(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(54)【発明の名称】嵩高中心層及び超吸収性粒子を含む吸収性コア
(51)【国際特許分類】
A61F 13/53 20060101AFI20230418BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A61F13/53 300
A61F13/534 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554415
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 US2021021637
(87)【国際公開番号】W WO2021188330
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ユリアーネ、カンフス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア、ペリ
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ、ゼーボート
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA01
3B200BA06
3B200BA09
3B200BB04
3B200BB17
3B200CA02
3B200CA11
3B200DB02
3B200DB12
3B200DB18
3B200EA05
(57)【要約】
吸収性物品(20)に使用するための吸収性コア(28)であって、上部層と底部層との間の嵩高中心層(43)と、嵩高層内に少なくとも部分的に分布した超吸収性粒子(SAP)と、を有する、吸収性コア(28)。超吸収性ポリマー粒子は、220秒未満の20g/gの吸収に達するまでの時間(SAP T20)を有し、且つ/又は吸収性コアは、200秒未満の15g/gの吸収に達するまでの時間(コアT15)を有し、且つ/又は吸収性コアは、6.0×10-8cm2超の透過性(コアK20)を有する。これらの特性は、本願に記載されるK(t)試験法に従って測定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品(20)に使用するための吸収性コア(28)であって、前記吸収性コアは、横断方向(x)及び長手方向(y)に延在し、且つ前記横断方向及び前記長手方向に垂直な垂直方向(z)に厚さを有し、前記吸収性コアは、
液体透過性上部層(41)と、
底部層(42)と、
前記上部層と前記底部層との間の嵩高中心層(43)と、
前記上部層と前記底部層との間の超吸収性ポリマー粒子であって、前記中心層(43)内に少なくとも部分的に分布される、超吸収性ポリマー粒子と、を備え、
前記超吸収性ポリマー粒子は、本明細書に記載のSAP K(t)試験法に従って測定して、220秒未満の20g/gの吸収に達するまでの時間(SAP T20)を有し、且つ/又は
前記吸収性コアは、本明細書に記載の吸収性コアK(t)試験法に従って測定して、200秒未満の15g/gの吸収に達するまでの時間(コアT15)を有し、且つ/又は
前記吸収性コアは、本明細書に記載の吸収性コアK(t)試験法に従って測定して、6.0×10
-8cm
2超、好ましくは8.0×10
-8cm
2超の透過性(コアK20)を有する、吸収性コア(28)。
【請求項2】
前記吸収性コアは、本明細書に記載の吸収性コアK(t)試験法に従って測定して、550秒未満の20g/gの吸収に達するまでの時間(コアT20)を有する、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項3】
前記中心層は合成繊維を含むか又は合成繊維からなり、特には前記中心層はカード不織布層である、請求項1又は2に記載の吸収性コア。
【請求項4】
前記吸収性コア内の前記超吸収性ポリマー粒子の濃度は、本明細書に開示されるマイクロCTスキャン法によって決定して、前記吸収性コアのz方向に二峰性又は多峰性の分布を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項5】
前記超吸収性粒子は架橋ポリアクリレート塩で製造され、好ましくは、EDANA法NWSP241.0.R2(19)により測定して10g/gから最大35g/gの試験の範囲の遠心保持容量(CRC)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項6】
前記超吸収性ポリマー粒子は、少なくとも10×10
-7cm
3.s/g、好ましくは少なくとも15×10
-7cm
3.s/gのUPMを有し、前記UPMは、本明細書に記載の尿透過率測定試験によって測定され、且つ/又は前記超吸収性ポリマー粒子は、EDANA標準試験NWSP242.0R2(19)に従って測定して22g/g超の0.7psiの加圧下吸収倍率(AAP@0.7psi)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項7】
前記上部層及び/又は前記底部層がそれぞれ、粘着剤の層(71、72)によって前記中心層に取り付けられており、任意選択的に、前記粘着剤の層はまた、前記嵩高中心層内に分布していない前記SAP粒子の少なくとも一部を乾燥状態で固定化する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項8】
前記上部層、前記底部層、及び前記中心層を少なくとも部分的に包装する、包装層(3)、具体的には不織布包装層を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項9】
前記吸収性コアは、前記コアの合計重量の少なくとも60重量%の超吸収性ポリマー粒子、好ましくは少なくとも70重量%又は少なくとも80重量%のSAPを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項10】
前記吸収性コアは、少なくとも200gsm、少なくとも300gsm、又は300gsm~500gsmの坪量で超吸収性ポリマー粒子を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項11】
前記上部層と前記底部層との間に第1の中心層(431)及び第2の中心層(432)を含み、前記第1の中心層及び前記第2の中心層のうちの少なくとも1つが、請求項1~10のいずれか一項に記載の中心層であり、前記第1の中心層と前記第2の中心層とは同じであっても異なっていてもよい、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項12】
前記吸収性コアは、前記吸収性コアK(t)試験法で測定された、(0.3psiで)0.6g/cm
3未満、好ましくは0.2g/cm
3~0.5g/cm
3未満のコア密度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項13】
トップシート(36)、バックシート(38)、及び請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性コア(28)、並びに任意選択的に前記コアと前記トップシートとの間の捕捉層及び/又は分布層(54)を含む、吸収性物品(200)。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性コア(28)を作製するための方法であって、
嵩高中心層(43)、液体透過性上部層(41)、及び底部層(42)を提供する工程と、
前記嵩高中心層の第1の側に超吸収性粒子の第1の層を堆積させる工程と、
前記中心層の前記第1の側を、前記液体透過性上部層(41)及び前記底部層(43)から選択される一方と積層する工程と、
任意選択的に、前記嵩高中心層の第2の側に超吸収性粒子の第2の層を堆積させる工程と、
前記中心層の前記第2の側を、前記液体透過性上部層(41)又は前記底部層(43)のうちの予め積層されていなかった他方と積層する工程と、を含み、
堆積された前記超吸収性ポリマー粒子は、本明細書に記載のSAP K(t)試験法に従って測定して、220秒未満の20g/gの吸収に達するまでの時間(SAP T20)を有する、方法。
【請求項15】
本明細書に記載の厚さ及び密度測定法を用いて測定して、前記中心層の初期密度は4.14kPa(0.6psi)で0.05g/cm
3~0.15g/cm
3の範囲であり、且つ/又は前記中心層の初期厚さは4.14kPa(0.6psi)で0.30mm超である、請求項14に記載の吸収性コアを作製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性コア及び個人用衛生吸収性物品におけるそれらの使用に関する。吸収性コアは、特に乳児用おむつで使用され得る。
【背景技術】
【0002】
使い捨て乳児用おむつ、幼児用トレーニングパンツ、又は成人用失禁用下着などの個人衛生用の吸収性物品は、身体滲出物、特に尿を吸収して収容するように設計されている。これらの吸収性物品は、層の中でもとりわけ、典型的にはトップシート、バックシート、及びそれらの間の吸収性コアを含む異なる機能を提供するいくつかの層を備える。
【0003】
吸収性コアは、滲出物を長時間、例えばおむつの場合は終夜吸収及び保持し、再湿潤を最小限に抑えて着用者を乾いた状態に維持し、衣類又はベッドシーツが汚れることを回避することができるべきである。吸収性コアは、典型的には、粉砕木材パルプセルロース繊維と、吸収性材料としての吸収性ゲル化材料(absorbent gelling material、AGM)とも呼ばれる超吸収性ポリマー(superabsorbent polymer、SAP)粒子とのブレンドを含んでいた。
【0004】
より最近では、フラッフセルロース繊維を含まない吸収性コア(「エアフェルトフリー」コアとも呼ばれる)が提案されている。SAP粒子は、例えば、2つの基材間に形成された個別のポケット内に封入され得る(例えば、国際公開第95/11654号、Tanzerらを参照のこと)。また、接着剤によりSAP粒子をマイクロファイバー接着剤ネットワークで不織布基材に固定化することも提案されている(例えば、国際公開第2008/155699(A1)号、Hundorfらを参照のこと)。より最近では、その内部にSAPが分布した嵩高中心層を含むエアフェルトフリーコアが開示されている(例えば、国際公開第2016/106,021(A1)号、Bianchiらを参照のこと)。これらのコアは、典型的には、嵩高不織布の各側にSAP粒子の層を分配し、両側にティッシュペーパー又は不織布を積層させて粒子を固定化することによって作製される(例えば、国際公開第2020/025401号(BASF,Geら)の
図3に例示されるプロセス)。他の最近の中心層コアの公報は、国際公開第2020/032280号、同第2020/032281号、同第2020/032282号、同第2020/032283号、及び同第2020/032284号(株式会社日本触媒)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第95/11654号
【特許文献2】国際公開第2008/155699(A1)号
【特許文献3】国際公開第2016/106,021(A1)号
【特許文献4】国際公開第2020/025401号
【特許文献5】国際公開第2020/032280号
【特許文献6】国際公開第2020/032281号
【特許文献7】国際公開第2020/032282号
【特許文献8】国際公開第2020/032283号
【特許文献9】国際公開第2020/032284号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
全体の製造コストを可能な限り低く維持しながらも、特に吸収速度及び容量、着用者の快適性、低い再湿潤、並びに柔軟性の点で吸収性コアの性能を改善することが継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、横断方向及び長手方向に延在し、垂直方向に厚さを有し、液体透過性上部層、底部層、及び上部層と底部層との間に挟まれた中心層を備える吸収性コアを対象とする。中心層は、カード不織布などの嵩高層である。吸収性コアは、中心層内に少なくとも部分的に分布した超吸収性ポリマー粒子(SAP)を含む。第1の態様では、コアに収容される超吸収性ポリマー粒子は、本明細書に記載のSAP K(t)試験法に従って測定して、220秒未満の20g/gの吸収に達するまでの時間(SAP T20)を有する。第2の態様では、吸収性コアは、本明細書に記載の吸収性コアK(t)試験法に従って測定して、200秒未満の15g/gの吸収に達するまでの時間(コアT15)を有する。第3の態様では、吸収性コアは、本明細書に記載の吸収性コアK(t)試験法に従って測定して、6.0 10-8cm2超、好ましくは8.0 10-8cm2超の透過性(コアK20)を有する。コアT15及びコアK20は、コア上で直接測定されてもよいが、SAP T20は、SAP上で別に測定される。当然ながら、本発明の吸収性コアは、第1及び第2、第1及び第3、又は第2及び第3、のみならず本明細書に記載される任意の他の特徴などの、異なる態様のいずれを組み合わせてもよい。
【0008】
本発明の吸収性コアは、特に典型的な流体侵襲の第1及び第2の噴出において、速い吸収速度を有する。これにより、早期の漏れ、すなわち低負荷での漏れのリスクが低減される。本発明の吸収性コアはまた、他の吸収性コアと比較してより少ない液体分布長さを有し、すなわち、負荷点(吸収性コアのほぼ中心)で許容可能な再湿潤性能を維持しながら、前部及び後部の湿潤がより少ない。これは、吸収性構造体の前後の接触領域で着用者の皮膚をより乾燥した状態に保つのに有益である。
【0009】
吸収性コアは、コアの合計重量に対して少なくとも60重量%のSAP、特に少なくとも70重量%、若しくは少なくとも80%のSAP、又は更には少なくとも90%のSAPを含み得る。嵩高中心層は完全に合成繊維から形成されてもよく、且つフラッフセルロース繊維を実質的に含まなくてもよいが、セルロース若しくは綿繊維又はビスコース繊維などの天然繊維又は天然源の繊維が中心層及び/又は上部層及び/又は底部層に存在してもよい。
【0010】
上部層及び底部層は、典型的には不織布又はティッシュペーパーである。例えば低坪量のティッシュペーパーは容易に入手可能であり、比較的安価な基材である。吸収性コアはまた、底部層又は上部層を完全に覆い、且つ中心層の長手方向に延在する側縁部の周りにCラップを形成して、それぞれ上部層又は底部層を少なくとも部分的に覆い、吸収性コア内のSAP粒子をより良好に固定化する包装層を備えてもよい。包装層は、SAPの収容を改善して、それによりコアの側縁部上の損失を防ぐことができる。あるいは、こうしたCラップが上部層又は底部層によって形成されてもよい。
【0011】
吸収性コアはまた、第1の中心嵩高層及び第2の中心嵩高層を含む二層構造を含んでもよい。この構造は、例えばSAP固定化の観点から追加の利点を提供することができ、より多くの量のSAP粒子が2つの層内に分布され得る。本発明のこれら及び他の任意の特徴を、以下の説明で記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】上部層及び中心層が部分的に取り除かれた例示的な吸収性コアの上面図を示す。
【
図2a】
図1の吸収性コアの様々な可能な概略断面図を分解図で示す図である。
【
図2b】
図1の吸収性コアの様々な可能な概略断面図を分解図で示す図である。
【
図2c】
図1の吸収性コアの様々な可能な概略断面図を分解図で示す図である。
【
図3】
図2aの吸収性コア及びコア包装層の概略断面図である。
【
図4】2つの中心嵩高層を含む代替的な吸収性コアの概略断面図である。
【
図5】
図4の吸収性コア及びコア包装層を含む吸収性物品の概略断面図である。
【
図6a】本発明のコアの円形試料のマイクロCTスキャンを示す図である。
【
図6b】xz平面におけるマイクロCTスキャンの投射を示す図である。
【
図6c】yz平面におけるマイクロCTスキャンの投射を示す図である。
【
図7a】例示的なコアのz方向のSAP粒子の濃度を示す図である。
【
図7b】比較例のコアのz方向のSAP粒子の濃度を示す図である。
【
図8】例示的なコアの中心層の上部領域におけるSAP粒子のマイクロCTスキャンを示す図である。
【
図9】コアの中心層の中央領域におけるSAP粒子のマイクロCTスキャンを示す図である。
【
図10】コアの中心層の底部領域におけるSAP粒子のマイクロCTスキャンを示す図である。
【
図11】尿透過率測定試験を実施するための好適な透過率測定システムの部分断面側面図である。
【
図12】尿透過率測定試験を実施する際に使用するための、ピストン/シリンダーアセンブリの断面側面図である。
【
図13】
図12に示されるピストン/シリンダーアセンブリでの使用に適したピストンヘッドの上面図である。
【
図14】膨潤相用にフリットディスク上に配置された
図12のピストン/シリンダーアセンブリの断面側面図である。
【
図15】動的有効透過率及び吸収率測定試験を実施するための、好適な透過率測定システムの部分的断面側面図である。
【
