(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】移動式極低温タンク及び供給方法
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20230419BHJP
F17C 13/04 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
F17C3/04 A
F17C13/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540903
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021050644
(87)【国際公開番号】W WO2021148297
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラッシ、ルシアン
(72)【発明者】
【氏名】カドー、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フェイヤー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デュヴァル、ステファン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB15
3E172BA04
3E172BA06
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD03
3E172BD04
3E172DA03
3E172DA04
3E172EA24
3E172KA22
3E172KA23
3E172KA24
(57)【要約】
極低温流体、特に液化水素又はヘリウムを輸送するための移動式極低温タンクであって、極低温流体を収容するよう意図される内部シェル(2)と、内部シェル(2)の周囲に配置され、2つのシェル(2、3)間の空間を区切る外部シェル(3)とを備え、前記空間は断熱材(4)を含み、第1のシェル(2)は、タンク(1)が輸送及び使用のための構成にある場合、中心長手方向軸(A)に沿って延在する円筒形全体形状を有し、中心長手方向軸(A)は水平に配向され、タンク(1)は、内部シェル(2)内の流体の温度を測定する1組の温度センサを備え、1組の温度センサは、内部シェル(2)の外面上に位置し、前記シェル(2)の温度を測定し、1組の温度センサは、中心長手方向軸(A)の下方に位置する内部シェル(2)の下端に位置決めされる下部センサ(5)を備え、1組の温度センサは、更に、中心長手方向軸(A)の両側で内部シェル(2)の2つの側面にわたって分布する複数の中間センサ(6)を備え、複数の中間センサ(6)は、中心長手方向軸(A)の下方に位置する内部シェル(2)の下端と、中心長手方向軸(A)の上方に位置する内部シェル(2)の上端との間に垂直に分布することを特徴とする、移動式極低温タンク。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温流体、特に液化水素又はヘリウムを輸送するための移動式極低温タンクであって、前記極低温流体を収容するよう意図される内側シェル(2)と、前記内側シェル(2)の周囲に位置決めされ、2つのシェル(2、3)間の空間を区切る外側シェル(3)とを備え、前記空間は断熱材(4)を含み、前記第1のシェル(2)は、前記タンク(1)が輸送及び使用構成にある場合、中心長手方向軸(A)に沿って延在する円筒形全体形状を有し、前記中心長手方向軸(A)は水平に配向され、前記タンク(1)は、前記内側シェル(2)内の前記流体の温度を測定する1組の温度センサを備え、前記1組の温度センサは、前記内側シェル(2)の外面上に位置し、前記シェル(2)の温度を測定し、前記1組の温度センサは、前記中心長手方向軸(A)の下方に位置する前記内側シェル(2)の下端に位置決めされる下部センサ(5)を備え、前記1組の温度センサは、更に、前記中心長手方向軸(A)の両側で前記内側シェル(2)の2つの側面にわたって分布する複数の中間センサ(6)を備え、前記複数の中間センサ(6)は、前記中心長手方向軸(A)の下方に位置する前記内側シェル(2)の下端と、前記中心長手方向軸(A)の上方に位置する前記内側シェル(2)の上端との間に垂直に分布することを特徴とする、
移動式極低温タンク。
【請求項2】
