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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】音響出力システム、方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20230419BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230419BHJP
   H04R 7/02 20060101ALI20230419BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R1/02 101Z
H04R7/02 Z
H04R1/10 101Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553655
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 CN2020141799
(87)【国際公開番号】W WO2021196795
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010247338.2
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.JAVA
3.SMALLTALK
4.VISUAL BASIC
5.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レイ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】シン・チ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンジアン・フ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】リウェイ・ワン
【テーマコード(参考)】
5D005
5D016
5D017
【Fターム(参考)】
5D005BA02
5D005BA11
5D016FA00
5D017AB11
5D017AD40
(57)【要約】
本明細書は、音響出力装置を提供する。前記装置は、骨伝導音波を発生させるように構成された骨伝導アセンブリを含む。前記装置は、空気伝導音波を発生させるように構成された空気伝導アセンブリを含み、前記骨伝導音波と前記空気伝導音波は、同じオーディオ信号を表す。前記骨伝導音波と前記空気伝導音波との位相差は、閾値より小さく、前記装置は、前記骨伝導アセンブリ及び前記空気伝導アセンブリの少なくとも一部を収容するように構成されたハウジングを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨伝導音波を発生させるように構成された骨伝導アセンブリと、
空気伝導音波を発生させるように構成された空気伝導アセンブリであって、前記骨伝導音波と前記空気伝導音波が、同じオーディオ信号を表し、前記骨伝導音波と前記空気伝導音波との位相差が、閾値より小さい空気伝導アセンブリと、
前記骨伝導アセンブリ及び前記空気伝導アセンブリの少なくとも一部を収容するように構成されたハウジングとを含む、音響出力装置。
【請求項2】
前記骨伝導アセンブリは、
磁場を発生させるように構成された磁気回路システムと、
前記ハウジングに接続される1つ以上の振動板と、
前記1つ以上の振動板のうちの少なくとも1つに接続され、前記オーディオ信号に応答して前記磁場中で振動し、前記1つ以上の振動板が振動するように駆動して前記骨伝導音波を発生させるコイルとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記骨伝導アセンブリが前記骨伝導音波を発生させる場合、前記空気伝導音波は、前記骨伝導アセンブリ又は前記ハウジングのうちの少なくとも1つの振動により発生する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記空気伝導アセンブリは、
前記骨伝導アセンブリ又は前記ハウジングのうちの少なくとも1つに物理的に接続される1つ以上の振動膜であって、前記空気伝導音波が、前記1つ以上の振動膜と前記骨伝導アセンブリ又は前記ハウジングのうちの少なくとも1つの振動とにより発生する振動膜を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、空間を含み、前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、前記空間内に位置し、前記空間は、少なくとも前記1つ以上の振動膜で仕切られた第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、前記ハウジングにおける前記第1のキャビティを取り囲む第1の部分は、前記骨伝導アセンブリに接続され、前記骨伝導アセンブリの振動を伝達するように構成され、前記空気伝導音波は、前記第2のキャビティを介して出力される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジングにおける前記第2のキャビティを取り囲む第2の部分は、前記第2のキャビティと流体連通する1つ以上の第1の孔を有するように構成され、前記空気伝導音波は、前記1つ以上の第1の孔を介して前記第1の孔から出力される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の第1の孔のそれぞれに音響管が設置される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングの前記第1の部分は、前記第1のキャビティと流体連通する1つ以上の第2の孔を有するように構成され、前記1つ以上の第2の孔は、前記第1のキャビティの圧力を調整するように構成される、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の第1の孔は、前記ハウジングの第1の側壁に設置され、前記1つ以上の第2の孔は、前記ハウジングの第2の側壁に設置され、前記第1の側壁は、前記第2の側壁に平行である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ハウジングに1つ以上の第3の孔が設置され、前記1つ以上の第3の孔は、前記第1のキャビティ又は前記第2のキャビティのうちの少なくとも1つと流体連通する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の第2の孔又は前記1つ以上の第3の孔のうちの少なくとも1つには、音響抵抗材が覆われる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ以上の第3の孔のうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの前記第2の側壁に設置される、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の第3の孔の少なくとも1つに減衰構造が設置される、請求項10~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、
前記骨伝導アセンブリに物理的に接続され、底板及び側壁を含み、前記骨伝導アセンブリの少なくとも一部を収容するサブ空間を形成する本体部と、
前記ハウジングに物理的に接続される補助部とを含む、請求項4~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記補助部は、凹面領域又は凸面領域のうちの少なくとも1種を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、環状構造を含み、前記振動膜の内壁は、前記骨伝導アセンブリを取り囲み、前記振動膜の外壁は、前記ハウジングに物理的に接続される、請求項4~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、前記骨伝導アセンブリの底面と前記ハウジングの底面との間に位置する、請求項4~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記1つ以上の振動膜は、前記骨伝導アセンブリに物理的に接続される第1の振動膜と、前記ハウジングに物理的に接続される第2の振動膜とを含む、請求項4~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記ハウジングの底面は、閾値より小さい共振周波数を有し、前記底面は、ユーザが前記装置を着用する場合にユーザと接触する前記ハウジングの側壁と対向する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記空気伝導アセンブリは、振動膜及び振動伝達アセンブリを含み、前記振動伝達アセンブリは、前記骨伝導アセンブリ及び前記振動膜に物理的に接続され、前記振動伝達アセンブリは、前記骨伝導アセンブリの振動を前記振動膜に伝達することにより、前記空気伝導音波を発生させるように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、音響孔をさらに含み、前記空気伝導音波は、前記音響孔から出力され、前記振動膜は、前記音響孔内に設置される、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、全体的に音響出力技術に関し、特に骨伝導及び空気伝導を同時に利用してオーディオ信号を提供する音響出力装置に関する。
【0002】
[参照による援用]
本明細書は、2020年3月31日に出願された出願番号202010247338.2の中国特許出願の優先権を要求し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
現在、音響出力機能を備えたウェアラブル装置が現れつつあり、ますます人気が高まっている。特に、オープンイヤー型音響出力装置(例えば、骨伝導スピーカ)は、その健康及び安全性のため、ユーザへの音声の伝達を容易にするために広く使用されている。しかしながら、骨伝導スピーカは、中低周波数範囲内で性能が低く、かつ明らかな音漏れが発生する。したがって、出力される音声の品質を向上させ、音声を豊富にし、ユーザのオーディオ体験を向上させ、音漏れを低減する音響出力装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の一態様は、音響出力装置を提供する。いくつかの実施例において、前記装置は、骨伝導音波を発生させるように構成された骨伝導アセンブリを含む。前記装置は、空気伝導音波を発生させるように構成された空気伝導アセンブリを含み、前記骨伝導音波と前記空気伝導音波は、同じオーディオ信号を表す。前記骨伝導音波と前記空気伝導音波との位相差は、閾値より小さい。前記装置は、前記骨伝導アセンブリ及び前記空気伝導アセンブリの少なくとも一部を収容するように構成されたハウジングを含む。いくつかの実施例において、前記骨伝導アセンブリは、磁場を発生させるように構成された磁気回路システムを含む。前記骨伝導アセンブリは、前記ハウジングに接続される1つ以上の振動板を含む。前記骨伝導アセンブリは、前記1つ以上の振動板のうちの少なくとも1つに接続され、前記オーディオ信号に応答して前記磁場中で振動し、前記1つ以上の振動板が振動するように駆動して前記骨伝導音波を発生させるコイルを含む。
【0005】
いくつかの実施例において、前記骨伝導アセンブリが前記骨伝導音波を発生させる場合、前記空気伝導音波は、前記骨伝導アセンブリ又は前記ハウジングのうちの少なくとも1つの振動により発生する。
【0006】
いくつかの実施例において、前記空気伝導アセンブリは、前記骨伝導アセンブリ又は前記ハウジングのうちの少なくとも1つに物理的に接続される1つ以上の振動膜であって、前記空気伝導音波が、前記1つ以上の振動膜と前記骨伝導アセンブリ又は前記ハウジングのうちの少なくとも1つの振動により発生する振動膜を含む。
【0007】