図16】動的有効透過率及び吸収率測定試験を実施する際に使用するための、ピストン/シリンダーアセンブリの断面側面図である。
【
図17】
図15に示されるピストン/シリンダーアセンブリでの使用に適したピストンヘッドの上面図である。
【
図18】本発明の吸収性コアを製造するためのプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
序論
本明細書で使用する場合、「含む、備える(comprise(s)、comprising)」という用語は、非限定的(open-ended)である。それぞれは、続いて記載される特徴、例えば構成要素の存在を特定するものであるが、他の特徴、例えば、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に開示される要素、工程、構成要素の存在を除外するものではない。「含む、備える(comprise)」という動詞に基づくこれらの用語は、特徴がその機能を実施する方法に著しく影響を及ぼす言及されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する、「から本質的になる(consisting essentially of)」というより狭義の用語、及び明記されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する、「からなる(consisting of)」という用語を包含すると解釈されるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特に具体的に示さない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。「典型的に」、「通常は」、「好ましくは」、「有利には」、「具体的には」などの語も、特許請求の範囲を限定することが具体的に示されていない限り、特許請求の範囲を限定することを意図しない特徴を修飾する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「不織布」、「不織布層」、又は「不織布ウェブ」は、製織、編成、又は製紙を除く物理的及び/又は化学的手段によって設計されたレベルの構造的完全性を付与された、主に平面状の人工の繊維アセンブリを意味するために互換的に使用される(ISO9092:2019の定義)。一方向に又はランダムに配向された繊維は、摩擦、及び/又は凝集及び/又は接着によって結合される。繊維は、天然起源であっても合成起源であってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されたものでもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満~約0.2mm超の範囲の直径を有し、短繊維(ステープル又はチョップドとして知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、未撚連続フィラメント束(トウ)、及び連続フィラメントの撚糸束(ヤーン)などの、いくつかの異なる形態で提供される。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くのプロセスによって形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常、グラム毎平方メートル(g/m2又はgsm)で表される。
【0015】
吸収性コアの概説
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コア」は、体液、特に尿を吸収及び保持するための吸収性材料を含む個々の構成要素を指す。吸収性コアは、典型的には、吸収性物品の全ての構成要素のうちで最も高い吸収能力を有し、超吸収性ポリマー(本明細書では「SAP」と呼ばれる)粒子のうち全部又は少なくとも大部分を含む。「吸収性コア」及び「コア」という用語は、本明細書では互換的に用いられる。一部の吸収性製品は2つ以上の個別の吸収性コアを含み得るが、典型的には、おむつなどの吸収性製品中には1つのみの吸収性コアが存在する。
【0016】
本発明の吸収性コアは、ほぼ平面状である。ほぼ平面状とは、吸収性コアが平面上で平らに敷かれ、主にx及びy方向に延在し得ることを意味する。吸収性コアはまた、通常薄くて形状適合性があり、その製造プロセスの間に曲面、例えばドラム上に置かれ得るか、又は吸収性物品に加工される前に複数のコアを含む貯蔵材料の連続ロールとして保管及び取り扱いされ得る。
【0017】
説明を容易にするために、
図1の例示的な吸収性コアは、平坦な状態で表現されている。吸収性コアのz方向の高さは、横断方向x及び長手方向yの他の寸法と比較して小さい。特に断りのない限り、本明細書に開示される寸法及び面積は、この平らに広げられた形態のコアに適用される。
【0018】
説明を簡単にするために、本発明の吸収性コア、物品、及びプロセスについて、図面、及びこれらの図面で参照される数字を参照しながら説明する。しかしながら、これらは、特に断らない限りは、特許請求の範囲を限定しようとするものではない。
【0019】
嵩高中心層43
本発明の吸収性コアは、
図1~
図2で最初に例示されるように、嵩高中心層43を含む。用語「嵩高」は、平坦な紙様の布と比較して低密度の嵩高い(bulky)布を指す。嵩高ウェブは、比較的高い多孔度を特徴とする。これは、超吸収性ポリマー粒子が分布することができる繊維の間に比較的多量の空隙が存在することを意味する。本発明の嵩高層(超吸収性粒子を含まない)は、4.14kPa(0.6psi)の圧力下で0.20g/cm
3未満、具体的には0.01g/cm
3~0.20g/cm
3、又は0.05g/cm
3~0.15g/cm
3、又は0.0.10g/cm
3~0.14g/cm
3の範囲の密度を有し得る。本発明の嵩高層(超吸収性粒子を含まない)は、2.07kPa(0.3psi)の圧力下で0.20g/cm
3未満、具体的には0.05g/cm
3~0.15g/cm
3、又は0.08g/cm
3~0.13g/cm
3の範囲の密度を有し得る。本発明の嵩高層(超吸収性粒子を含まない)は、0.83kPa(0.12psi)の圧力下で0.15g/cm
3未満、具体的には0.01g/cm
3~0.15g/cm
3、又は0.05g/cm
3~0.12g/cm
3、又は0.08g/cm
3~0.10g/cm
3の範囲の密度を有し得る。密度は、嵩高層の坪量を、示されるそれぞれの圧力下で測定されたその厚さで割ることによって計算することができる(方法の更なる詳細は下記の「試験手順」の項を参照)。
【0020】
中心層は、好ましくは不織布であるが、他の種類の嵩高材料も除外しない。中心層は、例えばセルロース若しくは綿繊維又はビスコース繊維などの天然繊維と任意選択的に混合された合成繊維を含むか、又はそれからなり得る。中心層は、不織布の他の繊維と一体化されていない遊離セルロース繊維を実質的に含まなくてもよい。吸収性コア中のこうした遊離セルロース繊維の量は、全吸収性コアの10重量パーセント未満であってもよく、若しくは全吸収性コアの5重量パーセント未満であってもよく、若しくは全吸収性コアの1重量パーセント未満であってもよく、又はこうした遊離セルロース繊維を完全に含まなくてもよい。嵩高材料は、嵩高層の少なくとも10重量%、30重量%、50重量%、70重量%、90重量%、及び最大100重量%の合成繊維を含み得る。
【0021】
中心層を形成する繊維は、部分的に又は完全に、比較的弾力性のある合成繊維、具体的にはポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA、例えばナイロン)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)繊維で作製され得る。繊維の直径は、例えば0.01mm~0.50mmの範囲であり得る。
【0022】
中心層43の厚さ、坪量、及び密度は、典型的には、横断方向(x)及び長手方向(y)の両方で均質である。中心層43中の繊維の配向は、例えばカード不織布などにおけるような、繊維の主配向が一方向x又はyであるなど、非均質であり得る。更に、中心層43における厚さ方向zの繊維配向は、方向x及び/又はyの一方又は両方の主配向と対比して異なり得る。嵩高層は、具体的には、4.14kPa(0.6psi)の圧力で測定して、少なくとも0.30mm、具体的には0.30mm~2.00mm、又は0.50mm~1.5mmの範囲の厚さを有し得る(以下でより詳細に説明される試験方法に従って)。嵩高層は、具体的には0.83kPa(0.12psi)の圧力で測定して、0.30mm~2.50mm、又は0.5~2.0mm、又は0.7~1.3mmの範囲の厚さを有し得る(以下でより詳細に説明される試験方法に従って)。嵩高中心層の坪量は、例えば、15gsm~500gsm、具体的には30gsm~200gsm、例えば50gsm~120gsmの範囲であり得る。中心層に関して本明細書で示される値は、分離して採取された、すなわち繊維又はそれに適用された接着剤の間にSAP粒子が堆積される前に採取された嵩高材料について考慮される。吸収性コアが2つ以上の嵩高中心層を含む場合、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
本発明は、特定の種類の不織布又は繊維に限定されないが、好適な不織布層の特定の例は、通気結合カードウェブ(「through-air bonded carded web、ABCW」)である。「結合カードウェブ」とは、概ね機械方向に配向された繊維不織布ウェブを形成するために、短繊維を機械方向に分離して概ね整列させるコーミング又はカーディングユニットから送られる短繊維から作製される不織布を指す。続いてこのウェブを加熱ドラムに引き込み、特定の圧力を加えることなく(通気結合プロセスを通して)布地全体に結合を形成する。TABCW材料は、低密度の嵩高な通気結合カードウェブをもたらす。
【0024】
TABCW材料は、例えば約3~約10デニールの短繊維を含むことができる。こうしたTABCWの例は、国際公開第2000/71067号(KIM DOO-HONGら)に開示されている。TABCWはまた、吸収性物品に使用するための不織布ウェブの通常の供給業者の全て、例えばFitesa Ltd又はFiberweb Technical Nonwovensから直接入手可能である。カード不織布中では、ウェブ内の繊維は主に機械方向に整列されて他の不織布よりも均一な繊維整列を有し、このため特に機械方向でより高い安定性及び内部結合強度が得られる。選択された結合技術は、布地の完全性に影響を及ぼす。通気結合カードウェブは、優れた柔軟性、嵩、及び圧縮性、並びに迅速な裏抜け及び良好な再湿潤を有する。広範囲のデニールにおける合成、天然、及びリサイクル繊維を使用することができる。軟質PE/PP二成分短繊維が特に使用され得る。
【0025】
嵩高層はまた、スパンメルト不織布であってもよい。スパンメルトは、熱可塑性ポリマーからの不織布ウェブの直接的な製造を説明する一般用語である。これは、2つのプロセス、すなわち、スパンレイド(スパンボンドとしても知られる)不織布及びメルトブローン不織布、並びにその両方の組み合わせを包含する。スパンレイドプロセスでは、ポリマー顆粒が溶融され、溶融ポリマーが紡糸口金から押し出される。連続フィラメントが冷却され、コンベヤ上に堆積されて均一なウェブを形成する。一部の残りの温度がフィラメントを互いに接着させる場合もあるが、これは結合の主な方法とみなすことはできない。スパンレイドプロセスは、不織布により高い強度を与える利点を有するが、原材料の柔軟性はより制限される。第2の成分の共押出は、通常、追加の特性又は結合能力を提供するために、いくつかのスパンレイドプロセスで使用される。メルトブローンウェブ形成では、低粘度ポリマーは、紡糸口金から出ると高速の空気流中へと押し出される。これは、溶融物を散乱させ、固化して、繊維ウェブへと分解する。
【0026】
中心層43は、前縁部280と、後縁部282と、2つの長手方向に延在する側縁部284、286と、を備える。前縁部及び後縁部は、典型的には側縁部よりも短い。中心層の前縁部は、コアが組み込まれているか又は組み込まれることになる吸収性物品の前縁部に向かって配置されることが意図される縁部に対応する。超吸収性材料は、中心層の後半部と比較して中心層の前半分に向かってより多くの量で分布し得る。これは、典型的には、コアが組み込まれる物品の前面に向かって排出される流体がより多いためである。長手方向(y)にプロファイルされたSAP分布に加えて、SAPはまた、横断方向(x)にもプロファイルされ得る。当然のことながら、SAPはまた、横断方向(x)及び長手方向(y)に均一に分布してもよく、これは生産を簡素化し、この場合、2つのより短い側部のいずれかを前縁部とみなすことができ、反対側が後縁部となる。吸収性コアは、1つ、2つ、又はそれ以上のこうした嵩高中心層を含み得る。2つの嵩高中心層を含む吸収性コアについて以下でより詳細に論じる。
【0027】
中心層(又は複数の層)は、その細孔内に少なくとも部分的に分布したSAP粒子60の基材としての役割を果たす。SAP粒子は、嵩高層の厚さ全体にわたって実質的に均一にブレンドされ得る。しかしながら、SAP粒子は、垂直方向に不均一に分布してもよい。SAP粒子は、典型的には、不織布の片側上に堆積され、例えば重力又は不織布の反対側にかかる負圧によって嵩高不織布内に引き込まれる。このようにして、一部の粒子は嵩高中心層の表面に近い状態を維持し、その他の典型的にはより小さい粒子は嵩高不織布の繊維ネットワーク内のより深くに浸透し得る。嵩高の細孔内に閉じ込められていないが表面に残っているSAP粒子は、接着剤71又は72の層によって更に固定化され得る。接着剤は、典型的には、まだ粘着性がある間に嵩高中心層と組み合わされる前に、最初に上部層及び底部層に塗布される。典型的には、SAP粒子は、SAPの第1の層60及びSAPの第2の層60’として、嵩高層の各側から嵩高層上に順次適用される。粒子堆積のこのプロセスは、z方向から見たときに少なくとも1つの緩衝ゾーンによって分離された密度の2つ以上のピークを含むSAPのz分布パターンを中心層の内側にもたらし得る。こうした分布は、一方の側にSAPを堆積させることによって得られたが、SAPの2つの層が嵩高層内に連続的に分布している
図2a~2cに示される吸収性コアを表すと思われる、
図6~10の実施例の吸収性コアに示されている。
【0028】
上部層41及び底部層42
嵩高中心層43は、上部層41と底部層42との間に挟まれている。上部層41は、吸収性物品の着用者に面する側面の最も近くに配置されることを意図したコアの側上にある。したがって、上部層は液体透過性であるため、使用中に流体が上部層を介して中心層に容易に到達することができる。底部層は、中心層の反対側に位置付けられる。これは液体透過性であっても液体不透過性であってもよい。上部層及び底部層は、コア及び物品製造プロセス中、及び/又は吸収性物品の使用中にSAP粒子が嵩高から落下するのを防止するために、中心層の両側面にカバーを提供する。
【0029】
上部層及び底部層は、従来のコアの生産に一般的に使用されるような、比較的薄く安価な材料で作製され得る。上部層及び底部層は、例えば、5~100gsm、具体的には10~40gsmの範囲の坪量を有するティッシュペーパー(エアフェルト又は湿式)であり得る。上部層及び底部層はまた、カード不織布、スパンボンド不織布(「S」)、又はメルトブローン不織布(「M」)などの、5gsm~30gsmの坪量を有する低坪量の不織布ウェブ、及びこれらのいずれかの積層体から形成され得る。例えば、スパンメルト法で製造したポリプロピレン不織布、具体的には、積層ウェブSMS、又はSMMS、又はSSMMS構造を有し、約5gsm~20gsmの範囲の坪量を有する不織布が好適である。こうした材料は、例えば、米国特許第7,744,576号、米国特許出願公開第2011/0,268,932(A1)号、同第2011/0319848(A1)号、及び同第2011/0,250,413(A1)号に開示されている。不織布材料は、典型的には本質的に疎水性であり、したがって、上部層は、例えば当技術分野で既知の界面活性剤又は他の方法でそれを処理することによって親水性になるように処理され得る。上部層及び底部層は同じ材料で作製されても異なる材料で作製されてもよく、任意選択的に、上部層が底部層よりも高親水性となるように上部層又は底部層に異なる処理が施されてもよい。
【0030】
上部層41は、
図2bに示すように、この過剰な材料がコアの長手方向側縁部284、286の周りに折り畳まれて底部層42上にCラップシールを形成することができるように、底部層42より広くあってもよい。あるいは、
図2cに示すように、底部層42が、この過剰な材料がコアの長手方向側縁部284、286の周りに折り畳まれて上部層41上にCラップシールを形成することができるように、上部層41より幅広であってもよい。
【0031】
上部層及び底部層に加えて、吸収性コアは、