前記1組の温度センサ(5、6、7)は、前記2つの長手方向端部の間の前記タンク(1)の中央部分に位置することを特徴とする、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記複数の中間センサ(6)は、それぞれ3~10個のセンサの2組を備え、前記2組のセンサは、前記中心長手方向軸(A)の両側で前記内側シェル(2)の2つの対向する側面上にそれぞれ位置し、センサ(6)は、前記内側シェル(2)の前記下端と前記上端との間で垂直方向に離間することを特徴とする、請求項1又は2に記載のタンク。
【請求項4】
前記2組の中間センサ(6)はそれぞれ、4、5、6、7、又は8つのセンサ(6)を備えることを特徴とする、請求項3に記載のタンク。
【請求項5】
前記1組の温度センサは、前記中心長手方向軸(A)の上方に位置する前記内側シェル(2)の上端に位置決めされる上部センサ(7)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項6】
前記1組の温度センサは、前記長手方向(A)に沿った2つの別個の長手方向位置に位置する幾つかの群のセンサ(5、6、7)を備え、前記2つの群の温度センサのそれぞれは、前記中心長手方向軸の両側で前記内側シェル(2)の2つの側面にわたって分布し、前記中心長手方向軸(A)の下方に位置する前記シェルの前記下端と前記中心長手方向軸(A)の上方に位置する前記シェルの前記上端との間に垂直に分布する複数の中間センサ(6)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項7】
電子データストレージと、マイクロプロセッサ及び/又はコンピュータを備える処理部材(8)とを備え、前記電子部材(8)は、前記1組の温度センサ(5、6、7)に接続され、前記センサによって測定される温度値を受信し、前記タンク内の前記流体の前記温度、前記タンク(1)内の液体のレベル、前記タンク(1)内の液体の体積のうちの少なくとも1つを特定するよう構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項8】
前記内側シェル(2)内の圧力を測定するための圧力センサ(9)を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項9】
前記内側シェル(2)に接続され、前記内側シェル(2)への充填及びそれから取り出すために前記タンク(1)の外側に開口するバルブ(12、13)を装備する1組のパイプ(10、11)を備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項10】
前記タンク(1)に液体を充填するための最大充填レベル、特に前記タンク(1)の前記充填が停止されるレベルに対応する前記内側シェル(2)の垂直位置に位置する少なくとも1つの中間センサ(6)を備え、これは、例えば、前記内側シェル(2)の水保持容量の90~98%の間、特に94%に対応することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項11】
複数の極低温流体ストレージ及び使用ステーション(11、12、13)に極低温流体を供給するための方法であって、前記ステーション(11、12、13)の前記供給は、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの移動式極低温タンク(1)によって行われ、前記流体ストレージ及び使用ステーション(11、12、13)はそれぞれ、特定された熱力学的圧力及び温度条件で前記極低温流体を貯蔵するよう構成される液化ガス流体貯蔵部(110、120、130)を備え、前記方法は、前記移動式極低温タンク(1)内の前記極低温流体の温度及び圧力を測定するステップと、前記ステーションの前記液化ガス流体貯蔵部(110、120、130)のそれぞれにおける前記特定された熱力学的温度及び圧力条件を読み取るステップとを含み、前記方法は、前記移動式極低温タンク(1)内で測定される前記極低温流体温度及び圧力と、前記ステーションの前記液化ガス流体貯蔵部(110、120、130)のそれぞれの前記特定された熱力学的温度及び圧力条件とに依存するそれぞれの流体量で、前記ステーションに極低温流体を送出するステップを含む、
方法。
【請求項12】
前記第1のステーション(11)に、次いで第2のステーション(12)に連続的に極低温流体の送出を含み、前記第1のステーション(11)への前記極低温流体の送出の前に、前記移動式極低温タンク(1)から前記極低温流体の一部を取り出し、それを前記移動式極低温タンク(1)に再注入する前に加熱することによって、特定されたエネルギーの追加によって前記移動式極低温タンク(1)内の前記圧力を増加させるステップを含み、前記方法は、前記移動式極低温タンク(1)内の前記極低温流体の前記追加エネルギーの量と前記温度及び圧力とに基づいて、前記極低温流体の送出後の前記移動式極低温タンク(1)内の将来の圧力及び温度平衡条件を計算するステップを含み、前記方法は、前記移動式極低温タンク(1)内の前記計算された将来の圧力及び温度平衡条件が、前記第2のステーション(12)の前記貯蔵部のための前記特定された熱力学的温度及び圧力条件よりも高い場合に、前記第1のステーション(11)への前記極低温流体の送出を中断することを含むことを特徴とする、
