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特表2023-517533飲料製造装置の弾性組立体、残渣押し出し及び復帰ユニット、及び飲料製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】飲料製造装置の弾性組立体、残渣押し出し及び復帰ユニット、及び飲料製造装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20230419BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20230419BHJP
   A47J 31/60 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
A47J31/44 100
A47J31/36 119
A47J31/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552861
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2020110003
(87)【国際公開番号】W WO2021217961
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】202010365442.1
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522081783
【氏名又は名称】蘇州▲か▼楽美▲か▼琲机科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱 梅生
(72)【発明者】
【氏名】王 照亮
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA11
4B104BA72
4B104DA41
4B104EA07
4B104EA16
4B104EA28
(57)【要約】
飲料製造装置における残渣押し出し及び復帰ユニットであって、弾性組立体、及び、弾性組立体と組み合わせて使用される位置規制装置を含む。位置規制装置は、位置規制部材(4)と、位置規制部材(4)を取り付ける位置規制部材ベース(5)とを含み、弾性組立体は、弾性ベース(1)と弾性素子(2)と阻止素子(3)とを含む。位置規制部材による弾性組立体に対する駆動規制と、弾性素子(2)の制御可能な弾性の特性と合わせて利用して、弾性組立体が下方及び上方へ運動するときに決められた位置を切り替えることを実現できる。全自動飲料機のブリュワーに適用される場合、下部ピストン(8)の残渣押し出し及び復帰機能を実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料製造装置の残渣押し出し及び復帰ユニットであって、
前記飲料製造装置における下部ピストンの内面に設けられた弾性組立体、及び、前記弾性組立体と組み合わせて使用される位置規制装置を備えており、
前記弾性組立体と前記位置規制装置は、前記下部ピストンの阻止及び/又は前記下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現するように協働し、
前記位置規制装置は、剛性材料からなる位置規制部材と、前記位置規制部材が取り付けられる位置規制部材ベースと、を備え、
前記弾性組立体は弾性素子と阻止素子と弾性ベースとを備え、
前記弾性ベースは、前記弾性素子と前記阻止素子を収容し、且つ、前記弾性素子と前記阻止素子を前記下部ピストンの内部チャンバー内に固定するように構成され、
前記弾性素子は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に取り付けられて、前記阻止素子に弾性力を与えるように構成され、
前記阻止素子は剛性材料からなり、前記阻止素子は、前記下部ピストンが運動するとき、前記弾性素子の弾性力を受けて部分的に前記位置規制部材に当接するか、又は、前記阻止素子は、前記弾性素子と、剛性材料からなる前記位置規制部材との協働作用により前記弾性ベース内で全体的に変位することにより、前記下部ピストンの阻止及び/又は前記下部ピストンと前記ブルーイングシリンダとの相対運動を実現する
ことを特徴とする残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項2】
前記弾性ベースには、前記位置規制部材の外周面にマッチする内部円柱穴と、前記弾性ベースの周方向において設けられた少なくとも1つの径方向貫通穴とが形成され、
前記阻止素子は、前記弾性ベースにおける前記径方向貫通穴の中において径方向で移動可能に取り付けられ、
前記阻止素子の、前記内部円柱穴に近い一端には弧面部が設けられており、
前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端にスナップ部材が設けられるか、又は、前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端が縮径されることにより、前記弾性素子は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に突き当たって、径方向に沿って前記阻止素子の弧面部を前記内部円柱穴に押し込む
ことを特徴とする請求項1に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項3】
前記位置規制部材は剛性の位置規制カムであり、
前記位置規制カムの外径は前記弾性ベースの前記内部円柱穴にマッチする
ことを特徴とする請求項2に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項4】
前記位置規制部材は上部止め面及び下部止め面を含み、前記阻止素子が前記位置規制部材の前記上部止め面又は前記下部止め面に接触すると、前記下部ピストンの軸方向での運動が阻止されて、前記下部ピストンと前記ブルーイングシリンダとの相対運動が発生し、前記弾性組立体は前記位置規制部材の前記上部止め面と前記下部止め面の間で往復する
ことを特徴とする請求項3に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項5】
前記位置規制部材の前記上部止め面及び前記下部止め面はテーパ面である
ことを特徴とする請求項4に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項6】
前記位置規制部材の前記上部止め面と前記下部止め面の間の部分が位置規制部材本体であり、前記位置規制部材本体の外面は円柱面であり、前記円柱面の一部は凹形の曲面である
ことを特徴とする請求項5に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項7】
前記弾性ベースの内面に形成される内部円柱穴の直径は、前記位置規制部材の最大の外径より大きい
ことを特徴とする請求項1又は6に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項8】
複数の径方向貫通穴が、前記弾性ベースの周方向に沿って均一に配置される
ことを特徴とする請求項7に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項9】
前記阻止素子は剛性ボールであるか、又は、
前記阻止素子は、前記位置規制部材に近い一端に弧面部が設けられた剛性の柱体である
ことを特徴とする請求項8に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項10】
前記弾性素子はばねであり、
前記ばねの一端は、前記下部ピストンの内壁に直接又は間接的に突き当てられ、
前記ばねの他端は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に突き当たって、前記阻止素子の一部を前記弾性ベースの前記内部円柱穴に押し込む
ことを特徴とする請求項9に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項11】
前記弾性素子は、弾性クランプリングである
ことを特徴とする請求項9に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項12】
前記弾性ベースの外周面には、内方に凹む周方向の凹溝が形成され、前記周方向の凹溝は前記弾性クランプリングを保持するように構成され、
前記径方向貫通穴は、前記周方向の凹溝の中に設けられ、
前記周方向の凹溝に取り付けられる前記弾性クランプリングは、前記阻止素子を前記径方向貫通穴の中に位置規制する
ことを特徴とする請求項11に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項13】
前記弾性ベースの周方向には、液体ダクトを通過させるための軸方向キー溝が開口されている
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項14】
前記弾性組立体は、止め弾性ベースを介して前記下部ピストンに取り付けられ、
前記止め弾性ベースは互いに閉じ合う2つの半柱体からなる中空の円柱構造であって、前記2つの半柱体が閉じ合わせられて固定されることにより、前記弾性組立体は前記下部ピストンの内部チャンバーに固定される
ことを特徴とする請求項13に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項15】
前記止め弾性ベースは、前記2つの半柱体が枢着して閉じ合わせられた中空の円柱構造である
ことを特徴とする請求項14に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項16】
前記止め弾性ベースは、前記弾性組立体を収容するように設けられるチャンバーを有し、
前記チャンバーの両端は、前記弾性組立体の軸方向における運動を規制する段差面となり、
前記弾性組立体における前記弾性ベースのキー溝の両側の垂直面は、外向きに延出して前記弾性組立体における前記弾性ベースの外面から突出して係止フランジを形成し、
前記係止フランジは、前記止め弾性ベースにおける前記2つの半柱体が閉じ合わせられてなる凹溝に当接し、それと共に液体ダクトを通過させる
ことを特徴とする請求項15に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項17】
前記止め弾性ベースの内周面には環状凹溝が開口されており、
前記環状凹溝は、前記弾性素子に対向するように設けられ、前記弾性素子のために径方向における移動空間を提供する
ことを特徴とする請求項16に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項18】
前記2つの半柱体の周面にはそれぞれ、前記下部ピストンの周面における位置規制スナップ取付穴に対応する位置規制スナップ取付穴が設けられ、位置規制スナップが前記位置規制スナップ取付穴に埋め込まれることにより、前記弾性組立体と前記下部ピストンを固定する
ことを特徴とする請求項17に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項19】
前記位置規制部材は、前記位置規制部材ベースに回転可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項20】
飲料製造装置であって、
フレームと、
前記フレームに直接又は間接的に固定される上部ピストンと、
前記フレームに回転可能に支持される駆動主軸と、
前記駆動主軸に取り付けられるブルーイングシリンダと、
前記ブルーイングシリンダ内に取り付けられる下部ピストンと、を含み、
前記駆動主軸の駆動により、前記上部ピストンと前記下部ピストンは前記ブルーイングシリンダを閉じてブルーイングチャンバーを形成可能であり、前記下部ピストンと前記ブルーイングシリンダとの相対運動には上下限界位置が設けられており、
前記飲料製造装置は、請求項1~6、19のうちのいずれか1項に記載の残渣押し出し及び復帰ユニットを更に含み、
前記残渣押し出し及び復帰ユニットにおける前記位置規制部材ベースは、前記フレームの下端に取り付けられる
ことを特徴とする飲料製造装置。
【請求項21】
前記下部ピストンの中空円柱軸の周面には、位置規制スナップを取り付けるための取付穴が設けられ、
前記位置規制スナップの、前記下部ピストンの外周面から突出する部分は位置規制フランジを構成し、前記位置規制フランジは前記ブルーイングシリンダの止め端面に当接して、前記下部ピストンが前記ブルーイングシリンダの上端から離脱することを防止する
ことを特徴とする請求項20に記載の飲料製造装置。
【請求項22】
前記位置規制スナップは前記取付穴に埋め込まれて前記残渣押し出し及び復帰ユニットの前記弾性組立体を固定する
ことを特徴とする請求項21に記載の飲料製造装置。
【請求項23】
飲料製造装置の弾性組立体であって、
前記弾性組立体は、弾性素子と阻止素子と弾性ベースとを含み、
前記弾性ベースは、前記弾性素子と前記阻止素子を収容し、且つ、前記弾性素子と前記阻止素子を前記飲料製造装置における下部ピストンの内部チャンバー内に固定するように設けられ、
前記弾性素子は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に取り付けられて、前記阻止素子に弾性力を与えるように設けられ、
前記阻止素子は剛性材料からなり、前記阻止素子は、前記下部ピストンが運動するとき、前記弾性素子の弾性力を受けて部分的に飲料醸造手段の位置規制部材に当接するか、又は、前記阻止素子は、前記弾性素子と前記位置規制部材との協働作用により前記弾性ベース内で全体的に変位することにより、前記下部ピストンの阻止及び/又は前記下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現する
ことを特徴とする弾性組立体。
【請求項24】
前記弾性ベースには、前記位置規制部材の外周面にマッチする内部円柱穴、及び、前記弾性ベースの周方向において設けられた少なくとも1つの径方向貫通穴が形成され、
前記阻止素子は、前記弾性ベースにおける前記径方向貫通穴の内において径方向で移動可能に取り付けられ、
前記阻止素子の、前記内部円柱穴に近い一端は、弧面部であり、
前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端にスナップ部材が設けられるか、又は、前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端が縮径されることにより、前記弾性素子は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に突き当たって、径方向に沿って前記阻止素子の前記弧面部を前記内部円柱穴に押し込む
ことを特徴とする請求項23に記載の弾性組立体。
【請求項25】
前記阻止素子は剛性ボールであるか、又は、
前記阻止素子は、前記位置規制部材に近い一端が弧面である剛性の柱体である
ことを特徴とする請求項23又は24に記載の弾性組立体。
【請求項26】
前記弾性素子は、弾性クランプリングである、
ことを特徴とする請求項25に記載の弾性組立体。
【請求項27】
前記弾性素子は、ばねである、
ことを特徴とする請求項25に記載の弾性組立体。
【請求項28】
前記弾性ベースの外周面には、内方に凹む周方向の凹溝が形成され、前記周方向の凹溝は前記弾性クランプリングを保持するように構成され、
径方向貫通穴が、前記周方向の凹溝の中に設けられ、
前記周方向の凹溝に取り付けられる前記弾性クランプリングは、前記阻止素子を前記径方向貫通穴の中に位置規制する
ことを特徴とする請求項26に記載の弾性組立体。
【請求項29】
前記弾性ベースの周方向には、液体ダクトを通過させるための軸方向キー溝が開口されている
ことを特徴とする請求項23又は24に記載の弾性組立体。
【請求項30】
前記キー溝の両側の垂直面は、外向きに延出して前記弾性ベースの外面から突出して係止フランジを形成する
ことを特徴とする請求項29に記載の弾性組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料製造の技術分野に関し、特に飲料製造装置の残渣押し出し及び復帰ユニット、及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の飲料製造機器は、茶飲料抽出機器やコーヒー抽出機器などを含む。コーヒー抽出機器を例とすると、コーヒー抽出又は製造装置の主な部品としては上下部ピストンとブルーイングシリンダを含み、上下部ピストンはブルーイングシリンダとともにブルーイングチャンバーを形成する。ブルーイング中には、お湯が加圧輸送されてコーヒー粉を通過して、コーヒー飲料が生成され、さらにコーヒー飲料が出口管から注出される。ブルーイング完了後、次回のブルーイングのためにコーヒー残渣を除去する必要がある。従来技術では、一般的に、ブルーイングシリンダ内に取り付けられた下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を利用して、下部ピストンによりコーヒー残渣をブルーイングチャンバーから押し出すこと(すなわち残渣押し出し、残渣排出)、及び、下部ピストン並びにブルーイングシリンダをコーヒー粉投入位置に復帰させること(すなわち復帰)を実現することにより、コーヒーブルーイングのプロセス全体を完了させる。既存の一部の飲料製造装置、例えばコーヒー製造装置は、ブルーイングシリンダ内の下部ピストンとブルーイングシリンダを相対運動させることにより、上記した残渣押し出し及び復帰のプロセス、すなわち下部ピストンによりコーヒー残渣をブルーイングチャンバーから押し出すこと、及び、下部ピストン及びブルーイングシリンダをコーヒー粉投入位置に復帰させることを実現する。このような相対運動を遂行させるために、下部ピストンは、軸方向において移動できるようにブルーイングシリンダに取り付けられ、下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動位置には上下限界位置が設けられる。下部ピストンがブルーイングシリンダとの相対運動における上限界位置にある時、下部ピストンの上面とブルーイングシリンダの上端開口とは略同一面になって、残渣押し出しが遂行される。下部ピストンがブルーイングシリンダの底端まで運動してブルーイングシリンダの容積が最大になる時、下部ピストンはブルーイングシリンダとの相対運動における下限界位置にあって、コーヒー粉の収容が可能になる。
