(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(54)【発明の名称】電磁力を使用した被加工物に対する操作の実行
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20230418BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20230418BHJP
B24C 1/10 20060101ALI20230418BHJP
H01F 7/20 20060101ALI20230418BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20230418BHJP
B23P 17/00 20060101ALI20230418BHJP
B33Y 10/00 20150101ALN20230418BHJP
B22F 10/30 20210101ALN20230418BHJP
【FI】
B65G54/02
B24B37/00 D
B24C1/10 A
H01F7/20 Z
B65G47/68 A
B23P17/00 Z
B33Y10/00
B22F10/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547766
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 CA2021050118
(87)【国際公開番号】W WO2021155463
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522310926
【氏名又は名称】1188511 カナダ エルティーディー.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】プリストパ,デイビッド アレン
(72)【発明者】
【氏名】パカク,ジョン ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ネル,ピーター コンディ
【テーマコード(参考)】
3C158
3F021
3F070
4K018
【Fターム(参考)】
3C158AA01
3C158AA11
3C158DA11
3F021AA05
3F021BA01
3F021CA12
3F070AA01
3F070BA03
3F070BA10
3F070BC01
3F070BD01
3F070EE09
4K018BA04
4K018BA13
4K018BD01
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
本発明は、一連の電磁石によって磁性体を必要な場所に向けて必要な方向に向かわせるために、供給経路に沿って一連の磁場を提供する一連の電磁石が設けられている供給経路において次から次へと個別化される磁性体を流れの中で供給する方法に関する。この方法は、選別、成形、材料除去、物理的修飾、化学的修飾、材料の追加、切断、研磨、摩損ピーニング、およびエネルギーの追加を含む、個々の工具としての物体と被加工物との相互作用によって、被加工物の操作を実行するために使用され得る。潤滑剤/パージ材料が被加工物に供給され、工具に対して異なる時間に到達する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体の大量供給物からの流れの中で前記磁性体を供給するための方法であって、
前記磁性体の前記大量供給物を供給することと、
前記磁性体を、次から次へと個別化される前記磁性体の移動流に形成することであって、
前記磁性体が前記移動流から供給経路に供給され、
前記磁性体に力を加える一連の磁場を前記供給経路に沿って提供するように動作する一連の電磁石が、前記供給経路に沿って提供される、形成することと、
前記一連の電磁石によって前記磁性体を必要な場所に向けて必要な方向に向かわせることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記一連の電磁石が、前記磁性体の向きを変えるようにも動作する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
30度を超える向きの変更が必要な場合、前記磁場は、次のステップの前に、前記磁性体の磁気モーメントが、印加された前記磁場との整列に近づくように、30度以下の一連のステップで印加され得る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電磁石は、再配向プロセスの任意の時点で、前記磁性体の質量中心の周りに等しい立体角で間隔をあけて配置される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記一連の電磁石は、前記磁性体の少なくとも1つの測定パラメータに少なくとも部分的に応答して、異なる経路に沿って前記磁性体を駆動するように作用する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
経路に沿って前記磁性体の1つを駆動するために起動される前記一連の磁場が、前記磁性体の測定された特性に少なくとも部分的に依存する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記一連の磁場は、ユーザ入力に応答して、異なる経路に沿って前記磁性体を駆動するように作用する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記一連の磁場は、前記供給経路を規定するダクトの端で作用し、前記磁性体を弾道経路に沿って駆動する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
複数の向きにおける前記磁性体のそれぞれの特性を検出するためのセンサが設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記流れ内の前記磁性体は、前記ダクトを横切る回転軸の周りを回転する個別化ダクト内で、次から次へと個別化される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記一連の電磁石は順番に操作され、次の電磁石が起動されるとそれぞれがオフになる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記電磁石は、前記磁性体がたどる経路を囲む等間隔で配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記磁性体のそれぞれは、動作部分と強磁性部分とを含むコンポジット磁性体であり、前記磁性体の前記動作部分の少なくとも一部は、前記場所に到達する前に前記強磁性部分から分離される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記経路は、前記磁性体が沿って移動するダクトの案内面を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記一連の電磁石は、制御された速度で前記供給経路に沿って前記磁性体を駆動するように作用する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、被加工物に対して操作を実行するように構成されており、前記磁性体は、前記場所で前記被加工物上の必要な位置で磁気操作工具と前記被加工物との相互作用によって前記被加工物上で前記操作を実行するために、前記被加工物に向かって移動される前記磁気操作工具を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記被加工物に対する前記操作は、選別、成形、材料除去、物理的修飾、化学的修飾、材料切断の追加、研磨、摩損ピーニング、およびエネルギーの追加を含む群のうちの1つまたは複数を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記磁気操作工具は検出器によって検査され、前記工具の適合性に関連するパラメータが測定される、請求項16または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
測定された前記パラメータに応じて、前記磁気操作工具が使用から転用される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
測定された前記パラメータに応じて、前記磁気操作工具が前記一連の電磁石によって操作されて、前記磁気操作工具の速度が変化する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記操作に続いて、前記磁気操作工具のそれぞれが回収され、再使用のために前記大量供給に向けられる、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
第1の一連の磁場が、第1の前記磁気操作工具を前記被加工物上の第1の位置に駆動し、前記第1の工具と前記被加工物との前記相互作用が、検出器によって測定される前記被加工物の変化を引き起こし、第2の一連の磁場が、前記検出器によって測定された前記被加工物の前記変化に少なくとも部分的に依存する前記被加工物上の第2の位置に第2の前記磁気操作工具を駆動する、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記供給経路の少なくとも一部が前記被加工物と一体である、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記磁気操作工具が切削工具であり、前記切削工具の衝撃が前記被加工物から選択された材料を除去する、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記磁気操作工具が摩損要素である、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記磁気操作工具および/または前記被加工物に潤滑剤/パージ材料が供給される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項27】
