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特表2023-517529ナノファイバーを使用して皮膚を修復するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】ナノファイバーを使用して皮膚を修復するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20230419BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230419BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230419BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230419BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20230419BHJP
   A45D 44/22 20060101ALI20230419BHJP
   A45D 44/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q19/00
A61K8/81
A61K8/73
A61Q19/08
A45D44/22 Z
A45D44/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552831
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 US2021020177
(87)【国際公開番号】W WO2021178261
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/984,179
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラテスク、ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、アイザック デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チーハン
(72)【発明者】
【氏名】ランダ、ピーター エー.
(72)【発明者】
【氏名】ソイカ、ミラン フランツ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD212
4C083BB47
4C083BB48
4C083CC07
4C083DD06
4C083DD12
4C083DD22
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE10
4C083EE12
4C083EE13
(57)【要約】

本発明は、皮膚の変化を修復又は低減するための新規の方法、並びにそのシステム及び化粧用組成物を提供する。対象の皮膚の眼窩周囲領域におけるクマ、腫れ、又はたるみの外観を低減するための方法であって、それを必要とする対象の皮膚に電界紡糸繊維を含む組成物を局所的に適用することを含む、方法が提供される。方法は更に、対象の眼窩周囲領域の周りの皮膚の硬化又は引き締めを引き起こす。本明細書で提供される組成物は、活性成分を実質的に含まないか、又は活性成分を欠いている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚の眼窩周囲領域における腫れの外観を低減する方法であって、それを必要とする前記対象の皮膚に電界紡糸繊維を含む組成物を局所的に適用することを含む、方法。
【請求項2】
前記対象の前記眼窩周囲領域の周りで前記皮膚の硬化又は引き締めを更に引き起こす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、活性成分を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、活性成分を欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、化粧用として許容可能な担体を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、酸化防止剤又は保湿剤又は軟化剤又は防腐剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、約0.1~約50gsmの範囲の厚さを有するパッチ又はマスクである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電界紡糸繊維が、親水性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
対象の皮膚の視覚的外観を改善するための方法であって、前記皮膚を湿潤させるための溶液を対象に提供することと、組成物を前記皮膚に局所的に投与することと、を含み、前記組成物が、電界紡糸繊維を含む、方法。
【請求項10】
前記組成物が、活性成分を実質的に含まない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、活性成分を欠いている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
