(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】カプセル化されて個別化された構成要素およびカプセル化されて個別化された構成要素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/10 20060101AFI20230419BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
H01L23/10 B
H01L23/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022532111
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2019086421
(87)【国際公開番号】W WO2021121608
(87)【国際公開日】2021-06-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト ミッテンドルファー
(72)【発明者】
【氏名】パウル フリードリッヒ リントナー
(57)【要約】
本発明は、カプセル化されて個別化された構成要素(6,7)を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、-基板(1)の基板表面(1o)にフレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を取り付け、フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)は、基板表面(1o)上に配置された構成ユニット(2,2’)を取り囲むステップ、-フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)上にカバー基板(5)を接合するステップ、-フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を硬化させるステップ、-カプセル化された構成要素(6,7)を個別化するステップ、を有している方法において、フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を接着剤から形成する、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化されて個別化された構成要素(6,7)を製造する方法であって、以下のステップ、すなわち、
-基板(1)の基板表面(1o)にフレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を取り付け、前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)は、前記基板表面(1o)上に配置された構成ユニット(2,2’)を取り囲むステップ、
-前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)上にカバー基板(5)を接合するステップ、
-前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を硬化させるステップ、
-カプセル化された前記構成要素(6,7)を個別化するステップ、
を有し、
前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を接着剤から形成することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記接着剤はシリコーン接着剤である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
カプセル化されて個別化された前記構成要素(6,7)を、ガラス状の構造体、特にSiO
2構造体が生じるように処理する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
カプセル化されて個別化された前記構成要素(6,7)を、プラズマおよび/またはガスで処理する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)の硬化を、前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)上への前記カバー基板(5)の接合前に行う、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)の前記接着剤を、インクジェット法、プリント法、モールディング、コーティング、噴霧、押出し、スプレーコーティング、スプレーラッカー塗布、および/またはラッカー塗布によって被着する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法を実施可能な、カプセル化されて個別化された構成要素(6,7)を製造するための装置であって、
-カプセル化されて個別化された前記構成要素(6,7)を収容するためのプロセスチャンバ(9,9’)と、
-カプセル化されて個別化された前記構成要素(6,7)を保持するための保持装置(13,13’)と、
-前記構成要素(6,7)の前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を処理するための処理手段(15,16,17)と、
を有している、装置。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法によって、および/または請求項7記載の装置によって製造される、カプセル化されて個別化された構成要素(6,7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列独立請求項に記載の方法、装置、および構成要素に関する。
【0002】
半導体産業の構成要素の生産は、ウェハ生産(英語:frontend)の分野と組立て(英語:backend)の分野とに分けられる。ウェハ生産後の基板もしくはウェハは、構成要素の面積に応じて、数百個までの構成要素を含む。ダイシング(英語:dicing)によって、構成要素は個別化され、組立てにおいて、配線され、カプセル化される、またはケーシング内にモールディングされる。複数の構成要素を1つの共通の支持体上に取り付けることもでき、その後、カプセル化(英語:packaging)が行われる。
【0003】
構成要素をモールディングするために使用される、例えばエポキシ樹脂のようなモールディング樹脂またはモールディングコンパウンドは、気密のカプセル化の好ましい構成ではない。このようなモールディングコンパウンドは、特に、ケーシング中空室を必要としない半導体構成要素のために適している。構成要素の光学的または機械的特性が損なわれるならば、モールディングコンパウンドはもはや使用できない。
【0004】
ケーシング内へのカプセル化は、湿気、酸素、または粉塵粒子のような周囲の影響に対する機械的保護およびシールドとして機能する。気密なパッケージにより、ケーシング内で、気密な雰囲気を生成することができ、したがって、必要に応じて構成要素を真空中にまたは保護ガス雰囲気下に置くことができる。例えば、構成要素支持体は、しばしばケーシングカバーに、保護ガス下で接着またはろう接される。カプセル内での真空状態をより長期に保つことができるように、ゲッタを使用することもできる。ゲッタは、化学反応によってまたは吸着によって分子に結合することができる化学的な反応材料である。
【0005】
構成要素もしくは構成ユニットは、特に光学的および/または電子的な形式の機能ユニットであって、例えばとりわけ、センサ、チップ、LED(発光ダイオード)もしくは光電子部品、MEMS(微小な電気機械システム)、レンズならびにレンズスタック、共振器等である。カプセル化されるセンサには、例えば光学センサ、加速度センサ、および回転センサが含まれる。構成要素もしくは構成ユニットは、半導体基板の加工の際に生じる集積回路を含むことができる。
【0006】
MEMSは、従来技術では、個々にパッケージに気密に包装されることが多い。しかしながら個別チップの加工には手間がかかる。