前記潤滑剤/パージ材料と前記磁気操作工具とが異なる時間に到着するように、前記潤滑剤/パージ材料が前記被加工物に供給される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記潤滑剤/パージ材料の流れが、周期的に流れを遮断するチョッパ・ホイールによって調整される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記磁気操作工具のそれぞれが、前記被加工物に適用されるように配置された添加材料から少なくとも部分的に構成される、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記添加材料が溶融され、前記被加工物に添加される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記添加材料が複数の異なるタイプの材料を含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記添加材料が三次元印刷プロセスにおいて前記被加工物に添加される、請求項29から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
添加された前記材料の機能が、下にある基板の構造に少なくとも部分的に依存し得る、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記下にある基板が種結晶を含み、添加された前記材料が結晶化して単結晶を成長させる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
回転、並進、またはそれらの組み合わせであり得る、前記磁性体と前記被加工物との間の相対運動が提供される、請求項16から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記被加工物の少なくとも一部を含む規定された体積内で外部磁場が、並進および/または回転する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記被加工物は、前記外部磁場の前記規定された体積に対してさらに並進および/または回転する、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月4日に弁護士整理番号87518-14Pの下で提出され、「電磁力を使用した被加工物に対する操作の実行(PERFORMING OPERATIONS ON A WORKPIECE USING ELECTROMAGNETIC FORCES)」に関する仮出願第62/969983号の35 USC 119(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月19日に出願され、「フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ(FIELD PROGRAMMABLE ANALOG ARRAY)」に関する仮出願仮出願第62/978,671号の35 USC 119(e)に基づく利益を主張する。
【0003】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月19日に出願され、「試料の配向に対する磁性プラットフォーム(MAGNETIC PLATFORM FOR SAMPLE ORIENTATION)」に関する仮出願仮出願第62/978,675号の35 USC 119(e)に基づく利益を主張する。
【0004】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月19日に出願され、「フィールド・プログラマブル流体アレイ(FIELD PROGRAMMABLE FLUIDIC ARRAY)」に関する仮出願仮出願第62/978,680号の35 USC 119(e)に基づく利益を主張する。
【0005】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/662794号に対応する国際公開第2018/018155号として2018年2月1日に公開されたPCT出願PCT/CA2017/050907に記載されている、「流れ内の粒子を個別化するための方法および装置(Method and Apparatus for Singulating Particles in a Stream)」に関する。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、磁性体の大量供給物からの流れの中で前記磁性体を供給するための方法であって、
前記磁性体の前記大量供給物を供給することと、
前記磁性体を、次から次へと個別化される前記磁性体の移動流に形成することであって、
前記磁性体が前記移動流から供給経路に供給され、
前記磁性体に力を加える一連の磁場を前記供給経路に沿って提供するように動作する一連の電磁石が、前記供給経路に沿って提供される、形成することと、
前記一連の電磁石によって前記磁性体を必要な場所に向けて必要な方向に向かわせることと、
を含む、方法、が提供される。
【0007】
本明細書の構成は、特に、個別化された磁性体を電磁力で並進させ、方向付けることによって、被加工物に対して1つまたは複数の操作を実行する方法で使用され得る。被加工物は磁性体でも非磁性体でもよい。被加工物に対する操作は、選別、成形、材料除去、物理的修飾、化学的修飾、材料切断の追加、研磨、摩損ピーニング、およびエネルギーの追加を含む群のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0008】
選別操作は、個別化された磁性体を取り、各磁性体の測定された特性に基づいて少なくとも1つの動的特性を変更し、動的特性は位置、速度、または向きのうちの1つである。
【0009】
成形および物理的修飾操作では、磁性体の運動量と運動エネルギーとを利用して、材料除去、塑性変形、被加工物内の原子の配置の変更を任意に組み合わせて被加工物を成形する。
【0010】
材料追加および化学修飾操作では、磁性体が材料またはエネルギーを被加工物上の場所に輸送する。材料は被加工物に追加する材料であってもよいし、材料が触媒であってもよい。エネルギーは、被加工物上の位置に光子を生成および/または向けることによって、被加工物上の位置に電気エネルギーを供給することによって、被加工物上の位置に化学エネルギーを供給することによって、または被加工物上の位置に熱エネルギーを供給することによって追加され得る。
【0011】
以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な特徴によれば、互いに分離された複数の磁性体を供給する個別化手段が提供される。本明細書の方法は、上で引用したPCT出願PCT/CA2017/050907で開示され請求されている物体を個別化するための装置と共に使用することができる。
【0012】
本発明は、印加された磁場によって力またはトルクを受ける物体に作用する。この文書全体で使用される「磁性体」という用語は、kをボルツマン定数、Tを温度(ケルビン)として、物体がkTより大きい印加された磁場との相互作用エネルギーを有することを意味する。つまり、印加された磁場との相互作用エネルギーは熱エネルギーよりも大きくなる。好ましくは、相互作用エネルギーは、室温での熱エネルギーよりもはるかに大きい。これは一般に、Fe、Ni、およびCoなどの強磁性元素を含む強磁性材料、ならびに特にGd、Nd、およびSmなどの希土類元素を含む材料に当てはまる。ただし、印加された磁場と弱く相互作用する常磁性または反磁性材料で構成される物体の場合、相互作用エネルギーが熱エネルギーよりも大きくなる点まで温度を下げてもよい。
【0013】
「コンポジット磁性体」という用語は、少なくとも2つの部分が異なる組成を有し、第1の組成を有する部分の外部磁場との相互作用が、第2の組成を有する部分の外部磁場との相互作用と異なる、複数の部分から構成される物体を指す。
【0014】
「コンプレックス磁性体」という用語は、少なくとも2つの部分が異なる磁気モーメントを有する複数の部分から構成される物体を指す。
【0015】
「コンプレックス・コンポジット磁性体」という用語は、少なくとも2つの部分が外部磁場との異なる相互作用を有する異なる材料で構成され、少なくとも2つの部分が異なる磁気モーメントを有する、複数の部分から構成される物体を指す。
【0016】
「磁石」という用語は、永久磁石、電磁石、または両方の組み合わせを指し、電気永久磁石として知られている文献もある。
【0017】
全体を通して使用される「電磁石」という用語は、電流がワイヤに流れると磁石の磁場が変化する、少なくとも1本のワイヤで構成される磁石を指す。したがって、永久磁石とワイヤとの組み合わせは、この文書の範囲内で電磁石とみなされる。
【0018】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、個別化された物体の少なくとも1つの配向パラメータの検出に応答して、選択された磁性体を配向するための磁気配向装置が提供される。磁気配向装置は、磁性体の位置および向きを測定するための検出器と、磁性体の自由度ごとに少なくとも1つの電磁石とを備え、各電磁石は、磁性体の少なくとも一部に別の方向から磁束を送達するように配置される。
【0019】
好ましくは、電磁石は、再配向プロセスの任意の時点で磁性体の質量中心の周りに等しい立体角で間隔をあけて配置されるか、または磁性体がたどる経路を囲む等間隔で交互に配置される。磁性体の磁気モーメントは、印加された磁場と整列する方向にトルクを発生させる。
【0020】
好ましくは、電磁石によって生成される印加された磁場の方向は、磁性体の磁気モーメントと30度以下の角度を成す。30度を超える向きの変化が必要な場合、次のステップの前に、磁性体の磁気モーメントが、印加された磁場との整列に近づくように、30度以下の一連のステップで磁場が印加され得る。
【0021】
重要な実施形態では、印加された磁場の方向と大きさは、複数のステップのそれぞれで動的計算によって必要とされる力を提供するように決定される。重要な実施形態では、磁性体の動力学は並進と回転の両方を含む。