溶液を噴霧することによって、又は噴霧を通して皮膚を湿潤させる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、静脈の拡張、目の下のたるみ、目の下のクマ、及び目の周りの腫脹、リフティング、硬化、前記皮膚の平滑化、小じわ、しわ、又は前記皮膚の引き締めを改善する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記電界紡糸繊維が、2分未満の湿潤で溶解する1つ以上の親水性ポリマーを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
親水性電界紡糸繊維を含む化粧用パッチであって、前記パッチが、活性成分を実質的に含まない、化粧用パッチ。
【請求項16】
1つ以上の接着剤層を更に含む、請求項15に記載の化粧用パッチ。
【請求項17】
活性成分を欠いている、請求項15に記載の化粧用パッチ。
【請求項18】
予備湿潤用溶液と、親水性電界紡糸ポリマー繊維を含む化粧用パッチと、を含む、キット。
【請求項19】
前記パッチが、マスクである、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記パッチが、フィルムである、請求項18に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、マイクロファイバー及びナノファイバーを含むポリマー繊維を使用して、皮膚の欠陥を修復及び低減するための方法、システム、及び化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢、有害な環境因子への曝露、汚染物質、良好な栄養の欠如、疲労は、皮膚の視覚的外観、物理的特性、又は生理学的機能に影響を与え得る。これらの要因は、皮膚に視覚的に望ましくない外観をもたらし得る。静脈の拡張、目の下のたるみ、目の下のクマ、及び目の周りの腫脹を含む、いくつかの顕著な変化が起こり得る。皮膚の加齢又は皮膚への環境による損傷も、小じわ及びしわ、弾性の喪失、ハリの喪失、色又は色調の均一性の喪失、粗い表面のきめ、加齢によるシミ、及び水分量の減少を引き起こす。皮膚の外観及び機能におけるそのような変化の多くは、皮膚の外側表皮層の変化によって引き起こされるが、他の変化は、下部真皮の変化によって引き起こされる。
【0003】
したがって、本発明の目的は、皮膚の変化を修復又は低減するための新規の方法、並びにそのシステム及び化粧用組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
対象の皮膚の眼窩周囲領域における腫れの外観を低減する方法であって、それを必要とする対象の皮膚に電界紡糸繊維を含む組成物を局所的に適用することを含む、方法。方法は更に、対象の眼窩周囲領域の周りの皮膚の硬化又は引き締めを引き起こし、組成物は、活性成分を実質的に含まないか、又は欠いている。組成物は、化粧用として許容可能な担体、酸化防止剤又は保湿剤又は軟化剤又は防腐剤を更に含む。組成物は、約0.1~約50gsmの範囲の厚さ(面密度)を有するパッチ又はマスクであり、親水性ポリマーを含む電界紡糸繊維で作製される。
【0005】
対象の皮膚の視覚的外観を改善するための方法であって、皮膚を湿潤させるための溶液を対象に提供することと、組成物を皮膚に局所的に投与することと、を含み、組成物が、電界紡糸親水性繊維を含み、組成物が、活性成分を実質的に含まないか、又は活性成分を欠いている、方法が提供される。方法は、溶液を噴霧することによって、又は噴霧を通して皮膚を湿潤させるステップを更に含み、方法は、静脈の拡張、目の下のたるみ、目の下のクマ、及び目の周りの腫脹、リフティング、硬化、皮膚の平滑化、小じわ、しわ、又は皮膚の引き締めを改善する。湿潤時に、組成物は、2分未満の湿潤で溶解する。
【0006】
親水性電界紡糸繊維を含む化粧用パッチであって、パッチが、実質的に活性成分を含まない、化粧用パッチも提供される。パッチは、1つ以上の接着剤層を更に含み、活性成分を欠いている。
【0007】
予備湿潤用溶液と、親水性電界紡糸ポリマー繊維を含む化粧用パッチと、を含む、キット。パッチは、マスク又はフィルムであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ナノファイバーパッチを使用した目の下の腫れのライブ等級付けの結果を示す。
図2】ナノファイバーパッチ及びカフェインを使用した目の下の腫れのライブ等級付けの結果を示す。
図3】MatTek皮膚上のプルランの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために特定の例が使用され得る一般的な分類を含む。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用法は、特許請求の範囲に概説されるものを除き、本発明の範囲を定めるものではない。
【0010】