【0003】
今まで開示された技術による残渣押し出し及び復帰のプロセスにおいて、コーヒー残渣をブルーイングチャンバーから押し出すこと及び下部ピストンとブルーイングシリンダを復帰させることを実現するためには、ブルーイングシリンダ内の下部ピストンに運動を停止させ、及び/又は、ブルーイングシリンダと相対運動させる必要がある。このような機能を実現する構造は、コーヒー製造装置の下部ピストンの内面に配置される一般的にフレキシブル材料からなる圧縮可能な突起部と、コーヒー製造装置のフレームに固定される位置規制装置とにより構成される。ブルーイングシリンダが駆動主軸により駆動されて軸方向で運動するとき、下部ピストンの内面におけるフレキシブル材料からなる圧縮可能な突起部は位置規制装置とともに下部ピストンの運動を止めて、下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現して、上記の残渣押し出し及び復帰機能を遂行する。なお、ここでは、共に残渣押し出し及び復帰機能を果たすユニット(従来技術では下部ピストンの内面におけるフレキシブルで圧縮可能な突起部とフレームにおける位置規制装置である)を残渣押し出し及び復帰ユニットと定義する。しかしながら、上記した位置規制装置とともに下部ピストンの運動を阻止するフレキシブルで圧縮可能な突起部は、位置規制装置との摩擦接触が発生するため、使用時間が長くなるにつれて摩耗が深刻になるという課題がしばしば存在する。それによって、構造の信頼性が影響され、部品の動作安定性及び使用寿命が低下し、部品の交換によりコストが増加してしまう。
【0004】
以上の課題に鑑みて、性能が確実で安定し、使用寿命が長く、構造が簡単で、コストが比較的低い残渣押し出し及び復帰ユニット及び飲料製造装置を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の技術に存在する以上の課題を解決するために、構造が比較的簡単で、性能が確実で、使用寿命がより長い飲料製造装置の残渣押し出し及び復帰ユニットと、該ユニットを有する飲料製造装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明による技術案は以下の通りである。飲料製造装置の残渣押し出し及び復帰ユニットであって、飲料製造装置における下部ピストンの内面に設けられた弾性組立体、及び、該弾性組立体と組み合わせて使用される位置規制装置を含み、弾性組立体と位置規制装置は協同で下部ピストンの阻止及び/又は下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現するように構成される。ここで、前記位置規制装置は、剛性材料からなる位置規制部材と、位置規制部材が取り付けられる位置規制部材ベースとを含み、前記弾性組立体は、弾性素子と阻止素子と弾性ベースとを含む。弾性ベースは弾性素子と阻止素子を下部ピストンの内部チャンバー内に固定する。弾性素子は阻止素子の、下部ピストンの内壁に近い一端(すなわち外端)に取り付けられて阻止素子に弾性力を加える。阻止素子は剛性材料からなり、前記阻止素子は、弾性素子の弾性力を受けて下部ピストンが運動するときに部分的に位置規制部材に当接するか、又は、弾性素子と剛性材料からなる位置規制部材との協働作用によって弾性ベース内で全体的に変位することができ、それにより、下部ピストンの阻止及び/又は下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現する。阻止素子と前記位置規制部材はいずれも剛性材料からなるので、互いに作用するときに発生する相対変位による目立つ摩耗を防止して使用寿命を延長することができる。また、本発明は、阻止素子の材料自体の変形によって下部ピストンの阻止及び/又は下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現するのではなく、弾性素子などの作用によって阻止素子の全体的な変位を実現するため、構造全体が比較的簡単で、性能が確実で、使用寿命がより長くなる。
【0007】
具体的に、以下は弾性組立体の1つの具体的な実施例である。前記弾性ベースには、前記位置規制部材の外周面にマッチする内部円柱穴と、前記弾性ベースの周方向において設けられた少なくとも1つの径方向貫通穴とが形成される。阻止素子は、径方向に沿って移動できるように、前記弾性ベースの径方向貫通穴の中に取り付けられる。前記阻止素子の、前記内部円柱穴に近い一端には弧面部が設けられる。前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端(すなわち内端)が縮径されるか、又は、前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端(すなわち内端)にスナップ部材が設けられることによって、弾性素子は阻止素子の、下部ピストンの内壁に近い一端(すなわち外端)に突き当たり、それによって阻止素子の弧面部は径方向に沿って前記内部円柱穴に押し込ませる。対応するように、前記位置規制部材は具体的に剛性カムとして設けられ、以下では剛性カムを位置規制カムと称する。前記位置規制カムの外径は、前記弾性ベースの内部円柱穴にマッチする。ここで、前記スナップ部材は、径方向貫通穴の横断面に沿って径方向に設けられる突起であってもよく、これも、前記径方向貫通穴の、内部円柱穴に近い一端(すなわち内端)を縮径させて阻止素子が弾性ベースから内方に脱出できないようにする効果がある。無論、スナップ部材は、阻止素子を係止可能であれば、他の形態のものであってもよい。弾性素子が阻止素子にかける弾性力、及び、前記位置規制カムと阻止素子の相互作用力を利用して、阻止素子の、径方向貫通穴における位置を制御する。それにより、下部ピストンの阻止や下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対変位などの機能を実現する。阻止素子は内端が弧面であることにより位置規制部材と過渡的に接触するため、摩擦及び部材の摩耗が緩和する。
【0008】
以下、飲料機の残渣押し出し及び復帰のプロセスを参照しながら、動作プロセスを具体的に説明する。飲料を抽出した後、ブルーイングシリンダが下部ピストンを連れて下方に向けて第1の運動を行うとき、下部ピストンは弾性組立体を連れて一緒に下方へ運動する。この時、ブルーイングシリンダ、下部ピストン及び弾性組立体は運動速度が等しい。阻止素子が前記位置規制部材としての剛性の位置規制カムの上面、すなわち上部止め面に接触すると、第2の運動が開始する。この時、下部ピストンと弾性組立体が位置規制部材により止められて運動速度が低下するか又は完全に停止する一方、ブルーイングシリンダは下方へ運動し続けている。つまり、下部ピストンとブルーイングシリンダとは相対的に運動するようになる。ブルーイングシリンダが下部ピストンに対してこの両者の相対位置の上限界位置まで運動した時、すなわち下部ピストンの上部端面とブルーイングシリンダの上部端面とがほぼ同一面にある時、飲料醸造駆動手段が継続的に駆動しているため、ブルーイングシリンダは下部ピストンと共に下方へ押し付けられ、それによって、弾性組立体の、前記阻止素子における前記内部円柱穴の内に径方向に押し込まれた弧面部は、位置規制カムによって部分的に又は全体的に径方向貫通穴に圧入される。阻止素子は弾性素子と位置規制カムとの協働作用により径方向における全体的な変位を実現し、ブルーイングシリンダと下部ピストンは、位置規制カムによる阻害を突き破って第3の運動を行い、引き続き一緒に下方へ運動する。無論、弾性素子による作用を受けて、第3の運動の進行中に阻止素子は位置規制部材と摩擦する。そのため、この時に受ける抵抗は第1の運動中に受ける抵抗より大きい。ブルーイングシリンダと下部ピストンとが一緒に第3の運動を行う間、残渣排出部材は下部ピストンの上面にある飲料残渣の除去を遂行する。
【0009】
以降の運動過程は、位置規制カムの形態によって異なる。ここで、位置規制カムは高さによって2つの形態を有する。第1の形態の位置規制カムとして、位置規制カムは高さが十分に高く、すなわちブルーイングシリンダと下部ピストンが弾性組立体を連れて最低点まで運動しても位置規制カムの下面に到達しない。第2の形態の位置規制カムとして、位置規制カムは高さが低く、すなわちブルーイングシリンダと下部ピストンが弾性組立体を連れて先に位置規制カムの下面に到達し、その後最低点に到達するためには更に運動する必要がある。この場合、位置規制カムは2つの止め面を有し、すなわち位置規制カムの上面が上部止め面であり、下面が下部止め面であると考えられることができる。止め面の最大の外径はすなわち位置規制カムの最大の外径となり、弾性ベースの内部円柱穴の直径は前記位置規制カムの最大の外径より大きい。
【0010】
第1の形態の位置規制カムにおいて、ブルーイングシリンダと下部ピストンとが一緒に第3の運動を行って最低点まで到達した後、阻止素子の、前記内部円柱穴の中に径方向に押し込まれる弧面部は、位置規制カムにより部分的に又は全体的に径方向貫通穴に圧入された状態になる。この時、ブルーイングシリンダ、下部ピストン及び弾性組立体はすでに最低点に到達して静止状態になっており、阻止素子と位置規制部材との間には摩擦力が存在する。ブルーイングシリンダが駆動手段の駆動により上方への運動を開始した時、第4の運動が発生する。この時、下部ピストンが位置規制カムにより阻止されて運動速度の増加が遅いか又は完全に停止したままである一方、ブルーイングシリンダは、比較的速く上方へ運動し続ける。よって、下部ピストンとブルーイングシリンダとは相対的に運動するようになる。
第2の形態の位置規制カムにおいて、ブルーイングシリンダと下部ピストンとは一緒に第3の運動を行い、位置規制カムを通過して位置規制カムの下面、すなわち下止め面の下方まで到達する。この時、阻止素子は位置規制部材による阻止から離脱したため、弾性素子の作用力により元の位置に戻り、すなわち弧面部が前記内部円柱穴内に押し込まれる。ブルーイングシリンダ、下部ピストン及び弾性組立体は、このような状態を維持しながら最低点まで運動してから、静止状態になる。ブルーイングシリンダが上方への運動を開始し、阻止素子が位置規制部材(すなわち剛性の位置規制カム)の下面、すなわち下部止め面に接触すると、第4の運動が開始する。この時、下部ピストンは位置規制部材に阻止されて運動速度が低下するか又は完全に停止するが、ブルーイングシリンダは下方へ運動し続ける。よって、下部ピストンとブルーイングシリンダとが相対的に運動するようになる。
上記したいずれの形態の位置規制カムにおいても、ブルーイングシリンダが下部ピストンに対してこの両者の相対位置の下限界位置まで運動した時、すなわちブルーイングシリンダの容積が最大になった時、一般的にこの時には粉を充填することができる。第1の形態の位置規制カムにおいて、充填が完了した後、飲料醸造駆動手段により駆動されて、ブルーイングシリンダは下部ピストン及び弾性組立体を連れて位置規制カムによる阻害を克服し、第5の運動を行いながら一緒に上方へ運動する。
第2の形態の位置規制カムにおいて、充填が完了した後、飲料醸造駆動手段により駆動されて、ブルーイングシリンダは下部ピストンと共に上方に押し付けられる。それによって、阻止素子の、前記内部円柱穴の内に径方向に押し込まれる弧面部は、位置規制カムにより部分的に又は全体的に径方向貫通穴に圧入されて、阻止素子は弾性素子と位置規制カムとの作用により全体的な変位を実現する。したがってブルーイングシリンダと下部ピストンは、位置規制カムによる阻害を突き破って第5の運動を行い、一緒に上方へ運動することができる。ブルーイングシリンダが下部ピストン及び弾性組立体を連れて第5の運動を行う間、この三者は位置規制カムを通過して位置規制カムから離脱する。阻止素子が位置規制カムから離脱した時、阻止素子は弾性素子の弾性力を受けて元の位置に戻り、すなわち阻止素子の弧面部が前記内部円柱穴の中に径方向に押し込まれる。ブルーイングシリンダは下部ピストン及び弾性組立体を連れて一緒に上方へ運動して、上部ピストンと共にブルーイングチャンバーを形成してコーヒーの抽出を遂行する。飲料の抽出が完了した後、次のサイクルが行われ、ブルーイングシリンダは下部ピストンを連れて一緒に下方へ第1の運動を行う。弾性組立体と位置規制装置との協働を利用して、下部ピストンが飲料残渣をブルーイングチャンバーから徐々に押し出すこと、又は下部ピストン及びブルーイングシリンダが粉投入位置に復帰することを実現する。なお、弾性組立体と位置規制装置との両者を残渣押し出し及び復帰ユニットと称する。ここで、弾性素子による弾性作用を受けて、阻止素子は、位置規制部材からの推力が弾性素子の弾性力より大きい時に、径方向に沿って外方に向ける弾性変位が発生する。阻止素子と弾性素子との間の弾性力は、弾性部材のパラメータにより制御及び調整可能である。阻止素子が径方向貫通穴の中で移動可能にするために、径方向貫通穴の直径は阻止素子の輪郭の最大の外径以上とする。
【0011】
いくつかの好適な実施形態において、位置規制カムとして、上記第2の形態の位置規制カム、すなわち上部止め面と下部止め面とを含む位置規制カムを選択する。好ましくは、前記上部止め面と下部止め面はテーパ面である。テーパ面は阻止素子と接して過渡的に係合接触するように設けられ、そのメリットとしては、テーパ面と阻止素子が係合して、摩耗がより低減される。且つ、テーパ面の角度を変化させることにより弾性組立体の駆動力を変化させることができるため、調節及び制御が容易になる。
【0012】
位置規制カムの使用寿命を向上させ、ブルーイングシリンダが下部ピストン及び弾性組立体を連れて上記の第3の運動又は第5の運動を行うときに阻止素子と位置規制部材との間に発生する摩擦力を緩和するために、好ましくは、前記位置規制カムの上部止め面と下部止め面との間の一部の柱表面は凹形の曲面である。位置規制カムの凹形の曲面を設けることにより、阻止素子は弾性素子の作用により部分的に又は完全に回復し、すなわち阻止素子の弧面部が部分的に又は全体的に前記内部円柱穴の中に径方向に押し込まれる。よって、阻止素子と位置規制部材との間の摩擦及び弾性組立体の駆動によるエネルギー損失を低減した。
【0013】
弾性ベースの内面に形成される、位置規制部材の外面に対向する内部円柱穴の直径は、前記位置規制部材の最大の外径より大きい。複数の径方向貫通穴は、弾性ベースの周方向において均一に設けられ、複数の阻止素子が内部円柱穴に押し込まれる部分により構成される円は、位置規制部材の最大の外径より小さい。複数の径方向貫通穴と阻止素子を設けることにより、弾性組立体と位置規制部材との間の安定な接触を保証できる。ここで、径方向貫通穴は、阻止素子と弾性素子が径方向において移動できるように空間を提供する。
【0014】
ここで、好ましくは、阻止素子は、剛性ボールであるか、又は位置規制部材に近い一端に弧面部が設けられた剛性の柱体である。具体的な製造材料としてはステンレス鋼が好ましい。球体又は弧面の構造は、位置規制部材の上部止め面又は下部止め面に接触する時、斜面の過渡的な係合接触を実現することができ、部材間の摩耗が小さい。
【0015】
いくつかの実施形態において、弾性素子はばねであり、ばねは一端が下部ピストンの内壁に直接又は間接的に突き当たり、他端が阻止素子の、下部ピストンの内壁に近い一端(すなわち外端)に突き当たる。ばねは押圧されて阻止素子の一部を弾性ベースの内部円柱穴に押し込ませる。前記弾性ベースは、前記下部ピストンの内部円柱形の表面に固定的に取り付けられ、ばねは、外端が下部ピストンの内部円柱形の表面に突き当たり、他端が阻止素子の、前記内部円柱穴から離れる一端(すなわち外端)に突き当たる。
【0016】
いくつかの実施形態において、弾性素子は、好ましくは、弾性クランプリングである。弾性クランプリングは、オープンリングであってもよく、複数の阻止素子の外端に当接して、複数の阻止素子を、それぞれが保持される径方向貫通穴の内端に突き当たり且つ一部が前記内部円柱穴に突出するようにする。弾性ベースの外周面には、内方に凹む周方向の凹溝が形成され、周方向の凹溝は、弾性クランプリングを保持するように構成され、径方向貫通穴は周方向の凹溝の中に設けられる。周方向の凹溝に取り付けられる弾性クランプリングは、阻止素子を径方向貫通穴の中に位置規制する。弾性ベースの外周面には、液体ダクトを通過させるための軸方向キー溝が開口されている。好ましくは、前記弾性ベースの軸方向キー溝の両側の垂直面は外向きに延出して弾性ベースの外面を突出して係止フランジを形成する。
【0017】
正常の場合、飲料機の適用場所等の理由により、異なる飲料粉末の量に合わせるために、ブルーイングシリンダや上下部ピストンの穴径は一致しない可能性がある。弾性組立体のサイズが一定である場合、弾性組立体の組み立て及び取り外しを容易にするためには、前記弾性組立体と下部ピストンとの間に止め弾性ベースを設け、止め弾性ベースを介して前記弾性組立体を前記下部ピストンの内部チャンバーに間接的に取り付けることができる。このように、弾性組立体のサイズが一定である場合、止め弾性ベースのみを変更すれば、同じサイズの弾性組立体を異なる飲料機に適用することが可能になる。前記止め弾性ベースは、2つの互いに閉じ合う半柱体からなる中空の円柱構造であってもよく、中空の円柱構造は、弾性組立体にマッチし且つ弾性組立体を収容するように設けられるチャンバーを有する。2つの半柱体を閉じ合わせて固定することにより、弾性組立体を下部ピストンの内部チャンバーに固定する。止め弾性ベースは、弾性組立体が周方向において発生する転動及び軸方向において発生する移動を規制する。好ましくは、前記止め弾性ベースは2つの半柱体が枢着して閉じ合わせられてなる。枢着構造は簡単で柔軟であり、且つ弾性組立体、止め弾性ベース及び下部ピストンの組み立て及び取り外しを容易にする。
【0018】
また、前記位置規制部材は、前記位置規制部材ベースに回転可能に取り付けられる。位置規制部材と位置規制部材ベースとの間には軸方向の隙間及び径方向の隙間が設けられ、それによって、位置規制部材が飲料醸造手段の下部ピストンにおける弾性組立体に接触するときに位置規制部材ベースに対して適応的に回転可能になる。固定的に取り付ける組み立て方式に比べて、位置規制部材と位置規制部材ベースとを組み合わせるときに適切な隙間を設計することによって、位置規制部材が一定の回転自由度をもって前記フレームの位置規制部材ベースに取り付けられるようにする。弾性組立体が軸方向で移動して位置規制部材に接触するたびに、位置規制部材は弾性組立体の推力を受けて微小な回転が発生する。回転角度は小さいが、これにより毎回接触する時に摩擦が発生する位置が変化し、つまり毎回の摩擦位置も前回の摩擦位置と異なる。それによって、位置規制部材が常に阻止素子により同一の位置で摩耗されないようにして、位置規制部材の使用寿命を明らかに向上させることができることが実証された。
