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特表2023-517421医療流体を送達するためのぜん動ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】医療流体を送達するためのぜん動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/12 20060101AFI20230419BHJP
   F04C 5/00 20060101ALI20230419BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
F04B43/12 G
F04C5/00 341B
A61M1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535609
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2020085589
(87)【国際公開番号】W WO2021116316
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】102019133969.3
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シュペングラー、ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】キルストゲン、ウド
【テーマコード(参考)】
3H077
4C077
【Fターム(参考)】
3H077AA07
3H077AA08
3H077BB03
3H077CC04
3H077CC10
3H077DD09
3H077EE02
3H077FF22
4C077DD07
(57)【要約】
本発明は、チューブ(30)内に導かれる医療流体を送達するための送達デバイス(100)に関する。搬送デバイスは、ロータ(10)とステータ(20)とを備える。ステータ(20)は、少なくとも1つのステータ底部(21)と、チューブ(30)を受け入れるための空間と、閉塞デバイス(1)用の当接部としてのチューブ座部(22)とを備える。ロータ(10)は、少なくとも1つのロータ軸(7)と、ロータシャフトまたはロータ軸(7)に径方向に取り付けられ、送達デバイス(100)の使用中、当接部に対してチューブ(30)を断続的に圧迫する少なくとも2つの閉塞デバイス(1)とを備える。ロータ(10)は、ステータ(20)内でチューブ(30)を配向するか、または中央に置くためのチューブ(30)用の少なくとも1つの軸方向案内要素(6)を備え、この軸方向案内要素は、その長手方向軸周りで回転させることができ、軸方向案内要素(6)の長手方向軸は、ロータ軸(7)の長手方向軸に平行に通っている。軸方向案内要素(6)は、少なくとも1つの中央部分(6c)と、中央部分(6c)を超えて径方向に突起する少なくとも1つの第1の横方向部分(6a)とを備える。少なくとも第1の横方向部分(6a)は、回転可能に装着される。さらに、第1の横方向部分(6a)は、ロータ(10)の外縁の一部分を超えて径方向に突起する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホース内に案内される医療流体を搬送するための搬送デバイスであって、前記搬送デバイスは、ロータとステータとを有し、前記ステータは、少なくとも1つのステータベースと、前記搬送デバイス内に前記ホースを受け入れるための領域と、閉塞デバイス用の対向軸受としてのホース座部とを備え、前記ロータは、少なくとも1つのロータ軸と、前記ロータ軸に径方向に取り付けられ、前記搬送デバイスの使用中、前記ホース座部に断続的に対してホースを圧迫する少なくとも2つの閉塞デバイスとを備え、前記ロータは、前記ステータ内で前記ホースを位置合わせするか、または中央に置くために、それ自体の長手方向軸の周りを回転するように配置された少なくとも1つの軸方向案内要素を包含し、前記軸方向案内要素の前記長手方向軸は、前記ロータ軸の長手方向軸に平行に延び、前記軸方向案内要素は、
少なくとも1つの中間セクションと、前記中間セクションを超えて径方向に突起する少なくとも1つの第1の横方向セクションとを備え、少なくとも前記第1の横方向セクションは、回転可能に配置され、
前記第1の横方向セクションの一部は、前記ロータの外縁の一部分を超えて径方向に突起する、搬送デバイス。
【請求項2】
少なくとも1つのさらなる軸方向案内要素を有し、前記軸方向案内要素の少なくとも1つまたは前記閉塞デバイスの少なくとも1つが、前記ロータのスイングアーム上に配置される、請求項1に記載の搬送デバイス。
【請求項3】
少なくとも2つの軸方向案内要素および/または少なくとも2つの閉塞デバイスが、前記ロータの共通スイングアーム上に互いに対向して配置される、請求項1または2に記載の搬送デバイス。
【請求項4】
前記ロータの複数の閉塞デバイスおよび複数の軸方向案内要素が、前記軸方向案内要素および前記閉塞デバイスが前記ロータ内で交互に配置されるようにスイングアーム上に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項5】
前記軸方向案内要素の少なくとも1つが、少なくとも1つの円錐状の第2の横方向セクションを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項6】
前記軸方向案内要素の前記第1および前記第2の横方向セクションが、円錐状であり、一緒になって二重円錐を形成し、前記軸方向案内要素の前記中間セクションが、前記第1と前記第2の横方向セクション間に配置され、前記横方向セクションを互いに接続する、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項7】
前記円錐状の第1および第2の横方向セクションが異なっており、したがって前記二重円錐は、その幾何学的な重力中心に対して点対称ではない、請求項6に記載の搬送デバイス。
【請求項8】
前記ロータが、少なくとも1つの横方向案内要素をさらに備え、前記少なくとも1つの横方向案内要素の長手方向軸は、前記ロータ軸に垂直に延び、前記少なくとも1つの横方向案内要素が、前記ステータベースに対向して配置され、前記ホースを正面または外側に向けてのみ制限する、請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項9】