【0022】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、個別化された磁性体の少なくとも1つのパラメータの検出に応答して、選択された磁性体を偏向させるための磁気偏向装置が提供される。検出されたパラメータは、例えば向きまたは品質パラメータであり得る。この実施形態では、磁性体の測定パラメータに基づいて経路が選択され、選択された経路に実質的に沿って配向された磁場勾配が生成されて、選択された経路に向かってかつそれに沿って物体を引き付ける。磁場は、単一の電磁石で生成されてもよい。好ましくは、少なくとも2つの電磁石を使用して、経路に対して横方向の磁場成分を提供する。この機能は、さまざまな方向からの物体の入射に適応するのに役立つ。
【0023】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、ユーザ入力に応答して、選択された磁性体を異なる経路に沿って偏向させるための磁気偏向装置が提供される。磁気偏向装置は、検出器、制御装置、および経路軸に沿った縦磁場成分および経路軸に対して横方向の磁場成分を生成するように配置された異なる経路ごとの1つまたは複数の電磁石を備えている。検出器は、物体の速度と位置を制御装置に伝達し、制御装置は、動的計算により、物体を選択された経路に偏向するために必要な磁力を決定する。次に、制御装置が1つまたは複数の電磁石を作動させて、必要な磁場を提供する。起動すると、縦磁場勾配が経路軸に沿って物体を引き付け、横方向勾配が経路軸に対して横方向の物体速度を減少させるように機能する。例えば、3つの工具が、異なる操作のために個別化されたファスナの共通の流れを共有していてもよく、工具がファスナを受け取る準備ができているという各工具からの信号に応答して、磁気偏向装置が優先順位に従って各工具にファスナを偏向させる。ユーザは、例えば、第1の経路に沿って第1の100個の物体を偏向させて第1のパッケージを充填し、続いて第2の経路に沿って第2の100個の物体を偏向させて第2のパッケージを充填することができる。
【0024】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、磁性体を経路に沿って並進させるための磁気並進装置が提供される。磁気並進装置は、制御装置と、経路に沿った位置に配置された電磁石のアレイとで構成され、これらの電磁石は、制御装置によって順次起動され、連続する各電磁石位置に向かって物体を引き付ける。いくつかの実施形態では、電磁石のアレイは、第1の電磁石がスイッチオフされ、第2の電磁石がスイッチオンされる前に、物体が第1の電磁石のポテンシャルエネルギー井戸に対応する個別の位置に到達する限り、ステッピング・モータと同様に動作する。このモードは、一定の間隔で物体をアレイの最後に送達する場合に役立つ。
【0025】
別の実施形態では、電磁石のアレイは、物体が第1の電磁石ポテンシャルエネルギー最小値に到達する前に物体を順番に引き付ける第1の電磁石がスイッチオフされ、後続の電磁石がスイッチオンされる限り、リニアモータと同様に動作する。このモードでは、より均一な速度と加速度を生成できる。電磁輸送のエネルギー効率は通常、空気輸送のエネルギー効率よりも高いため、この機能は磁性体の空気輸送の代替手段として特に有用である。一例では、磁性体は、上で引用したPCT出願PCT/CA2017/050907に記載されているように、回転軸から半径が増加する方向に回転ダクトに沿って通過することによって個別化され得る。個別化された物体は、その後、電磁石のアレイを作動させることにより、工具で使用するために軸方向の位置に戻され得る。
【0026】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、磁性体の一部に材料を追加するための手段が提供され、磁性体の位置および向きは磁場によって制御され、追加される材料は、磁性体の測定された特性に少なくとも部分的に依存する。追加される材料は、例えば、ねじの頭に追加される潤滑剤、ボルトの頭に追加されるマーキング材料、複数の構造材料、または試験される材料であってもよい。
【0027】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、磁性体の一部に向けて放射線を向ける放射線装置が提供される。放射線は、光子、電子、中性子、原子、分子、またはイオンであってもよい。
【0028】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、磁性体の少なくとも1つの特性を測定するように動作可能な検出器アレイが提供される。検出器アレイは、1つの要素または複数の要素を含み得る。検出器アレイは、例えば、磁性体に入射する放射線に応答して、磁性体の一部から散乱、反射、または放射された放射線を測定することができ、測定された放射線は、磁性体の前記部分の材料に関する情報を提供するために分析される。検出器アレイは、例えば、異なる入射角に対する磁性体の1つの表面の双方向反射関数を測定することができる。アレイの各検出器は、受け取った放射線の強度をエネルギー、周波数、または波長の関数として測定する分光計であってもよい。検出器アレイは、例えば、磁性体の位置、向きを時間の関数として測定する高速度カメラであり、カメラフレームが分析されて、磁性体の速度および角速度に関する情報が提供される。
【0029】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、磁性体によって操作される被加工物の少なくとも1つの特性を測定するように動作可能な検出器アレイが提供される。検出器アレイは、1つの要素または複数の要素を含み得る。検出器アレイは、例えば、被加工物に入射する放射線に応答して、被加工物の一部から散乱、反射、または放射された放射線を測定することができ、測定された放射線は、被加工物の前記部分の材料に関する情報を提供するために分析される。検出器アレイは、例えば、被加工物内の空洞の形状を測定する音響アレイであってよく、空洞は被加工物の内部から材料を除去する磁性体によって生成される。検出器アレイは、例えば、被加工物上の位置のX線回折パターンを測定することができ、回折パターンを分析して、結晶構造および向きを決定する。検出器アレイは、例えば、被加工物上の磁気モーメントを測定し、測定された磁気モーメントから被加工物の向きと位置を推測することができる。
【0030】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、放射線装置からの放射線は、磁性体の材料と相互作用して、磁性体の一部を加熱、溶融、アニール、融合、またはオブレートすることができる。
【0031】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、個別化された磁性体の少なくとも1つのパラメータの検出に応答して弾道軌道に沿って磁性体を向けるための磁気偏向装置が提供される。磁気偏向装置は、ダクト内を移動する磁性体に作用して磁性体の速度を変化させる磁場をダクトの端に近接する領域に印加する。磁性体の速度は、磁性体が磁場の領域を離れた後の磁性体の弾道軌道を決定する。検出されたパラメータは、例えば、磁性体の品質パラメータであってもよく、出口速度(および弾道軌道)は、異なる品質パラメータを有する磁性体が異なるビンに入るように選択される。磁性体は、例えば、鉱石粒子であってもよい。
【0032】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、ユーザ入力に応答して弾道軌道に沿って磁性体を向けるための磁気偏向装置が提供される。弾道軌道がユーザによって選択されることを除いて、磁気偏向装置は上記のように動作する。例えば、ユーザは、磁性体を別の標的物体または被加工物の特定の位置に特定の入射角および速度で衝突させる弾道軌道を選択することができる。
【0033】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、磁性体経路と被加工物との間に相対運動を生じさせる手段が提供される。磁性体経路は、磁性体配向手段、磁性体並進手段、またはそれらの組み合わせによって生成される。いくつかの実施形態では相対運動は回転であり、いくつかの実施形態では相対運動は並進運動であり、いくつかの実施形態では相対運動は回転と並進運動の両方である。いくつかの実施形態では、外部磁場は、被加工物の少なくとも一部を含む規定された体積内で磁性体を並進および/または回転させる。いくつかの実施形態では、被加工物はさらに、外部磁場の規定された体積に対して並進および/または回転する。例えば、本発明は、磁性体が工具であり、外部磁場が従来の機械の工具ホルダと同じ機能を果たすことを除いて、従来の旋盤またはフライス盤と同じように機能し得る。本発明は、工具ホルダと被加工物との間の干渉、または従来の工具シャフトと被加工物との間の干渉によって工具経路が制約されないという利点を有する。
【0034】
上記または以下の特徴のいずれかと独立して使用できる本発明の重要な任意選択的な特徴によれば、被加工物の複数の場所の温度を制御して、各場所が異なる温度を有することができるようにする手段が提供される。
【0035】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、磁性体は摩損剤であり、磁性体と標的物体または被加工物との衝突により、標的物体または被加工物から少なくともいくらかの材料が除去される。
【0036】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができる実施形態では、磁性体の衝撃は、例えば金属表面の加工硬化など、標的物体または被加工物の特性を変化させる。磁性体は、例えば、被加工物の第1の空間領域を硬化させ、より大きい弾性が望まれる被加工物の第2の空間領域を硬化させなくてもよい。いくつかの実施形態では、磁性体の衝撃は、標的物体の形状を変形および/または改造する被加工物上で機械加工操作を実行する。
