(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】シール受けを備えたフィルタ要素
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
B01D46/52 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552973
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2021023264
(87)【国際公開番号】W WO2021188967
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プルート, ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】デコスター, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】キャトア, バート
(72)【発明者】
【氏名】フェルストラーテ, マティス
(72)【発明者】
【氏名】メールス, アントニウス ジャン-バプティスト マリア
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA09
4D058KA01
4D058KA23
4D058KA27
4D058LA01
4D058LA02
(57)【要約】
フィルタ・システムのハウジング内に挿入するためのフィルタ要素。フィルタ要素は、フィルタ媒体パック及びシール受けを含む。フィルタ媒体パックは、第1の外部軸方向面と、第1の外部軸方向面の反対側の第2の外部軸方向面との間に延在する外周面を有する。フィルタ要素は、フィルタ媒体パックに封止して取り付けられたシール受けを更に含む。シール受けは、取り外し可能な周囲シール部材を受領するのに適した閉ループ面を含み、閉ループ面は、単一回回転対称を備えた外形形状を形成する。フィルタ要素及びシール・キャリアを含むシール・アセンブリも提示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素(1)であって、
・第1の外部軸方向面(7a)と、前記第1の外部軸方向面の反対側の第2の外部軸方向面(7b)との間に延在する外周面(5)を有する、流体を濾過するためのフィルタ媒体パック(10)を含み、
前記フィルタ要素(1)は、
・前記フィルタ媒体パックに封止して取り付けられたシール受け(15)であって、前記シール受け(15)は、取り外し可能な周囲シール部材を受領するための閉ループ面(16)を含む、シール受け(15)を更に含むことと、
前記閉ループ面(16)は、単一回回転対称を備えた外形形状を形成することとを特徴とする、フィルタ要素(1)。
【請求項2】
前記閉ループ面(16)の前記外形形状は、前記第1及び前記第2の外部軸方向面(7a)、(7b)と交差する鏡面に対して鏡対称である、請求項1に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項3】
前記シール受け(15)は、ショアAスケールで測定された60~100、好ましくは70~100、より好ましくは80~100、又は別法としてショアDスケールで測定された0~100、好ましくは15~100、より好ましくは30~100のいずれかの硬度を有する材料を含む、請求項1又は2に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項4】
前記閉ループ面(16)は非平面である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項5】
前記シール受けの前記閉ループ面(16)は、以下のいずれか、すなわち、半径方向内方に面する面、半径方向外方に面する面、又は前記第1の外部軸方向面(7a)から前記第2の外部軸方向面(7b)に延在する中心長手方向軸(Z)に対して軸方向に面する面である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項6】
前記シール受け(15)は、スナップ嵌合連結具と係合するため、若しくはラッチと係合するための係合要素(21)を含み、又は別法として、前記シール受けは、スナップ嵌合連結具(20)若しくはラッチ(25)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項7】
前記フィルタ媒体パックは、溝付きフィルタ媒体を含み、好ましくは前記第1及び前記第2の外部軸方向面(7a)、(7b)は、それぞれが流体入口面及び流体出口面に対応し、又は別法として、それぞれが流体出口面及び流体入口面に対応する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項8】
前記フィルタ媒体パック(10)の前記外周面(5)の外形形状は、単一回回転対称を有し、前記シール受けの前記閉ループ面(16)によって形成された前記外形形状は、前記フィルタ媒体パックの前記外周面(5)の前記外形形状に対応し、又は部分的に対応する、請求項7に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項9】
前記シール受け(15)は、前記フィルタ媒体パックの前記外周面(5)に外接し、封止して取り付けられ、又は前記シール受け(15)は、前記フィルタ媒体パックの前記第1の外部軸方向面(7a)の境界部に封止して取り付けられ、又は前記シール受け(15)は、前記第1の外部軸方向面(7a)の境界部、及び前記フィルタ媒体パックの前記外周面(5)の両方に取り付けられる、請求項7又は8に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項10】
前記フィルタ媒体パック(10)は、襞付きフィルタ媒体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項11】
前記シール受け(15)は、前記フィルタ媒体パック(10)の前記第1の外部軸方向面(7a)に封止して取り付けられる、請求項10に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項12】
前記第1の軸方向面(7a)は、前記シール受けの前記閉ループ面(16)によって形成された前記外形形状に対応する、外形形状を有する周囲非平面によって形成される、請求項10又は11に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項13】
前記フィルタ媒体パックは、中空形状を有し、前記フィルタ媒体パックの端部には、前記外周面(5)は、前記第1の軸方向面(7a)の前記周囲非平面を形成するように構成された1つ若しくは複数の胸壁(12)、又は別法として、1つ若しくは複数の切込み(13)を含む、請求項12に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項14】
前記フィルタ媒体パック(10)は、中空形状を有し、前記シール受け(15)は、濾過されていない流体を受領するため、又は濾過された流体を排出するために前記フィルタ媒体パックのためのオープンエンドキャップを形成し、好ましくは、クローズドエンドキャップは、前記フィルタ媒体パックの前記第2の外部軸方向面(7b)に封止して取り付けられる、請求項11又は12に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項15】
前記シール受け(15)は、前記フィルタ媒体パックの前記第1若しくは前記第2の外部軸方向面(7a)、(7b)に取り付けられ、又は少なくとも部分的に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項16】
前記シール受け(15)は、前記フィルタ媒体パックの前記外周面(5)に取り付けられ、又は少なくとも部分的に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項17】
前記シール受け(15)は、前記フィルタ媒体パックの前記外周面(5)の端部に取り付けられ、又は少なくとも部分的に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項18】
前記シール受け(15)は、周囲の第1の側面及び反対側の周囲の第2の側面を含み、前記周囲の第1の側面は前記閉ループ面(16)を含み、前記周囲の第2の側面又は前記周囲の第2の側面の少なくとも一部は、前記フィルタ媒体パックの前記外周面(5)に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項19】
前記シール受け(15)は、周囲の第1の側面及び反対側の周囲の第2の側面を含み、前記周囲の第1の側面は前記閉ループ面(16)を含み、前記周囲の第2の側面又は前記周囲の第2の側面の少なくとも一部は、前記フィルタ媒体パックの前記第1又は前記第2の外部軸方向面(7a)、(7b)に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項20】
前記シール受けは、ベルトの形状を有する、請求項18又は19に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項21】
前記シール受け(15)は、周囲側面を含み、前記周囲側面の第1の周囲部は、前記閉ループ面(16)を形成し、前記周囲側面の第2の周囲部は、前記フィルタ媒体パックの前記第1又は前記第2の外部軸方向面(7a)、(7b)に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項22】
前記閉ループ面(16)は平滑面である、請求項1~21のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項23】
前記フィルタ要素は、シール部材を含まない、請求項1~22のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項24】
前記フィルタ要素は、前記閉ループ面に取り付けられたシール部材を含まない、請求項1~15のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項25】
前記シール受け(15)は、シール部材を支持するための溝又は窪みを含まない、請求項1~24のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項26】
前記シール受け(15)は、単一の取り外し可能な周囲シール部材を受領するように構成された単一の閉ループ面(16)を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項27】
・請求項1~26のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)と、
・前記フィルタ要素と前記フィルタ・システムの前記ハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成するためのシール・キャリア(50)であって、前記シール・キャリア(50)は、
i)前記フィルタ要素(1)と前記シール・キャリア(50)との間にシールを形成するための第1の周囲シール部材(51)であって、前記第1の周囲シール部材(51)の外形形状は、前記フィルタ要素の前記シール受け(15)の前記閉ループ面(16)の前記外形形状と一致するように構成される、第1の周囲シール部材(51)と、
ii)前記シール・キャリアと前記フィルタ・システムの前記ハウジングとの間にシールを形成するための第2の周囲シール部材(52)と、
iii)前記第1及び前記第2の周囲シール部材(51)、(52)を支持するシール支持構造(53)とを含む、シール・キャリア(50)とを含む、フィルタ・アセンブリ(100)。
【請求項28】
・請求項27に記載のフィルタ・アセンブリ(100)と、
・前記フィルタ・アセンブリを受領するように構成されたフィルタ・ハウジングとを含む、フィルタ・システム。
【請求項29】
・請求項1~26のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)と、
・前記フィルタ要素(1)を受領するように構成されたフィルタ・ハウジングと、
・前記フィルタ・ハウジングの壁部に結合され、前記フィルタ要素と前記フィルタ・ハウジングとの間にシールを形成するように構成された、周囲シール部材であって、
前記周囲シール部材の外形形状は、前記シール受け(15)の前記閉ループ面(16)の前記外形形状と一致するように構成される、周囲シール部材とを含む、フィルタ・システム。
【請求項30】
フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素(1)であって、
・第1の外部軸方向面(7a)と前記第1の外部軸方向面の反対側の第2の外部軸方向面(7b)との間に延在する外周面(5)を有する、流体を濾過するためのフィルタ媒体パック(10)を含み、
前記フィルタ要素(1)は、
