41】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが錠剤形態で投与される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象がヒトである、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
がんの処置を必要とする対象においてがんを処置することにおける、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を含む併用療法の使用。
【請求項44】
前記がんが、B細胞成熟抗原(BCMA)の不十分な発現を特徴とする、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記がんが、前記対象からの血清試料中の検出可能な可溶性B細胞成熟抗原(BCMA)レベルを特徴とする、請求項43に記載の使用。
【請求項46】
前記がんが血液がんである、請求項43に記載の使用。
【請求項47】
前記血液がんが多発性骨髄腫である、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記がんが、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および骨髄性白血病(ML)からなる群から選択される、請求項43に記載の使用。
【請求項49】
軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象において軽鎖アミロイドーシスを処置することにおける、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を含む併用療法の使用。
【請求項50】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のBCMA陽性細胞の表面からのB細胞成熟抗原(BCMA)のシェディングを減少させる、請求項43または49に記載の使用。
【請求項51】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象の可溶性B細胞成熟抗原(BCMA)のレベルを低下させる、請求項43または49に記載の使用。
【請求項52】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象におけるB細胞成熟抗原(BCMA)陽性多発性骨髄腫細胞の割合を増加させる、請求項43または49に記載の使用。
【請求項53】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のBCMA陽性がん細胞の表面上の膜結合B細胞成熟抗原(BCMA)の密度を増加させる、請求項43または49に記載の使用。
【請求項54】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象における前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の活性を増強する、請求項43または49に記載の使用。
【請求項55】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、等しいレベルの有効性を維持しながら、単独で投与される前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の量と比較して、より低用量の前記BCMA指向療法を前記対象に使用することを可能にする、請求項43または49に記載の使用。
【請求項56】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、増大したレベルの有効性を達成しながら、単独で投与される前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の量と比較して、より低い用量または同じ用量の前記BCMA指向療法を前記対象に使用することを可能にする、請求項43または49に記載の使用。
【請求項57】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で投与する、請求項43~56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で1日1回または2回投与する、請求項43~57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの用量で1日1回または2回投与する、請求項43~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの用量で1日1回または2回投与する、請求項43~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、請求項58に記載の使用。
【請求項62】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、請求項61に記載の使用。
【請求項63】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、請求項61に記載の使用。
【請求項64】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約200mgの1日総用量で投与する、請求項43~63のいずれか一項に記載の使用。
【請求項65】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約150mgの1日総用量で投与する、請求項43~63のいずれか一項に記載の使用。
【請求項66】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの1日総用量で投与する、請求項43~63のいずれか一項に記載の使用。
【請求項67】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約75mgの1日総用量で投与する、請求項43~63のいずれか一項に記載の使用。
【請求項68】
前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの1日総用量で投与する、請求項43~63のいずれか一項に記載の使用。
【請求項69】
前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を前記対象に投与する前に、または前記投与と同時に、または前記投与の後に前記対象に投与される、請求項43~68のいずれか一項に記載の使用。
【請求項70】
前記対象に、前記併用療法が第一選択療法として投与される、請求項43~69のいずれか一項に記載の使用。
【請求項71】
前記有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、前記対象が前記がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に前記対象に投与される、請求項43~69のいずれか一項に記載の使用。
【請求項72】
前記対象が、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、免疫療法、幹細胞移植、化学療法、標的療法、またはA形のニロガセスタットジヒドロブロミドと組み合わせていないB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法のうちの1またはそれを超えるものによって以前に処置されている、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
前記免疫療法がモノクローナル抗体である、請求項72に記載の使用。
【請求項74】
前記モノクローナル抗体がCD38に対するものである、請求項73に記載の使用。
【請求項75】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法、自己キメラ抗原受容体T細胞療法、免疫療法、抗体薬物コンジュゲート療法、またはBCMAおよび免疫関連標的に対する二重特異性を有する二重特異性抗体療法のうちの1またはそれを超えるものを含む、請求項43~74のいずれか一項に記載の使用。
【請求項76】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法を含む、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が少なくとも自己キメラ抗原受容体T細胞療法を含む、請求項75に記載の使用。
【請求項78】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が少なくとも免疫療法を含む、請求項75に記載の使用。
【請求項79】
前記免疫療法がモノクローナル抗体である、請求項75または78に記載の使用。
【請求項80】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも抗体薬物コンジュゲート療法を含む、請求項79に記載の使用。
【請求項81】
前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、BCMAおよび免疫関連標的に対して二重特異性を有する二重特異性抗体療法を少なくとも含む、請求項79に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象においてがんまたは軽鎖アミロイドーシスを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドとB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法とを含む併用療法を対象に投与することを含む方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
B細胞成熟抗原(BCMA)は、ガンマセクレターゼの基質である(Laurentら、Nat Commun.2015 Jun 11,6:7333)。ガンマセクレターゼは、膜貫通ドメイン内の残基で一回膜貫通タンパク質を切断するマルチサブユニットプロテアーゼ複合体である。BCMA発現は、多発性骨髄腫などの血液がんを含むいくつかのがんに関連している。
がんまたは軽鎖アミロイドーシスなどの疾患を標的とするための改善された戦略、およびBCMAを標的とする既存の治療薬を改善するための方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Laurentら、Nat Commun.2015 Jun 11,6:7333
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
一態様では、本開示は、がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法を含む併用療法を対象に投与することを含む方法に関する。一態様では、本開示は、がんの処置を必要とする対象におけるがんの処置における、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法を含む併用療法の使用に関する。
【0005】
一態様では、がんは、BCMAの不十分な発現を特徴とする。
【0006】
別の態様では、がんは、対象からの血清試料中の検出可能な可溶性BCMAレベルを特徴とする。
【0007】
別の態様では、がんは血液がんである。一態様では、血液がんは多発性骨髄腫である。一態様では、がんは、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および骨髄性白血病(ML)からなる群から選択される。
【0008】
別の態様では、本開示は、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法を含む併用療法を、軽鎖アミロイドーシスを処置することを必要とする対象に投与することを含む、軽鎖アミロイドーシスを処置する方法に関する。別の態様では、本開示は、軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象における軽鎖アミロイドーシスの処置における、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法を含む併用療法の使用に関する。
【0009】
一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを減少させる。
【0010】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、対象の可溶性BCMAのレベルを低下させる。
【0011】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、対象のBCMA陽性がん細胞の割合を増加させる。
【0012】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、対象のBCMA陽性がん細胞の表面上の膜結合BCMAのBCMA密度を増加させる。
【0013】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、対象におけるBCMA指向療法の活性を増強する。
【0014】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、等しいレベルの有効性(例えば、以下に考察される1またはそれを超える処置エンドポイント(例えば、CR、nCR、sCR、MRD))を維持しながら、単独で投与されるBCMA指向療法の量と比較して、より低用量のBCMA指向療法を対象へ投与することを可能にする。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、高いレベルの有効性(例えば、以下に考察される1またはそれを超える処置エンドポイント(例えば、CR、nCR、sCR、MRD))を達成しながら、単独で投与されるBCMA指向療法の量と比較して、より低用量のまたは同じ用量のBCMA指向療法を対象へ投与することを可能にする。
