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特表2023-517439水素燃料車両のタンクを充填するためのステーション及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】水素燃料車両のタンクを充填するためのステーション及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 7/04 20060101AFI20230419BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
F17C7/04
F17C13/00 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540663
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 US2020066740
(87)【国際公開番号】W WO2021138169
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/956,064
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/956,067
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フェアリー、ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA03
3E172AA05
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA01
3E172BA04
3E172BD03
3E172BD05
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA22
3E172EA23
3E172EA35
3E172EB03
3E172EB10
3E172GA11
3E172KA03
3E172KA22
3E172KA23
(57)【要約】

燃料電池車のタンクを充填するための水素補給ステーションは、熱交換器も含む充填回路の上流端へ液体水素を供給する液体水素タンクを含む。熱交換器は液体水素流れと伝熱流体流れとの間で熱を交換し、これにより、充填回路の下流端における水素燃料車両タンクを充填するための高圧水素ガスの供給を提供するために伝熱流体を冷却し液体水素を気化させる。液体水素は熱交換器の内側の伝熱流体により取り囲まれるので、霧化はほとんど発生しない。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体水素を格納するように適応化及び構成された液体水素源、充填回路、及び熱交換流体回路を含む水素補給ステーションであって、
前記充填回路は、前記充填回路内への前記源からの液体水素の流れを許容するために前記液体水素源と下流流体連通する上流端、水素燃料車両タンクの充填のために前記水素燃料車両タンクと着脱可能に接続されるように適応化及び構成された下流端、及び前記充填回路の前記上流端と前記下流端との間に配置される第1の熱交換器を含み;
伝熱回路は、流れ順に、前記第1の熱交換器と下流流れ連通する上流端、第2の熱交換器、伝熱流体ポンプ、及び前記第1の熱交換器と上流流れ連通する下流端を含み、前記伝熱流体ポンプは、前記第2の熱交換器から伝熱流体を受け取りそしてそれを前記第1の熱交換器へ向けるように適応化及び構成され;
前記第2の熱交換器は前記第1の熱交換器から受け取った冷却された伝熱流体を暖めるように適応化及び構成され;
前記第1の熱交換器は、前記伝熱回路を貫流する前記伝熱流体と前記充填回路内の前記液体水素との間で熱を交換して前記伝熱流体を冷却するように適応化及び構成され、そしてさらに、前記タンクを充填するための前記加圧気体水素を提供するために前記液体水素を気化させるように適応化及び構成され、前記第1の熱交換器の内側の液体水素の前記流れは前記伝熱流体の流れにより取り囲まれる、ステーション。
【請求項2】
前記液体水素源と下流流れ連通するとともに前記第1の熱交換器と上流流れ連通する液体水素ポンプであって、前記液体水素源からの液体水素の前記流れの圧力を増加するとともに液体水素の前記加圧された流れを前記第1の熱交換器の方向へ向けるように適応化及び構成された液体水素ポンプをさらに含む請求項1に記載のステーション。
【請求項3】
前記充填回路はさらに、前記第1の交換器の下流に圧力制御弁及び圧力センサを含み、前記圧力制御弁は、前記タンクを充填するための前記加圧ガス状水素の圧力を前記圧力センサにより測定された前記加圧ガス状水素の圧力に基づき制御するように適応化及び構成される、請求項1に記載のステーション。
【請求項4】
前記伝熱回路はさらに、一次線、バイパス線、3方向流れ制御弁、温度センサ、及び前記3方向流れ制御弁と前記伝熱流体ポンプとの間で流れ連通する下流側線を含み;
前記一次線は前記第1の熱交換器と前記3方向流れ制御弁との間で流れ連通して延伸し;
前記バイパス線は前記一次線から分岐し、そして前記3方向流れ制御弁と上流流れ連通し;
前記第2の熱交換器は前記一次線内に配置され;
前記3方向流れ制御弁は、前記一次線からの暖められた伝熱流体の流れと前記バイパス線からの暖められていない伝熱流体の流れとを制御し、前記一次線からの前記暖められた伝熱流体の前記流れと前記バイパス線からの前記暖められていない伝熱流体の前記流れとを結合し、伝熱流体の前記結合された流れを伝熱ポンプへ向け;
前記温度センサは、前記3方向流れ制御弁と前記第1の熱交換器との間の前記伝熱回路内に配置され;
前記3方向制御弁は、前記3方向制御弁と前記第1の熱交換器との間の前記伝熱流体の温度を、伝熱流体の前記結合された流れ内の前記暖められていない伝熱流体の流量に対する前記暖められた伝熱流体の流量の比を調整することにより制御する、請求項1に記載のステーション。
【請求項5】
前記伝熱流体回路はさらに、吹き出された外気の熱により前記伝熱流体を暖めるよう前記第2の熱交換器において外気を吹き出すように適応化及び構成された送風器を含む、請求項1に記載のステーション。
【請求項6】
前記第2の熱交換器は前記伝熱流体を暖めるように適応化及び構成された電熱器である、請求項1に記載のステーション。
【請求項7】
2つ以上の緩衝容器、前記加圧ガス状水素を前記第1の熱交換器から前記2つ以上の緩衝容器へ向けるように適応化及び構成された前記第1の熱交換器の下流の前記充填回路から分岐するレッグ、一組の弁、及び圧力制御弁をさらに含む請求項1に記載のステーションであって、
前記一組の弁は、前記加圧ガス状水素が前記レッグを貫流して前記緩衝容器のうちの1つの容器へ流れ込むが前記緩衝容器の他の容器へは流れ込まないことを可能にするとともに前記加圧ガス状水素が前記緩衝容器のうちの1つの容器から前記レッグを還流して前記充填回路の前記下流端へ流れることを可能にするように適応化及び構成され、
前記圧力制御弁は、前記充填回路の前記下流端から流出する前記加圧ガス状水素の圧力を、前記充填回路の前記レッグと前記下流端との間の前記充填回路内に配置された圧力センサにより感知される圧力に基づき制御するように適応化及び構成される、ステーション。
【請求項8】
前記充填回路はさらに、前記充填回路の前記上流端と前記下流端との間で流体連通する一次線、前記一次線から分岐しそして前記第1の熱交換器の下流の前記一次線と再結合するバイパス線、前記一次線内に配置された流量制御弁、前記バイパス線内に配置された流量制御弁、及び前記バイパス線が前記一次線と再結合する点の下流の前記充填回路内であって前記充填回路の前記下流端の上流に配置された温度センサを含み、
前記第1の熱交換器は前記一次線内に配置され、
前記一次線内に配置された前記流量制御弁は、前記一次線を貫流する気化された水素の流れを制御するように適応化及び構成され、
前記バイパス線内に配置された前記流量制御弁は、前記バイパス線を貫流する液体水素の流れを制御するように適応化及び構成され、
前記流量制御弁は、前記温度センサにより感知された温度に基づき前記タンクを充填するための前記加圧ガス状水素の温度を制御するために、気化された水素の前記流れ及び液体水素の前記流れを制御する、請求項1に記載のステーション。
