(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(54)【発明の名称】鉱坑掘進ロボットの環境監視装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E21C 27/06 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
E21C27/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564818
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-17
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 CN2022072309
(87)【国際公開番号】W WO2022161197
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】202110125404.3
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518431602
【氏名又は名称】中国砿業大学
【氏名又は名称原語表記】CHINA UNIVERSITY OF MINING AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.1,Daxue Road,Tongshan,Xuzhou,Jiangsu,221116,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】許 少毅
(72)【発明者】
【氏名】朱 真才
(72)【発明者】
【氏名】李 威
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ 文庭
(72)【発明者】
【氏名】沈 剛
(72)【発明者】
【氏名】劉 送永
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼ 方方
(72)【発明者】
【氏名】江 紅祥
(72)【発明者】
【氏名】司 ▲レイ▼
【テーマコード(参考)】
2D065
【Fターム(参考)】
2D065AA02
2D065BA08
2D065BA11
2D065DB16
(57)【要約】
鉱坑掘進ロボットの環境監視装置であって、該装置は、電流励起源(1)、掘進機の伸縮保護スリーブ(2)、電気回転装置(3)、補助カット歯(4)、カットヘッド部(5)、伝動軸(6)、光ファイバコイルシェル(7)、光ファイバコイル(8)、光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)、及び回収電極(10)からなり、補助電流I
eと監視電流I
dを炭層に放電し、補助電流I
eと監視電流I
dが同源電流であって互いに適合しないので、補助電流I
eが監視電流I
dを押え、それによって監視電流I
dを集束させて前方の炭層に対して環境監視を行い、カットヘッド部(5)から放電される電流は一部が炭層に流れて監視電流I
dとなり、一部が伝動軸(6)及び掘進機伸縮部を流れてリターン電流I
fとなり、光ファイバコイル(8)はリターン電流I
fを測定する。掘進機が前へ掘進するときに水湧出、泥湧出などの異常な地質体に遭遇した場合、炭層の抵抗が変化し、測定されたリターン電流I
fが変わり、このように、前方の地質の状況をリアルタイムで検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱坑掘進ロボットの環境監視装置であって、
電流励起源(1)、掘進機、電気回転装置(3)、光ファイバコイル(8)、光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)、及び回収電極(10)を含み、
前記電気回転装置(3)は固定部材(31)と回転部材(32)を含み、前記固定部材(31)は、固定部材側ケーブル(311)と、ブラシ(312)と、固定ベース(313)と、を含み、前記固定ベース(313)は固定部材(31)の本体であり、リング状構造とされ、前記固定部材側ケーブル(311)は固定ベース(313)の一側面に接続され、前記ブラシ(312)は環状構造とされ、固定ベース(313)の外周面に溶接され、
前記回転部材(32)は、ブラシスロット(321)と、母線盤(322)と、放電リード(323)と、補助リード(324)と、回転ベース(325)とを含み、前記回転ベース(325)は回転部材(32)の本体であり、リング状構造とされ、回転ベース(325)の内面にブラシスロット(321)が凹設され、前記母線盤(322)は環状構造とされ、回転ベース(325)と母線盤(322)は同軸でネスト接続され、
前記放電リード(323)は2本あり、母線盤(322)の一側面に対称に接続され、前記補助リード(324)は4本あり、母線盤(322)の一側面に2つずつ対称に接続され、放電リード(323)及び補助リード(324)は同一側面に接続され、固定部材(31)のブラシ(312)は回転部材(32)のブラシスロット(321)内に嵌設され、前記固定部材(31)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に嵌設、固定され、
前記光ファイバコイル(8)は一端に反射膜(81)が貼り付けられ、他端から光ファイバピグテール(82)が引き出され、
