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特表2023-517398シアン励起白色LEDを使用するメラノピック光システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(54)【発明の名称】シアン励起白色LEDを使用するメラノピック光システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20230418BHJP
   H05B 45/40 20200101ALI20230418BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20230418BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20230418BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20230418BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20230418BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20230418BHJP
   F21K 9/233 20160101ALI20230418BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230418BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B45/40
H05B47/105
H05B47/19
H05B47/16
H01L33/50
F21V9/38
F21K9/233 100
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560896
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2021059151
(87)【国際公開番号】W WO2021204934
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】20169108.6
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.BLUETOOTH
3.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ペータース マルティヌス ペトルス ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェフ レネ テオドルス
【テーマコード(参考)】
3K273
5F142
【Fターム(参考)】
3K273QA13
3K273RA05
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA22
3K273TA49
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA16
3K273UA17
3K273UA22
5F142AA23
5F142CB13
5F142DA02
5F142DA03
5F142DA14
5F142HA01
(57)【要約】
第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを備える、システム光を生成する光生成システムであって、第1の光生成デバイスが、第1のデバイス光を生成し、第1の光生成デバイスが、(i)470~500nmの範囲から選択される第1の主波長を有する第1の光源光を生成する、第1の光源と、(ii)第1の光源光の一部を第1のルミネッセンス材料光に変換する、第1のルミネッセンス材料とを含み、第1のデバイス光が、第1の光源光及び第1のルミネッセンス材料光を含み、第1のデバイス光が、第1の色点を有し、第2の光生成デバイスが、第2のデバイス光を生成し、第2の光生成デバイスが、(i)第2の主波長を有する第2の光源を生成する、第2の光源と、(ii)第2の光源光の少なくとも一部を第2のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第2のルミネッセンス材料とを含み、第2のデバイス光が、第2のルミネッセンス材料光を含み、かつ第2のデバイス光が、第2の色点及び第2の相関色温度を有する白色光である、光生成システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム光を生成するように構成されている光生成システムであって、
前記光生成システムは、第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを備え、
前記第1の光生成デバイスが、第1のデバイス光を生成するように構成されており、前記第1の光生成デバイスが、(i)470~500nmの範囲から選択される第1の主波長λd1を有する第1の光源光を生成するように構成されている、第1の光源と、(ii)前記第1の光源光の一部を第1のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第1のルミネッセンス材料とを含み、前記第1のデバイス光が、前記第1の光源光及び前記第1のルミネッセンス材料光を含み、前記第1のデバイス光が、第1の色点を有し、
前記第2の光生成デバイスが、第2のデバイス光を生成するように構成されており、前記第2の光生成デバイスが、(i)第2の主波長λd2を有する第2の光源光を生成するように構成されている、第2の光源と、(ii)前記第2の光源光の少なくとも一部を第2のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第2のルミネッセンス材料とを含み、前記第2のデバイス光が、前記第2のルミネッセンス材料光を含み、オプションとして前記第2の光源光を含み、前記第2のデバイス光が、第2の色点及び第2の相関色温度Tc2を有する、白色光であり、
λd1-λd2≧10nmであり、
前記第1の光源光のスペクトルパワー分布と前記第2の光源光のスペクトルパワー分布とが異なり、
前記第1の色点と前記第2の色点とが、u'に関して最大で0.03、かつ/又はv'に関して最大で0.03異なり、前記色点が、10°の等色関数に基づくものであり、前記光生成システムは、第3の光生成デバイスを更に備え、
前記第3の光生成デバイスが、第3のデバイス光を生成するように構成されており、前記第3の光生成デバイスが、(i)第3の主波長λd3を有する第3の光源光を生成するように構成されている、第3の光源と、(ii)前記第3の光源光の少なくとも一部を第3のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第3のルミネッセンス材料とを含み、前記第3のデバイス光が、前記第3のルミネッセンス材料光を含み、オプションとして前記第3の光源光を含み、前記第3のデバイス光が、第3の色点及び第3の相関色温度Tc3を有する、白色光であり、
λd1-λd3≧10nmであり、
前記第1の光源光のスペクトルパワー分布と前記第3の光源光のスペクトルパワー分布とが異なり、
前記システム光が、前記第1のデバイス光、前記第2のデバイス光、及び前記第3のデバイス光のうちの1つ以上を含み、
Tc2-Tc3≧700Kであり、
前記光生成システムは、(i)1つ以上の第1の光生成デバイス及び1つ以上の第2の光生成デバイスを含む、第1のストリングと、(ii)1つ以上の第3の光生成デバイスを含む、第2のストリングとを更に備え、前記光源が固体光源を含む、光生成システム。
【請求項2】
前記第1のルミネッセンス材料が、前記第1の光源光の一部を、575~638nmの範囲から選択される第1のルミネッセンス材料主波長λdL1を有する第1のルミネッセンス材料光に変換するように構成されており、前記第2のデバイス光の前記第2の相関色温度Tc2が、少なくとも3400Kである、請求項1に記載の光生成システム。
【請求項3】
前記第1の主波長λd1が、478~484nmの範囲から選択され、前記第1のルミネッセンス材料が、前記第1の光源光の一部を、575~612nmの範囲から選択される第1のルミネッセンス材料主波長λdL1を有する第1のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、請求項1又は2のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項4】
1つ以上の第1の光生成デバイス及び1つ以上の第2の光生成デバイスを含む、第1のLEDストリングを備え、第1の光生成デバイスの数n1と第2の光生成デバイスの数n2との比が、0.05≦n1/n2≦20であり、前記光源が固体光源を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項5】
前記第2の主波長λd2が、430~470nmの範囲から選択される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項6】
前記第2のルミネッセンス材料及び前記第3のルミネッセンス材料が、少なくとも40nmの半値全幅を有するルミネッセンス材料光を供給するように構成されている、蛍光体を含み、Tc2-Tc3≧2500Kであり、前記第1の色点と前記第2の色点とが、u'に関して最大で0.01、かつ/又はv'に関して最大で0.01異なる、請求項1に記載の光生成システム。
【請求項7】
前記第3のルミネッセンス材料が、Mn4+をベースとした狭帯域赤色発光蛍光体を含む、請求項5又は6のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項8】
前記第1の光生成デバイス、前記第2の光生成デバイス、及び前記第3の光生成デバイスのうちの1つ以上を制御するように構成されている、制御システムを更に備える、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項9】
前記制御システムが、前記第1の光生成デバイス及び前記第2の光生成デバイスを含むセットと、前記第3の光生成デバイスとを、個別に制御するように構成されている、請求項8に記載の光生成システム。
【請求項10】
Tc2-Tc3≧1000Kである、請求項5乃至9のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項11】
ユーザインタフェース、時間デバイス、及びセンサから成る群から選択される、入力デバイスを更に備え、請求項8又は9のいずれか一項に記載の制御システムが、前記入力デバイスの信号に応じて、前記システム光のスペクトルパワー分布を制御するように構成されている、請求項4乃至10のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項12】
前記制御システムが、請求項9乃至11のいずれか一項において規定されているように、前記光生成システムの前記システム光の前記スペクトルパワー分布を制御するように構成されている、請求項11に記載の光生成システム。
【請求項13】
前記光生成システムの動作モードにおいて、前記システム光が、少なくとも80のCRI、少なくとも50のR9値、及び少なくとも0.45の範囲から選択されるMDER値を有し、MDERが、
【数1】
と規定され、SPD(λ)が、前記システム光の前記スペクトルパワー分布であり、m(λ)が、メラノピック感度関数であり、V(λ)が、明所視感度関数である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項14】
前記制御システムが、動作モードにおいて、請求項13において規定されているような、予め規定されているMDER値を維持しつつ、前記システム光の前記スペクトルパワー分布を制御するように構成されている、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の光生成システム。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光生成システムを備える、ランプ又は照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光生成システム、並びに、そのような光生成システムを備えるランプ又は照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