【0019】
本発明の目的を達成するために、飲料製造装置を開示する。該飲料製造装置は、フレームと、上部ピストンと、ブルーイングシリンダと、下部ピストンと、駆動主軸と、を備える。上部ピストンはフレームに直接又は間接的に固定され、駆動主軸はフレームに回転可能に支持され、ブルーイングシリンダは駆動主軸に取り付けられ、下部ピストンはブルーイングシリンダ内に取り付けられる。駆動主軸の駆動により、上部ピストンと下部ピストンは前記ブルーイングシリンダを閉じてブルーイングチャンバーを形成することができる。下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動には上下限界位置が設けられている。本発明に係る上記の残渣押し出し及び復帰ユニットを更に備え、前記残渣押し出し及び復帰ユニットにおける位置規制部材ベースは前記フレームの下端に取り付けられる。このような飲料製造装置は、構造が簡単で、信頼性が高く、使用寿命が長い。
【0020】
正常の場合、ブルーイングシリンダに対する下部ピストンの上向き移動の限界位置は、下部ピストンの底部に設けられたフランジと位置規制リングとの係合により決められる。本発明においては、前記下部ピストンの中空円柱軸の周面に、位置規制スナップを取り付けるための取付穴が更に設けられることができる。位置規制スナップの、前記下部ピストンの外周面から突出する部分は位置規制フランジを形成して、ブルーイングシリンダの底部の端面を止めて下部ピストンをブルーイングシリンダとの相対運動における上限界位置に位置させることによって、下部ピストンがブルーイングシリンダの上端から離脱することを防止する。さらに、位置規制スナップは、前記取付穴に埋め込まれて前記弾性組立体を固定する。位置規制スナップと取付穴を設けることによって、前記弾性組立体を下部ピストンの内部チャンバーの中に固定するとともに、ブルーイングシリンダに対する下部ピストンの上向き移動の限界位置を限定することができ、構造が簡単で、組み立て及び取り外しが容易であり、位置規制スナップは弾性を有するため装着や下部ピストンからの取り外しが便利である。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0022】
(1)本発明の残渣押し出し及び復帰ユニットは径方向に移動可能な阻止素子を備えており、阻止素子と位置規制部材との協働により下部ピストンの運動を止めることを実現する。従来の残渣押し出し及び復帰構造に比べて、本発明は構造が簡単である。さらに、阻止素子は弾性素子の弾性力により制御されて圧縮されるか又は元の状態に回復し、このような机械的構造は、柔性材料自体の圧縮及び回復に比べて、耐磨性及び動作信頼性が向上した。また、弾性素子の弾性力を制御することにより、阻止素子の駆動力が制御可能になる。
【0023】
(2)位置規制部材には、それぞれ残渣押し出し点と復帰点に対応するように配置される上部止め面と下部止め面が設けられる。止め面はテーパ面であり、剛性の阻止素子とは接するように接触するため、係合が確実で且つ部材の摩耗が小さい。テーパ面の角度を調整することにより、弾性組立体の駆動力を変えることができる。また、位置規制部材本体の中央部は凹面を有する曲面であるため、剛性の阻止素子が位置規制部材本体を通過する際にはある程度回復し、それによって弾性組立体が通過する際の摩擦抵抗が低減されて、駆動エネルギーの消耗や剛性部材の摩耗が緩和される。
【0024】
(3)位置規制部材は、ある程度の回転自由度をもって前記フレームの位置規制部材ベースに取り付けられる。阻止素子が位置規制部材に接触する際に、位置規制部材はある程度の推力を受けて適応的に回転することができ、したがって摩擦位置が変化する。つまり、位置規制部材はスチールボールによって常に同一の位置で摩耗されることなく、位置規制部材の寿命が向上する。
【0025】
(4)2つの半柱体から形成される止め弾性ベースにより、軸方向及び周方向において弾性組立体に対する位置規制を実現できる。従来の締り嵌めやネジ等によって弾性組立体を下部ピストンに固定することに比べて、本発明は構造が簡単で信頼性高く、取り付け作業が容易で迅速に実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1における弾性組立体の組立図及び分解図であり、図1Aは弾性組立体の組立図であり、図1Bは弾性組立体の分解図である。
図2】実施例1における弾性組立体と位置規制部材の分解図及び断面図であり、図2Aは弾性組立体と位置規制部材の分解図であり、図2Bは弾性組立体と位置規制部材の断面図である。
図3】実施例1における弾性組立体の弾性ベースの構造概略図である。
図4】実施例1における弾性組立体、止め弾性ベース及び下部ピストンの組み立て透視図である。
図5】実施例1における、コーヒー粉がブルーイングシリンダに充填されるステップにおけるコーヒー製造装置の断面図である。
図6】コーヒー抽出時に密閉されたブルーイングチャンバーを有する製造装置の断面図である。
図7】ブルーイングチャンバーが開放になって下部ピストンが残渣押し出し動作を開始するときの製造装置の断面図である。
図8】コーヒー残渣がブルーイングシリンダから押し出されたときの製造装置の断面図である。
図9】残渣排出時、弾性組立体のスチールボールが径方向に沿って変位して位置規制カム本体を通過するときの製造装置の断面図である。
図10】コーヒー残渣が残渣排出部材により完全に掻き取られたときの製造装置の断面図である。
図11】下部ピストンが準備状態に復帰したときの製造装置の断面図である。
図12】充填状態における製造装置の斜視図である。
図13】ブルーイングシリンダが最低位置にあるときの製造装置の斜視図である。
図14】弾性組立体内のスチールボールが径方向に沿って変位して位置規制カム本体を通過するときの製造装置の断面図である。
図15A-15C】実施例2における止め弾性ベースの展開状態及び閉じ合わせ状態を示す構造概略図である。
図16】実施例2における位置規制スナップの構造概略図である。
図17A】実施例2における位置規制スナップ、止め弾性ベース、弾性組立体及び下部ピストンの分解図である。
図17B】実施例2における位置規制スナップ、止め弾性ベース、弾性組立体及び下部ピストンの組立図である。
図18A-18B】実施例2における止め弾性ベース、下部ピストン及びブルーイングシリンダの、異なる視角から示す組立概略図である。
図19A-19B】実施例2における、下部ピストンがブルーイングシリンダに対する軸方向運動の2つの限界位置に位置するときの、弾性組立体、位置規制スナップ及び止め弾性ベースの断面概略図である。
図20】実施例3における弾性素子がばねである製造装置の部分断面図である。
図21】実施例3における弾性素子がばねである弾性組立体の分解図及び下部ピストンの概略図である。
図22】実施例4における阻止素子が柱体である製造装置の断面図である。
図23】実施例4における弾性素子がばねであり、阻止素子が柱体である弾性組立体の分解図及び下部ピストンの概略図である。
図24】実施例5における位置規制カムと位置規制カムベースとがある程度の回転自由度を保持可能に装着されることを示す概略図である。
図25】実施例5におけるスチールボールが位置規制部材の止め面に同時に接触しないことを示す概略図及び部分拡大図である。
図26】実施例5における位置規制カムの摩耗跡の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施例及び図面を参照しながら、本発明に係る技術案についてより詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限られない。
【0028】
なお、本発明の説明に記載の「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の用語により示される方位や位置関係は、図面に示される方位や位置関係に基づいて表現されており、本発明の説明の便宜上及び説明の簡素化のために用いられるものに過ぎず、それらが指している装置又は素子が必ずそれらの特定の方位を有するか又は特定の方位で構成或いは操作されなければならないことを示唆もしくは暗示するものではなく、本発明に対する制限として理解されてはならない。
【0029】
以下の実施例では、コーヒー製造装置における残渣押し出し及び復帰ユニットを紹介する。具体的には、以下のとおりである。
【0030】
<実施例1>
図1ないし図14に示すように、コーヒー製造装置はフレーム14内に保持される上部ピストン13を備え、上部ピストン13と同軸に取り付けられるブルーイングシリンダ10は上部ピストン13に対して軸方向において移動可能であり、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10の円柱形穴の中に取り付けられており、下部ピストン8もブルーイングシリンダ10に対して軸方向において移動可能である。下部ピストン8とブルーイングシリンダ10との相対運動には上下限界位置が設けられており、下部ピストン8は下限界位置部8aと上限界位置部8bを備える。ブルーイングシリンダの円柱穴の中には、下部ピストン8をブルーイングシリンダ10の円柱穴の内部に規制するための1つの段差面が形成されており、下部ピストン8の頂部端面(すなわち下限界位置部8a)がこの段差面に当接する時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10に対する最低位置(すなわち下限界位置)に位置する。下部ピストン8の底端の外周には上限界位置部8bとしてのフランジが設けられており、上限界位置部8bは下部ピストンがブルーイングシリンダのチャンバーの上端から離脱することを防止する。下部ピストンがブルーイングシリンダに対する最高位置(すなわち上限界位置)にある時、該フランジはブルーイングシリンダの底端の端面に当接する。ブルーイングシリンダ10の、駆動スクリューに近接する箇所にはネジ部が設けられており、ネジ部は駆動スクリュー15と噛み合い、駆動スクリュー15はフレーム14に回転可能に固定される。該駆動スクリュー15の両端には、剛性をもってフレーム14に保持される軸スリーブ16が設けられる。駆動スクリュー15は、加えられる駆動により時計回り又は反時計回りに回転可能であって、駆動スクリュー15は回転するとともにブルーイングシリンダ10を軸方向に沿って上下移動するように駆動する。本実施例における残渣排出部材11は、回転軸11aの周りに回転可能にブルーイングシリンダ10に固定される。コーヒー粉通路12は、回転軸12aの周りに回転可能にフレーム14に保持される。
【0031】
製造装置は、フレーム14に取り付けられる位置規制装置と、位置規制装置と組み合わせて使用される弾性組立体とを更に備える。この両者は、下部ピストン8の運動の阻止及び/又は下部ピストン8とブルーイングシリンダ10との相対運動を協同で実現して残渣の押し出し及びコーヒー粉投入位置への復帰の機能を遂行するので、この両者を残渣押し出し及び復帰ユニットと定義する。ここで、位置規制装置は、剛性材料からなる位置規制部材と、位置規制部材を取り付ける位置規制部材ベースとを備える。具体的に、位置規制部材は剛性カム、すなわち位置規制カムである。位置規制カムは、高さによって2つの形態に分けられるが、紙幅の都合などにより、本実施例における位置規制カムとしては、発明の概要の部分で言及された第2の形態の位置規制カム、すなわち上部止め面と下部止め面を有して高さが低い位置規制カム4を採用する。
【0032】
図2及び図5に示すように、位置規制部材ベース、すなわちカムベース5はフレーム14の下端に保持される。位置規制カム4は、ボルト7によってカムベース5に確実に固定され、位置規制カム4とブルーイングシリンダ10は同一の鉛直軸線上に位置する。本実施例における位置規制カム4は、上部止め面4a及び下部止め面4bがテーパ面である。
【0033】
位置規制装置は弾性組立体とセットで使用される。弾性組立体は図1Aに示す通りである。図1Bに示すように、弾性組立体は弾性ベース1と、弾性素子としての弾性クランプリング2と、阻止素子としてのスチールボール3とを含む。弾性組立体の好適な一実施形態として、図1図3に示すように、弾性ベース1は環状をなし、弾性ベース1には位置規制カム4の外面にマッチする内部円柱穴1aが形成されている。3つの径方向貫通穴が弾性ベース1の周方向に沿って均一に分布され、弾性ベース1の外周面には周方向の凹溝1dが開口され、周方向の凹溝はC字型である。径方向貫通穴は周方向の凹溝1dにおいて開口され、径方向貫通穴の直径は、スチールボールが径方向貫通穴の中で移動できるように、スチールボール3の直径以上となる。本実施例において、径方向貫通穴の内端、すなわち弾性ベース1の内部円柱穴1aに近接する一端は縮径される。又は、スナップ部材を設けることにより、各径方向貫通穴の内端の直径がスチールボール3の直径より若干小さくなるようにして、スチールボール3が弾性ベース1の内側から脱出しないようにしてもよい。弾性ベース1の内部円柱穴の直径は位置規制カム4の最大の外径より大きく、3つのスチールボールの、弾性ベース1の内部円柱穴に押し込まれる部分の最内端により形成される円は、位置規制カムの最大の外径より小さい。開口を有する弾性クランプリング2は周方向の凹溝1dの中に位置され、弾性クランプリング2からの作用を受けた各スチールボール3は、それぞれが収容される径方向貫通穴の内端縁部に突き当たり、且つ各スチールボール3の内端は径方向に沿って内部円柱穴1aの中に押し込ませる。
【0034】
弾性クランプリング2は弾性を有する。スチールボール3の内端が推力を受けると、スチールボール3は弾性クランプリング2が全体的に径方向外側に向けて弾性変位するように弾性クランプリング2を押し付ける(径方向貫通穴が弾性クランプリングとスチールボールの径方向における移動のために空間を提供する)。
【0035】
阻止素子としてのスチールボール3は、弾性素子としての弾性クランプリング2からの弾性力を受けて下部ピストン8の運動時に位置規制カム4に部分的に当接するか、又は、弾性素子としての弾性クランプリング2と剛性材料製の位置規制カム4との協働作用を受けて弾性ベース1内で全体的に変位することができる。これにより、下部ピストンの阻止及び/又は下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現して、下部ピストンによりコーヒー残渣をブルーイングチャンバーから押し出すこと、及び、下部ピストンをコーヒー粉投入位置に復帰させることを実現し、つまり残渣押し出し及び復帰機能を実現する。位置規制カム4の上部止め面4aと下部止め面4bにより弾性組立体に対して駆動規制をかけること、加えて弾性クランプリング2の弾性が制御可能であることを利用して、弾性組立体が下向き運動及び上向き運動を行う際に決められた位置の間で往復するようにして、残渣押し出し及び復帰機能を実現する。
【0036】
図2に示すように、本実施例における位置規制カム4の具体的な構造として、位置規制カム4の上端端面の外縁が外側に傾斜して傾斜した上部止め面4aを形成し、位置規制カムの下端端面の外縁が上側に傾斜して傾斜した下部止め面4bを形成し、上部止め面と下部止め面との間が位置規制カム本体となる。上部止め面4aの下端外縁から下へある程度の距離を延在する上円柱面4dが形成され、下部止め面の下端外縁から上へある程度の距離を延在する下円柱面4eが形成される。
【0037】
上円柱面と下円柱面との間に内方へ凹む曲面4cが形成されているため、弾性組立体が位置規制カムである位置規制部材4の本体を通過する時に発生する摩擦が減少する。無論、ここでの位置規制カムは真直ぐな円柱であってもよく、その上端面と下端面がそれぞれ上部止め面と下部止め面となる。
【0038】
以下、この実施例における弾性ベース1の具体的な構造を説明する。図2Aに示すように、弾性ベース1におけるC字型の周方向の凹溝の両端部の外周面には、液体ダクトが通過するためのキー溝1cが軸方向に沿って開口されており、キー溝1cの両側の垂直面は外側に向けて延出して弾性ベースの外面から突出して係止フランジ1bを形成する。図3は、図2とともに弾性ベースの1つの好適な構造を示す。弾性ベース1は、上から下へ、テーパ台1eと、第1の円柱台1fと、第2の円柱台1gとを順次備える。第1の円柱台1eは第2の円柱台1gの上方に位置し且つ外径が第2の円柱台1gの外径より小さい。テーパ台1eは第1の円柱台1fの上方に形成され、テーパ台1eの大きい一端の外径は第1の円柱台1fの外径に等しい。このような構造を有する弾性ベース1は、開口を有する弾性クランプリング2の取り付けを容易にする。テーパ台1e、第1の円柱台1f及び第2の円柱台1gの内面が、位置規制カム4の外面に対向する内部円柱穴1aを構成する。第1の円柱台1eの底端の、第2の円柱台1gに近接する箇所には、周方向に沿って外側に向けて開口する凹溝1dが形成されている。凹溝は、周方向で閉じられず、凹溝の両端はキー溝1cの両側付近まで延在する。凹溝1dは、弾性クランプリング2を受け入れるために用いられ、弾性クランプリング2は第1の円柱台1fと第2の円柱台1gとの境界に位置する。
【0039】
第1の円柱台1fと第2の円柱台1gとの境界面において、径方向貫通穴が径方向に沿って凹溝1dを貫通する。径方向貫通穴の直径は、凹溝の、弾性ベースの軸方向に沿う寸法より大きい。弾性ベース1は、テーパ台1e及び第1の円柱台1fの内面において形成された間欠的に設けられたスチールボール保持座1hと径方向スポーク1i、及び、第2の円柱台1gの内面において形成された、位置規制カム4の外周面にマッチする内部円柱穴1aを更に備える。
【0040】
弾性組立体は、止め弾性ベース6により下部ピストン8の内部チャンバーに同軸に固定され、止め弾性ベース6は、弾性組立体にマッチして弾性組立体を収容するためのチャンバーを有する。図4図5に示すように、止め弾性ベース6の内周には弾性クランプリング2に対向する環状溝が形成されており、環状溝は弾性クランプリング2の直径が大きくなる時に移動空間を提供する。弾性ベース1の係止フランジ1bは止め弾性ベース6に嵌合され、係止フランジ1bは、止め弾性ベース6の、液体ダクトが通過するための凹溝の周面に当接する。
【0041】
弾性組立体は一般の固定手段、例えばネジ固定によって、止め弾性ベース6を介して下部ピストンに固定されてもよい。