前記横方向案内要素が、その中央長手方向軸の周りに回転可能に配置される、請求項8に記載の搬送デバイス。
【請求項10】
前記軸方向案内要素の前記中間セクションのみが、その中央長手方向軸周りで回転可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項11】
前記ロータを覆うか、または少なくとも部分的に覆うカバー要素を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項12】
前記カバー要素が、ロータとステータとの間の前記領域内に前記ホースを容易に安全に挿入するための少なくとも1つの案内ラグを備えるか、または前記案内ラグからなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項13】
少なくとも1つの軸方向案内要素および/または1つの横方向案内要素が、前記カバー要素内に一体化される、請求項1から12のいずれか一項に記載の搬送デバイス。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の搬送デバイスを有する血液処置装置。
【請求項15】
透析装置、血液透析装置、血液ろ過装置、血液ろ過透析装置、アフェレーシス装置、血漿処置もしくは血漿交換装置、TPE装置として、および/またはその組み合わせとして設計される、請求項14に記載の血液処置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の、ホース内で案内される流体を搬送するための医療搬送デバイスに関する。本発明は、さらに、請求項14に記載の血液処置装置または前述の請求項のプリアンブルのそれぞれに関する。
【背景技術】
【0002】
ホース内で案内される流体を搬送するためのホースポンプまたはぜん動ポンプが、医療技術実践から知られている。ホースポンプは、作動空間が可撓性ホースの管腔からなる容積式ポンプの特殊形態である。作動空間は、(たとえば、閉塞ローラまたは表面の形態の)閉塞デバイスを使用して外部から誘発された機械的変形によって変えられる。体積流を生成するために、ホースは、1つまたは複数の地点(閉塞領域)において閉塞され、この閉塞領域は、ポンプ出口に向けてホースに沿って前方に移動される。ポンプ入口における新規の流体の吸引は、とりわけ、もう閉塞されなくなったホース領域をホースの弾力性によって再成形することに起因する負圧によって行われる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、さらなる搬送デバイスを提案することである。加えて、血液処置装置が、明記されるものとする。
【0004】
本発明による目的は、請求項1の特徴を有する搬送デバイスによって達成される。この目的は、さらに、請求項14の特徴を有する血液処置装置によって達成される。
【0005】
本発明による搬送デバイスは、ホース内で案内される医療流体を搬送するのに役に立つ。流体は、全血、血漿、もしくは他の血液成分、医薬、代用剤、透析液、非経口食品、または他の医療流体であってもよく、またはこれらを包含してもよい。
【0006】
本発明による搬送デバイスは、閉塞デバイスを備えたロータとステータとを備える。ステータは、たとえば、ポンプハウジングまたはその一部であってもよい。ステータは、ロータおよびホースのための容器を形成するか、またはこれを備える。したがって、ステータは、少なくとも1つのステータベースと、ホース座部と、ホースを受け入れるための空間とを備え、ホース座部は、ロータの閉塞デバイスのための対向軸受であるか、またはこれを備える。ステータは、たとえばロータの回転軸の方向にアクセス可能であるか、もしくは開いていてもよく、またはとりわけロータおよびホースが偶発的に接触することから保護する閉鎖可能および/または取り外し可能なカバー要素を備えていてもよい。ステータは、さらに、たとえば、ポンプ入口およびポンプ出口として設計され得るホース用の入口領域および出口領域を包含する。搬送デバイスは、入口領域から医療流体を吸引し、これらをさらに出口領域まで搬送する。
【0007】
ロータは、特に(たとえばロータに対して)中央に配置され、たとえばローラの形態の2つの閉塞デバイスを少なくとも備える、(たとえばハブ孔の幾何学的軸として設計されてもよく、または本明細書では代替的に軸の代わりにロータシャフトであってもよい)少なくとも1つのロータ軸を包含する。ロータ軸に対して径方向に装着された閉塞デバイスは、搬送デバイスが使用されているとき、ホースをステータの対向軸受に対して断続的に圧迫し、ホース管腔内の流体をポンプ出口に向けて押し出す、または搬送するのに役立つ。これにより、閉塞領域の上流側のホース内に負圧が作り出され、この負圧により、搬送されるさらなる流体を吸引する。
【0008】
ホースは、交互に圧迫され、再度減圧することができる。ロータにはその円周全体にわたって閉塞デバイスは装備されておらず、そうではなく、閉塞デバイスは、ロータが回転している間ホースを断続的に閉塞することを可能にする空隙を備えて配置される。そのような閉塞デバイスは、種々の数で存在することができる。たとえば、閉塞デバイスは、2つの閉塞デバイスを有するロータについては180°、3つの閉塞デバイスを有するロータについては120°、4つの閉塞デバイスを備えるロータについては90°などで互いからずらされ得る。閉塞デバイス間の距離は、いくつかの実施形態では同じであり、他の実施形態では同じではない。
【0009】
本発明によれば、ロータはまた、その長手方向軸の周りを回転可能であるように配置され、本明細書ではホース用の軸方向案内要素として称される、少なくとも1つの案内要素を備える。案内要素は、ステータのホース座部内でホースを位置合わせし、および/または中央に置くのに役立つ。軸方向案内要素の長手方向軸は、好ましくは、ロータ軸の長手方向軸に平行に延びる。
【0010】
軸方向案内要素は、本発明によれば、その長手方向軸の周りを回転することができるため、好ましくは、ホース上に作用しロータの回転運動によって生成される摩擦力を低減するために使用される。
