(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(54)【発明の名称】フォトニック結晶受信器
(51)【国際特許分類】
G01R 29/08 20060101AFI20230418BHJP
H01Q 15/08 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G01R29/08 F
H01Q15/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555759
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 CA2021050328
(87)【国際公開番号】W WO2021184108
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521266918
【氏名又は名称】クオンタム ヴァリー アイデアズ ラボラトリーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】アマルロー ハーディ
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス-セラーノ ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー ジェームズ ピー
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020BD03
(57)【要約】
概略的な態様では、無線周波(RF)電磁放射を感知するための受信器が開示される。受信器は誘電体を含み、誘電体は、誘電体内にフォトニック結晶構造を画定するように周期的に並べられたアレイ状空洞を有する。誘電体はまた、フォトニック結晶構造内に欠陥を画定するアレイ状空洞内の領域を有する。領域を通る細長いスロットが、誘電体の表面内のスロット開口から少なくとも部分的に誘電体を通って延びる。受信器はまた、細長いスロット内の蒸気または蒸気源、ならびに細長いスロットを覆う光学窓を含む。光学窓は、スロット開口の周りに封止を形成するように誘電体の表面に接合された窓面を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波(RF)電磁放射を感知するための受信器であって、
誘電体であり、
前記誘電体内にフォトニック結晶構造を画定するように周期的に並べられたアレイ状空洞、
前記フォトニック結晶構造内に欠陥を画定する前記アレイ状空洞内の領域、および
前記誘電体の表面内のスロット開口から少なくとも部分的に前記誘電体を通って延びる前記領域を通る細長いスロットを含む誘電体と、
前記細長いスロット内の蒸気または前記蒸気源と、
前記細長いスロットを覆い、前記スロット開口の周りに封止を形成するように前記誘電体の前記表面に接合された窓面を有する光学窓とを備える受信器。
【請求項2】
前記フォトニック結晶構造が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射の群速度を減少させるように構成されている、請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
前記フォトニック結晶構造が、標的RF電磁放射を前記細長いスロットに集中させるように構成されており、前記標的RF電磁放射が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する、請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項4】
前記アレイ状空洞が、前記アレイ内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を含む、請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項5】
前記1つまたは複数のずれた空洞が、前記細長いスロットの端部の最も近くに位置し、前記細長いスロットの前記端部から離れる方にそれぞれの空間的なずれを有する、請求項4に記載の受信器。
【請求項6】
前記1つまたは複数のずれた空洞が、前記細長いスロットの側面の最も近くに位置し、前記細長いスロットの前記側面から離れる方にそれぞれの空間的なずれを有する、請求項4に記載の受信器。
【請求項7】
前記細長いスロットの端部に配置されたミラーを備える、請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項8】
前記ミラーが、前記細長いスロットによって画定された光路に対して傾斜している、請求項7に記載の受信器。
【請求項9】
前記ミラーが、前記細長いスロットによって画定された光路に対して直交している、請求項7に記載の受信器。
【請求項10】
前記誘電体が、前記誘電体の端部から軸に沿って延びるアンテナ構造を含む、請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項11】
前記アンテナ構造が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成されている、請求項10に記載の受信器。
【請求項12】
前記アンテナ構造が、テーパ状の端部で終端し、
前記テーパ状の端部と位置合わせされた狭い部分と、
前記狭い部分から外方へ延びて前記狭い部分に沿って周期的な間隔を有するアレイ状の共平面セグメントとを含み、前記アレイ状の共平面セグメントが、前記標的RF電磁放射の偏光をフィルタリングするように構成されている、請求項10に記載の受信器。
【請求項13】
前記アンテナ構造が、前記アンテナ構造の内部にテーパを画定する1つまたは複数のチャネルを含み、前記テーパが、前記アンテナ構造によって受信された電磁放射を前記細長いスロットに結合するように構成されている、請求項10に記載の受信器。
【請求項14】
前記フォトニック結晶構造が、RF電磁放射の横磁場(TM)モードに関連するフォトニックバンドギャップを画定する、請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項15】
前記フォトニック結晶構造が、RF電磁放射の横電場(TE)モードに関連するフォトニックバンドギャップを画定する、請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項16】
前記蒸気が、アルカリ金属原子のガスを含む、請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項17】
前記誘電体の前記表面が、前記アレイ状空洞の各々に対して空洞開口を画定し、
前記光学窓が、前記空洞開口の各々を覆い、
前記窓面が、前記空洞開口の各々の周りに封止を形成する、
請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項18】
前記誘電体の前記表面が第1の表面であり、前記誘電体が、前記第1の表面とは反対側に第2の表面を含み、
前記細長いスロットが、前記誘電体を通って前記第1の表面から前記第2の表面まで延び、
前記スロット開口が第1のスロット開口であり、前記誘電体の前記第2の表面が、前記細長いスロットの第2のスロット開口を画定し、
前記光学窓が第1の光学窓であり、前記窓面が第1の窓面であり、
前記受信器が、前記第2のスロット開口を覆う第2の光学窓を含み、前記第2の光学窓が、前記第2のスロット開口の周りに封止を形成するように前記第2の表面に接合された第2の窓面を有する、
請求項1または請求項2に記載の受信器。
【請求項19】
前記誘電体の前記第1および第2の表面が、前記アレイ状空洞の各々に対してそれぞれ第1および第2の空洞開口を画定し、
前記第1および第2の光学窓が、それぞれ前記第1および第2の空洞開口の各々を覆い、
前記第1および第2の窓面が、前記第1および第2の空洞開口の各々の周りにそれぞれの封止を形成する、
請求項18に記載の受信器。
【請求項20】
無線周波(RF)電磁放射を感知する方法であって、
誘電体のアンテナ構造でRF電磁放射を受信することであり、前記誘電体が、
100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成された前記アンテナ構造、
前記誘電体内にフォトニック結晶構造を画定するように周期的に並べられたアレイ状空洞、
前記フォトニック結晶構造内に欠陥を画定する前記アレイ状空洞内の領域、および
前記誘電体の表面内のスロット開口から少なくとも部分的に前記誘電体を通って延びる前記領域を通る細長いスロットを含む、受信することと、
前記受信したRF電磁放射を前記フォトニック結晶構造と相互作用させることと、
前記細長いスロット内の蒸気に入力光信号を通して、1つまたは複数の出力光信号を生成することとを含む方法。
【請求項21】
前記アンテナ構造の内部にあるテーパを使用して、前記受信したRF電磁放射を前記細長いスロットに結合させることを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記テーパが、前記アンテナ構造内の1つまたは複数のチャネルによって画定され、
前記テーパが、前記細長いスロットと位置合わせされた頂点を有する、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アレイ状空洞内の前記領域が、軸に沿って延び、前記細長いスロットが、前記軸に平行に位置合わせされ、
前記受信したRF電磁放射を相互作用させることが、前記受信したRF電磁放射の群速度を、前記軸に平行な方向に沿って減少させることを含む、
請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記受信したRF電磁放射を相互作用させることが、前記受信したRF電磁放射を前記細長いスロットに集中させることを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記アレイ状空洞が、前記アレイ内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を含み、前記ずれた空洞が、フォトニック結晶ミラーを画定し、
前記受信したRF電磁放射を相互作用させることが、前記受信したRF電磁放射を前記フォトニック結晶ミラーから反射させることを含む、
請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
入力光信号を通すことが、前記細長いスロットの端部に配置されたミラーから前記入力光信号を反射させることを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
RF電磁放射を受信することが、前記アンテナ構造に一体化された偏光器を使用して、前記受信したRF電磁放射の偏光をフィルタリングすることを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記アンテナ構造が、軸に沿って延び、テーパ状の端部で終端し、
前記偏光器が、
前記テーパ状の端部と位置合わせされた前記アンテナ構造の狭い部分と、
前記狭い部分から外方へ延びて前記狭い部分に沿って周期的な間隔を有するアレイ状の共平面セグメントとを含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
入力光信号を通すことが、前記細長いスロットによって画定された光路に沿って前記入力光信号を伝播させることを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記蒸気が、アルカリ金属原子のガスを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、どちらも「Photonic Crystal Receivers」という名称である、2021年1月5日出願の米国特許出願第17/142,012号、および2020年3月16日出願の米国仮特許出願第62/990,244号に対する優先権を主張する。すべての優先出願の開示が、全体として参照による本明細書に組み込まれている。
【0002】
以下の説明は、フォトニック結晶受信器に関する。
【背景技術】
【0003】
受信器は、典型的に、電磁放射を使用可能な形態に変換するために使用される。たとえば受信器は、レーダシステムにおいて、物体から散乱した無線周波電磁放射を検出するために使用することができる。いくつかのシステムでは、レーダシステムの伝送器は強いRF信号を放出し、次いでこのRF信号は標的の方へ伝播する。次いで標的はこのRF放射を散乱させ、次にRF放射は受信器によって検出される。協調レーダのいくつかの形態では、標的は信号を放出し、この信号が受信器によって検出される。受信器に関して、電気通信システムなどの他の応用例も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】例示的な心棒のない蒸気セルおよび例示的なフォトニック結晶受信器の概略図である。
【
図1B】無線周波(RF)電磁放射を感知するための例示的な受信器の概略斜視図である。
【
図2】ディッシュおよびフォトニック結晶受信器を含む例示的なアンテナの概略図である。
【
図3】電磁放射を受信する突起および孔の周期的な配置を含む例示的なフォトニック結晶フレームの概略図である。
【
図4】偏光器として働く例示的な突起の狭窄区分に沿って配置された周期的なアレイ状のセグメントを含むフォトニック結晶フレームの例示的な突起(またはその一部分)の概略図である。
【
図5A】各構成がフォトニック結晶フレームに結合された光ファイバアセンブリの異なる配置を有している、フォトニック結晶フレームの代替構成の概略断面図である。
【
図5B】各構成がフォトニック結晶フレームに結合された光ファイバアセンブリの異なる配置を有している、フォトニック結晶フレームの代替構成の概略断面図である。
【
図5C】各構成がフォトニック結晶フレームに結合された光ファイバアセンブリの異なる配置を有している、フォトニック結晶フレームの代替構成の概略断面図である。
【
図5D】各構成がフォトニック結晶フレームに結合された光ファイバアセンブリの異なる配置を有している、フォトニック結晶フレームの代替構成の概略断面図である。
【
図5E】各構成がフォトニック結晶フレームに結合された光ファイバアセンブリの異なる配置を有している、フォトニック結晶フレームの代替構成の概略断面図である。
【
図6】光信号を供給するように構成され、第1のロッドミラーおよび第2のロッドミラーを有している、例示的なアライメントピースの図である。
【
図7】
図3の例示的なフォトニック結晶受信器に対する群屈折率(n
g)をRF電磁放射の周波数(f)の関数として示すグラフである。
【
図8A】例示的なスロット付きのフォトニック結晶導波路の単位セルの図である。
【
図8B】等高線グラフによって示される
図8Aの単位セルの電界のシミュレーションの図である。
【
図9A】孔の周期的な配置によって画定されるフォトニック結晶構造を含む例示的なフォトニック結晶フレームの概略図である。
【
図9B】