【請求項9】
前記伝熱回路はさらに、前記第2の熱交換器と前記伝熱ポンプの間に流体連通された伝熱貯蔵器を含み、前記伝熱貯蔵器は前記伝熱流体の容積を含むように適応化及び構成される、請求項1に記載のステーション。
【請求項10】
液体水素を格納するように適応化及び構成された液体水素源、第1及び第2の充填回路、伝熱流体貯蔵器、並びに第1及び第2の熱交換流体回路を含む水素補給ステーションであって、
前記第1の充填回路は、前記第1の充填回路内への前記源からの液体水素の流れを許容するために前記液体水素源と下流流体連通する上流端、水素燃料車両タンクの充填のために前記水素燃料車両タンクと着脱可能に接続されるように適応化及び構成された下流端、及び前記第1の充填回路の前記上流端と前記下流端との間に配置される第1の熱交換器を含み;
前記第2の充填回路は、前記第2の充填回路内への前記源からの液体水素の流れを許容するために前記液体水素源と下流流体連通する上流端、水素燃料車両タンクの充填のために前記水素燃料車両タンクと着脱可能に接続されるように適応化及び構成された下流端、及び前記第2の充填回路の前記上流端と前記下流端との間に配置される第1の熱交換器を含み;
前記第1の伝熱回路は、流れ順に、前記第1の充填回路の前記第1の熱交換器と下流流れ連通する上流端、第2の熱交換器、伝熱流体ポンプ、及び前記第1の充填回路の前記第1の熱交換器と上流流れ連通する下流端を含み、
前記第1の伝熱回路の前記伝熱流体ポンプは、前記第1の伝熱回路の前記第2の熱交換器から前記伝熱流体を受け取りそしてそれを前記第1の充填回路の前記第1の熱交換器へ向けるように適応化及び構成され、
前記第2の伝熱回路は、流れ順に、前記第2の充填回路の前記第1の熱交換器と下流流れ連通する上流端、第2の熱交換器、伝熱流体ポンプ、及び前記第2の充填回路の前記第1の熱交換器と上流流体連通する下流端を含み、
前記第2の伝熱回路の前記伝熱流体ポンプは、前記第2の伝熱回路の前記第2の熱交換器から伝熱流体を受け取りそしてそれを前記第2の充填回路の前記第1の熱交換器へ向けるように適応化及び構成され;
前記第1の伝熱回路の前記第2の熱交換器は前記第1の伝熱回路の前記第1の熱交換器から受け取った冷却された伝熱流体を暖めるように適応化及び構成され;
前記第2の伝熱回路の前記第2の熱交換器は前記第2の伝熱回路の前記第1の熱交換器から受け取った冷却された伝熱流体を暖めるように適応化及び構成され;
前記伝熱流体貯蔵器は、前記第1の伝熱回路の前記第2の熱交換器と伝熱流体ポンプとの間に流体連通され且つ前記第2の伝熱回路の前記第2の熱交換器と前記伝熱流体ポンプとの間に流体連通され;
前記第1の充填回路の前記第1の熱交換器は、前記第1の伝熱回路を貫流する前記伝熱流体と前記第1の充填回路内の液体水素との間で熱を交換して前記伝熱流体を冷却するように適応化及び構成され、そしてさらに、水素燃料車両のタンクを充填するための前記加圧気体水素を提供するために前記液体水素を気化させるように適応化及び構成され、前記第1の充填回路の前記第1の熱交換器の内側の液体水素の前記流れは前記伝熱流体の流れにより取り囲まれ;
前記第2の充填回路の前記第1の熱交換器は、前記第2の伝熱回路を貫流する前記伝熱流体と前記第2の充填回路内の前記液体水素との間で熱を交換して前記伝熱流体を冷却するように適応化及び構成され、そしてさらに、水素燃料車両のタンクを充填するための前記加圧気体水素を提供するために前記液体水素を気化させるように適応化及び構成され、前記第2の充填回路の前記第1の熱交換器の内側の液体水素の前記流れは前記伝熱流体の前記流れにより取り囲まれる、ステーション。
【請求項11】
前記液体水素源と下流流れ連通するとともに前記第1の充填回路の前記第1の熱交換器と上流流れ連通する第1の液体水素ポンプであって、前記液体水素源からの液体水素の前記流れの圧力を増加するとともに液体水素の前記加圧された流れを前記第1の充填回路の前記第1の熱交換器の方向へ向けるように適応化及び構成された第1の液体水素ポンプ;及び
前記液体水素源と下流流れ連通するとともに前記第2の充填回路の前記第1の熱交換器と上流流れ連通する第2の液体水素ポンプであって、前記液体水素源からの液体水素の前記流れの圧力を増加するとともに液体水素の前記加圧された流れを前記第2の充填回路の前記第1の熱交換器の方向へ向けるように適応化及び構成された第2の液体水素ポンプをさらに含む請求項10に記載のステーション。
【請求項12】
前記充填回路のそれぞれは、前記関連する第1の交換器の下流に圧力制御弁及び圧力センサをさらに含み、前記圧力制御弁は、前記圧力センサにより測定された前記加圧ガス状水素の圧力に基づき水素燃料車両のタンクを充填するための前記加圧ガス状水素の圧力を制御するように適応化及び構成される、請求項10に記載のステーション。
【請求項13】
前記伝熱回路のそれぞれは、一次線、バイパス線、3方向流れ制御弁、温度センサ、及び前記3方向流れ制御弁と前記伝熱流体ポンプとの間で流れ連通する下流側線をさらに含み;
各一次線は、前記関連する第1の熱交換器と前記関連する3方向流れ制御弁との間で流れ連通して延伸し;
前記バイパス線のそれぞれは関連一次線から分岐し、そして前記関連する3方向流れ制御弁と上流流れ連通し;
各第2の熱交換器は前記関連一次線内に配置され;
各3方向流れ制御弁は、前記関連一次線からの暖められた伝熱流体の流れと前記関連バイパス線からの暖められていない伝熱流体の流れとを制御し、前記関連一次線からの前記暖められた伝熱流体の前記流れと前記関連バイパス線からの前記暖められていない伝熱流体の前記流れとを結合し、伝熱流体の前記結合された流れを前記関連する伝熱ポンプへ向け;
各温度センサは、前記関連する3方向流れ制御弁と前記関連する第1の熱交換器との間の前記関連伝熱回路内に配置され;
各3方向制御弁は、前記各3方向制御弁と前記関連する第1の熱交換器との間の前記伝熱流体の温度を、前記伝熱流体の前記結合された流れ内の前記暖められていない伝熱流体の前記流量に対する前記暖められた伝熱流体の前記流量の比を調整することにより制御する、請求項10に記載のステーション。
【請求項14】
各伝熱流体回路はさらに、吹き出された外気の熱により前記伝熱流体を暖めるように前記関連する第2の熱交換器において外気を吹き出すように適応化及び構成された送風器を含む、請求項10に記載のステーション。
【請求項15】
各第2の熱交換器は前記伝熱流体を暖めるように適応化及び構成された電熱器である、請求項10に記載のステーション。
【請求項16】
各充填回路はさらに:
その上流端と下流端との間に流体連通された一次線;
前記関連一次線から分岐しそして前記関連する第1の熱交換器の下流の前記関連一次線と再結合するバイパス線、
前記関連一次線内に配置された流量制御弁;
前記関連バイパス線内に配置された流量制御弁;及び
前記関連バイパス線が前記関連一次線と再結合する点の下流に配置された温度センサであって前記温度センサの前記関連下流端の上流に配置された温度センサを含み、
前記関連する第1の熱交換器は前記関連一次線内に配置され;
前記関連一次線内に配置された前記流量制御弁は、前記関連一次線を貫流する気化された水素の流れを制御するように適応化及び構成され、
前記関連バイパス線内に配置された前記流量制御弁は、前記関連バイパス線を貫流する液体水素の流れを制御するように適応化及び構成され、
前記流量制御弁は、前記温度センサにより感知された温度に基づき水素燃料車両のタンクを充填するための前記加圧ガス状水素の温度を制御するために、気化された水素の前記流れ及び液体水素の前記流れを制御する、請求項10に記載のステーション。
【請求項17】
燃料電池車のタンクを加圧水素により充填する方法であって、前記方法は、
液体水素を液体水素の源から、その下流端がタンクへ着脱可能に接続された充填回路へ供給する工程であって、前記充填回路はその中に配置された第1の熱交換器を有し、前記第1の熱交換器は液体水素入口、ガス状水素出口、伝熱流体入口、及び伝熱流体出口を有する、供給する工程;
伝熱流体を、前記第1の熱交換器とループをなす伝熱回路を介し伝熱ポンプによりポンピングする工程であって、前記伝熱回路は、前記伝熱流体出口から前記伝熱流体入口への流れ順に、第2の熱交換器及び伝熱流体ポンプを含む、ポンピングする工程;