【0042】
一般の場合、飲料機の使用場所等の理由により、異なる飲料粉末の量に合わせるために、ブルーイングシリンダや上下部ピストンの穴径は一致しない可能性がある。弾性組立体の寸法が一定である場合、弾性組立体の組み立て及び取り外しを容易にするためには、弾性組立体と下部ピストン8との間に止め弾性ベース6を設けて、止め弾性ベース6を介して前記弾性組立体を前記下部ピストンの内部チャンバーに間接的に取り付けることができる。このように、弾性組立体の寸法が一定である場合、止め弾性ベース6のみを変更すれば、同じ寸法の弾性組立体を異なる飲料機に適用することができる。
【0043】
以上では、製造装置の基本的な部材を紹介した。以下は、動作プロセスを通じて残渣押し出し及び復帰ユニットの動作原理を説明する。
【0044】
図5では製造装置の充填位置を示している。この時、ブルーイングシリンダ10はREADY位置にあり、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10における最低位置にあり、弾性組立体は、位置規制カム4の下部止め面4bの下方に位置し、スチールボール3は、下部止め面4bに接するように接触する。下部ピストン8の下限界位置部8aは、ブルーイングシリンダ10の穴内の段差面に当接して、ブルーイングシリンダ10の下端を閉じてブルーイングチャンバーを形成する。残渣排出部材11は、ブルーイングシリンダ10の裏側に位置し、コーヒー粉9は、コーヒー粉通路12からブルーイングシリンダの円孔に投入される。
【0045】
図6に示すように、駆動スクリュー15は時計回りに回転することによって、ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って上方へ移動する(すなわち発明の概要に記載の第5の運動)ようにブルーイングシリンダ10を駆動する。この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10との相対運動における下限界位置にあり、ブルーイングシリンダ10に駆動されてブルーイングシリンダ10と共に軸方向に沿って上方へ移動する。ブルーイングシリンダ10の軸方向における移動の力が弾性組立体からの抵抗の力より大きいため、弾性組立体におけるスチールボール3は弾性クランプリング12の弾性作用を受けて径方向で退避して位置規制カム4を通過し、さらにブルーイングシリンダ10が上部ピストン13により閉じられるまでに上方へ移動する。この時、コーヒー粉9は上部ピストン13によって押圧され、密閉されたブルーイングチャンバーが形成され、コーヒーが製造される。
【0046】
図7に示すように、コーヒーの製造が完了した後、駆動スクリュー15は反時計回りに回転して、ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って下方へ移動するように駆動する。上部ピストン13はブルーイングシリンダ10から離脱して、ブルーイングシリンダ10の上端が開放状態になる。この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10と共に軸方向に沿って下方へ移動し、すなわち発明の概要に記載の第1の運動が行われる。下部ピストン8の下端における弾性組立体のスチールボール3が位置規制カム4の上部止め面4aに接触するときである。
【0047】
図8に示すように、ブルーイングシリンダ10は、軸方向に沿って続いて下方へ移動する。下部ピストン8とブルーイングシリンダ10との軸方向における相対運動によって発生する摩擦力は弾性組立体において発生する抵抗の力(すなわちスチールボール3に対する弾性クランプリング2の弾性力)より小さいため、上部止め面4aはスチールボール13を止めて下部ピストン41がブルーイングシリンダ43と共に下方へ移動できないように規制する。この時、発明の概要に記載の第2の運動が開始する。この時、ブルーイングシリンダ10は続いて軸方向に沿って下方へ移動するが、下部ピストンはブルーイングシリンダに対して運動して、ブルーイングチャンバー内のコーヒー粉が押し出される。
【0048】
図9図10に示すように、駆動スクリュー15は続いて反時計回りに回転し、ブルーイングシリンダ10は続いて軸方向に沿って下方へ移動し、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10との軸方向での相対移動における上限界位置にちょうど位置する。下部ピストン8の上限界位置部はブルーイングシリンダ10の底部の端面に当接し、ブルーイングシリンダの上端はピストンの上端とほぼ同一面になる。この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10に駆動されてブルーイングシリンダ10と共に軸方向に沿って下方へ移動し、つまり第3の運動が開始する。ブルーイングシリンダが軸方向に沿って下方へ移動する力は弾性組立体が該移動を止める力より大きいため、弾性組立体におけるスチールボール3は、径方向で退避して(弾性組立体におけるスチールボール3は径方向貫通穴に沿って弾性クランプリング12を外方に押し付けて径方向で退避する)、位置規制カム4の下部止め面4bの下方に到達するまでに、位置規制カム4と接する摩擦運動を行いながら位置規制カム4の本体を通過する。この時、コーヒー粉9は、残渣排出部材11が回転することにより、ブルーイングシリンダ10から掻き取られる。ここまで、図10に示すよう、製造装置の残渣押し出し及び残渣排出の動作が完了する。ブルーイングシリンダ10はすでに製造装置4の最下端まで移動しており、スチールボール13は弾性クランプリング12の弾性作用により初期位置に戻る。
【0049】
図11に示すように、駆動スクリュー15が時計回りに回転してブルーイングシリンダ10を軸方向に沿って上方へ移動するように駆動し、この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10の上端に位置し、下部ピストン8上の弾性組立体におけるスチールボール3は位置規制カム4の下部止め面4bにより規制される。ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って上方へ移動し、すなわち第4の運動が開始したとき、下部ピストン8は位置規制カム4に阻止されて速度の増加が遅いか又は完全に停止したままでブルーイングシリンダ10と同期に移動しないが、ブルーイングシリンダは比較的速く上方へ運動し続ける。よって、下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動が発生する。下部ピストン8の下限界位置部がブルーイングシリンダ10の穴内の段差面に当接する時、下部ピストンはブルーイングシリンダとの相対運動における下限界位置に位置する。駆動スクリュー15は回転を停止し、ブルーイングシリンダ10の軸方向の移動が停止し、コーヒー製造装置は充填位置に復帰する。つまり、この製造装置が粉の充填、粉の押し固め、コーヒーの抽出、残渣の押し出し、残渣の排出、下部ピストンの復帰の一連の動作を完成する。
【0050】
<実施例2>
本実施例と実施例1との相違点として、図15A図15C及び図17Aに示すように、本実施例における止め弾性ベース6は2つの半柱体が枢着して閉じ合わせられた中空の円柱構造であり、中空の円柱構造には、弾性組立体にマッチし且つ弾性組立体を収容するチャンバーが設けられる。枢着構造は簡単で柔軟である。無論、2つの半柱体が閉じ合わせられる方式は、枢着構造に限らない。図15A~15Cに示すように、止め弾性ベース6の好適な具体的な構造において、2つの半柱体は枢着部6gによって相対的に回転可能であり、2つの半柱体が閉じ合わせられて形成される上段円柱穴6bと下段円柱穴6eとの間には、弾性組立体を取り付けるためのチャンバー6cが存在し、チャンバー6cは弾性ベース1の外面にマッチする。チャンバー6cは、止め弾性ベース6の周面に形成された環状凹溝6dを含み、環状凹溝6dは、弾性クランプリング2に対向するように設けられ、弾性クランプリング2の直径が増加した時に発生する径方向上の変位のために空間を提供する。上段円柱穴6bの底端と下段円柱穴6eの上端には、それぞれ弾性ベース1の端面の位置を規制するための位置決め端面が設けられている。
【0051】
弾性ベースの係止フランジ1bは、止め弾性ベース6における2つの半柱体が閉じ合わせられる箇所で形成された凹溝6hにおける、2つの半柱体の周面6aに当接して、それと共に飲料ダクトが通過し且つ弾性ベース1の転動を規制することを実現する。
【0052】
上段円柱穴6bから上方に向かって、直径が上段円柱穴6bの直径より大きい1つの段差が形成される。
【0053】
下段円柱穴6eから下方に向かって、直径が下段円柱穴6eの直径より大きい輪郭が形成される。
【0054】
上記の止め弾性ベース6自体の構造により、止め弾性ベース6は弾性組立体の周方向における転動及び軸方向における移動を規制する。この構造を有する止め弾性ベースによる弾性組立体に対する軸方向及び周方向の位置規制は、従来の締り嵌め又はネジ等による固定方式に比べて、構造が簡単で確実で、取り付けが便利で速い。
【0055】
また、止め弾性ベース6、弾性組立体及び下部ピストン8の固定手段としては、位置規制スナップ17による固定を採用する。位置規制スナップ17の形状は図16に示すように、スナップ部、接続スナップ部、及び、弾性を付与する接続部を含み、位置規制スナップ17は弾性を有する。
【0056】
図15A図15B図17A図17B図18A図18B及び図19A図19Bに示すように、止め弾性ベース6の外周の周方向には、互いに対称する取付穴である弧状溝6fが設けられる。弧状溝は弾性ベース1の第2の円柱台1fに対向し、それに対応するように、下部ピストンの周面には2つの弧状の溝、すなわち取付穴8cが設けられる。位置規制スナップ17のスナップ部は弧状溝に嵌め合い且つ弾性ベース1に当接して、その弾性によって止め弾性ベース6を挟み付けて弾性組立体を固定する。位置規制スナップ17の、弧状溝に埋め込まれる両端の一方が開口状である。ブルーイングシリンダ10の底部の周面の両側には溝10bが設けられており、位置規制スナップ17は溝10bを貫通してブルーイングシリンダ10の端面10aに当接して位置規制フランジとしての役割を果たす。位置規制スナップ17の接続部は、止め弾性ベース6及び下部ピストン8の底端にある2つの平行な凹溝の中に埋め込まれて、位置規制を実現する。位置規制スナップは図16に示す形態に限らず、例えば、接続部は下部ピストンの外周面に整合した弧状であってもよく、この場合スナップ部は下部ピストンの取付穴に埋め込まれる。位置規制スナップは、弾性組立体、止め弾性ベース6及び下部ピストン8の取り外し可能な固定接続方式の実現に寄与するとともに、位置規制フランジの役割を果たして、下部ピストン8がブルーイングシリンダ10の上端から離脱することを防止することができる。この構造は簡単で、部品が節約され、固定が確実で、且つブルーイングシリンダからの下部ピストンの取り外しが容易で、一部材が多用途に用いられ、構造が簡単で、操作が便利且つ柔軟である。
【0057】
<実施例3>
実施例1に対する相違点は以下の通りである。図20図21に示すように、弾性組立体は弾性素子であるばね2’と、阻止素子であるスチールボール3と、弾性ベース1’とを含む。弾性ベース1’は、周方向にスチールボール3を取り付けるための径方向貫通穴が設けられ、周方向に軸方向キー溝が設けられ、底端にフランジ1’aが設けられる。フランジ1hは下部ピストン8の下端における溝に埋め込まれて下部ピストンがブルーイングシリンダの止め端面から離脱することを防止する。弾性組立体は、締り嵌め又は固定部材を介して下部ピストン8の内穴に取り付けられる。ばね2’は、自由状態において押圧され、一端が下部ピストン8の内周面に当接し、他端がスチールボール3に当接する。ばね2’の作用により、スチールボール3は、内端が径方向貫通穴の内端に当接し、径方向において弾性ベース1’の内部円柱穴に押し込まれる。径方向貫通穴の内端は、スチールボールが弾性ベース1’の内部から脱出しないように縮径される。
【0058】
<実施例4>
実施例3に対する相違点は以下の通りである。図22図23に示すように、阻止素子は、一端が弧面となる柱体3’であり、柱体3’は、弾性ベース1’における径方向貫通穴の中に径方向で移動可能に取り付けられる。ばね2’の一端はピストンの内壁に当接して柱体3’を径方向貫通穴内に固定させ、柱体3’の内端は推力を受けるときに外方に向かって径方向において弾性変位する。
【0059】
柱体3’が径方向貫通穴内で移動可能にするために、径方向貫通穴の直径は柱体3’の最大直径以上とする。径方向貫通穴の内端(すなわち内部円柱穴に近い一端)は、内側への柱体の運動が規制されて柱体が径方向貫通穴から脱出しないように、縮径されるか又は係止口が設けられる。弾性組立体は下部ピストン8の内穴に取り付けられ、ばね2’は、自由状態において押圧され、一端が下部ピストン8の内周面に当接し、他端が柱体3’に当接する。ばねの弾性力の作用により、柱体3’の内端は径方向貫通穴の内端縁に突き当たって、柱体の弧面が弾性ベース1’の内部円柱穴に径方向に沿って押し込まれる。径方向貫通穴は、ばね2’と柱体3’が径方向に移動する空間を提供する。
【0060】
弾性組立体と下部ピストンとの固定手段としては、締り嵌め又はネジによる固定などの通常の固定手段によって実現されてもよい。また、取り外しを容易にするために、前記した位置規制スナップ17による固定を採用してもよい(図示せず)。弾性組立体の外周面には2つの弧状溝が対称に開口しており、それに対応して、下部ピストンの外周面にも弧状溝が開口する。位置規制スナップ17は両側から2つの部材の弧状溝に嵌めて弾性ベースを挟み付けて、下部ピストン8と弾性組立体との固定を実現するとともに、位置規制フランジの役割を果たす。
【0061】
<実施例5>
前記したカムベースに固定的に取り付けられる位置規制カムは、運動中に弾性組立体との間で摩擦が発生する。摩擦が発生すると、必ず摩耗が発生する。位置規制カムは剛性をもって固定されるため、毎回同一の位置(図26に示す)が摩耗されることになる。このような摩耗は、これらの材料が高耐摩耗性の材料でない限り、位置規制カムの使用寿命を大幅に低下させるに違いないが、高耐摩耗性の材料の価格は往々にして高価である。
【0062】
本実施例では、位置規制カムの組み合わせを最適化することにより、位置規制カムと弾性組立体の動作状態を変化させ、位置規制カムの使用寿命を向上させる。
【0063】
具体的には、位置規制カム4とカムベース5とを組み合わせる際、位置規制カムに一定の自由度があることを保証するためにいくつかの適切な隙間を設計することができる。それにより、位置規制カムと弾性組立体は、動作中に毎回摩擦する位置を適応的に変化させることができる。実証結果によると、このような設計は位置規制カムの使用寿命を明らかに向上させることができる。
【0064】
図面から分かるように、図24に示すように、本実施例による位置規制装置は、カムベース5、位置規制カム4、固定ボルト7’及び固定ナット7aを含む。位置規制カム4には、上部止め面4a、下部止め面4b及び内穴AHが設けられ、カムベース5には、円柱AC、カム位置決め面DF、ボルト位置決め面CF、ナット位置決め面EF及びボルト取付穴5bが設けられる。位置規制カム4は、軸線Rに沿ってカムベース5の円柱ACに同軸に取り付けられ、位置規制カム4の下端面BFは、カムベース5の端面DFと重なり合う。固定ボルト7’は、ボルト取付穴5bを通してカムベース5に挿入するように組み付けられ、固定ボルト7’の先端面FFは、カムベース5のボルト位置決め面CFと重なり合うように組み付けられる。固定ナット7aは、固定ボルト7’のネジ端に螺着される。固定ナット7aは、カムベース5のナット位置決め面EFと重なり合うように取り付けられて、固定ボルト7’をカムベース5に固定する。固定ボルト7’の先端面FFとカムベース5のカム位置決め面DFとの間には1つの空間が存在しており、位置規制カム4は該空間内に取り付けられる。固定ボルト7’の先端面FFと位置規制カム22の上端面AFとの間には隙間61が設けられ、位置規制カム22の内穴とカムベース5の円柱ACとの間には隙間62が設けられる。設けられたこれらの隙間を介して、位置規制カム4は、軸線R回りに回転可能となる。
【0065】
この位置規制装置を実施例1に適用し、他の各部材の運動が実施例1のままであるとする。図7に示すように、コーヒー抽出が完了した後、駆動スクリュー15は反時計回りに回転してブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って下方へ移動するように駆動する。この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10と共に下方へ移動する。上記したように、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10に対して軸方向に沿って往復運動することができ、当該運動には上下限界位置が設けられている。この時、下部ピストン8はちょうどブルーイングシリンダ10の下端にあり、弾性組立体におけるスチールボール3は、位置規制カム4の上部止め面4aに接触するときに位置規制カム4に1つの推力Fを加える。開口を有する弾性クランプリング2が3つのスチールボールのそれぞれに加える弾性力が異なるため、3つのスチールボールはそれぞれ異なるタイミングに位置規制カムの止め面に接触することになる(図25に示す)。3つのスチールボールは、部分的に弾性ベース1の内部円柱穴に押し込まれ、位置規制カムに近い一端により形成される円の円心とカムベース5の円柱の円心とが一致しない。それにより、スチールボールは、位置規制カム4に接触する時に位置規制カム4に対して微小のトルクを与える。このトルクにより、位置規制カム4が軸線Rに沿って軽く回転する。その直後、下部ピストン8は止められて下方への移動が停止し、ブルーイングシリンダ10は、下部ピストン8がブルーイングシリンダ10との軸方向の相対移動における上限界位置に位置する時点までに、下方へ移動し続ける(図8に示す)。
【0066】
図9に示すように、ブルーイングシリンダは下方へ移動し続け、この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10と共に移動する。弾性組立体におけるスチールボール3は、位置規制カム4の下部止め面4bの下端に到達するまでに、装着穴に沿って弾性クランプリング2を外方に押し付けて位置規制カム4と接する摩擦運動を行う。上記したように、位置規制カム4は、スチールボール3に接触する時に軽く回転するので、今回の摩擦運動と前回の動作は、位置規制カム4上の同一の位置で発生しない。