請求項11に記載の供給方法。
【請求項13】
前記ステーションに極低温流体を送出するステップは、前記移動式極低温タンク(1)内の前記極低温流体の前記温度及び圧力と、前記ステーションの前記液化ガス流体貯蔵部(110、120、130)のそれぞれの前記特定された熱力学的温度及び圧力条件とに基づいて特定される時系列順に実行されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温タンク及びかかるタンクを用いる供給方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、極低温流体、特に液化水素又はヘリウムを輸送するための移動式極低温タンクであって、極低温流体を収容するよう意図される内側シェルと、内側シェルの周囲に位置決めされ、2つのシェル間の空間を区切る外側シェルとを備え、前記空間は断熱材を含み、第1のシェルは、タンクが輸送及び使用構成にある場合、中心長手方向軸に沿って延在する円筒形全体形状を有し、中心長手方向軸は水平に向けられ、タンクは、内側シェル内の流体の温度を測定する1組の温度センサを備える、移動式極低温タンクに関する。
【0003】
本発明は、特に、液化ガス(例えば、内側シェルの容積の10%~90%超を占める可能性がある上部にかなり大きな気相を有する)を輸送する、極低温流体を輸送するためのセミトレーラ又はISOコンテナに関する。
【背景技術】
【0004】
輸送される流体は、例えば、ヘリウム、水素、天然ガス、又は他の任意のガス若しくは混合物であってもよい。
【0005】
かかる移動式タンクは、様々な特性を有する液体ステーションを備える(例えば、固定式貯蔵部を充填する)よう設計されている。
【0006】
液体のレベル及び輸送される流体(液体)の熱力学的条件を知ることは困難である。しかし、この知識は、複数のステーションへの効果的な送出を可能にするために極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、上で設定した先行技術の欠点のうちの全て又は幾つかを克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明によるタンクは、上記プリアンブルにおいてもその一般的な定義に付随的に準拠するものであり、本質的に、1組の温度センサが、内側シェルの外面上に位置し、前記シェルの温度を測定し、1組の温度センサは、中心長手方向軸の下方に位置する内側シェルの下端に位置決めされる下部センサを備え、1組の温度センサは、更に、中心長手方向軸の両側で内側シェルの2つの側面にわたって分布する複数の中間センサを備え、複数の中間センサは、中心長手方向軸の下方に位置する内側シェルの下端と、中心長手方向軸の上方に位置する内側シェルの上端との間に垂直に分布することを特徴としている。
【0009】
その上、本発明の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を備えていてもよい。
-1組の温度センサは、2つの長手方向端部の間のタンクの中央部分に位置し、
-複数の中間センサは、それぞれ3~10個のセンサの2組を備え、2組のセンサは、中心長手方向軸の両側で内側シェルの2つの対向する側面上にそれぞれ位置し、センサは、内側シェルの下端と上端との間で互いに垂直方向に離間し、
-2組の中間センサはそれぞれ、4、5、6、7、又は8つのセンサを備え、
-1組の温度センサは、中心長手方向軸の上方に位置する内側シェルの上端に位置決めされる上部センサを備え、
-1組の温度センサは、長手方向に沿った2つの別個の長手方向位置に位置する幾つかの群のセンサを備え、2つの群の温度センサのそれぞれは、中心長手方向軸の両側で内側シェルの2つの側面にわたって分布し、中心長手方向軸の下方に位置するシェルの下端と中心長手方向軸の上方に位置するシェルの上端との間に垂直に分布する複数の中間センサを備え、
-タンクは、電子データストレージと、マイクロプロセッサ及び/又はコンピュータを備える処理部材とを備え、前記電子部材は、1組の温度センサに接続され、前記センサによって測定される温度値を受信し、タンク内の流体の温度、タンク内の液体のレベル、タンク内の液体の体積のうちの少なくとも1つを特定するよう構成され、
