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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ワイヤレスマイクロフォンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20230418BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230418BHJP
   G10L 19/018 20130101ALN20230418BHJP
【FI】
H04R29/00 320
H04R3/00 320
G10L19/018
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554172
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 NO2021050065
(87)【国際公開番号】W WO2021182974
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】2003606.7
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520443686
【氏名又は名称】ノモノ エーエス
【氏名又は名称原語表記】NOMONO AS
【住所又は居所原語表記】Strandveien 43 7067 Trondheim Norway
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ソルヴァン, オードゥン
(72)【発明者】
【氏名】ライダル, ヴィクトル
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220BA01
5D220BA11
5D220DD03
(57)【要約】
ワイヤレスマイクロフォンシステムであって、第1のオーディオ信号を生成するように構成された第1のマイクロフォン要素を有する第1のワイヤレスマイクロフォンであって、第1のマイクロフォンは、第1のオーディオ信号と、第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第1の出力信号を生成するように構成されている、第1のワイヤレスマイクロフォンと、第2のオーディオ信号を生成するように構成された第2のマイクロフォン要素を有する第2のワイヤレスマイクロフォンであって、第2のマイクロフォンは、第2のオーディオ信号と、第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第2の出力信号を生成するように構成されている、第2のワイヤレスマイクロフォンと、ディスプレイを有する監視装置であって、第1及び第2の出力信号を受信し、ディスプレイを使用して、第1及び第2のオーディオ信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化を生成し、各視覚化を、対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報の表現と関連付けるように構成されている、監視装置とを備える、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスマイクロフォンシステムであって、
第1のオーディオ信号を生成するように構成された第1のマイクロフォン要素を有する第1のワイヤレスマイクロフォンであって、前記第1のマイクロフォンは、前記第1のオーディオ信号と、前記第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第1の出力信号を生成するように構成されている、第1のワイヤレスマイクロフォンと、
第2のオーディオ信号を生成するように構成された第2のマイクロフォン要素を有する第2のワイヤレスマイクロフォンであって、前記第2のマイクロフォンは、前記第2のオーディオ信号と、前記第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第2の出力信号を生成するように構成されている、第2のワイヤレスマイクロフォンと、
ディスプレイを有する監視装置であって、前記第1及び第2の出力信号を受信し、前記ディスプレイを使用して、前記第1及び第2のオーディオ信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化を生成し、各視覚化を、前記対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報の表現と関連付けるように構成されている、監視装置とを備える、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項2】
前記第1のワイヤレスマイクロフォンは、前記第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報を表す第1の視覚的又は聴覚的特徴を備え、前記第2のワイヤレスマイクロフォンは、前記第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報を表す第2の視覚的又は聴覚的特徴を備える、請求項1に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項3】
前記第1の視覚的又は聴覚的特徴及び前記第2の視覚的又は聴覚的特徴は、第1及び第2の色、第1及び第2の記号、第1及び第2の英数字文字列、並びに第1及び第2の再生可能な音声ファイルからなる群から選択される、請求項2に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項4】
前記第1及び第2の視覚的又は聴覚的特徴は、異なる色の光を発するように制御することができるLED、1つ又は複数の異なる記号又は英数字を表示するようにプログラムすることができるディスプレイ、1つ又は複数の選択可能な又は交換可能な音声ファイルを記憶することができるメモリからなる群から選択されるプログラム可能な特徴である、請求項3に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2の出力信号の少なくとも1つのアスペクトの前記視覚化は、前記第1及び第2のオーディオ信号を含む合成信号の視覚化であり、前記システムは、前記第1及び第2のオーディオ信号のうちの1つが前記合成信号への主要寄与因子であると判定するようにさらに構成され、前記対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報の前記表現は、前記合成信号への現在の前記主要寄与因子であると判定された前記オーディオ信号の源である前記ワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報の表現である、請求項1から4のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアスペクトは、前記対応するマイクロフォンの信号レベル、波形、スペクトル、及び位置からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項7】
前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号、又は前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号から導出された信号を受信して記憶するように構成された記憶装置をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項8】
前記第1及び第2の出力信号の少なくとも1つのアスペクトの前記視覚化は、前記記憶装置に記憶された前記信号によってカバーされる期間の前記第1及び第2のオーディオ信号を含む合成信号の視覚化であり、
前記システムは、前記第1及び第2のオーディオ信号のうちの1つを前記合成信号への主要寄与因子であると判定し、前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号、又は前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号から導出された信号と共に、前記主要寄与因子であると判定された前記オーディオ信号を識別する情報を記憶するようにさらに構成され、
前記対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報の前記表現は、それぞれの期間に前記合成信号への前記主要寄与因子であると判定された前記オーディオ信号の源である前記ワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報の表現である、請求項7に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項9】
空間的に符号化された音場信号を生成することができる複数のローカルオーディオ信号を生成するように構成されたマイクロフォンアレイを有する基地局をさらに備え、前記第1及び第2のオーディオ信号を前記マイクロフォンアレイからの前記出力と比較することによって、前記基地局に対する前記第1及び前記第2のワイヤレスマイクロフォンの前記位置を判定するようにさらに構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号、又は前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号から導出された信号と共に、前記第1及び前記第2のワイヤレスマイクロフォンの前記判定された位置に関する情報を記憶するようにさらに構成される、請求項9に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項11】
前記第1のオーディオ信号、前記第2のオーディオ信号、及び前記複数のローカルオーディオ信号、又はそれらから導出される信号の後処理又は編集中に、前記第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンの前記記憶された識別及び前記記憶された位置を利用するように構成された編集装置をさらに備える、請求項9又は10に記載のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【請求項12】
ワイヤレスマイクロフォンシステムにおける方法であって、
第1のワイヤレスマイクロフォンを使用して第1のオーディオ信号を取り込み、前記第1のオーディオ信号と前記第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第1の出力信号を生成すること、
第1のワイヤレスマイクロフォンを使用して第2のオーディオ信号を取り込み、前記第1のオーディオ信号及び前記第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報を含む第1の出力信号を生成すること、
監視装置において前記第1及び第2の出力信号を受信し、前記第1及び第2のオーディオ信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化を生成して表示すること、及び
各視覚化を、前記対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報の表現と関連付けることを含む、方法。
【請求項13】
前記第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報を表す視覚的又は聴覚的特徴を前記第1のワイヤレスマイクロフォンに提供し、前記第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報を表す視覚的又は聴覚的特徴を前記第2のワイヤレスマイクロフォンに提供することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の視覚的又は聴覚的特徴及び前記第2の視覚的又は聴覚的特徴は、第1及び第2の色、第1及び第2の記号、第1及び第2の英数字文字列、並びに第1及び第2の再生可能な音声ファイルからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び前記第2のオーディオ信号から合成信号を生成すること、