前記伝熱流体回路を貫流する前記伝熱流体と前記源から前記充填回路へ供給される前記液体水素との間で熱を前記第1の熱交換器により交換し、これにより、前記供給された液体水素を気化しそして前記伝熱流体を冷却する工程であって、前記第1の熱交換器の内側の前記供給された液体水素は前記伝熱流体により取り囲まれる、工程;
前記第1の熱交換器から受け取った前記冷却された伝熱流体を前記第2の熱交換器により加熱する工程;及び
水素燃料車両のタンクを前記充填回路の前記下流端からの前記加圧ガス状水素により充填する工程を含む方法。
【請求項18】
前記液体水素を前記源から前記充填回路内へ液体水素ポンプによりポンピングする工程をさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の熱交換器の下流の前記充填回路内の前記加圧ガス状水素の圧力を圧力センサにより測定する工程;及び
前記加圧ガス状水素の圧力を、前記圧力センサにより測定された前記加圧ガス状水素の圧力に基づき圧力制御弁により制御する工程をさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記伝熱回路はさらに、一次線、バイパス線、3方向流れ制御弁、温度センサ、及び前記3方向流れ制御弁と前記伝熱流体ポンプとの間で流れ連通する下流側線を含み;
前記一次線は、前記第1の熱交換器と前記3方向流れ制御弁との間で流れ連通して延伸し;
前記バイパス線は前記一次線から分岐し、そして前記3方向流れ制御弁と上流流れ連通し;
前記第2の熱交換器は前記一次線内に配置され;
前記3方向流れ制御弁は、前記一次線からの暖められた伝熱流体の流れと前記バイパス線からの暖められていない伝熱流体の流れとを制御し、前記一次線からの前記暖められた伝熱流体の前記流れと前記バイパス線からの前記暖められていない伝熱流体の前記流れとを結合し、伝熱流体の前記結合された流れを伝熱ポンプへ向け;
前記温度センサは、前記3方向流れ制御弁と前記第1の熱交換器との間の前記伝熱回路内に配置され;
前記3方向制御弁は、前記3方向制御弁と前記第1の熱交換器間の前記伝熱流体の温度を、伝熱流体の前記結合された流れ内の暖められていない前記伝熱流体の流量に対する前記暖められた伝熱流体の流量の比を調整することにより制御する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記伝熱流体回路はさらに、吹き出された外気の熱により前記伝熱流体を暖めるよう前記第2の熱交換器において外気を吹き出すように適応化及び構成された送風器を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の熱交換器は前記伝熱流体を暖めるように適応化及び構成された電熱器である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
2つ以上の緩衝容器、前記加圧ガス状水素を前記第1の熱交換器から前記2つ以上の緩衝容器へ向けるように適応化及び構成された前記第1の熱交換器の下流の前記充填回路から分岐するレッグ、一組の弁、及び圧力制御弁をさらに含む請求項17に記載の方法であって、
前記一組の弁は、前記加圧ガス状水素が前記レッグを貫流して前記緩衝容器のうちの1つの容器へ流れ込むが前記緩衝容器の他の容器へは流れ込まないことを可能にするとともに前記加圧ガス状水素が前記緩衝容器のうちの1つの容器から前記レッグを還流して前記充填回路の前記下流端へ流れることを可能にするように適応化及び構成され、
前記圧力制御弁は、前記充填回路の前記下流端から流出する前記加圧ガス状水素の圧力を、前記充填回路の前記レッグと前記下流端との間の前記充填回路内に配置された圧力センサにより感知される圧力に基づき制御するように適応化及び構成される、ステーション、方法。
【請求項24】
前記充填回路はさらに、前記充填回路の前記上流端と前記下流端との間で流体連通する一次線、前記一次線から分岐しそして前記第1の熱交換器の下流の前記一次線と再結合するバイパス線、前記一次線内に配置された流量制御弁、前記バイパス線内に配置された流量制御弁、及び前記バイパス線が前記一次線と再結合する点の下流の前記充填回路内であって前記充填回路の前記下流端の上流に配置された温度センサを含み、
前記第1の熱交換器は前記一次線内に配置され、
前記一次線内に配置された前記流量制御弁は、前記一次線を貫流する気化された水素の流れを制御するように適応化及び構成され、
前記バイパス線内に配置された前記流量制御弁は、前記バイパス線を貫流する液体水素の流れを制御するように適応化及び構成され、
前記流量制御弁は、前記温度センサにより感知された温度に基づき前記タンクを充填するための前記加圧ガス状水素の温度を制御するために、前記気化された水素及び液体水素の流れを制御する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記伝熱回路はさらに、前記第2の熱交換器と前記伝熱ポンプの間に流体連通された伝熱貯蔵器を含み、前記伝熱貯蔵器は前記伝熱流体の容積を含むように適応化及び構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
燃料電池車のタンクを加圧水素により充填する方法であって、前記方法は:
液体水素を液体水素の源から、その下流端が水素燃料車両のタンクへ着脱可能に接続された充填回路へ供給する工程であって、前記充填回路はその中に配置された第1の熱交換器を有し、前記第1の熱交換器は液体水素入口、ガス状水素出口、伝熱流体入口、及び伝熱流体出口を有する、供給する工程;
伝熱流体を、前記第1の熱交換器とループをなす伝熱回路を介し伝熱ポンプによりポンピングする工程であって、前記伝熱回路は、前記伝熱流体出口から前記伝熱流体入口への流れ順に、第2の熱交換器及び伝熱流体ポンプを含む、ポンピングする工程;
前記伝熱流体回路を貫流する前記伝熱流体と前記源から前記充填回路へ供給される前記液体水素との間で熱を第1の熱交換器により交換し、これにより、前記供給された液体水素を気化しそして前記伝熱流体を冷却する工程であって、前記第1の熱交換器の内側の前記供給された液体水素は前記伝熱流体により取り囲まれる、冷却する工程;
前記第1の熱交換器から受け取った前記冷却された伝熱流体を前記第2の熱交換器により加熱する工程;
前記気化された液体水素を1つ又は複数の緩衝容器内へ向ける工程;及び
水素燃料車両のタンクを前記1つ又は複数の緩衝容器からの前記加圧ガス状水素により充填する工程を含む方法。
【請求項27】
前記液体水素を前記源から前記充填回路内へ液体水素ポンプによりポンピングする工程をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の熱交換器の下流の前記充填回路内の前記加圧ガス状水素の圧力を圧力センサにより測定する工程;及び
前記加圧ガス状水素の圧力を、前記圧力センサにより測定された前記加圧ガス状水素の圧力に基づき圧力制御弁により制御する工程をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記伝熱回路はさらに、一次線、バイパス線、3方向流れ制御弁、温度センサ、及び前記3方向流れ制御弁と前記伝熱流体ポンプとの間で流れ連通する下流側線を含み;
前記一次線は、前記第1の熱交換器と前記3方向流れ制御弁との間で流れ連通して延伸し;
前記バイパス線は前記一次線から分岐し、そして前記3方向流れ制御弁と上流流れ連通し;
前記第2の熱交換器は前記一次線内に配置され;
前記3方向流れ制御弁は、前記一次線からの暖められた伝熱流体の流れと前記バイパス線からの暖められていない伝熱流体の流れとを制御し、前記一次線からの前記暖められた伝熱流体の前記流れと前記バイパス線からの前記暖められていない伝熱流体の前記流れとを結合し、伝熱流体の前記結合された流れを伝熱ポンプへ向け;
前記温度センサは、前記3方向流れ制御弁と前記第1の熱交換器との間の前記伝熱回路内に配置され;及び