【0037】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、磁性体は切削工具であり、切削工具の衝撃により、選択された材料が対象物体から除去される。この実施形態では、切削工具は、上述の方法によって個別化され、配向される。切削工具は、配向プロセス中に検出器によって検査され、工具の適合性に関するパラメータが測定される。例えば、切削工具の刃先の鋭さを調べて、刃先が鋭いか鈍いかを判断することができる。測定されたパラメータに応じて、切削工具は、上記の方法によって廃棄物ビンに偏向されるか、または切削工具の速度を増加させるように動作する磁気並進装置に偏向され得る。最後に、切削工具は、材料が除去される標的物体上の位置に向かう弾道軌道に向けられる。切断工具はその後回収され、再使用のために個別化装置の供給ダクトに向けられる。この実施形態は、従来のフライス加工操作に対して4つの利点を有する。第1に、検査によって、または作業ごとに新しい切削工具を使用することによって、刃先が常に鋭いことを確認できる。第2に、工具のリーチは工具シャフトの長さによって制限されない。この機能は、シャフトの破損が問題となる小径工具にとって特に重要である。第3に、切削工具は1回の切削にのみ使用されるため、過熱しない。第4に、磁性体工具との各相互作用の被加工物への影響を測定することができ、後続の磁性体工具の運動量をインタラクティブに調整して、被加工物に所望の効果をもたらすことができる。この実施形態は、被加工物に対する切断作用が粒子の流れによって達成される限り、ウォーター・ジェット・カッタに類似している。ウォーター・ジェット・カッタには摩耗面があり、メンテナンスが必要で、生産時間の損失と部品の交換というコストがかかる。これらのコストは、摩耗面がないため、本実施形態の磁気切断機では回避される。さらに、この実施形態は、切削工具が個別に向けられるため、ウォーター・ジェット・カッタよりも正確な切削を可能にする。レーザー切断機とは異なり、本実施形態の磁気切断機は、まっすぐなエッジを切断することができ、被加工物の材料または厚さによって制限されない。
【0038】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、一連の磁性体が被加工物上の位置に適用され、一連の流体の流れが被加工物の位置に近接して適用され、磁性体は流体の流れとは異なる時間に被加工物に到達する。流体は気体でも液体でもよい。磁性体は、例えば、被加工物の場所で切断、研磨、摩損、またはピーニング操作を実行してもよい。流体の流れは、例えば、被加工物の位置に近接して冷却、潤滑、およびチップ除去を提供することができる。被加工物の位置に、またはその近くに磁性体および流体の流れが到達する時間は、磁性体の運動量が、被加工物の位置に衝突する前の流体の流れの運動量によって変更されないように、時間的に分離されている。流体の流れは、例えば、定期的に流れを遮断するチョッパ・ホイールによって、例えば調節されてもよい。チョッパ・ホイールに近接したセンサがチョッパの状態を制御手段に伝達し、制御手段が信号を磁気アレイに生成し、磁性体が流体の流れとは異なる時間に到着するようにする。例えば、制御手段は、磁性体および流体の流れが異なる時間に被加工物の位置に到達するように、チョッパ・ホイールの位相および角速度を設定することができる。例えば、制御手段は、磁性体と流体の流れが異なる時間に被加工物の位置に到達するように、流体の流れを調整する弁を作動させることができる。
【0039】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、磁性体は切削工具であり、磁場が標的物体に投射され、投射された磁場が標的物体内の切削工具の動きを制御する。いくつかの実施形態では、切削工具はさらに、(i)外部磁場と相互作用して切削工具に力および/またはトルクを与える、(ii)被加工物の材料を切断、摩損、または改造する、(iii)部分(i)と(ii)との間の構造的接続を提供する、という異なる機能を果たす異なる部分から構成されるコンポジット磁性体である。すなわち、この実施形態では、システムは単一の磁性体を工具として使用する。
【0040】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンプレックス磁性体は、コンプレックス磁性体の運動を、前記磁気軸受モーメントの位置における外部磁場の方向によって決定される軸の周りの回転に制限する磁気軸受として機能する一連の磁気モーメントを含む。
【0041】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンプレックス磁性体は、磁気モーメントのセットの位置における外部磁場に応答して、コンプレックス磁性体の質量中心の位置を拘束するように機能する磁気モーメントのセットを含み、外部磁場は、拘束された位置からの変位に対抗する力を磁性体に生成するように一時的に調整される。
【0042】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンプレックス磁性体は、コンプレックス磁性体を並進させる力を生成するように機能する磁気モーメントのセットを含む。
【0043】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンプレックス磁性体は、コンプレックス磁性体を回転させるトルクを生成するように機能する磁気モーメントのセットを含む。例えば、標的物体または被加工物は非磁性プラスチックまたはセラミックで構成され、切削工具は磁性鋼で構成されてもよい。切削工具は、印加された磁場と相互作用する1つまたは複数の永久磁気モーメントをさらに有し得る。切削工具は、標的物体から材料を除去するために、時変磁場の影響下で振動、回転、または並進するように作成されてもよい。さらに、切削工具は、シャフトの拘束なしで任意の方向に切削できる。例えば、穴あけ作業は、従来のストレート・ドリルでは不可能な曲線経路をたどってもよい。例えば、コイル状のチューブは、本方法を用いて固体ブロックの内部において切断され得る。
【0044】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、磁性体は、選択された位置で標的物体または被加工物に追加プロセスで追加される。
【0045】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、追加されるコンポジット磁性体は、外部磁場と強く相互作用し、外部磁場と弱く相互作用する材料内に埋め込まれた物体全体を位置決めおよび配向するのに役立つ複数の部分を含む。例えば、コンポジット磁性体は、鉄片が埋め込まれたシリカで構成されてもよい。
【0046】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンポジット磁性体は、経路上で標的または被加工物の選択された位置に向けられ、コンポジット磁性体の一部が標的または被加工物に加えられ、コンポジット磁性体の一部が異なる経路に沿って分離されて方向付けられる外部磁場を有する。
【0047】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンポジット磁性体は、外部磁場と強く相互作用する第1の部分と、外部磁場と弱く相互作用する第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間のリンクを形成する第3の部分とを含み、第3の部分は、操作によって除去できる材料で構成され、第1の部分および第2の部分は、操作後に異なる経路に沿って独立して移動する。例えば、コンポジット磁性体は、熱を加えることによって除去される接着剤で連結されたフェライトビーズおよびシリカガラスビーズから構成されてもよく、シリカビーズは選択された位置で被加工物に追加され、フェライトビーズはリサイクル容器に向けられる。
【0048】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンポジット磁性体は、磁場が印加されていない状態では第2の部分を取り囲み、磁場が印加されている状態では第2の部分を取り囲まない第1の部分を含み、第1の部分は外部磁場と強く相互作用し、第2の部分は、第1の部分とは独立して少なくとも1つの経路を移動することができる。
【0049】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンポジット磁性体は、第1の印加された磁場の存在下で第2の部分を取り囲み、第2の印加された磁場の存在下で第2の部分を取り囲まない第1の部分を含み、第1の部分は外部磁場と強く相互作用し、第2の部分は、第1の部分とは独立して少なくとも1つの経路を移動することができる。
【0050】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンポジット磁性体は、外部磁場と弱く相互作用する第2の部分によって取り囲まれた、外部磁場と強く相互作用する第1の部分を含み、第1の部分は、熱エネルギーを加える操作によって第2の部分から分離可能である。例えば、コンポジット磁性体は、外部磁場による付加プロセスのための標的または被加工物の位置への経路上に向けられるカルコゲナイド・ガラスによって取り囲まれた鉄ビーズであってもよい。熱を加えると、カルコゲナイド・ガラスの粘度が低下し、第2の外部磁場によって鉄ビーズが別の方向に引き寄せられるようになる。カルコゲナイド・ガラスの粘度が低下するため、鉄ビーズはカルコゲナイド・ガラスを通過するが、カルコゲナイド・ガラスの運動量により、標的または被加工物での追加プロセスの経路に沿って継続する。好ましくは、低粘度ガラスの方向が変更されないように、加熱された低粘度ガラスから低粘度ガラスの運動量と反対の方向に鉄ビーズを抽出する。この例では、鉄ビーズのキュリー温度は1043Kであり、カルコゲナイド・ガラスのガラス転移温度は423Kである。一般に、第1の部分のキュリー温度は、第2の部分のガラス転移温度より高くなければならない。
【0051】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、コンポジット磁性体は、外部磁場と強く相互作用する第1の部分を含み、印加された磁場と弱く相互作用する第2の部分を部分的に取り囲み、第2の部分が第1の部分に接触することなく移動できる少なくとも1つの方向がある。例えば、コンポジット磁性体は、サファイア光学部品を含むコバルトカップであってもよい。コバルトカップの口は、印加された磁場によって添加プロセスの場所に向けられ、カップはサファイア光学素子にその方向に運動量を与える。サファイア光学素子に力を加えることなく、コバルトカップの方向を反転させる第2の磁場が印加される。サファイア光学素子は、追加プロセスのために標的または被加工物上の位置に続く。