図9Aの孔の周期的な配置におけるテーパの程度に関して50MHzの帯域幅にわたって15.697GHzの周波数でシミュレートされた伝送損失を示すグラフである。
【
図10A】パラボラディッシュを使用した例示的なテーパ状導波路に対する15.697GHzの電磁波のシミュレートされた結合の等高線グラフである。
【
図10B】パラボラディッシュが存在せず、平面波として受信した、例示的なテーパ状導波路に対する
図10Aの15.697GHzの電磁波のシミュレートされた結合の等高線グラフである。
【
図11A】入ってくるRF電磁波がガウシアンビームとしてモデル化されている、例示的な非テーパ状導波路に対する入ってくるRF電磁波のシミュレートされた結合効率の図である。
【
図11B】入ってくるRF電磁波がガウシアンビームとしてモデル化されている、例示的なテーパ状導波路に対する入ってくるRF電磁波のシミュレートされた結合効率の図である。
【
図12A】フォトニック結晶フレーム内に3つのテーパを有する例示的なフォトニック結晶受信器の概略斜視図である。
【
図12C】
図12Aの例示的なフォトニック結晶受信器のフォトニック結晶フレームにおける孔の周期的な配置の一部分の詳細図である。
【
図13B】
図12Aの第2のテーパを離れてスロット導波路に入る電磁放射のシミュレートされた電界強度を示す等高線マップである。
【
図13C】
図12Aの第2のテーパをチャネルからスロット導波路へ横切るときのシミュレートされた伝送損失を示すグラフである。
【
図14】例示的なフォトニック結晶フレームの一区分の概略図、および様々な大きさの孔のずれに対する例示的なフォトニック結晶フレームの群屈折率(n
g)とRF電磁放射の周波数(f)との間の関係を示すグラフである。
【
図15】
図12Aの例示的なフォトニック結晶受信器に対するシミュレートされた総結合効率のグラフである。
【
図16】無線周波(RF)電磁放射を感知するための例示的なシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
受信器は、典型的に、電磁放射を使用可能な形態に変換する。本明細書に記載するいくつかの態様では、フォトニック結晶受信器は、蒸気状態の原子を使用して動作し、これはリュードベリ原子に基づく感知に対応することができる。多くの変形例では、フォトニック結晶受信器は、MHz-THz周波数の無線周波(RF)波を取得し、それらの波を光信号に変換するように構成されており、この光信号は電気信号に変換することができる(たとえば、光検出器を使用)。光信号の生成は、変換媒体として働いてRF波と相互作用する蒸気状態の原子によって支援される。いくつかの実装例では、フォトニック結晶受信器は、蒸気またはリュードベリ原子の位置でRF波の電界を強化する。たとえば、フォトニック結晶受信器は、フォトニック結晶を使用して、RF波を導波路内に集中させて減速させることができる。そのような強化により、フォトニック結晶受信器の感度を従来のレーダ受信器以上の大きさまで増大させることができる。多くの実装例では、フォトニック結晶受信器は、RF波(またはRF電磁放射)の電界を強化するように動作可能なモノリシックのフォトニック結晶フレームを含む。いくつかの実装例では、フォトニック結晶受信器は受信器システムに組み込まれる。受信器システムは、レーザと、レーザからの光をフォトニック結晶受信器に光学的に結合する光ファイバ回路とを含むことができる。受信器システムはまた、信号処理が可能な検出およびデジタル制御システムを含むことができる。
【0006】
本明細書に記載するいくつかの態様では、フォトニック結晶受信器は、リュードベリ原子に基づく感知を利用して、無線およびmm波周波数の標的電磁放射に対する高い感度を提供する。標的電磁放射を感知するために、蒸気状態の原子が構造に含まれる。フォトニック結晶受信器は、フォトニック結晶フレームを作製し、次いで1つまたは2つの光学窓をフレームに接合することによって構築することができる。フレームにはテーパ状のシリコンアンテナが一体化されており、このアンテナはまた、偏光フィルタを含むことができる。フォトニック結晶フレームは、シリコンなどの誘電性材料から形成することができる。しかし、BaLn2Ti4O12(BLT)など、低損失(または低吸収)の他の高誘電性材料も可能であり、ここでLnは、元素周期表のランタニド群からの1つまたは複数の元素を指す。光学窓はまた、ガラスまたはシリコンなどの誘電性材料から形成することができる。フレームおよび光学窓の誘電性材料は、フォトニック結晶フレーム上の粘着層(たとえば、シリコンまたは二酸化ケイ素)の支援によって接合することができる。次いで標的電磁放射を光学的に読み出すことができる。フォトニック結晶受信器は大規模に正確に製造することができ、センサは原子であるため、フォトニック結晶受信器は自己較正することができる。
【0007】
フォトニック結晶フレームは、フォトニック結晶を画定する孔の周期的な配置に配置された線欠陥を含むことができる。たとえば、線欠陥は、孔の周期的な配置における1行の「充填」孔、たとえば孔の不在に対応することができる。線欠陥内の中心に細長いスロットを配置して、スロット導波路を画定することができる。IA属原子の蒸気(たとえば、セシウム原子の蒸気、ルビジウム原子の蒸気など)などの蒸気が、細長いスロットを占めることができる。細長いスロット内の蒸気は、フォトニック結晶フレームに入射するRF電磁放射(たとえば、RF波)を感知するように動作可能である。RF電磁放射は、細長いスロット内で強化または増強することができ、フォトニック結晶構造の存在のためによりゆっくりと進む群速度を有することができる。アンテナ構造(たとえば、テーパ状突起)および偏光フィルタは、RF電磁放射を線欠陥および細長いスロットに効率的に結合するように設計することができる。
【0008】
製造中、制御された真空(または分圧)条件下で、フォトニック結晶受信器に蒸気を導入することができる。低温接触接合を使用して、細長いスロット内の蒸気を真空封止することができる。スロットを原子で充填する他の方法を使用することもできる。たとえば、導管によって細長いスロットに接続された空洞内に、パラフィンに入ったアルカリサンプルまたはレーザ活性化ゲッタ(SAES)を配置することができる。蒸気のこれらの供給源は、供給源にエネルギーを誘導すること(たとえば、レーザによる加熱)によって、後に活性化することができる。蒸気が細長いスロット内に純粋なまま残るように、光学窓のうちの1つ、または光学窓のうちの1つの充填孔を接触接合することができる。両方の窓の陽極接合も同様に可能な封止方法である。しかし、接合、たとえば陽極接合の他の方法では、接合を形成するために、フォトニック結晶フレームおよび光学窓に高温、高圧、または両方を印加する必要がある。そのような印加は、著しいガス抜けを招く可能性があり、フォトニック結晶受信器の性能を損なうことがある。いくつかの場合、リュードベリ原子に基づく電界感知のために、原子の純粋な蒸気(たとえば、セシウム原子の純粋な蒸気)が使用される。いくつかの変形例では、小さい心棒を使用して、フォトニック結晶受信器を充填することができる。これらの変形例では、心棒を通って細長いスロットに蒸気を装填する前に、両方の光学窓をフォトニック結晶フレームに陽極接合またはフリット接合することができる。
【0009】
フォトニック結晶フレームは、インピーダンス整合によってフォトニック結晶受信器の異なる区分間の結合損失を最小にするために、1つまたは複数のテーパを含むことができる。たとえば、動作中、フォトニック結晶フレームは、誘電体の端部から延びるテーパ状突起によって、RF電磁放射を捕捉することができる。テーパ状突起は、アンテナ構造を画定し、いくつかの事例では、特有の偏光をフィルタリングする偏光器を含む。フォトニック結晶フレームにおける孔の周期的な配置もまた、標的RF電磁波を制御された形で減速させるために、先細りさせる(またはずらす)ことができる。第2のカプラを使用して、捕捉したまたは受信した波をフォトニック結晶フレーム内の領域(または細長いスロット)に結合することができる。たとえば、第2のカプラは、1つまたは複数のチャネルによって画定されたテーパ状突起の内部にあるテーパとすることができる。いくつかの変形例では、フォトニック結晶フレームは、線欠陥(または細長いスロット)におけるRF電磁放射の電界強度を増幅するために、フォトニック結晶空洞を含む。フォトニック結晶空洞は、線欠陥の一端または両端近傍の孔の間隔を先細りさせて(またはずらす)、それらの領域にフォトニック結晶受信器の軸に沿ってRF電磁放射を前後に反射させることによって実装することができる。いくつかの変形例では、フォトニック結晶フレームは、孔の周期的な配置のサイズまたは間隔を選択することなどによって、標的周波数または周波数範囲の電磁波を捕捉するように構成することができる。
【0010】
フォトニック結晶受信器は、動作中、2つ以上の読出しレーザ(たとえば、結合レーザおよびプローブレーザ)に光学的に結合することができる。そのような光学的結合は、自由空間を介して、光ファイバなどの導波路によって、またはそれらのいくつかの組合せによってもたらすことができる。動作中、標的電磁場が蒸気に与える影響が光学場で符号化され、これを検出器へ搬送することができる。検出器によって生成された信号は、次にアナログまたはデジタル電子機器を使用して処理することができる。フォトニック結晶受信器の感度を強化するために、レーザからの光ビームによる様々な変調技法を使用することもできる。そのような変調技法の例には、周波数、振幅、または位相変調方法が含まれる。
【0011】
いくつかの変形例では、フォトニック結晶受信器のフォトニック結晶フレームは、横磁場(TM)放射および横電場(TE)放射のうちの一方または両方に対するバンドギャップを有するフォトニック結晶構造を含む。フォトニック結晶構造は、空隙または空洞の周期的な配置(たとえば、孔の周期的な配置)を含むことができ、TMおよびTE放射は、特有の標的周波数または周波数範囲に対応することができる。フォトニック結晶フレームはまた、TMおよびTE放射の偏光を感知するように構成することができる。いくつかの変形例では、受信器のフォトニック結晶構造は、標的電磁放射の群速度を低減させ、それによって細長いスロット内に配置された蒸気との相互作用時間、ならびに電界の強度を増大させる働きをする。
【0012】
電磁放射を感知するための蒸気またはリュードベリ原子を含む蒸気セルを構築する特定の従来の製造方法は、ガラス吹きに依拠しており、これは小さい構造を作るには不正確になりかつ使用するのが困難になる可能性がある。精度を改善するために、精密な機械加工プロセス(たとえば、レーザおよびリソグラフィ)および低温接合プロセスを使用して、フォトニック結晶受信器を製造することができる。たとえば、フォトニック結晶フレームは、レーザを使用してシリコンから機械加工し、次いで少なくとも1つの光学窓に接触接合することができる。フォトニック結晶フレームと光学窓との間の封止接合は約150℃以下で形成することができるため、フォトニック結晶受信器(たとえば、一方または両方の光学窓)にスピン緩和防止コーティングを施して、積分時間を増大させることができる。したがって、フォトニック結晶受信器は、蒸気セルの磁気測定など、他の応用例にも使用することができる。本明細書に記載する精密な機械加工プロセスにより、フォトニック結晶受信器を自己較正することが可能になる。自己較正は、マルチスタティックレーダシステムにおけるクラッタの解消のようなタスクを実現するのに有用である。さらに、異なる受信器のそれぞれの信号レベルを絶対的な感覚で互いに比較することができる。
【0013】
多くの実装例では、本明細書に記載するフォトニック結晶受信器は、モノリシックに構成されている。たとえば、図面に示す例示的なフォトニック結晶受信器は、外側蒸気セル内に密閉されることも、吹きガラス部分を有することもなく、これらはいずれも入射電磁放射を歪ませて、効率を低下させる可能性がある。フォトニック結晶受信器はまた、固有の導波路を形成する単一の蒸気セルへの光減速構造、スロット構造、およびフォトニック空洞構造のシームレスな統合を含むことができる。この構成は、自動化された製造に適しており、大きい生産量まで容易に規模を拡大することができる。
【0014】
多くの変形例では、フォトニック結晶受信器の構成要素は全誘電性材料から作られており、したがって複数の事例を同じ近傍に配置することができる。この近接した配置により、近接して隔置されたフォトニック結晶受信器群としての動作が可能になる。誘電性材料により、フォトニック結晶受信器群は、隣接する受信器からの干渉が最小でありかつ交差結合が特に低減された状態で動作することが可能になる。干渉および交差結合は、複数のアンテナを同じ区域内に配置しなければならないレーダおよび通信において顕著な問題である。
【0015】
図1Aを次に参照すると、例示的な心棒のない蒸気セル100および例示的なフォトニック結晶受信器120の概略図が提示されている。例示的な心棒のない蒸気セル100は、2つの光学窓104、106間に配置(および接合)された誘電体102を含む。例示的な心棒のない蒸気セル100の誘電体102は、蒸気(たとえば、Cs原子の蒸気)を含む円筒形の空洞108を含む。例示的なフォトニック結晶受信器120はまた、2つの光学窓124、126間に配置(および接合)された誘電体122を含む。しかし、例示的な心棒のない蒸気セル100とは異なり、例示的なフォトニック結晶受信器120の誘電体122は、フォトニック結晶フレーム128(または構造)を画定する。フォトニック結晶フレーム128は、フォトニック結晶を画定する孔130の周期的な配置を含む。フォトニック結晶フレーム128はまた、孔130の周期的な配置に欠陥132を含む。欠陥132は、孔130の周期的な配置における1行の「充填」孔、たとえば孔の不在に対応することができる。
【0016】
欠陥132の中心に細長いスロット134を配置することができる。孔130の周期的な配置、欠陥132、および細長いスロット134は、フォトニック結晶フレーム128内に導波路を画定するようにともに動作することができる。この線形の空洞を、IA属原子の蒸気(たとえば、セシウム原子の蒸気、ルビジウム原子の蒸気など)などの蒸気が占めることができる。多くの変形例では、フォトニック結晶フレーム128は、例示的なフォトニック結晶受信器120に入射する電磁放射(たとえば、RF放射)に結合するために、テーパ状突起などのアンテナ構造136を含む。フォトニック結晶フレーム128の特徴により、特に例示的な心棒のない蒸気セル100に対して、電磁放射(たとえば、電界)への例示的なフォトニック結晶受信器120の感度が改善される。そのような改善は、少なくとも3桁分(すなわち、103)高くことができる。またフォトニック結晶フレーム128の特徴により、例示的なフォトニック結晶受信器120が電磁放射の偏光に対して高い感度を有することを可能にすることができる。
【0017】
例示的なフォトニック結晶受信器120は、電磁放射に対するその感度をさらに改善するために、ディッシュとともに使用することができる。たとえば、