前記3方向制御弁は、前記3方向制御弁と前記第1の熱交換器間の前記伝熱流体の温度を、伝熱流体の前記結合された流れ内の暖められていない前記伝熱流体の流量に対する前記暖められた伝熱流体の流量の比を調整することにより制御する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記伝熱流体回路はさらに、吹き出された外気の熱により前記伝熱流体を暖めるよう前記第2の熱交換器において外気を吹き出すように適応化及び構成された送風器を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の熱交換器は前記伝熱流体を暖めるように適応化及び構成された電熱器である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記1つ又は複数の緩衝容器は、2つ以上の緩衝容器、及び前記加圧ガス状水素を前記第1の熱交換器から前記1つ又は複数の緩衝容器へ向けるように適応化及び構成された前記第1の熱交換器の下流の前記充填回路から分岐するレッグを含み;
一組の弁は、前記加圧ガス状水素が前記レッグを貫流して前記2つ以上の緩衝容器のうちの1つの容器へ流れ込むが前記2つ以上の緩衝容器の他の容器へは流れ込まないことを可能にするとともに前記加圧ガス状水素が前記2つ以上の緩衝容器のうちの1つの容器から前記レッグを還流して前記充填回路の前記下流端へ流れることを可能にするように適応化及び構成され、そしてさらに、前記充填回路の前記下流端から流出する前記加圧ガス状水素の圧力を、前記充填回路の前記レッグと前記下流端との間の前記充填回路内に配置された圧力センサにより感知される圧力に基づき前記圧力制御弁を使用することにより制御するように適応化及び構成される、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記充填回路はさらに、前記充填回路の前記上流端と前記下流端との間で流体連通する一次線、前記一次線から分岐しそして前記第1の熱交換器の下流の前記一次線と再結合するバイパス線、前記一次線内に配置された流量制御弁、前記バイパス線内に配置された流量制御弁、及び前記バイパス線が前記一次線と再結合する点の下流の前記充填回路内であって前記充填回路の前記下流端の上流に配置された温度センサを含み、
前記第1の熱交換器は前記一次線内に配置され、
前記一次線内に配置された前記流量制御弁は、前記一次線を貫流する気化された水素の流れを制御するように適応化及び構成され、
前記バイパス線内に配置された前記流量制御弁は、前記バイパス線を貫流する液体水素の流れを制御するように適応化及び構成され、
前記流量制御弁は、前記温度センサにより感知された温度に基づき前記タンクを充填するための前記加圧ガス状水素の温度を制御するために、前記気化された水素及び液体水素の流れを制御する、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記伝熱回路はさらに、前記第2の熱交換器と前記伝熱ポンプの間に流体連通された伝熱貯蔵器を含み、前記伝熱貯蔵器は前記伝熱流体の容積を含むように適応化及び構成される、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加圧されたガスタンクを充填するためのデバイスに関する。
【0002】
具体的には、本発明は燃料電池自動車(FCEV:fuel cell electric vehicle)のタンクを充填するためのデバイスに関する。本デバイスは、液化ガス源と;液化ガス源と下流流体連通する転送回路であって、充填されるべき車両水素タンクに着脱可能に接続されるように適応化及び構成された少なくとも1つの下流端を含む転送回路とを含む。
【背景技術】
【0003】
液体水素源を使用する水素ガス燃料補給ステーションが知られている。これらの知られたデバイスは、充填中のタンク内のガスの温度の過剰上昇を経験することなく急速充填のための予冷却された加圧水素気体を生成するために液体水素からの冷却を使用することを可能にする。
【0004】
例えば、Daneyらは、車両タンクへ供給されることに先立ってその後冷却される外気温高圧ガス状水素を提供するための気化器を使用する概念的補給ステーションを提案した:Daney,et al.,“Hydrogen-fuelled vehicle fuelling station”,Advances in Cryogenic Engineering,vol 41,1996。
【0005】
都市バス補給ステーションに実現される別のこのようなステーションは、高圧ガス状水素の流れを車両タンクへ提供するために外気からの熱を液体水素のポンピングされた流れへ転送する気化器を利用する:Raman,et al.“A rapid fill hydrogen fuel station for fuel cell buses”,12th World Energy conference Hydrogen energy Progress 2,pp 1629-1642。
【0006】
大気圧では、水素の沸点は-252.8℃である。Ramanらにおいて開示されたステーションは、液体水素と外気との間で熱を交換する気化器を使用するので、外気気化器の表面温度は非常に低い。この結果、外気からの水蒸気は凝結しそして外気気化器の表面上で凍結する。また、外気気化器周囲の空気は凝縮し、そして下の機器の上に滴る。これは、下の機器のリスクを引き起こす。機器は熱的に脆化され得、特に、炭素鋼及びプレートで作られた機器は割れ得、そして構造梁は機能しなくなり得、そしてパイプは破裂し得る。酸素は窒素より高い温度において凝縮するので、酸素富化雰囲気が生成され得る。酸素リッチ雰囲気により提示される多くの知られたリスクが当然存在する。さらに、凝縮空気は機器周囲の極低温雲を悪化させる。
【0007】
外気気化器の表面上の凍結水の深さが不満足な深さに到達し、これにより実効伝熱を低下させると、又は、さらには外気気化器の隣接羽根間にブリッジを生じると、このような気化器は、さらなる使用が継続される前に霜取りをされなければならない。この問題を解決するために、一方が霜取りをされる間に他方は液体水素を気化させるために使用されるように2つの外気気化器が交番的やり方で使用され得る。これは、この問題を解決するが、充填回路毎に2つの外気気化器を有する必要性のために資本コストを不満足に増加し得る。不動産が高価であるエリア内に位置する水素充填ステーションに関して、及び/又はステーションの空間が小売りガソリンステーションからリースされる小売りガソリンステーションに共同設置された水素充填ステーションに関して、資本経費はまた、2つの気化器を有する必要性がステーションの液体気化部分により占められるフットプリント又は空間を2倍にするので、増加される。
【0008】
外気気化器の表面温度は非常に低いので、外気中の水蒸気もまた、気化器を取り囲むいくつかの領域内で凝縮し、霧化状態を生成する。
【0009】
霧化は、公共から隔離された補給ステーションにとって(例えば消費者から通常は遠く離れた工業地帯において)厄介者になり得る一方で、小売り水素補給ステーション、公開実証補給ステーション、及び小売りガソリンステーションと共同設置される水素充填ステーションなどのより目立つ補給ステーションにとって遥かに深刻な問題である。これは、大衆が水素補給ステーションから発する霧化を視認し、そして水素の危険な漏れがステーションにおいて発生した又はさらには火事がステーションにおいて発生した、のいずれかであると誤って結論することになるためである。したがって、災害的漏れ又は危険な火事の緊急応答者への誤った報告はステーションが緊急停止され、そして、ステーションが運転のために安全と宣言され得る前に完全な安全性評価が続くことを必要とすることになる。この理由のため、外気気化器の使用は、液体水素のオンサイトタンクにより提供される水素補給ステーションであって大衆により可視である目立つエリアに位置する水素補給ステーションの展開を著しく妨げ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、上述の従来技術の不都合のすべて又はいくつかを克服することである。
【0011】
