IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オキュラス ブイアール,エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特表-動的頭部伝達関数 図1
  • 特表-動的頭部伝達関数 図2
  • 特表-動的頭部伝達関数 図3A-B
  • 特表-動的頭部伝達関数 図4
  • 特表-動的頭部伝達関数 図5
  • 特表-動的頭部伝達関数 図6A-B
  • 特表-動的頭部伝達関数 図7
  • 特表-動的頭部伝達関数 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】動的頭部伝達関数
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/00 20060101AFI20230419BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20230419BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
G10K15/00 L
H04S7/00 300
H04R3/00 320
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534364
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2021019491
(87)【国際公開番号】W WO2021188268
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,491
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/993,965
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】プーラジマ, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】デジェネ ゲブル, イスラエル
(72)【発明者】
【氏名】マルコビッチ, デヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】クレン, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート, マシュー
【テーマコード(参考)】
5D162
5D220
【Fターム(参考)】
5D162AA13
5D162CC19
5D162CC22
5D162CD07
5D162DA02
5D162DA06
5D162EG02
5D220BA01
(57)【要約】
本開示は、一般的に、対象者の動的頭部伝達関数を判断することに関する。1つの実施形態において、対象者の動的頭部伝達関数を判断することは、音響センサによって捉えられた音の録音を受信することを含む。音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される。さらに、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた基準信号、および画像センサによって捉えられた1つまたは複数の画像が受けられる。1つまたは複数の画像は、音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の体勢を示し、かつ、対象者の体勢の姿勢表現を生成するために使用されてよい。それぞれの音響センサに対する頭部伝達関数は、姿勢表現、音の録音、および基準信号に基づいて判断される。動的頭部伝達関数は、それぞれの音響センサに対する頭部伝達関数に基づいて判断される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音の録音を受信することであって、前記音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、音の録音を受信することと、
前記インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた基準信号を受信することと、
複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた1つまたは複数の画像を受信することであって、前記1つまたは複数の画像は前記音が前記インイヤー式スピーカによって放出されている間の前記対象者の体勢を示す、1つまたは複数の画像を受信することと、
前記1つまたは複数の画像に基づいて前記対象者の前記体勢の姿勢表現を生成することと、
前記姿勢表現、前記音の前記録音、および前記基準信号に基づいて、前記複数の音響センサのそれぞれに対する頭部伝達関数(HRTF)を判断することと、
前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFに基づいて前記対象者の動的HRTFを判断することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFに基づいて前記対象者の前記動的HRTFを判断することは、
前記複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた追加の音の録音を受信することであって、前記追加の音は前記対象者によって着用された前記インイヤー式スピーカによって放出される、追加の音の録音を受信することと、
前記インイヤー式スピーカに結合された前記マイクロホンによって捉えられた追加の基準信号を受信することと、
前記複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた追加の1つまたは複数の画像を受信することであって、前記追加の1つまたは複数の画像は、前記追加の音が前記インイヤー式スピーカによって放出されている間の前記対象者の追加の体勢を示す、追加の1つまたは複数の画像を受信することと、
前記追加の1つまたは複数の画像に基づいて前記対象者の前記体勢の前記姿勢表現を修正することと、
前記姿勢表現、前記追加の音の前記録音、および前記追加の基準信号に基づいて、前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFを判断することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた前記音は正弦波掃引を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象者の前記体勢は周囲の捕捉空間に対する前記対象者の向きを指示する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の音響センサおよび前記複数の画像センサは、前記周囲の捕捉空間の全体にわたって均一に配設される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFはHRTFデータベースに記憶される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFを判断することは、
前記複数の音響センサのそれぞれが、前記音響センサに対する前記対象者の方位を識別することと、
前記複数の音響センサのそれぞれが、前記音響センサに対する前記対象者の高さを識別することと、
前記複数の音響センサのそれぞれが、前記対象者と前記音響センサとの間の半径範囲を識別することと、
前記複数の音響センサのそれぞれが、前記音響センサに対する前記対象者の前記体勢を識別することと、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ソフトウェアを具現化する1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体であって、前記ソフトウェアは、実行されるとき、
複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音の録音を受信することであって、前記音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、音の録音を受信することと、
前記インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた基準信号を受信することと、
複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた1つまたは複数の画像を受信することであって、前記1つまたは複数の画像は、前記音が前記インイヤー式スピーカによって放出されている間の前記対象者の体勢を示す、1つまたは複数の画像を受信することと、
前記1つまたは複数の画像に基づいて前記対象者の前記体勢の姿勢表現を生成することと、
前記姿勢表現、前記音の前記録音、および前記基準信号に基づいて、前記複数の音響センサのそれぞれに対する頭部伝達関数(HRTF)を判断することと、
前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFに基づいて前記対象者の動的HRTFを判断することと、を行うように動作可能である、1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体。
【請求項9】
前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFに基づいて前記対象者の前記動的HRTFを判断するために、前記ソフトウェアは、実行されるとき、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法を実行するようにさらに動作可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
システムであって、
インイヤー式スピーカと、
複数の音響センサと、
マイクロホンと、
複数の画像センサと、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサの1つまたは複数に結合され、命令を含む1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体であって、前記命令は、前記プロセッサの1つまたは複数によって実行されるとき、前記システムに、
前記複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音の録音を受信することであって、前記音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、音の録音を受信することと、
前記インイヤー式スピーカに結合された前記マイクロホンによって捉えられた基準信号を受信することと、
前記複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた1つまたは複数の画像を受信することであって、前記1つまたは複数の画像は前記音が前記インイヤー式スピーカによって放出されている間の前記対象者の体勢を示す、1つまたは複数の画像を受信することと、
前記1つまたは複数の画像に基づいて前記対象者の前記体勢の姿勢表現を生成することと、
前記姿勢表現、前記音の前記録音、および前記基準信号に基づいて、前記複数の音響センサのそれぞれに対する頭部伝達関数(HRTF)を判断することと、
前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFに基づいて前記対象者の動的HRTFを判断することと、を行わせるように動作可能である、1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体と、を備える、システム。
【請求項11】
前記複数の音響センサのそれぞれに対する前記HRTFに基づいて前記対象者の前記動的HRTFを判断するために、前記命令は、実行されるとき、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法を実行するようにさらに動作可能である、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2020年3月18日に出願された米国仮特許出願第62/991,491号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般的に、対象者の動的頭部伝達関数を判断することに関する。
【背景技術】
【0003】
頭部伝達関数(HRTF: head-related transfer function)は、対象者の耳が空間のある地点からの音をどのように受けるかを特徴付けるために使用されてよい。具体的には、対象者のHRTFは、対象者には3次元(3D)空間の所定の地点から生じるように思えるバイノーラル音響を合成するために使用され得る。従来、無響室内の一連のスピーカから放出される音を受けるために対象者の耳内にマイクロホンを置くことによって対象者のHRTFは測定され得る。一連のスピーカのそれぞれは、対応する音を放出することで、マイクロホンがそれぞれのスピーカから個別に放出される音を捉えることができるように、対象者の耳内のマイクロホンに最も近い円形または半円形の配置で配設されてよい。しかしながら、この工程は、一連のスピーカのそれぞれが対応する音を増える度に放出できるように少しずつ増やした測定(例えば、水平面における5度~30度ごとの測定)をHRTFが必要とするため時間がかかる場合がある。さらに、この工程は、それぞれのHRTF測定では、対象者の耳内のマイクロホンが一連のスピーカのそれぞれのスピーカから放出された対応する音を個別に受ける間、対象者が静止したままでいることを要するため、対象者にとって難儀であることを実証し得る。さらに、対象者が工程全体を通して静止したままでいる必要があることで、HRTF測定で対象者に対して合成し得るバイノーラル音響の範囲が限定されるため、この工程は、対象者の位置の変化(例えば、頭を傾けるおよび頭を回転させるなど)を考慮していない場合がある。
