(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(54)【発明の名称】飲料組成物およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20230418BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230418BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230418BHJP
【FI】
A23L2/00 F
A23L2/00 G
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579318
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2021009940
(87)【国際公開番号】W WO2021177472
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】ファリモンド,ジョナサン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,キャサリン,ダイアン
(72)【発明者】
【氏名】カンチェリエーリ,アリス
(72)【発明者】
【氏名】コープ,クリストファー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ピント,アナ,マルガリーダ
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ウェンディ,ルイーズ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD08
4B018MD27
4B018MD47
4B018MD52
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4B117LP01
(57)【要約】
本発明は、少なくとも600mgのポリフェノール、および少なくとも1gの繊維を含む飲料組成物を提供する。本発明の一態様による飲料組成物は、それを必要とする対象における認知機能を改善する方法、II型糖尿病を管理および/または処置する方法、食後血糖を低減する方法、それを必要とする対象における体重減少を促進するおよび/もしくはボディマス指数を改善する方法、心血管疾患のリスクを低減する方法ならびに/または血糖誘導性インスリン応答に起因する低血糖値のリスクを予防するもしくは低減する方法に使用するためのものであってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも600mgのポリフェノール、および
少なくとも1gの繊維
を含む飲料組成物であって、100Kcal未満である飲料組成物。
【請求項2】
700~2000mgのポリフェノール、好ましくは800~1200mgのポリフェノールを含む、請求項1に記載の飲料組成物。
【請求項3】
前記ポリフェノールの供給源として濃縮果実抽出物を含む、請求項1または請求項2に記載の飲料組成物。
【請求項4】
前記果実抽出物が、1種または複数のアントシアニンに富む果実に由来する、請求項3に記載の飲料組成物。
【請求項5】
前記アントシアニンに富む果実が、カシス、ブラックベリー、ブルーベリーおよびザクロ、またはそれらの2種以上の組合せから選択される、請求項4に記載の飲料組成物。
【請求項6】
前記ポリフェノールがカシスポリフェノールから実質的になる、請求項1~5のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項7】
1.25~3.5gの繊維、好ましくは1.5~2gの繊維を含む、請求項1~6のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項8】
前記繊維の実質的にすべてが天然繊維、好ましくは細胞のパルプである、請求項1~7のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項9】
前記繊維の供給源として柑橘類繊維を含む、請求項1~8のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項10】
前記繊維が柑橘類繊維から実質的になる、請求項1~9のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項11】
即時飲用可能であり、100~1000ml、好ましくは100~750ml、好ましくは150~500ml、好ましくは200~300mlの体積を有する、請求項1~10のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項12】
飲料が5g/100ml未満の糖を含む、請求項11に記載の飲料組成物。
【請求項13】
水による復元時に飲料を形成するための濃縮物として提供される、請求項1~10のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項14】
それを必要とする対象における認知機能を改善する治療方法で使用するための、請求項1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項15】
II型糖尿病を管理および/または処置する方法で使用するための、請求項1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項16】
食後血糖を低減する方法で使用するための、請求項1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項17】
それを必要とする対象において体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善する治療方法で使用するための、請求項1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項18】
心血管疾患のリスクを低減する方法で使用するための、請求項1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項19】
血糖誘導性インスリン応答に起因する低血糖値のリスクを予防するまたは低減する方法で使用するための、請求項1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
【請求項20】
ポリフェノールに富む果実抽出物と天然繊維成分を混合することを含む、請求項1~13のいずれかに記載の飲料組成物を形成する方法。
【請求項21】
対象における認知機能を改善する非治療方法における、請求項1~13のいずれか一項に記載の飲料組成物の使用。
【請求項22】
対象における体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善する非治療方法における、請求項1~13のいずれか一項に記載の飲料組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容および要素がすべての目的で参照により本明細書に組み込まれる、2020年3月6日に出願されたGB2003327.0の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、望ましい満腹感をもたらす飲料組成物および飲料組成物の作製方法に関する。特に、本開示は、ポリフェノールおよび繊維を含む飲料組成物に関する。本開示はさらに、認知機能の改善、II型糖尿病の管理および/または処置、食後血糖の低減、ならびに体重減少の促進のそれぞれにおける飲料組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
消費者は、摂取する食品および飲料からエネルギーを得ることを望む。しかし、消費者は食事および栄養をより意識するようになっているため、自然かつ健康的な食品および飲料を求めている。満腹感ならびに精神的および身体的能力の一時的な向上に対する消費者の必要性を満たすエネルギー源を提供する場合、血糖指数が高い食事およびスナックは、一般的に長続きする効果をもたらさないため、必ずしも適切ではない。カフェインはカロリーベースのエネルギー源に代えて使用されることが多いが、多くの消費者は現在、摂取を制限すべきと考えているため、カフェインを慎重に使用することを望んでいる。
【0004】
様々な固形のビスケットベースのスナック食品が既に市販されており、これらの製品に関する研究から、特定の緩効性のカロリー源を提供することにより、エネルギーを長続きさせ、満腹感を増加させ、かつ空腹感の発現を遅らせることができることが公知である。このような製品は、多数の健康上の利益をもたらすことが予想されるため、その提供が一般的に望まれている。
【0005】
満腹感の増加を達成する1つの方法は、身体によって消化されにくい繊維源を提供することであることが知られている。これにより、胃内容排出が遅延し、摂取後の満足感が高められる。
【発明の開示】
【0006】
(発明の説明)
したがって、本明細書に記載される有益な健康効果を有する代替食品、特に飲料組成物およびその作製方法を提供すること、ならびに/または先行技術に関連する問題の少なくとも一部に取り組むこと、もしくは少なくともそれに対する商業的に実行可能な代替物を提供することが望ましい。
【0007】
第1の態様では、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維を含む飲料組成物が提供される。
【0008】
ここで、本発明をさらに説明する。以下の文章では、本発明の異なる態様がより詳細に定義される。そのように定義された各態様は、反対のことが明確に示されない限り、任意の他の1つまたは複数の態様と組み合わされてもよい。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示された任意の他の1つまたは複数の特徴と組み合わされてもよい。
【0009】
本発明は、飲料組成物に関する。「飲料組成物」は、即座に、または飲料媒体、典型的には水で復元もしくは希釈した後のいずれかで飲料としてヒトの摂取に好適である組成物を意味する。
【0010】
したがって、一実施形態では、飲料組成物は即時飲用可能(レディー・トゥ・ドリンク)であり、100~1000ml、好ましくは100~750ml、好ましくは150~500ml、好ましくは200~300mlの体積を有する。すなわち、100~1000mlの体積を有する即時飲用可能飲料中に、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維が提供される。
【0011】
代替的な実施形態では、飲料組成物は、水との復元時に飲料を形成するための濃縮物として提供される。形成後の飲料の最終体積は、上記で考察された即時飲用可能組成物と同じである。濃縮物の形式は、飲料媒体で希釈するための濃縮液体またはゲル調合物であってもよい。例えば、濃縮物を器に添加し、水を添加した後、または水を含有するベッセルに濃縮物を添加した(例えば、瓶に添加して振盪した)後に飲料が形成されてもよい。濃縮物はまた、凍結乾燥または噴霧乾燥粉末などの粉末であってもよく、同じ方法で復元されてもよい。顕著な量の繊維を懸濁するという課題を考慮すると、組成物が即時飲用可能な調合物または液体濃縮物であることが最も好ましい。
【0012】
ポリフェノール
飲料組成物は、少なくとも600mgのポリフェノールを含む。ポリフェノールは、特定の植物性食品を通して食事に入る場合がある微量栄養素である。ポリフェノールは、多数のフェノール構造単位の存在によって特徴付けられる。これらのフェノール構造の数および特徴は、クラスの特定のメンバーの固有の物理的、化学的および生物学的特性の根底にある。ポリフェノールは、抗酸化能および潜在的な健康上の利益を有することが公知である。ポリフェノールは、以下:消化の問題、体重管理の困難、糖尿病、神経変性疾患および心血管疾患を有する個体の健康を改善する、またはそのリスクを低減することができると考えられる。組成物中のポリフェノールのレベルは、比色アッセイを使用してフォリン・チオカルト試薬で定量することができる。このようなアッセイは当技術分野で周知である。
【0013】
健康的な食事における多くの食品は、果実、野菜、穀物、お茶およびコーヒーなどに由来する天然に存在するフェノールを高レベルで含有する。ブドウ、リンゴ、ナシ、サクランボおよびベリーなどの果実は、新鮮重100グラムあたり最大200~300mgのポリフェノールを含有する。典型的に、1杯の赤ワイン、または1杯の紅茶もしくはコーヒーは、約100mgのポリフェノールを含有する。
【0014】
理解されるように、最大1l、好ましくはそれより少ない飲料中600mgの用量のポリフェノールは、天然のポリフェノール源を摂取することによって達成できるものに比べて高用量のポリフェノールである。カシスは典型的に、新鮮な果実100gあたり約250mgを含有するため、最低必要用量を達成するには、少なくとも250gの果実を摂取する必要がある。好ましくは、飲料組成物は、700~2000mgのポリフェノール、好ましくは800~1200mgのポリフェノールを含む。
【0015】
一実施形態では、飲料組成物中の総ポリフェノールの濃度は、500~10,000ppm、600~8,000ppm、700~7,500ppm、800~7,000ppm、1,000~6,500ppm、1,200~6,000ppm、1,500~5,500ppm、1,800~5,200ppm、2,000~5,000ppm、2,250~4,750ppm、2,500~4,500ppm、600~6,000ppm、800~6,000ppm、1,200~4,000ppm、2,000~3000ppmまたは800~1,200ppmであってもよい。
【0016】
ポリフェノールは、合成的に生成することができる。しかし、好ましくは、飲料組成物はポリフェノールの供給源として濃縮果実抽出物を含む。天然の供給源の使用は、ポリフェノールのより栄養的に多様な選択をもたらし、最終消費者によってより健康的であると考えられ、製品へのクリーンラベルを可能にする(すなわち、人工化学添加物なし)。果実抽出物は、典型的にはポリフェノールから実質的になる。
【0017】
好ましくは、果実抽出物は、1種または複数のアントシアニンに富む果実に由来する。アントシアニンに富む果実は、アントシアニンの含有量に由来する赤、紫、青または黒色を有することによって特徴付けられる。本明細書で使用する場合、アントシアニンに富む果実は、100gあたり少なくとも200mgのポリフェノールを含むものである。好ましいアントシアニンに富む果実は、カシス、ブラックベリー、ブルーベリーおよびザクロ、またはそれらの2種以上の組合せから選択される。アントシアニンに富む果実がカシスを含むか、またはカシスから実質的になることが最も好ましい。