-タンクは、内側シェル内の圧力を測定するための圧力センサを備え、
-タンクは、内側シェルに接続され、内側シェル、への充填及びそれから取り出すためにタンクの外側に開口するバルブを装備する1組のパイプを備え、
-タンクは、タンクに液体を充填するための最大充填レベル、特に前記タンクの充填が停止されるレベルに対応する内側シェルの垂直位置に位置する少なくとも1つの中間センサを備え、これは、例えば、内側シェルの水保持容量の90~98%の間、特に94%に対応する。
【0010】
本発明はまた、複数の極低温流体ストレージ及び使用ステーションに極低温流体を供給するための方法にも関し、ステーションの供給は、本明細書の上記又は下記特徴のいずれか一つに記載の少なくとも1つの移動式極低温タンクによって行われ、流体ストレージ及び使用ステーションはそれぞれ、特定された熱力学的圧力及び温度条件で極低温流体を貯蔵するよう構成される液化ガス流体貯蔵部を備え、方法は、移動式極低温タンク内の極低温流体の温度及び圧力を測定するステップと、ステーションの液化ガス流体貯蔵部のそれぞれにおける特定された熱力学的温度及び圧力条件を読み取るステップとを含み、方法は、移動式極低温タンク内で測定される極低温流体温度及び圧力と、ステーションの液化ガス流体貯蔵部のそれぞれの特定された熱力学的温度及び圧力条件とに依存するそれぞれの流体量で、前記ステーションに極低温流体を送出するステップを含む。
【0011】
他の可能性のある特有の特徴によれば、
方法は、第1のステーションに、次いで第2のステーションに連続的に極低温流体の送出を含み、方法は、第1のステーションへの極低温流体の送出の前に、移動極低温流体の一部を取り出し、それを移動式極低温タンクに再注入する前に加熱することによって、特定されたエネルギーの追加によって移動式極低温タンク内の圧力を増加させるステップを含み、方法は、移動式極低温タンク内の極低温流体の追加エネルギーの量と温度及び圧力とに基づいて、極低温流体の送出後の移動式極低温タンク内の将来の圧力及び温度平衡条件を計算するステップを含み、方法は、移動式極低温タンク内の計算された将来の圧力及び温度平衡条件が、第2のステーションの貯蔵部のための特定された熱力学的温度及び圧力条件よりも高い場合に、第1のステーションへの極低温流体の送出を中断することを含み、
前記ステーションに極低温流体を送出するステップは、移動式極低温タンク内の極低温流体の温度及び圧力と、ステーションの液化ガス流体貯蔵部のそれぞれの特定された熱力学的温度及び圧力条件とに基づいて特定される時系列順に実行される。
【0012】
本発明は、また、本発明の適用範囲内において上記又は下記の特徴の任意の組み合わせを含む任意の代替装置又は方法に関連していてもよい。
【0013】
他の特徴及び利点は、図を参照して与えられる以下の説明を読み取ることにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるタンクの第1の実施例の部分側面略図を示す。
【
図2】本発明によるタンクの別の実施例を示す部分略図を示す。
【
図3】本発明によるタンクの第2の実施例の部分側面略図を示す。
【
図4】移動タンクによるステーションへの極低温流体の供給の一実施例を示す部分略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
移動式極低温タンク1は、極低温流体を収容するよう意図される内側シェル2を備える。この内側シェル2は、例えば円筒形全体形状を有し、流体貯蔵容積を区切っている。例えば、内側シェル2は、円形断面の円筒形部分(貯蔵流体と親和性のあるステンレス鋼又は他の任意の適切な材料でできているシェルリング)を備え、その端部に湾曲した端部が溶接されている。
【0016】
タンク1はまた、内側シェル2の周囲に位置決めされ、2つのシェル2、3の間の空間を区切る外側シェル3も備えている。外側シェル3は、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、又はアルミニウムでできていてもよく、適切であれば、内側及び/又は外側に溶接されるフープで補強されてもよい。内側シェル2を外側シェル3内に保持する保持システムは、長手方向端部における接続部及び/又は1組の保持アームを含んでいてもよい。例えば、内側シェル2は、冷却時に内側シェル2が自由に収縮することを可能にするように、後部において固定され、前部において可動である(長手方向端部に関する前部及び後部)、ステンレス鋼でできている円筒形コンポーネント又はタイによって、外側シェル3内に保持及び支持される。
【0017】
従来、空間は、断熱材4、即ち真空及び/又は多層断熱材(MLI)等の断熱材又は他の任意の適切な断熱材を含む。