【0067】
図10に示すように、ブルーイングシリンダ10はすでに製造装置の最下端まで動作しており、スチールボール3は弾性クランプリング2の弾性作用により初期位置に戻っている。駆動スクリュー15は、時計回りの回転を再開して、ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って上方へ移動するように駆動し、スチールボール3も一緒に上方へ移動する。この時、スチールボール3は、位置規制カム4の下止め面4bに接触して、位置規制カム4に1つの推力Fを与える。位置規制カム4は、この推力Fを受けて、再度軸線Rに関して回転運動を行う。下止め面4bはスチールボール3を止めて、下部ピストン8がブルーイングシリンダ10と共に上方へ移動することを規制する。下部ピストン8は、ブルーイングシリンダ10の上端にあり、ブルーイングシリンダ10との間に一定の距離の変位空間が存在する。ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って上方へ移動する時、下部ピストン8は静止したままである。ブルーイングシリンダ10は、下部ピストン8がブルーイングシリンダ10との軸方向の相対移動における下限界位置に位置するようになるまでに、上方へ移動し続ける(図11に示す)。そして、ブルーイングシリンダは動作を停止する。この時、製造装置は、一回のコーヒーブルーイングのプロセスを完了し、充填位置に復帰する。
【0068】
位置規制カムがカムベースに装着される時、X軸、Y軸及びZ軸のいずれにおいても一定の自由度を有する。位置規制カムは、軸方向に沿って一定の距離だけ変位可能であるとともに、微少な外力を受けることで自由に回転可能である。
【0069】
弾性組立体が軸方向に沿って移動して位置規制カムに接触すると、位置規制カムは、弾性組立体による推力を受けて軽く回転する。回転の角度は小さいが、これにより摩擦の発生位置が変化する。つまり、毎回の摩擦も前回の摩擦と発生位置が異なる。
【0070】
毎回に同一の位置で摩擦されるため、位置規制カムは摩耗が激化してしまう。それに対して、本発明では、動作毎に摩擦される位置が変わるので、位置規制カムには図26に示すような摩耗痕4fが残らず、コストや部品点数を増やすことなく、位置規制カムの使用寿命を明らかに向上させることができる。
【0071】
以上に記述した実施例は、当業者が本発明を実施するために必要な情報を提供し、本発明を実施するための最適の形態を示す。添付図面を参照しながら以上の記載を読むと、当業者は、本発明の思想を理解し、ここで特に説明されていない思想の適用を認識するであろう。これら構想及び適用は、本発明の開示及び添付の特許請求の範囲に含まれることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2022-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料製造装置の残渣押し出し及び復帰ユニットであって、
前記飲料製造装置における下部ピストンの内面に設けられた弾性組立体、及び、前記弾性組立体と組み合わせて使用される位置規制装置を備えており、
前記弾性組立体と前記位置規制装置は、前記下部ピストンの阻止及び/又は前記下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現するように協働し、
前記位置規制装置は、剛性材料からなる位置規制部材と、前記位置規制部材が取り付けられる位置規制部材ベースと、を備え、
前記弾性組立体は弾性素子と阻止素子と弾性ベースとを備え、
前記弾性ベースは、前記弾性素子と前記阻止素子を収容し、且つ、前記弾性素子と前記阻止素子を前記下部ピストンの内部チャンバー内に固定するように構成され、
前記弾性素子は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に取り付けられて、前記阻止素子に弾性力を与えるように構成され、
前記阻止素子は剛性材料からなり、前記阻止素子は、前記下部ピストンが運動するとき、前記弾性素子の弾性力を受けて部分的に前記位置規制部材に当接するか、又は、前記阻止素子は、前記弾性素子と、記位置規制部材との協働作用により前記弾性ベース内で全体的に変位する
とを特徴とする残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項2】
前記弾性ベースには、前記位置規制部材の外周面にマッチする内部円柱穴と、前記弾性ベースの周方向において設けられた少なくとも1つの径方向貫通穴とが形成され、
前記阻止素子は、前記弾性ベースにおける前記径方向貫通穴の中において径方向で移動可能に取り付けられ、
前記阻止素子の、前記内部円柱穴に近い一端には弧面部が設けられており、
前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端にスナップ部材が設けられるか、又は、前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端が縮径されることにより、前記弾性素子は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に突き当たって、径方向に沿って前記阻止素子の弧面部を前記内部円柱穴に押し込む
ことを特徴とする請求項1に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項3】
前記位置規制部材は剛性の位置規制カムであり、
前記位置規制カムの外径は前記弾性ベースの前記内部円柱穴にマッチする
ことを特徴とする請求項2に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項4】
前記位置規制部材は上部止め面及び下部止め面を含み、前記阻止素子が前記位置規制部材の前記上部止め面又は前記下部止め面に接触すると、前記下部ピストンの軸方向での運動が阻止されて、前記下部ピストンと前記ブルーイングシリンダとの相対運動が発生
ことを特徴とする請求項3に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項5】
前記阻止素子は剛性ボールであるか、又は、
前記阻止素子は、前記位置規制部材に近い一端に弧面部が設けられた剛性の柱体である
ことを特徴とする請求項に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項6】
前記弾性素子はばねであり、
前記ばねの一端は、前記下部ピストンの内壁に直接又は間接的に突き当てられ、
前記ばねの他端は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に突き当たって、前記阻止素子の一部を前記弾性ベースの前記内部円柱穴に押し込む
ことを特徴とする請求項に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項7】
前記弾性素子は、弾性クランプリングである
ことを特徴とする請求項に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項8】
前記弾性ベースの外周面には、内方に凹む周方向の凹溝が形成され、前記周方向の凹溝は前記弾性クランプリングを保持するように構成され、
前記径方向貫通穴は、前記周方向の凹溝の中に設けられ、
前記周方向の凹溝に取り付けられる前記弾性クランプリングは、前記阻止素子を前記径方向貫通穴の中に位置規制する
ことを特徴とする請求項に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項9】
前記弾性ベースの周方向には、液体ダクトを通過させるための軸方向キー溝が開口されている
ことを特徴とする請求項に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項10】
前記弾性組立体は、止め弾性ベースを介して前記下部ピストンに取り付けられ、
前記止め弾性ベースは互いに閉じ合う2つの半柱体からなる中空の円柱構造であって、前記2つの半柱体が閉じ合わせられて固定されることにより、前記弾性組立体は前記下部ピストンの内部チャンバーに固定される
ことを特徴とする請求項に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項11】
前記止め弾性ベースは、前記弾性組立体を収容するように設けられるチャンバーを有し、
前記チャンバーの両端は、前記弾性組立体の軸方向における運動を規制する段差面となり、
前記弾性組立体における前記弾性ベースの前記軸方向キー溝の両側の垂直面は、外向きに延出して前記弾性組立体における前記弾性ベースの外面から突出して係止フランジを形成し、
前記係止フランジは、前記止め弾性ベースにおける前記2つの半柱体が閉じ合わせられてなる凹溝に当接し、それと共に液体ダクトを通過させる
ことを特徴とする請求項10に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項12】
前記止め弾性ベースの内周面には環状凹溝が開口されており、
前記環状凹溝は、前記弾性素子に対向するように設けられ、前記弾性素子のために径方向における移動空間を提供する
ことを特徴とする請求項11に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項13】
前記2つの半柱体の周面にはそれぞれ、前記下部ピストンの周面における第2の取付穴に対応する第1の取付穴が設けられ、位置規制スナップが前記第1の取付穴及び前記第2の取付穴に埋め込まれることにより、前記弾性組立体と前記下部ピストンを固定する
ことを特徴とする請求項12に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項14】
前記位置規制部材は、前記位置規制部材ベースに回転可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の残渣押し出し及び復帰ユニット。
【請求項15】
飲料製造装置であって、
フレームと、
前記フレームに直接又は間接的に固定される上部ピストンと、
前記フレームの中に回転可能に保持される駆動主軸と、
前記駆動主軸に取り付けられるブルーイングシリンダと、
前記ブルーイングシリンダ内に取り付けられる下部ピストンと、を含み、
前記駆動主軸の駆動により、前記上部ピストンと前記下部ピストンは前記ブルーイングシリンダを閉じてブルーイングチャンバーを形成可能であり、前記下部ピストンと前記ブルーイングシリンダとの相対運動には上下限界位置が設けられており、
前記飲料製造装置は、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の残渣押し出し及び復帰ユニットを更に含み、
前記残渣押し出し及び復帰ユニットにおける前記位置規制部材ベースは、前記フレームの下端に取り付けられる
ことを特徴とする飲料製造装置。
【請求項16】
前記下部ピストンの中空円柱軸の周面には、位置規制スナップを取り付けるための取付穴が設けられ、
前記位置規制スナップの、前記下部ピストンの外周面から突出する部分は位置規制フランジを構成し、前記位置規制フランジは前記ブルーイングシリンダの止め端面に当接して、前記下部ピストンが前記ブルーイングシリンダの上端から離脱することを防止する
ことを特徴とする請求項15に記載の飲料製造装置。
【請求項17】
前記位置規制スナップは前記取付穴に埋め込まれて前記残渣押し出し及び復帰ユニットの前記弾性組立体を固定する
ことを特徴とする請求項16に記載の飲料製造装置。
【請求項18】
飲料製造装置の弾性組立体であって、
前記弾性組立体は、弾性素子と阻止素子と弾性ベースとを含み、
前記弾性ベースは、前記弾性素子と前記阻止素子を収容し、且つ、前記弾性素子と前記阻止素子を前記飲料製造装置における下部ピストンの内部チャンバー内に固定するように設けられ、
前記弾性素子は、前記阻止素子の、前記下部ピストンの内壁に近い一端である外端に取り付けられて、前記阻止素子に弾性力を与えるように設けられ、
前記阻止素子は剛性材料からなり、前記阻止素子は、前記下部ピストンが運動するとき、前記弾性素子の弾性力を受けて部分的に飲料製造装置の位置規制部材に当接するか、又は、前記阻止素子は、前記弾性素子と前記位置規制部材との協働作用により前記弾性ベース内で全体的に変位することにより、前記下部ピストンの阻止及び/又は前記下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現する
ことを特徴とする弾性組立体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料製造の技術分野に関し、特に飲料製造装置の弾性組立体、残渣押し出し及び復帰ユニット、及び飲料製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の飲料製造機器は、茶飲料抽出機器やコーヒー抽出機器などを含む。コーヒー抽出機器を例とすると、コーヒー抽出又は製造装置の主な部品としては上下部ピストンとブルーイングシリンダを含み、上下部ピストンはブルーイングシリンダとともにブルーイングチャンバーを形成する。ブルーイング中には、お湯が加圧輸送されてコーヒー粉を通過して、コーヒー飲料が生成され、さらにコーヒー飲料が出口管から注出される。ブルーイング完了後、次回のブルーイングのためにコーヒー残渣を除去する必要がある。従来技術では、一般的に、ブルーイングシリンダ内に取り付けられた下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を利用して、下部ピストンによりコーヒー残渣をブルーイングチャンバーから押し出すこと(すなわち残渣押し出し、残渣排出)、及び、下部ピストン並びにブルーイングシリンダをコーヒー粉投入位置に復帰させること(すなわち復帰)を実現することにより、コーヒーブルーイングのプロセス全体を完了させる。既存の一部の飲料製造装置、例えばコーヒー製造装置は、ブルーイングシリンダ内の下部ピストンとブルーイングシリンダを相対運動させることにより、上記した残渣押し出し及び復帰のプロセス、すなわち下部ピストンによりコーヒー残渣をブルーイングチャンバーから押し出すこと、及び、下部ピストン及びブルーイングシリンダをコーヒー粉投入位置に復帰させることを実現する。このような相対運動を遂行させるために、下部ピストンは、軸方向において移動できるようにブルーイングシリンダに取り付けられ、下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動位置には上下限界位置が設けられる。下部ピストンがブルーイングシリンダとの相対運動における上限界位置にある時、下部ピストンの上面とブルーイングシリンダの上端開口とは略同一面になって、残渣押し出しが遂行される。下部ピストンがブルーイングシリンダの底端まで運動してブルーイングシリンダの容積が最大になる時、下部ピストンはブルーイングシリンダとの相対運動における下限界位置にあって、コーヒー粉の収容が可能になる。
【0003】
今まで開示された技術による残渣押し出し及び復帰のプロセスにおいて、コーヒー残渣をブルーイングチャンバーから押し出すこと及び下部ピストンとブルーイングシリンダを復帰させることを実現するためには、ブルーイングシリンダ内の下部ピストンに運動を停止させ、及び/又は、ブルーイングシリンダと相対運動させる必要がある。このような機能を実現する構造は、コーヒー製造装置の下部ピストンの内面に配置される一般的にフレキシブル材料からなる圧縮可能な突起部と、コーヒー製造装置のフレームに固定される位置規制装置とにより構成される。ブルーイングシリンダが駆動主軸により駆動されて軸方向で運動するとき、下部ピストンの内面におけるフレキシブル材料からなる圧縮可能な突起部は位置規制装置とともに下部ピストンの運動を止めて、下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現して、上記の残渣押し出し及び復帰機能を遂行する。なお、ここでは、共に残渣押し出し及び復帰機能を果たすユニット(従来技術では下部ピストンの内面におけるフレキシブルで圧縮可能な突起部とフレームにおける位置規制装置である)を残渣押し出し及び復帰ユニットと定義する。しかしながら、上記した位置規制装置とともに下部ピストンの運動を阻止するフレキシブルで圧縮可能な突起部は、位置規制装置との摩擦接触が発生するため、使用時間が長くなるにつれて摩耗が深刻になるという課題がしばしば存在する。それによって、構造の信頼性が影響され、部品の動作安定性及び使用寿命が低下し、部品の交換によりコストが増加してしまう。
【0004】
以上の課題に鑑みて、性能が確実で安定し、使用寿命が長く、構造が簡単で、コストが比較的低い弾性組立体、残渣押し出し及び復帰ユニット及び飲料製造装置を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の技術に存在する以上の課題を解決するために、構造が比較的簡単で、性能が確実で、使用寿命がより長い飲料製造装置の弾性組立体、残渣押し出し及び復帰ユニット、及び、該ユニットを有する飲料製造装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明による技術案は以下の通りである。飲料製造装置の残渣押し出し及び復帰ユニットであって、飲料製造装置における下部ピストンの内面に設けられた弾性組立体、及び、該弾性組立体と組み合わせて使用される位置規制装置を含み、弾性組立体と位置規制装置は協同で下部ピストンの阻止及び/又は下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現するように構成される。ここで、前記位置規制装置は、剛性材料からなる位置規制部材と、位置規制部材が取り付けられる位置規制部材ベースとを含み、前記弾性組立体は、弾性素子と阻止素子と弾性ベースとを含む。弾性ベースは弾性素子と阻止素子を下部ピストンの内部チャンバー内に固定する。弾性素子は阻止素子の、下部ピストンの内壁に近い一端(すなわち外端)に取り付けられて阻止素子に弾性力を加える。阻止素子は剛性材料からなり、前記阻止素子は、弾性素子の弾性力を受けて下部ピストンが運動するときに部分的に位置規制部材に当接するか、又は、弾性素子と剛性材料からなる位置規制部材との協働作用によって弾性ベース内で全体的に変位することができ、それにより、下部ピストンの阻止及び/又は下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現する。阻止素子と前記位置規制部材はいずれも剛性材料からなるので、互いに作用するときに発生する相対変位による目立つ摩耗を防止して使用寿命を延長することができる。また、本発明は、阻止素子の材料自体の変形によって下部ピストンの阻止及び/又は下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現するのではなく、弾性素子などの作用によって阻止素子の全体的な変位を実現するため、構造全体が比較的簡単で、性能が確実で、使用寿命がより長くなる。
