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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】リアルタイム透析中低血圧予測
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20230419BHJP
   G16H 50/70 20180101ALI20230419BHJP
【FI】
G16H50/20
G16H50/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537611
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 US2020062766
(87)【国際公開番号】W WO2021126521
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】16/897,430
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/951,259
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】コタンコ、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ハンジエ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
リアルタイム透析中低血圧(IDH)予測のための技法が開示される。システムは、IDH事象に対する時間的近接度に基づいて機械学習訓練データのセットにセグメント化される過去の血液透析処置データを取得し、機械学習訓練データのセットに基づいてIDH事象を予測するように機械学習モデルを訓練する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、
透析中低血圧(IDH)事象に対する時間的近接度に基づいて機械学習訓練データの複数のセットにセグメント化される過去の血液透析処置データを取得することと、
機械学習訓練データの前記複数のセットに基づいてIDH事象を予測するように機械学習モデルを訓練することと、
を行わせる命令を記憶した1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項2】
機械学習訓練データの前記複数のセットは、
IDH事象前の最小期間内およびIDH事象前の最大期間内に記録された医療データを備える、陽性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第1のセットと、ここにおいて、前記最小期間は、少なくともIDH事象前に医学的に介入するのに十分な長さであり、
IDH事象前の前記最大期間を超えて記録された医療データを備える、陰性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第2のセットと、
を備える、請求項1に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項3】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、
血液透析患者に関連付けられたリアルタイム血液透析データを取得することと、
前記血液透析患者にIDH事象が差し迫っているかどうかを予測するために、前記リアルタイム血液透析データを前記機械学習モデルに適用することと、
を行わせる命令をさらに記憶した、請求項1に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項4】
機械学習訓練データの前記複数のセットに基づいてIDH事象を予測するために、前記機械学習モデルは、差し迫ったIDH事象の予測される可能性を示すリスクメトリックを計算するように構成される、請求項3に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記リアルタイム血液透析データに基づいて、前記機械学習モデルは、前記IDH事象が差し迫っていることを予測する、請求項3に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項6】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、
前記IDH事象が差し迫っていると予測することに応答して、前記IDH事象を防止するために前記血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することを行わせる命令をさらに記憶した、
請求項5に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記血液透析患者の前記処置を人間の介入なしに調整することは、限外濾過率を低減すること、透析液温度を低下させること、または機械的に前記血液透析患者の体位を変えることのうちの1つまたは複数を備える、請求項5に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項8】
ハードウェアプロセッサを含む少なくとも1つのデバイスを備えるシステムであって、
前記システムは、
透析中低血圧(IDH)事象に対する時間的近接度に基づいて機械学習訓練データの複数のセットにセグメント化される過去の血液透析処置データを取得することと、
機械学習訓練データの前記複数のセットに基づいてIDH事象を予測するように機械学習モデルを訓練することと、
を備える動作を行うように構成される、システム。
【請求項9】
機械学習訓練データの前記複数のセットは、
IDH事象前の最小期間内およびIDH事象前の最大期間内に記録された医療データを備える、陽性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第1のセットと、ここにおいて、前記最小期間は、少なくともIDH事象前に医学的に介入するのに十分な長さであり、
IDH事象前の前記最大期間を超えて記録された医療データを備える、陰性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第2のセットと、
を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記動作は、
血液透析患者に関連付けられたリアルタイム血液透析データを取得することと、
前記血液透析患者にIDH事象が差し迫っているかどうかを予測するために、前記リアルタイム血液透析データを前記機械学習モデルに適用することと、
をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
機械学習訓練データの前記複数のセットに基づいてIDH事象を予測するために、前記機械学習モデルは、差し迫ったIDH事象の予測される可能性を示すリスクメトリックを計算するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記リアルタイム血液透析データに基づいて、前記機械学習モデルは、前記IDH事象が差し迫っていることを予測する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記動作は、
前記IDH事象が差し迫っていると予測することに応答して、前記IDH事象を防止するために前記血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することをさらに備える、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記血液透析患者の前記処置を人間の介入なしに調整することは、限外濾過率を低減すること、透析液温度を低下させること、または機械的に前記血液透析患者の体位を変えることのうちの1つまたは複数を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
透析中低血圧(IDH)事象に対する時間的近接度に基づいて機械学習訓練データの複数のセットにセグメント化される過去の血液透析処置データを取得することと、
機械学習訓練データの前記複数のセットに基づいてIDH事象を予測するように機械学習モデルを訓練することと、
を備える、方法。
【請求項16】
機械学習訓練データの前記複数のセットは、
IDH事象前の最小期間内およびIDH事象前の最大期間内に記録された医療データを備える、陽性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第1のセットと、ここにおいて、前記最小期間は、少なくともIDH事象前に医学的に介入するのに十分な長さであり、
IDH事象前の前記最大期間を超えて記録された医療データを備える、陰性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第2のセットと、
を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
血液透析患者に関連付けられたリアルタイム血液透析データを取得することと、
前記血液透析患者にIDH事象が差し迫っているかどうかを予測するために、前記リアルタイム血液透析データを前記機械学習モデルに適用することと、
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記リアルタイム血液透析データに基づいて、前記機械学習モデルは、前記IDH事象が差し迫っていることを予測する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記IDH事象が差し迫っていると予測することに応答して、前記IDH事象を防止するために前記血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することをさらに備える、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記血液透析患者の前記処置を人間の介入なしに調整することは、限外濾過率を低減すること、透析液温度を低下させること、または機械的に前記血液透析患者の体位を変えることのうちの1つまたは複数を備える、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2020年6月10日に出願された「REAL-TIME INTRADIALYTIC HYPOTENSION PREDICTION」と題する米国特許出願第16/897,430号、および2019年12月20日に出願された「REAL-TIME INTRADIALYTIC HYPOTENSION PREDICTION」と題する米国仮特許出願第62/951,259号の利益を主張するものであり、両出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