【発明の概要】
【0004】
特定の実施形態において、対象者の動的頭部伝達関数(HRTF)は、インイヤー式スピーカ、一連の音響センサ、および一連の画像センサを使用して判断されてよい。インイヤー式スピーカは防音室または「捕捉空間」内で対象者の耳内に着用され得ることで、インイヤー式スピーカは対象者の耳から外方へと周囲の捕捉空間内に音を放出し得る。1つの実施形態では、インイヤー式スピーカから放出された音は、正弦波掃引であってよくまたはこれを含んでよく、ある範囲の複数の周波数(例えば、20Hz~20kHz)が捕捉空間の全体にわたって放出され得るように周波数が増大する。インイヤー式スピーカのマイクロホンは、基準信号として使用される、対象者の耳内の音を捉えることができる。一連の音響センサは、音が耳を離れかつ対象者の人体計測的特徴によって修正される際に音を捉えるために対象者の方に面して捕捉空間の全体にわたって均一に配設され得る。一連の音響センサのそれぞれによって捉えられた音は、一連の音響センサのそれぞれに対するHRTFを判断するためにマイクロホンによって捉えられた基準信号を用いて処理されてよい。さらに、一連の画像センサは、インイヤー式スピーカが音を放出すると対象者の画像を捉えるように対象者の方に面して捕捉空間の全体にわたって均一に配設されてよい。一連の画像センサによって捉えられた画像は、音がインイヤー式スピーカによって放出されている間に周囲の捕捉空間に対する対象者の向きまたは「体勢」を判断するために使用されてよい。対象者の体勢は、音の録音および基準信号にマッピングされ得ることで、対象者は、放出されるそれぞれの音に対して体勢を変更することが可能になる。対象者が体勢を変更できるようにすることによって、測定の稠密集合が実現され、かつ対象者の動的HRTFを判断するために使用され得る。動的HRTFは、対象者の位置の変化を考慮する、対象者に対するバイノーラル音響を合成するために使用されてよい。
【0005】
本明細書に記載される主題の革新的な態様は、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音の録音を受信することであって、音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、音の録音を受信すること、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた基準信号を受信すること、複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた1つまたは複数の画像を受信することであって、1つまたは複数の画像は音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の体勢を示す、1つまたは複数の画像を受信すること、1つまたは複数の画像に基づいて対象者の体勢の姿勢表現を生成すること、姿勢表現、音の録音、および基準信号に基づいて、複数の音響センサのそれぞれに対する頭部伝達関数(HRTF)を判断すること、および、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFに基づいて対象者の動的HRTFを判断することを行うための、システム、方法、およびコンピュータ可読非一時的記憶媒体において具現化され得る。
【0006】
特許請求される発明は、添付の特許請求の範囲に定められる、方法、1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体、およびシステムを含む。
【0007】
よって、本発明の特許請求される態様によると、記載される方法は、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音の録音を受信することであって、音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、音の録音を受信することと、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた基準信号を受信することと、複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた1つまたは複数の画像を受信することであって、1つまたは複数の画像は音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の体勢を示す、1つまたは複数の画像を受信することと、1つまたは複数の画像に基づいて対象者の体勢の姿勢表現を生成することと、姿勢表現、音の録音、および基準信号に基づいて複数の音響センサのそれぞれに対する頭部伝達関数(HRTF)を判断することと、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFに基づいて対象者の動的HRTFを判断することと、を含む。
【0008】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFに基づいて対象者の動的HRTFを判断することは、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた追加の音の録音を受信することであって、追加の音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、追加の音の録音を受信することと、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた追加の基準信号を受信することと、複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた追加の1つまたは複数の画像を受信することであって、追加の1つまたは複数の画像は、追加の音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の追加の体勢を示す、追加の1つまたは複数の画像を受信することと、追加の1つまたは複数の画像に基づいて対象者の体勢の姿勢表現を修正することと、姿勢表現、追加の音の録音、および追加の基準信号に基づいて複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFを判断することと、をさらに含む。
【0009】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音は正弦波掃引を含む。
【0010】
開示された実施形態の1つまたは複数において、対象者の体勢は周囲の捕捉空間に対する対象者の向きを指示する。
【0011】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサおよび複数の画像センサは、周囲の捕捉空間の全体にわたって均一に配設される。
【0012】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFはHRTFデータベースに記憶される。
【0013】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFを判断することは、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の方位を識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の高さを識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、対象者と音響センサとの間の半径範囲を識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の体勢を識別することと、のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
本発明のさらなる実施態様によると、実行されるとき、本明細書に記載される方法を実行するように動作可能なソフトウェアを具現化する1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体が提供される。
【0015】
よって、本発明は、ソフトウェアを具現化する1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体であって、該ソフトウェアは、実行されるとき、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音の録音を受信することであって、音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、音の録音を受信することと、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた基準信号を受信することと、複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた1つまたは複数の画像を受信することであって、1つまたは複数の画像は音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の体勢を示す、1つまたは複数の画像を受信することと、1つまたは複数の画像に基づいて対象者の体勢の姿勢表現を生成することと、姿勢表現、音の録音、および基準信号に基づいて、複数の音響センサのそれぞれに対する頭部伝達関数(HRTF)を判断することと、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFに基づいて対象者の動的HRTFを判断することと、を行うように動作可能である、1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体を含む。
【0016】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFに基づいて対象者の動的HRTFを判断するために、ソフトウェアは、実行されるとき、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた追加の音の録音を受信することであって、追加の音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、追加の音の録音を受信することと、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた追加の基準信号を受信することと、複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた追加の1つまたは複数の画像を受信することであって、追加の1つまたは複数の画像は、追加の音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の追加の体勢を示す、追加の1つまたは複数の画像を受信することと、追加の1つまたは複数の画像に基づいて対象者の体勢の姿勢表現を修正することと、姿勢表現、追加の音の録音、および追加の基準信号に基づいて複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFを判断することと、を行うようにさらに動作可能である。
【0017】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音は正弦波掃引を含む。
【0018】
開示された実施形態の1つまたは複数において、対象者の体勢は周囲の捕捉空間に対する対象者の向きを指示する。
【0019】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサおよび複数の画像センサは、周囲の捕捉空間の全体にわたって均一に配設される。
【0020】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFはHRTFデータベースに記憶される。
【0021】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFを判断するために、ソフトウェアは、実行されるとき、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の方位を識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の高さを識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、対象者と音響センサとの間の半径範囲を識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の体勢を識別することと、を行うようにさらに動作可能である。
【0022】