【0018】
好ましくは、ポリフェノールは、カシスポリフェノールから実質的になる。カシスはポリフェノールの豊富な供給源であり、ポリフェノールの豊富な供給源を得るために容易に処理および濃縮することができる。ポリフェノールは、カシス(および他のアントシアニンに富む果実)の皮に存在することが多いため、ポリフェノールは、望ましくは果実からジュースを得た後にプロセス副産物として得ることができる。つまり、ポリフェノールは、そうでなければ廃棄物とみなされる材料から有用な添加物として得ることができる。
【0019】
好ましくは、果実中のポリフェノールは、多くの割合のアントシアニンを含む。好ましくは、アントシアニンのプロファイルは、4種のアントシアニン:デルフィニジンおよびシアニジンの3-O-グルコシドおよび3-O-ルチノシドを含む(またはそれから実質的になる)。一実施形態では、アントシアニンのプロファイルは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の4種のアントシアニンを含んでもよい。
【0020】
一実施形態では、ポリフェノールを含有する果実抽出物は、果実全体、果実の一部および/または果実の搾りかすから得ることができる。果実の一部は、果肉、パルプ、ピール、フラベドおよび/またはアルベドであってもよい。
【0021】
繊維
飲料組成物は、少なくとも1gの繊維を含む。存在する繊維は、食物繊維としても公知である。食物繊維は、ヒトの消化酵素によって完全に分解できない、植物由来の食品の部分である。繊維は2つの主要成分を有する:1)水に溶解する水溶性繊維は、大腸で容易に発酵し、ガスおよび腸内細菌によって大腸で生成される短鎖脂肪酸などの生理活性副生成物になる。粘性であり、プレバイオティクス繊維と呼ばれる場合があり、胃内容排出を遅延させ、それによりヒトにおいて長期間の満足感をもたらすことができる。2)水に溶解しない不溶性繊維は、上部消化管の消化酵素に対して不活性であり、増量をもたらす。食物繊維は、セルロース、難消化性スターチ、難消化性デキストリン、イヌリン、リグニン、キチン、ペクチン、ベータ-グルカン、オリゴ糖などの非デンプン多糖類および他の植物成分からなる。好ましくは、飲料組成物は、1.25~3.5gの繊維、好ましくは1.5~2gの繊維を含む。組成物中の繊維のレベルは、AOAC 991.43に従って定量化することができる。そのような試験手法は、当技術分野で周知である。
【0022】
理解されるように、1gの繊維は、飲料に存在するには顕著な量である。繊維の豊富な供給源であるパルプ含有オレンジジュースは、典型的におよそ0.2g/100mlの繊維を含む。したがって、特に本明細書で意図されるより少量の飲料の場合、繊維の投与量が特に高いことが分かる。食品中の繊維レベルを評価するための技術は、当技術分野で周知である。
【0023】
一実施形態では、飲料組成物中の繊維の濃度は、0.5~20g/L、1.0~19g/L、1.5~18g/L、2.0~17g/L、2.5~16g/L、3.0~15g/L、3.5~14g/L、4.0~13g/L、4.5~12g/L、5.0~11g/L、5.0~10g/L、1.0~10g/L、1.3~10g/L、2.0~6.7g/L、または3.3~5.0g/Lであってもよい。
【0024】
好ましくは、繊維の実質的にすべてが天然繊維である。好ましくは、繊維は細胞のパルプとして提供される(ここで、パルプは潰された果実の塊として定義される)。好ましくは、組成物は、繊維の供給源として柑橘類繊維を含むか、またはそれから実質的になる。柑橘類繊維の場合、繊維の大部分は、パルプ構造の細胞壁によって提供される。好適な柑橘類源として、レモン、ライム、オレンジおよびグレープフルーツ製品、ならびにそれらの2種以上のブレンドが挙げられる。
【0025】
柑橘類繊維は、風味に不快な影響を与えることなく、かつ粘着性またはクリーム状の口当たりをもたらすことなく所望の量で提供することができるため、特に好ましい。消費者は、柑橘類パルプを含有する飲料の感覚に馴染みがある。いくつかの他の繊維源は、飲料の渋みおよび/またはゲル化を伴う場合があることに留意されたい。
【0026】
一実施形態では、繊維は、果実全体、果実の一部および/または果実の搾りかすから得ることができる。果実の一部は、果肉、パルプ、皮、ピール、フラベドおよび/またはアルベドであってもよい。好ましくは、繊維は、果実のパルプから得ることができる。
【0027】
一実施形態では、飲料組成物は、市販の繊維を含有してもよい。例えば、Cargill Incorporated製Unipectin-100、Unipectin-300およびUnipectin-900、ならびにDoehler製Citrus Pectinを、本発明の一実施形態による飲料組成物に使用することができる。
【0028】
カロリー
好ましくは、飲料組成物は、100Kcal未満である(100Kcal未満を含む)。上述のように、オレンジジュースは、典型的におよそ0.2g/100mlの繊維を含む。しかし、これはまた、100mlあたりおよそ8gの糖および100mlあたり約45kcalを伴う。したがって、100kcal未満でありながら少なくとも1gの繊維を提供することは、任意の典型的な果汁飲料とは全く異なる。
【0029】
代替的に、飲料組成物は、100Kcal以下であってもよい。好ましい実施形態では、飲料組成物は、95Kcal未満、90Kcal未満、85Kcal未満、80Kcal未満、75Kcal未満、70Kcal未満、65Kcal未満、60Kcal未満、55Kcal未満、50Kcal未満、45Kcal未満または40Kcal未満を含む。好ましい実施形態では、飲料組成物は、100Kcal/100ml未満、95Kcal/100ml未満、90Kcal/100ml未満、85Kcal/100ml未満、80Kcal/100ml未満、75Kcal/100ml未満、70Kcal/100ml未満、65Kcal/100ml未満、60Kcal/100ml未満、55Kcal/100ml未満、50Kcal/100ml未満、45Kcal/100ml未満または40Kcal/100ml未満を含む。他の実施形態では、飲料組成物は、10~100Kcal/100ml、15~95Kcal/100ml、20~90Kcal/100ml、25~85Kcal/100ml、30~80Kcal/100ml、35~75Kcal/100ml、40~70Kcal/100ml、5~50Kcal/100ml、6~45Kcal/100ml、7~40Kcal/100ml、8~35Kcal/100ml、9~30Kcal/100mlまたは10~25Kcal/100mlである。
【0030】
好ましくは、飲料組成物から得られる飲料は、特に飲料組成物が即時飲用可能組成物である場合、5g/100ml未満の糖を含む。飲料中に糖を提供することにより、観察される食後血糖低減の利益が補助される。しかし、糖は、一般に付随する食事またはスナックによって提供されることが好ましい。したがって、飲料組成物は、低い糖含量を有することが望ましい。
【0031】
好ましくは、飲料組成物は、繊維(柑橘類繊維抽出物として提供される)、ポリフェノール(濃縮果実抽出物として提供される)とともに、任意の添加甘味料(糖を含む)ならびに香味料(ならびに濃縮物および即時飲用可能形式で提供される場合は水)から実質的になる。必要に応じて、安定剤およびpH調節剤などの他の従来の成分が少量で存在してもよい。
【0032】
最も好ましい飲料組成物は、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維、例えば800~1200mgのポリフェノールおよび1~2gの繊維を含み、好ましくは45Kcal未満であり、約200mlの体積を有する用量として提供される即時飲用可能な飲料組成物である。すなわち、推奨される一回分の分量は200mlである。より小さいサイズの用量では、繊維のレベルによって過度にパルプの多い飲料がもたらされる可能性がある。
【0033】
最も好ましい飲料組成物は、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維、例えば800~1200mgのポリフェノールおよび1~2gの繊維を含み、好ましくは45Kcal未満であり、約250mlの体積を有する用量として提供される即時飲用可能な飲料組成物である。すなわち、推奨される一回分の分量は250mlである。
【0034】
最も好ましい飲料組成物は、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維、例えば800~1200mgのポリフェノールおよび1~2gの繊維を含み、好ましくは45Kcal未満であり、約300mlの体積を有する用量として提供される即時飲用可能な飲料組成物である。すなわち、推奨される一回分の分量は300mlである。
【0035】
最も好ましい飲料組成物は、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維、例えば800~1200mgのポリフェノールおよび1~2gの繊維を含み、好ましくは45Kcal未満であり、約330mlの体積を有する用量として提供される即時飲用可能な飲料組成物である。すなわち、推奨される一回分の分量は330mlである。
【0036】
最も好ましい飲料組成物は、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維、例えば800~1200mgのポリフェノールおよび1~2gの繊維を含み、好ましくは45Kcal未満であり、約500mlの体積を有する用量として提供される即時飲用可能な飲料組成物である。すなわち、推奨される一回分の分量は500mlである。
【0037】
最も好ましい飲料組成物は、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維、例えば800~1200mgのポリフェノールおよび1~2gの繊維を含み、好ましくは45Kcal未満であり、約750mlの体積を有する用量として提供される即時飲用可能な飲料組成物である。すなわち、推奨される一回分の分量は750mlである。
【0038】
最も好ましい飲料組成物は、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維、例えば800~1200mgのポリフェノールおよび1~2gの繊維を含み、好ましくは45Kcal未満であり、約1000mlの体積を有する用量として提供される即時飲用可能な飲料組成物である。すなわち、推奨される一回分の分量は1000mlである。大きな用量サイズでは、繊維を懸濁し続けることが困難になり、また用量それ自体が、多くの消費者が摂取を希望するより大きくなる可能性がある。
【0039】
最も好ましい飲料組成物は、600~6,000ppmのポリフェノールおよび1.0~10g/Lの繊維、好ましくは1,200~4,000ppmのポリフェノールまたは800~1,200ppmのポリフェノールおよび1.3~10g/Lの繊維を含み、好ましくは1~50Kcal/100ml、好ましくは1~30Kcal/100mlである即時飲用可能な組成物である。一回分の分量は、50ml~1,000ml、好ましくは100ml~800ml、より好ましくは200ml~500mlまたは600ml~750mlであってもよい。一回分は、少なくとも600mgのポリフェノール、好ましくは700~2000mgのポリフェノール、より好ましくは800~1200mgのポリフェノールを含有してもよい。1つの容器に一回分より多くが含有されてもよい。例えば、飲料組成物の一回分の分量が200mlであり、1つの容器が1,000mlの飲料組成物を含有する場合、容器によって5回分を提供することができる。あるいは、一回分の分量が1つより多くの容器によって構成されてもよい。例えば、一回分の分量が200mlの場合、50mlの瓶4本または100mlの瓶2本で一回分の分量を構成してもよい。一般に、消費者は、丸ごと1本の飲料から飲料組成物の利益を得ることを予想するが、利益を得るために必要な一回分の分量(またはポーションサイズ)がパックサイズとは異なる場合がある。一回分の分量がパックサイズと異なる場合、一回分の分量は、例えばラベル、販促資料、または添付の情報リーフレットに表示されてもよい。
【0040】
本発明者らは、ポリフェノールと繊維の相乗混合物を提供することにより、本明細書に記載される多くの有益な健康効果を得ることができることを今般発見した。特に、理論に束縛されることを望まないが、繊維は満足感を高める一方、ポリフェノールは糖の取り込み速度を低下させる役割を果たすと考えられる。組合せで、これらは消費者にエネルギーの遅延放出をもたらす。このような利益を飲料組成物の形態で達成できることは特に驚くべきことであり、これはそのような飲料で達成可能な固形物(すなわち非水成分)のレベルが非常に厳しく制限されているためである。すなわち、例えば増粘により飲料が明らかに不味くなる前に、飲料に導入できる繊維および他の添加物の量には限界がある。例えば、多量の繊維を含有する飲料は、ほとんど固形物のように極端に濃くなる、またはゲル状、塊状もしくはペースト状の食感を有する傾向がある。しかし、これらの制限にもかかわらず、本発明者らは、観察可能な利益を有する望ましい飲料を生成することができた。
【0041】
本発明者らは、徐放性エネルギーを提供するために繊維を単独で含有させることを検討したが、繊維は、調合物の濃さおよび関連する費用のために、必要な用量で調合することが困難であった。本発明者らは、体内に入るグルコースを減速させるために、ポリフェノールの使用を別途検討した。しかし、ポリフェノールは極めて高価であり、また血糖に影響を与える用量では苦味があった。本発明者らは、2種のブレンドを提供する際に、個々の成分に関連するこれらの欠点を克服する有効な組成物を提供することができた。
【0042】
本発明者らは、スミレ紫色の低カロリー飲料を提供した。パルプは十分な口当たりをもたらし、飲料は甘すぎず、わずかに酸味があり、心地よい果実様の風味を有する。有利なことに、飲料は、完全に天然の果実成分から得られる。
【0043】
高用量のポリフェノールを含有させることは高価であり、苦味のある調合物がもたらされる。驚くべきことに、本発明者らは、特にアントシアニンに富む果実をベースとする場合、ポリフェノールの有効用量は過度に大きくなくてもよいことを見出した。実際、およそ800mgのより少ない用量が、約1600mgのより大きな用量と同様に有効であることが見出された。
【0044】
本発明者らは、カシスとスイートオレンジのポリフェノールを異なる用量で検討した。カシス800mgの有意な効果は、腸におけるグルコース吸収速度と密接に関連する血漿GIP分泌によって強く支持された。食後早期のグルコース濃度の差は、インスリン分泌に軽微な影響を及ぼした。
【0045】