・前記フィルタ媒体パックに封止して取り付けられたシール受け(15)であって、前記シール受け(15)は、取り外し可能な周囲シール部材を受領するための閉ループ面(16)を含む、シール受け(15)を更に含むことと、
前記閉ループ面(16)は、鏡対称の単一平面を有する外形形状を形成し、鏡対称の前記単一平面は、前記第1及び前記第2の外部軸方向面(7a)、(7b)と交差することとを特徴とする、フィルタ要素(1)。
【請求項31】
前記シール受け(15)は、ショアAスケールで測定された60~100、好ましくは70~100、より好ましくは80~100、又は別法としてショアDスケールで測定された0~100、好ましくは15~100、より好ましくは30~100のいずれかの硬度を有する材料を含む、請求項30に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項32】
前記フィルタ媒体パックは、溝付きフィルタ媒体を含み、好ましくは前記第1及び前記第2の外部軸方向面(7a)、(7b)は、それぞれが流体入口面及び流体出口面に対応し、又は別法として、それぞれが流体出口面及び流体入口面に対応する、請求項30又は31に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項33】
前記フィルタ媒体パック(10)の前記外周面(5)の外形形状は、鏡対称の前記単一平面に対して鏡対称である、請求項32に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項34】
前記シール受け(15)は、前記フィルタ媒体パックの前記外周面(5)に外接し、封止して取り付けられ、又は前記シール受け(15)は、前記フィルタ媒体パックの前記第1の外部軸方向面(7a)の境界部に封止して取り付けられ、又は前記シール受け(15)は、前記第1の外部軸方向面(7a)の境界部、及び前記フィルタ媒体パックの前記外周面(5)の両方に取り付けられる、請求項32又は33に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項35】
・請求項30~34のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)と、
・前記フィルタ要素と前記フィルタ・システムの前記ハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成するためのシール・キャリア(50)であって、前記シール・キャリア(50)は、
i)前記フィルタ要素(1)と前記シール・キャリア(50)との間にシールを形成するための第1の周囲シール部材(51)であって、前記第1の周囲シール部材(51)の外形形状は、前記フィルタ要素の前記シール受け(15)の前記閉ループ面(16)の前記外形形状と一致するように構成される、第1の周囲シール部材(51)と、
ii)前記シール・キャリアと前記フィルタ・システムの前記ハウジングとの間にシールを形成するための第2の周囲シール部材(52)と、
iii)前記第1及び前記第2の周囲シール部材(51)、(52)を支持するシール支持構造(53)とを含む、シール・キャリア(50)とを含む、フィルタ・アセンブリ(100)。
【請求項36】
フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素(1)であって、
a)流体を濾過するための媒体パックであって、前記媒体パックは、第1の軸方向面と第2の軸方向面との間に延在する外周面を画定する、媒体パックと、
b)前記媒体パックに封止して取り付けられたシール受けであって、前記シール受けは、
i)別個に形成された周囲シール部材を受領するための閉ループ面であって、前記閉ループ面は、単一回回転対称を備えた外形形状を形成する、閉ループ面と、
ii)前記周囲シール部材を前記シール受けに取り外し可能に固定するための係合要素とを含む、シール受けとを含む、フィルタ要素(1)。
【請求項37】
前記閉ループ面の前記外形形状は、前記第1及び前記第2の軸方向面と交差する鏡面に対して鏡対称である、請求項36に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項38】
前記シール受けは、ショアAスケールで測定された60~100のいずれかの硬度を有する材料を含む、請求項36又は37に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項39】
前記閉ループ面は非平面である、請求項36~38のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項40】
前記シール受けの前記閉ループ面は、以下のいずれか、すなわち、半径方向内方に面する面、半径方向外方に面する面、又は前記第1の軸方向面から前記第2の軸方向面に延在する中心長手方向軸に対して軸方向に面する面である、請求項36~39のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項41】
前記係合要素は、スナップ嵌合連結具の第1の構成要素、及びラッチ部材を受領するように構成された延長部材の一方である、請求項36~40のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項42】
前記媒体パックは、溝付きフィルタ媒体を含む、請求項36~39のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項43】
前記媒体パックの前記外周面の外形形状は、単一回回転対称を有し、前記シール受けの前記閉ループ面によって形成された前記外形形状は、前記媒体パックの前記外周面の前記外形形状に少なくとも部分的に対応する、請求項42に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項44】
前記シール受けは、
a)前記フィルタ媒体パックの前記外周面に外接し、封止して取り付けられ、
b)前記媒体パックの前記第1の軸方向面の境界部に封止して取り付けられ、又は
c)前記第1の軸方向面の境界部、及び前記媒体パックの前記外周面の両方に取り付けられる、請求項42又は43に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項45】
前記媒体パックは、襞付きフィルタ媒体を含む、請求項36~41のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項46】
前記シール受けは、前記媒体パックの前記第1の軸方向面に封止して取り付けられる、請求項45に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項47】
前記第1の軸方向面は、前記シール受けの前記閉ループ面によって形成された前記外形形状に対応する、外形形状を有する周囲非平面によって形成される、請求項45又は46に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項48】
前記媒体パックは、中空形状を有し、前記媒体パックの端部には、前記外周面は、前記第1の軸方向面の前記周囲非平面を形成するように構成された1つ若しくは複数の胸壁、又は別法として、1つ若しくは複数の切込みを含む、請求項47に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項49】
前記媒体パックは、中空形状を有し、前記シール受けは、濾過されていない流体を受領するため、又は濾過された流体を排出するために前記媒体パックのためのオープンエンドキャップを形成し、好ましくは、クローズドエンドキャップは、前記媒体パックの前記第2の軸方向面に封止して取り付けられる、請求項46又は47に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項50】
前記シール受けは、前記媒体パックの前記第1又は前記第2の軸方向面に少なくとも部分的に取り付けられる、請求項36~41のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項51】
前記シール受けは、前記媒体パックの前記外周面に少なくとも部分的に取り付けられる、請求項36~41のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項52】
前記シール受けは、前記媒体パックの前記外周面の端部に少なくとも部分的に取り付けられる、請求項36~41のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項53】
前記シール受けは、周囲の第1の側面及び反対側の周囲の第2の側面を含み、前記周囲の第1の側面は前記閉ループ面を含み、前記周囲の第2の側面の少なくとも一部は、前記媒体パックの前記外周面に取り付けられる、請求項36~41のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項54】
前記シール受けは、周囲の第1の側面及び反対側の周囲の第2の側面を含み、前記周囲の第1の側面は前記閉ループ面を含み、前記周囲の第2の側面の少なくとも一部は、前記媒体パックの前記第1又は前記第2の軸方向面に取り付けられる、請求項36~41のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項55】
前記シール受けは、ベルトの形状を有する、請求項53又は54に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項56】
前記シール受けは、周囲側面を含み、前記周囲側面の第1の周囲部は、前記閉ループ面を形成し、前記周囲側面の第2の周囲部は、前記媒体パックの前記第1又は前記第2の軸方向面に取り付けられる、請求項36~41のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項57】
前記閉ループ面は平滑面である、請求項36~56のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項58】
前記フィルタ要素は、偏向可能な又は圧縮可能なシール部材を含まない、請求項36~57のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項59】
前記フィルタ要素は、前記閉ループ面に取り付けられたシール部材を含まない、請求項36~58のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項60】
前記シール受けは、シール部材を支持するための溝又は窪みを含まない、請求項36~59のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項61】
前記シール受けは、単一の取り外し可能な周囲シール部材を受領するように構成された単一の閉ループ面を含む、請求項36~60のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項62】
a)請求項36~61のいずれか一項に記載のフィルタ要素と、
b)前記フィルタ要素と前記フィルタ・システムの前記ハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成するためのシール・キャリアであって、前記シール・キャリアは、
i)前記フィルタ要素と前記シール・キャリアとの間にシールを形成するための第1の周囲シール部材であって、前記第1の周囲シール部材の外形形状は、前記フィルタ要素の前記シール受けの前記閉ループ面の前記外形形状と一致するように構成される、第1の周囲シール部材と、
ii)前記シール・キャリアと前記フィルタ・システムの前記ハウジングとの間にシールを形成するための第2の周囲シール部材と、
iii)前記第1及び前記第2の周囲シール部材を支持するシール支持構造とを含む、シール・キャリアとを含む、フィルタ・アセンブリ。
【請求項63】
c)請求項62に記載のフィルタ・アセンブリと、
d)前記フィルタ・アセンブリを受領するフィルタ・ハウジングとを含む、フィルタ・システム。
【請求項64】
a)請求項36~61のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)と、
b)前記フィルタ要素を受領するように構成されたフィルタ・ハウジングと、
c)前記フィルタ・ハウジングの壁部に結合され、前記フィルタ要素と前記フィルタ・ハウジングとの間にシールを形成するように構成された、周囲シール部材であって、前記周囲シール部材の外形形状は、前記シール受けの前記閉ループ面の前記外形形状と一致するように構成される、周囲シール部材とを含む、フィルタ・システム。
【請求項65】
フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素(1)であって、
a)流体を濾過するための媒体パックであって、前記媒体パックは、第1の軸方向面と第2の軸方向面との間に延在する外周面を画定する、媒体パックと、
b)前記媒体パックに封止して取り付けられたシール受けであって、前記シール受けは、
i)別個に形成された周囲シール部材を受領するための閉ループ面であって、前記閉ループ面は、鏡対称の単一平面を有する外形形状を形成し、鏡対称の前記単一平面は、前記第1の軸方向面と前記第2の軸方向面との間に延在する、閉ループ面と、