本発明のさらなる実施態様によると、システムであって、インイヤー式スピーカと、複数の音響センサと、マイクロホンと、複数の画像センサと、1つまたは複数のプロセッサと、プロセッサの1つまたは複数に結合され、かつプロセッサの1つまたは複数によって実行されるとき、システムに、本明細書に記載される方法を実行させるように動作可能である命令を含む、1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体と、を備えるシステムが提供される。
【0023】
よって、本発明は、インイヤー式スピーカと、複数の音響センサと、マイクロホンと、複数の画像センサと、1つまたは複数のプロセッサと、プロセッサの1つまたは複数に結合され、命令を含む1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体であって、命令は、プロセッサの1つまたは複数によって実行されるとき、システムに、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音の録音を受信することであって、音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、音の録音を受信することと、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた基準信号を受信することと、複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた1つまたは複数の画像を受信することであって、1つまたは複数の画像は音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の体勢を示す、1つまたは複数の画像を受信することと、1つまたは複数の画像に基づいて対象者の体勢の姿勢表現を生成することと、姿勢表現、音の録音、および基準信号に基づいて、複数の音響センサのそれぞれに対する頭部伝達関数(HRTF)を判断することと、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFに基づいて対象者の動的HRTFを判断することと、を行わせるように動作可能である、1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体と、を含む。
【0024】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFに基づいて対象者の動的HRTFを判断するために、命令は、実行されるとき、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた追加の音の録音を受信することであって、追加の音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカによって放出される、追加の音の録音を受信することと、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた追加の基準信号を受信することと、複数の画像センサのそれぞれによって捉えられた追加の1つまたは複数の画像を受信することであって、追加の1つまたは複数の画像は、追加の音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の追加の体勢を示す、追加の1つまたは複数の画像を受信することと、追加の1つまたは複数の画像に基づいて対象者の体勢の姿勢表現を修正することと、姿勢表現、追加の音の録音、および追加の基準信号に基づいて、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFを判断することと、を行うようにさらに動作可能である。
【0025】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれによって捉えられた音は正弦波掃引を含む。
【0026】
開示された実施形態の1つまたは複数において、対象者の体勢は周囲の捕捉空間に対する対象者の向きを指示する。
【0027】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサおよび複数の画像センサは、周囲の捕捉空間の全体にわたって均一に配設される。
【0028】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFはHRTFデータベースに記憶される。
【0029】
開示された実施形態の1つまたは複数において、複数の音響センサのそれぞれに対するHRTFを判断するために、命令は、実行されるとき、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の方位を識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の高さを識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、対象者と音響センサとの間の半径範囲を識別することと、複数の音響センサのそれぞれが、音響センサに対する対象者の体勢を識別することと、を行うようにさらに動作可能である。
【0030】
本発明のさらなる態様によると、非一時的なコンピュータ可読媒体において具現化され、かつ本明細書に記載される方法を実行するためのコンピュータ命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0031】
本明細書に開示される実施形態は単なる例であり、本開示の範囲はそれらに限定されるものではない。特定の実施形態は、本明細書に開示される実施形態のコンポーネント、要素、特徴、機能、動作、またはステップの全て、いくつかを含む、または何も含まない場合がある。本発明による実施形態は、とりわけ、方法、記憶媒体、システム、およびコンピュータプログラム製品を対象とした添付の特許請求の範囲において開示され、ここで、1つの特許請求項の分類において述べられる任意の特徴、例えば、方法は、別の特許請求項の分類、例えば、システムにおいても特許請求可能である。添付の特許請求の範囲に対する従属関係または参照は、単に形式的な理由で選ばれている。しかしながら、添付の特許請求の範囲で選ばれた従属関係にかかわらず、請求項およびその特徴の任意の組み合わせが開示されかつ特許請求できるように、任意の前の請求項(とりわけ、多数項従属)への意図的な参照から生じるいずれの主題も特許請求可能である。特許請求可能である主題は、添付の特許請求の範囲に記載される特徴の組み合わせだけでなく、特許請求の範囲における特徴の任意の他の組み合わせも含み、特許請求の範囲に述べられるそれぞれの特徴は任意の他の特徴または特許請求の範囲における他の特徴の組み合わせと組み合わせ可能である。さらに、本明細書に記載されるまたは描写される実施形態および特徴のいずれも、別々の請求項において、および/または本明細書に記載されるまたは描写される任意の実施形態もしくは特徴との、または添付の特許請求項の特徴のいずれかとの任意の組み合わせにおいて特許請求可能である。
【0032】
本発明の実施形態は、人工現実システムを含んでまたはこれと併せて実装されてよい。人工現実は、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはこれらの何らかの組み合わせおよび/もしくは派成形態を含んでよい、ユーザに提示する前に何らかのやり方で調節されている現実の形態である。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、または取り込まれたコンテンツ(例えば、実世界の写真)と組み合わせて生成されたコンテンツを含んでよい。人工現実コンテンツは、映像、音声、触覚フィードバック、またはこれらの何らかの組み合わせを含んでよく、これらのいずれかは、(3次元効果を閲覧者にもたらす立体ビデオなど)単一のチャネルまたは複数のチャネルで提示され得る。さらに、いくつかの実施形態では、人工現実は、例えば、人工現実でコンテンツを作成するために使用される、および/または人工現実で使用される(例えば、これにおいてアクティビティを行う)、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはこれらの何らかの組み合わせと関連付けられ得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されるヘッドマウントデバイス(HMD)、スタンドアロンのHMD、モバイルデバイスもしくはコンピューティングシステム、または、人工現実コンテンツを1または複数の閲覧者に提供することが可能である任意の他のハードウェアプラットフォームを含むさまざまなプラットフォーム上に実装されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】対象者の動的逆頭部伝達関数を判断するための例示のシステム環境の選択された要素を示す図である。
図2】例示のインイヤー式スピーカの選択された要素を示す図である。
図3A-B】対象者によって着用されている例示のインイヤー式スピーカの選択された要素を示す図である。
図4】インイヤー式スピーカの例示のエンクロージャの選択された要素を示す図である。
図5】エンクロージャの例示のスピーカ用ホーンの選択された要素を示す図である。
図6A-B】インイヤー式スピーカの例示の音響反射器の選択された要素を示す図である。
図7】対象者の動的逆頭部伝達関数を判断するための例示の方法の選択された要素を示す図である。
図8】例示のコンピュータシステムの選択された要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、対象者の動的逆頭部伝達関数を判断するための例示のシステム環境の選択された要素を示す。図1に示される例では、システム環境100は、捕捉空間110およびコンピューティングデバイス170を含む。捕捉空間110は、一連の音響センサ120-1~120-N(総称して本明細書では「音響センサ120」という)と、一連の画像センサ130-1~130-N(総称して本明細書では「画像センサ130」という)と、図1に示される対象者160の右耳にインイヤー式スピーカ140を着用している対象者160とを含む。インイヤー式スピーカ140は、図1に示される対象者160の右耳にまた着用されるマイクロホン150に結合される。コンピューティングデバイス170は、対象者160の測定された動的頭部伝達関数(HRTF:head-related transfer function)を記憶するためのHRTFデータベース180を含む。他の実施形態では、システム環境100は、対象者の動的HRTFを判断するのに適したさらなるコンポーネント、より少ないコンポーネント、および/またはコンポーネントの任意の組み合わせを含んでよい。
【0035】
1つの実施形態では、捕捉空間110は、一般的に音の反射を吸収するように動作可能な部屋または他の取り囲まれた空間を含んでよい。とりわけ、捕捉空間110は、残響音波を吸収し得ることで、捕捉空間110内のセンサデバイスは専ら直接的な音波を検出してよい。これらの「自由音場」状態は、音源と関連付けられた伝達関数を測定するために使用されてよい。例えば、インイヤー式スピーカ140は、捕捉空間110内の音響圧力波を放出し得ることで、捕捉空間110の全体にわたって配設される一連の音響センサ120は音を捉えることができる。捉えられた音または波形は、対象者の動的HRTFを計算するために部分的に使用されてよい。図1に示される実施形態では、捕捉空間110は、一連の音響センサ120と一連の画像センサ130とを含んでよい。例えば、捕捉空間110は、それぞれ、インイヤー式スピーカ140によって生成される音を検出し、かつ対象者160の画像を捉えるために捕捉空間110の全体にわたって均一に配設されるマイクロホンおよびカメラを含んでよい。1つの実施形態では、捕捉空間110はドームであってよくまたはこれを含んでよく、該ドームには、音響センサ120および画像センサ130が、対象者160の周囲のドームの全体にわたって均一に配設されている。別の実施形態では、捕捉空間110は、壁に埋め込まれ、かつ対象者160の方に向けられている、音響センサ120および画像センサ130を含む音響/視覚捕捉ステージであってよい、またはこれを含んでよい。他の実施形態では、捕捉空間110は、無響室、半無響室、および/または音の反射を吸収するのに適した防音環境の任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0036】
1つの実施形態では、インイヤー式スピーカ140は、一般的に、対象者の頭から外方に音(例えば、音響圧力波)を放出するように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。具体的には、インイヤー式スピーカ140は、対象者160の耳(例えば、左耳、右耳、または両耳)内に着用され得ることで、インイヤー式スピーカ140は、音を対象者160の耳から外方へと周囲の捕捉空間110内に放出し得る。1つの実施形態では、インイヤー式スピーカ140によって放出されるそれぞれの音は、「正弦波掃引」であってよくまたはこれを含んでよく、さまざまな周波数が周囲の捕捉空間110内に放出されるように周波数が増大(例えば、20Hz~20kHz)する。例えば、インイヤー式スピーカ140は、ソース音声信号を、各々のトランスデューサを通して高周波音波、中周波音波、および低周波音波に区分するように構成される(図に示されない)クロスオーバー回路を含んでよい。これらの高周波音波、中周波音波、および低周波音波は、捕捉空間110の全体にわたってインイヤー式スピーカ140によって放出され得ることで、音響センサ120は音波を捉えて処理し得る。他の実施形態では、インイヤー式スピーカ140によって放出された音は、ログ掃引、線形掃引、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、および/または基準信号としての役割を果たすのに適した音の任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。インイヤー式スピーカ140については図2図6に関してさらに詳細に説明する。
