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特表2023-517254アブレーションスコアを特定するため、及びアブレーション事前試験を行うためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】アブレーションスコアを特定するため、及びアブレーション事前試験を行うためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20230417BHJP
   A61N 5/04 20060101ALN20230417BHJP
【FI】
A61B18/18 100
A61N5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555157
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2021022110
(87)【国際公開番号】W WO2021183890
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/989,311
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518312426
【氏名又は名称】バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コンディ、キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ハウツ、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】コールマン、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】モセソフ、オレグ
【テーマコード(参考)】
4C082
4C160
【Fターム(参考)】
4C082MA02
4C082MC05
4C082MG02
4C082MG03
4C082MJ02
4C082ML03
4C160JK03
4C160MM32
(57)【要約】
本発明の各種の態様は、組織アブレーションシステムを含み得る装置、システム、及び方法に関する。組織アブレーションシステムは、アブレーション器具、アブレーションジェネレータ、及び媒質中でアブレーション前処置を開始し、アブレーション前処置中に温度データ及び/又は電力データをモニタするように構成されたコントローラと、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織アブレーションシステムであって、
標的領域にエネルギーを付与するように構成されたアブレーション器具と、
前記アブレーション器具に電力を供給するように構成されたアブレーションジェネレータと、
前記アブレーションジェネレータに接続され、アブレーション術の前に媒質中でアブレーション前処置を開始するように構成されたコントローラと、を備え、前記アブレーション前処置中、前記コントローラは、
アブレーションジェネレータに、電力を前記アブレーション器具に供給させ、
温度データをモニタし、
前記アブレーション器具に供給された前記電力を表す電力データをモニタし、および
モニタされた前記温度データ及びモニタされた前記電力データに基づいて前記アブレーション器具の状態を特定する
ように構成されている、組織アブレーションシステム。
【請求項2】
前記アブレーション器具に送達される前記電力は1~20ワットである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アブレーション前処置は前記電力を前記アブレーション器具に5~30秒間にわたり送達することを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記媒質は組織シミュレータである、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記媒質は滅菌水である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記媒質はアブレーション術を受ける組織である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラはさらに、冷却剤が前記アブレーション器具に供給されるように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
モニタされた前記温度データは前記冷却剤の温度である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
モニタされた前記温度データは前記アブレーション器具の周囲の前記媒質の温度である、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
モニタされた前記温度データは前記アブレーション器具の温度である、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラはさらに、アブレーション術を実行するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記アブレーション器具はマイクロ波アブレーションニードルを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記アブレーション前処置に関する入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記アブレーション術に関する入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
エネルギーを前記標的領域に付与するように構成された第二のアブレーション器具をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織アブレーション器具及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がん等の病気の治療において、特定の種類の組織は熱により変性することが分かっている。この種の治療は、一般に温熱療法と呼ばれ、典型的には電磁放射を利用してがん組織が60℃より高い温度にまで加熱され、他方で健康な組織は不可逆的細胞破壊が起こらないように、より低温に保たれる。マイクロ波アブレーションは、電磁放射を用いて組織を加熱するこのような治療の1つである。
【0003】
マイクロ波組織アブレーションは、外科的切除より侵襲性の低い処置であり、多くの状況において、腫瘍を手術で取り除くことが難しい、例えば腫瘍が比較的小さい、腫瘍が比較的小さい器官に近くに位置する、又は腫瘍が大きい血管に近くに位置する場合であり得る。このアプローチは、前立腺、心臓、及び肝臓等、腫瘍の外科的切除が困難であり得る器官において採用されている。
【0004】
処置を有効に計画し、最適化するために、アブレーション器具は予測可能な大きさ及び形状のアブレーション容積を有することが望ましい。この理由から、規則的な形状を有する予測可能なアブレーション容積が好ましく、球形、又はほぼ球形のアブレーション容積を形成することが特に好ましい。予測可能な大きさ及び形状のアブレーション容積を有するアブレーション器具により、外科的処置が容易化され、望ましくない医学的合併症が低減する。
【0005】
アブレーション術が効率的に実施され、アブレーション器具が処置中に予想通りに動作して、望ましくない医学的合併症を低減させ、標的組織の所望のアブレーションを実現することも望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施例1において、組織アブレーションシステムは、標的領域にエネルギーを付与するように構成されたアブレーション器具と、アブレーション器具に電力を供給するように構成されたアブレーションジェネレータと、アブレーションジェネレータと連通しており、アブレーション術の前に媒質中でアブレーション前処置を開始するように構成されたコントローラと、を含み、アブレーション前処置中に、コントローラは、アブレーションジェネレータに電力をアブレーション器具に供給させ、温度データをモニタし、アブレーション器具に供給された電力を表す電力データをモニタし、モニタされた温度データ及びモニタされた電力データに基づいてアブレーション器具の状態を特定するように構成される。
【0007】
実施例2では、実施例1のシステムにおいて、アブレーション器具に送達される電力は1~20ワットである。
実施例3では、実施例1又は2のシステムにおいて、アブレーション前処置は電力をアブレーション器具に5~30秒間にわたり送達することを含む。
【0008】
実施例4では、実施例1~3のいずれか1つのシステムにおいて、媒質は組織シミュレータである。
実施例5では、実施例1~3のいずれか1つのシステムにおいて、媒質は滅菌水である。
【0009】
実施例6では、実施例1~3のいずれか1つのシステムにおいて、媒質はアブレーション術を受ける組織である。
実施例7では、実施例1~6のいずれか1つのシステムにおいて、コントローラはさらに、冷却剤がアブレーション器具に供給されるように構成される。
【0010】
実施例8では、実施例7のシステムでは、モニタされる温度データは冷却剤の温度である。
実施例9では、実施例1~6のいずれか1つのシステムにおいて、モニタされる温度データはアブレーション器具の周囲の媒質の温度である。
【0011】
実施例10では、実施例1~9のいずれか1つのシステムにおいて、モニタされる温度データはアブレーション器具の温度である。
実施例11では、実施例1~10のいずれか1つのシステムにおいて、コントローラはさらに、アブレーション術を実行するように構成される。
【0012】
実施例12では、実施例1~11のいずれか1つのシステムにおいて、アブレーション器具はマイクロ波アブレーションニードルを含む。
実施例13では、実施例1~12のいずれか1つのシステムにおいて、アブレーション前処置に関する入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースをさらに含む。
【0013】
実施例14では、実施例1~13のいずれか1つのシステムにおいて、アブレーション術に関する入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースをさらに含む。
実施例15では、実施例1~14のいずれか1つのシステムにおいて、エネルギーを標的領域に付与するように構成された第二のアブレーション器具をさらに含む。
【0014】
実施例16において、アブレーション術のためのアブレーション器具の準備方法は、媒質中にアブレーション器具を挿入する工程と、アブレーション術の前にアブレーション前処置を開始する工程であって、アブレーション前処置はアブレーションジェネレータに電力をアブレーション器具に供給させることを含む、アブレーション術の前にアブレーション前処置を開始する工程と、温度データをモニタする工程と、アブレーション器具に供給される電力を表す電力データをモニタする工程と、アブレーション器具の状態を温度データ及び電力データに基づいて特定する工程と、を含む。
【0015】
実施例17では、実施例16の方法において、アブレーション器具に送達される電力は1~20ワットである。
実施例18では、実施例16の方法において、アブレーション前処置は電力をアブレーション器具に5~30秒間送達する工程を含む。
【0016】
実施例19では、実施例16の方法において、アブレーション器具の電力効率を特定する工程をさらに含む。
実施例20では、実施例16の方法において、媒質は滅菌水である。
【0017】
実施例21では、実施例16の方法において、媒質はアブレーション術を受ける組織である。
実施例22では、実施例16の方法において、アブレーション器具に冷却剤を提供する工程をさらに含む。
【0018】
実施例23では、実施例17の方法において、モニタされる温度データは冷却剤の温度である。
実施例24では、実施例16の方法において、モニタされる温度データはアブレーション器具の周囲の媒質の温度である。
【0019】
実施例25では、実施例16の方法において、モニタされる温度データはアブレーション器具の温度である。