液体水素を格納するように適応化及び構成された液体水素源、充填回路、及び熱交換流体回路を含む水素補給ステーションが開示される。充填回路は、充填回路内への液体水素源からの液体水素の流れを許容するために液体水素源と下流流体連通する上流端、FCEVタンクの充填のためにFCEVタンクと着脱可能に接続されるように適応化及び構成された下流端、及び充填回路の上流端と下流端との間に配置される第1の熱交換器を有する。伝熱回路は、流れ順に、第1の熱交換器と下流流れ連通する上流端、第2の熱交換器、伝熱流体ポンプ、及び第1の熱交換器と上流流体連通する下流端を含み、伝熱流体ポンプは、第2の熱交換器から伝熱流体を受け取りそしてそれを第1の熱交換器へ向けるように適応化及び構成される。第2の熱交換器は第1の熱交換器から受け取った冷却された伝熱流体を暖めるように適応化及び構成される。第1の熱交換器は、伝熱回路を貫流する伝熱流体と充填回路内の液体水素との間で熱を交換して伝熱流体を冷却するように適応化及び構成され、そしてさらに、タンクを充填するための加圧気体水素を提供するために液体水素を気化させるように適応化及び構成され、第1の熱交換器の内側の液体水素の流れは伝熱流体の流れにより取り囲まれる。
【0012】
液体水素を格納するように適応化及び構成された液体水素源、第1及び第2の充填回路、伝熱流体貯蔵器、並びに第1及び第2の熱交換流体回路を含む水素補給ステーションも開示され、第1の充填回路は、第1の充填回路内への液体水素源からの液体水素の流れを許容するために液体水素源と下流流体連通する上流端、水素燃料車両タンクの充填のために水素燃料車両タンクと着脱可能に接続されるように適応化及び構成された下流端、及び第1の充填回路の上流端と下流端との間に配置される第1の熱交換器を有し、第2の充填回路は、第2の充填回路内への液体水素源からの液体水素の流れを許容するために液体水素源と下流流体連通する上流端、水素燃料車両タンクの充填のために水素燃料車両タンクと着脱可能に接続されるように適応化及び構成された下流端、及び第2の充填回路の上流端と下流端との間に配置される第1の熱交換器を有し、第1の伝熱回路は、流れ順に、第1の充填回路の第1の熱交換器と下流流れ連通する上流端、第2の熱交換器、伝熱流体ポンプ、及び第1の充填回路の第1の熱交換器と上流流体連通する下流端を含み、第1の伝熱回路の伝熱流体ポンプは、第1の伝熱回路の第2の熱交換器から伝熱流体を受け取りそしてそれを第1の伝熱回路の第1の熱交換器へ向けるように適応化及び構成され、第2の伝熱回路は、流れ順に、第2の充填回路の第1の熱交換器と下流流れ連通する上流端、第2の熱交換器、伝熱流体ポンプ、及び第2の充填回路の第1の熱交換器と上流流体連通する下流端を含み、第2の伝熱回路の伝熱流体ポンプは、第2の伝熱回路の第2の熱交換器から伝熱流体を受け取りそしてそれを第2の伝熱回路の第1の熱交換器へ向けるように適応化及び構成され;第1の伝熱回路の第2の熱交換器は第1の伝熱回路の第1の熱交換器から受け取った冷却された伝熱流体を暖めるように適応化及び構成され;第2の伝熱回路の第2の熱交換器は第2の伝熱回路の第1の熱交換器から受け取った冷却された伝熱流体を暖めるように適応化及び構成され;伝熱流体貯蔵器は、第1の伝熱回路の第2の熱交換器と伝熱流体ポンプとの間に流体連通され、そして第2の伝熱回路の第2の熱交換器と伝熱流体ポンプとの間に流体連通され;第1の充填回路の第1の熱交換器は、第1の伝熱回路を貫流する伝熱流体と第1の充填回路内の液体水素との間で熱を交換して伝熱流体を冷却するように適応化及び構成され、そしてさらに、水素燃料車両のタンクの充填のための加圧気体水素を提供するために液体水素を気化させるように適応化及び構成され、第1の充填回路の第1の熱交換器の内側の液体水素の流れは伝熱流体の流れにより取り囲まれ、第2の充填回路の第1の熱交換器は、第2の伝熱回路を貫流する伝熱流体と第2の充填回路内の液体水素との間で熱を交換して伝熱流体を冷却するように適応化及び構成され、そしてさらに、水素燃料車両のタンクを充填するための加圧気体水素を提供するために液体水素を気化させるように適応化及び構成され、第2の充填回路の第1の熱交換器の内側の液体水素の流れは伝熱流体の流れにより取り囲まれる。
【0013】
水素燃料車両タンクを加圧水素により充填する方法であって以下の工程を含む方法も開示される。液体水素は、その下流端が水素燃料車両のタンクへ着脱可能に接続される充填回路の液体水素の源から供給され、充填回路はその中に配置された第1の熱交換器を有し、第1の熱交換器は液体水素入口、ガス状水素出口、伝熱流体入口、及び伝熱流体出口を有する。伝熱流体は、第1の熱交換器とループをなす伝熱回路を介し伝熱ポンプによりポンピングされ、伝熱回路は、伝熱流体出口から伝熱流体入口への流れ順に、第2の熱交換器及び伝熱流体ポンプを含む。熱は、伝熱流体回路を貫流する伝熱流体と液体水素の源から充填回路へ供給される液体水素との間で第1の熱交換器により交換され、これにより、供給された液体水素を気化しそして伝熱流体を冷却する。ここで、第1の熱交換器の内側の供給された液体水素は伝熱流体により取り囲まれる。第1の熱交換器から受け取った冷却された伝熱流体は第2の熱交換器により加熱される。水素燃料車両のタンクは充填回路の下流端からの加圧ガス状水素により充填される。
【0014】
本ステーション又は方法は以下の態様うちの1つ又は複数を含み得る:
-液体水素は、液体水素の源から充填回路内へ液体水素ポンプによりポンピングされる。
-第1の熱交換器の下流の充填回路内の加圧ガス状水素の圧力は圧力センサにより測定され;そして、加圧ガス状水素の圧力は、圧力センサにより測定された加圧ガス状水素の圧力に基づき圧力制御弁により制御される。
-液体水素ポンプは液体水素源と下流流れ連通するとともに第1の熱交換器と上流流れ連通し、そして液体水素ポンプは、液体水素源からの液体水素の流れの圧力を増加しそして液体水素の加圧された流れを第1の熱交換器の方向へ向けるように適応化及び構成される。
-充填回路はさらに、第1の交換器の下流に圧力制御弁及び圧力センサを含み、そして、圧力制御弁は、タンクを充填するための加圧ガス状水素の圧力を圧力センサにより測定された加圧ガス状水素の圧力に基づき制御するように適応化及び構成される。
-伝熱回路はさらに、一次線、バイパス線、3方向流れ制御弁、温度センサ、及び3方向流れ制御弁と伝熱流体ポンプとの間で流れ連通する下流側線を含み;一次線は第1の熱交換器と3方向流れ制御弁との間で流れ連通して延伸し;バイパス線は一次線から分岐し、そして3方向流れ制御弁と上流流れ連通し;第2の熱交換器は一次線内に配置され;3方向流れ制御弁は、一次線からの暖められた伝熱流体の流れとバイパス線からの暖められていない伝熱流体の流れとを制御し、一次線からの暖められた伝熱流体の流れとバイパス線からの暖められていない伝熱流体の流れとを結合し、伝熱流体の結合された流れを伝熱ポンプへ向け;温度センサは、3方向流れ制御弁と第1の熱交換器間の伝熱回路内に配置され;そして、3方向制御弁は、3方向制御弁と第1の熱交換器間の伝熱流体の温度を、伝熱流体の結合された流れ内の暖められていない伝熱流体の流量に対する暖められた伝熱流体の流量の比を調整することにより制御する。
-伝熱流体回路はさらに、吹き出された外気の熱により伝熱流体を暖めるように第2の熱交換器において外気を吹き出すように適応化及び構成された送風器を含む。
-第2の熱交換器は伝熱流体を暖めるように適応化及び構成された電熱器である。
-本ステーションは、2つ以上の緩衝容器、加圧ガス状水素を第1の熱交換器から2つ以上の緩衝容器へ向けるように適応化及び構成された第1の熱交換器の下流の充填回路から分岐するレッグ、一組の弁、及び圧力制御弁を含み、一組の弁は、加圧ガス状水素がレッグを貫流して緩衝容器のうちの1つの容器へ流れ込むが緩衝容器の他の容器へは流れ込まないことを可能にするとともに加圧ガス状水素が緩衝容器のうちの1つの容器からレッグを還流して充填回路の下流端へ流れることを可能にするように適応化及び構成され、圧力制御弁は、充填回路の下流端から流出する加圧ガス状水素の圧力を、充填回路のレッグと下流端との間の充填回路内に配置された圧力センサにより感知される圧力に基づき制御するように適応化及び構成される。
-充填回路はさらに、充填回路の上流端と下流端との間で流体連通する一次線、一次線から分岐しそして第1の熱交換器の下流の一次線と再結合するバイパス線、一次線内に配置された流量制御弁、バイパス線内に配置された流量制御弁、及びバイパス線が一次線と再結合する点の下流の充填回路内であって充填回路の下流端の上流に配置された温度センサを含み、第1の熱交換器は一次線内に配置され、一次線内に配置された流量制御弁は、一次線を貫流する気化された水素の流れを制御するように適応化及び構成され、バイパス線内に配置された流量制御弁は、バイパス線を貫流する液体水素の流れを制御するように適応化及び構成され、流量制御弁は、温度センサにより感知された温度に基づきタンクを充填するための加圧ガス状水素の温度を制御するために、気化された水素の流れ及び液体水素の流れを制御する。