【0007】
したがって近年、特に、ウェハパターン形成後、カプセル化プロセスを完全にウェハレベルで実施するという新たなパッケージコンセプトが開発された。ウェハレベルパッケージ(WLP)により、個々の構成要素の取扱いは、ウェハレベルでのカプセル化により回避される。したがって、WLPは、すべての工程が直接、基板もしくはウェハ上で行われ、カプセル化後に初めて、ダイシングまたはその他の方法、例えばレーザー照射により、WLPパッケージがウェハから個別化される点で、従来のカプセル化とは異なっている。したがって、構成要素サイズに対するカプセル化サイズの比から算出される、構成部品のサイズを規定する形状係数は、ほぼ1に等しい。複数の構成要素、特にチップが、垂直方向にも2層以上で集積される場合、これは3次元集積回路(3D-IC)と呼ばれる。3D-ICのカプセル化、3Dパッケージは、複数のチップを積層することにより、1つだけのケーシング内のスペースを節約する。ウェハ・トゥ・ウェハ(W2W)法では、ウェハと、ウェハ上に位置する構成要素とが、カバー基板に結合されてから、ダイシングされる。代替的に、チップ・トゥ・ウェハ(C2W)法も可能であり、この場合、例えば既に個別化されたカバーが個々に、画定された構成要素上に取り付けられる。その後、ウェハは、完成したカプセル化された構成要素と共にダイシングされる。C2W法により、様々なサイズのチップを使用することができる。
【0008】
例えば、壁とカバーとから成り、互いに接着、溶接、またはろう接された、セラミックまたは金属製の従来のケーシングは、小型化の要求により、もはや問題ではない。
【0009】
従来技術には、ウェハレベルでのほぼ気密なまたは気密なカプセル化のための多数の手法があり、例えば、とりわけ金属との溶接またはろう接を含む方法、例えばガラスフリット接合、融着、陽極接合、または接着剤による接着接合のような接合法、またはベンゾシクロブテン(BCB)や液晶ポリマー(LCP)のようなポリマー材料の使用が含まれる。
【0010】
陽極接合では、基板もしくは製品ウェハ上で構成要素をカプセル化するために、3次元パターン形成されたガラスウェハが用いられる。同様に、他の接合法でも、パターン形成されたシリコンウェハが必要とされる。しかしながら、3Dパターン形成されたカバー基板を備えたカバーは、最初に3Dパターンを製作しなければならないので、複雑でありコストがかかる。さらなる問題は、高い工程温度であり、これにより融着のような方法の使用が制限される。
【0011】
ほぼ気密な封止のためには、従来技術では、BCBが中間層として使用される。BCBは、熱の作用下で重合し、半導体産業で、誘導体、中間層、または封止層として使用される。LCPはガスおよび水蒸気に対する良好なバリア特性を有しており、これを利用して、構成要素のカプセル化のためのフィルムとして使用されている。LCPフィルムは、例えば、製品基板をカバーし、個々の構成要素のためのキャビティを有している。しかしながら、BCBとLCPとによっては、ほぼ気密なカプセル化しか可能ではない。
【0012】
接着剤が使用されるならば、構成要素を備えた基板もしくは製品基板に接着剤を使用して結合されるカバー基板によって、カプセル化が行われる。接着剤がポリマーであるならば、ポリマーのバリア特性は、気密なシールのためにも適していることが望ましい。
【0013】
製造されたカプセルの拡散気密性という意味での気密なカプセルの製造は、ケーシング中空室が存在している場合には特に、依然として課題がある。気密なパッケージにより、ケーシング内で、気密な雰囲気を生成することができ、したがって、必要に応じて構成要素を真空中にまたは保護ガス雰囲気下に置くことができる。気密性が存在しない、または不十分にしか存在しない場合には、構成要素の耐性または耐用期間は短縮される。時間と共に侵入する湿気によりしばしば、結露の生成または腐食の形成による障害のような問題が生じる。有機発光ダイオードは、例えば、湿気だけでなく、酸素に対しても極めて敏感である。
【0014】
今日の従来技術における接着剤の問題点は、しばしば、気密ではないカプセル化またはほぼ気密なカプセル化しか達成されないことにある。例えば、エポキシ接着剤によっては、気密なカプセル化は不可能である。
【0015】
さらに、接着剤が必要なだけではなく、個々の構成要素を取り囲むフレーム構造体も事前に被着または形成されなければならない。フレーム構造体は、製品基板に、かつ/またはカバー基板に被着されてよく、かつ/またはフレーム構造体は、パターン形成された基板カバー、すなわちカバー基板であってもよい。
【0016】
欧州特許第1474356号明細書では、光パターン形成可能なエポキシ樹脂、例えばSU-8から成るフレーム構造体が使用されている。カバー基板とフレーム構造体との結合は、付加的な接着層によって、またはカバー基板とフレーム構造体との接合により行われる。
【0017】
米国特許第6995462号明細書では、光学センサを備えた製品ウェハ上に透明なカバー基板が接合される。この場合、製品ウェハ上またはカバー基板上に直接、接着剤がパターン形成されて被着される。使用される接着剤は、例えばエポキシ接着剤、シリコーン接着剤、またはアクリル接着剤である。その後、カプセル化された構成要素が個別化される。
【0018】
米国特許第7541658号明細書にも、フレーム構造体を形成するために、支持基板の個々のチップセンサの周りに、架橋可能な材料を複数回塗布することが示されている。その後、チップは、カバー基板によってカプセル化される。
【0019】
欠点として、従来技術ではフレーム構造体を、一方の接着層で支持基板に、別の接着層でカバー基板に取り付けなければならない。このような方法は、極めて多数のステップを含み、極めて手間がかかる。
【0020】
従来技術に関する問題点はさらに、従来の接着剤、またはフレーム構造体のために使用される別の材料によっては、カプセル化された構成要素の個別化後はしばしば、パッケージの不十分に気密な封止しか達成され得ないということにある。このことは、長期にわたる信頼性の問題、およびカプセル化された構成要素の耐用期間が短縮されるという問題を意味する。
【0021】
本発明の解決すべき課題は、従来技術の欠点を解消することにあり、特に、構成要素の気密なカプセル化のための改善された簡単な方法を提供することにある。
【0022】
この課題は、並列独立請求項の特徴により解決される。本発明の好適な別の構成は従属請求項に記載されている。明細書、請求の範囲、および/または図面に記載されている特徴の少なくとも2つから成るすべての組み合わせも本発明の範囲にある。記載された数値範囲においては、上記範囲内にある値も、限界値として開示されたものとみなされ、任意の組み合わせで特許請求することができる。
【0023】
本発明は、カプセル化されて個別化された構成要素を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
-基板の基板表面にフレーム構造体を取り付け、フレーム構造体は、基板表面上に配置された構成ユニットを取り囲むステップ、
-フレーム構造体上にカバー基板を接合するステップ、
-フレーム構造体を硬化させるステップ、
-カプセル化された構成要素を個別化するステップ、を有しており、
本発明によれば、フレーム構造体を接着剤から形成する、方法に関する。
【0024】
本発明はさらに、本発明による方法を実施可能な、カプセル化されて個別化された構成要素を製造するための装置であって、
-カプセル化されて個別化された構成要素を収容するためのプロセスチャンバと、
-カプセル化されて個別化された構成要素を保持するための保持装置と、
-構成要素のフレーム構造体を処理するための処理手段と、
を有している、装置に関する。
【0025】
本発明はさらに、本発明による方法および/または本発明による装置によって製造される、カプセル化されて個別化される構成要素に関する。
【0026】
有利には、フレーム構造体のより迅速かつ簡単な製造が可能であると同時に、付加的な接着層は不要であり、これにより必要な作業ステップが少なくなる。
【0027】