透析中低血圧(IDH)は、血液透析中に直面する最も多い合併症の1つである。一部の推定によると、IDHは、すべての血液透析セッションの最大30パーセント(30%)で発生する。例えば、Intradialytic hypotension: frequency, sources of variation and correlation with clinical outcome. Sands JJ, Usvyat LA, Sullivan T, Segal JH, Zabetakis P, Kotanko P, Maddux FW, Diaz-Buxo JA. Hemodial Int. 2014 Apr;18(2):415-22. doi: 10.1111/hdi.12138. Epub 2014 Jan 27) を参照されたい。
【0003】
IDHは、罹患率および死亡率の増加の主要な危険因子である。例えば、IDHは、眩暈、嘔吐、意識消失、および/または他の合併症につながり得る。IDHの発生を管理するには、スタッフの注意がかなり必要となり、処置の全体的なコストが増加する。したがって、これらの理由および/または他の理由から、IDHリスク管理の改善が多くの臨床現場での重要な目標となっている。例えば、米国医療制度は、IDHリスク管理の改善が全体的な処置アウトカムに非常に関連があり得る末期腎疾患(ESRD)のための包括的ケアモデルに向かっているようである。
【0004】
このセクションで説明される手法は、必ずしも本出願の出願前に考案および/または追求されたものではない。したがって、別段の指示がない限り、このセクションで説明される手法は、先行技術として解釈されるべきではない。
【技術分野】
【0005】
本開示は、概して、透析中低血圧の予測に関する。
【発明の概要】
【0006】
1つまたは複数の実施形態は、先行手法よりもIDH予測を改善し、リアルタイムIDH予測を可能にする。1つまたは複数の実施形態は、陰性クラスの患者データ(すなわち、患者がIDHの予測のためのしきい値未満であったときのIDH事象より前の時間期間からのデータ)と、陽性クラスの患者データ(すなわち、患者がIDHの予測のためのしきい値以上であったときのIDH事象より前の時間期間からのデータ)とを使用する機械学習を含む。陰性クラスの患者データの使用は、訓練済みモデルが陰性条件と陽性条件とをリアルタイムで区別するのを助け得る。陰性クラスの患者データの使用はまた、早すぎるIDH予測を防止するのにも役立ち得る。1つまたは複数の実施形態は、非IDHクラスの患者データ(すなわち、IDH事象を経験しなかった患者からのデータ)を使用する機械学習を含む。非IDHクラスの患者データの使用は、訓練済みモデルがIDH前条件と非IDH条件とをリアルタイムで区別するのを助け得る。1つまたは複数の実施形態は、IDH事象の直前の時間ウィンドウにおけるデータ、例えば、IDH事象に先立つ15分のデータを欠く、または別様に無視する機械学習を含む。IDH事象の直前の時間ウィンドウにおけるデータを無視することは、訓練済みモデルが、臨床介入のための十分な時間を伴ってIDH事象をリアルタイムで予測するのに役立ち得る。
【0007】
概して、1つの態様では、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、透析中低血圧(IDH)事象に対する時間的近接度に基づいて機械学習訓練データのセットにセグメント化される過去の血液透析処置データを取得することと、機械学習訓練データのセットに基づいてIDH事象を予測するように機械学習モデルを訓練することと、を行わせる命令を記憶している。機械学習訓練データのセットは、IDH事象前の最小期間内およびIDH事象前の最大期間内に記録された医療データを含む、陽性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第1のセットと、ここにおいて、最小期間は、少なくともIDH事象前に医学的に介入するのに十分な長さであり、IDH事象前の最大期間を超えて記録された医療データを含む、陰性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第2のセットと、を含み得る。
【0008】
1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、血液透析患者に関連付けられたリアルタイム血液透析データを取得することと、血液透析患者にIDH事象が差し迫っているかどうかを予測するために、リアルタイム血液透析データを機械学習モデルに適用することと、を行わせる命令をさらに記憶し得る。リアルタイム血液透析データに基づいて、機械学習モデルは、IDH事象が差し迫っていないことを予測し得る。リアルタイム血液透析データに基づいて、機械学習モデルは、IDH事象が差し迫っていることを予測し得る。
【0009】
1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、IDH事象が差し迫っていると予測したことに応答して、IDH事象を防止するために血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することを行わせる命令をさらに記憶し得る。血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することは、限外濾過率を低減すること、透析液温度を低下させること、または機械的に血液透析患者の体位を変えることのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0010】
概して、1つの態様では、システムは、ハードウェアプロセッサを含む少なくとも1つのデバイスを含む。本システムは、透析中低血圧(IDH)事象に対する時間的近接度に基づいて機械学習訓練データのセットにセグメント化される過去の血液透析処置データを取得することと、機械学習訓練データのセットに基づいてIDH事象を予測するように機械学習モデルを訓練することと、を含む動作を行うように構成される。機械学習訓練データのセットは、IDH事象前の最小期間内およびIDH事象前の最大期間内に記録された医療データを含む、陽性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第1のセットと、ここにおいて、最小期間は、少なくともIDH事象前に医学的に介入するのに十分な長さであり、IDH事象前の最大期間を超えて記録された医療データを含む、陰性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第2のセットと、を含み得る。
【0011】
動作は、血液透析患者に関連付けられたリアルタイム血液透析データを取得することと、血液透析患者にIDH事象が差し迫っているかどうかを予測するために、リアルタイム血液透析データを機械学習モデルに適用することと、をさらに含み得る。リアルタイム血液透析データに基づいて、機械学習モデルは、IDH事象が差し迫っていないことを予測し得る。リアルタイム血液透析データに基づいて、機械学習モデルは、IDH事象が差し迫っていることを予測し得る。
【0012】
動作は、IDH事象が差し迫っていると予測することに応答して、IDH事象を防止するために血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することをさらに含み得る。血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することは、限外濾過率を低減すること、透析液温度を低下させること、または機械的に血液透析患者の体位を変えることのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0013】
概して、1つの態様では、方法は、透析中低血圧(IDH)事象に対する時間的近接度に基づいて機械学習訓練データのセットにセグメント化される過去の血液透析処置データを取得することと、機械学習訓練データのセットに基づいてIDH事象を予測するように機械学習モデルを訓練することとを含む。機械学習訓練データのセットは、IDH事象前の最小期間内およびIDH事象前の最大期間内に記録された医療データを含む、陽性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第1のセットと、ここにおいて、最小期間は、少なくともIDH事象前に医学的に介入するのに十分な長さであり、IDH事象前の最大期間を超えて記録された医療データを含む、陰性クラスとしてラベル付けされた機械学習訓練データの第2のセットと、を含み得る。
【0014】
本方法は、血液透析患者に関連付けられたリアルタイム血液透析データを取得することと、血液透析患者にIDH事象が差し迫っているかどうかを予測するために、リアルタイム血液透析データを機械学習モデルに適用することと、をさらに含み得る。リアルタイム血液透析データに基づいて、機械学習モデルは、IDH事象が差し迫っていないことを予測し得る。リアルタイム血液透析データに基づいて、機械学習モデルは、IDH事象が差し迫っていることを予測し得る。
【0015】
本方法は、IDH事象が差し迫っていると予測することに応答して、IDH事象を防止するために血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することをさらに含み得る。血液透析患者の処置を人間の介入なしに調整することは、限外濾過率を低減すること、透析液温度を低下させること、または機械的に血液透析患者の体位を変えることのうちの1つまたは複数を含む。
【0016】
本明細書で説明および/または特許請求の範囲に記載された1つまたは複数の実施形態は、この発明の概要のセクションに含まれていない場合がある。
【0017】
少なくとも1つの実施形態の様々な態様について、添付の図面を参照して以下で説明するが、添付の図面は、縮尺通りに描かれることを意図していない。図面は、様々な態様および実施形態の例示およびさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成するものであるが、本開示の限定を定義することを意図するものではない。図面において、様々な図面に例示されている同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字によって表される。明確にするために、いくつかの構成要素には、すべての図面においてラベルが付けられていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態によるシステムの一例のブロック図である。
