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特表2023-517433ファン、同期機及びファンを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】ファン、同期機及びファンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/34 20060101AFI20230419BHJP
   F01D 5/32 20060101ALN20230419BHJP
【FI】
F04D29/34 D
F01D5/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539162
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2020080033
(87)【国際公開番号】W WO2021155966
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】20155822.8
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マレクサイーディ、サイード
(72)【発明者】
【氏名】ポールソン、ヨーラン
(72)【発明者】
【氏名】ルンディーン、マグヌス
(72)【発明者】
【氏名】ポポビッチ・サンドバリ、アレクサンドラ
【テーマコード(参考)】
3G202
3H130
【Fターム(参考)】
3G202FA01
3G202FA06
3G202FB06
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB52
3H130AC17
3H130BA22C
3H130BA22D
3H130BA97C
3H130BA97D
3H130BA98C
3H130BA98D
3H130CB11
3H130DA03X
3H130EA04C
3H130EA04D
3H130EA07C
3H130EA07D
3H130EB01C
3H130EB01D
3H130ED01C
3H130ED01D
(57)【要約】
ファン(16)であって、中心軸(22)を有するハブ(24)と、各インターロックブレード要素(26)がハブ(24)に対して径方向に移動することを阻止されるように、インターロック(38、52)によってハブ(24)に接続された複数のインターロックブレード要素(26)と、2つのインターロックブレード要素(26)の間でハブ(24)上に配置された端部ブレード要素(28)と、端部ブレード要素(28)は、ハブ(24)の周方向への各インターロックブレード要素(26)の移動を阻止するために、ハブ(24)に固定されている、を備え、各インターロックブレード要素(26)は、インターロック(38、52)を確立するために、ハブ(24)に対して径方向内側方向への第1のブレード移動(88)と、それに続くハブ(24)の周方向への第2のブレード移動(90)と、によってハブ(24)に接続されている、ファン(16)。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン(16)であって、
- 中心軸(22)を有するハブ(24)と、
- 各インターロックブレード要素(26)が前記ハブ(24)に対して径方向に移動することを阻止されるように、インターロック(38、52)によって前記ハブ(24)に接続された複数のインターロックブレード要素(26)と、
- 2つのインターロックブレード要素(26)の間で前記ハブ(24)上に配置された端部ブレード要素(28)とを備え、前記端部ブレード要素(28)は、前記ハブ(24)の周方向への各インターロックブレード要素(26)の移動を阻止するために、前記ハブ(24)に固定されており、
各インターロックブレード要素(26)は、前記インターロック(38、52)を確立するために、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向への第1のブレード移動(88)と、それに続く前記ハブ(24)の周方向への第2のブレード移動(90)と、によって前記ハブ(24)に接続されている、ファン(16)。
【請求項2】
係止片(32)を更に備え、前記ハブ(24)は開口(34)を備え、前記係止片(32)は、前記係止片(32)と前記端部ブレード要素(28)とが溝(36)を形成するように、前記開口(34)内に着座され、前記端部ブレード要素(28)は前記溝(36)内で前記係止片(32)に接合されている、請求項1に記載のファン(16)。
【請求項3】
前記溝(36)は、V字形状である、請求項2に記載のファン(16)。
【請求項4】
前記端部ブレード要素(28)は、溶接によって前記ハブ(24)に固定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のファン(16)。
【請求項5】
前記インターロック(38、52)は、スロット(52)と、前記スロット(52)と嵌合する隆起部(38)と、を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のファン(16)。
【請求項6】
前記インターロック(38、52)は、ダブテールを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のファン(16)。
【請求項7】
前記ダブテールは、前記ハブ(24)の円周の少なくとも半分の周りで不連続である、請求項6に記載のファン(16)。
【請求項8】
前記インターロック(38、52)は、複数の挿入構造(44、46)を備え、各挿入構造(44、46)は、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向に、前記インターロックブレード要素(26)のうちの1つを受容するように配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のファン(16)。
【請求項9】
1つの挿入構造(44、46)が、各インターロックブレード要素(26)に対して設けられている、請求項8に記載のファン(16)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のファン(16)を備える同期機(10)。
【請求項11】
ファン(16)を製造する方法であって、前記方法は、
- 中心軸(22)を有するハブ(24)を設けることと、
