(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】圧縮デバイス、設備、充填ステーション及びそのようなデバイスを使用する方法
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20230419BHJP
F17C 7/04 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546484
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2020086609
(87)【国際公開番号】W WO2021160326
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ペネック、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】トライ、ラズメイ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA03
3E172AA05
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB11
3E172AB12
3E172AB13
3E172AB15
3E172AB20
3E172BA01
3E172BA04
3E172BD03
3E172BD05
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA35
3E172EA49
3E172EB02
3E172EB03
3E172GA20
3E172KA03
(57)【要約】
本発明は、可動ピストン(5)を含む圧縮チャンバを含む流体圧縮デバイスであって、デバイスが圧縮チャンバの第1端(3)を収納する第1端(2)を含み、デバイス(1)が圧縮チャンバの第2端(6)を収納する第2端(4)を含み、ピストン(5)が圧縮チャンバの第1端(3)及び第2端(6)の間を並進可能であり、デバイス(1)が圧縮チャンバの第1端(3)及び第2端(6)を接続するとともにリジェネレータ(17)を含む更生管(7)を含み、デバイス(1)が、圧縮されることになる流体の源に接続されることを意図された上流端と圧縮チャンバの第1端(3)に開口した下流端とを含む供給管(8)を含み、供給管(8)が弁組立体(9)を含み、デバイス(1)が、圧縮チャンバに接続された上流端と圧縮流体のレシーバに接続されることを意図された下流端とを含む圧縮流体を排出するための管(10)を含み、排出管(10)が弁組立体(11)を含む、流体圧縮デバイスにおいて、供給管(8)の上流端が圧縮チャンバの第1端(3)に直接、すなわち、デバイスの第1端(2)における与圧縮チャンバを通過せずに接続されることを特徴とする、流体圧縮デバイスに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動ピストン(5)を含む圧縮チャンバを有する流体圧縮デバイスであって、前記デバイスが前記圧縮チャンバの第1端(3)を収容する第1端(2)を含み、前記デバイス(1)が前記圧縮チャンバの第2端(6)を収容する第2端(4)を含み、前記ピストン(5)が、前記圧縮チャンバの前記第1端(3)及び第2端(6)の間を並進移動することができ、前記デバイス(1)が前記圧縮チャンバの前記第1端(3)及び第2端(6)を接続するとともにリジェネレータ(17)を有する更生管(7)を含み、前記デバイス(1)が、圧縮されることになる流体の源に接続されることを意図された上流端と前記圧縮チャンバの前記第1端(3)に開口した下流端とを含む供給管(8)を含み、前記供給管(8)が1つ又は複数の弁(9)のセットを含み、前記デバイス(1)が前記圧縮チャンバに接続された上流端と前記圧縮流体のレシーバに接続されることを意図された下流端とを含む圧縮流体排出管(10)を含み、前記排出管(10)が1つ又は複数の弁(11)のセットを含む流体圧縮デバイスにおいて、前記供給管(8)の前記下流端が前記圧縮チャンバの前記第1端(3)に直接、すなわち前記デバイスの前記第1端(2)における与圧縮チャンバを通過せずに接続されることと、前記更生管(7)が前記排出管(10)から分離していることとを特徴とする、流体圧縮デバイス。
【請求項2】