図2】一実施形態によるコネクテッドヘルスシステム(connected health system)の一例のブロック図である。
図3】一実施形態によるリアルタイム透析中低血圧予測のための動作の一例のフロー図である。
図4A】一実施形態による受信者動作曲線の例を例示する図である。
図4B】一実施形態による受信者動作曲線の例を例示する図である。
図5】一実施形態による機械学習訓練データセットの一例のブロック図である。
図6】一実施形態によるしきい値ベースの分類の一例を例示する。
図7A】一実施形態による実験結果の例を例示する。
図7B】一実施形態による実験結果の例を例示する。
図7C】一実施形態による実験結果の例を例示する。
図7D】一実施形態による実験結果の例を例示する。
図7E】一実施形態による実験結果の例を例示する。
図7F】一実施形態による実験結果の例を例示する。
図8】一実施形態によるコンピュータシステムの一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一実施形態によるシステム100の一例のブロック図である。一実施形態では、システム100は、図1に例示される構成要素よりも多いまたは少ない構成要素を含み得る。図1に例示される構成要素は、互いにローカルであってもよいし、またはリモートであってもよい。図1に例示される構成要素は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで実装され得る。各構成要素は、複数のアプリケーションおよび/または機械にわたって分散していてよい。複数の構成要素を1つのアプリケーションおよび/または機械へと組み合わせてもよい。1つの構成要素に関して説明された動作は、代わりに別の構成要素によって行われてもよい。
【0020】
一実施形態では、透析中低血圧(IDH)予測サービス102は、リアルタイムIDH予測のための動作を行うように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを指す。リアルタイムIDH予測のための動作の例について以下で説明する。具体的には、IDH予測サービス102は、機械学習エンジン104を含む。機械学習は、可変入力を有する問題を解決するためのコンピュータ実装のユーザから独立したプロセスを扱う人工知能の分野における様々な技法を含む。例えば、1つまたは複数の実施形態は、本明細書に記載のリアルタイムデータに基づいて、IDHのリスクを予測し、処置方針のアウトカムを予測し、代替の処置方針を推奨し、および/または別の種類の予測、推奨、ならびに/もしくは他の情報を提供するために、機械学習を使用し得る。機械学習エンジン104は、差し迫ったIDH事象のリスクに対応するメトリック(例えば、パーセンテージ、小数値、整数値、文字グレード、および/または他の種類のメトリック、またはそれらの組合せ)を計算するように構成され得る。メトリックは、本明細書で説明されるように、比較され(すなわち、機械学習エンジン104によって、および/またはシステム100の別の構成要素によって)、1つまたは複数のしきい値と比較され得る。
【0021】
一実施形態では、機械学習エンジン104は、1つまたは複数の動作を行うように機械学習モデル106を訓練する。機械学習モデル106の訓練は、機械学習モデル106に1つまたは複数の入力が与えられると、対応する出力を計算する関数を生成するために訓練データを使用する。出力は、前の機械学習に基づく予測に対応し得る。一実施形態では、出力は、提供された入力(単数または複数)に割り当てられたラベル、分類、および/またはカテゴリ化を含む。機械学習モデル106は、所望の動作(単数または複数)(例えば、入力のラベル付け、分類、および/またはカテゴリ化)を行うための学習済みモデルに対応する。システム100は、異なる目的のために複数の機械学習エンジンおよび/または複数の機械学習モデルを使用し得る。
【0022】
一実施形態では、機械学習エンジン104は、教師あり学習、半教師あり学習、教師なし学習、強化学習、および/または別の訓練方法、またはそれらの組合せを使用し得る。教師あり学習では、ラベル付き訓練データは、入力/出力ペアを含み、ここで、各入力は、教師信号(supervisory signal)とも呼ばれる所望の出力(例えば、ラベル、分類、および/またはカテゴリ化)でラベル付けされる。半教師あり学習では、教師信号に関連付けられる入力もあるし、教師信号に関連付けられない入力もある。教師なし学習では、訓練データは教師信号を含まない。強化学習は、機械学習エンジン104が、特定の問題を解決しようとする(例えば、1つまたは複数の事前定義された性能基準にしたがって特定のシナリオにおける性能を最適化しようとする)プロセスにおいて正の強化および/または負の強化を受け取るフィードバックシステムを使用する。一実施形態では、機械学習エンジン104は、最初に教師あり学習を使用して機械学習モデル106を訓練し、次いで教師なし学習を使用して機械学習モデル106を継続的に更新する。
【0023】
一実施形態では、機械学習エンジン104は、入力をラベル付け、分類、および/またはカテゴリ化するために多くの異なる技法を使用し得る。機械学習エンジン104は、入力を、入力の1つまたは複数の特性(「特徴」)を記述する特徴ベクトルに変換し得る。機械学習エンジン104は、特徴ベクトルに基づいて入力をラベル付け、分類、および/またはカテゴリ化し得る。代替的または追加的に、機械学習エンジン104は、クラスタリング(クラスタ分析とも呼ばれる)を使用して、入力における共通性を識別し得る。機械学習エンジン104は、それらの共通性に基づいて入力をグループ化(すなわち、クラスタリング)し得る。機械学習エンジン104は、階層的クラスタリング、k平均クラスタリング、および/または別のクラスタリング方法、またはそれらの組合せを使用し得る。一実施形態では、機械学習エンジン104は、人工ニューラルネットワークを含む。人工ニューラルネットワークは、複数のノード(人工ニューロンとも呼ばれる)と、ノード間のエッジとを含む。エッジは、機械学習が進むにつれて機械学習エンジン104が調整する、ノード間の接続の強さを表す対応する重みに関連付けられ得る。代替的または追加的に、機械学習エンジン104は、サポートベクターマシンを含み得る。サポートベクターマシンは、入力をベクトルとして表す。機械学習エンジン104は、ベクトルに基づいて入力をラベル付け、分類、および/またはカテゴリ化し得る。代替的または追加的に、機械学習エンジン104は、入力をラベル付け、分類、および/またはカテゴリ化するためにナイーブベイズ分類器を使用し得る。代替的または追加的に、特定の入力が与えられると、機械学習モデル106は、決定木を適用して所与の入力に対する出力を予測し得る。代替的または追加的に、機械学習エンジン104は、相互排他的なオプションの固定セットの中で入力をラベル付け、分類、および/またはカテゴリ化することが不可能または非実用的である状況において、ファジー論理を適用し得る。前述の機械学習モデル106および技法は、例示的な目的のためだけに説明されており、1つまたは複数の実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0024】
一実施形態では、システム100はデータリポジトリ108を含む。データリポジトリ108は、過去の血液透析処置データ、すなわち、血液透析患者およびそれらの患者に提供された処置についてのデータを記憶するように構成される。過去の血液透析処置データは、人口統計データ110を含み得る。代替的または追加的に、過去の血液透析処置データは、併存疾患データ112を含み得る。代替的または追加的に、過去の血液透析処置データは、処置データ114を含み得る。代替的または追加的に、過去の血液透析処置データは、検査室データ116を含み得る。概して、本明細書に記載の技法と組み合わせると、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、および限外濾過率などの透析中測定により、血液透析中および特にIDH事象時付近の血行動態についての以前は得られなかった洞察が可能になり得る。
【0025】
過去の血液透析処置データには、例えば、透析初日からの日数、血液流量、透析流量、拡張期座位血圧、除去された体液、脈拍、収縮期座位血圧、限外濾過率、測定の合間(例えば、現在の測定、同じセッション中の現在の測定前の測定、および/または処置前測定間)での収縮期血圧(SBP)の変化、測定の合間(例えば、現在の測定、同じセッション中の現在の測定前の測定、および/または処置前測定間)での拡張期血圧(DBP)の変化、測定の合間の脈拍の変化、ラベルまたは教師信号(例えば、IDHについて陽性または陰性)、処置時間(分)、患者の民族性(例えば、患者がヒスパニック系であるかどうか)、患者の性別および/またはジェンダー、患者の身長、透析アクセスポイントについての情報(例えば、アクセスポイントが自己血管使用皮下動静脈(AV)瘻、人工血管使用皮下AV瘻、またはカテーテルであるか)、処置前SBP、処置前DBP、処置前体重、処置前体温、処方されたドライウェイト、透析中体重増加(例えば、キログラム)、透析中体重増加率、処方された処置時間、透析液ナトリウム(Na)、血清と透析液Naとの差、標準化蛋白異化率(PCR)、流体量、供給された平衡化eKt/V、処置前尿素、処置後尿素、尿素除去率(URR)、メトキシポリエチレングリコール・エポエチンベータ(例えば、ミルセラ)投与量、アルブミン、アルカリホスファターゼ(ALP)、好塩基球、重炭酸塩、血清カルシウム、補正カルシウム、塩化物、クレアチニン、好酸球、フェリチン、ヘマトクリット(hct)、ヘモグロビン(hgb)、リンパ球、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、MCH濃度(MCHC)、平均赤血球量(MCV)、単球、好中球、好中球・リンパ球比(NLR)、リン、血小板、カリウム、赤血球(RBC)数、RBC分布幅、血清Na、総鉄結合能(TIBC)、トランスフェリン飽和度(TSAT)、併存疾患についての情報(例えば、貧血、皮膚癌、不整脈、脳血管疾患、うっ血性心不全(CHF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、身体障害、薬物および/またはアルコール依存症、消化管出血、肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)/後天性免疫不全症候群(AIDS)、副甲状腺機能亢進症、感染、虚血性心疾患(IHD)、心筋梗塞(MI)、抹消動脈疾患(PAD)/アテローム容積率(PAD)、肺炎、および/または別の併存疾患が患者にあるか)、透析初日のときの年齢、透析処置の曜日、最終処置におけるポストSBP、最終処置におけるポストDBP、最終処置における血液流量(QB)、最終処置における透析流体流量(QD)、最終処置におけるポスト体重、最終処置におけるポスト体重勾配、最終処置における限外濾過量、最終処置における限外濾過率、最終処置におけるポスト体温、最終処置の処置時間(分)、最終処置の処置時間勾配、最終処置で使用した生理食塩水、オンラインクリアランス(OLC)測定値、最終処置における体格指数(BMI)、前回の処置中の最低SBP、前回の処置中の最低DBP、前回の処置中の最低脈拍、前回の処置中にIDH事象が起きたかどうか、全過去の処置におけるIDH事象の割合、直近n回の処置(例えば、n=10)におけるIDH事象の割合、直近n回の処置(例えば、n=10)における最低脈拍の平均、患者の人種アイデンティティ、および/または別の種類のデータ、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数に関連付けられたデータが含まれ得る。