図2は、ディッシュ202およびフォトニック結晶受信器204を含む例示的なアンテナ200の概略図を提示する。例示的なアンテナ200は、ヘテロダイン検出のために構成することができる。ディッシュ202は、焦点を画定する放物線状の断面を有しており、フォトニック結晶受信器204は、ディッシュ202によって集束された電磁放射を受信するように、焦点(またはその付近)に配置される。例示的なアンテナ200はまた、ガウシアンまたは基準/ヘテロダインビーム308をフォトニック結晶受信器204内へ集束させるために、ディッシュ202の頂点に光学系206を含む。基準ビームは、標的電磁場キャリア周波数またはその付近の周波数を有するアンテナによって生成された電磁波とすることができる。基準ビームを使用してヘテロダイン検出を行うことができ、これには全体的な受信器をある程度金属性にすることを伴うことができる。アンテナは、標的電磁場のヘテロダイン検出を実施するために低放出電力で使用することができることから、小型にすることができ、有利となりうる。
【0018】
例示的なフォトニック結晶受信器120は、心棒のない蒸気セル100などのそのままの蒸気セルと比較すると、高周波電磁場(MHz~THz)に対する受信器の感度を1000倍より大きく増大させるように、入射場を集中および減速させるように構成することができる。フォトニック結晶空洞はまた、電磁場強度をさらに増大させるために使用することができる。空洞は、反射性構造を作るようにフォトニック結晶導波路の端部でテーパを変化させることによって実装することができる。例示的なフォトニック結晶受信器120は、所望される場合に偏光器として働くことができるテーパ状カプラを含むことができ、スロット導波路への結合の損失を低減させるためにテーパを含むこともでき、損失が低減されるように制御された形で入射電磁波を減速させるためにテーパアレイ状の孔をさらに含むことができる。例示的なフォトニック結晶受信器120は、ディッシュ(たとえば、
図2のディッシュ202)を使用して、入ってくる電磁放射をカプラ上へ集束させることができる。これらの異なる特徴は、独立してまたは任意の組合せで使用することができる。多くの構成では、例示的なフォトニック結晶受信器120は、小型で自己較正式の全誘電性受信器であり、従来の受信器より性能が優れており、感度が最善の受信器に匹敵する。本明細書では、「全誘電性」という用語は、従来の受信器より電磁透過性の高い材料構造を指す。例示的なフォトニック結晶受信器120のいくつかの事例は、誘電性構造のため、最小の干渉および交差結合でまとめることができる。例示的なフォトニック結晶受信器120はまた、従来のアンテナより強化された偏光感度を呈することができる。例示的なフォトニック結晶受信器120は、商品化のために確実に自動化および大量生産することができるように設計される。
【0019】
図1Bを次に参照すると、無線周波(RF)電磁放射を感知するための例示的な受信器150(または例示的なフォトニック結晶受信器150)の概略斜視図が提示されている。例示的な受信器150は、
図1Aに関連して説明したフォトニック結晶受信器120に類似したものとすることができ、RF電磁放射は、1MHz~1THzの範囲内の周波数(または複数の周波数)を有することができる。例示的な受信器150は誘電体152を含み、誘電体152は、例示的な受信器150によって測定される電界(または電磁放射)に対して実質的に透過性を有する材料から形成することができる。材料は、高い抵抗率、たとえばρ>10
3Ω・cmを有する絶縁材料とすることができ、単結晶材料、多結晶材料、または非晶質(またはガラス)材料にも対応することができる。たとえば、誘電体152は、シリコンから形成することができる。別の例では、誘電体152は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、またはアルミノケイ酸ガラスなどの酸化ケイ素(たとえば、SiO
2、SiO
xなど)を含むガラスから形成することができる。いくつかの事例では、誘電体152の材料は、酸化マグネシウム(たとえば、MgO)、酸化アルミニウム(たとえば、Al
2O
3)、二酸化ケイ素(たとえば、SiO
2)、二酸化チタン(たとえば、TiO
2)、二酸化ジルコニウム(たとえば、ZrO
2)、酸化イットリウム(たとえば、Y
2O
3)、酸化ランタン(たとえば、La
2O
3)などの酸化物材料である。酸化物材料は、非化学量論的(たとえば、SiO
x)とすることができ、1つまたは複数の二元酸化物(たとえば、Y:ZrO
2、LaAlO
3など)の組合せとすることもできる。特定の変形例では、この組合せは、BaLn
2Ti
4O
12に対応することができ、ここでLnは、元素周期表のランタニド群からの1つまたは複数の元素を指す。他の事例では、誘電体152の材料は、ケイ素(Si)、ダイヤモンド(C)、窒化ガリウム(GaN)、フッ化カルシウム(CaF)などの非酸化物材料である。
【0020】
誘電体152は、誘電体152内にフォトニック結晶構造156を画定するように周期的に並べられたアレイ状空洞154を含む。アレイ状空洞154は、部分的または完全に誘電体152を通って延びることができる。たとえば、アレイ状空洞154は、アレイ状の非貫通孔とすることができ、または
図1Bに示すように、アレイ状の貫通孔とすることができる。アレイ状空洞154はまた、部分的または完全に誘電体152を通って延びる部分に分割することができる。たとえば、アレイ状空洞154は、部分的に誘電体を通って延びる第1の部分(たとえば、非貫通孔)と、完全に誘電体を通って延びる第2の部分(たとえば、貫通孔)とを含むことができる。
図1Bはアレイ状空洞154を円形貫通孔のアレイとして示すが、アレイ状空洞154に対して他の形状(たとえば、六角形、長円形など)も可能である。いくつかの変形例では、アレイ状空洞154の各々は、0.5ミリメートル~10ミリメートルの範囲内の最大寸法を有する。最大寸法は、各空洞に対して同じものとすることができる。いくつかの変形例では、アレイ状空洞154は、0.9ミリメートル~15ミリメートルの範囲内の周期的な間隔を有する。いくつかの変形例では、誘電体152は、0.5ミリメートル~10ミリメートルの範囲内の厚さを有する板である。
【0021】
誘電体152はまた、フォトニック結晶構造156内に欠陥を画定するアレイ状空洞154内の領域158を含む。多くの変形例では、領域158は、空洞の不在によって画定されたアレイ状空洞154内の中実領域である。空洞の不在は、フォトニック結晶構造156の欠陥に対応することができる。たとえば、欠陥は、1行または1列の「充填」空洞とすることができる。しかし、他のパターンの「充填」空洞も可能である。いくつかの変形例では、
図1Bに示すように、領域158は、誘電体152の中心に配置することができる。誘電体152は、誘電体152の表面164内のスロット開口162から少なくとも部分的に誘電体152を通って延びる領域158を通る細長いスロット160をさらに含む。いくつかの変形例では、
図1Bに示すように、細長いスロット160は、領域の中心に配置され、誘電体152の長手方向軸に沿って位置合わせされる。例示的な受信器150の動作中、フォトニック結晶構造156、領域158、および細長いスロット160は、RF電磁放射に対する導波路としてともに機能することができることが理解されよう。
【0022】
いくつかの実装例では、フォトニック結晶構造156は、例示的な受信器150に対するフォトニックバンドギャップを画定する。たとえば、フォトニック結晶構造150は、RF電磁放射の横磁場(TM)モードに関連するフォトニックバンドギャップを画定することができる。別の例では、フォトニック結晶構造156は、RF電磁放射の横電場(TE)モードに関連するフォトニックバンドギャップを画定することができる。RF電磁放射に対するTMおよびTEモードの組合せも可能である。
【0023】
いくつかの実装例では、フォトニック結晶構造156は、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射の群速度を減少させるように構成される。そのような構成は、アレイ状空洞154のうちの1つもしくは複数の空洞のサイズを選択すること、アレイ状空洞154のうちの1つもしくは複数の空洞の間隔を選択すること、アレイ状空洞154の順序を選択すること、および/または誘電体152の厚さを選択することを伴うことができる。他の特性(たとえば、誘電体152の材料を選択すること)も可能である。いくつかの場合、フォトニック結晶構造156の構成は、数値モデル化によって判定することができる。標的RF電磁放射の群速度を減少させるための例示的な構成は、
図7、
図9A~
図9B、および
図12A~
図12Cに関連して後述する。
【0024】
いくつかの実装例では、フォトニック結晶構造156は、標的RF電磁放射を細長いスロット160に集中させるように構成される。標的RF電磁放射は、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する。そのような構成は、アレイ状空洞154のうちの1つもしくは複数の空洞のサイズを選択すること、アレイ状空洞154のうちの1つもしくは複数の空洞の間隔を選択すること、アレイ状空洞154の順序を選択すること、および/または誘電体152の厚さを選択することを伴うことができる。他の特性(たとえば、誘電体152の材料を選択すること)も可能である。いくつかの場合、フォトニック結晶構造156の構成は、数値モデル化によって判定することができる。標的RF電磁放射を細長いスロットに集中させるための例示的な構成は、
図8A~
図8Bおよび
図12A~
図12Cに関連して後述する。
【0025】
いくつかの実装例では、フォトニック結晶構造156は、標的RF電磁放射の向きを変える(たとえば、反射する)ように構成されたフォトニック結晶ミラーを含むことができる。たとえば、アレイ状空洞154は、アレイ154内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を含むことができる。1つまたは複数のずれた空洞は、フォトニック結晶ミラーを画定することができる。いくつかの変形例では、1つまたは複数のずれた空洞は、細長いスロットの端部の最も近くに位置し、細長いスロットの端部から離れる方にそれぞれの空間的なずれを有する。いくつかの変形例では、1つまたは複数のずれた空洞は、細長いスロットの側面の最も近くに位置し、細長いスロットの側面から離れる方にそれぞれの空間的なずれを有する。
【0026】
例示的な受信器150はまた、細長いスロット160内に蒸気または蒸気源を含むことができる。蒸気は、アルカリ金属原子のガス、希ガス、二原子ハロゲン分子のガス、または有機分子のガスなどの成分を含むことができる。たとえば、蒸気は、アルカリ金属原子のガス(たとえば、K、Rb、Csなど)、希ガス(たとえば、He、Ne、Ar、Krなど)、または両方を含むことができる。別の例では、蒸気は、二原子ハロゲン分子のガス(たとえば、F2、Cl2、Br2など)、希ガス、または両方を含むことができる。さらに別の例では、蒸気は、有機分子のガス(たとえば、アセチレン)、希ガス、または両方を含むことができる。他の成分を含む蒸気に対する他の組合せも可能である。蒸気源は、熱、紫外放射への露出、レーザ光による照射などのエネルギー刺激に応答して蒸気を生成することができる。たとえば、蒸気は、アルカリ金属原子のガスに対応することができ、蒸気源は、細長いスロット160に入れられたときに固相または液相になるように十分に冷却されたアルカリ金属塊に対応することができる。
【0027】
例示的な受信器150は、細長いスロット160を覆っており、スロット開口162の周りに封止を形成するように誘電体152の表面164に接合された窓面を有する光学窓166をさらに含むことができる。光学窓166は、接触接合、陽極接合、ガラスフリット接合などを使用して、誘電体152に接合することができる。そのような接合は、開示が全体として参照により本明細書に組み込まれている、「Vapor Cells Having One or More Optical Windows Bonded to a Dielectric Body」という名称の米国特許第10,859,981号に記載されている技法を使用して形成することができる。光学窓166は、蒸気を精査するために使用される電磁放射(たとえば、レーザ光)に対して透過性を有する材料から形成することができる。たとえば、光学窓166は、電磁放射の赤外波長(たとえば、700~5000nm)、電磁放射の可視波長(たとえば、400~700nm)、または電磁放射の紫外波長(たとえば、10~400nm)に対して透過性を有することができる。さらに、光学窓166の材料は、高い抵抗率、たとえばρ>103Ω・cmを有する絶縁材料とすることができ、単結晶材料、多結晶材料、または非晶質(またはガラス)材料にも対応することができる。たとえば、光学窓166の材料は、石英、石英ガラス、またはホウケイ酸ガラス内に見られるような酸化ケイ素(たとえば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。別の例では、光学窓166の材料は、サファイアまたはアルミノケイ酸ガラス内に見られるような酸化アルミニウム(たとえば、Al2O3、AlxOyなど)を含むことができる。いくつかの事例では、光学窓166の材料は、酸化マグネシウム(たとえば、MgO)、酸化アルミニウム(たとえば、Al2O3)、二酸化ケイ素(たとえば、SiO2)、二酸化チタン(たとえば、TiO2)、二酸化ジルコニウム(たとえば、ZrO2)、酸化イットリウム(たとえば、Y2O3)、酸化ランタン(たとえば、La2O3)などの酸化物材料である。酸化物材料は、非化学量論的(たとえば、SiOx)とすることができ、1つまたは複数の二元酸化物(たとえば、Y:ZrO2、LaAlO3、BaLn2Ti4O12など)の組合せとすることもできる。他の事例では、光学窓166の材料は、ダイヤモンド(C)、フッ化カルシウム(CaF)などの非酸化物材料である。
【0028】
いくつかの実装例では、光学窓166は、細長いスロット160および細長いスロット160にすぐ隣接する誘電体152の表面164(たとえば、領域158またはその一部分)のみを覆う。しかし、いくつかの実装例では、光学窓166は、フォトニック結晶構造156に付随する誘電体152の表面164も覆う。これらの実装例では、
図1Bに示すように、誘電体152の表面164は、アレイ状空洞154の各々に対して空洞開口を画定する。光学窓166は、空洞開口の各々を覆う。さらに、光学窓166の窓面は、空洞開口の各々の周りに封止を形成する。
【0029】
細長いスロット160が部分的にのみ誘電体152を通って延びる実装例では、単一の光学窓を誘電体152に接合して、細長いスロット160内の蒸気または蒸気源を封止することができる。しかし、いくつかの実装例では、細長いスロット160は、誘電体152を通って延びることができる。これらの実装例では、2つの光学窓を誘電体152に接合して、細長いスロット160内の蒸気または蒸気源を封止することができる。たとえば、誘電体152の表面164を第1の表面とすることができ、誘電体152は、第1の表面とは反対側に第2の表面を含むことができる。このとき細長いスロット160は、誘電体152を通って第1の表面から第2の表面まで延びることができる。この場合、スロット開口162は、第1のスロット開口とすることができ、誘電体152の第2の表面は、細長いスロット160の第2のスロット開口を画定することができる。例示的な受信器150は、