前記圧縮流体排出管(10)の前記上流端が前記圧縮チャンバの前記第1端(3)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記供給管(8)の1つ又は複数の弁の前記セットが、逆流防止部材(9)、例えば逆流防止弁を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記排出管(10)の1つ又は複数の弁の前記セットが、逆流防止部材(11)、例えば逆流防止弁を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイス(1)の前記第2端(4)が加熱システム(12)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイス(1)の前記第1端(2)が冷却又は加熱システム(18)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記リジェネレータ(17)が、熱を貯蔵する及び放出するように、並びに液体及び/又は気体状態の前記流体が通ることを可能にするように構成された材料で満たされた熱交換器チューブ、特に円筒形チューブを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
直列に配置された請求項1~7のいずれか一項に記載の複数の圧縮デバイスを含む、圧縮設備。
【請求項9】
加圧ガスタンク充填ステーションであって、液化ガスの源(13)、前記源(13)から分配先(14)に向かって流体を移送するための回路(15)を含み、前記移送回路(15)が請求項1~7のいずれか一項に記載の圧縮デバイス(1)又は請求項8に記載の圧縮設備を含む、加圧ガスタンク充填ステーション。
【請求項10】
前記移送回路(15)が、前記圧縮デバイスにより圧縮された加圧ガスの少なくとも1つの貯蔵部(16)を含み、前記貯蔵部が前記圧縮デバイス(1)と前記分配先(14)との間に配置されることを特徴とする、請求項9に記載のステーション。
【請求項11】
前記移送回路(15)が、液化ガスの前記源(13)と前記圧縮デバイス(1)との間に配置されたポンプ(19)を含むことを特徴とする、請求項10に記載のステーション。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス又は請求項8に記載の設備により流体を圧縮するための方法において、前記方法が、以下の連続的ステップ、すなわち、a)供給管(8)を介した前記圧縮チャンバの第1端(3)内への、初期圧力での液体又は気体状態の流体の受け入れのステップ、b)前記圧縮チャンバの前記第1端(3)に向かってのピストン(5)の移動、及び更生管(7)を介した前記圧縮チャンバの前記第1端(3)から前記圧縮チャンバの第2端(6)に向かっての前記流体の移送のステップであって、前記デバイス(1)の第2端(4)が第1端(2)の温度より高い温度で保たれるステップ、c)前記圧縮チャンバの前記第2端(6)に向かっての前記ピストン(5)の移動、並びに前記圧縮チャンバの前記第2端(6)から前記圧縮チャンバの前記第1端(3)及び排出管(10)の下流端に向かっての前記流体の移送のステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記流体が10~100グラム毎秒、特に50グラム毎秒の流量で圧縮されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮デバイス、設備、充填ステーション及びそのようなデバイスを使用する方法に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、可動ピストンを含む圧縮チャンバを有する流体圧縮デバイスであって、デバイスが圧縮チャンバの第1端を収容する第1端を含み、デバイスが圧縮チャンバの第2端を収容する第2端を含み、ピストンが圧縮チャンバの第1端及び第2端の間を並進移動することができ、デバイスが圧縮チャンバの第1端及び第2端を接続するとともにリジェネレータを有する更生管を含み、デバイスが圧縮されることになる流体の源に接続されることを意図された上流端と圧縮チャンバの第1端に開口した下流端とを含む供給管を含み、供給管が1つ又は複数の弁のセットを含み、デバイスが圧縮チャンバに接続された上流端と圧縮流体のレシーバに接続されることを意図された下流端とを含む圧縮流体排出管を含み、排出管が1つ又は複数の弁のセットを含む流体圧縮デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