「活性成分」又は「活性剤」又は「化粧剤」という用語は、皮膚に利益をもたらすために利用される化粧剤又は成分を意味する。「活性成分」又は「活性剤」又は「化粧剤」は、対象の皮膚に変化を引き起こすか、又は考慮中の利益をもたらし、したがって、所望の、期待される、又は意図された結果を達成するのを補助するであろう。本発明による「活性成分」又は「活性剤」又は「化粧剤」という用語には、組成物/製剤中に存在し得る化粧用として許容可能な賦形剤又は担体が含まれることは意図されない。更に、化粧剤は、遊離形態で存在する場合、又は粉末、乳剤などとして製剤化される場合、本発明による活性成分とみなされ得る。
【0011】
「予防する」及び「予防すること」という用語は、皮膚若しくは毛髪の状態の再発、拡がり、又は発症の予防を含む。本発明が完全な予防に限定されることは意図されない。
【0012】
「対象」という用語は、任意の哺乳動物、好ましくは、ヒトを指す。
【0013】
「局所」という用語は、皮膚上の1つ又は複数の薬剤(例えば、化粧用物質、ビタミンなど)の投与を指す。
【0014】
「経皮」又は「局所」という用語は、皮膚を介した(例えば、粒子集団の少なくとも一部分が皮膚の下層に到達するような)薬剤(例えば、化粧剤、皮膚科学剤、ビタミンなど)の送達を指す。
【0015】
「親水性」という用語は、水と一過的に会合することができる、すなわち、水素結合を介して水と結合することができる、分子の物理的特性を指す。
【0016】
「溶媒」という用語は、溶液を生成する液体、固体、又は気体溶質を指す。
【0017】
「阻害すること」、「低減すること」、若しくは「予防」という用語、又はこれらの用語の任意の変化形は、特許請求の範囲及び/又は本明細書において使用される場合、所望される結果を達成する任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0018】
「有効な」という用語は、この用語が本明細書及び/又は特許請求の範囲において使用される場合、所望の、期待される、又は意図される結果を達成するのに十分であることを意味する。
【0019】
「活性成分を実質的に含まない」という用語は、使用される場合、本明細書で定義される化粧用活性成分又は化粧剤(遊離形態又は粉末など)が、組成物の相対重量に対して約0.00001%未満の量で存在することを指す。
【0020】
「活性成分を欠いている」という用語は、使用される場合、本明細書で定義される化粧用活性成分又は化粧剤(例えば、遊離形態又は粉末など)が組成物/方法中に存在しないか、又は組成物が、化粧用有効成分を含まない一方で、組成物が、必要に応じて、担体、賦形剤、軟化剤、又は防腐剤を含み得ることを指す。しかしながら、特に、PVP、プルラン、又はHAなどの電界紡糸ポリマー繊維は、本明細書で定義される活性成分の定義外であるとみなされる。
【0021】
ナノファイバーという用語は、1000nmを上回る直径を有する繊維を指す。
【0022】
ナノファイバーという用語は、1000nm未満の直径を有する繊維を指す。
【0023】
実施例及び比較例、又は別様に明示的に示される場合を除き、材料又は反応条件の量又は比率、材料及び/又は使用の物理的特性を示す本明細書における全ての数は、「約」という語によって修飾されるものとして理解されるべきである。全ての量は、別途指定されない限り、最終的な化粧剤の重量百分率として示される。
【0024】
本発明は、マイクロファイバー又はナノファイバーを含むポリマー繊維を使用して皮膚を修復する方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、皮膚を修復するための組成物に関する。皮膚が加齢するか、又は環境若しくは加齢に関連する損傷に耐える際、測定可能な変化が皮膚に現れる。このような損傷は、細胞及び組織の活力の全般的な低減、細胞複製速度の低減、皮膚の血流の低減、水分含量の低減、構造及び機能のエラー、生化学的経路の変化、並びに皮膚自体が再構築及び修復する能力の低減を引き起こす。
【0025】
非限定的な例として、眼窩周囲領域の周り(すなわち、目の周り)のヒトの皮膚は、薄くて繊細である。眼窩周囲領域は、小さな毛細血管でクモの巣状に張り巡らされ、血液がこれらの毛細管から漏れ、目の下にクマの外観を引き起こす場合がある。目の下のクマの他の既知の原因としては、紫外線曝露(例えば、太陽への曝露は、天然メラニンレベルを増加させ、メラニンを皮膚表面に引き出し、それをより暗くする)、加齢(例えば、年齢とともに、目の周りの皮膚は更に薄くなり、これにより、目の下のクマがより顕著になる)、疲労(疲れによって皮膚がより青白くなり、これにより、クマがより暗く見え得る)、アレルギー(例えば、アレルギー反応が目の下の領域にくすみを生じさせ得、引っ掻くこと又は擦ることによって皮膚がより暗くなり得るために、人が目を擦るようになる状態はクマをより悪化させ得る)、妊娠又は月経(例えば、妊娠中及び月経中に皮膚が薄くなり、これにより、クマがより暗く見える)、及び不十分な栄養が挙げられる。
【0026】
別の非限定的な例として、目の下の皮膚が腫脹し、視覚的に望ましくなくなる状態は、腫れぼったい目と呼ばれる。腫れぼったい目は、増加した血管新生、毛細血管漏出、より多くの流体で充填され得る薄化/弛緩皮膚、目の下のたるみの原因となり得る脂肪体の喪失、並びに化学物質の放出を引き起こし、それにより、目の周りの組織を腫脹させ得るアレルギー、ダスト、及び汚染物質を含む、いくつかの要因によって引き起こされ得る。
【0027】