図1Bに示すように、第2のスロット開口を覆う第2の光学窓168を含むことができる。第2の光学窓は、第2のスロット開口の周りに封止を形成するように誘電体152の第2の表面に接合された第2の窓面を有する。
【0030】
いくつかの実装例では、第2の光学窓は、細長いスロット160および細長いスロット160にすぐ隣接する誘電体152の第2の表面(たとえば、領域158またはその一部分)のみを覆う。しかし、いくつかの実装例では、第2の光学窓はまた、フォトニック結晶構造156に付随する誘電体152の第2の表面も覆う。たとえば、誘電体152の第1および第2の表面は、アレイ状空洞154の各々に対してそれぞれ第1および第2の空洞開口を画定することができる。この場合、アレイ状空洞154は、誘電体152を通って第1の表面から第2の表面まで延びる。このとき第2の光学窓は、
図1Bに示すように、それぞれ第2の空洞開口の各々を覆うことができる。さらに、第2の窓面は、第2の空洞開口の各々の周りに封止を形成することができる。
【0031】
いくつかの実装例では、誘電体152は、誘電体152の端部172から延びて細長いスロット160と位置合わせされたアンテナ構造170を含む。たとえば、アンテナ構造170は、誘電体152の端部172から延びてテーパ内で終端する突起とすることができる。アンテナ構造170は、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成することができる。そのような構成は、標的RF電磁放射に対する数値シミュレーションによって決定することができるアンテナ構造170の長さを選択することを伴うことができる。寸法の比、たとえば厚さ、幅、長さと幅の比、長さと厚さの比などを含む他の寸法を伴うこともできる。標的RF電磁放射に結合するためのアンテナ構造170の構成はまた、アンテナ構造170の形状またはアンテナ構造170の湾曲度を選択することを伴うことができる。形状、湾曲度、または両方もまた、数値シミュレーションによって決定することができる。
【0032】
いくつかの変形例では、アンテナ構造170は偏光器を含み、偏光器は、アンテナ構造170に一体化することができる。たとえば、アンテナ構造170は、細長いスロット160と位置合わせされた狭い部分を含むことができる。アンテナ構造170はまた、狭い部分から外方へ延びて狭い部分に沿って周期的な間隔を有するアレイ状の共平面セグメントを含むことができる。アレイ状の共平面セグメントは、標的RF電磁放射の偏光をフィルタリング(または選択)するように構成される。
【0033】
いくつかの変形例では、アンテナ構造170は、アンテナ構造170の内部にテーパ176を画定する1つまたは複数のチャネル174を含む。テーパ176は、アンテナ構造170によって受信した電磁放射、たとえば標的RF電磁放射を、細長いスロット160に結合するように構成される。その際、テーパ176は、細長いスロット160と位置合わせされた頂点178を有することができる。たとえば、アンテナ構造170は、誘電体152の端部172から延びる突起とすることができる。この場合、アンテナ構造170は、突起の内部にテーパを画定するV字状チャネルを含むことができる。このテーパの先端(または頂点)は、先端と位置合わせされた細長いスロット160の端部からずらすことができる。代替の事例として、
図1Bに示すように、アンテナ構造170は、ベース部分174aおよび2つの分岐部分174bを含むY字形チャネルを突起内に含むことができる。ベース部分174aは、細長いスロット160と位置合わせされており、細長いスロット160の端部からずれた端部内で終端する。2つの分岐部分174bは、ベース部分174aから分離して、突起の内部にテーパ(たとえば、テーパ176)を画定する。テーパ176に対して他の構成も可能である。
【0034】
動作の際、例示的な受信器150は、誘電体152のアンテナ構造170でRF電磁放射を受信する。いくつかの事例では、例示的な受信器150は、アンテナ構造の内部にあるテーパ176を使用して、受信したRF電磁放射を細長いスロット160に結合する。例示的な受信器152はまた、受信したRF電磁放射をフォトニック結晶構造156と相互作用させる。そのような相互作用において、フォトニック結晶構造156は、受信したRF電磁放射の群速度を、細長いスロット160に平行な方向に沿って減少させることができる。フォトニック結晶構造156はまた、受信したRF電磁放射を細長いスロット160に集中させることができる。加えて、例示的な受信器は、細長いスロット160内の蒸気に入力光信号を通して、1つまたは複数の出力光信号を生成する。入力光信号は、1つまたは複数のレーザ(たとえば、プローブレーザ、結合レーザなど)によって生成することができる。いくつかの変形例では、例示的な受信器150は、RF電磁放射に対する例示的な受信器150の感度を改善するために、
図2に関連して説明したディッシュ202などのディッシュとともに使用することができる。
【0035】
いくつかの実装例では、入力光信号を通すことは、細長いスロット160によって画定された光路に沿って入力光信号を伝播させることを含む。いくつかの実装例では、入力光信号を通すことは、細長いスロットの端部に配置されたミラーから入力光信号を反射することを含む。たとえば、例示的な受信器150は、細長いスロット160の端部に配置されたミラー180を含むことができる。ミラー180は、光路に対して傾斜する(たとえば、45°傾斜する)ことができ、または
図1Bに示すように、光路に直交することができる。そのような向きにより、ミラー180が光を細長いスロット160内へ誘導すること、蒸気を通って光を細長いスロット160に沿って誘導すること、および/または細長いスロット160から光を誘導することを可能にすることができる。ミラー180の例示的な位置および向きは、
図5A~
図5Eに関連してさらに説明する。
【0036】
いくつかの実装例では、フォトニック結晶の空洞および構造は、蒸気セルの接合および機械加工方法を使用することによってアルカリ系の蒸気セルと一体化するのに理想的である。MHz~THzの放射のための集中要素として作用するフォトニック結晶構造は、レーザ(たとえば、Protolaser Rツール)、機械加工、または深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を使用して構造内に機械加工された空洞を有することができる。次に、空洞(たとえば、細長いスロット)は、たとえば空洞をアルカリ環境に封止すること、パラフィンで被覆されたアルカリ原子を空洞に入れること、および/またはレーザ活性化ゲッタ源を空洞に入れることによって、蒸気で充填することができる。フォトニック構造は、入射した高周波電界を蒸気内で集中させて束にするように設計することができる。蒸気内のRF放射場を減速させて増幅することで、光読出し応答を増大させ、それによって入射電磁波に対するデバイスの感度を高める。入射電磁場に対する原子の感度は、入射RF電磁場との相互作用時間、および原子の位置におけるRF電磁場の強度によって決定される。減速(標的電磁波の群速度の低下)およびフォトニック結晶受信器のスロット内の電界の集中はどちらも、電界の強度および原子との相互作用時間を効果的に増大させることによって、標的電磁放射に対する原子の感度を強化する働きをする。フォトニック結晶構造は、接触接合することができる高誘電率材料(たとえば、シリコン)に基づいている。粘着層が付加される場合、BaLn2Ti4O12(BLT)など、他の高誘電率の低損失材料を使用することもできる。
【0037】
フォトニック結晶受信器は、そのままの蒸気セルと比較すると相当な倍率(たとえば、約1000倍または別の倍率)だけ強化された電界感度を有するリュードベリ原子に基づくレーダ受信器として機能することができる。フォトニック結晶受信器は、従来の受信器に少なくとも同等の感度を有することができ、熱ノイズフロアに到達することが可能である。フォトニック結晶受信器を製作するための方法は、シリコンおよびガラスをレーザで機械加工し、それによってμm精度および10μm未満の特徴サイズで、これらの材料における微細構造の形成を可能にすることを含む。無線周波場の波長は10μmよりはるかに大きいため、そのような精度および特徴規模は、無線周波場と相互作用するフォトニック結晶フレームによく適している。標的放射の波長に関連する高精度の機械加工プロセスは、デバイスにおける損失を低減させることもできる。
【0038】
これまで、電気測量にリュードベリ原子を使用することで、約1μV/cmという高周波(GHz~THz)電界の最も正確な絶対測定がすでに実現されている。標準的な相互作用量の場合、5~25GHzの範囲における計算された原子ショットノイズ限界は、約1pVcm-1Hz-1/2であり、これは関与原子の数およびコヒーレンス時間によって決定される。現在の感度限界は、従来の読出し場におけるショットノイズによって決定される。誘電性のリュードベリ原子に基づく感知デバイスを実証するために使用される従来の蒸気セルは、現在実用的でない追加の量子資源(たとえば、絡み合いまたはスクイーズド光)を使用しなければ感度を改善することができない。広い範囲の変形通信およびレーダ応用例に対する感度を改善するための方法は、信号を強化するように蒸気セルを設計することである。最終的に、原子と入射電磁場との相互作用が、吸収速度(または相互作用速度)にコヒーレンス時間を掛けた値、すなわち原子と電磁場との間の結合定数および原子が減衰する速度によって決定されるため、そのままの蒸気セルにおける信号レベルは制限されている。しかし、集中および減速によって原子の領域内で電磁場を増幅させることは、これらの影響により入射電磁場の振幅に対する原子応答が増大するため、より高感度の受信器を作るための実行可能な方法である。たとえば、特有の周波数に対してこれらの構造を設計し、自己較正式のデバイスを構築し、出力信号を調整するための高精度の製造が有利である。
【0039】
多くの変形例では、フォトニック結晶受信器は、誘電性材料から形成され、それによって最小の干渉および交差結合で、フォトニック結晶受信器をともにクラスタ化することを可能にする。フォトニック結晶受信器は、異なる周波数および偏光を感知することができる。多くの変形例では、フォトニック結晶受信器は、増大された偏光感度を有しており、0.05度未満の偏光回転を区別することが可能である。偏光回転の区別とは、受信器によって変化を解決するために偏光がどれだけ回転しなければならないかを指す。
【0040】
多くの変形例では、フォトニック結晶受信器の感度は、1MHzの帯域幅で-120dBmより大きい。感度は、感度をさらに増大させることができ、従来の受信器とともに一般に使用される、ディッシュからの強化を含まない。たとえば、フォトニック結晶受信器は、約15GHzの中心周波数の1MHzの帯域幅で、-110dBmに対応することができる。この中心周波数に対する1m2のディッシュは、フォトニック結晶受信器の感度を約3桁分増大させることができる。
【0041】
多くの変形例では、フォトニック結晶受信器は、軽量で、携帯でき、かつ低コストである。フォトニック結晶受信器は、ダイオードレーザ技術および蒸気セル技術に基づくことができる。サイズ、重量、および電力(SWaP)を低減させることは、多くの応用例(たとえば、電気通信システム、現代のレーダシステムなど)にとって重要な原動力である。多くの変形例では、フォトニック結晶受信器は、従来の蒸気セルに関連するガラス吹き構造より容易に製造することができるように構築される。したがって、フォトニック結晶受信器は、機械力、振動などに対してより頑強である。
【0042】
いくつかの実装例では、フォトニック結晶受信器は、帯域幅、パルス繰返し率、低いSWaP、および誘電性でありかつ偏光を感知するという利点がレーダ応用例によく適しているため、レーダのための受信器として働くことができる。レーダシステムは、約1ms~10nsのパルス幅で、約100Hz~100kHzのパルス繰返し率を使用することが多い。これらのパルス幅は、1kHz~100MHzの範囲の信号帯域幅に換算される。多くの変形例でリュードベリ原子に基づく感知を利用するフォトニック結晶受信器は、これらの性能レベルを満たすことができる。
【0043】
図3を次に参照すると、電磁放射を受信するための突起および孔の周期的な配置を含む例示的なフォトニック結晶フレームの概略図が提示されている。突起は、標的RF電磁放射を受信するように構成することができ、1つまたは複数のテーパ面を含むことができる。いくつかの変形例では、突起は、電磁放射の偏光をフィルタリングするように構成することができる。たとえば、
図4は、例示的な突起の狭窄区分に沿って配置された周期的なアレイ状のセグメントを含むフォトニック結晶フレームの例示的な突起(またはその一部分)の概略図を提示する。例示的な突起は、厚さ3mmとすることができる。しかし、他の厚さも可能である。各セグメントは、狭窄区分に直交して外方へ延びる。セグメントは、間隙によって互いから等しく隔置されており、間隙の寸法は、セグメントの寸法と同じとすることができる。いくつかの変形例では、セグメントおよび間隙は、2mmの幅を有する。しかし、他の寸法も可能である。周期的なアレイ状のセグメントは、入力電磁放射(たとえば、RF場)の偏光をフィルタリングして、フィルタリングされた出力電磁放射(たとえば、フィルタリングされたRF場)を生成するように動作可能である。
【0044】
次に
図3を再び参照すると、例示的なフォトニック結晶フレームはまた、標的電磁波(いわゆる構造的に遅い光)を減速させる孔の周期的な配置に配置された線欠陥を含む。線欠陥は、孔の周期的な配置における1行の「充填」孔、たとえば孔の不在に対応することができる。線欠陥の中心には、フォトニック結晶導波路を画定する線形空洞が位置することができる。線形空洞の各端部におけるミラー(たとえば、ブラッグミラー)は、プローブおよび結合レーザビームなどのために、線形空洞に沿って光路を画定するのに役立つことができる。プローブおよび結合レーザビームは、リュードベリ原子に基づく感知における電磁誘起透過度の読出しで使用することができる。IA属原子(たとえば、Cs、Rbなど)の蒸気などの蒸気が、線形空洞を占めることができる。線形空洞内の蒸気は、線形空洞内で強化または増強することができる例示的なフォトニック結晶フレームに入射する標的電磁放射と相互作用するように動作可能である。光路に沿って進む光信号(たとえば、レーザビーム)はまた、線形空洞内の蒸気と相互作用し、それによって標的電磁場との原子の相互作用を、標的電磁場の特性(たとえば、振幅、位相、偏光など)を判定するのに好適な光信号に変換することができる。
【0045】
光信号は、光ファイバアセンブリ、およびいくつかの変形例では線形空洞内に配置された1つまたは複数のミラーを通って、線形空洞に出入りすることができる。たとえば、
図5A~
図5Eは、フォトニック結晶受信器の代替構成の概略断面図を提示し、各構成は光ファイバアセンブリの異なる配置を有する。これらの断面図は、側面斜視図として示されている(すなわち、孔は