【0011】
軸方向案内要素の回転運動は、受動的であってもよく、すなわち独自の駆動装置を有さず、すなわちホースに対する摩擦力だけによるものであってもよい。
【0012】
特定の実施形態では、軸方向案内要素の数は、ロータが備える閉塞デバイスの数と同じだけ設けられ得る。したがって、ロータが動いているとき、軸方向案内要素は、各閉塞デバイスの前を進むことができる。
【0013】
さらなる実施形態では、閉塞デバイスの数は、軸方向案内要素の数に対応しない。たとえば、2つ以上の軸方向案内要素が、各閉塞デバイスの前に設けられてもよい。
【0014】
この目的のために、軸方向案内要素は、少なくとも1つの中間(代替的に中央)セクションを備える。これは、回転可能に配置または装着され得る。軸方向案内要素はまた、中間セクションを超えて径方向に突起し、回転可能に配置された、少なくとも1つの第1の横方向セクションを備える。第1の横方向セクションは、ロータの外縁の一部分を超えて径方向に突出することができる。
【0015】
軸方向案内要素の横方向セクションおよび中間セクションは、(回転軸が直立した状態でのロータの側面図において)ホースを下方からおよびホースの径方向の内側部上で境界付けることによってホースを受け入れる。
【0016】
横方向セクションおよび中間セクションは、いくつかの実施形態では、一体品構成要素であってもよい。これらは、代替的には、複合部材であってもよく、またはユニットに組み立てられてもよい。
【0017】
本発明による血液処置装置は、本発明による搬送デバイスを備える。搬送デバイスは、血液処置デバイスの一部であってもよく、またはたとえば搬送デバイスのロータが接続されるか、または接続されてもよいギヤがこの目的のために設けられた血液処置装置に、たとえば血液処置装置の容器にまたはこの内部に取り付けられるか、または取り付けられることになる、カセットまたはモジュールとして設計されてもよい。
【0018】
以下の記載のすべてにおいて、「あってもよい」または「有することができる」などの表現の使用は、それぞれ「好ましくはそうである」または「好ましくは有する」などと同義に理解されるものとし、本発明による実施形態を示すように意図される。
【0019】
本発明による実施形態は、上記または以下で言及される特徴の1つまたはいくつかを備えることができる。この中で、本明細書に言及される特徴は、具体的な組み合わせが技術的に不可能であると当業者が認識しない限り、任意の組み合わせにおいて本発明による実施形態の主題であってもよい。
【0020】
本発明による実施形態は、従属請求項および実施形態のさらなる主題である。
【0021】
本明細書において数値語が言及されるときはいつでも、当業者は、これらを数値的下限の指示として認識または理解しなければならない。これによって当業者が明らかな矛盾を感じない限り、当業者は、たとえば「1」の仕様を「少なくとも1つ」を包含するものとして解釈しなければならない。この理解はまた、数値語、たとえば、「1つ」が、当業者にとって明らかに技術的に可能である場合はいつでも、代替的に「正確に1つ」を意味し得るという解釈として本発明によって同様に包含される。その両方は、本発明によって包含され、本明細書に使用されるすべての数値語に適用される。
【0022】
実施形態が本明細書において言及されるときはいつでも、これは、本発明による例示的な実施形態である。
【0023】
「上部」および「底部」の情報は、本明細書では、当業者に疑念がある場合は絶対的または相対的空間情報として理解されるものであり、これらの情報は、図内のそれぞれの要素の配向または意図通りに使用される場合のそれらの配向を指す。
【0024】
本明細書において孔が言及される場合、これは、代替的には開口部または貫通開口部であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明による搬送デバイスは、少なくとも1つのさらなる軸方向案内要素を備える。いくつかの実施形態では、軸方向案内要素の少なくとも1つまたは閉塞デバイスの少なくとも1つは、ロータの任意選択のスイングアーム上に配置される。
【0026】
いくつかの実施形態では、スイングアームは、懸架装置、たとえばフォークとして、懸架装置またはフォークをロータの別のセクション、たとえばハブ本体に接続するスイング式継手を備えて設計される。
【0027】
閉塞デバイスが懸架装置に締結される際に用いられる接続要素が設けられてもよく、閉塞デバイスは、この接続要素の周りを自由に回転するように配置され得る。接続要素は、閉塞デバイスの回転軸を形成することができる。
【0028】
任意選択のハブ本体は、スイングアーム、したがってその上に配置された部材すべてをロータの軸に結合する。いくつかの実施形態では、ハブ本体はこうして、たとえば、ロータ内をまたはロータから径方向に延びるロータのすべての構成要素、特に閉塞デバイスおよび軸方向案内要素をロータの回転に結合する。
【0029】
特定の実施形態では、任意選択のハブ本体は、ロータ軸の運動が閉塞デバイスに伝達されるように閉塞デバイスに回転軸を接続するために、接続プレートとして、すなわち必要な孔、ピン、または他の接続構造を備えたプレートとして設計される。
【0030】
いくつかの実施形態では、スイングアームは、アームとして設計される。これらは、そのため剛性構造を形成することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのスイングアームは、ばね装着式である。スイングアームの低いばね反応性は、たとえば、ロータへのホースの挿入を容易にする、またはロータを種々のホースに簡単に適応させるために有利であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの軸方向案内要素および/または少なくとも2つの閉塞デバイスが、ロータの共通スイングアーム上に互いに対向して配置される。
【0033】
この中で、ロータは、閉塞デバイス用の1つのスイングアームと、軸方向案内要素用の1つのさらなるスイングアームとを備えることができる。
【0034】