前記電流励起源(1)は固定部材側ケーブル(311)を介して固定部材(31)に接続され、前記補助リード(324)は掘進機の補助カット歯(4)に接続され、前記放電リード(323)は掘進機のカットヘッド部(5)に接続され、前記光ファイバコイル(8)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に巻き付けられ、光ファイバコイル(8)から引き出される光ファイバピグテール(82)は光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)に接続され、
前記回収電極(10)は掘進機の後方からNm離れたところで坑道の地盤に打ち込まれ、ケーブルを介して前記電流励起源(1)の負極に接続されることを特徴とする鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項2】
前記光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)は、光源、光学デバイス、信号収集処理ユニットを統合したものであることを特徴とする請求項1に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項3】
前記電流励起源(1)は光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)とともに掘進機の電気制御盤内にパッケージされることを特徴とする請求項1に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項4】
前記固定部材(31)の固定ベース(313)はボルト・ナットによって掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に固定接続されることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項5】
前記光ファイバコイルシェル(7)はボルト・ナットによって掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続されることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項6】
前記回転部材(32)の母線盤(322)はボルト・ナットによってカットヘッド部(5)の内壁に固定接続されることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項7】
前記光ファイバコイルシェル(7)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続され、前記光ファイバコイル(8)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に巻き付けられ、光ファイバコイルシェル(7)内に位置することを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置により実現される環境監視方法であって、
電流励起源(1)が定電流Iを放電するように設定し、定電流Iが固定部材側ケーブル(311)を介して固定ベース(313)に伝搬されてから、ブラシ(312)とブラシスロット(321)の摩擦接触により回転ベース(325)に伝搬され、母線盤(322)によって集電されて補助リード(324)及び放電リード(323)に伝搬され、補助リード(324)及び放電リード(323)により分離されて、補助電流I
eと放電電流I
sとなり、即ち、I=I
e+I
sであり、補助電流I
eは補助リード(324)が接続する補助カット歯(4)を介して炭層に流れ、放電電流I
sは放電リード(323)を介してカットヘッド部(5)に伝搬され、カットヘッド部(5)中の放電電流I
sは監視電流I
dとリターン電流I
fに分けられ、即ち、I
s=I
d+I
fであり、監視電流I
dは炭層に流れ、リターン電流I
fは伝動軸(6)及び掘進機伸縮部を介して電流励起源(1)の負極に戻り、炭層中の補助電流I
e及び監視電流I
dからなる迷走電流I
xは回収電極(10)に戻るステップAと、
放電リード(323)を流れた放電電流I
sの大きさが既知であって一定に保持され、光ファイバコイル(8)はリターン電流I
fによる外部磁界の作用により磁気光学結晶のファラデー効果を利用して、リターン電流I
fによる磁界強度を得ることで、リターン電流I
fの大きさを算出することができ、掘進ロボットが最初に前へ掘進するときに、前方に異常な地質体がなく、このときに測定されたリターン電流I
fを基準値として、I
f0とするステップBと、
掘進ロボットが前へ掘進し続けると、リターン電流I
fの値をリアルタイムで監視し、リアルタイムで監視されたリターン電流I
fの値がI
f0未満である場合、監視電流I
dの値が大きくなり、即ち、前方の炭層の抵抗が小さくなり、前方の炭層に水の低抵抗体が含まれると判断し、リアルタイムで監視されたリターン電流I
fの値がI
f0よりも大きい場合、監視電流I
dの値が小さくなり、即ち、前方の炭層の抵抗が大きくなり、前方の炭層に断層の高抵抗体が含まれると判断し、このようにして、掘進前方の環境を監視することを実現するステップCと、を含むことを特徴とする環境監視方法。
【請求項9】
前記電流励起源(1)は定電流電源であり、出力電流の大きさが0~1000mAであることを特徴とする請求項8に記載の環境監視方法。
【請求項10】
前記放電リード(323)からの放電電流I