例えば、腫れぼったい目又はクマを処置又は修復するための方法は、化粧用活性成分での真皮又は表皮の刺激を含む。そのような薬剤の使用は、皮膚細胞速度を更新し、基底細胞分裂を引き起こし得る。環境因子、化学物質、汚染物質、又は加齢によって引き起こされる、皮膚、特に、目の損傷を防止、低減、又は処置するために、いくつかのアプローチが利用されている。これらのアプローチのほとんどは、皮膚に作用するための1つ以上の薬剤を送達して効果を引き起こすことを含む。多くのアプローチでは、そのような薬剤の送達を達成するために、ポリマー材料が利用される。そのような薬剤の例としては、コラーゲンを刺激するためのレチノイド、フィルムなどの表皮再生を刺激するツール、又はパッチ内に1つ以上の活性剤を含浸若しくは担持するパッチが挙げられる。ほとんどのそのような用途は、所望の効果が見えるようになるために、数週間から時には数カ月の期間を必要とする。本発明の出願人は、電界紡糸親水性ナノポリマー繊維又はマイクロポリマー繊維の物理的特性が、化粧用活性成分が存在しなくても、又は化粧用活性成分が実質的に存在しない場合でも、対象の皮膚の欠陥を治癒、予防、又は処置することができることを発見した。1つ以上の親水性ポリマー繊維が、電界紡糸で利用され、本発明の電界紡糸繊維を生じさせ得る。
【0028】
具体的には、本明細書に開示される方法及び組成物は、皮膚の変化、例えば、静脈の拡張、目の下のたるみ、目の下のクマ、並びに目の周りの腫脹、小じわ及びしわを予防又は処置し、堅さ(硬化)、又は顔の皮膚の引き締めを増加させ、弾性の喪失、しわを低減し、ハリ又は色若しくは色調の均一性の喪失、粗い表面のきめ、加齢によるシミ、皮膚の水分量の減少を低減し、皮膚小じわ及び/又はしわの平滑化、並びに皮膚のリフティング及び硬化を生じるために使用されてもよい。特に、本発明は、静脈の拡張、目の下のたるみ、目の下のクマ、目の周囲の腫脹、小じわ及びしわ、弾性の喪失を修復又は低減し、引き締め感又は堅さを増加させ、ハリ又は色若しくは色調の均一性の喪失、荒い表面のきめ、加齢によるシミ、及び顔の皮膚、特に、目の周りの水分量の減少を低減するための方法に関する。
【0029】
本発明の一態様によれば、皮膚の外観を処置するための組成物及び方法が提供される。一実施形態では、組成物及び方法は、活性成分又は化粧剤を実質的に含まない。他の実施形態では、そのような組成物及び方法は、化粧用活性成分又は化粧剤を欠いている。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、部分的又は完全に溶解又は消失し得る(すなわち、肉眼では不可視になる)パッチ又はフィルム又はマスクなどの、皮膚での使用のための固体又は半固体組成物を企図する。
【0031】
本出願は、マイクロファイバー又はナノファイバーを含むポリマー繊維を使用して、皮膚を修復若しくは処置するか、又は皮膚の欠陥を低減し、皮膚、特に、目の周囲及び目の下の皮膚の視覚的外観を改善する方法を記載する。本発明の出願人は、驚くべきことに、ナノファイバーが、限定するものではないが、パッチ又はフィルムとして、皮膚上又は目の下で利用された場合、及びそのようなナノファイバーが活性成分又は化粧剤を実質的に含まない場合、皮膚の加齢及び皮膚の損傷が、短期間で有意に低減又は改善されたことを発見した。好ましい実施形態では、本出願人は、ナノファイバーが、限定するものではないが、パッチ又はフィルムとして、目の下の皮膚上又は皮膚上の組成物として利用された場合、及び組成物が活性成分又は化粧剤を欠いている場合、皮膚の加齢及び皮膚の損傷が、短期間で有意に低減又は改善されたことを発見した。
【0032】
電界紡糸は、ナノ材料の繊維状足場を作製するために利用される汎用技術である。他の材料の中でも、ポリマー及び/又はポリマー材料がそのようなプロセスで利用されてもよく、ナノ材料が堆積によって形成され、相互接続された三次元ネットワーク又は足場をもたらす。当業者は、電界紡糸のプロセスを容易に理解及び利用することができるであろう。
【0033】
一実施形態では、本発明は、皮膚上で使用するためのポリマー電界紡糸マイクロファイバー又はナノファイバーで作製された溶解又は消失するパッチを含む組成物を企図する。本発明による組成物は、パッチ又はマスクなどの固体、半固体、半液体組成物であり得る。パッチは、フィルムの形態であり得る。組成物、例えば、ポリマー電界紡糸マイクロファイバー又はナノファイバーのパッチは、活性成分若しくは活性剤を実質的に含まないか、又はそれを欠いており、更に、化粧用として許容可能な担体、賦形剤、又は軟化剤を含み得ることが企図される。好ましい実施形態では、組成物は、例えば、活性成分若しくは化粧剤を実質的に含まないか、又は欠いている、マイクロファイバー又はナノファイバーのパッチである。
【0034】
一実施形態では、フィルム又はパッチなどの組成物は、1つ以上の親水性若しくは疎水性ポリマー繊維又はそれらの混合物を含む。ポリマー繊維は、多孔質であり、ちぎれることなく皮膚上に適用するために機械的に強い。パッチ又はフィルムの構造材料は、皮膚上での所望の溶解速度を達成するように選択される。溶解することにより、繊維は、局所適用時又はその後に肉眼では不可視になる。いくつかの実施形態では、溶解速度は、約5秒、10秒、20秒、1分、2分、5分、又は10分の範囲である。任意の部分範囲も、本発明の範囲内にあるとみなされる。親水性ポリマー繊維としては、限定するものではないが、特に、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリピロリドン又はポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)、生分解性ポリ活性物質(ハードポリブチレンテレフタレートとのソフトポリエチレングリコールテレフタレートブロックコポリマー)が挙げられる。