図3に示すように、コアの長手方向に延在する側縁部284、286の周りにCラップを形成する包装層3を更に備えることができる。「Cラップ」とは、層が少なくともコアの上部側又は底部側を覆い、その側縁部に沿って延在して、典型的には粘着によって続いてコアの反対側上に折り畳まれて取り付けられるフラップを形成することを意味する。したがって、包装層3は、Cの文字と似た断面を有し得る(90°回転したとき)。Cラップ構造は、吸収性物品の作製又は着用中にSAP粒子を収容することを更に助け得る。包装層は、例えば5~40gsm、具体的には8~25gsmの坪量を有する低坪量不織布層、具体的にはSMS不織布で例えば作製され得るが、当然ながら他の材料も可能である。包装層3は、コアの底部側から延在し、コアの上部側上に折り畳まれたフラップを有するように
図3に表されている。C包装層3が上部側から延在してフラップが底部側上に折り畳まれる反転構成も可能である。折り畳まれたフラップは、コアの長手方向に延在する側縁部の近くで終端して取り付けられてもよく、あるいはそれらがもう一方に重なって取り付けられるように表されているより長くてもよい。Cラップ構造は、コアの長手方向に延在する側縁部に沿って横断方向に延在し、包装層3に関して説明したようにフラップを形成する上部層又は底部層のうちの1つによって形成され得ることも考えられる。包装層の存在は任意選択的であるが、特に上部層及び底部層がそれらの長手方向側面に沿って封止されていない場合に特に好ましい。
【0032】
上部層41及び/又は底部層42は、中心層43に取り付けられ得る。粘着剤の層71は、例えば上部層と中心層43との間に塗布され得る。任意の種類の従来の粘着剤及び粘着剤塗布方法を使用することができる。典型的には、2つの層が取り付けられるように2つの層を密接させる前に、層のほぼ表面全体にホットメルト粘着剤を噴霧することができる。粘着剤は、接触法によって層、この場合は具体的には上部層又は底部層のうちの1つに、典型的には一連の平行な粘着剤の細い線を機械方向(y方向)にスロットコーティングすることによって適用され得る。粘着剤の層72も、底部層42と中心層43との間で同様に適用され得る。これらの粘着剤の層はまた、コアの作製中に中心層内に浸透していない乾燥状態のSAP粒子を固定化することができるという利点を有する。
【0033】
超吸収性材料粒子60
中心層は、嵩高層の繊維内に少なくとも部分的に分布した粒子60の形態の超吸収性ポリマーを含む。本明細書では、用語「超吸収性ポリマー」(本明細書では単数形及び複数形で「SAP」と略される)は、遠心保持容量(CRC)試験(EDANA法NWSP241.0.R2(19))を用いて測定して、その重量の少なくとも10倍の0.9%生理食塩水溶液を吸収することができる吸収性材料を指す。SAPは、好ましくは、少なくとも15g/gのCRC値を有する。本発明のSAPは、35g/g未満、具体的には32g/g未満のCRCを有し得る。
【0034】
SAPは、典型的には水不溶性であるが、大量の流体を吸収することができる水膨潤性架橋ポリマーである。SAPは、乾燥状態で流動性があるような粒子形態である。典型的な粒子状SAPはポリアクリレートポリマーであるが、他のポリマー材料も使用され得ることは除外されない。例えば、澱粉系の粒子状吸収性ポリマー材料、並びにポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルの澱粉グラフトコポリマーも使用されてもよい。
【0035】
SAPは、内部及び/又は表面架橋されたポリアクリレート及びポリアクリル酸ポリマーであってもよい。本発明の超吸収性ポリマーは、内部及び表面架橋されたポリアクリレート及びポリアクリル酸ポリマーから選択され得る。超吸収性ポリマーは、内部架橋されることができ、すなわち重合は、ポリマーネットワークへとフリーラジカル共重合され得る2つ以上の重合可能な基を有する化合物の存在下で実施される。先行技術の例示的な超吸収性ポリマー粒子は、例えば、国際公開第2006/083584号、同第2007/047598号、同第2007/046052号、同第2009/155265号、同第2009/155264号に記載されている。好ましくは、SAP粒子は、ポリアクリル酸若しくはそれらの塩又はポリアクリレート若しくはそれらの誘導体の架橋ポリマーを含む。
【0036】
SAP粒子は、その乾燥状態で比較的小さくてもよく(その最長寸法が1mm未満)、形状が略円形であってもよいが、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに他の形状及び形態も当業者に既知である。一般的に、SAPは球状粒子の形態であってよい。したがって、吸収性材料は、嵩高不織布内に分布するSAPからなるか、又は本質的にそれからなり得る。
【0037】
SAP粒子の少なくとも一部分は、例えば欧州特許第3,391,961(A1)号(Kamphus、P&G)に教示されているように凝集され得る。凝集した超吸収性ポリマー粒子は、様々な方法によって得ることができる。凝集粒子は、例えば、前駆体粒子のポリマー材料と反応した粒子間架橋剤で前駆体粒子を凝集させて、前駆体粒子間に架橋結合を形成することによって得ることができ、これは、例えば米国特許5,300,565号、同第5,180,622号(どちらもBerg)、同第5,149,334号、同第5,102,597号(どちらもRoe)、同第5,492,962号(Lahrman)で開示されている。凝集SAP粒子を得るための他の方法は、例えば、欧州特許第3056521(B1)号(Kimら)、欧州特許第1512712(B1)号(Kojiら)、米国特許第10414876(B2)号(Jangら)、米国特許第7429009(B2)号(Nagasawaら)、欧州特許第220224911号(Higashimotoら)、欧州特許第2011803(B1)号(Handaら)に記載されている。
【0038】
凝集した超吸収性ポリマー粒子は、超吸収性ポリマー粒子を提供する工程と、超吸収性ポリマー粒子を水及び3以上の価数を有する多価塩を含む溶液と混合する工程とを含む方法によっても得ることができる。この方法は、欧州特許第2,944,376(A1)号で更に開示されている。
【0039】
本発明のコアの超吸収性ポリマー粒子は、具体的には、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%の凝集超吸収性ポリマー粒子を含み得る。
【0040】
好適な前駆体超吸収性ポリマー粒子は、例えば、米国特許第4,340,706号及び同第5,849,816号に記載される逆相懸濁重合、又は米国特許出願公開第2009/0192035号、同第2009/0258994号、及び同第2010/0068520号に記載されるスプレー相分散重合若しくは他の気相分散重合から得ることができる。いくつかの実施形態では、好適な前駆体超吸収性ポリマー粒子は、国際公開第2006/083584号の12頁23行目~20頁27行目でより詳細に説明される生産プロセスによって得ることができる。
【0041】
SAP粒子の表面はコーティングされ得る。SAPの表面は表面架橋され得る。SAP粒子はまた、表面及び/又は縁部改質された粘土小板を含み得る。好ましくは、粘土小板は、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイト、又はそれらの混合物である。好ましくは、粘土小板はラポナイトである。SAPは、前駆体超吸収性ポリマー粒子の重量と比較して、表面及び/又は縁部が改質された粘土小板を0.1~5重量%含み得る。
【0042】
本発明の第1の態様では、コアに使用されるSAPは、下記のSAP K(t)試験法によって測定して220秒未満の20g/gの吸収に達するまでの時間(SAP T20)を有する。SAPは、具体的には100秒~220秒のSAP T20を有し得る。SAP T20値は、200秒未満、又は180秒未満、又は160秒未満であり得る。時間T20はまた、少なくとも100秒、104秒、120秒、又は140秒、及び例えば100秒~200秒の範囲を形成するこれらの上限値及び下限値の任意の組み合わせであり得る。
【0043】
必要なSAP T20を有するSAPは、例えば、104秒~211秒の範囲のT20を有するSAPを開示する国際公開第2015/041,784(A1)号の教示を用いて合成することができる。必要なSAP T20を有するSAPはまた、従来のSAP供給業者から直接入手することもできる。例えば、以下の本発明の実施例は、Amazonを介して購入した、165秒の測定されたSAP T20を有する、製品名SCHAUCH HVDE 235、「Der Alleskoenner」のSAPを使用する。
【0044】
特に指示がない限り、SAPを適格にするために本明細書で示される値(例えば、SAP T20、CRC、AAP...)は、吸収性コア内で使用されるSAP全体の特性を指す。例えば、第1の層60及びSAPの第2の層60’がコアを作製するために使用され、使用されるSAPが各層で異なる場合、コアのSAPを適格にするための値はこれら第1及び第2のSAPの平均値に基づく。実際には、コアに使用される割合で異なるSAPのブレンドを使用して測定を行う。
【0045】
嵩高吸収性コアは開放細孔構造を有するため、この特性の利点を取るためにより低い透過性のSAPが有利に使用され得ることが示唆されている(例えば、国際公開第2016/106,021(A1)号を参照されたい)。しかしながら、これには欠点がないわけではない。本発明者らは、使用中に液体が侵襲点から吸収性コアの前部及び後部に向かって急速に拡散し得ることを見出した。したがって、尿は前端部及び後端部を介して吸収性コアから逃れて漏れをもたらすか、あるいは、少なくとも吸収性コアの前後により高い再湿潤のゾーンを作り出して不十分な乾燥及び着用者の快適性の欠如をもたらす場合がある。本発明者らは、今回、以下の実施例で例示されるように、比較的低いSAP T20値を有するSAPを使用すると、この望ましくない液体拡散の欠点が成功裏に対処され得ることを見出した。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、低いSAP T20値が、SAP粒子が密接している、且つ/又は圧力下にある場合でも流体を迅速に吸収することができるSAPの特徴であり、これが、他の種類のSAPと同様に、吸収性コアの長手方向にまで流体が拡散することを防ぐと考えている。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、流体は接触領域において粒子内に自由に浸透することができず、中心層の繊維ネットワークが膨潤するSAP粒子上に膨潤の制約を生じさせるため、中心層の繊維に対するSAP粒子の接触がSAP粒子の吸収速度を制限しているものと考えている。本発明者らは、SAP T20値の低いSAPが、中心層の繊維ネットワークのこの悪影響を克服する能力を有するものと考える。本発明者らは更に、適度な圧力に対抗して作用するSAP粒子の能力を発現するのに典型的に使用されている0.3psiにおけるAAPなどの他の特性は、本発明の利益を達成するのに好適ではないものと考えている。
【0046】
SAP K(t)試験法も、本発明で同様に有利に使用され得る他のSAPパラメータを判定するのに有用である。20分でのSAPの吸収(U20)は、具体的には、本明細書で開示されるSAP K(t)試験法に従って測定して、少なくとも22g/g、若しくは少なくとも24g/g、若しくは少なくとも28g/g、若しくは少なくとも30g/g、又は28g/g~60g/g、若しくは30g/g~50g/g、若しくは30g/g~40g/gであってよい。SAPは、SAP K(t)試験法に従って測定して、少なくとも1×10-8cm2、若しくは少なくとも2×10-8cm2、若しくは少なくとも2.5×10-8cm2、又は3×10-8cm2~1×10-7cm2、若しくは2×10-8cm2~7×10-8cm2、若しくは2.5×10-8~5×10-8cm2の、20分での有効透過率(SAP K20)を有し得る。
【0047】
SAPはまた、SAP K(t)試験法に従って測定して0.75超、又は0.8超、又は0.85超の最小有効透過率と20分時点での透過率との比(SAP Kmin/SAP K20比)を有し得る。こうした実施形態では、一過性ゲルブロッキングは最小であり、液体滲出物は、全膨潤プロセスを通して、特に第1の噴出にとって最も重要である膨潤相の初期部分において、粒子間に存在する空隙を通して速く移動することができる。
【0048】
超吸収性ポリマー粒子は、10を超える、若しくは好ましくは15を超える、若しくは20を超える、若しくは30を超える、若しくは45を超える、又は10~200、若しくは15~100、若しくは30~80UPM単位の、UPM(尿透過率測定’(Urine Permeability Measurement))値として表される平衡状態での透過率を更に有してもよく、ここで1UPM単位は、1×10-7(cm3秒)/gである。UPM値は、本明細書に記載されるUPM試験法に従って測定される。この方法は、先行技術によるSFC試験方法と密接に関連している。UPM試験法は、典型的には、超吸収性ポリマー粒子の予備膨潤層の流動抵抗を測定し、即ち、流動抵抗は平衡状態で測定される。したがって、高UPM値を有するかかる超吸収性ポリマー粒子は、吸収性物品の有意な容積が、液体滲出物によって既に湿潤している場合に、高い透過率を呈する。これらの実施形態は、第1の噴出のみでなく、後続の噴出においても良好な吸収特性を呈する。
【0049】
また、吸収性コア中に存在するSAPの合計量は、想定される物品の使用者によっても変動し得る。新生児用おむつは、乳幼児用又は成人用失禁おむつと比べて必要なSAPが少ない。コア中のSAPの量は、例えば、典型的な乳幼児用おむつでは約2g~50g、具体的には5g~40gをなしてもよい。吸収性コア内の平均SAP坪量は、例えば、少なくとも50、100、200、300、400、500g/m2以上、又は200~400g/m2であり得る。
【0050】
SAP垂直分布
SAP粒子は、好ましくは嵩高中心層に不均一な垂直分布を有する。不均一とは、コアのz方向の平面SAP濃度が嵩高不織布の厚さを通して一定ではないが、SAP濃度がz方向で平均値に対してプラス又はマイナス10%を超えて、特にプラス又はマイナス20%を超えて変化することを意味する。本明細書で意味するところの平面濃度は、吸収性コアのxy方向を備える平面における直径20mmの吸収性コアの円形ゾーンの平均平面濃度である。SAP粒子の平面濃度は、具体的には吸収性コアのz方向における多峰性分布、特に二峰性分布を有し得る。二峰性とは、コアの厚さに沿ったSAP粒子の濃度が少なくとも2つのピークを含み、ピークが、2つの隣接するピークの最低濃度と比較して40%未満、特に30%未満のSAP濃度を有する谷によって分離されることを意味する。こうした分布は、
図7aの図によって示されており、マイクロCT分析により所与の試料について決定され得る。多峰性とは、SAP粒子の濃度のz分布が、こうしたピークのうち2つ以上を含むことを意味する。
【0051】
本発明の例示的なコアのマイクロCT分析によって得られた二峰性分布を
図6~
図10に示す。CTは、コンピュータ断層撮影の略語であり、「マイクロ」は、非常に低い分解能が到達され得ることを意味し、これは、SAP粒子の位置を測定するのに好適である。CT技術はX線を使用して対象体の内部を見ることができ、多くのX線投影が試験体の周りで様々な角度から行われて試験体中の断層画像を生成する。これは、医療用途における従来の診断方法である。今日では、あらゆる材料又は成分がCTで検査され得るため、CTの応用分野は多様且つ広範囲である。科学及び産業界におけるCTの主な応用分野は非破壊試験である。
【0052】
図6a~cは、下記で詳述される本発明の吸収性コアのマイクロCTスキャンの結果を例示的な断面で示す。直径26mmの円形試料を吸収性コアの中央から切り取り、
図6aで見られる視野は円形試料の中心の20mm直径のものである。スキャンの空間分解能は10μmである。マイクロCTスキャンは、スキャンされたデータのコンピュータ処理を可能とし、また、xz平面(
図6b)及びyz平面(
図6c)に投影することができる。中心層内のSAP濃度分布の二峰性はこれら
図6a~cで既に可視であり、ここでは2つの個別の層が、低SAP濃度ゾーンによって分離されたより高いSAP濃度を有する。画像分析を使用して、z方向の試料の視野のSAP平均平面濃度に比例する濃淡値を示す図をプロットすることができる。
図7aを参照されたい。横軸は、試料の表面からの垂直距離z(100=1mm)を示し、垂直軸は、報告された上面からの距離zに対するSAPの平均平面濃度に比例する濃淡値を示す。
図7a、bに示される濃淡値の相対差は、SAPの平面濃度の相対差に対応する。例えば、20%高い濃淡値(
図7a、bにおけるような)は、SAPの20%高い平面濃度に対応する。
【0053】
この図から分かるように、SAP分布は、コアの上部側から約0.6mmの位置に存在し、3338の濃淡値を有する第1のピークP1、及び2897の値でコアの上部側から約3.6mmの位置にある第2のピークP2を有する二峰性である。ピークP1とピークP2との間には、530の値を有する谷V1が存在する。ピークの相対的高さを測定するために使用される濃淡値(
図7aで使用される)は、較正されていないが、試験体の局所密度と直接相関しており、したがってSAPの平面濃度と直接相関している任意の単位である。したがって、
図7aの図は、様々なz値における、すなわちコアの垂直軸(厚さ方向)の様々な位置におけるピーク及び谷の相対値を比較するために使用され得る。
【0054】