【0037】
1つの実施形態では、マイクロホン150は、一般的に、インイヤー式スピーカ140によって放出される音を捉えるように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。とりわけ、マイクロホン150は、対象者160の耳内のインイヤー式スピーカ140に結合され得ることで、マイクロホン150は、対象者160の人体計測的特徴によって修正されるように音が反射しかつ耳を出る前に、対象者160の外耳道に隣接する音を捉え得る。例えば、入力信号のさまざまな周波数は、音がインイヤー式スピーカ140を離れ、かつ対象者160の頭、耳、および身体に反射すると、増大し得るまたは減衰し得る。音は修正される前に捉えられるため、マイクロホン150によって捉えられた音は、対象者160の動的HRTFを判断する際の「基準信号」としての役割を果たし得る。すなわち、コンピューティングデバイス170は、マイクロホン150によって捉えられた基準信号を、対象者160の動的HRTFを判断するための処理の間の入力信号として使用してよい。1つの実施形態では、マイクロホン150は、微小電気機械システム(MEMS)マイクロホンであってよい、またはこれを含んでよい。他の実施形態では、マイクロホン150は、動的マイクロホン、コンデンサマイクロホン、圧電マイクロホン、または音波を受けてこれを電気信号に変換するのに適したトランスデューサの任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0038】
1つの実施形態では、それぞれの音響センサ120-1~120-Nは、一般的に、インイヤー式スピーカ140によって放出された音を捉えるように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。具体的には、音響センサ120は、それぞれの音響センサ120の振動板または他の音響センサが対象者160(およびインイヤー式スピーカ140)の方に向けられるように、捕捉空間110の全体にわたって配設され(例えば、壁に埋め込まれ)得る。それぞれの音響センサ120は、音が耳を出て対象者160の人体計測的特徴によって修正された後にインイヤー式スピーカ140によって放出された音を捉え得る。例えば、音のさまざまな周波数は、耳を出る間に対象者160の耳の耳介および身体の他の部分に反射することに反応して修正されてよい。音は修正された後に捉えられるため、それぞれの音響センサ120によって捉えられた音は、対象者160の動的HRTFを判断する際の出力信号としての役割を果たし得る。すなわち、コンピューティングデバイス170は、それぞれの音響センサ120によって捉えられた音の録音を、対象者160の動的HRTFを判断するための処理の間の出力信号として使用してよい。1つの実施形態では、音響センサ120は、一連の全指向性マイクロホンであってよい、またはこれを含んでよい。他の実施形態では、音響センサ120は、一連の動的マイクロホン、コンデンサマイクロホン、圧電マイクロホン、アンビソニックスマイクロホン、高次アンビソニックスマイクロホン、または音波を受けてこれを電気信号に変換するのに適したトランスデューサの任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0039】
1つの実施形態では、それぞれの画像センサ130-1~130-Nは、一般的に、対象者160の1つまたは複数の画像を捉えるように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。とりわけ、画像センサ130は、それぞれの画像センサ130のレンズまたは他の光センサが対象者160の方に向けられるように、捕捉空間110の全体にわたって配設され(例えば、壁に埋め込まれ)得る。それぞれの画像センサ130は、対象者160の体勢または捕捉空間110に対する対象者160の向きを示す1つまたは複数の画像(例えば、静止画像およびビデオ画像など)を捉えてよい。1つの実施形態では、インイヤー式スピーカ140が音を放出している間に、画像センサ130は、インイヤー式スピーカ140が音を放出している間に対象者160の1つまたは複数の画像を捉え得ることで、対象者160の体勢が音響センサ120によって捉えられた音の録音、およびマイクロホン150によって捉えられた基準信号の両方にマッピングされ得る。1つの実施形態では、画像センサ130は一連のデジタルカメラであってよい、またはこれらを含んでよい。別の実施形態では、画像センサ130は、一連の深度センサ、距離撮像カメラ、およびtime-of-flight(ToF)カメラなどであってよい、またはこれらを含んでよい。他の実施形態では、画像センサ130は、一連のサーモグラフィカメラ、赤外線カメラ、および/または画像を受けてこれらを電気信号に変換するのに適した画像センサの任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0040】
1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、一般的に、対象者160の動的HRTFを判断するように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。コンピューティングデバイス170は、インイヤー式スピーカ140によって放出された音(単数または複数)の音響センサ120によって捉えられた録音を受けてよい。さらに、コンピューティングデバイス170は、マイクロホン150によって捉えられた基準信号(単数または複数)、および画像センサ130によって捉えられた1つまたは複数の画像を受けてよい。1つまたは複数の画像は、インイヤー式スピーカ140が音を放出している間の周囲の捕捉空間110に対する対象者160の体勢を示し得る。対象者160が体勢を変更できるようにすることによって、測定の稠密集合が実現され得、かつ対象者160の動的HRTFを判断するために使用され得る。1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170はデスクトップコンピュータであってよい、またはこれを含んでよい。他の実施形態では、コンピューティングデバイス170は、サーバシステム、マイクロコントローラユニット、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、および/または対象者の動的HRTFを判断するのに適したコンピューティングデバイスの任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0041】
1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、動的HRTFを判断するために使用される対象者160の体勢のモデルまたは「姿勢表現」を生成するために画像センサ130によって捉えられた1つまたは複数の画像を使用してよい。従来のHRTF測定では、対象者が工程全体を通して静止したままでいる必要があるため、対象者の位置の変化(例えば、頭を傾けるおよび頭を回転させるなど)を考慮しない場合があることで、対象者に対するHRTF測定で合成し得るバイノーラル音響の範囲が限定される。例えば、従来のHRTFデータセットは、対象者の左(L)耳および右(R)耳それぞれに対して、関数HRTF_L(azimuth_i、elevation_i)およびHRTF_R(azimuth_i、elevation_i)を使用して表され得る。この実施形態では、「i」は、一連のスピーカにおけるそれぞれのスピーカを表すために使用される指標としての役割を果たす場合があり、ここで、azimuth_iおよびelevation_iは、対象者に対するそれぞれのスピーカの位置を示す角度を表す。その一方、コンピューティングデバイス170は、対象者160の位置の変化を考慮する測定の稠密集合をもたらすように、対象者160の体勢の姿勢表現を使用してよい。例えば、動的HRTFデータセットは、対象者160の左(L)耳および右(R)耳それぞれに対して、関数:HRTF_L(azimuth_i、elevation_i、radius_i、pose_j)およびHRTF_R(azimuth_i、elevation_i、radius_i、pose_j)を使用して表されてよい。この例では、「i」は、捕捉空間110におけるそれぞれの音響センサ120を表すために使用される指標としての役割を果たし得、ここで、azimuth_iおよびelevation_iは、対象者160に対するそれぞれの音響センサ120の位置を示す角度を表す。さらに、radius_iは対象者160とそれぞれの音響センサ120との間の距離を表し得、pose_jは対象者160の体勢を(すなわち、姿勢表現を使用して指示されるように)表すことができる。ここで、「j」は、所定の音響センサ120の特定のazimuth_i、elevation_i、およびradius_iに対応する複数の体勢に対する対象者160のそれぞれの体勢を表すために使用される追加の指標としての役割を果たし得る。対象者160が体勢を変更できるようにすることによって、動的HRTF測定では、対象者に対するHRTF測定で合成し得るバイノーラル音響の範囲が効果的に増大する。1つの実施形態では、体勢の姿勢表現は、対象者160の体勢の3次元(3D)仮想再構成であってよい、またはこれを含んでよい。例えば、姿勢表現は、それぞれの音響センサ120に対する対象者160の方位、高さ、半径範囲、および体勢が導き出され得る3Dメッシュを使用して生成されてよい。
【0042】
1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、マイクロホン150によって捉えられた基準信号、および、捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120-1~120-Nに対するHRTFを判断するための姿勢表現を用いて、音響センサ120によって捉えられた音の録音を処理してよい。すなわち、コンピューティングデバイス170は、対象者160のある体勢に対して捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120の位置に対するHRTFを判断してよい。図1に示される例では、コンピューティングデバイス170は、最初に、対象者160の体勢「A」に対して捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120の位置に対するHRTFを判断してよい。1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、姿勢表現、および(例えば、デコンボリューションを使用して)マイクロホン150によって捉えられた基準信号を用いて、音響センサ120によって捉えられた音の録音を処理してよく、この場合、録音は出力信号としての役割を果たし得、基準信号は入力信号としての役割を果たし得る。例えば、コンピューティングデバイス170は、以下の式を使用して(図1に示される)音響センサ120-1に対するHRTF(H(ω))を判断してよい。
【0043】
上記の式では、Y(ω)は出力信号(すなわち、音響センサ120-1によって捉えられた録音)であり、X(ω)は入力信号(すなわち、マイクロホン150によって捉えられた基準信号)である。入力信号および出力信号は両方共既知であるため、コンピューティングデバイス170はH(ω)の値を求めることができ、それによって、捕捉空間110における音響センサ120-1の位置に対するHRTFを判断する。1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、HRTFと関連付けられた姿勢表現を指示する(例えば、対象者160の体勢「A」を指示する)データと共に、HRTF(H(ω))をHRTFデータベースに記憶してよい。
【0044】
別の実施形態では、コンピューティングデバイス170は、以下の式を使用して、(図1に示される)音響センサ120-2に対するHRTF(H(ω))を判断してよい。
【0045】
上の式では、Y(ω)は出力信号(すなわち、音響センサ120-2によって捉えられた録音)であり、X(ω)は入力信号(すなわち、マイクロホン150によって捉えられた基準信号)である。さらにまた、入力信号および出力信号は両方共既知であるため、コンピューティングデバイス170はH(ω)の値を求めることができ、それによって、捕捉空間110におけるマイクロホン120-2の位置に対するHRTFを判断する。1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、HRTFと関連付けられた姿勢表現を指示するデータと共にHRTF(H(ω))をHRTFデータベース180に記憶してよい。例えば、コンピューティングデバイス170は、それぞれの音響センサ120に対するHRTFを、HRTF測定、対象者160に対する音響センサ120の方位、高さ、および半径範囲の値、ならびに、対象者160の体勢「A」を指示する姿勢表現座標を含むデータ構造として記憶してよい。1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120-1~120-Nに対するHRTFを判断してよい。すなわち、コンピューティングデバイス170は、ある姿勢表現に対して捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120の位置に対するHRTFを判断してよい。