【0015】
一態様では、対象に、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが約20mgから約220mgの用量で投与される。別の態様では、対象に、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが約20mgから約220mgの用量で1日に1回または2回投与される。別の態様では、対象に、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが約20mgから約220mgの用量で少なくとも1週間にわたって1日に1回または2回投与される。
【0016】
一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、BCMA指向療法を対象に投与する前に、またはそれと同時に、またはその後に対象に投与される。
【0017】
一態様では、対象に、併用療法が第一選択療法として投与される。
【0018】
一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法で処置されているがんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する対象は、がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置されている。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法により処置されている、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する対象が、がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、幹細胞移植、化学療法、標的療法(例えば、XPO1阻害剤)、または、ニロガセスタットとの組み合わせではないBCMA指向療法のうちの1またはそれを超えるものによって以前に処置されている。
【0019】
一態様では、対象に、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが経口投与され、BCMA指向療法が静脈内または皮下投与される。一態様では、BCMA指向療法は、同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法、自己キメラ抗原受容体T細胞療法、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体療法)、抗体薬物コンジュゲート療法、またはBCMAおよび免疫関連標的(例えば、CD3)に対する二重特異性を有する二重特異性抗体療法のうちの1またはそれを超えるものを含む。別の態様では、BCMA指向療法は、少なくとも同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法を含む。別の態様では、BCMA指向療法は、少なくとも自己キメラ抗原受容体T細胞療法を含む。別の態様では、BCMA指向療法は、少なくとも免疫療法(例えば、モノクローナル抗体療法)を含む。別の態様では、BCMA指向療法は、少なくとも抗体薬物コンジュゲート療法を含む。別の態様では、BCMA指向療法は、BCMAおよび免疫関連標的(例えば、CD3)に対する二重特異性を有する二重特異性抗体療法を少なくとも含む。
【0020】
一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、錠剤形態で投与される。
【0021】
一態様では、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、A形結晶に対応する粉末X線回折パターン(「XRPD」)である。
【0023】
【
図2】
図2は、A形結晶に対応する熱重量分析サーモグラム(「TGA」)である。
【0024】
【
図3】
図3は、A形結晶に対応する示差走査熱量測定サーモグラム(「DSC」)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
I.概要
B細胞成熟抗原(BCMA)は、形質細胞の表面に発現され、それらの生存を調節する。多発性骨髄腫では、BCMAは悪性細胞上に広く発現されるが、正常組織上にはほとんど発現されない。BCMAは、いくつかの異なるタイプのB細胞悪性腫瘍を有する患者の血清中で検出され得る可溶性BCMA(sBCMA)として細胞表面から放出され得る。血清中のBCMAレベルは、これらの患者の疾患活動性および全生存率と相関し得る。
【0026】
ガンマセクレターゼは、膜結合BCMAの切断および可溶性BCMAとしての血清中へのBCMAの細胞外ドメインのシェディングに関与する。BCMAのシェディングは、BCMAを標的とする治療薬にとって課題をもたらす可能性がある。課題のいくつかは、以下を含む。第1に、BCMAのシェディングは、がん細胞上の表面BCMA発現を減少させ得、ひいては、BCMA標的治療剤の標的結合部位を減少させる。第2に、BCMAのシェディングは、BCMA標的治療剤に結合し、これらの薬剤ががん細胞上に発現される膜結合BCMAに結合するのをかわす、可溶性BCMAシンクを生成し得る。第3に、可溶性BCMA分子はまた、循環BCMAリガンド、例えば、B細胞活性化因子(BAFF)および増殖誘導リガンド(APRIL)を捕捉し、それらがB細胞および形質細胞の表面に発現されるBCMAを刺激するのを防ぎ、それによって患者において体液性免疫応答の欠損をもたらし得る。
【0027】
BCMAのシェディングを防止するためのガンマセクレターゼ阻害剤の使用は、BCMAを発現する病的B細胞を標的とするBCMA指向療法の有効性を高めることができる。本開示は、がんまたは軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象においてがんまたは軽鎖アミロイドーシスを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法を含む併用療法を対象に投与することを含む方法を提供する。一態様では、がんは、BCMAの不十分な発現を特徴とする。
【0028】
別の態様では、がんは、検出可能なsBCMAレベルを特徴とする。
【0029】
別の態様では、がんは血液がんである。一態様では、血液がんは多発性骨髄腫である。一態様では、がんは、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および骨髄性白血病(ML)からなる群から選択される。
【0030】
一態様では、本開示は、軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象において軽鎖アミロイドーシスを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法を含む併用療法を対象に投与することを含む方法を提供する。
II.定義
【0031】
本明細書に記載の開示の理解を容易にするために、いくつかの用語および語句を以下に定義する。
【0032】
一般に、本明細書で使用される命名法ならびに本明細書に記載される有機化学、医薬品化学および薬理学における実験手順は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、一般に、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0033】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。「a」(または「an」)という用語、ならびに「1またはそれを超える」および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。特定の態様では、「a」または「an」という用語は、「単一」を意味する。他の態様では、「a」または「an」という用語は、「2またはそれを超える」または「複数」を含む。
【0034】
さらに、「および/または」は、本明細書で使用される場合、2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれが、もう一方を伴う場合と伴わない場合の具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図されている。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、以下の態様、すなわち、「A、B、およびC」、「A、B、またはC」、「AまたはC」、「AまたはB」、「BまたはC」、「AおよびC」、「AおよびB」、「BおよびC」、「A(単独)」、「B(単独)」、および「C(単独)」のそれぞれを包含することが意図されている
【0035】
「対象」という用語は、限定するものではないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含む動物を指す。「対象」および「患者」という用語は、例えば、ヒト対象などの哺乳動物対象に関して、本明細書では互換的に使用される。
【0036】
「処置すること」または「処置」または「処置する」または「緩和すること」または「緩和する」などの用語は、診断された病的症状または障害を治癒する、減速させる、症状を軽減する、かつ/または進行を停止させる治療手段を指す。したがって、処置を必要とする者には、その障害と既に診断されているか、またはその障害を有することが疑われる者が含まれる。特定の態様では、患者が以下の、がん細胞の数の減少またはがん細胞の完全な非存在、特定のがんに関連する1またはそれを超える症状の軽減、罹患率および死亡率の低下、生活の質の改善、無増悪生存期間(PFS)の延長、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、転移非存在生存期間(MFS)、完全奏効(CR)、ほぼ完全奏効(nCR)、ストリンジェント完全奏効(sCR)、軽度奏効(MR)、最小残存病変(MRD)、部分奏効(PR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)、安定疾患(SD)、進行性疾患(PD)の減少、進行までの時間(TTP)の延長、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1またはそれを超えるものを示す場合、対象は、本発明の方法に従って、がん、例えば、多発性骨髄腫に対して成功裡に「処置された」ことになる。いくつかの態様では、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドとBCMA指向療法との組み合わせがこれらの特定のエンドポイント(例えば、CR、nCR、sCR、MRD)のいずれかを満たすかどうかを判定するために、多発性骨髄腫基準のための国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)統一奏効基準を使用することができる。
【0037】
多発性骨髄腫を有する対象に対するCRは、血清および尿に対する陰性免疫固定、ならびに任意の軟組織形質細胞腫および骨髄中の5%未満の形質細胞の消失であり得る。
【0038】
多発性骨髄腫を有する対象に対するsCRは、CR+正常な無血清軽鎖(FLC)比および免疫組織化学または免疫蛍光検査法(immunoflorence)による骨髄におけるクローン細胞の非存在であり得る。
【0039】
多発性骨髄腫を有する対象のVGPRは、免疫固定によって検出可能であるが電気泳動では検出できない血清および尿のMタンパク質、または100mg/24時間未満の血清Mタンパク質+尿Mタンパク質レベルの90%超の低下であり得る。
【0040】
多発性骨髄腫を有する対象に対するPDは、以下のいずれか1またはそれを超えるものの最低応答値からの25%超の増加であり得る。
・血清M成分および/または(絶対増加は0.5g/dL超でなければならない)、
・尿M成分および/または(絶対増加は200mg/24時間超でなければならない)、
・測定可能な血清および尿のMタンパク質レベルを有しない患者に限っては、関与するFLCレベルと関与しないFLCレベルとの間の差。絶対的な増加は10mg/dL超でなければならない、
・骨髄形質細胞のパーセンテージ(絶対パーセンテージは10%超でなければならない)、
・新しい骨病変もしくは軟部組織形質細胞腫の明確な発症、または既存の骨病変もしくは軟部組織形質細胞腫のサイズの明確な増加、
・形質細胞増殖性障害のみに起因し得る高カルシウム血症(補正血清カルシウム>11.5mg/dLまたは2.65mmol/L)の発症。
【0041】
多発性骨髄腫を有する対象に対するPRは、血清Mタンパク質の50%超の減少および24時間後の尿のMタンパク質の90%超の減少または200mg/24時間未満までの減少であり得る。血清および尿のMタンパク質が測定不能である場合、Mタンパク質基準の代わりに、関与するFLCレベルと関与しないFLCレベルとの間の差の50%超の減少が必要とされ得る。血清および尿のMタンパク質が測定できず、無血清光アッセイも測定できない場合、ベースライン骨髄形質細胞率が30%超であるならば、Mタンパク質の代わりに形質細胞の50%超の減少が必要とされ得る。さらに、ベースラインに存在する場合には、軟部組織形質細胞腫のサイズの50%超の縮小も必要とされ得る。
【0042】
多発性骨髄腫を有する対象のSDは、CR、VGPR、PRまたはPDの基準を満たさない可能性がある。
【0043】
試験するとMRD陰性である多発性骨髄腫を有する対象は、100万個の骨髄細胞あたり1個未満の骨髄腫細胞を有する。
【0044】
「投与すること」、「投与する」または「投与」という用語は、1またはそれを超える化合物または組成物を、非経口的、経腸的または局所的に対象に送達することを指す。非経口投与の実例としては、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内の、注射および注入が挙げられるが、これらに限定されない。経腸投与の実例には、経口、吸入、鼻腔内、舌下および直腸投与が含まれるが、これらに限定されない。局所投与の実例には、経皮および経膣投与が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