図8は、第1のピークP1を包含する、中心層の最初の1mmを包含する第1の断面61に存在するSAPのxy平面の図である。
図9は、谷V1の領域における中心層の第2の1mm厚断面62中のSAPを示す。
図10は、第2のピークP2を包含する、中心層の第3の1mm厚断面中に存在するSAPを示す。
【0055】
上記で指摘したとおり、二峰性とは、谷(V1)の測定値が、2つの隣接するピークの最低値(P1、P2の最低値を取る)よりも40%未満、具体的には30%未満であることを意味する。示される実施例では、谷V1は、隣接するピークの最低値の約18.3%(530/2897*100%)であるSAP濃度を有する。比較すると、以下で開示される比較例における分布は、約8400の任意単位で第1のピークP1’と、約3000の任意単位で第2のピークP2’と、約1500の任意単位でその間の谷V1’とを有しており、したがって谷は最低隣接ピークの約50%である。
【0056】
吸収性コアの特性
吸収性コア中のSAPのSAP T20値を測定する代わりに、又はそれに加えて、K(t)試験法は、吸収性コアの特性を直接測定するように適合され得る。以下でより詳細に説明される吸収性コアK(t)試験法において詳細に論じられるとおり、コアの特性はコアの中心で取られた円形試料上で測定される。
【0057】
具体的には、このようにして、吸収性コアのT15及び透過性K20(コアT15、コアK20)を測定することができる。コアの総容量に対する吸収速度を測定するコアT80%などの他のパラメータも測定することができる。
【0058】
本発明の吸収性コアは、200秒未満、特に180秒未満又は150秒未満の15g/gの吸収に達するまでの時間(コアT15)を有し得る。コアT15は、任意選択的に、少なくとも80秒、又は100秒、又は120秒、及びこれらの境界のいずれかから構成される任意の範囲、例えば100秒~180秒未満、又は120秒~150秒未満であり得る。
【0059】
コア透過率(コアK20)は、本明細書に記載の吸収性コアK(t)試験法に従って測定して、6.0×10-8cm2超、具体的には8.0×10-8cm2超、及び例えば6.0×10-8cm2から最大で40×10-8cm2、又は8.0×10-8cm2から最大で19×10-8cm2であり得る。
【0060】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、低いコアT15値は、吸収性コアの空隙容量内だけでなく(毛細管貯蔵)、吸収性コアに含まれるSAP粒子内にも流体を迅速に吸収する(浸透圧貯蔵)ことができる吸収性コアの特徴であると考えている。本発明者らは、嵩高繊維間の毛細管貯蔵とSAP中の浸透圧貯蔵との間のバランスを改善することで、流体侵襲の捕捉速度が速く、優れた漏れ防止をもたらし、乾燥によって着用者に快適性を提供する、吸収性コアが提供されると考えている。浸透圧で貯蔵されている流体は再湿潤に寄与しないため、着用者にとってより良好な乾燥及びより良好な快適性をもたらし、また、局所的に固定化されているため、他の種類の吸収性コアと同様に、吸収性コアの長手方向の遠方での流体の拡散が減少する。
【0061】
更に、コアに含まれるSAP粒子のCRC、又は、より正確にはコアに含まれるSAP粒子のCRCと吸収性コア内のSAP粒子の量の積、によって表される浸透圧能力は、本発明の吸収性コアにおける毛細管貯蔵と浸透圧貯蔵とのバランスを効率的に取るコアの能力を説明するのに適していない。
【0062】
本明細書に記載される吸収性コアK(t)試験法は、適度な圧力及び動的挙動下でのコアの特性を測定する。本発明者らは、このバランスは、吸収性コアK(t)試験法によって嵩高コアに関して確実に測定され得ることを見出した。本発明者らは、15g/gに達するまでの時間(コアT15)が、毛細管貯蔵と浸透圧貯蔵との間で優れたバランスを有する吸収性コアの特徴であると考える。
【0063】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、高いコアK20値は、特に膨潤状態において高い流体透過率を有する吸収性コアの特徴であると考えている。膨潤状態におけるこうした高いコア透過率により、適度な圧力下でさえも、例えば液体侵襲後の負荷を受けた吸収性コアへの流体の取り入れが確実となる。本発明者らは、高いコアK20値が、吸収性コアの上部に最小限の液体流を有するコアを特徴付けると考えている。吸収性コアの上部のこの自由液体流を回避することで、他の種類の吸収性コアと同様に、吸収性物品の上部層における吸収性コアの長手方向への液体の拡散が制限される。これにより、着用者により良好な乾燥及びより良好な快適性がもたらされる。
【0064】
追加のパラメータは、吸収性コアK(t)試験法を使用して測定され得る。本発明の吸収性コアは、270秒未満、特に260秒未満又は255秒未満の20分後の総吸収率の80%に達するまでの時間(コアT80%)を更に有し得る。コアT80%は、任意選択的に、少なくとも150秒、又は180秒、又は220秒、及びこれらの境界のいずれかから構成される任意の範囲、例えば150秒~270秒未満、又は180秒~260秒未満であり得る。
【0065】
本発明の吸収性コアは、550秒未満、特に500秒未満又は450秒未満の20g/gの吸収に達するまでの時間(コアT20)を有し得る。コアT20は、任意選択的に、少なくとも200秒、又は300秒、又は350秒、及びこれらの境界のいずれかから構成される任意の範囲、例えば300秒~550秒未満、又は360秒~500秒未満であり得る。全体としての吸収性コアの密度もまた、吸収性コアK(t)試験法を実施する際に測定することができる。吸収性コアは、0.2g/cm3~0.6g/cm3未満、特に0.3~0.5g/cm3未満の密度を有し得る。密度は、吸収性コアK(t)試験法で示されるように0.3psiで測定される(下記を参照)。
【0066】
作製方法
吸収性コアを作製するための例示的な連続プロセスを
図18に示す。上述のプロセス及び装置は、一般に、中華人民共和国特許第101797201号、又は国際公開第2020/025401号(BASF、Geら)の
図3で開示されているものと同様である。この図の様々な矢印は、生産流れプロセス中の様々なロール解放シリンダー及びロール巻取シリンダーの回転方向、並びに製造材料の走行方向を表す。当然ながら、他のプロセス及び修正も可能である。
【0067】
図18に示すように、吸収性コアを作製するための装置は、底部層ウェブ巻出機6と、底部層粘着剤噴霧ヘッド7と、嵩高中心層ウェブ巻出機8と、第1のSAP粒子ディスペンサ9及び任意選択的な真空吸引ボックス10と、第1のローラ11及び12の対と、第2のSAP粒子ディスペンサ13及び任意選択的な真空吸引ボックス14と、上部層ウェブ巻出機15と、上部層噴霧ヘッド16と、第2のローラ17及び18の対と、トリミングナイフ19、20と、製品ロール巻取ローラ21と、を含み得る。
【0068】
第1及び第2のSAP粒子ディスペンサ9、13の両方とも、製品ロール巻取ローラ21の線速度と一致する振動周波数を維持し、且つ堆積されたSAPが嵩高ウェブ43上に概ね均一に分布していることを確実にするように調整された周波数変化及び速度調整装置(
図18には描かれていない)を備え得る。
【0069】
生産中は、底部層材料42のロール、例えば、紙又は不織布のロールが、底部層ウェブ巻出機6上に設置される。嵩高不織布布地ロール43は、中心層ウェブ巻出機8上に設置される。嵩高中心層の初期密度及び厚さは、以下でより詳細に説明される原材料厚さ及び密度測定法で都合よく測定することができる。
【0070】
SAP粒子が、第1及び第2のSAP粒子篩板9及び13に投入される。紙又は不織布ロールであり得る上部層材料41のロールは、上部層ウェブ巻出機15上に設置される。吸収性コアを作製する連続プロセス中、底部層42は、噴霧ヘッド7を通過して一方の側に粘着剤72を塗布された後、第1のプレスローラ11と12との間で中心層43に取り付けられる。嵩高不織布中心層43は、第1のSAPディスペンサ9及び真空吸引ボックス10を通過し、ここでSAP粒子60’は中心層内に堆積され、第1の側から中心層の繊維内に少なくとも部分的に分布している。底部層材料6が中心層43の第1の側に最初に取り付けられ、その後、SAP粒子60が中心層の繊維上に堆積され、その間でブレンドされることも可能である。
【0071】
底部層42及び中心層43がローラ11と12との間で一緒に押圧された後、これらの組み合わされた層は、第2のSAP粒子篩板13と真空吸引ボックス14との間を任意選択的に通過し得、第2のSAP粒子篩板13及び真空吸引ボックス14は協働してSAP粒子を中心層の第2の表面上に堆積させ、この第2の表面から中心層の繊維内のSAP粒子をブレンドする。粘着剤噴霧ヘッド16によって接着剤72を塗布された上部層41は、続いて中心層に接合されて、2つのプレスローラ17と18との間で中心層の第2の表面を覆う。当然のことながら、前述においては、上部層及び底部層は互換的に使用されてもよい。
【0072】
プレスローラ17及び18は、実質的に平坦な表面を有してもよく、又はこれらは、余分な圧力及び熱がコア上に適用されるべきである上昇した領域を有してもよい。これらの上昇した領域はチャネル領域と同一の空間を占め、したがって、チャネルゾーン26内で機械的結合、超音波結合、及び/又は熱結合を提供することができる。プレスローラ11~12、17~18は加熱され得る。ローラが長手方向側縁部及び/又は後縁部及び前縁部(360度外周)コアに沿って上昇した領域を有することも可能である。これらのゾーンでは、チャネルゾーン26のようにSAPがない場合により良好な結合が達成され得る。トリミングナイフ19及び20は、吸収性コア材料の流れが最終的に製品ロール巻取ローラ21によって吸収性コア材料のロールへと圧延される前に、吸収性コアの連続バンドの長手方向側縁部をトリムするために提供され得る。
【0073】
こうして形成された吸収性コア材料のロールは、物品生産現場に貯蔵又は輸送され得、そこで更に吸収性製品へと加工され得る。ロールを形成する代わりに、吸収性コア材料の流れが加工ラインに直接供給され得ることもまた可能であり、その場合、吸収性コアは、それらの前縁部及び後縁部に沿った切断によって個別化される。
【0074】
包装層3(
図18には示されていない)はまた、吸収性コアの側縁部を通るSAPの損失を防止するために、
図5に関連して示され考察されるようにコア材料が圧延されて上部、中心、及び底部層に巻き付けられる前に供給されてもよい。代替的なかかる包装層はまた、コア材料ウェブを更に加工する際にコアに取り付けられてもよい。
【0075】
二重嵩高不織布層431、432を備えたコア28b
前述の吸収性コア28は単一の嵩高不織布層を含むが、吸収性コアが上部層と底部層との間に2つ(以上)の嵩高不織布層を含むことも可能である。これは、例えば
図4に示されており、ここで第1の中心層431及び第2の中心層432を含む吸収性コア28bは、上部層41と底部層42との間に挟まれて示されている。
【0076】
したがって、吸収性コア28bは、第1の中心層431及び第2の中心層432を備え得、これらの各々は、例えば、嵩高中心層の細孔内に少なくとも部分的に分布した3つ以上の超吸収性ポリマー粒子層60、60’、60’’を含む嵩高繊維不織布層である。2つ(以上)の嵩高中心層は、同じ材料又は異なる嵩高不織布から構成され得る。例えば、上部中心層における透過率は、低坪量嵩高を使用することによって強化され得、柔軟性は、より高密度の嵩高材料を含む底部層で強化され得る。当然ながら、その他の構成も可能である。2つ以上の2つの中心層は、コアのx、y平面において均等な寸法であり得るが、これらは異なる長さ及び/又は幅を有してもよい。不均等な長さの2つの中心層は、吸収性コアに沿って異なる量のSAPを提供するのに有益であり得、例えば、第2の層パッチ上に切断及びスリットユニットを追加することによって、それを第1の層と組み合わせる前に作製され得る。
【0077】
2つの嵩高中心層が異なる種類のSAP、例えば、上部層41により近い第1の中心層431の上部側の第1のSAP層60内に堆積されたより高速吸収性のSAP(より低いSAP T20、より高いUPM値)、及び/又は底部層42により近い第2の中心層432内に少なくとも部分的に分布された第2のSAP層60’若しくは第3のSAP層60’’内のより吸収性の高いSAP(より高いCRC)を含み得ることも考えられる。2つの嵩高層内のSAPはまた、吸収速度(SAP T20)、容量(CRC、AAP)、及び透過率(UPM)が異なっていてもよく、あるいは同じであってもよい。
【0078】
二重嵩高不織布層を含む吸収性コアは、上記で開示される方法のうちの1つから適合された方法によって作製されてもよく、例えば第1及び第2の嵩高中心層431、432を提供するために2つの個別の嵩高層解放シリンダーが記載されている国際公開第2016/106021(A1)を参照されたい。別の方法として、二重幅を有する嵩高ウェブを使用してもよく、こうした大きな幅のロールが解放後に機械方向で2つの半部分に切断されて嵩高不織布材料の2つの流れを提供することができ、続いてこれらに別々にSAP粒子が堆積される。続いて、嵩高材料431、432の2つの流れは、それぞれ上部層及び底部層と別々に組み合わされてもよく、上部層及び底部層のそれぞれが、好適なSAP堆積装置を介してそれらの上にSAP粒子60を堆積させている。
【0079】
吸収性物品20
吸収性コアは、任意の種類の個人衛生物品、具体的にはパンツ型おむつ及びテープ式おむつ、並びに洗浄可能な外側カバー及び使い捨てインサートを備えるハイブリッドシステム中のインサートに組み込まれ得る。おむつ吸収性物品20の主要な構成要素のいくつかを示す概略断面図を
図5に示す。この図では、
図3の吸収性コア(包装層3を含む)が示されているが、これは当然ながら限定するものではなく、例示に過ぎない。吸収性物品は、典型的には、それらの外周に沿って互いに取り付けられた、着用者に面する流体透過性トップシート36及び衣類に面する液体不透過性バックシート38を備える。吸収性コアは、これらの層の間に配置され、典型的には粘着又は熱/圧結合によって、これらの層に直接的及び間接的に取り付けられ得る。
【0080】
トップシート36は、順応性があり、柔らかな感触で、着用者の皮膚を刺激しないものであることが好ましい。更に、トップシートの少なくとも一部は、液体透過性であり、液体が容易にその厚さを浸透できる。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、又は天然繊維(例えば、木材繊維若しくは綿繊維又はビスコース)、合成繊維若しくはフィラメント(例えば、ポリエステル繊維、若しくはポリプロピレン繊維、若しくは二成分PE/PP繊維、又はこれらの混合物)、若しくは天然繊維と合成繊維との組み合わせの織布若しくは不織布材料などの広範な材料から製造することができる。トップシートが繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド繊維、カード繊維、ウェットレイド繊維、メルトブローン繊維、水流交絡繊維、又は具体的にはスパンボンドPP不織布のように当該技術分野で既知の方法で処理されたものであってよい。典型的なおむつのトップシートの坪量は、約10gsm~約28gsmであり、特に約12gsm~約18gsmであるが、他の坪量も可能である。
【0081】
バックシート38は、典型的には、液体(例えば、尿)不透過性である。バックシートは、例えば、約0.10mm未満の厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであるか、又はそれを含んでもよい。例示的なバックシートフィルムとしては、Tredegar Corporation(Richmond,VAを拠点とする)によって製造され、CPC2フィルムの商標で販売されるものが挙げられる。その他の好適なバックシート材料としては、物品から蒸気を逃し、一方で滲出物がバックシートを通過することを防ぐ通気性材料を挙げることができる。カバーである低坪量の不織布は、フィルムの外側表面に貼付されて、より柔らかな感触を提供することができる。
【0082】
吸収性物品はまた、トップシート36の真下に液体管理層54(流体捕捉層又は流体分布層とも呼ばれる)を含み得る。こうした層の機能は、着用者に面する側面から遠ざかるトップシートからの流体を迅速に捕捉すること、及び/又は流体が吸収性コアによってより効率的に吸収されるようにより広い面積に分布させることである。こうした液体管理層がバックシートと吸収性コアとの間に配置され得ることも可能である。更なる層4は、液体管理部54と吸収性コア28との間に存在し得る。更なる層4は、別のこうした捕捉層又は分布層であってもよく、又は、SAP粒子がコアの外側に逃げることを回避するために吸収性コア28の追加の包装を提供するティッシュペーパー又は低坪量NW層であってもよい。
【0083】