いくつかの実施例において、前記ハウジングは、空間を含み、前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、前記空間内に位置し、前記空間は、少なくとも前記1つ以上の振動膜で仕切られた第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、前記ハウジングにおける前記第1のキャビティを取り囲む第1の部分は、前記骨伝導アセンブリに接続され、前記骨伝導アセンブリの振動を伝達するように構成され、前記空気伝導音波は、前記第2のキャビティを介して出力される。
【0008】
いくつかの実施例において、前記ハウジングにおける前記第2のキャビティを取り囲む第2の部分は、前記第2のキャビティと流体連通する1つ以上の第1の孔を有するように構成され、前記空気伝導音波は、前記1つ以上の第1の孔を介して前記第1の孔から出力される。
【0009】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の第1の孔のそれぞれに音響管が設置される。
【0010】
いくつかの実施例において、前記ハウジングの前記第1の部分は、前記第1のキャビティと流体連通する1つ以上の第2の孔を有するように構成され、前記1つ以上の第2の孔は、前記第1のキャビティの圧力を調整するように構成される。
【0011】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の第1の孔は、前記ハウジングの第1の側壁に設置され、前記1つ以上の第2の孔は、前記ハウジングの第2の側壁に設置され、前記第1の側壁は、前記第2の側壁に平行である。
【0012】
いくつかの実施例において、前記ハウジングに1つ以上の第3の孔が設置され、前記1つ以上の第3の孔は、前記第1のキャビティ又は前記第2のキャビティのうちの少なくとも1つと流体連通する。
【0013】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の第2の孔又は前記1つ以上の第3の孔のうちの少なくとも1つには、音響抵抗材が覆われる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の第3の孔のうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの前記第2の側壁に設置される。
【0015】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の第3の孔の少なくとも1つに減衰構造が設置される。
【0016】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、前記骨伝導アセンブリに物理的に接続され、底板及び側壁を含み、前記骨伝導アセンブリの少なくとも一部を収容するサブ空間を形成する本体部と、前記ハウジングに物理的に接続される補助部とを含む。
【0017】
いくつかの実施例において、前記補助部は、凹面領域又は凸面領域のうちの少なくとも1種を含む。
【0018】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、環状構造を含み、前記振動膜の内壁は、前記骨伝導アセンブリを取り囲み、前記振動膜の外壁は、前記ハウジングに物理的に接続される。
【0019】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、前記骨伝導アセンブリの底面と前記ハウジングの底面との間に位置する。
【0020】
いくつかの実施例において、前記1つ以上の振動膜は、前記骨伝導アセンブリに物理的に接続される第1の振動膜と、前記ハウジングに物理的に接続される第2の振動膜とを含む。
【0021】
いくつかの実施例において、前記ハウジングの底面は、閾値より小さい共振周波数を有し、前記底面は、ユーザが前記装置を着用する場合にユーザと接触する前記ハウジングの側壁と対向する。
【0022】
いくつかの実施例において、前記空気伝導アセンブリは、振動膜及び振動伝達アセンブリを含み、前記振動伝達アセンブリは、前記骨伝導アセンブリ及び前記振動膜に物理的に接続され、前記振動伝達アセンブリは、前記骨伝導アセンブリの振動を前記振動膜に伝達することにより、前記空気伝導音波を発生させるように構成される。
【0023】
いくつかの実施例において、前記装置は、音響孔をさらに含み、前記空気伝導音波は、前記音響孔から出力され、前記振動膜は、前記音響孔内に設置される。
【0024】
本明細書の付加的な特徴は、部分的には以下の説明において述べられることになる。本明細書の付加的な特徴は、部分的には以下の説明及び添付の図面を検証することにより当業者に明らかになるか、又は実施例の生産又は運用により習得されてもよい。本明細書の特徴は、以下に説明する詳細な例で述べる方法、手段及び組み合わせの様々な態様の実践又は使用により認識し、習得することができる。
【0025】
本明細書は、例示的な実施例についてさらに説明され、これらの例示的な実施例は、図面を参照してより詳細に説明される。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号は同じ構造を表す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本明細書のいくつかの実施例に示す例示的な音響出力システムの概略図である。
図2A】本明細書のいくつかの実施例に示す例示的な音響出力装置の概略図である。
図2B】本明細書のいくつかの実施例に示す例示的な音響出力装置の概略図である。
図3A】本明細書のいくつかの実施例に示す例示的な音響出力装置の概略図である。
図3B】本明細書のいくつかの実施例に示す別の例示的な音響出力装置の概略図である。
図4】本明細書のいくつかの実施例に示す共振システムの概略図である。
図5】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図6】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図7】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図8】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図9】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図10】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図11】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図12】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図13】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。
図14】本明細書のいくつかの実施例に示す振動膜の断面図である。
図15】本明細書のいくつかの実施例に示す振動膜の断面図である。
図16】本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置に対する異なる位置の概略図である。
図17】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置に対する異なる位置での音漏れ周波数応答曲線の概略図である。
図18】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置に対する異なる位置での音漏れ周波数応答曲線の概略図である。
図19】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置に対する異なる位置での音漏れ周波数応答曲線の概略図である。
図20】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置に対する異なる位置での音漏れ周波数応答曲線の概略図である。
図21】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置に対する異なる位置での音漏れ周波数応答曲線の概略図である。
図22】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置のそれぞれの同じ位置での音漏れ周波数応答曲線の比較を示す概略図である。
図23】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置のそれぞれの同じ位置での音漏れ周波数応答曲線の比較を示す概略図である。
図24】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置のそれぞれの同じ位置での音漏れ周波数応答曲線の比較を示す概略図である。
図25】本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置のそれぞれの同じ位置での音漏れ周波数応答曲線の比較を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明は、当業者が本明細書を実施したり、利用したりすることを可能にするためのものであり、かつ該説明は、特定の応用シーン及び要求される環境下で提供される。開示された実施例に対する様々な変更は、当業者に容易に明らかとなり、本明細書に定義された一般的な原理は、本明細書の原理及び範囲から逸脱することなく、他の実施例及び応用シーンに適用されてもよい。よって、本明細書は、説明された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0028】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施例を説明する目的だけであり、限定的ではない。文脈が明確に別段の指示をしない限り、本明細書で使用される単数形「一」、「1つ」、「1種」及び「該」は、複数形を含んでもよい。用語「含む」、及び/又は「含んでいる」、「備える」、及び/又は「備えている」は、本明細書で使用される場合、上記特徴、整数、操作、要素及び/又はアセンブリの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、操作、要素、アセンブリ及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0029】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別するための方法であることが理解されよう。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0030】
一般的に、本明細書で使用される単語「モジュール」、「ユニット」又は「ブロック」は、ハードウェア又はファームウェアに具現化されたロジック、又はソフトウェア命令の集合を指す。本明細書で説明されるモジュール、ユニット又はブロックは、ソフトウェア及び/又はハードウェアとして実装されてもよく、かつ任意のタイプの非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体又は他の記憶装置に記憶されてもよい。いくつかの実施例において、ソフトウェアモジュール/ユニット/ブロックは、実行可能なプログラムにコンパイル及びリンクされてもよい。ソフトウェアモジュールは、他のモジュール/ユニット/ブロック又はそれら自体から呼び出すことができ、及び/又は検出されたイベント又はインタラプトに応答して呼び出されることが理解されよう。処理装置上で実行するように構成されたソフトウェアモジュール/ユニット/ブロックは、光ディスク、デジタルビデオディスク、フラッシュメモリドライブ、磁気ディスク又は任意の他の有形媒体のようなコンピュータ読み取り可能な媒体に提供されてもよく、又はデジタルダウンロードとして提供されてもよい(かつ圧縮又はインストール可能なフォーマットで記憶されてもよく、実行する前にインストール、解凍又は復号する必要がある)。このようなソフトウェアコードは、処理装置で実行するために、実行する装置の記憶装置に部分的又は完全に記憶されてもよい。ソフトウェア命令は、EPROMなどのファームウェアに組み込まれてもよい。ハードウェアモジュール/ユニット/ブロックは、ゲート及びフリップフロップなどの接続されるロジックコンポーネントに含まれていてもよく、及び/又はプログラム可能なゲートアレイ又はプロセッサなどのプログラム可能なユニットを含んでもよいことが理解されよう。本明細書で説明されるモジュール/ユニット/ブロック又は処理装置の機能は、ソフトウェアモジュール/ユニット/ブロックとして実装されてもよいが、ハードウェア又はファームウェアで表されてもよい。一般的に、本明細書で説明されるモジュール/ユニット/ブロックは、物理的な構成又は記憶デバイスであるにも関わらず、他のモジュール/ユニット/ブロックと組み合わせたり、サブモジュール/サブユニット/サブブロックに分割したりすることができるロジックモジュール/ユニット/ブロックを指す。該説明は、システム、エンジン、又はそれらの一部に適用されてもよい。