前記第1及び前記第2のオーディオ信号のうちの一方を前記合成信号への主要寄与因子であると判定することをさらに含み、
前記第1及び第2のオーディオ信号の少なくとも1つのアスペクトの前記視覚化が、前記合成信号の視覚化であり、
前記合成信号の前記視覚化は、前記合成信号への現在の前記主要寄与因子であると判定された前記オーディオ信号の源である前記ワイヤレスマイクロフォンを識別する前記情報の表現に関連付けられている、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号、又は前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号から導出された信号を記憶装置に記憶することをさらに含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
マイクロフォンアレイを使用して複数のオーディオ信号を取り込むこと、
前記第1のオーディオ信号、前記第2のオーディオ信号、及び前記複数のオーディオ信号を使用して、前記マイクロフォンアレイの前記位置に対する前記第1及び前記第2のワイヤレスマイクロフォンの前記位置を判定すること、及び
前記第1の出力信号、前記第2の出力信号、前記複数のオーディオ信号、及び前記判定された位置を記憶装置に記憶すること、をさらに含む、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ワイヤレスマイクロフォンを識別する情報、識別されたワイヤレスマイクロフォンの判定された位置、及び合成信号に対する判定された主要寄与因子のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のオーディオ信号、前記第2のオーディオ信号、前記複数のローカルオーディオ信号、及びそれらから導出される信号のうちの少なくとも1つを編集すること、をさらに含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
クラウドベースのサービスであって、
第1のオーディオ信号及び第1のマイクロフォンを識別する情報を含む第1の入力信号と、第2のオーディオ信号及び第2のマイクロフォンを識別する情報を含む第2の入力信号とを受信するように構成された第1の通信インターフェースと、
前記第1の通信インターフェースから前記第1及び第2の出力信号を受信し、前記第1及び第2のオーディオ信号のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのアスペクトの視覚化を生成するように構成された監視モジュールであって、前記視覚化は、前記対応する第1又は第2のマイクロフォンを識別する前記情報の表現を含む、監視モジュールと、
前記生成された視覚化を遠隔装置に表示することができるフォーマットで送信するように構成された第2の通信インターフェースとを含む、クラウドベースのサービス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスマイクロフォンシステム及びそのようなシステムで使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、音源からオーディオを取り込むには、ワイヤレスマイクロフォンを使用すると便利である。例えば、音響シーンがいくつかの音源を含むシナリオでは、各々の音源からオーディオを分離すること、及びオーディオの質を改善するために、1つのマイクロフォンを各々の音源に関連付けることは、有用であり得る。そのようなシナリオでワイヤレスマイクロフォンを使用すると、複雑で扱いにくい設定を有線のマイクロフォンに関連付けること(例えば、中央ユニットへの有線接続を必要とする)を、避けることができる。ワイヤレスマイクロフォンはまた、ケーブルが絡み合うこと、又は接続ワイヤの長さを超えることを恐れることなく、マイクロフォンが音源と共に(例えば、音源に取り付けられることによって)移動することができるので、1つ又は複数の移動する音源からの音声を捉えるのに有用であり得る。ビデオキャプチャを含む制作では、ケーブルが有線のマイクロフォンから見苦しく延びるのを避けることがまた望ましい場合がある。
【0003】
ワイヤレスマイクロフォンを使用すると、音量の調整、周波数スペクトルの変更(イコライゼーション)、及び残響、エコーなどの効果の適用を含む、それぞれのマイクロフォンから受信したオーディオ信号の個々の編集又は修正を可能にすることによって、音響シーンの完成した録音の後処理又は編集中より柔軟性が増すことがまた可能になる。音響シーンが空間的に符号化された音の生成を可能にする方法で取り込まれる場合、音響シーン内の個々の音源の空間的外観を変更することにより、個々の音源をはるかに多く操作することができる。
【0004】
いくつかの音源からオーディオを取り込む場合、オーディオ信号を、そのオーディオ信号を司る音源、すなわちオーディオ信号の源と迅速かつ容易に関連付けることができることが有用である。例えば、オーディオ技術者は、特定のオーディオ信号の振幅が低すぎることに気付き(例えば、ミキシングデスクなどの監視ステーションにおいてオーディオ信号を聴取することによって、又はオーディオ信号の視覚的表現を見ることによって)、その信号を生成しているマイクロフォンの位置及び/又は向きを調整することを望む(例えば、それを音源に近づけるために)。しかしながら、そうするためには、技術者は、どのマイクロフォンが問題のあるオーディオ信号を生成しているかを認識する必要がある。有線のマイクロフォンでは、技術者は単にワイヤをマイクロフォンまで辿ってそれを識別することができるが、ワイヤレスマイクロフォンが使用される場合、辿るべきそのような物理的な有線接続は存在し得ない。いくつかの無線のシステムは、技術者が手動で送信機、受信機、及びレコーダ入力に名前を付けることを可能にするが、これは時間がかかり、記録するプロセスを複雑にする。
【0005】
さらに、本出願人は、後処理中に(例えば、記録セッションの後に)、使用者がどの音源オーディオ信号が由来するかを知らない可能性があり、したがって、オーディオを取り込んでいるそれ自体の間に、オーディオ技術者が努力して手書きのメモを作成するのに頼らなければならないことを認識している。空間的に符号化された音に関して、オーディオ技術者は、取り込まれた音響シーンの聴取に基づく位置の推定と組み合わせて、そのような手書きのメモを組み合わせるのに依拠しなければならない場合がある。出願人は、改善されたアプローチが望ましいことを認識している。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様から見ると、本発明は、ワイヤレスマイクロフォンシステムであって、
第1のオーディオ信号を生成するように構成された第1のマイクロフォン要素を含む第1のワイヤレスマイクロフォンであって、第1のマイクロフォンは、第1のオーディオ信号と、第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第1の出力信号を生成するように構成されている、第1のワイヤレスマイクロフォンと、
第2のオーディオ信号を生成するように構成された第2のマイクロフォン要素を含む第2のワイヤレスマイクロフォンであって、第2のマイクロフォンは、第2のオーディオ信号と、第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第2の出力信号を生成するように構成されている、第2のワイヤレスマイクロフォンと、
ディスプレイを有する監視装置であって、第1及び第2の出力信号を受信し、ディスプレイを使用して、第1及び第2のオーディオ信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化を生成し、各視覚化を、対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報の表現と関連付けるように構成されている、監視装置とを備える、ワイヤレスマイクロフォンシステムを提供する。
【0007】
したがって、有利にも、本発明は、第1及び第2のオーディオ信号と、対応する第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンとの関連付けを容易にすることが当業者には理解されよう。これは、オーディオ取り込み中(例えば、ライブでの監視及び/又はトラブルシューティングのために)及びオーディオ取り込み後(例えば、編集又は後処理のために)の両方に有用であり得、使用者に依存して判定するのではなく、技術レベルで関連付けを固定することによって、上記の欠点の少なくとも一部を軽減することができる。
【0008】
第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンを有するシステムは、任意の複数のマイクロフォンを有する任意のシステムが2つのマイクロフォンを有するシステムの実施形態であるように、3つ以上のマイクロフォンを有するシステムに一般化することができることが当業者には理解されよう(すなわち、2つのマイクロフォン及び追加のマイクロフォン)。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のワイヤレスマイクロフォンは、第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報を表す第1の視覚的又は聴覚的特徴を備え、第2のワイヤレスマイクロフォンは、第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報を表す第2の視覚的又は聴覚的特徴を有する。したがって、セットアップ中及びオーディオ取り込み中に、個々のマイクロフォンを識別し、それらを信号、発音制御、及びオーディオ信号の視覚的表現に関連付けることが容易になる。第1の視覚的又は聴覚的特徴及び第2の視覚的又は聴覚的特徴は、例えば、第1及び第2の色、第1及び第2の記号、第1及び第2の英数字文字列、並びに第1及び第2の再生可能な音声ファイルからなる群から選択され得る。
【0010】
したがって、第1及び第2の視覚的又は聴覚的特徴は、ワイヤレスマイクロフォンが、それが生成するオーディオ信号に技術レベルで本質的にリンクされ得る単純な機構を設ける。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の視覚的特徴は、恒久的な視覚的特徴(すなわち、変更できないもの)を含む。例えば、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンは、マイクロフォンハウジングを備えてもよく、第1及び/又は第2の視覚的特徴は、マイクロフォンハウジングの恒久的に着色される部分を備え得る。そのような実施形態では、第1及び/又は第2の色を識別する情報は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンに(例えば、製造中に)ハードコードされ得る。
【0011】