「有効量」という用語は、特定の生物学的結果を達成するために有効な、本明細書に記載の化合物、製剤、物質、または組成物の量を指す。
【0046】
「治療有効量」という用語は、投与された場合に、処置されている障害、疾患、または症状の症候のうちの1またはそれを超えるものの発症を予防するか、またはある程度緩和するのに十分な化合物の量を含む。「治療有効量」という用語はまた、研究者、獣医、医師または臨床医によって求められている、細胞、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発するのに十分な化合物の量を指す。
【0047】
「薬学的に許容され得る担体」、「薬学的に許容され得る賦形剤」、「生理学的に許容され得る担体」または「生理学的に許容され得る賦形剤」という用語は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料などの薬学的に許容され得る物質、組成物またはビヒクルを指す。一態様では、各成分は、医薬製剤の他の成分と適合し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、ヒトおよび動物の組織または器官と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に見合うものであるという意味で「薬学的に許容され得る」。(参照により本明細書に組み込まれる)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Lippincott Williams&Wilkins:Philadelphia,PA,2005、Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition,Roweら,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005、および、Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition,Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007、Pharmaceutical Preformulation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2004を参照されたい。
【0048】
本開示を通して使用される「BCMAの不十分な発現」という用語は、ガンマセクレターゼ阻害剤、例えば、ニロガセスタットジヒドロブロミドの投与が対象のがん細胞上のBCMAの発現レベルまたは同等に受容体密度を増加させることができるという事実によって実証される、がん細胞上のBCMAの最大値より低い発現レベルまたは同等のBCMAの受容体密度を指す。
【0049】
本開示を通して使用される「第一選択療法」という用語は、対象のがんまたは軽鎖アミロイドーシスの初期治療のために、医療機関または規制当局、例えば、米国食品医薬品局または欧州医薬品庁によって一般に受け入れられているまたは推奨されている治療レジメンを指す。がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する対象は、1またはそれを超える無関係の疾患または障害(例えば、不安症)を、以前に経験したことがある、かつ/または現在処置されている場合がある。
【0050】
実施形態が「を含む」という文言を用いて本明細書に記載されている場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」という文言で記載されている他の類似の実施形態を併せて示していることが理解される。
III.A形のニロガセスタットジヒドロブロミド
【0051】
本開示は、A形のニロガセスタットジヒドロブロミド(式(I)の(S)-2-(((S)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-N-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミドの二臭化水素酸塩)を含む併用療法に関する。
【化1】
【0052】
A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、8.8±0.2度、9.8±0.2度、および23.3±0.2度の2シータにピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0053】
一態様では、ニロガセスタットジヒドロブロミドのA形結晶は無水である。別の態様では、ニロガセスタットジヒドロブロミドのA形結晶の融点は約254℃である。
【0054】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、Cu Kα線によって測定した場合に、8.8±0.2度、9.8±0.2度および23.3±0.2度の2シータにピークを有するXRPDパターンを特徴とする。別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、Cu Kα線によって測定した場合に、8.8±0.2度、9.8±0.2度、23.3±0.2度、25.4±0.2度、28.0±0.2度および29.3±0.2度の2シータにピークを有するXRPDパターンを特徴とする。別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、Cu Kα線によって測定した場合に、8.8±0.2度、9.8±0.2度、20.0±0.2度、23.3±0.2度、25.4±0.2度、28.0±0.2度、29.3±0.2度および32.5±0.2度の2シータにピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0055】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、実質的に
図1に示すXRPDパターンを特徴とする。別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、実質的に
図2に示すTGAプロファイルを特徴とする。別の態様では、A形は、実質的に
図3に示すDSCプロフィールを特徴とする。
【0056】
A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、経口、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内および注入法)、直腸、鼻腔内、局所または経皮(例えば、パッチの使用を介して)経路を介して対象に投与することができる。一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、経口、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内および注入法)、直腸、鼻腔内、局所または経皮(例えば、パッチの使用を介して)経路を介して対象に投与することができる。一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは経口投与される。一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは錠剤形態で与えられる。
【0057】
一態様では、本医薬組成物は、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、本医薬組成物は、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよび薬学的に許容され得る担体を含む経口錠剤である。一態様では、錠剤は約10mgから約400mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、錠剤は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、または約400mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、錠剤は約10mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、錠剤は約20mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、錠剤は約50mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、錠剤は約100mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、錠剤は約150mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、錠剤は約200mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。一態様では、錠剤は約220mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む。
【0058】
経口投与の場合、公知の担体を医薬組成物に含めることができる。例えば、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンは、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、メチルセルロース、アルギン酸および特定の複合ケイ酸塩などの様々な崩壊剤と共に使用することができ、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアカシアなどの造粒結合剤と共に錠剤に含めることができる。さらに、錠剤化の目的で、多くの場合、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤が有用である。同様のタイプの固体組成物も、ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することができる。これに関連して好ましい材料としては、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与に望ましい場合、活性成分は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびそれらの様々な同様の組み合わせなどの希釈剤と共に、様々な甘味剤または香味剤、色素または染料、ならびに必要に応じて乳化剤および/または懸濁化剤と組み合わせることができる。
【0059】
非経口投与のために、ニロガセスタットを含有する溶液を、ゴマ油もしくは落花生油、水性プロピレングリコール、または滅菌水もしくは生理食塩水のいずれかで調製することができる。水溶液は、必要に応じて適切に緩衝しなければならず(好ましくは8を超えるpH)、液体希釈剤は、まず十分な生理食塩水またはグルコースで等張性にしなければならない。これらの水溶液は、静脈内注射の目的に適している。油性溶液は、関節内、筋肉内および皮下注射の目的に適している。滅菌条件下でのこれらすべての溶液の調製は、当業者に周知の標準的な医薬技術によって容易に達成される。
IV B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法
【0060】
いくつかの態様では、BCMA指向療法は、同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法、自己キメラ抗原受容体T細胞療法、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体療法)、抗体薬物コンジュゲート療法、またはBCMAおよび免疫関連標的(例えば、CD3)に対する二重特異性を有する二重特異性抗体療法のうちの1またはそれを超えるものを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、BCMA指向療法は、少なくとも同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法を含み得る。いくつかの態様では、BCMA指向療法は、少なくとも自己キメラ抗原受容体T細胞療法を含み得る。いくつかの態様では、BCMA指向療法は、少なくとも免疫療法(例えば、モノクローナル抗体療法)を含み得る。いくつかの態様では、BCMA指向療法は、少なくとも抗体薬物コンジュゲートを含み得る。いくつかの態様では、BCMA指向療法は、BCMAおよび免疫関連標的(CD3)に対して二重特異性を有する少なくとも二重特異性抗体療法を含み得る。いくつかの態様では、BCMA指向療法は、先に列挙した療法の任意の組み合わせを含む。
【0061】
いくつかの態様では、BCMA指向療法は、液体剤形での静脈内または皮下投与するために製剤化することができる。
V.処置方法
【0062】
一態様では、対象のがんを処置するために、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドとBCMA指向療法との組み合わせを投与する。いくつかの態様では、がんは血液がんである。一態様では、血液がんは多発性骨髄腫である。いくつかの態様では、がんは、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および骨髄性白血病(ML)からなる群から選択される。
【0063】