- 各インターロックブレード要素(26)が前記ハブ(24)に対して径方向に移動することを阻止されるように、複数のインターロックブレード要素(26)をインターロック(38、52)によって前記ハブ(24)に接続することと、ここで、各インターロックブレード要素(26)は、前記インターロック(38、52)を確立するために、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向への第1のブレード移動(88)と、それに続く前記ハブ(24)の周方向への第2のブレード移動(90)と、によって前記ハブ(24)に接続されており、
- 2つのインターロックブレード要素(26)の間で前記ハブ(24)上に端部ブレード要素(28)を配置することと、
- 前記ハブ(24)の周方向への各インターロックブレード要素(26)の移動を阻止するために、前記端部ブレード要素(28)を前記ハブ(24)に固定することと、を備える方法。
【請求項12】
- 係止片(32)と前記端部ブレード要素(28)とが溝(36)を形成するように、前記係止片(32)を前記ハブ(24)の開口(34)内に着座させることと、
- 前記端部ブレード要素(28)を前記溝(36)内で前記係止片(32)に接合することによって、前記端部ブレード要素(28)を前記ハブ(24)に固定することと、
を更に備える、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してファンに関する。特に、ファン、ファンを備える同期機、ファンを製造する方法、及びファン用のブレード要素を製造する方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
同期機は、良好な動作効率に対応する動作温度を維持するために冷却され得る。冷却は、1つ以上のファンによって生成される空気流によって得られ得る。このため、いくつかの同期機には、同期機の回転子の各端部に1つずつ、2つの軸流ファンが設けられる。この場合、各ファンは、冷却用空気を回転子に押し込む。空気は、同期機の固定子から抜け出て、ファンに戻る前に熱交換器によって冷却される。
【0003】
一部の同期機は大型であり、そのサイズは、特定の実装形態に合わせてカスタマイズされることが多い。例えば、一部の大型同期機は、3MW/MVA~60MW/MVAの容量を有する。同期機のカスタマイズされたサイズはまた、1つ以上のファンのカスタマイズされたサイズを必要とする。
【0004】
同期機用のファンは、典型的に、ブレードを形成するために鋼板を曲げ、これらのブレードを、構造用鋼で作製されたハブに溶接することによって製造される。この製造の仕方は、いくつかの欠点を伴う。
【0005】
ハブへのブレードの溶接は、特殊な溶接技能を必要とする。溶接工の技能が、溶接の品質に大きく影響する。更に、広範な手溶接は、コストを増大させる。他方では、同期機は、カスタマイズされたサイズを有することが多いので、例えばロボット溶接による、ファンのための上述の手溶接プロセスの自動化は、全体的な生産効率にいかなる有意な影響も及ぼさない可能性がある。即ち、1つの特定のサイズのファンのための自動化された溶接プロセスが、別のサイズのファンのための溶接プロセスに必ずしも使用され得ない。
【0006】
更に、エアフォイル形状を有するブレードは、曲げ加工された鋼板によって形成されたブレードよりも良好な効率を有する。しかしながら、エアフォイル形状を有するブレードをハブに溶接することは実用的ではない。
【0007】
US2018066672A1は、中央ハブアセンブリと、中央ハブアセンブリに取り付けられた第1のブレードと、を含むモジュール式ファンアセンブリを開示している。中央ハブアセンブリは、第1のプレートと、第2のプレートと、を含み、第1のプレート及び第2のプレートは、外縁と、平坦な捕捉面と、をそれぞれ有する。第2のプレートの平坦な捕捉面は、第1のプレートの平坦な捕捉面と平行に配置される。第1のブレードは、取付けパッドと、作業部と、を含む。取付けパッドは、第1のプレート及び第2のプレートのそれぞれの平坦な捕捉面と接触して配置される、対向する平行で平坦な表面を有する。作業部は、第1のプレート及び第2のプレートの外縁を越えて延在する。第1のブレードの厚さは、外縁において第1のブレードと第1のプレートとの間に第1の間隙を作り出すために、取付けパッドでよりも、第1のプレートの外縁に近接したところでより小さい。
【0008】
US2009155080A1は、ファンハブと、複数のファンブレードと、を備える組合せ軸流ファンを開示している。各ファンブレードは、ファンハブの無端取付け溝への係合のための頂部突起を有する楔状ブロックと、ファンハブの位置決め歯との係合のために内側に形成された多数の位置決め歯と、を備える。ファンブレードがファンハブの周囲に共に締結されて固定されると、O字形又はC字形の保持リングが、ファンブレードの楔状ブロックの底部位置決め溝に締結され、ファンブレードとファンハブとを共にしっかりと固定する。
【0009】
GB860281Aは、ファンブレードと、2つのフランジで構成されるハブと、を備えるファンを開示している。各ファンブレードは、根元部分を備える。ボルトによって、根元部分は、フランジ間に挟持され得、これにより、ファンブレードは、ハブ上の固定された位置に保持され得る。
【0010】
US3801221Aは、中央ハブと、複数のブレードと、を備えるインペラを開示している。各ブレードは、根元部分を備える。これら根元部分は、閉リングを形成する。ハブは、熱可塑性合成樹脂で作製され、根元部分のリングの周りに射出成形される。
【0011】
US2002127096A1は、回転不能に取り付けられた軸方向ブレードを有する軸方向ベンチレータを開示している。軸方向ベンチレータは、シャフトに接続されている。
【0012】
EP0422433A1は、回転子上にタービンブレードを締結するための配置を開示している。回転子は、支持ストリップ上に複数の支持セクションを備える。各タービンブレードは、2つの保持フランジを備える。タービンブレードは、これら保持フランジの両側でのフランジのブラケティングによって、回転子に締結される。
【発明の概要】
【0013】
本開示の1つの目的は、単純で、迅速で、コスト効果の高い、及び/又は繰り返し可能なアセンブリを可能にするファンを提供することである。
【0014】
本開示の更なる目的は、溶接を低減することを可能にするファンを提供することである。
【0015】
本開示のなお更なる目的は、前述の目的のうちのいくつか又は全てを組み合わせて解決するファンを提供することである。
【0016】