sの大きさが一定であり、300mA以上であることを特徴とする請求項8又は9に記載の環境監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石炭鉱坑監視の技術分野に属し、特に鉱坑掘進ロボットの環境監視装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭資源は中国の最も重要なエネルギー資源であり、石炭採掘の過程で、坑道の掘進は特に重要な一環であるが、断層、無炭柱、湧水などの不良な地質条件により、坑道掘進工事の施工条件が複雑で、坑道掘進環境が悪く、坑道掘進作業区域では事故がよく発生する。
【0003】
中国のスマート化鉱山に対する建設要求に応えるため、進化しつつある掘進装備や監視技術のサポートの下で、炭鉱の安全な採掘に対する要求は絶えず高まっており、多くの施工者の人身の安全を保障するため、炭鉱坑道掘進における劣悪な環境に適用し、構造が簡単で、設置が便利で、使用しやすく、干渉に強く、監視精度が高い環境監視装置及び方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、構造が簡単で、ケーブル及び光ファイバの配線の問題を解決することができ、電磁干渉に強く、前方の地質に対してリアルタイムかつ高精度で環境監視を行うことができる鉱坑掘進ロボットの環境監視装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明が採用する技術的解決手段は以下のとおりである。鉱坑掘進ロボットの環境監視装置は、電流励起源(1)、掘進機、電気回転装置(3)、光ファイバコイル(8)、光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)、及び回収電極(10)を含み、
前記電気回転装置(3)は固定部材(31)と回転部材(32)を含み、前記固定部材(31)は、固定部材側ケーブル(311)と、ブラシ(312)と、固定ベース(313)と、を含み、前記固定ベース(313)は固定部材(31)の本体であり、リング状構造とされ、前記固定部材側ケーブル(311)は固定ベース(313)の一側面に接続され、前記ブラシ(312)は環状構造とされ、固定ベース(313)の外周面に溶接され、
前記回転部材(32)は、ブラシスロット(321)と、母線盤(322)と、放電リード(323)と、補助リード(324)と、回転ベース(325)と、を含み、前記回転ベース(325)は回転部材(32)の本体であり、リング状構造とされ、回転ベース(325)の内面にブラシスロット(321)が凹設され、前記母線盤(322)は環状構造とされ、回転ベース(325)と母線盤(322)は同軸でネスト接続され、
前記放電リード(323)は2本あり、母線盤(322)の一側面に対称に接続され、前記補助リード(324)は4本あり、母線盤(322)の一側面に2つずつ対称に接続され、放電リード(323)及び補助リード(324)は同一側面に接続され、固定部材(31)のブラシ(312)は回転部材(32)のブラシスロット(321)内に嵌設され、前記固定部材(31)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に嵌設、固定され、
前記光ファイバコイル(8)は一端に反射膜(81)が貼り付けられ、他端から光ファイバピグテール(82)が引き出され、
前記電流励起源(1)は固定部材側ケーブル(311)を介して固定部材(31)に接続され、前記補助リード(324)は掘進機の補助カット歯(4)に接続され、前記放電リード(323)は掘進機のカットヘッド部(5)に接続され、前記光ファイバコイル(8)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に巻き付けられ、光ファイバコイル(8)から引き出される光ファイバピグテール(82)は光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)に接続され、
前記回収電極(10)は掘進機の後方からNm離れたところで坑道の地盤に打ち込まれ、ケーブルを介して前記電流励起源(1)の負極に接続される。光ファイバコイル(8)はリターン電流Ifによる外部磁界の作用により磁気光学結晶のファラデー効果を利用して、リターン電流Ifによる磁界強度を得ることが可能となることで、伝動軸(6)及び掘進機伸縮部を流れたリターン電流Ifの大きさを算出することができる。
【0006】
好ましくは、前記回収電極(10)は掘進機の後方から300m離れたところで坑道の地盤に打ち込まれ、ケーブルを介して前記電流励起源(1)の負極に接続される。
【0007】
好ましくは、前記光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)は、光源、光学デバイス、信号収集処理ユニットを統合したものである。
【0008】
好ましくは、前記電流励起源(1)は光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)とともに掘進機の電気制御盤内にパッケージされる。
【0009】
好ましくは、前記固定部材(31)の固定ベース(313)はボルト・ナットによって掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に固定接続される。
【0010】
好ましくは、前記光ファイバコイルシェル(7)はボルト・ナットによって掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続される。