文献仏国特許第2904401A1号明細書は、「熱圧縮機」と呼ばれることもあるそのような圧縮デバイスを説明している。このデバイスは満足のいくものであるが、その製造又は補修管理に関して要求が多い。具体的には、与圧縮ピストンのシーリング及びその制御が比較的複雑であるとともに、実施に費用がかかる。さらに、出ていく圧縮ガスは、複数の圧縮ステージを直列に並べるのを困難にする熱力学条件(特に温度)を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のねらいは、上で挙げられた先行技術の欠点の全て又は一部を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明による、そうでなければ上記序文において与えられた一般的な定義によるデバイスは本質的に、供給管の上流端が圧縮チャンバの第1端に直接、すなわち、デバイスの第1端における予圧縮チャンバを通過せずに接続されることを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明の実施形態は以下の特徴の1つ又は複数を有し得る、すなわち、
- 圧縮流体排出管の上流端が圧縮チャンバの第1端に接続される、
- 供給管(8)の1つ又は複数の弁のセットが逆流防止部材、例えば逆流防止弁を含む、
- 排出管の1つ又は複数の弁のセットが逆流防止部材、例えば逆流防止弁を含む、
- デバイスの第2端が加熱システムを含む、
- デバイスの第1端が冷却又は加熱システムを含む、
- リジェネレータが、熱を貯蔵する及び放出するように、並びに液体及び/又は気体状態の流体が通ることを可能にするように構成された材料で満たされた熱交換器チューブ、特に円筒形チューブを含む、
- 流体が、He、H2、Ne、CO、Ar、N2、O2、CH4、CO2、NO、Kr、Xe又はこれらの化学種の2つ以上の任意の混合物を含むリストから選択される。
【0007】
本発明はまた、上記又は下記の特徴の任意の1つによる複数の圧縮デバイスを含む圧縮設備に関する。
【0008】
本発明はまた、加圧ガスタンク充填ステーションであって、液化ガスの源、源から分配先に向かって流体を移送するための回路を含み、移送回路が上記又は下記の特徴の任意の1つによる圧縮デバイス又は前述の圧縮設備を含む移送回路を含む加圧ガスタンク充填ステーションに関する。
【0009】
他の可能な特定の特徴によると、
- 移送回路が圧縮デバイスにより圧縮された加圧ガスの少なくとも1つの貯蔵部を含み、前記貯蔵部が圧縮デバイスと分配先との間に配置される、
- 移送回路が液化ガスの源圧縮デバイスとの間に配置されたポンプを含む。
【0010】
本発明はまた、上記又は下記の特徴の任意の1つによるデバイス又は前述の設備により流体を圧縮するための方法に関し、方法は、以下の連続的ステップ、すなわち、a)供給管を介した圧縮チャンバの第1端内への、初期圧力での液体又は気体状態の流体の受け入れのステップ、b)圧縮チャンバの第1端に向かってのピストンの移動、及び更生管を介した圧縮チャンバの第1端から圧縮チャンバの第2端に向かっての流体の移送のステップであって、デバイスの第2端が、第1端の温度より高い温度で保たれるステップ、c)圧縮チャンバの第2端に向かってのピストンの移動、並びに圧縮チャンバの第2端から圧縮チャンバの第1端及び排出管の下流端に向かっての流体の移送のステップを含む。
【0011】
1つの可能な特定の特徴によると、流体は10~100グラム毎秒、特に50グラム毎秒の流量で圧縮され得る。
【0012】
本発明はまた、クレームの範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組合せを含む任意の代替的デバイス又は方法に関し得る。
【0013】
さらなる特定の特徴及び利点は、図面を参照して提供された以下の説明を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による圧縮デバイスの例示的な実施形態の構造及び動作の例を示す概略部分断面図を示す。
【
図2】第1作動構成にある圧縮デバイスの概略部分断面図を示す。
【
図6】複数の本発明による圧縮デバイスを含む圧縮設備の例示的な実施形態の構造及び動作の例を示す概略部分断面図を示す。