ワイヤレスマイクロフォンシステムの他の実施形態では、第1及び第2の視覚的又は聴覚的特徴は、異なる色の光を発するように制御することができるLED、1つ又は複数の異なる記号又は英数字を表示するようにプログラムすることができるディスプレイ、1つ又は複数の選択可能な又は交換可能な音声ファイルを記憶することができるメモリからなる群から選択されるプログラム可能な特徴である。これにより、システムは、識別特徴を動的に割り当てることによってそれ自体を構成することができる、又は使用者は、必要性又は好みに応じて、システムを選択及びプログラムすることができる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、監視装置で生成されて表示される第1及び第2の出力信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化は、第1及び第2のオーディオ信号を含む合成信号の視覚化であり、システムは、第1及び第2のオーディオ信号のうちの1つが合成信号への主要寄与因子であると判定するようにさらに構成される。次いで、対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報の表現は、合成信号に対する現在の主要寄与因子であると判定されたオーディオ信号の源であるワイヤレスマイクロフォン(例えば、記号、色、又は名前による)を識別する情報の表現であり得る。信号が主要寄与因子であることを意味する定義については、以下でさらに詳細に説明する。合成信号は、2つの信号の加算又は重畳であり得るが、2つの信号の間で前後に切り替わる信号、すなわち、時間内の任意の時点で第1のオーディオ信号又は第2のオーディオ信号のいずれかからなる信号であり得る。合成信号はまた、2つの信号、及び場合によっては追加の信号、例えば空間的に符号化された音場信号から導出された信号であり得る。
【0013】
第1及び第2のオーディオ信号のうちの1つ又は複数の視覚的表現であるか合成信号の視覚的表現であるかどうかにかかわらず、少なくとも1つのアスペクトは、信号のレベル、波形、スペクトル、及び対応するマイクロフォンの位置からなる群から選択され得る。
【0014】
追加的又は代替的に、ワイヤレスマイクロフォンシステムは、第1及び第2の出力信号を受信及び記憶するように構成された記憶装置(すなわち、記録装置)を備え得る。したがって、第1及び第2のオーディオ信号並びに対応するワイヤレスマイクロフォンを識別する情報、例えば色の情報は、後で(例えば、記録が終了してからかなり時間が経過した後の後処理のための編集装置によって)取得され使用され得る。いくつかの実施形態では、記憶装置は、第1の出力信号及び第2の出力信号から導出された信号、例えば、第1及び第2のオーディオ信号が成分である空間的に符号化された信号を記憶するように構成され得る。記憶装置は、様々な実施形態において、基地局、監視装置、編集装置、又はリモートコンピュータに配置され得る。
【0015】
本発明によるマイクロフォンシステムが製造中に(すなわち、オーディオの取り込み中に)監視するように構成される場合、オーディオ信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化は、そのアスペクトの1つ又は複数の現在の値である可能性が最も高いことが理解されよう。例は、音量、パワー、周波数スペクトル、又はマイクロフォンの現在位置の表現を含むことができる。システムが、記憶装置に記憶された取り込まれたオーディオ信号の後処理又は編集のために配置又は適合される実施形態では、第1及び第2の出力信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化は、記憶装置に記憶された信号によってカバーされる期間中の第1及び第2のオーディオ信号を含む合成信号の視覚化である。そのとき、システムは、第1の出力信号及び第2の出力信号、又は第1の出力信号及び第2の出力信号から導出された信号と共に、第1のオーディオ信号及び第2のオーディオ信号のうちの1つが合成信号に対する主要寄与因子と判定されたオーディオ信号を識別する情報を記憶するように、さらに構成され得る。対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報の表現は、それぞれの期間の合成信号に対する現在の主要寄与因子であると判定されたオーディオ信号の源であるワイヤレスマイクロフォンを識別する情報の表現であり得る。
【0016】
実施形態のセットで、ワイヤレスマイクロフォンシステムは、音声の取り込み中に第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの位置を判定するように構成される。位置は、音声分析技術を使用して判定することができる。例えば、ワイヤレスマイクロフォンシステムは、マイクロフォンアレイを備える基地局を備えてもよく、第1及び第2のマイクロフォンの(基地局に対する)それぞれの第1及び第2の位置は、第1及び第2のオーディオ信号をマイクロフォンアレイからの出力と比較することによって(例えば、第1及び第2のマイクロフォンによって取り込まれた音と基地局のマイクロフォンアレイとの間の時間の遅れを識別し、これらの遅れを使用して基地局と第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンとの間の距離を計算するために)判定されてもよい。追加的又は代替的に、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの第1及び/又は第2の位置は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの間で送られる無線信号を分析することによって判定され得る(例えば、ワイヤレスマイクロフォンと基地局との間で送信される無線通信信号)。
【0017】
したがって、ワイヤレスマイクロフォンシステムの実施形態は、空間的に符号化された音場信号を生成することができる複数のローカルオーディオ信号を生成するように構成されたマイクロフォンアレイを有する基地局をさらに備えることができ、第1及び第2のオーディオ信号をマイクロフォンアレイからの出力と比較することによって、基地局に対する第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンの位置を判定するようにさらに構成されている。第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンの判定された位置は、第1の出力信号及び第2の出力信号と共に(すなわち、識別情報と共に、第1のオーディオ信号及び第2のオーディオ信号と共に)、又は第1の出力信号及び第2の出力信号から導出された信号と共に、記憶され得る。導出された信号は、例えば、第1及び第2のオーディオ信号から少なくとも部分的に生成された空間的に符号化された音場信号であり得る。
【0018】
ワイヤレスマイクロフォンシステムは、第1及び/又は第2の出力信号(例えば、オーディオの取り込みが完了した後に)を受信するように構成され、第1及び/又は第2のオーディオ信号に対して1つ又は複数のオーディオ処理技術を実行するように適合された編集装置を備えることができる。例えば、編集装置は、使用者の入力に基づいて第1及び第2のオーディオ信号から没入型(すなわち、空間的に符号化される)サウンドトラックを生成するように構成することができる。
【0019】
したがって、編集装置は、マイクロフォンアレイからの第1のオーディオ信号、第2のオーディオ信号及び複数のローカルオーディオ信号、又は、例えば空間的に符号化された音場信号を生成又は編集することによって、それらから導出される信号の後処理又は編集中に、第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンの記憶された識別及び記憶された位置を利用するように、構成され得る。
【0020】
本発明の別の態様では、ワイヤレスマイクロフォンシステムにおいて以下のステップを実行するための方法が提供される。
【0021】
第1のワイヤレスマイクロフォンを使用して第1のオーディオ信号を取り込み、第1のオーディオ信号と第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第1の出力信号を生成するステップ、
【0022】
第2のワイヤレスマイクロフォンを使用して第1のオーディオ信号を取り込み、第1のオーディオ信号と第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報とを含む第1の出力信号を生成するステップ、
【0023】
監視装置において第1の出力信号及び第2の出力信号を受信し、第1のオーディオ信号及び第2のオーディオ信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化を生成して表示するステップ、及び
【0024】
各視覚化を、対応する第1又は第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報の表現と関連付けるステップ。
【0025】
方法は、第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報を表す視覚的又は聴覚的特徴を第1のワイヤレスマイクロフォンに提供し、第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報を表す視覚的又は聴覚的特徴を第2のワイヤレスマイクロフォンに提供することをさらに含み得る。
【0026】
本方法のいくつかの実施形態では、第1の視覚的又は聴覚的特徴及び第2の視覚的又は聴覚的特徴は、第1及び第2の色、第1及び第2の記号、第1及び第2の英数字文字列、並びに第1及び第2の再生可能な音声ファイルからなる群から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、第1及び第2のオーディオ信号から合成信号を生成すること、第1及び第2のオーディオ信号のうちの一方を合成信号への主要寄与因子であると判定することをさらに含み、第1及び第2のオーディオ信号の少なくとも1つのアスペクトの視覚化が、合成信号の視覚化であり、合成信号の視覚化は、合成信号への現在の主要寄与因子であると判定されたオーディオ信号の源であるワイヤレスマイクロフォンを識別する情報の表現に関連付けられている。
【0028】
第1の出力信号及び第2の出力信号、又は第1の出力信号及び第2の出力信号から導出された信号を記憶装置に記憶することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、マイクロフォンアレイを使用して複数のオーディオ信号を取り込むこと、第1のオーディオ信号、第2のオーディオ信号、及び複数のオーディオ信号を使用して、マイクロフォンアレイの位置に対する第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンの位置を判定すること、及び第1の出力信号、第2の出力信号、複数のオーディオ信号、及び判定された位置を記憶装置に記憶することをさらに含む。
【0030】
第1のオーディオ信号、第2のオーディオ信号、複数のローカルオーディオ信号、及びそれらから導出される信号のうちの少なくとも1つは、いくつかの実施形態では、ワイヤレスマイクロフォンを識別する情報、識別されたワイヤレスマイクロフォンの判定された位置、及び合成信号に対する判定された主要寄与因子のうちの少なくとも1つに基づいて編集され得る。
【0031】
本発明のさらに別の態様によれば、クラウドベースのサービスであって、第1のオーディオ信号及び第1のマイクロフォンを識別する情報を含む第1の入力信号と、第2のオーディオ信号及び第2のマイクロフォンを識別する情報を含む第2の入力信号とを受信するように構成された第1の通信インターフェースと、記第1の通信インターフェースから第1及び第2の出力信号を受信し、第1及び第2のオーディオ信号のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのアスペクトの視覚化を生成するように構成された監視モジュールであって、視覚化は、対応する第1又は第2のマイクロフォンを識別する情報の表現を含む、監視モジュールと、生成された視覚化を遠隔装置に表示することができるフォーマットで送信するように構成された第2の通信インターフェースとを含む、クラウドベースのサービスが提供される。したがって、クラウドベースのサービスは、監視装置の実装形態を表し、出力信号を入力信号として受信し、コンピュータ、タブレット、又は携帯電話に表示することができるグラフィック情報として視覚化を送信するように構成される。監視、編集、及び記憶装置の追加の機能は、当然、クラウドベースのサービスに実装することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、添付の図面を参照して、単なる例として、1つ又は複数の非限定的な実施形態を説明する。