ii)前記周囲シール部材を前記シール受けに取り外し可能に固定するための係合要素とを含む、シール受けとを含む、フィルタ要素(1)。
【請求項66】
フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素(1)であって、
a)流体を濾過するための媒体パックであって、前記媒体パックは、第1の軸方向面と第2の軸方向面との間に延在する外周面を画定する、媒体パックと、
b)前記媒体パックに封止して取り付けられたシール受けであって、前記シール受けは、
i)別個に形成された周囲シール部材を受領するための閉ループ面を画定し、
ii)ショアAスケールで60~100の硬度を有する、又はショアDスケールで0~100の硬度を有する材料から形成され、
iii)前記周囲シール部材を前記シール受けに固定するための係合要素を含む、シール受けとを含む、フィルタ要素(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として2021年3月19日に出願され、2020年3月19日に出願された欧州特許出願第20164153.7号明細書の優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書により全体に組み込まれる。
【0002】
本開示は、流体を濾過するためのフィルタ媒体パックを含むフィルタ要素に関し、より詳細には、フィルタ・システムのハウジングの中に挿入することができ、保守のために取り外すことができるフィルタ要素に関する。
【背景技術】
【0003】
フィルタ要素は、フィルタ・カートリッジとも呼ばれ、多種多様の濾過用途に使用され、濾過される流体は、液体又は気体、例えば空気であることが可能である。
【0004】
事実、多くの場合、流体流れから汚染物質を濾過することが望ましい。例えば電動車用、又は発電装置、建設装置若しくは他の装置用のエンジンへの気体流れ、ガスタービン・システムへのガス流れ、及び様々な燃焼炉への空気流れは、その中に粒子汚染物質を運ぶ。汚染物質が流体から取り除かれる、又は少なくとも低減されるようなシステムが好ましい。
【0005】
フィルタ要素は、フィルタ媒体を含むフィルタ媒体パックを含み、これらのフィルタ媒体は、流体がフィルタ媒体を通って流れる時に汚染物質を取り除く。一般的に使用され、市場で入手可能なフィルタ媒体は、例えば襞付き媒体又は溝付き媒体である。
【0006】
概してフィルタ媒体パックは、管状形状を有し、フィルタ要素の中心長手方向軸と基本的に平行に延在する外周面を含む。それ故に外周面は、フィルタ媒体パックの半径方向境界部としてみなすことができる。フィルタ媒体パックは、中心長手方向軸を横切る第1の外部軸方向面及び第2の外部軸方向面を更に含み、それによってフィルタ媒体パックの軸方向境界部を形成する。
【0007】
フィルタ要素の適切な作動のために、基本的にフィルタ媒体パックは、フィルタ媒体パックが挿入されるハウジングに適切に封止される。従って本フィルタ要素は、フィルタ媒体パックの他に、フィルタ媒体パックに取り付けられ、濾過された流体を濾過されていない流体から分離したままに保つように、フィルタ媒体パックとハウジングとの間の隙間を封止するように構成されたシール配置も含む。
【0008】
フィルタ要素用の様々な型のシール配置が提案されている。例えばシール配置は、成形技法によって獲得された発泡ポリウレタン(PU)によって形成することができる。米国特許第7396376号明細書には、溝付きフィルタ媒体パックと組み合わせて使用される、発泡ポリウレタン(PU)シール配置が開示されている。製造プロセス中に、フィルタ媒体パックは、補強フレーム要素と一緒に鋳型内に置かれる。その後、鋳型はPUを充填され、次に上昇プロセス、いわゆる発泡PUのオーバーモールドが形成される。
【0009】
これらのフィルタ要素の欠点の1つは、製造プロセスに時間が掛り、シール配置をフィルタ媒体パックと一体化することは、フィルタ要素の無視できないコストに関わる点である。
【0010】
フィルタ要素は、規則的な時間間隔でフィルタ・システムのハウジングから取り除いて交換するべき要素とみなさなければならないので、フィルタ・システムの維持コスト全体は、単一のフィルタ要素のコストによって影響を及ぼされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それ故に、フィルタ要素及びフィルタ要素を含むフィルタ・システムを改善する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
流体を濾過するために費用対効果の高いフィルタ要素を提供し、フィルタ要素を製造するために必要な天然資源の数を低減することが、本発明の実施形態の目的である。本発明の実施形態の更なる目的は、フィルタ・システム内のフィルタ要素の誤った設置の危険性を低減することである。フィルタ・システムの維持管理中に、フィルタ媒体パックとハウジングとの間にシールを形成するシール・アセンブリは、フィルタ媒体の交換が必要な時に必ずしも同時に交換する必要がない、フィルタ・システムを提供することが、本開示の更なる目的である。
【0013】
事実、本開示は、本発明者らの見解で、少なくとも一部が、フィルタ媒体の濾過効率が低減したことに起因して、現在のフィルタ要素を交換するために必要な時間間隔は、シール部材の交換に必要であるはずの時間間隔より短いことに基づく。現在、シール部材は、フィルタ要素が一体化された部品であり、糊により又は成形技法を通してフィルタ媒体に取り付けられているので、フィルタ要素を交換することは、暗黙的にシール配置を交換することに関与する。
【0014】
本発明は、添付の独立請求項に定義されている。従属請求項は、好都合な実施形態を定義する。
【0015】
本開示の第1の態様によれば、フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素が提供される。
【0016】
実施形態では、フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素は、第1の外部軸方向面と第1の外部軸方向面の反対側の第2の外部軸方向面との間に延在する外周面を有する、流体を濾過するためのフィルタ媒体パックを含み、フィルタ要素は、フィルタ要素がフィルタ媒体パックに封止して取り付けられたシール受けであって、シール受けは、取り外し可能な周囲シール部材を受領するのに適した閉ループ面を含む、シール受けを含むことと、閉ループ面は、単一回回転対称を備えた外形形状を形成することとを特徴とする。
【0017】
実施形態では、単一回回転対称に加えて、閉ループ面の外形形状は、フィルタ媒体パックの第1及び第2の外部軸方向面と交差する鏡面に対して鏡面対称を有する。
【0018】
本開示による実施形態では、フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素は、第1の外部軸方向面と第1の外部軸方向面の反対側の第2の外部軸方向面との間に延在する外周面を有する、流体を濾過するためのフィルタ媒体パックを含み、フィルタ要素は、フィルタ要素がフィルタ媒体パックに封止して取り付けられたシール受けであって、シール受けは、取り外し可能な周囲シール部材を受領するための閉ループ面を含む、シール受けを含むことと、閉ループ面は、鏡対称の単一平面を有する外形形状を形成し、鏡対称の単一平面は、第1及び第2の外部軸方向面と交差することとを特徴とする。
【0019】
実施形態では、本開示によるフィルタ要素はシール部材を含まない。
【0020】
換言すると、本開示によるフィルタ要素の実施形態は、フィルタ媒体パックをフィルタ・システムのハウジングに封止するために、フィルタ媒体パックに結合された周囲シール部材を含まない。それ故に本開示によるフィルタ要素の実施形態は、フィルタ媒体パックをフィルタ・システムのハウジングに封止するために、いかなる周囲シール部材も支持しない。その代わりに、本開示によるフィルタ要素は、フィルタ媒体パックに取り付けられたシール受けを含み、シール受けは、取り外し可能な周囲シール部材を受領するための閉ループ面を含む。取り外し可能な周囲シール部材は、フィルタ要素から分離された別個の装置に結合され、又は別個の装置によって支持される。実施形態では、取り外し可能な周囲シール部材を支持する別個の装置は、フィルタ要素とフィルタ・システムのハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成するシール・キャリアである。他の実施形態では、取り外し可能なシール・キャリアは使用されず、取り外し可能なシールが、フィルタ・システムのハウジングの壁部に直接結合される。
【0021】
実施形態では、本開示によるフィルタ要素は、閉ループ面に取り付けられたシール部材を含まない。
【0022】
実施形態では、フィルタ要素は、閉ループ面に接着して結合されたシール部材を含まない。
【0023】
本開示による実施形態では、シール受けは、シール部材を支持するための溝又は窪みを含まない。
【0024】
好都合なことに、単一回回転対称を備えた外形形状を有する閉ループ面を備えたシール受けを提供することにより、フィルタ・ハウジングの中に挿入するため、及びシール部材と結合させるためにフィルタ要素の独自の配向が画定される。
【0025】
好都合なことに、フィルタ要素は、フィルタ媒体に取り付けられたシール部材を含むのではなく、その代わりに、取り外し可能なシール部材を受領するためにシール受けを含むので、維持管理を行う時に、フィルタ媒体は、シール部材を交換する必要なく交換することができる。
【0026】
単一回回転対称を備えた外形形状を備えた閉ループ面は、閉ループ面を回転する時に360°回転後のみ、外形形状が回転の開始時の最初の外形形状と一致するように構成された外形形状とみなさなければならない。換言すると、360°回転後のみ、外形形状は回転開始と同一に見える。
【0027】
単一回回転対称を備えた外形形状は、回転対称の軸を持たない。対照的に、回転対称を備えた外形形状は、回転対称軸を中心に180°以下の角度を回転した後、外形形状が回転開始の最初の外形形状と一致するように、回転対称軸を有する。
【0028】
実施形態では、シール受けの閉ループ面は非平面である。
【0029】
実施形態では、シール受けの閉ループ面によって形成された外形形状は、フィルタ媒体パックの外周面の外形形状に対応し、又は部分的に対応する。
【0030】
他の実施形態では、閉ループ面によって形成された外形形状は、フィルタ媒体パックの第1の軸方向面を形成する周囲非平面の外形形状に対応する。
【0031】
用語「対応する」は、フィルタ媒体パックの外周面の外部形状又はフィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面の形状が、閉ループ面の外形形状に密接に追従することを示すために本明細書で使用される。換言すると、シール受けの閉ループ面の外形と、外周面の外形又はフィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面の外形との間の距離は、その外形に沿ってあまり変わらない。
【0032】
一部の実施形態では、シール受けはベルト形状のシール受けである。
【0033】
実施形態では、シール受けは、フィルタ媒体パックの外周面に外接し、封止して取り付けられる。他の実施形態では、シール受けは、フィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面又はフィルタ媒体パックの第1の軸方向面の境界部に封止して取り付けられる。
【0034】
一部の実施形態では、閉ループ面によって形成された外形形状は、閉ループ面の単一回回転対称を生成するために、少なくとも1つの凹状外形部及び/又は1つの凸状外形部を含む。
【0035】
実施形態では、シール受けは、フィルタ媒体パックの第1又は第2の外部軸方向面に取り付けられ、又は少なくとも部分的に取り付けられる。
【0036】
実施形態では、シール受けは、フィルタ媒体パックの外周面に取り付けられ、又は少なくとも部分的に取り付けられる。
【0037】
実施形態では、シール受けは、フィルタ媒体パックの外周面の端部に取り付けられ、又は少なくとも部分的に取り付けられる。
【0038】
実施形態では、シール受けは、スナップ嵌合連結具と係合するように、又はラッチと係合するように構成された係合要素を含む。係合要素の例は、隙間、切れ目、リッジ、溝部、刻み目、縁部、窪み部、切落し、陥没、又はスナップ嵌合連結具との係合に、若しくはラッチとの係合に適切なあらゆる輪郭である。好都合なことに係合要素をシール受けに提供することにより、シール受けと、取り外し可能な周囲シール部材を支持するシール・キャリアとの間のスナップ嵌合連結具又はラッチ連結具は、スナップ嵌合連結具又はラッチを使用することによって行うことができる。スナップ嵌合連結具又はラッチは、例えばシール・キャリアに結合される。
【0039】
他の実施形態では、シール受けは、シール受けの一部に結合されたスナップ嵌合連結具又はラッチを含む。好都合なことに、スナップ嵌合連結具又はラッチをシール・キャリアの係合要素と係合することにより、シール受け及びシール・キャリアは取り外し可能に連結することができる。