本発明の根底にある思想は特に、構成要素の個別化後に、拡散気密性という意味での完全に気密なカプセル化を達成するために、フレーム構造体の後処理を行うというものである。
【0028】
好適には、接着剤はシリコーン接着剤である。これにより有利には、改善されたシール性が達成可能である。
【0029】
好ましくは、カプセル化されて個別化された構成要素を、ガラス状の構造、特にSiO2構造が生じるように処理する。これにより有利には、改善されたシール性が達成可能である。
【0030】
好ましくは、カプセル化されて個別化された構成要素を、プラズマおよび/またはガスで処理する。これにより有利には、改善されたシール性が達成可能である。
【0031】
本発明は特に、積層されて、接着剤によって接合された構造を有する、カプセル化された構成要素であって、その外縁はほぼ同じであって、
-構成ユニット、
-構成ユニットを取り囲み、積層された構造の内側に閉じられた中空室を形成するフレーム構造体、および
-拡散密なカバー
を有しており、
フレーム構造体が、構成ユニットとカバーとの間のスペーサとして機能し、
プラズマ、好ましくはO2プラズマ、および/またはUV/オゾンおよび/またはレーザーおよび/または反応性のガスによる、フレーム構造体の処理により、もしくは既に硬化された接着剤の処理により、カプセル化された構成要素の個別化後の気密性が達成される、
カプセル化された構成要素に関する。
【0032】
フレーム材料から成る外壁の後処理により、表面が密になり、したがって、長期の信頼性が向上された気密なカプセル化が得られるので、本発明による構成要素によって、特に有利には、従来技術と比較して改善された気密なカプセル化が達成される。
【0033】
本発明は特に、気密にカプセル化された構成要素を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
-製品基板上のそれぞれ個々の構成ユニットを、好適には構成ユニットの形式に応じてコンタクトされて完成した構成ユニットを、取り囲むフレーム構造体を取り付けるステップ、
-フレーム構造体を拡散密なカバー基板に接着することにより、製品基板とカバー基板とを接合するステップ、
-フレーム構造体の接着剤を硬化させるステップ、
-カプセル化された構成要素を個別化するステップ、
-カプセル化されて既に個別化された構成要素を、プラズマ、好ましくはO2プラズマおよび/またはUV/オゾンおよび/またはレーザーおよび/または反応性のガスによって処理するステップであって、接着剤フレーム構造体の処理により、表面改質が達成されて密なSiO2が生じるステップ、
を有している方法を記載している。
【0034】
フレーム構造体の硬化は、特別な実施の形態では、製品基板とカバー基板との結合前に行われてもよい、もしくはフレーム構造体の硬化は、好適にはフレーム構造体へのカバー基板の接合前に行われる。この実施の形態では、製品基板とカバー基板との結合前に、接着剤の層を、既に硬化したフレーム構造体上に合同に塗布し、結合後に硬化させる。実施の形態の選択は、とりわけ、フレーム構造体の必要な高さに関しても行われる。フレーム構造体の必要な高さに達するために、フレーム構造体のための材料を繰り返し塗布することも考えられ、この場合、各層は次の層が塗布される前に、材料選択に応じて、硬化されない、または部分的に硬化される、または完全に硬化される。
【0035】
本発明の核心は、特に、既にカプセル化されて個別化された構成要素のフレーム構造体を化学的にかつ/または物理的に後処理することにより、高品質かつ高気密のカプセル化を可能にする、接着剤によるウェハレベルでのカプセル化のための簡単な方法を利用することができることにある。
【0036】
したがって、フレーム構造体は、機械的な安定化構造としてだけではなく、雰囲気中にかつ/または周囲に存在する粒子および媒体、特に流体、さらに特殊な液体またはガス、特に水(湿気)および酸素に対する保護構造としても機能する。
【0037】
フレーム構造体の接着剤を、例えば、インクジェット法、プリント法、モールディング、コーティング、噴霧、押出し、および/またはラッカー塗布のような方法によって被着することができる。接着剤を塗布するための別の技術は、例えばスプレーコーティングまたはスプレーラッカー塗布である。これは、ノズルが基板に対して相対運動を実施する間に、塗布すべき液体を噴霧する技術である。ノズルと基板との間の相対運動は、単純な回転、並進運動、または複雑な運動であってよい。
【0038】
いくつかの接着剤材料は高い粘性を有していて、必要な場合は溶剤で希釈しなければならない。本発明によるフレーム構造体の、製品基板への被着は、例えば、これに関して参照される国際公開第2016/113008号による装置によって行うことができる。
【0039】
代替的には、接着剤もしくはフレーム構造体を被着するために、インクジェット法ならびにプリント法、例えばマイクロコンタクトプリント法、スクリーン印刷またはフレキソ印刷が使用されてよい。
【0040】
本発明による方法は、2つの部分から成るカプセル化を起点としており、すなわち、製品基板で構成ユニットを取り囲むフレーム構造体によるカプセル化、およびこのフレーム構造体上に載置されるカバー基板によるカプセル化である。カプセル化のために結合する前に、製品基板とカバー基板とをできるだけ正確に互いに位置合わせさせなければならない。基板の位置合わせは好適には、相応のアライメント装置によって実施される。このようなアライメント装置は、例えば、これに関しては参照される国際公開第2014/202106号に記載されている。位置合わせは、好適にはアライメントマークによって行われる。製品基板には、アライメントマークの他に、機能ユニット、すなわち構成ユニットが位置している。
【0041】
好適には基板はほぼ同じ直径を有していて、これらの直径の互いのずれは特に5mm未満、好適には3mm未満、さらに好適には1mm未満である。
【0042】
基板を接合するための装置は、例えば、特許文献、欧州特許第1564804号明細書および米国特許第6214692号明細書に記載されている。位置合わせおよび接合は、特に、上記の特許文献の通りに行われ、詳しくは説明しない。
【0043】
個別化は、様々な方法によって実施することができる。個別化における分離法としては、例えば、機械的なダイシングならびにプラズマに基づく分離法および/またはレーザーに基づく分離法が使用される。
【0044】
特に本発明のさらなる対象は、特に本発明に係る方法を実施するための、カプセル化されて個別化された構成要素を製造および/または処理する装置であって、
-カプセル化されて個別化された構成要素を収容するプロセスチャンバと、
-カプセル化されて個別化された構成要素を保持する保持装置と、
-カプセル化されて個別化された構成要素のフレーム構造体を処理するプラズマ源および/またはUV光および/またはオゾン源および/またはレーザー源と、
-プロセスチャンバ内に、1種のまたは複数種のガス状の成分を導入する手段と、
-加熱手段、ならびに保持装置およびプロセスチャンバの温度制御用の制御手段と、
を有している、装置に関する。
【0045】
この装置/設備は、モジュール式に構成されていてよく、特に全体的な装置の部分であってよい。しかしながらこの装置は、それ自体が、複数のモジュールを備えた全体的な装置であってもよい。
【0046】
本発明に係る装置および本発明に係る方法によって、特に、カプセル化されて個別化された複数の構成要素を同時に装置に装填することができ、これにより同時に、フレーム構造体の外壁を処理することができ、これによりほぼ同時に、密なSiOx、特にSiO2への表面改質が達成され、したがってカプセル化の長期の気密性が保証されている。
【0047】
接着剤材料もしくはフレーム構造体の材料
本発明による方法では、製品基板をカバー基板に結合するために、接着剤、特にUV接着剤が使用される。接着剤によっては、製品基板における個々の構成ユニットの周囲のフレーム構造体も製造される。フレーム構造体は、個別化後、カプセル化された構成要素の外壁を規定する。
【0048】
カプセル化された構成要素の個別化は、フレーム構造体が、製品基板の構成ユニットの周囲にどのように被着されているかに応じて、例えば、フレーム構造体の真ん中で、または2つのフレーム構造体の間で実施されてよい。