【0011】
好ましくは、前記回転部材(32)の母線盤(322)はボルト・ナットによってカットヘッド部(5)の内壁に固定接続される。
【0012】
好ましくは、前記光ファイバコイルシェル(7)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続され、前記光ファイバコイル(8)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に巻き付けられ、光ファイバコイルシェル(7)内に位置する。
【0013】
本発明はさらに、
電流励起源(1)は定電流Iを放電し、定電流Iが固定部材側ケーブル(311)を介して固定ベース(313)に伝搬されてから、ブラシ(312)とブラシスロット(321)の摩擦接触により回転ベース(325)に伝搬され、母線盤(322)によって集電されて補助リード(324)及び放電リード(323)に伝搬され、補助リード(324)及び放電リード(323)により分離されて、補助電流Ieと放電電流Isとなり、即ち、I=Ie+Isであり、補助電流Ieは補助リード(324)が接続する補助カット歯(4)を介して炭層に流れ、放電電流Isは放電リード(323)を介してカットヘッド部(5)に伝搬され、カットヘッド部(5)中の放電電流Isは監視電流Idとリターン電流Ifに分けられ、即ち、Is=Id+Ifであり、監視電流Idは炭層に流れ、リターン電流Ifは伝動軸(6)及び掘進機伸縮部を介して電流励起源(1)の負極に戻り、炭層中の補助電流Ie及び監視電流Idからなる迷走電流Ixは回収電極(10)に戻るステップAと、
放電リード(323)を流れた放電電流Isの大きさが既知であって一定に保持され、光ファイバコイル(8)はリターン電流Ifによる外部磁界の作用により磁気光学結晶のファラデー効果を利用して、リターン電流Ifによる磁界強度を得ることが可能となることで、リターン電流Ifの大きさを算出することができ、掘進ロボットが最初に前へ掘進するときに、前方に異常な地質体がなく、このときに測定されたリターン電流Ifを基準値として、If0とするステップBと、
掘進ロボットが前へ掘進し続けると、リターン電流Ifの値をリアルタイムで監視し、リアルタイムで監視されたリターン電流Ifの値がIf0未満である場合、監視電流Idの値が大きくなり、即ち、前方の炭層の抵抗が小さくなり、前方の炭層に水の低抵抗体が含まれると判断し、リアルタイムで監視されたリターン電流Ifの値がIf0よりも大きい場合、監視電流Idの値が小さくなり、即ち、前方の炭層の抵抗が大きくなり、前方の炭層に断層の高抵抗体が含まれると判断し、このようにして、掘進前方の環境を監視することを実現するステップCと、を含むことを特徴とする鉱坑掘進ロボットの環境監視装置により実現される環境監視方法を提案している。
【0014】
好ましくは、前記固定部材(31)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続されて固定が維持され、前記回転部材(32)はカットヘッド部(5)とともに回転する。
【0015】
好ましくは、前記補助電流Ieと前記監視電流Idは互いに適合しない同源電流であるので、補助カット歯(4)からの補助電流Ieは監視電流Idを抑える。
【0016】
好ましくは、前記補助電流Ieと前記監視電流Idの大きさの割合を調整することにより、真前、左前方、右前方に対する環境監視を実現することができる。
【0017】
好ましくは、前記電流励起源(1)は定電流電源であり、出力電流の大きさが0~1000mAである。
【0018】
好ましくは、前記放電リード(323)からの放電電流Isの大きさが一定であり、300mA以上である。
【0019】
好ましくは、前記光ファイバコイル(8)は振動に低感度の回転高複屈折光ファイバであり、リターン電流Ifの大きさを測定する。
【発明の効果】
【0020】
有益な技術的効果
従来技術に比べて、本発明の技術的解決手段は以下の有益な効果を有する。
本発明は、鉱坑リフト装置に適用される大口径電気回転装置を提案しており、固定部材が固定され、回転部材がカットヘッド部とともに回転することによって、ケーブル及び光ファイバの配線の問題を効果的に解決することができる。本発明では、光ファイバコイルによって伝動軸及び掘進機伸縮部に流れるリターン電流Ifを測定することによって、様々な地質条件での炭層の抵抗の測定を簡単かつ効率的に実現する。本発明は電磁干渉に強く、前方の地質に対してリアルタイムかつ高精度で環境監視を行うことができるという利点がある。該方法は、構造が簡単で、ケーブル及び光ファイバの配線の問題を解決することができ、電磁干渉に強く、前方の地質に対してリアルタイムかつ高精度で環境監視を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明で使用される環境監視装置全体の配置の概略図である。
【
図2】本発明で使用される環境監視装置の部分概略図である。
【
図5】本発明の環境監視装置の坑道における作業の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面及び特定実施例を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
【0023】
本発明は鉱坑掘進ロボットの環境監視装置及び方法を提供し、
図1、
図2、
図3、
図4、
図5に示すように、該装置は、電流励起源1、掘進機、電気回転装置3、光ファイバコイルシェル7、光ファイバコイル8、光ファイバ電流センサ制御ユニット9、及び回収電極10を含む。