実施例26では、実施例16の方法において、アブレーション術を実行する工程をさらに含む。
【0020】
実施例27において、アブレーション術のためのアブレーション器具の準備方法は、媒質中にアブレーション器具を挿入する工程と、アブレーション術の前にアブレーション前処置を開始する工程であって、アブレーション前処置は、冷却剤ポンプに冷却剤をアブレーション器具に送達させることを含む、アブレーション術の前にアブレーション前処置を開始する工程と、アブレーションジェネレータに電力をアブレーション器具に供給させる工程と、冷却剤の温度をモニタする工程と、アブレーション器具に供給される電力を表す電力データをモニタする工程と、モニタされた温度データ及びモニタされた電力データに基づいてアブレーション器具の状態を特定する工程と、を含む。
【0021】
実施例28では、実施例27の方法において、アブレーション器具に送達される電力は1~20ワットである。
実施例29では、実施例27の方法において、アブレーション前処置は電力をアブレーション器具に5~30秒間送達する工程を含む。
【0022】
実施例30では、実施例27の方法において、アブレーション器具の電力効率を特定する工程をさらに含む。
実施例31では、実施例27の方法において、媒質は滅菌水である。
【0023】
実施例32では、実施例27の方法において、媒質はアブレーション術を受ける組織である。
実施例33では、実施例27の方法において、モニタされる温度データはアブレーション器具の周囲の媒質の温度である。
【0024】
実施例34では、実施例27の方法において、アブレーション術を実行する工程をさらに含む。
実施例35において、組織アブレーションシステムは、標的領域にエネルギーを付与するように構成されたアブレーション器具と、アブレーション器具に電力を供給するように構成されたアブレーションジェネレータと、アブレーションジェネレータと連通し、アブレーション術の前にアブレーション前処置を開始するように構成されたコントローラと、を含み、アブレーション前処置中に、コントローラは、冷却剤ポンプに冷却剤をアブレーション器具に送達させ、アブレーションジェネレータに電力をアブレーション器具に供給させ、冷却剤の温度をモニタし、アブレーション器具に供給される電力を表す電力データをモニタし、アブレーション器具の状態をモニタされた温度データ及びモニタされた電力データに基づいて特定するように構成される。
【0025】
幾つかの実施形態が開示されているが、当業者であれば、本明細書で開示される主題のさらに別の実施形態が、開示される主題の例示的な実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から理解できる。したがって、図面及び詳細な説明は例示的であると見なされるべきであり、限定的とはみなされない。
【0026】
本発明の利点は当業者にとって、以下の詳細な説明により、また添付の図面を参照すれば明らかとなるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】本発明の1つの実施形態による、アブレーションプロセスを実行するためのシステムの要素を含むブロック図。
図1B】本発明の1つの実施形態による、アブレーションプロセスを実行するためのアブレーション器具と接続するためのアブレーション器具インタフェースの動作を説明するブロック図。
図2】本発明による冷却システムを示す簡略図。
図3】本発明の1つの実施形態による、ハンドルを備えるマイクロ波組織アブレーション器具を示す斜視図。
図4A】本発明の1つの実施形態によるマイクロ波組織アブレーション器具400の斜視図。
図4B】冷却機構の1つの実施形態を示す線X-Yに沿った断面図。
図5】本発明の1つの実施形態によるマイクロ波組織アブレーション器具を示す側面図。
図6A】複数のマイクロ波組織アブレーションニードルの構成を示す平面図。
図6B】深さの配置が異なる複数のアブレーション器具を示す正面図。
図7】例示的なアブレーション前処置の詳細を示すブロック図。
図8】例示的なアブレーション術の詳細を示すブロック図。
図9】アブレーション術に使用できるGUIを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
マイクロ波組織アブレーション器具により作り出されるアブレーション領域の大きさと寸法は、幾つかの要素の中でも、マイクロ波アンテナの種類に基づく。臨床医は、標的組織の大きさと寸法より大きいアブレーション領域を生成できるマイクロ波アンテナを選択し、このマイクロ波アンテナを、そのマイクロ波アンテナにより作られるアブレーション領域が標的組織を含むように挿入し得る。アブレーション対象組織が器具により生成されるアブレーション容積の大きさより大きい場合、複数の器具が使用されて、アブレーション対象組織をカバーするようにアブレーション容積が組み合わせられ得る。本明細書で説明するマイクロ波組織アブレーション器具の実施形態は、テーリングの小さい予測可能な形状のアブレーション領域を作るために使用され、これはアブレーションの計画に役立つとともに、治療対象容積の外側にある組織への損傷を防止する。
【0029】
幾つかの実施形態において、本明細書で開示するアブレーション器具は、加熱により組織を壊死させるマイクロ波エネルギーの放出によりアブレーションを行うように構成されたマイクロ波アブレーション器具である。一般に、器具は、本明細書に記載されているもののようなマイクロ波アンテナを有するマイクロ波アブレーションニードルである。
【0030】
別の態様では、本発明は本明細書に記載のプローブ又はニードル等の1つ以上のマイクロ波アブレーション器具を含む、組織のマイクロ波アブレーションのためのシステムを提供する。マイクロ波アブレーション器具は、マイクロ波エネルギーを組織に伝送するように構成されたマイクロ波アンテナと、マイクロ波エネルギーをフィードラインを介してマイクロ波アンテナに供給するように構成されたマイクロ波発生器と、マイクロ波発生器をアブレーション器具のマイクロ波アンテナに接続し、マイクロ波発生器により付与されるマイクロ波エネルギーを組織のアブレーションのためにアンテナに送達するように構成された1つ以上のパワーケーブルと、を含む。
【0031】
本明細書に記載のもののようなアブレーション器具は、最大150ワットの電力で最大20分以上の期間にわたり動作するように構成できる。器具は使用中、アンテナの抵抗加熱及び組織から反射されるエネルギーによって熱を帯びるため、一般にフィードラインの先端部分及びアンテナを含む器具の少なくとも先端部分には冷却が必要となる。好ましくは、各種の実施形態において、フィードライン及びアンテナは全体的に冷却される。アンテナを冷却することにより、器具自体の損傷が防止され、アンテナに近い組織の過熱又は焼け焦げが防止される。これによって組織の物性、例えばエネルギー吸収及び反射特性が変化し、したがって、アンテナの効率が低下し、アブレーション領域が変化し得る。したがって、ある実施形態において、上記組織アブレーション器具は追加的に、アンテナ及び/又はフィードラインの少なくとも一部を冷却するための冷却システムを含み得る。このような冷却システムは一般に、冷却剤(例えば、水)等の冷却流体がフィードラインの少なくとも一部及びアンテナを通過するように構成される。一般に、このようなシステムは冷却剤入口と冷却剤出口を含み、これらは協働して、冷却剤がアンテナと、任意選択によりフィードラインの少なくとも一部を通過して、アンテナと、任意選択によりフィードラインの少なくとも一部、好ましくは全部を冷却するようにする。アンテナとフィードラインは一般に、冷却剤と接触する。
【0032】
1つの選択肢として、冷却システムは冷却剤チャンバを含み、冷却剤チャンバはアンテナ及びフィードラインの少なくとも先端部分を囲み且つ冷却剤を冷却剤チャンバに供給するように構成された冷却剤入口導管と、冷却剤を冷却剤チャンバから出すように構成された冷却剤出口導管を有し、冷却剤入口導管及び冷却剤出口導管は、冷却剤がフィードラインの少なくとも一部及びアンテナの少なくとも一部を通過するように構成される。
【0033】
図1Aは、本発明の一実施形態における、アブレーションプロセスを実行するためのシステムの要素を含むブロック図を示す。システムはコンソール102を含み、コンソール102はユーザインタフェース104、コントローラ106、及びアブレーション器具インタフェース108を含む。ある実施形態において、ユーザインタフェース104は情報をユーザに提示するためのディスプレイと、ユーザからの、例えば1つ以上のボタン、ダイヤル、スイッチ、又はその他の操作可能な要素を介した入力を受信するための入力デバイスを含む。ある実施形態において、ユーザインタフェース104は、ユーザインタフェース104のディスプレイと入力デバイスの両方として機能するタッチスクリーンディスプレイを含む。
【0034】
本発明のある態様によれば、コンソール102のアブレーション器具インタフェース108は、1つ以上のアブレーション器具に接続するように構成される。図1Aの実施形態において、アブレーション器具インタフェース108は、3つのアブレーション器具120a、120b、120cにそれぞれライン110a、110b、110cを介して接続する。ある実施形態において、コンソール102は3つのアブレーション器具(120a、120b、120c)の1つ、2つ、又は全部と個別に、又は同時に接続できる。図1Aの実施形態では3つのアブレーション器具が示されているが、本発明の様々な態様はそれ以外の数のアブレーション器具と接続できるアブレーション器具インタフェースを有するコンソールを含み得る。
【0035】
ある実施形態において、コンソールは1つのアブレーション器具と接続できるアブレーション器具インタフェースを含む。他の実施形態では、コンソールは2つのアブレーション器具と、3つのアブレーション器具と、4つのアブレーション器具と、又は5つのアブレーション器具に接続できるアブレーション器具インタフェースを含む。幾つかの例では、アブレーション器具インタフェースは任意の数のアブレーション器具に接続するように構成できる。
【0036】
本発明の特定の態様によれば、1つのコンソールを使って、アブレーション器具インタフェースにより支持されるアブレーション器具の数を上限として、任意の数のアブレーション器具を動作させることができる。例えば、3つのアブレーション器具を同時に受け入れることのできるアブレーション器具インタフェースを有するコンソールは、1つ、2つ、又は3つのアブレーション器具を動作させるように構成できる。
【0037】
ある実施形態において、ライン110a、110b、110cは、それぞれアブレーション器具120a、120b、120cに冷却剤(例えば、冷却剤源140から)及びアブレーション用電力(例えば、マイクロ波信号)を供給するように構成される。ライン110a、110b、110cは、冷却剤がそれぞれのアブレーション器具に供給されるための経路と、アブレーション器具内の冷却剤流路を通過した後それぞれのアブレーション器具からの冷却剤を受け入れるための戻り経路とを形成するように構成できる。
【0038】
本発明のある態様によれば、コントローラ106は、ユーザインタフェース104及びアブレーション器具インタフェース108に接続するように構成される。ある実施形態において、コントローラ106は、ユーザインタフェース104を介した1つ以上の入力を受け取り、ユーザインタフェース104を介して1つ以上の項目を出力するように構成できる。
【0039】
コントローラ106は、1つ以上のアブレーション器具(例えば、120a、120b、120c)の動作をアブレーション器具インタフェース108を介して制御するように構成できる。ある実施形態において、コントローラ106は、冷却剤がアブレーション器具インタフェース108を介して1つ以上のアブレーション器具に供給されるようにすることができる。コントローラ106は、アブレーション用電力が1つ以上のアブレーション器具に供給されて、アブレーション器具にアブレーションプロセスを実行させる。ある実施形態において、アブレーション器具に供給されるアブレーション用電力によって、マイクロ波アブレーション器具はマイクロ波放射を放出する。電源130は、アブレーション用電力を生成するために使用される電力を供給できる。
【0040】