調節可能なメラトニン抑制効果を有する固体発光デバイスが、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第9,039,746号は、調節可能なメラトニン抑制効果をもたらす複数のLED構成要素を含む、固体発光デバイスを説明している。複数のLED構成要素は、それらの合成出力が、同じ色度又は同様の色度を提供するが、異なる動作モード間では少なくとも所定の閾値量で異なるメラトニン抑制効果をもたらす、異なる動作モードに従って同時に動作させられてもよい。動作モード間の切り替えは、ユーザ入力要素、タイマー/クロック、又はセンサ(例えば、フォトセンサ)によってトリガされてもよい。それぞれの選択された合成出力色度において、調節可能なメラトニン抑制効果をもたらすと共に、複数のLED構成要素の合成出力の色度もまた、調節されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
我々の睡眠/覚醒サイクルにとって極めて重要なものは、夜間の睡眠を促進するホルモンであるメラトニンである。メラトニンは、我々の通常の就寝時間の前後(及び、就寝時間中)にのみ我々が産生する、睡眠支援ホルモンである。夕方及び夜間の光曝露は、メラトニンの自然産生を抑制する。光のスペクトルが、(夜明け及び夕暮れの間のように)より低いCCT及び強度レベルに向けてシフトされると、このことにより、メラトニン抑制が低減され、光による睡眠の妨げが少なくなる。日中は、高い相関色温度(correlated color temperature;CCT、本明細書では「色温度」としても示されるもの)及び強度を有する自然昼光が、人々に活力を与え、人々の意識をはっきりさせる。調整可能なCCTを有する、現在の高性能なLEDベースの照明装置は、昼光の種々の位相、すなわち、スペクトルパワー分布の変化及びCCTの変動を、ある程度まで模倣することが可能である。
【0004】
周知の錐体及び桿体とは別に、ヒトの眼は、特定の波長範囲に敏感な、概日同調及びメラトニン分泌に影響を及ぼすメラノプシンを含む光受容体を有する。古典的な受容体(桿体及び錐体)及びメラノピック受容体に関する、相対的なスペクトル感度が、図6に提供されている(http:www.sciencedirect.comsciencearticlepiiS0166223613001975にある、R.J.Lucasらの、「Measuring and using light in the melanopsin age」(Trends in Neurosciences,Vol.37,No.1、2014年1月、1~9ページ)、http:cie.co.atindex.php?i_ca_id=978にある、(excelツールボックスhttp:files.cie.co.at784_TN003_Toolbox.xlsへのリンクを有する)レポート「CIE TN 003:2015:Report on the First International Workshop on Circadian and Neurophysiological Photometry,2013」もまた参照)。メラノピック波長範囲のスペクトルパワーが存在しないか又は低い場合には、光曝露は、さほどメラトニンホルモン産生を抑制することがないため、より早い入眠と、より深い睡眠とを可能にする。メラノピック範囲のスペクトルパワーが増大される場合には、光曝露は、より強いメラトニン抑制をもたらすことになる。一般に、光曝露は、メラノピック範囲のパワー(及び、夜間にメラトニンを抑制する能力)が増大される場合、より生物学的に活性であり、より覚醒的であると言うことができる。メラトニン産生を抑制する、所与の光スペクトルの有効性は、メラノプシン有効係数(melanopsin effectiveness factor;MEF)の観点から表されることができる。この係数は、照明システムによって放出される光のスペクトルパワー分布(SPD(λ))を、メラノピック感度関数(m(λ))で乗算して、SPD(λ)と明所視感度関数(photopic luminosity function)(V(λ))との積で除算し、m(λ)及びV(λ)の曲線下面積によって正規化することによって計算されるものであり、式1を参照されたい(及び、図1もまた参照)。
【0005】
【数1】
【0006】
この式は、以下のように単純化されることができ、
【0007】
【数2】
【0008】
同様に、以下のように単純化されることができる。
【0009】
【数3】
【0010】
それゆえ、上記で示されている総和は、380~780nmの可視範囲にわたるものである。定義上、等エネルギー光源に関するMEFであるMEFEEは、1に等しい。特に、等エネルギー光源は、全ての(可視)波長に関して、SPD(λ)=一定(例えば、1)を有する。
【0011】
ヒトの眼の中のこのセンサ(内因性光感受性網膜神経節細胞又はiPRGC;intrinsically Photosensitive Retinal Ganglion Cell)の最大感度は、約490nmにある。日中のiPRGCの刺激(又は、夕方における刺激の欠如)は、概日リズム(24時間周期への同調)を制御するために重要である。
【0012】
光スペクトルのメラノピック効率は、MDEF(Melanopic D65 Efficiency Factor;メラノピックD65効率係数)(また、MDER、すなわちメラノピック昼光有効率(Melanopic Daylight Efficacy Ratio)と称される場合もある)を使用して計算されることができる。そのような場合は、等エネルギー光源ではなく、D65光源、すなわち、国際照明委員会(International Commission on Illumination;CIE)によって定義されている慣用標準光源である、CIE標準光源D65である。MDEFは、試験光源(又は、試験システム)の1ルクス当たり、同じiPRGCの刺激を生成するために必要とされる、D65光源のルクス単位の照度として定義され得る。D65光源のMDEF値は、約0.906MEF値である。MDEF値の代わりに、MELR値もまた適用されてもよい。MELRという用語は、(mW/Lm単位での)光放射のメラノピック有効性を指す。
【0013】
MDEF値の代わりに、MELR値(Melanopic efficacy of luminous radiation;光放射のメラノピック有効性)もまた使用されてもよい。MDEF値及びMELR値の計算に関して、以下が言及され得る。評価される試験スペクトルに関しては、試験スペクトルのスペクトル領域内では何mWであるかを(スペクトルをm(λ)で重み付けすることによって)計算してもよい。また、何Lmが生成されるかを計算することもできる。mW単位のパワーとLm単位のルーメンとの比が、MELR値と呼ばれる。D65基準スペクトルに関してもまた、この計算が行われることができる。D65のMELR=1.326mW/Lmである。評価される試験スペクトルのMELR値と基準スペクトル(D65)のMELR値との比が、MDEF(又は、MDEF値)と呼ばれる。MDEFは、単位を有さない値である。
【0014】
それゆえ、MELRは、mW/Lmで表されることができ、ここでmWは、
【0015】
【数4】
によって計算される。Lm単位のルーメンは、通常の方式で計算される。
【0016】
上述のように、本明細書ではMDERとして更に示される、MDEFが特に適用される。MDERは、
【0017】
【数5】
と規定され、SPD(λ)は、光生成デバイスによって放出される光のスペクトルパワー分布であり、m(λ)は、メラノピック感度関数であり、V(λ)は、明所視感度関数である。
【0018】
上述のように、照明の生物学的効果は、照度(眼におけるルクス)MDER(曝露時間)の積である。それとは別に、曝露の時間(朝/夕)もまた、人々に対する影響を決定する。通常の屋内照明条件では、日中のiPRGCの刺激は、過度に低い(例えば、オフィスでは500ルクス、4000K、MDER~0.6)。
【0019】
シアン光で照明を強化することが望ましいと考えられる。しかしながら、スペクトルのMDERを増強するために、白色LEDと組み合わせて直接シアンエミッタを使用することは、1つの大きな欠点を有し得る。大幅に逸脱した色点(直接シアンエミッタは白色LEDではなく、青みを帯びた/緑色である)は、十分な(色)混合を有さない照明システムにおける適用を妨げる。それゆえ、直接シアンエミッタを使用する手法は、例えばパネル(側方照明又は直接照明)において、又はレンズを使用する照明システムにおいて、使用されることができない。これらの問題は、シアン強化型LEDによって放出される光が白色である場合には、軽減されるか、又は存在すらしない可能性がある。しかしながら、シアン励起LEDと組み合わせて白色LEDを使用する、調整可能システムは、極めて限定された調整範囲のみを可能にし得る。更には、640~680nmの発光ピーク強度を有する深赤色蛍光体を使用する、シアン励起白色LEDは、極めて非効率的であると考えられる。
【0020】
それゆえ、本発明の一態様は、好ましくは、上述の欠点のうちの1つ以上を更に少なくとも部分的に取り除く、代替的な照明システムを提供することである。本発明は、従来技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服若しくは改善すること、又は有用な代替物を提供することを、目的として有してもよい。
【課題を解決するための手段】
【0021】
それゆえ、第1の態様では、本発明は、システム光を生成するように構成されている、光生成システムを提供する。光生成システムは、第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを備える。第1の光生成デバイスは、第1のデバイス光を生成するように構成されている。特に、第1の光生成デバイスは、(i)第1の主波長λd1を有する第1の光源光を生成するように構成されている、第1の光源を含む。特定の実施形態では、第1の主波長λd1は、470~500nmの範囲から選択される。更には、特に第1の光生成デバイスは、(ii)第1の光源光の一部を第1のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第1のルミネッセンス材料を含む。特に、第1のデバイス光は、第1の光源光及び第1のルミネッセンス材料光を含む。特定の実施形態では、第1のデバイス光は、第1の色点を有する。また更には、第2の光生成デバイスは、第2のデバイス光を生成するように構成されている。特に、第2の光生成デバイスは、(i)第2の主波長λd2を有する第2の光源光を生成するように構成されている、第2の光源を含む。更には、特に第2の光生成デバイスは、(ii)第2の光源光の少なくとも一部を第2のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第2のルミネッセンス材料を含む。特に、第2のデバイス光は、第2のルミネッセンス材料光及びオプションとして第2の光源光を含む。特定の実施形態では、第2のデバイス光は、第2の色点を有する。特に、第2のデバイス光は、第2の相関色温度Tc2を有する白色光である。特に、実施形態では、λd1-λd2≧10nmである。また更には、特に、第1の光源光のスペクトルパワー分布と第2の光源光のスペクトルパワー分布とは異なる。特定の実施形態では、第1の色点と第2の色点とは、u'に関して最大で0.03、かつ/又はv'に関して最大で0.03異なる。特に、色点u'及び色点v'は、CIE S 014-1/E:2006による10°の等色関数(CIE S 014-1/E:2006の表2を参照)(本明細書ではまた「10℃MF」及び同様の語句としても示されるもの)に基づく。それゆえ、特に本発明は、実施形態では、システム光を生成するように構成されている光生成システムを提供し、光生成システムは、第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを備え、(a)第1の光生成デバイスは、第1のデバイス光を生成するように構成されており、第1の光生成デバイスは、(i)470~500nmの範囲から選択される第1の主波長λd1を有する第1の光源光を生成するように構成されている、第1の光源と、(ii)第1の光源光の一部を第1のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第1のルミネッセンス材料とを含み、第1のデバイス光は、第1の光源光及び第1のルミネッセンス材料光を含み、第1のデバイス光は、第1の色点を有し、(b)第2の光生成デバイスは、第2のデバイス光を生成するように構成されており、第2の光生成デバイスは、(i)第2の主波長λd2を有する第2の光源光を生成するように構成されている、第2の光源と、(ii)第2の光源光の少なくとも一部を第2のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第2のルミネッセンス材料とを含み、第2のデバイス光は、第2のルミネッセンス材料光及びオプションとして第2の光源光を含み、第2のデバイス光は、第2の色点を有し(かつ、特に、第2のデバイス光は、第2の相関色温度Tc2を有する白色光であり)、(c)λd1-λd2≧10nmであり、(d)第1の光源光のスペクトルパワー分布と第2の光源光のスペクトルパワー分布とは異なり、(e)第1の色点と第2の色点とは、(CIE S 014-1/E:2006による10°の等色関数(表2を参照)を使用して)u'に関して最大で0.03、かつ/又はv'に関して最大で0.03異なる。