【0031】
ユニット、エンジン、モジュール又はブロックが、他のユニット、エンジン、モジュール又はブロック「上に配置される」、「に接続される」又は「に結合される」として示されるとき、文脈が明確に別段の指示をしない限り、それは他のユニット、エンジン、モジュール又はブロックに直接配置、接続、結合、又は通信してもよく、或いは、中間ユニット、エンジン、モジュール又はブロックが存在してもよいことが理解されよう。本明細書において、用語「及び/又は」は、任意の1つ以上の関連する列挙された項目又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0032】
本明細書の実施例に関連する技術的解決手段を説明するために、以下に実施例の説明において参照される図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、単に本明細書の例又は実施例の一部にすぎない。当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本明細書を他の類似するシナリオに適用することができる。特に文脈から明らかでない限り、又は明記しない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0033】
以下に図面を参照しながら本明細書の実施例の技術的解決手段を説明する。明らかに、説明される実施例は網羅的ではなく、限定的でもない。本明細書で提供される実施例に基づいて、当業者が創造的な労力をしない前提で得られる他の実施例は、いずれも本明細書の範囲内にある。
【0034】
本明細書の一態様は、音響出力装置に関する。音響出力装置は、骨伝導アセンブリと、空気伝導アセンブリと、骨伝導アセンブリ及び空気伝導アセンブリを収容するように構成されたハウジングとを含んでもよい。骨伝導アセンブリが骨伝導音波を発生させる場合、空気伝導アセンブリは、ハウジング及び/又は骨伝導アセンブリの振動により空気伝導音波を発生させることができる。骨伝導アセンブリ及び空気伝導アセンブリの様々な空間配列及び/又は周波数分布を設定することにより、音響出力装置の音声の品質を向上させ、低周波数の音声を豊富にすることができ、かつ音漏れを低減することができるため、ユーザの音響出力装置に対する聴覚体験を向上させることができる。
【0035】
図1は、本明細書のいくつかの実施例に示す例示的な音響出力システムの概略図である。音響出力システム100は、マルチメディアプラットフォーム110、ネットワーク120、音響出力装置130、端末装置140、及び記憶装置150を含んでもよい。
【0036】
マルチメディアプラットフォーム110は、音響出力システム100の1つ以上のアセンブリ又は外部データソース(例えば、クラウドデータセンタ)と通信してもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、データ又は信号(例えば、楽曲のオーディオデータ)を音響出力装置130及び/又はユーザ端末140に提供してもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、音響出力装置130及び/又はユーザ端末140のデータ/信号処理に用いることができる。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、単一のサーバ又はサーバ群上に実装されてもよい。サーバ群は、アクセスポイントを介してネットワーク120に接続される集中サーバ群であってもよく、又はそれぞれ1つ以上のアクセスポイントを介してネットワーク120に接続される分散サーバ群であってもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、ネットワーク120にローカル接続されてもよく、ネットワーク120にリモート接続されてもよい。例えば、マルチメディアプラットフォーム110は、ネットワーク120を介して音響出力装置130、ユーザ端末140及び/又は記憶装置150に記憶された情報及び/又はデータにアクセスすることができる。また例えば、記憶装置150は、マルチメディアプラットフォーム110のバックエンドデータの記憶装置として用いることができる。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、クラウドプラットフォーム上に実装されてもよい。単に例として、クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インターナルクラウド、マルチクラウドなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、処理装置112を含んでもよい。処理装置112は、マルチメディアプラットフォーム110の主な機能を実行してもよい。例えば、処理装置112は、記憶装置150からオーディオデータを検索し、かつ検索されたオーディオデータを音響出力装置130及び/又はユーザ端末140に伝送して音声を生成してもよい。また例えば、処理装置112は、音響出力装置130の信号を処理してもよい(例えば、制御信号を生成する)。
【0038】
いくつかの実施例において、処理装置112は、1つ以上の処理ユニット(例えば、シングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサ)を含んでもよい。単に例として、処理装置112は、中央処理ユニット(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、画像処理ユニット(GPU)、物理処理ユニット(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能なロジックデバイス(PLD)、コントローラ、マイクロコントローラユニット、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、マイクロプロセッサなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0039】
ネットワーク120は、情報及び/又はデータの交換に用いることができる。いくつかの実施例において、音響出力システム100における1つ以上の部品(例えば、マルチメディアプラットフォーム110、音響出力装置130、ユーザ端末140、及び記憶装置150)は、ネットワーク120を介して情報及び/又はデータを音響出力システム100における他の部品に送信してもよい。いくつかの実施例において、ネットワーク120は、任意のタイプの有線又は無線ネットワークであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。単に例として、ネットワーク120は、ケーブルネットワーク、有線ネットワーク、光ファイバネットワーク、電気通信ネットワーク、イントラネット、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆電話交換網(PSTN)、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、ZigBeeネットワーク、近距離通信(NFC)ネットワークなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、ネットワーク120は、1つ以上のネットワークアクセスポイントを含んでもよい。例えば、ネットワーク120は、基地局及び/又はインターネット交換ポイントなどの有線又は無線ネットワークアクセスポイントを含んでもよく、音響出力システム100の1つ以上のアセンブリは、それらのネットワークアクセスポイントにより、ネットワーク120に接続されてデータ及び/又は情報の交換を行うことができる。
【0040】
音響出力装置130は、ユーザに音響音を出力し、ユーザと対話することができる。一方では、音響出力装置130は、少なくとも、歌曲、詩歌、ニュース放送、天気放送、オーディオレッスンなどのオーディオコンテンツをユーザに提供することができる。他方では、ユーザは、キー、スクリーンタッチ、体動、音声、ジェスチャー、意識などにより、音響出力装置130にフィードバックすることができる。いくつかの実施例において、音響出力装置130は、ウェアラブル装置であってもよい。特に説明しない限り、本明細書で使用されるウェアラブル装置は、イヤホン、及び頭部装着型、肩部装着型又は身体装着型装置などの他の様々なタイプの個人装置を含んでもよい。ウェアラブル装置は、ユーザと接触又は非接触の場合に、少なくともユーザにオーディオコンテンツを提供することができる。いくつかの実施例において、ウェアラブル装置は、スマートイヤホン、スマートメガネ、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートブレスレット、スマート履物、スマートメガネ、スマートヘルメット、スマートウォッチ、スマート衣類、スマートバックパック、スマートアクセサリー、仮想現実ヘルメット、仮想現実メガネ、仮想現実パッチ、拡張現実ヘルメット、拡張現実メガネ、拡張現実パッチなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。単に例として、ウェアラブル装置は、Google GlassTM、Oculus RiftTM、HololensTM、Gear VRTMなどに類似してもよい。
【0041】
音響出力装置130は、ネットワーク120を介してユーザ端末140と通信することができる。いくつかの実施例において、運動パラメータ(例えば、地理的位置、移動方向、移動速度、加速度など)、音声パラメータ(音声の音量、音声のコンテンツなど)、ジェスチャー(例えば、握手、首振りなど)、ユーザの意識などの様々なタイプのデータ及び/又は情報は、音響出力装置130によって受信されてもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置130は、さらに、受信されたデータ及び/又は情報をマルチメディアプラットフォーム110又はユーザ端末140に送信してもよい。
【0042】
いくつかの実施例において、ユーザ端末140は、カスタマイズに設定されてもよく、例えば、ユーザ端末にインストールされたアプリケーションプログラムにより、音響出力装置130と通信し、及び/又はデータ/信号処理を行う。ユーザ端末140は、モバイル装置130-1、タブレットコンピュータ130-2、ラップトップコンピュータ130-3、車両内の内蔵装置130-4など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、モバイル装置130-1は、スマートホーム装置、スマートモバイル装置など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、スマートホーム装置は、スマート照明装置、スマート電器制御装置、スマート監視装置、スマートテレビ、スマートビデオカメラ、インターホンなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、スマートモバイル装置は、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ゲーム装置、ナビゲーション装置、販売時点情報管理装置(POS)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、車両内の内蔵装置130-4は、内蔵コンピュータ、車載内蔵テレビ、内蔵タブレットコンピュータなどを含んでもよい。いくつかの実施例において、ユーザ端末140は、測位装置(図示せず)と通信して、ユーザ及び/又はユーザ端末140の位置を測定するように構成された信号送信器及び信号受信器を含んでもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110又は記憶装置150は、ユーザ端末140に統合されてもよい。この場合、上記マルチメディアプラットフォーム110の実現可能な機能は、ユーザ端末140によって同様に実現することができる。