閉塞デバイスと軸方向案内要素の両方は、異なる数で存在することができる。その径方向配置において、これらは、そのそれぞれのスイングアーム上に互いから常に同じ距離でまたは異なる距離で配置され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ロータの複数の閉塞デバイスおよび複数の軸方向案内要素は、共通スイングアーム上に配置される。ここでは、軸方向案内要素は、任意選択により各閉塞デバイスに割り当てられる。
【0036】
本発明によれば、閉塞デバイスおよび軸方向案内要素は、異なる数で存在することができ、互いから同じまたは異なる距離でスイングアームに配置され得る。
【0037】
さらなる実施形態では、閉塞デバイスおよび軸方向案内要素の数は、同じではない。たとえば、2つ以上の軸方向案内要素が、ロータ内の各閉塞デバイスの前に配置され得る。
【0038】
スイングアームは、従来技術で知られている設計すべてを有することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、軸方向案内要素の少なくとも1つは、少なくとも1つの第2の横方向セクションを備えることができる。この横方向セクションは、円錐状であってもよい。軸方向案内要素のこの幾何学的設計は、ロータが動いているときにホースの横断方向摺動運動を最小限に抑え、したがってホースの磨耗を低減するために、ステータベースの上方およびロータの周りでホースをより良好に案内するのに役立つ。
【0040】
さらなる実施形態では、軸方向案内要素は、わずかに砂時計形状である中間セクションを備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、軸方向案内要素の第1および/または第2の横方向セクションは、円錐状であってもよい。これらは一緒になって、二重円錐を形成することができ、円錐形の先端は互いに面し、軸方向案内要素の中間セクションは、第1と第2の横方向セクション間に配置され、これらを接続する。
【0042】
二重円錐形状の軸方向案内要素は、その幾何学的設計によってロータの周りでホースを案内する。同じ目的に役立つさらなる案内要素は、有利には、本発明によるそのような実施形態では省略され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、2つの円錐状横方向セクションは、互いに異なるか、または別のものであり、これは、2つの円錐状横方向セクションによって形成された二重円錐が、好ましくは、その幾何学的な重力中心に対して点対称ではないことを意味する。
【0044】
特定の実施形態では、ロータは、中間セクションに加えて、2つの横方向セクションではなく、正確には1つだけの横方向セクションを備える軸方向案内要素を備える。
【0045】
いくつかの実施形態では、ロータは、さらに、少なくとも1つの横方向案内要素を備えることができる。
【0046】
横方向案内要素の長手方向軸は、有利には、ロータ軸に垂直に延び、ホースがステータベースと横方向案内要素との間に配置されるようにステータのステータベースの上方に配置される。横方向案内要素だけがこうしてホースを外側、すなわちユーザに対して境界付ける。これは、有利には、ロータが回転しているときにホースが摺動してステータベースから出ることを防止するのに寄与する。
【0047】
そのような実施形態では、中間セクションに加えて、軸方向案内要素は、ホースとステータベースとの接触を防止する、ステータベースに向かう正確には1つの横方向セクションだけを包含することができる。軸方向案内要素の中間セクションは、下方からホースを支持し、これを案内する(すなわち、中間セクションは、ロータ軸の最も近くに配置されたホースの表面を支持する)。横方向案内要素は、さらに、ロータのハブ本体との接触を防止し、ホースが動いて閉塞ローラの外に出ることを防止する。そのような実施形態では、ホースは、好ましくは1つまたは複数のそのような横方向案内要素だけでこうして支持され、外側、すなわちユーザに向けて案内される。
【0048】
いくつかの実施形態では、横方向案内要素は、その中央軸周りで回転可能であってもよい。これは、ロータが動いているときに、挿入されたホースのための、またはホース上の機械的応力を低減するか、または最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、任意選択により、軸方向案内要素の中間セクションだけが、その中央長手方向軸周りで回転可能である。これもまた、このホース上の機械的応力を低減するのを助けることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明による搬送デバイスには、カバー要素が装備される。カバー要素は、これが搬送デバイスに挿入されている限り、ロータおよび/またはホースを覆うか、または少なくとも部分的に覆うことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、搬送デバイスが搬送しているとき、カバー要素は、ステータに対して静止するようにおよび/または非回転式に配置される。
【0052】
さらなる実施形態では、カバー要素は、ロータに結合され、ロータが回転するときにロータに付帯される。
【0053】
カバー要素は、汚れまたは水分からロータまたは搬送デバイス全体を保護するのに適し得る。
【0054】
さらに、たとえば、ロータが回転しているとき、少なくとも1つが回転している構成要素間にユーザが偶発的に到達することが、防止され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、カバー要素は、任意選択により、少なくとも1つの案内ラグ(guiding lug)を備えるか、またはこれからなる。案内ラグは、その幾何学的形状により、ホースをステータベースに簡単に安全に挿入するために使用され得る。
【0056】
案内ラグは、たとえば、ステータベースに向かうカバー要素の一部分の下降部として設計され得る。ホースを挿入する際、案内ラグは、ロータの周りに挿入されるホースの部分のための支持容器であってもよい。
【0057】
ホースを搬送デバイスに挿入する際、ホースは、案内ラグと接触して置かれる。ホースは、次いで、ステータベースに向けて前進される。ホースは、たとえば、丸められた、平滑な、および/またはステータベースの方向に傾斜する案内ラグの表面によって、ロータに対する所望の位置に摺動し、次いで、ロータの周りをさらに前進され得る。
【0058】