【0049】
接着剤の硬化は、電磁放射によって、熱によって、電流によって、磁場によって、および/またはその他の方法によって実施されてよい。
【0050】
接着剤の効果は、材料に応じて、好適には電磁放射によって、好ましくはUV光またはIR光によって行われる。電磁放射は、10nm~2000nm、好ましくは10nm~1500nm、より好ましくは10nm~1000nm、最も好ましくは10nm~500nmの範囲の波長を有する。
【0051】
熱による硬化も考えられる。熱硬化は、0°C~500°C、好ましくは0°C~400°C、より好ましくは0°C~300°C、最も好ましくは0°C~200°Cで行われる。
【0052】
硬化は、特に接着剤の重合に基づくものである。この場合、重合は、いわゆる開始剤により開始させられる。硬化のために電磁放射が用いられる場合、両基板のうちの少なくとも一方は、特にカバー基板は、接着剤の架橋を起こす波長範囲の電磁放射に対して透過性または十分に透過性である。特にカバー基板は、ガラス基板またはサファイア基板である。
【0053】
接着のために、製品基板上で、および/またはカバー(カバー基板)上で、および/または中間層上で、接着剤塗布が全面的に、またはフレーム構造体に沿って選択的に行われてよい。フレーム構造体を接着剤によって被着する場合には、接着剤塗布は、選択的に、もしくは、フレーム構造体を製造するためにパターン形成されて、好適には製品基板で行われる。
【0054】
好適には永久接着剤が使用される。永久接着剤とは、化学的、熱的、または電磁的な作用下で、そのポリマー鎖が永久的に互いに架橋するポリマーである。架橋過程は不可逆的である。このようなポリマーは、基板、特に、様々な材料から成る基板を互いに結合させるために使用される。
【0055】
本発明によれば、接着剤には、とりわけ、エポキシ樹脂、フォトレジスト材料、フッ素ポリマー、シルセスキオキサン、ベンゾシクロブテン、ポリメチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、および熱可塑性コポリマー、例えば、ポリ塩化ビニルなどが含まれる。
【0056】
ウェハ・トゥ・ウェハ(W2W)法のためには、SU-8のようなエポキシ材料ならびにベンゾシクロブテン(BCB)が、250℃未満の接合温度における接着剤として使用される。
【0057】
好適には、シリコーンベースの接着剤、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)接着剤、または、8官能性多面体シルセスキオキサン(POSS)含有接着剤が使用され、これらの接着剤は硬化後、その表面に、または表面に近い層に、Si-O単位および/またはSi-OH単位を有し、これらの単位は、化学的および/または物理的処理によって、密なSiOxに改質され得る。特に、シリコーンベースの接着剤から成るフレーム構造体の密閉化が達成される表面改質が行われることが望ましい。
【0058】
特別な実施の形態では、フレーム構造体材料もしくは接着剤は、特別な特性を有するためにポリマー複合材料であってもよい。接着剤は、例えば、有機および無機の割合の両方を含んでいてよく、または粒子、例えば金属粒子、特にナノ粒子を含んでいてよく、または導電性であってよい。硬化した接着剤によって、電磁放射の一部のみが透過される場合、フレーム構造体もしくは接着剤はフィルタとして機能する。
【0059】
接合では、製品基板とカバー基板とが結合される。接合は、フレーム構造体と拡散密なカバー基板との接着により行われ、接合の際には、圧力および/または温度を加えることができる。
【0060】
カプセル化されて個別化された構成要素におけるフレーム構造体の表面改質
ウェハレベルパッケージングにおける最後のプロセスステップの1つは個別化であり、この場合、最終的に加工された基板、もしくはカプセル化されて完成した構成要素が分離される。構成要素の個別化(英語:dicing)は、ダイシング、レーザー法(レーザーダイシング)、またはプラズマ法(プラズマダイシング)により行われてよい。
【0061】
カプセル化された構成要素の個別化後に初めて、フレーム構造体を本発明により後処理することができ、これによりカプセル化の所望の気密性が達成される。個別化後のカプセル化された構成要素のフレーム構造体の処理は、カプセル化されて個別化された複数の構成要素において同時に実施することができるという利点を有している。
【0062】
個別化後、カプセル化された構成要素は必ずしも露出していない。個別化前は、例えば、ダイシングフィルム(英語:dicing tape)が基板に接着されていてよい。ダイシングフィルムは、例えば、接着フィルム、サーマルフィルム、またはUVフィルムである。基板は、ダイシングフレームに位置固定される。ダイシングリングは、フィルムを付加的に拡張状態で位置固定することができ、基板とダイシングフレームとの間に押し込まれる。
【0063】
例示的な第1の実施の形態ではカプセル化された構成要素のさらなる処理のために、カプセル化されて分離された構成要素の間隔を、ダイシングフィルムの拡張により広げる必要がある。このためには例えば、拡張フレームが使用される。これにより、側壁への、すなわち、カプセル化された構成要素のフレーム構造体へのアクセスが向上し、したがってより効率的な後処理が可能となる。
【0064】
カプセル化されて個別化された構成要素がまだフィルム上に、特にダイシングフレームに張設されたダイシングフィルム上に位置固定されているならば、1つの基板もしくはウェハのすべての個別化された構成要素を、ウェハレベルで同時に処理することができ、手間をかけて個々のチップを処理する必要はない。この場合、有利には、ウェハの処理のためには既存の装置を使用することができ、これにより後処理プロセスは簡単になる。
【0065】
好適には、フィルム材料およびフレーム材料と(後)処理方法、例えば、特にプラズマ法との適合性が、場合によっては検査されて、相応に適した材料が選択される。
【0066】
フィルムにとってもはや適切ではないプロセス条件、例えば、過剰な高温および/または化学的および/または物理的エッチング速度、においては、例示的な第2の実施の形態において、カプセル化された構成要素が、個別のチップ処理法で処理される。したがって、この実施の形態でも、カプセル化されて個別化された複数の構成要素を同時に処理することができる。
【0067】
例示的な第3の実施の形態では、カプセル化されて個別化された構成要素は、このために適切な保持装置内でルーズに搬送されて、処理されてもよい。
【0068】
特に、本発明によれば、フレーム構造体を製造するためには、シリコーンベースの接着剤、例えば、PDMS接着剤またはPOSS含有接着剤が好ましく、これらの接着剤は硬化後、その表面に、または表面に近い層に、Si-O単位および/またはSi-OH単位を有し、これらの単位は、後処理中に、化学的および/または物理的プロセスにより、SiOxもしくはSiO2表面層に改質され得る。
【0069】
プラズマプロセスおよびイオンスパッタプロセスは、半導体産業において、表面のクリーニングおよび/または活性化のために使用される。表面クリーニングおよび/または表面活性化のための従来技術の方法は、一般的に、後続のプロセスのための基板表面の前処理のために行われる。科学文献(例えば、“Progress in Adhesion and Adhesives”、Ed.K.L. Mittal著、Scrivener Publishing and John Wiley & Sons社、2015年)により、プラズマ処理によって、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の表面を活性化させることができ、これにより第2のPDMS表面またはガラス表面との永久接合が可能であることが知られている。O2プラズマ処理により、表面は酸化され、PDMS表面にシラノール基が生じる。プラズマ処理された2つの表面が接触すると、共有結合の-O-Si-O-化合物が発生する。
【0070】