スペイン産のレモンおよびオレンジの搾りかすに由来する水溶性および不溶性食物繊維について試験を行った。これは、それらの特徴を比較し、それらの生物学的機能を推測するためであった。目的は、使用する繊維の有効な画分を特定し、それにより必要とされる繊維の量を低減することであった。レモン繊維は、考慮された他の繊維源のものより高い濃度で好適な粘度を維持することが見出された。
【0046】
次に、カシスおよびパルプについて試験を行った。BCおよびパルプは、食後最初の30分におけるグルコース、インスリン、c-ペプチドおよびGIPの上昇をわずかではあるが統計的に有意に抑制する効果を生じることが見出されたが、この効果はパルプのみでは見出されず、BC PPが炭水化物の消化および腸でのグルコース吸収を抑制する可能性があると示唆する以前の知見をさらに支持する。反応時間および認知能力/作業記憶は、BCおよびパルプによって改善されたがパルプでは改善されず、BC PPが認知機能を改善する可能性があることを示唆する。食欲の主観的スコアにも飲用後の食品の摂食量にも差がなく、BC+パルプが次回の食事時のエネルギー補給量を改変する可能性が低いことを示す。新鮮な果実およそ100gと同等のBC PPのより低い用量は、健康な成人において食後早期の血糖の速度を減速させ、腸吸収を減速させることを示す。
【0047】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物は、それを必要とする対象における認知機能の改善における使用のために提供される。また、本明細書に記載の飲料組成物を対象に投与することにより、認知機能を改善する方法が提供される。認知の改善は、認知機能の一時的な改善の促進、正常な認知機能の維持、および短期または長期のいずれかにおける認知障害のリスクの低減、例えば、加齢による精神機能の低下の可能性の最小化、例えば健康な対象における一時的改善、健康な対象における正常な認知の維持、既存の認知障害を有する対象における急性もしくは慢性的な改善、または異常認知機能の発症のリスクの低減を含んでもよい。
【0048】
一実施形態では、対象における認知機能を改善する非治療方法における、本発明による飲料組成物の使用が提供される。本明細書で使用される場合、「対象における認知機能を改善する非治療方法」は、認知機能の一時的な改善の促進、正常な認知機能の維持、および短期または長期のいずれかにおける認知障害のリスクの低減、例えば、加齢による精神機能の低下の可能性の最小化、例えば健康な対象における一時的改善、健康な対象における正常な認知の維持、健康な対象における敏捷性/覚醒感/精神的能力の維持または増加、ならびに健康な対象における反応時間および眠気の感情の低下を含む。別の実施形態では、それを必要とする対象における認知機能を改善する治療方法で使用するための飲料組成物が提供される。本明細書で使用される場合、「それを必要とする対象における認知機能を改善する治療方法」は、既存の認知障害を有する対象における急性または慢性的な改善、異常認知機能の発症のリスクの低減、アルツハイマー、認知症、軽度認知障害および軽度認知低下、ならびに加齢による認知低下の発症のリスクの低減を含む。
【0049】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物は、II型糖尿病の症状を管理することを含む、II型糖尿病を管理および/または処置する方法で使用するために提供される。さらに、飲料組成物は、II型糖尿病の発症リスクを低減する方法で使用するために提供される。また、本明細書に記載の飲料組成物を対象に投与することにより、II型糖尿病を管理および/または処置する方法が提供される。食後血糖コントロール不良の長期的な低減は、糖尿病の発症リスクの低減と関連する。
【0050】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物は、心血管疾患(CVD)のリスクを低減する方法で使用するために提供される。また、本明細書に記載の飲料組成物を対象に投与することにより、心血管疾患(CVD)のリスクを低減する方法が提供される。
【0051】
一実施形態では、対象における健康な心臓および循環を維持する非治療方法における、本発明による飲料組成物の使用が提供される。別の実施形態では、対象における心血管疾患を処置、予防または治癒するための飲料組成物が提供される。
【0052】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物は、食後血糖を低減する方法で使用するために提供される。また、本明細書に記載の飲料組成物を対象に投与することによって食後血糖を低減する方法が提供される。
【0053】
特に、理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、繊維とポリフェノールの組合せが、グルコースの通過の緩徐化と取り込みの低減の両方によって食後血糖を低減させ、精神的エネルギーの改善、および血糖値を最適未満に低減する望ましくない効果を有し得るインスリンの過剰放出の可能性の低減を含む、多くの有益な健康アウトカムと一致する血液へのグルコースの徐放をもたらすことを見出した。
【0054】
一実施形態では、対象の日常生活に必要な血中の利用可能なエネルギー(カロリー源)および消費者が知覚するエネルギー(精神的および身体的活力の感情ならびに身体的および精神的な実行能力として定義される)を管理する非治療方法における、本発明による飲料組成物の使用が提供される。
【0055】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物は、血糖誘導性インスリン応答に起因する低血糖値のリスクを予防または低減する方法で使用するために提供される。また、本明細書に記載の飲料組成物を対象に投与することにより、血糖誘導性インスリン応答に起因する低血糖値のリスクを予防するまたは低減する方法が提供される。
【0056】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物は、それを必要とする対象における体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数(BMI)を改善する方法で使用するために提供される。また、本明細書に記載の飲料組成物を対象に投与することによって体重減少を促進する方法が提供される。
【0057】
一実施形態では、対象における体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善する非治療方法における、本発明による飲料組成物の使用が提供される。本明細書で使用される場合、「対象における体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善する非治療方法」は、血糖値曲線の平滑化、血液中へのエネルギーの持続的供給、持続的な活気、エネルギーおよび気分のピークおよびトラフの回避、正常体重の維持、ならびにGP介入を必要としなかった軽微な審美的な懸念のための体重減少を含む。別の実施形態では、それを必要とする対象における体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善する治療方法で使用するための飲料組成物が提供される。本明細書で使用される場合、「それを必要とする対象における体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善する治療方法」は、肥満の処置、肥満に関連する疾患の予防、健康を守るために医師によって要求/勧告された、または使用者が医師によって過体重もしくは臨床的肥満と診断された場合の対象への投与を含む。
【0058】
上述の使用に関して、使用は、特に標準食を摂取している場合の対象のためのものである。これらの例では、組成物は、食事またはスナック、特に炭水化物に富む食事の摂取後の血糖レベルの上昇を、例えば通常の応答の(または飲料組成物を投与されない対象の)50%未満、より好ましくは通常の応答の30%未満に制限するために役立つ。
【0059】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物を形成する方法であって、ポリフェノールに富む果実抽出物と天然繊維成分を混合することを含む方法が提供される。抽出物および成分の供給源は、本明細書で考察される。
【0060】
別の態様によると、少なくとも600mgのポリフェノールおよび少なくとも1gの繊維を含む、炭水化物の補給とともにまたはその前に摂取される飲料組成物が提供される。また、本明細書に記載の飲料組成物を、対象の炭水化物の補給とともにまたはその前に対象に投与するための方法が提供される。飲料組成物が炭水化物の補給前に摂取または投与されるため、食後血糖が低減され得る。一実施形態では、炭水化物は、パン、シリアル、米、パスタ、ジャガイモおよび菓子などの炭水化物含有食品であってもよい。一実施形態では、飲料組成物は、対象が炭水化物を摂取する前に対象に投与されてもよいか、または炭水化物とともに対象に投与されてもよい。飲料組成物は、対象が炭水化物を摂取する直前、15分前、または30分前に対象に投与されてもよく、これらの時間は、液体が消化器系を通るために通常かかる時間の長さに基づく。
【0061】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物は、食事またはスナック代替物として提供される。本明細書で使用される場合、食事またはスナック代替物は、固形食の食事またはスナックの代替物を意味し、典型的な完全な食事/スナックの栄養(主要栄養素と微量栄養素プロファイルの両方)をそれぞれ提供することを意図する。
【0062】
別の態様によると、本明細書に記載の飲料組成物は、認知機能を改善するため、II型糖尿病を管理するおよび/または処置するため、食後血糖を低減するため、体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善するため、心血管疾患のリスクを低減するため、および/または血糖誘導性インスリン応答に起因する低血糖値のリスクを予防するまたは低減するために提供される。一実施形態では、有効成分としてポリフェノールおよび繊維が含有される。一実施形態では、本明細書に記載の飲料組成物は、血糖レベルが高い対象、血糖レベルが懸念されるまたは懸念され始めた対象、体脂肪が懸念される対象、やや肥満の対象、メタボリックシンドロームの傾向がある対象などのために使用することができる。
【0063】
前述の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示される特徴は、それらの特定の形態で、または開示される機能を実行するための手段、もしくは開示される結果を得るための方法もしくはプロセスの観点から適宜表現されているが、これらは、別々に、またはそのような特徴の任意の組合せで、その多様な形態で本発明を実現するために利用され得る。
【0064】
本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態に関連して説明されたが、当業者には、本開示を考慮した場合に多くの同等の修正および変形が明らかである。したがって、上記に記載された本発明の例示的な実施形態は、例示であり限定的ではないとみなされる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する種々の変更を行うことができる。
【0065】
疑義を避けるために、本明細書で提供される理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも束縛されることを望まない。
【0066】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、組織的な目的のためのみのものであり、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0067】
以下に続く特許請求の範囲を含む本明細書を通して、文脈上別段必要とされない限り、単語「含む(comprise)」および「含む(include)」、ならびに「含む(comprises)」、「含む(comprising)」および「含む(including)」などの変形は、記載される整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むが、任意の他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を除外しないことを示唆すると理解される。
【0068】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別様に指示されない限り、複数の指示対象を含むことが留意されなければならない。範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値からおよび/または「約」別の特定の値までとして表現される場合がある。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞「約」の使用により、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。数値に関連する「約」という用語は任意選択であり、例えば+/-10%を意味する。
【0069】
ここで、本発明は以下の非限定的な図に関連して説明され、
図1~20は試験1に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】以下で考察される試験1における対象の評価を示す。
【
図2】Intent to Treat集団の処置別の経時的な平均グルコースを示す。
【
図3】Intent to Treat集団の処置別の経時的な平均インスリンを示す。
【
図4】Intent to Treat集団の処置別の経時的な平均C-ペプチドを示す。
【
図5】Intent to Treat集団の処置別の経時的な平均GIPを示す。
【
図6】
図6~11では、Intent to Treat集団における嗜好性の平均評定を示す。
図6は、飲料をどの程度楽しめたか?という質問を示す(0=全く楽しめない~100=非常に楽しめた)。
【
図7】与えられた量の飲料を摂取するのはどの程度大変であったか?という質問を示す(0=全く大変でない~100=非常に大変である)。
【
図8】飲料の味をどう感じたか?という質問を示す(0=非常に悪い~100=非常に良い)。
【
図9】飲料をどの程度苦いと感じたか?という質問を示す(0=全く苦くない~100=非常に苦い)。
【
図10】飲料の食感をどう感じたか?という質問を示す(0=好ましくない~100=好ましい)。
【
図11】後味を経験したか?という質問を示す(0=なし~100=強い)。
【
図12】
図12~20はIntent to Treat集団における処置別の気分および満腹感の経時的な平均評定を示す。