【0035】
例示的な疎水性ポリマーとしては、限定するものではないが、ポリカルボタン(polycarbothane)(脂肪族ポリカーボネート系TPU)、Shore A75~Shore D72、ポリ(酢酸ビニル)、ポリスルホンポリ(塩化ビニル)、生分解性ポリラクチド(PLA)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、エポキシ、ポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレン、ポリケタール、酢酸セルロースが挙げられる。ポリマー繊維は、電界紡糸繊維である。
【0036】
より速い溶解速度を達成するために、ポリマー電界紡糸マイクロファイバー又はナノファイバーは、本質的に高度に親水性であるが、高度に疎水性の繊維は、溶解速度が低下する。好ましい実施形態では、溶解速度は、約1~5分の範囲である。更なる実施形態では、ナノファイバーは、約1nm~1000nmの範囲の直径を含む。好ましい実施形態では、ナノファイバーは、約0.05μm~0.5μmの範囲の直径を含む。好ましい実施形態では、ナノファイバーの厚さ(面密度)は、約1~100gsmの範囲内である。全ての範囲及び部分範囲は、本発明の主題内にあることが企図される。
【0037】
いくつかの実施形態では、マイクロファイバー又はナノファイバー(活性成分を実質的に含まないか、又は活性成分若しくは化粧剤を欠いている)は、皮膚上に適用する前に、水又は任意選択的な化粧用として許容可能な賦形剤で予備湿潤される。代替の実施形態では、皮膚は、ナノファイバーを適用する前に、水若しくは化粧用として許容可能な賦形剤で湿潤されるか、又は湿った状態にされる。
【0038】
本発明の出願人は、予想外かつ驚くべきことに、本明細書に開示される組成物を使用することによって、皮膚の外観を改善するという利益を達成した。本出願人は、驚くべきことに、組成物が活性成分若しくは化粧剤を実質的に含まないか、又は欠いている場合でも、及び活性成分又は化粧剤が存在しないいくつかの例では、ナノファイバーが、静脈の拡張、目の下のたるみ、目の下のクマ、及び目の周りの腫脹、小じわ及びしわ、弾性の喪失、しわ、ハリの喪失、色又は色調の均一性の喪失、荒い表面のきめ、加齢によるシミ、及び目の周りの皮膚の水分量の減少の低減、皮膚、小じわ及び/又はしわの平滑化、並びに皮膚のリフティング及び硬化含む、有意な化粧上の利益を提供することを見出した。
【0039】
フィルム又はパッチなどの固体又は半固体組成物は、完全に溶解可能であるか、又は消失する。フィルム又はパッチは、部分的に溶解可能であるか、又は消失し得る。本発明の組成物は、マイクロニードル、イオン導入、及び/又はエレクトロポレーションを含む、他の送達様式で利用されてもよい。例えば、一実施形態では、マイクロニードルは、皮膚に適用され、本明細書に開示される組成物、例えば、限定するものではないが、フィルム又はパッチは、マイクロニードルの上部に配置される(パッチの溶解を促進するために前処理され得る)。別の実施形態では、フィルム又はパッチは、イオン導入パッチの一部である。使用時の任意かつ全ての組み合わせ及び順列は、本発明の一部であることが企図される。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、1日に1回を上回る、2回を上回る、3回を上回る、4回を上回る使用のために製剤化され得る。好ましい実施形態では、組成物は、1日2回の使用のために製剤化され得る。より好ましい実施形態では、組成物は、朝及び夜寝る前に使用するために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、1日に1回を上回る、2回を上回る、3回を上回る、4回を上回る使用のために製剤化されてもよい。好ましい実施形態では、組成物は、1日2回の使用のために製剤化されてもよい。より好ましい実施形態では、組成物は、朝及び夜寝る前に使用するために製剤化されてもよい。好ましい実施形態では、パッチ又はフィルムの形態の組成物は、夜寝る前に適用され得、夜間を通して皮膚上に留まることが可能であり得る。
【0041】
一態様では、本発明の組成物は、限定するものではないが、パッチ又はフィルムなどの固体又は半固体化粧品として製剤化され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1~10の範囲のpHを有するように製剤化することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、約3.0、3.5、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、若しくはそれ以上を上回る数未満、又はその中で導き出せる任意の範囲若しくは整数のpHを有するように製剤化され得る。