ある例において、コントローラは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサにコントローラを介して実施させるための命令を記憶したメモリとを含む。本発明のいくつかの実施形態において、コントローラは、例えば1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジック回路等、単独又は任意の好ましい組合せの1つ以上のプロセッサとして実装される。コントローラはまた、実行されるとコントローラに本開示でコントローラに付与されている機能を実行させるプログラム命令及び関連データを記憶するメモリも含み得る。メモリは、任意の固定又はリムーバブル磁気、光、又は電気媒体も含み得て、これは、例えばRAM、ROM、CD-ROM、フラッシュメモリ、又はEEPROM等である。メモリはまた、メモリの更新を行うこと、又はメモリの容量を増大させることに使用され得るリムーバブルメモリ部分も含み得る。リムーバブルメモリにより、画像データを他のコンピューティングデバイスに容易に転送することもでき得る。コントローラはまた、コンピュータ又はその他の電子システムの幾つか又は全部の要素を1つのチップに統合するシステム・オン・チップとしても実装され得る。
【0041】
図1Bは、本発明の1つの実施形態による、アブレーションプロセスを実行するためのアブレーション器具に接続するアブレーション器具インタフェースの動作を例示するブロック図を示す。一例において、アブレーション器具インタフェース108は1つ以上の流体ポンプを含み、1つ以上の流体ポンプ(148a、148b、148c)の各々は、冷却剤をそれぞれのアブレーション器具に送出するように構成される。例えば、図のように、ポンプ148aは冷却剤源140と連通し、冷却剤をアブレーション器具(例えば、120a)に冷却剤ライン114aを介して供給するように構成できる。このようなポンプは、コントローラにより制御可能である。コントローラは、ポンプ(例えば、148a)からアブレーション器具(例えば、120a)に供給される流体の流量を制御するように構成でき、これにはポンプによる冷却剤のアブレーション器具への供給を開始させること及びポンプによる冷却剤のアブレーション器具への供給を停止させることが含まれる。
【0042】
図1Bの例では、アブレーション器具インタフェース108は、冷却剤をそれぞれのアブレーション器具に、それぞれ冷却剤ライン114a、114b、114cを介して供給するための3つのポンプ148a、148b、148cを含む。冷却剤ライン114a、114b、114cは、それぞれ図1Aに示されるライン110a、110b、110cの中に含めることができる。ある実施形態において、各ポンプはコントローラにより、例えば他のポンプから独立して制御され、それによって何れのポンプも他のポンプの動作状態に関係なく動作できる。
【0043】
他の実施形態では、ポンプ148a、148b、148cの各々はコントローラにより制御される1つのモータにより駆動される蠕動ポンプを含む。幾つかのこのような例において、各ポンプはモータにより定められるものと同じ速度で動作し、冷却剤は冷却剤ライン114a、114b、114cを介して、接続されている何れのアブレーション器具にも流れる。コントローラは、モータのスピードを制御することにより、アブレーション器具内での冷却剤の流量を調整できる。
【0044】
幾つかの例において、アブレーション器具に提供される冷却剤は閉ループ再循環系で供給され、冷却剤はアブレーション器具から受け取られ、冷却剤源140へと戻される。ある実施形態において、冷却剤源140は冷却剤、例えば滅菌水の貯蔵部を含み、そこから冷却剤が引き出され、1つ以上のアブレーション器具に冷却剤ラインを介して送達され、そして、1つ以上のアブレーション器具から、冷却剤をアブレーション器具から外に出すように構成された冷却剤出口ラインを介して貯蔵部に戻される。幾つかの代替的な例では、冷却剤出口ラインは冷却剤をアブレーション器具から廃棄システムへと(例えば、ドレインへと)運び出す。
【0045】
図1Bのアブレーション器具インタフェースは、マイクロ波信号を生成し、マイクロ波エネルギーを組織へと伝送するように構成された、マイクロ波アブレーション器具内のマイクロ波アンテナに供給するマイクロ波発生器138を含む。マイクロ波信号をアブレーション器具に供給することは、アブレーション用電力をアブレーション器具に供給することを含むことができ、器具はマイクロ波放射を放出する。マイクロ波発生器138は、マイクロ波信号をパワーケーブルを介してアブレーション器具に供給できる。図1Bの実施形態において、マイクロ波発生器138はマイクロ波信号を最大3つのアブレーション器具へとそれぞれパワーケーブル112a、112b、112cを介して供給できる。
【0046】
パワーケーブル112a、112b、112cは好ましくは同軸ケーブルであり、これらは好ましくは少なくとも30ワット、好ましくは少なくとも100ワット、好ましくは少なくとも150ワットの定格電力に設定される。ケーブルは、冷却剤供給によって、好ましくはケーブル冷却剤入口とケーブル冷却剤出口との間でケーブルに沿って冷却剤を循環させることによって冷却されるように構成された冷却ケーブルであり得る。幾つかの例において、冷却剤ライン114a~114cは、それぞれパワーケーブル112a~112cに沿って冷却剤を供給する。ある例示的な構成では、システムは冷却システムを含み、この冷却システムはケーブルとマイクロ波アブレーション器具の両方を冷却するように構成される。
【0047】
幾つかの例において、マイクロ波発生器は好ましくは、915MHzバンド(902~928MHz)、2.45GHzバンド(2.402~2.483GHz)、又は5.8GHzバンド(5.725~5.875GHz)範囲のうちの1つ以上、好ましくは2.45GHzバンド、最も好ましくは2.45GHz又は約2.45GHzのマイクロ波エネルギーをアンテナに供給するように構成される。マイクロ波発生器は、最大で5つのマイクロ波アブレーションプローブ、好ましくは1つ、2つ、又は3つのプローブのアンテナにマイクロ波エネルギーを供給するように構成され得る。
【0048】
マイクロ波発生器138は、コントローラ106により規定されたマイクロ波信号を提供するように構成できる。例えば、例示的な実施形態において、コントローラ106はマイクロ波発生器138に対し、特定のマイクロ波信号を特定のアブレーション器具に提供するように命令することができる。コントローラは、特定のアブレーションの大きさ(例えば、所望のマイクロ波パワー及び/又はアブレーション器具から発せられるエネルギー等)、アブレーション持続期間、又はその他のパラメータ、例えばデューティサイクル、位相シフト、若しくはマイクロ波信号に関連するその他のパラメータを指定するように構成できる。幾つかの例において、マイクロ波信号は、アブレーション器具に送達される電力(例えば、90W)を含む。マイクロ波信号は、アブレーション器具に所望の特性を有するマイクロ波放射(例えば、周辺組織に対して放射されるマイクロ波パワー等)を発出させるための特性(例えば、電力、周波数等)を含む電気信号を含むことができる。電気信号は、所望のアブレーション用電力をマイクロ波アブレーション器具に提供することができる。
【0049】
ある実施形態において、コントローラ106はマイクロ波発生器138にマイクロ波信号を複数のアブレーション器具の各々に印加するように命令することができる。例えば、図1Bに関して、コントローラは、パワーケーブル112aを介して第一のアブレーション器具に第一のマイクロ波信号を提供すること、パワーケーブル112bを介して第二のアブレーション器具に第二のマイクロ波信号を提供すること、およびパワーケーブル112cを介して第三のアブレーション器具に第三のマイクロ波信号を提供することを、マイクロ波発生器138に命令することができる。幾つかのこのような例において、マイクロ波発生器138は、このような第一、第二、及び第三のマイクロ波信号を同時に提供することができる。このような信号は、同じ信号とすることも、又は異なる信号とすることもできる。例えば、ある実施形態において、同程度のアブレーション用電力が第一、第二、及び第三のマイクロ波信号の各々により提供される。
【0050】
幾つかの例において、コントローラは以下のパラメータの1つ以上を制御するように構成され得、ここでパラメータとは、出力波長、出力電力、マイクロ波エネルギーがアンテナの1つ以上に送達される期間、エネルギーが出力電力で送達される期間である。アブレーション器具が温度センサ等のセンサを含む場合、コントローラは、センサからの信号(例えば、温度測定値)に応答してパラメータの何れかの1つ以上を制御するように構成できる。例えば、コントローラは、温度が過剰な状態に応答してアンテナの1つ以上への電源をオフにするように構成され得る。
【0051】
図1Bではマイクロ波信号を複数のアブレーション器具に供給するように構成された1つのマイクロ波発生器138として実装されるように示されているが、幾つかの例では、アブレーション器具インタフェース108は複数のマイクロ波発生器を含むことができ、その各々がそれぞれのアブレーション器具に対応する。ある実施形態において、コントローラ106は複数のマイクロ波発生器に接続されて、複数のマイクロ波発生器にマイクロ波信号をそれぞれのパワーケーブル(例えば、112a、112b、112c)に印加させて、このようなマイクロ波信号がそれぞれのアブレーション器具に提供されるように構成できる。
【0052】
図1Bは、3つのライン110a、110b、110cがマイクロ波信号及び冷却剤を3つのアブレーション器具のそれぞれに同時に提供できる例示的な実施形態を示している。本発明の幾つかの態様では、マイクロ波信号と冷却剤は、例えば3つ未満のアブレーション器具がコンソール102に接続されている場合、ライン110a、110b、110cのうちの一部に供給されることも可能である。さらに、幾つかの態様において、マイクロ波信号及び冷却剤は、3つのアブレーション器具がコンソール102に接続されている場合でも、ライン110a、110b、110cのうちの一部に供給されることが可能である。例えば、このように接続された1つ以上のアブレーション器具は不使用の状態で維持することができる。
【0053】
ある実施形態において、コントローラ106はどのアブレーション器具(例えば、110a、110b、110cのうちのどのライン)がマイクロ波信号及び冷却剤を受け取るかを制御する。本発明のある態様において、コントローラ106はマイクロ波信号の態様、例えばマイクロ波信号の大きさ、周波数、デューティサイクル、持続時間などを制御できる。本発明の他の態様において、コントローラ106はアブレーション器具に冷却剤を供給する態様を制御することができ、例えば、それぞれのポンプの動作を制御することにより、冷却剤の流量を制御する。ある実施形態において、各アブレーション器具について、コントローラはアブレーション器具に印加されるマイクロ波信号の態様、および冷却剤をアブレーション器具に供給する態様を制御する。動作中、異なるアブレーション器具は各々、他のアブレーション器具で受け取られた信号及び流体に依存しないマイクロ波信号及びそのような量の冷却剤を受け取ることができ、他のアブレーション器具に供給されるマイクロ波信号及び流体量と同じとすることも又は異なることもできる。
【0054】
図1Bは3つのアブレーション器具に接続するアブレーション器具インタフェースを示しているが、異なる実施形態にかかるコンソールはそれ以外の数のアブレーション器具に接続することのできるアブレーション器具インタフェースを含むことができる。
【0055】
図1Bのブロック図は、アブレーション器具と接続する幾つかの要素を含むアブレーション器具インタフェース108を示しているが、アブレーション器具インタフェース108の一部であるように示されている要素は必ずしも1つのモジュール又はハウジング内に含められる必要はない。このような要素は、これらの要素によって、接続されているアブレーション器具のコントローラ106による制御が容易になるという点で、アブレーション器具インタフェースにまとめられる。
【0056】
追加的に、図1Bはマイクロ波アブレーション器具に接続するアブレーション器具インタフェースを示しているが、同様のアブレーション器具インタフェースの概念は、コントローラと他のアブレーション器具、例えばRFアブレーション、又は冷凍アブレーション等との間の接続を形成するためにも使用できる。