図12~20は、Intent to Treat集団における処置別の気分および満腹感の経時的な平均評定を示す。
図12は、どの程度幸せと感じるか?という質問を示す(0=全く幸せでない~100=非常に幸せ)。この図では、60分でプラセボが一番下の線、果実パルプが一番上である。
【
図13】どの程度の覚醒を感じるか?という質問を示す(0=全く覚醒していない~100=非常に覚醒している)。この図では、10分でプラセボが真ん中の線、果実パルプが一番下である。
【
図14】どの程度空腹を感じるか?という質問を示す(0=全く空腹でない~100=非常に空腹)。この図では、30分でプラセボが一番下の線、果実パルプが真ん中の線である。
【
図15】どの程度満足感を感じるか?という質問を示す(0=全く満足でない~100=非常に満足である)。この図では、30分でプラセボが真ん中の線、果実パルプが一番上である。
【
図16】どの程度活気があるか?という質問を示す(0=全くない~100=非常にある)。この図では、60分でプラセボが一番下の線であり、果実パルプが一番上である。
【
図17】消化の快適さをどのように評定するか?という質問を示す(0=非常に不快~100=非常に快適)。この図では、60分でプラセボおよび果実パルプが1番上であり、混合物が一番下である。
【
図18】喉の渇きをどの程度感じるか?という質問を示す(0=全く感じない~100=非常に感じる)。この図では、10分でプラセボが一番下の線であり、果実パルプが真ん中である。
【
図19】どのくらい食べられると思うか?という質問を示す(0=全く食べられない~100=たくさん)。この図では、30分でプラセボが一番下の線であり、果実パルプが真ん中である。
【
図20】食欲がどの程度強いか?という質問を示す(0=全くない~100=非常に強い)。この図では、60分でプラセボが1番下の線であり、果実パルプが1番上である。 上記の図において、エラーバーは標準誤差を表す。
【実施例】
【0071】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例に関連して説明する。
【0072】
試験1
本発明組成物の治験参加者に対する効果を確認するために試験を実施した。以下の試験では、以下の略語を使用した。
【0073】
【0074】
食後血糖は、食事を摂取した後に起こる一過性の血糖レベル上昇を指す。血糖レベルの大きな変動が頻繁に経験されると、膵ベータ細胞の機能が低下し、したがって2型糖尿病(T2DM)や心血管疾患の発症リスクが高まる(Blaak et al., 2012)。
【0075】
食事の直前に果実ポリフェノールを含有する飲料を摂取することにより、血糖値の上昇が低減する、またはその速度が遅くなる可能性があることが以前に示されている。詳細には、カシスおよび/またはリンゴポリフェノール抽出物を含有する飲料の摂取は、食後の炭水化物吸収を有利に改変した(Acosta et al., 2016)。
【0076】
果実ポリフェノールは、消化酵素活性の阻害、ナトリウム・グルコース共輸送体1(SGLT-1)/グルコース輸送体2(GLUT-2)グルコース輸送体活性の低減(Williamson, 2013)、またはおそらくデンプン分子への結合(Shen et al., 2012)により、グルコース吸収を遅らせる。重要なことに、他の果実成分、すなわち可溶性繊維も、胃内容排出速度を遅くし(Di Lorenzo et al., 1988)、腸管粘液層と相互作用し、アミラーゼによるデンプンの加水分解に影響を与える(Grundy, 2016)ことにより、炭水化物消化に影響を与える可能性がある。飲料にポリフェノールと繊維の両方を添加することで、食後血糖の低減に相加的または相乗的効果があるかどうかは未だ不明である。限定的ではあるが、認知機能におけるポリフェノールの有益な急性効果を示すエビデンスが相次いでおり、タスクまたは検査を行うために迅速な認知強化が望まれる多くの職場および学術環境において大きな関心を集めている(Bell et al., 2015年)。
【0077】
本試験の目的は、混合炭水化物(デンプンおよびスクロース)試験食後の食後アウトカムに対する、パルプ(繊維源)と組み合わされた果実ポリフェノール抽出物の効果を調査することであった。主要評価項目は血糖応答であり、追加の副次的評価項目は、認知能力試験、食後血漿インスリン、グルコースの吸収速度に密接に関連する消化管ホルモンおよびインクレチンであるグルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)、ならびにC-ペプチド(食後にインスリンと共分泌され、インスリン分泌速度のより明確な指標である)を含んだ。また、知覚される満腹感、主観的な気分、および適宜のエネルギー補給量が評価された。試験は、無作為化二重盲検クロスオーバー設計を利用した。各対象は、プラセボドリンク(ポリフェノールまたは繊維なし)、パルプのみのドリンク(繊維1.5g)、およびパルプとの組合せのBC抽出物ドリンク(ポリフェノール合計800mgおよび繊維1.5g)を、3回の別個の試験訪問時に摂取した。血漿グルコース、インスリン、GIPおよびC-ペプチド濃度の食後の変化を測定した。BCおよびパルプドリンクの補給は、プラセボと比較して食後血糖を低減すると仮定され、ペクチン繊維の効果を評価するためにパルプを単独で含有するドリンクが使用された。
【0078】
2 試験目的
2.1 主要目的
主要評価項目は、血漿グルコースのiAUC0-30minであり、これはベースラインの血漿グルコース濃度(0分)~30分の試料の曲線下面積の変化と定義される。
【0079】
2.2 副次的目的
1.血漿グルコース濃度のiAUC0-150min。
2.血漿インスリン、C-ペプチドおよびGIP濃度のiAUC0-30minおよびiAUC0-150min。
3.150分間の試料採取期間にわたるベースラインからの最大変化と定義される、血漿グルコース、インスリン、C-ペプチドおよびGIP濃度の増分CMAX(iCMAX)。
4.最大濃度到達時間として定義される、血漿グルコース、インスリン、C-ペプチドおよびGIPのTMAX。
5.各時点(T10、20、30、45、60、75、90、120および150分)におけるグルコース、インスリン、C-ペプチドおよびGIPの血漿濃度。
6.T10およびT230分におけるVASによる嗜好性の質問、ならびにT-10、10、30、60、90、120および150分における気分および満腹感の質問に対する回答は、記述統計を使用して要約される。
7.T215分における適宜のエネルギー補給量。
8.ベースライン(T-45)およびエンドポイント(T165)における認知試験のスコア。認知タスクの実行には、ソフトウェアプラットフォームであるComputerised Mental Performance Assessment System(COMPASS、Northumbria University、Newcastle Upon Tyne、英国)を使用した。この評価は、Jackson 2012の論文に記載されている。これらは、以下に概説するものと同じ順序で提示され、括弧内に認知領域が記載される。すべての反応時間はミリ秒単位で測定され、正確さが正答パーセンテージとして測定された。
a)選択反応時間(注意力/応答抑制)。画面上に左右を指す矢印が表示された。このタスクでは、参加者は矢印の方向に対応する「Z」(左)または「M」(右)キーを押して回答することが要求された。刺激間の間隔は1~3秒の間で無作為に変化し、合計50回の刺激が行われた。正確さと平均反応時間が記録された。
b)高速視覚情報処理(RVIP、認知能力/作業記憶):参加者は、一連の高速(1分間に100個)で提示される一桁の数字(1~9)の中から連続する3つの奇数または偶数を検出するたびに、ラップトップのキーボードの「スペースバー」を押して回答することが要求された。正確さ(標的文字列を正しく検出したパーセンテージ)、正答に要した平均反応時間、および誤報数が記録された。
c)単純反応時間(精神運動速度/注意力):参加者は、上向きの矢印が画面に表示されるたびに、ラップトップのキーボードの「スペースバー」をできるだけ早く押すことが要求された。刺激は1~3.5秒の間で無作為に変化する刺激間の時間で提示された。平均反応時間が記録された。
d)ストループタスク(注意力/応答抑制):ストループタスク(Stroop 1992)のコンピュータ版である。色を表す一連の単語(緑、青、赤、黄色)が、異なる色の文字で一度に無作為に提示された(例えば、赤は黄色の文字で提示された、など)。50回の刺激が提示され、参加者は画面右側にある、単語が提示された文字の色と一致するカラーボックスをクリックするよう要求された。正確さ、平均反応時間、および誤報数が記録された。
e)四択反応時間(注意力)。標準的なキーボードの4方向矢印キーの視覚的表示が画面に提示された。矢印は画面上で無作為に「点灯」し、参加者は対応する矢印キーを押すよう求められた。全体として、各矢印は12回の標的刺激であり、合計48回の刺激であった。正確さおよび平均反応時間が記録された。
f)連続3減算(認知能力/作業記憶):参加者は、タスク時間中(4分間)、800~999の間で無作為に生成された最初の数字から、できるだけ速く正確に連続して3を減算するよう求められた。「Enter」キーを押すと回答が消去され、参加者は画面上の最初の数字だけを示され、その後は記憶から減算を続けなければならなかった。不正解の場合、その後の回答が新しい数字との関連で正しければ、プラスに採点される。総回答および不正解、ならびにエラーが記録された。
【0080】
3 治験の計画
3.1 全体的な試験設計および計画の説明
無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を実施した。3回の別個の訪問で、すべての対象が3種のドリンク;プラセボ、パルプのみ、およびBC+パルプドリンクを摂取する。BC+パルプドリンクは、800mgの総ポリフェノール(TP)をもたらすBC抽出物と、1.5gの繊維をもたらす果実パルプの組合せを含有する。対象は、異なる処置アームに無作為に割り付けられる。
【0081】
最低ウォッシュアウト期間は、最低4日間であった。可能な場合、試験訪問は21日以内で区切られた。女性対象の周期的な生殖ホルモンの影響を最小限に抑えるため、女性対象は月経周期の中間の2週間(第2週および第3週)のみ試験訪問に参加し、最初の週(第1週)または最後の週(第4週)は参加しなかった。
【0082】
標準化された食事および運動の指導が訪問前に与えられた(原資料)。対象は、12時間の一晩の絶食後、48時間にわたって低ポリフェノール/低繊維食、24時間にわたって低脂肪食を続け、前日の正午からカフェインならびにカフェインレスのお茶およびコーヒーを避け、各試験訪問の際に8時~10時の間に到着した。対象は、コンピュータベースの認知バッテリー試験(およそ30分)を行った後、前腕静脈にカニュレーションを行い、2つのベースライン空腹時血液試料を採取した(T-10および-5分)。試験ドリンクの摂取(T0分)の後、高炭水化物食(デンプンおよびスクロース)が提供された(白パンとアンズジャム)。血漿グルコース分析、血清インスリン、c-ペプチドおよびGIPのために、T10、20、30、45、60、75、90、120および150分に食後採血を行った。次いで、T150分後にカニューレを抜去し、対象は30分間の認知バッテリー試験を再度実施し、適宜のパスタ食が続いた(T215分)。T-10、10、30、60、90、120、150および230分に、試験食の嗜好性、満腹感、および他の主観的感情に関する視覚的アナログスケール(VAS)アンケートを完了した。
【0083】
3.2 対照群の選択を含む試験設計の根拠
無作為化プラセボ対照二重盲検試験設計は、ヒトの治験におけるゴールドスタンダードと考えられている。本試験は、完全クロスオーバー設計からなった。BC抽出物がグルコースの吸収速度を減速させることが予想されたため、食後早期のグルコース濃度(iAUC0-30min)が主要アウトカムとして選択された。食後2.5時間の期間は、高炭水化物食後の食後血糖およびインスリン血症の最も重要な変化、ならびにC-ペプチドおよびGIPのそれに続く変化の観察を可能にするために選択された。KCLで行われた以前の同様の試験に準じ、白パンおよびアンズジャムのデンプン/スクロース試験食が実施され、試験間比較を可能にした。
【0084】
3.3 試験集団の選択
試験集団は、一般成人集団からの18歳から70歳までの健康な男女から構成された。対象は、広告(KCL内のポスター、社内メール回覧、ソーシャルメディア[Facebook、Twitter]、および新聞広告を含む外部広告)を使用して募集した(原資料)。スクリーニング前の電話アンケート後に組み入れ基準を満たした対象は、最初の試験訪問の少なくとも1週間前にMetabolic Research Unit(MRU)、Franklin-Wilkins Building、King’s College Londonで行われたスクリーニング訪問に参加するよう依頼された。この訪問では、書面によるインフォームドコンセントが提出され、その後血圧および身体測定データ(身長、体重、ウエストおよびヒップ周囲径、ならびに体脂肪率)が測定され、空腹時血液試料が採取され、除外基準について評価された。対象はまた、認知バッテリー試験の予行演習も行った。組み入れおよび除外基準(セクション3.3.1および3.3.2を参照されたい)に従って試験に受け入れられた対象は、7日間の食事日記(原資料)を完了し、習慣的な食事の摂食量を記録した。
【0085】
3.3.1 組み入れ基準
1.同意
自発的な書面によるインフォームドコンセントによって証明されるように、試験の理解および参加の意志を示し、署名および日付の入ったインフォームドコンセント用紙の写しを受け取っている。
2.年齢
登録日時点で18歳を超え70歳未満である。
3.コンプライアンス
すべての試験手順および制限を理解し、それを遵守する意思、能力および可能性を持っていた。
a.対象は、参加者のための食事指導を順守する意思があった。
b.対象は、各試験訪問前24時間は激しい運動を避ける意思があった。
c.対象は、各試験訪問の前日の日中からカフェインを避ける意思があった。
d.女性対象に限る:対象は、月経周期のおおよその開始日を提示した。
4.一般健康
一般および精神健康が良好であり、治験責任医師の判断で、
a)病歴または身体検査の臨床的に重要かつ関連性のある異常がない。
b)対象の安全もしくはウェルビーイングに影響を与える、または試験手順および要件を理解しそれに従う個々の能力に影響を及ぼす状態がない。
【0086】
3.3.2 除外基準
1.不耐性/アレルギー/過敏症
試験物質(もしくは密接に関連する化合物)または任意の他の記載成分に対して既知または疑いのある不耐性または過敏症を有する者。
2.献血
a)スクリーニング訪問日の3ヶ月以内に献血をした者。
b)この試験に参加すると、過去12ヶ月間に1500ミリリットルを超える献血を行ったことになる者。