【0043】
一態様では、本発明は、第2の層の下に第1の層を含む組成物(例えば、スキンケア組成物)であって、当該第1の層が、生体材料(コラーゲン、キトサン、セルロース、及びアルギネート、並びにそれらのナノスフェアからなる群から選択される材料が挙げられるが、これらに限定されない)を含み、当該第2の層が、ポリマー繊維を含み、当該繊維が、マイクロファイバー又はナノファイバーからなる群から選択される、組成物に関する。好ましい実施形態では、第2の層は、電界紡糸マイクロファイバー(又はナノファイバー)を含む。更なる実施形態では、ポリマーマイクロファイバー(又はナノファイバー)は、親水性ポリマーを含む。なお更なる実施形態では、ポリマーマイクロファイバー(又はナノファイバー)は、疎水性ポリマーを含む。追加の実施形態では、ポリマーマイクロファイバー(又はナノファイバー)は、湿潤時に接着特性を有する。更なる実施形態では、ポリマーマイクロファイバー(又はナノファイバー)は、湿潤時に不可視フィルムを形成し、これは追加の湿潤時に更に溶解する。更に別の実施形態では、ポリマーマイクロファイバー(又はナノファイバー)は、活性成分若しくは活性剤を実質的に含まないか、又は欠いている。いくつかの実施形態では、ポリマー繊維は、化粧用として許容可能な賦形剤又は軟化剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、湿潤前に、最初の接着を確実にするために、1つ以上の接着剤層をフィルム又はパッチに取り付けてもよい。
【0044】
本発明による組成物は、マイクロファイバー(又はナノファイバー)に使用されるポリマーの性質によって限定されない。任意の様々なポリマーを使用することができる。いくつかの実施形態では、複数の(異なる)ポリマーを一緒に又は別々に使用することができる。好ましい実施形態では、組成物は、疎水性ポリマー及び親水性ポリマーの両方を使用して作製される。本発明はまた、生体材料の性質によって限定されない。好ましい実施形態では、生体材料は、吸収性であり、更に高吸収性である。そのような実施形態では、本発明は、高吸収性の「スポンジ」を固体マイクロファイバー(又はナノファイバー)プラットフォームと組み合わせて、他の送達技術を上回る利点を得ることを企図する。本発明はまた、組成物中に存在する層の数によって限定されない。単一、二重、三重(又はそれ以上の層が企図される。例えば、一実施形態では、3層の電界紡糸繊維が、それらの層が1つの同じコレクターへ3つの先端を介して異なる溶液から電界紡糸されるように提供される。一実施形態では、本発明は、多層マトリックスを企図し、当該マトリックスは、活性成分若しくは化粧剤を実質的に含まないか、又は欠いている。
【0045】
一実施形態では、活性成分を実質的に含まないか、又は欠いているポリマー繊維を含む、組成物は、皮膚を予備湿潤させることなく皮膚に適用される。別の実施形態では、活性成分を実質的に含まないか、又は欠いているポリマー繊維を含む、組成物は、活性成分又は化粧剤を含まない水などの溶液又は溶媒で皮膚を予備湿潤させた後に皮膚に適用される。
【0046】
別の態様では、皮膚の視覚的外観を改善、処置、修復、又は低減する方法が提供される。方法は、活性成分若しくは化粧剤を実質的に含まないか、又は欠いている電界紡糸繊維を含む、有効量の組成物を局所的に投与することを含む。本発明は、皮膚を修復又は改善するための方法であって、ヒト対象に、上記によるスキンケア組成物(例えば、活性若しくは化粧剤若しくは成分を実質的に含まないか、又は欠いているポリマーマイクロファイバー若しくはナノファイバー)を提供することと、対象の皮膚に適用若しくは接触させることによってスキンケア組成物を投与することとを含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、フィルム又はパッチなどの固体又は半固体形態である。更なる実施形態では、組成物は、局所的又は経皮的に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、所与の日に1回を上回って適用され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、夜寝る前に適用され得る。いくつかの実施形態では、パッチ又はフィルムの形態の組成物は、夜寝る前に適用され、夜間を通して皮膚上に留まることが可能である。
【0047】
追加の実施形態では、対象は、静脈の拡張、目の下のたるみ、目の下のクマ、及び目の周囲の腫脹が起こり得る、皮膚に対する環境による損傷、小じわ及びしわ、弾性の喪失、しわ、ハリの喪失、色又は色調の均一性の喪失、荒い表面のキメ、加齢によるシミ、水分量の減少、皮膚、小じわ及び/又はしわの平滑化、並びに皮膚のリフティング及び硬化を含む、皮膚に対する視覚的に望ましくない外観などの皮膚の影響を受けた視覚的外観、物理的特性、若しくは生理学的機能と関連する症状を示すか、又はそれらを有することが疑われる。組成物の局所適用により、そのような皮膚状態は助長又は予防され得る。組成物の有効性を、本発明の組成物で対処されていない皮膚と比較することができる。特定の非限定的な実施形態では、皮膚は、組成物が皮膚に適用される領域(目など)及び/又はその周囲に局在させることができる。