おむつ又はトレーニングパンツのような吸収性物品は、典型的には、着用者の脚部周囲における物品のフィット性を改善する構成要素、具体的にはバリアレッグカフ32及びガスケットカフ34を更に含み得る。バリアレッグカフは、一片の材料、典型的には不織布から形成され得、これは、物品の残部に部分的に結合され、且つトップシートによって画定される平面から部分的に隆起し、したがって直立し得る。バリアレッグカフは、典型的にはトップシート及び/又はバックシートである物品の残部に接合された近位縁部、並びに着用者の皮膚と接触して封止を形成することが意図される自由端縁部によって典型的に境界が定められる。カフの直立部分は、典型的には、弾性要素、例えば、1つ又は複数の弾性ストランド35を備える。バリアレッグカフは、概ね着用者の胴体と脚との接合部において、液体及び他の身体滲出物の改善された収容をもたらす。
【0084】
バリアレッグカフに加えて、物品は、吸収性物品のシャーシとして同じ平面内に形成され、具体的にはトップシート又はバリアレッグカフとバックシートとの間に少なくとも部分的に封入され得、また直立するバリアレッグカフに対して横方向外向きに配置され得るガスケットカフ34を備え得る。ガスケットカフは、着用者の太腿の周りにより良好な封止をもたらすことができる。通常、各ガスケットレッグカフは、例えばトップシートとバックシートとの間の脚部開口部の領域内でおむつのシャーシに含まれる、1つ以上の弾性ストリング又は弾性要素33を含む。
【0085】
吸収性物品はまた、おむつ、トレーニングパンツ、交換式インサート、又は成人用失禁製品(これ以上は示さない)に見られる他の典型的な構成要素を含み得る。吸収性物品を着用者上に保持するために吸収性物品の周囲に横方向の張力を付与するため、テープ式おむつ用の着脱可能な締着システムを提供してもよい。この締着システムは、トレーニングパンツには必要でないが、それはこれらの物品のウエスト領域が既に結合されているためである。締着システムは、テープタブなどの締着具、面ファスナー構成要素、タブ及びスロットなどの連結締着具、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は両性締着構成要素を通常含むが、その他の任意の既知の締着手段も概ね許容可能である。締着具が着脱可能に取り付けられるように、通常は、ランディングゾーンが物品の前方ウエスト領域に設けられる。
【0086】
吸収性物品は、当該技術分野で既知であるように、前方耳部及び後方耳部を含んでもよい。耳部は、例えば、トップシート及び/又はバックシートからサイドパネルとして形成される、シャーシの一体部分であり得る。あるいは、耳部は、粘着及び/又は熱エンボス加工によって取り付けられる別個の要素であってもよい。後方耳部は、有利には、ランディングゾーンへのタブの付着を容易にし、且つテープ式おむつを着用者のウエストの周りの適所に維持するために、伸縮性を有する。前方耳部はまた、弾性又は伸長可能であってもよく、この伸縮性の耳部によって、吸収性物品の両側部が伸縮可能となることから、最初は、吸収性物品を着用者に適合するようにフィットさせ、且つ、滲出物が吸収性物品に溜まってから時間が経過しても、着用期間を通してこのフィット性を維持することにより、より快適で身体に沿うフィット性が提供される。
【0087】
典型的に、隣接する層は、層の表面の全体若しくは一部へのスロットコーティング若しくは吹き付けによる接着剤コーティング、又は熱結合、又は圧力結合、あるいはそれらの組み合わせなど、従来の結合法を用いて互いに接合される。明確さ及び読み易さのために、構成要素間の結合は、接着剤層71、72を除き、図の大部分、特に
図5で図示していない。そうではないと特に明記されていない限り、物品の隣接する層は他方に取り付けられているとみなすべきである。例えば、吸収性コアのバックシート及び底部層は、典型的には一緒に粘着され得る。使用される接着剤は、当該技術分野において既知の任意の標準的ホットメルト粘着剤であってよい。
【0088】
パッケージング
吸収性物品は、従来の任意のタイプのパッケージにパッケージ化され得る。吸収性物品は、特にスペースを節約するようにパッケージ化される時に圧縮されてよい。具体的には、パッケージは複数の吸収性物品を含むことができ、ここでパッケージは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,585,666(B2)号(Weisman)に記載されるバッグ内スタック高さ試験に従って、約80mm未満のバッグ内スタック高さを有する。あるいは、本開示の吸収性物品のパッケージは、米国特許第8,585,666(B2)号(Weisman)に記載されるバッグ内スタック高さ試験に基づいて、約72mm~約80mm、又は約74mm~約78mmの、具体的には指定される範囲及び指定される範囲内に又は指定される範囲によって形成される全ての範囲内の0.5mm刻みの全てが列挙されるバッグ内スタック高さを有し得る。
【0089】
実施例及び実験結果
a)コアの構築
本発明の例示的な吸収性コアは手で作製された。中心嵩高層は、嵩高層(TWE-group(Emsdetten,Germany)からのTL6)であった。測定されたキャリパーは0.613mmであり、坪量は85.4g/m2であり(平均10回の測定)、約0.140g/cm3の密度を与え、4.14kPa(0.6psi)の圧力で測定された。様々な圧力におけるデータを以下の表に列挙する。
【0090】
【0091】
2つのカバー層は、Fibertexからの親水性の10gsmのSMS不織布(例えばHY02XXX10)であった。コア層の幅は165mmであり、その長さは360mmであった。カバー層のそれぞれに、その全長にわたって均一に、最初に5gsmのスパイラル接着剤を塗布し、続いて正味10gsmのマイクロファイバー粘着剤(NW1151ZP、FULLER ADHESIVES製)を塗布した。
【0092】
嵩高中心層を、嵩高不織布の粗い側面を上向きにして底部カバー層上に配置した。嵩高中心層の幅は110mmであり、その長さは360mmであった。15gのSAPを、不織布の嵩高の表面全体にわたって手で均一に振りまいた。製造台はバキュームを有さなかったため、SAP粒子を手でブラッシングすることによってSAPを嵩高不織布内に分布させた。続いて、粘着剤層が嵩高層に面した状態で上部カバー層を積層体上に置いた。ゴムローラで穏やかな圧力を加え、中心層を2つのカバー層に取り付けた。
【0093】
吸収性コア中のSAPの得られた坪量は380gsmであった。吸収性コア中のSAPの平均濃度は、コアの重量に対して61重量%であり、嵩高中心層のみ(上部層及び底部層並びに粘着剤を考慮しない)に対するSAPの平均濃度は81重量%であった。
【0094】
2つの市販のSAP(SAP E1、SAP C1)を使用して、本発明のコアE1及び比較コアC1をそれぞれ作製した。SAPは、以下の表2に列挙される特性を有した。
【0095】
【0096】
吸収性コアは以下の特性を有した。
【0097】
【0098】
b)比較の市販コア:
更なる比較として、中国の2つの市販製品:Teddy Bear,More Than Thinner、サイズS及びHuggies,breathable diaper、サイズL、の特性を、吸収性コアK(t)試験法に従って試験した。Teddy Bearは、SAPが分布した嵩高中心層を備える吸収性コアを有していた。Huggiesは、SAPを備える嵩高層の上にエアフェルト/SAP混合層を含む二重層コアを有し、両方の層が底部層と上部層との間にあった。コア試料の特定平均密度ρsは測定されなかったが、1.50g/cm3であると仮定した。
【0099】
比較コアC2及びC3の特性を表4に列挙する。
【0100】
【0101】
これらの生成物で使用されたSAPを回収し、これもSAP K(t)試験法を使用して測定し、今回は、SAPの特定平均密度ρsを1.60g/cm3と仮定した。
【0102】
比較コアのSAP、SAP C2、及びSAP C3の特性を表4に列挙する。
【0103】
【0104】
c)製品データ:捕捉速度
例示的なコアE1及び比較コアC1は、中国のPampers Premium製品(サイズ4)で使用される、市販のトップシート、バックシート、及び捕捉層を含む吸収性製品シャーシ内に配置された。吸収性コアを製品内に異なる向きで配置した(上又は下。下記の説明を参照)。これらの製品を、C-SABAP試験(バルーン加圧下の捕捉速度曲線)を使用して試験した。C-SABAPは、おむつがわずかに湾曲した位置に保持され、圧搾空気(2.07kPa(0.30psi))によって膨張されたラテックスフィルム上に配置され、デジタル圧力計によって監視される間に、吸収性衛生製品の生理食塩水捕捉時間を決定する。
【0105】
実験の第1セットでは、捕捉速度は、コアの各種類に対し、且つおむつ中のコアの各向きに対して4回の複製で測定された。各75mLの生理学的着色生理食塩水(0.9重量%)の4回の噴出を、15mL/sの速度で、各噴出間で5分間空けて順次適用した。各噴出の捕捉速度を記録する。液体は、吸収性コアの前部から170mmの距離のおむつの中心に送達される。以下の表は、各コア/配向の組み合わせでの4回の測定値のうち3回の平均を示し、噴出時間1及び2の合計値が最も高い4回目の測定値は、異常値を排除するために無視された。
【0106】
注記:「上向き」は、AGMが添加された中心層の上部側がトップシートに面することを意味し、「下向き」は反対の向きを意味することを意味する。
【0107】
【0108】
本発明の実施例E1の捕捉速度は、比較例C1と比較して、製品中のコアの向き(上向き又は下向き)に関係なく1回目の噴出でより速かった。
【0109】
同じ向き(全て上向き又は全て下向きのいずれか)では、本発明のコアE1は、比較コアC1を含む製品と比較して、4回の噴出の全てにわたりより良好な捕捉速度で機能した(すなわち、より速かった)。
【0110】
d)製品データ:液体分布及び再湿潤
C-SABAP試験に使用された物品は、最後の第4の噴出の完全な吸収の5分後にC-SABAP装置から除去された。液体分布及び再湿潤を、目的のコアを含むこれらの物品上で測定した。再湿潤は、侵襲点、すなわち吸収性コアの前部から170mmの距離で測定した。液体分布を、平面上の侵襲の中心点(すなわち、すなわち吸収性コアの前部から170mmの距離の)から開始して物品の各横方向側面に向かう長手方向(y)で測定し、液体分布前部(すなわち吸収性コアの侵襲部から前端部まで)及び液体分布後部(すなわち吸収性コアの侵襲部から後端部まで)を得た。
【0111】
液体分布は、おむつの前部及び後部で吸収性コア上の着色生理食塩水によって残される染みの長さを測定する(着色された染みの縁部は、染みの縁部と負荷点との間の最大及び最小距離が示されるように、直線状ではない)。
【0112】
続いて、再湿潤試験をおむつのトップシート側で実施した。全体的な液体分布長さは、両側の最小値及び最大値の平均値の平均の合計、すなわち、平均(前側最小値、前側最大値)+平均(後側最小値、後側最大値)である。
【0113】
再湿潤試験は、皮膚様材料(5層のコラーゲンの積み重ね体)を使用して、おむつによって放出される液体の量を測定する。コラーゲンは、乳児の皮膚と同じ機構によって液体を吸収する。再湿潤試験は、最後の噴出から10分後に行われ、4つの直径70mmのコラーゲンシートが噴出点の中心に積み重ねられ、9.1kgのおもりで30秒間重み付けされる。コラーゲンシートの積み重ね体に吸収された流体の量を測定し、以下に示すとおりに報告する。
【0114】
上記の概要として、捕捉速度で除外された製品のデータは再湿潤及び液体分布でも除外されるため、表5は4つのデータ点のうち3つの平均値を示す。
【0115】
【表7】
1)170mmは、液体分布長さ前側の最大値であり、これは、液体が吸収性コアの前側に到達したことを意味する。
【0116】
本発明のコアE1を備える本発明のおむつ上の染みは、比較コアC1を備える比較おむつの場合より有意に短かった。両方のおむつで、再湿潤は、上部層をトップシートに向けて吸収性コアが配置された場合(「上向き」)、その反対(「下向き」)よりも低かった。
【0117】
e)マイクロCTスキャン
例示的なコアE1を、以下に記載されるマイクロCTスキャン法に従ってマイクロCTセキャン(secan)に供した。例示的なコアE1のマイクロCTスキャンの結果は、
図6~
図10に示されるとおりである。前述のように、こうしたCTスキャンを使用して、吸収性コア内のSAPの濃度分布を決定する、具体的にはSAP粒子の垂直分布が均一であるか、又は二峰性若しくは多峰性であるかを決定することができる。本発明のコアE1は、二峰性分布を有した。比較コアC1も測定し、これも2つのピークを含んでいたが、これは本明細書の定義に従えば二峰性ではない(関連する単位中で、谷が隣接するピークの最低値より40%未満の測定された濃淡値を有している)。SAPは嵩高層の両側に適用されなかったが、用いられた実施例における材料の組み合わせは依然として二峰性のSAP分布をもたらしたことが見出され、これは、SAPが中心層の各側面に対して2段階で連続的に適用される場合にも見出される。
【0118】
試験手順
遠心保持容量(CRC)
CRCは、過剰液体中の自由膨潤する場合の超吸収性ポリマー粒子の吸収容量を測定する。CRCは、EDANA法NWSP241.0.R2(19)に従って測定される。
【0119】
圧力対吸収
AAPは、EDANA標準試験NWSP242.0 R2(19)に従って測定され、使用される圧力は、それぞれAAP@0.7psi及びAAP@0.3psiと示されるように、0.7psi及び0.3psiである。
【0120】
厚さ及び密度測定法
この方法は、標準化された方法で嵩高中心層の厚さ(キャリパー)を測定するために用いられる。続いて、密度が、層の厚さ及び坪量から計算され得る。特に言及されない限り、厚さ及び密度は、SAP粒子の不在下の嵩高材料に関して示される。測定は、好ましくは、嵩高材料が吸収性コアへと加工される前に、したがってSAPを含まない嵩高材料上で行われるべきである。出発物質が利用できない場合、嵩高中心層は、それを吸収性コアから慎重に抽出し、例えば慎重に振盪又は吸引することでSAP粒子の大部分を除去することによって得ることができる。凍結スプレーを使用して中心層を他の層から分離することができる。試料は、特にこれらが以前に圧縮されている場合、平衡させるために21℃±2℃及び50%±10%RHで少なくとも24時間保持されるべきである。
【0121】
機器:分解能が0.01mmのMitutoyo製の手動キャリパーゲージ又は同等の計器。
【0122】
コンタクトフット:直径16.0mm(±0.2mm)の平坦な円形フット。円形のおもりをフットに適用して(例えば、器具シャフト周囲に適用しやすくするためのスロットを有するおもり)、目標重量を得てもよい。フット及び付加重量の合計重量(シャフトを含む)は、試料に4.14kPaの圧力(0.6psi)を提供するように選択される。
【0123】
加えて、厚さは、フットに適用されるそれ相応に異なる重量を使用して、異なる圧力で決定することができる。印加される圧力は、例えば、4.14kPa(0.6psi)で測定される厚さ及び密度で示される。
【0124】
キャリパーゲージは、コンタクトフットの下部表面が約20×25cmの基部プレートの平坦で水平な上部表面の中心に接触するように、コンタクトフットの下部表面が水平面にあるように備え付ける。ゲージは、コンタクトフットを基部プレート上に静置してゼロであるように設定する。
【0125】
定規:mm単位で目盛が付けられた較正済み金属定規。
【0126】
ストップウォッチ:精度1秒。
【0127】
試料調製:中心層を上記のように少なくとも24時間調整する。
【0128】
測定手順:層を、底部側、即ち、最終物品においてバックシートに向けて配置されるように意図された側を下向きにして、平らに置く。測定点(即ち、試料の中央)を、層を圧迫又は変形させないように注意しながら、層の上部側に注意深く描く。嵩高不織布層が横断方向又は長手方向に均一ではないことが万が一あった場合は、その値は、試料から作製される吸収性コアの中心に対応する試料の中心で測定される。
【0129】
キャリパーゲージのコンタクトフットを持ち上げ、中心層を、コアの上部側を上にしてキャリパーゲージの基部プレート上に平坦に配置し、下げたときにフットの中心が印を付けた測定点上にあるようにする。
【0130】
フットを試料の上に慎重に下ろしてから解放する(測定開始前に較正が「0」であることを確認する)。キャリパー値は、フットを解放した10秒後に0.01mm単位で読み取る。
【0131】
手順を各測定点について繰り返す。10個の試料を所与の材料に対してこの様式で測定し、平均厚さを算出し、10分の1mmの精度で報告する。各試料の坪量を、各試料の重量をそれらの面積で割ることによって計算する。
【0132】
密度(g/cm3単位)は、材料の坪量(g/cm2単位)を厚さ(cm単位)で割ることによって計算する。
【0133】
マイクロCTスキャン法
吸収性コアの中心から直径44mmの円形試料を慎重に切り取り、適合したマイクロCT装置の試料ホルダー内に配置する。コアの構造体上の切断のいかなる影響も回避するため、視野を直径20mmの最内側の円に低減する。使用されるCTスキャン機械は、例えば、XRE nv(Tescanによって合併された)によって製造されたDynaTOM(商品番号M2090)である。設定は以下の通りである:管電圧:80KV、管電力:10.0ワット、曝露時間(ms):380、平均数:1.000000、ビニング値:1、ボクセルサイズ:10μm、スキャン速度:毎秒2.36フレーム、1つの3Dで合計2900個の投影画像。
【0134】
収集されたデータを利用するために使用することができる更なるソフトウェアは、例えば以下のとおりである。