3.臨床治験への参加
a)別の臨床治験への同時参加
b)本治験に以前に参加した
4.喫煙
a)現在喫煙している者、または電子タバコを使用している者
b)過去6ヶ月以内に喫煙を止めたと報告した。
5.体重減少
過去2ヶ月間に3kg(7ポンド)を超える体重減少を経験した者。
6.アルコール摂取
28単位/週を超える(男性)または21単位/週を超える(女性)アルコールを摂取した者。
7.併用薬
アルファ-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース:Glucobay)、インスリン抵抗性改善薬(メトホルミン:Glucophage、Glucophage SR、Eucreas、Janume;チアゾリジンジオン:Actos、Competact)スルホニル尿素(Daonil、Diamicron MR、Glibenese、Minodiab、Amaryl Tolbutamide)、および脂質低下薬(スタチン、ニコチン酸、無水コレスチラミン、エゼチミブ、フィブラート)などの試験の妨げになる可能性がある薬剤を服用していた者。他の薬剤は、KCLの医療担当者がその都度検討した。
8.栄養サプリメント
高用量ビタミン/ミネラル(RNI>200%)、ビタミンB、ビタミンC、カルシウム、銅、クロム、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウムおよび亜鉛などの試験の妨げになる可能性がある栄養サプリメント。RNIのおよそ100%以下から200%までの用量のビタミンもしくはミネラル、または月見草/藻類/魚油のサプリメントを既に服用している対象は、習慣的な補給パターンを維持し、散発的ではなく毎日確実に服用するよう求められた。また、試験期間中にサプリメントの服用を中止しないよう、または新たなサプリメントの服用を開始しないよう勧告された。
9.病歴
以下の病歴のある者;
a)フェニルケトン尿症
b)心臓発作(心筋梗塞)または脳卒中
c)心血管の問題/狭心症/血栓症
d)過去5年以内のがん
e)糖尿病(I型またはII型)
f)胃または炎症性腸疾患
g)腎臓の問題
h)肝疾患、成人黄疸または貧血
i)薬物および/またはアルコール嗜癖の既往歴(>60単位/週)
10.女性の健康
a)妊娠:妊娠が判明している、または試験期間中に妊娠の予定がある対象
b)母乳育児:その時点で母乳育児中または授乳中の女性
測定を行った後に評価される除外基準
・平均血圧読取値が≧160/100mmHgである者
・ボディマス指数が<18または>35kg/m2である者
・空腹時静脈血液試料の採取が不可能な者
・全血球数および肝機能試験の結果が正常範囲外の者。
・総コレステロール≧7.5mmol/L;空腹時トリアシルグリセロール濃度≧5.0mmol/Lの者
【0087】
3.3.3 対象の制限
3.3.3.1 生活様式
スクリーニング:対象は、前日の夜8時以降、水以外の飲食を避けるように勧告された。
【0088】
試験:対象は、試験訪問前48時間にわたって高繊維および高ポリフェノール食品を避けるように、食生活を変更するよう求められた。また、脂肪分の多い食品、脂っこい魚および飲酒を避け、試験訪問前24時間にわたって激しい運動への参加を一切控え、訪問前日の正午からカフェインの補給を絶つよう求められた。対象には、訪問前に従うべき食事指導が提供された(原資料)。対象はまた、各訪問の前日午後8時以降、水以外の飲食を避けるよう要求された。試験訪問の際、対象は、Metabolic Research Unitの診療室間の短い距離を歩く以外は、訪問時間(およそ3時間)の間座ったままでいるよう求められた。
【0089】
3.3.3.2 薬剤および処置
対象は、試験期間中、除外基準で禁止されている薬剤のいずれも服用することができなかった。対象が試験期間中にそのような薬剤を処方された場合、対象は試験から離脱する。
【0090】
3.3.4 対象の治療または評価からの排除
対象は、理由の如何を問わず常に試験から離脱する権利を有し、2019/03/31まで試験から彼らのデータを引き出すことができた。
【0091】
治験責任医師は、疾病の併発、有害事象(AE)または所定の手順後の製品不良、プロトコルの逸脱、行政上の理由または他の理由が生じた場合、対象を試験から離脱させる権利を有していた。
【0092】
対象が試験から離脱することを決定した場合、可能な限り十分に観察を完了し、報告するようあらゆる努力がなされた。対象の離脱時の完全な最終評価は、対象の試験からの離脱理由の説明とともに行われた。
【0093】
3.4 処置
3.4.1 実施した処置
LRSの新製品開発チームにより、プラセボ、繊維のみ、ならびにポリフェノールおよび繊維を含有するドリンクを含む3種類の異なる処置が供給された。ドリンクは200mlであり、可能な限り味と色を一致させた。表2は、試験ドリンクの調合を示す。
【0094】
【0095】
3.4.2 治験製品の識別情報
3.4.2.1 試験ドリンクの識別情報
BCポリフェノール抽出物は、BerryPharma、Ipronaから供給された。BCポリフェノール抽出物は、デルフィニジン-3-ルチノシド(分光光度法、pH示差法による)として表されるアントシアニンを20.0~28.0g/kg、およびカテキン(フォリン・チオカルト)として表わされるポリフェノールを25.0~55.0g/kg含有する。
【0096】
果実パルプは、Citresa、Orangina Schweppes Suntory、スペイン(Citricos Y Refrescantes)によって供給された。
【0097】
3.4.2.1 試験朝食の識別情報
対象には、どちらもフェノール類が少ない(新鮮重<6mg/100g)高炭水化物食品である、およそ100gの厚切り白パン(Hovis、London、英国)と32gのHartley’s smooth apricot jam(Hain Daniels Group、Leeds、英国)を含むデンプン/スクロース混合食が与えられた。これらは典型的な食事の一回分の分量であり、対象による耐容性が良好であった。試験食および試験ドリンクで提供された炭水化物の合計量は、およそ75gであった。重要なことに、これは2時間の経口糖負荷試験で使用される炭水化物と同じ量(75g)である。ジャムは冷蔵され、開封日およびGlu-MIX試験ラベルが貼られ、開封後6週間以内に使用された。パンを購入し、多忙でない週にカビの増殖を防ぐために購入日に冷凍し、3ヶ月以内に使用した。パンを朝食に間に合うように解凍した。パンの包装にGlu-MIX試験および日付のラベルを貼った。試験食を準備する際に、清潔な調理器具および消毒された作業台が使用された。パンを皿の上で計量し、ジャムをパンの上に均等に塗った。
【0098】
3.4.3 処置の割り当て
3×3のクロスオーバー試験のために、無作為化スケジュールがWilliams方格に従って作成された。無作為化リスト内で、各対象は、試験期間の1つでプラセボを割り当てられ、さらに他の試験期間でパルプのみおよび試験(BC+パルプ)ドリンクを割り当てられる。さらに、各処置の後に他のすべての処置が同じ回数行われる。
【0099】
3.4.4 試験における用量の選択
過去の試験結果(HVS-007、GLU-FX)に基づいて800mgの総PP用量が選択され、この試験では、800mgのTP用量のBCが、食後最初の30分でiAUC血糖値を有意に低減することが見出された。「繊維に富む」という栄養強調表示(繊維3g/100kcal)を満たすのに必要とされる用量を超えることから、0.75g/100mlの繊維濃度が選択された。ドリンク中のペクチンはパルプに由来する。
【0100】
3.4.5 各対象に対する用量の選択およびタイミング
すべての対象は、二重盲検無作為化スケジュールに従って3種のドリンクを投与された。1回の試験訪問につき1種のドリンクが投与された。試験訪問は、最低4日間、可能な場合は急性設計試験に十分なウォッシュアウト期間と考えられる21日以内で区切られた。
【0101】
試験ドリンクは、色および風味に関する処置ドリンク間のわずかな違いを隠すため、不透明な茶色のガラス瓶と黒いストローでそれぞれ提供された。試験ドリンクは冷凍保存され、試験訪問前に冷凍庫から取り出して冷蔵庫に入れ、48時間かけて解凍された。対象に提供するおよそ10分前に、冷蔵庫から試験ドリンクを取り出した。研究者は飲料をおよそ1分間ボルテックスし、ドリンクが完全に分散されることを確実にした。対象にドリンクを提供する直前に、研究者はさらにドリンク瓶を10回倒立させた。また、対象にドリンクを提供する直前に、ドリンクは研究者によって十分振盪された。瓶の蓋を取り、黒いストローを瓶に差し込んだ。対象は、試験ドリンクを摂取するのに最大2分与えられた。その後、対象は混合炭水化物の朝食を摂取するのに7分間与えられた。対象は、試験ドリンクの瓶に一切手を加えないよう求められた。
【0102】
3.4.6 盲検化
試験は二重盲検化され、独立した顧問医師だけが無作為化スケジュールおよび処置割り付けに精通していた。この盲検化は試験を通して維持され、試験終了時および分析時に解除されなかった。
【0103】
3.4.7 処置コンプライアンス
研究者は、提供された各試験ドリンクの飲料の全体積が割り付けられた時間(2分)内に摂取されたことを確認した。空瓶を現場に保管し、試験終了時に試験モニターがこれを確認し、コンプライアンスについてチェックした。
【0104】
3.5 人口統計学、有効性および安全性変数、ならびに試験事象のスケジュール
3.5.1 試験事象のスケジュール
試験事象のスケジュールを以下の表に提示する。記録された個々の変数の詳細は、それらを含むセクション3.5.2から3.5.5で考察される。
【0105】
【0106】
3.5.2人口統計学および患者特徴
すべての人口統計学的特徴および対象の特徴がCRFに入力された。研究者は、以下の対象の特徴を記録した:生年、生月、年齢、性別および民族。以下の手順を完了した:身長計を使用した身長、巻尺を使用したウエストおよびヒップ周囲径、TANITA BC-418部位別体組成分析器を使用した生体電気インピーダンスによる体組成および体重、自動血圧モニター(A&D Medical)を使用した血圧。アレルギーまたは食物不耐性を含む、対象の関連病歴または手術歴に関するデータが収集された。習慣的な栄養補給データを7日間の推定食事日記から得た。口腔内採取キット(Isohelix)を使用して、スクリーニング訪問時に口腔細胞を採取した。グルコース、全血球数、肝機能試験および全脂質プロファイルを分析するために、スクリーニング空腹時静脈血液試料を得た。
【0107】
3.5.3 有効性測定および評価
有効性の主要評価項目が、プラセボと比較してパルプおよびBCドリンクで有意に異なることが見出された場合、試験は成功とみなされる。したがって、プラセボと比較して試験処置(BCおよびパルプ)で有意に低減したピーク食後血糖濃度(iAUC0-30min)。パルプのみのドリンクは、繊維単独の効果を評価するために使用された。
【0108】
3.5.4 安全性測定および評価
AEは、無作為化された処置のうちの1つの初回投与後に発生した場合、処置中に発生した(treatment emergent)とみなされた。発症日が試験期間の間のウォッシュアウト期間中であるすべてのAEは、前の期間に受けた処置に割り当てられた。処置の最終投与後に開始したすべてのAEは、第3期または試験終了前の最後の処置期間にとられた処置に割り当てられた。発症日/時間が第1期の処置投与の日/時間前であるAEは、処置期間外(non-treatment emergent)とみなされた。
【0109】
連続的なAEの強度が1つの処置期間/ベースライン期間から次の処置期間までに悪化した場合、AEは、それが悪化した期間で発生したとみなされた。
【0110】
3.5.4.1 有害事象
有害事象(AE)は、必ずしもこの処置との因果関係を有したわけではない、治験製品投与後の対象における任意の不都合な医療上の出来事であった。
【0111】
AEは、試験期間を通して記録された。治験責任医師は、任意のフォローアップ訪問を含む各訪問時に、対象に以下の質問をした:「気分が悪くなったか、何らかの症状を経験したか、または何らかの薬剤を服用したか(最後の訪問から)(今日)(最後の用量から)(最後のセッションから)」。
【0112】
AEは、可能な場合は症状によってではなく、診断によってCRFに記録された(例:鼻水ではなく風邪、季節性アレルギーなど)。治験責任医師は、CRFにAEの強度および試験処置との関係を記録した。強度および関係の評定は以下の通りである。
・強度:
- 軽度-耐容しやすく、最小限の不快感をもたらし、通常の日常活動に支障をきたさない。
- 中等度-通常の日常活動に支障をきたすのに十分な不快感がある。
- 重度-通常の日常活動を不能にするかつ/またはその妨げになる。
・試験処置との関係:
- 関係なし - 事象は、対象の臨床状態、治療介入、または対象に投与された併用薬などの他の要因に明らかに関係していた。
- 可能性が低い - 事象は、対象の臨床状態、治療介入、または対象に投与された併用薬などの他の要因によって生じた可能性が最も高く、治験介入に対する既知の応答パターンに従わなかった。
- 考えられる - 事象は、薬物投与時から合理的な時系列に従っており、および/または治験薬に対する既知の応答パターンに従っているが、対象の臨床状態、治療介入、もしくは対象に投与された併用薬などの他の要因によって生じた可能性がある。
- 可能性がある - 事象は、薬物投与時から合理的な時系列に従っており、治験薬に対する既知の応答パターンに従っており、対象の臨床状態、治療介入、または対象に投与された併用薬などの他の要因によって合理的に説明できない。
- 可能性が高い - 事象は、薬物投与時から合理的な時系列に従っており、治験薬に対する既知の応答パターンに従っており、対象の臨床状態、治療介入、または対象に投与された併用薬などの他の要因によって合理的に説明できず、かつ治験薬投与直後に生じたか、または薬物の中止により改善したか、または反復曝露により再び発現したか、または適用部位に陽性反応が生じたかのいずれかである。
【0113】
さらに、AEは重篤または非重篤と分類された。重篤な有害事象は、任意の用量で、
a)死亡に至った。
b)生命を脅かすものであった。
注:「重篤」の定義における「生命を脅かす」という用語は、対象が事象時に死亡のリスクがあった事象を指す。この用語は、より重度であったなら仮説的に死亡を引き起こす可能性があった事象を指すものではない。
c)入院、または既存の入院の延長が必要であった。
注:一般に、入院は、医師の診察室もしくは外来環境で適切でなかった観察および/または処置のために、対象が病院もしくは救急病棟に収容された(通常、少なくとも1泊を要する)ことを意味する。入院中に発生した合併症はAEであった。合併症により入院が延長された場合、または合併症が任意の他の重篤の基準を満たした場合、事象は重篤であった。「入院」が発生したか、または必要であったかが疑わしい場合、AEは重篤とみなされるべきであった。