【0052】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、磁性体またはその一部が溶融され、続いて標的物体に追加される。溶融は、ダクト内、ダクト出口の近く、または標的物体または被加工物の近くで発生し得る。磁性体またはその一部は、無線周波数電場の印加による誘導を介して溶融し得る。物体は、黒体領域を通過することによる熱放射によって溶融し得る。物体はレーザー放射によって溶融し得る。
【0053】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、溶融金属合金の液滴が、三次元印刷プロセスで標的物体または被加工物に追加される。他の実施形態では、溶融液滴は、光学材料、電子材料、またはポリマー材料である。液滴サイズと温度を操作して、堆積材料の原子構造を制御できる。例えば、溶融液滴を急冷して金属ガラスを生成するか、アニールしてゆっくりと冷却して結晶構造を生成し得る。各溶融液滴または液滴群の冷却速度および熱履歴は異なる可能性があるため、同じ原子組成の異なる液滴が異なる結晶秩序を有するか、非晶質であってもよい。各液滴または液滴群の材料の温度は、被加工物への追加の前後の両方で調整されてもよい。液滴材料の温度調節は、例えば、被加工物への追加前は放射性であってもよく、被加工物への追加後は主に導電性であってもよい。各溶融液滴の組成は異なる場合があり、複合三次元物体の製造が可能になる。例えば、屈折率が異なる一連の液滴を追加することにより、屈折率分布光学素子を製造することができる。
【0054】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる重要な実施形態では、材料の溶融液滴が、単結晶種を含む被加工物に追加され、液滴内の材料が結晶化して単結晶を成長させる。
【0055】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができる実施形態では、電場の存在下で溶融液滴を被加工物に加えて、結晶化中に結晶軸と印加された電場との分極および整列を誘導する。結晶軸の分極と配列は、この方法によって制御された方法により、3次元構造全体で変化させられてもよい。この効果は、例えば、異方性特性を有する圧電素子を製造するために使用できる。この効果は、例えば、空間的に変化する異方性屈折率を有する光学素子を製造するために使用できる。
【0056】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、磁場の存在下で溶融液滴が被加工物に追加され、標的物体内に空間的に変化する磁気モーメントが誘導される。この方法は、例えば、印加された磁場に応答して形状を変えるマイクロ・ロボットを製造するために使用できる。
【0057】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、複数の材料が被加工物に追加され、各材料は磁性体によって運ばれ、磁性体の位置と向きは外部磁場によって制御される。
【0058】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、複数の材料が被加工物に追加され、各材料は異なる屈折率を有し、各材料は磁性体によって運ばれ、磁性体の位置と向きは外部磁場によって制御される。異なる屈折率を有する材料は、例えば、光コンピューティング用の3次元回路に組み立てることができる。
【0059】
前述または後述の実施形態のいずれかと組み合わせて使用できる実施形態では、複数の材料が被加工物に追加され、各材料は異なる電子特性を持ち、各材料は磁性体によって運ばれ、磁性体の位置と向きは外部磁場によって制御される。例えば、異なる電子特性を有する材料を組み立てて3次元の電気回路にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
ここで、本発明の一実施形態を添付の図面と併せて説明する。
【0061】
【
図1】磁性体を配向させ、偏向させ、並進するための配置の概略図である。
【
図2】
図1の磁気配向装置の操作のフローチャートである。
【
図3】被加工物に対して切削作業を行うために使用される
図1の配置の概略図である。
【
図4】被加工物を機械加工するために使用される
図1の配置の概略図である。
【
図5】コンポジット磁性体の材料を被加工物に追加するために使用される
図1の配置の概略図である。
【
図6】被加工物に非磁性材料を追加するために使用される
図1の配置の概略図である。
【
図7】2種類の非磁性材料を被加工物に追加するために使用される
図1の配置の概略図である。
【
図8】容器から被加工物に非磁性材料を追加するために使用される
図1の配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1に、本発明の磁気配置が、全体的に200で示されている。
図1に模式的に示すように、磁力を使用して、領域206に示すようにダクト内の物体を方向付け、領域207に示すように異なる経路に沿って物体を方向付け、領域208に示すようにダクトに沿って物体を推進し、領域209に示すように弾道経路に沿って物体を方向付けることができる。説明されている機能は、個別に、または組み合わせて使用できる。
【0063】
図1では、個別化装置50からの個別化された磁性体74がダクト91を通って入る。各物体の位置は、201で概略的に示されるように、ダクト領域206、207、および208に近接して配置された1つまたは複数のセンサから構成されるセンサネットによって、時間の関数として測定される。センサネットは、203で示されるように制御手段202と通信する。制御手段は、ワイヤ204を介して各電磁石205に供給される電圧および/または電流を調整するように機能する計算装置および電気的手段を含む。簡単にするために1本のワイヤのみが示されているが、すべての電磁石が制御部に接続されていることが理解される。計算手段は、機械可読媒体にデータを格納し、電磁石およびセンサ入力(図示せず)の動作に関するデータを通信する手段を含む。場合によっては、図示の構成に複数の永久磁石(図示せず)を追加してバイアス磁場を提供することができ、正味の磁場は、バイアス磁場と電磁石によって生成される磁場とのベクトル和である。この機能は、時間平均フィールドが優先方向を有する用途でエネルギー消費を削減し得る。
【0064】
物体配向領域206は、211、212、213、214、および215で示されるように、異なる方向に磁場を生成するように動作する電磁石205のアレイによって描かれている。物体配向領域は、物体の動きを拘束し、電磁石205のアレイに機械的支持を提供するように機能する非磁性壁210によって部分的に囲まれてもよい。アレイ内の電磁石の数は、少なくとも物体の自由度の数に等しい。壁210は、例えば、磁性体74を平面内で移動するように拘束し、それによって並進自由度の1つを排除し、場合によっては回転自由度も妨げ得る。あるいは、物体は、壁210に接触することなく自由空間に向けられてもよく、壁は、不規則な動作の場合に障壁としてのみ機能する。電磁石のアレイは、物体の並進速度と必要な物体のスループットによって決定される空間範囲を有する。任意の電磁石からの磁場が配向領域206内を移動する距離内でほぼ一定となるように物体の並進速度が十分に小さい最も単純なケースでは、6つの自由度で物体を配向するのにわずか6個の電磁石しか必要としない。好ましくは、電磁石は、共通の中心を指すように間隔をあけて配置され、それぞれが等しい立体角を占める。より多くの電磁石を使用して、正味の磁場の方向をより適切に規定できる。物体が配向ステップ中に個々の電磁石からの磁場の領域を通って並進するより一般的なケースでは、各配向ステップの空間に磁場を提供するために、より多くの電磁石が必要である。
【0065】
配向プロセスの各時間間隔で、物体にかかる力とトルクは、印加された磁場と物体の磁気モーメントとの間の内積に比例し、力とトルクは物体を印加された磁場に整列させる傾向がある。この点を考慮すると、印加された磁場と物体の磁気モーメントの間の角度は90度未満でなければならない。90度に近い角度では、システムは不安定になり、目的の方向に向かって回転したり、反対方向に回転したりし得る。好ましくは、物体は30度以下のステップで方向付けられる。
【0066】
図1に示すように、物体221は、物体の移動方向に対して30度に向けられた211で示される第1の磁気領域に接近する検出器201によって検出される。検出器201からの物体の位置および向きの情報に応答して、制御202は、磁場211を生成するために2つ以上の電磁石のスイッチを入れる。物体は、磁場211内の磁束が最も高い領域に引き付けられ、磁場の方向と整列する方向へのトルクを受ける。検出器201は物体の位置の変化を監視し、物体が磁気軸211に到達する前に、制御202は211で磁場をオフにし、212で次の磁気軸をオンにする。このプロセスは、213、214、および215で段階的に繰り返され、目的の向きに物体を回転させる。
【0067】
図2は、制御装置202によって