【0022】
本明細書では、色点は特に、CIE S 014-1/E:2006による10度の等色関数(表2を参照)を使用して定義される。色温度は、CIE 1960の図に基づく(u値、v値、すなわち、CIE 1931の2度の等色関数を使用)。
【0023】
第2のチャネルとして、同じ色を有するシアン励起LEDと青色励起LEDとを組み合わせることにより、大きい調整範囲を有する調整可能システムを生成することが可能になると考えられる。このようにして、固定されたMDER又は可変のMDERを有し、また潜在的に可変の相関色温度(CCT)も有する、照明システムが提供されてもよい。更には、同じ色を有するシアン励起LEDと青色励起LEDとを組み合わせることはまた、それ自体で改善されたMDERを有する照明システムを提供するために、それ自体で使用されてもよい。このようにして、固定されたMDER又は可変のMDERを有し、本質的に固定された相関色温度(CCT)を有する、照明システムが提供されてもよい。
【0024】
上述のように、本発明は、システム光を生成するように構成されている光生成システムを提供し、光生成システムは、第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを備える。
【0025】
用語「第1の光生成デバイス」はまた、(同じビンからなどの)複数の本質的に同じ光生成デバイスを指す場合もある。用語「第2の光生成デバイス」もまた、(同じビンからなどの)複数の本質的に同じ光生成デバイスを指す場合がある。用語「第1の光生成デバイス」と「第2の光生成デバイス」とは特に、特に1つ以上のスペクトル特性が異なるデバイスを指す。本明細書では、スペクトル分布が異なっており、例えば、演色評価数(color rendering indices;CRI)は、少なくとも10ポイントなど、実質的に異なっていてもよい。それゆえ、第1の光源光のスペクトルパワー分布と、第2の光源光のスペクトルパワー分布とは異なる。しかしながら、色点は本質的に同じであってもよい。それゆえ、実施形態では、第1の色点と第2の色点とは、u'に関して最大で0.03、かつ/又はv'に関して最大で0.03、例えば、u'に関して最大で0.02、かつ/又はv'に関して最大で0.02異なっていてもよい。更により特定的には、実施形態では、第1の色点と第2の色点とは、u'に関して最大で0.01、かつ/又はv'に関して最大で0.01異なっていてもよい。u'及びv'の値に関しては、特にCIE S 014-1/E:2006による10°の等色関数(表2を参照)、すなわち10°の等色関数が適用される。更には、語句「光生成システムは、第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを備える」は、他の光生成デバイスの存在を排除するものではない。以下で示されるように、いくつかの実施形態では、また更なる(第3の)光生成デバイスが、光生成システムによって含まれてもよい。用語「光生成システム」の代わりに、用語「照明システム」又は「システム」もまた、本明細書で適用されてもよい。更には、用語「光生成デバイス」の代わりに、用語「照明デバイス」又は「デバイス」もまた、本明細書で適用されてもよい。
【0026】
本明細書では、光生成デバイスは特に、固体光源を含む(以下もまた更に参照)。
【0027】
上述のように、第1の光生成デバイスと第2とは、異なるスペクトルパワー分布を有するデバイス光を供給するなど、実質的に異なる。しかしながら、色点は本質的に同じであってもよい。以降では、第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスに関連して、いくつかの実施形態が説明される。
【0028】
第1の光生成デバイスは、第1のデバイス光を生成するように構成されている。
【0029】
特に、第1の光生成デバイスは、第1の主波長λd1を有する第1の光源光を生成するように構成されている、第1の光源を含む。第1の光源は特に、LEDなどの固体光源を含む。第1の主波長λd1は、特に470~500nmの範囲から選択される。それゆえ、第1の光源は特に、シアンLEDなどのシアン光源である。より特定的には、第1の主波長λd1は、470~490nmの範囲から選択されてもよい。最良の結果は、475~485nmの範囲から選択された第1の主波長λd1で得られた。更により特定的には、第1の主波長λd1は、約480nmなどの、478~484nmの範囲から選択されてもよい。
【0030】
第1の光生成デバイスは、第1の光源光の一部を第1のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第1のルミネッセンス材料を更に含む。それゆえ、第1の光源の一部は、変換されないままであり、第1のデバイス光の一部であってもよい。それゆえ、第1のデバイス光は、第1の光源光及び第1のルミネッセンス材料光を含む。
【0031】
特定の実施形態では、第1のルミネッセンス材料は、少なくとも25nmの(実施形態では、少なくとも50nmなどの)半値全幅を有し、かつ590~640nmの範囲から選択されるピーク波長を有する、蛍光体を含む。更により特定的には、第1のルミネッセンス材料は、第1の光源光の一部を、575~638nmの範囲から選択される第1のルミネッセンス材料主波長λdL1を有する、第1のルミネッセンス材料光に変換するように構成されてもよい。特定の実施形態では、第1のルミネッセンス材料主波長λdL1は、575~630nmの範囲から選択される。更により特定的には、第1のルミネッセンス材料主波長λdL1は、約577~605nm、又は更に約577~599nmなどの、575~612nmの範囲から選択される。約50nmを超えるFWHMの場合、第1のルミネッセンス材料主波長λdL1は、特に約612nm未満であってもよく、その一方で、30nm以下のFWHMの場合、第1のルミネッセンス材料主波長λdL1は、特に約638nm未満であってもよい。実施形態では、第1のルミネッセンス材料主波長λdL1は、単一のルミネッセンス材料によって得られてもよい。更に他の実施形態では、第1のルミネッセンス材料主波長λdL1は、例えば複数の異なるタイプの量子ドットなどの、2種以上の第1のルミネッセンス材料によって得られてもよい。しかしながら、特定の実施形態では、第1のデバイス光は、シアンLEDなどの単一のタイプの第1の光源と、単一のタイプの第1のルミネッセンス材料とから、本質的に成るものであってもよい。
【0032】
特に良好な結果は、第1の主波長λd1が、478~484nmの範囲から選択され、かつ第1のルミネッセンス材料主波長λdL1が、約577~605nmなどの、575~638nmの範囲から選択され、更により特定的には約577~599nmの範囲から選択される場合に得られてもよい。このことは、相対的なエネルギー効率の良い方式で、所望の色点を提供し得る。この目的のために、例えば、当該技術分野において既知のような、二価ユーロピウム含有窒化物が適用されてもよい(実施例が以下に示される)。あるいは、又は更に、KSiF:Mn4+などの四価マンガンでドープされたフッ化物、若しくは同様のタイプの四価マンガンでドープされたフッ化物が適用されることもできる。特に、第1の光源と、そのような第1のルミネッセンス材料と、オプションとして、セリウム含有ガーネットタイプなどの1つ以上の更なる第1のルミネッセンス材料との組み合わせが、第1の光生成デバイスを提供するために極めて有用であり得ると考えられる。
【0033】
用語「第1の光源」はまた、本質的に同じビンからの固体光源などの、複数の本質的に同じ第1の光源を指す場合もある。用語「第1の光源」はまた、複数の異なる第1の光源を指す場合もあるが、全て本明細書で示されている条件に従うものとする。用語「第1のルミネッセンス材料」はまた、複数の異なるルミネッセンス材料を指す場合もある。
【0034】
特に、第1のデバイス光は、10°の等色関数を使用する色点に基づく、白色光である。
【0035】
一般に、色点及び相関色温度は、2°の等色関数(CIE 1931など)に基づいて定義される。https:/www.konicaminolta.com/instruments/knowledge/color/part4/01.htmlのサイトから導き出されるように、眼の色感度は、視野角(対象のサイズ)によって変化する。CIEは当初、1931年に、2の視野を使用して標準観測者を定義したため、2の標準観測者という名称である。1964年に、CIEは、追加的な標準観測者を定義したが、この時は10°の視野に基づいており、これは、10の補助標準観測者と称される。10°の視野と比較して、2°の視野がどのようなものであるかを説明すると、50cmの視距離において、2°の視野は1.7cmの円となるが、その一方で、同じ距離における10°の視野は、8.8cmの円となる。等色関数は、波長の関数としての、等エネルギースペクトルの三刺激値である。これらの関数は、ヒトの眼の感度に対応することが意図されている。2°の標準観測者及び10°の補助標準観測者に関して、別個の3つの等色関数のセットが指定されている。
【0036】
それゆえ、本明細書では、CIE S 014-1/E:2006の表1及び表2が、それぞれ使用される。
【0037】
ユーザの知覚を考慮すると、10°の等色関数を使用して第1のデバイス光の色点を定義することが、より有用であると考えられる。第1のデバイス光の色点と第2のデバイス光の色点との比較に関しては、本明細書では10°の等色関数を使用する色点が適用される。それゆえ、これらの色点を比較するためには、双方の色点が、10°の等色関数に基づいて定義されるべきである。第2のデバイス光の色点と第3のデバイス光の色点との比較に関しては、本明細書では一般に、2°の等色関数を使用する色点が適用される。このことはまた、相関色温度を求めることも可能にする。
【0038】
2°の等色関数を使用する、第2のデバイス光及び第3のデバイス光は、特定の実施形態では白色光である点に留意されたい。10°の等色関数を使用する、第1のデバイス光の色点と第2のデバイス光の色点とは、本質的に同じである(u'に関して最大で0.03、かつ/又はv'に関して最大で0.03、例えば、u'に関して最大で0.02、かつ/又はv'に関して最大で0.02、また更により特定的には、u'に関して最大で0.01、かつ/又はv'に関して最大で0.01、また更により特定的には、u'に関して最大で0.005、かつ/又はv'に関して最大で0.005異なる)ため、事実上、実施形態では、第1のデバイス光も、それゆえまた白色光であり、(10°の補助標準)観測者によって白色光として知覚され得る。
【0039】
特に2°の等色関数を想定すると、本明細書における用語「白色光」は、当業者には既知である。白色光は特に、約1800~20000K、例えば約2000~20000K、特に2700~20000K、一般照明に関しては特に約2700K~6500Kの範囲の相関色温度(CCT)を有する光に関する。また更には、実施形態では、相関色温度(CCT)は特に、BBL(black body locus;黒体軌跡)から約15SDCM(standard deviation of color matching;等色標準偏差)以内、特にBBLから約10SDCM以内、更により特定的にはBBLから約5SDM以内の色点である。