【0057】
ある実施形態において、アブレーション器具インタフェースは、アブレーション器具の一部、例えば流体ライン(例えば、114a)に接続するための流体インタフェースやパワーケーブル(例えば、112a)に接続するための電気インタフェースを有するカートリッジを受け入れるように構成された1つ以上のポートを含む。
【0058】
図2は、本発明に係る冷却システムを示す簡略図である。システム201はアブレーション器具202を含む。この場合、マイクロ波アブレーション器具はマイクロ波アブレーションニードルを含み、マイクロ波アブレーションニードルはマイクロ波エネルギーを患者の組織に送達して組織をアブレーションするように構成される。
【0059】
マイクロ波アブレーション器具202は、組織を穿刺するように構成されたチップ203と、近位端部205と遠位端部206を有する長尺状のシャフトとを有する。シャフトは冷却剤チャンバ214と、内側導体、外側導体、及びそれらの間の誘電体(図2では図示せず)を有する同軸ケーブルであり得るフィードライン207とを囲む。図2のフィードラインは、遠位側に、マイクロ波アンテナ204を含む放射領域208を含む。フィードライン207の近位端部は、マイクロ波アブレーション器具202をマイクロ波発生器210に接続してマイクロ波エネルギーを器具に供給するためのケーブル209(一般に同軸ケーブル)に取り付けられる。ケーブルは、着脱自在に接続可能であってもよいし、又はこの場合のように、永久的に器具に取り付けられてもよい。幾つかの実施形態において、図1A又は1Bに関して示したように、マイクロ波発生器210はコンソール、例えばコンソール102の中に格納される。
【0060】
器具には、器具冷却剤入口212に永久的に取り付けられ得る器具冷却剤供給ライン211を介して冷却剤が供給される。幾つかの実施形態では、器具冷却剤供給ラインは代替的に、例えばルアー(Luer)(登録商標)式のコネクタ等を介して冷却剤入口212に対して着脱自在に接続可能であってもよい。器具冷却剤入口212は器具冷却剤出口213と、器具内で冷却剤を循環させるように構成された一連の冷却剤通路214、215、及び216を介して連通する。この簡略図では、冷却剤は冷却剤入口管215を経て器具に入り、冷却剤チャンバ214内を通って循環して器具を冷却し、冷却剤出口管216及び器具冷却剤戻りライン217を通って出る。
【0061】
システム201には、冷却剤流体を冷却剤流体源219から冷却剤システム供給ライン220を介して受け入れるマニホルド218が備えられている。冷却剤システム供給ライン220は、マニホルド流体供給入口250でマニホルド218に対して永久的に接続されてもよいし、又は例えばルアーロック(LuerLok)(登録商標)コネクタによって供給入口250に対して着脱自在に接続されてもよい。冷却剤流体源は例えば、IVバッグであり得る。流入する冷却剤は、マニホルド流入導管222を介して、1つ以上のマニホルド出口ポート21に分配され得る。好ましい実施形態において、図2に示すように、ポート221から出た冷却剤の流れはマニホルド出口バルブ223により制御され得る。このバルブは通常は閉鎖姿勢にある。幾つかの実施形態では、図1A又は1Bに関して示したように、マニホルド218はコンソール、例えばコンソール102内に格納され得る。
【0062】
マニホルド218はまた、マニホルド冷却剤流出導管224を含み、マニホルド冷却剤流出導管224は1つ以上のマニホルド流体入口ポート225と冷却剤システム戻りライン226との間に流体接続を形成する。冷却剤システム戻りライン226はマニホルド流体戻り入口251においてマニホルド218に対して永久的に接続されてもよいし、又は、例えばルアーロック(LuerLok)(登録商標)コネクタによって供給入口250に対して着脱自在に接続可能でもあってもよい。設計のある態様において、マニホルド入口バルブ227は各入口ポートを通る流れを制御し、これも通常は閉鎖状態であり得る。
【0063】
供給カプリング229は、マニホルド出口ポート221に接続されるように構成される。システムは、戻りカプリング233も含み得、戻りカプリング233はマニホルド入口ポートに接続されるように構成されている。1つの態様において、マニホルド出口バルブ223は、供給カプリング229が接続されると開くように構成され得る。1つの方式では、供給カプリングは突出部230を含み、カプリング229がポート221に接続されるとバルブを開放させるが、本明細書の他の箇所で述べるように別の構成も可能である。
【0064】
供給カプリング229上の冷却剤回路冷却剤入口231は器具冷却剤供給ライン211と連通しているため、供給カプリング229を出口ポート221に接続すると、冷却回路232は冷却流体源219に連通する。
【0065】
戻りカプリング233は、器具冷却剤戻りライン217に連通する冷却剤回路出口234を有し得る。供給カプリング229及び戻りカプリング233は、それぞれマニホルド出口ポート221及び入口ポート225に対して同時に接続されるように構成できる。
【0066】
ポンピング部分235は、たとえば器具冷却回路232内に配置され、供給ライン211内に配置されて、冷却剤をマイクロ波アブレーション器具202内で循環させるように構成される。図2に示すシステムにおいて、ポンプは、器具冷却剤供給ライン211内に永久的に接続され、且つポンプヘッドドライブ(図示せず)に接続されるようになされた、ポンプベーン237を有する使い捨てポンプヘッド236である。代替的なポンピング部分が使用されてもよく、本明細書の他の箇所において説明される。幾つかの実施形態において、図1A又は1Bに関して示すように、ポンピング部分235はコンソール、例えばコンソール102の中に格納され得る。
【0067】
図3は、本発明の1つの実施形態に係る、ハンドル305を備えるマイクロ波組織アブレーション器具300を示す斜視図である。
マイクロ波組織アブレーション器具300はハンドル305を含む。ハンドル305は、外科医が組織アブレーション器具300を扱うためにより確実に握ることができるように構成される。ハンドル305はさらに、冷却剤循環のための液体マニホルドと、フィードラインに電源供給するための同軸コネクタとを格納するように構成される。
【0068】
マイクロ波組織アブレーション器具300はプローブ307を含む。プローブ307は、患者の体内に挿入されて標的組織を加熱するように構成される。1つの実施形態において、プローブ307は本明細書の他の箇所に記載の様々なアブレーション器具要素、例えばフィードライン、非対称ダイポールアンテナ、流入管と流出管を有する冷却システム等を含む。ある実施形態において、マイクロ波アンテナは、915MHzバンド(902~928MHz)、2.45GHzバンド(2.402~2.483GHz)、及び/又は5.8GHzバンド(5.725~5.875GHz)から選択される周波数バンドのマイクロ波放射を発出するように構成される。好ましい波長は2.45GHzバンド内にあり、特にアンテナは2.45GHzの、又は約2.45GHzマイクロ波エネルギーを発出するように構成されることが好ましい。器具は、アンテナに供給される最大150ワットの電力で動作するように構成される。
【0069】
プローブ307は表面315を含む。表面315は人体組織と接触するように構成され、生体適合材料によって形成される。器具のシャフトは少なくとも部分的に金属、例えばステンレス鋼であり、標識311、例えばレーザ標識を含む。標識311は、外科医に体内へのプローブの貫通深さを知らせるように構成される。これは、PTFE等の潤滑表面層を含み得、挿入を助けるとともに、ニードルの挿入又は抜去中に組織がニードルシャフトに付着することを防止する。
【0070】
シャフトは一般に円柱形であり、一般に生体適合ポリマ、生体適合複合材料、例えばガラス繊維強化ポリマ若しくは炭素繊維強化ポリマ、セラミック、又は金属(ステンレス鋼等)によって形成される。シャフトは好ましくは、セラミック又は金属で形成されるが、好ましい実施形態において、シャフトは金属部分と非金属部分を含む。非金属部分は生体適合複合材料、例えばガラス繊維強化ポリマ若しくは炭素繊維強化ポリマ、又はセラミックであり得るが、その性能と強度の高さからセラミックが好ましい。セラミックは好ましくは、アルミナ又はジルコニアセラミックである。
【0071】
シャフトは好ましくは、遠位側において器具キャップ内で終端する。シャフトは好ましくは円柱形である。フィードライン及びアンテナは好ましくは、器具シャフト内に配置される。器具シャフトは一般に、近位側ハブから延びて遠位方向に遠位側キャップ内で終端する。ハブはフィードライン等のシャフトの電気要素との電気接続部を含み、必要に応じて冷却剤入口接続部及び冷却材出口接続部も含み得る。
【0072】
シャフトの直径は限定されず、一般的に所期の目的に合うようになされ、例えばアブレーションニードルの場合、挿入時に生じる損傷を限定的にするとともに、位置決めの微細な制御を可能にする幅狭の針を有することが重要であり、その結果、ニードルシャフトの直径は1.4~3mm、好ましくは1.5~2.5mm、特には2~2.5mmである。
【0073】
図3のプローブ307はアプリケータキャップ330を含む。ある実施形態において、アプリケータキャップ330は生体適合金属又はセラミック、例えば好ましくはステンレス鋼又はセラミックによって形成される。アプリケータキャップ330は円形の基底部と遠位チップ(例えば、トロカールチップ)を含むことができる。アプリケータキャップ330のチップは、アプリケータキャップ330の遠位端部に配置され、組織を貫通するように構成された鋭利端を含むことができる。円形の基底部はプローブ307のシースによって密封されるように構成でき、それによってプローブ307の内部はプローブ307の外部から流体的に絶縁される。
【0074】
シャフトは、外面上に、超音波イメージングにおいて見えるように構成されたエコー発生領域をさらに含み得る。1つの実施形態において、この領域は音響的に反射するマイクロスフィアを含むコーティングを含む。エコー発生領域は、少なくともシャフトのうちアンテナの半径方向に外側の領域を覆うように延びる。図3のプローブ307は、超音波イメージングにおいて見えるように構成されたエコー発生領域325を含み、1つの実施形態では、音響的に反射するマイクロスフィアを含有するコーティングを含む。
【0075】
シャフトが金属部分および非金属部分を含有する場合、金属部分と非金属部分が当接する、両部分間の接合部は脆弱である可能性のある部位であり得、特にこれは非金属部分がセラミックである場合に当てはまり、それはセラミックは一般に、ステンレス鋼等の金属より柔軟性が低く、より脆いからである。したがって、シャフトは追加的に、この部分と金属部分との間に、使用時にプローブシャフトの非金属(例えば、セラミック)部分と金属部分との間の接合部に弾性を付与するように構成された弾性要素含むことが好ましい。
【0076】
プローブ307は、使用中に誘導される、例えばシャフトが曲がることにより生じるプローブ上の歪を軽減するように構成された領域320をさらに含む。この歪軽減領域は、プローブシースの遠位部分がセラミックである場合に特に有益である。歪軽減領域320は、プローブ307の柔軟性をさらに高めて、医療的作業中のプローブ307の破損を回避するように構成される。
【0077】