【0018】
壁間は、特に多層断熱材で充填されてもよく、真空下に置かれ、次いで、汲み出しオリフィスに対して封止する逆止バルブによって封止することができる。補助逆止バルブが、真空を測定し、場合によっては更なる汲み出しを可能にするために設けられてもよい。安全装置が、壁間空間内の偶発的な過圧を防止するよう設けられることが好ましい。ステンレス鋼製の出口プレートを、内側シェル2と接続する配管の通過のために後端キャップの下部に設けてもよい。
【0019】
外側シェル3は、内側シェル2と同様の形状を有していてもよい。
【0020】
第1のシェル2は、中心長手方向軸Aに沿って延在する円筒形全体形状を有し、例えば、円筒形部分(好ましくは回転円筒)は、対称の中心軸Aを中心として延在する。タンク1が使用構成にある場合、この中心長手方向軸Aは水平である(又は必要であれば僅かに傾斜していてもよいため、略水平である)。これが意味することは、タンク1が長円形であり、「水平」型である(固定式垂直タンクとは対照的に)ことである。
【0021】
外側シェル3は、独立した支持体を有するシャシーに取り付けられてもよい。このシャシーは、接続部品(クレードル)を備えていてもよく、ウィング及びスカートを有する、有効な関連規格に準拠する制動機器を備える走行装置に接続されてもよい。他の可能性のある支持体は、標準化されたキングピンを有する格納式補助脚及びセミトレーラの第5の車輪を受け入れてもよい。
【0022】
タンク1は、内側シェル2内の流体の温度を測定する1組の温度センサを備えている。この1組の温度センサは、内側シェル2の外面上に位置し、前記シェル2の外面の温度を測定することによって流体の温度を間接的に測定する。
【0023】
温度センサは、従って、(外皮上の)内側シェルと断熱材4との間に設置されることが好ましい。
【0024】
1組の温度センサは、中心長手方向軸Aの下方で、内側シェル2の下端に位置決めされる下部センサ5を備える。この下部センサ5は、例えば、円筒壁の底部母線上に位置する。この下部センサ5は、従って、内側シェル2の最下点(理論的には常に液相にある)における温度を測定する。
【0025】
1組の温度センサは、中心長手方向軸Aの両側で内側シェル2の2つの側面にわたって分布する複数の中間センサ6を更に備える。複数の中間センサ6は、中心長手方向軸Aの下方に位置するシェルの下端と、中心長手方向軸Aの上方に位置する内側シェル2の上端との間に垂直に分布する。
【0026】
加えて、1組の温度センサは、また、中心長手方向軸Aの上方に位置する内側シェル2の上端に位置決めされる少なくとも1つの上部センサ7も備えることが好ましい。上部センサ7は、例えば、内側シェル2の最高点において、円筒壁の上部母線上に位置する。
【0027】
好ましくは、タンク1は、タンク1に液体を充填するための最大充填レベルに対応する内側シェル2の垂直位置に位置する少なくとも1つの中間センサ6を備えている。例えば、このセンサは、前記タンク1の充填が停止されるレベルに対応する特定されたレベルに位置していてもよく、これは、例えば、内側シェル2の水保持容量の90及び98%、特に94%に対応する。この温度センサは、温度測定を介して、液体が充填限界に達する場合を確実に検出することができる。これは、タンクの充填を中断するために用いることができる。適切であれば、この又はこれらのセンサは、上で説明した上部センサ7と取り替えてもよい。
【0028】
1組の温度センサ5、6、7は、2つの長手方向端部間のタンク1の中央部分に、即ち、例えば、タンク1の前後端の間の長手方向におけるタンク1の中間に位置することが好ましい。
【0029】
[
図1]において見られるように、複数の中間センサ6は、中心長手方向軸Aの両側で内側シェル2の2つの対向する側面上にそれぞれ位置するセンサを備えていることが好ましく、中間センサ6は、内側シェル2の下端と上端との間で垂直方向に互いに離間している。例えば、3~10個の中間センサ6のうちの2組がそれぞれ、内側シェル2の2つの対向する側面上にそれぞれ配置される。[
図1]の非限定的な実施例において、下部5と上部7センサ間の各側面に5つの中間センサ6が存在する。無論、より少ない(2、3、4)又はより多い(6、7、8、9、10・・・)ものがあってもよい。
【0030】
長手方向軸Aの両側に位置する中間センサ6は、例えば、対称に位置決めされ、即ち、同一高さに位置決めされる。無論、2組のセンサ6が垂直方向にオフセットされる配置が予想されてもよい。
【0031】
500~2800mmの間、特に2400mmを備える内側シェル2の直径に対して、中間センサ6は、数が少なくとも5つ又は6つであり、円周にわたって約200~600mm、特に約500mmだけ互いに離間することが好ましい。センサは、円周上に垂直又は一様に間隔をあけていてもよい。