本開示のなお更なる目的は、前述の目的のうちの1つ、いくつか、又は全てを解決する同期機を提供することである。
【0017】
本開示のなお更なる目的は、前述の目的のうちの1つ、いくつか、又は全てを解決する、ファンを製造する方法を提供することである。
【0018】
本開示のなお更なる目的は、単純、迅速、及び/又はコスト効果の高い、ファン用のブレード要素を製造する方法を提供することである。
【0019】
本開示のなお更なる目的は、ブレード要素の単純、迅速、及び/又はコスト効果の高いカスタマイズを可能にする、ファン用のブレード要素を製造する方法を提供することである。
【0020】
本開示のなお更なる目的は、設計の自由度を高めることを可能にする、ファン用のブレード要素を製造する方法を提供することである。
【0021】
本開示のなお更なる目的は、工具のバラツキ(tool variation)を低減させる、ファン用のブレード要素を製造する方法を提供することである。
【0022】
本開示のなお更なる目的は、前述の目的のうちの1つ、いくつか、又は全てを解決する、ファン用のブレード要素を製造する方法を提供することである。
【0023】
一態様によれば、中心軸を有するハブと、各インターロックブレード要素がハブに対して径方向に移動することを阻止されるように、インターロックによってハブに接続された複数のインターロックブレード要素と、2つのインターロックブレード要素の間でハブ上に配置された端部ブレード要素と、端部ブレード要素は、ハブの周方向への各インターロックブレード要素の移動を阻止するために、ハブに固定されている、を備えるファンが提供される。
【0024】
インターロックブレード要素がインターロック及び端部ブレード要素によって固定されるので、インターロックブレード要素をハブに固定するプロセスは、著しく単純化され得る。端部ブレード要素の固定はまた、全てのインターロックブレード要素を固定する。例えば、端部ブレード要素が溶接によってハブに固定される場合、必要とされる溶接の量は、著しく低減され得る。各ブレード要素がハブに溶接されるファンと比較して、本開示によるファンは、溶接質量を98%低減し得る。これは、インターロックブレード要素のいずれも、ハブに溶接される必要がないからである。
【0025】
端部ブレード要素は、接合によってハブに固定され得る。代替又は追加として、端部ブレード要素は、1つ以上の締結具によってハブに固定され得る。いずれの場合も、端部ブレード要素は、ハブに直接的又は間接的に固定され得る。
【0026】
端部ブレード要素の(中心軸に対する)角度広がり(angular extension)は、各インターロックブレード要素の角度広がりにほぼ対応又は対応し得る。例えば、ファンが、11個のインターロックブレード要素と、1つの端部ブレード要素と、を備える場合、インターロックブレード要素及び端部ブレード要素の各々の角度広がりは、30°であり得る。いずれの場合も、端部ブレード要素の角度広がりは、90°未満、例えば45°未満等であり得る。
【0027】
ファンは、軸流ファンであり得る。ハブは、中心軸を画定する円形開口部を備え得る。円形開口部は、駆動シャフトを受容し得る。
【0028】
各インターロックブレード要素は、インターロックブレード基部と、インターロックブレード基部から延在するブレードと、を備え得る。この場合、インターロックブレード基部は、インターロックによってハブに接続され得る。
【0029】
端部ブレード要素は、端部ブレード基部と、端部ブレード基部から延在するブレードと、を備え得る。この場合、端部ブレード基部は、2つのインターロックブレード要素の間でハブ上に配置され得る。一例によれば、各ブレード(即ち、インターロックブレード要素のブレード及び端部ブレード要素のブレード)は、エアフォイル形状及び/又は勾配プロファイル(gradient profile)を有する。
【0030】
端部ブレード要素(例えば、その端部ブレード基部)は、2つのインターロックブレード要素(例えば、そのインターロックブレード基部)の間に挟まれ得る。これら2つのインターロックブレード要素を除いて、各インターロックブレード要素(例えば、そのインターロックブレード基部)は、2つの隣接するインターロックブレード要素(例えば、そのインターロックブレード基部)の間に挟まれ得る。
【0031】
ファンは、係止片を更に備え得、ハブは、開口を備え得る。この場合、係止片は、係止片と端部ブレード要素とが溝を形成するように、開口内に着座され得、端部ブレード要素は、例えば、溶接によって、溝内で係止片に接合され得る。溝は、2つの隣接するインターロックブレード要素の側面間に延在し得る。これらの側面は、これらインターロックブレード要素を固定するように、溶接によって固定され得る。
【0032】
溝は、V字形であり得る。即ち、V字形は、ハブの周方向に延在し得る。端部ブレード要素は、溶接によってハブに固定され得る。
【0033】
インターロックは、スロットと、スロットと嵌合する隆起部と、を備え得る。隆起部は、ハブ上に設けられ得、スロットは、インターロックブレード要素に(例えば、そのインターロックブレード基部に)設けられ得る。この場合、スロット及び隆起部の各々は、ハブの周方向に延在し得る。隆起部は、径方向外側に突出し得る。スロットは、インターロックブレード要素全体に沿って延在し得る。隆起部は、ハブ全体の周りに連続的又は不連続的に延在し得る。
【0034】
代替として、隆起部が、インターロックブレード要素上に(例えば、そのインターロックブレード基部上に)設けられ得、スロットが、ハブに設けられ得る。この場合も、スロット及び隆起部の各々は、ハブの周方向に延在し得る。隆起部は、径方向内側に突出し得る。隆起部は、インターロックブレード要素全体に沿って延在し得る。スロットは、ハブ全体の周りに連続的又は不連続的に延在し得る。
【0035】
ファンは、各インターロックブレード要素に1つずつ関連付けられた、複数の個別のインターロックを備え得る。これらインターロックは、各インターロックブレード要素についての個別の位置を構成し得る。
【0036】
インターロックは、ダブテール(dovetail)を備え得る。ダブテールは、(中心軸に対して)ハブの円周の少なくとも半分の周りで不連続であり得る。代替又は追加として、インターロックは、T字形インターロックを備え得る。
【0037】
各インターロックブレード要素は、インターロックを確立するために、ハブに対して径方向内側方向への第1のブレード移動と、それに続くハブの周方向への第2のブレード移動と、によってハブに接続され得る。第2のブレード移動の角距離は、30°未満、例えば20°未満等、例えば約10°等であり得る。