案内ラグの幾何学的形状は、好ましくは、ホースの挿入を容易にし、挿入中、ホースがねじられ、および/または滑ってロータとステータとの間の空間から出ることを防止する。
【0059】
他の実施形態では、案内ラグは、カバー要素に一体化され、および/またはカバー要素と一体品ユニットを形成する。
【0060】
いくつかの実施形態では、案内ラグおよびカバー要素は、複合品ユニットを形成する。
【0061】
いくつかの実施形態では、案内ラグは、挿入またはねじ込み補助具として理解され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、任意選択により、少なくとも1つの軸方向案内要素および/または1つの横方向案内要素は、カバー要素内に一体化される。
【0063】
そのような実施形態では、スイングアーム、またはロータおよび/または軸方向および/または横方向案内要素間の類似の接続要素は、これらの接続要素のタスクが、カバー要素によって引き継がれるため、もはや必要ではない。
【0064】
いくつかの実施形態では、カバー要素は、ハブ本体として設計される。カバー要素は、搬送デバイスのギヤとの接続のための接続要素を備えることができる。カバー要素はまた、スイング式アームとして作用することができ、たとえば、カバー要素には、搬送デバイスの回転する構成要素用のシャフトとして役立ち得るピンが設けられてもよい。したがって、通常スイングアームによって実行される接続および結合機能は、ここではカバー要素によって引き継がれるため、スイングアーム、ハブまたは類似の接続要素無しで搬送デバイスを構築することが可能であることが有利である。
【0065】
いくつかの実施形態では、搬送デバイスは、流体処置装置に取り付けられるように準備されたカセットまたはその一部である。
【0066】
いくつかの実施形態では、搬送デバイスは、ハウジングなどの流体処置装置のさらなるセクションに堅固に接続される。
【0067】
いくつかの実施形態では、流体処置装置は、血液処置装置である。
【0068】
いくつかの実施形態では、血液処置装置は、透析装置、血液透析装置、血液ろ過装置、血液ろ過透析装置、アフェレーシス(apheresis)装置、血漿処置もしくは血漿交換装置、TPE装置(総非経口栄養)として、および/またはその組み合わせとして設計される。
【0069】
いくつかの実施形態では、閉塞デバイスと閉塞デバイスのための対向軸受であるホース座部との間の距離は、変えることができない。
【0070】
複数の実施形態では、ホース座部は、相補的な形状の支持表面に対してハウジング上でまたはハウジングにおいて支持される、円錐状またはテーパ状の設置面積部を有さない。
【0071】
いくつかの実施形態では、閉塞デバイスとホース座部との間の距離は、ホース座部を支持表面に沿ってハウジングに対して移動させることによって調整することはできない。
【0072】
いくつかまたはすべての実施形態は、下記で言及される利点の1つ、複数、またはすべてを備えることができる。
【0073】
本発明による搬送デバイスは、ホースポンプとして、流体を穏やかに、ホースの内側以外の装置の構成要素と接触させずに送達することを可能にする。
【0074】
本発明による搬送デバイスの構造はまた、ホースの長手方向軸に沿ったホースの閉塞されたセクションの変位によって引き起こされるせん断力を低く保つことによって、深刻で重い、またはいっそうの損傷からホースを保護することもできる。せん断応力は、ホースの寿命の低減だけでなく、ホースの磨耗が増大するにつれて、搬送速度および搬送圧力が低下する要因である。
【0075】
本発明によれば、やはり低減され得ることが有利であるホースに対する損傷は、ホース材料粒子のいわゆる破砕である。そのように吹き飛ばされ、または細断されたホース粒子は、圧送される流体を汚染し得る。医療分野では、これは、たとえば器官内の蓄積に繋がり得る。
【0076】
本発明による搬送デバイスは、有利には、ステータ内のホースの横断方向運動(すなわち、回転するロータの回転軸に対して平行な方向)を低減するか、またはさらに回避することができる。これは、さらに、摺動摩擦によるホースの磨耗を間接的に低減または軽減し、したがってホースの寿命を増大させ、破砕の現象を低減する。これは、特に負圧側の閉塞されたホースセクションに適用される。
【0077】
また、本発明による搬送デバイスを使用する際、そのような好適なその構造は、ホースの寿命を著しく増大させるだけでなく、より一定の流量値を保つことを可能にもすることが、有利であり得る。
【0078】
以下では、本発明は、同一の参照番号が同じまたは同一の構成要素を示す添付の図に基づいて、例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】従来の搬送デバイスの概略図。
図2a】本発明による搬送デバイスの第1の実施形態の概略正面図。
図2b】ホースが挿入されている、図2aの搬送デバイスの概略図。
図3】閉塞デバイスおよび軸方向案内要素の下方からの視点の、図2aの本発明による搬送デバイスの概略図。
図4】案内ラグを使用したホースの挿入中の、図3による図の図2aのロータの概略図。
図5】ホースが挿入されている、図4の図の前述の図のロータの概略図。
図6】ホースが挿入されている、前述の図のロータの簡易化された概略断面図。
図7】下方から斜めおよびホース案内領域上の正面からの前述の図のロータの斜視図。
図8】閉塞デバイス、1つだけの横方向セクションを有する実施形態における軸方向案内要素、ならびに1つの横方向案内要素の視点の、外側から斜めのロータの斜視図による、搬送デバイスの本発明によるさらなる実施形態を示す図。
図9図8のロータの正面図。
図10】下方からのロータのやや斜視図の視点の、本発明による搬送デバイスのさらなる実施形態の一部分を示す図。
図11】スイングアームの視点の、カバー要素無しの本発明による搬送デバイスのさらなる実施形態の概略正面図。
図12】スイングアームおよび軸方向案内要素の共通軸の視点の、カバー要素無しの本発明による搬送デバイスのさらなる実施形態の概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1は、ステータ20とロータ10とを有するポンプユニットとする従来の搬送デバイスの概略図を示す。ホース30は、ステータベース21の上方のロータ10とステータ20との間の空間内に配置される。図1のロータ10は、本発明によって提供される軸方向案内要素は備えない。