-伝熱回路はさらに、第2の熱交換器と伝熱ポンプの間に流体連通された伝熱貯蔵器を含み、伝熱貯蔵器は伝熱流体の容積を含むように適応化及び構成される。
-本ステーションはさらに、液体水素源と下流流れ連通するとともに第1の充填回路の第1の熱交換器と上流流体連通する第1の液体水素ポンプであって、液体水素源からの液体水素の流れの圧力を増加するとともに液体水素の加圧された流れを第1の充填回路の第1の熱交換器の方向へ向けるように適応化及び構成された第1の液体水素ポンプ;及び液体水素源と下流流れ連通するとともに第2の充填回路の第1の熱交換器と上流流体連通する第2の液体水素ポンプであって、液体水素源からの液体水素の流れの圧力を増加するとともに液体水素の加圧された流れを第2の充填回路の第1の熱交換器の方向へ向けるように適応化及び構成された第2の液体水素ポンプを含む。
-充填回路のそれぞれはさらに、関連する第1の交換器の下流に圧力制御弁及び圧力センサ含み、圧力制御弁は、圧力センサにより測定された加圧ガス状水素の圧力に基づき水素燃料車両のタンクを充填するための加圧ガス状水素の圧力を制御するように適応化及び構成される。
-伝熱回路のそれぞれはさらに、一次線、バイパス線、3方向流れ制御弁、温度センサ、及び3方向流れ制御弁と伝熱流体ポンプの間で流れ連通する下流線を含み;各一次線は、関連する第1の熱交換器と関連する3方向流れ制御弁との間で流れ連通して延伸し;各バイパス線は、関連一次線から分岐し、そして関連する3方向流れ制御弁と上流流れ連通し;各第2の熱交換器は関連一次線内に配置され;各3方向流れ制御弁は、関連一次線からの暖められた伝熱流体の流れと関連バイパス線からの暖められていない伝熱流体の流れとを制御し、関連一次線からの暖められた伝熱流体の流れと関連バイパス線からの暖められていない伝熱流体の流れとを結合し、伝熱流体の結合された流れを関連伝熱ポンプへ向け;各温度センサは、関連する3方向流れ制御弁と関連する第1の熱交換器との間の関連伝熱回路内に配置され;各3方向制御弁は、各3方向制御弁と関連する第1の熱交換器との間の伝熱流体の温度を、伝熱流体の結合された流れ内の暖められていない伝熱流体の流量に対する暖められた伝熱流体の流量の比を調整することにより制御する。
-各伝熱流体回路はさらに、吹き出された外気の熱により伝熱流体を暖めるように、関連する第2の熱交換器において外気を吹き出すように適応化及び構成された送風器を含む。
-各第2の熱交換器は伝熱流体を暖めるように適応化及び構成された電熱器である。
-各充填回路はさらに:その上流端と下流端との間に流体連通された一次線;関連一次線から分岐しそして関連する第1の熱交換器の下流の関連一次線と再結合するバイパス線;関連一次線内に配置された流量制御弁;関連バイパス線内に配置された流量制御弁;及び関連バイパス線が関連一次線と再結合する点の下流に配置された温度センサであって温度センサの下流端の上流に配置された温度センサを含み、関連する第1の熱交換器は関連一次線内に配置され;流量制御弁は、関連一次線を貫流する気化された水素の流れを制御するように適応化及び構成された関連一次線内に配置され、関連バイパス線内に配置された流量制御弁は、関連バイパス線を貫流する液体水素の流れを制御するように適応化及び構成され、流量制御弁は、温度センサにより感知された温度に基づき水素燃料車両のタンクを充填するための加圧ガス状水素の温度を制御するために、気化された水素の流れ及び液体水素の流れを制御する。
-下流端は、それぞれが水素燃料車両タンクの充填のために水素燃料車両タンクと着脱可能に接続されるように適応化及び構成された少なくとも2つのノズルを含む。
【0015】
他の特徴及び利点は、添付図面を参照した以下の説明を読むことで出現することになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の独創的ステーション及び方法の実施形態の概略図である。
図2図1のステーション及び方法の変形形態の概略図である。
図3図1のステーション及び方法の変形形態の概略図である。
図4図2、3のステーション及び方法の特徴の合成の概略図である。
図5図4のステーション及び方法の変形形態の概略図である。
図6図5のステーション及び方法の変形形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に最良に示されるように、液体水素源1からの液体水素は、第1の熱交換器3、圧力制御弁5、第2の熱交換器15を含む充填回路2へその上流端を介し供給される。充填回路2の下流端は、水素燃料電池電気自動車(FCEV)6のタンクへ着脱可能に接続される。伝熱流体は、伝熱流体ポンプ25、温度センサ27及び液体水素ポンプ31を含む伝熱流体回路4に流入する。
【0018】
液体水素源は任意選択的に、流量制御弁を使用することにより液体水素源から出てそして外気と熱的接続された線に入るように液体水素源からの液体水素の量を制御することにより液体水素源のヘッドスペース内の圧力を構築するための圧力構築回路を含む。液体水素は、この線内で気化し、そしてヘッドスペース内へ向けられる。圧力センサはヘッドスペースの内側の圧力を測定する。コントローラは、ヘッドスペース内の所望圧力に達するように、測定されたヘッドスペース圧力に基づき流量制御弁を作動させるために使用される。
【0019】
液体水素ポンプ31は。液体水素を液体水素源から充填回路内へ供給しそして加圧するために使用される。液体水素ポンプ31の使用は、液体水素が水素燃料車両6のタンクの高圧充填に望ましい超臨界圧までポンピングされることを可能にする。例えば、約50バールの圧力で液体水素源1内に格納された液体水素は、900バールの圧力又はさらに高い圧力まで容易にポンピングされ得る。採用された特定液体水素ポンプ31の特性及び特徴は通常、FCEV6のタンクへ供給されるためにそして補給ステーションの所望充填容量まで供給されるために所望最大圧力により推進される。好適には、各液体水素ポンプ31は次の動作条件により特徴付けられる:2~5psiの有効吸込みヘッド、45kg/hの名目流量、100psi液体水素吸込圧及び約15,000psiの最高吐出圧。
【0020】
液体水素源1から充填回路2内へ供給される液体水素は、FCEV6のタンクを充填するための加圧ガス状水素を提供するために第1の熱交換器3において気化される。第1の熱交換器3は、伝熱流体回路4に流入する伝熱流体と充填回路2に流入する液体水素との間で熱を交換し、これにより液体水素を気化させて(超臨界流体状態の冷たい水素を生じ)伝熱流体を冷却する。気化された液体水素は、水素燃料車両6のタンクを充填するために使用される加圧ガス状水素を構成する。FCEV6の運転者/顧客又は補給ステーションのオペレータのいずれかが、水素の価格、送達された水素の量、及び始動/停止ボタンの表示を含む標準ガソリンステーション(すなわちガスポンプ)において通常見出されるインターフェースに好都合に位置するノズル(充填回路2の下流端における)にアクセスし得る。
【0021】
冷却された伝熱流体は、第2の熱交換器15において暖められ、そして伝熱流体ポンプ25を使用することにより第1の熱交換器3へポンピングされ戻される。第2の熱交換器15は、冷却された伝熱流体が、送風器により外気気化器上へ吹き出された外気からの熱により暖められる外気気化器であり得る。任意選択的に、第2の熱交換器は電熱器であり得る。
【0022】
任意の知られた伝熱流体は少なくとも-135℃まで名目圧力において液相状態に在るが、任意の知られた伝熱流体のうちの1つの非限定的且つ特に好適な例は商標Therminol VLT(登録商標)の下にEastmanから入手可能である。Therminol VLT(登録商標)は、メチルシクロヘキサンとトリメチルペンタンとの混合物であり、-135℃において1.29kJ/(kg・K)から40℃において2.04kJ/(kg・K)の範囲の報告された液体熱容量を有する。
【0023】