【0038】
端部ブレード要素は、ハブに対して径方向内側方向への第1の端部ブレード移動によって、ハブ上に配置され得る。係止片は、中心軸と実質的に平行又は平行な、ハブに対する係止片の移動によって、開口内に着座され得る。
【0039】
インターロックは、複数の挿入構造を備え得、各挿入構造は、ハブに対して径方向内側方向に、インターロックブレード要素のうちの1つを受容するように配置され得る。これは、例えば、大型ファンの場合、複数のインターロックブレード要素が、それぞれの挿入構造に同時に挿入されることを可能にする。
【0040】
挿入構造は、第1のブレード移動中にインターロックブレード要素のための複数の個別の挿入ガイドを構成し得る。1つの挿入構造が、各インターロックブレード要素に対して設けられ得る。オプションで、1つの挿入構造が、端部ブレード要素に対しても設けられ得る。
【0041】
更なる態様によれば、本開示によるファンを備えた同期機が提供される。
【0042】
更なる態様によれば、ファンを製造する方法が提供され、本方法は、中心軸を有するハブを設けることと、各インターロックブレード要素がハブに対して径方向に移動することを阻止されるように、複数のインターロックブレード要素をインターロックによってハブに接続することと、2つのインターロックブレード要素の間でハブ上に端部ブレード要素を配置することと、ハブの周方向への各インターロックブレード要素の移動を阻止するために、端部ブレード要素をハブに固定することと、を備える。端部ブレード要素をハブに固定することは、接合によって、又は1つ以上の締結具によって行われ得る。この方法によって製造されるファンは、本開示による任意のタイプのものであり得る。
【0043】
本方法は、係止片と端部ブレード要素とが溝を形成するように、係止片をハブの開口内に着座させることと、端部ブレード要素を溝内で係止片に接合することによって、端部ブレード要素をハブに固定することと、を更に備え得る。
【0044】
更なる態様によれば、ファン用のインターロックブレード要素を製造する方法が提供され、本方法は、犠牲基部を設けることと、異なるサイズの少なくとも2つの犠牲ブレードを設けることと、犠牲ブレード要素を形成するために、少なくとも2つの犠牲ブレードのうちの1つを犠牲基部に接続することと、ロストワックス鋳造によって、犠牲ブレード要素に基づいて、ブレード要素を製造することと、を備える。
【0045】
犠牲ブレード要素は、犠牲基部を少なくとも2つの犠牲ブレードのいずれかに接続することによって形成され得るので、犠牲ブレード要素は、モジュール式である。このモジュール方式は、生産効率を大幅に向上させ、コストを低減させる。このモジュール方式によって、本方法は、ブレード要素の様々なサイズ(例えば、その長さ)及びプロファイルに容易に適合され得る。加えて、工具のバラツキ(tooling variation)が、著しく低減される。
【0046】
この方法によって製造されるブレード要素は、本開示によるファン用のインターロックブレード要素又は端部ブレード要素のいずれかであり得る。代替として、この方法によって製造されるブレード要素は、別のタイプのファン用のブレード要素であり得る。ブレード要素を製造する方法は、本開示によるファンを製造する方法によって後続され得る。
【0047】
犠牲基部への犠牲ブレードの接続は、接着剤及び/又はインターロックによって行われ得る。ハブは、当業者に知られている標準的な機械加工プロセスを使用して製造され得る。
【0048】
犠牲ブレード及び犠牲基部は、ワックス又はロストワックス鋳造プロセスでの使用に好適な他の材料で形成され得る。このようなロストワックス鋳造プロセスは、当業者に知られている任意の好適なタイプのものであり得る。ロストワックス鋳造プロセスは、犠牲ブレード要素をシェルで覆うことと、犠牲ブレード要素を溶融させることと、溶融金属をシェル内に鋳込むことと、シェルを壊すことと、成形されたブレード要素を仕上げることと、備え得る。
【0049】
本方法は、犠牲基部及び/又は少なくとも2つの犠牲ブレードを3D印刷することを更に備え得る。3D印刷は、低生産量の場合に使用され得る。代替として、本方法は、犠牲基部及び/又は少なくとも2つの犠牲ブレードを射出成形することを更に備え得る。射出成形は、高生産量の場合に使用され得る。
【0050】
本開示の更なる詳細、利点及び態様は、図面と併せて以下の実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、2つのファンを備える同期機の側面図を概略的に表す。
図2図2は、ファンの斜視正面図を概略的に表す。
図3図3は、ファンのハブの斜視正面図を概略的に表す。
図4図4は、ハブの正面図を概略的に表す。
図5図5は、ハブの上面図を概略的に表す。
図6図6は、ファンのインターロックブレード要素の側面図を概略的に表す。
図7図7は、インターロックブレード要素の底面図を概略的に表す。
図8図8は、ファンの端部ブレード要素の側面図を概略的に表す。
図9図9は、ファンの係止片の斜視正面図を概略的に表す。
図10図10は、係止片の斜視背面図を概略的に表す。
図11図11は、ファンを製造する方法の工程を概略的に表す。
図12図12は、ファンを製造する方法の工程を概略的に表す。
図13図13は、ファンを製造する方法の工程を概略的に表す。
図14図14は、ファンを製造する方法の工程を概略的に表す。
図15図15は、ファンを製造する方法の工程を概略的に表す。
図16図16は、ファンを製造する方法の工程を概略的に表す。
図17図17は、ファンを製造する方法の工程を概略的に表す。
図18図18は、ファンを製造する方法の工程を概略的に表す。
図19図19は、3つの犠牲ブレードと、1つの犠牲基部との正面図を概略的に表す。
図20図20は、犠牲基部に接続された犠牲ブレードのうちの1つを概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、ファン、ファンを備える同期機、ファンを製造する方法、及びファン用のブレード要素を製造する方法が説明される。同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の構造的特徴を示すために使用される。
【0053】