図5A~
図5Eの短い寸法に平行である)。フォトニック結晶受信器は、空洞内に蒸気(たとえば、Cs原子の蒸気)を有するフォトニック結晶フレームを含む。空洞は、光路に関連する軸(たとえば、線形軸)に沿って、第1の端部から第2の端部まで延びることができる。構成に応じて、フォトニック結晶受信器は、光路と光学的に通信するフォトニック結晶フレームに結合された1つまたは2つの光ファイバアセンブリを含むことができる。いくつかの構成では、
図5B~
図5Eに示すように、空洞の第1および第2の端部のうちの一方または両方が、ミラー(たとえば、ブラッグミラー)を含む。ミラーは、光路に沿って光を案内するように動作可能である。ミラーは、入力光ファイバアセンブリからの光を空洞内へ反射すること、空洞からの光を出力光ファイバアセンブリ内へ反射すること、または両方を行うことができる。光は、空洞に出入りする光信号に対応することができる。ミラーは、ミラーをチャネル内に配置するように、フレーム内へ接着、精密嵌め、または機械加工して被覆することができる。
【0046】
1つまたは複数の光ファイバアセンブリをフォトニック結晶フレームに向けるように、アライメントピースを使用することができる。いくつかの変形例では、アライメントピースは、フォトニック結晶フレーム(またはフォトニック結晶受信器)に一体化することができる。
図6は、光信号を供給するように構成され、第1のロッドミラーおよび第2のロッドミラーを有する例示的なアライメントピースを提示する。例示的なアライメントピースは、シリコンから形成することができ、いくつかの変形例では、第1および第2のロッドミラーは各々、反射平面を含む。反射平面は、ロッドミラーの長手方向軸に対して45°に向けることができる。例示的なアライメントピースはまた、光信号(たとえば、レーザ光のビーム)を案内および成形するように構成されたファイバおよび視準光学系を含むことができる。ファイバおよび視準光学系は、光信号をロッドミラーの反射面のうちの一方に伝えることができる。示されている例では、第1および第2のロッドミラーは、ロッドミラーの回転運動を可能にするそれぞれのV字型の溝に配置される。そのような配置は、第1および第2のロッドミラーをそれぞれのV字型の溝に接合する接着剤または粘着剤を含むことができる。V字型の溝はまた、ロッドミラーの長手方向運動を可能にすることができる。したがって、アライメントピース内のオリフィスを通ってファイバおよび視準光学系からの光信号を誘導するように、第1および第2のロッドミラーを配置することができる。
【0047】
次に
図3を再び参照すると、例示的なフォトニック結晶フレームは、シリコンから形成することができる。しかし、他のタイプの誘電性材料を使用することもできる。例示的なフォトニック結晶フレームはまた、2つの光学窓間に挟んでこれらの光学窓に接合することができる。光学窓は、ガラス(たとえば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)などの光学的に透明な誘電性材料から形成することができる。光学窓に接合されたとき、例示的なフォトニック結晶フレーム(線形空洞内に蒸気を含む)をフォトニック結晶受信器として構成することができる。光がチャネル内へ導入されるフォトニック結晶フレームに、より小さい窓を接合することも可能である。たとえば、光がチャネルに入る位置に孔を有するシリコンキャップを、フォトニック結晶フレームに接合することができる。光学窓は、光の導入のための孔が位置するシリコンキャップに接合することができる。
【0048】
いくつかの事例では、フォトニック結晶受信器は、小型の全誘電性構造を提供し、機能性、たとえば電磁透過性、自己較正、およびSWaPに関して現在の受信器より性能が優れている。さらに、いくつかのフォトニック結晶受信器は、その誘電性のため、互いに干渉することなくともにグループ化することができる。完全に誘電性の受信器は、レーダおよび通信などの多くの応用例で有益である。様々な実装例では、リュードベリ原子に基づく感知技術に基づくフォトニック結晶受信器の利点として、[1]受信器が独自のフィルタとして作用することができること、[2]標準的な性能を実現するために増幅器を必要としないこと、[3]最小の干渉および交差結合で複数の受信器をともにグループ化することができること、[4]受信器が偏光を感知することができること、および[5]受信器が自己較正式であること、のうちの1つまたは複数を含むことができる。他の利点も可能である。異なる周波数でもリターン信号の直交偏光を感知するようにフォトニック結晶受信器をグループ化することも可能である。ダイオードレーザおよび低電力電子機器の小さい小型サイズの使用、ならびに電力増幅器の除去は、携帯型の小型レーダシステム、特にマルチスタティックレーダシステム、ならびに通信システム(たとえば、電気通信)にとって利点である。
【0049】
いくつかの実装例では、フォトニック結晶受信器は、気象レーダの応用例向けに構成される。フォトニック結晶受信器は、誘電性材料から構築されたとき、従来の金属アンテナより偏光に対して高い感度を有することができる。偏光感度を増大させることで、物体の形状をより良好に区別することができる。導波路は、特に偏光器セグメントが導波路または最初の結合段階と一体化された状態で、偏光に対して高い感度を有することができる。異なる偏光間の差分リターン、微分位相、および相関関係に対する精度の向上により、定量的な降水量推定のためのモデルが本当に予測的になることを可能にすることができる。フォトニック結晶受信器は、複数の周波数を使用することができ、これにより雨、雪、および氷の特徴付けのモデルがさらに抑制される。特にトルネードおよび深刻な雷雨のような壊滅的な状況における早期警戒のための気象の予測は、数十億ドル規模の産業である。米国では、フォトニック結晶受信器によって可能になるようなより良好な多周波レーダシステムが、場合により、National Weather Surveillance Radar、Terminal Doppler Radar、Airport Surveillance Radar、およびAir Route Surveillance Radarから構成される4つの異なるネットワークに取って代わり、莫大なコストの節減をもたらす可能性がある。通信では、放射の原因を識別して妨害信号の識別を可能にすることができる軽量受信器、および小さい空間的位置に位置しなければならない多周波通信システム(たとえば、ドローン)などの類似の応用例が存在する。
【0050】
いくつかの実装例では、フォトニック結晶フレームは、フォトニック結晶受信器が、電磁放射を減速させることによって約10倍、空洞内の蓄積から約20倍、電磁放射場を導波路に集中させることによって約30倍、電界感度を改善することを可能にする。蒸気または原子が位置する空洞をこの電界感度で約30倍長くすることができるため、より多数の原子を使用することによって、追加の利得を得ることもできる。いくつかの場合、これらの特徴をすべて、同じフォトニック結晶フレーム内で実現することができる。これらの上述した利得が電界感度に関して引用されるため、典型的にはレーダ受信器を特徴付けるために使用される電力に関する感度の改善は、これらの数の2乗に比例して増大し、106大きくすることができる。
【0051】
たとえば、
図7は、
図3の例示的なフォトニック結晶受信器に対する群屈折率(n
g)のグラフを、RF電磁放射の周波数(f)の関数として示す。例示的なフォトニック結晶受信器のフォトニック結晶フレーム内の孔の周期的な配置は、RF電磁放射の波を減速させる。標的RF電磁波の速度は、n
gに反比例する。
図7で、n
gの増大は、約15.75GHzを著しく下回っており、これはフォトニック結晶受信器が受信するのによく適したRF電磁放射の周波数(たとえば、約15.75GHz未満)を示す。フォトニック結晶導波路は、細長いスロットに場を閉じ込めることによって、標的RF電磁放射(またはその電界成分)に対する感度を強化することができる。標的RF電磁波を減速させることによっても、感度を強化することができ、ここでn
g=c/v
gである。ここで、cは真空中の光の速度であり、v
gはフォトニック結晶内の標的RF電磁波の群速度である。
図7に示すように、数百を超える値を有するn
gが実行可能である。デバイスの帯域幅とn
gの値との間には、トレードオフが存在する。n
gが大きければ大きいほど、帯域幅は低減される。
図7に示す例示的な計算は、100~130のn
gの場合、デバイスの帯域幅は約5MHzであることを示し、これは十分に現在のレーダシステムおよびいくつかの通信システムで使用される範囲内である。
【0052】
図8Aは、例示的なスロット付きのフォトニック結晶導波路の単位セルを提示する。
図8Bは、
図8Aの単位セル内の電界のシミュレーションを提示しており、等高線グラフによって示される。左の等高線グラフは単位セルのzx平面に対応し、右の等高線グラフは単位セルのxy平面に対応する。示されている例では、例示的なスロット付きのフォトニック結晶導波路を特徴付けるのに、単一の単位セルで十分である。等高線グラフは、単位セルによって表される例示的なスロット付きのフォトニック結晶導波路の線形空洞(または細長いスロット)内の電界の蓄積または集中を示す。この例では、電界の増幅は約30倍である。
【0053】
フォトニック結晶受信器は、標的電磁放射とフォトニック結晶導波路との間の結合損失を最小にするための特徴を含むことができる。たとえば、n
gを調整するために、孔の周期的な配置における孔を概念上の周期的な位置からずらすことができる。特に空洞またはスロット導波路に隣接するそのようなずれは、インピーダンス整合を提供するように、孔のテーパを画定することができる。
図9Aは、孔の周期的な配置によって画定されたフォトニック結晶構造を含む例示的なフォトニック結晶フレームを提示する。孔の周期的な配置は、例示的なフォトニック結晶フレームによって受信された電磁放射を減速させるように構成される。
図9Bは、
図9Aの孔の周期的な配置におけるテーパの程度に関してシミュレートされた伝送損失を示す、50MHzの周波数間隔のグラフを提示する。
図9Aで、例示的なフォトニック結晶フレームは、電磁放射(またはRF波)の減速による損失を示すために、連続して示されている。フォトニック結晶の群速度は、構造への結合を最大にして伝送損失を最小にするために、例示的なフォトニック結晶フレームに沿って変化させられる。
【0054】
フォトニック結晶の群速度を変化させることは、スロット導波路への孔の距離を制御された形で修正することによって行うことができる。
図9Bは、RF波が徐々に減速するフォトニック結晶フレームは、30%未満の伝送損失を呈するのに対して、未修正構造の損失はそれよりはるかに大きく、約73%であることを示す。さらに、RF波が徐々に減速するフォトニック結晶フレームの有用な帯域幅における損失は均一である。フォトニック結晶導波路の例示的な設計周波数は、約15.697GHzである。フォトニック結晶構造への電磁放射の結合は、構造全体にとって約30%である。その結果、
図9Aの例示的なフォトニック結晶フレームに基づくフォトニック結晶受信器は、1MHzの帯域幅で-110dBmの感度レベルに到達することができ、これは現在の金属受信器に匹敵する。そのような感度レベルでは、ディッシュを使用しない。感度は、いくつかの従来の受信器で行われているように、ディッシュ(たとえば、
図2のディッシュ202)を使用することによってさらに増大させることができ、それによって例示的なフォトニック結晶システムの感度を改善することができる。たとえば、フォトニック結晶システムは、協調して機能するフォトニック結晶受信器およびディッシュを含むことができる。1m
2のディッシュは、例示的なフォトニック結晶フレームの感度を約15GHzでほぼ3桁分改善することができる。熱ノイズフロアは、1MHzの帯域幅で約-140dBmであることに留意されたい。コヒーレント方式により、熱ノイズフロア内の信号の検出を可能にすることができるが、感度が熱ノイズフロアをはるかに超えることは概して重要でない。
【0055】
偏光感度は概して、リターン信号の強度および少なくとも2つの制限要因に依存する。制限要因は、受信器の感度限界および水平偏光と垂直偏光とのフォトニック結晶構造の除去比を含む。いくつかの例示的な設計の感度限界および10μW(-20dBm)の標的リターン信号電力に基づいて、分解可能な最小の偏光角度は、約0.006度の回転において約10
-4ラドで検出されるほぼ最小の検出可能電界/期待電界である。
図1および
図3に示すフォトニック結晶受信器に対する水平偏光と垂直偏光との間の除去比は、約0.06度で約10
-3ラドとすることができる。しかし、
図1および
図3には示されていないが、フォトニック結晶受信器の他の構成には、フォトニック結晶フレームからの突起(またはテーパ)に追加することができる偏光器(たとえば、
図4によって示す周期的なアレイ状のセグメント)が含まれる。これらの偏光器は、偏光選択性を3~4桁分さらに増大させることができる。0.05度を下回る角度分解能を実現することができる。これらの性能メトリックスは、ディッシュのない状態で計算され、信号をさらに増幅して偏光の区別を増大させることができる。さらに、偏光を区別するために蒸気を使用することもできる。
【0056】
いくつかの場合、フォトニック結晶受信器を安定したレーザシステムと対にして、フィールド配備可能ユニットを実現することができる。いくつかの実装例では、フォトニック結晶受信器は、蒸気(たとえば、Cs原子の蒸気)の固定遷移に同調された1組のレーザに光学的に結合される。たとえば、フォトニック結晶受信器は、852nmの光子ビームを放出することが可能な分布ブラッグ反射器(DBR)レーザ、および波長約510nmの光子ビームを放出することが可能な単一パス2重ファイバレーザに光学的に結合することができる。510nmの波長は、セシウム原子の蒸気と相互作用するのによく適している。510nmで動作するDBRまたは分布フィードバック(DFB)レーザを使用することも可能である。510nmのDBRまたはレーザは、受信器システムのサイズを減少させることができ、安定性を増大させることができ、受信器システムを動作させるために必要とされる電力を低減させることができる。いくつかの変形例では、ファブリ-ペローレーザを、510nmのフィルタ空洞レーザシステムとして構築することができる。本発明者らが構築したファブリ-ペローフィルタ空洞レーザは、最大100mWの電力を提供することができる。フィルタ空洞レーザは、DBRまたはDFBレーザの利点の多くを有する(たとえば、受信器システムを実行するために必要とされる電力の低減)。しかし、DBRまたはDFBレーザとは異なり、フィルタ空洞レーザは典型的に、生産中に気密封止されず、自由空間光学系を含む。いくつかの変形例では、フォトニック結晶受信器の光回路全体を光ファイバアセンブリとすることができる。
【0057】
いくつかの異なる方法で、フォトニック結晶受信器の空洞に光を結合することができる。いくつかの事例では、
図1A~
図1Bに示すように、テーパのない側から、光学窓を通って空洞に光を結合することができる。ファイバおよびレンズアセンブリをシリコンフレームに融合することもできる(たとえば、