【0033】
図1】本発明の例によるワイヤレスマイクロフォンシステムの概略図である。
【0034】
図2図1のシステムのワイヤレスマイクロフォンをより詳細に示す。
【0035】
図3】別のワイヤレスマイクロフォンの概略図である。
【0036】
図4図1に示すシステムの監視装置をより詳細に示す。
【0037】
図5】第1及び第2のオーディオ信号の代替的な視覚化を示す。
【0038】
図6】ワイヤレスマイクロフォンシステムで使用するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
様々な実施形態の以下の説明では、図面を参照し、同様の参照符号は同じ又は対応する要素を示す。図面は必ずしも拡大縮小させたものではない。むしろ、特定の特徴が、拡大縮小されて、又は幾分単純化され、若しくは概略的な方式で、誇張されて示されている場合がある。特定の従来の要素は、本発明の原理の理解に寄与することのない詳細によって図面を雑然とさせるよりむしろ、本発明の原理を例示する目的で、除外されている場合がある。
【0040】
特に明記しない限り、異なる特徴又は要素は、それらが以下の同じ実施形態の一部として一緒に記載されているか否かにかかわらず、互いに組み合わせることができることに留意されたい。例示的な実施形態において特徴又は要素を組み合わせることは、本発明の範囲を限定された実施形態のセットに限定するよりむしろ本発明の理解を促進するために行われ、実質的に同じ機能を有する代替的な要素がそれぞれの実施形態に示される限り、それらは交換可能であることが意図されている、ただし、簡潔にするために、特徴のすべての可能な置換えを完全に説明するよう開示する試みはなされていない。同様に、特定の特徴又は構成要素は、システム内の特定の装置の一部として説明することができるが、他の実施形態では異なる装置の一部とすることができる。適切な場合には、そのような代替的な構成に言及することを試みるが、これは網羅的ではない。
【0041】
さらに、当業者は、本発明が、この詳細な説明に含まれる多くの詳細なしに実施され得ることを理解するであろう。逆に、いくつかの周知の構造又は機能は、様々な実施態様の関連する説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細に図示又は説明されない場合がある。以下に提示される説明で使用される用語は、本発明の特定の特殊な実施態様の詳細な説明と併せて使用されているとしても、その最も広い合理的な方式で解釈されることを意図している。
【0042】
本明細書で使用される場合、「識別する情報」という句は、それが指し示している装置に固有の情報を意味しており、例えば視覚的特徴、数字、又は名前がその視覚的特徴、数字、又は名前に関連付けられたワイヤレスマイクロフォンを識別するようにしていることに留意されたい。それは、正体を判定するために行為を実行することを意味しない。「識別する」という語は、装置又は信号の正体を判定する行為を指すために使用されることがあるが、特許請求の範囲における本発明の正式な定義では、任意のそのような行為を「判定する」という語を使用する。同様に、ある信号が別の信号から「導出される」場合、これは、別の信号から抽出された情報に基づく情報を搬送する任意の信号を網羅することを意図している。これには、他の信号のフィルタリングされたバージョン、音響効果を受けたバージョン、他の信号と組み合わされ、空間的に符号化された音場信号の生成に使用されるバージョンなどの暗号化、復号、圧縮、解凍(可逆又は非可逆)、及び生成が含まれる。本開示の目的のために、信号は、歪み、ノイズ、非可逆圧縮を受けているか、又は意図的でも実質的でもない方法で変更されている場合でも、同じ信号であると見なされる。例えば、マイクロフォン要素によって生成されるオーディオ信号は、送信、受信、及び場合によっては復号された出力信号から抽出されたオーディオ信号と同じオーディオ信号であると考えられる。
【0043】
本発明の実施形態によるワイヤレスマイクロフォンシステム2が、図1に概略的に示されている。ワイヤレスマイクロフォンシステム2は、第1のワイヤレスマイクロフォン4と、第2のワイヤレスマイクロフォン6と、基地局8と、ポータブル監視及び編集装置10とを備える。本発明のすべての実施形態がこれらのすべての装置を含むわけではなく、いくつかの実施形態では、以下に説明する機能は、装置間で異なって分散されてもよい。
【0044】
ワイヤレスマイクロフォンは、有線の電気接続を必要とせずに、ワイヤレスマイクロフォンが捉えるオーディオ信号(又は、圧縮されたバージョンなどのオーディオ信号のバージョン)を、別の装置に送信することができる。これは、無線周波数(RF)リンク(例えば、Bluetooth(商標)又はWi-Fi(商標)通信規格に従って)を使用して行われ得る。第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンは、電池式の電力供給にしてもよい。
【0045】
マイクロフォンとシステムの他の構成要素との間の通信を確立するために、WiMAXなどの長距離無線、又はLTE、4G、及び5Gなどのモバイル又はセルラー通信規格を使用することも、本発明の原理と一致する。これにより、異なる場所で生成された音声の取り込みを可能にすることができ、監視装置、記憶装置、及び編集装置などのシステムの構成要素の多くを、クラウドサービスとして実装することができる。同様の通信能力は、例えば、基地局がクラウドベースの監視及び編集装置と通信するローカル装置であるように、システムの他の構成要素間の通信において、利用され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のワイヤレスマイクロフォンは、無線周波数ワイヤレス伝送モジュールを備える。無線送信モジュールは、第1の出力信号を(例えば監視装置に)送信するように構成され得る。同様に、第2のワイヤレスマイクロフォンは、第2の出力信号を送信するように構成され得る無線周波数ワイヤレス送信モジュールを備えてもよい。第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンはまた、ワイヤレス信号を受信するように配置されてもよい(すなわち、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンは、無線トランシーバを備えてもよい)。例えば、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンは、マイクロフォンの1つ又は複数のパラメータ(例えば、ゲイン、視覚的又は聴覚的識別の構成など)を制御するためのワイヤレス制御信号を受信するように構成されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1のワイヤレスマイクロフォンは、第1の出力信号を記憶するように第1のワイヤレスマイクロフォンが配置されるローカル記憶モジュールを備え(すなわち、第1のワイヤレスマイクロフォンに搭載されて設けられ)てもよい。同様に、第2のワイヤレスマイクロフォンは、第2の出力信号をローカル記憶モジュールに記憶するように構成されてもよい。第1及び/又は第2の出力信号をローカルに記憶することにより、第1及び/又は第2のオーディオ信号を、オーディオ信号を無線で送信することが実際的又は可能であるよりも高い質で記憶することが可能になり得る。これは、信号がローカルに格納され得る質が、典型的には、無線での送信に影響を及ぼし得る要因(帯域幅、送信電力、又は無線干渉の存在の制限など)によって影響されないためである。
【0048】
例示的な実施形態の第1のワイヤレスマイクロフォン4は、図2により詳細に示されており、第1のマイクロフォン要素11と、第1の視覚的特徴12と、第1の電気コネクタ14とを、ローカル記憶モジュール16と、無線トランシーバ18と、バッテリ20と共に、備える。第1の視覚的特徴12は、第1のワイヤレスマイクロフォン4のハウジングの一部分を備え、第1の色(例えば、赤色)を有する。同様に、第2のワイヤレスマイクロフォン6は、第2のマイクロフォン要素22、第2の視覚的特徴24、及び第2の電気コネクタ26を、ローカル記憶モジュール、無線トランシーバ、及びバッテリと共に備える。第2の視覚的特徴24は、第2のワイヤレスマイクロフォン6のハウジングのセクションを備え、第2の色(例えば、青色)を有する。
【0049】
他の実施形態では、視覚的特徴は、色以外のもの、例えば記号、英数字文字又は文字列、着色された光又は光のパターン、又は同様のものであってもよい。視覚的特徴の代わりに、いくつかの実施形態は、例えばローカル記憶モジュール16に記憶された音声ファイルなどの聴覚的な特徴を有してもよい。そのような音声ファイルは、使用者がボタンを押す、マイクロフォンを振る、マイクロフォンに制御信号を送信するなどの何らかの所定の動作を行う場合に再生することができる。
【0050】
実施形態のいくつかのセットでは、第1及び/又は第2の視覚的又は聴覚的な特徴は、単一のワイヤレスマイクロフォンが使用者の選択に応じて異なる識別特徴(例えば色)に関連付けられることを可能にするように、(例えば、音声取り込み同士の間)変更可能であってもよい。例えば、第1及び/又は第2の視覚的特徴は、マイクロフォンハウジングの取り外し可能な(すなわち、交換可能である)着色部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の視覚的特徴は、その構成(例えば、使用者の入力及び/又はソフトウェアを介して構成可能な有色LED)に応じて、異なる色の光を放射するように動作可能な光源などの少なくとも1つの構成可能なインジケータを含むことができる。構成可能なインジケータの色は、有線接続(例えば、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンが基地局に接続されている場合)又は無線接続を介して(例えば、無線制御信号を使用して)記録が開始される前に割り当てられてもよい。
【0051】
そのような実施形態では、第1及び/又は第2のマイクロフォンを識別する情報は、現在使用されている視覚的特徴と一致することを保証するように更新可能である。第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンは、関連する視覚的特徴が(例えば、光源の構成の一部として、又は使用中の視覚的特徴の自動検出によって)変更されたときに、第1及び/又は第2の視覚的又は聴覚的特徴を識別する情報を自動的に更新するように構成されてもよい。あるいは、第1及び/又は第2の色を識別する情報は、使用者によって手動で更新されてもよい。
【0052】
出力信号がローカル記憶モジュールに記憶される上記の実施形態では、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンは、音声の取り込みが終了した後に、記憶された出力信号を無線接続を介してその後送信するように構成されてもよい。例えば、第1のオーディオ信号又は第1の出力信号の質が劣るバージョンは、リアルタイムで無線で送信されてもよく(又はほぼリアルタイムで、固有のシステムの待ち時間を考慮して)、質の高いバージョンは、ローカルストレージに格納され、その後に送信される。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1のワイヤレスマイクロフォンは、記憶された第1の出力信号を送信するための有線電気コネクタを備える(例えば、1つ以上の電気接点を備える)。同様に、第2のワイヤレスマイクロフォンは、第2の出力信号を送信するための有線電気コネクタを備えてもよい。例えば、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの有線電気コネクタは、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンを、出力信号をローカルストレージ(例えば、音声の取り込みが終了した後)からダウンロードすることができる別の装置(例えば、基地局又はコンピュータ)に接続するように適合されてもよい。