ベースラインから悪化しなかった既往症の選択的処置のための入院は、AEとみなされなかった。
d)身体障害/無能力をもたらした、または
注:身体障害という用語は、ある人の通常の生活機能を実行する能力の大幅な損傷を意味する。この定義は、日常生活機能に支障をきたすまたは妨げになる場合があるが、実質的な損害とはならない合併症のない頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、インフルエンザ、および偶発的な外傷(例えば、足首の捻挫)など、比較的軽微な医学的意義の経験を含むことを意図しなかった。
e)先天性異常/出生時欠損であった
任意の不都合な医療上の出来事であった。
【0114】
他の状況、例えば直ちに生命を脅かすまたは死亡もしくは入院に至る可能性はないが、対象を危険にさらす可能性のある、あるいは上記の定義で挙げられた他のアウトカムの1つを予防するために医学的もしくは外科的介入が必要であった可能性がある重要な医学的事象における報告が適切かどうか決定する際に、医学的または科学的判断がなされた。これらもまた重篤とみなされた。このような事象の例は、侵襲性または悪性のがん、アレルギー性気管支痙攣に対する緊急治療室または自宅での集中処置、入院に至らない血液疾患または痙攣、薬物依存または薬物乱用の発症である。
【0115】
3.5.4.2 臨床検査評価
治験責任医師が臨床的に有意とみなす、AE報告のために規定された期間中の異常な結果は、AEまたはSAEとして記録されなければならない。臨床的に有意な異常検査値が診断と関連付けられた場合、診断をCRFに記録すべきである。
【0116】
3.5.4.3 バイタルサインおよび安全性に関する他の観察
治験責任医師が臨床的に有意とみなす、AE報告のために規定された期間中の異常な結果は、AEまたはSAEとして記録されなければならない。臨床的に有意な異常検査値が診断と関連付けられた場合、診断をCRFに記録すべきである。
【0117】
3.5.6 主要有効性変数
iAUC0-30min
【0118】
3.5.7 薬物濃度測定
該当せず(薬物の治験ではなく、何も投与されなかった)
【0119】
3.5.8 試験の実行における変更
試験の実行において変更はなされなかった。
【0120】
3.6 データ品質保証
試験モニターは、モニタリング計画に従って試験施設でCRFを監査し、すべてのCRFの白色コピーを収集した。治験責任医師または被指名者に対してクエリが作成され、監査前にエラーに対処することが可能であった。データ管理者は、CRFの報告およびリストを調べ、施設の明確化または訂正のためにクエリを発行した。
【0121】
3.7 データ分析方法
3.7.1 サンプルサイズの決定
以前の試験(HVS-007、GLU-FX)に基づき、プラセボ群および800mg BC群における血漿グルコースiAUC0-30の平均応答は、それぞれ1.28mmol/Lおよび1.05mmol/Lであった(すなわち、0.23mmol/Lの差)。対象内標準偏差は0.29であった。血漿グルコースiAUC0-30においてプラセボと比較して0.23mmol/Lまたは約18%の差を示すために、3つの処置期間すべてを完了した36名の対象が、両側5%の有意水準でパルプおよびBCポリフェノールドリンクとプラセボ間の差を検出するために90%の検出力を提供する。
【0122】
約5%の損耗率を考慮するために、38名の対象が試験に無作為化された。
【0123】
3.7.2 データ分析のための一般考慮事項
3.7.2.1 中間分析
本試験では、中間分析は行われなかった。
【0124】
3.7.2.2 脱落または欠測データの扱い
4つの試験期間すべてを完了しなかったが、試験期間の少なくとも1つからのデータがある対象は、可能な場合分析に含まれた。これは、分析において対象をランダム効果として含むことによって達成された。
【0125】
AUCの計算では、評価期間中に1つの値が欠測している場合、AUCは単に利用可能な値を使用した。欠測値が1つより多く存在する場合、または開始値もしくは終了値のいずれかが欠測している場合、その対象/期間の組合せについてAUCは計算されなかった。
【0126】
定量下限(LOQ)未満の血漿濃度値は、統計分析のために1/2LOQに設定した。これは、LOQ値を分析から除外することに関連付けられるバイアスを低減するために広く使用される方法である。二次代謝産物のそれぞれのLOQは、試料分析前に決定された。
【0127】
3.7.3 試験集団
安全性集団は、無作為化され、試験処置の1つを受けるすべての対象と定義される。安全性集団は、処置中に発生した有害事象を要約するために使用された。
【0128】
Intention to Treat(ITT)集団は、試験処置の少なくとも1つを受け、少なくとも1回のベースライン後の有効性評価があるすべての対象と定義される。ITT集団は、有効性分析のための主要集団であった。
【0129】
Per Protocol(PP)集団は、ITT集団のサブセットである。有効性評価に影響を及ぼす重大なプロトコル違反があった対象は、違反による影響を受けた訪問時にPP集団から除外された。主要変数(グルコースiAUC0-30min)については、ITTおよびPP集団の対象数に10%より大きい差が存在する場合、PP集団で有効性分析を行う。
【0130】
記述統計(対象数、平均、標準偏差、中央値、連続変数の最小値および最大値、ならびにカテゴリー変数の頻度およびパーセンテージ)が、人口統計およびベースラインデータのために提示される。
【0131】
3.7.4 有効性分析および統計方法
統計分析はSASバージョン9.4を使用して行った。
【0132】
後述の分析のそれぞれについて、正規性および等分散性の仮定を評価し、適切な場合は分析前にデータを変換するか、またはノンパラメトリック分析を行った(ウィルコクソンの符号順位検定)。
【0133】
すべての主要および副次的変数について、記載された分析に加え、記述統計を使用してデータを要約し、グラフで表示する。繰り返し時点で評価されるパラメーターの場合、データ表示は、経時的な記述統計および経時的な平均値の折れ線グラフを含む。
【0134】
-10分および-5分で測定されたすべての変数について、ベースラインは2つの値の平均として計算された。
【0135】
すべての有効性変数は、試験処置とプラセボの間に差がないという帰無仮説に基づき、試験処置とプラセボの間に差があるという対立仮説に対して分析された。-10分および-5分で測定されたすべての変数について、ベースラインは2つの値の平均として計算された。
【0136】
3.7.4.1 主要有効性パラメーター
主要有効性評価項目は、血漿グルコースのiAUC0-30minであり、これはゼロからT30分までの試料時間の、ベースライン血漿グルコース濃度からの変化対時間曲線下面積と定義される。iAUCは台形公式を使用して計算された。結果を元の測定単位(mmol/L)に変換して戻すために、iAUCを合計継続時間(30分)で除した。
【0137】
iAUC0-30minは、線形混合モデルを使用して分析された。モデルの項は、固定効果として処置群および期間、ランダム効果として対象、ならびに共変量として対象レベルおよび期間レベルのベースラインのグルコースを含んだ。
【0138】
帰無仮説および対立仮説は:
H0:iAUC0-30minによって測定される処置のすべてのペアの(プラセボを含むすべてのペアの)比較において、数値差が存在しない。
H1:iAUC0-30minによって測定される処置のいくつかのペアの(プラセボを含むすべてのペアの)間に数値差が存在する
であった。
【0139】
上記のモデルから、プラセボと試験処置間のすべての比較のために、両側処置比較のDunnett検定が行われた。処置の差はDunnettの調整済み95%信頼区間とともに表示される。正規性および等分散性の仮定が検討された。これらの仮定の違反は、好適な変換を使用するか、またはノンパラメトリック検定を実施することによって克服された。
【0140】
3.7.4.2 副次的有効性パラメーター
副次的評価項目は:
・血漿グルコース濃度のiAUC0-150min。
・血漿インスリン、C-ペプチド(インスリン分泌のより特異的な尺度)、およびGIP濃度のiAUC0-30minおよびiAUC0-150min。
・120分間の試料採取期間にわたるベースラインからの最大変化として定義される、グルコース、インスリン、C-ペプチドおよびGIP濃度の増分Cmax(iCmax)。
・血漿グルコース、インスリン、C-ペプチドおよびGIP濃度のTmax。
・各時点(T10、20、30、45、60、75、90、120および150分)におけるグルコース、インスリン、C-ペプチドおよびGIPの血漿濃度。
・100mmVASアンケートを使用した、T10分およびT230における嗜好性に対する回答。
・100mmVASアンケートを使用した、T-10、10、30、60、90、120および150分における気分および満腹感の質問に対する回答。
・各処置期間の終了時に、3回にわたって摂取されたパスタの総量から決定される適宜のエネルギー補給量
であった。
【0141】
iAUC、iCmaxおよびTmaxパラメーターは、主要評価項目と同じ混合モデルまたはノンパラメトリック方法を使用して分析された。経時的な各パラメーターの濃度は、記述統計およびプロットを使用して要約された。
【0142】
VASアンケートへの回答は、経時的かつ処置群別の記述統計を使用して要約された。
【0143】
適宜のエネルギー補給量および認知試験のスコアは、主要評価項目と同じ線形混合モデルまたはノンパラメトリック方法を使用して分析された。
【0144】
3.7.5 安全性パラメーター
有害事象は、ICH国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)の「器官別大分類」(レベル1)および「基本語」(レベル2)の分類に相当する2層の階層構造(レベル1およびレベル2の用語)を使用して、スポンサーの医療担当者によってコード化された。レベル1およびレベル2のコード化された用語に従い、処置中に発生したAEを伴った対象の頻度およびパーセンテージが処置群別に提示される。処置中に発生したAE、処置に関連するAE、および重篤なAEの要約が提示される。
【0145】
処置群間でAEの発生に関する統計比較は行わなかった。
【0146】
3.7.6 計画された分析の変更
プロトコルの唯一の変更は、ほとんどのパルプが取り込まれたことを保証するために、参加者が飲み終えたら、すべてのドリンクに20mlの水を添加して振り混ぜることであった。この変更は、2018年8月7日から有効になった。
【0147】
4 試験対象
4.1 対象の内訳
アンケートによって評価された最初の適格性を満たした58名のボランティアが、King’s College Londonでのスクリーニング訪問に参加し、そのうち20名が組み入れ基準を満たさなかった。38名の参加者が処置に無作為化され、37名が試験を完了した(
図1を参照されたい)。
【0148】
4.2 プロトコルの逸脱
プロトコルの逸脱はなかった。
【0149】
4.3 分析されたデータセット
全データセットがintention to treat集団で分析された。
【0150】
4.4 人口統計および他のベースライン特性
4.4.1 人口統計
intention to treat集団の人口統計を表3に示す。
【0151】
4.4.2 ベースライン特性
intention to treat集団のベースライン特性およびベースライン空腹時血漿レベルを、それぞれ表4および表5に示す。
【0152】
4.4.3 現在の医学的障害および病歴
病歴はデータベースに記録されたが、データ集計は作成されなかった。
【0153】
4.5 併用薬
併用薬の使用はデータベースに記録されたが、データ集計は作成されなかった。
【0154】
4.6 コンプライアンス
BC+パルプおよびプラセボ群の2名の対象、ならびにパルプのみの群の3名を除き、対象は試験ドリンクおよび食事の試験プロトコルを遵守していた(表6)。1名の対象が10~20mlと推定される量のドリンクをこぼした。2名の対象が、試験食の摂食に割り付けられた時間を若干超えた。
【0155】
5 有効性の結果
5.1 主要有効性パラメーター
グルコースiAUC0-30minの結果を表7.1および7.2に要約する。BC+パルプドリンクは、プラセボとパルプのみのドリンクの両方と比較して、食後最初の30分の期間中の血漿グルコースの増加速度を有意に抑制した(iAUC0-30min平均差[95%CI]BC+パルプ対プラセボ、-0.16mmol/L[-0.27、-0.05];およびBC+パルプ対パルプ単独、-0.21[-0.32、-0.10])。しかし、パルプのみのドリンクでは、プラセボに対してそのような効果は観察されなかった。
【0156】
5.2 副次的有効性パラメーター
5.2.1 血漿グルコース濃度のiAUC0-150min
グルコースiAUC0-150minの結果を表7.3および7.4に要約する。iAUC0-150minによって評価して、食後150分の期間中の血漿グルコースのベースラインからの変化に対するドリンクの効果はなかった。
【0157】
5.2.2 iAUC0-30minおよびiAUC0-150min血漿インスリン、C-ペプチドおよびGIP濃度
【0158】
5.2.2.1 インスリン
インスリンiAUC0-30minおよびiAUC0-150minの結果を表8.1および表8.2に要約する。BC+パルプドリンクは、プラセボとパルプ単独のドリンクの両方と比較して、食後最初の30分の期間中の血漿インスリンの増加速度を有意に抑制した(iAUC0-30min平均差[95%CI]BC+パルプ対プラセボ、-2.67mU/L[-4.70、-0.34];BC+パルプ対パルプ単独、-5.21[-7.55、-3.02])。パルプのみのドリンクでは、プラセボに対する有意なドリンクの効果は観察されなかったが、果実パルプ後に第一相インスリン分泌の増加傾向が存在した。
iAUC0-150minによって評価して、食後150分の期間中の血漿インスリンのベースラインからの変化に対するドリンクの効果はなかった。
【0159】
5.2.2.2 C-ペプチド
C-ペプチドiAUC0-30minおよびiAUC0-150minの結果を表9.1および9.2に要約する。
iAUC0-30minおよびiAUC0-150minによってそれぞれ評価して、食後最初の30分間と食後150分の期間中のいずれにおいても、BC+パルプとプラセボ間で血漿C-ペプチドのベースラインからの変化に有意差はなかった。しかし、C-ペプチドの分泌は、最初の30分間、パルプ単独と比較してBC+パルプ後に有意に低下した。パルプのみのドリンクでは、プラセボに対して有意なドリンクの効果は観察されなかったが、果実パルプ後の最初の30分間でC-ペプチドの分泌の増加傾向が存在した。
【0160】
5.2.2.3 GIP