皮膚は、顔、胴体、背部、首、耳、骨盤、腕、手、脚(例えば、足首、膝、大腿)、足、又は臀部の皮膚であり得る。本発明の組成物で処置又は予防することができる皮膚欠陥の非限定的な例としては、毛細血管拡張症(すなわち、くも状静脈)、目のクマ(例えば、目の下のクマ)、腫れぼったい目、そう痒症、ホクロ、加齢によるシミ、老人性紫斑、角化症、肝斑、斑点、しわ、小じわ、結節、日焼けした皮膚、ニキビ、又は色素沈着過剰が挙げられる。特定の態様では、皮膚状態は、紫外線への曝露、年齢、照射、長期日光曝露、環境汚染物質、空気汚染、風、寒さ、熱、化学物質、疾患病理、又は喫煙によって引き起こされ得る。皮膚は、加齢した、栄養が損なわれた、又は環境的に損傷を受けた皮膚であり得る。特定の態様では、組成物は、皮膚の角質層代謝速度、皮膚のコラーゲン合成産生、皮膚の脂肪産生、皮膚のハリ、又は皮膚の弾性を増加させるのに有効な量で局所的に適用することができる。他の態様では、組成物は、皮膚内若しくは皮膚付近の新たな毛細血管の形成、皮膚への血流、皮膚内若しくは皮膚付近の流体量、又は皮膚におけるメラニン生成を低減又は阻害するのに有効な量で局所的に適用され得る。
【0048】
いくつかの例示的な実施形態では、本発明は、活性剤若しくは活性成分を実質的に含まないか、又は欠いている、電界紡糸ポリマーマイクロファイバー(又はナノファイバー)を含む、組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、特に、PVP繊維又はプルラン繊維で作製される。皮膚と接触すると、PVPは、溶解するか、又は部分的に溶解し、それにより、肉眼で完全に又は部分的に不可視になる。好ましい実施形態では、組成物は、1つを上回る層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、当該技術分野で既知のポリマー繊維の組み合わせで作製されてもよい。更なる実施形態では、ポリマーマイクロファイバー(又はナノファイバー)は、湿潤時に不可視フィルムを形成し、これは、追加の湿潤時に完全に又は部分的に更に溶解する。再度、本発明は、使用される特定のポリマーによって限定されることを意図するものではない。
【0049】
他の実施形態では、本発明は、PCL、PLA、PLGA、PVOH、ポリ酢酸ビニル、PAN、PA、HA、PEO/HA、又はそれらの混合物などの合成的に製造されたポリマー繊維を企図する。他の実施形態では、本発明は、プルラン若しくはヒアルロン酸又はそれらの組み合わせなどの天然ポリマー繊維を企図する。いくつかの他の実施形態では、ポリマーは、特に、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、又はそれらの混合物などのセラミック系であり得る。
【0050】
本発明はまた、本明細書に記載の様々なフィルム若しくはパッチ又は半液体組成物を含む、システムを企図する。したがって、一実施形態では、本発明は、予備湿潤用溶液と、皮膚パッチ又はフィルムとを含む、システムを企図し、当該皮膚パッチは、電界紡糸親水性繊維(マイクロファイバー又はナノファイバー)を含み、活性化粧剤若しくは活性成分を実質的に含まないか、又は欠いている。予備湿潤用溶液はまた、活性成分若しくは化粧剤を含まないか、又は欠いている。一実施形態では、システムは、皮膚を予備湿潤させ、5分未満(例えば、30秒未満、又はより好ましくは1~20秒)で完全に溶解する不可視フィルムを形成するための条件下で当該パッチを適用するための説明書を更に含む。
【0051】
本発明の組成物を含み得るシステム又はキットも開示される。
【0052】
特定の非限定的な態様において、組成物は、容器内に含まれる。
【0053】
容器は、ボトル、ディスペンサー、パッケージなどであり得る。容器は、所定量の組成物を分配するように構成され得る。容器は、半固体、液体、スプレー、乳剤、又はエアロゾル形態で組成物を分配するように構成され得る。特定の態様では、キット又はシステムは、その表面上の表示及び/又は組成物を使用するための説明書を含み得る。特定の態様では、キット又はシステムは、水若しくは生理食塩水などの活性成分若しくは活性剤を実質的に含まないか、又は欠いている、予備湿潤用溶液を含み得る。
【0054】
本発明の他の態様では、組成物は、皮膚状態を処置するためのレジメンの一部として使用され得る。例えば、レジメンは、本明細書全体を通して開示されるように、第1の事例において本発明の組成物を適用することを含み得る。このレジメンは、次に、第1の事例と同一である、類似する、又は異なる追加の適用を含み得る。追加の適用としては、例えば、本発明の組成物の第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、若しくはそれ以上の適用、及び/又は特定の皮膚状態を処置するための別の方法の有無(例えば、他の組成物、方法など)が挙げられ得る。レジメンはまた、朝及び/又は夜寝る前に組成物を適用することを含んでもよい。レジメンは、夜寝る前に組成物を適用し、夜間を通して組成物が皮膚上に留まることを可能にすることを更に含んでもよい。
【0055】