【0024】
本発明は鉱坑掘進ロボットの環境監視装置を提案し、該装置は電流励起源(1)、掘進機、電気回転装置(3)、光ファイバコイル(8)、光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)、及び回収電極(10)を含み、
前記電気回転装置(3)は固定部材(31)と回転部材(32)を含み、前記固定部材(31)は、固定部材側ケーブル(311)と、ブラシ(312)と、固定ベース(313)と、を含み、前記固定ベース(313)は固定部材(31)の本体であり、リング状構造とされ、前記固定部材側ケーブル(311)は固定ベース(313)の一側面に接続され、前記ブラシ(312)は環状構造とされ、固定ベース(313)の外周面に溶接され、
前記回転部材(32)は、ブラシスロット(321)、母線盤(322)、放電リード(323)、補助リード(324)、及び回転ベース(325)を含み、前記回転ベース(325)は回転部材(32)の本体であり、リング状構造とされ、回転ベース(325)の内面にブラシスロット(321)が凹設され、前記母線盤(322)は環状構造とされ、回転ベース(325)と母線盤(322)は同軸でネスト接続され、
前記放電リード(323)は2本あり、母線盤(322)の一側面に対称に接続され、前記補助リード(324)は4本あり、母線盤(322)の一側面に2つずつ対称に接続され、放電リード(323)及び補助リード(324)は同一側面に接続され、固定部材(31)のブラシ(312)は回転部材(32)のブラシスロット(321)内に嵌設され、前記固定部材(31)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に嵌設、固定され、
前記光ファイバコイル(8)は一端に反射膜(81)が貼り付けられ、他端から光ファイバピグテール(82)が引き出され、
前記電流励起源(1)は固定部材側ケーブル(311)を介して固定部材(31)に接続され、前記補助リード(324)は掘進機の補助カット歯(4)に接続され、前記放電リード(323)は掘進機のカットヘッド部(5)に接続され、前記光ファイバコイル(8)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に巻き付けられ、光ファイバコイル(8)から引き出される光ファイバピグテール(82)は光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)に接続され、
前記回収電極(10)は掘進機の後方からNm離れたところで坑道地盤に打ち込まれ、ケーブルを介して前記電流励起源(1)の負極に接続される。光ファイバコイル(8)はリターン電流Ifによる外部磁界の作用により磁気光学結晶のファラデー効果を利用して、リターン電流Ifによる磁界強度を得ることが可能となることで、伝動軸(6)及び掘進機伸縮部を流れたリターン電流Ifの大きさを算出することができる。
【0025】
好ましくは、前記回収電極(10)は掘進機の後方から300m離れたところで坑道の地盤に打ち込まれ、ケーブルを介して前記電流励起源(1)の負極に接続される。
【0026】
好ましくは、前記光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)は、光源、光学デバイス、信号収集処理ユニットを統合したものである。
【0027】
好ましくは、前記電流励起源(1)は光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)とともに掘進機の電気制御盤内にパッケージされる。
【0028】
好ましくは、前記固定部材(31)の固定ベース(313)はボルト・ナットによって掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に固定接続される。
【0029】
好ましくは、前記光ファイバコイルシェル(7)はボルト・ナットによって掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続される。
【0030】
好ましくは、前記回転部材(32)の母線盤(322)はボルト・ナットによってカットヘッド部(5)の内壁に固定接続される。
【0031】
好ましくは、前記光ファイバコイルシェル(7)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続され、前記光ファイバコイル(8)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に巻き付けられ、光ファイバコイルシェル(7)内に位置する。
【0032】
本発明はさらに、
電流励起源(1)は定電流Iを放電し、定電流Iが固定部材側ケーブル(311)を介して固定ベース(313)に伝搬されてから、ブラシ(312)とブラシスロット(321)の摩擦接触により回転ベース(325)に伝搬され、母線盤(322)によって集電されて補助リード(324)及び放電リード(323)に伝搬され、補助リード(324)及び放電リード(323)により分離されて、補助電流Ieと放電電流Isとなり、即ち、I=Ie+Isであり、補助電流Ieは補助リード(324)が接続する補助カット歯(4)を介して炭層に流れ、放電電流Isは放電リード(323)を介してカットヘッド部(5)に伝搬され、カットヘッド部(5)中の放電電流Isは監視電流Idとリターン電流Ifに分けられ、即ち、Is=Id+Ifであり、監視電流Idは炭層に流れ、リターン電流Ifは伝動軸(6)及び掘進機伸縮部を介して電流励起源(1)の負極に戻り、炭層中の補助電流Ie及び監視電流Idからなる迷走電流Ixは回収電極(10)に戻るステップAと、