【0040】
実施形態では、フィルタ媒体パックは、第1の軸方向面から第2の軸方向面に延在する中心長手方向軸Zを含む。第1及び第2の軸方向面は、長手方向軸Zを横断する。それ故に外周面は、半径方向外周面と呼ぶこともできる。
【0041】
実施形態では、閉ループ面の外形形状は、フィルタ媒体パックの中心長手方向軸Zに沿った回転に対して単一回回転対称を有する。
【0042】
実施形態では、閉ループ面の外形形状は、フィルタ媒体パックの中心長手方向軸Zに沿った回転に対して単一回回転対称を有し、中心長手方向軸は、フィルタ媒体パックの第1の軸方向面の重心からフィルタ媒体パックの第2の軸方向面の重心に延在する。
【0043】
フィルタ媒体パックが溝付きフィルタ媒体を含む実施形態では、第1及び第2の外部軸方向面は、それぞれが流体入口面及び流体出口面に対応し、又は別法としてそれぞれが流体出口面及び流体入口面に対応する。
【0044】
フィルタ媒体パックが襞付きフィルタ媒体を含む実施形態では、シール受けは、フィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面に封止して取り付けられる。
【0045】
フィルタ媒体パックが襞付きフィルタ媒体を含む一部の実施形態では、フィルタ媒体パックは中空形状を有し、シール受けは、濾過されていない流体を受領するため又は濾過された流体を排出するために、フィルタ媒体パックのためのオープンエンドキャップを形成する。これらの実施形態では、好ましくは、クローズドエンドキャップは、フィルタ媒体パックの第2の外部軸方向面に封止して取り付けられる。
【0046】
フィルタ要素の実施形態では、シール受けの閉ループ面は以下のいずれか、すなわち半径方向内方に面する面、半径方向外方に面する面、又は第1の外部軸方向面7aから第2の外部軸方向面7bに延在する中心長手方向軸Zに対して軸方向に面する面である。
【0047】
本開示の第2の態様によれば、フィルタ要素及びシール・キャリアを含むフィルタ・アセンブリが提供される。シール・キャリアは、フィルタ要素とフィルタ・システムのハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成する。シール・キャリアは、シール・キャリアのシール支持構造によって支持された第1及び第2の周囲シール部材を含む。第1の周囲シール部材の外形形状は、フィルタ要素のシール受けの閉ループ面の外形形状と一致するように構成される。このようにして、フィルタ要素がフィルタ・システムのハウジングの中に挿入された時に、第1の周囲シール部材は、フィルタ要素とシール・キャリアとの間にシールを形成する。第2の周囲シール部材は、シール・キャリアとフィルタ・システムのハウジングとの間にシールを形成するように構成される。
【0048】
実施形態では、シール・キャリアのシール支持構造は、第1の周囲シール部材を支持するように構成された第1の周囲支持部、及び第2の周囲シール部材を支持するように構成された第2の周囲支持部を含む。
【0049】
実施形態では、第1及び第2の周囲シールは、シール・キャリアのシール支持構造に取り付けられる。
【0050】
好都合なことに、シール・キャリアは第1及び第2の周囲シール部材を支持する取り外し可能な界面を形成するので、フィルタ・システムの維持管理を行う時に、フィルタ要素を交換できる一方で、シール・キャリアのシール支持構造によって支持された第1及び第2の周囲シール部材は、シール部材が磨滅しない限り再使用できる。それ故に、フィルタ媒体パック及びシール・アセンブリを交換する周期は異なることが可能である。
【0051】
好都合なことに、シール受けの閉ループ面の外形形状は、単一回回転対称を有し、第1の周囲シール部材の外形形状は、閉ループ面の外形形状と一致するように構成されるので、フィルタ要素を交換し、第1の周囲シール部材を再使用する時に、第1の周囲シール部材は、フィルタ要素に対して常に同じ位置に位置付けられる。
【0052】
好ましくは、シール・キャリアは、多構成要素の射出成形製造プロセスを適用することにより、第1及び第2の周囲シール部材と一緒に製造される。このようにして、シール・キャリアは、第1及び第2の周囲シール部材と一緒に単一部品を形成する。
【0053】
実施形態では、フィルタ・アセンブリは、スナップ嵌合連結具を含み、シール受け及びシール・キャリアは、スナップ嵌合連結具と係合するように構成される。このようにして、取り外し可能な連結具は、シール受けとシール・キャリアとの間に確立することができる。
【0054】
更なる実施形態では、フィルタ・アセンブリは、シール・キャリアをフィルタ要素に締め付けるためのクランプを含む。
【0055】
実施形態では、フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素は、流体を濾過するための媒体パックであって、媒体パックは、第1の軸方向面と第2の軸方向面との間に延在する外周面を画定する、媒体パックと、媒体パックに封止して取り付けられたシール受けとを含むことができる。シール受けは、別個に形成された周囲シール部材を受領するための閉ループ面であって、閉ループ面は、単一回回転対称を備えた外形形状を形成する、閉ループ面と、周囲シール部材をシール受けに取り外し可能に固定するための係合要素とを含むことができる。
【0056】
実施形態では、閉ループ面の外形形状は、前記第1及び第2の軸方向面と交差する鏡面に対して鏡対称である。
【0057】
実施形態では、シール受けは、ショアAスケールで測定された60~100のいずれかの硬度を有する材料を含む。
【0058】
実施形態では、閉ループ面は非平面である。
【0059】
実施形態では、シール受けの閉ループ面は、以下のいずれか、すなわち半径方向内方に面する面、半径方向外方に面する面、又は第1の軸方向面から第2の軸方向面に延在する中心長手方向軸に対して軸方向に面する面である。
【0060】
実施形態では、係合要素は、スナップ嵌合連結具の第1の構成要素、及びラッチ部材を受領するように構成された延長部材の一方である。
【0061】
実施形態では、媒体パックは溝付きフィルタ媒体を含む。
【0062】
実施形態では、媒体パックの外周面の外形形状は、単一回回転対称を有し、シール受けの閉ループ面によって形成された外形形状は、少なくとも部分的に媒体パックの外周面の外形形状に対応する。
【0063】
実施形態では、シール受けは、フィルタ媒体パックの外周面に外接し、封止して取り付けられ、又は媒体パックの第1の軸方向面の境界部に封止して取り付けられ、又は第1の軸方向面の境界部、及び媒体パックの外周面の両方に取り付けられる。
【0064】
実施形態では、媒体パックは襞付きフィルタ媒体を含む。
【0065】
実施形態では、シール受けは、媒体パックの第1の軸方向面に封止して取り付けられる。
【0066】
実施形態では、第1の軸方向面は、シール受けの閉ループ面によって形成された外形形状に対応する、外形形状を有する周囲非平面によって形成される。
【0067】
実施形態では、媒体パックは中空形状を有し、媒体パックの端部には、外周面は、第1の軸方向面の前記周囲非平面を形成するように構成された1つ若しくは複数の胸壁、又は別法として、1つ若しくは複数の切込みを含む。
【0068】
実施形態では、媒体パックは中空形状を有し、シール受けは、濾過されていない流体を受領するため、又は濾過された流体を排出するために媒体パックのためのオープンエンドキャップを形成し、好ましくは、クローズドエンドキャップは、媒体パックの第2の外部軸方向面に封止して取り付けられる。
【0069】
実施形態では、シール受けは、少なくとも部分的に媒体パックの第1又は第2の軸方向面に取り付けられる。
【0070】
実施形態では、シール受けは、少なくとも部分的に媒体パックの外周面に取り付けられる。
【0071】
実施形態では、シール受けは、少なくとも部分的に媒体パックの外周面の端部に取り付けられる。
【0072】
実施形態では、シール受けは、周囲の第1の側面及び反対側の周囲の第2の側面を含み、周囲の第1の側面は前記閉ループ面を含み、周囲の第2の側面の少なくとも一部は、媒体パックの外周面に取り付けられる。
【0073】
実施形態では、シール受けは、周囲の第1の側面及び反対側の周囲の第2の側面を含み、周囲の第1の側面は前記閉ループ面を含み、周囲の第2の側面の少なくとも一部は、媒体パックの第1又は第2の軸方向面に取り付けられる。
【0074】
実施形態では、シール受けは、ベルトの形状を有する。
【0075】
実施形態では、シール受けは、周囲側面を含み、前記周囲側面の第1の周囲部は、前記閉ループ面を形成し、前記周囲側面の第2の周囲部は、媒体パックの第1又は第2の軸方向面に取り付けられる。
【0076】
実施形態では、閉ループ面は平滑面である。
【0077】
実施形態では、フィルタ要素は、偏向可能な又は圧縮可能なシール部材を含まない。
【0078】
実施形態では、フィルタ要素は、閉ループ面に取り付けられたシール部材を含まない。
【0079】
実施形態では、シール受けは、シール部材を支持するための溝又は窪みを含まない。
【0080】
実施形態では、シール受けは、単一の取り外し可能な周囲シール部材を受領するように構成された単一の閉ループ面を含む。
【0081】
実施形態では、フィルタ・アセンブリは、あらゆる前述の特徴を備えたフィルタ要素と、フィルタ要素とフィルタ・システムのハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成するためのシール・キャリアであって、シール・キャリアは、フィルタ要素とシール・キャリアとの間にシールを形成するための第1の周囲シール部材であって、第1の周囲シール部材の外形形状は、フィルタ要素のシール受けの閉ループ面の外形形状と一致するように構成される、第1の周囲シール部材と、シール・キャリアとフィルタ・システムのハウジングとの間にシールを形成するための第2の周囲シール部材と、前記第1及び前記第2の周囲シール部材を支持するシール支持構造とを含む、シール・キャリアとを含むことができる。
【0082】
実施形態では、あらゆる前述のフィルタ要素を受領するフィルタ・ハウジングが提供されてもよい。
【0083】
実施形態では、フィルタ・システムは、あらゆる前述の特徴を備えたフィルタ要素フィルタ要素と、前記フィルタ要素を受領するように構成されたフィルタ・ハウジングと、フィルタ・ハウジングの壁部に結合され、フィルタ要素とフィルタ・ハウジングとの間にシールを形成するように構成された周囲シール部材であって、前記周囲シール部材の外形形状は、シール受けの閉ループ面の外形形状と一致するように構成される、周囲シール部材とを含むことができる。
【0084】
実施形態では、フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素は、流体を濾過するための媒体パックであって、媒体パックは、第1の軸方向面と第2の軸方向面との間に延在する外周面を画定する、媒体パックと、媒体パックに封止して取り付けられたシール受けであって、シール受けは、別個に形成された周囲シール部材を受領するための閉ループ面であって、閉ループ面は、鏡対称の単一平面を有する外形形状を形成し、鏡対称の前記単一平面は、第1の軸方向面と第2の軸方向面との間に延在する、閉ループ面と、周囲シール部材をシール受けに取り外し可能に固定するための係合要素とを含む、シール受けとを含むことができる。
【0085】
実施形態では、フィルタ・システムのハウジングの中に挿入するためのフィルタ要素は、流体を濾過するための媒体パックであって、媒体パックは、第1の軸方向面と第2の軸方向面との間に延在する外周面を画定する、媒体パックと、媒体パックに封止して取り付けられたシール受けであって、シール受けは、別個に形成された周囲シール部材を受領するための閉ループ面を画定し、ショアAスケールで60~100の硬度を有する、又はショアDスケールで0~100の硬度を有する材料から形成され、周囲シール部材をシール受けに固定するための係合要素を含む、シール受けとを含むことができる。
【0086】
本開示のこれらの態様及び更なる態様は、例として、添付図面を参照により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1a】シール受けがフィルタ媒体パックの軸方向面に取り付けられた、本開示によるフィルタ要素の実施形態の分解図を示す。
【
図1b】シール受けがフィルタ媒体パックの軸方向面に取り付けられた、本開示によるフィルタ要素の実施形態の分解図を示す。
【
図2a】シール受け及びフィルタ媒体パックを含む、本開示によるフィルタ要素の実施形態の斜視図を示す。
【
図2b】シール受け及びフィルタ媒体パックを含む、本開示によるフィルタ要素の実施形態の斜視図を示す。
【
図2c】シール受け及びフィルタ媒体パックを含む、本開示によるフィルタ要素の実施形態の斜視図を示す。
【
図2d】シール受け及びフィルタ媒体パックを含む、本開示によるフィルタ要素の実施形態の斜視図を示す。
【
図2e】シール受け及びフィルタ媒体パックを含む、本開示によるフィルタ要素の実施形態の斜視図を示す。
【
図2f】シール受け及びフィルタ媒体パックを含む、本開示によるフィルタ要素の実施形態の斜視図を示す。
【
図2g】シール受け及びフィルタ媒体パックを含む、本開示によるフィルタ要素の実施形態の斜視図を示す。