図1の配向領域206内の物体を配向するための決定論的アルゴリズムを示す。アルゴリズムは、方向領域206を出る物体に必要な位置、速度、および方向を入力として受け取る。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、方向領域206の入口と出口との間の中間にある一連のウェイポイントを計算し、各ウェイポイントは、必要な位置、速度、および方向パラメータのセットを有する。ウェイポイント・パラメータは、この説明の文脈で必要なパラメータになる。アルゴリズムは、方向領域206に入る物体の位置、速度、および方向の検出から始まる。次のステップでは、物体の動的特性が決定される。これらには、質量、形状、慣性モーメント、表面との摩擦係数、および空気抵抗が含まれる。一連の類似または同一の物体が関係する場合、動的特性は以前の測定値から既知であり、したがって記憶媒体から取得できる。可変特性を有する物体に関連する場合、動的特性は、既知の力に対する物体の応答を測定することによって決定される。例えば、最初のステップで、既知の磁場が異なる(好ましくは直交する)方向に短い時間間隔で印加され、磁場に対する物体の応答が検出ネット201によって観察される。次いで、制御装置202は、観察から動的特性の初期セットを計算する。動的特性の初期セットに基づいて、制御装置202は、必要な最終パラメータまたはウェイポイント・パラメータに向けて位置、速度、および方向パラメータを変化させるために必要な印加磁力を古典力学によって計算する。次に、アルゴリズムは、必要な磁場を最もよく近似する電磁石のアレイへの入力の組み合わせを見つけようとし、その磁場を生成する。検出器201は、印加された磁場に応答して物体の位置、速度、および方向パラメータの変化を測定し、制御装置202は、実際のパラメータと計算されたパラメータとの間の差を計算する。この差は、動的パラメータの推定値を改善するために使用できる。この機能は、少数の測定に基づく初期の動的特性が大きな不確実性を有し得る、不規則な形状の磁性体に特に役立つ。位置、速度、方向パラメータが必要な最終パラメータの許容値内にある場合、アルゴリズムは終了する。それ以外の場合、アルゴリズムは、古典力学から必要な磁力を計算し、利用可能な電磁石で磁場を近似し、短い時間間隔で磁場を印加し、結果を観察するという別の反復を実行する。場合によっては、生成された場の成分を単に重力に対抗するために使用し、壁210との摩擦なしに物体を空間に浮遊させ続けることができることに留意されたい。
【0068】
図1は、ワイヤ217を介して制御装置202にリンクされ、制御装置202の制御下にある操作装置216を概略的に示す。領域206、207、208、および209内の磁性体に対して異なる操作を実行する任意の数の別個の操作装置216があってもよい。空間的に別個の領域206、207、208、および209内の磁性体に対して操作を実行する任意の数の異なるタイプの操作装置が存在し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、操作装置216は、磁性体の一部に放射を向け、放射は、磁性体上の位置で物理的または化学的変化を引き起こす。放射線は、例えば、物理的変化を引き起こす磁性体の一部を加熱、融合、融解、または扁平化し得る。放射線は、例えば、化学変化を引き起こす磁性体の一部を光重合させるために使用できる。
【0070】
いくつかの実施形態では、操作装置216は、磁性体221、231、241、261、または271の少なくとも一部に材料を追加する。例えば、追加された材料は、ねじのねじ山に追加された潤滑剤またはねじの頭に追加されたインク・マーキングであってもよい。
【0071】
図1は、領域207内の磁気ゲート構成を示しており、磁性体231は、それぞれ3つの分岐232、233、および234を有するゲートに接近する。検出器201は、物体231の位置および速度を測定し、制御202は、物体の必要な用途によって選択された経路232、233、および234のうちの1つに沿って物体231を導くのに必要な磁場を計算する。図示のように、電磁石235および236を組み合わせて使用して、ほぼ経路232に沿って横断成分を有する磁場を生成することができる。制御部は、経路232に沿って各物体を工具67に向けるために、異なる物体231の位置および速度の変化を調整するために横断成分を変化させる。いくつかの実施形態では、単一の電磁石を使用して、物体を各経路に操縦することができる。同様に、制御202は、電磁石237および238を作動させて、物体231を経路233に沿ってバッファ240に向かって操縦することができる。同様に、制御202は、電磁石238および239を作動させて、物体231を経路234に沿って輸送領域208に向かって操縦することができる。
【0072】
検出器201は、輸送領域208に進入する物体の位置および速度を検出し、制御202は、領域208に沿った長手方向位置242、243、244、245、246、247、248、249および250で電磁石のアレイを順次作動させる。一実施形態では、電磁石のアレイは、アレイ内の次の電磁石に移送される前に、ユーザが定義した時間間隔の間、物体が各電磁石に引き付けられて保持されるという点で、リニア・ステッピング・モータとして動作し得る。この機能は、物体を特定の時間間隔でラインの最後にオペレーションに配送する必要がある用途に役立つ。別の実施形態では、アレイはリニアモータとして動作する。すなわち、物体241が電磁石242に近づくと、電磁石242がスイッチオンされて物体241を引き付ける。物体241が電磁石242の位置に到達する前に、電磁石242のスイッチをオフにし、電磁石243のスイッチをオンにする。このプロセスは、物体241が、この例では250で示されるアレイ内の最後の電磁石の位置に到達するまで繰り返される。したがって、物体241は、一定の速度で、または最後のアレイ要素250に向かって加速して、段階的に輸送され得る。制御202は、物体位置の動的計算、検出器201からの測定値、またはその両方に基づいて、電磁石起動のタイミングを調整し得る。磁性体間の距離は、検出器201によって測定することができ、アレイ内の磁石は、磁性体間の距離を増加または減少させるように操作される。
【0073】
別の構成では、検出器201は、空隙209に接近する物体を検出し、制御202は、電磁石251および252を作動させて、物体に横速度成分を与える。「空隙」という用語は、領域を通過する材料に最小の抗力を提供する媒体を含む領域を意味する。いくつかの実施形態では、「空隙」は大気を含み得る。いくつかの実施形態では、「空隙」は非反応性ガスを含み得る。いくつかの実施形態では、「空隙」は、大気圧未満の圧力でガスを含み得る。いくつかの実施形態では、「空隙」は、圧力が例えば1E-5Torr未満の真空領域であってもよい。
【0074】
空隙209内の261で示されるように、物体は、ビンアレイ262に向かって上向きに向けられ得る。空隙209内の磁性体261の動きは、ワイヤ274によって制御装置202と通信する検出器273によって監視される。この文書の範囲では、「検出器」という用語は、説明されている機能に必要な複数の検出器を指す。いくつかの実施形態では、物体は、個別化フィード91から空隙に接近する。他の実施形態では、空隙209の前に、配向領域206および/または輸送領域208を配置することができる。物体261は、ビン262のアレイに向かって弾道軌道をたどり、図示の例ではビン263に落ちる。すなわち、物体は、電磁石242から252までによって物体に与えられる縦方向および横方向の速度によって決定される円錐領域内の特定の位置に特定の向きで向けることができ、各物体の方向および向きは検出器273によって確認することができる。いくつかの実施形態では、物体は、物体の測定されたパラメータに部分的に基づいて、異なるビンに向けられる。
【0075】
別の構成では、検出器201は、空隙209に接近する物体を検出し、制御202は、電磁石251および252を作動させて、空隙209内に示される物体271に横速度成分を与える。磁性体271は、被加工物272に向かって弾道軌道をたどり、被加工物272に対して操作を実行する。検出器273は、磁性体271の軌道および向き、ならびに被加工物272に対して行われた操作の効果の両方を確認するように動作可能である。任意選択で、被加工物272に対して実行された操作に続いて、281で概略的に示される磁性体が収集され、経路282に沿って個別化装置50に戻される。
【0076】
ワイヤ276によって制御装置202と通信する放射線源275は、光子、電子、中性子、原子、イオン、または分子であり得る放射を被加工物272の位置に入射させる。このドキュメントの範囲では、「放射線源」という用語は、説明されている機能に必要な複数の放射線源を指す。いくつかの実施形態では、放射線源275は、被加工物272によって反射、散乱、吸収、または透過され、続いて検出器273によって検出されて、物体271と被加工物272との相互作用に関する情報を提供する放射線を提供することができる。例えば、放射線源275は、400nmから1050nmの範囲の波長を有する光子を提供して、被加工物および近接領域を照明することができ、検出器273は、前記波長範囲に感応するフォトダイオードアレイを有するカメラである。他の実施形態では、放射線源275は、物体271の到着に合わせて被加工物272に物理的または化学的変化を引き起こす放射線を提供することができる。例えば、放射線源275は、被加工物272と物体271との間の化学反応を促進する、被加工物272上の選択された位置を照射および加熱するレーザーであってもよい。例えば、被加工物272の領域を加熱して、物体271と被加工物272との融合を容易にすることができる。例えば、物体271の運動量が被加工物272の前記領域の原子構造を変形または修正するように、被加工物272の領域を加熱することができる。
【0077】
図1に概略的に示されるように、部分領域208は、27および28で示される被加工物セクションを通過することができ、領域内の磁性体は、被加工物27および28に対して操作を実行することができる。領域208の選択は、例示のみを目的としている。領域206、207、または208の任意の部分が被加工物の一部を通過し、被加工物に対して操作を実行することができる。
【0078】
図3から
図8において、磁気アレイ、光源、検出器、センサ、モータ、および変位手段を含むすべての機能要素は、制御手段202と通信し、制御手段202によって制御されると理解される。簡単にするために、制御202への接続は明示的に示していない。
【0079】
図3および
図4は、被加工物を機械加工するために使用される
図1の配置の概略図である。
図3は、被加工物ブロック301を切断するために使用される
図1の配置を示す。ダクト領域208内の磁性体241は、配向された工具または好ましい配向を持たない摩損材であってもよい。磁性体241は、ダクト208内で加速され、磁石251および252を操縦することによって、空隙209を通って被加工物301上の位置に向けられる。302で示されるように、被加工物ブロック301は、ダクト208に対する相対運動を生成するために並進することができる。磁石251および252を共に操縦することによって制御される磁性体の方向ベクトルと組み合わされた被加工物およびダクトの相対運動は、切削操作を実行するために磁性体271が入射する被加工物に向かう経路303および被加工物内の経路303を決定する。放射線源275はコヒーレント光277で被加工物を照らす。磁性体271の衝撃および効果は、制御202と通信する光検出器273によって観察される。光検出器273は、被加工物から反射された光を基準と比較する干渉計を含み、制御202は、検出器273からの情報を使用して、各磁性体271による切断の深さの変化を計算する。制御202は、後続の磁性体のエネルギー、運動量、方向を計算するため、ならびに、