【0054】
図1に示すものを含むいくつかの実施形態では、ワイヤレスマイクロフォンシステムは基地局を備える。基地局は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの有線電気コネクタに接続するための少なくとも1つの有線電気コネクタを備えてもよい。例えば、基地局は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの有線電気コネクタが直接接続するように配置されるドッキング部分を備えてもよい(したがって、別個の接続ケーブルの必要性がなくなる)。
【0055】
基地局は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンから(例えば、オーディオ取り込み中、又はオーディオの取り込みが完了した後にリアルタイム又はほぼリアルタイムで)第1及び/又は第2の出力信号を受信するように構成されてもよい。基地局は、有線電気コネクタを介して(例えば、ケーブルを介して、又はドッキングを介して)第1及び/又は第2の出力信号を受信するように構成することができる。例えば、使用者は、音声取り込みが終了した後、第1及び/又は第2の出力信号を基地局にダウンロードするために、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンを基地局にドッキングすることができる。いくつかの実施形態では、基地局の有線電気コネクタは、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンのバッテリを充電するように構成されてもよい(例えば、第1及び/又は第2の出力信号の受信と同時に)。いくつかの実施形態では、ワイヤレスマイクロフォンシステムは、ワイヤレスマイクロフォンとの間で充電及び/又はデータを転送するための有線電気コネクタを有するドック装置(例えば、基地局とは別の専用のドック装置)を備えることができる。ドック装置はまた、基地局又は他のワイヤレスマイクロフォンなどの他の装置との間で充電及び/又はデータを転送するように構成されてもよい。したがって、ドック装置は、無線通信(例えば、出力信号を受信するために)に適合される必要はなく、有線接続を介してワイヤレスマイクロフォンとの間で充電及び/又はデータを転送する簡便な方法を設けるだけでよい。
【0056】
基地局は、第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンにそれぞれ接続するための第1及び第2の有線電気コネクタ(例えば、ソケット及び/又はドッキング部分)を備えることができる。そのような実施形態では、第1及び第2の有線電気コネクタは、第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンが同時に接続されることを可能にすることができ、例えば、第1及び第2の出力信号が同時にダウンロードされること、並びに/又は第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンのバッテリが同時に充電されることを可能にし、利便性を高める。
【0057】
基地局の第1の有線電気コネクタは、第1の識別情報、例えば第1の色を有する(すなわち、第1のワイヤレスマイクロフォンの第1の視覚的特徴と一致する)視覚的特徴を含むことができる。これに対応して、基地局の第2の有線電気コネクタは、第2の識別情報、例えば第2の色を有する視覚的特徴を含むことができる。
【0058】
図1の実施形態では、基地局8は、第1の電気コネクタ30を有する第1のドッキング部分28と、第2の電気コネクタ34を有する第2のドッキング部分32とを備える。第1のワイヤレスマイクロフォン4及び第2のワイヤレスマイクロフォン6は、第1のドッキング部分28及び第2のドッキング部分32とドッキングして、有線電気接続を形成するように(すなわち、ワイヤレスマイクロフォン4、6の電気コネクタ14、26が基地局8の電気コネクタ30、34に接触するように)構成される。第1のドッキング部分28は、第1のワイヤレスマイクロフォン4と一致するように、第1の色を有する部分を備える。第1のドッキング部分28は、第2のワイヤレスマイクロフォン4と一致するように、第2の色を有する部分を備える。
【0059】
第1及び/又は第2の視覚的特徴が、構成可能なインジケータ(例えば、1つ又は複数の構成可能なLED)を含む実施形態では、基地局は、構成可能なインジケータに色を割り当てるように(すなわち、第1又は第2の色が何の色であるかを選択するために)構成されてもよい。基地局は、有線電気コネクタを介して第1及び/又は第2のマイクロフォン装置に色を割り当てるように構成されてもよく、割り当ては、有線電気コネクタの接続によってトリガされてもよい。例えば、第1及び/又は第2のマイクロフォン装置が基地局のドッキング部分にドッキングされているとき、基地局は、そのマイクロフォン装置がドッキングされているドッキング部分の視覚的特徴の色と一致する色を、第1又は第2のマイクロフォン装置に割り当てることができる。
【0060】
基地局8は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの間で(すなわち、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォン18、118の無線トランシーバとの間で)信号を送信及び/又は受信するように構成された無線受信モジュール36及び/又は無線送信モジュール(例えば、無線トランシーバモジュール)38を備えてもよい。いくつかの実施形態では、基地局8は、ワイヤレスマイクロフォン4、6と監視装置10又は編集装置15との間の媒介(すなわち、ルータ)として機能し、ワイヤレスマイクロフォン4、6から出力信号を受信し、それらを監視装置10又は編集装置15に中継することができる。いくつかのそのような実施形態では、基地局8は、出力信号と共に追加の情報を監視装置10又は編集装置15に送信することができる。例えば、基地局8は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォン4、6(例えば、基地局に対するワイヤレスマイクロフォンの位置)に関する位置情報を判定し、次いで、この情報を出力信号と共に監視装置10又は編集装置15に送信するように構成されてもよい。
【0061】
基地局8による位置の判定のために、本発明のいくつかの実施形態は、基地局8において、マイクロフォンアレイ39を含む。マイクロフォンアレイ39は、空間的に符号化された音場信号を生成することができるオーディオ信号を生成するように、物理的に配置された複数のマイクロフォン要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、基地局8は、空間的に符号化された信号をローカルに生成し、音場信号を監視装置10及び/又は編集装置15に送信するように構成されてもよい。他の実施形態では、マイクロフォンアレイ39によって生成された複数のローカルオーディオ信号は、監視装置10若しくは編集装置15、又は何らかのリモートコンピュータに、リアルタイム若しくはほぼリアルタイムで、又はその後、編集装置15若しくは遠隔地での空間的に符号化された信号の後の生成のために、送信される。
【0062】
基地局8が第1のワイヤレスマイクロフォン4及び第2のワイヤレスマイクロフォン6から第1の出力信号及び第2の出力信号を受信すると、受信されたオーディオ信号は、マイクロフォンアレイ39からの信号と結合されて、ワイヤレスマイクロフォン4、6からの信号を含む空間的に符号化された音場信号を生成することができる。また、第1及び第2のワイヤレスマイクロフォン4、6の位置を判定し得る。位置は、音声分析技術を使用して判定することができる。例えば、第1及び第2のマイクロフォン4、6の(基地局に対する)それぞれの第1及び第2の位置は、第1及び第2のオーディオ信号をマイクロフォンアレイ(例えば、第1及び第2のマイクロフォンによって取り込まれた音と基地局のマイクロフォンアレイとの間の時間の遅れを識別し、これらの遅れを使用して基地局と第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンとの間の距離を計算するために)からの出力と比較することによって判定されてもよい。追加的又は代替的に、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの第1及び/又は第2の位置は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの間で送られる無線信号を分析することによって判定され得る(例えば、ワイヤレスマイクロフォンと基地局との間で送信される無線通信信号)。
【0063】
空間的に符号化された信号の生成及びマイクロフォンの位置の判定のより詳細な説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、出願番号PCT/NO2020/050320の同出願人の国際(PCT)特許出願に見出すことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、基地局8は、出力信号の一部のみを監視装置10に中継するように構成される。例えば、基地局8は、オーディオ信号を監視装置10に送信せず、目視での監視に必要なもの(例えば、判定された位置情報及び/又は特定の時間においてどのオーディオ信号が支配的であるかの表示と共に第1の色及び/又は第2の色を識別する情報)のみを送信し得る。基地局8は、監視装置10に送信しない出力信号の一部を記憶し得る。
【0065】
図1に示す実施形態では、監視装置10(例えば、タブレットコンピュータ又はスマートフォン)はディスプレイ13を備える。この実施形態では、編集装置15は、監視装置の構成要素、例えば、監視装置10のプロセッサ17によって実行するために監視装置10にインストールされたコンピュータプログラムである。他の実施形態では、編集装置は、別個の装置、又は例えばクラウドサービスとしてリモートコンピュータに存在するサービスであり得る。監視装置10の動作は、図4を参照して以下でより詳細に説明され、図4では、監視装置10のディスプレイ13に表示される内容がより詳細に示されている。
【0066】
使用時に、第1のワイヤレスマイクロフォン4の第1のマイクロフォン要素11は、第1のワイヤレスマイクロフォン4の近傍の音を含む第1のオーディオ信号を生成する。例えば、第1のワイヤレスマイクロフォン4は、第1のオーディオ信号が第1の人物が話している音によって占められるように、第1の人物の衣服に固定され得る。同様に、第2のワイヤレスマイクロフォン6の第2のマイクロフォン要素22は、第2のワイヤレスマイクロフォン6の近傍の音を含む第2のオーディオ信号を生成する(例えば、第2のワイヤレスマイクロフォン6が固定されている第2の人物の発話によって占められる)。
【0067】
第1のマイクロフォン4は、第1のオーディオ信号と、第1の視覚的特徴12の第1の色を識別する情報とを含む第1の出力信号を生成する。例えば、第1のワイヤレスマイクロフォン4は、第1の出力信号を生成するために、第1のオーディオ信号に第1の視覚的特徴12の第1の色を不可聴のオーディオ透かしとして識別する情報を埋め込むことができる。例えば、オーディオ透かしは、異なる色にマッピングされた擬似ノイズ(PN)シーケンスのセットを定めることによって実現することができ、PNシーケンスの最下位ビット(LSB)は、所定のルックアップテーブルに従った色に対応する。LSBは、オーディオ信号が透かしをマスクする部分で修正され得る。他の実施形態では、識別情報は、上述のように色以外のものであってもよく、埋め込まれた情報はこれを反映し得る。
【0068】