【
図2h】シール受け及びフィルタ媒体パックを含む、本開示によるフィルタ要素の実施形態の斜視図を示す。
【
図3a】本開示によるシール受けの実施形態の様々な例の斜視図を示す。
【
図3b】本開示によるシール受けの実施形態の様々な例の斜視図を示す。
【
図3c】本開示によるシール受けの実施形態の様々な例の斜視図を示す。
【
図4a】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4b】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4c】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4d】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4e】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4f】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4g】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4h】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4i】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図4j】中央平面と、様々な外形形状を備えたシール受けを有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部を示す。
【
図5a】中心長手方向軸Zに対して回転対称を有する、フィルタ媒体パックの実施形態の斜視図を示す。
【
図5b】中心長手方向軸Zに対して回転対称を有する、フィルタ媒体パックの実施形態の斜視図を示す。
【
図6a】半径方向外周面が単一回回転対称を有する、襞付きフィルタ媒体パックの実施形態の斜視図を示す。
【
図6b】半径方向外周面が単一回回転対称を有する、襞付きフィルタ媒体パックの実施形態の斜視図を示す。
【
図6c】半径方向外周面が単一回回転対称を有する、襞付きフィルタ媒体パックの実施形態の斜視図を示す。
【
図7a】半径方向外周面が単一回回転対称を有する、フィルタ媒体パックの実施形態の斜視図を示す。
【
図7b】半径方向外周面が単一回回転対称を有する、フィルタ媒体パックの実施形態の斜視図を示す。
【
図8a】単一回回転対称を有するフィルタ媒体パックの外周面の外形形状を例示する、中心長手方向軸Zに垂直な横断面を備えた例示的フィルタ媒体パックの断面を示す。
【
図8b】単一回回転対称を有するフィルタ媒体パックの外周面の外形形状を例示する、中心長手方向軸Zに垂直な横断面を備えた例示的フィルタ媒体パックの断面を示す。
【
図9】単一回回転対称を備えたフィルタ媒体パックを形成するためのプレス成形を概略的に例示する。
【
図10a】軸方向に取り付けられたシール受けを備えたフィルタ要素及び関連したシール・キャリアを含む、フィルタ・アセンブリの例示的実施形態の分解図を示す。
【
図10b】軸方向に取り付けられたシール受けを備えたフィルタ要素及び関連したシール・キャリアを含む、フィルタ・アセンブリの例示的実施形態の分解図を示す。
【
図11a】シール・キャリア及びシール受けがスナップ嵌合連結具で連結された、フィルタ・アセンブリの実施形態の例を示す。
【
図11b】シール・キャリア及びシール受けがスナップ嵌合連結具で連結された、フィルタ・アセンブリの実施形態の例を示す。
【
図12a】半径方向に取り付けられたシール受けを備えたフィルタ要素及び関連したシール・キャリアを含む、フィルタ・アセンブリの例示的実施形態の分解図を示す。
【
図12b】半径方向に取り付けられたシール受けを備えたフィルタ要素及び関連したシール・キャリアを含む、フィルタ・アセンブリの例示的実施形態の分解図を示す。
【
図13】シール受けを備えたフィルタ要素及び関連したシール・キャリアを含む、フィルタ・アセンブリの更なる実施形態の斜視図を示す。
【
図14】シール・キャリアが、第1及び第2の周囲シールのための支持要素を形成するシェルを含む、フィルタ・アセンブリの実施形態の分解図を示す。
【
図16】シール受けが、シール・キャリアに結合されたラッチと係合するための係合要素を含む、フィルタ・アセンブリの実施形態の分解図を示す。
【
図17】シール・キャリアをフィルタ要素に締め付けるためのクランプを含む、フィルタ・アセンブリの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図面の図は、一定の縮尺で又は比例して描かれていない。概して同一構成要素は、図面では同じ参照番号によって示されている。
【0089】
本開示は、特定の実施形態に関して記載され、特定の実施形態は、本開示を例示するものであり、限定とみなすべきではない。本開示は、具体的に示され及び/又は記載されたものに限定されず、代替又は修正実施形態が本開示の教示全体に照らして開発できることが当業者には認識されよう。記載された図は概略に過ぎず、限定ではない。
【0090】
動詞「含む」並びにそれぞれの活用形の使用は、述べた以外の要素の存在を除外するものではない。要素の前の冠詞「a」、「an」又は「the」の使用は、そのような要素の複数の存在を除外するものではない。
【0091】
更に記載及び特許請求の範囲における用語第1、第2、及び同種のものは、類似要素の間を区別するために使用され、必ずしも時間的にも、空間的にも序列又はあらゆる他の手法で順序を述べるために使用されるものではない。そのように使用された用語は、適切な状況下で相互に交換可能であり、本明細書に記載された本開示の実施形態は、本明細書に記載され又は例示された以外の順序で作動可能であることを理解されたい。
【0092】
本明細書を通して「one embodiment(一実施形態)」又は「an embodiment(一実施形態)」の言及は、実施形態に関連して記載された具体的な特徴、構造又は特性が、本開示の1つ若しくは複数の実施形態に含まれることを意味する。従って本明細書を通して様々な場所で現れる語句「in one embodiment(一実施形態では)」又は「in an embodiment(一実施形態では)」は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すのではないが、そうであってもよい。更に具体的な特徴、構造又は特性は、本開示から当業者には明らかであるはずであるように、1つ又は複数の実施形態においてあらゆる適切な手法で組み合わされてもよい。
【0093】
以下に提示され、検討された多くの図は、空気を濾過するためのフィルタ要素を特に対処する実施形態であるが、本開示は、あらゆる特定の流体を濾過するためのフィルタ要素に限定されない。流体は、例えば空気などの気体である。
【0094】
言い回し「単一回回転対称を備えた外形形状」又は「単一回回転対称を備えた対象」が本開示を通して使用される時、一次離散回転対称を備えた外形形状又は対象とみなさなければならならず、すなわち外形形状又は対象を回転した時に、360°回転後のみ、外形形状又は対象が一致する、すなわち360°回転後のみ、外形形状又は対象は、回転開始と同一に見える。例えば単一回回転対称を備えた外形形状を備えた閉ループ面は、閉ループ面を回転した時に、外形形状が360°回転後のみ一致するように構成された外形形状とみなさなければならない。
【0095】
単一回回転対称は、概して1回回転対称とも呼ばれる。換言すると、単一回回転対称を備えた外形形状又は対象は、回転対称を持たない。対照的に、例えばN回回転対称(但しN>1)を有する回転対称の対象又は回転対称の外形形状では、対象又は外形形状は、360°/Nの回転後に同一に見える。回転対称の対象又は回転対称の外形形状は、N次の回転軸(但しN>1)を有する。単一回回転対称を備えた対象又は外形形状は、回転軸を中心に角度180°以下の回転後に一致する、回転対称の対象又は外形形状の場合のような回転対称の軸を持たない。
【0096】
言い回し「鏡対称」又は「鏡対称性」が本開示を通して使用される時、反射対称とみなさなければならない、すなわち三次元の時に、鏡対称の対象は、鏡対称の平面(更に鏡面とも呼ばれる)を含む。鏡対称の平面の第1の側面上の鏡対称の対象の各半体に対して、第1の側面上の半体の対象の各点が、鏡対称の平面の第2の側面上の他方の半体の対象の別の点の上に1つずつ等距離の割り当てを有するように、鏡対称の平面の第2の側面上に別の半体の対象が存在する。二次元の時に、鏡対称は、対称軸の存在を示唆し、対称軸の上で半体の二次元の対象を折る時、2つの半体は同一であるはずである。
【0097】
フィルタ要素、概要
フィルタ要素は、フィルタ・システムのハウジングの中に挿入することができる、交換可能な部品である。フィルタ要素1が流体を濾過するためのフィルタ媒体パック10及びシール受け15を含む、本開示によるフィルタ要素の例示的実施形態は、
図1a~
図2hに概略的に示されている。これらの図に例示されたように、フィルタ媒体パック10は、第1の外部軸方向面7aと第1の外部軸方向面の反対側の第2の外部軸方向面7bとの間に延在する外周面5を有する。それ故に外周面5は、フィルタ媒体パックの半径方向境界部を形成し、第1及び第2の軸方向面は、フィルタ媒体パックの軸方向境界部を形成する。外周面5は、半径方向外周面と呼ぶこともできる。例示目的で、
図2c~
図2gには、フィルタ要素の半体のみが示されている。
【0098】
実施形態では、例えば
図1a及び
図1bに例示されたように、外周面5は、フィルタ要素の中心長手方向軸Zと基本的に平行に延在する。中心長手方向軸Zは、フィルタ媒体パック10の第1の軸方向面から第2の軸方向面に向かって延在する軸であり、フィルタ媒体パック10の中心軸とみなすことができる。
【0099】
第1及び第2の軸方向面が例えば平面によって形成された実施形態については、
図1a及び
図2a~
図2gに示されたように、中心長手方向軸Zは、フィルタ媒体パック10の第1の軸方向面7aの重心から第2の軸方向面7bの重心に概して延在する。平面の重心は、表面の全ての点の算術的平均位置である。
【0100】
回転対称のフィルタ媒体パックについては、例えば
図1a及び
図2aに示されたように、中心長手方向軸Zは、フィルタ媒体パックの回転対称軸と一致する。
【0101】
他の実施形態では、外周面は、例えば円錐形状又は第1の軸方向面と第2の軸方向面との間に延在する外周面を形成するためのあらゆる他の適切な形状を有することができる。
【0102】
本開示によるフィルタ要素1のシール受け15は、フィルタ媒体パックに封止して取り付けられ、シール受け15は、取り外し可能な周囲シール部材を受領するのに適した閉ループ面16を含む。
図1a、
図1b、
図2g及び
図2hには、シール受け15が、フィルタ媒体パック10の第1の外部軸方向面7aに封止して取り付けられるフィルタ要素1の実施形態が示されているのに対して、
図2a~
図2fには、シール受け15の第1の周囲部が、フィルタ媒体パック10の外周面5に外接し、封止して取り付けられるフィルタ要素1の実施形態が示されている。
【0103】
図2gに例示されたような実施形態では、シール受け15は、フィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面7aの境界部に封止して取り付けられる。
図15に例示されたような更なる実施形態では、シール受け15は、第1の外部軸方向面7aの境界部及びフィルタ媒体パックの外周面5の両方に取り付けられる。
【0104】
本開示の実施形態によるフィルタ要素1は、閉ループ面16が単一回回転対称を備えた外形形状を形成することを特徴とする。換言すると、閉ループ面16の外形形状は、回転対称を持たない。どの回転軸が選択されても、シール受けは、閉ループ面16に対して同じ外形形状に戻ったと見出すためには常に360°だけ回転される。例えばフィルタ媒体パックの中心長手方向軸Zに沿って回転させた場合、外形形状が回転開始前の外形形状と一致するまでに、360°の回転をしなければならない。
【0105】
図1a~
図2hにおける閉ループ面16上に印された点線は、取り外し可能な周囲シール部材が閉ループ面上に受領されるべき場所を示す。
【0106】
シール受け15の外形形状の単一回回転対称の結果として、新しいフィルタ要素をフィルタ・システムのハウジング内に設置する時に、フィルタ要素は、例えばシール・キャリアによって支持された再使用可能な周囲シール部材が、シール受けの閉ループ面によって正確に受領できるように、フィルタ要素を特定の配向に保持することによってのみ設置することができる。
【0107】
本開示による更なる実施形態では、単一回回転対称に加えて、閉ループ面16の外形形状は、フィルタ媒体パックの第1及び第2の外部軸方向面と交差する鏡面に対して鏡対称を有する。このような実施形態の例は、
図2a及び
図2bに示されており、平面Z-X及び平面Z-Yは、それぞれが鏡対称の平面である。
【0108】
実施形態では、閉ループ面16は、鏡対称の単一平面を有する外形形状を形成し、鏡対称の単一平面は、フィルタ媒体パックの前記第1及び第2の外部軸方向面7a、7bと交差する。