【0135】
画像取得:XRE nvにより開発されたAcquila、バージョン11.06.2019。
【0136】
画像再構成:XRE nvによって開発されたXRE Recoバージョン1.0.0.117。
【0137】
画像後処理:Thermo FischerによるAvizo 2019.1/オープンソースのImageJ 1.52p/MS Excel2016。
【0138】
スキャンの空間分解能は10μmである。マイクロCTスキャンは、スキャンされたデータのコンピュータ処理を可能とし、また、xz平面(
図6b)及びyz平面(
図6c)に投影することができる。画像分析を使用して、z方向の試料の視野のSAP平均平面濃度に比例する濃淡値を示す図をプロットすることができる。例えば
図7a/
図7bを参照されたい。横軸は、試料の表面からの垂直距離z(100=1mm)を示し、垂直軸は、報告された上面からの距離zの視野(直径20mmの円)に対するSAPの平均平面濃度に比例する濃淡値を示す。
【0139】
尿透過率測定(UPM)試験法
実験室条件:
この試験は、23℃±2℃の温度及び45%±10%の相対湿度の標準条件で気候調整された室内で実施しなければならない。
【0140】
尿透過率測定システム
この方法は、膨潤ヒドロゲル層1318の透過率を測定した。本方法に使用される機器を以下で説明する。
【0141】
図11は、一定静水頭部リザーバ1014、空気取込み用の開口管1010、再充填用ストッパ付き通気孔1012、実験室ラック1016、Tygon管ノズル1044を備えた可撓管1045を備えた導管1018、ストップコック1020、カバープレート1047、及び支持リング1040、受容容器1024、天秤1026、並びにピストン/シリンダーアセンブリ1028を備えた、透過率測定システム1000の構成を示す。
【0142】
図12は、金属おもり1112と、ピストンシャフト1114と、ピストンヘッド1118と、蓋1116と、シリンダー1120と、を含む、ピストン/シリンダーアセンブリ1028を示す。シリンダー1120は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))で作製され、且つ滑らかな内側シリンダー壁1150を備えた6.00cmの内径p(面積=28.27cm
2)を有する。シリンダー1120の底部1148は、シリンダー1120の底部1148に取り付けられる前に突張状態まで2軸方向に伸張された、ステンレススチールスクリーンクロス(ISO9044材料1.4401、メッシュサイズ0.038mm、ワイヤ直径0.025mm)(図示せず)と面する。ピストンシャフト1114は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))で作製され、約127mmの全長qを有する。ピストンシャフト1114の中央部1126は、22.15(±0.02)mmの直径rを有する。ピストンシャフト1114の上部1128は、15.8mmの直径sを有し、肩部1124を形成する。ピストンシャフト1114の下部1146は、約5/8インチ(15.9mm)の直径tを有し、ピストンヘッド1118の中心孔1218(
図8を参照)内にしっかりとねじ込むためのねじ付きである。ピストンヘッド1118は穿孔され、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))で作製され、同じく伸張されたステンレススチールスクリーンクロス(ISO9044材料1.4401、メッシュサイズ0.038mm、ワイヤ直径0.025mm)(図示せず)で覆われている。おもり1112は、ステンレススチールであり、中心穴1130を有し、ピストンシャフト1114の上部1128上へと摺動し、肩部1124上で停止する。ピストンヘッド1118、ピストンシャフト1114、及びおもり1112の合計重量は596g(±6g)であり、これは、シリンダー1120の内面積にわたる0.30psiに対応する。合計重量は、ピストンシャフト1114の中心軸1132に止まり穴を掘って材料を除去する、及び/又はキャビティを提供しておもりを加えることによって調節され得る。シリンダー蓋1116は、ピストンシャフト1114を垂直に位置合わせするために、その中心に第1の蓋開口部1134を有し、一定静水頭部リザーバ1014からシリンダー1120内に流体を導入するために、縁部1138付近に第2の蓋開口部1136を有する。
【0143】
第1の線状指標マーク(図示せず)は、おもり1112の上部表面1152に沿って半径方向にスクライビングされ、第1の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。対応する第2の線状指標マーク(図示せず)は、ピストンシャフト1114の上面1160に沿って半径方向にスクライビングされ、第2の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。対応する第3の線状指標マーク(図示せず)は、ピストンシャフト1114の中央部1126に沿ってスクライビングされ、第3の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。対応する第4の線状指標マーク(図示せず)は、シリンダー蓋1116の上部表面1140に沿って半径方向にスクライビングされ、第4の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132に対して横断方向である。更に、対応する第5の線状指標マーク(図示せず)は、シリンダー蓋1116のリップ1154に沿ってスクライビングされ、第5の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。対応する第6の線状指標マーク(図示せず)は、外側シリンダー壁1142に沿ってスクライビングされ、第6の線状指標マークは、ピストンシャフト1114の中心軸1132と平行である。第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の線状指標マークの位置合わせは、おもり1112、ピストンシャフト1114、シリンダー蓋1116及びシリンダー1120を、各測定において、互いに関して同じ向きで再配置することを可能にする。
【0144】
シリンダー1120の仕様の詳細は次のとおりである。
シリンダー1120の外径u:70.35mm(±0.05mm)
シリンダー1120の内径p:60.0mm(±0.05mm)
シリンダー1120の高さν:60.5mm。シリンダーの高さは、55.0mm未満であってはならない。
【0145】
シリンダー蓋1116の仕様の詳細は次のとおりである。
シリンダー蓋1116の外径w:76.05mm(±0.05mm)
シリンダー蓋1116の内径x:70.5mm(±0.05mm)
リップ1154を含む、シリンダー蓋1116の厚さy:12.7mm
リップ1154を除くシリンダー蓋1116の厚みz:6.35mm
第1の蓋開口部1134の直径:22.25mm(±0.02mm)
第2の蓋開口部1136の直径b:12.7mm(±0.1mm)
第1の蓋開口部1134の中心と第2の蓋開口部1136の中心との間の距離:23.5mm
【0146】
おもり1112の仕様の詳細は以下のとおりである。
外径c:50.0mm
中心穴1130の直径d:16.0mm
高さe:39.0mm
【0147】
ピストンヘッド1118の仕様の詳細は以下のとおりである。
直径f:59.7mm(±0.05mm)
高さg:16.5mm。ピストンヘッドの高さは、15.0mm未満であってはならない。
【0148】
9.30(±0.25)mmの直径hを有する外側孔1214(合計14)、外側孔1214は均等に離間し、中心は、中心孔1218の中心から23.9mmにある。
【0149】
9.30(±0.25)mmの直径iを有する内側孔1216(合計7)、内側孔1216は均等に離間し、中心は、中心孔1218の中心から13.4mmにある。
【0150】
中心孔1218は、約5/8インチ(15.9mm)の直径jを有し、ピストンシャフト1114の下部1146を受容するためにねじ付きである。
【0151】
使用する前に、ピストンヘッド1118及びシリンダー1120のステンレススチールスクリーン(図示せず)の目詰まり、孔、又は伸び過ぎを検査し、必要に応じて取り替えるべきである。損傷したスクリーンを有する尿透過率測定装置は、誤ったUPM結果を与える場合があり、スクリーンを交換するまで使用してはならない。
【0152】
5.00cmマーク1156が、シリンダー1120上において、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上方5.00cm(±0.05cm)の高さkでスクライビングされる。これは、分析の間維持されるべき流体の液面の印となる。正確且つ一定した流体の液面(静水圧)の維持は、測定精度のために重要である。
【0153】
一定静水頭部リザーバ1014は、シリンダー1120に食塩水1032を供給し、食塩水1032の液面を、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上方5.00cmの高さkに維持するために使用される。吸気管1010の底部1034は、シリンダー1120内の食塩水1032の液面を、測定中に必要な5.00cmの高さkに維持するように位置決めされ、すなわち、空気管1010の底部1034は、受容容器1024の上方で、カバープレート1047及び支持リング1040(円の内開口部は直径64mm以上である)上に置かれると、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156とほぼ同じ平面1038上にある。
【0154】
カバープレート1047及び支持リング1040は、本明細書に記載の「K(t)試験法(動的有効透過率及び吸収率測定試験法)」のために使用される機器で使用される部品であり、「Zeitabhangiger Durchlassigkeitsprufstand」又は「Time Dependent Permeability Tester」(機器番号03-080578)と称され、BRAUN GmbH(Frankfurter Str.145,61476 Kronberg,Germany)で市販されている。要求に応じて、詳細な図面も利用可能である。
【0155】
吸気管1010及びシリンダー1120上の5.00cmマーク1156の適正な高さの位置合わせは、分析にとって重要である。好適なリザーバ1014は、流体送達のために可撓管1045(例えば、ノズル及びリザーバ出口を接続することができるTygon管)及びTygon管ノズル1044(内径が少なくとも6.0mm、長さが約5.0cm)に接続された水平方向に向けられたL字型導管1018と、一定静水頭部リザーバ1014内で固定した高さで空気を入れるための垂直方向に向けられた開口管1010と、一定静水頭部リザーバ1014を再充填するためのストッパ付き通気孔1012と、を含むジャー1030からなる。管1010は、約12mmであるが10.5mm以上である内径を有する。一定静水頭部リザーバ1014の底部1042の付近に位置付けられる導管1018は、食塩水1032の供給を開始/停止するための、ストップコック1020を含む。可撓性導管(delivery flexible tube)1045の出口1044は、シリンダー蓋1116の第2の蓋開口部1136を通じて挿入されるように寸法決めされ(例えば10mmの外径)、その端部は、シリンダー1120内の食塩水1032の表面より下方に位置付けられる(シリンダー1120内で、食塩水1032の5.00cm高さが得られた後で)。吸気管1010は、Oリングカラー1049で適所に保持される。一定静水頭部リザーバ1014は、シリンダー1120の高さに対して好適な高さで実験室レック(laboratory reck)1016上に位置決めされ得る。一定静水頭部リザーバ1014の構成要素は、シリンダー1120を必要な高さ(即ち、静水頭部)まで急速に充填し、この高さを測定期間にわたり維持するように寸法決めされる。一定静水頭部リザーバ1014は、少なくとも2.6g/秒の流速で、少なくとも10分間、食塩水1032を供給することが可能でなくてはならない。
【0156】
ピストン/シリンダーアセンブリ1028は、カバープレート1047又は好適な代替的剛性スタンド内の支持リング1040上に位置決めされる。膨潤ヒドロゲル層1318を収容するピストン/シリンダーアセンブリ1028を通過する食塩水1032は、ピストン/シリンダーアセンブリ1028の下方に位置付けられた(しかし、これに接触していない)受容容器1024内に回収される。
【0157】
受容容器1024は、精度が少なくとも0.001gの天秤1026上に位置決めされる。天秤1026のデジタル出力は、コンピュータ化データ取得システム1048に連結される。
【0158】
試薬(図示せず)の調製
Jayco合成尿(Jayco Synthetic Urine、JSU)1312(
図14参照)は膨潤相(以下のUPM手順参照)に使用され、0.118M塩化ナトリウム(NaCl)溶液1032は流れ相(以下のUPM手順参照)に使用される。以下の調製は、標準1リットル体積についてものとする。1リットル以外の体積の調製では、全ての量が適宜に測られる。
【0159】
JSU:蒸留水を1Lのメスフラスコにその容積の80%まで充填し、フラスコ内に電磁攪拌棒を配置する。別個に秤量紙、又はビーカーを使用して、以下の量の乾燥成分を、化学天秤を使用して±0.01gまで計量し、以下に挙げるものと同じ順序で、メスフラスコに、定量的に加える。溶液は、好適な攪拌プレート上で、全ての固体が融解するまで攪拌され、攪拌棒が取り除かれ、溶液が蒸留水で1L体積まで希釈される。攪拌棒を再度挿入し、溶液を攪拌プレート上で更に数分間攪拌する。
1リットルのJayco合成尿を作製するための塩の量
塩化カリウム(KCl)2.00g
硫酸ナトリウム(Na2SO4)2.00g
二リン酸水素アンモニウム(NH4H2PO4)0.85g
リン酸アンモニウム、二塩基性((NH4)2HPO4)0.15g
塩化カルシウム(CaCl2)0.19g-[又は塩化カルシウム水和物(CaCl2・2H2O)0.25g]
塩化マグネシウム(MgCl2)0.23g-[又は塩化マグネシウム水和物(MgCl2・6H2O)0.50g]
【0160】
調製をより速くするために、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、二リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム(二塩基性)、及び塩化マグネシウム(又は塩化マグネシウム水和物)を組み合わせ、1Lのメスフラスコ内の80%の蒸留水に溶解する。塩化カルシウム(又は塩化カルシウム水和物)を、約50mLの蒸留水に個別に溶解し(例えば、ガラスビーカー内で)、他の塩が完全に溶解した後で、塩化カルシウム溶液を1Lのメスフラスコに移す。その後、蒸留水を1L(1000mL±0.4mL)に添加し、溶液を更に数分間攪拌する。Jayco合成尿は、清浄なプラスチック容器に10日間貯蔵され得る。溶液が濁ってきたら、使用してはならない。
【0161】
0.118M塩化ナトリウム(NaCl)溶液:0.118M塩化ナトリウムが、食塩水1032として使用される。秤量紙又はビーカーを使用して、6.90g(±0.01g)の塩化ナトリウムを秤量し、1Lのメスフラスコ(1000mL±0.4mL)に定量的に移し、フラスコを蒸留水で容量いっぱいに充填する。攪拌棒を加え、溶液を攪拌プレート上で全ての固体が溶解するまで混合する。
【0162】
調製されたJayco溶液の導電率は、約7.48~7.72mS/cmの範囲内でなければならず、調製された0.118M塩化ナトリウム(NaCl)溶液の導電率は約12.34~12.66mS/cmの範囲内でなければならない(例えば、xs instrumentsからのCell VPT51-01 C=0.1を装備したセル#50010522を含まないCOND 70 INSTRUMENTを介して、又はWTWからのTetraCon325を装備したLF320/セット#300243、若しくはWTWからのTetraCon325を装備したCOND330i、#02420059を介して測定して)。各溶液の表面張力は、71~75mN/mの範囲内でなければならない(例えば、Ptプレートを備えるKruessからの表面張力計K100を介して測定して)。
【0163】
試験準備
固体参照シリンダーおもり(図示せず)(直径50mm;高さ128mm)を用いて、キャリパーゲージ(図示せず)(測定範囲25mm、精度0.01mm、最大ピストン圧50g;例えば、Mitutoyo Digimatic Height Gage)を読み取り値0に設定する。この作業は、少なくとも約11.5cm×15cmの平滑で水平なベンチ(図示せず)上で都合よく実施される。超吸収性ポリマー粒子を含まないピストン/シリンダーアセンブリ1028は、キャリパーゲージ(図示せず)の下方に位置決めされ、読み取り値L1は、0.01mm単位で記録される。
【0164】