【0026】
過去の血液透析処置データの1つまたは複数の項目は、ブールデータ(例えば、真/偽、0/1、はい/いいえ等)として表され得る。例えば、ブールデータは、患者がヒスパニック系であるかどうかを示すために使用され得る。代替的または追加的に、過去の血液透析処置データの1つまたは複数の項目は、数字、文字、文字列、または他のデータタイプとして表され得る。例えば、測定値は数値として表され得る。
【0027】
一実施形態では、データリポジトリ108は、データを記憶するための任意のタイプの記憶ユニットおよび/またはデバイス(例えば、ファイルシステム、データベース、テーブルの集合、または任意の他の記憶機構)である。データリポジトリ108は、複数の異なる記憶ユニットおよび/またはデバイスを含み得る。複数の異なる記憶ユニットおよび/またはデバイスは、同じタイプのものであってもなくてもよいし、または同じ物理的サイトに位置付けられても位置付けられなくてもよい。さらに、データリポジトリ108は、システム100の1つまたは複数の他の構成要素と同じコンピューティングシステム上で実装されてもよいし、または実行されてもよい。代替的または追加的に、データリポジトリ108は、システム100の1つまたは複数の他の構成要素とは別個のコンピューティングシステム上で実装されてもよいし、または実行されてもよい。データリポジトリ108は、システム100の1つまたは複数の他の構成要素と論理的に統合され得る。代替的または追加的に、データリポジトリ108は、直接接続またはネットワークを介して、システム100の1つまたは複数の他の構成要素に通信可能に結合され得る。図1では、データリポジトリ108は、様々な種類の情報を記憶するものとして例示されている。この情報の一部または全部は、システム100の構成要素のいずれかにわたって実装および/または分散され得る。しかしながら、この情報は、明確さおよび説明のためにデータリポジトリ108内に例示されている。
【0028】
一実施形態では、機械学習エンジン104は、データリポジトリ108に記憶されたデータに基づいて機械学習モデル106を訓練するように構成される。以下でさらに詳述するように、データは、訓練データのセットにセグメント化され得る。訓練データのセットは、1つまたは複数の分類基準を共有するので「クラス」と呼ばれることもある。各セットは、データをIDH事象を予測するものと考えるべきかどうかを示すようにラベル付けされ得る。具体的には、訓練データは、「陽性」クラス(すなわち、IDH事象を予測するものとして扱われる)および「陰性」クラス(すなわち、IDH事象を予測しないものとして扱われる)にセグメント化され得る。以下で説明するように、データは、記録されたIDH事象に対する時間的近接度にしたがってセグメント化され得る。代替的または追加的に、データは、IDH事象を含んでいた処置セッション中にデータが取得されたかどうかにしたがって、異なるセットの訓練データにセグメント化され得る。例えば、IDH事象が発生しなかった処置セッション中に取得されたデータは、「陰性」クラス(すなわち、同じクラスまたは異なるクラス)に入れられ得る。臨床介入のための十分な時間を依然として与える状況に予測が基づくことを確実にするのを助けるために、事前定義された時間マージン(例えば、15分)内でIDH事象に先立つデータは無視され得る。IDH事象後に記録されたデータも無視され得る。
【0029】
一実施形態では、システム100は、血液透析患者126からリアルタイム血液透析処置データを取得するように構成される。処置デバイス120は、患者126に血液透析処置を提供するように構成される。1つまたは複数の臨床センサ122(例えば、血圧モニタ、心拍数モニタ、温度計等)は、処置に関連付けられたリアルタイムデータを記録し得る。リアルタイムデータは、患者126にIDH事象が差し迫っているかどうかを予測するために、データリポジトリ108に記憶され、および/またはIDH予測サービス102に送信され得る。代替的または追加的に、予測は、患者126および/または処置についての他のデータ、例えば、以下で説明されるコネクテッドヘルスシステムから取得されるデータに基づき得る。
【0030】
一実施形態では、IDH予測サービス102は、しきい値確率に基づいてIDH事象を予測するように構成される。具体的には、リアルタイム入力データのセットが与えられると、IDH予測サービス102は、差し迫ったIDH事象の予測される確率を決定し得る。IDH予測サービス102は、ハードコードまたはユーザ構成可能であり得る、1つまたは複数の確率しきい値(図示せず)を記憶していてよい。IDH事象の確率が確率しきい値を超える(または、値が包含的であるようにプログラムされている場合には確率しきい値に一致する、またはより低い値がより高い確率に対応する場合にはしきい値を下回る)場合、IDH予測サービス102は、IDH事象が予測される、すなわち、差し迫って発生する可能性が高いことを示す。そうでない場合、IDH予測サービス102は、措置をとらないか、またはIDH事象が予測されないことを示す。IDH予測サービス102は、患者126の状況の相対的重症度に基づいて異なる是正措置が取られ得る(すなわち、差し迫ったIDH事象の確率が増加するにつれて、より極端な措置が取られ得る)ように、複数のしきい値を記憶しいてよい。
【0031】
一実施形態では、しきい値が高いほど、より多く偽陰性を生じさせ得、しきい値が低いほど、より多く偽陽性を生じさせ得る。様々な技法がしきい値を決定するために使用され得る。例えば、システム100は、関数の性質に依存して最小化または最大化されるコスト関数またはユーデン指数を計算し得る。しきい値は、特定の患者126のデータ(例えば、人口統計、生物学的測定値等)に基づいて、個別化され、1人の患者126のみに適用され得る。代替的に、しきい値は、共通して1つまたは複数のデータ特性(例えば、人口統計、生物学的測定値等)を有する複数の患者に適用されてもよい。代替的に、しきい値はすべての患者に適用されてもよい。個々の患者および/または1つまたは複数のグループの患者についての1つまたは複数のしきい値を計算するために機械学習が使用され得る。
【0032】
一実施形態では、IDH事象が差し迫っていることをIDH予測サービス102が予測すると(例えば、患者126のIDHリスク分類がしきい値に達すると)、システム100は、IDH事象を防止するために、警告を生成し、および/または患者126の処置を調整し得る。臨床管理エンジン118は、警告を生成し、および/または患者126の処置を調整するための動作を行うように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを指す。警告は、視覚的および/または聴覚的であり得る。臨床管理エンジン118は、患者126の処置を調整するための推奨を生成し、ユーザインターフェース124に推奨を表示するように構成され得る。上述のように、機械学習エンジン104は、推奨される調整を生成するように構成され得る。代替的または追加的に、臨床管理エンジン118は、機械学習なしで、例えば、体系化された最良事例に基づいて、推奨を生成するように構成され得る。
【0033】
一実施形態では、警告(推奨される行動方針を含んでもよいし、または含まなくてもよい)に応答して、臨床医は、患者126を検査し、追加の測定を行い、および/または患者126の処置方針を調整し得る。例えば、臨床医は、患者126の限外濾過率を調整(例えば、減少または停止)し、透析液温度を修正し(例えば、温度を低下させ、これは、より低いIDH率と関連付けられることが示されている)、および/または別様に透析処置を調整し得る。代替的または追加的に、臨床医は、IDH事象が実際に発生する可能性を減少させるように(例えば、透析椅子のフットレストを上げる、および/または別様に患者126が位置するベッドもしくは椅子の角度を調整することによって)患者126の体位を変え得る。
【0034】
一実施形態では、IDH事象が差し迫っていることをIDH予測サービス102が予測すると、システム100は、自動的に、すなわち、人間の介入なしに、措置をとり得る。システムは、人間の臨床医による介入を必要とせずに、警告状態に応答して、患者126を検査し、追加の測定を行い、および/または患者126の処置方針を調整する措置をとり得る。臨床管理エンジン118は、患者126の処置を自動的に調整するように、処置デバイス120および/または1つまたは複数の他の装置に命令を送信するように構成され得る。例えば、臨床管理エンジン118は、患者126の限外濾過率を調整し、透析液温度を修正し、および/または他の方法で透析処置を調整するように血液透析装置に命令を送信し得る。代替的または追加的に、臨床管理エンジン118は、患者126の体位を変えるように、患者126が位置するベッドまたは椅子に命令を送信し得る。臨床センサ(単数または複数)122からのデータおよび/または患者126の処置を調整したアウトカムは、結果に基づいて機械学習モデル106を更新するために、データリポジトリ108に記憶され、および/または機械学習エンジン104に送信され得る。
【0035】