図5A~
図5Eに示す)。
図6に示すように、溝アセンブリ上の小さいミラーを使用して、構造の側から光を結合することもできる。RF導波路内に小さい45度のミラーを配置して、側面結合アセンブリと位置合わせすることができる(たとえば、
図5C~
図5Eに示す)。またこれらの構成はすべて、空洞またはRF導波路にプローブ光を光学的に結合するために使用することができ、それによりセシウムガスの透過性を測定する。フィルタを使用して、望ましくない光を除去することができる。いくつかの応用例では、結合外プローブ光が結合内経路に沿って戻るように、スロットを戻って光を逆反射することが有利となりうる(たとえば、
図5Bおよび
図5Eに示す)。
【0058】
フォトニック結晶受信器を作る難題のうちの1つは、フォトニック結晶構造を機械加工するために必要とされる精度である。レーザ機械加工を使用すると、フォトニック結晶受信器の構成要素を2μmの精度で構築することができる。特徴サイズは、10μmまで小さくすることができる。これらの寸法は、受信器を構築するために必要とされる構成要素を機械加工するのに十分に小さく、1部が15GHzで波長の104である。フォトニック結晶受信器は波長に対応し、受信器は他の電磁周波数に対応することができる。フォトニック結晶受信器は、シリコンなどの誘電性材料からフレームを機械加工し、スロットがセシウム蒸気で充填された後、フレームに光学窓を接合することによって構築することができる。セシウム蒸気は、背景蒸気から、パラフィンで被覆された微量のセシウムを蒸気セル内に堆積させることによって、またはレーザ活性化ゲッタ材料(SAES)を使用することによって、充填することができる。いくつかの製造方法では、陽極接合を使用して、第1の光学窓がフレームに接合される。フレームはシリコンから作られる。次いで、第2の光学窓がフレームに接触接合される。しかし、いくつかの変形例では、原子が存在する空洞に蒸気(たとえば、セシウム原子の蒸気)を導入するために充填孔が開いたままである限り、第2の窓は同様にフレームに陽極接合される。充填孔は、接触接合を使用して封止することができる。接触接合は、他の接合方法(たとえば、陽極接合)が汚染種のガス抜けをもたらす高い温度および電圧を必要とすることから、最後の封止のために使用される。リュードベリ原子の電気測量は、リュードベリ状態のスペクトル拡幅がN2で約200MHzトル-1であるため、約10-3トル未満など、背景ガス密度が小さいときに高い性能を呈する。BLTなど、高誘電率を有する他のフレーム材料を使用することもできる。シリコンまたは他のフレーム材料とともに、粘着層を使用することができる。この動作周波数における低損失材料も望ましい。フォトニック結晶フレームに必要とされる孔は、フレームのみを通って切断するのではなく、最終ステップでガラスおよびフレームを通ってまっすぐに切断することができる。
【0059】
図1A~
図1Bに関連して説明したように、ディッシュは、フォトニック結晶受信器の感度を増大させることができる。
図10Aは、パラボラディッシュを使用した例示的なテーパ状導波路への15.697GHzの電磁波のシミュレートされた結合の等高線グラフを提示する。ディッシュは、平面波と比較すると、結合を数桁分強化することができる。集束されたガウシアンビームは、例示的なテーパ状導波路により良好に結合し、ディッシュは、入射平面波のより大きい部分を捕捉する。例示的なフォトニック結晶受信器は、
図1A~
図1Bに関連して説明した例示的なフォトニック結晶受信器と同様に構成することができる。
図10Bは、例示的なテーパ状導波路への
図10Aの15.697GHzの電磁波のシミュレートされた結合の等高線グラフを提示するが、パラボラディッシュは不在であり、平面波として受信される。15.697GHzの電磁波(または信号)は、線形空洞(または導波路)の長さに沿って誘導される。ガウシアン焦点は、フォトニック結晶受信器に最適化されない。焦点サイズの最適化は、ディッシュによって捕捉された標的電磁場のフォトニック結晶受信器への結合をさらに増大させることができる。
【0060】
図11A~
図11Bは、例示的な導波路に対する20GHzの入ってくるRF電磁波のシミュレートされた結合効率(たとえば、テーパ状対非テーパ状)を提示する。例示的な導波路は、細長いスロットおよび孔の周期的な配置を有するフォトニック結晶フレームを含む。
図11A~
図11Bの等高線グラフは、導波路を含む領域における入ってくるRF電磁波の電界強度を示す。
図11Aの等高線グラフは、導波路内にテーパのない状態でシミュレートされ、
図11Bの等高線グラフは、導波路内にテーパのある状態でシミュレートされている。等高線グラフ内の黒色の線は、特に細長いスロットに沿って、導波路の輪郭を示す。
図11Bで、集中部分は、導波路の端部を越えて三角形の領域に延びている。
【0061】
結合効率と周波数の関係を表すグラフ(すなわち、
図11A~
図11Bの下半分)は、周波数範囲の大部分にわたってテーパが結合効率を2倍にすることを示し、これは13GHz~20GHzに示されている。入ってくるRF電磁波は、ガウシアンビームとしてモデル化され、例示的なフォトニック結晶受信器は、
図1A~
図1Bの例示的なフォトニック結晶受信器と同様に構成することができる。ガウシアンビームの想定は、
図2に示す状況と一貫している。
図2で、ディッシュはリターン信号を捕捉しており、リターン信号は公称で、標的が遠く離れているため、フォトニック結晶受信器の位置にある平面波である。放物線状の形状により、ディッシュが平面波をフォトニック結晶受信器に集束させることが可能になる。レーダシステムなどの受信側の応用例では、典型的に、散乱RF電磁場源が受信器から非常に離れており、したがって入ってくるRF場は平面波である。
【0062】
図12Aを次に参照すると、フォトニック結晶フレーム内に3つのテーパを有する例示的なフォトニック結晶受信器の概略斜視図が提示されている。第1のテーパおよび第2のテーパは、フォトニック結晶フレームからの突起に付随している。第1のテーパは、自由空間からフォトニック結晶フレームの本体内への電磁波に対する遷移を画定することができる。第2のテーパは、フォトニック結晶フレーム内の導波路への電磁波の結合を改善することができる。
図9A~
図9Bおよび
図11A~
図11Bに関連して説明したように、孔の周期的な配置の間隔に第3のテーパが付随する。第3のテーパは、低速波構造への標的電磁波の結合を増大させるのに役立ち、それによって損失を低減させる。孔の周期的な配置の間隔は、孔間距離(または格子定数)aおよび孔径dによって表すことができる。様々な電磁周波数のシリコンフレームに対する例示的な孔間距離および孔径が、以下の表1に提示されている。各周波数に対して、シリコンから形成されたフォトニック結晶フレームの高さは、孔径dに整合する。しかし、孔径とは異なる高さも可能である。
【0063】
【0064】
図12Bは、
図12Aの例示的なフォトニック結晶受信器の空洞部分の詳細図を提示する。空洞部分は、線形空洞内に反射ミラー(たとえば、ブラッグミラー)を含む。
図12Cは、
図12Aの例示的なフォトニック結晶受信器のフォトニック結晶フレーム内の孔の周期的な配置の一部分の詳細図を提示する。孔の周期的な配置の間隔が
図12Cに示されており、
図12Cは、孔間距離(または格子定数)a、孔径d、およびフォトニック結晶フレームの高さhを示す。
【0065】
図13Aは、
図12Aの第2のテーパの詳細上面斜視図を提示する。第2のテーパは、チャネル導波路をスロット導波路に結合するように動作可能とすることができる。結合損失は、
図13Bおよび
図13Cによって示すように、15GHz~16GHzの周波数範囲に対して0.35dB未満である。結合は、92%より良好なものとすることができる。フォトニック結晶の寸法、すなわち孔の直径d、孔の周期性または格子定数a、および特定のフォトニック結晶受信器に対するシリコンフレームの厚さhは、標的RF電磁場の周波数の関数である。フォトニック結晶受信器が線欠陥領域における標的RF電磁場を減速させるために、フォトニック結晶は、所望の設計周波数付近のバンドギャップを有するべきである。デバイスは、孔の間隔、デバイスの厚さ、および孔径を選ぶことによって、フォトニック結晶に設計されたフォトニック共鳴付近で生じる分散を使用する。他の形状の孔およびパラメータも可能である。表1は、いくつかの周波数におけるこれらのパラメータに関して、シリコンフレームに対する代表的な設計値を提供する。
【0066】
フォトニック結晶導波路への効率的な結合のために、群指数n
gのテーパが必要とされる。
図14に示すように、互いにより近くまたは遠くなるように、スロット領域に隣接する複数行の孔のシフト(またはテーパ)により、n
gを変化させることができる。そのような構成によって、すべてのテーパを含むスロット導波路への結合効率は、15.697GHzで約72%になる。孔のずれによる孔のシフト(またはテーパ)を使用することで、波がフォトニック結晶導波路により効率的に結合するように、制御された形で電磁波を減速させることができる。
【0067】
原子を準備して読み出すためのレーザ光は、自由空間を通って、またはフォトニック結晶フレームへの光のファイバ結合を通って、フォトニック結晶受信器の内外へ結合することができる。いくつかの変形例では、フォトニック結晶フレームは、スロットの一端に、蒸気と相互作用するようにスロットに沿ってレーザビームを誘導するためのブラッグミラーなどのミラーを含むことができる。ミラーは、チャネルの他端にも同様に配置することができる。この追加のミラーを使用して、レーザビームをチャネルに沿って後方反射することができ、フィルタおよびビームスプリッタ(たとえば、ファイバビームスプリッタまたはサーキュレータ)によって、レーザビームを分離することができる。
図6に示すように、追加のミラーを使用して、レーザのうちの1つまたは複数からの光を反射させ、デバイスの外に結合することもできる。ミラーは、異なる色の光を分離するためのフィルタとして設計することができる。スロットの両端にファイバカプラが存在することも可能である。この場合、光は、スロット内のミラーを使用することなく、一端で導波路に結合され、他端で受信される。プローブレーザ光(リュードベリ原子に基づく感知構成を参照)がチャネルを離れた後、プローブレーザ光を光検出器へ搬送し、その光信号を処理して、時間に応じて入ってくるRF電磁場の強度、偏光、および位相を読み出す。他のパラメータも可能である。
【0068】
図15を次に参照すると、
図12Aの例示的なフォトニック結晶受信器に対するシミュレートされた総結合効率のグラフが提示されている。グラフの縦座標は、総結合効率を百分率で示し、グラフの横座標は、例示的なフォトニック結晶受信器によって受信された入ってくるRF電磁放射の周波数を示す。総結合効率は、フォトニック結晶受信器の動作に対する3つのテーパ、すなわち
図12Aに示す第1、第2、および第3のテーパの寄与を表す。総結合効率は、特に15.68GHzを超えて増大し、約15.697GHzでピークになる。
【0069】
図16を次に参照すると、RF電磁放射を感知するための例示的なシステム1600のブロック図が提示されている。例示的なシステム1600は、誘電性材料から形成された受信器1602を含み、受信器1602は、細長いスロットが配置されたフォトニック結晶構造を含む。受信器1602は、
図1A~
図15に関連して説明したフォトニック結晶受信器に類似したものとすることができる。受信器1602はまた、フォトニック結晶構造から延びており、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成されたアンテナ構造を含む。受信器1602は、細長いスロット内に蒸気または蒸気源をさらに含む。
【0070】
例示的なシステム1600はまた、蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用する入力光信号1606を細長いスロットに提供するように構成されたレーザシステム1604を含む。入力光信号1608は、1つまたは複数の電子遷移に関連するエネルギー差に対して整合されたそれぞれの周波数を有することができる。たとえば、入力光信号1608は、蒸気の第1および第2の電子遷移に対してそれぞれ整合されたプローブレーザビームおよび結合レーザビームを含むことができる。いくつかの実装例では、光ファイバアセンブリが、レーザシステム1604を受信器1602に光学的に結合する。これらの実装例では、光ファイバアセンブリは、レーザシステム1604からの入力光信号1606を受信器1602へ伝えるように動作可能である。動作中、入力光信号1608は、細長いスロットを通過して蒸気と相互作用し、次いで出力光信号1610として細長いスロットを出る。
【0071】
例示的なシステム1600は、細長いスロットからの出力光信号1610に基づいて、標的RF電磁放射を検出するように構成された光検出システム1608をさらに含む。光検出システム1608は、出力光信号1610に基づいて、標的RF電磁放射の特性を検出するように構成することができる。特性の例には、電界の大きさ、位相、偏光、および周波数が含まれる。これらの特性の組合せもまた、光検出システム1608によって検出することができる。いくつかの実装例では、光ファイバアセンブリは、受信器1602を光検出システム1608に光学的に結合する。これらの実装例では、光ファイバアセンブリは、受信器1602からの出力光信号1610を光検出システム1608に伝えるように動作可能である。
【0072】
いくつかの実装例では、例示的なシステム1600は、
図2関連して説明したように、標的RF電磁放射を焦点に集束させるように構成されたディッシュを含む。これらの実装例では、アンテナ構造は、焦点付近にテーパ状の端部を含むことができる。さらなる実装例では、例示的なシステム100は、標的RF電磁放射の周波数またはその付近の周波数を有する基準電磁放射を生成するように構成された位相安定性の電磁放射源(たとえば、基準アンテナ)を含む。そのような実装例では、ディッシュは、ディッシュの頂点に、基準電磁放射を受信器1602へ誘導するように構成された集束要素を含むことができる。
【0073】
動作の際、例示的なシステム1600は、誘電性材料から形成された受信器1602で、RF電磁放射を受信する。例示的なシステム1600はまた、レーザシステム1604の動作によって、蒸気の電子遷移と相互作用するように適合された入力光信号1606を生成する。加えて、例示的なシステム1600は、入力光信号1606を細長いスロット内の蒸気に通し、それによって1つまたは複数の出力光信号1610を生成する。次いで、例示的なシステム1600は、光検出システム1608の動作によって、1つまたは複数の出力光信号の特性を測定することによって、受信したRF電磁放射の特性を判定する。判定される特性は、受信したRF電磁放射の電界の大きさ、位相、偏光、または周波数(これらの任意の組合せを含む)とすることができる。測定される特性は、1つまたは複数の出力光信号の電界の大きさ、位相、偏光、または周波数(これらの任意の組合せを含む)とすることができる。
【0074】