図1に示す経路の任意の部分に沿って必要に応じて磁場を活性化することにより、必要なエネルギー、運動量、および方向を生じさせるために、被加工物301に対する各磁性体の衝撃および影響に関する情報を使用することができる。制御202は、各磁性体、使用される磁場、および被加工物への衝撃の影響に関する情報を機械可読媒体に保存することができ、そのように収集された情報は、製造プロセスを最適化するために使用することができる。いくつかの実施形態では、各磁性体は検出器273からのフィードバックによって個別に制御され、従来技術の方法よりも優れた制御および精度を与える。他の実施形態では、磁性体の集合の平均パラメータのみが制御される。この場合、本発明の方法は、摩損材の磁気浮揚が被加工物に摩損材粒子を搬送するシステムの摩耗を大幅に減少させるという利点を有するウォーター・ジェット・カッタと機能的に類似している。摩耗の減少は、摩耗した部品の交換のためのダウンタイムと費用の削減につながる。いくつかの実施形態では、切断操作に近接する領域を気体または液体の流れでフラッシュして、切断物および使用済みの磁性体を除去することができる。
【0080】
図4は、加速領域208からの摩損磁性体241の流れが、電磁石251および252によって空隙209を横切って回転プラットフォーム310上の被加工物301に向けられる別の構成を示す。被加工物上の摩損磁性体の軌道および効果は、放射線源275からのコヒーレント照明277を有する検出器273によって監視される。311に示されるように、加速領域208は被加工物301に対して並進することができるので、被加工物301の表面上の任意の位置に摩損磁性粒子を向けることができる。図示の例では、被加工物301は光学素子であり、検出器273は干渉法によって表面曲率を測定するように動作する。被加工物301に入射する各摩損粒子271の運動量および配向は、除去される材料の量に対して制御手段202によって較正され得るので、表面は、本方法によって正確に研磨され得る。放射線源275は、材料が流れ、材料が除去された後に表面を滑らかにすることを可能にする被加工物上の位置を加熱する放射線を提供することができる。
【0081】
流体の流れ261は、流体源260によって生成され、摩損磁性体が衝突する被加工物上の位置に近接する被加工物上の位置に向けられる。流体の流れは、軸263を中心に回転するチョッパ262によって定期的に中断される。センサ264は、チョッパの角変位を測定し、前記変位を制御手段202(図示せず)に伝達する。制御手段202は、チョッパ262の角速度および位相を調整することができる。制御手段202は、磁性体を流体の流れとは異なる時間に被加工物位置に到達させる信号を生成する。
【0082】
アーンショーの定理の結果として、磁性体に平衡位置を提供する磁場は存在しないことに注意されたい。しかし、固定点から離れた動きに対抗するように印加された磁場を迅速に調整することにより、小さな振幅で固定点の周りで磁性体241を振動させることが可能である。この動的釣り合いの方法は、例えば先行技術の磁気軸受で、単一の固定点の周りで力を釣り合わせるために使用される。本発明では、動的平衡化は、ユーザによって指定された任意の曲線経路に沿った点に関するものである。
【0083】
図5、
図6、
図7、および
図8は、被加工物に材料を追加するために使用される
図1の構成の概略図を示す。
図7、
図8、
図9、および
図10は、最終的な形ではない材料(原材料)を追加することを目的としている。
図7から
図10は、被加工物272への材料搬送の詳細のみが異なる。
【0084】
図5、
図6、
図7、および
図8は、200で概略的に示される
図1の磁気配置を含み、電磁石251および252を操縦することによって、磁気配置200の領域208から空隙209を横切って被加工物272に向かって方向付けられるコンポジット磁性体を有する。
図7では、
図1の磁気配置の2つの例が200Aおよび200Bで示されており、複数の磁気配置を使用して単一の被加工物に材料を追加できることを示している。各磁気配置200は、例えば、異なるタイプの材料を追加することができる。磁気装置200Aは、コンポジット磁性体471Aを領域208Aから空隙209を横切って被加工物272に向けるステアリング電磁石251Aおよび252Aを含む。磁気装置200Bは、コンポジット磁性体471Bを領域208Bから空隙209を横切って被加工物272に向けるステアリング電磁石251Bおよび252Bを含む。
図5から
図8では、被加工物272は一体型温度コントローラ402を備えたプラットフォーム401に取り付けられている。温度コントローラ402は、被加工物272の異なる位置の温度を異なる値に調整するように動作可能である。被加工物272は、403に示されるように配向された種結晶上に製造されてもよく、被加工物に近接する領域は、404に示されるように印加された外部電場を有してもよい。電場は、種結晶403が存在する場合、選択された方向または特定の結晶軸に沿った結晶化を促進するように設定することができる。
図5、
図6、および
図7において、空隙209は放射線装置275によって照射され、空隙209内のコンポジット磁性体の軌道は検出器273によって測定され、制御装置202に送信される。制御装置202は、測定された軌道と計算された軌道とを比較し、ステアリング磁石251および252への出力を調整して、後続のコンポジット磁性体の差を最小化する。
図7には、磁気装置200Aおよび200Bから投射されたコンポジット磁性体の軌跡をそれぞれ測定する2つの検出器273Aおよび273Bがある。制御装置202は、検出器273A、および273Bからの測定に応答して、各磁気配置のステアリング磁石パラメータを調整する。検出器273、273A、および273Bはまた、材料が追加されるときの被加工物272の特性の変化を測定するように動作し、制御装置202は、測定された特性を使用して、温度制御402を介して各位置で材料の追加および材料が追加される温度を調節する。
図5、
図6、および
図8は、放射線411をコンポジット磁性体に向ける放射線源410を概略的に示す。
図7では、放射線411Aおよび411Bを提供する2つの独立した放射線源410Aおよび410Bがある。放射線411、411A、および411Bは、例えば、レーザー、無線周波数源、またはエネルギーを蓄積し、コンポジット磁性体の温度を変化させるように動作可能な黒体放射器であってもよい。放射線源275は照明に使用され、放射線源410、410A、および410Bは磁性体に対する操作を実行するために使用される。
【0085】
図5では、弱磁性材料425に埋め込まれた強磁性材料424からなるコンポジット磁性体421が、領域208において電磁石242から250(
図1参照)のアレイによって加速され、偏向磁石251および252によって被加工物272上の目標位置423に向かって偏向される。405で示されるように、プラットフォーム401は、任意の角度で回転し、材料を追加するために被加工物272の任意の表面を露出させるように任意の方向に並進することができる。制御装置202と通信する検出器273は、空隙209を通って被加工物272上の目標位置423までのコンポジット磁性体421の軌跡を追跡することができ、この情報を使用して、デフレクタ磁石251および252の動作パラメータを調整し、後続のコンポジット磁性体421の配置の精度を向上させる。放射線源275は被加工物272を照射し、検出器273によって受信された反射放射に関する情報は、形状被加工物272に関する情報を提供するために処理される。制御装置202と通信する放射線源410は、放射線411を空隙領域209内のコンポジット磁性体422に向ける。放射線411は、コンポジット磁性体422を加熱、軟化、または溶融して、被加工物272との融合を容易にすることができる。コンポジット磁性体422は、空隙209内のその強磁性成分424のキュリー温度を超える温度まで加熱されてもよく、すでに確立された弾道軌道に影響を与えることはない。検出器273はまた、コンポジット磁性体422内の材料と被加工物272との融合を監視するように動作することができる。被加工物272は、経路208と被加工物272の相対位置を調整するために、405で示されるように6つの自由度を有し得る、401で概略的に示されるプラットフォーム上に取り付けられる。プラットフォーム401は、例えば、角度自由度を提供するゴニオメータと、並進自由度を提供するXYZ並進ステージとを含み得る。プラットフォーム401の並進および回転を使用して、経路領域208のステアリング磁石251および252を調整することによってアクセス可能な円錐領内の被加工物272上の一連の位置をもたらし得る。プラットフォーム401は、材料を受け取る位置423の温度を調節するように動作可能な熱制御装置402をさらに含み得る。温度は、例えば、コンポジット磁性体421によって被加工物272に加えられた材料を反応、溶融、アニール、または融合するために設定され得る。
図5の配置は、金属構造の3Dプリントに使用できる。金属構造の組成は、異なる組成を持つコンポジット磁性体を異なる場所に向けることによって、空間的に変化させることができる。追加された材料からの原子は、温度と原子の局所的な順序によって決定される動力学で被加工物のバルクに拡散する。いくつかの実施形態では、404に示されるように外部電場が被加工物に印加される。電場は、結晶成長の優先方向を提供する。この方法の利点は、ほとんどすべての固体材料を強磁性粒子と混合し、そこに含まれる強磁性粒子との外部磁場の相互作用によって影響を受ける動的特性を持つ物体に圧縮、融合、または溶融できることである。本発明の範囲には、ダイナミクスに影響を与えるためのコンポジット磁性体の概念が含まれるが、コンポジット磁性体を製造するために使用できる方法は含まれない。