伝熱流体の温度は以下のように制御され得る。コントローラ(不図示)が、温度センサ29により感知された伝熱流体の温度に基づき伝熱流体ポンプ25の速度を制御する(例えばポンプ25の可変周波数駆動の速度を増加又は低減することにより)。第1の熱交換器3の直ぐ上流の伝熱流体の温度が不満足に高ければ、第1の熱交換器3を貫流する液体水素を暖める伝熱流体の能力を損なうことになる。他方で、伝熱流体の温度が余りにも低ければ、余りにも粘着性となり得る又はさらには凍結され得る。コントローラは通常はコンピュータ又はプログラマブル論理コントローラである。具体的には、第1の熱交換器の下流の伝熱流体の温度は、或る温度範囲内で又は或る温度設定点に従って制御され得る。
【0024】
第1の交換器3の内部で、液体水素の流れは伝熱流体の流れにより取り囲まれる。これは、第1の交換器3の外表面温度が、従来の液体水素源水素充填ステーションの外気気化器により経験される非常に低い温度に達することを防止する。したがって、第1の熱交換器3の上の水蒸気の凝結そして結果としての着霜(及び上に論述した従来技術における関連霜取り問題)が回避される。また、第1の交換器3を取り囲む領域内の水蒸気の凝結(及び上に論述した従来技術における関連霧化問題)が回避される。通常、第1の熱交換器3の構成は、液体水素が内菅を貫流し伝熱流体は外管に流入するチューブ・イン・チューブ(tube-in-tube)である。約900バールの圧力に関して、チューブ・イン・チューブ熱交換器はシェル・アンド・チューブ(shell and tube)熱交換器ほど複雑でなく且つシェル・アンド・チューブ熱交換器ほど高価でない。その代りに、第1の熱交換器はチューブ流体が液体水素でありそしてシェル流体が伝熱流体であるシェル・アンド・チューブ熱交換器であり得る。パイプ・イン・パイプ(pipe-in-pipe)又はシェル・アンド・チューブ構成以外のタイプの熱交換器は、第1の熱交換器3に使用され得、そして液体水素が伝熱流体により取り囲まれる限り及び/又は第1の熱交換器3の外部の表面温度が従来の外気気化器の非常に低い温度に到達しなく霧化及び着霜が回避される限り、本発明と共に使用され得る。第1の熱交換器の上流の充填回路のいくつかの部分は着霜及び霧化問題を防止するために真空ジャケットを着せられ得る。
【0025】
FCEV6のタンクを充填するために使用される水素の圧力は圧力制御弁5により制御され得る。タンクが充填される特定なやり方は限定しないが、通常は、タンクは自動車技術協会(SAE:Society of Automotive Engineers)標準J2601などの標準充填方式に従って充填される。圧力制御弁5
【0026】
図2に最も良く示すように、水素充填ステーションはまた、高圧水素を含むための1つ又は複数の緩衝容器35を第1の熱交換器の下流に含み得る。緩衝容器のそれぞれは、その中で所望圧力を維持するために圧力構築回路を備え得る。気化された水素は充填回路2から追加されたレッグ37を介し緩衝容器へ供給される。圧力制御弁5は、上に論述したように充填アルゴリズムを使用することにより水素燃料車両のタンクを充填するために使用され得る。図1のように、液体水素は液体水素ポンプ31により高圧へポンピングされ、そして第1の熱交換器3において伝熱流体により加熱される。遮断弁48は閉じられ、遮断弁46は開かれ、そして遮断弁50の1つ又は複数は開かれる。FCEVへ直接供給される代わりに、冷たい超臨界水素が緩衝容器35のうちの1つ又は複数を充填するために使用される。任意選択的に、緩衝容器35の1つが中圧状態に在る一方で別のものは高圧状態に在る。遮断弁50の開放又は遮断を選択することにより、高圧状態の緩衝容器35が最初に充填され、そして中圧状態の緩衝容器35は2番目に充填され得る。緩衝容器35のうちの1つ又は複数が望ましくなく低い圧力状態にない限り、液体水素ポンプ31は連続的に運転される必要がない。緩衝容器35が一杯であれば、FCEV6のタンクは、当該技術分野で知られているように、緩衝容器35内に格納された水素により、中圧の緩衝容器35がFCEV6のタンクにより圧力等化され、そしてその後、高圧の緩衝容器35がタンクにより圧力等化されるカスケード充填で充填され得る。
【0027】
図3に最も良く示されるように、第2の熱交換器15は外気気化器であり得、充填回路2はまた、任意選択的冷却器7及び圧力センサ9及び温度センサ11を含み得、そして伝熱流体回路4は伝熱流体貯蔵器23及び温度センサ27を含み得る。FCEVのタンクは、圧力センサ9及び温度センサ11により感知された圧力及び温度に基づき上述のように圧力制御弁5を使用することにより充填され得る。伝熱流体回路4は、第2の熱交換器15が配置される一次線16を備える。冷却された伝熱流体が、送風器19により第2の熱交換器15上へ吹き出された外気からの熱により暖められる。任意選択的に、冷却された伝熱流体の一部が第2の熱交換器15において暖められないように一次線16から分岐するバイパス線17も存在する。このような任意選択的ケースでは、一次線16内の暖められた伝熱流体は、3方向制御弁21を使用することによりバイパス線17内の暖められていない伝熱流体と結合される。送風器19により吹き出された外気の温度は時節により変化するので、3方向制御弁21は季節により変化する制御方式に従って制御され得る。例えば、北半球の冬には、伝熱流体の流れの全体は、一次線16を通され、そして第2の熱交換器15において加熱され得、一方、夏には、伝熱流体の流れの一部又はすべては、伝熱流体貯蔵器23内の格納のための低温伝熱流体を生じるためにバイパス線17を通され得る。これは、最大所定温度未満において伝熱流体を維持する能力を熱漏れが損なう夏の特に暑い天候中に役立つ。
【0028】
3方向制御弁21からの伝熱流体の結合された流れの温度は代替的に、以下のやり方で制御され得る。コントローラ(第1の熱交換器3の下流の伝熱流体の温度を制御するために使用されるコントローラと同じであっても異なってもよい)は、一次線内の暖められた伝熱流体の流れとバイパス線内の暖められていない伝熱流体の流れとの比を伝熱回路の温度センサにより測定された温度に基づき実現するために3方向制御弁の作動を制御する。
【0029】
圧力センサ9及び温度センサ11は、上述のように充填アルゴリズム内への変数としてFCEVタンクへ送出される水素の圧力及び温度を入力するために使用され得る。特に、充填アルゴリズムはSAE標準J2601に準拠する。
【0030】
図4に最も良く示されるように、図2、3の実施形態の特徴は合成され得る。
【0031】
図5に最も良く示すように、充填回路は一次線39と一次線から分岐するバイパス線41とを含む。一次線39へ供給される液体水素の一部は第1の熱交換器3において気化される一方で、バイパス線41へ供給される液体水素の一部は気化されない。水素の2つの流れは、加圧ガス状水素を提供するために第1の熱交換器3の下流の点42において結合される。加圧ガス状水素の温度は、温度制御弁43、45により一次線39及びバイパス線41内への液体水素の流れを制御することにより制御され得る。温度制御弁43、45は、温度センサ11により測定された温度に基づきコントローラにより制御され得る(示さないがいくつかの例は、3方向制御弁21及び/又は液体水素ポンプ可変周波数ドライブの動作を制御するコントローラと同じであっても異なってもよいコンピュータ又はプログラマブル論理コントローラを含む)。当業者は、温度センサにより感知された温度が余りにも低い(高い)場合、一次線39への液体水素の流れは増加(低減)され得、そしてバイパス線41への液体水素の流れは対応量だけ低減(増加)され得るということを認識することになる。したがって、加圧ガス状水素の温度の制御は任意選択的冷却器7無しに行われ得る、又は任意選択的冷却器7は補足的冷却だけを提供し得る。この実施形態では、FCEVタンクへのガス状水素の流れは、上に説明したように圧力センサ9及び温度センサ11により感知された圧力及び温度に任意選択的に基づき圧力制御弁5により制御される。FCEVタンクが緩衝容器35からの水素により充填されていなければ、遮断弁50は閉じられ、水素の2つの流れは、FCEVタンクを充填するための加圧ガス状水素を提供するために第1の熱交換器3の下流の点42において結合される。