【0081】
ロータ10が動いている状態で、横断運動(両側矢印Q-Qを参照)が、閉塞ローラ1または案内要素6に対してホース30において起こる。ロータの回転中に生じる摩擦力は、ホースがホース入口と閉塞ローラ1との間でストリングのように伸張されるように(点P1から点P2のホース経路を参照)、ホース30上に作用する。
【0082】
特に、ホース30が、ポンプハウジングの入口および出口(それぞれ30aおよび30b)において単純に接線方向に延びず、わずかによじられる搬送デバイスの実施形態では、そのような横断方向運動は、言及された引張力の下で生じる。ホース30は、ここでは、ロータ10の全回転ごとに周期的に引っ張られ、この引張力は、閉塞デバイス1が過圧側に向かってさらに回転することによって再度低下する。横断方向運動は過圧側では起こり難く、その理由は、ここではホース30は圧迫され、ホース座部に接して位置しているだけであるためである。
【0083】
このストリング様の伸張されたホースセクションでは、案内表面の軸とホース軸との間の角度は、90°未満であり、これにより、ホースの巻き出しを引き起こすことに加えて、ロール上のホースの摺動も引き起こされる。この影響は、説明された横断方向運動に加えて、ホース30上の磨耗を促進する。
【0084】
図2aと図2bの両方は、ロータシャフト7の周りを回転するロータ10と、ロータ10が内部で回転することができる固定されたステータ20とを備えた、(ユーザによって使用時に知覚される)正面または外側から見た本発明による搬送デバイス100の実施形態の概略図を示す。ステータ20は、ロータ10およびホース30のための容器を形成し(図2を参照)、ホースは、下方からロータ10に挿入され、ここから再度下方向に退出する。
【0085】
図2aおよび2bではロータ10の後方に位置するロータ10用の容器は、流体処置装置のハウジング(図示せず)の一部として、または図示されない、流体処置装置のロータギヤ上に装着されるか、または差し込まれるカセットとして設計される。
【0086】
ロータ10は、シャフトを介して、図示されない流体処置装置の駆動モータに接続されてもよく、前記駆動モータによって作動されてもよい。
【0087】
特定の実施形態では、ロータ10用の容器は、駆動シャフトを有することができ、または駆動シャフトであってもよく、ロータ10は、これに差し込まれる。
【0088】
ステータ20の受け入れセクションまたはホース30用の空間が、ステータベース21によって形成され、このステータベースから、ホース座部22が、閉塞デバイス1用の対向軸受として延びる。ホース30は、これが、ロータ10と、対向軸受としてのホース座部22との間に位置し、ロータ10の周りで少なくとも部分ごとに案内されるように、搬送デバイス100に挿入され、これは、図2bに示される。
【0089】
ロータ10は、たとえば、実質的に円筒状の閉塞ローラとして設計され、好ましくは、その回転中央軸O(図3を参照)の周りを回転することができる、1つまたは複数の閉塞デバイス1を備える。図2aは、互いに対向して位置し、スイングアーム2に取り付けられた2つの閉塞デバイス1を例示的に示す。スイングアーム2は、ロータシャフト7を閉塞デバイス1に接続し、閉塞デバイスをロータ10の回転運動に機能的に結合する。このようにして、搬送デバイス100が使用されているとき、ホース30は、1つまたは複数の閉塞デバイス1によって、ステータ20の対向軸受としてのホース座部22に周期的に押しつけられ、こうして閉塞される。
【0090】
ロータ10が回転するとき、閉塞デバイス1は、ホース30(図2aには示されず)に沿って摺動またはロールする。閉塞デバイス1がホース30から係合解除された後、前に圧迫されたホースのセクションは、ホース材料の弾性により再拡張する。生成された負圧は、搬送デバイス100の上流側のホースシステム内に存在する流体を吸引する。負圧は、閉塞デバイス1の正面に封入され、存在する体積流が搬送される方法によって生成される。またこれにより、流体はホース30の管腔に沿って搬送される。
【0091】
この中で、閉塞デバイス1は、ホース30をより大きくまたはより小さく圧迫することができる。ホース30のこの圧迫度は、任意選択により、本発明によって設定され得る。たとえば、これは、任意選択の、好ましくはばね懸架されたスイングアーム2によって固定され得る。
【0092】
そのような任意選択のスイングアーム2により、搬送デバイス100は、実際に使用されるホース30の特性に、たとえばその材料特性またはその断面に適応され得る。
【0093】
さらに、図2aおよび図2bの搬送デバイス100は、さらに、少なくとも1つの軸方向案内要素6(図3を参照)、ここでは例示的に2つの軸方向案内要素6を備え、いずれの場合も第1の横方向セクションが確認され得る。図3を参照されたい。
【0094】
軸方向案内要素6は、横方向に(図3を参照)、たとえば、より詳細に図6に示されるように下方からホースを支持し、境界付けることによってホース30の埋め込みに好都合である。
【0095】
図2aおよび図2bのロータ10は、任意選択により、ユーザがロータ構成要素に偶発的に触れることから保護することができるカバー要素5の下に位置する。カバー要素はまた、任意選択により、ホース30の手動ねじ込みのためのハンドルとして役に立つ。
【0096】
カバー要素5は、任意選択により2つの案内ラグ4を備えるか、またはこれらからなる。案内ラグ4は、その幾何学的形状によってホース30のねじ込みを容易にするように設計され得る(図3を参照されたい)。
【0097】
参照番号Aで示される矢印は、図3から図5による視野方向を示す。
【0098】
図3は、図2aの矢印Aの方向に下方から見た、図2aおよび図2bのロータ10のみの概略図を示す。
【0099】
閉塞デバイス1および軸方向案内要素6は、ホース30がまだ挿入されていないため、ここでは明確に見ることができる。
【0100】