いくつかの態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)を有する対象は、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法の投与後に完全奏効を示す。いくつかの態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)を有する対象は、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法の投与後にほぼ完全奏効を示す。いくつかの態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)を有する対象は、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法の投与後にストリンジェントな完全奏効を示す。いくつかの態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)を有する対象は、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法の投与後に軽度奏効を示す。いくつかの態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)を有する対象は、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法の投与後に部分奏効を示す。いくつかの態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)を有する対象は、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法の投与後に非常に良好な部分奏効を示す。いくつかの態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)を有する対象は、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法の投与後に安定疾患を示す。
【0064】
一態様では、対象の軽鎖アミロイドーシスを処置するために、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドとBCMA指向療法との組み合わせを投与する。
【0065】
一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスを有する対象に対して、BCMA指向療法を対象に投与する前に、またはそれと同時に、またはその後に投与される。
【0066】
一態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスを有する対象に、第一選択療法として上記併用療法が投与される。かかる態様では、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスを有する対象は、1またはそれを超える無関係な疾患または障害(例えば、不安症)を以前に経験したことがある、かつ/または現在処置されている場合がある。
【0067】
いくつかの態様では、有効量のA形のニロガセスタットとBCMA指向療法との組み合わせが、1またはそれを超える他の公知のがん処置との組み合わせで使用され得る。いくつかの態様では、他の公知のがん処置として、放射線療法、化学療法、幹細胞移植 免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、ホルモン療法、光線力学療法、標的療法(例えば、XPO1阻害剤)、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、他の公知のがん処置は、免疫調節療法、プロテアソーム阻害剤、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの態様では、他の公知のがん処置は、免疫調節療法、プロテアソーム阻害剤、および免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)の組み合わせであり得る。
【0068】
一態様では、対象は、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびBCMA指向療法により処置されている、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスを有する対象が、がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、幹細胞移植、化学療法、標的療法(例えば、XPO1阻害剤)、対象に対するニロガセスタットとの組み合わせではないBCMA指向療法、およびそれらの組み合わせのうちの1またはそれを超えるものによって以前に処置されている。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤の対象への投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫調節療法の対象への投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)を対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、対象への幹細胞移植を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、化学療法を対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、対象への標的療法(例えば、XPO1阻害剤)の投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、ニロガセスタットと組み合わせてではないBCMA指向療法を対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤と免疫調節療法との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤と免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、対象への幹細胞移植およびプロテアソーム阻害剤の投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤と化学療法との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤と標的療法(例えば、XPO1阻害剤)との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤と、ニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法との組み合わせを、対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫調節療法と免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、対象への幹細胞移植および免疫調節療法の投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫調節療法と化学療法との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫調節療法と標的療法(例えば、XPO1阻害剤)との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫調節療法と、ニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法との組み合わせを、対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、対象への幹細胞移植および免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)の投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)と化学療法との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)と標的療法(例えば、XPO1阻害剤)との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)と、ニロガセスタットと組み合わせてではないBCMA指向療法との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、対象への幹細胞移植および化学療法の投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、対象への幹細胞移植および標的療法(例えば、XPO1阻害剤)の投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、対象への幹細胞移植と、ニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法の投与とを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、化学療法と標的療法(例えば、XPO1阻害剤)との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、化学療法と、ニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法との組み合わせを、対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、標的療法(例えば、XPO1阻害剤)と、ニロガセスタットと組み合わせてではないBCMA指向療法との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法および免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、幹細胞移植と、プロテアソーム阻害剤と免疫調節療法との組み合わせの対象への投与とを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法および化学療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法および標的療法(例えば、XPO1阻害剤)の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、およびニロガセスタットと組み合わせてではないBCMA指向療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、幹細胞移植と、プロテアソーム阻害剤と免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)との組み合わせの投与とを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、および化学療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、および標的療法(例えば、XPO1阻害剤)の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤と、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)と、ニロガセスタットと組み合わせてではないBCMA指向療法との組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置され
た後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、幹細胞移植と、免疫調節療法と免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)との組み合わせの対象への投与とを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫調節療法、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、および化学療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫調節療法、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、および標的療法(例えば、XPO1阻害剤)の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫調節療法、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、およびニロガセスタットと組み合わせてではないBCMA指向療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、幹細胞移植と、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)と、ニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法との組み合わせの対象への投与とを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、化学療法、およびニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、免疫療法(例えば、モノクローナル抗体、例えば、CD38に対するモノクローナル抗体)、標的療法(例えば、XPO1阻害剤)、およびニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、幹細胞移植と、化学療法と標的療法(例えば、XPO1阻害剤)との組み合わせの対象への投与とを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、幹細胞移植と、化学療法と、ニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法との組み合わせを、対象に投与することとを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、幹細胞移植、ならびに標的療法(例えば、XPO1阻害剤)と対象へのニロガセスタットと組み合わせてではないBCMA指向療法との組み合わせの投与を含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、化学療法、標的療法(例えば、XPO1阻害剤)、およびニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。一態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、免疫療法(例えば、CD38に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体)、およびニロガセスタットと組み合わせていないBCMA指向療法の組み合わせを対象に投与することを含む方法によって、がん(例えば、多発性骨髄腫)または軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に、がんまたは軽鎖アミロイドーシスを有する。