【0046】
1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、インイヤー式スピーカ140内に埋め込まれたマイクロホン150によって捉えられた追加の基準信号、および捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120-1~120-Nに対するHRTFを判断するための姿勢表現を用いて、音響センサ120によって捉えられた追加の音の録音を処理してよい。すなわち、コンピューティングデバイス170は、対象者160の追加の体勢に対して捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120の位置に対するHRTFを判断してよい。図1に示される例では、コンピューティングデバイス170は、対象者160の追加の体勢「B」に対して捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120の位置に対するHRTFを判断してよい。対象者160が体勢を変更することに反応して、インイヤー式スピーカ140は、対象者160が追加の体勢に方向付けられている間、対象者160の耳(例えば、左耳、右耳、または両耳)から追加の音を放出してよい。マイクロホン150は、追加の音が耳を出て対象者160の人体計測的特徴によって修正される前に追加の基準信号を捉えてよい。同様に、音響センサ120は、追加の音が耳を出て、対象者160の人体計測的特徴によって修正された後に追加の音を捉えてよい。さらに、画像センサ130は、インイヤー式スピーカ140が追加の音を放出している間に、対象者160の追加の1つまたは複数の画像を捉えてよい。対象者160の追加の体勢は、音響センサ120によって捉えられた追加の音の録音、およびマイクロホン150によって捉えられた追加の基準信号の両方にマッピングされてよい。
【0047】
1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、画像センサ130によって捉えられた追加の1つまたは複数の画像に基づいて、対象者160の体勢の姿勢表現を修正してよい。とりわけ、コンピューティングデバイス170は、追加の1つまたは複数の画像に示されるように対象者160の追加の体勢を表すために姿勢表現を修正してよい。図1に示される例では、コンピューティングデバイス170は、対象者160の追加の体勢「B」を表すために姿勢表現を修正してよい。コンピューティングデバイス170は、マイクロホン150によって捉えられた追加の基準信号、および体勢「A」に関して上述されるようにそれぞれの音響センサ120に対するHRTFを判断するための姿勢表現を用いて、音響センサ120によって捉えられた追加の音の録音を処理してよい。1つの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、HRTFと関連付けられた姿勢表現を指示するデータと共に、それぞれの音響センサ120に対するHRTFをHRTFデータベース180に記憶してよい。例えば、コンピューティングデバイス170は、それぞれの音響センサ120に対するHRTFを、HRTF測定、対象者160に対する音響センサ120の方位、高さ、および半径範囲の値、ならびに、対象者160の追加の体勢「B」を指示する姿勢表現座標を含むデータ構造として記憶してよい。
【0048】
1つの実施形態では、HRTFデータベース180は、一般的に、捕捉空間110におけるそれぞれの音響センサ120に対するHRTF測定を記憶するように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。とりわけ、HRTFデータベース180は、捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120の位置に対する、HRTF測定および関連のメタデータを記憶してよい。例えば、HRTFデータベース180に記憶されたそれぞれのエントリは、捕捉空間110内の音響センサ120または音響センサ120の位置に対応し、かつHRTF測定、対象者160に対する音響センサ120の方位、高さ、および半径範囲の値、ならびに、対象者160のある体勢を指示する姿勢表現座標を含んでよい。ここで、捕捉空間110内のそれぞれの音響センサ120は、HRTFデータベース180において複数のエントリを含んでよい。具体的には、それぞれの音響センサ120は、それぞれが対象者160の対応する体勢に対応するHRTFデータベース180における複数のHRTF測定を含んでよい。HRTFデータベース180は対象者160のそれぞれの対応する体勢に対応する複数のHRTF測定を含むため、コンピューティングデバイス170は、対象者160のある体勢に対応する捕捉空間110内のある位置に対するHRTF測定を判断するためにHRTFデータベース180にアクセスすることによって、対象者160の動的HRTFを判断してよい。
【0049】
図2は、例示のインイヤー式スピーカの選択された要素を示す。図1に関して上述されるように、インイヤー式スピーカ140は、一般的に、対象者160の頭から外方に音を放出するように動作可能であるシステム、デバイス、または装置を含んでよい。とりわけ、インイヤー式スピーカ140は、対象者160の耳内に着用され得ることで、インイヤー式スピーカ140は音を対象者160の耳から外方へと周囲の捕捉空間110内に放出する。図2に示される実施形態では、インイヤー式スピーカ140は、音源210、クロスオーバー回路230、1つまたは複数のスピーカ240、音響伝達管250、および音響反射器260を含む。音源210は音声変換器220を含む。音響反射器260はマイクロホン150を含む。他の実施形態では、インイヤー式スピーカ140は、対象者160の頭から外方に音を放出するのに適したさらなるコンポーネント、より少ないコンポーネント、および/またはコンポーネントの任意の組み合わせを含んでよい。
【0050】
1つの実施形態では、音源210は、一般的に、アナログ信号に変換されかつ音として使用されるデジタル信号または「ソース音声信号」を生成するように動作可能であるシステム、デバイス、または装置を含んでよい。例えば、音源210は、アナログ信号に変換され、かつ音としてインイヤー式スピーカ140から放出される正弦波掃引として使用されるデジタル正弦波を生成してよい。図2に示される実施形態では、音源210は、デジタルソース音声信号をアナログソース音声信号に変換してクロスオーバー回路230に送られるようにする音声変換器220を含む。1つの実施形態では、音源210はコンピューティングデバイスであってよい、またはこれを含んでよい。他の実施形態では、音源210は、正弦発振回路、マイクロコントローラユニット、および/またはデジタルソース音声信号を生成するのに適した音源の任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0051】
1つの実施形態では、音声変換器220は、一般的に、音源210によって生成されたデジタル信号をアナログソース音声信号に変換するように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。具体的には、音声変換器220は、デジタルソース音声信号を受けてデジタルソース音声信号をアナログソース音声信号に変換するために音源210に結合されてよい。例えば、音声変換器220は、デジタルソース音声信号を含む固定小数点2進数などの有限精度数をアナログソース音声信号を含む音圧などの物理量に変換してよい。すなわち、音声変換器220は、音源210からデジタル出力を受けて、デジタル出力を、クロスオーバー回路230によってフィルタ処理されかつスピーカ240によって放出されることが可能なアナログ線レベルの出力に変換してよい。1つの実施形態では、音声変換器220は、音源210に結合されるサウンドカードであってよい、またはこれを含んでよい。他の実施形態では、音声変換器220は、デジタルアナログ変換器(DAC)、重み付け抵抗器の回路網、および/またはデジタル信号をアナログソース音声信号に変換するのに適した電子部品の任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0052】
1つの実施形態では、クロスオーバー回路230は、一般的に、ソース音声信号をフィルタ処理して各々の周波数信号にするように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。とりわけ、クロスオーバー回路230は、音声変換器220から(例えば、3.5mmのヘッドホンジャックを介して)アナログソース音声信号を受信し、かつソース音声信号を2つまたはそれ以上の対応する周波数に分割することで、それぞれの対応する周波数はスピーカ240によって放出され得る。例えば、クロスオーバー回路230は、音声変換器220からソース音声信号を受信し、かつそれぞれ、高域フィルタ、帯域フィルタ、および低域フィルタの組み合わせを使用して、受信したソース音声信号をフィルタ処理して高周波数信号、中間周波数信号、および低周波数信号にしてよい。図2に示される実施形態では、クロスオーバー回路230がスピーカ240に結合され得ることで、クロスオーバー回路230は、対応する高周波数信号、中間周波数信号、および低周波数信号をスピーカ240に提供し得る。1つの実施形態では、クロスオーバー回路230は、能動クロスオーバー回路、受動クロスオーバー回路、デジタルクロスオーバー回路、機械クロスオーバー回路、および/またはソース音声信号をフィルタ処理して各々の周波数信号にするのに適したクロスオーバー回路の任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。図2に示される実施形態では、クロスオーバー回路230は、インイヤー式スピーカ140のエンクロージャ200内に封入されてよい。別の実施形態では、クロスオーバー回路230はエンクロージャ200の外部に位置してよい。他の実施形態では、インイヤー式スピーカ140は図2に示されるようなクロスオーバー回路230を含まない場合がある。
【0053】
1つの実施形態では、スピーカ240は、一般的に、複数の周波数信号で構成される音を放出するように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。具体的には、スピーカ240がさまざまな仕様(例えば、サイズ、周波数、反応、インピーダンス、および感度など)を有する1つまたは複数のスピーカで構成され得ることで、スピーカ240のそれぞれのスピーカは対応する周波数を放出するように最適化され得る。図2に示される実施形態では、スピーカ240のそれぞれのスピーカは、スピーカが放出するように最適化される周波数に従ってクロスオーバー回路230から周波数信号を受信してよい。例えば、高周波数を最適化するように構成されるスピーカは、クロスオーバー回路230から高周波数信号を受信してよい。同様に、中間周波数を最適化するように構成されるスピーカは、クロスオーバー回路230から中間周波数信号を受信してよい。スピーカ240は、漏れを抑制するためにエンクロージャ200内に封入され得ることで、スピーカ240から放出された音は周囲の捕捉空間110の全体にわたって拡散しないようにされる。具体的には、音を含む音圧は、エンクロージャ200内に含有され、かつ音響伝達管250の開口部の方へ向けられ得ることで、音は音響反射器260に反射し得る。1つの実施形態では、スピーカ240は、クロスオーバー回路230に結合される一連のスピーカで構成されるスピーカアレイであってよい、またはこれらを含んでよい。別の実施形態では、スピーカ240は単一のスピーカであってよい、またはこれを含んでよい。他の実施形態では、スピーカ240は、アレイになるように形成される一連の平衡電機子駆動部、単一の平衡電機子駆動部、アレイになるように形成される一連の動的駆動部、単一の動的駆動部、および/または電気音声信号を音波に変換するのに適したトランスデューサの任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0054】