一実施形態では、ユーザインターフェース124は、ユーザ(例えば、患者126および/または医療専門家)とIDH予測サービス102との間の通信を容易にするように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを指す。ユーザインターフェース124は、ユーザインターフェース要素をレンダリングし、ユーザインターフェース要素を介して入力を受信する。ユーザインターフェース124は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、コマンドラインインターフェース(CLI)、触覚インターフェース、音声コマンドインターフェース、および/または任意の他の種類のインターフェース、またはそれらの組合せであり得る。ユーザインターフェース要素の例には、チェックボックス、ラジオボタン、ドロップダウンリスト、リストボックス、ボタン、トグル、テキストフィールド、日付および時間セレクタ、コマンドライン、スライダ、ページ、およびフォームが含まれる。
【0036】
一実施形態では、ユーザインターフェース124の異なる構成要素が、異なる言語で指定される。ユーザインターフェース要素の挙動は、JavaScript(登録商標)などの動的プログラミング言語で指定され得る。ユーザインターフェース要素のコンテンツは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、拡張可能マークアップ言語(XML)、またはXMLユーザインターフェース言語(XUL)などのマークアップ言語で指定され得る。ユーザインターフェース要素のレイアウトは、カスケーディングスタイルシート(CSS)などのスタイルシート言語で指定され得る。代替的または追加的に、ユーザインターフェース124の態様は、Java(登録商標)、Python、Perl、C、C++、および/または任意の他の言語、またはそれらの組合せなど、1つまたは複数の他の言語で指定され得る。
【0037】
一実施形態では、システム100の1つまたは複数の構成要素は、1つまたは複数のデジタルデバイス上に実装される。「デジタルデバイス」という用語は、一般に、プロセッサを含む任意のハードウェアデバイスを指す。デジタルデバイスは、アプリケーションまたは仮想マシンを実行する物理デバイスを指し得る。デジタルデバイスの例には、コンピュータ、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、ネットブック、サーバ、ウェブサーバ、ネットワークポリシーサーバ、プロキシサーバ、汎用マシン、特定機能ハードウェアデバイス、ハードウェアルータ、ハードウェアスイッチ、ハードウェアファイアウォール、ハードウェアネットワークアドレス変換器(NAT)、ハードウェアロードバランサ、メインフレーム、テレビジョン、コンテンツ受信機、セットトップボックス、プリンタ、モバイルハンドセット、スマートフォン、携帯情報端末(「PDA」)、ワイヤレス受信機ならびに/もしくは送信機、基地局、通信管理デバイス、ルータ、スイッチ、コントローラ、アクセスポイント、および/またはクライアントデバイスが含まれる。
【0038】
図2は、一実施形態によるコネクテッドヘルス(CH)システム200の一例のブロック図である。一実施形態では、CHシステム200は、図2に例示される構成要素よりも多いまたは少ない構成要素を含み得る。図2に例示される構成要素は、互いにローカルであってもよいし、またはリモートであってもよい。図2に例示される構成要素は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで実装され得る。各構成要素は、複数のアプリケーションおよび/または機械にわたって分散していてよい。複数の構成要素を1つのアプリケーションおよび/または機械へと組み合わせてもよい。1つの構成要素に関して説明された動作は、代わりに別の構成要素によって行われてもよい。
【0039】
CHシステム200は、図1のシステム100などのシステムの一部であるように、またはシステムと通信するように構成され得る。CHシステム200は、とりわけ、本明細書に記載の1つまたは複数のシステムのネットワーク態様と接続して使用され得る、処理システム205と、CHクラウドサービス210と、ゲートウェイ(CHゲートウェイ)220とを含み得る。処理システム205は、CHシステム200のデータ送信動作に関連して、クリニックまたは病院の臨床情報システム(CIS)204で生成された処方情報を含む医療情報を処理し、互換性チェックし、および/またはフォーマットするサーバおよび/またはクラウドベースのシステムを含み得る。CHシステム200は、適切な暗号化およびデータセキュリティ機構を含み得る。CHクラウドサービス210は、インターネットなどのネットワークへの接続を介した、CHシステム200の構成要素間の通信パイプラインとしての役割をする(例えば、データの転送を容易にする)クラウドベースのアプリケーションを含み得る。ゲートウェイ220は、CHシステム200の構成要素間の通信を容易にする通信デバイスとしての役割をし得る。様々な実施形態において、ゲートウェイ220は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、および/または他の適切なタイプのローカルまたは短距離ワイヤレス接続などのワイヤレス接続201を介して、透析装置202(例えば、腹膜透析装置または血液透析装置)およびシステム100と通信し得る。ゲートウェイ220はまた、セキュアネットワーク(例えば、インターネット)接続を介してCHクラウドサービス210とも接続し得る。ゲートウェイ220は、CHクラウドサービス210に/からデータを送信/受信し、透析装置202およびシステム100に/からデータを送信/受信するように構成され得る。透析装置202は、(例えば、ゲートウェイ220を介して)利用可能なファイルについてCHクラウドサービス210をポーリングし得、透析装置202および/またはシステム100は、利用可能なファイルを処理のために一時的に記憶し得る。
【0040】
図3は、一実施形態によるリアルタイムIDH予測のための動作の一例のフロー図である。図3に例示される1つまたは複数の動作は、すべて共に修正、再配置、または省略してもよい。したがって、図3に例示される動作の特定のシーケンスは、1つまたは複数の実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0041】
一実施形態では、システム(例えば、図1のシステム100)は、過去の血液透析処置データを取得する(動作302)。システムは、多くの異なるソースから処置データを取得し得る。例えば、システムは、上述のように、コネクテッドヘルスシステムから処置データを取得し得る。代替的または追加的に、システムは、第三者の医療記録ソース、例えば、研究、データマイニング等のための医療データを提供するソースからデータを取得し得る。実施形態は、任意の特定のデータソースに限定されると見なされるべきではない。
【0042】
一実施形態では、システムは、1つまたは複数の共有された基準に基づいて、処置データを機械学習訓練データのセットまたは「クラス」にセグメント化する(動作304)。具体的には、訓練データは、「陽性」クラス(すなわち、IDH事象を予測するものとして扱われる)および「陰性」クラス(すなわち、IDH事象を予測しないものとして扱われる)にセグメント化され得る。以下で説明するように、データは、記録されたIDH事象に対する時間的近接度にしたがってセグメント化され得る。代替的または追加的に、データは、IDH事象を含んでいた処置セッション中にデータが取得されたかどうかにしたがって、異なるセットの訓練データにセグメント化され得る。例えば、IDH事象が発生しなかった処置セッション中に取得されたデータは、「陰性」クラス(すなわち、同じクラスまたは異なるクラス)に入れられ得る。臨床介入のための十分な時間を依然として与える状況に予測が基づくことを確実にするのを助けるために、事前定義された時間マージン(例えば、15分)内でIDH事象に先立つデータは無視され得る。IDH事象後に記録されたデータも無視され得る。代替的または追加的に、システムは、システム自体がセグメント化を行う必要なしに、機械学習訓練データのセットに既にセグメント化されているデータを受信し得る。
【0043】
一実施形態では、システムは、セグメント化された機械学習訓練データに基づいて、IDH事象を予測するように機械学習モデルを訓練する(動作306)。機械学習モデルを訓練するための技法は、上でさらに詳細に説明されている。
【0044】
一実施形態では、システムは、リアルタイム血液透析データを取得する(動作308)。具体的には、システムは、血液透析患者の処置をモニタリングしている1つまたは複数の臨床センサ(単数または複数)からデータを取得する。システムはまた、人口統計データ等などの、患者に関連付けられた他のデータを取得し得る。概して、システムは、機械学習モデルを訓練するために使用され、したがってIDH事象を(単独でまたは他のデータと組み合わせて)予測できるデータに対応するデータを取得し得る。
【0045】
一実施形態では、システムは、リアルタイム血液透析データを機械学習モデルに適用する(動作310)。リアルタイム血液透析データに基づいて、機械学習モデルは、IDH事象が予測されるかどうか、すなわち、患者にIDH事象が差し迫っていることをリアルタイム血液透析データが示すかどうかを決定する(判定312)。上述のように、システムは、しきい値確率に基づいてIDH事象を予測し得る。具体的には、リアルタイム入力データのセットが与えられると、システムは、差し迫ったIDH事象の予測される確率を決定し得る。IDH事象の確率が確率しきい値を超える(または、値が包含的であるようにプログラムされている場合には確率しきい値に一致する、またはより低い値がより高い確率に対応する場合にはしきい値を下回る)場合、システムは、IDH事象が予測されることを示す。そうでない場合、システムは、措置をとらないか、またはIDH事象が予測されないことを示す。システムは、患者の状況の相対的重症度に基づいて異なる是正措置が取られ得る(すなわち、差し迫ったIDH事象の確率が増加するにつれて、より極端な措置が取られ得る)ように、複数のしきい値を記憶していてよい。
【0046】
一実施形態では、IDH事象が予測される場合、システムは、警告を生成することおよび/または血液透析患者の処置を調整することによって応答する(動作314)。システムは、機械学習を使用して調整を決定し得る。システムは、IDH事象を予測するために使用された同じ機械学習モデルまたは別の機械学習モデルを使用し得る。調整は、IDH事象を予測するために使用された同じデータの一部または全部、および/またはIDH事象を予測するために使用されなかった他のデータに基づき得る。代替的または追加的に、システムは、体系化された最良事例(例えば、医療専門家によって行われ得る臨床判断プロセスに基づく体系化された決定木)を使用して調整を決定し得る。システムは、視覚的および/または可聴警告を発し得る。警告は、人間のオペレータ(例えば、患者および/または医療専門家)が行動するために、推奨される調整をユーザインターフェースに提示し得る。代替的または追加的に、システムは、例えば、(例えば、限外濾過率を調整し、透析液温度を修正し、患者の体位を変え、および/または他の何らかの方法で患者の処置を調整するように)命令を装置に送信することによって、調整を自動的に行い得る。