本発明によれば好ましくは、酸素、窒素、希ガス、またはより複雑な有機ガス化合物によって生成されるプラズマは、イオン衝撃によって、またプラズマ中に存在するイオンおよび/またはラジカルによる表面反応によって、基板表面を改質することができる。
【0071】
好適な実施の形態では、酸素プラズマ(O2プラズマ)が使用される。本発明によれば、O2プラズマ処理のプロセスパラメータは、シリコーンベースの接着剤から成る、露出したフレーム構造体の表面改質が行われて、密なSiO2が形成されるように、最適化される。このためには、ガス混合物、温度、およびO2プラズマ処理の継続時間のようなプロセスパラメータは、効果的かつ耐久性のある表面改質が行われて密なSiO2が形成されるように最適化される。これにより、カプセル化された構成要素の、既に硬化された外側のフレーム構造体の気密な封止が達成される。
【0072】
本発明による別の実施の形態では、フレーム構造体の表面との反応により、露出したフレーム構造体のより迅速な表面改質が達成され、密なSiO2もしくはSiOxが形成されるように、O2プラズマプロセスに付加的な成分が導入される。
【0073】
本発明によれば好ましくは、付加的な成分は、複数の物質の混合物、または単一の化合物であってよい。好ましくは、付加的な成分は、ガスとして導入される。独立的な本発明による実施の形態では、シロキサンが化合物として使用される。シロキサンには、例えば、ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HDMS)、オクタメチルトリシロキサンが含まれる。HMDSは、プラズマで安定的な耐傷性の層ならびに保護層を析出させるのに適している。この場合、プラズマは、HMDS・酸素混合物と共に使用される。プラズマにおいては、シロキサンモノマーの反応性の高い断片(とりわけ、ラジカルとイオン)が発生し、表面にポリマー層を形成する(プラズマ重合)。酸素濃度が上昇するにつれ、Si-O-Siラジカルの再結合により層析出が生じ、層は石英状となる。SiOx層の厚さは、処理時間とシロキサンの濃度とによって制御することができる。処理は、カプセル化されたフレーム構造体が、SiOx表面層の形成により、拡散シール性に関して所望の気密性に達するまで続けられる。
【0074】
別の好適な実施の形態では、フレーム構造体は、構成要素の個別化後にUV光/オゾン(O3)処理にさらされる。短波のUV光処理によって、表面をクリーニングするかつ/または改質することができる。200nm未満の波長のUV放射が酸素に当たると、オゾンが生成される。オゾン自体は、UV光によって分解されて、反応性の高い酸素フリーラジカルが生じる。
【0075】
特に、フレーム構造体を製造するためには、シリコーンベースの接着剤、例えば、PDMS接着剤またはPOSS含有接着剤が使用され、これらの接着剤は硬化後、その表面に、または表面に近い層に、Si-O単位および/またはSi-OH単位を有し、これらの単位は、UV/オゾン処理中に、光化学プロセスにより、SiOx表面層に改質され得る。このような光化学プロセスは、好適には、室温で行われる。
【0076】
プロセスパラメータは、薄いSiOx表面層が生じることができるように最適化される。別の実施の形態では、プラズマ処理と同様に、このプロセスでも、付加的な成分が導入されてよい。
【0077】
別の好適な実施の形態では、フレーム構造体は、構成要素の個別化後に放射源、特にレーザーによって処理される。本発明によれば、フレーム構造体は、接着剤、好適にはポリマー接着剤から製造される。
【0078】
ポリマーマトリックスのレーザー照射の際には、照射された構造体の光化学的分解が得られるまで、熱的および非熱的相互作用工程が行われる。これらは複雑な光化学反応であり、また光熱反応でもあり、光化学反応と光熱反応の割合は、1)ポリマー材料、2)レーザー波長、3)パルス時間等の選択により変化させることができ、したがって制御することができる。非熱的工程とは、熱作用が存在はするが、無視できるものであると理解されたい。
【0079】
レーザーによるフレーム構造体の照射では、例えば、ポリマー断片、分解生成物、およびガス状生成物が、高温になることなく、生じ得る。構成要素およびカプセル化の負荷または損傷を回避するためには、非熱的相互作用工程が好ましい。アブレーション限界未満の低いフルエンス(一定のパルス時間における単位面積あたりの放射エネルギ)によって、ポリマー表面の化学組成における変化が達成され得る。ポリマーをアブレーションさせずに照射することができる強度は、材料に応じて、実験的に決定される。
【0080】
カプセル化されて個別化された構成要素、特にフレーム構造体は、本発明の好適な実施の形態によれば、予め規定された波長および/または出力および/またはパルス持続時間で負荷され、この場合、予め規定されたプロセスパラメータは、好ましくは、各材料に適合されている。このような実施の形態は、波長および/またはパルス時間および/またはレーザー出力によって、進入深さおよびプロセスに影響を与えることができるので、有利である。
【0081】
本発明によれば、フレーム構造体の材料もしくは接着剤材料と、後処理プロセスとは、密なSiOxを形成するための所望の材料改質が最適に行われるように、互いに適合される。
【0082】
本発明の実質的な利点は、特に、W2Wプロセスにおいて結合層としての接着剤によって製作され、カプセル化された構成要素の気密性、ひいては品質および耐用期間が向上されることにある。
【0083】
基板
基板もしくは半導体基板とは、まだ個別化されていない、特に円形の、半導体産業の半製品であると理解される。特に、本発明による実施の形態はウェハに関する。製品基板およびカバー基板は好ましくは半径方向対称である。基板は任意のいかなる直径をも有することができるが、基板直径は特に1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、18インチであり、または18インチよりも大きい。特別な実施の形態では、基板が、方形の形状または少なくとも円形の形状とは異なる形状を有していてもよい。基板とは、これ以降は、特にウェハであると理解される。
【0084】
好適には基板はほぼ同じ直径D1およびD2を有していて、これらの直径の互いのずれは特に5mm未満、好適には3mm未満、さらに好適には1mm未満である。
【0085】
カバー基板
パッケージすべき構成ユニットの周囲に、本発明によれば接着剤から成るフレーム構造体が被着される。フレームは、構成ユニットと同じ高さ、または構成ユニットよりも高く、拡散密なカバーによって閉じられる。カバー基板のための材料としては、好適にはガラス、シリコン、またはプラスチックが適している。別の材料は、例えば、サファイアガラス、半導体、化合物半導体、酸化物、セラミック、または金属である。拡散密な基板カバーは、透明であってよく、または構成要素を光から保護しなければならない場合には半透明であってよい。LEDは、例えば複数の層から構成されており、主としてガラスまたはプラスチックプレートによって封止される。酸素、湿気、または粉塵粒子は故障の原因となるので、この場合、カプセル化の品質は実質的に、耐用期間を決定する。
【0086】
本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、以下の好適な実施例の説明および図面により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1a】構成ユニットを含む製品基板を示す平面図である。
【
図1b】第1の実施の形態の製品基板を示す横断面図である。
【
図1c】第2の実施の形態の製品基板を示す横断面図である。
【
図2a】第1の実施の形態の本発明による方法の第1のプロセスステップ後の製品基板を示す図である。
【
図2c】第2の実施の形態の本発明による方法の第1のプロセスステップ後の製品基板を示す側面図である。
【
図3a】第1の実施の形態の製品基板のフレーム構造体を示す側面図である。
【
図3b】第2の実施の形態の製品基板のフレーム構造体を示す側面図である。
【
図3c】第3の実施の形態の製品基板のフレーム構造体を示す側面図である。
【