GIPのiAUC0-30minおよびiAUC0-150minの結果を表10.1および10.2に要約する。BC+パルプおよびパルプ単独ドリンクはいずれも、プラセボに対して、食後最初の30分の期間中(iAUC0-30min平均差[95%CI]BC+パルプ対プラセボ、-36.26ng/L[(-49.23、-23.23];パルプ対プラセボ、-11.22[-22.31、-0.00]);および食後150分の期間中(iAUC0-150min平均差BC+パルプ対プラセボ[95%CI]-28.62ng/L[-47.99、-6.17])の血漿GIPの増加速度を有意に抑制した。パルプのみでは、プラセボに対してiAUC0-150minでドリンクの効果は観察されなかった。BC+パルプ対パルプ単独では、iAUC0-30minとiAUC0-150minの両方でGIPの増加が有意に減弱した(それぞれ平均差[95%CI]-29.06[-41.69、-15.46]および-21.08[-41.29、-1.91])。
【0161】
5.2.3 グルコース、インスリン、C-ペプチド、非エステル化脂肪酸およびGIP濃度のiCmax
【0162】
5.2.3.1 グルコース
グルコースiCmaxの結果を表11.1および11.2に要約する。食後150分の期間中のベースラインからのグルコースの最大変化に対するドリンクの効果はなかった。
【0163】
5.2.3.2 インスリン
インスリンiCmaxの結果を表12.1および12.2に要約する。食後150分の期間中のベースラインからのインスリンの最大変化に対するドリンクの効果はなかった。
【0164】
5.2.3.3 C-ペプチド
C-ペプチドiCmaxの結果を表13.1および13.2に要約する。食後150分の期間中のベースラインからのC-ペプチドの最大変化に対するドリンクの効果はなかった。
【0165】
5.2.3.4 GIP
GIP iCmaxの結果を表15.1および15.2に要約する。食後120分の期間中のベースラインからのGIPの最大変化に対するドリンクの効果はなかったが、プラセボに対してBC+パルプ後に有意でない低減傾向が存在した。
【0166】
5.2.4 血漿グルコース、インスリン、C-ペプチドおよびGIPのTmax
【0167】
5.2.4.1 グルコース
グルコースiTmaxの結果を表15.1および15.2に要約する。グルコースの最大濃度到達時間(Tmax)は、プラセボと比べてBC+パルプに対して有意差はなかった。Tmaxは、果実パルプ単独ドリンクと比較してポリフェノール+果実パルプで有意に長く(中央値(95%CI)、7.5(7.50、15.00))、またTmaxは、プラセボと比較して果実パルプドリンクで有意に短かった(中央値(95%CI)、-7.5(-12.50、0.00))。
【0168】
5.2.4.2 インスリン
インスリンiTmaxの結果を表16.1および16.2に要約する。インスリンの最大濃度到達時間に対してドリンクの効果はなかった。
【0169】
5.2.4.3 C-ペプチド
C-ペプチドiTmaxの結果を表17.1および17.2に要約する。C-ペプチドの最大濃度到達時間に対してドリンクの効果はなかった。
【0170】
5.2.4.4 GIP
GIP iTmaxの結果を表18.1および18.2に要約する。GIPの最大濃度到達時間に対してドリンクの効果はなかった。
【0171】
5.2.5 経時的なグルコース、インスリン、C-ペプチドおよびGIPの血漿濃度
【0172】
5.2.5.1 グルコース
試験ドリンクおよび標準的な炭水化物食後の血漿グルコースの食後変化を
図1に示す。プラセボと比較して、20および30分でBC+パルプドリンク後に(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]それぞれ-0.27[-0.47、-0.07]および-0.27[-0.52、-0.02])、ならびに120分でパルプのみのドリンク後に(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]-0.32[-0.62、-0.02])グルコースの濃度が統計的に有意に低下した。また、10、20、および30分で、パルプ単独と比較してBC+パルプ後にグルコース濃度が低下した(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]それぞれ-0.11[-0.20、-0.02]、-0.37[-0.57、-0.17]および-0.30[-0.55、-0.04])。
【0173】
5.2.5.2 インスリン
試験ドリンクおよび標準的な炭水化物食後のインスリンの食後変化を
図2に示す。プラセボと比較して、30分でBC+パルプドリンク後にインスリンの濃度が統計的に有意に低下し(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]-8.25[-13.16、-2.39])、20分でパルプのみの後にインスリン濃度が増加した(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]-4.18[0.69,7.62])。また、10、20および30分で、パルプ単独と比較してBC+パルプ後にインスリン濃度が低下した(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]それぞれ-2.31[-4.23、-0.59]、-7.14[-11.12、-3.89]および-8.04[-13.41、-4.60])。
【0174】
5.2.5.3 C-ペプチド
試験ドリンクおよび標準的な炭水化物食後のC-ペプチドの食後変化を
図3に示す。プラセボと比較して、BC+パルプドリンク後にC-ペプチド濃度の有意差はなかった。10分でのC-ペプチド濃度は、プラセボと比較してパルプのみの後に有意に増加した(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]0.12[0.02、0.22])。10、20、30および45分で、パルプのみのドリンクと比較してBC+パルプドリンク後にC-ペプチド濃度が有意に低下した(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]それぞれ-0.15[-0.25、-0.07]、-0.31[-0.47、-0.17]、-0.36[-0.61、-0.15]および-0.26[-0.46、-0.02])。
【0175】
5.2.5.4 GIP
試験ドリンクおよび標準的な炭水化物食後のGIPの食後変化を
図4に示す。プラセボと比較して、10、20および30分でBC+パルプドリンク後に(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]-12.86[-25.21、-3.91]、-61.96[-85.35、-42.39]、および-62.12[-87.0、-37.86])、ならびに30分でパルプのみのドリンク後に(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]-22.82[-45.20、-0.67])GIPの濃度が統計的に有意に低下した。また、20および30分で、パルプ単独と比較してBC+パルプ後にGIP濃度が有意に低下した(ベースラインからの変化の平均差[95%CI]それぞれ-55.67[-74.69、-34.10]および-44.23[-67.79、-20.44])。
【0176】
5.2.6 嗜好性
intention to treat集団における嗜好性の平均評定を
図6~11に示す。これらの評定に有意差は見出されなかった。
【0177】
5.2.7 気分および満腹感
intention to treat集団における気分および満腹感の平均評定を
図12~20に示す。これらの評定に有意差は見出されなかった。
【0178】
5.2.8 エネルギー補給量
適宜のエネルギー補給量の結果を表19.1および19.2に要約する。エネルギー補給量に対して有意な処置効果はなかった。
【0179】
5.2.9 認知機能
認知試験の結果を表20.1~20.6に要約する。BC+パルプドリンクでは、注意力の尺度である四択反応時間タスクに対する回答時間の長さがプラセボに対して42msec有意に短縮した(平均差[95%CI]-41.89[-97.18、-4.64])。BC+パルプドリンクは、3の連続減算(作業記憶の尺度)において、プラセボおよびパルプ単独と比較してエラーを有意に低下させた(平均差[95%CI]それぞれ-1.0[-2.0、0.0]および-1.0[-2.0、-0])。単純反応時間、RVIP(高速視覚情報処理)、単純反応時間およびストループタスクに対する有意な処置効果はなかった。
【0180】
5.3 薬物用量、薬物濃度、および応答との関係
N/A
【0181】
5.4 個体の応答データの集計
対象データ一覧は作成されなかった。
【0182】
5.5 有効性の結論
主要有効性分析は、食後血糖のiAUC0-30に基づいた。BC+パルプドリンクによって有効性に達し、血漿グルコースの増加速度が有意に抑制された。しかし、絶対的な差は小さく、血糖コントロールとの関係は限定的である。
【0183】
6 安全性評価
6.1 曝露の程度
各対象は、各試験製品の単回用量を受けた。この試験設計の条件下で、試験参加者に害が及ぶことはないと予想される。
【0184】
6.2 有害事象(AE)
6.2.1 有害事象の簡潔な概要
5名の対象によって合計7つの処置中に発生した有害事象(TEAE)が報告された(13.2%、表21.1)。いずれのAEも処置に関係するとみなされなかった。6つのAEは軽度であり、1つは中等度の強度であった。いずれのTEAEも重篤ではなく、試験終了までにすべて消失した。TEAEの1つ(失神寸前)により、1名の対象が試験から離脱した。
【0185】
6.2.2 有害事象の表示
有害事象を表21.2~21.3に示す。
【0186】
6.2.3 有害事象の分析
群間の統計比較は行われなかった。
【0187】
6.2.4 対象別の有害事象の一覧
AEの全一覧を表21.2に示す。
【0188】
6.3 死亡、他の重篤な有害事象および他の有意な有害事象
6.3.1 死亡、他の重篤な有害事象および他の有意な有害事象の一覧
死亡、重篤な有害事象(SAE)、または他の有意なAEは報告されなかった。
【0189】
6.3.2 死亡、他の重篤な有害事象、および特定の他の有意な有害事象の説明
該当なし。
【0190】
6.3.3 死亡、他の重篤な有害事象、および他の有意な有害事象の分析および考察
該当なし。
【0191】
6.4 妊娠
女性コホートでは、試験期間中妊娠は発生しなかった。
【0192】
6.5 安全性の結論
いずれの有害事象も処置に関係するとみなされず、したがってこの実験は、適用された状況内で、かつ行われた測定に基づき、処置に関する安全性の懸念の証拠を示さない。
【0193】
7 考察および全体の結論
7.1 考察
本試験は、オレンジパルプ(繊維源:ペクチン)と組み合わされた果実ポリフェノール抽出物の、混合炭水化物(デンプンおよびスクロース)試験食後の食後アウトカムに対する効果を調査することが目的であった。オレンジパルプとの組合せのBCポリフェノール抽出物は、食後早期(0~30分)の間の血漿グルコースの増加速度を有意に抑制した。パルプ単独は、食後早期段階のグルコースに対する有意な抑制効果を示さなかったが、試料採取期間終了時(T+150分)の血漿グルコース濃度を低下させた。
【0194】
BC+パルプは、プラセボと比較して食後最初の30分でインスリン分泌およびGIPに対して有意な低下作用を示した。パルプ単独は、有意な抑制作用をGIPに対して示したがインスリン分泌に対しては示さなかった。いずれの試験ドリンクも、プラセボと比較して食後最初の30分でC-ペプチドに対する抑制作用を有さなかったが、果実パルプ後に増加傾向が存在したため、パルプ単独に比べてBC+パルプ後に0~30分のC-ペプチド濃度の有意な低下がもたらされた。BC+パルプは、試験ドリンク摂取から150~180分後に測定した場合、プラセボドリンクと比較して注意力(四択反応タスクへの回答速度として測定される)および作業記憶(エラー数の低減として測定される)能力を有意に増加させた。
【0195】
BC+パルプのグルコース吸収に対する有意な効果は、腸におけるグルコース吸収速度と密接に関連する血漿GIP分泌によって強く支持された。
【0196】
7.2 結論
主要および副次的アウトカムは、BC+パルプドリンクのみが一貫して混合高炭水化物食に対する早期の急性代謝応答を改変したという結論を支持するが、パルプ単独ドリンクのグルコース低下効果が最終試料採取時点である150分においてのみ明らかであったことから、これはおそらくBCポリフェノールの添加(すなわち、組合せ)に起因していた。BC+パルプ後の注意力および作業記憶のパラメーターの改善は、新規かつ興味深い知見であり、これらのアウトカムが主要評価項目である試験設計を使用したさらなる研究に値する。さらなる研究は、2型糖尿病および心血管疾患の中等度のリスクがある集団の心血管代謝リスク因子および認知機能に対する、BCポリフェノールおよび果実繊維に富むドリンクの毎日の摂取の慢性的な効果も調査すべきである。
【0197】
8 参考文献
【0198】
【0199】
9 表、図およびグラフ
9.1 表
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
試験2
ポリフェノール単独の効果を評価するために試験を行った。知見は繊維の含有と関係しないため、この試験の全詳細は含まれない。
【0245】
食後血糖の上昇は、2型糖尿病(T2DM)および心血管疾患などの他の慢性疾患の発症に関与している(Blaak et al., 2012)。機序とされるものには、酸化ストレスの増加、機能性タンパク質の糖化、膵ベータ細胞の機能障害、および血管損傷が含まれる(Cierello et al., 2008)。したがって、食後血糖のコントロールは、T2DMを含む代謝性疾患の予防および管理において重要である。
【0246】
新たなエビデンスにより、果実ポリフェノールの急性補給が食後血糖を低減する可能性が示唆されている。Wendy Hall博士の研究グループは以前、800mgまたは1600mgのカシス(BC)ポリフェノール抽出物を含有するドリンクの、炭水化物食に対する血漿グルコース応答への効果を調査した(Castro-Acosta et al., 2016)。1600mgのBC抽出物ドリンク(ただし、800mgドリンクではない)は、血漿グルコースのベースライン上の平均増分面積(AOB;T0~30分)を平均-0.34mmol/l.h抑制することが見出された。さらに、この用量は、AOB T0~30分、AOB T0~120分およびT90分において、食後インスリン、GIPおよびGLP-1をそれぞれ低減させた。800mgのBC抽出物の用量で食後血糖に対する効果は見出されなかったが、プラセボドリンクはタンニンを含有しており、これによりBC抽出物の食後血糖への効果がマスキングされた可能性がある。