【
図7】本発明による圧縮デバイスの別の例示的な実施形態の構造及び動作の例示的を示す概略部分図を示す。
【
図8】本発明による圧縮デバイスを含む別の設備の構造及び動作の例を示す概略部分図を示す。
【
図9】本発明による圧縮デバイスを含む充填ステーションの第1の例示的な実施形態を示す概略部分図を示す。
【
図10】本発明による圧縮デバイスを含む充填ステーションの第2の例示的な実施形態の概略部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[
図1]に示された流体圧縮デバイス1は、可動ピストン5が収納される圧縮チャンバを収容するフレーム又はケーシングを含む。デバイス1は圧縮チャンバの第1端3を収容する第1端2を含み、デバイス1は圧縮チャンバの第2端6を収容する第2端4を含む。
【0016】
ピストン5は、(簡潔さのために説明されていない任意の好適な駆動システムを介して)圧縮チャンバの第1端3と第2端6との間を並進移動することができる。
【0017】
デバイス1は、圧縮チャンバの第1端3と第2端6とを接続するとともにリジェネレータ17を有する更生管7を含む。
【0018】
デバイス1はまた、供給管8であって、圧縮されることになる流体の源13に接続されることを意図された上流端と圧縮チャンバの第1端3に開口している下流端とを有する供給管8を含む。供給管8は1つ又は複数の弁、特に逆流防止弁9のセットを含む。デバイス1は、圧縮チャンバに接続された上流端と圧縮流体のレシーバに接続されることを意図された下流端とを含む圧縮流体排出管10を含む。この排出管10はまた、1つ又は複数の弁、例えば逆流防止弁11のセットを含む。更生管7は排出管10から分離している。これは、この更生管7が、リジェネレータを通過することにより圧縮チャンバの2つの端3、6を接続し、したがって、ピストン5のモーメント中に、これらの端間での直接の移送のみを可能にすることを意味する。
【0019】
供給管8の上流端は、圧縮チャンバの第1端3に直接、すなわちデバイスの第1端2における与圧縮チャンバを通過せずに接続される。これは、文献仏国特許第2904401A1号明細書において説明された構造と異なり、圧縮デバイス1のフレームは圧縮チャンバの第1端3の上流に予圧縮チャンバを含まないことを意味する。圧縮されることになる流体は、圧縮チャンバ3に直接注入される。これにより、先行技術において必要な技術的制約(特に追加的なピストン及びシーリングの作動)を克服することを可能になる。さらに、この与圧縮の排除は、デバイスの性能に害を及ぼすこと無しにその信頼性を増す。
【0020】
図示のとおり、圧縮流体排出管10の上流端は、好ましくは圧縮チャンバの第1端3に接続される。これは、圧縮流体がデバイス1の比較的冷たい端3から排出されることを意味する。これにより比較的冷たい圧縮流体を作ることが可能になる。これにより、例えば複数の圧縮デバイス1を、[
図6]に示されたとおり直列に配置することが可能になる。したがって、圧縮デバイス1の排出管10の下流端は、後続の圧縮デバイス1の供給管8の上流端に接続され得る。
【0021】
完璧なガスのために、最大可能な圧縮比率は、熱いチャンバ(圧縮チャンバの第2端6)と冷たいチャンバ(圧縮チャンバの第1端3)との間の温度比である。したがって、デバイス1の第2端4は流体加熱システム12を含み得る。
【0022】
例えば、圧縮チャンバの第2端6における流体の温度は200~1000Kであり得るとともに、典型的には、例えば加熱、例えば電気加熱を介して500Kに到達し得る(熱交換器12が500Kの温度であり得る[
図7]の例を参照)。より高い圧縮比は、相移行を利用することにより又は超臨界相における厳密な熱力学経路を取ることにより得られ得ることに留意されたい。
【0023】
したがって、単一の圧縮ステージでは、全ての実用的な目的のための圧縮比である10を容易に超えることはできない(入口が液体を受けない限り。この場合圧縮比は数百又は千を超え得る)。
【0024】
このとき、直列の圧縮デバイス1の使用が有利である。より良好な効率のためには、質量流量を保存するために、すなわち、直列の各ステージで、チャンバ3、6の体積を減少させるために、及び気体流量を確実に最適化するようにピストン5の移動の変化を管理するために、体積流量を変化させることが好ましい。さらに、最終圧縮ステージは、必要な場合は「熱い」チャンバ内へ排出し得る([