図4a】第1の実施の形態のカプセル化されて個別化された構成要素を示す側面図である。
【
図4b】密なSiO
xへと表面改質するための表面の後処理のプロセスステップ後の第1の実施の形態のカプセル化されて個別化された構成要素を示す側面図である。
【
図4c】密なSiO
xへと表面改質するための表面の後処理の最後のプロセスステップ後の本発明によりカプセル化されて個別化された構成要素を示す平面図である。
【
図5a】カプセル化された構成要素を後処理するための本発明に係る装置の第1の実施の形態を概略的に示す図である。
【
図5b】カプセル化された構成要素を後処理するための本発明に係る装置の第2の実施の形態を概略的に示す図である。
【0088】
図面では、同じ構成部分または同じ機能を有する構成部分には同じ符号が付与されている。図面は、見易くするために、縮尺を忠実に再現しているものではない。
【0089】
図1aには製品基板1が示されており、この製品基板の表面1o上には、その上に位置する構成ユニット2が製作されている。
図1bによると、この構成ユニット2は、導電性の接続部3,3’も含むことができる。
【0090】
図1cによる別の実施の形態では、構成ユニット2’は光学的な構造体、特に、支持基板1’上のおよび/または支持基板1’を有したマイクロレンズである。処理される基板1,1’は、ウェハレベルで完全にカプセル化プロセスを実施することができるように、構成ユニット2,2’間に正確に規定された空き面積1fを有している。
【0091】
図2aに例示した本発明に係る方法の第1のステップでは、構成ユニット2の間にフレーム構造体4が被着される。
【0092】
本発明に係るカプセル化法は、2つの部分から成るカプセル化を起点としており、すなわち、構成ユニット2,2’を取り囲むフレーム構造体4によるカプセル化、およびこのフレーム構造体上に載置される、
図2bおよび
図2cに示されたカバー基板5によるカプセル化である。
【0093】
フレーム構造体4は、カバー基板5に接合するために使用される接着剤から製造される。
【0094】
図2bによる側面図には、幅の広いフレーム構造体4が被着されたことが示されている。構成ユニット2とフレーム構造体4との間には、空きスペース1f’が生じている。
図2bに示されたようにカプセル化後の構成要素の個別化は、例えば切断線Sに沿って行われる。
【0095】
図2cによる別の実施例では、構成ユニット2の間にそれぞれ個別のフレーム構造体4’が被着されているので、カプセル化後の構成要素の個別化は、2つのフレーム構造体4’の間で行われる。これについては、
図2cの切断線S’を参照されたい。
【0096】
フレーム構造体4の高さは、必要に応じてもしくは構成ユニット2,2’の形式に応じて、非常に様々に変更されてよい。構成ユニット2,2’の上方に中空室が必要な場合には、または所望される場合には、フレーム構造体4の必要な高さは個別に最適化される。
【0097】
フレーム構造体4の高さとは、場合によってはさらに必要な接着剤層を含むフレーム4,4’,4’’,4’’’の総高さを意味する。
【0098】
フレーム構造体4,4’,4’’,4’’’は、カバー基板5に接合するために使用される接着剤材料から製造される。したがって、好ましい実施の形態では、フレーム構造体を製造するために1つの接着剤材料のみが使用される。
【0099】
フレーム構造体の被着後は、
図3aおよび
図3bに示したように、構成ユニット2,2’とフレーム構造体4,4’’との間には高さの差Hが生じる。
図3bの実施の形態では、フレーム構造体4’’と構成ユニット2とはほぼ同じ高さであるので、高さの差Hはほぼゼロである。
【0100】
図3cによる別の実施の形態では、フレーム構造体4’’’を、複数の材料層の被着により形成することができる。フレーム構造体4’’’のための材料としての接着剤は、各層が被着された後、本発明によれば、部分的にまたは完全に架橋することができ、すなわち、例えばUV放射または熱供給により硬化させることができる。代替的な実施の形態では、接着剤の粘度および/または流動性に応じて、まずは複数の層を互いに重ねて被着させてから、完全な硬化を行うことができる。
【0101】
本発明によれば、硬化は、好ましくは接着剤の重合に基づくものである。この場合、重合は、いわゆる開始剤により開始させられる。硬化のために電磁放射が用いられる場合、両基板のうちの少なくとも一方は、特にカバー基板は、接着剤の架橋を起こす波長範囲の電磁放射に対して透過性または十分に透過性である。
【0102】
特別な実施の形態では、フレーム構造体の完全な硬化が、製品基板とカバー基板との結合前に行われてもよい。この実施の形態では、製品基板とカバー基板との結合前に、接着剤の層を、既に硬化したフレーム構造体上に合同に塗布し、結合後に硬化させる。
【0103】
硬化プロセスは、電磁放射、特にUV光によって、かつ/または熱放射の作用によって行われる。電磁放射は、10nm~2000nm、好ましくは10nm~1500nm、より好ましくは10nm~1000nm、最も好ましくは10nm~500nmの範囲の波長を有する。
【0104】
熱処理は、750℃未満、好適には500℃未満、さらに好適には250℃未満、極めて好適には100℃未満、最も好適には50℃未満で行われる。熱処理は、好ましくは、サンプルホルダによる熱伝導を介して行われる。しかしながら、周囲の雰囲気の加熱も、またはこれらの組み合わせも考えられる。
【0105】
第2のプロセスステップでは、
図2bおよび
図2cに示したように、フレーム構造体を拡散密なカバー基板に接着することにより、製品基板とカバー基板との接合が行われ、この場合、接着剤がフレーム構造体を形成している。接着剤による製品基板とカバー基板との接合の際には、付加的に、圧力および/または熱が加えられてよい。カバー基板が透過性の場合、製品基板とカバー基板との結合後に、フレーム構造体/接着剤の硬化を行うことができる。
【0106】
さらなるプロセスステップでは、カプセル化された構成要素の個別化が行われる。
図4aは、カプセル化されて個別化された構成要素6を示している。構成ユニット2はフレーム構造体4によって側方で取り囲まれている。個別化の際には、処理が完成した基板上にある、完成したカプセル化された構成要素が分離される。構成要素の個別化は、ダイシング、レーザー法(レーザーダイシング)、またはプラズマ法(プラズマダイシング)により行われてよい。
【0107】
フレーム構造体の外表面4oでは、高品質かつ高気密のカプセル化は不可能である。構成要素の長期安定化を可能とするために、カプセル化されて個別化された構成要素は、最後のプロセスステップで後処理される。特に、フレーム構造体4の外表面4oの化学的改質が達成される。既にカプセル化されて個別化された構成要素のフレーム構造体の表面4oを本発明により化学的および/または物理的に後処理することにより、高品質かつ高気密のカプセル化を可能にする、ウェハレベルでのカプセル化のための簡単な方法が利用される。
【0108】
したがって、処理されたフレーム構造体は、機械的な安定化構造としてだけではなく、雰囲気中にかつ/または周囲に存在する粒子および媒体、特に流体、さらに特殊な液体またはガス、特に水(湿気)および酸素に対する保護構造としても機能する。
【0109】
図4bおよび
図4cは、それぞれ側面図および平面図で、カプセル化された構成要素を本発明により後処理することによって変化した外側のフレーム構造体8を示している。特に、本発明によれば、フレーム構造体を製造するためには、シリコーンベースの接着剤、例えば、PDMS接着剤またはPOSS含有接着剤が好ましく、これらの接着剤は硬化後、その表面に、または表面に近い層に、Si-O単位および/またはSi-OH単位を有し、これらの単位は、後処理中に、化学的および/または物理的プロセスにより、SiO
x表面層もしくはSiO
2層に改質され得る。
【0110】
フレーム構造体の外側の層は、本発明によれば、石英状である。SiOx層の厚さは、処理時間により制御することができる。処理は、カプセル化のフレーム構造体が、SiOx表面層の形成により、拡散シール性に関して所望の気密性に達するまで続けられる。外側のフレーム構造体上にSiOx表面層もしくはSiO2層を形成することにより、フレーム構造体および基板の材料が様々であるにもかかわらず、気密なカプセル化が可能である。