【0040】
それゆえ、第2のデバイス光は特に、(そのような)白色光である。上述のように、10°の等色関数を使用する、第1のデバイス光の色点と第2のデバイス光の色点とは、本質的に同じであるため、第1のデバイス光もまた(実施形態では)白色光として示され得る。
【0041】
更には、第1のデバイス光は、第1の色点を有する。特に、実施形態では、色点は、(10℃MFを使用して)u'に関して0.18~0.24、かつv'に関して0.4~0.53の範囲から選択される。より特定的には、u'は、0.19~0.23、例えば0.195~0.22の範囲から選択され、より特定的には0.195~0.205の範囲から選択されてもよい。より特定的には、v'は、(10℃MFを使用して)0.41~0.52の範囲から選択され、より特定的には0.43~0.50の範囲の範囲から選択され、例えば、特に0.46~0.47の範囲から選択されてもよい。前者の範囲は、例えば1976年のu'v'CIE図では、約20,000~3,500Kに等しい。
【0042】
更には、第1のデバイス光は、或る種の第1の相関色温度Tc1を有する。それゆえ、第1の光生成デバイスは、冷白色光生成デバイスとして示されてもよい。
【0043】
第1の光生成デバイスは、とりわけ、励起LEDとしてシアンLEDを含んでもよい。それゆえ、第1の光生成デバイスは、本明細書ではまた、シアンLED又はシアンPC LEDとして示されてもよい。
【0044】
第2の光生成デバイスは、第2のデバイス光を生成するように構成されている。
【0045】
特に、第2の光生成デバイスは、第2の主波長λd2を有する第2の光源光を生成するように構成されている、第2の光源を含む。第2の光源は特に、LEDなどの固体光源を含む。特に、第2の主波長λd2は、第1の主波長λd1よりも小さい。それゆえ、第1の光源と第2の光源とは特に、異なるビンのものである。実施形態では、λd1-λd2≧10nmである。
【0046】
第2の光源は、実施形態では、可視光、特に青色光を生成するように構成されてもよい。それゆえ、実施形態では、第2の光源は特に、少なくとも430nmなどの、430~470nmの範囲から選択される(しかしながら、少なくとも第1の主波長λd1(上記もまた参照)よりも小さい)第2の主波長λd2を有する、第1の光源光を生成するように構成されてもよい。特定の実施形態では、λd2≦465nmである。
【0047】
あるいは、又は更に、第2の光源は、実施形態では、更に短い(主)波長を有する光を生成するように構成されてもよい。それゆえ、実施形態では、第2の光源は特に、380~430nmの範囲から選択される第2の主波長λd2を有する、第1の光源光を生成するように構成されてもよい。
【0048】
第2の光生成デバイスは、第2の光源光の少なくとも一部を第2のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第2のルミネッセンス材料を更に含む。それゆえ、第2の光源光の少なくとも一部は、変換されないままであってもよく、第2のデバイス光の一部であってもよい。それゆえ、第2のデバイス光は、第2のルミネッセンス材料光及びオプションとして第2の光源光を含む。上述のように、2つの主要な実施形態が存在し得る。第1の実施形態では、第2の光源は、青色光を生成するように構成されてもよい。そのような実施形態では、第2の光源光の一部を第2のルミネッセンス材料光に変換するために、1種以上のルミネッセンス材料が使用されてもよい。第2の実施形態では、第2の光源は、430~470nmの(青色)波長範囲よりも短い主波長を有する、光源光を生成するように構成されてもよい。そのような実施形態では、特に光源光は、ルミネッセンス材料光に完全に変換されてもよい。それゆえ、そのような第2の実施形態では、第2の光生成デバイスは特に、2種以上の異なるルミネッセンス材料を含んでもよい。
【0049】
用語「第2の光源」はまた、本質的に同じビンからの固体光源などの、複数の本質的に同じ第2の光源を指す場合もある。用語「第2の光源」はまた、複数の異なる第2の光源を指す場合もあるが、全て本明細書で示されている条件に従うものとする。用語「第2のルミネッセンス材料」はまた、複数の異なるルミネッセンス材料を指す場合もある。
【0050】
特に、第2のデバイス光は、CIE1931の色図におけるx、y(2℃MF)、又はCIE1976の色図におけるu'v'(2℃MF)として決定される、その色点が、BBLから15SDCM以内、更により特定的にはBBLから約10SDCM以内であることにより、白色光である。
【0051】
更には、第2のデバイス光は、第2の色点を有する。特に、実施形態では、第2の色点は、(2℃MFで)u'に関して0.19~0.27、かつv'に関して0.42~0.54の範囲から選択される。より特定的には、第2の色点は、(2℃MFで)u'に関して0.19~0.26、かつv'に関して0.43~0.53の範囲から選択される。第2のデバイス光に関しては、2℃MF又は10℃MFでの色点は、実質的に同じであると考えられる。それゆえ、実施形態では、第2の色点は、(10℃MFで)u'に関して約0.19~0.27、かつv'に関して0約.42~0.54の範囲から選択される。より特定的には、第2の色点は、(10℃MFで)u'に関して約0.19~0.26、かつv'に関して0約.43~0.53の範囲から選択される。
【0052】
更には、第2のデバイス光は、第2の相関色温度Tc2を有し得る。特に、実施形態では、第2の相関色温度Tc2は、2700~6500K、特に少なくとも約3000K、更により特定的には少なくとも約3300K、例えば少なくとも3400Kの範囲から選択されてもよい。より特定的には、第2の相関色温度Tc2は、少なくとも3500K、例えば、更により特定的には少なくとも約4000Kであってもよい。また更なる特定の実施形態では、第2の相関色温度Tc2は、少なくとも4500K、例えば少なくとも5000Kの範囲から選択され、例えば5000~6500Kの範囲から選択されてもよい。それゆえ、第2の光生成デバイスは、冷白色光生成デバイスとして示されてもよい。
【0053】
上述のように、第1の光源光のスペクトルパワー分布と第2の光源光のスペクトルパワー分布とは異なる。しかしながら、色点は(10℃MFに基づいて)本質的に同じであってもよい。それゆえ、実施形態では、第1の色点と第2の色点とは、(10℃MFに基づいて)u'に関して最大で0.03、かつ/又はv'に関して最大で0.03、例えば、u'に関して最大で0.01、かつ/又はv'に関して最大で0.01、更により特定的には、(10℃MFに基づいて使用して)u'に関して最大で0.005、かつ/又はv'に関して最大で0.005異なっていてもよい。
【0054】
それゆえ、実施形態では、光生成システムは、1つ以上の第1の光生成デバイス、及び1つ以上の第2の光生成デバイスを備えてもよく、(システム光に寄与し得る)更なるタイプの光生成デバイスを備えなくてもよい。それゆえ、そのような実施形態では、システム光は、第1のデバイス光及び第2のデバイス光から本質的に成るものであってもよい。しかしながら、特定の実施形態では、光生成システムは、システム光を制御するように構成されているシステムを、更に備えてもよい。そのような実施形態では、例えば、第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスへの電力を(例えば、個別に)制御することによって、システム光のスペクトルパワー分布を制御することが可能であり得る。それゆえ、そのような実施形態では、システム光は、第1のデバイス光及び第2のデバイス光のうちの1つ以上から本質的に成るものであってもよい。
【0055】
用語「制御すること」及び同様の用語は特に、少なくとも、要素の挙動を決定すること、又は要素の動作を管理することを指す。それゆえ、本明細書では、「制御すること」及び同様の用語は、例えば、要素に対して、例えば、測定すること、表示すること、作動させること、開放すること、移行すること、温度を変更することなどの挙動を課すこと(要素の挙動を決定すること、又は要素の動作を管理すること)などを指す場合がある。その他にも、用語「制御すること」及び同様の用語は、監視することを更に含んでもよい。それゆえ、用語「制御すること」及び同様の用語は、要素に挙動を課すこと、並びにまた、要素に挙動を課して、当該要素を監視することを含んでもよい。要素を制御することは、「コントローラ」としてもまた示され得る、制御システムにより行われることができる。それゆえ、制御システムと要素とは、少なくとも一時的に、又は恒久的に、機能的に結合されてもよい。要素は、制御システムを含んでもよい。実施形態では、制御システムと要素とは、物理的に結合されなくてもよい。制御は、有線制御及び/又は無線制御を介して行われることができる。用語「制御システム」はまた、特に機能的に結合されている複数の異なる制御システムを指す場合もあり、複数の異なる制御システムのうちの、例えば1つの制御システムが、マスター制御システムであってもよく、1つ以上の他の制御システムが、スレーブ制御システムであってもよい。制御システムは、ユーザインタフェースを含んでもよく、又はユーザインタフェースに機能的に結合されてもよい。
【0056】
制御システムはまた、リモートコントロールからの命令を受信して実行するように構成されてもよい。実施形態では、制御システムは、スマートフォン又はI-phone、タブレットなどのような、ポータブルデバイスなどのデバイス上の、アプリを介して制御されてもよい。それゆえ、デバイスは、必ずしも照明システムに結合されてはおらず、(一時的に)照明システムに機能的に結合されてもよい。
【0057】
それゆえ、実施形態では、制御システムは(また)、リモートデバイス上のアプリによって制御されるように構成されてもよい。そのような実施形態では、照明システムの制御システムは、スレーブ制御システムであってもよく、又は、スレーブモードにおいて制御してもよい。例えば、照明システムは、コード、特に対応の照明システムに関する固有コードにより、識別可能であってもよい。照明システムの制御システムは、(固有)コードの(光学センサ(例えば、QRコードリーダ)を備えるユーザインタフェースによって入力された)知識に基づいて照明システムにアクセスできる、外部制御システムによって制御されるように構成されてもよい。照明システムはまた、Bluetooth、WIFI、LiFi、ZigBee、BLE、若しくはWiMax、又は別の無線技術などに基づいた、他のシステム又はデバイスと通信するための手段を備えてもよい。
【0058】
システム、又は装置、又はデバイスは、或る「モード」又は「動作モード」又は「動作のモード」において、アクションを実行してもよい。同様に、方法においては、アクション、又は段階、又はステップが、或る「モード」又は「動作モード(operation mode)」又は「動作のモード」又は「動作モード(operational mode)」において実行されてもよい。用語「モード」はまた、「制御モード」として示される場合もある。このことは、システム、又は装置、又はデバイスがまた、別の制御モード、又は複数の他の制御モードを提供するように適合されてもよいことを排除するものではない。同様に、このことは、モードを実行する前に、及び/又はモードを実行した後に、1つ以上の他のモードが実行されてもよいことを排除し得ない。
【0059】
しかしながら、実施形態では、少なくとも制御モードを提供するように適合されている制御システムが、利用可能であってもよい。他のモードが利用可能である場合には、そのようなモードの選択は、特に、ユーザインタフェースを介して実行されてもよいが、センサ信号又は(時間)スキームに応じてモードを実行することのような、他のオプションもまた可能であり得る。動作モードは、実施形態ではまた、単一の動作モード(すなわち、更なる調整可能性を有さない、「オン」)でのみ動作することが可能な、システム、又は装置、又はデバイスを指す場合もある。
【0060】
それゆえ、実施形態では、制御システムは、ユーザインタフェースの入力信号、(センサの)センサ信号、及びタイマーのうちの1つ以上に応じて制御してもよい。用語「タイマー」とは、クロック及び/又は所定の時間スキームを指す場合がある。
【0061】
また更なる実施形態では、本システムは、ユーザインタフェース、時間デバイス、及びセンサから成る群から選択される、入力デバイスを更に備えてもよく、制御システムは特に、入力デバイスの信号に応答して、システム光のスペクトルパワー分布を制御するように構成されてもよい。