放電リード(323)を流れた放電電流Isの大きさが既知であって一定に保持され、光ファイバコイル(8)はリターン電流Ifによる外部磁界の作用により磁気光学結晶のファラデー効果を利用して、リターン電流Ifによる磁界強度を得ることが可能となることで、リターン電流Ifの大きさを算出可能となり、掘進ロボットが最初に前へ掘進するときに、前方に異常な地質体がなく、このときに測定されたリターン電流Ifを基準値として、If0とするステップBと、
掘進ロボットが前へ掘進し続けると、リターン電流Ifの値をリアルタイムで監視し、リアルタイムで監視されたリターン電流Ifの値がIf0未満である場合、監視電流Idの値が大きくなり、即ち、前方の炭層の抵抗が小さくなり、前方の炭層に水の低抵抗体が含まれると判断し、リアルタイムで監視されたリターン電流Ifの値がIf0よりも大きい場合、監視電流Idの値が小さくなり、即ち、前方の炭層の抵抗が大きくなり、前方の炭層に断層の高抵抗体が含まれると判断し、このようにして、掘進前方の環境を監視することを実現するステップCと、を含むことを特徴とする鉱坑掘進ロボットの環境監視装置により実現される環境監視方法を提案している。
【0033】
好ましくは、前記固定部材(31)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続されて固定が維持され、前記回転部材(32)はカットヘッド部(5)とともに回転する。
【0034】
好ましくは、前記補助電流Ieと前記監視電流Idは互いに適合しない同源電流であるので、補助カット歯(4)からの補助電流Ieは監視電流Idを押える。
【0035】
好ましくは、前記補助電流Ieと前記監視電流Idの大きさの割合を調整することにより、真前、左前方、右前方に対する環境監視を実現することができる。
【0036】
好ましくは、前記電流励起源(1)は定電流電源であり、出力電流の大きさが0~1000mAである。
【0037】
好ましくは、前記放電リード(323)からの放電電流Isの大きさが一定であり、300mA以上である。
【0038】
好ましくは、前記光ファイバコイル(8)は振動に低感度の回転高複屈折光ファイバであり、リターン電流Ifの大きさを測定する。
【0039】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を何ら制限するものではなく、当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な労働をせずに得る他の全ての実施例はいずれも本発明の特許範囲に属し、本発明の技術の主旨に基づいて以上の実施例に対して行われる全ての簡単な修正や同等変形はいずれも本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0040】
1、電流励起源、2、掘進機の伸縮保護スリーブ、3、電気回転装置、31、固定部材、311、固定部材側ケーブル、312、ブラシ、313、固定ベース、32、回転部材、321、ブラシスロット、322、母線盤、323、放電リード、324、補助リード、325、回転ベース、4、補助カット歯、5、カットヘッド部、6、伝動軸、7、光ファイバコイルシェル、8、光ファイバコイル、81、反射膜、82、光ファイバピグテール、9、光ファイバ電流センサ制御ユニット、10、回収電極
【手続補正書】
【提出日】2022-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱坑掘進ロボットの環境監視装置であって、
電流励起源(1)、掘進機、電気回転装置(3)、光ファイバコイル(8)、光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)、及び回収電極(10)を含み、
前記電気回転装置(3)は固定部材(31)と回転部材(32)を含み、前記固定部材(31)は、固定部材側ケーブル(311)と、ブラシ(312)と、固定ベース(313)と、を含み、前記固定ベース(313)は固定部材(31)の本体であり、リング状構造とされ、前記固定部材側ケーブル(311)は固定ベース(313)の一側面に接続され、前記ブラシ(312)は環状構造とされ、固定ベース(313)の外周面に溶接され、
前記回転部材(32)は、ブラシスロット(321)と、母線盤(322)と、放電リード(323)と、補助リード(324)と、回転ベース(325)とを含み、前記回転ベース(325)は回転部材(32)の本体であり、リング状構造とされ、回転ベース(325)の内面にブラシスロット(321)が凹設され、前記母線盤(322)は環状構造とされ、回転ベース(325)と母線盤(322)は同軸でネスト接続され、
前記放電リード(323)は2本あり、母線盤(322)の一側面に対称に接続され、前記補助リード(324)は4本あり、母線盤(322)の一側面に2つずつ対称に接続され、放電リード(323)及び補助リード(324)は同一側面に接続され、固定部材(31)のブラシ(312)は回転部材(32)のブラシスロット(321)内に嵌設され、前記固定部材(31)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に嵌設、固定され、
前記光ファイバコイル(8)は一端に反射膜(81)が貼り付けられ、他端から光ファイバピグテール(82)が引き出され、