図1は、同期機10の側面図を概略的に表す。この例の同期機10は、電気固定子12と、電気回転子14と、2つのファン16と、駆動シャフト18と、熱交換器20と、を備える。ファン16及び電気回転子14は、中心軸22周りの共通の回転のために、駆動シャフト18に接続されている。電気回転子14は、これらファン16の間に配置されている。この例の各ファン16は、軸流ファンである。動作中、左側のファン16は、電気回転子14内への右側への冷却用空気の流れを発生させ、右側のファン16は、電気回転子14内への左側への冷却用空気の流れを発生させる。空気は、電気固定子12から抜け出て、ファン16に戻る前に空気を冷却するために、熱交換器20に入る。
【0054】
図2は、図1のファン16のうちの1つの斜視正面図を概略的に表す。ファン16は、ハブ24と、複数のインターロックブレード要素26と、端部ブレード要素28と、を備える。
【0055】
ハブ24は、円形であり、駆動シャフト18を受容し、駆動シャフト18によって駆動されるための円形開口部30を備える。したがって、開口部30は、中心軸22と同心である。
【0056】
各インターロックブレード要素26は、インターロックによってハブ24に接続されている。インターロックは、インターロックブレード要素26がハブ24に対して(中心軸22に対して)径方向に移動することを阻止する。この例では、全てのインターロックブレード要素26が、同じサイズ及び形状を有する。
【0057】
端部ブレード要素28は、ハブ24上に着座している。図1に示されるように、端部ブレード要素28は、ハブ24の周方向において、2つの隣接するインターロックブレード要素26の間に挟まれている。残りのインターロックブレード要素26は、ハブ24の周方向において、隣り合うインターロックブレード要素26の間にそれぞれ挟まれている。各インターロックブレード要素26と端部ブレード要素28との角度広がりの合計は、360°であるか、又は360°に近く、例えば少なくとも350°等である。
【0058】
図2のハブ24の特定の例は、13個のインターロックブレード要素26と、1つの端部ブレード要素28と、を備える。したがって、これらインターロックブレード要素26のうちの11個が、隣接するインターロックブレード要素26の間に挟まれている。この例では、端部ブレード要素28及びインターロックブレード要素26の各々は、同じ角度広がり、即ち、約25.7°を有する。
【0059】
端部ブレード要素28は、ハブ24に固定されている。インターロックブレード要素26は、端部ブレード要素28の周方向距離を除いて、ハブ24の全周にわたって配置されているので、端部ブレード要素28の固定は、直接的又は間接的に(即ち、1つ以上のインターロックブレード要素26を介して)、各インターロックブレード要素26がハブ24の周方向に移動することを阻止する。
【0060】
図2の例では、端部ブレード要素28は、溶接によってハブ24に固定されている。この点に関して、ファン16は、係止片32を更に備え、ハブ24は、開口34を備える。この例の開口34は、ハブ24の前側から軸方向に、且つハブ24の外側から径方向内側方向に、ハブ24内へと延在する。
【0061】
この例の係止片32は、細長い形状と、端部ブレード要素28の角度広がりに対応する角度広がりと、を有する。係止片32は、端部ブレード要素28の下の(又は径方向内側の)開口34内に着座されている。係止片32及び開口34は、係止片32の位置が、開口34に対して明確であるように構成されている。
【0062】
この例では、係止片32及び端部ブレード要素28は共に、V字形溝36を形成する。V字形溝36は、ハブ24の周方向において、2つの隣接するインターロックブレード要素26の間に途切れずに延在する。1つのインターロックブレード要素26から(係止片32の反対側にある)次のインターロックブレード要素26まで、V字形溝36に沿って溶接することによって、端部ブレード要素28及び係止片32は、ハブ24に固定される。
【0063】
図3は、ハブ24の斜視正面図を概略的に表し、図4は、ハブ24の正面図を概略的に表し、図5は、ハブ24の上面図を概略的に表す。図3図5をまとめて参照すると、ハブ24は、隆起部38を備える。隆起部38は、径方向外側に突出し、ハブ24の全周にわたって連続的に延在する。
【0064】
ハブ24は、ここで前部楔(front wedge)40として例示される複数の前部特徴と、ここで後部楔42として例示される複数の後部特徴と、を更に備える。前部楔40は、隆起部38の前側に設けられ、後部楔42は、隆起部38の後側に設けられている。各前部楔40は、ハブ24の前方に中心軸22に向かって傾斜している。各後部楔42は、ハブ24の後方に中心軸22に向かって傾斜している。したがって、前部楔40は、前方へ角度付けられており、後部楔42は、後方へ角度付けられている。
【0065】
ハブ24は、ここで前部平坦部44として例示される複数の前部挿入構造と、ここで後部平坦部46として例示される複数の後部挿入構造と、を更に備える。前部平坦部44は、隆起部38の前側に設けられており、後部平坦部46は、隆起部38の後側に設けられている。前部平坦部44及び後部平坦部46の各々は、中心軸22に対して垂直である。
【0066】
前部楔40及び前部平坦部44は、隆起部38の前側の周囲に交互に設けられている。後部楔42及び後部平坦部46は、隆起部38の後側の周囲に交互に設けられている。特に図5に示されるように、前部楔40と後部楔42は、オフセットされている。即ち、各前部楔40は、後部平坦部46と(周方向に沿って)位置合わせされており、各後部楔42は、前部平坦部44と位置合わせされている。
【0067】
図6は、インターロックブレード要素26の1つの側面図を概略的に表し、図7は、図6のインターロックブレード要素26の底面図を概略的に表す。図6及び図7をまとめて参照すると、インターロックブレード要素26は、インターロックブレード基部48と、インターロックブレード基部48から延在するブレード50と、を備える。
【0068】
インターロックブレード要素26は、スロット52を更に備える。この例では、スロット52は、インターロックブレード基部48に設けられている。ハブ24に取り付けられると、スロット52は、ハブ24の周方向に延在する。インターロックブレード要素26は、スロット52内に隆起部38を受容するように構成されている。
【0069】
インターロックブレード基部48は、前部ブレード係合構造54と、後部ブレード係合構造56と、を備える。前部ブレード係合構造54及び後部ブレード係合構造56は、インターロックブレード要素26を、隆起部38がスロット52内に受容されるように、隆起部38上へ径方向内側に移動させることと、その後、インターロックブレード要素26の径方向の移動を阻止するために、インターロックブレード要素26がハブ24にインターロックするように、隆起部38に沿って中心軸22の周りを回転させることと、を可能にするように構成されている。