【0111】
最後のプロセスステップでは、カプセル化された構成要素の後処理が行われる。
【0112】
図5aは、第1の実施の形態によりカプセル化された構成要素の後処理を実施するためのプロセスチャンバを示している。個別化された後、カプセル化された構成要素は必ずしも露出していない。
【0113】
カプセル化されて個別化された構成要素がまだフィルム上に、特にダイシングフレームに張設されたダイシングフィルム上に固定されているならば、1つの基板もしくはウェハのすべての個別化された構成要素を、ウェハレベルで同時に処理することができ、手間をかけて個々のチップを処理する必要はない。この場合、有利には、ウェハの処理のためには既存の装置を使用することができ、これによりプロセスチャンバ9,9’内における後処理プロセスは簡単になる。
【0114】
第1の実施の形態ではカプセル化された構成要素のさらなる処理のために、分離された構成要素の間隔を、ダイシングフィルムの拡張により広げる必要がある。このためには例えば、拡張フレームが使用される。これにより、側壁への、すなわち、カプセル化された構成要素のフレーム構造体へのアクセス性が向上し、したがってより効率的な後処理が可能となる。
【0115】
フィルムにとってもはや適切ではないプロセス条件、例えば、高温および/または化学的および/または物理的エッチング速度、においては、第2の実施の形態において、カプセル化された構成要素は、個別のチップ処理法で処理される。カプセル化されて個別化された構成要素の層を、基板上の規定された位置に配置するための装置および方法は、従来技術において公知である。
【0116】
したがって、本発明によれば、この実施の形態でも、カプセル化されて個別化された複数の構成要素を同時に処理することができる。
【0117】
第3の実施の形態では、カプセル化されて個別化された構成要素は、適切な保持装置内でルーズに搬送されて、処理されてもよい。
【0118】
図5aおよび
図5bによれば、例えば拡張されたダイシングフィルム上に位置している、カプセル化されてダイシングされた構成要素構造体のプロセスチャンバ9,9’への装填は、装填装置、好ましくはエアロック10を介して行われる。保持装置13は、プロセスチャンバ9,9’におけるダイシングフレームもしくは基板の位置固定のために機能する。テーブル12は、特に、ダイシングフレームまたは基板の装填の際に、上方に移動させることができるように、かつロボットアームによって基板をおろすことができるように、構成されている。一般的には、テーブル12は、必要に応じてZ方向に動かされる。さらに、保持装置13の回転および/または傾動が可能である。テーブル移動に関して空間的な規定をする座標系は、例えば
図5bに示されている。
【0119】
プロセスチャンバ9,9’は、好適には、排気し、加熱することができる。加熱は、加熱された保持装置13によって、かつ/または相応の熱源による放射加熱により行われてよい(図示せず)。プロセスチャンバ9,9’は、吸引システムおよび/または真空システム11を備えている。
図5aおよび
図5bに示された保持装置は、ダイシングフレームまたは基板にとって適している。代替的には、保持装置としてバスケットも可能である。
【0120】
保持装置13および/またはプロセスチャンバ9,9’は、0℃~1000℃の、好適には0℃~500℃の、さらに好適には0℃~400℃の、最も好適には0℃~350℃の温度範囲で加熱および熱処理され得る。保持装置13は特に穴を有していてよい。これらの穴は、カプセル化された構成要素よりも小さくてよい。
【0121】
保持装置13は、付加的に、物理的かつ/または化学的特性を測定することができるセンサを有していてよい(図示せず)。これらのセンサは例えば温度センサであってよい。
【0122】
図5aの実施の形態は、プロセスチャンバ9を、好適にはプラズマチャンバを示している。プラズマを発生させるためには、エネルギ結合の形式に関して著しく異なる様々な方法がある。直流電圧を印加することにより、直流放電を発生させることができる。容量結合型MHz放電(CCP 容量結合プラズマ)は、プラズマエッチングおよびプラズマコーティングのために使用される。複数の周波数を用いることにより、イオン流とプラズマ密度とを別個に制御することができる。誘導結合型放電(ICP 誘導結合プラズマ)では、プラズマが、トランスの2次巻線として機能するので、プラズマ密度はさらに高くなる。
【0123】
酸素、窒素、希ガス、またはより複雑な有機ガス化合物によって生成されるプラズマは、イオン衝撃によって、またプラズマ中に存在するイオンおよび/またはラジカルによる表面反応によって、基板表面を改質することができる。好ましくは、フレーム材料との化学的相互作用が可能なプラズマプロセスが使用される。
【0124】
図5aは、ダウンストリームプラズマリアクタからの反応性粒子の供給部16を備えたプラズマチャンバ9の第1の実施の形態を示している。このようなリアクタは、プラズマエッチングの物理的割合を完全に除外するために使用される。プロセスチャンバ9の内室では、プラズマが、好ましくは酸素プラズマ17が支配している。本発明によれば、プラズマの生成のためには、単一のガスならびにその混合物を使用することができる。好適な実施の形態では、酸素プラズマ(O
2プラズマ)が使用される。
【0125】
プラズマチャンバの第2の実施の形態は、例えば、対称の電極(図面には示さず)を備えた平行板リアクタを含む。この実施の形態では、化学的および物理的相互作用が(とりわけ)フレーム材料と行われる。プラズマチャンバの構造とは関係なく、O2プラズマ処理のプロセスパラメータは、シリコーンベースの接着剤から成る、露出したフレーム構造体の表面改質が行われて、密なSiO2が形成されるように、最適化される。このためには、ガス混合物、温度、およびO2プラズマ処理の継続時間のようなプロセスパラメータは、効果的かつ耐久性のある表面改質が行われて密なSiO2が形成されるように最適化される。これにより、カプセル化された構成要素の、既に硬化された外側のフレーム構造体の気密な封止が達成される。保持装置13を傾けることにより、必要時に、カプセル化されて個別化された構成要素の側方のフレーム構造体への最適なプラズマアクセスが可能である。
【0126】
プラズマ後処理の本発明による第3の実施の形態では、フレーム構造体の表面との反応により、露出したフレーム構造体のより迅速な表面改質が達成され、密なSiO2もしくはSiOxが形成されるように、O2プラズマプロセスに付加的な成分が導入される。この場合、付加的な成分は、複数の物質の混合物、または単一の化合物であってよい。好ましくは、付加的な成分は、ガスとして導入される。
【0127】
図5aおよび
図5bによるプロセスチャンバ9,9’には、別の好適なガス状の成分を弁14,14’によって導入することができる。
【0128】
本発明に係る実施の形態では、シロキサンが化合物として使用される。シロキサンには、例えば、ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)、オクタメチルトリシロキサンが含まれる。
【0129】
図5bは、カプセル化されて個別化された構成要素の後処理のためのプロセスチャンバ9’の別の実施の形態を示している。
図5bのプロセスチャンバ9’では、個別化後、フレーム構造体の外側の表面が、UV光/オゾン(O
3)によって処理される。保持装置13は、プロセスチャンバ9’におけるダイシングフレームもしくは基板の位置固定のために機能する。テーブル12は、特に、ダイシングフレームまたは基板の装填の際に、上方に移動させることができるように、かつロボットアームによって基板をおろすことができるように、構成されている。一般的には、テーブル12は、必要に応じてZ方向に動かされる。さらに、保持装置13の回転または傾動が可能である。テーブル移動に関して空間的な規定をする座標系は、
図5bに示されている。
【0130】