この例では、第1のワイヤレスマイクロフォン4は、第1の出力信号をそのローカル記憶部分16に記憶するが、これは必須ではない。これに対応して、第2のワイヤレスマイクロフォン6は、第2のオーディオ信号と、第2の視覚的特徴24の第2の色を識別する情報とを含む第2の出力信号を生成する。
【0069】
第1のマイクロフォン4は、無線トランシーバ18を介して第1の出力信号をリアルタイムで監視装置10に送信する(例えば、直接的に、又は基地局8を介して)。監視装置10は、受信した第1の出力信号を受信し、第1のオーディオ信号と、第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報、例えば第1の色に対する言及とをそこから復元する。例えば、第1の色が第1のオーディオ信号の不可聴のオーディオ透かしとして符号化される場合、色(又は他の実施形態では他の特徴)は、1ビットの相関器として実現される各PNシーケンスの一致フィルタを使用して符号化信号LSBシーケンスをフィルタリングすることによって、抽出され得る。一致されるフィルタが出力に「1」と返してくる場合、これは、所与のPNシーケンスに対応する透かしが検出されることを意味する。次に、上述のルックアップテーブルを参照して、対応する色を判定することができる。次いで、監視装置10は、第1のオーディオ信号及び第1の色を使用して、第1の視覚的特徴12の第1の色で、ディスプレイ13(図4参照)に第1のオーディオ信号(すなわち、波形)の視覚化40を生成する。
【0070】
第2のマイクロフォン6は、第2の出力信号を監視及び編集装置10に(例えば、直接的に、又は基地局8を介して)リアルタイムで送信し、それは、第1のオーディオ信号の視覚化40と一緒に(第2の視覚的特徴24の)第2の色の第2のオーディオ信号の視覚化42を表示する。
【0071】
着色された視覚化40、42は、監視及び編集装置10の使用者が、視覚化の色をワイヤレスマイクロフォンの視覚的特徴の色と一致させるだけで、音声取り込みセッションの間にどのオーディオ信号がどのワイヤレスマイクロフォンに対応するかを直感的かつ容易に識別することを可能にする。
【0072】
識別特徴が識別的な色を有する視覚的特徴以外のものである実施形態では、視覚化40、42は、それぞれの視覚化40、42に近接して表示される何らかの他の識別、例えば記号、英数字文字列、名前などに関連付けられ得る。
【0073】
いくつかの音声取り込みシナリオ(例えば、電話会議)では、所与の時点で、オーディオ全体に対する主要寄与因子である1つの音源がある(例えば、1人の人物が話している)。そのようなシナリオでは、監視及び/又は編集中に、(例えば、主要寄与因子を含むオーディオ信号をハイライト又は強調するために)主要寄与因子を識別することが有用であり得る。
【0074】
したがって、いくつかの実施形態では、監視装置又は編集装置は、第1及び第2のオーディオ信号を含む合成信号の視覚化を表示するように構成される。システムは、第1及び第2のオーディオ信号のうちの1つが合成信号への主要寄与因子であると判定するように構成され得る。監視又は編集装置は、合成信号への主要寄与因子をハイライト又は強調するように構成され得る。例えば、合成信号の視覚化は、主要寄与因子であるときの第1のオーディオ信号と、主要寄与因子であるときの第2のオーディオ信号とからなり得る。いくつかの実施形態では、合成信号は、第1のオーディオ信号が主要寄与因子である場合に第1の色を有し、第2のオーディオ信号が主要寄与因子である場合に第2の色を有する。
【0075】
例示的な実施形態では、これは図5に示されており、オーディオはいくつかの音源(例えば、数人が話している)から取り込まれており、任意の所与の時間(例えば、一方の人が話しており、他方の人が黙っている場合)において1つの音源が他の音源より優位である。上述したように、この主要な音源を識別することは有用であり得る。したがって、図5は、どのオーディオ信号が現在音響シーンの主要な音源を含んでいるかの表示を含む、監視装置10のディスプレイ13に示され得る代替の視覚化502を示す。代替の視覚化502は、第1及び第2のオーディオ信号(例えば、第1及び第2のオーディオ信号の重畳を含む)から作られた合成オーディオ信号504の波形を含む。視覚化502は、異なるオーディオソースが優位であるいくつかの期間に分割される。第1の期間506では、第1のオーディオ信号が支配的であり(例えば、第2のオーディオ信号よりも大きい振幅を有する)、後続の第2の期間508では、第2のオーディオ信号が支配的である。使用者が時間内のその時点で第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンのいずれが主要な音源に関連付けられているかを迅速かつ直感的に識別できるようにするために、第1の期間506(及び第1オーディオ信号が支配的である他の期間)は第1の色で着色され、第2の期間508(及び第2オーディオ信号が支配的である他の期間)は第2の色で着色される。
【0076】
どのオーディオ信号が合成信号への主要寄与因子と考えられるべきかを判定するために使用される特定の基準は、本発明の異なる実施形態では異なり得る、又は構成可能なパラメータであり得る。例えば、会話、パネルディスカッション、又はテレビ会議など、数人が交代で話す状況では、どのオーディオ信号が最も高い振幅、パワー、又はエネルギーを有するかを判定すればまさに十分であることがある。しかしながら、これは使用され得る唯一の基準ではない。他の可能性は、ワイヤレスマイクロフォンの判定された位置に基づいて判定することを含む。例えば、主要寄与因子は、基地局に最も近いもの、基地局の当該の位置で発生し、したがって音場の中心にあるセクタの中心線(又は対称ライン)に最も近いもの(例えば、2つのステレオチャネルで同程度に大きい)、又は他のオーディオ信号からのチャネルの分離が最も良好なものであると判定されたワイヤレスマイクロフォンから発生するオーディオ信号であり得る。そのような基準の具体的な数学的モデリングは変化する可能性があり、位置を判定するために使用される方法に依存し得るが、それぞれの信号の相対的なパワー、相互相関、クロストーク(チャネルブリード)などの使用を含み得る。
【0077】
信号の強度及び絶対的又は相対的なマイクロフォンの位置に加えて、他のタイプの基準も使用することができる。機械学習を使用して、それぞれの信号の相対的な音声了解度を判定することができ、又は機械学習又は従来のパターン認識を使用して、鳥の鳴き声、交通の騒音、音声、特定の楽器などの特定のタイプの音を探し出すことができる。音声認識技術を使用することにより、テキストの検索及びトピックの識別に基づいて、最も関連性の高いコンテンツを有するオーディオ信号を識別することさえ可能であり得る。
【0078】
合成信号に対する主要寄与因子を判定するプロセスは、様々な実施形態で、基地局8、監視装置10、及び編集装置15を含むシステムの様々な部分で実行され得る。
【0079】
ワイヤレスマイクロフォンシステムが、音声の取り込み中に第1及び/又は第2のマイクロフォンの第1及び/又は第2の位置を判定するように構成される実施形態では、監視装置及び/又は編集装置は、ディスプレイで視覚的に、第1の位置を第1の色と、又は第1のワイヤレスマイクロフォンを識別する何らかの他の第1の情報、及び/又は第2の位置を第2の色、又は同様に、第2のワイヤレスマイクロフォンと識別する何らかの他の第2の情報と関連付けるように構成され得る。例えば、監視及び/又は編集装置は、実際には第1のマイクロフォンの位置に対応するディスプレイの位置に第1の色を有する第1の視覚インジケータ(例えば、記号、ラベル、又はアイコン)を表示するように構成され得る。もちろん、監視及び/又は編集装置は、実際には第2のマイクロフォンの位置に対応するディスプレイの位置に第2の色を有する第2の視覚インジケータ(例えば、記号、ラベル、又はアイコン)を表示するように構成され得る。
【0080】
第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンの位置の視覚的インジケータを監視装置及び/又は編集装置に設けることにより、使用者は、第1及び/又は第2のマイクロフォンを非常に迅速に位置特定及び識別することが可能になり得る。例えば、音声の取り込み中に、使用者は、使用者の視界から外れている(例えば、背後にある)場合であっても、特定のマイクロフォンを迅速に位置特定し得ることがある。
【0081】
したがって、例示的な実施形態のワイヤレスマイクロフォンシステム2は、音声の取り込み中に第1及び第2のワイヤレスマイクロフォン4、6の位置を判定するように構成される。例えば、監視装置10は、第1及び第2のマイクロフォン(例えば、第1及び第2の出力信号を伝送している)のワイヤレスRFトランシーバ18から受信されたRF信号を分析して、第1のワイヤレスマイクロフォン4の第1の位置及び第2のワイヤレスマイクロフォン6の第2の位置を判定するように構成され得る。あるいは、基地局8は、ワイヤレスマイクロフォン4及び6の位置を判定し、これを監視装置10に送信するように構成され得る。監視装置10は、この情報を使用して、ディスプレイ13のワイヤレスマイクロフォン4、6の位置の視覚化44を生成する。視覚化44は、(第1のワイヤレスマイクロフォン4の)第1の位置を示す第1の記号46と、(第2のワイヤレスマイクロフォン6の)第2の位置を示す第2の記号48とを含む。第1の記号46は第1の色(すなわち、第1の視覚的特徴12の特徴に一致する)を有し、第2の記号48は第2の色(すなわち、第2の視覚的特徴の特徴に一致する)を有する。したがって、監視装置10の使用者は、視覚化44(例えば、第1及び第2のオーディオ信号40、42の前述の視覚化と組み合わせて)を利用して、特定のワイヤレスマイクロフォンを(例えば、最初にワイヤレスマイクロフォンが視界の外に位置する場合であっても)容易に位置特定して識別することができる。
【0082】
他の実施形態では、それぞれのワイヤレスマイクロフォンを識別するために、色の代わりに記号、数字、又は名前が使用され得る。
【0083】
音声の取り込みが完了すると、第1及び第2のワイヤレスマイクロフォン4、6は、基地局8の第1及び第2のドッキング部分28、30にドッキングされ、ワイヤレスマイクロフォン4、6と基地局8との間に有線電気接続を形成する。次いで、第1及び第2の出力信号は、この有線電気接続を介して基地局8にダウンロードされる。第1及び第2のワイヤレスマイクロフォン4、6のバッテリは、有線電気接続を介して同時に充電される。有線電気接続は、無線接続(例えば、限られた帯域幅、送信電力、又は干渉)と同じ制限を受けない可能性があるため、出力信号をより迅速に転送することができ、及び/又はオーディオ信号のより質の高いバージョンを転送することができる。第1及び第2の出力信号が基地局8に転送されると、それらは、検閲又は後処理のために(例えば、没入型サウンドトラックを生成するために)他の場所に(例えば、インターネット接続を介して)転送され得る。基地局8自体は、ダウンロードされた出力信号を検閲又は編集するためのユーザインターフェース及びディスプレイを含むことができる。
【0084】
監視装置10はまた、使用者が第1及び/又は第2のオーディオ信号に対して1つ又は複数の後処理技術を実行することができる編集装置15を備えることができる。例えば、編集装置15を使用して、第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンの判定された位置を使用して音響シーンの中で第1及び第2のオーディオ信号を正確に位置決めする、空間的に符号化されたサウンドトラックを生成することができる。そのような実施形態では、第1及び第2の色は技術レベルで第1及び第2のオーディオ信号に関連付けられているので、2つの間の視覚的関連付け(例えば、有色波形で)は、編集又は後処理プロセス全体を通して自動的に設けられ、使用者が、製造の全段階でどのオーディオ信号がどのオーディオ信号であるかを追跡することをより容易かつ直感的にすることができる。したがって、本発明によって提供される色又は他の何らかの識別特徴と、オーディオ信号との間の技術レベルの関連付けは、ライブでの監視のための装置を含まない実施形態においても有益である。