【0043】
記憶装置150は、データ及び/又は命令を記憶することができる。いくつかの実施例において、記憶装置150は、マルチメディアプラットフォーム110、音響出力装置130及び/又はユーザ端末140から取得されたデータを記憶してもよい。いくつかの実施例において、記憶装置150は、マルチメディアプラットフォーム110、音響出力装置130及び/又はユーザ端末140の様々な機能を実現するためのデータ及び/又は命令を記憶してもよい。いくつかの実施例において、記憶装置150は、大容量メモリ、リムーバブルメモリ、揮発性読み書きメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。大容量メモリは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、ソリッドステートドライブなどを含んでもよい。例示的なリムーバブルメモリは、フラッシュドライブ、フレキシブルディスク、光ディスク、メモリカード、コンパクトディスク、磁気テープなどを含んでもよい。例示的な揮発性読み書きメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでもよい。例示的なRAMは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR SDRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、サイリスタランダムアクセスメモリ(T-RAM)、ゼロキャパシタランダムアクセスメモリ(Z-RAM)などを含んでもよい。例示的なROMは、マスクROM(MROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能・プログラム可能なROM(EPROM)、電気的消去可能・プログラム可能なROM(EEPROM)、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタル多用途ディスクROMなどを含んでもよい。いくつかの実施例において、記憶装置150は、クラウドプラットフォーム上に実装されてもよい。単に例として、クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インターナルクラウド、マルチクラウドなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、音響出力システム100における1つ以上の部品は、ネットワーク120を介して記憶装置150に記憶されたデータ又は命令にアクセスすることができる。いくつかの実施例において、記憶装置150は、バックエンド記憶装置としてマルチメディアプラットフォーム110に直接接続されてもよい。
【0044】
いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110、端末装置140及び/又は記憶装置150は、音響出力装置130に統合されてもよい。具体的には、技術の進歩及び音響出力装置130の処理能力の向上に伴い、全ての処理は、音響出力装置130によって実行することができる。例えば、音響出力装置130は、スマートイヤホン、MP3プレーヤ、補聴器などであってもよく、中央処理ユニット(CPU)、画像処理ユニット(GPU)などの高度に統合された電子アセンブリを有するため、高い処理能力を有する。
【0045】
図2A及び図2Bは、本明細書のいくつかの実施例に示す例示的な音響出力装置の概略図である。図2Aは、音響出力装置130の斜視図を示す。図2Bは、音響出力装置130の分解図を示す。図2A及び図2Bを参照しながら音響出力装置130を説明することができる。
【0046】
いくつかの実施例において、音響出力装置130は、耳掛け10、イヤホンコアハウジング20、回路用ハウジング30、後掛け40、イヤホンコア50、制御回路60及び電池70を含んでもよい。イヤホンコアハウジング20と回路用ハウジング30は、それぞれ耳掛け10の両端に設置されてもよく、後掛け40は、さらに回路用ハウジング30の耳掛け10から離れる一端に設置されてもよい。イヤホンコアハウジング20は、異なるイヤホンコア50を収容することができる。回路用ハウジング30は、制御回路60及び電池70を収容することができる。後掛け40の両端は、それぞれ対応する回路用ハウジング30に物理的に接続されてもよい。耳掛け10は、ユーザが音響出力装置130を着用する場合に、音響出力装置130をユーザの耳に掛け、イヤホンコアハウジング20及びイヤホンコア50をユーザの耳に対する所定の位置に固定する構造を指してもよい。
【0047】
いくつかの実施例において、耳掛け10は、弾性ワイヤを含んでもよい。弾性ワイヤは、耳掛け10がユーザの耳に合わせた形状を保持し、かつ一定の弾性を有するように構成されてもよく、その結果、ユーザが音響出力装置130を着用する場合に、ユーザの耳及び頭部の形状に応じて一定の弾性変形が発生することができ、これにより異なる耳及び頭部の形状を有するユーザに適応する。いくつかの実施例において、弾性ワイヤは、良好な変形回復能力を有する記憶合金で製造されてもよい。耳掛け10が外力によって変形しても、外力が除去されたときに元の形状に回復することができるため、音響出力装置130の耐用年数を延ばす。いくつかの実施例において、弾性ワイヤは、非記憶合金で製造されてもよい。弾性ワイヤにリード線を設置して、イヤホンコア50と制御回路60、電池70などの他の部品との間の電気的接続を確立することにより、イヤホンコア50に給電してデータ伝送を行う。いくつかの実施例において、耳掛け10は、保護スリーブ16と、保護スリーブ16と一体成形されたハウジング保護部材17とをさらに含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施例において、イヤホンコアハウジング20は、イヤホンコア50を収容するように構成されてもよい。イヤホンコア50は、骨伝導アセンブリ、空気伝導アセンブリなどを含んでもよい。骨伝導アセンブリは、固体媒体(例えば、骨格)を介して伝導音波(骨伝導音波とも呼ばれる)を出力するように構成されてもよい。例えば、骨伝導アセンブリは、ユーザと直接接触することにより、電気信号をユーザの頭蓋骨の振動に変換することができる。空気伝導アセンブリは、空気を介して伝導音波(空気伝導音波とも呼ばれる)を出力するように構成されてもよい。例えば、空気伝導アセンブリは、イヤホンコアハウジング20、骨伝導アセンブリ及び/又はイヤホンコアハウジング20内の空気の振動を、ユーザの耳が感知可能な空気の振動に変換することができる。イヤホンコア50とイヤホンコアハウジング20の数は、2つであってもよく、それぞれユーザの左耳と右耳に対応する。イヤホンコア50に関する詳細な説明は、本明細書の他の箇所、例えば図3図13に見つけることができる。
【0049】
いくつかの実施例において、耳掛け10とイヤホンコアハウジング20は、直接一体成形されるのではなく、それぞれ成形されて、さらに組み立てられてもよい。
【0050】
いくつかの実施例において、イヤホンコアハウジング20は、接触面21を有してもよい。接触面21は、ユーザの皮膚と接触してもよい。本明細書に記載のように、接触面21は、イヤホンコアハウジング20の上面と呼ばれてもよい。イヤホンコアハウジング20におけるイヤホンコアハウジング20の上面に対向する面は、イヤホンコアハウジング20の背面又は裏面と呼ばれてもよい。音響出力装置130の操作中に、イヤホンコア50の1つ以上の骨伝導アセンブリが発生する骨伝導音波は、接触面を介してイヤホンコアハウジング20の外部(例えば、ユーザの鼓膜)に伝達することができる。いくつかの実施例において、接触面21の材料及び厚さは、骨伝導音波のユーザへの伝播に影響を与えることにより、音声品質に影響を与える可能性がある。例えば、接触面21の材質が比較的柔らかいと、低周波数範囲内の骨伝導音波の伝播が高周波数範囲内の骨伝導音波の伝播よりも良好である場合がある。反対に、接触面21の材質が比較的硬いと、高周波数範囲内の骨伝導音波の伝播が低周波数範囲内の骨伝導音波の伝播よりも良好である場合がある。
【0051】
図3Aは、本明細書のいくつかの実施例に示す例示的な音響出力装置の概略図である。図3Aに示すように、音響出力装置300は、信号処理モジュール310及び出力モジュール320を含んでもよい。信号処理モジュール310は、信号源から電気信号を受信し、かつ電気信号を処理してもよい。電気信号は、音響出力装置が出力するオーディオコンテンツ(例えば、楽曲)を表してもよい。いくつかの実施例において、電気信号は、アナログ信号又はデジタル信号であってもよい。例えば、電気信号は、マルチメディアプラットフォーム110、端末装置140、記憶装置150などから取得されるデジタル信号であってもよい。
【0052】
信号処理モジュール310は、電気信号を処理してもよい。例えば、信号処理モジュール310は、様々な信号処理操作(例えば、サンプリング、デジタル化、圧縮、周波数割り当て、周波数変調、符号化など、又はそれらの組み合わせ)を実行することにより電気信号を処理してもよい。信号処理モジュール310は、処理後の電気信号に基づいて制御信号をさらに生成することができる。制御信号は、出力モジュール320を制御して音波(すなわち、オーディオコンテンツ)を出力するように構成されてもよい。
【0053】
出力モジュール320は、骨伝導音波(骨伝導音とも呼ばれる)及び/又は空気伝導音波(空気伝導音とも呼ばれる)を発生させて出力してもよい。出力モジュール320は、信号処理モジュール310から制御信号を受信し、制御信号に基づいて骨伝導音波及び/又は空気伝導音波を発生させてもよい。本明細書に記載のように、骨伝導音波は、固体媒体(例えば、骨格)を介して機械的振動で伝導される音波を指す。空気伝導音波は、空気を介して機械的振動で伝導される音波を指す。
【0054】
説明の便宜上、出力モジュール320は、骨伝導アセンブリ321及び空気伝導アセンブリ322を含んでもよい。骨伝導アセンブリ321及び/又は空気伝導アセンブリ322は、信号処理モジュール310に電気的に結合されてもよい。骨伝導アセンブリ321は、信号処理モジュール310が生成する制御信号に基づいて、特定の周波数範囲内(例えば、低周波数範囲、中間周波数範囲、高周波数範囲、中低周波数範囲、中高周波数範囲等)で骨伝導音波を発生させてもよい。空気伝導アセンブリ322は、骨伝導アセンブリ321の振動、骨伝導アセンブリ321及び空気伝導アセンブリ322を収容するハウジングの振動、ハウジング内の空気の振動、及び/又は制御信号に基づいて、骨伝導アセンブリ321と同じ又は異なる周波数範囲内の空気伝導音波を発生させてもよい。
【0055】
いくつかの実施例において、骨伝導アセンブリ321と空気伝導アセンブリ322は、2つの独立した機能装置であってもよく、単一装置の2つの独立したアセンブリであってもよい。本明細書に記載のように、第1の装置と第2の装置とが独立しているとは、第1/第2の装置の操作が第2/第1の装置の操作によるものではないことを示し、換言すれば、第1/第2の装置の操作が第2/第1の装置の操作の結果ではないことを示す。骨伝導アセンブリ及び空気伝導アセンブリを例として、骨伝導アセンブリが骨伝導音波を発生させるとき、骨伝導アセンブリの振動により空気伝導アセンブリが駆動されて、空気伝導音波を発生させるため、空気伝導アセンブリは、骨伝導アセンブリに依存する。さらに例えば、骨伝導アセンブリ321が信号処理モジュール310から制御信号を受信する場合、骨伝導アセンブリ321は、振動して骨伝導音波を発生させることができる。骨伝導アセンブリ321の振動は、ハウジングが振動するように駆動することができ、ハウジングが振動することにより、空気伝導アセンブリ322が振動するように駆動して空気伝導音波を発生させることができる。