図4]に示されるとおりデバイスの第2端4で)。
【0025】
慣習的に、リジェネレータ17は、熱を貯蔵する及び放出するように、並びに液体及び/又は気体状態の流体が通ることを可能にするように構成された材料で満たされた熱交換器チューブ、特に円筒形チューブを含み得る。当然のことながら、他の任意の好適な熱交換器構造も想定され得、例えばリジェネレータ17はピストンを少なくとも部分的に囲むことができる(2つの同心円筒のように)、並びに/又は、リジェネレータ17は、一連のチューブであって、その材料が再生要素及び/若しくは質量から切り離されたフィンを備えた交換器である、一連のチューブを含み得る。
【0026】
[
図2]を参照すると、第1ステップにおいて、ピストン5は圧縮チャンバの第2端6に最も近い位置にある(デバイス1の比較的熱い側)。供給管8の弁9は開いており、流体(気体又は液体)が導入されるとともに圧縮チャンバの第1端3の体積を満たす(源13から)。
【0027】
次いで([
図3])、ピストン5は圧縮チャンバの第1端3に向かって駆動される。これは第1(冷たい)端3から第2(熱い)端6への流体の移送をもたらす。システムの総体積が変化しないままであるため、合力は必要ではないことに留意されたい。実際には、必要とされる力は、リジェネレータ17を通じたガスの移送のインピーダンスによってのみ制限される。ガスが熱い第2端6において加熱されると、システムにおける圧力は上昇し始める。
【0028】
供給管8の弁9は閉鎖され、排出管10の弁11は、圧縮チャンバの第1端3における圧力が開度閾値(例えば排出管10に接続された出口タンクの圧力)未満である限り、閉鎖されたままである。好ましくは、配管及びリジェネレータ17の死容積は、排出管10の弁11を開くために必要とされる移送体積を最小化するために可能な限り多く制限されているべきである(典型的には、圧縮チャンバの体積の値の10%未満)。
【0029】
ピストン5が圧縮チャンバの第1端3の底部に最も近い位置に到達すると([
図4])、それは好ましくは、圧縮チャンバのこの端の体積の全てを占める。
【0030】
余剰の流体の質量は、次いで排出管10の弁11を介して好ましくは一定の圧力で放出される。
【0031】
出ていく圧縮流量とリジェネレータの流量との間で最適な比率を保存することが望まれる場合、圧力の上昇を原因としてガスが再凝結する場合に圧縮チャンバの第1端3における死容積を最小に保つことが必須であり得る。しかしながら、この効果は、圧縮デバイス1が長期間作動することを妨げるべきではない。リジェネレータ17における温度勾配の中間点はこのとき、さらに熱い側に向かって(第2端4に向かって)移動する。次いで([
図4])、ピストン5は圧縮チャンバの第2端6に向かって再び移動する。これは、流体を圧縮チャンバの第2の(熱い)端6から第1の(冷たい)端3へ移動させる。このプロセスの間、質量流は第2の(熱い)端6から第1の(冷たい)端3へ移動する。したがって、(リジェネレータ17のおかげで)冷却力は必要ではない。工学目的のため、支持体及びリジェネレータ17からの熱放射及び伝導を原因とする静電荷を補償するためにいくらかの冷却力が必要となり得る。
【0032】
流体が冷えると、圧縮デバイス1における圧力は低下し始める。
【0033】
圧縮チャンバの第1端3における圧力が閾値未満に低下すると、排出管10の弁11が閉じ、供給管8の弁9がプロセスを再スタートするために再び開き得る、[
図5]を参照。
【0034】
圧縮デバイス1に気体又は液体が供給され得る。後者の場合、より大きい圧縮性能が得られる。
【0035】
圧縮デバイス1は、例えば10~100g/s質量流量で、液体のタンクから水素を最大で900バー以上圧縮するために使用され得る。
【0036】
ピストン5の移動の頻度は可能な限り高くなければならず、その理由は、そのことにより、圧縮機がより小さくなるからである。
【0037】
21.5Kでの気体水素密度が1.225kg/m3であると仮定すると、これは、61.25gのガスが圧縮チャンバの第1端3の体積に収納され得ることを意味する。2Hzの周波数では、50g/sの目的に到達するために1/3未満の圧縮質量効率を要する。50g/sのみの圧縮機質量流量(リジェネレータにおける死容積を原因としてより大きい質量圧縮効率損失を仮定して)で総質量流量は122.5g/sである。