【0047】
一実施形態では、システムは、予測後アウトカムを決定する(動作316)。システムは、IDH事象が予測されたか否か、および血液透析患者の処置が調整されたか否かにかかわらず、予測後アウトカムを決定し得る。概して、予測後アウトカムとは、予測が行われた時間の後に収集されたリアルタイム血液透析データを指し得る。システムは、予測後アウトカムに基づいて機械学習モデルを更新し得る(動作318)。いくつかの例において、システムは、リアルタイムデータを取得し、IDH事象が予測されたか否か、または実際に発生したか否かにかかわらず、継続的に(例えば、教師なし学習を使用して)機械学習モデルを更新する。
【0048】
明確にするために、いくつかの詳細な例が以下で説明される。以下で説明される構成要素および/または動作は、1つまたは複数の実施形態に適用可能でない場合がある例として理解されるべきである。したがって、以下で説明される構成要素および/または動作は、1つまたは複数の実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0049】
1つの例において、IDHを、90mmHg未満の透析中収縮期血圧(SBP)として定義した(追加のIDHの定義が、Flythe, Jennifer E et al. “Association of mortality risk with various definitions of intradialytic hypotension.” Journal of the American Society of Nephrology : JASN vol. 26,3 (2015) に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。IDHを予測するために2つのデータソースを使用した。
1)人口統計データ、日常的な透析特有の測定値、検査室値、および併存疾患を含む処置前データ、
2)透析中血圧、透析中心拍数、および透析中限外濾過率を含む、フレゼニウスメディカルケア製のChairside Information Systemにおいて文書化された透析中臨床データ。
静的データは、人口統計ならびに併存疾患、処置データ、および検査室値を含むものだった。透析中のチェアサイドデータが、追加の動的および静的データを提供した。測定された情報に基づいて(例えば、測定値に基づく平均化および他の数学関数を通じて)複数の特徴を設計した。
【0050】
2,628人の患者の332,591回の処置にわたる過去の血液透析データを取得した。機械学習モデルを訓練するために過去データの80%を使用した。具体的には、この例では、オープンソースソフトウェアXGBoostを使用した。他の例では、異なる機械学習ソフトウェアおよび/または技法を使用してよい。過去データの残りの20%は、モデルの予測能力を評価するために、研究目的のためのリアルタイムデータとして扱われ、機械学習モデルに適用された。具体的には、透析中SBPが測定されるたびに(通常、約20~30分ごとに)IDH予測を行った。IDH事象前の最小時間マージン(すなわち、データが無視されたIDH前時間マージン)を15分に設定した。この時間マージンは、IDH事象が差し迫っていると予測された場合に防止的手段を施すのに十分であると考えられた。
【0051】
図4Aに例示されるように、機械学習モデルを106個の特徴を使用して訓練したとき、受信者動作曲線400は、0.9より大きい(具体的には、0.91)曲線下面積(AUC)を有し、臨床的に許容可能な偽陽性率とともに、臨床的に許容可能なIDH予測の感度および特異度を示した。図4Bに例示されるように、機械学習モデルを20個の特徴のみを使用して訓練したときでも、受信者動作曲線402は依然として0.9のAUCを有していた。図4Aおよび図4Bにおいて、チャートは、各モデルについて、チャートに示される各因子の相対的な重要度(すなわち、実験的に決定された予測値)を示す。
【0052】
図5は、一実施形態による機械学習訓練データセットの一例のブロック図である。図5に例示されるように、データは、概念的なデータタイムライン500上のどこにデータがあるかに基づいて、すなわち、記録されたIDH事象508との時間的関係で、訓練クラスにセグメント化され得るか、または無視され得る。具体的には、特定の時間間隔(例えば、15分または別の時間間隔)内でIDH事象508に先立つIDH前データ506が、機械学習目的では無視され得る。IDH前データ506よりも古く、かつ依然としてIDH事象508前の所定の時間期間内(例えば、75分IDH前から15分IDH前まで)に入るデータが、「陽性」クラス504にセグメント化され得る。陽性クラス504は、IDH事象508が差し迫っていることを決定するのに十分なデータがあるとともに、IDH事象を防止するために介入するのに依然として十分な時間がある可能性が高い、IDH事象508を予測するための好ましい時間期間に対応する。任意のより古いデータ(例えば、IDH事象508の75分以上前)が、陰性クラス502にセグメント化され得る。IDH後データ510は無視され得る。
【0053】
図6は、一実施形態によるしきい値ベースの分類の一例を例示する。図6に例示されるように、陽性分類602は、IDH事象606の確率が分類器しきい値604を超える(またはいくつかの例では満たす)ときに発生する。陽性分類602の例では、高いほうの破線は、分類器しきい値604をあまりに高く設定するとどのように偽陰性を生じさせ得るかを例示する。陰性分類608は、IDH事象が発生しないとき(図6に例示)、および/またはIDH事象の確率が十分に高いしきい値に達しないときに発生する。陰性分類608の例では、低いほうの破線は、分類器しきい値604をあまりに低く設定するとどのように偽陽性を生じさせ得るかを例示する。
【0054】
図7A図7Fは、一実施形態による実験結果の例を例示する。これらの例では、「TP」は真陽性結果(すなわち、IDH事象が実際に発生した陽性予測分類)を指し、「TN」は真陰性結果(すなわち、IDH事象が実際に発生しなかった陰性予測分類)を指し、「FP」は偽陽性結果(すなわち、IDH事象が実際には発生しなかった陽性予測分類)を指し、「FN」は偽陰性結果(すなわち、IDH事象が実際には発生した陰性予測分類)を指す。
【0055】
一実施形態では、システムは、本明細書で説明される動作および/または特許請求の範囲のいずれかに記載される動作のいずれかを行うように構成された、1つまたは複数のハードウェアプロセッサを含む、1つまたは複数のデバイスを含む。
【0056】
一実施形態では、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のハードウェアプロセッサによって実行されると、本明細書で説明される動作および/または特許請求の範囲のいずれかに記載される動作のいずれかを行わせる命令を記憶する。
【0057】
本明細書で説明される特徴および機能の任意の組合せが、一実施形態にしたがって使用され得る。前述の明細書において、実施形態について、実装ごとに異なり得る多数の特定の詳細を参照して説明した。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。本発明の範囲の唯一かつ排他的な指標、および本出願人が本発明の範囲であると意図するものは、本出願に由来する特許請求の範囲のセットの文字通りかつ等価な範囲であり、そのような特許請求の範囲が由来する特定の形態であり、任意の後続の補正を含む。
【0058】
一実施形態では、本明細書で説明される技法は、1つまたは複数の専用コンピューティングデバイス(すなわち、特定の機能を行うように特別に構成されたコンピューティングデバイス)によって実装される。専用コンピューティングデバイス(単数または複数)は、技法を実行するようにハードワイヤードであり得、および/または技法を実行するように永続的にプログラムされた1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/またはネットワーク処理ユニット(NPU)などのデジタル電子デバイスを含み得る。代替的または追加的に、コンピューティングデバイスは、ファームウェア、メモリ、および/または他の記憶装置内のプログラム命令にしたがって本技法を実行するようにプログラムされた1つまたは複数の汎用ハードウェアプロセッサを含み得る。代替的または追加的に、専用コンピューティングデバイスは、カスタムハードワイヤード論理、ASIC、FPGA、またはNPUをカスタムプログラミングと組み合わせて技法を達成し得る。専用コンピューティングデバイスは、技法を実装するためにハードワイヤードおよび/またはプログラム論理を組み込む、デスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム、ハンドヘルドデバイス、ネットワーキングデバイス、および/または任意の他のデバイス(単数または複数)を含み得る。
【0059】
例えば、図8は、一実施形態によるコンピュータシステム800の一例のブロック図である。コンピュータシステム800は、情報を通信するためのバス802または他の通信機構と、情報を処理するための、バス802に結合されたハードウェアプロセッサ804とを含む。ハードウェアプロセッサ804は、汎用マイクロプロセッサであり得る。
【0060】
コンピュータシステム800はまた、情報とプロセッサ804によって実行される命令とを記憶するための、バス802に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他のダイナミック記憶デバイスなどのメインメモリ806を含む。メインメモリ806はまた、プロセッサ804によって実行される命令の実行中に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用され得る。そのような命令は、プロセッサ804にとってアクセス可能な1つまたは複数の非一時的記憶媒体に記憶されると、コンピュータシステム800を、命令内に指定された動作を行うようにカスタマイズされた専用マシンにレンダする。
【0061】