【0056】
実際の需要に応じて、異なる周波数範囲を決定することができる。例えば、低周波数範囲(低周波数とも呼ばれる)は、20Hz~150Hzの周波数範囲を指してもよく、中間周波数範囲(中間周波数とも呼ばれる)は、150Hz~5kHzの周波数範囲を指してもよく、高周波数範囲(高周波数とも呼ばれる)は、5kHz~20kHzの周波数範囲を指してもよく、中低周波数範囲(中低周波数とも呼ばれる)は、150Hz~500Hzの周波数範囲を指してもよく、中高周波数範囲(中高周波数とも呼ばれる)は、500Hz~5kHzの周波数範囲を指してもよい。また例えば、低周波数範囲は、20Hz~300Hzの周波数範囲を指してもよく、中間周波数範囲は、300Hz~3kHzの周波数範囲を指してもよく、高周波数範囲は、3kHz~20kHzの周波数範囲を指してもよく、中低周波数範囲は、100Hz~1000Hzの周波数範囲を指してもよく、中高周波数範囲は、1000Hz~10kHzの周波数範囲を指してもよい。なお、周波数範囲の値は、説明のみを目的としたものであり、限定するものではない。上記周波数範囲の定義は、異なる応用シーン及び異なる分類基準によって異なる場合がある。例えば、他のいくつかの応用シーンにおいて、低周波数範囲は、20Hz~80Hzの周波数範囲を指してもよく、中間周波数範囲は、160Hz~1280Hzの周波数範囲を指してもよく、高周波数範囲は、2560Hz~20kHzの周波数範囲を指してもよく、中低周波数範囲は、80Hz~160Hzの周波数範囲を指してもよく、中高周波数範囲は、1280Hz~2560Hzの周波数範囲を指してもよい。好ましくは、異なる周波数範囲は、周波数が重複していてもよく、重複していなくてもよい。
【0057】
空気伝導アセンブリ322は、骨伝導アセンブリ321が発生する骨伝導音波と同じ又は異なる周波数範囲内の空気伝導音波を発生させて出力してもよい。
【0058】
例えば、骨伝導音波は、中高周波数を含んでもよく、空気伝導音波は、中低周波数を含んでもよい。中低周波数の空気伝導音波は、中高周波数の骨伝導音波の補足とすることができる。音響出力装置の総出力は、中低周波数及び中高周波数をカバーしてもよい。この場合、(特に低周波数で)より良好な音声品質を提供することができ、かつ骨伝導スピーカの低周波数での強い振動を回避することができる。
【0059】
また例えば、骨伝導音波は、中低周波数を含んでもよく、空気伝導音波は、中高周波数を含んでもよい。この場合、ユーザが中低周波数の骨伝導音波及び/又は中高周波数の空気伝導音波に敏感であるため、音響出力装置は、骨伝導スピーカ及び/又は空気伝導スピーカによりユーザに提示又は警告を提供することができる。
【0060】
さらに例えば、空気伝導音波は、中低周波数を含んでもよく、骨伝導音波は、空気伝導音波よりも広い周波数範囲(広範囲周波数)の周波数を含んでもよい。中低周波数の出力を高めることができ、かつ音声品質を向上させることができる。
【0061】
図3Bは、本明細書のいくつかの実施例に示す別の例示的な音響出力装置の概略図である。いくつかの実施例において、図3Bに示すような音響出力装置350は、図3Aに示すような音響出力装置300と類似してもよく、同じであってもよいが、音響出力装置350は、骨伝導信号処理回路316、空気伝導信号処理回路317及び融合回路318をさらに含んでもよい。骨伝導信号処理回路316は、骨伝導信号を処理するように構成されてもよい。空気伝導信号処理回路317は、空気伝導信号を処理するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、電気信号は、骨伝導信号及び空気伝導信号を含んでもよい。本明細書に記載のように、骨伝導信号は、骨伝導音波に関連する電気信号及び/又は骨伝導音波の発生及び出力に影響を与える電気信号を指す。空気伝導信号は、空気伝導音波に関連する電気信号及び/又は空気伝導音波の発生及び出力に影響を与える電気信号を指す。いくつかの実施例において、骨伝導信号処理回路316は、信号源から骨伝導信号を受信し、骨伝導信号を処理し、かつ対応する骨伝導制御信号を生成してもよい。骨伝導制御信号は、骨伝導音波の発生及び出力を制御する信号を指す。同様に、空気伝導信号処理回路317は、信号源(例えば、空気伝導マイクロフォン)から空気伝導信号を受信し、空気伝導信号を処理し、かつ対応する空気伝導制御信号を生成してもよい。空気伝導制御信号は、空気伝導音波の発生及び出力を制御する信号を指す。
【0062】
いくつかの実施例において、音響出力装置350は、融合回路318をさらに含んでもよく、融合回路318は、骨伝導信号と空気伝導信号を結合するか、又は処理後の空気伝導信号と処理後の骨伝導信号を結合して統合制御信号を生成するように構成される。例えば、骨伝導信号処理回路316は、骨伝導信号の低周波数成分を決定することにより、処理後の骨伝導信号を取得することができる。空気伝導信号処理回路317は、空気伝導信号の高周波数成分を決定することにより、処理後の空気伝導信号を取得することができる。融合回路318は、低周波数成分と高周波数成分を融合して統合制御信号を生成してもよい。骨伝導アセンブリ326が信号処理モジュール315から制御信号を受信する場合、骨伝導アセンブリ326は、振動して骨伝導音波を発生させることができる。骨伝導アセンブリ326が振動することにより、空気伝導アセンブリ327が振動するように駆動して空気伝導音波を発生させることができる。
【0063】
出力モジュール325は、骨伝導アセンブリ326及び空気伝導アセンブリ327を含んでもよい。骨伝導アセンブリ326及び空気伝導アセンブリ327は、それぞれ図3Aにおける出力モジュール320の骨伝導アセンブリ321及び空気伝導アセンブリ322と同じであってもよく、類似してもよく、ここでは説明を省略する。
【0064】
いくつかの実施例において、骨伝導アセンブリ326は、骨伝導信号処理回路316に電気的に結合されてもよい。骨伝導アセンブリ326は、骨伝導信号処理回路316により生成される骨伝導制御信号に基づいて、特定の周波数範囲内で骨伝導音波を発生させて出力してもよい。空気伝導アセンブリ327は、空気伝導信号処理回路317に電気的に結合されてもよい。空気伝導アセンブリ327は、空気伝導信号処理回路317により生成される空気伝導制御信号に基づいて、骨伝導アセンブリ326と同じ又は異なる周波数範囲内の空気伝導音波を発生させて出力してもよい。
【0065】
図3A及び図3Bを参照すると、骨伝導音波及び/又は空気伝導音波の出力特性(例えば、周波数、位相、振幅など)を調整するために、信号処理モジュール310又は315内で骨伝導制御信号及び/又は空気伝導制御信号をさらに処理することにより、骨伝導音波及び/又は空気伝導音波に異なる出力特性を有させることができる。例えば、骨伝導制御信号及び/又は空気伝導制御信号は、特定の周波数を含んでもよい。いくつかの代替的な実施例において、出力モジュール320又は325のうちの少なくとも1つのアセンブリにおける各アセンブリの構造及び/又は少なくとも1つのアセンブリの配置を変更又は最適化することにより、骨伝導音波及び/又は空気伝導音波の出力特性(例えば、周波数)を調整してもよい。
【0066】
いくつかの実施例において、1つ以上のフィルタ又はフィルタセットを提供して信号処理モジュール310又は315における骨伝導制御信号及び/又は空気伝導制御信号を処理することにより、骨伝導音波及び/又は空気伝導音波の出力特性(例えば、周波数)を調整してもよい。例示的なフィルタ又はフィルタセットは、アナログフィルタ、デジタルフィルタ、パッシブフィルタ、アクティブフィルタなど、又はそれらの組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0067】
いくつかの実施例において、時間領域処理方法を利用して出力モジュール320又は325から出力される音声の音響効果を豊富にしてもよい。例示的な時間領域処理方法は、ダイナミックレンジ制御(DRC)、時間遅延、残響などを含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施例において、音響出力装置300又は350は、アクティブ音漏れ低減モジュールをさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、アクティブ音漏れ低減モジュールは、参照物(例えば、マイクロフォン)からのフィードバックを必要とせずに音波を直接出力することにより、音響出力装置300又は350から漏れた音波(すなわち、音漏れ)を重畳してキャンセルしてもよい。アクティブ音漏れ低減モジュールが出力する音波は、漏れた音波と同じ振幅、同じ周波数及び逆な位相を有してもよい。いくつかの代替的な実施例において、アクティブ音漏れ低減モジュールは、参照物のフィードバックに基づいて音波を出力してもよい。例えば、マイクロフォンを音響出力装置300又は350の音場に配置することにより、音場の情報(例えば、位置、周波数、位相、振幅など)を取得し、かつアクティブ音漏れ低減モジュールにリアルタイムフィードバックを提供することにより、出力された音波を動的に調整して音響出力装置300又は350の音漏れを低減するか又は除去する。いくつかの実施例において、アクティブ音漏れ低減モジュールは、出力モジュール320又は325に統合されてもよい。
【0069】
いくつかの実施例において、音響出力装置300又は350は、ビーム形成モジュールをさらに含んでもよい。ビーム形成モジュールは、骨伝導音波及び/又は空気伝導音波の特定の音響ビームを形成するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、ビーム形成モジュールは、出力モジュール320(例えば、骨伝導アセンブリ321及び空気伝導アセンブリ322)又は出力モジュール325(例えば、骨伝導アセンブリ326及び空気伝導アセンブリ327)から出力される骨伝導音波及び/又は空気伝導音波の振幅及び/又は位相を制御することにより特定の音響ビームを形成してもよい。音響ビームは、一定の角度を有する扇形音響ビームであってもよい。音響ビームは、特定の方向に沿って伝播することにより、人の耳の近傍の最大音圧レベルを実現することができる。また、音場における他の位置の音圧レベルが比較的小さい可能性があるため、音響出力装置300又は350の音漏れを低減する。いくつかの実施例において、音響出力装置300又は350は、ユーザが音場においてよりよい没入型体験を得るように、3D音場再構成技術又は局所音場制御技術を使用してより理想的な3次元音場を生成してもよい。いくつかの実施例において、ビーム形成モジュールは、出力モジュール320又は325に統合されてもよい。
【0070】
図4は、本明細書のいくつかの実施例に示す共振システムの概略図である。いくつかの実施例において、音響出力装置130の1つ以上のアセンブリの構造及び/又は配置の音響出力装置130から出力される音響音の特性への影響については、共振システム400によりモデル化してもよい。いくつかの実施例において、共振システム400は、質量-ばね-ダンパ系と組み合わせて説明してもよい。いくつかの実施例において、共振システム400は、少なくとも2つの並列接続又は直列接続された質量-ばね-ダンパ系と組み合わせて説明してもよい。共振システム400の運動は、式(1)で説明することができる。
【0071】
【数1】
式中、Mは、共振システム400の質量を表し、Rは、共振システム400の減衰を表し、Kは、共振システム400の弾性係数を表し、Fは、駆動力を表し、xは、共振システム400の変位を表す。
【0072】
いくつかの実施例において、式(1)を解くことにより共振システム400の共振周波数を得ることができる。共振システム400の共振周波数は、式(2)に従って得ることができる。
【0073】
【数2】
式中、
【数3】
は、共振システム400の共振周波数を表す。
【0074】