【0069】
一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、膜結合BCMAの切断を防止し、それにより、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約5%から約100%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約10%から約100%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約15%から約95%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約20%から約90%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約25%から約85%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約30%から約80%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約35%から約75%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約40%から約70%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約45%から約65%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約50%から約60%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを約50%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%減少させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを投与しない場合と比較して、対象のBCMA陽性細胞の表面からのBCMAのシェディングを、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%減少させる。
【0070】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、膜結合BCMAの切断を防止し、それによって対象のsBCMAのレベルを低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約5%から約100%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約10%から約100%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約15%から約95%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約20%から約90%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約25%から約85%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約30%から約80%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約35%から約75%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約40%から約70%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約45%から約65%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約50%から約60%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを約50%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%低下させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、A形のニロガセスタットを投与しない場合と比較して、対象のsBCMAのレベルを、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%低下させる。
【0071】
一態様では、可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)は、免疫アッセイ(例えば、ELISA)、HPLC-MSまたはMSを使用して細胞上清から測定される。一態様では、可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)は、免疫アッセイ(例えば、ELISA)、HPLC-MSまたはMSを使用して、対象の血清試料から測定される。
【0072】
一態様では、対象からの血清および上清試料をBCMA酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって分析して、対象の可溶性BCMAのレベルを決定することができる。一態様では、血清または上清試料を希釈または濃縮することができ、BCMA ELISAアッセイを製造業者のプロトコルに従って実行することができる。ELISAプレートは、プレートリーダーを使用して分析することができる。
【0073】
別の態様では、対象からの血清および上清試料を質量分析計(HPLC-MS)に連結された高速液体クロマトグラフィーによって分析して、対象の可溶性BCMAのレベルを決定することができる。一態様では、対象からの血清および上清試料を質量分析計(MS)によって分析して、対象の可溶性BCMAのレベルを決定することができる。
【0074】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを投与された対象は、投与前のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の数(ベースライン)と比較して、投与した後(投与後)により多数のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞を示し、すなわち、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞のパーセンテージは、ベースラインと比較してより大きい。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約5%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約20%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約25%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約30%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約35%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約40%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約45%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約50%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約60%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約65%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約70%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約75%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約80%から約99%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約90%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約20%から約90%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約30%から約90%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約40%から約90%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約50%から約90%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約60%から約90%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約70%から約90%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約80%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約20%から約80%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約30%から約80%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約40%から約80%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約50%から約80%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約60%から約80%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約70%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約20%から約70%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約30%から約70%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約40%から約70%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約50%から約70%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約60%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約20%から約60%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約30%から約60%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約40%から約60%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約50%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約20%から約50%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約30%から約50%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約40%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約20%から約40%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、ベースラインと比較して約10%から約30%増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、投与後のBCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合を、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%増加させる。
【0075】
一態様では、BCMA陽性多発性骨髄腫細胞の割合は、フローサイトメトリーを使用して陰性または陽性をゲーティングすることによって測定される。一態様では、多発性骨髄腫細胞は、対象から抽出される。一態様では、多発性骨髄腫細胞は、骨髄穿刺によって対象から抽出される。
【0076】