1つの実施形態では、音響伝達管250は、一般的に、音をスピーカ240から音響反射器260に伝達するように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。具体的には、音響伝達管250は、スピーカ240を音響反射器260に結合し得ることで、音響反射器260は、スピーカ240によって生成された音を受けてその音を捕捉空間110の全体にわたって反射させてよい。1つの実施形態では、音響伝達管250は、1つまたは複数のベンドを含んでよく、それによって、それぞれのベンドは音響伝達管250の全体的な周波数応答を修正する。1つの実施形態では、音響伝達管250は、弾性特性を有する可撓性材料(例えば、プラスチック、炭素繊維、およびゴムなど)で構成され得ることで、音響伝達管250における1つまたは複数のベンドの形成は、対象者160の向きおよび/または移動に応じて変えてよい。ここで、音響伝達管250の全体的な周波数応答は、可撓性材料によって音響伝達管250をさまざまな形状に屈曲させかつ捻じ曲げることができるように可変であってよい。別の実施形態では、音響伝達管250は、剛性を有する硬質材料(例えば、硬化鋼、タングステンカーバイド、およびガラスなど)で構成され得ることで、音響伝達管250におけるベンドの数は対象者160の向きおよび/または移動にかかわらず一定のままであり得る。ここで、音響伝達管250の全体的な周波数応答は、硬質材料によって音響伝達管250が製造後に屈曲しないようにあるいは捻じ曲げられないように一定であり得る。他の実施形態では、音響伝達管250は、音をスピーカ240から音響反射器260に伝達するのに適した可撓性材料および硬質材料の任意の組み合わせで構成されてよい。音響伝達管250について、図3Aおよび図3Bに関してさらに説明される。
【0055】
1つの実施形態では、音響反射器260は、一般的に、捕捉空間110の全体にわたって音を反射させるように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。とりわけ、音響反射器260は、音をスピーカ240から音響伝達管250を介して受け、かつその音を対象者160の頭から外方に反射し得る。音は、音響伝達管250を介して音響反射器260に達すると、対象者160の耳内の音響反射器260に反射し得るまたははね返され得る。音響反射器260は、反射した音圧を対象者160の耳から外方に向けることができるため、捕捉空間110の全体にわたって音が反射する。1つの実施形態では、音響反射器260は、鼓膜を損傷させるおよび/または不要な耳内の周波数応答を生成する場合がある音圧が対象者の内耳に進入しないようにする吸収材(例えば、発泡体)に取り外し可能に結合されてよい。1つの実施形態では、音響反射器260は、捕捉空間110の全体にわたって音を拡散するように構成されてよい。例えば音響反射器260は、スピーカ240から音を受け、かつその音を対象者160の頭から外方に拡散させてよい。音響反射器260について、図3A図3B図6A、および図6Bに関してさらに説明される。
【0056】
1つの実施形態では、マイクロホン150は、一般的に、インイヤー式スピーカ140によって放出された音(例えば、音圧波)を捉えるように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。具体的には、マイクロホン150は音響反射器260に結合され得ることで、マイクロホン150は、音が耳を出て対象者の人体計測的特徴によって修正される前に対象者の耳内の音を捉え得る。音は修正される前に捉えられるため、マイクロホン150によって捉えられた音は、図1に関して上述されるように、対象者の動的HRTFを判断する際の基準信号としての役割を果たし得る。さらに、マイクロホン150によって捉えられた基準信号は、1つまたは複数のベンドによって引き起こされる音響伝達管250の全体的な周波数応答を考慮するために、かつ音響センサ120によって捉えられた遅延に関連する音を除去するために使用されてよい。1つの実施形態では、マイクロホン150は微小電気機械システム(MEMS)マイクロホンであってよい、またはこれを含んでよい。他の実施形態では、マイクロホン150は、動的マイクロホン、コンデンサマイクロホン、圧電マイクロホン、または音波を受けてこれを電気信号に変換するのに適したトランスデューサの任意の組み合わせであってよい、またはこれらを含んでよい。
【0057】
図3Aおよび図3Bは、対象者によって着用される例示のインイヤー式スピーカの選択された要素を示す。図3Aおよび図3Bに示される例では、インイヤー式スピーカ140は、音響反射器260、吸収材300、音響伝達管250、およびエンクロージャ200を含んでよい。エンクロージャ200は、ショルダーハーネス320に結合されてよく、かつその中に封入されたクロスオーバー回路230およびスピーカ240(図示せず)を含んでよい。他の実施形態では、インイヤー式スピーカ140は、対象者160の頭から外方に音を放出するのに適したさらなるコンポーネント、より少ないコンポーネント、および/またはコンポーネントの任意の組み合わせを含んでよい。
【0058】
図3Aは、対象者160によって着用されたインイヤー式スピーカ140の側面図を示す。図3Aに示される例では、エンクロージャ200は、首の付け根に最も近い、対象者160によって着用されたショルダーハーネス320に結合されてよい。音響伝達管250はエンクロージャ200に結合されてよい。具体的には、音響伝達管250はスピーカ240によって放出される音を受けるためにエンクロージャ200内に封入されるスピーカ240に結合されてよい。音響伝達管250は、スピーカ240から受けた音をエンクロージャ200から音響反射器260に誘導し得る。図3Aおよび図3Bに示される実施形態では、音響伝達管250は、音を音響反射器260に誘導するために対象者160の耳310の背後で環状になっていてよい。音を含む音波は、音響伝達管250を介して音響反射器260に達すると、対象者160の耳310内の音響反射器260に反射し得るまたははね返され得るため、音波は耳310から外方に誘導され得る。
【0059】
図3Aに示される例では、音響反射器260は、対象者160の耳310内の吸収材300に取り外し可能に結合されてよい。具体的には、吸収材300は、音響反射器260の(図に示されない)ペグを受ける輪郭になった凹状のまたはカップ状の中央部を有する外向きの端部を含んでよい。さらに、吸収材300は、対象者160の内耳内に着用される輪郭になった内向きの端部を含んでよい。吸収材300の内向きの端部は、対象者160の内耳が音響反射器260に反射した音を受けないようにし得る。とりわけ、吸収材300の内向きの端部は、鼓膜を損傷させる場合がある音波が対象者160の内耳に進入しないようにするため、インイヤー式スピーカ140が音を放出する間の対象者160の安全性が保証される。
【0060】
図3Bは、対象者160によって着用されたインイヤー式スピーカ140の背面図を示す。図3Bに示される例では、エンクロージャ200は、首の付け根に最も近い対象者160の肩の間でショルダーハーネス320に結合され得る。エンクロージャ200は、(図2に示される)音声変換器220からソース音声信号を受信するために使用されるヘッドホンジャック330または同様の多チャネル音声結合器を含んでよい。具体的には、エンクロージャ200内に封入される(図2に示される)クロスオーバー回路230は、音声変換器220からアナログソース音声信号を受信し、かつそのソース音声信号を2つまたはそれ以上の対応する周波数に分割することができることで、それぞれの対応する周波数は(図2に示される)スピーカ240内のスピーカによって放出され得る。スピーカ240はエンクロージャ200内に封入され得ることで、スピーカ240から放出された音は周囲の捕捉空間110の全体にわたって拡散しないようにされる。すなわち、音圧は、エンクロージャ200内に含有され、かつ音響伝達管250の開口部の方へ誘導され得ることで、音は音響反射器260に反射し得る。
【0061】
図4は、インイヤー式スピーカの例示のエンクロージャの選択された要素を示す。図4に示される例では、エンクロージャ200は、エンクロージャ上部400、スピーカハウジングキャップ420(個別には本明細書では「スピーカハウジングキャップ420」という)、スピーカハウジング部430(個別には本明細書では「スピーカハウジング部430」という)、スピーカ用ホーン440(個別には本明細書では「スピーカ用ホーン440」という)、およびエンクロージャ下部460を含む。スピーカハウジングキャップ420は、スピーカハウジングキャップ穴410(個別には本明細書では「スピーカハウジングキャップ穴410」という)を含んでよい。スピーカ用ホーン440は、スピーカ用ホーン出力450(個別には本明細書では「スピーカ用ホーン出力450」という)を含んでよい。エンクロージャ上部400はねじ穴480を含んでよい。エンクロージャ下部460はスピーカ用ホーン出力用孔470(個別には本明細書では「スピーカ用ホーン出力用孔470」という)およびねじ穴490を含んでよい。クロスオーバー回路230およびスピーカ240は図4に示されていないが、エンクロージャ200は上の図2および図3に関して説明されるようなクロスオーバー回路230およびスピーカ240を取り囲み得ることに留意されたい。他の実施形態では、エンクロージャ200は、音が周囲の捕捉空間110の全体にわたって拡散しないようにするのに適したさらなるコンポーネント、より少ないコンポーネント、および/またはコンポーネントの任意の組み合わせを含んでよい。
【0062】
1つの実施形態では、エンクロージャ上部400は、スピーカハウジングキャップ420、スピーカハウジング部430、およびスピーカ用ホーン440をエンクロージャ200内に封入するためにエンクロージャ下部460に取り外し可能に結合されてよい。とりわけ、エンクロージャ上部400は、(図に示されない)ねじを使用してエンクロージャ上部400のねじ穴480をエンクロージャ下部460のねじ穴490に結合することによってエンクロージャ下部460に取り外し可能に結合され得る。1つの実施形態では、エンクロージャ上部400およびエンクロージャ下部460は、耐衝撃性、強度、および耐熱性を提供する硬質材料(例えば、不透明熱可塑性物質および非晶質高分子など)で構成されてよい。例えば、エンクロージャ上部400およびエンクロージャ下部460はそれぞれ、エンクロージャ上部400およびエンクロージャ下部460を形成するために3Dプリントされ得るアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチックで構成されてよい。1つの実施形態では、エンクロージャ上部400、スピーカハウジングキャップ420、スピーカハウジング部430、スピーカ用ホーン440、およびエンクロージャ下部460は、同じ材料で構成されてよい。他の実施形態では、エンクロージャ上部400、スピーカハウジングキャップ420、スピーカハウジング部430、スピーカ用ホーン440、およびエンクロージャ下部460は、2つ以上の材料で構成されてよい。
【0063】
1つの実施形態では、スピーカハウジングキャップ420、スピーカハウジング部430、およびスピーカ用ホーン440は、エンクロージャ200内に共に取り外し可能に結合されてよい。具体的には、スピーカハウジングキャップ420はスピーカハウジング部430に取り外し可能に結合されてよく、スピーカハウジング部430はスピーカ用ホーン440に取り外し可能に結合されてよい。図4に示される実施形態では、それぞれのスピーカ用ホーン440は1つまたは複数のスピーカ240を含んでよい。スピーカハウジングキャップ420のスピーカハウジングキャップ穴410は、エンクロージャ200に封入される(図に示されない)クロスオーバー回路230が、周波数信号(例えば、高周波数信号、中間周波数信号、および低周波数信号)を、スピーカ用ホーン440に封入される(図に示されない)スピーカ240のそれぞれのスピーカに提供できるようにし得る。例えば、各々の周波数信号を伝える1つまたは複数の線は、スピーカハウジングキャップ420のスピーカハウジングキャップ穴410に通され、かつスピーカ用ホーン440内に収容されるスピーカ240の各々のスピーカに結合されてよい。それぞれのスピーカ用ホーン440は、1つまたは複数のスピーカ240を含んでよく、それによって、インイヤー式スピーカ140は、図1に関して説明されるような音響センサ120によって捉えられた音の録音を処理するのに役立つように高い信号対雑音比(SNR)を出力し得る。例えば、スピーカ用ホーン440は、それぞれが各々の周波数を放出して音を生成する4つのツイータスピーカおよび2つのウーファスピーカを含む1つまたは複数のスピーカ240を収容してよい。スピーカ240のそれぞれのスピーカによって放出される音は、スピーカ用ホーン出力450でスピーカ用ホーン440を出て、スピーカ用ホーン出力用孔470を介して音響伝達管250の各々の開口部に進入してよい。スピーカハウジングキャップ420、スピーカハウジング部430、およびスピーカ用ホーン440を共に取り外し可能に結合することは、スピーカ240によって放出された音がエンクロージャ200の全体にわたって拡散しないように、さらにまた、周囲の捕捉空間110の全体にわたって拡散しないようにし得る。スピーカ用ホーン440について、図5に関してさらに詳細に説明される。
【0064】
図5は、エンクロージャの例示のスピーカ用ホーンの選択された要素を示す。1つの実施形態では、スピーカ用ホーン440は、一般的に、スピーカ240をエンクロージャ200内に収容するように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。とりわけ、スピーカ用ホーン440は、それぞれがスピーカ240のスピーカを収容する輪郭になった1つまたは複数の溝穴を含んでよい。図5に示される例では、スピーカ用ホーン440は、ツイータ用溝穴500の2つのセット(個別には本明細書では「ツイータ用溝穴500」という)および2つのウーファ用溝穴510(個別には本明細書では「ウーファ用溝穴510」という)を含んでよい。1つの実施形態では、スピーカ用ホーン440は、それぞれの音を含む音波の間で弱め合う干渉を引き起こすことなく、それぞれのスピーカ用ホーン440から出力される、デシベルで測定される音圧レベルを増大させるためにそれぞれの溝穴の2つを含んでよい。それぞれのスピーカ用ホーン440から出力された音圧レベルが増大すると、図1に関して説明されるような音響センサ120によって捉えられた音の録音の処理に役立つSNRが増大し得る。他の実施形態では、スピーカ用ホーン440は、スピーカ240を収容するのに適したさらなる溝穴、より少ない溝穴、および/または溝穴の任意の組み合わせを含んでよい。