いくつかの実施例において、周波数帯域幅は、電力半値点に基づいて決定することができる。共振システム400の品質係数Qは、式(3)に従って決定することができる。
【0075】
【数4】
少なくとも2つの共振システムが存在する場合、少なくとも2つの共振システムのそれぞれの振動特性(例えば、振幅-周波数応答、位相-周波数応答、過渡応答など)は、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、少なくとも2つの共振システムのそれぞれは、同じ駆動力によって駆動されてもよく、異なる駆動力によって駆動されてもよい。
【0076】
いくつかの実施例において、骨伝導アセンブリ321、空気伝導アセンブリ322、骨伝導アセンブリ326又は空気伝導アセンブリ327は、単一の共振システムであってもよく、少なくとも2つの共振システムの組み合わせであってもよい。いくつかの実施例において、出力モジュール320又は325は、少なくとも2つの骨伝導アセンブリ及び/又は少なくとも2つの空気伝導アセンブリをさらに含んでもよい。
【0077】
骨伝導音波については、上記例示のパラメータ(例えば、質量、減衰など)を調整することにより骨伝導音波の周波数及び帯域幅を調整してもよい。例えば、共振システムの質量を増加させたり、システムの弾性係数を低下させたり(例えば、低い弾性係数を有するばねを使用したり、振動伝達構造にヤング率の低い材料を使用したり、振動伝達構造の厚さを小さくしたりする)することにより、中低周波数範囲の振動を出力するように、その共振周波数を中低周波数範囲に調整してもよい。また例えば、共振システム400の質量を減少させたり、共振システム400の弾性係数を増加させたり(高い弾性係数を有するばねを使用したり、振動伝達構造にヤング率の高い材料を使用したり、振動伝達構造の厚さを増加させたり、振動伝達構造にリブ又は他の補強構造を設置したりする)してもよい。この場合、共振システム400は、中高周波数範囲内の振動を出力することができる。また例えば、品質係数Qを変更することにより共振システム400が出力する振動の帯域幅を調整する。さらに例えば、少なくとも2つの共振システムを有する複合共振システムを設置してもよい各共振システムの共振周波数及び品質係数Qは、個別に調整してもよい。各共振システムを直列又は並列に接続することにより、複合共振システムの中心周波数及び帯域幅を調整してもよい。
【0078】
空気伝導音波については、空気伝導音波の周波数及び帯域幅は、上記例示のパラメータ(例えば、質量、減衰など)を調整することにより、同様に調整してもよい。いくつかの実施例において、1つ以上の音響構造は、空気伝導音波の周波数を調整することに用いることができる。1つ以上の音響構造は、例えば、音響キャビティ、音導管(音響管とも呼ばれる)、放音孔、減圧孔、調音メッシュ、調音コットン、受動振動膜など、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、音響キャビティの体積を変更することにより、システム400の弾性係数を調整してもよい。音響キャビティの体積が大きくなると、システムの弾性係数が小さくなることができる。音響キャビティの体積が小さくなると、システムの弾性係数が大きくなることができる。いくつかの実施例において、音響管又は放音孔を設置することにより、システム400の質量及び減衰を調整してもよい。音響管又は放音孔が長いほど、断面積が小さくなり、質量が大きくなり、減衰が小さくなる。反対に、音響管又は放音孔が短いほど、断面積が大きくなり、質量が小さくなり、減衰が大きくなる。いくつかの実施例において、空気伝導音波が伝播する経路に音響抵抗材(例えば、調音孔、調音メッシュ、調音コットンなど)を設置することにより、システム400の減衰を調整してもよい。いくつかの実施例において、受動振動膜を設置することにより、低周波数範囲内の空気伝導音波を増強してもよい。いくつかの実施例において、1つ以上の音響管及び/又は逆位相孔を設置することにより、空気伝導音波の位相、振幅及び/又は周波数範囲を調整してもよい。他のいくつかの実施例において、複数の空気伝導アセンブリのアレイを設置してもよい。各空気伝導アセンブリの振幅、周波数範囲及び位相を調整することにより、特定の空間分布を有する音場を形成してもよい。
【0079】
いくつかの実施例において、ユーザは、(例えば、制御信号の振幅、周波数及び/又は位相を設定することにより)骨伝導音波及び/又は空気伝導音波の出力特性を調整してもよい。いくつかの実施例において、ユーザは、制御信号及び共振システム400のパラメータを同時に調整することにより、骨伝導音波及び/又は空気伝導音波の出力特性を調整してもよい。
【0080】
図5は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。図5に示すように、音響出力装置500は、骨伝導アセンブリ510、ハウジング520、及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。骨伝導アセンブリ510と空気伝導アセンブリは、同一のハウジング520内に一緒に収容されてもよい。骨伝導アセンブリ510は、骨伝導音波を発生させることができ、骨伝導音波は、ハウジング520を介してユーザに伝達され、空気伝導アセンブリは、骨伝導アセンブリ510の振動により空気伝導音波を発生させることができる。空気伝導音波は、ハウジング520上の1つ以上の放音孔を介してユーザに伝達することができる。
【0081】
いくつかの実施例において、音響出力装置500は、信号処理モジュール310又は315と類似するか又は同じ信号処理モジュールをさらに含んでもよい。骨伝導アセンブリ510は、制御信号(例えば、オーディオ信号)を受信し、かつ制御信号に基づいて骨伝導音波を発生させるように、信号処理モジュールに電気的に接続されてもよい。例えば、骨伝導アセンブリ510は、電気信号(例えば、骨伝導制御信号)を機械的振動信号に変換する任意の素子(例えば、振動モータ、電磁振動装置など)であってもよい。例示的な信号変換方式は、電磁式(例えば、可動コイル式、バランスドアーマチュア式、磁歪式)、圧電式、静電式などを含むが、それらに限定されない。骨伝導アセンブリ510の内部構造は、単一共振システムであってもよく、複合共振システムであってもよい。いくつかの実施例において、骨伝導アセンブリ510は、骨伝導制御信号に基づいて機械的振動を発生させることができる。機械的振動は、骨伝導音波を発生させることができる。
【0082】
図5に示すように、骨伝導アセンブリ510は、磁気回路システム511、1つ以上の振動板512及びコイル513を含んでもよい。磁気回路システム511は、1つ以上の磁性素子及び/又は磁気ガイド素子を含んでもよく、これらの素子は、磁場を発生させるように構成される。いくつかの実施例において、磁気回路システム511は、磁気ギャップを含んでもよい。磁気回路システム511は、磁気ギャップに磁場を発生させることができる。コイル513は、磁気ギャップ内に位置してもよい。1つ以上の振動板512のうちの少なくとも1つは、ハウジング520に物理的に接続されてもよく、ハウジング520は、ユーザの皮膚(例えば、ユーザの頭部の皮膚)に接触してもよく、かつユーザが音響出力装置を着用する場合に骨伝導音波をユーザの蝸牛に伝達する。いくつかの実施例において、振動板512のうちの1つは、ハウジング520の天壁と呼ばれてもよい。本明細書で使用されるように、アセンブリの「底部」又は「上部」部分は、ユーザの皮膚に対して説明されるものである。例えば、ハウジング520において、ユーザの皮膚に最も近い側壁(例えば、皮膚に付着する側壁)は、天壁又は前壁と呼ばれ、ユーザの皮膚から最も離れる側壁(例えば、天壁に対向する側壁)は、底壁又は後壁と呼ばれる。コイル513は、振動板512のうちの少なくとも1つに機械的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、コイル513も、信号処理モジュールに電気的に接続されてもよい。コイル513に電流(制御信号を表す)を流すと、コイル513は、磁場中で振動し、かつ1つ以上の振動板512が振動するように駆動することができる。1つ以上の振動板512の振動は、ハウジング520を介してユーザの骨格に伝達することにより、骨伝導音波を発生させることができる。いくつかの実施例において、1つ以上の振動板512の振動は、ハウジング520及び/又は磁気回路システム511を振動させることができる。ハウジング520及び/又は磁気回路システム511の振動は、ハウジング520内の空気を振動させることができる。
【0083】
空気伝導アセンブリは、振動膜531を含んでもよい。振動膜531は、骨伝導アセンブリ510及び/又はハウジング520に物理的に接続されてもよい。例えば、振動膜531は、磁気回路システム511、コイル513及び/又は1つ以上の振動板512のうちの少なくとも1つに接続されてもよい。骨伝導アセンブリ510(例えば、1つ以上の振動板512)が振動して骨伝導音波を発生させる場合、骨伝導アセンブリ510(例えば、1つ以上の振動板512)の振動は、ハウジング520が振動するか、及び/又は骨伝導アセンブリ510及び/又はハウジング520に物理的に接続される振動膜531が振動するように駆動することができる。振動膜531の振動は、ハウジング520内の空気を振動させることができる。ハウジング520内の空気の振動は、ハウジング520から出力されて空気伝導音波を発生させることができる。空気伝導音波及び骨伝導音波は、骨伝導アセンブリ510に入力される同じオーディオ信号を表してもよく、ユーザによって受信される同じオーディオ信号を表してもよい。本明細書に記載のように、空気伝導音波及び骨伝導音波が同じオーディオ信号を表すとは、空気伝導音波及び骨伝導音波が同じ音声コンテンツを表すことを指し、該音声コンテンツは、空気伝導音波及び骨伝導音波の周波数成分で表される。空気伝導音波と骨伝導音波の周波数成分が異なっていてもよい。例えば、骨伝導音波は、より多くの低周波数成分を含んでもよく、空気伝導音波は、より多くの高周波数成分を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動過程において、振動膜531は、磁気回路システム511に物理的に接続されてもよく、振動膜531及び磁気回路システム511は、固定されたものと見なされてもよく、ハウジング520の振動膜531及び磁気回路システム511に対する振動は、第1のキャビティ523及び第2のキャビティ524内の圧力を変化させることにより、第1のキャビティ523及び第2のキャビティ524内の空気を振動させることができる。いくつかの実施例において、振動過程において、振動膜531は、磁気回路システム511に物理的に接続されてもよく、ハウジング520は、固定されたものと見なされてもよく、振動膜531及び磁気回路システム511は、ハウジング520に対して振動することができ、振動膜531及び磁気回路システム511の振動は、第1のキャビティ523及び第2のキャビティ524内の圧力を変化させることにより、第1のキャビティ523及び第2のキャビティ524内の空気を振動させることができる。
【0084】
振動膜531は、振動に敏感な材料で製造された薄膜を含んでもよい。振動膜531の例示的な材料は、ポリアリレート(PAR)、熱可塑性弾性体(TPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを含んでもよい。
【0085】
いくつかの実施例において、振動膜531は、本体部及び補助部を含んでもよい。本体部は、磁気回路システム511のハウジング520の天壁から離れる底面に物理的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、本体部は、平板(例えば、円板又は環状板)を含んでもよく、該平板は、磁気回路システム511の底部表面の少なくとも一部を覆う。いくつかの実施例において、本体部は、底板(例えば、円板又は環状板)を含んでもよく、該底板は、磁気回路システム511の底部表面と、磁気回路システム511の側壁に接続される側壁の少なくとも一部とを覆う。補助部は、本体部を取り囲む環状形状を有してもよい。補助部は、ハウジング520に物理的に接続されてもよい。例えば、補助部の内側は、本体部の外側に接触又は接続されてもよく、補助部の外側は、ハウジング520に物理的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、補助部は、突起領域又は溝領域のうちの少なくとも1種を含んでもよい。振動膜531に関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図14及び15並びにそれらの説明)で見つけることができる。