一態様では、骨髄穿刺液物質のフローサイトメトリー評価は、前処理なしで、または短時間の塩化アンモニウム赤血球溶解工程の後に穿刺液に対して直接行うことができる。例えば、Pont,M.ら、Blood 134:1585-97(2019)を参照されたい。事前測定手順は、フローサイトメーターを用いた骨髄の次世代フローサイトメトリー分析の確立されたプロトコルから採用することができる。骨髄穿刺液を適切な溶液で希釈し、適切な条件下でインキュベートすることができる。次いで、細胞を採取し、フローサイトメトリー緩衝液(例えば、1%ウシ胎児血清を含むPBS)で洗浄し、Live/Dead生存性色素で染色することができる。表面染色は、CD45、CD19、CD138、CD38、CD14、CD56、CD20、CD3、CD269(BCMA)またはCD274(PD-L1)から選択される群の1またはそれを超えるものに対する抗体の混合物を用いて行うことができる。正常なドナーPBMC細胞のアリコートを対照として並行して染色することができる。次いで、細胞を洗浄した後に、Cytofix/Cytoperm試薬を使用して室温で適切な時間、透過/固定処理を行い、洗浄し、カッパ免疫グロブリン軽鎖およびラムダ免疫グロブリン軽鎖に対する抗体の混合物で染色することができる。次いで、試料を洗浄した後、PBSに再懸濁し、適切なレーザーを備えたフローサイトメーターで獲得することができる。1つの試料あたり最小数の細胞(例えば、5×106個の細胞)を獲得することができる。結果は、ソフトウェアを使用して分析することができる。
【0077】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、BCMA陽性がん細胞の表面上の膜結合BCMAの密度を増加させる。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、対象のBCMA陽性がん細胞の表面上の膜結合BCMAの密度を、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、225倍または250倍増加させる。
【0078】
一態様では、ヒトBCMAの表面発現は、フローサイトメトリーおよび適切な二次抗体を使用して検出することができる。
【0079】
別の態様では、対象におけるBCMA指向療法の活性を増強するために、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを投与することができる。一態様では、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドとBCMA指向療法との組み合わせの活性は、がん細胞の殺傷および/または免疫媒介がん細胞の殺傷もしくはクリアランスによって測定される。
【0080】
別の態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、等しいレベルの有効性(例えば、上記の処置エンドポイント(例えば、CR、nCR、sCR、MRD)のうちの1またはそれを超えるもの)を達成するために単独で投与されていたBCMA指向療法の量と比較して、より低用量のBCMA指向療法を対象へ投与することを可能にする。いくつかの態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、高いレベルの有効性(例えば、先に考察した処置エンドポイント(例えば、CR、nCR、sCR、MRD)のうちの1またはそれを超えるもの)を達成しながら、単独で投与されるBCMA指向療法の量と比較して、より低用量のまたは同じ用量のBCMA指向療法を対象へ投与することを可能にする。
【0081】
一態様では、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドは、1日に約0.1mgから約1000mgの範囲の用量で投与される。一態様では、対象に、約50mgから約500mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを毎日投与する。別の態様では、対象に、約100mgから約400mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドが毎日投与される。別の態様では、対象に、約20mgから約220mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドが毎日投与される。別の態様では、対象に、1日当たり約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約220mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mgまたは約400mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドが投与される。1日の総用量は、単回用量または分割用量(すなわち、1日1回、2回、3回または4回の投与)として与えることができる。一態様では、1日の総用量は2回の用量として与えられる。例えば、300mgまたは200mgの1日総用量を、それぞれ2回の別々の150mgまたは100mgの用量として対象に投与することができる。一態様では、50mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む錠剤3つを1日2回、または200mgの1日用量を50mgのA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを含む錠剤2つを1日2回の形で対象に投与することができる。
【0082】
一態様では、対象に、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが経口投与され、BCMA指向療法が静脈内または皮下投与される。
一態様では、対象はヒトである。
【実施例】
【0083】
A.略語および頭字語
【表5-1】
【表5-2】
B.実験方法
実施例1:おおよその速度論的溶解度
【0084】
材料の秤量した試料を周囲温度で所定の溶媒のアリコートで処理した。代表的に、溶解を促進するために添加の間に試料を超音波処理した。完全な溶解を目視検査により確認した。溶解度は、完全な溶解を達成するために添加された溶媒の総量に基づいて計算され、漸増的な溶媒添加および溶解の固有の速度論に起因して、報告された値より大きくなり得る。溶解が確認されなかった場合、値を「未満」として報告する。溶媒の最初の添加時に溶解が観察された場合、値を「より大きい」として報告する。表1は、(s)-2-(((s)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-n-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-1h-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミドの二臭化水素酸塩の速度論的溶解度を示す。
【表1-1】
【表1-2】
(a)試料の目視評価による溶媒添加法を使用して溶解度を推定した。溶解が確認されなかった場合、値を最も近い整数に丸め、「<」として報告する。
(b)非cGMP試料
実施例2:安定な形態および水和物スクリーニング
方法a:磨砕実験
【0085】
(s)-2-(((s)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-n-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-1h-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミドの二臭化水素酸塩の試料を、所定の溶媒系中、周囲温度または設定温度で磨砕した。約24時間後、0.45μmナイロンフィルターを備えたエッペンドルフ遠心管を用いた遠心分離によって固体を単離した。次いで、撹拌を新たな溶媒中で合計約1週間および3週間続け、その後、固体を上記のように単離し、偏光下で観察し、XRPDによって分析した。
方法b:平衡溶解度試験
【0086】
単離した固体の平衡溶解度を以下のように重量測定により求めた。3週間のスラリーからの母液溶液の測定したアリコートを、予め秤量したアルミニウムTGAパンに入れた。その後、溶媒を周囲条件下で、または真空を用いて蒸発させた。残りの固体を秤量した。
【0087】
表2は、安定な形態および水和物スクリーニングの結果を示す。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
(a)実験は、合計で約1週間および約3週間にわたって行い、いずれもスラリー化の約1日後に溶媒を交換した。溶媒比(v/v)および実験期間は近似値である。特に明記しない限り、実験は周囲条件で行った。
(b)溶解度を重量測定により求めた。
(c)最初の溶媒交換後、さらなるスラリーとして使用するには不十分な量の固体があった。
(d)冷蔵室で実施
(e)非cGMP試料
実施例3:A形のニロガセスタットジヒドロブロミドの調製
【0088】
特に明記しない限り、(s)-2-(((s)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-n-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-1h-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミドの臭化水素酸塩を出発物質として使用した。
【0089】
出発物質を以下に要約する結晶化技術に供した。固体を代表的に真空濾過によって単離し、偏光下で観察し、XRPDによって分析した。
方法a:粉砕実験
【0090】
固体を少量の溶媒と合わせ、メノウ製の粉砕容器に移した。メノウ製ボールを加え、容器をレッチェのミルに取り付けた。試料を代表的に30Hzで20分間の1サイクルで粉砕するか、または再充填して、そのサイクルをさらに20分間にわたって繰り返した。
方法b:スラリー実験
【0091】
固体を所定の溶媒に懸濁した。次いで、懸濁液を周囲温度または設定温度で撹拌した。一定時間後、固体を単離した。
方法c:溶媒/貧溶媒沈殿
【0092】
出発物質の溶液を周囲温度または高温で調製し、0.2μmナイロンフィルターを用いて濾過した。次いで、それらを高温で適切な貧溶媒と混合した。固体が観察されない場合、試料を周囲温度もしくは周囲未満の温度まで冷却するか、または他の結晶化技術を適用した。
方法d:クラッシュ沈殿
【0093】
出発物質の溶液を所定の溶媒中で高温で調製し、ドライアイス/アセトンまたは水/氷浴で予備冷却した適切な貧溶媒中に0.2μmナイロンフィルターを通して熱濾過した。固体が沈殿した場合、それらがまだ冷たい間に真空濾過によって直ちに単離した。溶液が相変わらず透明である場合は、試料を周囲温度未満に保つか、さらなる結晶化技術を適用した。
方法e:冷却実験
【0094】
加熱用ホットプレートを使用して高温で所定の溶媒中で出発物質の溶液を調製した。これらを代表的に0.2μmナイロンフィルターを通して、温かい受けバイアル内に熱時濾過した。バイアルを、急激な冷却(CC)のために周囲温度未満の浴(代表的にはドライアイス/アセトン)に素早く移したか、高速冷却(FC)のために熱い場所から取り出したか、または徐冷(SC)を可能にするために加熱を止めた。固体が沈殿した場合、それらを真空濾過によって低温で単離した。溶液が相変わらず透明である場合は、試料を周囲温度未満に保つか、さらなる結晶化技術を適用した。
方法f:蒸発実験
【0095】
出発物質の溶液を、高速蒸発(FE)のためのオープンバイアルから、または低速蒸発(SE)のためのピンホールを有するアルミニウム箔で覆われたバイアルから、周囲温度または高温で部分的に蒸発させるか、または蒸発乾固させた。蒸発の前に、溶液を周囲温度または高温で0.2μmナイロンフィルターを用いて濾過した。
方法g:液体-蒸気拡散実験
【0096】
出発物質の溶液を周囲温度で調製し、0.2μmナイロンフィルターを通して、受けバイアルに濾過した。次いで、開放バイアルを、適切な貧溶媒を含む二次容器に入れた。この容器を密封し、周囲条件で静置した。
方法h:蒸気ストレス実験
【0097】
出発物質の固体をバイアルに移し、これを適切な貧溶媒を含む二次容器にキャップを外して入れた。二次容器を密封し、周囲条件または準周囲条件で静置した。
方法i:低相対湿度ストレス実験
【0098】
出発物質の固体をバイアルに移し、これをP2O5を含有するRHジャー内に、キャップを外して配置した。これを周囲温度で所定の期間維持した。
方法j:乾燥実験
【0099】
出発物質の固体を周囲温度または減圧下、設定温度で所定の期間乾燥させた。
【0100】
表3は、(s)-2-(((s)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-n-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-1h-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミドの二臭化水素酸塩の多形スクリーニングの結果をまとめる。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
(a)溶媒比(v/v)、温度および実験期間は近似値である。冷蔵庫および冷蔵室の温度:2~8℃;冷凍庫の温度:-10℃~-25℃。
(b)2~8℃でスラリーから母液を得た。蒸発は周囲温度で行った。
(c)非cGMP試料。
【0101】
表4は、X線非晶質材料から出発する(s)-2-(((s)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-n-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-1h-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミドの二臭化水素酸塩の多形スクリーニング結果をまとめる。
【表4】
(a)LIMS 386797から生成された試料はすべて非cGMPである。
(b)溶媒比(v/v)、温度および実験期間は近似値である。冷蔵庫および冷蔵室の温度:2~8℃;冷凍庫の温度:-10℃~-25℃。
実施例4:A形のニロガセスタットジヒドロブロミドで処理した後のヒト多発性骨髄腫細胞系におけるBCMA発現の評価