いくつかの実装例では、RF電磁放射を受信することは、ディッシュの動作によって、受信したRF電磁放射をアンテナ構造に集束させることを含む。いくつかの実装例では、例示的なシステム1600は、基準アンテナなどの位相安定性の電磁放射源を含む。これらの実装例では、例示的なシステム1600は、位相安定性の電磁放射源の動作によって、標的RF電磁放射の周波数またはその付近の周波数を有する基準電磁放射を生成することができる。例示的なシステム1600はまた、
図2に示すように、ディッシュの頂点に配置された集束要素を使用して、基準電磁放射を受信器1602の方へ誘導することができる。
【0075】
記載するいくつかの態様では、RF電磁放射を感知するための受信器(またはフォトニック結晶受信器)について、以下の例によって説明することができる。
例1.無線周波(RF)電磁放射を感知するための受信器であって、
誘電体であり、
誘電体内にフォトニック結晶構造を画定するように周期的に並べられたアレイ状空洞、
フォトニック結晶構造内に欠陥を画定するアレイ状空洞内の領域、および
誘電体の表面内のスロット開口から少なくとも部分的に誘電体を通って延びる領域を通る細長いスロットを含む誘電体と、
細長いスロット内の蒸気または蒸気源と、
細長いスロットを覆い、スロット開口の周りに封止を形成するように誘電体の表面に接合された窓面を有する光学窓とを備える受信器。
例2.フォトニック結晶構造が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射の群速度を減少させるように構成されている、例1に記載の受信器。
例3.フォトニック結晶構造が、標的RF電磁放射を細長いスロットに集中させるように構成されており、標的RF電磁放射が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する、例1または例2に記載の受信器。
例4.アレイ状空洞が、アレイ内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を含む、例1または例2~3のいずれか1つに記載の受信器。
例5.1つまたは複数のずれた空洞が、細長いスロットの端部の最も近くに位置し、細長いスロットの端部から離れる方にそれぞれの空間的なずれを有する、例4に記載の受信器。
例6.1つまたは複数のずれた空洞が、細長いスロットの側面の最も近くに位置し、細長いスロットの側面から離れる方にそれぞれの空間的なずれを有する、例4に記載の受信器。
例7.細長いスロットの端部に配置されたミラーを備える、例1または例2~6のいずれか1つに記載の受信器。
例8.ミラーが、細長いスロットによって画定された光路に対して傾斜している、例7に記載の受信器。
例9.ミラーが、細長いスロットによって画定された光路に直交している、例7に記載の受信器。
例10.誘電体が、誘電体の端部から延びて細長いスロットと位置合わせされたアンテナ構造を備える、例1または例2~9のいずれか1つに記載の受信器。
例11.アンテナ構造が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成されている、例10に記載の受信器。
例12.アンテナ構造が、
細長いスロットと位置合わせされた狭い部分と、
狭い部分から外方へ延びて狭い部分に沿って周期的な間隔を有するアレイ状の共平面セグメントとを備える、例10または例11に記載の受信器。
例13.アンテナ構造が、アンテナ構造の内部にテーパを画定する1つまたは複数のチャネルを備え、テーパが、アンテナ構造によって受信された電磁放射を細長いスロットに結合するように構成されている、例10または例11~12のいずれか1つに記載の受信器。
例14.フォトニック結晶構造が、RF電磁放射の横磁場(TM)モードに関連するフォトニックバンドギャップを画定する、例1または例2~13のいずれか1つに記載の受信器。
例15.フォトニック結晶構造が、RF電磁放射の横電場(TE)モードに関連するフォトニックバンドギャップを画定する、例1または例2~14のいずれか1つに記載の受信器。
例16.蒸気が、アルカリ金属原子のガスを含む、例1または例2~15のいずれか1つに記載の受信器。
例17.
誘電体の表面が、アレイ状空洞の各々に対して空洞開口を画定し、
光学窓が、空洞開口の各々を覆い、
窓面が、空洞開口の各々の周りに封止を形成する、
例1または例2~16のいずれか1つに記載の受信器。
例18.
誘電体の表面が第1の表面であり、誘電体が、第1の表面とは反対側に第2の表面を含み、
細長いスロットが、誘電体を通って第1の表面から第2の表面まで延び、
スロット開口が第1のスロット開口であり、誘電体の第2の表面が、細長いスロットの第2のスロット開口を画定し、
光学窓が第1の光学窓であり、窓面が第1の窓面であり、
受信器が、第2のスロット開口を覆う第2の光学窓を含み、第2の光学窓が、第2のスロット開口の周りに封止を形成するように第2の表面に接合された第2の窓面を有する、
例1または例2~17のいずれか1つに記載の受信器。
例19.
アレイ状空洞が、誘電体を通って第1の表面から第2の表面まで延び、
誘電体の第1および第2の表面が、アレイ状空洞の各々に対してそれぞれ第1および第2の空洞開口を画定し、
第2の光学窓が、それぞれ第2の空洞開口の各々を覆い、
第2の窓面が、第2の空洞開口の各々の周りに封止を形成する、
例18に記載の受信器。
【0076】
記載するいくつかの態様では、RF電磁放射を感知する方法について、以下の例によって説明することができる。
例1.無線周波(RF)電磁放射を感知する方法であって、
誘電体のアンテナ構造でRF電磁放射を受信することであり、誘電体が、
100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成されたアンテナ構造、
誘電体内にフォトニック結晶構造を画定するように周期的に並べられたアレイ状空洞、
フォトニック結晶構造内に欠陥を画定するアレイ状空洞内の領域、および
誘電体の表面内のスロット開口から少なくとも部分的に誘電体を通って延びる領域を通る細長いスロットを含む、受信することと、
受信したRF電磁放射をフォトニック結晶構造と相互作用させることと、
細長いスロット内の蒸気に入力光信号を通して、1つまたは複数の出力光信号を生成することとを含む方法。
例2.
アンテナ構造の内部にあるテーパを使用して、受信したRF電磁放射を細長いスロットに結合させること
を含む、例1に記載の方法。
例3.
テーパが、アンテナ構造内の1つまたは複数のチャネルによって画定され、
テーパが、細長いスロットと位置合わせされた頂点を有する、
例2に記載の方法。
例4.
アレイ状空洞内の領域が、軸に沿って延び、細長いスロットが、軸に平行に位置合わせされ、
受信したRF電磁放射を相互作用させることが、受信したRF電磁放射の群速度を、軸に平行な方向に沿って減少させることを含む、
例1または例2~3のいずれか1つに記載の方法。
例5.受信したRF電磁放射を相互作用させることが、受信したRF電磁放射を細長いスロットに集中させることを含む、例1または例2~4のいずれか1つに記載の方法。
例6.
アレイ状空洞が、アレイ内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を含み、ずれた空洞が、フォトニック結晶ミラーを画定し、
受信したRF電磁放射を相互作用させることが、受信したRF電磁放射をフォトニック結晶ミラーから反射させることを含む、
例1または例2~5のいずれか1つに記載の方法。
例7.入力光信号を通すことが、細長いスロットの端部に配置されたミラーから入力光信号を反射させることを含む、例1または例2~6のいずれか1つに記載の方法。
例8.RF電磁放射を受信することが、アンテナ構造に一体化された偏光器を使用して、受信したRF電磁放射の偏光をフィルタリングすることを含む、例1または例2~7のいずれか1つに記載の方法。
例9.偏光器が、
細長いスロットと位置合わせされたアンテナ構造の狭い部分と、
狭い部分から外方へ延びて狭い部分に沿って周期的な間隔を有するアレイ状の共平面セグメントとを備える、例8に記載の方法。
例10.入力光信号を通すことが、細長いスロットによって画定された光路に沿って入力光信号を伝播させることを含む、例1または例2~9のいずれか1つに記載の方法。
例11.蒸気が、アルカリ金属原子のガスを含む、例1または例2~10のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
記載するいくつかの態様では、RF電磁放射を感知するためのシステムについて、以下の例によって説明することができる。
例1.無線周波(RF)電磁放射を感知するためのシステムであって、
誘電性材料から形成された受信器であり、
細長いスロットが配置されたフォトニック結晶構造、
フォトニック結晶構造から延びており、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成されたアンテナ構造、および
細長いスロット内の蒸気または蒸気源を含む受信器と、
蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用する入力光信号を細長いスロットへ提供するように構成されたレーザシステムと、
細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射を検出するように構成された光検出システムとを備えるシステム。
例2.フォトニック結晶構造が、標的RF電磁放射の群速度を低減させるように構成されている、例1に記載のシステム。
例3.フォトニック結晶構造が、標的RF電磁放射を細長いスロットに集中させるように構成されている、例1または例2に記載のシステム。
例4.フォトニック結晶構造が、周期的に並べられて少なくとも部分的に細長いスロットを取り囲むアレイ状空洞を備える、例1または例2~3のいずれか1つに記載のシステム。
例5.アレイ状空洞が、アレイ内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を備える、例4に記載のフォトニック結晶受信器。
例6.アンテナ構造が、
テーパ状の端部と、
テーパ状の端部とフォトニック結晶構造との間に内部テーパを画定する1つまたは複数のチャネルとを含む、例1または例2~5のいずれか1つに記載のシステム。
例7.アンテナ構造が、
テーパ状の端部と、
テーパ状の端部とフォトニック結晶構造との間の偏光器とを含み、偏光器が、標的RF電磁放射の偏光をフィルタリングするように構成されている、例1または例2~6のいずれか1つに記載のシステム。
例8.
システムが、標的RF電磁放射を焦点に集束させるように構成されたディッシュを備え、
アンテナ構造が、焦点またはその付近にテーパ状の端部を含む、
例1または例2~7のいずれか1つに記載のシステム。
例9.
システムが、標的RF電磁放射の周波数またはその付近の周波数を有する基準電磁放射を生成するように構成された位相安定性の電磁放射源を備え、
ディッシュが、ディッシュの頂点に、基準電磁放射を受信器へ誘導するように構成された集束要素を備える、
例8に記載のシステム。
例10.レーザシステムが、細長いスロットの端部に結合された光ファイバアセンブリを備え、光ファイバアセンブリが、端部を通って入力光信号を細長いスロットに案内するように構成されている、例1または例2~9のいずれか1つに記載のシステム。
例11.光検出システムが、細長いスロットの端部に結合された光ファイバアセンブリを備え、光ファイバアセンブリが、端部を通って細長いスロットからの出力光信号を受信するように構成されている、例1または例2~10のいずれか1つに記載のシステム。
例12.光検出システムが、細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射の電界の大きさを検出するように構成されている、例1または例2~11のいずれか1つに記載のシステム。
例13.光検出システムが、細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射の位相を検出するように構成されている、例1または例2~12のいずれか1つに記載のシステム。
例14.光検出システムが、細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射の偏光を検出するように構成されている、例1または例2~13のいずれか1つに記載のシステム。
例15.光検出システムが、細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射の周波数を検出するように構成されている、例1または例2~14のいずれか1つに記載のシステム。
【0078】
記載するいくつかの態様では、RF電磁放射を感知する方法について、以下の例によって説明することができる。
例1.無線周波(RF)電磁放射を感知する方法であって、
誘電性材料から形成された受信器でRF電磁放射を受信することであり、受信器が、
細長いスロットが配置されたフォトニック結晶構造、
フォトニック結晶構造から延びており、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成されたアンテナ構造、および
細長いスロット内の蒸気を含む、受信することと、
レーザシステムの動作によって、蒸気の電子遷移と相互作用するように適合された入力光信号を生成することと。
細長いスロット内の蒸気に入力光信号を通し、それによって1つまたは複数の出力光信号を生成することと、
光検出システムの動作によって、1つまたは複数の出力光信号の特性を測定することによって、受信したRF電磁放射の特性を判定することとを含む方法。
例2.受信したRF電磁放射が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する、例1に記載の方法。
例3.RF電磁放射を受信することが、アンテナ構造一体化された偏光器を使用して、RF電磁放射の偏光をフィルタリングすることを含む、例1または例2に記載の方法。
例4.RF電磁放射を受信することが、アンテナ構造の内部にあるテーパを使用して、受信したRF電磁放射を細長いスロットに結合させることを含む、例1または例2~3のいずれか1つに記載の方法。
例5.RF電磁放射を受信することが、受信したRF電磁放射をフォトニック結晶構造と相互作用させることを含む、例1または例2~4のいずれか1つに記載の方法。
例6.受信したRF電磁放射を相互作用させることが、フォトニック結晶構造内の欠陥によって画定された方向に沿って、受信したRF電磁放射の群速度を減少させることを含む、例5に記載の方法。
例7.受信したRF電磁放射を相互作用させることが、受信したRF電磁放射を細長いスロットに集中させることを含む、例5または例6に記載の方法。
例8.RF電磁放射を受信することが、ディッシュの動作によって、受信したRF電磁放射をアンテナ構造に集束させることを含む、例1または例2~7のいずれか1つに記載の方法。
例9.
位相安定性の電磁放射源の動作によって、標的RF電磁放射の周波数またはその付近の周波数を有する基準電磁放射を生成することと、
ディッシュの頂点に配置された集束要素を使用して、基準電磁放射を受信器の方へ誘導することと
を含む、例8に記載の方法。
例10.