一定静水頭部リザーバ1014に食塩水1032を充填する。吸気管1010の底部1034は、測定中に、シリンダー1120内の液体メニスカス(図示せず)の頂部(図示せず)を、5.00cmマーク1156で維持するように位置付けられる。吸気管1010の、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156における適正な高さ位置合わせは、分析にとって重要である。
【0165】
受容容器1024は、天秤1026上に配置され、天秤1026のデジタル出力は、コンピュータ化データ取得システム1048に接続される。支持リング1040を備えるカバープレート1047は、受容容器1024の上方に位置決めされる。
【0166】
UPM手順
化学天秤を使用して、1.5g(±0.05g)の超吸収性ポリマー粒子を好適な秤量紙又は秤量補助物上で秤量する。超吸収性ポリマー粒子の水分含有量は、EDANA水分含有量試験法NWSP 230.0.R2(15)に従って、又は水分分析装置(Mettler Toledo製のHX204、乾燥温度130℃、開始超吸収体重量3.0g(±0.5g)、停止基準1mg/140秒)を介して測定される。超吸収性ポリマー粒子の水分含有量が、3重量%超である場合、超吸収性ポリマー粒子を、<3重量%の水分レベルになるまで、例えば105℃のオーブンで3時間、又は例えば120℃のオーブンで2時間乾燥させる。
【0167】
空のシリンダー1120を水平なベンチトップ1046(図示せず)の上に置き、超吸収性ポリマー粒子をシリンダー1120内に定量的に移す。例えば、(手動又は電動)ターンテーブル(例えば、Schuettからのpetriturn-E又はpetriturn-M)で補助してシリンダー1120を回転させながら、超吸収性ポリマー粒子を、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に均等に分散させる。最も精密な結果を得るために、シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に、粒子を均等に分布させることは重要である。シリンダー1120の底部1148に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に超吸収性ポリマー粒子を均等に分布させた後で、粒子が内側シリンダー壁1150に粘着してはならない。蓋1116のリップ1154がピストンヘッド1118の方に向いた状態で、第1の蓋開口部1134を介してピストンシャフト1114を挿入する。ピストンヘッド1118を、シリンダー1120内の数センチメートルの深さまで注意深く挿入する。続いて、ピストンヘッド1118を超吸収性ポリマー粒子から離して維持するように注意を払いながら、蓋1116をシリンダー1120の上方のリム1144上に配置する。おもり1112をピストンシャフト1114の上部1128上に位置決めし、その結果、これが肩部1124上に置かれ、それにより第1及び第2の線状指標マークが位置合わせされる。次に、第3、第4、第5、及び第6の線状指標マークが第1及び第2の線状指標マークと位置合わせされるように、蓋1116及びピストンシャフト1126を注意深く回転させる。次に、ピストンヘッド1118を(ピストンシャフト1114を介して)穏やかに押し下げて、乾燥した超吸収性ポリマー粒子上に置く。蓋1116の適切な配置は、おもりの結合を防ぎ、ヒドロゲル層1318上のおもりの均等な分布を確実にする。
【0168】
膨潤相:
直径が少なくとも8cm(例えば直径8~9cm)で厚さが少なくとも5.0mm(例えば厚さ5~7mm)の、「粗い」又は「極めて粗い」多孔性を有するフリットディスク(例えばChemglass Inc.#CG 201-51、粗い多孔性;又は例えば多孔率ゼロのRobu1680)1310を、平底ペトリ皿1314内に置き、JSU1312をフリットディスク1310の中心に注ぐことによって、JSU1312がフリットディスク1310の上面1316に達するまでJSU1312を添加する。JSUの高さは、フリットディスク1310の高さを超えてはならない。フリットディスク1310内又はその下に閉じ込められたいかなる空気又は気泡も回避することが重要である。
【0169】
ピストン/シリンダーアセンブリ1028全体を持ち上げて、ペトリ皿1314内のフリットディスク1310上に配置する。ペトリ皿1314からのJSU1312は、フリットディスク1310を通過し、超吸収性ポリマー粒子(図示せず)に吸収されて、ヒドロゲル層1318を形成する。ペトリ皿1314内で利用可能なJSU1312は、全ての膨潤相に十分であるべきである。必要であれば、JSU1312の液面をフリットディスク1310の上面1316に維持するために、水和期間中に一層多くのJSU1312をペトリ皿1314に加えてもよい。60分の期間後、この手順中にヒドロゲル層1318がJSU1312を喪失することも空気を取り込むこともないように注意しながら、ピストン/シリンダーアセンブリ1028をフリットディスク1310から取り外す。ピストン/シリンダーアセンブリ1028をキャリパーゲージ(図示せず)の下に配置し、読み取り値L2を0.01mm単位で記録する。読み取り値が時間と共に変化する場合は、初期値のみを記録する。ヒドロゲル層1318の厚みL0は、L2~L1から0.1mm単位で決定される。
【0170】
ピストン/シリンダーアセンブリ1028を、カバープレート1047内の支持リング1040に移す。導管ノズル1044が第2の蓋開口部1136を介して配置されるように、一定静水頭部リザーバ1014を位置決めする。測定は以下の順序で開始される。
a)一定静水頭部リザーバ1014のストップコック1020が開放されて、食塩水1032が、シリンダー1120上の5.00cmマーク1156に達するようにする。この食塩水1032の液面は、ストップコック1020を開いて10秒以内に得られるべきである。
b)5.00cmの食塩水1032が達成されたら、データ収集プログラムを開始する。
【0171】
天秤1026に取り付けられたコンピュータ1048を用いて、ヒドロゲル層1318を通過する食塩水1032の量g(g単位で精度0.001g)を、20秒間隔で10分間にわたり記録する。10分間の終了時に、一定静水頭部リザーバ1014上のストップコック1020を閉じる。
【0172】
60秒から実験の終わりまでのデータをUPM計算に使用する。60秒より前に収集されたデータは、計算に含めない。
【0173】
実験の最初の60秒間の後の20秒間の各期間(時間t(i-1)~ti)に関して、それぞれの流速Fs(t)(単位:g/s)及び時間t(1/2)tのそれぞれの中点(単位:秒)を、以下の式に従って計算する:
【0174】
【0175】
各時間間隔(t(i-1)~ti)の流速Fs(t)は、時間間隔(t(i-1)~ti)の時間t(1/2)tの中点に対してプロットされる。切片はFs(t=0)として計算される。
【0176】
切片の計算:
切片は、最適な回帰線を介して、例えば以下のように計算する:回帰線aの切片の等式は:
a=yAVG-b・xAVG (III)
であり、式中、勾配bは次のように計算され:
【0177】
【数2】
式中、x
AVG及びy
AVGは、それぞれ既知のxの試料平均AVERAGE、及び既知のyのAVERAGEである。
【0178】
尿透過率測定値Qの計算:
切片Fs(t=0)を使用して、以下の式に従ってQを計算する。
【0179】
【数3】
式中、流速Fs(t=0)はg/s単位で与えられ、L
0は、cm単位でのヒドロゲル層1318の初期厚さであり、ρはg/cm
3単位での食塩水1032の密度である(例えば室温で1.003g/cm
3)。A(上記の等式からの)はcm
2単位でのヒドロゲル層1318の面積であり(例えば28.27cm
2)、ΔPはダイン/cm
2単位での静水圧であり(例えば4920ダイン/cm
2)、及び尿透過率測定値Qは、単位cm
3秒/gである。3つの測定値の平均が報告されるべきである。
【0180】
【0181】
SAP K(t)試験法(
図15~17)
この方法は、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子から、又はこうした粒子を収容する吸収性構造体で形成されたゲル層の時間依存性有効透過率(SAP K(t))及び吸収率を拘束圧下で決定する。この方法の目的は、ポリマーが吸収性物品中に高濃度で存在し、吸収性物品の使用中に典型的に生じるような機械的圧力にさらされるとき、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子から形成されたゲル層又はこれらを包含する吸収性構造体の、体液を捕捉及び分布する能力を評価することである。ダルシーの法則及び定常流動法を使用して有効透過率を計算する(下記を参照)。(例えば、「Absorbency,」ed.By P.K.Chatterjee,Elsevier,1982,Pages 42-43、及び「Chemical Engineering Vol.II,Third Edition,J.M.Coulson and J.F.Richardson,Pergamon Press,1978,Pages 122-127も参照されたい)。
【0182】
以前に公開された方法とは異なり、試料は予備膨潤されず、したがってヒドロゲルは合成尿中でヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子を予備膨潤させることによって形成されないが、測定は乾燥構造体を用いて開始する。この方法のために使用される機器は、「Zeitabhangiger Durchlassigkeitsprufstand」又は「Time Dependent Permeability Tester」(機器番号03-080578)と称され、BRAUN GmbH(Frankfurter Str.145,61476 Kronberg,Germany)で市販されており、下記で説明される。理由のある要望に応じて、操作説明書、配線図、及び詳細な技術図面も入手可能である。
【0183】
動的有効透過率及び吸収率測定システム
図15は、本明細書で「時間依存性透過率テスター」と呼ばれる、動的有効透過率及び吸収率測定システムを示す。機器は以下の主要部品で構成される。
キャリパー測定用M11デジタルレーザーセンサ701(MEL Mikroelektronik GmbH,85386 Eching,Germany)又は同等物(例えば、Keyence Il-S100 Laser Height Sensor)。
液面検出用ファイバ702(FU95、株式会社キーエンス、日本)
デジタルファイバセンサ703(FS-N10、株式会社キーエンス、日本)
精密天秤704(XP6002MDR,Mettler Toledo AG(8606 Greifensee,Switzerland))
電源装置Logo!Power(C98130-A7560-A1-5-7519,Siemens AG)
Labviewソフトウェアライセンス706(National Instruments(Austin,Tx,USA))
受容容器707(5Lガラスビーカー、Roth)
ジョイント709及び空気取込み用開口管723を備えたリザーバ708(5Lガラスボトル、VWR)
操作ユニット及びコンソール705(Conrad Electronics)
コンピュータ化データ取得システム710
本明細書に記載のピストン/シリンダーアセンブリ713
制御弁714(Burkert)
【0184】
図16は、ピストン誘導蓋801、ピストン802、及びシリンダー803を含む、ピストン/シリンダーアセンブリ713を示す。シリンダー803は透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))で作製され、6.00cmの内径pを有する(面積=28.27cm
2)。内側シリンダー壁850は、平滑であり、シリンダーrの高さは、約7.50cmである。シリンダー803の底部804は、シリンダー803の底部804に取り付けられる前は突張状態まで2軸方向に伸張された、米国標準400メッシュステンレススチールスクリーンクロス(図示せず)(例えばWeisse and Eschrichからの)と面する。ピストン802は、ステンレススチールピストン本体805及びステンレススチールヘッド806で構成される。ピストンヘッド806の直径qは、ヒドロゲル形成粒子が通過する間隙を全く残さずにシリンダー803内へと自由に摺動するように、6cmよりわずかに小さい。ピストン本体805は、ピストンヘッド806の中央に垂直にしっかり取り付けられる。ピストン本体の直径tは、約2.2cmである。ピストン本体805は、次にピストン誘導蓋801に挿入される。誘導蓋801は、ピストン802を誘導蓋801と共にシリンダー803の上に配置しても依然としてピストン本体805を完全な垂直且つシリンダー壁850に平行に維持しながらピストン802の自由スライドを可能にする直径を有する、POM(ポリオキシメチレン)リング809を有する。ピストンヘッド806の上面図を
図16に示す。ピストンヘッド806は、試料718に均一に圧力を加えることが意図されている。また、ピストンヘッド806は、測定中に液体の流れを制限しないように、親水性の液体に対して高透過性である。ピストンヘッド806は、突張状態まで2軸方向に伸張され、ピストンヘッドステンレススチール外側リング901に固定された米国標準400メッシュステンレススチールスクリーンクロス903(例えば、Weisse及びEschrich)で構成される。ピストンの下面全体は平坦である。構造的一体性及びメッシュスクリーンの耐屈曲性は、次にステンレススチールの放射状スポーク902により保証される。ピストン本体805の高さは、ピストン本体805及びピストンヘッド806からなるピストン802の重量が596g(±6g)であるように選択され、これはシリンダー803の面積全体にわたる0.30psiに対応する。
【0185】
ピストン誘導蓋801は、その中央でPOMリング809によりピストン本体805に垂直に維持される、約7.5cmの直径sを有するステンレススチールの平坦な円形体である。誘導蓋には2つの入口がある(810及び812)。
【0186】
第1の入口812は、ピストン802が測定のためにシリンダー803と組み立てられると、液面検出用ファイバ702がシリンダー803の底部(804)に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上面から正確に5cm上に位置決めされることを可能にする。
【0187】
第2の入口810は、液管721を接続して液体を実験に提供することを可能にする。ピストン802とシリンダー803との組み立てが一貫して行われることを確実にするために、スリット814が、誘導蓋801内の位置マーカー813と一致するシリンダー803上に作製される。このようにして、シリンダーと誘導蓋との回転角は常に同じになる。
【0188】
毎回使用する前に、ピストンヘッド806及びシリンダー803のステンレススチールスクリーンクロス903は、目詰まり、穴、又は伸び過ぎについて検査し、必要に応じて取り替えるべきである。損傷したスクリーンを有するK(t)装置は、誤ったK(t)及び吸収率の結果を与える場合があり、スクリーンを交換するまで使用してはならない。
【0189】
5cmのマーク808が、シリンダー上において、シリンダー803の底部804に取り付けられたスクリーンの上面の上方5.00cm(±0.02cm)の高さkでスクライビングされる。これは、分析中に維持されるべき液面をマーキングする。液面検出用ファイバ702は、正確に5cmのマーク808に配置される。正確且つ一定した流体の液面(静水圧)の維持は、測定精度のために重要である。
【0190】
試料を保持するピストン/シリンダーアセンブリ713及び制御弁714に管を介して接続されたリザーバ708を使用して、シリンダー803に食塩水を送達し、且つ食塩水の液面を、シリンダー804の底部に取り付けられたスクリーンの上面から5.00cm上の高さkに維持する。弁714、液面検出用ファイバ702、及びデジタルファイバセンサ703は、操作ユニット705を介してコンピュータ化取得システム710に接続される。これにより、動的有効透過率及び吸収率測定システムは、液面検出用ファイバ702及びデジタルファイバセンサ703からの情報を使用して弁714を制御し、最終的に液面を5cmのマーク808で維持することができる。
【0191】
リザーバ708は、試験開始の15秒以内に5cmの水頭(hydrohead)が形成され、試験手順を通してシリンダー内に維持されるように、ピストン/シリンダーアセンブリ713の上に配置される。ピストン/シリンダーアセンブリ713は、カバープレート716の支持リング717上に配置され、第1入口812は結合支持体719で適所に固定される。これは、誘導蓋801に唯一の位置を与える。更に、位置マーカー813により、シリンダー803も唯一の位置になる。シリンダー804の底部に取り付けられたスクリーンは、完全に平坦且つ水平でなければならない。支持リング717は、シリンダーを支持リング717上に配置すると、シリンダー803をしっかり支持するのに十分小さいが、シリンダーの内径の外側にくるように6.0cmより大きい、内径を有する必要がある。これは、支持リング717が液体の流れを少しでも妨害するのを避けるために重要である。
【0192】