【0102】
BCMA発現多発性骨髄腫細胞系MM.1S、Molp-8、H929およびOPM2、ならびにBCMA陰性急性リンパ性白血病細胞系REHを、37℃に設定した加湿CO2インキュベーター内で、L-グルタミンおよび5から10%のFBSを含有するRPMI培地中で増殖させる。細胞を96ウェルプレート(1×106細胞/mL)に移し、増加する濃度(0.01nMから3000nM)のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドまたはビヒクル(対照)の存在下、37℃に設定した加湿CO2インキュベーター中で5から24時間培養する。400×gで5分間の遠心分離によって細胞を回収し、適切な緩衝液で洗浄する。次いで、細胞を、抗ヒトBCMA抗体を含有する適切な緩衝液100μLに懸濁し、4℃で30から60分間染色する。フローサイトメトリー分析のために、細胞を適切な緩衝液で2回洗浄する。細胞生存率は、製造業者が説明するとおりに市販のアッセイによって決定される。BCMAの発現レベル(平均蛍光強度)をフローサイトメトリーによって決定する。
実施例5:A形のニロガセスタットジヒドロブロミドで処理した後の複数の骨髄腫細胞系におけるsBCMAのシェディングの評価
【0103】
BCMA発現多発性骨髄腫細胞系MM.1S、Molp-8、H929およびOPM2、ならびにBCMA陰性急性リンパ性白血病細胞系REHを、37℃に設定した加湿CO2インキュベーター内で、L-グルタミンおよび5から10%のFBSを含有するRPMI培地中で増殖させる。細胞を96ウェルプレート(1×106細胞/mL)に移し、増加する濃度(0.01nMから3000nM)のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドまたはビヒクル(対照)の存在下、37℃に設定した加湿CO2インキュベーター中で5から24時間培養する。所定の時間の全体にわたっておよび/または所定の時間後に細胞培養培地を回収し、製造業者が提供する説明書に従って市販のsBCMA ELISAキットを使用してsBCMAの濃度について分析する。
実施例6
【0104】
BCMA発現多発性骨髄腫細胞系MM.1S、Molp-8、H929およびOPM2、ならびにBCMA陰性急性リンパ性白血病細胞系REHを、37℃に設定した加湿CO2インキュベーター内で、L-グルタミンおよび5から10%のFBSを含有するRPMI培地中で増殖させる。細胞を96ウェルプレート(1×106細胞/mL)に移し、37℃に設定した加湿CO2インキュベーター中、固定用量(例えば、1μM)のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドまたはビヒクル(対照)の存在下で培養する。標的BCMA療法は、3日間の細胞増殖アッセイ(例えば、Cell-Titre Glo)において多発性骨髄腫細胞の増殖に対する組み合わせの効果を評価するために、様々な濃度で添加され得る。
実施例7
【0105】
BCMA標的化抗体の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドと組み合わせたBCMA指向IgG1モノクローナル抗体を使用して測定する。BCMAを発現する多発性骨髄腫細胞系(例えば、MM.1S、Molp-8、RPMI8226、ARH77、GA10、LP1、L363)に対するADCC活性を、市販のアッセイ(例えば、Promega Jurkat ADCCアッセイ)を使用して測定し、このアッセイでは、様々な濃度のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、様々な濃度のBCMA標的化モノクローナル抗体と組み合わされる。
実施例8
【0106】
二重特異性細胞傷害性アッセイを、精製されたヒトCD3+T細胞およびルシフェラーゼ標識骨髄腫細胞系、5:1のE:T、ならびに二重特異性抗体の連続希釈液を混合することによって行う。2日間のインキュベーション後、細胞の生存率をOneGloルシフェラーゼ試薬(Promega)によって評価する。
実施例9
【0107】
BCMA×CD3二重特異性抗体のT細胞依存性細胞傷害(TDCC)活性を、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドと組み合わせて測定する。アッセイは、CD3+T細胞とルシフェラーゼ標識多発性骨髄腫細胞系(例えば、MM.1S、Molp-8、RPMI8226、ARH77、GA10、LP1、L363)とを、5対1のエフェクター対標的比を用いて混合することによって行う。二重特異性抗体およびA形のニロガセスタットジヒドロブロミドの連続希釈は、評価される各分子の様々な濃度をもたらす。2日間のインキュベーション後、ルシフェラーゼに基づくアッセイ(Promega OneGlo)を用いて細胞の生存率を評価する。
実施例10
【0108】
BCMA標的キメラ抗原T細胞(CAR-T)細胞のT細胞依存性細胞傷害(TDCC)活性を、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドと組み合わせて測定する。BCMA発現多発性骨髄腫細胞系(例えば、MM.1S、Molp-8、RPMI8226、ARH77、GA10、LP1、L363)に対するTDCC活性を、カスタム開発されたTDCCアッセイ(Nazarian,A.A.ら、J.Biomol.Screen,20:519-27(2015)により記載された形式と類似)を使用して測定し、ここでは、様々な濃度のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドを、様々な濃度のBCMA標的CAR-T細胞数と組み合わせる。
実施例11
【0109】
BCMA発現多発性骨髄腫細胞系(例えば、MM.1S、Molp-8、RPMI8226、ARH77、GA10、LP1、L363)の存在下でのBCMA標的療法(CAR-T細胞、二重特異性抗体およびモノクローナル抗体)によるT細胞活性化を、A形のニロガセスタットジヒドロブロミドと組み合わせて決定する。T細胞および多発性骨髄腫細胞系の共培養物を、固定濃度のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドと共にインキュベートする。BCMA標的療法の段階希釈液を加え、サイトカイン放出アッセイおよび/またはフローサイトメトリーによってT細胞の活性化を測定する。
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【0110】
発明の概要および要約のセクションではなく、詳細な説明のセクションが、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていることを理解されたい。発明の概要および要約のセクションは、発明者によって企図される本発明の1またそれを超える(ただし、すべてではない)例示的な実施形態を記載しており、従って、本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる形であっても限定することを意図するものではない。
【0111】
本発明を、所定の機能およびそれらの関係の実装を示す機能的構成要素を用いて上述してきた。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書で任意に定義されている。所定の機能およびそれらの関係が適切に実行される限り、別の境界を定義することができる。
【0112】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにし、他のものは、当技術分野の範囲内の知識を適用することによって、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、過度の実験を行うことなしに、かかる特定の実施形態を様々な用途のために容易に改変および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および改変は、本明細書に提示された教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内にあることが意図されている。本明細書の表現または用語は、限定ではなく説明を目的とするものであり、したがって、本明細書の用語または表現は、教示およびガイダンスに照らして当業者によって解釈されることが理解されるべきである。
【0113】
本発明の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0114】
本明細書に記載の様々な実施形態に加えて、本開示は、E1~E81の番号が付けられた以下の実施形態を含む。この実施形態のリストは例示的なリストとして提示されており、本出願はこれらの実施形態に限定されない。
【0115】
E1.がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を含む併用療法を前記対象に投与することを含む方法。
【0116】
E2.前記がんが、B細胞成熟抗原(BCMA)の不十分な発現を特徴とする、E1に記載の方法。
【0117】
E3.前記がんが、前記対象からの血清試料中の検出可能な可溶性B細胞成熟抗原(BCMA)レベルを特徴とする、E1に記載の方法。
【0118】
E4.前記がんが血液がんである、E1に記載の方法。
【0119】
E5.前記血液がんが多発性骨髄腫である、E4に記載の方法。
【0120】
E6.前記がんが、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および骨髄性白血病(ML)からなる群から選択される、E1に記載の方法。
【0121】
E7.軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象において軽鎖アミロイドーシスを処置する方法であって、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を含む併用療法を前記対象に投与することを含む方法。
【0122】
E8.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のBCMA陽性細胞の表面からのB細胞成熟抗原(BCMA)のシェディングを減少させる、E1またはE7に記載の方法。
【0123】
E9.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象からの血清試料中の可溶性B細胞成熟抗原(BCMA)のレベルを低下させる、E1またはE7に記載の方法。
【0124】
E10.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のB細胞成熟抗原(BCMA)陽性多発性骨髄腫細胞の割合を増加させる、E1またはE7に記載の方法。
【0125】
E11.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のBCMA陽性がん細胞の表面上の膜結合B細胞成熟抗原(BCMA)の密度を増加させる、E1またはE7に記載の方法。
【0126】
E12.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象におけるB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の活性を増強する、E1またはE7に記載の方法。
【0127】
E13.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、等しいレベルの有効性を維持しながら、単独で投与される前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の量と比較して、より低用量の前記BCMA指向療法を前記対象へ投与することを可能にする、E1またはE7に記載の方法。
【0128】
E14.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、増大したレベルの有効性を達成しながら、単独で投与される前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の量と比較して、より低い用量または同じ用量の前記BCMA指向療法を前記対象へ投与することを可能にする、E1またはE7に記載の方法。
【0129】
E15.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で投与する、E1~E14のいずれか一項に記載の方法。
【0130】
E16.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で1日1回または2回投与する、E1~E15のいずれか一項に記載の方法。
【0131】
E17.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの用量で1日1回または2回投与する、E1~E16のいずれか一項に記載の方法。
【0132】
E18.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの用量で1日1回または2回投与する、E1~E16のいずれか一項に記載の方法。
【0133】
E19.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、E16に記載の方法。
【0134】
E20.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、E19に記載の方法。
【0135】
E21.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、E19に記載の方法。
【0136】
E22.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約200mgの1日総用量で投与する、E1~E21のいずれか一項に記載の方法。
【0137】
E23.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約150mgの1日総用量で投与する、E1~E21のいずれか一項に記載の方法。