【0007】
具体的に、以下は弾性組立体の1つの具体的な実施例である。前記弾性ベースには、前記位置規制部材の外周面にマッチする内部円柱穴と、前記弾性ベースの周方向において設けられた少なくとも1つの径方向貫通穴とが形成される。阻止素子は、径方向に沿って移動できるように、前記弾性ベースの径方向貫通穴の中に取り付けられる。前記阻止素子の、前記内部円柱穴に近い一端には弧面部が設けられる。前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端(すなわち内端)が縮径されるか、又は、前記径方向貫通穴の、前記内部円柱穴に近い一端(すなわち内端)にスナップ部材が設けられることによって、弾性素子は阻止素子の、下部ピストンの内壁に近い一端(すなわち外端)に突き当たり、それによって阻止素子の弧面部は径方向に沿って前記内部円柱穴に押し込ませる。対応するように、前記位置規制部材は具体的に剛性カムとして設けられ、以下では剛性カムを位置規制カムと称する。前記位置規制カムの外径は、前記弾性ベースの内部円柱穴にマッチする。ここで、前記スナップ部材は、径方向貫通穴の横断面に沿って径方向に設けられる突起であってもよく、これも、前記径方向貫通穴の、内部円柱穴に近い一端(すなわち内端)を縮径させて阻止素子が弾性ベースから内方に脱出できないようにする効果がある。無論、スナップ部材は、阻止素子を係止可能であれば、他の形態のものであってもよい。弾性素子が阻止素子にかける弾性力、及び、前記位置規制カムと阻止素子の相互作用力を利用して、阻止素子の、径方向貫通穴における位置を制御する。それにより、下部ピストンの阻止や下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対変位などの機能を実現する。阻止素子は内端が弧面であることにより位置規制部材と過渡的に接触するため、摩擦及び部材の摩耗が緩和する。
【0008】
以下、飲料機の残渣押し出し及び復帰のプロセスを参照しながら、動作プロセスを具体的に説明する。飲料を抽出した後、ブルーイングシリンダが下部ピストンを連れて下方に向けて第1の運動を行うとき、下部ピストンは弾性組立体を連れて一緒に下方へ運動する。この時、ブルーイングシリンダ、下部ピストン及び弾性組立体は運動速度が等しい。阻止素子が前記位置規制部材としての剛性の位置規制カムの上面、すなわち上部止め面に接触すると、第2の運動が開始する。この時、下部ピストンと弾性組立体が位置規制部材により止められて運動速度が低下するか又は完全に停止する一方、ブルーイングシリンダは下方へ運動し続けている。つまり、下部ピストンとブルーイングシリンダとは相対的に運動するようになる。ブルーイングシリンダが下部ピストンに対してこの両者の相対位置の上限界位置まで運動した時、すなわち下部ピストンの上部端面とブルーイングシリンダの上部端面とがほぼ同一面にある時、飲料製造装置の駆動手段が継続的に駆動しているため、ブルーイングシリンダは下部ピストンと共に下方へ押し付けられ、それによって、弾性組立体の、前記阻止素子における前記内部円柱穴の内に径方向に押し込まれた弧面部は、位置規制カムによって部分的に又は全体的に径方向貫通穴に圧入される。阻止素子は弾性素子と位置規制カムとの協働作用により径方向における全体的な変位を実現し、ブルーイングシリンダと下部ピストンは、位置規制カムによる阻害を突き破って第3の運動を行い、引き続き一緒に下方へ運動する。無論、弾性素子による作用を受けて、第3の運動の進行中に阻止素子は位置規制部材と摩擦する。そのため、この時に受ける抵抗は第1の運動中に受ける抵抗より大きい。ブルーイングシリンダと下部ピストンとが一緒に第3の運動を行う間、残渣排出部材は下部ピストンの上面にある飲料残渣の除去を遂行する。
【0009】
以降の運動過程は、位置規制カムの形態によって異なる。ここで、位置規制カムは高さによって2つの形態を有する。第1の形態の位置規制カムとして、位置規制カムは高さが十分に高く、すなわちブルーイングシリンダと下部ピストンが弾性組立体を連れて最低点まで運動しても位置規制カムの下面に到達しない。第2の形態の位置規制カムとして、位置規制カムは高さが低く、すなわちブルーイングシリンダと下部ピストンが弾性組立体を連れて先に位置規制カムの下面に到達し、その後最低点に到達するためには更に運動する必要がある。この場合、位置規制カムは2つの止め面を有し、すなわち位置規制カムの上面が上部止め面であり、下面が下部止め面であると考えられることができる。止め面の最大の外径はすなわち位置規制カムの最大の外径となり、弾性ベースの内部円柱穴の直径は前記位置規制カムの最大の外径より大きい。
【0010】
第1の形態の位置規制カムにおいて、ブルーイングシリンダと下部ピストンとが一緒に第3の運動を行って最低点まで到達した後、阻止素子の、前記内部円柱穴の中に径方向に押し込まれる弧面部は、位置規制カムにより部分的に又は全体的に径方向貫通穴に圧入された状態になる。この時、ブルーイングシリンダ、下部ピストン及び弾性組立体はすでに最低点に到達して静止状態になっており、阻止素子と位置規制部材との間には摩擦力が存在する。ブルーイングシリンダが駆動手段の駆動により上方への運動を開始した時、第4の運動が発生する。この時、下部ピストンが位置規制カムにより阻止されて運動速度の増加が遅いか又は完全に停止したままである一方、ブルーイングシリンダは、比較的速く上方へ運動し続ける。よって、下部ピストンとブルーイングシリンダとは相対的に運動するようになる。
第2の形態の位置規制カムにおいて、ブルーイングシリンダと下部ピストンとは一緒に第3の運動を行い、位置規制カムを通過して位置規制カムの下面、すなわち下止め面の下方まで到達する。この時、阻止素子は位置規制部材による阻止から離脱したため、弾性素子の作用力により元の位置に戻り、すなわち弧面部が前記内部円柱穴内に押し込まれる。ブルーイングシリンダ、下部ピストン及び弾性組立体は、このような状態を維持しながら最低点まで運動してから、静止状態になる。ブルーイングシリンダが上方への運動を開始し、阻止素子が位置規制部材(すなわち剛性の位置規制カム)の下面、すなわち下部止め面に接触すると、第4の運動が開始する。この時、下部ピストンは位置規制部材に阻止されて運動速度が低下するか又は完全に停止するが、ブルーイングシリンダは下方へ運動し続ける。よって、下部ピストンとブルーイングシリンダとが相対的に運動するようになる。
上記したいずれの形態の位置規制カムにおいても、ブルーイングシリンダが下部ピストンに対してこの両者の相対位置の下限界位置まで運動した時、すなわちブルーイングシリンダの容積が最大になった時、一般的にこの時には粉を充填することができる。第1の形態の位置規制カムにおいて、充填が完了した後、飲料製造装置の駆動手段により駆動されて、ブルーイングシリンダは下部ピストン及び弾性組立体を連れて位置規制カムによる阻害を克服し、第5の運動を行いながら一緒に上方へ運動する。
第2の形態の位置規制カムにおいて、充填が完了した後、飲料製造装置の駆動手段により駆動されて、ブルーイングシリンダは下部ピストンと共に上方に押し付けられる。それによって、阻止素子の、前記内部円柱穴の内に径方向に押し込まれる弧面部は、位置規制カムにより部分的に又は全体的に径方向貫通穴に圧入されて、阻止素子は弾性素子と位置規制カムとの作用により全体的な変位を実現する。したがってブルーイングシリンダと下部ピストンは、位置規制カムによる阻害を突き破って第5の運動を行い、一緒に上方へ運動することができる。ブルーイングシリンダが下部ピストン及び弾性組立体を連れて第5の運動を行う間、この三者は位置規制カムを通過して位置規制カムから離脱する。阻止素子が位置規制カムから離脱した時、阻止素子は弾性素子の弾性力を受けて元の位置に戻り、すなわち阻止素子の弧面部が前記内部円柱穴の中に径方向に押し込まれる。ブルーイングシリンダは下部ピストン及び弾性組立体を連れて一緒に上方へ運動して、上部ピストンと共にブルーイングチャンバーを形成してコーヒーの抽出を遂行する。飲料の抽出が完了した後、次のサイクルが行われ、ブルーイングシリンダは下部ピストンを連れて一緒に下方へ第1の運動を行う。弾性組立体と位置規制装置との協働を利用して、下部ピストンが飲料残渣をブルーイングチャンバーから徐々に押し出すこと、又は下部ピストン及びブルーイングシリンダが粉投入位置に復帰することを実現する。なお、弾性組立体と位置規制装置との両者を残渣押し出し及び復帰ユニットと称する。ここで、弾性素子による弾性作用を受けて、阻止素子は、位置規制部材からの推力が弾性素子の弾性力より大きい時に、径方向に沿って外方に向ける弾性変位が発生する。阻止素子と弾性素子との間の弾性力は、弾性部材のパラメータにより制御及び調整可能である。阻止素子が径方向貫通穴の中で移動可能にするために、径方向貫通穴の直径は阻止素子の輪郭の最大の外径以上とする。
【0011】
いくつかの好適な実施形態において、位置規制カムとして、上記第2の形態の位置規制カム、すなわち上部止め面と下部止め面とを含む位置規制カムを選択する。好ましくは、前記上部止め面と下部止め面はテーパ面である。テーパ面は阻止素子と接して過渡的に係合接触するように設けられ、そのメリットとしては、テーパ面と阻止素子が係合して、摩耗がより低減される。且つ、テーパ面の角度を変化させることにより弾性組立体の駆動力を変化させることができるため、調節及び制御が容易になる。
【0012】
位置規制カムの使用寿命を向上させ、ブルーイングシリンダが下部ピストン及び弾性組立体を連れて上記の第3の運動又は第5の運動を行うときに阻止素子と位置規制部材との間に発生する摩擦力を緩和するために、好ましくは、前記位置規制カムの上部止め面と下部止め面との間の一部の柱表面は凹形の曲面である。位置規制カムの凹形の曲面を設けることにより、阻止素子は弾性素子の作用により部分的に又は完全に回復し、すなわち阻止素子の弧面部が部分的に又は全体的に前記内部円柱穴の中に径方向に押し込まれる。よって、阻止素子と位置規制部材との間の摩擦及び弾性組立体の駆動によるエネルギー損失を低減した。
【0013】
弾性ベースの内面に形成される、位置規制部材の外面に対向する内部円柱穴の直径は、前記位置規制部材の最大の外径より大きい。複数の径方向貫通穴は、弾性ベースの周方向において均一に設けられ、複数の阻止素子が内部円柱穴に押し込まれる部分により構成される円の直径は、位置規制部材の最大の外径より小さい。複数の径方向貫通穴と阻止素子を設けることにより、弾性組立体と位置規制部材との間の安定な接触を保証できる。ここで、径方向貫通穴は、阻止素子と弾性素子が径方向において移動できるように空間を提供する。
【0014】
ここで、好ましくは、阻止素子は、剛性ボールであるか、又は位置規制部材に近い一端に弧面部が設けられた剛性の柱体である。具体的な製造材料としてはステンレス鋼が好ましい。球体又は弧面の構造は、位置規制部材の上部止め面又は下部止め面に接触する時、斜面の過渡的な係合接触を実現することができ、部材間の摩耗が小さい。
【0015】
いくつかの実施形態において、弾性素子はばねであり、ばねは一端が下部ピストンの内壁に直接又は間接的に突き当たり、他端が阻止素子の、下部ピストンの内壁に近い一端(すなわち外端)に突き当たる。ばねは押圧されて阻止素子の一部を弾性ベースの内部円柱穴に押し込ませる。前記弾性ベースは、前記下部ピストンの内部円柱形の表面に固定的に取り付けられ、ばねは、外端が下部ピストンの内部円柱形の表面に突き当たり、他端が阻止素子の、前記内部円柱穴から離れる一端(すなわち外端)に突き当たる。
【0016】
いくつかの実施形態において、弾性素子は、好ましくは、弾性クランプリングである。弾性クランプリングは、オープンリングであってもよく、複数の阻止素子の外端に当接して、複数の阻止素子を、それぞれが保持される径方向貫通穴の内端に突き当たり且つ一部が前記内部円柱穴に突出するようにする。弾性ベースの外周面には、内方に凹む周方向の凹溝が形成され、周方向の凹溝は、弾性クランプリングを保持するように構成され、径方向貫通穴は周方向の凹溝の中に設けられる。周方向の凹溝に取り付けられる弾性クランプリングは、阻止素子を径方向貫通穴の中に位置規制する。弾性ベースの外周面には、液体ダクトを通過させるための軸方向キー溝が開口されている。好ましくは、前記弾性ベースの軸方向キー溝の両側の垂直面は外向きに延出して弾性ベースの外面を突出して係止フランジを形成する。
【0017】
正常の場合、飲料製造装置の適用場所等の理由により、異なる飲料粉末の量に合わせるために、ブルーイングシリンダや上下部ピストンの穴径は一致しない可能性がある。弾性組立体のサイズが一定である場合、弾性組立体の組み立て及び取り外しを容易にするためには、前記弾性組立体と下部ピストンとの間に止め弾性ベースを設け、止め弾性ベースを介して前記弾性組立体を前記下部ピストンの内部チャンバーに間接的に取り付けることができる。このように、弾性組立体のサイズが一定である場合、止め弾性ベースのみを変更すれば、同じサイズの弾性組立体を異なる飲料製造装置に適用することが可能になる。前記止め弾性ベースは、2つの互いに閉じ合う半柱体からなる中空の円柱構造であってもよく、中空の円柱構造は、弾性組立体にマッチし且つ弾性組立体を収容するように設けられるチャンバーを有する。2つの半柱体を閉じ合わせて固定することにより、弾性組立体を下部ピストンの内部チャンバーに固定する。止め弾性ベースは、弾性組立体が周方向において発生する転動及び軸方向において発生する移動を規制する。好ましくは、前記止め弾性ベースは2つの半柱体が枢着して閉じ合わせられてなる。枢着構造は簡単で柔軟であり、且つ弾性組立体、止め弾性ベース及び下部ピストンの組み立て及び取り外しを容易にする。
【0018】
また、前記位置規制部材は、前記位置規制部材ベースに回転可能に取り付けられる。位置規制部材と位置規制部材ベースとの間には軸方向の隙間及び径方向の隙間が設けられ、それによって、位置規制部材が飲料製造装置の下部ピストンにおける弾性組立体に接触するときに位置規制部材ベースに対して適応的に回転可能になる。固定的に取り付ける組み立て方式に比べて、位置規制部材と位置規制部材ベースとを組み合わせるときに適切な隙間を設計することによって、位置規制部材が一定の回転自由度をもって前記フレームの位置規制部材ベースに取り付けられるようにする。弾性組立体が軸方向で移動して位置規制部材に接触するたびに、位置規制部材は弾性組立体の推力を受けて微小な回転が発生する。回転角度は小さいが、これにより毎回接触する時に摩擦が発生する位置が変化し、つまり毎回の摩擦位置も前回の摩擦位置と異なる。それによって、位置規制部材が常に阻止素子により同一の位置で摩耗されないようにして、位置規制部材の使用寿命を明らかに向上させることができることが実証された。
【0019】
本発明の目的を達成するために、飲料製造装置を開示する。該飲料製造装置は、フレームと、上部ピストンと、ブルーイングシリンダと、下部ピストンと、駆動主軸と、を備える。上部ピストンはフレームに直接又は間接的に固定され、駆動主軸はフレームに回転可能に支持され、ブルーイングシリンダは駆動主軸に取り付けられ、下部ピストンはブルーイングシリンダ内に取り付けられる。駆動主軸の駆動により、上部ピストンと下部ピストンは前記ブルーイングシリンダを閉じてブルーイングチャンバーを形成することができる。下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動には上下限界位置が設けられている。本発明に係る上記の残渣押し出し及び復帰ユニットを更に備え、前記残渣押し出し及び復帰ユニットにおける位置規制部材ベースは前記フレームの下端に取り付けられる。このような飲料製造装置は、構造が簡単で、信頼性が高く、使用寿命が長い。
【0020】
正常の場合、ブルーイングシリンダに対する下部ピストンの上向き移動の限界位置は、下部ピストンの底部に設けられたフランジと位置規制リングとの係合により決められる。本発明においては、前記下部ピストンの中空円柱軸の周面に、位置規制スナップを取り付けるための取付穴が更に設けられることができる。位置規制スナップの、前記下部ピストンの外周面から突出する部分は位置規制フランジを形成して、ブルーイングシリンダの底部の端面を止めて下部ピストンをブルーイングシリンダとの相対運動における上限界位置に位置させることによって、下部ピストンがブルーイングシリンダの上端から離脱することを防止する。さらに、位置規制スナップは、前記取付穴に埋め込まれて前記弾性組立体を固定する。位置規制スナップと取付穴を設けることによって、前記弾性組立体を下部ピストンの内部チャンバーの中に固定するとともに、ブルーイングシリンダに対する下部ピストンの上向き移動の限界位置を限定することができ、構造が簡単で、組み立て及び取り外しが容易であり、位置規制スナップは弾性を有するため装着や下部ピストンからの取り外しが便利である。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0022】
(1)本発明の残渣押し出し及び復帰ユニットは径方向に移動可能な阻止素子を備えており、阻止素子と位置規制部材との協働により下部ピストンの運動を止めることを実現する。従来の残渣押し出し及び復帰構造に比べて、本発明は構造が簡単である。さらに、阻止素子は弾性素子の弾性力により制御されて圧縮されるか又は元の状態に回復し、このような机械的構造は、柔性材料自体の圧縮及び回復に比べて、耐磨性及び動作信頼性が向上した。また、弾性素子の弾性力を制御することにより、阻止素子の駆動力が制御可能になる。
【0023】