【0085】
取得されたオーディオ信号が空間的に符号化された音場信号を生成するために使用される場合、音声取り込み中のワイヤレスマイクロフォンの実際の位置の視覚化及び知識を利用して、空間的に符号化された信号を編集し、信号の成分、例えば第1のオーディオ信号を音場内の異なる位置に「移動」させることができる。各々の音源の位置を一貫して識別することにより、所与のオーディオ信号が音場全体の所望の設計に従って正しく位置決めされているかどうかを判定することが容易になる。これは、空間で符号化された音場信号をどのように編集するかを判定する際に、音響エンジニアが自分の耳よりも頼れることをもたらす。編集は、音場の各オーディオ信号の識別、位置、及び主要性を含む、本発明によって提供される利用可能な情報に基づくソフトウェアによる自動処理を受けることさえできる。
【0086】
代替のワイヤレスマイクロフォン104が図3に示されている(例えば、上述したシステム2の第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォン4、6の代わりに使用され得る)。ワイヤレスマイクロフォン104は、マイクロフォン要素111、構成可能な視覚的特徴112、及び第1の電気コネクタ114を、ローカル記憶モジュール116、無線トランシーバ118、及びバッテリ120と共に備える。ワイヤレスマイクロフォン104の一般的な動作は、上述した第1及び第2のワイヤレスマイクロフォン4、6と同様である。
【0087】
構成可能な視覚的特徴112は、対応するソフトウェア又はハードウェアの設定に応答して特定の色の光を発するように構成可能な複数のRGB LED113を備える。したがって、視覚的特徴112の色は、対応する設定を変更することによって構成され得る。例えば、ワイヤレスマイクロフォン104が使用されるたびに、LED113のランダムな色がソフトウェアによって選択され得る。あるいは、使用者は、LED113の特定の色(例えば、特定の音声取り込みセッションについて)を選択することができる。
【0088】
使用中、ワイヤレスマイクロフォン104のマイクロフォン要素111は、ワイヤレスマイクロフォン104の近傍の音を含むオーディオ信号を生成する。ワイヤレスマイクロフォン104はまた、オーディオ信号が取り込まれるときに、視覚的特徴112の色(すなわち、LED113の色)を識別する情報と共に、オーディオ信号を含む出力信号を生成する。LED113の色は構成可能である(すなわち、音声取り込み同士の間で変化し得る)ため、特定のオーディオ信号が取り込まれたときにLED113がどのような色であったかの記録を(出力信号と共に)保持することが特に有用である。
【0089】
本発明は、例示的なワイヤレスマイクロフォンシステムに関して説明されてきた。本発明の別の態様によれば、そのようなシステムを使用してオーディオを取り込み、処理するための方法が提供される。この方法の実施形態を図6に示す。
【0090】
図6に示す実施形態は、本発明のすべての実施形態に必ずしも含まれないいくつかのステップを含む。したがって、多くの実施形態は、図示されたステップのいくつかを省略することができ、いくつかの実施形態は、異なる順序でステップを実行することができる。したがって、本発明による方法は、この実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、可能な任意の順序で実行されるステップのサブセットも含み、このことは、別のステップによって処理されるように意図された入力を生成するステップが、これを可能にするシーケンスで実行されなければならないことのみが要件であることを意味する。しかしながら、図示されたステップの多くは、同時に実行されているプロセスであり、後続のステップを開始することができるようになる前に実行されて終了する個別のステップではないことも、理解されたい。
【0091】
図示された方法は、各ステップが実行される場所(例えば、基地局、編集装置、又は監視装置において)又は信号が処理前に格納される場所(例えば、ワイヤレスマイクロフォンでローカルに、基地局で、編集又は監視装置で、リモートコンピュータで、又はまったく記憶されておらず、リアルタイム又はほぼリアルタイムで処理されるのみ)を厳密に指定しないことにも留意されたい。これらの代替の形態が上述されており、本方法のステップ又はサブプロセスの理解に必須ではない。
【0092】
これを念頭に置いて、第1及び第2のオーディオ信号がワイヤレスマイクロフォンを使用して取り込まれる第1のステップ601を参照する。次のステップ602において、対応する第1及び第2の出力信号が生成される。出力信号は、第1及び第2のワイヤレスマイクロフォンを識別する情報をオーディオ信号に付加することによって生成される。言い換えれば、出力信号は、マイクロフォン識別情報が付加されたオーディオ信号である。出力信号がどのように生成され、それらがどのように送信及び/又は記憶されるかは、上述されている。
【0093】
いくつかの実施形態では、次のステップにおいて、又はより正確にはワイヤレスマイクロフォンによって実行される取り込みと同時に、ステップ603において、マイクロフォンアレイを使用して複数のローカルオーディオ信号が取り込まれる。複数のローカルオーディオ信号は、ステップ604において空間的に符号化された音場信号を生成するのに適し得る。このような信号は、マイクロフォンアレイからの複数のローカルオーディオ信号のみから生成され得るし、この段階で第1及び第2のオーディオ信号が音場信号に組み込まれ得る。音場信号が複数のローカルオーディオ信号のみから生成される実施形態では、ワイヤレスマイクロフォンからの第1及び第2のオーディオ信号は、後の編集プロセスの間に音場信号内に編集され得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、次のステップ605は、マイクロフォンアレイに対するワイヤレスマイクロフォンの相対的な位置を判定する。この判定をどのように実行することができるかは、上述されている。
【0095】
ステップ606において、視覚化が、1つ又は複数の別個の信号に基づく(例えば、各ワイヤレスマイクロフォンについて1つの視覚化、及び場合によっては、空間的に符号化された音場信号についても1つの視覚化)べきか、又は合成信号からのものであるべきかが決定又は判定される。これは、必ずしも方法によって実際に実行されるステップではなく、システムの設計又は構成中に行われる決定であり得ることに留意されたい。合成信号は、ワイヤレスマイクロフォン信号の重畳(又は加算)であってもよく、ワイヤレスマイクロフォン信号間で前後に切り替わる信号であってもよく、第1及び第2のオーディオ信号からの情報を組み込んだ音場信号であってもよく、又は第1及び第2のオーディオ信号から導出された他の何らかの信号であり得る。
【0096】
視覚化が合成信号のうちの1つ(又はそれを含むもの)である場合、ステップ607において、どのオーディオ信号が合成信号への主要寄与因子であるかを判定することができる。これが何を意味し、どのように実行されるかは、上記で論じられている。
【0097】
次のステップ608において、第1、第2、及び第1のワイヤレスマイクロフォン、第2のワイヤレスマイクロフォン、及びマイクロフォンアレイからそれぞれ発せられる複数のローカルオーディオ信号のうちの少なくとも1つが、監視装置に送信される。代替的又は追加的に、これらの信号のうちの1つ又は複数から導出された信号、例えば空間的に符号化された音場信号が送信される。
【0098】
ステップ609において、第1のオーディオ信号、第2のオーディオ信号、又はそれらから導出された信号のうちの少なくとも1つの表現。このような導出信号は、上述したような合成信号であり得る。視覚化は、マイクロフォンアレイに対する発信ワイヤレスマイクロフォンの位置を含む、信号の1つ又は複数の態様に基づくことができる。
【0099】
各視覚化は、ステップ610において、発信元のワイヤレスマイクロフォン、又は合成信号への主要な寄与に寄与したワイヤレスマイクロフォンの正体の表現に関連付けられる。視覚化は、色、記号、パターン、数字、英数字文字列、又は上述したように、出力信号の識別情報、及びワイヤレスマイクロフォンの視覚的又は聴覚的識別特徴に容易に関連付けることができる他の何らかの特徴であり得る。
【0100】
視覚化は、設定及び記録中にエンジニア又は制作者を支援するために、音声の取り込み中に提示され得る。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、記録されたオーディオファイルの再生及び編集又は後処理と併せて視覚化を生成する。ステップ611において、記憶された信号、すなわちオーディオ及び/又は出力信号、合成信号、空間的に符号化された音場信号を含む導出された信号のうちの1つ又は複数が、編集又は後処理される。編集又は後処理は、ステップ602の出力信号に含まれる識別情報、ステップ605で判定された位置情報、及びステップ607で判定された主要情報を利用することができる。この情報は、手動での編集中に音響エンジニアによって使用されてもよく、又は何らかの所定のスクリプト又は仕様に従って格納された信号を編集する自動プロセスへの入力として使用され得る。
【0101】
本発明を限られた数の実施形態のみに関連して詳細に説明してきたが、本発明はそのような開示された実施形態に限定されないことを容易に理解されたい。むしろ、本発明は、これまで記載されていないが、本発明の範囲に相応する任意の数の変形、変更、置換、又は同等の構成を組み込むように修正することができる。さらに、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の態様は、説明した実施形態の一部のみを含んでもよいことを理解されたい。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されると見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0102】
単一の物理装置(例えば、タブレットコンピュータ又はスマートフォン)は、監視装置、編集装置、及び記憶装置の任意の組み合わせを含むことができる。他の実施形態では、監視装置、編集装置、及び記憶装置は、別個の構成要素として実装され得る。これらのうちのいずれか1つ又はすべては、例えばクラウドサービスとして、インターネットなどの通信ネットワークを介して到達可能な1つ又は複数のリモートコンピュータとして、又はそれに実装され得る。1つ又は複数の装置がクラウドベースのサービスとして実装される実施形態では、表示装置は、使用者の装置にインストールされたクライアント又は使用者エージェント、例えばウェブブラウザ又はアプリによって表示されるために、ネットワークを介して送信することができるグラフィカルな表現を生成することができるサービスとして実装される。
【0103】
本明細書に記載された任意の態様又は実施形態の特徴は、適切な場合はいつでも、本明細書に記載された任意の他の態様又は実施形態に適用され得る。異なる実施形態を参照する場合、これらは必ずしも別個ではなく、重複し得ることを理解されたい。
【0104】
本発明は、2つのワイヤレスマイクロフォンを備えるシステムを参照して上述されている。しかしながら、当然のことながら、本発明は、3つ以上のワイヤレスマイクロフォン、例えば3つ、4つ、5つ、又はそれより多いワイヤレスマイクロフォンを備えるシステムにまで及ぶ。そのようなシステムでは、各ワイヤレスマイクロフォンは、固有の色を有する視覚的特徴を備える。
【0105】
特徴又は実施形態が本明細書に開示されているが、添付の特許請求の範囲によって網羅されていない限り、それらは、そのような実施形態を捉えるために補正された特許請求の範囲又は分割出願を提出する権利を留保する出願人によって放棄されない。特徴のいくつかのそのような組み合わせを以下に説明する。
【0106】