【0065】
1つの実施形態では、それぞれのツイータ用溝穴500は、クロスオーバー回路230から受信される高周波数信号から中間周波数信号までを放出するように最適化されるスピーカを収容する輪郭になっていてよい。図5に示される実施形態では、スピーカ用ホーン440は、2つの異なるサイズのツイータ用溝穴500を含んでよい。具体的には、図5に示されるより小さいツイータ用溝穴500は高周波を放出するように最適化されたスピーカを収容する輪郭にされてよく、より大きいツイータ用溝穴500は中周波から低周波までを放出するように最適化されたスピーカを収容する輪郭にされてよい。1つの実施形態では、それぞれのツイータ用溝穴500は、高周波数信号から中間周波数信号までを放出するように最適化された平衡電機子駆動部を収容し得る。別の実施形態では、それぞれのツイータ用溝穴500は、高周波数信号から中間周波数信号までを放出するように最適化された動的駆動部を収容し得る。図5に示される例では、エンクロージャ200のそれぞれのスピーカ用ホーン440は合計で4つのツイータ用溝穴500を含んでよい。他の実施形態では、エンクロージャ200のそれぞれのスピーカ用ホーン440は、高周波数信号から中間周波数信号までを放出しかつSNRを増大させるのに適したさらなる、より少ない、または任意の数のツイータ用溝穴500を含んでよい。
【0066】
1つの実施形態では、それぞれのウーファ用溝穴510は、クロスオーバー回路230から受信される低周波数信号を放出するように最適化されるスピーカを収容する輪郭にされていてよい。図5に示される実施形態では、スピーカ用ホーン440は2つのウーファ用溝穴510を含んでよい。1つの実施形態では、それぞれのウーファ用溝穴510は、低周波数信号を放出するように最適化された平衡電機子駆動部を収容し得る。別の実施形態では、それぞれのウーファ用溝穴510は、低周波数信号を放出するように最適化された動的駆動部を収容し得る。図5に示される実施形態では、エンクロージャ200のそれぞれのスピーカ用ホーン440は、合計で2つのウーファ用溝穴510を含んでよい。他の実施形態では、それぞれのスピーカ用ホーン440は、低周波数信号を放出しかつSNRを増大させるのに適したさらなる、より少ない、または任意の数のウーファ用溝穴510を含んでよい。
【0067】
図6Aおよび図6Bは、インイヤー式スピーカの例示の音響反射器の選択された要素を示す。図2に関して上述されるように、音響反射器260は、一般的に、(図1に示される)捕捉空間110の全体にわたって音を反射させるように動作可能なシステム、デバイス、または装置を含んでよい。具体的には、音響反射器260は、(図2に示される)音響伝達管250を介して(図2に示される)スピーカ240から音を受け、かつその音を(図1に示される)対象者160の頭から外方に反射し得る。図6Aおよび図6Bに示される例では、音響反射器260は、対象者の耳内に着用される輪郭になった、わずかに楕円の形状であってよく、かつ音響反射器開口部600、マイクロホン150、開端610、閉端620、およびペグ630を含んでよい。1つの実施形態では、音響反射器260は、音響反射器開口部600を介して音響伝達管250に結合されてよい。他の実施形態では、音響反射器260は、捕捉空間110の全体にわたって音を反射するのに適したさらなるコンポーネント、より少ないコンポーネント、および/またはコンポーネントの任意の組み合わせを含んでよい。
【0068】
図6Aは、音響反射器260の斜め前から見た図を示す。図6Aに示される例では、音響反射器260は、開端610および閉端620を有する円錐台形状の輪郭にされてよい。開端610は、対象者の耳から離れる方向に向けられていてよい。閉端620は、対象者の耳内に着用され、かつ対象者の耳から開端610を通して音を反射または拡散させるように構成される剛体面であってよい、またはこれを含んでよい。具体的には、音響反射器260は、音響伝達管250から音響反射器開口部600を介して音を受けてよい。図3Aおよび図3Bに示されるように、音響伝達管250は、対象者160の耳310の背後で環状になっていてよい。したがって、音響反射器開口部600は、音響伝達管250が対象者の耳の上部に最も近い音響反射器開口部600と結合できるように方向付けられてよい。さらに、音響反射器260は、音響伝達管250から受けた音が閉端620の剛体面上に位置するマイクロホン150の方に方向付けられてよい。すなわち、音を含む音圧は、対象者の耳内の音響反射器260の閉端620に反射し得るまたははね返され得る。音響反射器260は、反射した音圧を対象者の耳から外方に誘導し得るため、音は捕捉空間110の全体にわたって反射し得る。さらに、マイクロホン150は、音が耳を出て、対象者の人体計測的特徴によって修正される前に対象者の耳内の音を捉え得る。
【0069】
図6Bは、音響反射器260の斜め後ろから見た図を示す。図6Bに示される例では、音響反射器260は閉端620の裏側から延在するペグ630を含んでよい。1つの実施形態では、ペグ630は、対象者の耳内の(図3Aに示される)吸収材300と取り外し可能に結合されてよい。とりわけ、ペグ630は、図3Aに関して説明されるようなペグ630を受ける輪郭になった凹状のまたはカップ状の中央部を有する吸収材300の外向きの端部と取り外し可能に結合する輪郭になっていてよい。ペグ630は、音響反射器260が対象者の耳内に位置付けられたままであることを保証し得るが、吸収材300の内向きの端部は、対象者160の内耳が音響反射器260に反射した音を受けないようにし得る。
【0070】
図7は、対象者の動的逆頭部伝達関数を判断するための例示の方法の選択された要素を示す。方法は、ステップ710で開始してよく、ここで、コンピューティングデバイスは音響センサによって捉えられた音の録音を受信する。音は対象者によって着用されたインイヤー式スピーカから放出され得る。ステップ720において、コンピューティングデバイスは、インイヤー式スピーカに結合されたマイクロホンによって捉えられた基準信号を受信する。ステップ730において、コンピューティングデバイスは、画像センサによって捉えられた1つまたは複数の画像を受信する。1つまたは複数の画像は、音がインイヤー式スピーカによって放出されている間の対象者の体勢を示し得る。ステップ740において、コンピューティングデバイスは、1つまたは複数の画像に基づいて対象者の体勢の姿勢表現を生成する。ステップ750において、コンピューティングデバイスは、姿勢表現、音の録音、および基準信号に基づいて、それぞれの音響センサに対する頭部伝達関数(HRTF)を判断する。ステップ760において、コンピューティングデバイスは、音響センサのそれぞれに対するHRTFに基づいて対象者の動的HRTFを判断する。
【0071】
特定の実施形態では、必要に応じて、図7の方法の1つまたは複数のステップを繰り返してよい。本開示では、図7の方法の特定のステップが特定の順序で行われるように記載しかつ示しているが、本開示では、図7の方法の任意の適したステップが任意の適した順序で行われることが考慮されている。さらに、本開示には、図7の方法の特定のステップを含む、対象者の動的HRTFを判断するための例示の方法について記載されかつ示されているが、本開示では、必要に応じて、図7の方法のステップの全て、いくつかを含んでよい、または該ステップを含まない場合がある任意の適したステップを含む、対象者の動的HRTFを判断するための任意の適した方法が考慮されている。さらに、本開示では、図7の方法の特定のステップを実行する特定のコンポーネント、デバイス、またはシステムが記載されかつ示されているが、本開示では、図7の方法の任意の適したステップを実行する任意の適したコンポーネント、デバイス、またはシステムの任意の適した組み合わせが考慮されている。
【0072】
図8は、例示のコンピュータシステムの選択された要素を示す。特定の実施形態では、1つまたは複数のコンピュータシステム800は、本明細書に記載されるまたは示される1つまたは複数の方法の1つもしくは複数のステップを実行する。特定の実施形態では、1つまたは複数のコンピュータシステム800は本明細書に記載されるまたは示される機能を提供する。特定の実施形態では、1つまたは複数のコンピュータシステム800上で起動しているソフトウェアは、本明細書に記載されるまたは示される1つまたは複数の方法の1つもしくは複数のステップを実行する、または本明細書に記載されるまたは示される機能を提供する。特定の実施形態は、1つまたは複数のコンピュータシステム800の1つもしくは複数の部分を含む。本明細書において、必要に応じて、コンピュータシステムへの言及はコンピューティングデバイスを包含し得、その逆もまた同様である。また、コンピュータシステムへの言及は、必要に応じて、1つまたは複数のコンピュータシステムを包含し得る。
【0073】
本開示では任意の適した数のコンピュータシステム800が考慮されている。本開示では、任意の適した物理的形態を取るコンピュータシステム800が考慮されている。限定ではなく一例として、コンピュータシステム800は、埋め込み式コンピュータシステム、システムオンチップ(SOC)、シングルボードコンピュータシステム(SBC)(例えば、コンピュータオンモジュール(COM)もしくはシステムオンモジュール(SOM)など)、デスクトップコンピュータシステム、ラップトップもしくはノートブックコンピュータシステム、対話型キオスク、メインフレーム、コンピュータシステムのメッシュ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、サーバ、タブレットコンピュータシステム、拡張/仮想現実デバイス、または、これらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。必要に応じて、コンピュータシステム800は、1つまたは複数のコンピュータシステム800を含む、単一または分散型である、複数の場所にわたる、複数の機械にわたる、複数のデータセンタにわたる、または、1つまたは複数のネットワークにおける1つまたは複数のクラウドコンポーネントを含んでよいクラウドに常駐する場合がある。必要に応じて、1つまたは複数のコンピュータシステム800は、実質的な空間的または時間的制限なしに、本明細書に記載されるまたは示される1つまたは複数の方法の1つもしくは複数のステップを実行し得る。限定ではなく一例として、1つまたは複数のコンピュータシステム800は、リアルタイムでまたはバッチモードで、本明細書に記載されるまたは示される1つまたは複数の方法の1つもしくは複数のステップを実行し得る。1つまたは複数のコンピュータシステム800は、必要に応じて、異なる時間においてまたは異なる場所において、本明細書に記載されるまたは示される1つまたは複数の方法の1つもしくは複数のステップを実行し得る。
【0074】
特定の実施形態において、コンピュータシステム800は、プロセッサ802、メモリ804、ストレージ806、入力/出力(I/O)インターフェース808、通信インターフェース810、およびバス812を含む。本開示は特定の数の特定のコンポーネントを特定の配置で有する特定のコンピュータシステムを記載しかつ示しているが、本開示では、任意の適した数の任意の適したコンポーネントを任意の適した配置で有する任意の適したコンピュータシステムが考慮されている。
【0075】
特定の実施形態において、プロセッサ802は、コンピュータプログラムを構成するような命令を実行するハードウェアを含む。限定ではなく一例として、命令を実行するために、プロセッサ802は、内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ804、またはストレージ806から命令を取得(またはフェッチ)し、それらをデコードしかつ実行し、その後、1つまたは複数の結果を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ804、またはストレージ806に書き込んでよい。特定の実施形態において、プロセッサ802は、データ、命令、またはアドレスのための1つまたは複数の内部キャッシュを含んでよい。本開示では、必要に応じて、任意の適した数の任意の適した内部キャッシュを含むプロセッサ802が考慮されている。限定ではなく一例として、プロセッサ802は、1つまたは複数の命令キャッシュ、1つまたは複数のデータキャッシュ、および1つまたは複数の変換ルックアサイドバッファ(TLB)を含んでよい。命令キャッシュにおける命令は、メモリ804、またはストレージ806における命令のコピーであり、命令キャッシュは、プロセッサ802によるそのような命令の取得を速め得る。データキャッシュにおけるデータは、プロセッサ802で実行する命令が動作するメモリ804またはストレージ806におけるデータのコピー、プロセッサ802で実行された後の命令によるアクセス、またはメモリ804またはストレージ806への書き込みのためにプロセッサ802で実行される以前の命令の結果、またはその他の適したデータであってよい。データキャッシュは、プロセッサ802による読み出しまたは書き込み動作を速め得る。TLBは、プロセッサ802に対する仮想アドレス変換を速め得る。特定の実施形態において、プロセッサ802は、データ、命令、またはアドレスのための1つまたは複数の内部レジスタを含んでよい。本開示では、必要に応じて、任意の適した数の任意の適した内部レジスタを含むプロセッサ802が考慮されている。必要に応じて、プロセッサ802は、1つまたは複数の演算論理回路(ALU)を含む、マルチコアプロセッサである、または1つまたは複数のプロセッサ802を含む場合がある。本開示では特定のプロセッサについて記載しかつ示しているが、本開示では任意の適したプロセッサが考慮されている。