【0070】
この特定の例では、前部ブレード係合構造54は、第1の前部ブレードピン58と、第2の前部ブレードピン60と、第1の前部ブレードピン58と第2の前部ブレードピン60との間の前部ブレード平坦部62と、を備える。後部ブレード係合構造56は、第1の後部ブレードピン64と、第2の後部ブレードピン66と、第1の後部ブレードピン64と第2の後部ブレードピン66との間の後部ブレード平坦部68と、を備える。第1の前部ブレードピン58及び第2の前部ブレードピン60の各々は、各前部楔40の角度に対応する角度を有し、第1の後部ブレードピン64及び第2の後部ブレードピン66の各々は、各後部楔42の角度に対応する角度を有する。
【0071】
図7に示されるように、前部ブレード係合構造54と後部ブレード係合構造56は、オフセットされている。したがって、第1の前部ブレードピン58は、後部ブレード平坦部68に面しており、第2の後部ブレードピン66は、前部ブレード平坦部62に面している。
【0072】
図2図7をまとめて参照すると、インターロックブレード要素26は、ハブ24に向かって径方向内側に移動され得、その結果、第1の前部ブレードピン58及び第2の前部ブレードピン60の各々は、2つの前部楔40の間の前部平坦部44に沿って通り、前部ブレード平坦部62は、前部楔40上を通り、第1の後部ブレードピン64及び第2の後部ブレードピン66の各々は、2つの後部楔42の間の後部平坦部46に沿って通り、後部平坦部46は、後部楔42上を通る。次いで、隆起部38が、スロット52内に受容される。したがって、2つの前部平坦部44及び2つの後部平坦部46は、挿入構造の一例を構成している。
【0073】
次いで、インターロックブレード要素26は、第1の前部ブレードピン58及び第2の前部ブレードピン60の各々が、それぞれの前部楔40と位置合わせされ、第1の後部ブレードピン64及び第2の後部ブレードピン66の各々が、それぞれの後部楔42と位置合わせされるまで、ハブ24の周方向に回転され得る。この状態では、インターロックブレード要素26は、インターロックブレード要素26がハブ24に対して径方向に移動することを阻止されるように、ハブ24にインターロックされている。
【0074】
この例のスロット52と隆起部38との間のインターロックは、ダブテールを備える。前部楔40及び後部楔42は、ダブテールの尾部を形成し、第1の前部ブレードピン58、第2の前部ブレードピン60、第1の後部ブレードピン64及び第2の後部ブレードピン66は、ダブテールのピンを形成する。
【0075】
図8は、端部ブレード要素28の側面図を概略的に表す。端部ブレード要素28は、端部ブレード基部70と、端部ブレード基部70から延在するブレード72と、を備える。端部ブレード要素28は、後部端部ブレード係合構造74を備える。後部端部ブレード係合構造74は、端部ブレード基部70に設けられている。
【0076】
後部端部ブレード係合構造74は、第1の後部端部ブレードピン76と、第2の後部端部ブレードピン78と、第1の後部端部ブレードピン76と第2の後部端部ブレードピン78との間に配置された後部端部ブレード開口80と、を備える。したがって、後部端部ブレード係合構造74は、インターロックブレード要素26の後部ブレード係合構造56と同じ設計である。端部ブレード基部70は、端部ブレード溝面82を更に備える。
【0077】
図9は、係止片32の斜視正面図を概略的に表し、図10は、係止片32の斜視背面図を概略的に表す。図9及び図10をまとめて参照すると、係止片32は、(開口34内に着座されたとき)ハブ24の周方向に細長く湾曲している。
【0078】
係止片32は、係止片開口84を備える。係止片開口84は、隆起部38上の前部楔40と嵌合するように構成されている。
【0079】
係止片32は、係止片溝面86を更に備える。係止片溝面86と端部ブレード溝面82とで、V字形溝36が形成される。
【0080】
図11図18は、ファン16を製造する方法の工程を概略的に表す。図11に示されるように、第1のインターロックブレード要素26は、ハブ24に対して径方向内側方向への第1のブレード移動88によって、ハブ24へと移動される。第1のブレード移動88は、隆起部38がスロット52内に完全に受容されるまで進行する。第1のブレード移動88中に、第1の前部ブレードピン58及び第2の前部ブレードピン60は、それぞれの前部平坦部44と位置合わせされ、第1の後部ブレードピン64及び第2の後部ブレードピン66は、それぞれの後部平坦部46と位置合わせされる。このようにして、隆起部38は、第1のブレード移動88中にインターロックブレード要素26のための複数の個別の挿入ガイドを提供する。
【0081】
図12は、ハブ24の周方向への第2のブレード移動90後のインターロックブレード要素26を示す。第2のブレード移動90は、ハブ24の周方向への、即ち、中心軸22を中心とする円に沿った、インターロックブレード要素26の回転である。第2のブレード移動90後、インターロックブレード要素26は、インターロックブレード要素26がハブ24に対して径方向に移動することを阻止されるように、インターロックによってハブ24に接続されている。この例では、第2のブレード移動90の角距離は、約12°である。したがって、機械的インターロックは、インターロックブレード要素26を、中心軸22の周りを隆起部38に沿って回転させることによって確立される。
【0082】
図13に示されるように、次いで、更なるインターロックブレード要素26が、図11及び図12と同じようにハブ24に接続される。図13から分かるように、複数のインターロックブレード要素26が、同時にハブ24に接続され得る。図14では、全てのインターロックブレード要素26が、ハブ24に接続されている。
【0083】
図15に示されるように、端部ブレード要素28は、ハブ24に対して径方向内側方向への端部ブレード移動92によって、ハブ24へと移動される。端部ブレード移動92は、端部ブレード基部70が隆起部38上に着座されるまで進行する。端部ブレード移動92中に、第1の後部端部ブレードピン76及び第2の後部端部ブレードピン78は、それぞれの後部平坦部46と位置合わせされる。このようにして、隆起部38はまた、端部ブレード移動92中に端部ブレード要素28のための個別の挿入ガイドを提供する。
【0084】
図16は、端部ブレード移動92後の端部ブレード要素28の配置を示す。図16では、端部ブレード基部70は、ハブ24上に配置され、2つのインターロックブレード基部48の間に挟まれている。