酸素は、弁14,14’のうちの1つによってプロセスチャンバ内に導入される。放射源15により、カプセル化された構成要素の、UV光による照射が可能である。200nm未満の波長のUV放射が酸素に当たると、オゾンが生成される。オゾン自体は、UV光によって分解されて、反応性の高い酸素フリーラジカルが生じる。
【0131】
特に、本発明によれば、フレーム構造体を製造するためには、シリコーンベースの接着剤、例えば、PDMS接着剤またはPOSS含有接着剤が好ましく、これらの接着剤は硬化後、その表面に、または表面に近い層に、Si-O単位および/またはSi-OH単位を有し、これらの単位は、UV/オゾン処理中に、光化学プロセスにより、SiOx表面層に改質され得る。このような光化学プロセスは、好適には、室温で行われる。
【0132】
この場合、プロセスパラメータは、薄いSiO
x表面層が生じることができるように最適化される。別の実施の形態では、プラズマ処理と同様に、このプロセスでも、付加的なガス状の成分が弁14,14’を介して導入されてよい。
図5aのプラズマチャンバと同様に、この場合も、吸引システムおよび/または真空システム11ならびにエアロック10が設けられている。
【0133】
放射源15は、プロセスチャンバ9’の代替的な実施の形態では、IR光および/またはレーザーであってもよい。放射源15は、必要に応じて、複数の(平行な)光源から成っていてよく、1つだけの放射源から成っていてもよい。この放射源は、可動に構成されていてよい。特に、別の実施の形態では、フレーム構造体は、構成要素の個別化後に、レーザーによって処理される。
【0134】
本発明によれば、好ましくは、少なくともほぼ、好ましくはもっぱら、コヒーレント光源が、特にマイクロ波源、好ましくはメーザーが使用され、または可視光、IR光、UV光、およびX線のためのコヒーレント光源として形成されたレーザーが使用される。これにより、アブレーション限界未満の低いフルエンス(一定のパルス時間における単位面積あたりの放射エネルギ)によって、フレーム材料表面の化学組成における変化が達成され得る。
【0135】
カプセル化されて個別化された構成要素、特にフレーム構造体は、予め規定された波長および/または出力および/またはパルス持続時間で負荷され、この場合、予め規定されたプロセスパラメータは、好ましくは、各材料に適合されている。このような実施の形態は、波長および/またはパルス時間および/またはレーザー出力によって、進入深さおよびプロセスに影響を与えることができるので、有利である。光源は、連続モードで、または好ましくはパルスモードで作動されてよい。パルス時間は特に、1s未満、好適には1ms未満、さらに好適には1μs未満、最も好適には1ns未満である。2つの連続するパルス間の時間は、好適には1msよりも長く、さらに好適には10msよりも長く、最も好適には1sよりも長い。保持装置13を傾けることにより、必要時に付加的に、カプセル化されて個別化された構成要素の(側方の)フレーム構造体への最適な放射線アクセスが可能である。
【0136】
特別な実施の形態では、本発明によるプロセスチャンバ9,9’は、クラスタシステムのモジュールとして配置されている。カプセル化された構成要素の後処理のための本発明に係るプロセスチャンバが存在しているモジュールは、必要に応じて、好適には(真空)クラスタシステムとは独立的に、1bar未満の、好適には10-3mbar未満の、さらに好適には10-5mbar未満の、最も好適には10-8mbar未満の圧力まで排気されてよい。
【0137】
処理されたカプセル化された構成要素がプロセスチャンバから取り出された後、これらの構成要素を個々に、ダイシングフィルムから取り外すことができる。
【0138】
特に、フレーム構造体の材料もしくは接着剤材料と、後処理プロセスとは、密なSiOxを形成するための所望の材料改質が最適に行われるように、互いに適合される。本発明の実質的な利点は、特に、W2Wプロセスにおいて結合層としての接着剤によって製造され、カプセル化された構成要素の気密性、ひいては品質および耐用期間が、後処理によって向上されることにある。
【符号の説明】
【0139】
1 製品基板/支持基板
1o 基板表面
1f,1f’ 空き面積
2,2’ 構成ユニット
3,3’ コンタクトおよび/または導電性の接続部
4,4’,4’’,4’’’ フレーム構造体
4o カプセル化されて個別化された構成要素構造体におけるフレーム構造体の外面
5 カバー-基板/カバー基板
S,S’ 切断線
H フレーム構造体の構造と構成要素構造体との間の高さの差
6 カプセル化されて個別化された構成要素
7 (フレーム構造体の)表面の後処理後の、カプセル化されて個別化された構成要素
8 SiOx表面層
9,9’ プロセスチャンバ
10 エアロック
11 吸引システムおよび/または真空システム
12 テーブル
13 カプセル化されて個別化された構成要素のための保持装置(ダイシングフレーム、基板、バスケット等)
14,14’ ガス弁
15 放射源(IR光および/またはUV光および/またはレーザー等)
16 下流のプラズマリアクタからの反応性粒子の供給部
17 (O2)プラズマ
【手続補正書】
【提出日】2021-11-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化されて個別化された構成要素(6,7)を製造する方法であって、以下のステップ、すなわち、
-基板(1)の基板表面(1o)にフレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を取り付け、前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)は、前記基板表面(1o)上に配置された構成ユニット(2,2’)を取り囲むステップ、
-前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)上にカバー基板(5)を接合するステップ、
-前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を硬化させるステップ、
-カプセル化された前記構成要素(6,7)を個別化するステップ、
を有し、
前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)を接着剤から形成
し、カプセル化されて個別化された前記構成要素(6,7)を、プラズマおよび/または反応性のガスで処理し、プラズマ処理および/またはガス処理を、前記フレーム構造体の硬化後に行い、前記プラズマ処理および/またはガス処理によって、前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)の外表面の化学的改質を行うことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記接着剤はシリコーン接着剤である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
カプセル化されて個別化された前記構成要素(6,7)を、
前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)の前記外表面上にガラス状の構造体、特にSiO
2構造体が生じるように処理する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)の硬化を、前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)上への前記カバー基板(5)の接合前に行う、請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記フレーム構造体(4,4’,4’’,4’’’)の前記接着剤を、インクジェット法、プリント法、モールディング、コーティング、噴霧、押出し、スプレーコーティング、スプレーラッカー塗布、および/またはラッカー塗布によって被着する、請求項1から
4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法によって製造された、カプセル化されて個別化された構成要素(6,7)。
【国際調査報告】