図2a及び
図2bに示された実施形態は、外形形状が鏡対称の単一平面、すなわちそれぞれ平面Z-X及びZ-Yのみを有する実施形態の例である。鏡対称の単一平面は、鏡対称の平面が1つしか存在しないことを意味する。
【0109】
鏡対称を有する閉ループ面の外形形状を備えたフィルタ要素の利点は、フィルタ・システムのハウジング内にフィルタ要素を位置付けることを促進するという点である。例えば
図12aに示されたように、第1及び第2の外部軸方向面7a、7bと交差する鏡対称のこのような平面のない閉ループ面については、フィルタ要素をフィルタ・システムのハウジングの中に挿入する前に、フィルタ要素をどの配向に保持するべきかがわかり難い。
【0110】
シール受け15の第1の周囲部をフィルタ媒体パック10に取り付けることは、例えば糊、熱溶解接着剤技法により、収縮包装を使用することにより、成形プロセスにより、又はシール受けをフィルタ媒体パックに封止して取り付けるために当技術分野で公知のあらゆる他の取付技法により行われる。例えば
図2cでは、シール受け15の第1の周囲部がフィルタ媒体パックの外周面5に糊17で取り付けられた、フィルタ要素1の実施形態が示されている。
図2eに示されたフィルタ要素の実施形態では、シール受け15は、収縮包装19を使用して外周面5に取り付けられる。
図2eでは、収縮包装19は黒色に着色されている。
【0111】
上の概説されたように、本開示によるフィルタ要素の実施形態は、フィルタ媒体パックをフィルタ・システムのハウジングに封止するために、フィルタ媒体パックに結合された周囲シール部材を含まない。換言すると、本開示によるフィルタ要素の実施形態は、フィルタ媒体パックをフィルタ・システムのハウジングに封止するためにいかなる周囲シール部材も支持しない。
【0112】
実施形態では、閉ループ面16は、単一の閉ループ面である。換言すると、シール受け15は、シール受け15が、1つの取り外し可能な周囲シール部材のみを受領することができるように、単一の閉ループ面16を含む。
【0113】
シール受け
本開示によるシール受け15の多数の例示的実施形態は、
図3a~
図3cに示されている。これらの図に概略的に示されたように、これらのシール受け15のそれぞれは、単一回回転対称を備えた外形形状を形成する閉ループ面16を有する。閉ループ面16上の点線は、フィルタ要素がフィルタ・システムのハウジング内に挿入された時に、取り外し可能な周囲シール部材が受領されるべき中心場所を概略的に示す。
【0114】
図3a~
図3cに示されたシール受けの閉ループ面の外形も、鏡対称である。事実、上に論じたように一部の実施形態では、シール受けがフィルタ媒体パックに取り付けられた時に、フィルタ媒体パックの第1及び第2の外部軸方向面と交差する鏡対称の平面が存在する。例えば
図2aのフィルタ要素は、
図3bに示された型のシール受けを含み、この例では、平面X-Zは、シール受けの閉ループ面に対する鏡面である。
【0115】
シール受け15は、概して硬質材料から作成され、より詳細には中硬質から硬質、及び超硬質までの材料を網羅する。材料の硬度を表し、測定するために、公知のショアAスケール又はショアDスケールを使用することができる。実施形態では、シール受け15は、ショアAスケールで測定された60~100、好ましくは70~100、より好ましくは80~100、又は別法としてショアDスケールで測定された時に、0~100、好ましくは15~100、より好ましくは30~100のいずれかの硬度を有する。このようにして、フィルタ要素がフィルタ・ハウジング内に挿入された時に、例えばシール・キャリアによって支持された周囲シール部材は、シール受けの閉ループ面16に接触し、シール受けの閉ループ面16に対して押圧され、それによって信頼できるシールを形成する。
【0116】
実施形態では、シール受け15は、例えば硬質プラスチックから作成される。
【0117】
例示的実施形態では、シール受けは、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)又はポリ塩化ビニル(PVC)などの熱可塑性プラスチックを含む。これらの材料では、シール受けは、例えば熱溶接により、又は多構成要素の射出成形により、フィルタ媒体パックに取り付けることができる。
【0118】
シール受け15がフィルタ媒体パック10の外周面5に取り付けられる一部の実施形態では、シール受けの閉ループ面16は、
図2a、
図4a、
図4b、及び
図4h~
図4jに例示されたように、第1の外部軸方向面から第2の外部軸方向面に延在する長手方向軸Zに対して半径方向外方に面する面である。このような半径方向外方に面する面は、外方に向けられたシールを受領するように構成された面とみなさなければならない。
【0119】
例えば
図2bに例示されたように、シール受け15がフィルタ媒体パック10の外周面5に取り付けられた他の実施形態では、シール受けの閉ループ面16は、半径方向内方に面する面である。このような半径方向内方に面する面は、内方に向けられたシールを受領するように構成された面とみなさなければならない。
【0120】
実施形態では、閉ループ面16によって形成された外形形状は、シール受けの外形形状が単一回回転対称を有するように、少なくとも1つの凹状外形部を含む。
【0121】
図2aに例示されたような実施形態では、閉ループ面16は、単一回回転対称を生成するように構成されたステップを含む。
【0122】
図1a及び
図1bに示されたように、シール受けがフィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面に取り付けられた実施形態では、シール受けの閉ループ面16は、軸方向シールを受領するのに適した軸方向に面する面である。
【0123】
実施形態では、シール受け15は、周囲の第1の側面及び反対側の周囲の第2の側面を含み、周囲の第1の側面は閉ループ面16を含み、シール受けの周囲の第2の側面又は周囲の第2の側面の少なくとも一部は、フィルタ媒体パックの外周面5に取り付けられる。実施形態のこれらの型の例は、
図2a~
図2fに示されている。
図2aに例示されたような実施形態では、周囲の第1の側面及び周囲の第2の側面は、それぞれがシール受けの周囲外側面及び周囲内側面である。
図2bに例示されたような他の実施形態では、周囲の第1の側面及び周囲の第2の側面は、それぞれがシール受けの周囲内側面及び周囲外側面である。
【0124】
他の実施形態では、シール受け15は、周囲の第1の側面及び反対側の周囲の第2の側面を含み、周囲の第1の側面は閉ループ面16を含み、周囲の第2の側面又は周囲の第2の側面の少なくとも一部は、フィルタ媒体パックの第1又は第2の外部軸方向面7a、7bに取り付けられる。このような実施形態の例は、
図1a、
図1b及び
図2hに示されている。
【0125】
例えば
図11a及び
図11bに例示されたような実施形態では、シール受け15は周囲側面を含み、前記周囲側面の第1の周囲部は、前記閉ループ面16を形成し、前記周囲側面の第2の周囲部は、フィルタ媒体パック10の第1又は第2の外部軸方向面7a、7bに取り付けられる。
【0126】
例えば
図3a及び
図3bに例示されたような実施形態では、シール受けは、ベルト幅Wを有するベルト形状である。
図2fには、シール受けがフィルタ媒体パックの外周面に取り付けられ、シール受けがベルト形状を有するフィルタ要素の更なる実施形態の斜視図が示されている。
図2fには、フィルタ要素の半体のみが例示目的で示され、シール受け15は黒色に着色されており、白色の点線は周囲シールを受領するために中心場所を示す。
【0127】
ベルト形状のシール受けがフィルタ媒体パックの外周面5に取り付けられた実施形態については、好ましくは0.05≦W/H≦0.5、より好ましくは0.05≦W/H≦0.30であり、Hは
図5a及び
図5bに例示されたように、フィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面と第2の外部軸方向面との間を測定した距離に対応する、フィルタ媒体パックの高さである。
図6a~
図6cに示されたように、胸壁12又は切込み13を含むフィルタ媒体パックについては、高さHは、フィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面と第2の外部軸方向面との間を測定した最大距離に対応する。
【0128】
例えば
図2c及び
図2dに示されたような一部の実施形態では、シール受けの閉ループ面16は、フィルタ媒体パックの外周面の外形断面と基本的に平行である。換言すると、これらの実施形態では、閉ループ面によって形成された外形形状は、フィルタ媒体の外形形状又は外形形状の一部に対応する。
【0129】
例えば
図1bに示されたように、フィルタ媒体パックの第1の軸方向側面が非平面を含む他の実施形態では、シール受けの閉ループ面16は、フィルタ媒体パックの第1の軸方向側面の非平面と基本的に平行である。一方、
図1aに示された実施形態では、フィルタ媒体パックの第1の軸方向側面7aは平面である一方で、閉ループ面16は非平面である。
図1a及び
図1bには、閉ループ面16上の点線の周囲線は、周囲シールが受領されるべき場所を概略的に示し、それによって閉ループ面16の単一回外形形状が際立つ。
【0130】
更に閉ループ面16の外形形状は、フィルタ媒体パックに対して特定の形状に限定されず、又は特定の配向に限定されない。
図4a~
図4jには、中央平面と、異なる外形形状を備えたシール受け15を有するフィルタ要素の様々な実施形態との間の断面の一部が示されている。中央平面は、フィルタ媒体パックの第1及び第2の軸方向面と交差する平面である。
【0131】
図4a~
図4jでは、シール受け15は、外周面5に取り付けられ、又はフィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面7aに取り付けられるいずれかである。シール受けの断面は点線の面積として示され、閉ループ面16は実線によって目立たせている。
図4aには、上に論じたように、ベルト形状のシール受け15が示されており、閉ループ面16は平滑であり、実施形態の型に依存して、フィルタ媒体パックの外周面5と平行であるか、又は第1の外部軸方向面7aと平行であるいずれかである。
図4bには、閉ループ面16がフィルタ媒体パックの外周面5に平行であり、又は第1の外部軸方向面7aに平行である実施形態の更なる例が示されている。
図4c及び
図4dには、閉ループ面16の外形形状が、円弧形状部を含むシール受け15の実施形態が示されている。このような円弧形状の閉ループ面は、例えばC字形又はU字形の周囲シールを受領するのに適している。
図4eには、シール受けが角度のある形状の外形を有する実施形態が示されている。
図4fには、閉ループ面が、例えば周囲リップシールを受領するように構成された実施形態が示されている。
図4gには、
図4aのシール受けに類似したシール受けが示されている。しかしこの例では、閉ループ面は、外周面5に垂直に、又は第1の外部軸方向面7aに垂直に配向されている。例えば閉ループ面が外周面5に垂直に配向された実施形態では、閉ループ面は軸方向シールを受領することができる。
【0132】
本開示によるシール受けの好ましい実施形態では、例えば
図2g、
図4b、
図4h及び
図4iに概略的に例示されたように、シール受け15は、連結具、例えばスナップ嵌合連結具と係合するように、又はラッチと係合するように構成された係合要素21を含む。
【0133】
スナップ嵌合連結具と又はラッチと係合するための係合要素21の例は、隙間、切れ目、リッジ、溝部、刻み目、縁部、窪み部、切落し、陥没、又はスナップ嵌合連結具と係合するのに適したあらゆる輪郭である。係合要素21は、シール受けと、取り外し可能な周囲シール部材を支持するシール・キャリアとの間に、スナップ嵌合又はラッチ連結を作成することができる。
【0134】
実施形態では、スナップ嵌合連結具又はラッチは、例えばシール・キャリアに結合される。これは、シール受けとシール・キャリアとの間に取り外し可能な連結をもたらす。典型的には、スナップ嵌合連結具又はラッチは、シール受けとシール・キャリアとの間の距離に橋を架けるためのカンチレバーアームである。例えば
図16には、シール・キャリア50がラッチ25を含み、シール受け15が、シール・キャリアのラッチ25と係合するための係合要素21を含む、フィルタ・アセンブリの実施形態が示されている。
【0135】
他の実施形態では、シール受けはスナップ嵌合連結具20を含む。スナップ嵌合連結具20は、例えば
図4j及び
図11aに例示されたように、シール受け15の一部に例えば回転可能に又は柔軟に結合される。このようにして、
図11bに更に例示されたように、スナップ嵌合連結具20をシール・キャリア50の係合要素21と係合することにより、シール受け15及びシール・キャリア50は、取り外し可能に連結することができる。
【0136】
フィルタ媒体パック、形状
本開示によるフィルタ要素のフィルタ媒体パック10は、特定の形状に限定されない。フィルタ媒体パックは、回転対称を有する、又は単一回対称を有する、すなわち対称ではないことが可能である。
図5aには、フィルタ媒体パック10の外周面5の外形形状が、長手方向軸Zに対して2次の回転対称を有する、フィルタ媒体パックの実施形態が示されている。