弾性要素は非金属領域とキャップとの間にも存在し得るが、これは、この部位でのシャフトの歪がより小さいため、なくてもよい。弾性要素は例えば、弾性環状スペーサを含み得、これは弾性熱可塑性エラストマ、例えばポリエーテルブロックアミド(PEBA)-商品名PEBAX(登録商標)若しくはベスティミド(Vestimid)(登録商標)E(エボニック・インダストリーズ(Evonik Industries))、又はポリアクリルエーテルケトン(PAEK)、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)によって形成され得る。スペーサは好ましくは、非金属部分の近位端部を金属部分の遠位端部から離間させるような形状及び構成に形成される。弾性要素は好ましくは、近位面で金属部分と当接し、遠位面で非金属部分に当接する。弾性環状スペーサは一般に、半径方向に外方に延びて、プローブシャフトの外面と面一をなす表面を形成する。環状スペーサの半径方向に内側の部分は近位側及び/又は遠位側に延びて、非金属部分の近位端部及び/又は金属部分の遠位端部の内面を支持するように構成された環状ステップを設け得る。1つの好ましい実施形態では、環状スペーサは近位側に延びて、金属部分の遠位端部の内面を支持するように構成された環状ステップを形成するが、遠位側には延びない。器具シャフトはまた、シャフトの非金属部分と金属部分との間の接合部を支持するためのアダプタスリーブを含み得る。アダプタは、シャフトの非金属部分と金属部分との間に厚さの違いがある場合にこれを考慮して、例えば金属及び非金属部分間の平滑な表面移行を形成するように構成され得る。これは金属又は、熱可塑性エラストマ、例えばPEBA PEBAX(登録商標)若しくはベスティミド(Vestimid)(登録商標)E、又はPEEK等のPAEK等の非金属であり得る。アダプタは、非金属部分がセラミックである場合、セラミックの強度を高めるのに必要な厚さのために、およびシャフトの曲げがこの部位において亀裂を生じさせる危険性があるために、特に重要である。好ましい態様として、スリーブは接合部の両側に、接合部のための支持部を形成するために十分に延びて、一般にシャフトの半径方向に内方に、一般にフィードラインとシャフトの内壁との間に配置される。アダプタスリーブは、好ましくは金属性である。
【0078】
弾性要素とアダプタスリーブはともに、歪軽減領域を含む。弾性要素とアダプタスリーブは単体でも別体でもよい。
1つの好ましい実施形態において、歪軽減領域は上記弾性要素を含み、これは非金属部分の近位端部を金属部分の遠位端部から離間させるような形状及び構成で形成される弾性環状スペーサを含み、スペーサは、近位面で金属部分と当接し、かつ遠位面で非金属部分と当接するように構成され、スペーサは半径方向に外方に延びて、プローブシャフトの外面と面一をなす表面を形成し、スペーサの半径方向に最も内側の部分は近位側に延びて、金属部分の遠位端面の内面を支持するように構成された環状のステップを形成し、歪軽減領域はそれに加えて、接合部の両側に、環状スペーサの半径方向に内側へと延びるアダプタスリーブを含む。好ましくは、スリーブは環状スペーサの近位側に延び、シャフトの金属部分の遠位端部の内面と接触してそれを支持するように構成されるとともに、好ましくはスペーサの遠位端側に延び、シャフトのセラミック部分の近位端部の内面と接触して、それを支持するように構成される。
【0079】
マイクロ波組織アブレーション器具300はハウジング310を含む。ハウジング310は同軸ケーブル、流体ライン、電線等を格納する。
図4Aは、本発明の1つの実施形態にかかるマイクロ波組織アブレーション器具400を示す斜視図である。図4Bは、冷却機構の1つの実施形態を説明するための線X-Yに沿った断面図である。
【0080】
図4Aの組織アブレーション器具400は、金属部分445とセラミック部分402を有するシャフト401を有する。セラミック部分402はカラー405の遠位端部406からキャップ440の基底部441まで延びる。セラミック部分402は、器具の内部要素を示すために、シャフト401から離して示されている。
【0081】
組織アブレーション器具400は、弾性要素(例えば、カラー405)と、シャフトの金属部分445をセラミック部分402に結合するためのアダプタ410とを含む。本発明の器具では、アダプタは2つの部分間にあるシャフトの厚さの差を取り込むとともに、それに加えて、金属部分445とセラミック部分402との間の曲がりを軽減させるように作用する。本発明の器具では、ここに示すシャフトのセラミック部分と金属部分との間の弾性環状スペーサは、この領域に弾性を付与し、使用中のシャフトの歪によるこの地点での破損の発生を低減させるように作用する。
【0082】
例えば図1A又は1Bに関して説明したように、マイクロ波発生器により生成されたマイクロ波エネルギーは、マイクロ波発生器を器具400内のアンテナ452のフィードライン432に電気的に接続するパワーケーブルによりアンテナに供給できる。マイクロ波アブレーション器具はまた、マイクロ波アンテナ及びフィードラインの少なくとも遠位端部分を囲むとともに一般にそれと同軸をなすシャフトも有する。シャフトは一般に、近位側ハブから遠位キャップまで延びる。
【0083】
フィードラインは好ましくは、内側導体、外側導体、及びそれらの間に配置された誘電体を含む。フィードラインは、外側導体を器具のその他の部品から絶縁し、フィードラインへの外側絶縁体として作用するさらなる誘電体又は絶縁体を含み得るが、これは全ての実施形態で必要というわけではない。幾つかの実施形態では、さらなる誘電体は、フィードラインの遠位部分、少なくとも接合点までにおいてなくてよい。フィードラインには、器具シャフト内、例えば遠位ハブの近位側フィードラインコネクタとアンテナの接合点との間等でこのようなさらなる誘電体を欠いていてもよい。フィードラインは一般的に、第一の誘電体又は絶縁体によって囲まれた中心導体を有する同軸ケーブルであり、第一の誘電体は第二の導体によって囲まれ、これは上記のようにさらなる誘電体又は絶縁体により被覆されてもよい。内側導体は一般的に電力導体である。
【0084】
図4Aの例において、組織アブレーション器具400は螺旋アーム412と線形アーム420を含むアンテナ452を有する。螺旋アーム412の遠位端部435は、接合点436においてフィードライン432の外側導体430との電気接続部を形成する。幾つかの実施形態では、接合点は、好ましくは、フィードラインの最遠位端部に向かって、又は最遠位端に位置する。フィードライン432は、電気接合部に適当な機械的支持を設けるために、接合点を越えて延び得るが、好ましくは接合点を越えて延びる分は5mm以下、特に1mm以下である。
【0085】
一般に、螺旋アームは1つの導体の形態である。アンテナの螺旋アームはワイヤ又はリボンの形態であり得るが、一般には円形の断面を有するワイヤ、又はリボンである。螺旋アームは好ましくは円柱導体の形態をなしており、近位側から遠位端部まで続く螺旋間隙を有して、フィードラインの外周囲で湾曲する平坦導体面を有する螺旋導体を設ける。螺旋アームは接合点を除いて、内側導体又は外側導体の何れともそれ以外には接触しない。
【0086】
図4Aの例において、螺旋アーム412は接合点436から近位方向にフィードライン432の周囲に巻回されて延びて、フィードラインの周囲に同軸的に配置される。螺旋アーム412は、接合点436を除き、内側導体427又は外側導体430とそれ以外の電気接触を形成しない。螺旋アームは、螺旋アームを所定の位置に保持するため、および組立を容易にするために、その基体に接着剤で固定されてもよい。螺旋アームは、螺旋アームを保護するため、螺旋アームを器具のその他の部品から絶縁するため、又は密封を形成するために、ポリマ層又はコーティング等の母材に埋め込まれてもよい。
【0087】
幾つかの実施形態において、螺旋アームはフィードラインと直接接触する状態で巻回されていない。これは例えば、フィードラインから半径方向にずれた位置において巻回され得る。螺旋アームは好ましくは、それを支持する基体の周囲に巻回される。フィードラインが外側絶縁体を含む場合、この外側絶縁体が螺旋アームのための基体となり得、螺旋アームは外側絶縁体の周囲に巻回され得る。代替的に、螺旋アームは例えば、管状基体、例えばフィードラインの周囲に配置される冷却管の周囲に巻回され得る。
【0088】
幾つかの実施形態において、巻きの総数(N)は1~12の範囲であるが、これは整数に限定されない。好ましい実施形態において、Nは一般に4~8である。螺旋の完全な1巻きに関して、軸方向の距離はピッチ(P)であり、これは0.7~1.5mmの範囲とすることができ、好ましくはピッチは1~1.5mmの範囲であり、好ましい実施形態において、螺旋アームのピッチ(P)は1.2~1.25mmである。螺旋ループ(N)の数、ピッチ(P)はマイクロ波エネルギーの出力、照射場の形状、及びエネルギー吸収スペクトルに影響を与える可能性がある。各変数を組み合わせて適切に選択することにより、組織アブレーションのための有利な特性を有するアブレーション器具を提供できる。
【0089】
図4Aの例では、螺旋アームは管426に巻回され、管426はハブ(図示せず)からシャフトの金属部分445の中を通ってアンテナ452の先端428まで延びる。アンテナの螺旋アーム412とフィードライン432の外側導体との間の電気接続部は、接合点436において管を貫通する。図の例において、螺旋アーム412は長さ(Lha)を有する。幾つかの例において、螺旋アームの全長(Lha)は1~18mmの範囲とすることができ、好ましくは螺旋アームは4~10mmの範囲である。好ましい実施形態において、螺旋アームは4~7mmの範囲である。
【0090】
線形アーム420は、フィードライン432の内側導体427の延長であり、誘電体を待たない第二の部分423を除き、誘電体層425により囲まれる。
本明細書に記載のアンテナの線形アームはフィードラインの内側導体に電気的に接続され、好ましくは螺旋アーム及び/又はフィードラインと同軸をなす軸上で遠位側に延びる導体である。導体は好ましくは、直線ワイヤの形態である。特に好ましい実施形態において、線形アームは第一の近位側絶縁部分と第二の遠位側非絶縁部分を含む。一般に、第一の部分は誘電体により囲まれ、第一の部分の遠位側にある第二の部分は誘電体を欠く。第二の部分はアームの先端まで延びる。線形アームの第一の部分を囲む誘電体は、好ましくはフィードラインの遠位端部から延びる。その最も簡潔な形態では、アンテナの線形アームはフィードラインの内側導体の延長であり得る。誘電体は、よって、同軸をなすフィードラインの中心導体と外側導体の間に配置された誘電体の延長であり得る。
【0091】
好ましくは、アンテナの線形アームと螺旋アームはアブレーション器具のシャフトと同軸をなしているため、線形アームは螺旋アームと同軸をなすとともに螺旋アームから遠位側に延びる。図のように、図4Aの非対称ダイポールアンテナの線形アーム420は長さL1aを有する。線形アームは、絶縁体で被覆された第一の部分L1 421を含み、これはフィードライン432の、内側導体427と外側導体430との間に配置され、この図では見えない第一の誘電体層の延長である。線形アーム420は第二の部分423をさらに含み、これは長さL2 422を有し、絶縁体で被覆されない。1つの実施形態において、第二の部分L2 422は循環する冷却剤にさらされる。
【0092】
1つの態様において、線形アームのうち誘電体を持たない部分は部分的又は完全に金属キャップの中に挿入されるが、キャップと接触しない。これは、内部にアンテナのこの部分又はその一部が挿入されるキャップの基底部に開放ポケットを形成することにより実現される。露出した遠位先端がどこまで挿入されるかは、エネルギーの場の遠位部分の形状、したがってアブレーション領域の形状に影響を与える。
【0093】
先端とキャップとの間の距離が3mmより大きい場合、これらは特に2.45GHzでのアブレーションの成形において有益となるように十分に結合されたとは考えられない。
線形アーム420の長さ(Lla)は、好ましくは4mm~14mmであり、好ましくは8mm~10mmである。第二の露出部分423の長さ(L2)は、好ましくは0.1mm~2mm、好ましくは0.3mm~0.5mmである。
【0094】
それゆえ、好ましい実施形態において、アンテナの螺旋アーム412はリボンの形態であり、その長さ(Lha)は1~18mmであり、1~14巻きを含み、アンテナの線形アーム420は、長さ4~14mmであり、0.1~3mmの長さの誘電体を持たない第二の遠位部分423を有し、誘電体を持たない部分はキャップの基底部から0.2~3mm離されている。
【0095】
より好ましい実施形態において、アンテナの螺旋412アームはリボンの形態であり、その長さ(Lha)は4~10mmであり、4~8巻きを含み、アンテナの線形アーム420は、長さ7~10mmであり、0.3~0.5mmの長さの誘電体を欠く第二の遠位部分423を有し、誘電体を欠く部分はキャップの基底部から1~2mm離されている。
【0096】
より好ましい実施形態において、アンテナの螺旋アーム412はリボンの形態であり、その長さ(Lha)は4~6mmであり、3~5巻きを含む。線形アーム420は、長さ7~10mmであり、0.3~0.5mmの長さの誘電体を持たない第二の遠位部分423を有し、誘電体を持たない部分はキャップの基底部から1~2mm、好ましくは1.5mm又は約1.5mm離されている。