(2)位置規制部材には、それぞれ残渣押し出し点と復帰点に対応するように配置される上部止め面と下部止め面が設けられる。止め面はテーパ面であり、剛性の阻止素子とは接するように接触するため、係合が確実で且つ部材の摩耗が小さい。テーパ面の角度を調整することにより、弾性組立体の駆動力を変えることができる。また、位置規制部材本体の中央部は凹面を有する曲面であるため、剛性の阻止素子が位置規制部材本体を通過する際にはある程度回復し、それによって弾性組立体が通過する際の摩擦抵抗が低減されて、駆動エネルギーの消耗や剛性部材の摩耗が緩和される。
【0024】
(3)位置規制部材は、ある程度の回転自由度をもって前記フレームの位置規制部材ベースに取り付けられる。阻止素子が位置規制部材に接触する際に、位置規制部材はある程度の推力を受けて適応的に回転することができ、したがって摩擦位置が変化する。つまり、位置規制部材は阻止素子によって常に同一の位置で摩耗されることなく、位置規制部材の寿命が向上する。
【0025】
(4)2つの半柱体から形成される止め弾性ベースにより、軸方向及び周方向において弾性組立体に対する位置規制を実現できる。従来の締り嵌めやネジ等によって弾性組立体を下部ピストンに固定することに比べて、本発明は構造が簡単で信頼性高く、取り付け作業が容易で迅速に実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】本発明の実施例1における弾性組立体の組立図ある。
図1B本発明の実施例1における弾性組立体の分解図である。
図2A】実施例1における弾性組立体と位置規制部材の分解図ある。
図2B実施例1における弾性組立体と位置規制部材の断面図である。
図3】実施例1における弾性組立体の弾性ベースの構造概略図である。
図4】実施例1における弾性組立体、止め弾性ベース及び下部ピストンの組み立て透視図である。
図5】実施例1における、コーヒー粉がブルーイングシリンダに充填されるステップにおける飲料製造装置の断面図である。
図6】コーヒー抽出時に密閉されたブルーイングチャンバーを有する飲料製造装置の断面図である。
図7】ブルーイングチャンバーが開放になって下部ピストンが残渣押し出し動作を開始するときの飲料製造装置の断面図である。
図8】コーヒー残渣がブルーイングシリンダから押し出されたときの飲料製造装置の断面図である。
図9】残渣排出時、弾性組立体の阻止素子が径方向に沿って変位して位置規制カム本体を通過するときの製造装置の断面図である。
図10】コーヒー残渣が残渣排出部材により完全に掻き取られたときの飲料製造装置の断面図である。
図11】下部ピストンが準備状態に復帰したときの飲料製造装置の断面図である。
図12】充填状態における飲料製造装置の斜視図である。
図13】ブルーイングシリンダが最低位置にあるときの飲料製造装置の斜視図である。
図14】弾性組立体内の阻止素子が径方向に沿って変位して位置規制カム本体を通過するときの飲料製造装置の断面図である。
図15A-15C】実施例2における止め弾性ベースの展開状態及び閉じ合わせ状態を示す構造概略図である。
図16】実施例2における位置規制スナップの構造概略図である。
図17A】実施例2における位置規制スナップ、止め弾性ベース、弾性組立体及び下部ピストンの分解図である。
図17B】実施例2における位置規制スナップ、止め弾性ベース、弾性組立体及び下部ピストンの組立図である。
図18A-18B】実施例2における止め弾性ベース、下部ピストン及びブルーイングシリンダの、異なる視角から示す組立概略図である。
図19A-19B】実施例2における、下部ピストンがブルーイングシリンダに対する軸方向運動の2つの限界位置に位置するときの、弾性組立体、位置規制スナップ及び止め弾性ベースの断面概略図である。
図20】実施例3における弾性素子がばねである飲料製造装置の部分断面図である。
図21】実施例3における弾性素子がばねである弾性組立体の分解図及び下部ピストンの概略図である。
図22】実施例4における阻止素子が柱体である飲料製造装置の断面図である。
図23】実施例4における弾性素子がばねであり、阻止素子が柱体である弾性組立体の分解図及び下部ピストンの概略図である。
図24】実施例5における位置規制カムと位置規制カムベースとがある程度の回転自由度を保持可能に装着されることを示す概略図である。
図25】実施例5における阻止素子としてのスチールボールが位置規制部材の止め面に同時に接触しないことを示す概略図及び部分拡大図である。
図26】実施例5における位置規制カムの摩耗跡の概略図である。
【0027】
以下、本発明の具体的な実施例及び図面を参照しながら、本発明に係る技術案についてより詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限られない。
【0028】
なお、本発明の説明に記載の「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の用語により示される方位や位置関係は、図面に示される方位や位置関係に基づいて表現されており、本発明の説明の便宜上及び説明の簡素化のために用いられるものに過ぎず、それらが指している装置又は素子が必ずそれらの特定の方位を有するか又は特定の方位で構成或いは操作されなければならないことを示唆もしくは暗示するものではなく、本発明に対する制限として理解されてはならない。
【0029】
以下の実施例では、飲料製造装置における残渣押し出し及び復帰ユニットを紹介する。ここで、飲料製造装置はコーヒー製造装置であってもよい
【0030】
<実施例1>
図1ないし図14に示すように、飲料製造装置はフレーム14内に保持される上部ピストン13を備え、上部ピストン13と同軸に取り付けられるブルーイングシリンダ10は上部ピストン13に対して軸方向において移動可能であり、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10の円柱形穴の中に取り付けられており、下部ピストン8もブルーイングシリンダ10に対して軸方向において移動可能である。下部ピストン8とブルーイングシリンダ10との相対運動には上下限界位置が設けられており、下部ピストン8は下限界位置部8aと上限界位置部8bを備える。ブルーイングシリンダ10の円柱穴の中には、下部ピストン8をブルーイングシリンダ10の円柱穴の内部に規制するための1つの段差面が形成されており、下部ピストン8の頂部端面(すなわち下限界位置部8a)がこの段差面に当接する時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10に対する最低位置(すなわち下限界位置)に位置する。下部ピストン8の底端の外周には上限界位置部8bとしてのフランジが設けられており、上限界位置部8bは下部ピストンがブルーイングシリンダ10のチャンバーの上端から離脱することを防止する。下部ピストンがブルーイングシリンダ10に対する最高位置(すなわち上限界位置)にある時、該フランジはブルーイングシリンダ10の底端の端面に当接する。ブルーイングシリンダ10の、駆動スクリュー15に近接する箇所にはネジ部が設けられており、ネジ部は駆動スクリュー15と噛み合い、駆動スクリュー15はフレーム14に回転可能に固定される。該駆動スクリュー15の両端には、剛性をもってフレーム14に保持される軸スリーブ16が設けられる。駆動スクリュー15は、加えられる駆動により時計回り又は反時計回りに回転可能であって、駆動スクリュー15は回転するとともにブルーイングシリンダ10を軸方向に沿って上下移動するように駆動する。本実施例における残渣排出部材11は、回転軸11aの周りに回転可能にブルーイングシリンダ10に固定される。コーヒー粉通路12は、回転軸12aの周りに回転可能にフレーム14に保持される。
【0031】
製造装置は、フレーム14に取り付けられる位置規制装置と、位置規制装置と組み合わせて使用される弾性組立体とを更に備える。この両者は、下部ピストン8の運動の阻止及び/又は下部ピストン8とブルーイングシリンダ10との相対運動を協同で実現して残渣の押し出し及びコーヒー粉投入位置への復帰の機能を遂行するので、この両者を残渣押し出し及び復帰ユニットと定義する。ここで、位置規制装置は、剛性材料からなる位置規制部材と、位置規制部材を取り付ける位置規制部材ベースとを備える。具体的に、位置規制部材は剛性カム、すなわち位置規制カムである。位置規制カムは、高さによって2つの形態に分けられるが、紙幅の都合などにより、本実施例における位置規制カムとしては、発明の概要の部分で言及された第2の形態の位置規制カム、すなわち上部止め面と下部止め面を有して高さが低い位置規制カム4を採用する。
【0032】
図2A、図2B及び図5に示すように、位置規制部材ベース、すなわちカムベース5はフレーム14の下端に保持される。位置規制カム4は、ボルト7によってカムベース5に確実に固定され、位置規制カム4とブルーイングシリンダ10は同一の鉛直軸線上に位置する。本実施例における位置規制カム4は、上部止め面4a及び下部止め面4bがテーパ面である。
【0033】
位置規制装置は弾性組立体とセットで使用される。弾性組立体は図1Aに示す通りである。図1Bに示すように、弾性組立体は弾性ベース1と、弾性素子としての弾性クランプリング2と、阻止素子としてのスチールボール3とを含む。弾性組立体の好適な一実施形態として、図1図3に示すように、弾性ベース1は環状をなし、弾性ベース1には位置規制カム4の外面にマッチする内部円柱穴1aが形成されている。3つの径方向貫通穴が弾性ベース1の周方向に沿って均一に分布され、弾性ベース1の外周面には周方向の凹溝1dが開口され、周方向の凹溝1dはC字型である。径方向貫通穴は周方向の凹溝1dにおいて開口され、径方向貫通穴の直径は、スチールボールが径方向貫通穴の中で移動できるように、スチールボール3の直径以上となる。本実施例において、径方向貫通穴の内端、すなわち弾性ベース1の内部円柱穴1aに近接する一端は縮径される。又は、スナップ部材を設けることにより、各径方向貫通穴の内端の直径がスチールボール3の直径より若干小さくなるようにして、スチールボール3が弾性ベース1の内側から脱出しないようにしてもよい。弾性ベース1の内部円柱穴の直径は位置規制カム4の最大の外径より大きく、3つのスチールボールの、弾性ベース1の内部円柱穴に押し込まれる部分の最内端により形成される円の直径は、位置規制カムの最大の外径より小さい。開口を有する弾性クランプリング2は周方向の凹溝1dの中に位置され、弾性クランプリング2からの作用を受けた各スチールボール3は、それぞれが収容される径方向貫通穴の内端縁部に突き当たり、且つ各スチールボール3の内端は径方向に沿って内部円柱穴1aの中に押し込ませる。
【0034】
弾性クランプリング2は弾性を有する。スチールボール3の内端が推力を受けると、スチールボール3は弾性クランプリング2が全体的に径方向外側に向けて弾性変位するように弾性クランプリング2を押し付ける(径方向貫通穴が弾性クランプリングとスチールボールの径方向における移動のために空間を提供する)。
【0035】
阻止素子としてのスチールボール3は、弾性素子としての弾性クランプリング2からの弾性力を受けて下部ピストン8の運動時に位置規制カム4に部分的に当接するか、又は、弾性素子としての弾性クランプリング2と剛性材料製の位置規制カム4との協働作用を受けて弾性ベース1内で全体的に変位することができる。これにより、下部ピストンの阻止及び/又は下部ピストンとブルーイングシリンダとの相対運動を実現して、下部ピストンによりコーヒー残渣をブルーイングチャンバーから押し出すこと、及び、下部ピストンをコーヒー粉投入位置に復帰させることを実現し、つまり残渣押し出し及び復帰機能を実現する。位置規制カム4の上部止め面4aと下部止め面4bにより弾性組立体に対して駆動規制をかけること、加えて弾性クランプリング2の弾性が制御可能であることを利用して、弾性組立体が下向き運動及び上向き運動を行う際に決められた位置の間で往復するようにして、残渣押し出し及び復帰機能を実現する。
【0036】
図2A及び図2Bに示すように、本実施例における位置規制カム4の具体的な構造として、位置規制カム4の上端端面の外縁が外側に傾斜して傾斜した上部止め面4aを形成し、位置規制カムの下端端面の外縁が上側に傾斜して傾斜した下部止め面4bを形成し、上部止め面と下部止め面との間が位置規制カム本体となる。上部止め面4aの下端外縁から下へある程度の距離を延在する上円柱面4dが形成され、下部止め面の下端外縁から上へある程度の距離を延在する下円柱面4eが形成される。
【0037】
上円柱面4dと下円柱面4eとの間に内方へ凹む曲面4cが形成されているため、弾性組立体が位置規制カムの本体を通過する時に発生する摩擦が減少する。無論、ここでの位置規制カムは真直ぐな円柱であってもよく、その上端面と下端面がそれぞれ上部止め面と下部止め面となる。
【0038】
以下、この実施例における弾性ベース1の具体的な構造を説明する。図2Aに示すように、弾性ベース1におけるC字型の周方向の凹溝の両端部の外周面には、液体ダクトが通過するためのキー溝1cが軸方向に沿って開口されており、キー溝1cの両側の垂直面は外側に向けて延出して弾性ベースの外面から突出して係止フランジ1bを形成する。図3は、図2A及び図2Bとともに弾性ベースの1つの好適な構造を示す。弾性ベース1は、上から下へ、テーパ台1eと、第1の円柱台1fと、第2の円柱台1gとを順次備える。第1の円柱台1は第2の円柱台1gの上方に位置し且つ外径が第2の円柱台1gの外径より小さい。テーパ台1eは第1の円柱台1fの上方に形成され、テーパ台1eの大きい一端の外径は第1の円柱台1fの外径に等しい。このような構造を有する弾性ベース1は、開口を有する弾性クランプリング2の取り付けを容易にする。テーパ台1e、第1の円柱台1f及び第2の円柱台1gの内面が、位置規制カム4の外面に対向する内部円柱穴1aを構成する。第1の円柱台1の底端の、第2の円柱台1gに近接する箇所には、周方向に沿って外側に向けて開口する凹溝1dが形成されている。凹溝1dは、周方向で閉じられず、凹溝1dの両端はキー溝1cの両側付近まで延在する。凹溝1dは、弾性クランプリング2を受け入れるために用いられ、弾性クランプリング2は第1の円柱台1fと第2の円柱台1gとの境界に位置する。
【0039】
第1の円柱台1fと第2の円柱台1gとの境界面において、径方向貫通穴が径方向に沿って凹溝1dを貫通する。径方向貫通穴の直径は、凹溝1dの、弾性ベースの軸方向に沿う寸法より大きい。弾性ベース1は、テーパ台1e及び第1の円柱台1fの内面において形成された間欠的に設けられたスチールボール保持座1hと径方向スポーク1i、及び、第2の円柱台1gの内面において形成された、位置規制カム4の外周面にマッチする内部円柱穴1aを更に備える。
【0040】
弾性組立体は、止め弾性ベース6により下部ピストン8の内部チャンバーに同軸に固定され、止め弾性ベース6は、弾性組立体にマッチして弾性組立体を収容するためのチャンバーを有する。図4図5に示すように、止め弾性ベース6の内周には弾性クランプリング2に対向する環状溝が形成されており、環状溝は弾性クランプリング2の直径が大きくなる時に移動空間を提供する。弾性ベース1の係止フランジ1bは止め弾性ベース6に嵌合され、係止フランジ1bは、止め弾性ベース6の、液体ダクトが通過するための凹溝の周面に当接する。
【0041】
弾性組立体は一般の固定手段、例えばネジ固定によって、止め弾性ベース6を介して下部ピストンに固定されてもよい。
【0042】
一般の場合、飲料製造装置の使用場所等の理由により、異なる飲料粉末の量に合わせるために、ブルーイングシリンダや上下部ピストンの穴径は一致しない可能性がある。弾性組立体の寸法が一定である場合、弾性組立体の組み立て及び取り外しを容易にするためには、弾性組立体と下部ピストン8との間に止め弾性ベース6を設けて、止め弾性ベース6を介して前記弾性組立体を前記下部ピストンの内部チャンバーに間接的に取り付けることができる。このように、弾性組立体の寸法が一定である場合、止め弾性ベース6のみを変更すれば、同じ寸法の弾性組立体を異なる飲料製造装置に適用することができる。
【0043】
以上では、飲料製造装置の基本的な部材を紹介した。以下は、動作プロセスを通じて残渣押し出し及び復帰ユニットの動作原理を説明する。
【0044】
図5では飲料製造装置の充填位置を示している。この時、ブルーイングシリンダ10はREADY位置にあり、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10における最低位置にあり、弾性組立体は、位置規制カム4の下部止め面4bの下方に位置し、スチールボール3は、下部止め面4bに接するように接触する。下部ピストン8の下限界位置部8aは、ブルーイングシリンダ10の穴内の段差面に当接して、ブルーイングシリンダ10の下端を閉じてブルーイングチャンバーを形成する。残渣排出部材11は、ブルーイングシリンダ10の、駆動スクリュー15に近接する側に位置し、コーヒー粉9は、コーヒー粉通路12からブルーイングチャンバーに投入される。
【0045】
図6に示すように、駆動スクリュー15は時計回りに回転することによって、ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って上方へ移動する(すなわち発明の概要に記載の第5の運動)ようにブルーイングシリンダ10を駆動する。この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10との相対運動における下限界位置にあり、ブルーイングシリンダ10に駆動されてブルーイングシリンダ10と共に軸方向に沿って上方へ移動する。ブルーイングシリンダ10の軸方向における移動の力が弾性組立体からの抵抗の力より大きいため、弾性組立体におけるスチールボール3は弾性クランプリングの弾性作用を受けて径方向で退避して位置規制カム4を通過し、さらにブルーイングシリンダ10が上部ピストン13により閉じられるまでに上方へ移動する。この時、コーヒー粉9は上部ピストン13によって押圧され、密閉されたブルーイングチャンバーが形成され、コーヒーが製造される。
【0046】
図7に示すように、コーヒーの製造が完了した後、駆動スクリュー15は反時計回りに回転して、ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って下方へ移動するように駆動する。上部ピストン13はブルーイングシリンダ10から離脱して、ブルーイングシリンダ10の上端が開放状態になる。この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10と共に軸方向に沿って下方へ移動し、すなわち発明の概要に記載の第1の運動が行われる。
【0047】