【0086】
図6では、コンポジット磁性体431は、強磁性粒子441、接合要素442、およびペイロード要素443から構成される。コンポジット磁性体431は、領域208内の電磁石242から250のアレイによって加速され、偏向磁石251および252によって被加工物272上の目標位置433に向かって偏向される。406で示されるように、磁気装置は、被加工物272の任意の表面に材料を追加できるように、任意の方向に並進することができる。空隙209内の432において、強磁性粒子441およびペイロード要素443が同じ軌道上を独立して移動するように、結合要素442が放射線411によって除去される。411での432での放射はまた、ペイロード粒子446を加熱し、場合によっては融解させ、ペイロード粒子446は、447で液滴として標的位置433に進む。433の温度に応じて、液滴は急冷されてガラス状態になるか、結晶領域に追加される。接合要素442の除去に続いて、451および452で示される電磁石の第2のアレイは、強磁性粒子441をダクト453に引き寄せ、ダクト453からリサイクルして、別のコンポジット磁性体を形成することができる。ペイロード粒子446は、447で示されるように、領域208内のコンポジット磁性体431に対して設定された軌道に沿って継続する。接合要素442は、例えば、強磁性粒子441のキュリー温度よりも低い融点を有する接着剤または物質であってもよい。第2の放射線源(図示せず)は、被加工物272をドーピング原子またはイオンで照射して、追加された材料の電子特性を変化させることができる。
【0087】
図7では、コンポジット磁性体471Aは、第1のシェル材料466Aによって取り囲まれた強磁性コア467Aから構成される。同様に、コンポジット磁性体471Bは、第2のシェル材料466Bによって取り囲まれた強磁性コア467Bから構成される。コンポジット磁性体471Aは、領域208A内の電磁石のアレイによって加速され、電磁石251Aおよび252Aを操縦することによって被加工物272上の位置465Aに向けられる。407Aで示されるように、磁気装置200Aは、被加工物272の任意の表面に材料を追加できるように、任意の方向に並進することができる。コンポジット磁性体471Bは、領域208B内の電磁石のアレイによって加速され、電磁石251Bおよび252Bを操縦することによって空隙209を通って被加工物272上の位置465Bに向けられる。407Bで示されるように、磁気装置200Bは、被加工物272の任意の表面に材料を追加できるように、任意の方向に並進することができる。空隙領域209では、コンポジット磁性体は、放射線源410Aおよび410Bからそれぞれ放射線411Aおよび411Bによって照射される。コンポジット磁性体471Aに入射する放射線411Aは、第1のシェル材料466Aの粘度の低下を引き起こし、粘度の低下に続いて、電磁石451Aおよび452Aのアレイが強磁性コア462Aをダクト領域453Aに引き寄せ、そこから別のコンポジット磁性体445Aにリサイクルすることができる。強磁性粒子467Aに作用する磁気引力と組み合わされたシェル材料466Aの残留粘性により、シェル材料と強磁性コア462Aが分離し、シェル材料が463Aで示されるように引き伸ばされる。細長いシェル材料は、464Aで示されるように、被加工物272上の標的位置465Aに向かって続く。コンポジット磁性体471Bに入射する放射線411Bは、第1のシェル材料466Bの粘度の低下を引き起こし、粘度の低下に続いて、電磁石451Bおよび452Bのアレイが強磁性コア462Bをダクト領域453Bに向かって引き寄せ、そこから別のコンポジット磁性体445Bにリサイクルすることができる。強磁性粒子467Bに作用する磁気引力と組み合わされたシェル材料466Bの残留粘性により、シェル材料と強磁性コア462Bが分離し、シェル材料が463Bで示されるように引き伸ばされる。細長いシェル材料は、464Bで示されるように、被加工物272上の目標位置465Bに向かって続く。シェル材料466Aおよび466Bは、例えば、強磁性コア467Aおよび467Bのキュリー温度より低い融点を有する異なる光学ガラスであり得る。空隙209内で動作可能な電磁石アレイ451Aおよび452Aは、コンポジット磁性体471Aの方向とは反対の方向に強磁性コア467Aを引き付けるための第1の磁場を生成することが好ましい。これにより、第1のシェル材料466Aの粘性抗力と速度の低下が発生するが、方向は変わらない。空隙209内で動作可能な電磁石アレイ451Bおよび452Bは、コンポジット磁性体471Bの方向とは反対の方向に強磁性コア467Bを引き付けるための第1の磁場を生成することが好ましい。これにより、第1のシェル材料466Bの粘性抗力と速度の低下が発生するが、方向は変わらない。それぞれの強磁性コアがシェル材料から分離された後、強磁性コアは、初期経路に対して横方向の成分を有する経路をたどることができる。あるいは、制御装置202が、コンポジット磁性体の初期軌道を調整することによってコアの分離による横方向の粘性抵抗を補償する動的計算を実行するという条件で、強磁性コアはシェル材料から任意の方向に分離されてもよい。第1のシェル材料466Aは位置465Aで被加工物272に入射し、第2のシェル材料466Bは位置465Bで被加工物272に入射する。被加工物272は回転プラットフォーム401に取り付けられ、レンズなどの回転対称性を備えたアイテムの製造を容易にする。制御装置202によって制御される放射線源275は、一連の異なる波長でレンズを照明し、屈折は検出器273Aおよび273Bによって測定され、制御202によって分析される。制御装置202は、追加された材料およびレンズの光学特性に関する情報を機械可読記憶媒体に記憶する。その後、保存された情報は品質保証と製造プロセスの最適化に使用される。
【0088】
図8は、コンポジット磁性体471が、強磁性容器476によって部分的に囲まれたペイロード物体477から構成される配置を示す。強磁性容器476は、ペイロード物体が容器から出ることができる送達軸に沿って整列された送達チャネルを含む。いくつかの実施形態では、強磁性容器476は、異なる磁気モーメントを有する複数の磁区を含み、少なくとも1つの磁区は、送達チャネルを妨害し、第1の外部磁場の存在下でペイロード物体477を保持し、第2の外部磁場の存在下でペイロード物体477を妨害または保持しない。他の実施形態では、ペイロード物体477は、慣性力によって強磁性容器476内に保持される。コンポジット磁性体471は、ダクト208内で加速され、251および252で表される電磁石アレイを操縦することによって、被加工物272上の位置475に向けられる。コンポジット磁性体471が空隙209に入った後、強磁性容器472をダクト453内の位置445Cに引き付けるように作用する451および452で示される第2の電磁石アレイによって、空隙領域209に磁場が生成される。空隙領域209内の磁場は、強磁性容器472とペイロード物体473が空間的に分離されるまで強磁性容器472をコンポジット磁性体471の方向とは反対の方向に加速し、それによってペイロード物体473の運動量を変化させない。その後、ペイロード物体473は放射線411を受信し、474で表されるように物理的状態を変更することができる。放射線411は、例えば、熱エネルギーを加えることによってペイロード物体473の粘性を低下させ得る。放射線(典型的には光子)によって伝達される運動量は、ペイロード物体473の運動量と比較して無視できるほど小さいので、474のペイロード物体は、473のペイロード物体と実質的に同じ運動量および方向を有する。ペイロード物体は引き続き標的位置475に移動し、被加工物272に追加される。408で示されるように、被加工物472は、6自由度でプラットフォーム401に取り付けられ得る。
【0089】
図5から
図8の構成を使用して、異なる電子および正孔濃度を有する材料を被加工物272に追加することによって、三次元電子装置を製造することができる。あるいは、追加された材料が被加工物の既存の材料に拡散し、それによって電子と正孔濃度が変化してもよい。電子装置は、例えば、従来のリソグラフィ法では実現が困難な接続の配置を有するトランジスタまたはトランジスタのアレイであってもよい。
【0090】
図5から
図8の構成は、ミラー、プリズム、レンズ、および格子などの従来の光学系、ならびに新規特性を有する光学装置を製造するために使用することができる。例えば、フォトニック結晶は、屈折率の異なる材料を規則的なパターンで追加することによって製造することができる。例えば、屈折率が複数の方向に非線形に変化する屈折率分布光学系を製造することができる。例えば、三次元光学計算装置を製造することができる。例えば、本発明者らによって2018年11月29日に公開されたPCT公開WO2018/213923に記載されている光変調器を製造することができる。例えば、表面の特徴を加工してスペクトル信号を強化することができる。
【0091】
図5から
図8の構成は、LEDやフォトダイオードなどの光電気装置を製造するためのリソグラフィの代替として使用することができる。
【0092】
特に有用な構成では、単結晶は、配向された単結晶シード403に一連のコンポジット磁性体を介して材料を追加することにより、
図3に示す配置によって成長させることができ、単結晶種は結晶融点よりわずかに低い温度に維持され、材料は結晶融点よりわずかに高い温度で添加され、種結晶の存在下でゆっくりと冷却される。この方法は、結晶状態と液体状態の間の界面層が露出しており、フィードバックを提供するために検出器273によって直接監視できるという点で、よく知られているブリッジマン法とは異なる。すなわち、放射線源275は、コリメートされた中性子または被加工物に入射するX線を提供して、回折パターンを生成することができる。新しい層の回折パターンは、検出器273によって監視され、冷却中に制御202によって分析され得る。回折パターンが種結晶の回折パターンと一致する場合は、より多くの材料が追加され、一致しない場合は、表面層が再加熱される。さらに、結晶成長中の結晶面は、単一のコンポジット磁性体からの材料によって覆われる領域よりもはるかに大きな空間的範囲を有することがある。この場合、材料は、他の領域がアニールされている間、新しい材料の結晶化が完了した場所に選択的に追加できる。
【国際調査報告】