【0062】
光生成システムは、第3の光生成デバイスを更に備える。
【0063】
第3の光生成デバイスは、第3の主波長λd3を有する第3の光源光を生成するように構成されている、第3の光源を含む。第3の光源は特に、LEDなどの固体光源を含む。第3の主波長λd3は、第1の主波長λd1よりも小さく、λd1-λd3≧10nmである。それゆえ、第1の光源と第3の光源とは特に、異なるビンのものである。
【0064】
第3の光源は、実施形態では、可視光、特に青色光を生成するように構成されてもよい。それゆえ、実施形態では、第3の光源は特に、少なくとも430nmなどの、430~470nmの範囲から選択される(しかしながら、少なくとも第1の主波長λd1(上記を参照)よりも小さい)第3の主波長λd3を有する、第1の光源光を生成するように構成されてもよい。特定の実施形態では、λd3≦465nmである。
【0065】
あるいは、又は更に、第3の光源は、実施形態では、更に短い(主)波長を有する光を生成するように構成されてもよい。それゆえ、実施形態では、第3の光源は特に、380~430nmの範囲から選択される第3の主波長λd3を有する、第1の光源光を生成するように構成されてもよい。
【0066】
第3の光生成デバイスは、第3の光源光の少なくとも一部を第3のルミネッセンス材料光に変換するように構成されている、第3のルミネッセンス材料を更に含む。それゆえ、第3の光源光の少なくとも一部は、変換されないままであってもよく、第3のデバイス光の一部であってもよい。それゆえ、第3のデバイス光は、第3のルミネッセンス材料光及びオプションとして第3の光源光を含む。上述のように、2つの主要な実施形態が存在し得る。第1の実施形態では、第3の光源は、青色光を生成するように構成されてもよい。そのような実施形態では、第3の光源光の一部を第3のルミネッセンス材料光に変換するために、1種以上のルミネッセンス材料が使用されてもよい。第2の実施形態では、第3の光源は、430~470nmの(青色)波長範囲よりも低い主波長を有する、光源光を生成するように構成されてもよい。そのような実施形態では、特に光源光は、ルミネッセンス材料光に完全に変換されてもよい。それゆえ、そのような第3の実施形態では、第3の光生成デバイスは特に、2種以上の異なるルミネッセンス材料を含んでもよい。
【0067】
用語「第3の光源」はまた、本質的に同じビンからの固体光源などの、複数の本質的に同じ第3の光源を指す場合もある。用語「第3の光源」はまた、複数の異なる第3の光源を指す場合もあるが、全て本明細書で示されている条件に従うものとする。用語「第3のルミネッセンス材料」はまた、複数の異なるルミネッセンス材料を指す場合もある。
【0068】
特に、第3のデバイス光は、白色光である。
【0069】
更には、第3のデバイス光は、第3の色点を有する。特に、実施形態では、色点は、(2℃MFを使用して)u'に関して0.22~0.30、かつv'に関して0.46~0.54の範囲から選択される。より特定的には、実施形態では、色点は、(2℃MFを使用して)u'に関して0.23~0.29、かつv'に関して0.47~0.53の範囲から選択される。第3のデバイス光に関しては、2℃MF又は10℃MFでの色点は、実質的に同じであると考えられる。それゆえ、実施形態では、色点は、(10℃MFを使用して)u'に関して0.22~0.30、かつv'に関して0.46~0.54の範囲から選択される。より特定的には、実施形態では、色点は、(10℃MFを使用して)u'に関して0.23~0.29、かつv'に関して0.47~0.53の範囲から選択される。
【0070】
2℃MFに基づく色点を想定すると、u'(第2のデバイス光のu'の色座標)は、u'(第3のデバイス光の色座標)よりも小さい。特に、u'-u'≧0.01、特にu'-u'≧0.02、更により特定的にはu'-u'≧0.03である。更には、2℃MFに基づく色点を想定すると、v'(第2のデバイス光のv'の色座標)は、v'(第3のデバイス光の色座標)よりも小さくてもよい。特に、v'-v'≧0.01、特にv'-v'≧0.02、更により特定的にはv'-v'≧0.03である。また更なる特定の実施形態では、以下のうちの1つ以上(特に双方)が適用される:u'-u'≧0.04、及びv'-v'≧0.04。
【0071】
更には、デバイス光は、第3の相関色温度Tc3を有する。特に、実施形態では、第3の相関色温度Tc3は、2000~4000Kの範囲から選択され、例えば、最大約3400Kなどの、2700~3500の範囲から特に選択される。
【0072】
特に、Tc2-Tc3≧700K、更により特定的にはTc2-Tc3≧800K、また更により特定的にはTc2-Tc3≧1000Kである。また更には、特定の実施形態では、Tc2-Tc3≧1300Kである。上述のように、相関色温度は特に、2℃MFに基づいて定義される。
【0073】
それゆえ、第3の光生成デバイスは、温白色光生成デバイスとして示されてもよい。
【0074】
上記から導き出すことができるように、実施形態では、第1の光源光のスペクトルパワー分布と第3の光源光のスペクトルパワー分布とは異なる。
【0075】
それゆえ、実施形態では、光生成システムは、1つ以上の第1の光生成デバイス、1つ以上の第2の光生成デバイス、及び1つ以上の第3の光生成デバイスを備えてもよく、(システム光に寄与し得る)更なるタイプの光生成デバイスを備えなくてもよい。それゆえ、そのような実施形態では、システム光は、第1のデバイス光、第2のデバイス光、及び第3のデバイス光から本質的に成るものであってもよい。しかしながら、特定の実施形態では、光生成システムは、システム光を制御するように構成されているシステム(上記もまた参照)を、更に備えてもよい。そのような実施形態では、例えば、第1の光生成デバイス、第2の光生成デバイス、及び第3の光生成デバイスへの電力を(例えば、個別に)制御することによって、システム光のスペクトルパワー分布を制御することが可能であり得る。それゆえ、そのような実施形態では、システム光は、第1のデバイス光、第2のデバイス光、及び第3のデバイス光のうちの1つ以上から本質的に成るものであってもよい。
【0076】
以降では、いくつかの更なる実施形態が説明される。
【0077】
特定の実施形態では、第1の光源光は、470~490nmの範囲から選択される第1の主波長λd1を有し、第2の光源光は、390~470nmの範囲から選択される第2の主波長λd2を有し、第3の光源光は、390~470nmの範囲から選択される第3の主波長λd3を有する。そのような波長の場合、比較的効率的な方式で、システム光が供給され得る。
【0078】
用語「光源」とは、発光ダイオード(light emitting diode;LED)、共振空洞発光ダイオード(resonant cavity light emitting diode;RCLED)、垂直共振器レーザダイオード(vertical cavity laser diode;VCSEL)、端面発光レーザなどの、半導体発光デバイスを指す場合がある。用語「光源」はまた、パッシブマトリックス(passive-matrix organic light-emitting diode;PMOLED)又はアクティブマトリックス(active-matrix organic light-emitting diode;AMOLED)などの、有機発光ダイオードを指す場合もある。特定の実施形態では、光源は、固体光源(LED又はレーザダイオードなど)を含む。一実施形態では、光源は、LED(発光ダイオード)を含む。LEDという用語はまた、複数のLEDを指す場合もある。更には、用語「光源」は、実施形態ではまた、いわゆるチップオンボード(chips-on-board;COB)光源を指す場合もある。用語「COB」は特に、封入も接続もされることなく、PCBなどの基板上に直接、取り付けられる、半導体チップの形態のLEDチップを指す。それゆえ、複数の半導体光源が、同じ基板上に構成されてもよい。実施形態では、COBは、単一の照明モジュールとして一体に構成されている、マルチLEDチップである。用語「光源」はまた、2~2000個の固体光源などの、複数の(本質的に同一の(又は異なる))光源に関する場合もある。実施形態では、光源は、LEDなどの、単一の固体光源の下流の、又は複数の固体光源の下流の(すなわち、例えば、複数のLEDによって共有されている)、1つ以上のマイクロ光学要素(マイクロレンズのアレイ)を含んでもよい。実施形態では、光源は、オンチップ光学素子を有するLEDを含み得る。実施形態では、光源は、(実施形態では、オンチップビームステアリングを提供する)(光学素子を有する、又は有さない)画素化された単一のLEDを含む。
【0079】
語句「異なる光源」又は「複数の異なる光源」、及び同様の語句は、実施形態では、少なくとも2つの異なるビンから選択されている複数の固体光源を指す場合がある。同様に、語句「同一の光源」又は「複数の同じ光源」、及び同様の語句は、実施形態では、同じビンから選択されている複数の固体光源を指す場合がある。
【0080】
特定の実施形態では、ルミネッセンス材料(210、220、230)は、それぞれ蛍光体を含み、各蛍光体は、少なくとも25nmの半値全幅をそれぞれが有する、発光を供給するように構成されている。例えば、第1のルミネッセンス材料、第2のルミネッセンス材料、及び第3のルミネッセンス材料のうちの1つ以上は、量子ドットを含み得る。
【0081】
他の実施形態では、第2のルミネッセンス材料及び/又は第3のルミネッセンス材料は、少なくとも40nmの半値全幅を有するルミネッセンス材料光(221、231)を供給するように構成されている、蛍光体を含む。それゆえ、実施形態では、第2のルミネッセンス材料光は、少なくとも40nmのFWHMを有し得る。あるいは、又は更に、実施形態では、第3のルミネッセンス材料光は、少なくとも40nmのFWHMを有し得る。
【0082】
実施形態では、第2のルミネッセンス材料は、セリウム含有ガーネットタイプのルミネッセンス材料、及び二価ユーロピウム系窒化物材料のうちの1つ以上を含む。特に、双方とも第2のルミネッセンス材料によって含まれてもよい。あるいは、又は更に、実施形態では、第3のルミネッセンス材料は、セリウム含有ガーネットタイプのルミネッセンス材料、及び二価ユーロピウム系窒化物材料のうちの1つ以上を含む。特に、双方とも第3のルミネッセンス材料によって含まれてもよい。また更なる実施形態では、第3のルミネッセンス材料は、Mn4+をベースとした狭帯域赤色発光蛍光体を(追加的に)含み得る。
【0083】
本明細書でルミネッセンス材料が適用される場合、ルミネッセンス材料は特に、上記の実施形態では白色発光固体光源などの、光源の下流に構成される。それゆえ実施形態では、光源は、ルミネッセンス材料の上流に構成されてもよく、ルミネッセンス材料は、光源光の少なくとも一部を変換するように構成されている。用語「上流」及び「下流」は、光生成手段(本明細書では特に、光源)からの光の伝搬に対する、物品又は特徴部の配置に関するものであり、光生成手段からの光ビーム内での第1の位置に対して、光ビーム内の、光生成手段により近い第2の位置が「上流」であり、光ビーム内の、光生成手段からより遠く離れた第3の位置が「下流」である。
【0084】
緑色、黄色、橙色、及び/又は赤色発光ルミネッセンス材料に関しては、例えば、活性剤又は活性種を有する無機ルミネッセンス材料が適用されてもよい。関連する活性種は、例えば、Eu2+又はCe3+であってもよい。他の活性種は、量子ドットであってもよい。更に他の活性種は、有機ルミネッセンス染料であってもよい。
【0085】
実施形態では、ルミネッセンス材料は、特に三価セリウム又は二価ユーロピウムでそれぞれドープされている、ガーネット及び窒化物から選択されてもよい。ガーネットの実施形態は、特に、A12ガーネットを含み、Aは、少なくともイットリウム又はルテチウムを含み、かつBは、少なくともアルミニウムを含む。そのようなガーネットは、セリウム(Ce)で、プラセオジム(Pr)で、又は、セリウムとプラセオジムとの組み合わせでドープされてもよいが、しかしながら、特にCeでドープされてもよい。特に、Bは、アルミニウム(Al)を含むが、Bはまた、ガリウム(Ga)、スカンジウム(Sc)及び/又はインジウム(In)も、部分的に、特に最大でAlの約20%、より特定的には最大でAlの約10%含んでもよい(すなわち、Bイオンは、90モル%以上のAlと、10モル%以下のGa、Sc、及びInのうちの1つ以上とから本質的に成る)。Bは特に、最大で約10%のガリウムを含んでもよい。別の変形形態では、B及びOは、Si及びNによって少なくとも部分的に置換されてもよい。元素Aは、特に、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、及びルテチウム(Lu)から成る群から選択されてもよい。更には、Gd及び/又はTbは特に、最大でAの約20%の量でのみ存在する。特定の実施形態では、ガーネットルミネッセンス材料は、(Y1-xLu12:Ceを含み、xは、0以上かつ1以下である。