【0038】
[
図7]の概略図において、リジェネレータ17はそれぞれデバイス1の2つの端に配置された2つの熱交換器により象徴されている。
【0039】
これは、2つの比較的熱い及び冷たい部分が、同一の連続的な交換器部材において形成される代わりに物理的に分離され得ることを意味する。
【0040】
同様に、流体入口及び出口は、同一の管に並列に接続される(供給管8及び排出管10は、リジェネレータ17の2つの熱交換器部品の間で更生管7の中央部分に接続された同一の枝状部に接続される)。
【0041】
図示のとおり、更生管7の各端はまた、それぞれ圧縮チャンバの第1端3及び第2端の各々の前で流体を加熱する又は流体の温度を維持するために熱交換器18、12を有し得る。例えば、交換器18、12はそれぞれデバイスの第1端2及び第2端4に一体化され得る。熱交換は、圧縮されることになる流体と交換器内を循環する熱移送流体との間で実施され得る。
【0042】
これらの熱交換器18、12は、圧縮チャンバの端の各々において流体の安定的な作動温度を維持するために提供され得る。加熱スイッチを提供する必要は必ずしも無い。
【0043】
圧縮デバイスの作動サイクルは、ほぼ連続的であり得る。
【0044】
当然のことながら、他の実施形態も可能である。したがって、例えば、圧縮されることになる流体は圧縮デバイス1にその冷たい(液体)温度で注入され得、圧縮プロセス中の蒸発のその潜熱は冷却源として使用され得る。
【0045】
同様に、2つの別個のパイプを提供することにより、及びリジェネレータ17を形成する熱交換器への接続のポイントに違いをつけることにより、[
図7]においてデバイス1の入ってくる冷たい流体と出ていく熱い流体とを分けることも可能である。したがって、リジェネレータ17への接続のポイントもまた、図の頂部又は底部において、2つの交換器間で移動され得る。比較的熱い流体(頂部)及び比較的冷たい流体(底部)のための2つの別個の接続ポイントもあり得る。
【0046】
[
図8]における実施形態において、供給管8に送り込まれる圧縮されることになる流体は熱交換器20において予冷され得る。例えば、300Kの温度及び10~80バーの圧力の流体はこの交換器20において200Kにされ得る。排出管10はデバイスの第2端4(比較的熱い側)に位置し得る。デバイス1の出口で、圧縮流体は、例えば300Kの温度及び20~186バーの圧力などを有する流体を下流に提供するために300Kで熱交換器21と熱交換する状態で配置され得る。
【0047】
[
図9]は、水素タンク充填ステーションにおける圧縮デバイス1(好ましくは直列の複数のデバイス1)の使用の例を説明する。源13は従来の液化ガス貯蔵タンクであってもよい。移送回路15は例えば、真空において熱的に絶縁されたラインである。圧縮デバイス1(又は直列に配置された圧縮デバイス、特に2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つの圧縮ステージなど)は、同様に真空絶縁された(真空及び多層絶縁体)ケーシングにおいて配置され得る。設備はまた、好都合には、熱の交換を増大させるために1つ又は複数のピストン5を作動させる1つ又は複数のモータ、制御電子機器、及び周囲温度で50~500KWクラスのファンヒータを含み得、これらの電力は交換されることになる熱の電力である。例えば、2.5t/日の流体を送達する水素ステーションについて、150kWクラスのファンが必要である。
【0048】
圧縮デバイスは、例えば1つ又は複数のバッファ貯蔵部16に向かって900バーの圧力で気体水素を作ることができる。このバッファタンク16に関しては、ステーションの1つ又は複数の終端を提供することができる。
【0049】
[
図10]の実施形態において、移送回路15は、液化ガスの源13と圧縮デバイス1との間に配置されたポンプ19を含む。入口で、ポンプ19は数バー、例えば6バーの圧力及び約30K(例えば27K)の温度で水素を受け取り得る。ポンプ19の出口で、流体は60Kのオーダーの、例えば58Kの温度、及び300~400バー以上の圧力を有し得る。圧縮デバイス1の出口で、流体は800~1000バー、例えば950バーの圧力、300Kの温度及び45kg/時の流量を有し得る。逆流防止弁が、それぞれポンプ19と圧縮デバイス1との間及び圧縮デバイス1の出口に提供され得る。
【国際調査報告】