コンピュータシステム800は、静的情報およびプロセッサ804のための命令を記憶するための、バス802に結合された読取り専用メモリ(ROM)808または他の静的記憶デバイスをさらに含む。情報および命令を記憶するために、磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶デバイス810が設けられ、バス802に結合される。
【0062】
コンピュータシステム800は、バス802を介して、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、電子インクディスプレイ、ブラウン管(CRT)モニタ、またはコンピュータユーザに情報を表示するための任意の他の種類のデバイスなどのディスプレイ812に結合され得る。英数字および他のキーを含む入力デバイス814が、情報およびコマンド選択をプロセッサ804に通信するためにバス802に結合され得る。代替的または追加的に、コンピュータシステム800は、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ804に通信し、ディスプレイ812上のカーソル移動を制御するために、マウス、トラックボール、トラックパッド、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御816を介してユーザ入力を受信し得る。この入力デバイスは、典型的には、デバイスが平面での位置を指定することを可能にする、第1の軸(例えば、x)および第2の軸(例えば、y)の2軸における2つの自由度を有する。代替的または追加的に、コンピュータシステム800はタッチスクリーンを含み得る。ディスプレイ812は、1つまたは複数の感圧センサ、マルチタッチセンサ、および/またはジェスチャセンサを介してユーザ入力を受信するように構成され得る。代替的または追加的に、コンピュータシステム800は、マイクロフォン、ビデオカメラ、および/または他の何らかの種類のユーザ入力デバイス(図示せず)を介してユーザ入力を受信し得る。
【0063】
コンピュータシステム800は、カスタマイズされたハードワイヤード論理、1つまたは複数のASICもしくはFPGA、ファームウェア、および/またはプログラム論理を使用して、本明細書で説明される技法を実装し得、これらは、コンピュータシステム800の他の構成要素と組み合わせて、コンピュータシステム800を専用マシンにさせるかまたはプログラムする。1つの実施形態によれば、本明細書の技法は、メインメモリ806に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ804が実行するのに応答して、コンピュータシステム800によって実行される。そのような命令は、記憶デバイス810などの別の記憶媒体からメインメモリ806に読み込まれ得る。メインメモリ806に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ804に、本明細書で説明されるプロセスステップを実行させる。代替的または追加的に、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路が使用され得る。
【0064】
本明細書で使用される「記憶媒体」という用語は、機械を特定の方式で動作させるデータおよび/または命令を記憶する1つまたは複数の非一時的媒体を指す。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を備え得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス810などの、光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ806などのダイナミックメモリを含む。記憶媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープまたは他の磁気データ記憶媒体、CD-ROMまたは任意の他の光データ記憶媒体、穴のパターン(patterns of holes)を有する任意の物理媒体、RAM、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、FLASH(登録商標)-EPROM、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、連想メモリ(CAM)、および三値連想メモリ(TCAM)を含む。
【0065】
記憶媒体は、伝送媒体とは別個であるが、伝送媒体とともに使用され得る。伝送媒体は、記憶媒体間での情報の転送に関与する。伝送媒体の例には、バス802を構成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバが含まれる。伝送媒体は、電波および赤外線データ通信中に生成されるものなど、音波または光波の形態もとり得る。
【0066】
様々な形態の媒体が、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行のためにプロセッサ804に搬送することに関わり得る。例えば、命令は、最初に、リモートコンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上に搬送され得る。リモートコンピュータは、命令をそのダイナミックメモリにロードし、イーサネット(登録商標)コントローラまたはWi-Fiコントローラなどのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)を介して、ネットワーク上で命令を送信し得る。コンピュータシステム800にローカルなNICは、ネットワークからデータを受信し、データをバス802上に配置し得る。バス802は、データをメインメモリ806に搬送し、そこからプロセッサ804は命令を取り出し実行する。メインメモリ806によって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサ804による実行の前または後のいずれかに記憶デバイス810上に記憶され得る。
【0067】
コンピュータシステム800はまた、バス802に結合された通信インターフェース818を含む。通信インターフェース818は、ローカルネットワーク822に接続されたネットワークリンク820に結合して双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース818は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、または対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供するモデムであり得る。別の例として、通信インターフェース818は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。ワイヤレスリンクが実装されてもよい。任意のそのような実装では、通信インターフェース818は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
【0068】
ネットワークリンク820は、典型的には、1つまたは複数のネットワークを介して他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク820は、ローカルネットワーク822を介して、ホストコンピュータ824またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)826によって運用されるデータ機器への接続を提供し得る。次に、ISP826は、現在一般に「インターネット」828と呼ばれているワールドワイドパケットデータ通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク822およびインターネット828の両方は、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を使用する。コンピュータシステム800との間でデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを介した信号およびネットワークリンク820上および通信インターフェース818を介した信号は、伝送媒体の例示的な形態である。
【0069】
コンピュータシステム800は、ネットワーク(単数または複数)、ネットワークリンク820、および通信インターフェース818を介して、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ830が、インターネット828、ISP826、ローカルネットワーク822、および通信インターフェース818を介して、アプリケーションプログラムのための要求されたコードを送信し得る。
【0070】
受信されたコードは、それが受信されたときにプロセッサ804によって実行され得、および/または後の実行のために記憶デバイス810もしくは他の不揮発性記憶装置に記憶され得る。
【0071】
一実施形態では、コンピュータネットワークは、本明細書で説明される技法を利用するソフトウェアを実行するノードのセット間の接続性を提供する。ノードは、互いにローカルおよび/またはリモートであり得る。ノードは、リンクのセットによって接続される。リンクの例には、同軸ケーブル、非シールドツイストケーブル、銅線ケーブル、光ファイバ、および仮想リンクが含まれる。
【0072】
ノードのセットは、コンピュータネットワークを実装する。そのようなノードの例には、スイッチ、ルータ、ファイアウォール、およびネットワークアドレス変換器(NAT)が含まれる。ノードの別のセットは、コンピュータネットワークを使用する。そのようなノード(「ホスト」とも呼ばれる)は、クライアントプロセスおよび/またはサーバプロセスを実行し得る。クライアントプロセスは、コンピューティングサービスを求める要求(例えば、特定のアプリケーションを実行し、および/または特定のデータセットを取り出す要求)を行う。サーバプロセスは、要求されたサービスを実行すること、および/または対応するデータを返すことによって応答する。
【0073】
コンピュータネットワークは、物理リンクによって接続された物理ノードを含む物理ネットワークであり得る。物理ノードは任意のデジタルデバイスである。物理ノードは、特定機能ハードウェアデバイスであり得る。特定機能ハードウェアデバイスの例には、ハードウェアスイッチ、ハードウェアルータ、ハードウェアファイアウォール、およびハードウェアNATが含まれる。代替的または追加的に、物理ノードは、それぞれの機能を実行する様々な仮想マシンおよび/またはアプリケーションを実行するように構成されたものなど、タスクを実行するための計算能力を提供する任意の物理リソースであり得る。物理リンクは、2つ以上の物理ノードを接続する物理媒体である。リンクの例には、同軸ケーブル、非シールドツイストケーブル、銅線ケーブル、および光ファイバが含まれる。