下部ピストン8の下端における弾性組立体のスチールボール3が位置規制カム4の上部止め面4aに接触した後、図8に示すように、ブルーイングシリンダ10は、軸方向に沿って続いて下方へ移動する。下部ピストン8とブルーイングシリンダ10との軸方向における相対運動によって発生する摩擦力は弾性組立体において発生する抵抗の力(すなわちスチールボール3に対する弾性クランプリング2の弾性力)より小さいため、上部止め面4aはスチールボールを止めて下部ピストンがブルーイングシリンダ10と共に下方へ移動できないように規制する。この時、発明の概要に記載の第2の運動が開始する。この時、ブルーイングシリンダ10は続いて軸方向に沿って下方へ移動するが、下部ピストンはブルーイングシリンダ10に対して運動して、ブルーイングチャンバー内のコーヒー粉が押し出される。
【0048】
図9図10に示すように、駆動スクリュー15は続いて反時計回りに回転し、ブルーイングシリンダ10は続いて軸方向に沿って下方へ移動し、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10との軸方向での相対移動における上限界位置8bにちょうど位置する。下部ピストン8の上限界位置部はブルーイングシリンダ10の底部の端面に当接し、ブルーイングシリンダ10の上端は下部ピストンの上端とほぼ同一面になる。この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10に駆動されてブルーイングシリンダ10と共に軸方向に沿って下方へ移動し、つまり第3の運動が開始する。ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って下方へ移動する力は弾性組立体が該移動を止める力より大きいため、弾性組立体におけるスチールボール3は、径方向で退避して(弾性組立体におけるスチールボール3は径方向貫通穴に沿って弾性クランプリングを外方に押し付けて径方向で退避する)、位置規制カム4の下部止め面4bの下方に到達するまでに、位置規制カム4と接する摩擦運動を行いながら位置規制カム4の本体を通過する。この時、コーヒー粉9は、残渣排出部材11が回転することにより、ブルーイングシリンダ10から掻き取られる。ここまで、図10に示すよう、飲料製造装置の残渣押し出し及び残渣排出の動作が完了する。ブルーイングシリンダ10はすでに位置規制カム4の最下端まで移動しており、スチールボールは弾性クランプリングの弾性作用により初期位置に戻る。
【0049】
図11に示すように、駆動スクリュー15が時計回りに回転してブルーイングシリンダ10を軸方向に沿って上方へ移動するように駆動し、この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10の上端に位置し、下部ピストン8上の弾性組立体におけるスチールボール3は位置規制カム4の下部止め面4bにより規制される。ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って上方へ移動し、すなわち第4の運動が開始したとき、下部ピストン8は位置規制カム4に阻止されて速度の増加が遅いか又は完全に停止したままでブルーイングシリンダ10と同期に移動しないが、ブルーイングシリンダ10は比較的速く上方へ運動し続ける。よって、下部ピストンとブルーイングシリンダ10との相対運動が発生する。下部ピストン8の下限界位置部がブルーイングシリンダ10の穴内の段差面に当接する時、下部ピストンはブルーイングシリンダとの相対運動における下限界位置に位置する。駆動スクリュー15は回転を停止し、ブルーイングシリンダ10の軸方向の移動が停止し、飲料製造装置は充填位置に復帰する。つまり、この飲料製造装置が粉の充填、粉の押し固め、コーヒーの抽出、残渣の押し出し、残渣の排出、下部ピストンの復帰の一連の動作を完成する。
【0050】
<実施例2>
本実施例と実施例1との相違点として、図15A図15C及び図17Aに示すように、本実施例における止め弾性ベース6は2つの半柱体が枢着して閉じ合わせられた中空の円柱構造であり、中空の円柱構造には、弾性組立体にマッチし且つ弾性組立体を収容するチャンバーが設けられる。枢着構造は簡単で柔軟である。無論、2つの半柱体が閉じ合わせられる方式は、枢着構造に限らない。図15A~15Cに示すように、止め弾性ベース6の好適な具体的な構造において、2つの半柱体は枢着部6gによって相対的に回転可能であり、2つの半柱体が閉じ合わせられて形成される上段円柱穴6bと下段円柱穴6eとの間には、弾性組立体を取り付けるためのチャンバー6cが存在し、チャンバー6cは弾性ベース1の外面にマッチする。チャンバー6cは、止め弾性ベース6の周面に形成された環状凹溝6dを含み、環状凹溝6dは、弾性クランプリング2に対向するように設けられ、弾性クランプリング2の直径が増加した時に発生する径方向上の変位のために空間を提供する。上段円柱穴6bの底端と下段円柱穴6eの上端には、それぞれ弾性ベース1の端面の位置を規制するための位置決め端面が設けられている。
【0051】
弾性ベースの係止フランジ1bは、止め弾性ベース6における2つの半柱体が閉じ合わせられる箇所で形成された凹溝6hにおける、2つの半柱体の周面6aに当接して、それと共に飲料ダクトが通過し且つ弾性ベース1の転動を規制することを実現する。
【0052】
上段円柱穴6bから上方に向かって、直径が上段円柱穴6bの直径より大きい1つの段差が形成される。
【0053】
下段円柱穴6eから下方に向かって、直径が下段円柱穴6eの直径より大きい輪郭が形成される。
【0054】
上記の止め弾性ベース6自体の構造により、止め弾性ベース6は弾性組立体の周方向における転動及び軸方向における移動を規制する。この構造を有する止め弾性ベースによる弾性組立体に対する軸方向及び周方向の位置規制は、従来の締り嵌め又はネジ等による固定方式に比べて、構造が簡単で確実で、取り付けが便利で速い。
【0055】
また、止め弾性ベース6、弾性組立体及び下部ピストン8の固定手段としては、位置規制スナップ17による固定を採用する。位置規制スナップ17の形状は図16に示すように、スナップ部、接続スナップ部、及び、弾性を付与する接続部を含み、位置規制スナップ17は弾性を有する。
【0056】
図15A図15B図17A図17B図18A図18B及び図19A図19Bに示すように、止め弾性ベース6の外周の周方向には、互いに対称する取付穴である弧状溝6fが設けられる。弧状溝6fは弾性ベース1の第2の円柱台1fに対向し、それに対応するように、下部ピストンの周面には2つの弧状の溝、すなわち取付穴8cが設けられる。位置規制スナップ17のスナップ部は弧状溝6fに嵌め合い且つ弾性ベース1に当接して、その弾性によって止め弾性ベース6を挟み付けて弾性組立体を固定する。位置規制スナップ17の、弧状溝6fに埋め込まれる両端の一方が開口状である。ブルーイングシリンダ10の底部の周面の両側には溝10bが設けられており、位置規制スナップ17は溝10bを貫通してブルーイングシリンダ10の端面10aに当接して位置規制フランジとしての役割を果たす。位置規制スナップ17の接続部は、止め弾性ベース6及び下部ピストン8の底端にある2つの平行な凹溝の中に埋め込まれて、位置規制を実現する。位置規制スナップ17図16に示す形態に限らず、例えば、接続部は下部ピストンの外周面に整合した弧状であってもよく、この場合スナップ部は下部ピストンの取付穴に埋め込まれる。位置規制スナップ17は、弾性組立体、止め弾性ベース6及び下部ピストン8の取り外し可能な固定接続方式の実現に寄与するとともに、位置規制フランジの役割を果たして、下部ピストン8がブルーイングシリンダ10の上端から離脱することを防止することができる。この構造は簡単で、部品が節約され、固定が確実で、且つブルーイングシリンダからの下部ピストンの取り外しが容易で、一部材が多用途に用いられ、構造が簡単で、操作が便利且つ柔軟である。
【0057】
<実施例3>
実施例1に対する相違点は以下の通りである。図20図21に示すように、弾性組立体は弾性素子であるばね2’と、阻止素子であるスチールボール3と、弾性ベース1’とを含む。弾性ベース1’は、周方向にスチールボール3を取り付けるための径方向貫通穴が設けられ、周方向に軸方向キー溝が設けられ、底端にフランジ1’aが設けられる。フランジ1’aは下部ピストン8の下端における溝に埋め込まれて下部ピストンがブルーイングシリンダ10の止め端面から離脱することを防止する。弾性組立体は、締り嵌め又は固定部材を介して下部ピストン8の内穴に取り付けられる。ばね2’は、自由状態において押圧され、一端が下部ピストン8の内周面に当接し、他端がスチールボール3に当接する。ばね2’の作用により、スチールボール3は、内端が径方向貫通穴の内端に当接し、径方向において弾性ベース1’の内部円柱穴に押し込まれる。径方向貫通穴の内端は、スチールボールが弾性ベース1’の内部から脱出しないように縮径される。
【0058】
<実施例4>
実施例3に対する相違点は以下の通りである。図22図23に示すように、阻止素子は、一端が弧面となる柱体3’であり、柱体3’は、弾性ベース1’における径方向貫通穴の中に径方向で移動可能に取り付けられる。ばね2’の一端は下部ピストンの内壁に当接して柱体3’を径方向貫通穴内に固定させ、柱体3’の内端は推力を受けるときに外方に向かって径方向において弾性変位する。
【0059】
柱体3’が径方向貫通穴内で移動可能にするために、径方向貫通穴の直径は柱体3’の最大直径以上とする。径方向貫通穴の内端(すなわち内部円柱穴に近い一端)は、内側への柱体3’の運動が規制されて柱体が径方向貫通穴から脱出しないように、縮径されるか又は係止口が設けられる。弾性組立体は下部ピストン8の内穴に取り付けられ、ばね2’は、自由状態において押圧され、一端が下部ピストン8の内周面に当接し、他端が柱体3’に当接する。ばね2’の弾性力の作用により、柱体3’の内端は径方向貫通穴の内端縁に突き当たって、柱体3’の弧面が弾性ベース1’の内部円柱穴に径方向に沿って押し込まれる。径方向貫通穴は、ばね2’と柱体3’が径方向に移動する空間を提供する。
【0060】
弾性組立体と下部ピストンとの固定手段としては、締り嵌め又はネジによる固定などの通常の固定手段によって実現されてもよい。また、取り外しを容易にするために、前記した位置規制スナップ17による固定を採用してもよい(図示せず)。弾性組立体の外周面には2つの弧状溝が対称に開口しており、それに対応して、下部ピストンの外周面にも弧状溝が開口する。位置規制スナップ17は両側から2つの部材の弧状溝に嵌めて弾性ベースを挟み付けて、下部ピストン8と弾性組立体との固定を実現するとともに、位置規制フランジの役割を果たす。
【0061】
<実施例5>
前記したカムベースに固定的に取り付けられる位置規制カムは、運動中に弾性組立体との間で摩擦が発生する。摩擦が発生すると、必ず摩耗が発生する。位置規制カムは剛性をもって固定されるため、毎回同一の位置(図26に示す)が摩耗されることになる。このような摩耗は、これらの材料が高耐摩耗性の材料でない限り、位置規制カムの使用寿命を大幅に低下させるに違いないが、高耐摩耗性の材料の価格は往々にして高価である。
【0062】
本実施例では、位置規制カムの組み合わせを最適化することにより、位置規制カムと弾性組立体の動作状態を変化させ、位置規制カムの使用寿命を向上させる。
【0063】
具体的には、位置規制カム4とカムベース5とを組み合わせる際、位置規制カムに一定の自由度があることを保証するためにいくつかの適切な隙間を設計することができる。それにより、位置規制カムと弾性組立体は、動作中に毎回摩擦する位置を適応的に変化させることができる。実証結果によると、このような設計は位置規制カムの使用寿命を明らかに向上させることができる。
【0064】
図面から分かるように、図24に示すように、本実施例による位置規制装置は、カムベース5、位置規制カム4、固定ボルト7’及び固定ナット7aを含む。位置規制カム4には、上部止め面4a、下部止め面4b及び内穴AHが設けられ、カムベース5には、円柱AC、カム位置決め面DF、ボルト位置決め面CF、ナット位置決め面EF及びボルト取付穴5bが設けられる。位置規制カム4は、軸線Rに沿ってカムベース5の円柱ACに同軸に取り付けられ、位置規制カム4の下端面BFは、カムベース5の端面DFと重なり合う。固定ボルト7’は、ボルト取付穴5bを通してカムベース5に挿入するように組み付けられ、固定ボルト7’の先端面FFは、カムベース5のボルト位置決め面CFと重なり合うように組み付けられる。固定ナット7aは、固定ボルト7’のネジ端に螺着される。固定ナット7aは、カムベース5のナット位置決め面EFと重なり合うように取り付けられて、固定ボルト7’をカムベース5に固定する。固定ボルト7’の先端面FFとカムベース5のカム位置決め面DFとの間には1つの空間が存在しており、位置規制カム4は該空間内に取り付けられる。固定ボルト7’の先端面FFと位置規制カムの上端面AFとの間には隙間61が設けられ、位置規制カムの内穴とカムベース5の円柱ACとの間には隙間62が設けられる。設けられたこれらの隙間を介して、位置規制カム4は、軸線R回りに回転可能となる。
【0065】
この位置規制装置を実施例1に適用し、他の各部材の運動が実施例1のままであるとする。図7に示すように、コーヒー抽出が完了した後、駆動スクリュー15は反時計回りに回転してブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って下方へ移動するように駆動する。この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10と共に下方へ移動する。上記したように、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10に対して軸方向に沿って往復運動することができ、当該運動には上下限界位置が設けられている。この時、下部ピストン8はちょうどブルーイングシリンダ10の下端にあり、弾性組立体におけるスチールボール3は、位置規制カム4の上部止め面4aに接触するときに位置規制カム4に1つの推力Fを加える。開口を有する弾性クランプリング2が3つのスチールボールのそれぞれに加える弾性力が異なるため、3つのスチールボールはそれぞれ異なるタイミングに位置規制カムの止め面に接触することになる(図25に示す)。3つのスチールボールは、部分的に弾性ベース1の内部円柱穴に押し込まれ、位置規制カムに近い一端により形成される円の円心とカムベース5の円柱の円心とが一致しない。それにより、スチールボールは、位置規制カム4に接触する時に位置規制カム4に対して微小のトルクを与える。このトルクにより、位置規制カム4が軸線Rに沿って軽く回転する。その直後、下部ピストン8は止められて下方への移動が停止し、ブルーイングシリンダ10は、下部ピストン8がブルーイングシリンダ10との軸方向の相対移動における上限界位置に位置する時点までに、下方へ移動し続ける(図8に示す)。
【0066】
図9に示すように、ブルーイングシリンダは下方へ移動し続け、この時、下部ピストン8はブルーイングシリンダ10と共に移動する。弾性組立体におけるスチールボール3は、位置規制カム4の下部止め面4bの下端に到達するまでに、装着穴に沿って弾性クランプリング2を外方に押し付けて位置規制カム4と接する摩擦運動を行う。上記したように、位置規制カム4は、スチールボール3に接触する時に軽く回転するので、今回の摩擦運動と前回の動作は、位置規制カム4上の同一の位置で発生しない。
【0067】
図10に示すように、ブルーイングシリンダ10はすでに飲料製造装置の最下端まで動作しており、スチールボール3は弾性クランプリング2の弾性作用により初期位置に戻っている。駆動スクリュー15は、時計回りの回転を再開して、ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って上方へ移動するように駆動し、スチールボール3も一緒に上方へ移動する。この時、スチールボール3は、位置規制カム4の下止め面4bに接触して、位置規制カム4に1つの推力Fを与える。位置規制カム4は、この推力Fを受けて、再度軸線Rに関して回転運動を行う。下止め面4bはスチールボール3を止めて、下部ピストン8がブルーイングシリンダ10と共に上方へ移動することを規制する。下部ピストン8は、ブルーイングシリンダ10の上端にあり、ブルーイングシリンダ10との間に一定の距離の変位空間が存在する。ブルーイングシリンダ10が軸方向に沿って上方へ移動する時、下部ピストン8は静止したままである。ブルーイングシリンダ10は、下部ピストン8がブルーイングシリンダ10との軸方向の相対移動における下限界位置に位置するようになるまでに、上方へ移動し続ける(図11に示す)。そして、ブルーイングシリンダ10は動作を停止する。この時、飲料製造装置は、一回のコーヒーブルーイングのプロセスを完了し、充填位置に復帰する。
【0068】
位置規制カムがカムベースに装着される時、X軸、Y軸及びZ軸のいずれにおいても一定の自由度を有する。位置規制カムは、軸方向に沿って一定の距離だけ変位可能であるとともに、微少な外力を受けることで自由に回転可能である。
【0069】
弾性組立体が軸方向に沿って移動して位置規制カムに接触すると、位置規制カムは、弾性組立体による推力を受けて軽く回転する。回転の角度は小さいが、これにより摩擦の発生位置が変化する。つまり、毎回の摩擦も前回の摩擦と発生位置が異なる。
【0070】
毎回に同一の位置で摩擦されるため、位置規制カムは摩耗が激化してしまう。それに対して、本発明では、動作毎に摩擦される位置が変わるので、位置規制カムには図26に示すような摩耗痕4fが残らず、コストや部品点数を増やすことなく、位置規制カムの使用寿命を明らかに向上させることができる。
【0071】
以上に記述した実施例は、当業者が本発明を実施するために必要な情報を提供し、本発明を実施するための最適の形態を示す。添付図面を参照しながら以上の記載を読むと、当業者は、本発明の思想を理解し、ここで特に説明されていない思想の適用を認識するであろう。これら構想及び適用は、本発明の開示及び添付の特許請求の範囲に含まれることを理解すべきである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1A
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1B
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2A
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2B
【国際調査報告】