【0097】
シャフトが非金属部分(例えば、セラミック部分402)を有する場合、非金属部分は、好ましくは軸方向に延びてアンテナを覆い、それゆえアンテナの放射部分と少なくとも同一の範囲を有する。1つの実施形態において、非金属部分は少なくとも螺旋アームの最も近位側の地点からシャフトの遠位端部(例えば、器具のチップの取付点)まで延びる。非金属部分は軸方向及び円周方向に延び、それによってシャフトは好ましくは、非金属部分の近位側範囲と遠位側範囲との間が非金属性となる。
【0098】
キャップは、器具の遠位端部を封止して、冷却剤の漏出又は組織流体の浸透を防止するように構成され得る。キャップは別体の部品として製造され得て、シャフトに取り付けられるように構成され得る。キャップは好ましくは、組織への挿入を助け、患者の皮膚を穿刺するように構成され、例えば遠位点に至るか、又はトロカールとして構成され得る。図4Aに示すキャップ440はトロカールチップを含む。キャップ440のトロカールチップは、ステンレス鋼及び/又はセラミックで製作できる。
【0099】
幾つかの例において、キャップは任意の適当な生体適合材料でも形成され得て、これは例えば、生体適合ポリマ、複合材料、セラミック、又はステンレス鋼等の金属である。キャップが金属である場合、キャップとアンテナの遠位端部(すなわち、アンテナの線形アームの遠位端部)は電磁的に連結されるように構成され得る。これは、アンテナの遠位先端とキャップとの間の距離を、これらがアンテナが動作することが意図される周波数及び電力で電磁的に連結されるように調整することによって行うことができる。この効果は、アンテナにより生成されるエネルギー場の遠位部分の形状、したがって、アブレーション領域の形状を調整するために使用できる。しかしながら、キャップとアンテナはそのように結合しなくてもよく、すなわち、アンテナはキャップから電磁的に分離され得る。先端とキャップは接触しないことが好ましい。実際には、先端とキャップとの間の間隙は0.2mm以上、特に0.2mm~3mm、最も好ましくは1~2mmである。最も好ましくは、これは1.5mm又は約1.5mmである。
【0100】
エネルギー場の形状、したがってアブレーション容積はまた、フィードラインと同心の金属シースを設けることによって影響を受ける。シースは、好ましくは円柱形であり、フィードラインのうち少なくともアンテナの近位側部分にわたって延びる。シースはまた、アンテナの少なくとも一部を覆って延び得るが、好ましくはアンテナの螺旋アームの最も遠位端の近位側の地点で終了し、アンテナ上には延びない。好ましくは、シースと螺旋アームの最遠位部分との間の間隙は少なくとも0.1mmである。間隙は例えば、0.1~2mm又は0.1~1mmであり得、好ましくは0.5mm又は約0.5mmである。シースは、好ましくはシャフトの外面上には設置されず、好ましくはフィードラインから半径方向にずらされ、それと同軸をなす。好ましくは、シースはフィードラインとシャフトの内壁との間に設置される。1つの構成において、金属シースは、本明細書の他の箇所に記載されているように、アダプタスリーブであり得る。
【0101】
好ましくは、冷却剤チャンバは器具シャフトの内壁間に画定される。チャンバは、遠位側境界がキャップにより定められ、近位側境界が冷却剤チャンバを近位側で閉鎖する1つ以上の近位側シールにより定められ得る。1つ以上のシールは好ましくは、ハブ、又はハブとアンテナの螺旋アームの近位部分との間のある地点に形成される。冷却システムは、冷却剤を冷却剤チャンバに送達するように構成された少なくとも1つの冷却剤入口導管と、冷却剤をチャンバから取り出すための少なくとも1つの冷却剤出口導管とを含む。冷却剤入口導管及び冷却剤出口導管は一般に、近位側シールを通過する。1つの方式では、冷却剤入口導管は、アンテナ及び又はフィードラインに近接する位置であって、その半径方向外方の位置に冷却剤を送達するように構成された冷却剤入口管である。この場合、冷却剤入口管は好ましくは、アンテナとシャフトの内壁との間の冷却剤チャンバ内に配置される。好ましくは、これはフィードラインから半径方向に外側にずらされる。
【0102】
代替的な構成では、冷却システムは冷却剤入口導管と冷却剤出口導管とを含み、各導管は、少なくともフィードラインの一部及びアンテナの一部の周囲に配置される。各導管は螺旋の形態に配置され、冷却剤入口導管と冷却剤出口導管は相互に組み合わせられて二重螺旋を形成する。1つの好ましい構成では、冷却システムはフィードライン及び、アンテナの少なくとも一部の周囲に二重螺旋として配置された1対の螺旋仕切りを含み、各仕切りはシャフトの内壁に向かって半径方向に外側に延び、アンテナ及び/又はフィードラインに向かって半径方向に内側に延び、それによって冷却剤入口導管と冷却材出口導管は2つの仕切り間に形成され、冷却剤入口導管と冷却剤出口導管は二重螺旋を形成する。仕切りはフィラメント又はリボンの形態、又はその両方の組合せであり得る。仕切りがリボンを含む場合、リボンは好ましくは、シャフト内壁に概して垂直である。フィラメントは金属又は弾性ポリマで形成され得る。仕切りは好ましくは、内壁並びに、アンテナ及び/又はフィードラインの少なくとも一部に対して密封するように延びる。
【0103】
冷却システムは追加的に、冷却剤入口導管及び冷却剤出口導管の両方に連通する冷却剤混合チャンバを含み、それによって冷却剤入口及び冷却剤出口は冷却剤混合チャンバを介して連通する。冷却剤混合チャンバは好ましくは、冷却剤がアンテナの少なくとも一部、特にアンテナの線形アームの少なくとも一部を通過できるように構成される。冷却剤混合チャンバは特に、冷却剤がアンテナの線形アームの遠位部分及び、キャップの少なくとも一部を通過できるように構成される。
【0104】
代替的に、好ましくは、冷却システムは器具シャフトの内壁間に画定される冷却剤チャンバを含む。チャンバは、遠位側境界がキャップにより定められ、近位側境界がハブとシャフトとの間のシール体によって、又は上記のようにハブの遠位側であり且つアンテナとハブとの間のある地点により定められ得る。冷却剤チャンバは、アンテナと、フィードラインの少なくとも遠位部分を囲む。
【0105】
ある実施形態において、冷却システムは、フィードラインの周囲に配置された冷却管を含み、冷却管は好ましくは、フィードラインの周囲で遠位側に、好ましくはそれと同軸に延びる。冷却管は好ましくは、冷却剤チャンバを第一の冷却導管448と第二の冷却導管460に分割し、第一の冷却導管はフィードラインと冷却管の内壁との間に配置され、第二の冷却導管は冷却管の外壁と器具シャフトの内壁との間に配置される。冷却管は好ましくは、フィードラインの遠位部分に延び、アンテナの少なくとも一部の周囲で遠位側に延び、好ましくは冷却管は少なくともアンテナの線形アームの先端まで延びる。各種の材料が冷却管に適しているが、これは好ましくは非金属である。好ましい態様として、冷却管は熱硬化性ポリマ、例えばポリイミドで、又は熱可塑性ポリマ樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)若しくはフッ素ポリマ、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で、又はPAEK、例えばPEEKで製作され得る。
【0106】
本明細書の他の箇所に記載されているように、図4Aの例では、螺旋アームは管426の周囲に巻かれている。ある実施形態において、管426は管426の内壁454とフィードライン432との間の第一の冷却導管448と、管426の外壁455とシャフト453の内壁との間の第二の冷却導管460とを画定する。冷却剤は、管426とフィードライン432との間の空間を通って、管426とキャップ440との間の混合チャンバ429へと送出され得て、管426の外側とシャフトのセラミック部分402との間の空間内を戻り、シャフトの内側とアダプタ410との間の空間411を通り、シャフトの金属部分445からハブへと戻る。
【0107】
アンテナの螺旋アームは第一の冷却導管内に配置され得て、例えばフィードラインの遠位部分は上記のような第二の絶縁体を含み得て、アンテナの螺旋アームはフィードラインの周囲に直接巻き付けられ、第二の絶縁体は少なくとも螺旋アームとフィードラインの第二の導管との間で軸方向に延びる。この場合、冷却管は螺旋アームの一部を覆うように延びるが、好ましくは螺旋アームと、線形アームの少なくとも一部を覆うが、最も好ましくは、冷却管は少なくともアンテナの遠位端部まで延び、それによって第一の冷却導管は少なくともアンテナの先端部まで延びる。
【0108】
そうではなく、冷却管はフィードラインの先端部分及び線形アームの一部を覆うように延びるが、最も好ましくは、冷却管は少なくともアンテナの遠位端部まで延びており、それによって第一の冷却導管は少なくともアンテナの先端部まで延びる。
【0109】
冷却システムは追加的に、第一の冷却導管と第二の冷却導管の両方に連通する冷却剤混合チャンバを含み得、それによって第一の冷却導管と第二の冷却剤導管は冷却剤混合チャンバを介して連通する。冷却剤混合チャンバは好ましくは、冷却剤がキャップの一部に接触できるように構成される。
【0110】
第一又は第二の冷却導管の何れも、冷却剤取込み導管又は冷却剤排出導管として機能し得る。第一及び第二の冷却導管は遠位端部で開放しており、それによって冷却剤は冷却管の遠位端部とアプリケータキャップの基底部との間の冷却剤混合チャンバを通って循環できる。
【0111】
冷却管は好ましくは、ハブに向かって近位側に延びる。第一の冷却導管と第二の冷却導管は、使用中の冷却剤の供給と冷却剤の排出のために、ハブの冷却剤取込み口コネクタ及び冷却材排出口コネクタに連通する。
【0112】
特に好ましい方式では、アンテナの螺旋アームは、好ましくはリボンの形態で、冷却管の周囲に巻き付けられる。この場合、螺旋アームは接合点においてフィードラインの外側導体と電気接触し、上記のように冷却管の周囲で一連の巻きとして遠位側に延びる。この場合、冷却管は好ましくは、少なくともアンテナとフィードラインの接合点まで延び、好ましくはそれは線形アームの少なくとも一部を覆うように延びるが、最も好ましくは、冷却管は線形アームの先端部まで延び、それによって第一の冷却導管は少なくともアンテナの先端部まで延びる。好ましくは、螺旋アームの遠位端部とフィードラインの外側導管との間の電気接触は冷却管を通過する。
【0113】
この方式では、外側絶縁体がフィードラインの遠位部分に延びないことが好ましい。好ましくは、それは少なくとも、フィードライン上の、アンテナの螺旋アームのすぐ近位側のある点から接合点まで延びる部分には延びない。外側絶縁体は、アブレーション器具のシャフト内のフィードラインのどこにもなくてよい。
【0114】
冷却システムが上記のような冷却管を含む実施形態において、螺旋アームはワイヤ又はリボンの何れかであり得るが、最も好ましくはリボンである。螺旋アームは好ましくは、円柱形導体の形態であり、螺旋状の間隙がその近位部からその遠位端部へと延びており、フィードラインの周囲に、好ましくはフィードラインと同軸に配置された平坦導体表面を有する螺旋導体が得られる。
【0115】
本明細書に記載の冷却システムは、冷却剤(例えば、水)をフィードライン及び、アンテナの少なくとも一部、好ましくはアンテナ全体にわたり通過させる。通常の動作のためにアンテナを冷却剤から隔離する必要はない。本明細書に記載の幾つかの実施形態において、フィードラインの一部にはフィードラインを囲む外側絶縁体がない。フィードラインは、ハブと接合点との間に、又は器具シャフト内のその全長において絶縁体がなくてよい。アンテナの螺旋アームは、特にそれが冷却管の周囲に巻かれている場合、絶縁体を欠いていてもよい。
【0116】
本明細書に記載のアブレーション器具は追加的に、シャフトに沿った地点の温度を測定するための1つ以上の温度センサ、例えば熱電対を含み得る。一般に、熱電対は冷却システム内に配置され、器具の動作中に冷却剤又はフィードライン若しくは器具シャフト等の器具の他の部品の温度を測定するように構成され得る。図4Aの組織アブレーション器具400は、内部アダプタ410の隣に格納されてハブを介して制御ユニットに対して電気的接続部451を有する温度センサ450を含む。
【0117】