したがって、本発明の組成物は、少なくとも1つのナノファイバー(又はマイクロファイバー)層を含むパッチ又はマスクの形態であり得る。ナノファイバー(又はマイクロファイバー)は、疎水性若しくは親水性又はそれらの混合物であってもよい。ナノファイバ(又はマイクロファイバー)は、ポリマー、生体材料、天然に存在する材料、植物材料、合成親水性又は疎水性ポリマーを含む、任意の材料から作製されてもよい。
【0056】
実験
実施例1:
本発明によるナノファイバーパッチの効果を評価するための非限定的な臨床研究を実施した。研究は、カフェイン(活性成分)の有無別のナノファイバーパッチを用いた目の処置の効果を評価した。研究はまた、インライフ(in-life)視覚的等級付け及び3Dフリンジイメージング(fringe imaging)技術を使用して、目の下の腫れの外観及び特性を評価した。インライフ視覚的等級付けを使用して、目の下のしわを評価した。
【0057】
研究は、40~49歳(2人のパネリスト)、50~59歳(14人のパネリスト)、及び60~69歳(7人のパネリスト)の年齢分布内の25人のパネリストを評価した。処置パッチは、1.ナノファイバーPVPパッチ、20%のカフェイン及びセラムを含むナノファイバーPVPパッチを含む。
【0058】
試験包入基準を以下に列挙する。
・18~19歳の女性
・Fitzpatrick皮膚タイプI~IV
・目の下の腫れの等級3~6
・LGスコア分布:[2,3]=3;[3,4]=7;[4,5]=8;[5,6]=3;[6,7]=2。
【0059】
パッチをP.M.中に指定された目に適用した。目下をセラムで湿潤させ、パッチを適用した。パッチを5分間皮膚上に静置させ、プラスチック裏張り/接着剤を除去した。パッチを片目に1回適用した。適用は、カフェインパッチが適用された側に対して無作為化された。ナノファイバーPVP、カフェインを含むナノファイバーPVP(20%)、及びナノファイバーを含まないセラム単独を使用して、処置を行った。研究は、目の下の腫れ、目の下の小じわ及びしわ、並びに各条件についてR/C/Lでのvisia交差偏光標準1及び2照明条件について試験した。以下の時点を評価した:ベースライン、1時間、6時間、1週間、及び4週間。ベースライン後の評価は、6時間±30分、1週間±1日、及び4週間±2日間行った。ナノファイバーパッチ単独を使用した目の下の腫れについてのライブ等級付けの結果を図1に示す。ナノファイバーパッチ及びカフェインを使用した目の下の腫れについてのライブ等級付けの結果を図2に示す。
【0060】
結果は、1時間、6時間、1週間、及び4週間の時点でベースラインを超える有意な差がパッチにあったことを示す。カフェインの有無別のパッチからの結果の間に、有意な差は見出されなかった。更に、ナノファイバーパッチ単独が、目の下の腫れ及びクマを低減することに対する好影響を示す。この結果はまた、PRIMOS研究、レーザープロフィロメトリー(リフティング及び硬化の利益を含む)、及び追加のインビトロ研究による客観的測定も介して確認された。皮膚上のパッチの使用が、対象の皮膚に悪影響を引き起こさず、非常に良好な忍容性があったことも観察された。
【0061】
実施例2:
MatTek皮膚(人工的にしわがある)を使用してナノファイバーパッチの硬化効果の影響を評価するためのエクスビボ試験を行った。以下の材料を試験した:MatTek皮膚;PVPオリジナルパッチ、厚さ(面密度)3gsm;PVPパッチ、厚さ(面密度)3gsm;活性物質を含むPVP/HAパッチ、厚さ(面密度)3gsm;HA/PEO、厚さ(面密度)3gsm;及びプルラン、厚さ(面密度)10gsm。
【0062】
それぞれのパッチ円は、8mmの使い捨てバイオプシーパンチでシートを切断することによって調製した。円を水和したMatTek皮膚上に引き寄せ、保護プラスチックを除去した一方で、ナノ材料が皮膚内に溶解した。LJ-V7080をオンにし、試料をレーザー光ビームの下に置いた。コンピュータパラメータを実施して、LJ Navigator App、プロファイルのハイライト、高さ画像、測定、バッチ開始を介して写真を取得した。LJ-Observer、測定ハイライトを開く、2部分を特定する、及びプロファイル1を開くことを介して、測定を行った。トポグラフィープロファイルでの測定寸法により、それぞれ、試料の重量及び高さが提供された。結果を以下の表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
図3は、MatTek皮膚上のプルランの結果を示す。5つのナノファイバーパッチの測定値は、対照としてのしわのあるMatTekと比較して、MatTek皮膚のしわの幅及び高さの低減の違いを示している。結果は、プルランが100%のしわの低減を示し、それにより、小じわ及びしわ、弾性、ハリ、均一性、皮膚の引き締め、及び粗い表面のきめを修復、低減、及び改善することの改善を示し、それにより、特に目の周りの皮膚の全体的な外観、皮膚、小じわ及びしわの平滑化、並びに皮膚のリフティング及び硬化の改善を示している。
【0065】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な他の変更及び修正が行われ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内である全てのそのような変更及び修正を対象とすることが意図される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】