【0032】
より正確な測定に対して、内側シェル2の高さ全体を略カバーするために、センサ6の数をより多く、それらの間隔をより短くしてもよい。
【0033】
[
図1]に見られるように、タンク1は、例えばマイクロプロセッサ及び/又はコンピュータを備える電子データストレージ及び処理部材8を備えることが好ましい。この電子部材8は、1組の温度センサ5、6、7に(有線又は無線リンクによって)接続され、前記センサによって測定される温度値を受信するよう構成される。
【0034】
このオンボードデータ取得は、plc(プログラマブルロジックコントローラ)を用いてもよく、タンクが中央ステーションに戻った場合にダウンロードされるか、及び/又は、例えばGSM通信を用いて例えば無線で送信されてもよい。
【0035】
タンクに又は遠隔に取り付けられるこの電子部材8(両方のシナリオを示す[
図3]を参照)は、タンク内の流体の温度、タンク1内の液体のレベル、タンク1内の液体の体積のうちの少なくとも1つを特定するよう構成される。特に、複数のセンサは、温度測定及び内側シェル2内の温度の層化を介して、液体のレベルをより正確に特定することができる。
【0036】
好ましくは、電気部品(センサと電子部材8との間の接続ケーブル)は、壁間空間内のタンク1の前部に位置決めされ、それに向かって延在する。タンクの外側に位置決めされる部材8に向かう電気回路のための出口は、従って、タンクの前方に、好ましくは、以下に詳述する流体回路とは対向する端部に位置する。タンクの前部に位置するこれらの電気リードスルーは、それらを潜在的な爆発性雰囲気(可燃性ガス蒸気)から離間して位置することを可能にする。
【0037】
タンク1は、実際には、従来、内側シェル2に接続され、内側シェル2への充填及びそれから取り出すためにタンク1の外側に開口するバルブ12、13を装備する1組のパイプ10、11を備える。加えて、タンク1は、シェル2内の圧力を増加させる目的で、液体を取り出し、加熱し、内側シェル2内に再注入することを可能にする加圧装置を備えることが好ましい。かかる加圧ヒータは、重力供給される液体を気化させることを目的とする管の束(フィン付き又はフィンなし)を備えていてもよい。従って生成されるガスは、内側シェル2の気相に戻され、従って、液体を直接移送するため、又は移送ポンプをプライミングするために必要な加圧を提供する。この流体回路は、タンク1の他方の後端に位置決めされることが好ましい。
【0038】
制御キャビネットをタンクの後部に設けて、タンク1を利用するために必要な安全、制御、及び操作付属品、特にタップ、バルブ、圧力計、レベル計、液体流量計等を収容し、再編成してもよい。
【0039】
付属品は、好ましくは低温で漏れをチェックされる。
【0040】
内側シェル2内の圧力を測定するための圧力センサ9が設けられてもよく、必要であれば、その測定値を電子部材8に提供してもよい。
【0041】
[
図3]の変形実施形態は、1組の温度センサが、長手方向Aにおける異なる別個の長手方向位置に位置する幾つかの群のセンサ5、6、7を備える点で、[
図2]の変形実施形態とは異なる。従って、[
図3]の実施例において、([
図1]による1群のセンサではなく)長手方向に分布する3つの群のセンサが存在している。これら3つの群のセンサは、以下のように分布する、即ち、内側シェル2の中央に1つ、2つの長手方向端部付近にそれぞれ2つ。無論、2つの群のセンサ即ち4つ以上を有する構成が想定されてもよい。
【0042】
かかるタンクは、気相及び液相の分布及び温度のより良い知識を可能にする。この温度情報は、従って、極低温流体を供給するステーションの移動及び充填を適合させることができる。これにより、ボイルオフガスの量及び大気中へのガスの放出を制限することができる。
【0043】
これは、タンク1が充填センター(液化装置等の液体源)に戻る場合の圧力の増加によってもたらされる気相の回収を改善させることができる。液化装置内の減圧ガスの温度の認識及び制御は、再凝縮プロセスのサイクルに大きな影響を及ぼす。これにより、気相の再循環プロセスを最適化することが可能となる。
【0044】
温度測定は、特にタンク1を荷降ろし又は駐車する場合(特に、内側シェル2内の層化の場合)に、内側シェル2内の液体のレベルをより正確に特定することができる。
【0045】
これは、送出される流体量の計算のチェックを可能にすることによって、内容物のより良好な監視を可能にし、物流の信頼性を改善する。
【0046】