【0086】
用語「:Ce」は、ルミネッセンス材料中の金属イオンの一部(すなわち、ガーネットでは、「A」イオンの一部)が、Ceによって置換されていることを示す。例えば、(Y1-xLuAl12:Ceの場合、Y及び/又はLuの一部が、Ceによって置換されている。このことは、当業者には既知である。Ceは、一般に10%以下でAを置換することになり、一般に、Ce濃度は、(Aに対して)0.1~4%、特に0.1~2%の範囲となる。1%のCe及び10%のYを想定すると、完全な正しい式は、(Y0.1Lu0.89Ce0.01Al12とすることが可能である。
【0087】
ガーネット中のCeは、当業者には既知であるように、実質的に三価の状態であるか、又は三価の状態のみである。
【0088】
実施形態では、赤色ルミネッセンス材料は、(Ba,Sr,Ca)S:Eu、(Ba,Sr,Ca)AlSiN:Eu、及び(Ba,Sr,Ca)Si:Euから成る群から選択される、1種以上の材料を含んでもよい。これらの化合物中、ユーロピウム(Eu)は、実質的に二価であるか、又は二価のみであり、示されている二価カチオンのうちの1つ以上を置換する。一般に、Euは、カチオンの10%よりも多い量では存在することがなく、その存在は、特に、置換するカチオンに対して、約0.5~10%の範囲、より特定的には、約0.5~5%の範囲となる。用語「:Eu」は、金属イオンの一部が、Euによって(これらの例ではEu2+によって)置換されていることを示す。例えば、CaAlSiN:Eu中、2%のEuを想定すると、正しい式は、(Ca0.98Eu0.02)AlSiNとすることが可能である。二価ユーロピウムは、一般に、上記の二価アルカリ土類カチオン、特にCa、Sr、又はBaなどの、二価カチオンを置換することになる。
【0089】
材料(Ba,Sr,Ca)S:Euは、MS:Euとしても示すことができ、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)から成る群から選択される、1種以上の元素であり、特に、Mは、この化合物において、カルシウム若しくはストロンチウム、又はカルシウム及びストロンチウム、より特定的にはカルシウムを含む。ここで、Euが導入され、M(すなわち、Ba、Sr、及びCaのうちの1つ以上)の少なくとも一部を置換する。
【0090】
更には、材料(Ba,Sr,Ca)Si:Euはまた、MSi:Euとしても示すことができ、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)から成る群から選択される、1種以上の元素であり、特に、Mは、この化合物において、Sr及び/又はBaを含む。更なる特定の実施形態では、Mは、Sr及び/又はBaから成り(Euの存在を考慮せず)、Ba1.5Sr0.5Si:Eu(すなわち、75%のBa;25%のSr)などの、特に50~100%、より特定的には50~90%のBaと、50~0%、特に50~10%のSrとから成る。ここで、Euが導入され、M、すなわち、Ba、Sr、及びCaのうちの1つ以上)の少なくとも一部を置換する。
【0091】
同様に、材料(Ba,Sr,Ca)AlSiN:Euはまた、MAlSiN:Euとしても示されることができ、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)から成る群から選択される、1種以上の元素であり、特に、Mは、この化合物において、カルシウム若しくはストロンチウム、又はカルシウム及びストロンチウム、より特定的にはカルシウムを含む。ここで、Euが導入され、M(すなわち、Ba、Sr、及びCaのうちの1つ以上)の少なくとも一部を置換する。
【0092】
上述のルミネッセンス材料中のEuは、当業者には既知であるように、実質的に二価の状態であるか、又は二価の状態のみである。
【0093】
ガーネットタイプのルミネッセンス材料は特に、第2のルミネッセンス材料及び/又は第3のルミネッセンス材料として適用されてもよい。
【0094】
用語「ルミネッセンス材料」は、本明細書では特に、無機ルミネッセンス材料に関し、これはまた、蛍光体として示される場合もある。これらの用語は、当業者には既知である。
【0095】
用語「ルミネッセンス材料」とは特に、第1の放射線、特にUV放射線及び青色放射線のうちの1つ以上を、第2の放射線に変換することが可能な材料を指す。一般に、第1の放射線と第2の放射線とは、異なるスペクトルパワー分布を有する。それゆえ、用語「ルミネッセンス材料」の代わりに、用語「ルミネッセンス変換器」又は「変換器」もまた、適用されてもよい。一般に、第2の放射線は、第1の放射線よりも大きい波長におけるスペクトルパワー分布を有しており、これは、いわゆる下方変換の場合である。しかしながら、特定の実施形態では、第2の放射線は、第1の放射線よりも小さい波長において強度を有する、スペクトルパワー分布を有しており、これは、いわゆる上方変換の場合である。実施形態では、「ルミネッセンス材料」とは特に、放射線を、例えば可視光及び/又は赤外光に変換することが可能な材料を指す場合がある。例えば、実施形態では、ルミネッセンス材料は、UV放射線及び青色放射線のうちの1つ以上を、可視光に変換することが可能であってもよい。ルミネッセンス材料は、特定の実施形態ではまた、放射線を赤外放射線(infrared radiation;IR)に変換してもよい。それゆえ、放射線で励起されると、ルミネッセンス材料は、放射線を放出する。一般に、ルミネッセンス材料は、下方変換器であり、すなわち、より小さい波長の放射線が、より大きい波長を有する放射線に変換されるが(λex<λem)、特定の実施形態では、ルミネッセンス材料は、下方変換器ルミネッセンス材料を含んでもよく、すなわち、より大きい波長の放射線が、より小さい波長を有する放射線に変換される(λex>λem)。実施形態では、用語「ルミネッセンス」は、リン光を指す場合がある。実施形態では、用語「ルミネッセンス」はまた、蛍光を指す場合もある。用語「ルミネッセンス」の代わりに、用語「発光」もまた適用されてもよい。それゆえ、用語「第1の放射線」及び「第2の放射線」は、それぞれ、励起放射線及び発光(放射線)を指す場合がある。同様に、用語「ルミネッセンス材料」は、実施形態では、リン光及び/又は蛍光を指す場合がある。用語「ルミネッセンス材料」はまた、複数の異なるルミネッセンス材料を指す場合もある。
【0096】
上述のように、特定の実施形態では、光生成システムは更に、第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを制御するように構成されている制御システムを、オプションとして備えてもよい。本システムはまた、第3の光生成デバイスも含んでもよいため、特定の実施形態では、光生成システムは、第1の光生成デバイス、第2の光生成デバイス、及び第3の光生成デバイスを制御するように構成されている、制御システムを更に備えてもよい。特に、実施形態では、制御システムは、第1の光生成デバイス、第2の光生成デバイス、及び第3の光生成デバイスのうちの2つ以上を、個別に制御するように構成されてもよい。このようにして、スペクトルパワー分布が制御されることができると同時に、MDER値が制御されてもよい。
【0097】
更には、本ソリューションの場合、シアンベースの光源と第2の光生成デバイスとの色差が、実質的に取り除かれるが、これは、双方が、(10℃MFを使用して)本質的に同じ色点を有するデバイス光を実質的に放出し得るためである。それゆえ、本発明はまた、第1の光生成デバイスと第2の光生成デバイスとがセットとして制御されるという意味で、簡略化も可能にする。それゆえ、特定の実施形態では、制御システムは、(a)第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを含むセットと、(b)第3の光生成デバイスとを、個別に制御するように構成されてもよい。
【0098】
例えば、このことはまた、第1のストリング内に第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスを配置して、第2のストリング内に第3の光生成デバイスを配置することも可能にし得る。
【0099】
それゆえ、光生成システムは、(i)1つ以上の第1の光生成デバイス及び1つ以上の第2の光生成デバイスを含む、第1のLEDストリングと、(ii)1つ以上の第3の光生成デバイスを含む、第2のLEDストリングとを備える。
【0100】
上述のように、特に光源(10、20、30)は、固体光源を含む。
【0101】
特に、実施形態では、第1の光生成デバイスの数n1に第2の光生成デバイスの数n2を加えたものは、第3の光生成デバイスの数n3と本質的に同じであってもよい。それゆえ、特定の実施形態では、(n1+n2)/n3=1である。その場合、第1のストリング内の、第1の光生成デバイスの数n1に第2の光生成デバイスの数n2を加えたものは、例えば用途のタイプに応じて選択されてもよい。特に、実施形態では、(a)第1の光生成デバイスの数n1と(b)第2の光生成デバイスの数n2との比は、0.05≦n1/n2≦20であるが、他の値もまた可能であり得る。
【0102】
特定の実施形態では、用語「第1のストリング」はまた、電気的に並列に配置されている複数の第1のストリングを指す場合もある点に留意されたい。特定の実施形態では、用語「第2のストリング」もまた、電気的に並列に配置されている複数の第2のストリングを指す場合がある点に留意されたい。
【0103】
本発明の場合、比較的高いMDERを有するシステム光が供給されてもよい。更には、このシステム光は、白色LEDとシアンLEDとの色差が問題となり得ない方式で(上記もまた参照)供給されてもよい。
【0104】
MDER値に関しては、光生成システムの動作モードにおいて、システム光は、少なくとも0.45、更により特定的には少なくとも0.65の範囲から選択されるMDER値を有してもよく、ここで、MDERは、
【0105】
【数6】
と規定され、SPD(λ)は、システム光のスペクトルパワー分布であり、m(λ)は、メラノピック感度関数であり、V(λ)は、明所視感度関数である。
【0106】
更には、特定の実施形態では、光生成システムの動作モードにおいて、システム光は、少なくとも80のCRIを有し得る。更には、特定の実施形態では、光生成システムの動作モードにおいて、システム光は、少なくとも50のR9値を有し得る。それゆえ、特定の実施形態では、光生成システムの動作モードにおいて、システム光は、少なくとも0.45のMDER、少なくとも85などの少なくとも80のCRI、及び少なくとも50のR9を有し得る。特に、システム光は、少なくとも0.65のMDERを有し得る。
【0107】
例えば、実施形態では、制御システムは、動作モードにおいて、予め規定されているMDER値を維持しつつ、システム光のスペクトルパワー分布を制御するように構成されてもよい。用語「予め規定されているMDER値」とは、或る値又は値の範囲を指す場合がある。特に、0.65~0.89の範囲などの、0.45~1.3のMDER範囲のサブセットを指す場合がある。1.3よりも大きいMDER値もまた可能であり得るが、これは、より望ましくないCRIをもたらし得る。
【0108】
上述のように、実施形態では、光生成システムは、ユーザインタフェース、時間デバイス、及びセンサから成る群から選択される、入力デバイスを更に備えてもよい。特に、制御システム(上記もまた参照)は、入力デバイスの信号に応答して、システム光のスペクトルパワー分布を制御するように構成されてもよい。例えば、より高い昼光レベルでは、システム光が低減されてもよい。例えば、夕方などの、一日のより遅い時間に、MDER値が低減されてもよい。実施形態では、MDER値は、昼光レベル(及び/又は、時刻)に依存させてもよい。他の実施形態もまた可能であり得る。それゆえ、特に制御システムは、(i)1つ以上の第1の光生成デバイス及び1つ以上の第2の光生成デバイスを含む、第1のLEDストリングと、(ii)1つ以上の第3の光生成デバイスを含む、第2のLEDストリングとを、システムが備える、光生成システムなどの、光生成システムのシステム光のスペクトルパワー分布を制御するように構成されてもよく、例えば、実施形態では、光生成システムは、(i)1つ以上の第1の光生成デバイス及び1つ以上の第2の光生成デバイスを含む、第1のLEDストリングと、(ii)1つ以上の第3の光生成デバイスを含む、第2のLEDストリングとを備える。