【0086】
ハウジング520は、骨伝導アセンブリ510及び/又は空気伝導アセンブリの1つ以上のアセンブリを収容するように構成された空間を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動膜531は、空間内に位置し、かつ空間を第1のキャビティ523と第2のキャビティ524とに分割してもよい。いくつかの実施例において、第1のキャビティ523と第2のキャビティ524とは、流体連通しなくてもよい。いくつかの実施例において、第1のキャビティ523と第2のキャビティ524とは、流体連通してもよい。例えば、振動膜531に1つ以上の孔部が形成されてもよい。
【0087】
ハウジング520は、第1の部分及び第2の部分を含んでもよい。ハウジング520の第1の部分及び振動膜531は、第1のキャビティ523を形成することができる。ハウジング520の第1のキャビティ523を取り囲む第1の部分は、骨伝導アセンブリ510(例えば、1つ以上の振動板512)に物理的に接続されてもよく、かつユーザが音響出力装置500を着用する場合、骨伝導アセンブリ510の振動をユーザの骨格に伝達する。ハウジング520の第2の部分及び振動膜531は、第2のキャビティ524を形成することができる。空気伝導アセンブリが発生させる空気伝導音波は、第2のキャビティ524から伝播してもよい。本明細書で使用されるように、ユーザが音響出力装置500を着用する場合、第1のキャビティは、ユーザの皮膚に最も近い前部キャビティと呼ばれてもよく、第2のキャビティは、皮膚から最も遠い後部キャビティと呼ばれてもよい。
【0088】
いくつかの実施例において、少なくとも1つの放音孔521は、ハウジング520の第2の部分の側壁に設置されてもよく、放音孔521は、第2のキャビティ524と連通してもよい。いくつかの実施例において、少なくとも1つの放音孔521は、1つ以上の音響孔(1つ以上の第1の孔とも呼ばれる)を含んでもよい。音響孔は、貫通孔であってもよい。磁場とコイル513との間の相互作用により、磁気回路システム511は、対応する反力を受けて振動し、これにより振動膜531の振動を励起する。振動膜531の振動は、第2のキャビティ524内の空気を振動させることができる。第2のキャビティ524内の空気の振動は、第2のキャビティ524内に空気伝導音波を発生させることができ、空気伝導音波は、第2のキャビティ524から伝播してもよい。いくつかの実施例において、ユーザが音響出力装置500を着用する場合、放音孔521は、ユーザの耳の外耳道に向けられてもよい。
【0089】
いくつかの実施例において、コイル513と磁気回路システム511との間の相互作用(すなわち、磁気回路システム511による磁場でのコイル513の振動)によりハウジング520が音響出力装置500(すなわち、矢印Aで示される方向又はユーザの皮膚)、及び振動膜531の前側に向かって移動すると(ハウジング520が矢印Aで示される方向に沿って移動するが、磁気回路システム511及び振動膜531が移動しないこととして理解され得る)、ハウジング520内の第1のキャビティ523が大きくなり、第2のキャビティ524が小さくなり、第2のキャビティ524内の圧力が大きくなる。ハウジング520がユーザの皮膚に向かって移動するにつれて、1つ以上の振動板512のユーザの皮膚に作用する圧力が増加するため、骨伝導アセンブリ510がユーザに「正の位相」の骨伝導音波を伝達すると考えられる。同様に、第2のキャビティ524内の圧力が増加するため、空気伝導アセンブリが発生し、かつ第2のキャビティ524から出力される空気伝導音波も「正の位相」にあってもよい。いくつかの実施例において、空気伝導音波と骨伝導音波は、同相であってもよく、すなわち、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、0に等しくてもよい。いくつかの実施例において、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、閾値より小さくてもよく、例えば、π、2π/3、1π/2などである。本明細書で使用されるように、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、空気伝導音波と骨伝導音波との差の絶対値を指してもよい。いくつかの実施例において、異なる周波数範囲内の空気伝導音波と骨伝導音波との差は、異なる位相差及び異なる閾値に対応してもよい。例えば、300Hzより小さい周波数範囲内で、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、πより小さくてもよい。また例えば、1000Hzより小さい周波数範囲内(例えば、300Hz~1000Hz)で、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、2π/3より小さくてもよい。さらに例えば、3000Hzより小さい周波数範囲内(例えば、1000Hz~3000Hz)で、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、1π/2より小さくてもよい。したがって、骨伝導音波と空気伝導音波の同期性を向上させることにより、骨伝導音波と空気伝導音波とが重畳して、聴覚効果を向上させることができる。ユーザによって受信される空気伝導音波と骨伝導音波との時間差は、閾値より小さくてもよく、例えば0.1秒である。
【0090】
いくつかの実施例において、ハウジングに減圧孔522(第2の孔とも呼ばれる)が設置されてもよい。例えば、減圧孔522は、ハウジング520の第1の部分の側壁に設置されてもよい。第1のキャビティ523は、減圧孔522を介して音響出力装置500の外部と流体連通してもよい。また例えば、減圧孔522及び放音孔521は、ハウジング520の異なる側壁に設置されてもよい。さらに例えば、減圧孔522及び放音孔521は、ハウジング520の隣接しない異なる側壁、例えば、実質的に平行な2つの側壁に設置されてもよい。
【0091】
減圧孔522は、ハウジング520の第1のキャビティ523と外部との間の圧力バランスに役立つ貫通孔であってもよい。いくつかの実施例において、磁気回路システム511のハウジング520に対する振動は、第1のキャビティ523内の圧力を増加させるか又は低下させることができる。減圧孔522は、第1のキャビティ523と外部との間の連通を促進することにより第1のキャビティ523内の圧力を調整することができ、これによりハウジング520と磁気回路システム511(及び/又は振動膜531)との間の相互運動を維持し、かつハウジング520の正常な振動を確保する。
【0092】
また、減圧孔522は、空気伝導アセンブリの低周波数での周波数応答を調整することができる。なお、磁気回路システム511のハウジング520に対する振動は、第1のキャビティ523内の空気を振動させることができる。第1のキャビティ523内の空気の振動により発生する音波は、減圧孔522を介して外部に伝達されるため、音漏れが発生する可能性がある。いくつかの実施例において、音漏れを低減するか又は抑制するために、減圧孔522を特別に設計してもよい。例えば、減圧孔522は、ハウジング520の第1のキャビティ523の共振ピーク(ヘルムホルツ共振)がより高い周波数に対応するように、より大きなサイズを有するように設置されてもよい。このように、減圧孔522から伝達される中低周波数の音漏れを大幅に抑制することができる。また、減圧孔522のサイズが大きいほど、音響抵抗が小さく、減圧孔522で発生する音波の音圧値が小さくなり得るため、より音漏れの低減に役立つ。
【0093】
いくつかの実施例において、減圧孔522に調音メッシュ(図示せず)を設置することにより、上記共振ピークの強度を低下させることができ、これにより第1のキャビティ523と減圧孔522とで形成された構造の周波数応答を低下させ、さらに音漏れを低減することができる。いくつかの実施例において、減圧孔の数は、限定されなくてもよく、1つ以上であってもよい。減圧孔522は、第1のキャビティ523の側壁に対応する任意の位置に設置されてもよい。
【0094】
いくつかの実施例において、振動板512及び/又はハウジング520の剛性(例えば、構造のサイズ、材料の弾性率、リブ及び/又は他の特殊な力学的構造)を調整することにより、骨伝導音波の出力特性を調整してもよい。
【0095】
いくつかの実施例において、振動膜531の形状、弾性係数及び減衰を調整することにより、空気伝導音波の出力特性を調整してもよい。放音孔521及び/又は減圧孔522のうちの少なくとも1つの数量、位置、大きさ及び/又は形状を調整することにより、空気伝導音波の出力特性を調整してもよい。例えば、空気伝導アセンブリの音響効果を実現するように、放音孔521に減衰構造(例えば、調音メッシュ)を設置してもよい。
【0096】
なお、以上に例示された1つ以上の付加的な音響構造(例えば、音響孔、音響管、減圧孔、及び/又は調音メッシュ)の数、大きさ、形状(例えば、断面の形状)及び/又は位置は、実際の需要に応じて設定することができ、本明細書において限定されなくてもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置500の音漏れに応じて、1つ以上の付加的な音響構造の数、大きさ、形状及び/又は位置を最適化してもよい。いくつかの実施例において、後述する音漏れ周波数応答曲線に基づいて最適化してもよい。また、骨伝導アセンブリと空気伝導アセンブリ、及び/又は1つ以上の骨伝導アセンブリと空気伝導アセンブリは、本明細書において限定されなくてもよい。例えば、骨伝導アセンブリと空気伝導アセンブリの空間配列は、実際の需要に応じて異なっていてもよく、かつ限定されなくてもよい。また例えば、振動膜531のハウジング520における位置、振動膜531の方向(例えば、前側方向)などは、実際の需要に応じて変更してもよく、かつ限定されなくてもよい。
【0097】
本明細書に係る音響出力装置は、ユーザにより高い音響効果及び触覚感覚を提供するように、骨伝導アセンブリ(例えば、骨伝導アセンブリ510)及び空気伝導アセンブリと組み合わせてもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置が出力する骨伝導音波及び空気伝導音波は、異なる周波数の音波を含んでもよい。
【0098】
いくつかの実施例において、音響出力装置500の放音孔521は、音響孔に結合される音響管をさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、音響孔を通過した空気伝導音波は、音響管に入り、かつ音響管を介して特定の方向に沿って伝播してもよい。これにより、音響管は、空気伝導音波の伝播方向を変更することができる。
【0099】
例えば、図6は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。音響出力装置600は、図5の音響出力装置500と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、音響出力装置600は、骨伝導アセンブリ610、ハウジング620及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。骨伝導アセンブリ610と空気伝導アセンブリは、同一のハウジング620内に収容されてもよい。また例えば、骨伝導アセンブリ610は、磁気回路システム611と、1つ以上の振動板612と、コイル613とを含んでもよい。空気伝導アセンブリは、振動膜621を含んでもよい。さらに例えば、放音孔614は、ハウジング620の側壁に設置され、かつ後部キャビティ624と流体連通してもよく、減圧孔625は、ハウジング620の側壁に設置され、かつ前部キャビティ623と流体連通してもよい。音響出力装置600におけるアセンブリに関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図5及びその説明)で見つけることができる。