軸方向案内要素6は、種々の幾何学的構成を有することができる。これらは、1つまたは複数の部材で作製され得る。軸方向案内要素は、少なくとも1つの中間セクション6cと、中間セクション6cを超えて径方向に突出する少なくとも1つの第1の横方向セクション6aとを備える。この第1の横方向セクション6aはまた、ロータ10の外縁の一部分を超えて径方向に突出する。軸方向案内要素6は、ホース30を中央に置くか、または位置合わせするために設けられる。これらは、ホース30の横断方向摺動運動またはせん断運動が、ロータ10が動いている間防止されるか、または最小限に抑えられるように構成される。ホース30上に及ぼされる摩擦力をさらに最小限に抑えるために、この実施形態のような軸方向案内要素6は、受動的に回転する部材またはローラからなることができ、またはこれらを備えることができる。
【0101】
中間セクション6cに接続された軸方向案内要素6の第1の横方向セクション6aのみが、ここに示される。図3を参照されたい。任意選択の第2の横方向セクション6bが、設けられてもよい。たとえば図3を参照されたい。第2の横方向セクションは、中間セクション6cによって第1の横方向セクション6aに接続され得る。
【0102】
本発明によれば、たとえば、中間セクション6cおよび/または第1の横方向セクション6aおよび/または第2の横方向セクション6bはそれぞれ、その長手方向軸の周りで(またはディスク形状の第1の横方向セクション6aを有する実施形態の場合は中心点の周りで)回転可能であってもよい。
【0103】
閉塞デバイス1と軸方向案内要素6の両方が、ここでは例示的に、共通のスイングアーム2に配置される。
【0104】
閉塞デバイス1は、任意選択により円筒状に設計される。
【0105】
本実施形態の軸方向案内要素6は、一体品であり、円筒状の中間セクション6cと、実質的にディスク形状の第1の横方向セクション6aと、実質的に円錐状である第2の横方向セクション6bとを有する。
【0106】
ここで中間セクション6cはまた、例として、横方向セクション6aおよび6bより小さい最大直径を有する。使用中、図3の軸方向案内要素6は、その中央長手方向軸Lの周りを回転する。
【0107】
いくつかの実施形態では、軸方向案内要素6は、受動的に回転し、すなわち、その軸またはシャフトは、ロータ軸に機械的に接続されない。軸方向案内要素6のその長手方向軸周りの回転運動は、軸方向案内要素6のこの回転運動の役割を果たすさらなる力無しで、ホース30に対する摩擦のみによって決定される。
【0108】
軸方向案内要素6のそれぞれは、特有のスイングアーム2に個々に取り付けられ得る。軸方向案内要素6は、代替的には、それぞれの共通スイングアーム2に対でまたはグループで取り付けられ得る。代替的にまたは加えて、軸方向案内要素6の少なくとも1つは、閉塞デバイス1の少なくとも1つとの共通スイングアーム2上に配置され得る(たとえば、図12の本発明による例示的な実施形態を参照されたい)。
【0109】
図4は、案内ラグ4を用いた搬送デバイス100へのホース30の挿入中の、ロータ10の概略図を示す。
【0110】
この中で、案内ラグ4(全般的に案内要素)は、軸方向案内要素6を使用して、ホース30をロータ10とステータ20との間に簡単に、わずかな機械的負荷だけで挿入するように設計される。
【0111】
図5は、ホース30がすでに挿入されている、図4のロータ10の概略図を示す。
【0112】
案内要素6の幾何学的設計は、ここでは例示的には、ロータ10が動いているときにホース30が案内ラグ4と接触しないようなものである。これは、細い矢印によって図5に示される。
【0113】
図5は、どのようにしてホース30が中間セクション6c上で、これと接触して案内され、それと同時に軸方向案内要素6の第1の横方向セクション6aおよび第2の横方向セクション6bによって横方向に制限されるかを示す。
【0114】
軸方向案内要素6の幾何学的形状は、ロータ10が動いているときにホース30がステータベース21、案内ラグ4および/またはカバー要素5と接触しないように、ステータベース21内のロータ10の周りでホースを中央に置いた状態に保つ。
【0115】
このようにして、閉塞デバイス1とステータ20との間に挿入されたホース30は、有利には、わずかな横方向または軸方向のあそびしか有さず、すなわち、ホース30は、ロータが動いていることに伴う横断方向運動およびせん断運動に晒されにくい。ホース磨耗を低減することで、材料を節約できる。
【0116】
図6は、詳細にはホース30の一部分がステータ20およびロータ10および軸方向案内要素6の間に挿入されている、ステータ20の一部分の大幅に簡易化された断面図を示す。
【0117】
ホース30の耐用寿命は、軸方向案内要素6の構造パラメータの適切な選択によって著しく増大され得る。また、いくつかの実施形態では、より一定の流れ値が、ホース30に沿って維持され得る。
【0118】
図7は、斜め下方からおよび正面(外側)から、ホース30がロータ10の周りで案内され得る領域を見た、前述の図のロータ10の概略的な斜視図を示す。
【0119】
ここでは、ロータ10は、ロータ10を実質的に覆う任意選択のカバー要素5を備える。径方向において、スイングアーム2のみが閉塞デバイス1および軸方向案内要素6を伴って、ロータ10のカバー要素5を超えて突起する。閉塞デバイスがスイングアーム2内にまたはスイングアーム2にそれを用いて装着されるスイング軸として設計される、閉塞デバイス1の軸2cを明確に見ることができる。この軸2cは、その中央長手方向軸O周りの閉塞デバイス1の回転を可能にする。
【0120】
この実施形態では、軸方向案内要素6の2つの横方向セクション6aおよび6bは、たとえばディスクの形態で設計される。これらは、任意選択により、同じ直径を有する。中間セクション6cは、円筒状であり、2つの横方向セクション6a、6bよりかなり小さい直径を有する。両方の横方向セクション6a、6bは、任意選択により円錐状であってもよく、横方向セクション6a、6bのそれぞれの円錐高さは、いくつかの実施形態では同じであってもよく、他の実施形態では異なっていてもよい。
【0121】
図8は、下方および正面から斜めに見た、ロータ10の斜視図による搬送デバイスのさらなる実施形態の図を示す。閉塞デバイス1、軸方向案内要素6、および横方向案内要素3は、容易に認識され得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、たとえば図8のものでは、軸方向案内要素6は、第1の横方向セクション6aおよび中間セクション6cのみを備え、特に第2の横方向セクション6bは備えない。