【0109】
また更なる態様では、本発明は、本明細書で定義されるような光生成システムを備える、ランプ又は照明器具を提供する。照明器具は、ハウジング、光学要素、ルーバーなどを更に備えてもよい。ランプ又は照明器具は、第1の光生成デバイス、第2の光生成デバイス、及びオプションの第3の光生成デバイスを取り囲む、ハウジングを更に備えてもよい。ランプ又は照明器具は、ハウジング内の光窓、又はハウジング開口部を備えてもよく、システム光は、それらを通ってハウジングから抜け出てもよい。
【0110】
光生成システムは、例えば、オフィス照明システム、家庭用アプリケーションシステム、店舗照明システム、家庭用照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバアプリケーションシステム、投影システム、自己点灯ディスプレイシステム、画素化ディスプレイシステム、セグメント化ディスプレイシステム、警告標識システム、医療用照明アプリケーションシステム、インジケータ標識システム、装飾用照明システム、ポータブルシステム、自動車用アプリケーション、(屋外)道路照明システム、都市照明システム、温室照明システム、園芸用照明、デジタル投影、又はLCDバックライトの一部であってもよく、若しくは、それらに適用されてもよい。
【0111】
用語「青色光」又は「青色発光」は、特に、約440~495nmの範囲の波長を有する(ある程度の紫色及びシアン色の色相を含む)光に関連する。用語「緑色光」又は「緑色発光」は、特に、約495~570nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「黄色光」又は「黄色発光」は、特に、約570~590nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「橙色光」又は「橙色発光」は、特に、約590~620nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「赤色光」又は「赤色発光」は、特に、約620~780nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「ピンク色光」又は「ピンク色発光」は、青色成分及び赤色成分を有する光を指す。
【0112】
用語「可視」、「可視光」、又は「可視発光」、及び同様の用語は、約380~780nmの範囲の1つ以上の波長を有する光を指す。
【図面の簡単な説明】
【0113】
ここで、本発明の実施形態が、添付の概略図面を参照して例としてのみ説明され、図面中、対応する参照記号は、対応する部分を示す。
図1】第1のデバイス光111、第2のデバイス光121、及び第3のデバイス光131の実施形態の、スペクトルパワー分布(正規化されたもの)を示す。
図2】LEDの2つのストリングを備える、光生成デバイスの一実施形態を概略的に示す。
図3】ストリングのうちの一方における、異なる数の第1の光生成デバイス及び第2の光生成デバイスの関数としての、スペクトルパワー分布のシフトを示す。
図4】シェーディングが、冷白色チャネル内のシアン-赤色LEDの数(横軸)及びシアン-赤色LEDの基準条件における光束(左縦軸)の関数としての、パワーバランス照明器具(4400ルーメン、LOR=0.9、4000K)の効率を示している、計算の結果を示し、下部のラベルは、シアン-赤色LED内で使用されている、対応する赤色蛍光体を示している(表1を参照)。白い点は、CRIが80を超える状況を表している。データラベルは、メラノピックDER、CRI、及びR9を示している。
図5a】いくつかの実施形態を概略的に示す。
図5b】いくつかの実施形態を概略的に示す。
図5c】いくつかの実施形態を概略的に示す。
図5d】いくつかの実施形態を概略的に示す。
図6】相対的なメラノピック関数(m)(すなわち、m(λ))とV(λ)ヒトの眼の感度関数とを示す。
図7】2°及び10°の等色関数(CIE S 014-1/E:2006から導き出されるものなど)を示す。 概略図面は、必ずしも縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0114】
実施形態では、直接シアンエミッタは、シアン励起蛍光体変換LEDによって置き換えられてもよい。冷白色の色点(例えば、6500K)を生成するために、シアンと赤色蛍光体との組み合わせが使用されることができる。その場合、これらのLEDは、2チャネル調整可能システムにおいて使用されてもよい。例えば、システムは、一方のストリング内の温白色LED、並びに、第2のストリング内のシアン励起LEDと冷白色LEDとの組み合わせを使用してもよい。特に、冷白色LEDの色点とシアン励起LEDの色点とは、本質的に同一であってもよい。2つの冷白色LEDは、スペクトル的に極めて異なっており(図1を参照)、その結果、例えば、>60のCRI差をもたらす。しかしながら、色点は本質的に同じであり得るため、それらをオン状態で見た場合、それらは同じように見える可能性があり、レンズと組み合わされた場合であっても、色の影をもたらし得ない。シアン強化型ストリング内の双方のタイプのLEDが、本質的に同一の色点を有し得るため、最終スペクトル内のシアン成分を調整する自由度が、より大きくなり得る(例えば、0~12個のLEDは、色の不均一性の問題を伴うことなく1つずつ変更されることができる(図2図3を参照))。必ずしも12個のLEDが適用されるとは限らない点に留意されたい。他の数もまた可能であり得る。
【0115】
図1を参照すると、実施形態では、第1の光源光11は、470~490nmの範囲から選択される第1の主波長λd1を有し得る。更には、第2の光源光21は、390~470nmの範囲から選択される第2の主波長λd2を有し得る。更には、第3の光源光31は、390~470nmの範囲から選択される第3の主波長λd3を有し得る。また図示のように、これらの実施形態では、ルミネッセンス材料のそれぞれは、少なくとも25nmの半値全幅を有する発光を供給するようにそれぞれが構成されている、蛍光体を含む。特定の実施形態では、第2のルミネッセンス材料及び第3のルミネッセンス材料は、少なくとも40nmの半値全幅を有するルミネッセンス材料光221、231を供給するように構成されている、蛍光体を含む。第3のルミネッセンス材料は、Mn4+をベースとした狭帯域赤色発光蛍光体を含み得る。しかしながら、第2のルミネッセンス材料もまた、Mn4+をベースとした狭帯域赤色発光蛍光体を含み得る。更には、特定の実施形態では、第1のルミネッセンス材料もまた、Mn4+をベースとした狭帯域赤色発光蛍光体を含み得る。しかしながら、実施形態では、第1のルミネッセンス材料、第2のルミネッセンス材料、及び第3のルミネッセンス材料は、少なくとも2つの異なる材料組成を有し得る。このことは、異なる重量比及び/又は異なるタイプのルミネッセンス材料に関連し得る。
【0116】
図2は、ストリングの可能な組み合わせの一実施形態を概略的に示す。
【0117】
特定の実施形態では、図2もまた参照すると、光生成システム1000は、(i)1つ以上の第1の光生成デバイス110及び1つ以上の第2の光生成デバイス120を含む、第1のLEDストリング2100と、(ii)1つ以上の第3の光生成デバイス130を含む、第2のLEDストリング2200とを備えてもよく、光源は固体光源を含む。実施形態では、ストリングのうちの一方において、第1の光生成デバイス110の数n1と第2の光生成デバイス120の数n2との、0.05≦n1/n2≦20の比が存在し得る。これらの実施形態では、双方のストリングが、k個の光生成デバイスを有する。それゆえ、この実施形態では、k-n1=n2個の、第2の光生成デバイス120がある。第2のストリング2200は、k個の第3の光生成デバイス130を有する。
【0118】
調整可能システムの性能が、種々のLEDの組み合わせを使用して計算された。これらの場合に使用される温白色LEDは、CRI>90、及び3000KのCCTを有する。図3は、同じLEDタイプ(すなわち、光生成デバイス110用の、シアンDWL-赤色蛍光体の1つの組み合わせ(図1もまた参照))に関する、種々のn1/n2に関して達成可能な種々のスペクトルを示す。
【0119】
シアンDWL(dominant wavelength;主波長)と赤色蛍光体とのいくつかの組み合わせが、計算に使用された。シアンLEDのDWL、及び赤色蛍光体の厚さ、すなわち変換の程度の選択は、BBL上の6500Kの点(ここでは、10℃MFを使用して定義されるもの)付近に留まるために、赤色蛍光体の選択に合わせて調節された。
【0120】
いくつかの異なるLED組み合わせの性能が、特に、シアン強化型6500KのLEDを、それぞれ、486、487、及び489nmのシアンDWLと、611、620、628、及び639nmの赤色蛍光体PPとの、シアンDWL-赤色蛍光体の種々の組み合わせによって作製して、上述の方法で評価された。ここで、DWLは主波長を示し、PPはピーク位置を示す。とりわけ、5000KにおいてCRI>80及びメラノピックDER>1を有するシステムが実現可能であり、4200KにおいてCRI>80及び~0.9のMDERを有するシステムが実現可能であると考えられる。
【0121】
種々のオプションの性能が計算された。より長いDWLのシアンLEDを使用する場合、BBLを目標とするためには、より深い赤色の蛍光体を必要とし得る。原理的には、より長波長のシアンLEDが、より良好にメラノピック刺激曲線に適合する。「白色」光を目標とするためには、より多くの赤色光を生成する必要があるため、シアン-赤色スペクトルにおけるシアン光の量は、著しく減少する点に留意されたい。これらの種々のシアンLEDが、調整可能システムにおいて使用された。冷白色ストリング(全長=12)内のシアン-赤色LEDのCCT及び数の関数としての、効率が計算された。シアンLED内の赤色蛍光体のピーク波長が短いほど、システムの効率は(予想通り)良好である。驚くべきことに、システムのMDERは、シアン-赤色蛍光体の組み合わせの選択には実質的に依存しない(図4)。メラノピックDERに関しては、シアン-赤色LEDの選択は、さほど重要ではあり得ず、システム効率に関しては、最も短い可能な赤色蛍光体(及び、より短いDWLのシアンLED)を選択することが最も良好である。
【0122】
それゆえ、第2のチャネルとして、同じ色を有するシアン励起LEDと青色励起LEDとを組み合わせることにより、大きい調整範囲を有する調整可能システムを生成することが可能となり得る。
【0123】
図4では、シェーディングは、冷白色チャネル内のシアン-赤色LEDの数N(縦軸)及びシアン-赤色LEDの基準条件における光束(F)(上横軸)の関数としての、パワーバランス照明器具(4400ルーメン、LOR=0.9、4000K)の効率を示しており、下部のラベルは、以下の表に示されるような、シアン-赤色LED内で使用されている、対応する赤色蛍光体を示している。左から右に、ピーク位置が低下する。白い点は、CRIが80を超える状況を表している。データラベルは、メラノピックDER、CRI、及びR9を示している。
【0124】
【表1】
【0125】
CRI>80の要件に関しては確実に、対象とするCCT領域(3000~5000K)において、最大MDER値は、シアンDWL-赤色蛍光体の全ての組み合わせで達成されることができる。しかしながら、LED効率は異なる。480nm-611nmの組み合わせが、最も高い効率をもたらし得る。
【0126】
10℃MFを使用して色点を合致させることがより良好である点が、知覚試験から学習された。
【0127】
とりわけ、本発明はまた、静的な高メラノピック刺激用の光源に関しても使用されることができる。その場合、シアン励起白色LEDの色点は、この静的ソリューション用の白色LEDと同じ色点が目標とされるべきであり、ほぼ確実に、約4000Kである可能性が高い。
【0128】