【0085】
図17は、係止片32が、係止片移動94によって、どのようにハブ24へ移動されるかを示す。係止片移動94は、中心軸22と平行である。
【0086】
図18は、係止片32が、係止片移動94後に、どのように開口34内に着座されて、端部ブレード要素28の端部ブレード溝面82と共にV溝36を形成するかを示す。次いで、端部ブレード要素28は、左側に隣接するインターロックブレード要素26から右側に隣接するインターロックブレード要素26まで、V溝36に沿って溶接することによって、ハブ24に固定される。端部ブレード要素28がハブ24に固定されると、全てのインターロックブレード要素26が、周方向に移動することを阻止され、それによってまた、ハブ24に固定される。
【0087】
以下では、ファン16用のブレード要素26、28を製造する方法が説明される。方法は、端部ブレード要素28、1つ又はいくつかのインターロックブレード要素26、又はそれらの組合せのいずれかを製造するために使用され得る。
【0088】
図19は、3つの犠牲ブレード96、98及び100と、1つの犠牲基部102との正面図を概略的に表す。第1の犠牲ブレード96は、第2の犠牲ブレード98よりも小さく、第3の犠牲ブレード100は、第2の犠牲ブレード98よりも大きい。この例では、犠牲基部102は、ワックスで成形され、犠牲ブレード96、98及び100の各々は、ワックスで3D印刷される。
【0089】
犠牲基部102は、標準サイズで製造され得る。この例では、犠牲基部102のサイズ及び形状は、インターロックブレード基部48のサイズ及び形状に対応する。したがって、インターロックブレード基部48と同様に、犠牲基部102は、スロット52と、前部ブレード係合構造54と、後部ブレード係合構造56と、を備える。第2の犠牲ブレード98のサイズ及び形状は、ブレード50のサイズ及び形状に対応する。
【0090】
図20は、犠牲ブレード要素104を形成するために、犠牲基部102に接続された第2の犠牲ブレード98を概略的に表す。したがって、犠牲ブレード要素104は、モジュール式であり、これは、いくつかの利点を伴う。接続は、接合部106に沿って接着剤によって行われる。犠牲ブレード96、98及び100の中からの第2の犠牲ブレード98の選択は、ファン16のサイズ要件に基づいて、及び/又は同期機10の冷却要件に基づいて行われる。
【0091】
次いで、ブレード要素26、28が、ロストワックス鋳造によって、犠牲ブレード要素104に基づいて製造される。したがって、犠牲ブレード要素104がシェルで覆われる。次いで、犠牲ブレード要素104が溶融される。次いで、溶融金属がシェル内に鋳込まれる。次いで、シェルが壊され、成形されたブレード要素26、28が研磨される。
【0092】
複数のインターロックブレード要素26がこのように製造されると、次いで、端部ブレード要素28が、同じように製造され得る。次いで、インターロックブレード要素26及び端部ブレード要素28は、図11図18に記載されたようにハブ24に組み付けられ得る。
【0093】
本開示は、例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明は、上記で説明されたものに限定されるものではないことが理解されよう。例えば、部品の寸法は、必要に応じて変更され得ることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され得ることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2022-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン(16)であって、
- 中心軸(22)を有するハブ(24)と、
- 各インターロックブレード要素(26)が前記ハブ(24)に対して径方向に移動することを阻止されるように、インターロック(38、52)によって前記ハブ(24)に接続された複数のインターロックブレード要素(26)と、
- 2つのインターロックブレード要素(26)の間で前記ハブ(24)上に配置された端部ブレード要素(28)とを備え、前記端部ブレード要素(28)は、前記ハブ(24)の周方向への各インターロックブレード要素(26)の移動を阻止するために、前記ハブ(24)に固定されており、
各インターロックブレード要素(26)は、前記インターロック(38、52)を確立するために、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向への第1のブレード移動(88)と、それに続く前記ハブ(24)の周方向への第2のブレード移動(90)と、によって前記ハブ(24)に接続されており、
前記ファン(16)は係止片(32)を更に備え、
前記ハブ(24)は開口(34)を備え、
前記係止片(32)は、前記係止片(32)と前記端部ブレード要素(28)とが溝(36)を形成するように、前記開口(34)内に着座されており、
前記端部ブレード要素(28)は、前記溝(36)内で前記係止片(32)に接合されており、
前記溝(36)は2つの隣接するインターロックブレード要素(26)の側面間に延在している、ファン(16)。
【請求項2】
前記溝(36)は、V字形状である、請求項に記載のファン(16)。
【請求項3】
前記端部ブレード要素(28)は、溶接によって前記ハブ(24)に固定されている、請求項1又は2に記載のファン(16)。
【請求項4】
前記インターロック(38、52)は、スロット(52)と、前記スロット(52)と嵌合する隆起部(38)と、を備える、請求項1~のいずれか一項に記載のファン(16)。
【請求項5】
前記インターロック(38、52)は、ダブテールを備える、請求項1~のいずれか一項に記載のファン(16)。
【請求項6】
前記ダブテールは、前記ハブ(24)の円周の少なくとも半分の周りで不連続である、請求項に記載のファン(16)。
【請求項7】
前記インターロック(38、52)は、複数の挿入構造(44、46)を備え、各挿入構造(44、46)は、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向に、前記インターロックブレード要素(26)のうちの1つを受容するように配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載のファン(16)。
【請求項8】
1つの挿入構造(44、46)が、各インターロックブレード要素(26)に対して設けられている、請求項に記載のファン(16)。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載のファン(16)を備える同期機(10)。