本明細書の他の箇所に記載されているように、本明細書に記載されているもののようなアブレーション器具は一般に、すでに簡単に述べたように近位側ハブを含む。ハブは一般に、フィードラインをエネルギー供給ラインに接続するため、及び器具シャフト内の電気機器を制御システムに接続するためのコネクタを含む。このようなコネクタは、永久的又は取外し可能であり得る。ハブはまた、冷却剤取込み部を冷却剤供給部に接続するため、及び冷却剤排出部を廃棄又は再循環システムに接続するための入力コネクタ及び出力コネクタを備える冷却剤マニホルドも含み得る。ハブはまた、外科医が組織アブレーション器具を扱うのにより確実に握ることができるように構成されたハンドルの一部も形成し得る。
【0118】
図5は、本開示の1つの実施形態にかかるマイクロ波組織アブレーション器具を示す側面図である。アブレーション器具500はハンドル501を含む。ハンドル501にはマニホルド505が格納される。
【0119】
マニホルド505は、電源(図示せず)と組織アブレーションプローブ530とを同軸ケーブルコネクタ515を通じて電気的に接続する。組織アブレーションプローブ530は、手術中に外科医にプローブの貫通深さを知らせるように構成された標識535を含む。
【0120】
マニホルド505はまた、冷却剤源(図示せず)と組織アブレーションプローブ530とを連通する。マニホルド505は、冷却剤入口520と冷却剤出口525を含む。冷却剤入口520は冷却剤流入導管に連通され、冷却剤出口525は冷却剤流出導管に連通される。
【0121】
組織アブレーション器具500は、電気ワイヤ及び流体管を格納する管状ハウジング540をさらに含む。
本明細書の他の箇所で述べるように、複数のアブレーション器具、例えば組織アブレーション器具300を同時に使用して、アブレーションプロセスを実行できる。このようなアブレーション器具は、様々な方法で配置され得る。図6Aは、マイクロ波アブレーションニードルの各種の構成の平面図を示す。ある例において、マイクロ波アブレーション器具は、配置600のように互いに等距離に配置することができる。ニードルは、配置600、610、及び620のように規則的な多角形の編成に配置できる。アブレーション器具を互いに等距離に配置することにより、好ましくは、複数のアブレーション器具により形成される、ほぼ対称の正味アブレーション容積を形成し得る。追加的に、アブレーション器具を規則的な多角形の編成に配置することにより、複数のアブレーション器具により形成される、ほぼ球形の正味アブレーション容積を形成し得る。代替的に、複数の器具は、その他の配置、たとえば配置630のように線形に、又は配置640のように不規則な形状に配置されてもよい。アブレーション器具は、特定の手術に適した所望のアブレーション容積を形成するように、様々な構成に配置され得る。
【0122】
それに加えて、このような器具は同じ又は異なる貫通深さまで挿入できる。図6Bは、異なる深さの配置の複数のアブレーション器具の正面図を示す。マイクロ波組織アブレーション器具300等のアブレーション器具は、例えば標識311により計測される特定の深さまで挿入できる。幾つかの構成では、器具は、配置605のようにほぼ同じ深さまで挿入される。他の例では、器具は配置615、625、及び635のように異なる深さまで挿入できる。異なる計画配置と同様に、アブレーション器具は、様々な構成に配置されて、特定の手術に適した所望のアブレーション容積を形成することができる。
【0123】
1つ以上のアブレーション器具が係わる手術中、コンソール(例えば、102)でポンプ(例えば、148a)を作動させて、冷却剤が冷却剤源(例えば、140)から、1つ以上のアブレーション器具(例えば、400)の各々に流れるようにすることができる。各アブレーション器具について、冷却剤は冷却剤ライン(例えば、114a)、冷却剤入口(例えば、520)、第一の冷却導管(例えば、448)、第二の冷却導管(例えば、460)、及び冷却剤出口(例えば、525)を通って流れることができる。幾つかの例において、冷却剤ライン(例えば、114a)は、例えば冷却剤が冷却剤源へと再循環される再循環系の中で冷却剤出口(例えば、525)から流体を受け入れる戻り経路を形成する。ある実施形態において、冷却剤はこのような流路を流れて、アブレーション器具を冷却することができる。
【0124】
本明細書に記載されているように、例えば、アブレーション器具(例えば、400)を受け入れるコンソール(例えば、102)内のコントローラ(例えば、106)を使用して、アブレーション器具を通る流体の流れのほか、アブレーション器具から発せられるマイクロ波エネルギーを制御することができる。
【0125】
冷却剤はまた、マイクロ波アブレーション器具が患者の体内に挿入されたときに、マイクロ波アンテナ(例えば、452)から発せられるマイクロ波放射を周辺組織に結合するための誘電体として機能することもできる。ある実施形態において、冷却剤は治療のためのアブレーションプロセス中にニードルを通じて治療アブレーション流量で流れる。ニードルを治療アブレーション流量で流れる冷却剤は、ニードルから発せられたマイクロ波エネルギーをニードルの周辺組織に結合し、マイクロ波エネルギーの組織への貫通深さに影響を与える可能性がある。冷却剤の流れを減少させることにより、周辺組織へのマイクロ波エネルギーの結合を減少させることができ、その結果、アブレーション領域がより小さくなる。追加的又は代替的に、冷却剤の流れを減少させると、ニードルがニードル付近の組織から熱を除去する能力が低下する可能性があり、その結果、より高い流量の場合と比較して、ニードル付近の組織がより局所的に加熱される。
【0126】
幾つかの実施形態において、アブレーションシステムが適正に動作することを確実にするためにアブレーション前処置が行われる。例示的なアブレーション前処置が図7に関して示されている。アブレーション器具はまず、患者の組織とは別の媒質、例えば生理食塩水、滅菌水、又はその他の滅菌媒質、例えば組織の誘電特性を模倣する固体若しくは半固体物質の中で試験され得、この物質は一般に、組織シミュレータ又は組織ファントムと呼ばれる(工程710)。また、アブレーション前処置は患者の組織内で、例えば、後述の電力レベル等、アブレーション術中に患者の組織に一般に送達される電力レベルより低い電力レベルを使って実行できることも想定される。
【0127】
アブレーション器具が適当な媒質又は組織内に設置されたら、アブレーション前処置、例えば図7の工程720に示すアブレーション前処置等を開始し得る。アブレーション前処置は、ユーザ(例えば、医師)により手作業で、又はシステムにより自動で、例えば適当な媒質若しくは組織と接触した後に、又は電源投入から特定の時間後に開始され得る。冷却剤が使用される実施形態において、アブレーション前処置は、ポンプ(例えば、ポンプ148a~c)を始動させて、冷却剤をアブレーション器具に供給することによって、開始できる(工程730)。アブレーション前処置720は追加的に、エネルギーを適当な媒質(例えば、滅菌水)又は組織に送達することを含むことができる。好ましい実施形態において、適当な媒質又は組織に送達される電力は一般的に患者の組織に送達される電力より低く、例えば1~20Wの電力レベルであるが、1W未満及び20Wを超える電力レベルも想定されている。好ましくは、アブレーション前処置には5Wの電力レベルが使用される。高感度測定システムではより低い電力レベルを使用できるため、アブレーション前処置に使用される電力レベルは、使用される測定システムにある程度依存し得る。
【0128】
アブレーション電力レベルは、少なくとも2種類の方法で、すなわち振幅を制御することによるか、又はデューティサイクリングを利用することにより制御できる。例えば、40Wの平均電力レベルを印加することが望ましい場合、これは電力レベルを40Wに設定するか、又は電力レベルをより高い値である80Wに設定し、50%のデューティサイクルを使用することの何れかにより実現され得る。電力レベルのどちらの制御方法も想定されている。
【0129】
アブレーション前処置720中、電力はアブレーション器具に所定の持続時間、例えば5~30秒間供給され得るが、例えば5秒未満又は30秒を超えるその他の持続時間も想定されている。好ましくは、アブレーション前処置は10秒の持続時間を有する。持続時間は、アブレーションシステムにより、例えばデフォルトの所定の持続時間によって特定され得る。幾つかの実施形態において、ユーザは、例えばリストから選択するか、又は指定の持続時間を入力することによって、所定の持続時間を選択し得る。持続時間はまた、ユーザがアブレーション器具に供給される電力レベルを、例えば操作(例えば、ボタン、スイッチ、タッチインタフェース)により選択することにも基づき得る。持続時間は追加的に、アブレーション器具に供給される電力(例えば、エネルギー)の総量に依存し得る。
【0130】
アブレーション前処置は、アブレーションシステムが適正に機能しているかをアブレーション術で使用される前に特定するために使用され得る。ユーザ又は医師にとって、コンソール、アブレーション器具、又はシステムのセットアップに何らかの問題があるか否かを、(例えば、アブレーション術を介した)患者へのアブレーションシステムを使用する前に特定してアブレーション術が適正に実行されることを確実にすることは有利である。不適正なアブレーション術は、不完全なアブレーション又は、患者に対して不快感若しくは危害をもたらし得る。
【0131】
アブレーション前処置720は追加的に、温度データ及び/又は電力データ等のデータをモニタして(工程750)、アブレーションシステムが適正に機能しているか否かを特定することをさらに含み得る。温度データは、アブレーション器具の温度又は、アブレーション器具の周囲の媒質若しくは組織の温度を表し得る。冷却剤が使用される実施形態では、温度データはまた、アブレーション器具内の冷却剤の温度も表し得る。温度データに関して、アブレーション器具又は冷却剤は15F超~25F未満等の温度範囲内に保持されることが望ましいことがあり得る。追加的に、温度変化を用いてアブレーションシステムの機能を特定し得、例えば温度の突然の変化は冷却剤中の気泡の存在の指標となり得る。電力が最初にアブレーション器具に送達された後に冷却剤の温度が急上昇することもまた、システムが適正に機能していないことを示し得る。
【0132】
電力データに関して、電力データを使って電力効率、例えば反射された電力対供給された電力の比を計算し得る。上で同様に示されているように、効率を閾値範囲内、例えば60%~80%の範囲内にすることが望ましい場合がある。好ましくは、電力効率は75%より高い。追加的に、効率の偏差を使って、アブレーションシステムの機能性を特定し得る。例えば、効率の劇的な変化は、システム内の接続部の緩み又は、使用されている場合には冷却剤中の気泡を示し得る。追加的又は代替的に、供給された電力と反射された電力とは、例えば本明細書で述べる閾値及び偏差を使用して、アブレーションシステムの機能性を特定し得る。効率の変化はまた、不適切な冷却剤が存在する、冷却剤が存在しない、アブレーション器具が適正に機能していない、アブレーション前処置のセットアップが正しくない、又はアブレーション器具が媒質若しくは組織内で適正に位置付けられていないことを示し得る。
【0133】
電力がアブレーション器具に所望の持続時間にわたって供給された後、及び/又は所望の量の電力が供給された後、アブレーション器具に供給される電力が停止される(工程760)。追加的に、冷却剤システムを使用する実施形態において、工程760はポンプ(例えば、ポンプ148)を停止させて、冷却剤がそれ以上アブレーション器具に供給されなくなるようにすることを含み得る。代替的に、ポンプはアブレーション前処置の後でもアブレーション器具内に冷却剤を送出し続けて、冷却剤がアブレーション前処置とアブレーション術との間で連続的に供給されるようにし得る。
【0134】
アブレーション器具の状態に関する情報が、アブレーション器具に供給される電力を停止した後に提供され得る(工程770)。幾つかの実施形態において、アブレーション器具の状態に関する情報は、アブレーション前処置中ずっと提供され得る。アブレーション器具の状態に関する情報は、アブレーション前処置中に収集された温度データ及び/又は電力データを含み得る。情報は、ユーザインタフェース(例えば、グラフィックユーザインタフェース900)を介してユーザに提供され、及び/又は後で使用するためにメモリに保存され得る。追加的又は代替的に、情報はアブレーション器具が適正に機能しているか否かについてユーザに知らせる通知を含み得る。通知は、ディスプレイ上に表示され得、LED(例えば、適正に機能している場合は緑、適正に機能していない場合は赤)又は当分野で知られている別の任意の通知システムであり得る。