5cmの一定の水頭で試料718に適用される食塩水は、ここで、ピストン/シリンダーアセンブリ713から、精度±0.01g以内の天秤704上に位置決めされた受容容器707内へと自由に流れることができる。天秤のデジタル出力は、コンピュータ化データ取得システムに連結される。
【0193】
試料の厚さ(キャリパー)は、キャリパー測定用のデジタルレーザーセンサ701で常に測定される。デジタルレーザーセンサ701のレーザービーム720は、ピストン本体のPOMカバープレート811の中心に向けられる。ピストン/シリンダーアセンブリ713の全部品を正確に配置することにより、ピストン本体805をレーザービーム720に完全に平行にすることができ、結果として厚みの正確な測定値が得られる。
【0194】
試験の準備:リザーバ708を試験溶液で充填する。試験溶液は、溶液1リットル当たり9.00グラムの塩化ナトリウム及び1.00グラムの界面活性剤を含む水溶液である。試験溶液の調製を以下に記載する。コンピュータ化データ取得システム710に接続された天秤704上に受容容器707を配置する。測定開始前に天秤をゼロにリセットする。
【0195】
試験液の調製:必要な化学物質:
塩化ナトリウム(CAS#7647-14-5、例えばMerck、カタログ番号1.06404.1000)
直鎖状C12~C14アルコールエトキシレート(CAS#68439-50-9、例えばLorodac(登録商標)(Sasol,Italy))
脱イオン化H2O
【0196】
蒸留水中に1リットル当たり9.00グラムのNaCl及び1リットルあたり1.00グラムの直鎖C12~C14アルコールエトキサレート(ethoxalate)を含有する10リットルの溶液を調製し、23℃±1℃で1時間平衡化した。表面張力は、3つの個別のアリコートで測定し、30±2mN/mでなければならない。溶液の表面張力が28±0.5mN/mと異なる場合、溶液を廃棄し、新しい試験溶液を調製する。試験溶液は、その調製から3ヶ月以内に使用する必要があり、その後は有効期限が切れたとみなされる。
【0197】
SAP K(t)試料の調製:超吸収性ポリマー粒子を、例えば120℃の大気圧下の循環炉内で2時間乾燥させて、測定前に過剰な水分を除去する。続いて、粒子は、更に使用するまで、又は測定に直接使用されるまで、密封された23±2℃の気密容器内で貯蔵され得る。
【0198】
化学天秤を使用して2.0g(±0.02g)の超吸収性ポリマー粒子を好適な秤量紙に計量し、シリンダー803に移して、粒子がシリンダー803の底部804に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に均等に分布した状態にする。これは、同時にシリンダーを時計回りに回転させながら超吸収性ポリマーを振りまくことによって行われる(例えば、Schuett-biotec GmbH(Rudolf-Wissell-Str.13 D-37079 Gottingen Germany)から入手可能な円形ターンテーブルschuett petriturn-M上で)。超吸収性ポリマー粒子の均等な分布は、測定の精度に重要である。
【0199】
SAP K(t)手順:測定は、制御された実験室条件:23℃±1℃/45%RH±10%で行われる。実験室条件の制御は、例えば、G.Lufft Mess-und Regeltechnik GmbHからのOpus 20Eを介して行うことができる。空のピストン/シリンダーアセンブリ713をカバープレート716の円形開口部に取り付け、その下方外周部を支持リング717で支持する。ピストン/シリンダーアセンブリ713を結合支持体719で適所に固定し、シリンダー803及びピストン802が適切な角度で並んだ状態にする。参照キャリパー読み取り値(rr)をデジタルレーザーセンサによって測定する。この後、空のピストン/シリンダーアセンブリ713をカバープレート716及び支持リング717から取り外し、ピストン802をシリンダー803から取り外す。
【0200】
試料718を配置するか(吸収性構造体)、又は上述したようにシリンダーのスクリーン上に振りまく(超吸収性ポリマー粒子)。この後、ガイド蓋801の位置マーカー813をシリンダー803に作製されたスリット814と一致させることによって、誘導蓋801と組み立てられたピストン802をシリンダー803内に注意深く設置する。
【0201】
ピストン/シリンダーアセンブリを結合支持体719で適所に固定し、シリンダー及びピストンが適切な角度で並んだ状態にする。
【0202】
これは一方向でのみ行うことができる。リザーバ708に接続された液管721及びデジタルファイバセンサ703を、誘導蓋801の2つの入口810及び812を介してピストン/シリンダーアセンブリ713に挿入する。
【0203】
コンピュータ化データ取得システム710を天秤704及びキャリパー測定用デジタルレーザーセンサ701に接続する。弁714を開くことでコンピュータプログラムによりリザーバ708からシリンダー803への流体の流動が開始される。5~15秒で5cmのマーク808に達するまでシリンダーが満たされた後、コンピュータプログラムが一定の5cmの水頭を維持するように流速を調節する。試料718を通過する溶液の量は、天秤704によって測定され、キャリパーの増加はレーザーキャリパーゲージによって測定される。データ取得は、流体流動の開始時、特に弁714の初回開放時に開始され、21分間、又はリザーバが空になって5cmの水頭がもはや維持されなくなるまで続行する。1つの測定期間は21分であり、レーザーキャリパー及び天秤の読み取り値は、2~10秒間の測定範囲に応じて変化し得る間隔、典型的には10秒間隔で定期的に記録され、3回の複製が測定される。
【0204】
21分後、第1の複製の測定が正常に完了し、制御弁714が自動的に閉じる。ピストン/シリンダーアセンブリ713が取り外され、第2及び第3の複製の測定が常に同じ手順に従って適宜行われる。第3の複製の測定終了時に、制御弁714が液体の流れを止め、リザーバ708のストップコック722が閉じられる。収集された生データは単純なデータテーブルの形式で保存され、これは続いて、更なる分析のためのプログラム、例えばExcel2003、SP3に容易にインポートすることができる。
【0205】
データテーブルには、各読み取り値について以下の関連情報が記録される。
・実験開始からの時間
・天秤704上の受容容器707によって収集された液体の重量
・試料718のキャリパー
【0206】
K(t)及び吸収率の計算には、100秒から試験終了までのデータを使用する。最初の100秒間に収集されたデータは、計算に含めない。続いて、吸収性構造体の有効透過率K(t)及び吸収率を、以下の等式を使用して決定する。
【0207】
使用される等式:以下の表は、等式に使用される表記を説明する。
【0208】
【0209】
駆動圧は、以下のように水頭から計算される。
Δp=h・G・ρ=4929.31g/(cm・s2)
【0210】
各時間tiにおけるキャリパーは、時間tiにおけるキャリパーセンサの読み取り値と試料を含まない参照読み取り値との差として計算される。
di=ri-rr[cm]
【0211】
超吸収性粒子試料の場合、時間ti=0における試料のキャリパー(d0)を使用して、粒子振りまきの質を評価する。
【0212】
シリンダー内部の見かけ試料密度は、実際には次のように計算され得る。
【0213】
【0214】
このシリンダー内の見掛け密度が粉末の見掛け密度と±40%を超えて異なる場合、測定を無効とみなし、削除する必要がある。
【0215】
見かけ密度は、EDANA法NWSP251.0.R2(19)PSP(流速及びかさ密度の重量測定)に従って測定することができる。
【0216】
時間tiにおける天秤読み取り値の時間による変化率は、以下のように計算される。
【0217】
【0218】
時間tiにおけるキャリパー読み取り値の時間による変化率は、以下のように計算される。
【0219】
【0220】
吸収率は以下のように計算する。
【0221】
【0222】
乾燥試料体積(Vs)は、試料の骨格体積を意図しており、したがってVsは、存在する可能性がある細孔及び隙間を除いた乾燥試料中の固体材料によって占められる実際の体積である。
【0223】
Vsは、当業者に既知の様々な方法で計算又は測定することができ、例えば、構成要素の正確な組成及び骨格密度を知ることで、以下のように決定することができる。
【0224】
【0225】
あるいは、未知の材料組成の場合、Vsは、以下のように容易に計算することができる。
【0226】
【0227】
平均密度ρsは、既知の密度の好適な非膨潤性液体(本発明の場合ではエタノール)を用いた比重びん法によって決定することができる。この技術は、K(t)測定のために続いて使用される同じ試料で実行することができないため、この実験測定のために好適な追加の試料の代表的なセットを調製する必要がある。少なくとも3つの複製の平均を使用して、平均特定密度を計算する。平均特定密度が不明である場合、これらの値からの有意な偏差の証拠がない限り(例えば、超多孔性SAP粒子の場合、又はSAP粒子の含有量が極めて低い吸収性コアの場合)、吸収性コアの場合は1.50g/cm3、SAPの場合は1.60g/cm3の値を良好な近似値とみなしてもよい。
【0228】
上記で説明したように計算された異なる時間工程におけるU(t)から、線形補間によって任意の特定の時間における吸収を決定することができる。例えば、重要な出力の1つは、U20(単位g/g)とも呼ばれる20分での吸収である。
【0229】
異なる時間工程におけるU(t)から、線形補間によって特定の吸収に達するのに必要な時間も決定することができる。20g/gの吸収を最初に達成する時間をT20と呼ぶ。同様に、任意の他の吸収に達するまでの時間、例えば15g/gに達するまでの時間(T15)も適宜計算することができる。U20を知ることで、異なる時間工程におけるU(t)から、U20の80%に到達するまでの時間も決定することが可能であり、この特性はT80%と呼ばれる。
【0230】
有効透過率は、質量変化及びキャリパー変化の速度から以下のように計算される。
【0231】
【0232】
液体の有効粘度は温度に依存し、実験の区間において(23℃±1℃)は以下の経験式に従って計算される。
η=-2.36・10-4・T+1.479・10-2[g/(cm s)]
【0233】
K(ti)から、線形補間によって特定の時間における有効透過率を決定することができる。例えば、重要な出力の1つは、20分での透過率、又はK20(cm2)である。同様に、任意の他の時間での透過率をそれに応じて計算することができる(例えば、K5又はK10)。
【0234】
データから導出される別のパラメータは、Kminであり、これは、ti=100秒からti=1200秒までの間隔における曲線全体にわたって測定される最小K(t)値である。この値は、最小有効透過率と20分での透過率との比であるKmin/K20を計算するのに有用である。このパラメータは、一部の試料で生じることがある一時的ゲルブロッキングを表す。値が1に近い場合、一時的ゲルブロッキングは存在せず、値が0に近い場合、液体が最初に供給されたときに材料が強度の有効透過率の低下を経ることを示す。
【0235】
当業者に既知の所要の精度に従って、3回の繰り返しからT20、T80%、K20、U20、及びKmin/K20の平均値を記録する。
【0236】
吸収性コアK(t)試験法
上記の方法は、SAPを嵩高層から分離する必要なしに、吸収性コアのK(t)を直接測定するように容易に適合させることができる。機器システム及び試験液体は、上述のものと同じであり、記載されたSAP K(t)法の図に示されている。この適合された試験法は、吸収性コアのT15及びT20を測定するために、欧州特許第2,535,698(A1)号(Ehrnspergerら、P&G)で最初に記載されている。
【0237】
吸収性物品から吸収性コアを抽出するための方法
吸収性物品は平面上に位置決めされている。製品が平らになることを防ぐ特徴(カフ弾性体など)を含む場合、製品が平らになることを可能にするよう、これらを適切な間隔で切断する。トップシート又はバックシートなどの吸収性コアに取り付けられた任意の層を吸収性コアから除去する。コアの損傷を避けるために、これらの層は、例えば欧州特許第2535698号の
図15に示されるように、冷却温度が-50~-60℃の冷却スプレー(Taerosol(Kangasala Finland)で入手可能な「IT Icer」又は「PRF 101 cold spray」など)を用いて除去してよい。吸収性コアの過度の損傷を避けるために、吸収性コアから除去されるべき材料の層は、接着剤材料を冷却スプレーで冷却しながら、180度剥離の幾何学的配置で吸収性コアから引き抜く。噴霧は、材料の層の各単一部分に対して、少なくとも1秒であるが5秒以下であるべきである。各材料を除去した後、温度が初期値に戻るまで、吸収性コアの残りの部分を0.3psiの圧力下に維持する(TAPPI実験室条件)。
【0238】
吸収性コアの上層及び/又は下層は、中を通る液体の流れを可能にするよう適切に穿孔され得る(例えば、欧州特許第2535698号の
図16に示されるように)。穿孔は、0.7±0.2mmの直径Hを有するスチールロッドを含む、穿孔先端とも称される溶銑先端(hot metal tip)を使用して実施される。ERSA GmbH(Wertheim,Germany)で入手可能なCT60/621などのはんだ先端の周囲で折り曲げられた標準的なペーパークリップをこの目的に使用することができる。穿孔先端は、310±20℃の温度に設定するべきである。例えば、吸収性構造体の他の材料のいずれかに影響を与えることなく融解によって層を穿孔するように、穿孔先端を、低圧で短時間、穿孔される層と接触させて位置決めする。穴を、同じ手順を用いて、1±0.2mmの穴縁部間距離Dを備える真四角の穿孔パターンで生成する(例えば欧州特許第2535698号の
図17に示されるように)。
【0239】
バックライトを利用して各吸収性コアの完全性を視覚的に点検し、損傷している場合は廃棄する。損傷の例は、例えば、吸収性物品から吸収性構造体を除去する前は存在しなかった切れ目、穴、しわである。穿孔先端を用いて行われる層の穿孔は、他の層に影響を及ぼさない限りは損傷とみなさない。吸収性構造体内の超吸収性ポリマー粒子及び繊維の実質的な移動も損傷とみなされる。
【0240】
続いて、以下で記載されるK(t)吸収性コア試料の調製に従い、こうした調製された吸収性コアを切断して円形試料を調製する。
【0241】
K(t)吸収性コア試料の調製
吸収性コアの直径6.00cmの円形部分は、吸収性コアの中心から得られる。この目的のために、好適な円形ダイ及び油圧プレスカッター(例えば、Thwing-Albert instrument company(14W.Collings Ave.West Berlin,NJ 08091)で入手可能なElectro-Hydraulic Alfa Cutter 240-10など)を使用することができる。
【0242】
円形試料を、スクリーン(図示せず)上の全ての利用可能な表面を占有するシリンダーの底部に取り付けられたスクリーン上で慎重に平坦に位置決めする。使用中の共通の流れ方向を再現するために、スクリーンと直接接触する側面が、使用中は、通常は液体供給源からより遠く離れている側面であるように、円形試料を位置決めすることが重要である。例えば、おむつなどの吸収性物品に関連する試料の場合、着用者に通常面する側面は上部に位置決めされるべきであり、一方で衣類に面する側面は、シリンダー底部でスクリーンと接触して位置決めされるべきである。試料の注意深い位置決めは、測定の精度にとって重要である。吸収性コアの寸法が小さく、それから直径6.0cmの試料が得られない場合は、等しいサイズの2つの吸収性コアを接合して必要な最小試料サイズを得ることが可能である。2つの試料は、2つの同一の吸収性コアから同じ位置で取られる必要がある。2つの吸収性コアは、直線状の縁部を介して接合されるべきであり、必要に応じて、こうした直線状の縁部を得るために切断されるべきである。この意図は、接合された縁部が、間隙を有さないか最小限の間隙しか有さない平坦な均質層を再現することである。続いて、この接合層を、2つの同一形状の半円を得るために、接合線を切断ダイの中心に置くための更なる注意を払い、上記の標準試料調製に従って取り扱う。両方の半円が試料ホルダーの内側に注意深く位置決めされて完全な円を再現し、間隙を有さないか最小限の間隙しか有さずに、スクリーン上の利用可能な表面全体を占めることが重要である。どちらの半体も、上記で説明したように側面がスクリーンに面するように位置決めする必要がある。しかしながら、ほとんどの実施形態では、試料は、吸収性コアの単一の円形部分からなる。
【0243】
吸収性コアK(t)法は上記で示されるとおりに行われ、特にコアT15及びコアK20は同様の方法で決定される。0.3psiでのコア密度は、以下の式に従って更に決定することができ、
【0244】
【数11】
式中、mは、吸収性コア試料の質量である。
【0245】
その他
本明細書に開示されている寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解すべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【国際調査報告】