【0076】
特定の実施形態において、メモリ804は、プロセッサ802が実行する命令、またはプロセッサ802が動作する対象のデータを記憶するためのメインメモリを含む。限定ではなく一例として、コンピュータシステム800は、ストレージ806または別のソース(例えば、別のコンピュータシステム800など)からメモリ804に命令をロードしてよい。プロセッサ802は、次いで、メモリ804から内部レジスタまたは内部キャッシュに命令をロードしてよい。命令を実行するために、プロセッサ802は、内部レジスタまたは内部キャッシュから命令を取得し、かつそれらを復号してよい。命令の実行中または実行後に、プロセッサ802は、(中間結果または最終結果であり得る)1つまたは複数の結果を内部レジスタまたは内部キャッシュに書き込んでよい。プロセッサ802は、次いで、これらの結果のうちの1つまたは複数をメモリ804に書き込み得る。特定の実施形態において、プロセッサ802は、(ストレージ806または他の箇所とは対照的に)1つまたは複数の内部レジスタもしくは内部キャッシュ、またはメモリ804における命令のみを実行し、かつ(ストレージ806または他の箇所とは対照的に)1つまたは複数の内部レジスタもしくは内部キャッシュ、またはメモリ804におけるデータのみに対して動作する。(アドレスバスおよびデータバスをそれぞれが含んでよい)1つまたは複数のメモリバスは、プロセッサ802をメモリ804に結合してよい。バス812は、後述されるように、1つまたは複数のメモリバスを含んでよい。特定の実施形態において、1つまたは複数のメモリ管理ユニット(MMU)は、プロセッサ802とメモリ804との間に常駐し、かつプロセッサ802が要求するメモリ804へのアクセスを容易にする。特定の実施形態において、メモリ804は、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。このRAMは、必要に応じて、揮発性メモリであってよい。必要に応じて、このRAMは、ダイナミックRAM(DRAM)またはスタティックRAM(SRAM)であってよい。さらに、必要に応じて、このRAMはシングルポートまたはマルチポートRAMであってよい。本開示では、任意の適したRAMが考慮されている。メモリ804は、必要に応じて、1つまたは複数のメモリ804を含んでよい。本開示は特定のメモリについて記載しかつ示しているが、本開示では任意の適したメモリが考慮されている。
【0077】
特定の実施形態において、ストレージ806は、データまたは命令のための大容量ストレージを含む。限定ではなく一例として、ストレージ806は、ハードディスクドライブ(HDD)、フロッピーディスクドライブ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、もしくはユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブ、または、これらのうちの2つ以上の組み合わせを含んでよい。ストレージ806は、必要に応じて、取り外し可能または取り外し不可能な(または固定の)媒体を含んでよい。ストレージ806は、必要に応じて、コンピュータシステム800に内蔵されてまたは外付けされてよい。特定の実施形態において、ストレージ806は、不揮発性のソリッドステートメモリである。特定の実施形態において、ストレージ806は、読み出し専用メモリ(ROM)を含む。必要に応じて、このROMは、マスクプログラムROM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、電気式書き換え可能ROM(EAROM)、もしくはフラッシュメモリ、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。本開示では、任意の適した物理的形態を取る大容量ストレージ806が考慮されている。ストレージ806は、必要に応じて、プロセッサ802とストレージ806との間の通信を容易にする1つまたは複数のストレージ制御ユニットを含んでよい。必要に応じて、ストレージ806は1つまたは複数のストレージ806を含んでよい。本開示では、特定のストレージについて記載しかつ示しているが、本開示では任意の適したストレージが考慮されている。
【0078】
特定の実施形態において、I/Oインターフェース808は、コンピュータシステム800と1つまたは複数のI/Oデバイスとの間の通信のための1つまたは複数のインターフェースを提供するハードウェア、ソフトウェア、またはその両方を含む。コンピュータシステム800は、必要に応じて、これらのI/Oデバイスの1つまたは複数を含んでよい。これらのI/Oデバイスの1つまたは複数は、人とコンピュータシステム800との間の通信を可能にし得る。限定ではなく一例として、I/Oデバイスは、キーボード、キーパッド、マイクロホン、モニタ、マウス、プリンタ、スキャナ、スピーカ、スチルカメラ、スタイラス、タブレット、タッチ画面、トラックボール、ビデオカメラ、別の適したI/Oデバイス、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。I/Oデバイスは1つまたは複数のセンサを含んでよい。本開示では、これらセンサのための任意の適したI/Oデバイスおよび任意の適したI/Oインターフェース808が考慮されている。必要に応じて、I/Oインターフェース808は、プロセッサ802がこれらのI/Oデバイスの1つまたは複数を駆動することを可能にする1つまたは複数のデバイスもしくはソフトウェアドライバを含んでよい。I/Oインターフェース808は、必要に応じて、1つまたは複数のI/Oインターフェース808を含んでよい。本開示は、特定のI/Oインターフェースについて記載しかつ示しているが、本開示では任意の適したI/Oインターフェースが考慮されている。
【0079】
特定の実施形態では、通信インターフェース810は、コンピュータシステム800と、1つもしくは複数の他のコンピュータシステム800または1つもしくは複数のネットワークとの間の通信(例えば、パケットベースの通信など)のための1つまたは複数のインターフェースを提供するハードウェア、ソフトウェア、またはその両方を含む。限定ではなく一例として、通信インターフェース810は、イーサネットまたは他の有線ベースのネットワークと通信するためのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)もしくはネットワークアダプタ、または、WI-FIネットワークなどの無線ネットワークと通信するための無線NIC(WNIC)もしくは無線アダプタを含んでよい。本開示では、任意の適したネットワークおよびそのための任意の適した通信インターフェース810が考慮されている。限定ではなく一例として、コンピュータシステム800は、アドホックネットワーク、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、または、インターネットの1つもしくは複数の部分、あるいは、これらのうちの2つ以上の組み合わせと通信し得る。これらのネットワークの1つまたは複数の1つもしくは複数の部分は、有線または無線であってよい。一例として、コンピュータシステム800は、無線PAN(WPAN)(例えば、BLUETOOTH WPANなど)、WI-FIネットワーク、WI-MAXネットワーク、セルラー電話ネットワーク(例えば、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)ネットワークなど)、もしくは、他の適した無線ネットワーク、または、これらのうちの2つ以上の組み合わせと通信し得る。コンピュータシステム800は、必要に応じて、これらのネットワークのいずれかのための任意の適した通信インターフェース810を含んでよい。通信インターフェース810は、必要に応じて、1つまたは複数の通信インターフェース810を含んでよい。本開示では、特定の通信インターフェースについて記載しかつ示しているが、本開示では任意の適した通信インターフェースが考慮されている。
【0080】
特定の実施形態において、バス812は、コンピュータシステム800のコンポーネントを互いに結合するハードウェア、ソフトウェア、またはその両方を含む。限定ではなく一例として、バス812は、アクセラレイティッドグラフィックスポート(AGP)もしくは他のグラフィックスバス、拡張業界標準アーキテクチャ(EISA)バス、フロントサイドバス(FSB)、ハイパートランスポート(HT)相互接続、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、インフィニバンド相互接続、ローピンカウント(LPC)バス、メモリバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、周辺コンポーネント相互接続(PCI)バス、PCI-エクスプレス(PCIe)バス、シリアルアドバンストテクノロジアタッチメント(SATA)バス、ビデオエレクトロニクススタンダードアソシエーションローカル(VLB)バス、もしくは、他の適したバス、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含んでよい。バス812は、必要に応じて、1つまたは複数のバス812を含んでよい。本開示は特定のバスについて記載しかつ示しているが、本開示では任意の適したバスまたは相互接続が考慮されている。
【0081】
本明細書では、コンピュータ可読非一時的記憶媒体(単数または複数)は、必要に応じて、1つまたは複数の半導体ベースのもしくは他の集積回路(IC)(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向けIC(ASIC)など)、ハードディスクドライブ(HDD)、ハイブリッドハードドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピーディスケット、フロッピーディスクドライブ(FDD)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュアデジタルカードもしくはドライブ、任意の他の適したコンピュータ可読非一時的記憶媒体、あるいは、これらのうちの2つ以上の任意の適した組み合わせを含んでよい。コンピュータ可読不揮発性記憶媒体は、必要に応じて、揮発性、不揮発性、または揮発性と不揮発性との組み合わせであり得る。
【0082】
本明細書において、「または」は、明示的に示されない限り、または文脈によって別段示されない限り包括的であり排他的ではない。したがって、本明細書において、「AまたはB」は、明示的に示されない限り、または文脈によって別段示されない限り、「A、B、またはその両方」を意味する。さらに、「および」は、明示的に示されない限り、または文脈によって別段示されない限り、併せるおよび個別の両方である。したがって、本明細書では、「AおよびB」は、明示的に示されない限り、または文脈によって別段示されない限り、「併せてまたは個別に、AおよびB」を意味する。
【0083】
本開示の範囲は、当業者が理解するであろう、本明細書に記載されるまたは示される実施形態に対する全ての変更、代用、変形、改変、および修正を包含する。本開示の範囲は、本明細書に記載または示された実施形態に限定されない。さらに、本開示は、特定のコンポーネント、要素、特徴、機能、動作、またはステップを含むものとして本明細書において各々の実施形態を記載しかつ示すが、これらの実施形態のいずれも、当業者が理解するであろう、本明細書のどこかに記載または示されたコンポーネント、要素、特徴、機能、動作、またはステップのいずれかの任意の組み合わせまたは置換を含んでよい。さらに、添付の特許請求の範囲において、特定の機能を実行するように適応され、配置され、これを実行することが可能であり、これを実行するように構成され、これを実行することを可能とされ、これを実行するように動作可能であり、またはこれを実行するように動作する、装置もしくはシステム、または、装置もしくはシステムのコンポーネントへの言及は、その特定の機能を作動させ、オンにし、またはロック解除するか否かにかかわらず、その装置、システム、コンポーネントがそのように適応され、配置され、可能であり、構成され、可能とされ、動作可能であり、または動作する限りは、その装置、システム、コンポーネントを包含する。さらに、本開示では特定の利点を提供するものとして特定の実施形態を記載するまたは示すが、特定の実施形態は、これらの利点のいずれも提供しなくてよく、該利点の一部または全てを提供してよい。
図1
図2
図3A-B】
図4
図5
図6A-B】
図7
図8
【国際調査報告】