【請求項10】
ファン(16)を製造する方法であって、前記方法は、
- 中心軸(22)を有するハブ(24)を設けることと、
- 各インターロックブレード要素(26)が前記ハブ(24)に対して径方向に移動することを阻止されるように、複数のインターロックブレード要素(26)をインターロック(38、52)によって前記ハブ(24)に接続することと、ここで、各インターロックブレード要素(26)は、前記インターロック(38、52)を確立するために、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向への第1のブレード移動(88)と、それに続く前記ハブ(24)の周方向への第2のブレード移動(90)と、によって前記ハブ(24)に接続されており、
- 2つのインターロックブレード要素(26)の間で前記ハブ(24)上に端部ブレード要素(28)を配置することと、
- 前記ハブ(24)の周方向への各インターロックブレード要素(26)の移動を阻止するために、前記端部ブレード要素(28)を前記ハブ(24)に固定することと、
- 係止片(32)と前記端部ブレード要素(28)とが溝(36)を形成するように、前記係止片(32)を前記ハブ(24)の開口(34)内に着座させることと、ここで、前記溝(36)は2つの隣接するインターロックブレード要素(26)の側面間に延在しており、
- 前記端部ブレード要素(28)を前記溝(36)内で前記係止片(32)に接合することによって、前記端部ブレード要素(28)を前記ハブ(24)に固定することと、
を備える、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
本開示は、例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明は、上記で説明されたものに限定されるものではないことが理解されよう。例えば、部品の寸法は、必要に応じて変更され得ることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され得ることが意図される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] ファン(16)であって、
- 中心軸(22)を有するハブ(24)と、
- 各インターロックブレード要素(26)が前記ハブ(24)に対して径方向に移動することを阻止されるように、インターロック(38、52)によって前記ハブ(24)に接続された複数のインターロックブレード要素(26)と、
- 2つのインターロックブレード要素(26)の間で前記ハブ(24)上に配置された端部ブレード要素(28)とを備え、前記端部ブレード要素(28)は、前記ハブ(24)の周方向への各インターロックブレード要素(26)の移動を阻止するために、前記ハブ(24)に固定されており、
各インターロックブレード要素(26)は、前記インターロック(38、52)を確立するために、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向への第1のブレード移動(88)と、それに続く前記ハブ(24)の周方向への第2のブレード移動(90)と、によって前記ハブ(24)に接続されている、ファン(16)。
[2] 係止片(32)を更に備え、前記ハブ(24)は開口(34)を備え、前記係止片(32)は、前記係止片(32)と前記端部ブレード要素(28)とが溝(36)を形成するように、前記開口(34)内に着座され、前記端部ブレード要素(28)は前記溝(36)内で前記係止片(32)に接合されている、[1]に記載のファン(16)。
[3] 前記溝(36)は、V字形状である、[2]に記載のファン(16)。
[4] 前記端部ブレード要素(28)は、溶接によって前記ハブ(24)に固定されている、[1]~[3]のいずれか一項に記載のファン(16)。
[5] 前記インターロック(38、52)は、スロット(52)と、前記スロット(52)と嵌合する隆起部(38)と、を備える、[1]~[4]のいずれか一項に記載のファン(16)。
[6] 前記インターロック(38、52)は、ダブテールを備える、[1]~[5]のいずれか一項に記載のファン(16)。
[7] 前記ダブテールは、前記ハブ(24)の円周の少なくとも半分の周りで不連続である、[6]に記載のファン(16)。
[8] 前記インターロック(38、52)は、複数の挿入構造(44、46)を備え、各挿入構造(44、46)は、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向に、前記インターロックブレード要素(26)のうちの1つを受容するように配置されている、[1]~[7]のいずれか一項に記載のファン(16)。
[9] 1つの挿入構造(44、46)が、各インターロックブレード要素(26)に対して設けられている、[8]に記載のファン(16)。
[10] [1]~[9]のいずれか一項に記載のファン(16)を備える同期機(10)。
[11] ファン(16)を製造する方法であって、前記方法は、
- 中心軸(22)を有するハブ(24)を設けることと、
- 各インターロックブレード要素(26)が前記ハブ(24)に対して径方向に移動することを阻止されるように、複数のインターロックブレード要素(26)をインターロック(38、52)によって前記ハブ(24)に接続することと、ここで、各インターロックブレード要素(26)は、前記インターロック(38、52)を確立するために、前記ハブ(24)に対して径方向内側方向への第1のブレード移動(88)と、それに続く前記ハブ(24)の周方向への第2のブレード移動(90)と、によって前記ハブ(24)に接続されており、
- 2つのインターロックブレード要素(26)の間で前記ハブ(24)上に端部ブレード要素(28)を配置することと、
- 前記ハブ(24)の周方向への各インターロックブレード要素(26)の移動を阻止するために、前記端部ブレード要素(28)を前記ハブ(24)に固定することと、を備える方法。
[12] - 係止片(32)と前記端部ブレード要素(28)とが溝(36)を形成するように、前記係止片(32)を前記ハブ(24)の開口(34)内に着座させることと、
- 前記端部ブレード要素(28)を前記溝(36)内で前記係止片(32)に接合することによって、前記端部ブレード要素(28)を前記ハブ(24)に固定することと、
を更に備える、[11]に記載の方法。
【国際調査報告】