とりわけ、本発明はまた、温白色LEDのストリング(ストリング1)と、(青色励起)冷白色LEDと組み合わされたシアン励起LEDから成る第2のストリングとを組み合わせることによって、調整可能なメラノピック刺激、すなわち、高CCTにおける高MDERと、低CCTにおける低/通常MDERとを有する、白色光源も提供し、(a)冷白色ストリング内の2つのLEDの色点は、本質的に同一であり、(b)ストリング当たりのシアン励起LEDの数は、特定の実施形態では、例えば、>0かつ<8であってもよい。更には、特に(c)シアン励起LEDと冷白色LEDとのCRIの差は、>60である。
【0129】
図5aは、システム光1001を生成するように構成されている、光生成システム1000の一実施形態を概略的に示す。光生成システム1000は、第1の光生成デバイス110及び第2の光生成デバイス120を備える。
【0130】
第1の光生成デバイス110は、第1のデバイス光111を生成するように構成されている。第1の光生成デバイス110は、(例えば、470~500nmの範囲から選択される)第1の主波長λd1を有する第1の光源光11を生成するように構成されている、第1の光源10と、第1の光源光11の一部を第1のルミネッセンス材料光211に変換するように構成されている、第1のルミネッセンス材料210とを含む。
【0131】
第1のデバイス光111は、第1の光源光11及び第1のルミネッセンス材料光211を含む。
【0132】
特に、第1のデバイス光111は、白色光であってもよい。更には、第1のデバイス光111は、第1の色点を有する。また更には、第1のデバイス光111は、第1の相関色温度Tc1を有し得る。
【0133】
第1の光生成デバイスは特に、冷白色を供給するシアンPC LEDであってもよい。
【0134】
第2の光生成デバイス120は、第2のデバイス光121を生成するように構成されている。第2の光生成デバイス120は、第2の主波長λd2を有する第2の光源光21を生成するように構成されている、第2の光源20と、第2の光源光21の少なくとも一部を第2のルミネッセンス材料光221に変換するように構成されている、第2のルミネッセンス材料220とを含む。第2のデバイス光121は、第2のルミネッセンス材料光221及びオプションとして第2の光源光21を含む。
【0135】
特に、第2のデバイス光121は、白色光であってもよい。第2のデバイス光121は、第2の色点を有する。第2のデバイス光121は、第2の相関色温度Tc2を有し得る。
【0136】
特に、λd1-λd2≧10nmである。実施形態では、λd2≦465nmである。
【0137】
図1でもまた示されるように、第1の光源光11のスペクトルパワー分布と第2の光源光21のスペクトルパワー分布とは異なる。
【0138】
特に、第1の色点と第2の色点とは、特にCIE S 014-1/E:2006による10°の等色関数(表2を参照)を使用して、u'に関して最大で0.03、かつ/又はv'に関して最大で0.03、例えば、u'に関して最大で0.01、かつ/又はv'に関して最大で0.01異なる。
【0139】
第2の光生成デバイスは特に、冷白色光を供給するように構成されている、青色固体光源(励起)を有するPC LEDを含む。
【0140】
実施形態では、図1もまた参照すると、第1の主波長λd1は、478~484nmの範囲から選択される。実施形態では、図1もまた参照すると、第1のルミネッセンス材料210は、第1の光源光11の一部を、575~638nmの範囲から選択される第1のルミネッセンス材料主波長λdL1を有する、第1のルミネッセンス材料光211に変換するように構成されている。
【0141】
照明システム光1001は、動作モードにおいて、特に、第1のデバイス光111及び第2のデバイス光121の双方を含んでもよい。それゆえ、照明システム光1001は、動作モードにおいて、特に、第1の光源光11、第1のルミネッセンス材料光211、第2の光源光21、及び第2のルミネッセンス材料光221を含んでもよい。
【0142】
図5bは、第3の光生成デバイス130を更に備える、光生成システム1000の一実施形態を概略的に示す。
【0143】
第3の光生成デバイス130は、第3のデバイス光131を生成するように構成されている。第3の光生成デバイス130は、第3の主波長λd3を有する第3の光源光31を生成するように構成されている、第3の光源30と、第3の光源光31の少なくとも一部を第3のルミネッセンス材料光231に変換するように構成されている、第3のルミネッセンス材料230とを含む。
【0144】
第3のデバイス光131は、第3のルミネッセンス材料光231及びオプションとして第3の光源光31を含む。
【0145】
第3のデバイス光131は、白色光であってもよい。第3のデバイス光131は、第3の色点を有する。第3のデバイス光131は、第3の相関色温度Tc3を有し得る。
【0146】
特に、実施形態では、λd1-λd3≧10nmである。特定の実施形態では、λd3≦465nmである。
【0147】
図1でもまた見られ得るように、第1の光源光11のスペクトルパワー分布と第3の光源光31のスペクトルパワー分布とは異なる。
【0148】
特に、システム光1001は、第1のデバイス光111、第2のデバイス光121、及び第3のデバイス光131のうちの1つ以上を含む。
【0149】
照明システム光1001は、動作モードにおいて、特に、第1のデバイス光111、第2のデバイス光121、及び第3のデバイス光131の全てを含んでもよい。それゆえ、照明システム光1001は、動作モードにおいて、特に、第1の光源光11、第1のルミネッセンス材料光211、第2の光源光21、第2のルミネッセンス材料光221、第3の光源光31、及び第3のルミネッセンス材料光231を含んでもよい。しかしながら、他の実施形態もまた可能であり得る。
【0150】
特定の実施形態では、Tc2-Tc3≧1000Kである。
【0151】
第3の光生成デバイスは特に、温白色光を供給するように構成されている、青色固体光源(励起)を有するPC LEDを含む。
【0152】
図5cで概略的に示されるように、光生成システム1000は、第1の光生成デバイス110、第2の光生成デバイス120、及びオプションの第3の光生成デバイス130を制御するように構成されている、制御システム300を更に備えてもよい。
【0153】
実施形態では、制御システム300は、(a)第1の光生成デバイス110及び第2の光生成デバイス120を含むセットと、(b)第3の光生成デバイス130とを、個別に制御するように構成されてもよく、図2もまた参照されたい。
【0154】
光生成システム1000は、ユーザインタフェース351、時間デバイス352、及び1つ以上のセンサ353から成る群から選択される、入力デバイス350を更に備えてもよい。
【0155】
制御システムは特に、入力デバイス350の信号に応答して、システム光1001のスペクトルパワー分布を制御するように構成されてもよい。
【0156】
図5dは、光生成システム1000を備える、ランプ1(実施形態I)又は照明器具2(実施形態II)の実施形態を概略的に示す。実施形態IIでは、参照符号Lは、ルーバーを示している。しかしながら、他の実施形態もまた、当然ながら可能であり得る。
【0157】
図6は、ヒトの眼の、相対的なメラノピック関数(m)(すなわち、m(λ))と明所視の感度関数(V(λ))とを示す。メラノピック関数に関する最大感度は、490nmにおけるものであり、半値全幅の値は、447nm及び531nmにおけるものであり、ヒトの眼のメラノピック関数と明所視の感度関数とに関する、添付の表もまた参照されたい。
【0158】
【表2】
【0159】
図7は、2°及び10°の等色関数(CIE S 014-1/E:2006から導き出されるものなど)を示す。
【0160】
用語「複数」は、2つ以上を指す。
【0161】
本明細書の用語「実質的に(substantially)」又は「本質的に(essentially)」、及び同様の用語は、当業者には理解されるであろう。用語「実質的に」又は「本質的に」はまた、「全体的に(entirely)」、「完全に(completely)」、「全て(all)」などを伴う実施形態も含み得る。それゆえ、実施形態では、実質的に又は本質的にという形容詞はまた、削除される場合もある。適用可能な場合、用語「実質的に」又は用語「本質的に」はまた、95%以上、特に99%以上、更により特定的には99.5%以上などの、100%を含めた90%以上にも関連し得る。
【0162】
用語「備える(comprise)」は、用語「備える(comprises)」が「から成る(consists of)」を意味する実施形態もまた含む。
【0163】
用語「及び/又は」は、特に、「及び/又は」の前後で言及された項目のうちの1つ以上に関連する。例えば、語句「項目1及び/又は項目2」、及び同様の語句は、項目1及び項目2のうちの1つ以上に関連する場合もある。用語「含む(comprising)」は、一実施形態では、「から成る(consisting of)」を指す場合もあるが、別の実施形態ではまた、「少なくとも定義されている種、及びオプションとして1つ以上の他の種を包含する」も指す場合がある。
【0164】
更には、明細書本文及び請求項での、第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも、連続的又は時系列的な順序を説明するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明又は図示されるもの以外の、他の順序での動作が可能である点を理解されたい。
【0165】
本明細書では、デバイス、装置、又はシステムは、とりわけ、動作中について説明されてもよい。当業者には明らかとなるように、本発明は、動作の方法、又は動作中のデバイス、装置、若しくはシステムに限定されるものではない。
【0166】
上述の実施形態は、本発明を限定するものではなく、むしろ例示するものであり、当業者は、添付の請求項の範囲から逸脱することなく、多くの代替的実施形態を設計することが可能となる点に留意されたい。
【0167】
請求項では、括弧内のいかなる参照符号も、その請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0168】
動詞「備える、含む(to comprise)」及びその活用形の使用は、請求項に記述されたもの以外の要素又はステップが存在することを排除するものではない。文脈が明らかにそうではないことを必要としない限り、明細書本文及び請求項の全体を通して、単語「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などは、排他的又は網羅的な意味ではなく包括的な意味で、すなわち、「含むが、限定されない」という意味で解釈されたい。
【0169】
要素に先行する冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数のそのような要素が存在することを排除するものではない。
【0170】
本発明は、いくつかの個別要素を含むハードウェアによって、及び、適切にプログラムされたコンピュータによって実施されてもよい。いくつかの手段を列挙する、デバイスの請求項、又は装置の請求項、又はシステムの請求項では、これらの手段のうちのいくつかは、1つの同一のハードウェア物品によって具現化されてもよい。
【0171】
本発明はまた、デバイス、装置、若しくはシステムを制御し得るか、又は、本明細書で説明される方法若しくはプロセスを実行し得る、制御システムも提供する。また更には、本発明はまた、デバイス、装置、若しくはシステムに機能的に結合されているか、又は、デバイス、装置、若しくはシステムによって含まれている、コンピュータ上で実行されると、そのようなデバイス、装置、若しくはシステムの1つ以上の制御可能要素を制御する、コンピュータプログラム製品も提供する。
【0172】
本発明は更に、明細書本文で説明される特徴及び/又は添付図面に示される特徴のうちの1つ以上を含む、デバイス、装置、若しくはシステムに適用される。本発明は更に、明細書本文で説明される特徴及び/又は添付図面に示される特徴のうちの1つ以上を含む、方法又はプロセスに関する。
【0173】
本特許で論じられている様々な態様は、更なる利点をもたらすために組み合わされることも可能である。更には、当業者は、実施形態が組み合わされることが可能であり、また、3つ以上の実施形態が組み合わされることも可能である点を理解するであろう。更には、特徴のうちのいくつかは、1つ以上の分割出願のための基礎を形成し得るものである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
【国際調査報告】