【0247】
BCポリフェノールの食後血糖に対する提案されている主要な機序は、腸細胞の消化酵素活性およびナトリウム・グルコース共輸送体1(SGLT-1)/グルコース輸送体2(GLUT-2)グルコース輸送体の阻害である(Williamson, 2013)。重要なことに、他の果実由来のポリフェノールは、異なる機序によってグルコースのホメオスタシスに影響を与える可能性がある。例えば、スイートオレンジ(SO)におけるものなどの柑橘類ポリフェノールは、消化酵素活性の弱い阻害しか示さないが、デンプン分子に結合することによって炭水化物の消化を緩和する可能性がある(Shen et al., 2012)。SOポリフェノールの食後血糖および関連代謝産物に対する効果は未だ不明である。BCおよびSOは異なるポリフェノールプロファイルを有し、カシスはアントシアニン、プロアントシアニジンおよびフラバノールに富み、SOはフラバノン、特にヘスペリジンに富む(Neveu et al., 2010)。理論的に、BCおよびSO抽出物などの異なる構造および生理学的特性を有する果実ポリフェノールを組み合わせることにより、食後血糖の低減に対して相乗効果を及ぼすことができる。
【0248】
本研究プロジェクトは、BCおよびSOポリフェノール抽出物ならびにそれらの組合せの、混合炭水化物(デンプンおよびスクロース)食後の食後血糖に対する急性効果を調査した。プラセボ(果実ポリフェノールなし)と比較して、BCおよびSOポリフェノール抽出物単独が食後血糖を抑制すると仮定された。さらに、BCおよびSO抽出物の組合せは、BCまたはSOポリフェノール抽出物のいずれか単独よりも、食後血糖に対してより大きな効果を有すると仮定された。これらの仮説を試験するため、低用量のBC抽出物(ポリフェノール800mg)、高用量のBC抽出物(ポリフェノール1600mg)、低用量のSO抽出物(800mg)、低用量のBCおよびSO抽出物の混合物(800mg/800mg)、またはプラセボ(ポリフェノールなし)を含有するドリンクの、食後血糖、インスリン血症および消化管ホルモンの血漿濃度に対する効果を調査した。無作為化、対照、クロスオーバー、単一食、不完備ブロック試験設計を使用し、各対象は、試験期間中プラセボと4種の処置ドリンクのうち3種を摂取した。
【0249】
ヨーロッパ系の人々の多くは乳糖ラクトースを消化することができるが、この遺伝的特質は、世界中の他の集団ではそれほど一般的ではない。成人期にラクトースを消化する特徴は、ラクターゼ活性持続症として公知であるが、この能力は離乳期後に失われるのが自然な状態である。ヨーロッパ人集団では、ラクターゼ・フロリジンヒドロラーゼ(LPH)酵素の活性は、遺伝子の上流領域の一塩基多型(SNP)によって成人期まで維持される。派生対立遺伝子(C-13910)が、ヨーロッパ人成人におけるLPの原因と考えられている。
【0250】
重要なことに、LPHの活性は、それらの吸収の重要なステップである食物フラボノイドの脱グリコシル化にも関連する(Nemeth, K., et al., 2003)。カシス抽出物は、LPHによって加水分解されるアントシアニン配糖体に富む。アントシアニンは、少なくとも部分的に消化酵素(アミラーゼ、ジサッカリダーゼ)を阻害する作用によって食後血糖を抑制すると仮定されるため、それらのアグリコン型(アントシアニジン)への加水分解のより速い速度は、グルコース吸収の抑制の程度の低減に関連すると予想され得る。
【0251】
本試験では、十分に特徴付けられたLP対立遺伝子と、プラセボドリンクと比べたカシスおよび/またはオレンジポリフェノール抽出物を含有するドリンクの補給に続く、炭水化物食に対する食後血糖応答との間に関連があるかどうかを調査した。
【0252】
試験目的
主要目的
カシスおよびスイートオレンジのポリフェノールに富む抽出物のグルコース吸収速度に対する効果を決定すること。主要評価項目は、血漿グルコースのiAUC0-30minであり、これはゼロからT30分の試料時間までの、ベースラインの血漿グルコース濃度対時間からの曲線下面積の変化と定義される。
【0253】
副次的目的
以下の血糖応答、インスリンおよび消化管ホルモン分泌のマーカー、ならびに食欲を含むグルコース吸収の関連パラメーターに対する、カシスおよびスイートオレンジのポリフェノールに富む抽出物の効果を決定すること:
1.血漿グルコース濃度のiAUC0-120min。
2.血漿インスリン、C-ペプチド、NEFA、GIP、PYYおよびGLP-1濃度のiAUC0-30minおよびiAUC0-120min。
3.120分間の試料採取期間にわたるベースラインからの最大変化として定義される、血漿グルコース、インスリン、C-ペプチド、NEFA、GIP、PYYおよびGLP-1濃度の増分CMAX(iCMAX)。
4.最大濃度到達時間として定義される、血漿グルコース、インスリン、C-ペプチド、NEFA、GIP、PYYおよびGLP-1のTMAX。
5.各時点(T10、20、30、45、60、75、90および120分)におけるグルコース、インスリン、C-ペプチド、NEFA、GIP、PYYおよびGLP-1の血漿濃度。
6.T10分におけるVASによる嗜好性の質問、ならびにT-10、10、30、60、90および120分における気分および満腹感の質問に対する回答は、記述統計を使用して要約される。
【0254】
治験計画
全体的な試験設計および計画の記載
無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を行った。対象は、不完備ブロック設計で4つの処置アームの1つに無作為化された(表1)。4回の別個の訪問にわたって、すべての対象が4種類のドリンク;プラセボおよび4種類の試験ドリンクのうち3種類を摂取した。低用量は800mgの総ポリフェノールを含有し、高用量は1600mgの総ポリフェノールを含有していた。試験ドリンクは、以下のa)低用量のBCポリフェノール(L-BC)、b)高用量のBCポリフェノール(H-BC)、c)低用量のSOポリフェノール(L-SO)、およびd)低用量のBCとSOポリフェノールの両方を含有する高用量のブレンドポリフェノール(H-ブレンド)であった。
【0255】
【0256】
最低ウォッシュアウト期間は7日間であり、また女性対象の周期的な生殖ホルモンの影響を最小限にするため、女性対象は月経周期の中間の2週間(第2週および第3週)のみ試験訪問に参加した。
【0257】
標準化された食事および運動の指導が訪問前に与えられた(原資料)。対象は、12時間の一晩の絶食後、前日の正午からカフェインを摂取せずに、各試験訪問の際に8時から10時の間に到着した。次に、対象は前腕静脈にカニュレーションを行い、2つのベースライン空腹時血液試料を採取した(T-10および-5分)。試験ドリンクの摂取(T0分)後、高炭水化物食(デンプンおよびスクロース)が提供された(白パンとアンズジャム)。血漿グルコース分析ならびに血清インスリンおよび血漿インクレチンおよび消化管ホルモン分析のために、T10、20、30、45、60、75、90および120分に食後採血を行った。T120分の試料が採取された時点で介入を終了した。その後、カニューレを抜去し、対象には軽い朝食およびホットドリンクが提供された。
【0258】
処置
投与された処置
LRSの新製品開発チームにより、プラセボおよび4種類の活性ポリフェノール含有ドリンクを含む5種類の異なる処置が供給された。ドリンクは200mlであり、可能な限り味と色を一致させた。BCおよびSO抽出物に存在する天然の糖の違いにより、表2に示される糖および抽出物の合計値を得るために、異なる量のグルコース、フルクトースおよびスクロースが添加された。
【0259】
【0260】
考察および全体的な結論
本試験では、BCおよびSOポリフェノール抽出物単独がプラセボと比較して食後血糖を抑制すること、ならびにBCとSO抽出物の組合せは、いずれかの抽出物単独よりも大きな効果を有することを仮定した。低用量のBC抽出物は、血漿グルコース濃度が主に腸吸収の速度によって決定される期間である、食後最初の30分における血漿グルコースの増加速度を有意に抑制した。しかし、予想外に、高用量のBC抽出物は、この食後早期の間にグルコースに対する有意な抑制効果を示さず、両方の抽出物800mgを含有するH-ブレンドは、最初の30分でグルコース濃度を有意に改変しなかった。SO抽出物は、有意な効果を示さなかった。これらの結果は不可解であるが、カシスポリフェノールが食後早期における血糖応答を抑制し、腸のグルコース吸収速度の低減を示す以前の知見を裏付ける。
【0261】
副次的アウトカムに関して、低用量抽出物と高用量抽出物の両方が、プラセボと比較して食後最初の30分でインスリン、C-ペプチドおよびGIPに対して有意な効果を示し、カシスポリフェノールがグルコースの循環への送達速度を改変するというエビデンスが強化された。高用量のブレンド抽出物は、GIPに対してのみ有意な抑制効果を示し、この用量後に腸のグルコース吸収速度の低減が示され、また低用量のSO抽出物は、食後最初の30分で有意な抑制効果を示さなかった。いずれのドリンクも、食後最初の30分でNEFA、PYYおよびGLP-1に対して抑制効果を有さなかった。
結果は、BC抽出物が0~30分のグルコース吸収を抑制することを示す以前の研究(Acosta Castro 2016)と一致した。しかし、本試験では、用量応答効果が欠如し、低用量のBC抽出物のみが有意な効果を示した。
【0262】
より低い用量のBCのグルコース吸収への有意な効果は、腸におけるグルコース吸収速度と密接に関連する血漿GIP分泌によって強く支持された。
【0263】
カシスポリフェノールに富む抽出物を含有するドリンクは、デンプンおよびスクロースを含有する食事後のグルコース吸収速度を遅らせるが、スイートオレンジ由来のヘスペリジンは知覚可能な効果を有さないという結論が、主要および副次的アウトカムによって支持される。
参考文献
【0264】
【0265】
別段記載されない限り、本明細書におけるすべてのパーセンテージは重量によるものであり、すべての圧力はゲージ圧ではなく絶対圧である。
【0266】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で詳細に記載されたが、本発明または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、それに対して変形を加えることができることが当業者によって理解される。
例示的な実施形態
【0267】
本発明は、以下の例示的な実施形態のリストを包含する。
1.少なくとも600mgのポリフェノール、および
少なくとも1gの繊維
を含む飲料組成物。
2.700~2000mgのポリフェノール、好ましくは800~1200mgのポリフェノールを含む、実施形態1に記載の飲料組成物。
3.ポリフェノールの供給源として濃縮果実抽出物を含む、実施形態1または実施形態2に記載の飲料組成物。
4.果実抽出物が、1種または複数のアントシアニンに富む果実に由来する、実施形態3に記載の飲料組成物。
5.アントシアニンに富む果実が、カシス、ブラックベリー、ブルーベリーおよびザクロ、またはそれらの2種以上の組合せから選択される、実施形態4に記載の飲料組成物。
6.ポリフェノールがカシスポリフェノールから実質的になる、先行する実施形態のいずれかに記載の飲料組成物。
7.1.25~3.5gの繊維、好ましくは1.5~2gの繊維を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の飲料組成物。
8.繊維の実質的にすべてが天然繊維、好ましくは細胞のパルプである、先行する実施形態のいずれかに記載の飲料組成物。
9.繊維の供給源として柑橘類繊維を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の飲料組成物。
10.繊維が柑橘類繊維から実質的にになる、先行する実施形態のいずれかに記載の飲料組成物。
11.100Kcal未満である、先行する実施形態のいずれかに記載の飲料組成物。
12.即時飲用可能であり、100~1000ml、好ましくは100~750ml、好ましくは150~500ml、好ましくは200~300mlの体積を有する、先行する実施形態のいずれかに記載の飲料組成物。
13.飲料が5g/100ml未満の糖を含む、実施形態12に記載の飲料組成物。
14.水による復元時に飲料を形成するための濃縮物として提供される、実施形態1~12のいずれかに記載の飲料組成物。
15.それを必要とする対象における認知機能を改善する方法で使用するための、先行する実施形態のいずれかに記載の飲料組成物。
16.II型糖尿病を管理および/または処置する方法で使用するための、実施形態1~14のいずれかに記載の飲料組成物。
17.食後血糖を低減する方法で使用するための、実施形態1~14のいずれかに記載の飲料組成物。
18.それを必要とする対象において体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善する方法で使用するための、実施形態1~14のいずれかに記載の飲料組成物。
19.心血管疾患のリスクを低減する方法で使用するための、実施形態1~14のいずれかに記載の飲料組成物。
20.血糖誘導性インスリン応答に起因する低血糖値のリスクを予防するまたは低減する方法で使用するための、実施形態1~14のいずれかに記載の飲料組成物。
21.ポリフェノールに富む果実抽出物と天然繊維成分を混合することを含む、実施形態1~14のいずれかに記載の飲料組成物を形成する方法。
22.少なくとも600mgのポリフェノール、および
少なくとも1gの繊維
を含む、炭水化物の補給とともにまたはその前に摂取される飲料組成物。
23.認知機能を改善するための、実施形態1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
24.II型糖尿病を管理および/または処置するための、実施形態1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
25.食後血糖を低減するための、実施形態1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
26.体重減少を促進するおよび/またはボディマス指数を改善するための、実施形態1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
27.心血管疾患のリスクを低減するための、実施形態1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
28.血糖誘導性インスリン応答に起因する低血糖値のリスクを予防するまたは低減するための、実施形態1~13のいずれかに記載の飲料組成物。
29.飲料組成物の一回分の分量が50ml~1,000mlである、実施形態1から19のいずれかに記載の飲料組成物。
【国際調査報告】