【0138】
E24.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの1日総用量で投与する、E1~E21のいずれか一項に記載の方法。
【0139】
E25.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約75mgの1日総用量で投与する、E1~E21のいずれか一項に記載の方法。
【0140】
E26.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの1日総用量で投与する、E1~E21のいずれか一項に記載の方法。
【0141】
E27.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を前記対象に投与する前に、または前記投与と同時に、または前記投与の後に前記対象に投与される、E1~E26のいずれか一項に記載の方法。
【0142】
E28.前記対象に、前記併用療法が第一選択療法として投与される、E1~E27のいずれか一項に記載の方法。
【0143】
E29.前記有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、前記対象が前記がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に前記対象に投与される、E1~E27のいずれか一項に記載の方法。
【0144】
E30.前記対象が、前記がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて、前記対象に対するプロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、免疫療法、幹細胞移植、化学療法、標的療法、またはニロガセスタットジヒドロブロミドと組み合わせていないB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法のうちの1またはそれを超えるものによって以前に処置されている、E29に記載の方法。
【0145】
E31.前記免疫療法がモノクローナル抗体である、E30に記載の方法。
【0146】
E32.前記モノクローナル抗体がCD38に対するものである、E31記載の方法。
【0147】
E33.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが経口投与され、B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が静脈内または皮下投与される、E1~E32のいずれか一項に記載の方法。
【0148】
E34.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法、自己キメラ抗原受容体T細胞療法、免疫療法、抗体薬物コンジュゲート療法、またはBCMAおよび免疫関連標的に対する二重特異性を有する二重特異性抗体療法のうちの1またはそれを超えるものを含む、E1~E33のいずれか一項に記載の方法。
【0149】
E35.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法を含む、E34記載の方法。
【0150】
E36.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が少なくとも自己キメラ抗原受容体T細胞療法を含む、E34記載の方法。
【0151】
E37.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも免疫療法を含む、E34記載の方法。
【0152】
E38.前記免疫療法がモノクローナル抗体である、E34またはE37に記載の方法。
【0153】
E39.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも抗体薬物コンジュゲート療法を含む、E34記載の方法。
【0154】
E40.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、BCMAおよび免疫関連標的に対して二重特異性を有する二重特異性抗体療法を少なくとも含む、E34記載の方法。
【0155】
E41.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが錠剤形態で投与される、E1~E40のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
E42.前記対象がヒトである、E1~E41のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
E43.がんの処置を必要とする対象においてがんを処置することにおける、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を含む併用療法の使用。
【0158】
E44.前記がんが、B細胞成熟抗原(BCMA)の不十分な発現を特徴とする、E43に記載の使用。
【0159】
E45.前記がんが、前記対象からの血清試料中の検出可能な可溶性B細胞成熟抗原(BCMA)レベルを特徴とする、E43に記載の使用。
【0160】
E46.前記がんが血液がんである、E43に記載の使用。
【0161】
E47.前記血液がんが多発性骨髄腫である、E46に記載の使用。
【0162】
E48.前記がんが、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および骨髄性白血病(ML)からなる群から選択される、E43に記載の使用。
【0163】
E49.軽鎖アミロイドーシスの処置を必要とする対象において軽鎖アミロイドーシスを処置することにおける、有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を含む併用療法の使用。
【0164】
E50.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のBCMA陽性細胞の表面からのB細胞成熟抗原(BCMA)のシェディングを減少させる、E43またはE49に記載の使用。
【0165】
E51.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象の可溶性B細胞成熟抗原(BCMA)のレベルを低下させる、E43またはE49に記載の使用。
【0166】
E52.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象におけるB細胞成熟抗原(BCMA)陽性多発性骨髄腫細胞の割合を増加させる、E43またはE49に記載の使用。
【0167】
E53.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象のBCMA陽性がん細胞の表面上の膜結合B細胞成熟抗原(BCMA)の密度を増加させる、E43またはE49に記載の使用。
【0168】
E54.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記対象における前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の活性を増強する、E43またはE49に記載の使用。
【0169】
E55.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、等しいレベルの有効性を維持しながら、単独で投与される前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の量と比較して、より低用量の前記BCMA指向療法を前記対象に使用することを可能にする、E43またはE49に記載の使用。
【0170】
E56.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、増大したレベルの有効性を達成しながら、単独で投与される前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法の量と比較して、より低い用量または同じ用量の前記BCMA指向療法を前記対象に使用することを可能にする、E43またはE49に記載の使用。
【0171】
E57.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で投与する、E43~E56のいずれか一項に記載の使用。
【0172】
E58.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で1日1回または2回投与する、E43~E57のいずれか一項に記載の使用。
【0173】
E59.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの用量で1日1回または2回投与する、E43~E58のいずれか一項に記載の使用。
【0174】
E60.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの用量で1日1回または2回投与する、E43~E58のいずれか一項に記載の使用。
【0175】
E61.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約20mgから約220mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、E58に記載の使用。
【0176】
E62.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、E61に記載の使用。
【0177】
E63.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの用量で、少なくとも1週間にわたって1日1回または2回投与する、E61に記載の使用。
【0178】
E64.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約200mgの1日総用量で投与する、E43~E63のいずれか一項に記載の使用。
【0179】
E65.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約150mgの1日総用量で投与する、E43~E63のいずれか一項に記載の使用。
【0180】
E66.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約100mgの1日総用量で投与する、E43~E63のいずれか一項に記載の使用。
【0181】
E67.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約75mgの1日総用量で投与する、E43~E63のいずれか一項に記載の使用。
【0182】
E68.前記対象に、前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドを約50mgの1日総用量で投与する、E43~E63のいずれか一項に記載の使用。
【0183】
E69.前記A形のニロガセスタットジヒドロブロミドが、前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法を前記対象に投与する前に、または前記投与と同時に、または前記投与の後に前記対象に投与される、E43~E68のいずれか一項に記載の使用。
【0184】
E70.前記対象に、前記併用療法が第一選択療法として投与される、E43~E69のいずれか一項に記載の使用。
【0185】
E71.前記有効量のA形のニロガセスタットジヒドロブロミドおよびB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、前記対象が前記がんまたは軽鎖アミロイドーシスについて以前に処置された後に前記対象に投与される、E43~E69のいずれか一項に記載の使用。
【0186】
E72.前記対象が、プロテアソーム阻害剤、免疫調節療法、免疫療法、幹細胞移植、化学療法、標的療法、またはA形のニロガセスタットジヒドロブロミドと組み合わせていないB細胞成熟抗原(BCMA)指向療法のうちの1またはそれを超えるものによって以前に処置されている、E71に記載の使用。
【0187】
E73.前記免疫療法がモノクローナル抗体である、E72に記載の使用。
【0188】
E74.前記モノクローナル抗体がCD38に対するものである、E73に記載の使用。
【0189】
E75.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法、自己キメラ抗原受容体T細胞療法、免疫療法、抗体薬物コンジュゲート療法、またはBCMAおよび免疫関連標的に対する二重特異性を有する二重特異性抗体療法のうちの1またはそれを超えるものを含む、E43~E74のいずれか一項に記載の使用。
【0190】
E76.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも同種異系キメラ抗原受容体T細胞療法を含む、E75に記載の使用。
【0191】
E77.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が少なくとも自己キメラ抗原受容体T細胞療法を含む、E75に記載の使用。
【0192】
E78.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が少なくとも免疫療法を含む、E75に記載の使用。
【0193】
E79.前記免疫療法がモノクローナル抗体である、E75またはE78に記載の使用。
【0194】
E80.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、少なくとも抗体薬物コンジュゲート療法を含む、E79に記載の使用。
【0195】
E81.前記B細胞成熟抗原(BCMA)指向療法が、BCMAおよび免疫関連標的に対して二重特異性を有する二重特異性抗体療法を少なくとも含む、E79に記載の使用。
【国際調査報告】