複数の流体送出の物流において、液体の測定温度は、送出先のステーションの圧力の管理に重大な影響を及ぼす。具体的には、ステーション11、12、13は、比較的高温又は比較的低温の流体要件(例えば、3バールの圧力で-240℃、又は9バールの圧力で-240℃の液体水素)を有していてもよい。移動式タンク1内の温度の測定は、それに応じて(例えば、最も冷たいものから最も暖かいものへ)送出の順序付けを適合させることを可能にする。比較的温かい流体を必要とするステーションの場合、タンク1内の圧力を調整するために必要であれば、タンク1内の比較的冷たい流体を用いることができる。これにより、送出先のステーションにおける汲み出しの効率を向上させることができる。また、物流の信頼性も改善される(例えば、ガス放出がないため、換気が不要)。
【0047】
これらの温度測定は、送出先の現場でトレーラを換気することを回避するように、運転手によって実行される制動手順(2つの相を混合させることによって圧力を低下させることを意図する)の後に内側シェル2内の圧力の低下を予測することを可能にする。
【0048】
加えて、連続的な送出の場合、温度(及び、適用可能な場合、圧力)測定は、送出後の内側シェル2内の平衡の熱力学的条件、及びこれらの条件が次の送出のための熱力学的要件と適合するかどうかを事前に計算することができる。
【0049】
具体的には、極低温流体を第1のステーション11に送出する前に、(タンクに再注入される前に加熱される幾らかの極低温流体を引き出すことによって)エネルギーの特定された追加を介して移動式極低温タンク1内の圧力を増加させる上昇ステップの場合、極低温流体の送出の終わりにおける内側シェル2内の将来の平衡圧力及び温度条件は、初期温度及び圧力条件、場合によっては内側シェル2内の加熱の過程中の条件、並びに送出される量に基づいて計算することができる。これらの条件が、別のステーション12への後続の送出と適合しない条件を与える場合、第1の送出は、例えば、尚早に中断されてもよい。
【0050】
これらの計算は、タンクによって形成される閉じた容積に適用される熱力学型の第1の原理の方程式又はモデルを用いてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温流体、特に液化水素又はヘリウムを輸送するための移動式極低温タンクであって、前記極低温流体を収容するよう意図される内側シェル(2)と、前記内側シェル(2)の周囲に位置決めされ、2つのシェル(2、3)間の空間を区切る外側シェル(3)とを備え、前記空間は断熱材(4)を含み、前記第1のシェル(2)は、前記タンク(1)が輸送及び使用構成にある場合、中心長手方向軸(A)に沿って延在する円筒形全体形状を有し、前記中心長手方向軸(A)は水平に配向され、前記タンク(1)は、前記内側シェル(2)内の前記流体の温度を測定する1組の温度センサを備え、前記1組の温度センサは、前記内側シェル(2)の外面上に位置し、前記シェル(2)の温度を測定し、前記1組の温度センサは、前記中心長手方向軸(A)の下方に位置する前記内側シェル(2)の下端に位置決めされる下部センサ(5)を備え、前記1組の温度センサは、更に、前記中心長手方向軸(A)の両側で前記内側シェル(2)の2つの側面にわたって分布する複数の中間センサ(6)を備え、前記複数の中間センサ(6)は、前記中心長手方向軸(A)の下方に位置する前記内側シェル(2)の下端と、前記中心長手方向軸(A)の上方に位置する前記内側シェル(2)の上端との間に垂直に分布することを特徴とする、
移動式極低温タンク。
【請求項2】
前記1組の温度センサ(5、6、7)は、前記2つの長手方向端部の間の前記タンク(1)の中央部分に位置することを特徴とする、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記複数の中間センサ(6)は、それぞれ3~10個のセンサの2組を備え、前記2組のセンサは、前記中心長手方向軸(A)の両側で前記内側シェル(2)の2つの対向する側面上にそれぞれ位置し、センサ(6)は、前記内側シェル(2)の前記下端と前記上端との間で垂直方向に離間することを特徴とする、請求項1又は2に記載のタンク。
【請求項4】
前記2組の中間センサ(6)はそれぞれ、4、5、6、7、又は8つのセンサ(6)を備えることを特徴とする、請求項3に記載のタンク。
【請求項5】
前記1組の温度センサは、前記中心長手方向軸(A)の上方に位置する前記内側シェル(2)の上端に位置決めされる上部センサ(7)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項6】