緩衝容器35の1つがFCEVタンクを充填するために使用されていれば、遮断弁50の1つは閉じられ、遮断弁50の1つは開かれ、そして、緩衝容器35の1つからの水素の流れは、第1の熱交換器3の下流の点42においてバイパス線41からの液体水素の流れと結合される。このような充填中、ポンプ31は、走り続け得る、又は任意選択的にオフにされ得る。気化された水素が一次線39から直接取得されるか又は緩衝容器35の1つから取得されるかにかかわらず、加圧ガス状水素の温度は、温度制御弁43、45により一次線及びバイパス線内の液体水素の流れを制御することにより制御され得る。温度制御弁43、45は、温度センサにより測定された温度に基づき、コントローラにより制御され得る(示さないがいくつかの例は、コンピュータ、又はコントローラ29と同じであっても異なってもよいプログラマブル論理コントローラを含む)。当業者は、温度センサにより感知された温度が余りにも低い(高い)場合、一次線39への液体水素の流れは増加(低減)され得、そしてバイパス線41への液体水素の流れは対応量だけ低減(増加)され得るということを認識することになる。したがって、加圧ガス状水素の温度の制御は任意選択的冷却器無しに行われ得る、又は任意選択的冷却器は補足的冷却だけを提供し得る。この実施形態では、FCEVタンクへのガス状水素の流れは、圧力センサにより感知された圧力に基づき圧力制御弁により制御される。
【0032】
図5の実施形態の変形形態において、そして図6に最も良く示すように、本ステーションは2つの充填回路4’、4”を有し得る。これは、液体水素源1からの液体水素が液体水素ポンプ31のいずれかへ供給されることを可能にし、そして圧縮された液体水素は液体水素ポンプから2つの充填回路4’、4”のうちのいずれかへ供給され得る。図示しないが、単一組の緩衝容器35は充填回路4’、4”のそれぞれと共有され得、緩衝容器のサイズが最適化されることを可能にし、これにより資本コストを低減する。
【0033】
前述の実施形態のそれぞれでは、下流端は少なくとも2つのノズルを備え得るということに注意すべきである。ノズルのそれぞれは、FCEVのタンクの充填のためにFCEVのタンクと着脱可能に接続されるように適応化及び構成される、任意の既知の構成のノズルが使用され得るが、通常、ノズルは、小売り水素補給ステーションにおける使用のために株式会社タツノから入手可能な水素ディスペンサの一部である。
【0034】
特定の実施形態にかかわらず、補給ステーションは、FCEVタンクが補給を必要とする任意の場所に位置し得るが、高圧水素の取扱い及び供給におけるいかなるトレーニングも必ずしも受けないFCEVの運転者による使用のために水素ディスペンサが取り付けられた小売り燃料ステーションに位置すると特に有用である。好ましい充填シーケンスでは、ノズルがFCEVタンクと気密的やり方で接続された後に、ガス状水素は最初に、Joule-Thomson効果の影響を低減するために最も低い圧力緩衝容器(タンク内の水素の圧力より高い圧力状態に在る)からタンク内へ供給される。充填が行われる特定なやり方は、充填アルゴリズム(例えばSAEJ2601標準に準拠するもの)により支配される。ノズルからのガス状水素の圧力の制御は、ノズル内又はタンク内の圧力センサによるガス状水素の圧力に基づき圧力制御弁により行われる。より低い圧力緩衝容器とタンクとがほぼ圧力等化されると、ガス状水素がその代りに、高圧緩衝容器からタンク内へ供給される。これは、アルゴリズムによる充填の完了が指示されるまで継続される。別のFCEVタンクが充填される前に、液体水素は液体水素源から第1の熱交換器へポンピングされ、そして、結果の加圧ガス状水素が緩衝容器を補給するために使用される。
【0035】
本発明はいくつかの利点を提供する。
【0036】
本発明において使用される気化器は、背が非常に高い必要はなく、実際、高さ10’未満のままであり得る。これは、都市部では、頭上の電力線、電話線又は木々の存在が、従来の外気気化器により占められ得る垂直方向空間を制限するので重要である。本発明において使用される気化器とは対照的に、従来の外気気化器は高さ10’をしばしば越える。
【0037】
外気気化器と比較して、本発明において使用される気化器は、SAEJ2601などの多くの水素充填プロトコルにより要求される厳しい温度制御プロファイルを満足するために必要であるディスペンサにおける水素の出口温度のより精密な制御を可能にする。従来の外気気化器は、概して受動的やり方で液化極低温ガスにより熱を交換するので、気化されたクリオゲンの温度は外気温度に非常に依存することになる。本発明では、第2の熱交換器から出る伝熱流体の温度は、送風器速度又はヒータへ供給される電力の精密な制御を介し精密に制御され得る。これは延いては、温度制御された伝熱流体と熱を交換した後に第1の熱交換器から出る気化された水素のより精密な制御を可能にする。
【0038】
本発明はその特定の実施形態と併せて説明されてきたが、多くの代替、修正、変更形態が前述の説明に照らした当業者に明らかになることは明白である。したがって、添付特許請求の範囲の精神及び広い範囲に入るすべてのこのような代替、修正、及び変形形態を包含することが意図されている。本発明は好適には、開示された要素を含んでもよいし、それらから構成されてもよいし、それらから主に構成されてもよい。本発明はさらに、開示されていない要素無しに実施され得る。さらに、第1及び第2などの順序を参照する言語が存在すれば、これは、制限的意味ではなく例示的意味で理解されるべきである。例えば、いくつかの工程が単一工程へ結合され得るということが当業者により認識され得る。
【0039】
単数形式の「a」「an」及び「the」は、文脈が別途明確に規定しない限り複数の参照物を含む。
【0040】
請求項内の「含む(comprising)」は、その後識別される請求要素が非排他的リストであることを意味する開放型遷移用語である:すなわち、その他任意のものが追加的に含まれ得、そして「含む」の範囲内に留まり得る。「含む」は、本明細書では、より制限された遷移用語「から主として構成される(consisting essentially of)」及び「から構成される(consisting of)」を必然的に包含するとして定義される;したがって、「含む」は、「から主として構成される」又は「から構成される」により置換され得、そして「含む」の明示的に定義された範囲内に留まり得る。
【0041】
請求項内の「提供する(providing)」は、「備え付ける(furnishing)」、「供給する(supplying)」、「利用可能にする(making available)」、又は「何かを用意する(preparing something)」を意味するように定義される。工程は、それとは反対に請求項内の表現言語無しに任意の主体により行われ得る。
【0042】
「任意選択的(optional)」又は「任意選択的に(optionally)」は、以降に説明される事象又は状況が発生してもしなくてもよいということを意味する。本明細書は、事象又は状況が発生する事例及び事象又は状況が発生しない事例を含む。
【0043】
範囲は本明細書では、ある特定値程から及び/又は別の特定値程までとして表現され得る。このような範囲が表現されると、別の実施形態は、前記範囲内のすべての組み合わせと共に、ある特定値から及び/又は他の特定値までであるということを理解すべきである。
【0044】
本明細書で識別されるすべての参考文献は、それぞれが引用されている特定の情報と同様に、その全体が参照により本出願書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0045】
1 液体水素源
2 充填回路
3 第1の熱交換器
4 伝熱流体回路
5 圧力制御弁
6 車両
7 任意選択的冷却器
9 圧力センサ
10 遮断弁
11 温度センサ
15 第2の熱交換器
16 伝熱流体回路一次線
17 伝熱流体回路バイパス線
19 送風器
21 3方向制御弁
23 伝熱流体貯蔵器
25 伝熱流体ポンプ
27 温度センサ
29 温度センサ
31 液体水素ポンプ
33 弁
35 緩衝容器
37 レッグ
39 充填回路一次線
41 充填回路バイパス線
42 結合点
43 温度制御弁
45 温度制御弁
46 遮断弁
48 遮断弁
50 遮断弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】