前記電流励起源(1)は固定部材側ケーブル(311)を介して固定部材(31)に接続され、前記補助リード(324)は掘進機の補助カット歯(4)に接続され、前記放電リード(323)は掘進機のカットヘッド部(5)に接続され、前記光ファイバコイル(8)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に巻き付けられ、光ファイバコイル(8)から引き出される光ファイバピグテール(82)は光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)に接続され、
前記回収電極(10)は掘進機の後方からNm離れたところで坑道の地盤に打ち込まれ、ケーブルを介して前記電流励起源(1)の負極に接続されることを特徴とする鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項2】
前記光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)は、光源、光学デバイス、信号収集処理ユニットを統合したものであることを特徴とする請求項1に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項3】
前記電流励起源(1)は光ファイバ電流センサ制御ユニット(9)とともに掘進機の電気制御盤内にパッケージされることを特徴とする請求項1に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項4】
前記固定部材(31)の固定ベース(313)はボルト・ナットによって掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に固定接続されることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項5】
光ファイバコイルシェル(7)はボルト・ナットによって掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続されることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項6】
前記回転部材(32)の母線盤(322)はボルト・ナットによってカットヘッド部(5)の内壁に固定接続されることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項7】
光ファイバコイルシェル(7)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に接続され、前記光ファイバコイル(8)は掘進機の伸縮保護スリーブ(2)に巻き付けられ、光ファイバコイルシェル(7)内に位置することを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の鉱坑掘進ロボットの環境監視装置により実現される環境監視方法であって、
電流励起源(1)が定電流Iを放電するように設定し、定電流Iが固定部材側ケーブル(311)を介して固定ベース(313)に伝搬されてから、ブラシ(312)とブラシスロット(321)の摩擦接触により回転ベース(325)に伝搬され、母線盤(322)によって集電されて補助リード(324)及び放電リード(323)に伝搬され、補助リード(324)及び放電リード(323)により分離されて、補助電流I
eと放電電流I
sとなり、即ち、I=I
e+I
sであり、補助電流I
eは補助リード(324)が接続する補助カット歯(4)を介して炭層に流れ、放電電流I
sは放電リード(323)を介してカットヘッド部(5)に伝搬され、カットヘッド部(5)中の放電電流I
sは監視電流I
dとリターン電流I
fに分けられ、即ち、I
s=I
d+I
fであり、監視電流I
dは炭層に流れ、リターン電流I
fは伝動軸(6)及び掘進機伸縮部を介して電流励起源(1)の負極に戻り、炭層中の補助電流I
e及び監視電流I
dからなる迷走電流I
xは回収電極(10)に戻るステップAと、
放電リード(323)を流れた放電電流I
sの大きさが既知であって一定に保持され、光ファイバコイル(8)はリターン電流I
fによる外部磁界の作用により磁気光学結晶のファラデー効果を利用して、リターン電流I
fによる磁界強度を得ることで、リターン電流I
fの大きさを算出することができ、掘進ロボットが最初に前へ掘進するときに、前方に異常な地質体がなく、このときに測定されたリターン電流I
fを基準値として、I
f0とするステップBと、
掘進ロボットが前へ掘進し続けると、リターン電流I
fの値をリアルタイムで監視し、リアルタイムで監視されたリターン電流I
fの値がI
f0未満である場合、監視電流I
dの値が大きくなり、即ち、前方の炭層の抵抗が小さくなり、前方の炭層に水の低抵抗体が含まれると判断し、リアルタイムで監視されたリターン電流I
fの値がI
f0よりも大きい場合、監視電流I
dの値が小さくなり、即ち、前方の炭層の抵抗が大きくなり、前方の炭層に断層の高抵抗体が含まれると判断し、このようにして、掘進前方の環境を監視することを実現するステップCと、を含むことを特徴とする環境監視方法。
【請求項9】
前記電流励起源(1)は定電流電源であり、出力電流の大きさが0~1000mAであることを特徴とする請求項8に記載の環境監視方法。
【請求項10】
前記放電リード(323)からの放電電流I
sの大きさが一定であり、300mA以上であることを特徴とする請求項8又は9に記載の環境監視方法。
【国際調査報告】