前記1組の温度センサは、前記長手方向(A)に沿った2つの別個の長手方向位置に位置する幾つかの群のセンサ(5、6、7)を備え、前記2つの群の温度センサのそれぞれは、前記中心長手方向軸の両側で前記内側シェル(2)の2つの側面にわたって分布し、前記中心長手方向軸(A)の下方に位置する前記シェルの前記下端と前記中心長手方向軸(A)の上方に位置する前記シェルの前記上端との間に垂直に分布する複数の中間センサ(6)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項7】
電子データストレージと、マイクロプロセッサ及び/又はコンピュータを備える処理部材(8)とを備え、前記電子部材(8)は、前記1組の温度センサ(5、6、7)に接続され、前記センサによって測定される温度値を受信し、前記タンク内の前記流体の前記温度、前記タンク(1)内の液体のレベル、前記タンク(1)内の液体の体積のうちの少なくとも1つを特定するよう構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項8】
前記内側シェル(2)内の圧力を測定するための圧力センサ(9)を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項9】
前記内側シェル(2)に接続され、前記内側シェル(2)への充填及びそれから取り出すために前記タンク(1)の外側に開口するバルブ(12、13)を装備する1組のパイプ(10、11)を備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項10】
前記タンク(1)に液体を充填するための最大充填レベル、特に前記タンク(1)の前記充填が停止されるレベルに対応する前記内側シェル(2)の垂直位置に位置する少なくとも1つの中間センサ(6)を備え、これは、例えば、前記内側シェル(2)の水保持容量の90~98%の間、特に94%に対応することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項11】
複数の極低温流体ストレージ及び使用ステーション(11、12、13)に極低温流体を供給するための方法であって、前記ステーション(11、12、13)の前記供給は、前記内側シェル(2)内の前記圧力を測定するための圧力センサ(9)を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの移動式極低温タンク(1)によって行われ、前記流体ストレージ及び使用ステーション(11、12、13)はそれぞれ、特定された熱力学的圧力及び温度条件で前記極低温流体を貯蔵するよう構成される液化ガス流体貯蔵部(110、120、130)を備え、前記方法は、前記移動式極低温タンク(1)内の前記極低温流体の温度及び圧力を測定するステップと、前記ステーションの前記液化ガス流体貯蔵部(110、120、130)のそれぞれにおける前記特定された熱力学的温度及び圧力条件を読み取るステップとを含み、前記方法は、前記移動式極低温タンク(1)内で測定される前記極低温流体温度及び圧力と、前記ステーションの前記液化ガス流体貯蔵部(110、120、130)のそれぞれの前記特定された熱力学的温度及び圧力条件とに依存するそれぞれの流体量で、前記ステーションに極低温流体を送出するステップを含む、
方法。
【請求項12】
前記第1のステーション(11)に、次いで第2のステーション(12)に連続的に極低温流体の送出を含み、前記第1のステーション(11)への前記極低温流体の送出の前に、前記移動式極低温タンク(1)から前記極低温流体の一部を取り出し、それを前記移動式極低温タンク(1)に再注入する前に加熱することによって、特定されたエネルギーの追加によって前記移動式極低温タンク(1)内の前記圧力を増加させるステップを含み、前記方法は、前記移動式極低温タンク(1)内の前記極低温流体の前記追加エネルギーの量と前記温度及び圧力とに基づいて、前記極低温流体の送出後の前記移動式極低温タンク(1)内の将来の圧力及び温度平衡条件を計算するステップを含み、前記方法は、前記移動式極低温タンク(1)内の前記計算された将来の圧力及び温度平衡条件が、前記第2のステーション(12)の前記貯蔵部のための前記特定された熱力学的温度及び圧力条件よりも高い場合に、前記第1のステーション(11)への前記極低温流体の送出を中断することを含むことを特徴とする、
請求項11に記載の供給方法。
【請求項13】
前記ステーションに極低温流体を送出するステップは、前記移動式極低温タンク(1)内の前記極低温流体の前記温度及び圧力と、前記ステーションの前記液化ガス流体貯蔵部(110、120、130)のそれぞれの前記特定された熱力学的温度及び圧力条件とに基づいて特定される時系列順に実行されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の供給方法。
【国際調査報告】