監視装置及び/又は編集装置は、ディスプレイを備えることができる。監視装置及び/又は編集装置は、ディスプレイで、第1のオーディオ信号(例えば、波形として)を第1の色と視覚的に関連付け、及び/又は第2のオーディオ信号を第2の色と視覚的に関連付けるように構成され得る。例えば、監視装置及び/又は編集は、単に第1のオーディオ信号を第1の色で表示し、及び/又は第2のオーディオ信号を第2の色で表示するように構成され得る。これは、音声取り込みのライブ監視を助け、又は音声取り込み後の編集を容易にすることができる(例えば、使用者がどのマイクロフォンがどれであるかを迅速に識別するのを助けることによって)。第1の出力信号は第1のオーディオ信号を第1の色にリンクさせるので、第1のオーディオ信号は、単に第1の色を有するマイクロフォンを探すだけで、第1のワイヤレスマイクロフォンに迅速かつ容易に関連付けることができる。第1及び第2の出力信号を監視する使用者は、第1のオーディオ信号が第1の視覚的特徴(すなわち、第1のワイヤレスマイクロフォン)を有するワイヤレスマイクロフォンによって取り込まれ、第2のオーディオ信号が第2の視覚的特徴(すなわち、第2のワイヤレスマイクロフォン)を有するワイヤレスマイクロフォンによって取り込まれたと直ちに判定することができる。
【0107】
例えば、第1の出力信号及び第2の出力信号を監視している使用者が、第1のオーディオ信号に問題があることに気付いた場合(例えば、静かすぎること)、使用者は、問題を修正するためにどのワイヤレスマイクロフォンを調整(例えば、その位置決めを変えて音源に近づける)すべきかを(第1の色を有する第1の視覚的特徴を視覚的に識別することによって)直ちに識別することができる。同様に、後処理中(すなわち、オーディオ取り込み後)にどのオーディオ信号がどの音源に関連付けられているかを識別するプロセスは、第1及び第2のオーディオ信号が第1及び第2の色を識別する情報と出力信号で本質的にリンクされているため、より便利にすることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の視覚的特徴は、第1及び/又は第2のマイクロフォンの使用中に見えるように配置される。例えば、第1及び/又は第2の視覚的特徴は、第1及び/又は第2のマイクロフォンが音声取り込み構成(例えば、音源に取り付けられる)にあるときに見えるマイクロフォンハウジングの一部を含んでもよい。
【0109】
当然のことながら、いくつかの実施形態では、音声の取り込み中に第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンを隠すか、そうでなければ隠すことが等しく望ましい場合がある(例えば、いくつかのビデオ制作では、美的理由から、音源からの音を捉えているマイクロフォンを見ずに音源を見て聞くことが望ましい場合がある)。したがって、いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンは、第1及び/又は第2のマイクロフォンの使用中に、第1及び/又は第2の視覚的特徴(特徴的であるように、例えば、明るい色であるように設計され得る)が隠される、又は秘匿可能であるように配置され得る。例えば、そのような実施形態では、第1及び/又は第2の視覚的特徴は、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンが使用されているときに隠され得るマイクロフォンハウジングの一部を含んでもよい。例えば、第1及び/又は第2のワイヤレスマイクロフォンは、ワイヤレスマイクロフォンを人の衣服に固定するように構成されたクリップを備えてもよく、第1及び/又は第2の視覚的特徴は、取り付けられたときに人の衣服によって隠されるように設計されたワイヤレスマイクロフォン又はクリップの一部を備え得る。そのような実施形態では、視覚的特徴は、必要に応じて依然として顕現可能であり得る(例えば、音声取り込みの前、最中、又は後に人がマイクロフォンのクリップを外すことによって)。
【0110】
混同の可能性を低減し、特定のオーディオ信号に対応するワイヤレスマイクロフォンの迅速かつ簡単な識別を確実にするために、第1の色は第2の色と容易に区別されることが好ましい。第1の色は、第2の色と相補的又は対照的な色を含むことができる。第1及び第2の色は、黒色、白色、及び灰色の濃淡を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の色は、赤、緑、青、黄、紫、黒、白、ピンク、茶色及びオレンジを含むリストから選択され得る。
【0111】
第1及び/又は第2の色を識別する情報は、第1及び/又は第2の出力信号(例えば、ファイルヘッダなどの出力信号の最初又は最後の部分に含まれるメタデータとして)を生成するために、第1及び/又は第2のオーディオ信号に単に付加され得る。追加的又は代替的に、第1及び/又は第2の色を識別する情報は、別個の無線信号の一部として第1及び/又は第2のオーディオ信号に(すなわち、第1及び/又は第2の出力信号が2つの別々の無線信号を含むように)送信され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の出力信号は、第1及び/又は第2のオーディオ信号を含むことができるが、第1及び/又は第2の色を識別する情報を埋め込むように変更される。例えば、第1及び/又は第2の色を識別する情報は、第1及び/又は第2のオーディオ信号に(例えば、取り込まれたオーディオに影響を与えないオーディオ信号の時間又は周波数領域において)追加された不可聴のオーディオ透かし信号に含まれ得る。これにより、出力信号を、ほとんど又はまったく変更することなく、標準的なオーディオ機器(例えば、標準無線オーディオ送信モジュール)を使用して処理する(例えば、無線送信モジュールを介して送信する)ことができる。符号化されたオーディオは、その後、(例えば、受信装置によって)復号されて、その色及び/又は第2の色を識別する情報を復元することができる。
【0112】
第1及び/又は第2の色を識別する情報は、色自体の説明(例えば、「赤色」又は「青色」又はRGBの値)を含んでもよく、あるいは、いくつかの可能な色を含むルックアップテーブルへの参照を含んでもよい。
【0113】
ワイヤレスマイクロフォンシステムは、
【0114】
第1のオーディオ信号を生成するように構成された第1のマイクロフォン要素と、第1の色を有する第1の視覚的特徴とを備える第1のワイヤレスマイクロフォンであって、第1のマイクロフォンは、第1のオーディオ信号と、第1の色を識別する情報とを備える第1の出力信号を生成するように構成されている、第1のワイヤレスマイクロフォン、及び
【0115】
第2のオーディオ信号を生成するように構成された第2のマイクロフォン要素と、第1の色と異なる第2の色を有する第2の視覚的特徴とを備える第2のワイヤレスマイクロフォンであって、第2のマイクロフォンは、第2のオーディオ信号と、第2の色を識別する情報とを備える第2の出力信号を生成するように構成されている、第2のワイヤレスマイクロフォンを含み得る。
【0116】
ワイヤレスマイクロフォンシステムでは、第1のワイヤレスマイクロフォンは、第1の出力信号が記憶されるローカル記憶モジュールを備え得る。
【0117】
第1のワイヤレスマイクロフォンが、第1の出力信号を送信するように構成されたワイヤレス送信モジュールを備える、上述のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0118】
第1のワイヤレスマイクロフォンが、第1の出力信号を送信するように構成されたワイヤレス電気コネクタを備える、上述のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0119】
第1及び/又は第2の視覚的特徴が恒久的な視覚的特徴を含む、上述のワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0120】
第1及び/又は第2の視覚的特徴が、マイクロフォンハウジングの永久的に着色された部分を含む、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0121】
第1及び/又は第2の視覚的特徴が非恒久的な視覚的特徴を含む、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0122】
非恒久的な視覚的特徴が、その構成に応じて異なる色の光を発するように動作可能な光源を備える、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0123】
第1及び/又は第2の視覚的特徴は、第1及び/又は第2のマイクロフォンの使用中に見えるように配置される、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0124】
第1及び/又は第2の色を識別する情報が、第1及び/又は第2のオーディオ信号に付加される、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0125】
第1及び/又は第2の色を識別する情報は、別個の無線信号の一部として第1及び/又は第2のオーディオ信号に送信される、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0126】
第1及び/又は第2の色を識別する情報は、第1及び/又は第2のオーディオ信号に付加された不可聴のオーディオ透かし信号に含まれる、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0127】
第1及び第2の出力信号を受信するように構成された基地局をさらに備える、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0128】
基地局は、有線接続を介して第1及び第2の出力信号を受信するように構成される、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0129】
ディスプレイを有する監視装置又は編集装置をさらに備え、監視装置又は編集装置は、第1の出力信号及び第2の出力信号を受信するように構成される、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0130】
監視又は編集装置が、ディスプレイで第1のオーディオ信号を第1の色と視覚的に関連付け、第2のオーディオ信号を第2の色と視覚的に関連付けるように構成される、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0131】
ワイヤレスマイクロフォンシステムであって、システムが、第1及び第2のマイクロフォンのそれぞれの第1及び第2の位置を判定するように構成され、監視又は編集装置が、ディスプレイで第1の位置を第1の色と視覚的に関連付け、第2の位置を第2の色と視覚的に関連付けるように構成される、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0132】
ワイヤレスマイクロフォンシステムであって、監視又は編集装置が、第1のオーディオ信号及び/又は第1の位置を第1の色で表示し、第2のオーディオ信号及び/又は第2の位置を第2の色で表示するように構成される、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0133】
ワイヤレスマイクロフォンシステムであって、監視又は編集装置が、第1及び第2のオーディオ信号を含む合成信号の視覚化を表示するように構成され、システムが、第1及び第2のオーディオ信号のうちの1つが合成信号への主要寄与因子であると判定するように構成され、合成信号の視覚化が、第1のオーディオ信号が主要寄与因子であるときは第1の色を有し、第2のオーディオ信号が主要寄与因子であるときは第2の色を有する、ワイヤレスマイクロフォンシステム。
【0134】
オーディオ信号を生成するように構成されたマイクロフォン要素と、独自の色を有する視覚的特徴とを備えるワイヤレスマイクロフォンであって、マイクロフォンは、オーディオ信号と、独自の色を識別する情報とを備える出力信号を生成するように構成されている、ワイヤレスマイクロフォン。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】