【0123】
第1の横方向セクション6aは、ホース30をステータベース21に向けて境界付けする。第1の横方向セクションは、たとえば(好ましくは完全にまたは実質的に)ディスク形状または円錐状の幾何学的設計を有し、この幾何学的設計は、ロータ10が動いている間、ステータベース21と、またはロータ本体の部材または領域と(たとえばハブ本体8と)意図せず接触しないように、ホース30を中央に置いた状態に保つのに適している。
【0124】
さらに、この実施形態のロータ10は、少なくとも1つの横方向案内要素3を備える(図9も参照されたい)。図8では1つのみを見ることができる横方向案内要素3は、ホース30を横方向にロータ10の外側に向けて、すなわちロータ10とステータ20との間の空間の開放側に対して、すなわちステータベース21から離れてまたはユーザに向けて境界付ける。したがって、これらは、ロータ10が動いている間、ホース30が摺動して搬送デバイス100から出ることを防止する。横方向案内要素3は、軸方向案内要素6との相互作用において、ホース30の横断方向摺動運動またはせん断運動が生じることを防止する。
【0125】
少なくとも1つの横方向案内要素3は、円筒状または実質的に円筒状の本体として設計されてもよく、またはそのベース表面の1つを通る軸上に配置されるものを有することができ、そのシャフトは、ロータシャフト7まで径方向に延びる。横方向案内要素3の長手方向軸は、好ましくはロータシャフト7の長手方向軸に垂直である。横方向案内要素3は、任意選択により、ロータが動いているときのホース30に対する摩擦力を低減するために、その長手方向軸Pの周りで回転することができる。
【0126】
図9は、図8のロータ10の正面図を示す。
【0127】
図10は、下方からのロータ10のやや斜視図による、搬送デバイス100のさらなる実施形態の一部分を示す。
【0128】
ここでは、カバー要素5は、ハウジングを形成し、このハウジングは、ロータ10を外方向にユーザに向けて覆い、案内ラグ4を備える上面または表面5aを備え、また、任意選択により、ステータベース21までまたはその近くに延び、凹部を有するシェルまたは境界部5bを備え、この凹部を通って、閉塞デバイス1、少なくとも1つの横方向案内要素3の軸、および/または少なくとも1つの軸方向案内要素6の横方向セクションまたはそれらの一部は、ロータ10を超えて突起することができる。
【0129】
たとえば、この実施形態では、軸方向案内要素6の中間セクション6cは、ハウジング内に一体化される。ディスクの形態で設計される軸方向案内要素6の第1の横方向セクション6aは、ここでは回転する部材として例示的に構成され、カバー要素5を超えて横方向に明確に突起することができる。
【0130】
図11は、スイングアーム2を見た、正面からのやや斜視図で搬送デバイス100のさらなる実施形態の概略図を示す。
【0131】
スイングアーム2は、従来技術で知られている任意の設計を有することができる。たとえば、スイングアームは、フォークをハブ本体8に接続するスイング式継手2aを備えたフォークとして設計され得る。さらに、スイングアームは、閉塞デバイス1をスイングアーム2のフォークに自由回転式に取り付けるために、スイング式ばね2bと軸2cとを備えて設計され得る。
【0132】
ハブ本体8は、スイングアーム2、したがってこれに配置されるすべての部材をロータ10に結合し、ロータは、図示されない血液処置装置の駆動モータのシャフトによって駆動される。これらの実施形態では、ハブ本体8は、たとえば、ロータ10内を径方向に延びるロータ10のすべての構成要素、特に閉塞デバイス1および軸方向案内要素6を軸2dによってロータの回転に結合する。
【0133】
図11に示される実施形態では、軸方向案内要素6は、スイングアーム2の1つには配置されない。
【0134】
スイングアーム2は、剛性構造体であってもよく、または(図11および12に示されるように)わずかにばね状であってもよい。スイングアームがわずかにばね反応することは、たとえば、ロータ10が種々のホース、たとえば種々の直径を有するホースに適応することを可能にするために有利であり得る。
【0135】
原理上、ロータ10の単一の実施形態におけるスイングアーム2の異なる設計もまた、本発明によって包含される。
【0136】
図12は、正面から見た、スイングアーム2を有し、カバー要素を有さない本発明による搬送デバイス100のさらなる実施形態の概略図を示す。
【0137】
本実施形態の構造もまた、図11の実施形態の設計にほとんど対応する。しかし、ここでは少なくともその閉塞デバイス1は、スイングアーム2によって軸方向案内要素6に接続され、スイング式継手2aは、軸方向案内要素6用の軸として役立つ。少なくとも1つの閉塞デバイス1および少なくとも1つの軸方向案内要素6は、したがって共通のスイングアーム2上に存在する。
【0138】
閉塞デバイス1はまた、本明細書に説明されるように、ロータ10へのホース30の挿入を容易にすることができ、および/または種々のホースへのロータ10の適応を容易にすることができるスイング式ばね2bによって、ばね装着され得る。
【0139】
図11について、特にハブ本体8について上記で与えられた記載は、図12の実施形態または図にもそのまま適用される。
【符号の説明】
【0140】
1 閉塞デバイス
2 スイングアーム
2a スイング式継手
2b スイング式ばね
2c 閉塞デバイスの軸
2d 案内要素の軸
3 横方向案内要素
4 案内ラグ
5a 表面、上面
5b 境界部、シェル
5 カバー要素
6 軸方向案内要素
6a 軸方向案内要素の機械側に向かう第1の横方向セクション
6b 軸方向案内要素のユーザ側に向かう第2の横方向セクション
6c 軸方向案内要素の中間セクション
7 駆動シャフト、またはロータシャフトまたは軸
8 ハブ本体
10 ロータ
20 ステータ
21 ステータベース
22 閉塞デバイス用の対向軸受としてのホース座部
30 ホース
100 搬送デバイス
L 軸方向案内要素の中央長手方向軸
Q 軸方向案内要素の中央横断方向軸
O 閉塞デバイスの中央長手方向軸
P 横方向案内要素の中央長手方向軸
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】