【0074】
コンピュータネットワークは、オーバーレイネットワークであり得る。オーバーレイネットワークは、別のネットワーク(例えば、物理ネットワーク)の上に実装される論理ネットワークである。オーバーレイネットワーク内の各ノードは、下層ネットワーク内のそれぞれのノードに対応する。したがって、オーバーレイネットワーク内の各ノードは、(オーバーレイノードをアドレス指定するための)オーバーレイアドレスと、(オーバーレイノードを実装するアンダーレイノードをアドレス指定するための)アンダーレイアドレスとの両方に関連付けられる。オーバーレイノードは、デジタルデバイスおよび/またはソフトウェアプロセス(例えば、仮想マシン、アプリケーションインスタンス、またはスレッド)であり得る。オーバーレイノードを接続するリンクは、下層ネットワークを通るトンネルとして実装され得る。トンネルの両端にあるオーバーレイノードは、それらの間の下層マルチホップ経路を単一の論理リンクとして扱い得る。トンネリングは、カプセル化およびデカプセル化を通じて行われる。
【0075】
一実施形態では、クライアントは、コンピュータネットワークに対してローカルおよび/またはリモートであり得る。クライアントは、プライベートネットワークまたはインターネットなどの他のコンピュータネットワークを介してコンピュータネットワークにアクセスし得る。クライアントは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)などの通信プロトコルを使用して、コンピュータネットワークに要求を通信し得る。要求は、クライアントインターフェース(ウェブブラウザなど)、プログラムインターフェース、またはアプリケーションプログラミングインターフェース(API)などのインターフェースを介して通信される。
【0076】
一実施形態では、コンピュータネットワークは、クライアントとネットワークリソースとの間の接続性を提供する。ネットワークリソースは、サーバプロセスを実行するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。ネットワークリソースの例には、プロセッサ、データストレージ、仮想マシン、コンテナ、および/またはソフトウェアアプリケーションが含まれる。ネットワークリソースは、複数のクライアント間で共有され得る。クライアントは、互いに独立してコンピュータネットワークからのコンピューティングサービスを要求する。ネットワークリソースは、オンデマンドベースで要求および/またはクライアントに動的に割り当てられる。各要求および/またはクライアントに割り当てられるネットワークリソースは、例えば、(a)特定のクライアントによって要求されるコンピューティングサービス、(b)特定のテナントによって要求される集約されたコンピューティングサービス、および/または(c)コンピュータネットワークの要求される集約されたコンピューティングサービスに基づいて拡大または縮小され得る。そのようなコンピュータネットワークは、「クラウドネットワーク」と呼ばれ得る。
【0077】
一実施形態では、サービスプロバイダは、1つまたは複数のエンドユーザにクラウドネットワークを提供する。これらに限定されないがSaaS(Software-as-a-Service)、PaaS(Platform-as-a-Service)、およびIaaS(Infrastructure-as-a-Service)を含む様々なサービスモデルがクラウドネットワークによって実装され得る。SaaSでは、サービスプロバイダは、ネットワークリソース上で実行されているサービスプロバイダのアプリケーションを使用する能力をエンドユーザに提供する。PaaSでは、サービスプロバイダは、カスタムアプリケーションをネットワークリソース上に展開する能力をエンドユーザに提供する。カスタムアプリケーションは、サービスプロバイダによってサポートされるプログラミング言語、ライブラリ、サービス、およびツールを使用して作成され得る。IaaSでは、サービスプロバイダは、エンドユーザに、ネットワークリソースによって提供される処理、ストレージ、ネットワーク、および他の基本的なコンピューティングリソースをプロビジョニングする能力を提供する。オペレーティングシステムを含む任意のアプリケーションが、ネットワークリソース上に展開され得る。
【0078】
一実施形態では、これらに限定されないがプライベートクラウド、パブリッククラウド、およびハイブリッドクラウドを含むコンピュータネットワークによって、様々な展開モデルが実装され得る。プライベートクラウドでは、ネットワークリソースは、1つまたは複数のエンティティ(本明細書で使用される「エンティティ」という用語は、会社、組織、人、または他のエンティティを指す)の特定のグループによる排他的使用のためにプロビジョニングされる。ネットワークリソースは、エンティティの特定のグループの構内に対してローカルおよび/またはリモートであり得る。パブリッククラウドでは、クラウドリソースは、互いに独立した複数のエンティティ(「テナント」または「顧客」とも呼ばれる)のためにプロビジョニングされる。ハイブリッドクラウドでは、コンピュータネットワークは、プライベートクラウドおよびパブリッククラウドを含む。プライベートクラウドとパブリッククラウドとの間のインターフェースは、データおよびアプリケーションのポータビリティを可能にする。プライベートクラウドに格納されるデータおよびパブリッククラウドに格納されるデータは、インターフェースを介して交換され得る。プライベートクラウドで実装されるアプリケーションおよびパブリッククラウドで実装されるアプリケーションは、互いに依存関係を有し得る。プライベートクラウドにおけるアプリケーションからパブリッククラウドにおけるアプリケーションへの(およびその逆の)呼び出しは、インターフェースを介して実行され得る。
【0079】
一実施形態では、システムは複数のテナントをサポートする。テナントは、共有されたコンピューティングリソース(例えば、パブリッククラウド内で共有されるコンピューティングリソース)にアクセスする会社、組織、企業、事業単位、従業員、または他のエンティティである。1つのテナントは(オペレーション、テナント特有のプラクティス、従業員、および/または外部世界への識別を通じて)別のテナントから分離され得る。コンピュータネットワークおよびそのネットワークリソースは、異なるテナントに対応するクライアントによってアクセスされる。そのようなコンピュータネットワークは、「マルチテナントコンピュータネットワーク」と呼ばれ得る。いくつかのテナントは、異なる時間および/または同時に同じ特定のネットワークリソースを使用し得る。ネットワークリソースは、テナントの構内に対してローカルおよび/またはリモートであり得る。異なるテナントは、コンピュータネットワークに対して異なるネットワーク要件を要求し得る。ネットワーク要件の例には、処理速度、データストレージの量、セキュリティ要件、性能要件、スループット要件、レイテンシ要件、レジリエンシ要件、サービス品質(QoS)要件、テナント分離、および/または一貫性が含まれる。同じコンピュータネットワークが、異なるテナントによって要求される異なるネットワーク要件を実装する必要があり得る。
【0080】
一実施形態では、マルチテナントコンピュータネットワークにおいて、テナント分離は、異なるテナントのアプリケーションおよび/またはデータが互いに共有されないことを確実にするために実装される。様々なテナント分離手法が使用され得る。一実施形態では、各テナントはテナントIDに関連付けられる。コンピュータネットワークによって実装されるアプリケーションは、テナントIDでタグ付けされる。追加的または代替的に、コンピュータネットワークによって格納されるデータ構造および/またはデータセットは、テナントIDでタグ付けされる。テナントは、テナントおよび特定のアプリケーション、データ構造、および/またはデータセットが同じテナントIDに関連付けられている場合にのみ、特定のアプリケーション、データ構造、および/またはデータセットへのアクセスを許可される。一例として、マルチテナントコンピュータネットワークによって実装される各データベースは、テナントIDでタグ付けされ得る。対応するテナントIDに関連付けられたテナントのみが、特定のデータベースのデータにアクセスし得る。別の例として、マルチテナントコンピュータネットワークによって実装されるデータベース内の各エントリは、テナントIDでタグ付けされ得る。対応するテナントIDに関連付けられたテナントのみが、特定のエントリのデータにアクセスし得る。しかしながら、データベースは複数のテナントによって共有され得る。サブスクリプションリストは、どのテナントがどのアプリケーションにアクセスする権限を有するかを示し得る。アプリケーションごとに、アプリケーションにアクセスする権限を付与されたテナントのテナントIDのリストが格納される。テナントは、テナントのテナントIDが特定のアプリケーションに対応するサブスクリプションリストに含まれる場合にのみ、特定のアプリケーションへのアクセスが許可される。
【0081】
一実施形態では、異なるテナントに対応するネットワークリソース(デジタルデバイス、仮想マシン、アプリケーションインスタンス、およびスレッドなど)は、マルチテナントコンピュータネットワークによって維持されるテナント特有のオーバーレイネットワークに分離される。一例として、テナントオーバーレイネットワーク内の任意のソースデバイスからのパケットは、同じテナントオーバーレイネットワーク内の他のデバイスにのみ送信され得る。カプセル化トンネルは、テナントオーバーレイネットワーク上のソースデバイスから他のテナントオーバーレイネットワーク内のデバイスへの任意の送信を禁止するために使用され得る。具体的には、ソースデバイスから受信されたパケットは、外部パケット内にカプセル化される。外部パケットは、(テナントオーバーレイネットワーク内のソースデバイスと通信している)第1のカプセル化トンネルエンドポイントから(テナントオーバーレイネットワーク内の宛先デバイスと通信している)第2のカプセル化トンネルエンドポイントに送信される。第2のカプセル化トンネルエンドポイントは、外部パケットをデカプセル化して、ソースデバイスによって送信された元のパケットを取得する。元のパケットは、第2のカプセル化トンネルエンドポイントから、同じ特定のオーバーレイネットワーク内の宛先デバイスに送信される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
【国際調査報告】