図5bには、円筒形形状のフィルタ媒体パック10の実施形態が示されており、それ故に外周面5の外形形状は、長手方向中心軸Zに対して完全に対称であり、すなわち外形形状は、無限次の回転対称を有する。
【0137】
図6a~
図6c並びに
図7a及び
図7bには、フィルタ媒体パック10の外周面5の外形形状が、単一回回転対称を有する、フィルタ媒体パックの実施形態が示されている。事実、例えば中心長手方向軸Zを中心にこれらの型の実施形態を回転した時、360°の回転のみ、同じ外形形状が獲得される。
【0138】
一部の実施形態では、
図6a~
図6cに例示されたように、外周面の外形形状の単一回回転対称は、フィルタ媒体パックの端部に1つ又は複数の胸壁12を提供する、又は別法として1つ又は複数の切込み13を提供することによって獲得される。胸壁12は、フィルタ媒体パックの高さが長手方向軸Zに沿って局所的に増加する、フィルタ媒体パックの局所の端部とみなさなければならない。
【0139】
他の実施形態では、フィルタ媒体パックの第1及び/又は第2の外部軸方向面は、外周面が単一回回転対称を有するように傾斜することができる。
図2hには、傾斜した第1の軸方向側面を有するフィルタ媒体パックを備えたフィルタ要素の例が示されており、シール受け15は、傾斜した第1の軸方向側面7aに取り付けられる。
図2gには、シール受け15は、黒色に着色されており、閉ループ面16上の白色の点線は、取り外し可能な周囲シール部材を受領するための閉ループ面16上の中心場所を示す。
【0140】
図6a~
図6cに示された実施形態では、フィルタ媒体パックは管状形状を有する。
図6aに例示されたように、単一の切込み13は、フィルタ媒体パックの半径方向外形が、単一回回転対称を有するように、フィルタ媒体パックの外周面5に作成される。
図6b及び
図6cには、単一の胸壁12が、フィルタ媒体パックの外周面に提供される実施形態が示されている。このようにして、
図6a~
図6cに例示されたように、フィルタ媒体パックの第1の軸方向面7aは、非平面に形成される。
【0141】
フィルタ要素の実施形態では、
図1bに示されたように、第1の軸方向面7aは、シール受けの閉ループ面16によって形成された外形形状に対応する外形形状を有する、周囲非平面である。これらの実施形態では、フィルタ媒体パック及びシール受けの両方は、単一回回転対称を有する。
【0142】
図7a及び
図7bには、外周面5の外形形状が単一回回転対称を有する、フィルタ媒体パック10の更なる実施形態が示されている。これらの実施形態では、外周面5の外形形状は、このような単一回回転対称が生成されるように、1つの凹状外形部を含む。
【0143】
図8a及び
図8bには、横断面と、例示的フィルタ媒体パックの実施形態の半径方向外周面5との間の断面が示されており、単一回回転対称を有する外周面5の外形形状の更なる例を例示する。横断面は、第1の外部軸方向面と第2の外部軸方向面との間の中間に置かれ、上に画定された正中面に垂直な平面である。
【0144】
図7a及び
図7bに示された実施形態では、フィルタ媒体パックの第1及び第2の外部軸方向面7a、7bは、面に平行な平面である。他の実施形態では、第1及び/又は第2の外部軸方向面は傾斜することができる。
【0145】
図2aに例示されたように、フィルタ媒体パックの外周面が単一回回転対称を有し、シール受け15がフィルタ媒体パックの外周面5に取り付けられる一部の実施形態では、シール受けの閉ループ面16によって形成された外形形状は、フィルタ媒体パックの外周面5の外形形状に対応する。
【0146】
図2bには、フィルタ媒体パック10が2回回転対称を有し、シール受け15の閉ループ面16が単一回回転対称を有する、フィルタ要素1の例が示されている。
【0147】
実施形態では、フィルタ媒体パック10の外周面5の外形形状は、鏡対称の平面に対して鏡対称であり、好ましくは、鏡対称の平面は、フィルタ媒体パックの第1及び第2の外部軸方向面と交差する。
【0148】
閉ループ面が、鏡対称の単一平面を有する外形形状を形成し、鏡対称の単一平面が、フィルタ媒体パックの第1及び第2の外部軸方向面7a、7bと交差する実施形態では、フィルタ媒体パック10の外周面5の外形形状も、閉ループ面の鏡対称のこの単一平面に対して鏡対称である。平面Z-Yが、フィルタ媒体パック及びシール受けの閉ループ面の両方に対して鏡面であるような実施形態の例は、
図2bに示されている。
【0149】
溝付きフィルタ媒体
本開示によるフィルタ要素のフィルタ媒体パックは、特定のフィルタ媒体に限定されない。フィルタ媒体パックは、例えば溝付きフィルタ媒体、襞付きフィルタ媒体又は流体を濾過するのに適したあらゆる他のフィルタ媒体を含む。
【0150】
図2a及び
図2bに示されたフィルタ要素1は、フィルタ媒体パックが、Zフィルタ媒体としても公知の溝付きフィルタ媒体を含む実施形態の例である。実施形態では、溝付きフィルタ媒体は、溝付きフィルタ材料のコイル状層を含み、コイル状溝付きフィルタ媒体の外層の外面は、フィルタ媒体パック10の外周面5を形成する。
【0151】
典型的には、溝付きフィルタ媒体を含むフィルタ媒体パックの実施形態では、第1及び第2の外部軸方向面7a、7bは、それぞれが流体入口面及び流体出口面に対応し、又は別法としてそれぞれが流体出口面及び流体入口面に対応する。
【0152】
コイル状Zフィルタ媒体を備えたフィルタ媒体パックは、例えば特許文書の米国特許第7396376号明細書に開示されている。Zフィルタ媒体の1つの構造の型は、媒体構造を形成するために一緒に接合される2つの特定の媒体構成要素を利用する。2つの構成要素は溝付き、典型的には波型媒体シート、及び対面媒体シートである。対面媒体シートは、典型的には非波型である。溝付き媒体シート及び対面媒体シートは、1組の平行な入口溝及び1組の平行な出口溝を有する媒体を画定するために一緒に使用される。溝付きシートを対面シートと一緒に固定した後、溝付きフィルタ材料の層が獲得され、溝付きフィルタ材料は、1組の入口溝及び1組の出口溝を含む。
【0153】
コイル状溝付き材料の各層は、1組の入口溝及び1組の出口溝を含む。1組の入口溝は、濾過されていない流体を受領するためにフィルタ本体の軸方向入口側で開いており、入口溝は、フィルタ本体の軸方向出口側で閉じている。一方、1組の出口溝は、軸方向入口側で閉じており、濾過された流体をフィルタ本体から出すことができるために、軸方向出口側で開いている。このようにして、流体は、軸方向入口側から軸方向出口側に流れるために、Z形状の軌道を作成するように強いられる。
【0154】
概して溝付きフィルタ材料の層をコイル状にすることにより、コイル状溝付きフィルタ媒体の外層によって形成された外周面を有し、濾過されていない流体を受領するための軸方向入口面、及び濾過された流体を出すための軸方向出口面を有する、フィルタ本体が形成される。実施形態では、各コイル状層内の溝は、フィルタ媒体パックの長手方向と基本的に平行に配向される。
【0155】
実施形態では、巻き付けた溝付きフィルタ媒体パックを生産するプロセスの間に、一定の幅を有するフィルタ媒体の長さは、巻芯の周りに巻き付けられる。フィルタ媒体パックの外周面の外形形状は、使用する巻芯の外形形状に依存する。円筒形の巻芯は、円筒形のフィルタ媒体パックをもたらし、例えば長円形の巻芯は、フィルタ媒体パックの外周面に対して長円形の外形形状をもたらす。概して巻芯を取り除いた後、得られるフィルタ媒体パックは、
図8bに例示されたように、中空中心部11を有する。一部の実施形態では、中空中心部11は、フィルタ媒体パックを強化するために材料を詰められる。
【0156】
外周面が単一回回転対称を備えた、例えば凹状の外形部からもたらされる外形形状を有するフィルタ媒体パックは、まず円筒形のフィルタ要素を生成し、その後外周面のために所望の外形形状に対応する突出及び空洞を有する、適切な形状のプレス成形内にフィルタ媒体パック置くことによって生成することができる。フィルタ媒体パック10と一緒に押圧されるこのようなプレス成形30は、
図9に概略的に例示されている。
【0157】
特許文書の国際公開第2017/1741199A1号パンフレットには、チャネル又は溝を含むフィルタ媒体の更なる例が開示されている。この文献に開示されたフィルタ媒体は、各第1のチャネルが、第1の端部から第2の端部に延在し、各第1のチャネルが、その第1の端部に入口開口を有し、濾過される流体は、入口開口を通ってそれぞれの第1のチャネルの中に流入することができ、その第2の端部で閉鎖する、第1のチャネルの群と、各第2のチャネルが、第1の端部から第2の端部に延在し、各第2のチャネルが、その第2の端部に出口開口を有し、濾過された流体は、出口開口を通ってそれぞれの第2のチャネルから流出することができ、その第1の端部で閉鎖する、第2のチャネルの群とを含む。少なくとも1つの第1のチャネルは第2のチャネルに隣接して配置され、第1のチャネルは、隔壁によって第2のチャネルから分離され、隔壁はフィルタ媒体から形成され、濾過される流体は、フィルタ媒体を通って第1のチャネルから第2のチャネルの中に流れることができる。
【0158】
国際公開第2017/174199A1号パンフレットに開示された実施形態に類似したフィルタ媒体の更なる実施形態では、フィルタ媒体は、フィルタ媒体パックを通過させる貫通チャネルを追加として含む。貫通チャネルは、フィルタ媒体パックの頂面に開口、及び/又は底面に開口を有する。貫通チャネルは、フィルタ要素のある特定の面積を第1のチャネルの群に属するチャネルから解放し、第2のチャネルの第2の群に属するチャネルから解放し、頂面及び底面のいずれかに開口を有するが、更なる開口を持たない、あらゆる他の型のチャネルから解放したままにすることによるだけで得ることができる。実施形態では、要素は、貫通チャネルを通る流体流れを閉じる一方で、貫通チャネル内の容積を開いたままにする貫通チャネル内に置かれる。
【0159】
襞付きフィルタ媒体
図1a及び
図1bに例示されたフィルタ要素は、襞付きフィルタ媒体を含むフィルタ媒体パックを含むフィルタ要素の例である。襞付きフィルタ媒体は、閉ループ、例えば環内に置かれた複数の襞を有する。このようにして、長手方向Zに延在する中空フィルタ本体が形成される。中空フィルタ本体は、第1の開口及び第2の開口を中空フィルタ本体の第1の端部及び第2の端部のそれぞれに有する。襞は、例えばフィルタペーパーのシートを折り畳むことによって形成される。
図1bに示された実施形態では、中空フィルタ本体は、第1の端部に胸壁12を備えた中空形状の円筒であるのに対して、
図1bに示された実施形態は、平坦な軸方向側面を有する円筒形形状のフィルタ媒体パックを備えたフィルタ要素を例示する。
【0160】
複数の襞の複数の外部先端は、中空フィルタ本体の外周長を形成する。この実施形態では、フィルタ媒体パック10の外周面5は、襞の外部先端によって形成されたこの周長に対応し、フィルタ媒体パックの第1及び第2の軸方向面7a、7bは、中空フィルタ本体の第1及び第2の端部のそれぞれに対応する。実施形態では、典型的には、襞付きフィルタ媒体の折線は、長手方向軸Zに基本的に平行に配向される。
【0161】
図1a又は
図1bに示されたフィルタ要素がフィルタ・システムのハウジングに設置された後、フィルタ・システムが作動している時に、流体は、長手方向Zに横方向にフィルタ媒体と交差する。例えば、濾過される流体は、フィルタ媒体パックの外周面5を通って襞付き媒体によって形成された中空フィルタ本体の内部に向かって横切り、濾過された流体は、フィルタ媒体パックの第1の軸方向面7a内の中心開口を通ってフィルタ媒体パックから出る。第1の軸方向面7a内のこの中心開口は、中空フィルタ本体の第1の端部における開口に対応する。それ故にこれらの型の実施形態は、オープンエンドキャップ及びクローズドエンドキャップを襞付きフィルタ媒体によって形成された中空フィルタ本体の第1及び第2の端部のそれぞれに必要である。
【0162】
図1bに例示されたような実施形態では、第1の軸方向面7aは、周囲非平面を含む。上に論じたように実施形態では、非平面は、フィルタ媒体パックの第1の端部に1つ又は複数の胸壁を備えた外周面を提供することによって獲得される。
図1bに示された例では、1つの胸壁12が提供される。フィルタ要素の製造プロセス中に、シール受け15は、フィルタ媒体パックの非平面に封止して取り付けられる。それ故にこの実施形態では、シール受けは、フィルタ媒体パックの第1の軸方向側面7aのためにオープンエンドキャップも形成する。
【0163】
図1bに示されたような実施形態では、第1の軸方向面7aの周囲非平面は、シール受け15の閉ループ面16の形状に対応する形状を有する。この実施形態では、閉ループ面は、第1の軸方向面7aの周囲非平面と基本的に平行な平滑面である。
【0164】
図1a及び
図1bに示された実施形態では、シール受けの閉ループ面16は、長手方向軸Zに対して軸方向に面する面である。
【0165】
フィルタ媒体が襞付きフィルタ媒体であるフィルタ要素の実施形態では、フィルタ媒体パック10は、
図1a及び
図1bに例示されたように中空形状を有し、シール受け15は、濾過されていない流体を受領するため、又は濾過された流体を排出するためにフィルタ媒体パックのためのオープンエンドキャップを形成する。好ましくは、これらの実施形態では、クローズドエンドキャップは、フィルタ媒体パックの第2の外部軸方向面7bに封止して取り付けられる。