【0135】
アブレーション前処置は、例えば日常のメンテナンスチェック中、アブレーションシステムの要素の操作時、ユーザによる命令入力時、又はアブレーションシステムの電源投入時等、いつでも実行され得る。好ましい実施形態において、アブレーション前処置は、図8に関して説明されるアブレーション術800等のアブレーション術を行う前に実行される。
【0136】
アブレーション術800に関して、まず、アブレーションシステムは、例えばアブレーションパラメータに関する入力を受信すること(工程810)によって、アブレーション術パラメータを特定し得る(工程810)。アブレーション術パラメータは、標的領域の寸法、複数の器具が使用される場合に組織内の器具の幾何学配置を含む1つ以上のアブレーション器具の位置決め、所定のアブレーション器具の持続時間、及び/又は所定のエネルギー量であり得る。アブレーションシステムは、アブレーション術パラメータに関する入力を、例えばグラフィックユーザインタフェース(GUI)900の調整可能パラメータ940等により、ユーザインタフェースを介して受信し得る。調整可能なパラメータ940に関して、アブレーションシステムは、標的領域の直径(例えば、3.5cm)及びアブレーション器具の配置(例えば、図6A及び6Bに示される配置)に関する入力を受信し得る。アブレーションシステムはまた、標的組織領域又は寸法に関する入力を受信したことに応答してアブレーションパラメータ案を提供し得る。これらのパラメータには、アブレーション術のための推奨されるアブレーション用電力レベル、エネルギー総量、及び/又はアブレーション持続時間が含まれ得る。
【0137】
アブレーション術パラメータを特定した後、アブレーションシステムは標的領域へのアブレーション用電力の送達を開始し得る(工程820)。工程820は、例えば工程810でアブレーション術パラメータを特定した後に自動的に実行され得るか、又は例えばアブレーションシステムがユーザからの入力を受け取ることにより手作業で実行され得る。冷却剤システムが使用される実施形態では、アブレーション術は追加的に、冷却剤をアブレーション器具に供給するために1つ以上のポンプ、例えばポンプ148a~148cを始動させ得る。
【0138】
アブレーション前処置700及び本明細書で述べる他のアブレーション術と同様に、アブレーションシステムは、工程830に示すように、アブレーションシステム内のアブレーション用電力をモニタできる。アブレーション用電力をモニタすることは、供給された電力及び/又は反射された電力をモニタすることを含み得る。
【0139】
追加的又は代替的に、持続時間は、エネルギー目標が達成されたか否か(例えば、所定の量のエネルギー)に基づいて特定され得る。工程840に示すように、アブレーション器具は、エネルギー目標が達成されるまでアブレーションエネルギーの送達を継続し得る。エネルギー目標が達成されたか否かを特定することは、アブレーション器具の供給された電力及び/又は反射された電力をモニタすることを含み得る。理想的には、アブレーション器具に供給された電力は全部が標的領域に送達される。しかしながら、電力レベルパラメータ(例えば、振幅、周波数等)、標的領域の構成(例えば、組織の種類、水分含有量等)、使用されるアブレーション器具の種類、又は他の媒質(例えば、骨、エアポケット、他のアブレーション器具、補助器具等)との近接性等に基づいて、アブレーション器具に供給される電力の一部が反射されることになり得る。追加的又は代替的に、アブレーション器具と周辺組織との結合不良は、アブレーション器具内の電力反射の原因となる可能性がある。
【0140】
アブレーションシステムは、アブレーション器具の供給された電力及び/又は受け取った電力を、例えば供給された電力及び/又は反射され、若しくは結合された電力に関する情報を受信することによって特定でき得る。幾つかの実施形態において、アブレーション器具は方向性カプラを含み得る。方向性カプラは、アブレーション器具上で送達された電力及び受け取った電力を測定するために使用され得る。追加的又は代替的に、受け取った電力を特定するために他の機器が使用され得て、これは例えば、追加のアブレーション器具上の方向性カプラ又は電力を受け取るように構成されたアンテナである。方向性カプラ又は同様の機器を使用する場合、反射された電力は、受け取った電力をモニタすることにより特定され得る(例えば、方向性カプラのS11)。このような実施形態において、S11信号はアブレーションニードルにより反射されて組織が受け取らなかった電力を表し得る。追加的に、反射又は結合された電力をモニタすることを利用して、送達された電力を特定し得る。幾つかの実施形態において、反射又は結合されなかった電力はすべて送達された電力であると仮定される。
【0141】
供給された電力及び受け取られた電力をモニタすることに加えて、工程830は追加的に、アブレーション術中の温度を測定することを含み得る。本明細書で述べるように、アブレーションシステムは1つ以上の温度センサ、例えば温度センサ450を含み得る。1つ以上の温度センサによりモニタされる温度は、アブレーション器具又はアブレーション器具の周辺の組織を表し得る。追加的又は代替的に、1つ以上の温度センサによりモニタされる温度は、幾つかの実施形態において、冷却剤の温度を表し得る。
【0142】
所望の量のエネルギーが付与された(例えば、工程840でエネルギー目標が達成された)か、又は電力がアブレーション器具に所望の持続時間にわたり供給された後、アブレーション器具に送達される電力が停止される(工程860)。追加的に、冷却剤が使用されている場合、ポンプ(例えば、ポンプ148)が停止されて、冷却剤がアブレーション器具にそれ以上供給されなくなるようにし得る。代替的に、冷却剤は、例えば他のアブレーション術がその後すぐに実行される予定である場合等、アブレーション術の後も供給され得る。
【0143】
アブレーションシステムは、工程870に示されるように、電力がアブレーション器具にそれ以上供給されなくなった後で組織の温度をモニタし得る。組織の温度は、アブレーション器具内に配置されたセンサにより、若しくは外部の温度測定機器、例えば温度センサ(例えば、温度センサ450)により、又は組織温度を反映する冷却剤の温度をモニタすることにより、モニタされ得る。アブレーション後の温度は、アブレーション器具の周辺の組織がどれだけうまくアブレーションされたかを表し得る。例えば、十分なアブレーション用電力が供給されなかった場合、アブレーション後の温度は、周辺組織の温度が、標的領域を十分にアブレーションするための容認可能な温度まで上昇しなかったことを示し得る。例えば、一般に、組織温度は50℃より高い、好ましくは60℃より高い温度まで上昇させられるべきである。
【0144】
アブレーション術中ずっとモニタされた数値を使って、アブレーションスコアを計算し得る(工程880)。図8に示すように、モニタされた電力と温度の値はどちらも、アブレーションスコアの計算に使用され得る。アブレーションスコアは、アブレーション術の終了時のアブレーションの質を表すことができる。アブレーションスコアは追加的に、アブレーション前処置中に保存された情報等、他の数値によっても影響を受け得る。幾つかの例において、アブレーション術中にわたってずっとモニタされる数値は、アブレーションスコアを計算する際に不均一に重み付けされる。例えば、アブレーションスコアは、モニタされた電力を使用することにより、例えばアブレーション術中の電力効率により、計算され得る。追加的又は代替的に、アブレーションスコアは閾値に到達したか否かに基づいて影響を受け得る。例えば、アブレーション術は、必要なアブレーション後温度に到達していなければ、他のモニタ/計算値(例えば、電力効率)の成績に関係なく、低いアブレーションスコアが付与され得る。
【0145】
アブレーションスコアは、モニタされた数値、アブレーション術パラメータ、アブレーション前処置情報、使用されるアブレーションシステム、及び/又は標的領域の位置(例えば、患者の体内組織の種類)と共に保存され得る。保存されたアブレーションスコアを使用して、将来、有効な、又はより有効なアブレーション術を実行するために、アブレーション術の有効性を特定し得る。
【0146】
図9は、アブレーションシステムのための例示的なGUI 900を示す。幾つかの実施形態において、全効率の数値が表示される。このような効率の数値は、アブレーション中にリアルタイムで提示でき、その時点までのアブレーションの効率を表すことができる(例えば、図9に示すように99%の効率で残り2.16)。グラフ910に示すもの等、効率のわずかな増分も記録され、表示され得る。アブレーション術中、効率の数値は1秒おきに計算され得る。グラフ910は、経時的な効率の変化を表示する。グラフ910に示されるアブレーション術において、効率は98%~100%の間で増減する。幾つかの例において、GUI 900は、効率対時間のプロット(例えば、グラフ910)及び全効率の数値の両方を含み得る。GUI 900は追加的に、送達されるエネルギーのグラフィカル表示、例えばグラフ910の下に示される棒グラフ920を表示し得る。
【0147】
アブレーションシステムはまた、送達された電力及び/又は電力効率を送達されたエネルギー及び/又はエネルギー効率の数値に変換するように構成することもできる。例えば、ある時間にわたり送達された電力の積分を計算して、送達された総エネルギーを特定できる。送達されたエネルギー値を提供されたエネルギー値と比較して、エネルギー効率を特定できる。
【0148】
GUI 900は追加的に、アブレーション術のグラフィカル表示、例えば使用される予定の1つ以上のアブレーション器具の位置付けに基づく理論上の標的領域の形状と大きさを提供し得る。GUI 900上に示されるアブレーション術に関して、ディスプレイ930は、1.0cmの間隙を相互間に設けて配置された3つのアブレーション器具を表示しており、これは6.5×6.5×7.0cmの寸法の長尺状の球形標的領域を形成するものと予想される。予想標的領域の形状は、アブレーション術パラメータに基づいて計算され得る。追加的に、ディスプレイ930は、1つ以上のアブレーション器具に関する予想標的領域の位置を提供し得る。GUI 900に示すアブレーション術では、標的領域の中心はアブレーション器具の先端から2.9cmに位置付けられ、標的領域の底部はアブレーション器具の先端から0.6cmに位置付けられる。
【0149】
アブレーションシステムは、アブレーションパラメータ、例えば標的領域の寸法、1つ以上のアブレーション器具の位置付け、所定のアブレーション持続時間、及び/又は所定の電力/エネルギー量に関する入力を受信し得る。アブレーションシステムは、アブレーション術パラメータに関する入力を、例えばGUI 900の調整可能パラメータ940によるユーザインタフェースを介して受信し得る。調整可能パラメータ940に関して、アブレーションシステムは標的領域の直径(例えば、6.5cm)及びアブレーション器具の配置(例えば、図6A及び6Bに示す配置)に関する入力を受信し得る。
【0150】
アブレーション術中、アブレーションシステムは入力、例えばユーザインタフェース(例えば、調整可能パラメータ940)からの入力を受信し得る。受信した入力は、現在の電力レベルを調整して、標的領域にそれより多くの、又は少ない電力を供給するための入力を含み得る。追加的又は代替的に、アブレーションシステムは、アブレーション術の持続時間を調整するための入力を受信し得る。例えば、ユーザインタフェースは、アブレーションの総持続時間を増大させるための入力(例えば、915に示す+30秒)を受信し、又はアブレーション術を短縮する、若しくは終了するための入力(例えば、917)を受信し得る。
【0151】
各種の非限定的な例を説明した。これら及びその他は以下の特許請求の範囲に含まれる。さらに、本発明は様々な改良及び代替的形態をとることができるが、そのうちの幾つかの具体的な実施形態が図面に例として示されている。図面は縮尺通りではない場合がある。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
【国際調査報告】