細長いスロットの端部に結合された光ファイバアセンブリを通って入力光信号を伝播させること
を含む、例1または例2~9のいずれか1つに記載の方法。
例11.
細長いスロットの端部が、細長いスロットによって画定された光路に対して傾斜したミラーを備え、
蒸気に入力光信号を通すことが、光ファイバアセンブリからの入力光信号をミラーから光路に沿って反射することを含む、
例10に記載の方法。
例12.入力光信号を通すことが、細長いスロットによって画定された光路に沿って入力信号を伝播させることを含む、例1または例2~11のいずれか1つに記載の方法。
例13.
細長いスロットが、細長いスロットの端部に配置されたミラーを備え、ミラーが、光路に直交して傾斜しており、
入力信号を伝播させることが、入力光信号をミラーから光路に沿って後方反射することを含む、
例12に記載の方法。
例14.受信したRF電磁放射の特性が、電界の大きさを含む、例1または例2~13のいずれか1つに記載の方法。
例15.受信したRF電磁放射の特性が、位相を含む、例1または例2~14のいずれか1つに記載の方法。
例16.受信したRF電磁放射の特性が、偏光を含む、例1または例2~15のいずれか1つに記載の方法。
例17.受信したRF電磁放射の特性が、周波数を含む、例1または例2~16のいずれか1つに記載の方法。
例18.1つまたは複数の出力光信号の特性が、電界の大きさを含む、例1または例2~17のいずれか1つに記載の方法。
例19.1つまたは複数の出力光信号の特性が、位相を含む、例1または例2~18のいずれか1つに記載の方法。
例20.1つまたは複数の出力光信号の特性が、偏光を含む、例1または例2~19のいずれか1つに記載の方法。
例21.1つまたは複数の出力光信号の特性が、周波数を含む、例1または例2~20のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
本明細書は多くの詳細を包含するが、これらは特許請求の範囲に対する限定ではなく、特定の例に特有の特徴についての説明であると理解されたい。別個の実装例の文脈で本明細書に記載または図示する特定の特徴を組み合わせることもできる。逆に、単一の実装例の文脈で記載または図示された様々な特徴を、複数の実施形態で別個にまたは任意の好適な部分的な組合せで実装することもできる。
【0080】
同様に、図面には動作を特定の順序で示したが、これは、そのような動作が図示の特定の順序もしくは連続する順序で実行されることを必要とすると理解されるべきではなく、または望ましい結果を実現するために、示されているすべての動作を実行するべきであると理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスキング式の並行処理が有利となりうる。さらに、上述した実装例における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装例でそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載のプログラム構成要素およびシステムは概して、単一の製品内にともに一体化することができ、または複数の製品に包装することができることを理解されたい。
【0081】
複数の実施形態について説明した。それにもかかわらず、様々な修正を加えることができることが理解されよう。それに応じて、他の実施形態も以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波(RF)電磁放射を感知するための受信器であって、
誘電体であり、
前記誘電体内にフォトニック結晶構造を画定するように周期的に並べられたアレイ状空洞、
前記フォトニック結晶構造内に欠陥を画定する前記アレイ状空洞内の領域、および
前記誘電体の表面内のスロット開口から少なくとも部分的に前記誘電体を通って延びる前記領域を通る細長いスロットを含む誘電体と、
前記細長いスロット内の蒸気または前記蒸気源と、
前記細長いスロットを覆い、前記スロット開口の周りに封止を形成するように前記誘電体の前記表面に接合された窓面を有する光学窓とを備える受信器。
【請求項2】
前記フォトニック結晶構造が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射の群速度を減少させるように構成されている、請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
前記フォトニック結晶構造が、標的RF電磁放射を前記細長いスロットに集中させるように構成されており、前記標的RF電磁放射が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する、請求項1
に記載の受信器。
【請求項4】
前記アレイ状空洞が、前記アレイ内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を含む、請求項1
に記載の受信器。
【請求項5】
前記1つまたは複数のずれた空洞が、前記細長いスロットの端部の最も近くに位置し、前記細長いスロットの前記端部から離れる方にそれぞれの空間的なずれを有する、請求項4に記載の受信器。
【請求項6】
前記1つまたは複数のずれた空洞が、前記細長いスロットの側面の最も近くに位置し、前記細長いスロットの前記側面から離れる方にそれぞれの空間的なずれを有する、請求項4に記載の受信器。
【請求項7】
前記細長いスロットの端部に配置されたミラーを備える、請求項1
に記載の受信器。
【請求項8】
前記ミラーが、前記細長いスロットによって画定された光路に対して傾斜している、請求項7に記載の受信器。
【請求項9】
前記ミラーが、前記細長いスロットによって画定された光路に対して直交している、請求項7に記載の受信器。
【請求項10】
前記誘電体が、前記誘電体の端部から軸に沿って延びるアンテナ構造を含む、請求項1
に記載の受信器。
【請求項11】
前記アンテナ構造が、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成されている、請求項10に記載の受信器。
【請求項12】
前記アンテナ構造が、テーパ状の端部で終端し、
前記テーパ状の端部と位置合わせされた狭い部分と、
前記狭い部分から外方へ延びて前記狭い部分に沿って周期的な間隔を有するアレイ状の共平面セグメントとを含み、前記アレイ状の共平面セグメントが、前記標的RF電磁放射の偏光をフィルタリングするように構成されている、請求項10に記載の受信器。
【請求項13】
前記アンテナ構造が、前記アンテナ構造の内部にテーパを画定する1つまたは複数のチャネルを含み、前記テーパが、前記アンテナ構造によって受信された電磁放射を前記細長いスロットに結合するように構成されている、請求項10に記載の受信器。
【請求項14】
前記フォトニック結晶構造が、RF電磁放射の横磁場(TM)モードに関連するフォトニックバンドギャップを画定する、請求項1
に記載の受信器。
【請求項15】
前記フォトニック結晶構造が、RF電磁放射の横電場(TE)モードに関連するフォトニックバンドギャップを画定する、請求項1
に記載の受信器。
【請求項16】
前記蒸気が、アルカリ金属原子のガスを含む、請求項1
に記載の受信器。
【請求項17】
前記誘電体の前記表面が、前記アレイ状空洞の各々に対して空洞開口を画定し、
前記光学窓が、前記空洞開口の各々を覆い、
前記窓面が、前記空洞開口の各々の周りに封止を形成する、
請求項1
に記載の受信器。
【請求項18】
前記誘電体の前記表面が第1の表面であり、前記誘電体が、前記第1の表面とは反対側に第2の表面を含み、
前記細長いスロットが、前記誘電体を通って前記第1の表面から前記第2の表面まで延び、
前記スロット開口が第1のスロット開口であり、前記誘電体の前記第2の表面が、前記細長いスロットの第2のスロット開口を画定し、
前記光学窓が第1の光学窓であり、前記窓面が第1の窓面であり、
前記受信器が、前記第2のスロット開口を覆う第2の光学窓を含み、前記第2の光学窓が、前記第2のスロット開口の周りに封止を形成するように前記第2の表面に接合された第2の窓面を有する、
請求項1
に記載の受信器。
【請求項19】
前記誘電体の前記第1および第2の表面が、前記アレイ状空洞の各々に対してそれぞれ第1および第2の空洞開口を画定し、
前記第1および第2の光学窓が、それぞれ前記第1および第2の空洞開口の各々を覆い、
前記第1および第2の窓面が、前記第1および第2の空洞開口の各々の周りにそれぞれの封止を形成する、
請求項18に記載の受信器。
【請求項20】
無線周波(RF)電磁放射を感知する方法であって、
誘電体のアンテナ構造でRF電磁放射を受信することであり、前記誘電体が、
100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成された前記アンテナ構造、
前記誘電体内にフォトニック結晶構造を画定するように周期的に並べられたアレイ状空洞、
前記フォトニック結晶構造内に欠陥を画定する前記アレイ状空洞内の領域、および
前記誘電体の表面内のスロット開口から少なくとも部分的に前記誘電体を通って延びる前記領域を通る細長いスロットを含む、受信することと、
前記受信したRF電磁放射を前記フォトニック結晶構造と相互作用させることと、
前記細長いスロット内の蒸気に入力光信号を通して、1つまたは複数の出力光信号を生成することとを含む方法。
【請求項21】
前記アンテナ構造の内部にあるテーパを使用して、前記受信したRF電磁放射を前記細長いスロットに結合させることを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記テーパが、前記アンテナ構造内の1つまたは複数のチャネルによって画定され、
前記テーパが、前記細長いスロットと位置合わせされた頂点を有する、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アレイ状空洞内の前記領域が、軸に沿って延び、前記細長いスロットが、前記軸に平行に位置合わせされ、
前記受信したRF電磁放射を相互作用させることが、前記受信したRF電磁放射の群速度を、前記軸に平行な方向に沿って減少させることを含む、
請求項20
に記載の方法。
【請求項24】
前記受信したRF電磁放射を相互作用させることが、前記受信したRF電磁放射を前記細長いスロットに集中させることを含む、請求項20
に記載の方法。
【請求項25】
前記アレイ状空洞が、前記アレイ内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を含み、前記ずれた空洞が、フォトニック結晶ミラーを画定し、
前記受信したRF電磁放射を相互作用させることが、前記受信したRF電磁放射を前記フォトニック結晶ミラーから反射させることを含む、
請求項20
に記載の方法。
【請求項26】
入力光信号を通すことが、前記細長いスロットの端部に配置されたミラーから前記入力光信号を反射させることを含む、請求項20
に記載の方法。
【請求項27】
RF電磁放射を受信することが、前記アンテナ構造に一体化された偏光器を使用して、前記受信したRF電磁放射の偏光をフィルタリングすることを含む、請求項20
に記載の方法。
【請求項28】
前記アンテナ構造が、軸に沿って延び、テーパ状の端部で終端し、
前記偏光器が、
前記テーパ状の端部と位置合わせされた前記アンテナ構造の狭い部分と、
前記狭い部分から外方へ延びて前記狭い部分に沿って周期的な間隔を有するアレイ状の共平面セグメントとを含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
入力光信号を通すことが、前記細長いスロットによって画定された光路に沿って前記入力光信号を伝播させることを含む、請求項20
に記載の方法。
【請求項30】
前記蒸気が、アルカリ金属原子のガスを含む、請求項20
に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
記載するいくつかの態様では、RF電磁放射を感知するためのシステムについて、以下の例によって説明することができる。
例1.無線周波(RF)電磁放射を感知するためのシステムであって、
誘電性材料から形成された受信器であり、
細長いスロットが配置されたフォトニック結晶構造、
フォトニック結晶構造から延びており、100MHz~1THzの範囲内の周波数を有する標的RF電磁放射に結合するように構成されたアンテナ構造、および
細長いスロット内の蒸気または蒸気源を含む受信器と、
蒸気の1つまたは複数の電子遷移と相互作用する入力光信号を細長いスロットへ提供するように構成されたレーザシステムと、
細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射を検出するように構成された光検出システムとを備えるシステム。
例2.フォトニック結晶構造が、標的RF電磁放射の群速度を低減させるように構成されている、例1に記載のシステム。
例3.フォトニック結晶構造が、標的RF電磁放射を細長いスロットに集中させるように構成されている、例1または例2に記載のシステム。
例4.フォトニック結晶構造が、周期的に並べられて少なくとも部分的に細長いスロットを取り囲むアレイ状空洞を備える、例1または例2~3のいずれか1つに記載のシステム。
例5.アレイ状空洞が、アレイ内の概念上の周期的な位置から空間的にずらされた1つまたは複数のずれた空洞を備える、例4に記載のシステム。
例6.アンテナ構造が、
テーパ状の端部と、
テーパ状の端部とフォトニック結晶構造との間に内部テーパを画定する1つまたは複数のチャネルとを含む、例1または例2~5のいずれか1つに記載のシステム。
例7.アンテナ構造が、
テーパ状の端部と、
テーパ状の端部とフォトニック結晶構造との間の偏光器とを含み、偏光器が、標的RF電磁放射の偏光をフィルタリングするように構成されている、例1または例2~6のいずれか1つに記載のシステム。
例8.
システムが、標的RF電磁放射を焦点に集束させるように構成されたディッシュを備え、
アンテナ構造が、焦点またはその付近にテーパ状の端部を含む、
例1または例2~7のいずれか1つに記載のシステム。
例9.
システムが、標的RF電磁放射の周波数またはその付近の周波数を有する基準電磁放射を生成するように構成された位相安定性の電磁放射源を備え、
ディッシュが、ディッシュの頂点に、基準電磁放射を受信器へ誘導するように構成された集束要素を備える、
例8に記載のシステム。
例10.レーザシステムが、細長いスロットの端部に結合された光ファイバアセンブリを備え、光ファイバアセンブリが、端部を通って入力光信号を細長いスロットに案内するように構成されている、例1または例2~9のいずれか1つに記載のシステム。
例11.光検出システムが、細長いスロットの端部に結合された光ファイバアセンブリを備え、光ファイバアセンブリが、端部を通って細長いスロットからの出力光信号を受信するように構成されている、例1または例2~10のいずれか1つに記載のシステム。
例12.光検出システムが、細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射の電界の大きさを検出するように構成されている、例1または例2~11のいずれか1つに記載のシステム。
例13.光検出システムが、細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射の位相を検出するように構成されている、例1または例2~12のいずれか1つに記載のシステム。
例14.光検出システムが、細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射の偏光を検出するように構成されている、例1または例2~13のいずれか1つに記載のシステム。
例15.光検出システムが、細長いスロットからの出力光信号に基づいて、標的RF電磁放射の周波数を検出するように構成されている、例1または例2~14のいずれか1つに記載のシステム。
【国際調査報告】