【0166】
フィルタ・アセンブリ
本開示のさらなる態様によれば、大部分の分離可能な構成要素、つまり上に論じたようなフィルタ要素1及びシール・キャリア50を基本的に含むフィルタ・アセンブリ100が提供される。本開示によるフィルタ・アセンブリ100の実施形態の複数の例は、
図10a~
図17に示されている。
【0167】
シール・キャリア50は、フィルタ要素1とフィルタ・システムのハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成する。シール・キャリア50は、第1の周囲シール部材51及び第2の周囲シール部材52を含む。シール・キャリアは、第1及び第2の周囲シール部材を支持するように構成されたシール支持構造53を更に含む。
【0168】
フィルタ要素がフィルタ・システムのハウジング内に挿入された時に、第1の周囲シール部材51は、フィルタ要素1とシール・キャリア50との間にシールを形成し、第2の周囲シール部材52は、シール・キャリア50とフィルタ・システムのハウジングとの間にシールを形成する。第1の周囲シール部材51の外形形状は、緊密で信頼できるシールを形成できるように、フィルタ要素のシール受け15の閉ループ面16の外形形状と一致するように構成される。
【0169】
実施形態では、シール・キャリア50のシール支持構造53は、第1の周囲シール部材51を支持するように構成された第1の周囲支持部、及び第2の周囲シール部材52を支持するように構成された第2の周囲支持部を有する。
【0170】
実施形態では、シール支持構造53はフレーム部材によって形成される。他の要素では、シール支持構造53は、フィルタ媒体パック10の外周面5を部分的に又は全体的に包囲するように構成されたシェル部材によって形成される。これらの実施形態では、第1及び第2の周囲シールは、シェル部材の外壁に取り付けられる。周囲シールを支持するためのシール支持構造53がシェル部材であるシール・キャリアは、
図14及び
図15に例示されている。
【0171】
実施形態では、第1及び第2の周囲シールは、シール・キャリアのシール支持構造に取り付けられる。シールは、糊により、又はあらゆる他の適切な手段によりシール支持構造に取り付けることができる。他の実施形態では、第1及び第2の周囲シールは、第1及び第2の周囲シールが、交換可能である一方で、引き続き同じシール支持構造を使用するように、シール支持構造に取り外し可能に取り付けられる。
【0172】
実施形態では、シール・キャリアのシール支持構造53は、第1及び第2の周囲シール部材51、52と一緒に、多構成要素の射出成形の製造プロセスを適用することによって製造される。多構成要素の射出成形プロセスの第1の構成要素は、シール・キャリアのシール支持構造53を形成するために使用され、第2の構成要素は、第1及び第2の周囲シール部材51、52を形成するために使用される。このようにして、第1及び第2の周囲シール部材は、射出成形の製造プロセスの間に、シール支持構造53の第1及び第2の周囲支持部のそれぞれに取り付けられ、それ故にシール支持構造53は、第1及び第2の周囲シール部材51、52と一緒に、単一部品を形成する。例えば2つの異なる型のポリマは、2つの構成要素の射出成形の製造プロセスを適用する時に、2つの構成要素として、例えばシール支持構造53に対して硬質プラスチックなどの比較的硬い材料、及び第1及び第2の周囲シール部材51、52に対してゴム材料などの比較的柔らかい材料を使用することができる。一態様では、第1及び第2の周囲シール部材51、52に使用される材料は、シール支持構造53を形成するために使用される材料に対して、比較的柔らかく、より圧縮可能であり、及び/又はより偏向可能であることを特徴とすることができる。同様に、第1及び第2の周囲シール部材51、52に使用される材料は、閉ループ面16を形成するために使用される材料に対して、比較的柔らかく、より圧縮可能であり、及び/又はより偏向可能であることを特徴とすることができる。一部の例では、第1及び第2の周囲シール部材51、52を形成するために使用される材料は、シール支持構造53及び/又は閉ループ面16を形成するために使用される材料に比べて、より高い摩擦係数を有することも特徴とすることができる。
【0173】
図12aに示された実施形態では、フィルタ媒体パック10は、溝付きフィルタ媒体を含み、フィルタ要素1は、フィルタ媒体パックの第2の軸方向面に結合された抗伸縮性要素60を含む。抗伸縮性要素は、コイル状層が長手方向Zに動くのを阻む。この長手方向の動きは、概して伸縮として公知であり、例えばフィルタ要素の入口と出口との間の圧力差からもたらされ、又は振動の結果としてもたらされる。抗伸縮性要素60をフィルタ媒体パックの第2の軸方向面に結合することは、例えば糊付けにより、又はフィルタ要素1の製造プロセスの一部として熱溶接により獲得される。
図12aには、フィルタ媒体パック10に取り付けられたシール受け15は、黒色に着色されており、シール受け上の白色の点線は、シール・キャリア50がフィルタ要素に結合された時に、第1の周囲51を受領するべき場所を示す。
【0174】
図13には、本開示によるフィルタ・アセンブリ100の更なる例の斜視図が示されている。例示目的で、フィルタ要素の半体のみが示されている。この実施形態は、第1及び第2の周囲シール部材51、52の外形形状が、必ずしも同じである必要はないことを例示する。この実施形態では、フィルタ媒体パック・フィルタの外周面5は、
図7aに示されたフィルタ媒体パックに類似した凹状外形部を有する。シール受け15はベルト形状を有し、シール受けの閉ループ面16によって形成された外形形状は、フィルタ媒体パックの外周面5の外形形状に対応する。上に述べたように、第1の周囲シール部材の外形形状は、シール受け15の閉ループ面の外形形状と一致するように構成される。
図13に示された実施形態では、第2の周囲シール部材52は、シール・キャリア50のシール支持構造53の第2の支持部によって支持され、第1の周囲シール部材51の外形形状と異なる外形形状を有し、第2の周囲シール部材52の外形形状は、この例のように、2回回転対称を有することができるのに対して、第1の周囲シール部材51の外形形状は、単一回回転対称を有する。
【0175】
好ましい実施形態では、フィルタ・アセンブリ100は、スナップ嵌合連結具20を含み、フィルタ要素のシール受け15及びシール・キャリア50は、シール受け15とシール・キャリア50との間に取り外し可能な連結を作成するように、スナップ嵌合連結具20と係合するように構成される。上に論じたように、スナップ嵌合連結具20は、シール受けとシール・キャリアとの間の距離をスナップ嵌合して、橋を架けるためのカンチレバーアームとみなさなければならない。このようにして、フィルタ要素が、スナップ嵌合連結具を使用することによりフィルタ・システムのハウジング内に設置されるべき時に、シール・キャリア50は、フィルタ要素1及びシール・キャリア50が、ハウジング内にフィルタ要素を設置するように促す連結ユニットを形成するように、まずシール受け15に取り付けられる。実施形態では、フィルタ・アセンブリ100は、複数のスナップ嵌合連結具20を含む。
【0176】
図11aには、シール受け15が、シール受け15とシール・キャリア50との間にスナップ嵌合連結を作成するように構成されたスナップ嵌合連結具20を含む、フィルタ・アセンブリ100の実施形態が示されている。スナップ嵌合連結具20は、例えば
図4jに概略的に示されたように、シール受け15の一部であり、シール受け15の一部に例えば回転可能に又は柔軟に取り付けることができる。
図11aに示された実施形態では、シール・キャリア50は、シール受け15とシール・キャリア50との間に相互連結を作成するように、スナップ嵌合連結具20、例えばフック又は鋲の端部が、スナップ嵌合係合要素21の中にカチッと入ることができるように構成されたスナップ嵌合係合要素21、例えば溝又は切欠きを含む。
図11bは、スナップ嵌合連結具20を使用してシール受け15をシール・キャリア50とスナップ嵌合した後の、フィルタ・アセンブリ100を例示する。
【0177】
図4b、
図4h及び
図4jに示されたような実施形態では、シール受けは、スナップ嵌合連結具20を受領するように構成された係合要素21を含み、スナップ嵌合連結具20は、シール・キャリアに例えば回転可能に又は柔軟に取り付けることができる。
図16に例示されたような他の実施形態では、シール受け15の係合要素21は、シール・キャリア50のラッチ25を受領するように構成される。
【0178】
フィルタ・アセンブリ100の更なる実施形態では、シール受け15及びシール・キャリア50の両方が、スナップ嵌合連結具20を受領するように構成された係合要素21を含む。これらの実施形態では、スナップ嵌合連結具は、第1の端部がシール受けのスナップ嵌合係合要素21と連結し、第1の端部の反対側のスナップ嵌合連結具20の第2の端部が、シール・キャリアのスナップ嵌合係合要素21と連結する、別個の要素である。
【0179】
図17には、フィルタ・アセンブリ100が、シール・キャリア50をフィルタ要素に締め付けるためのクランプ26を含む、フィルタ・アセンブリの実施形態の更なる例が示されている。
【0180】
図14及び
図15には、フィルタ・アセンブリ100の実施形態の更なる例が示されている。この実施形態では、第1及び第2の周囲シール51、52を支持するシール・キャリア50のシール支持構造53は、シェル部材によって形成される。この実施形態では、フィルタ要素は、フィルタ媒体パック10及びシール受けを含み、挿入後にシェルが、フィルタ媒体パック10の外周面5を包囲する、又は少なくとも部分的に包囲するように、シェル内に挿入可能である。シェル部材は、フィルタ媒体パックに強固な保護を形成する。
図14の2つの垂直矢印は、シール・キャリア50のシェル部材53内にフィルタ要素を挿入するための方向を示す。
【0181】
実施形態では、シール受け15の閉ループ面16は、取り外し可能な周囲リップシールを受領するように構成される。例えば
図14及び
図15に例示されたように、第1の周囲シール部材51は、シール受け15の閉ループ面と係合するように構成された周囲リップシールである。実施形態では、第2の周囲シーム部材52もリップシールである。
【0182】
フィルタ・システム
本開示の追加の態様によれば、上に定義されたようなフィルタ・アセンブリ100及びフィルタ・ハウジングを含む、フィルタ・システムの実施形態が提供される。これらの実施形態では、フィルタ・アセンブリ100のシール・キャリア50は、フィルタ要素1とフィルタ・システムのフィルタ・ハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成する。
【0183】
他の実施形態では、フィルタ・システムは、フィルタ要素1とフィルタ・ハウジングとの間に取り外し可能な界面を形成するシール・キャリア50を含まない。このようなシール・キャリアのないそれらの実施形態では、フィルタ・システムは、上に定義されたようなフィルタ要素、フィルタ要素を受領するように構成されたフィルタ・ハウジング、及びフィルタ・ハウジングの壁部に結合された周囲シール部材を含む。シール・キャリア50のないこれらの実施形態では、フィルタ・ハウジングの壁部に結合された周囲シール部材は、フィルタ要素とフィルタ・ハウジングとの間にシールを形成する。周囲シール部材の外形形状は、フィルタ要素のシール受けの閉ループ面16の外形形状と一致するように更に構成される。このようにして、フィルタ要素をフィルタ・ハウジング内に挿入した時、フィルタ・ハウジングに結合された周囲シール部材は、シール受けの閉ループ面によって受領される。
【0184】
好都合なことに、閉ループ面の外形形状が、それ故に周囲シールの外形形状も、単一回回転対称を有する実施形態については、フィルタ要素を交換する時に、周囲シールは、ハウジングに対して同じ位置に維持される。
【0185】
同様に、閉ループ面が、第1及び第2の外部軸方向面7a、7bと交差する、鏡対称の単一平面を有する外形形状を形成する実施形態については、鏡対称の単一平面に対して鏡対称である周囲シールの外形形状も存在する。これらの実施形態についても、シールを交換する時に、周囲シールは、ハウジングに対して同じ位置に維持される。
【0186】
シール・キャリアのないフィルタ・システムの実施形態では、周囲シール部材は、フィルタ・ハウジングの壁部に恒久的に取り付けられる。シール・キャリアのないフィルタ・システムの他の実施形態では、周囲シール部材は、ハウジングの壁部に取り外し可能に結合され、それ故に周囲シール部材は、交換することができる。
【符号の説明】
【0187】
1 フィルタ要素
5 フィルタ媒体パックの外周面
7a フィルタ媒体パックの第1の外部軸方向面
7b フィルタ媒体パックの第2の外部軸方向面
10 フィルタ媒体パック
11 中空中心部
12 胸壁
13 切込み
15 シール受け
16 閉ループ面
17 糊
19 収縮包装
20 スナップ嵌合連結具
21 係合要素
25 ラッチ
26 クランプ
30 プレス成形
50 シール・キャリア
51 第1の周囲シール部材
52 第2の周囲シール部材
53 シール支持構造
60 抗伸縮要素
100 フィルタ・アセンブリ
Z 中心長手方向軸
【国際調査報告】