【0100】
音響出力装置500とは異なり、放音孔614は、音響管640を含んでもよい。図6に示すように、ユーザが音響出力装置を着用する場合、音響管640の放音孔614から離れる端部は、ユーザの耳に向けられてもよい。
【0101】
いくつかの実施例において、減圧孔625は、貫通孔でなくてもよい。減圧孔625は、放音孔614又は音響管640を介して音響出力装置の外部と流体連通してもよい。単に例として、ハウジング620は、通路を含んでもよい。該通路は、放音孔614及び音響管640に接続されてもよい。前部キャビティ623内の空気は、減圧孔625を通過して前部キャビティ623から通路に流れ、かつ放音孔614及び音響管640を通過して外向きに流れることができる。なお、該実施例における音響管は、本明細書の他の実施例における音響出力装置にも適用される。
【0102】
図7は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。音響出力装置700は、図6の音響出力装置600と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、音響出力装置700は、骨伝導アセンブリ710、ハウジング720及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。骨伝導アセンブリ710と空気伝導アセンブリは、同一のハウジング720内に一緒に収容されてもよい。また例えば、骨伝導アセンブリ710は、磁気回路システム711と、1つ以上の振動板712と、コイル713とを含んでもよい。空気伝導アセンブリは、ハウジング720及び/又は骨伝導アセンブリ710に接続される振動膜731を含んでもよい。さらに例えば、放音孔721及び音響管740は、ハウジング720の側壁に設置され、かつ後部キャビティ724と流体連通してもよく、減圧孔722は、ハウジング720の側壁に設置され、かつ前部キャビティ723と流体連通してもよい。音響出力装置700における部品に関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図5及び図6並びにそれらの説明)で見つけることができる。
【0103】
図7に示すように、音響出力装置600とは異なり、振動膜731は、磁気回路システム711の周側に周設されてもよい。振動膜731は、環状板又は環状シートを含んでもよい。いくつかの実施例において、振動膜731は、弾性を増加させ、かつ振動膜731の中低周波数での周波数応答を改善するように、凹状又は凸状に設置されてもよい。具体的には、振動膜731の内側は、磁気回路システム711の外壁に物理的に接続されてもよく、振動膜731の外側は、ハウジング720の内壁に物理的に接続されてもよい。磁気回路システム711の周側に周設される振動膜731は、振動膜731が占める空間を小さくすることができ、これにより音響出力装置700の体積を小さくする。体積を小さくし、かつハウジング720における振動膜731の位置を調整することにより、音響出力装置700の体積及び/又は重量を効果的に小さくすることができる。
【0104】
図8は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。音響出力装置800は、図6の音響出力装置600と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、音響出力装置800は、骨伝導アセンブリ810、ハウジング820及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。骨伝導アセンブリ810と空気伝導アセンブリは、同一のハウジング820内に一緒に収容されてもよい。また例えば、骨伝導アセンブリ810は、磁気回路システム811と、1つ以上の振動板812と、コイル813とを含んでもよい。さらに例えば、放音孔821及び音響管840は、ハウジング820の側壁に設置され、かつ後部キャビティ824と流体連通してもよく、減圧孔822は、ハウジング820の側壁に設置され、かつ前部キャビティ823と流体連通してもよい。音響出力装置800におけるアセンブリに関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図5及び図6並びにそれらの説明)で見つけることができる。
【0105】
図8に示すように、音響出力装置600とは異なり、空気伝導アセンブリは、少なくとも2つの振動膜を含んでもよい。例えば、空気伝導アセンブリは、第1の振動膜831及び第2の振動膜833を含んでもよい。図5に示すように、第1の振動膜831は、振動膜531と同じであってもよく、類似してもよい。
【0106】
第1の振動膜831は、磁気回路システム811及び/又はハウジング820の振動により振動することができる。第2の振動膜833は、磁気回路システム811の振動によるハウジング820の振動、及び/又は、第1振動膜831の振動による空気の振動により振動することができる。第2の振動膜833は、受動振動膜833と呼ばれてもよい。
【0107】
第2の振動膜833は、骨伝導アセンブリ810の振動板812に対向するハウジング820の底面と第1の振動膜831との間に設置されてもよい。特に、第2の振動膜833は、第1の振動膜831に平行な方向に沿って、ハウジング820の底面と放音孔821の位置する平面との間に設置されてもよい。図8に示すように、第2の振動膜833は、ハウジング820の底部の近傍又は底面に設置されてもよい。第2の振動膜833は、ハウジング820に物理的に接続されてもよい。図5に示すように、第2の振動膜833は、振動膜531と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、第2の振動膜833は、本体部及び補助部を含んでもよい。本体部は、ハウジング820の底面に近接してもよく、物理的に接続されてもよい。補助部は、本体部を取り囲む環状形状を有してもよい。補助部は、ハウジング820に物理的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、本体部は、おもりを含んでもよく、補助部は、ばねを含んでもよい。
【0108】
いくつかの実施例において、ハウジング820の底面の共振周波数は、ハウジング820の底面の材料によって決定されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング820の底面の材料及び厚さは、ハウジング820の底面の共振周波数に影響を与える可能性がある。例えば、ハウジング820の底面の材料が比較的柔らかい場合、ハウジング820の底面の共振周波数が比較的低くなり得る。反対に、ハウジング820の底面の材料が比較的硬い場合、ハウジング820の底面の共振周波数が比較的高くなり得る。ハウジング820の底面の材料の硬度を調整することにより、ハウジング820の底面の共振周波数は、閾値以下であってもよく、例えば10kHz以下であってもよく、5kHz以下であってもよく、1kHz以下であってもよい。
【0109】
いくつかの実施例において、ハウジング820の底面の共振周波数は、受動振動膜833によって決定されてもよい。例えば、ハウジング820の底面の共振周波数は、受動振動膜833の共振周波数に等しくてもよい。
【0110】
いくつかの実施例において、受動振動膜833の共振周波数は、磁気回路システム811及び第1の振動膜831を含む構造の周波数より大きくてもよい。磁気回路システム811の振動周波数が受動振動膜833の共振周波数より小さい場合、受動振動膜833の振動は、ハウジング820の振動と一致することができる。換言すれば、受動振動膜833の振動位相及び周波数は、ハウジング820の振動位相及び周波数と一致することができる。受動振動膜833の振動は、第1の振動膜831の振動と逆であってもよい。磁気回路システム811及び第1の振動膜831を含む構造の周波数が受動振動膜833の共振周波数より小さい場合、後部キャビティ824内の空気が圧縮されるか又は膨張することができ、空気伝導音波は、後部キャビティ824内の空気の圧縮又は膨張に伴って発生することができる。振動板812によってハウジング820の上部表面が振動して顔を押圧するとき、受動振動膜833の振動による音漏れの位相は、振動板812が位置するハウジング820の上部表面による音漏れの位相と逆であってもよい。受動振動膜833の振動による音漏れとハウジング820の上部表面による音漏れとが相殺することにより、音響出力装置800の音漏れを抑制するか又は低減することができる。磁気回路システム811の振動周波数が受動振動膜833の共振周波数より大きい場合、受動振動膜833のハウジング820に対する振動振幅が小さくなり、受動振動膜833によって圧縮される空気の振動振幅が小さくなるため、受動振動膜833に発生する音漏れも非常に小さくなる。
【0111】
図9は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。音響出力装置900は、図6の音響出力装置600と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、音響出力装置900は、骨伝導アセンブリ910、ハウジング920及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。骨伝導アセンブリ910と空気伝導アセンブリは、同一のハウジング920内に一緒に収容されてもよい。また例えば、骨伝導アセンブリ910は、磁気回路システム911と、1つ以上の振動板912と、コイル913とを含んでもよい。さらに例えば、放音孔921及び音響管940は、ハウジング920の側壁に設置され、かつ後部キャビティ924と流体連通してもよく、減圧孔922は、ハウジング920の側壁に設置され、かつ前部キャビティ923と流体連通してもよい。さらに例えば、空気伝導アセンブリは、振動膜931を含んでもよい。図5に示すように、振動膜931は、振動膜531と同じであってもよく、類似してもよい。音響出力装置900のアセンブリに関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図5及び図6並びにそれらの説明)で見つけることができる。
【0112】
図9に示すように、音響出力装置600とは異なり、振動膜931は、磁気回路システム911から離れてもよく、振動膜931は、ハウジング920に物理的に接続されてもよい。骨伝導アセンブリ910が骨伝導音波を発生させる場合、骨伝導アセンブリ910の振動によるハウジング920の振動は、振動膜931が振動するように駆動することができる。振動膜931の共振ピークが小さい(例えば、振動膜931の材質が柔らかく、又は振動膜931が硬度を低下させた「皺」構造を有する)場合、振動膜931は、ハウジング920が発生する低周波数振動によりよく応答することができる。換言すれば、振動膜931は、より多くの低周波数音を提供することにより、低周波数の空気伝導音波の音量を増加させることができる。
【0113】
図10は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。音響出力装置1000は、図5の音響出力装置500又は図8の音響出力装置800と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、音響出力装置1000は、骨伝導アセンブリ1010、ハウジング1020及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。骨伝導アセンブリ1010と空気伝導アセンブリは、同一のハウジング1020内に一緒に収容されてもよい。また例えば、骨伝導アセンブリ1010は、磁気回路システム1011と、1つ以上の振動板1012と、コイル1013とを含んでもよい。さらに例えば、放音孔1021及び音響管1040は、ハウジング1020の側壁に設置され、かつ後部キャビティ1024と流体連通してもよく、減圧孔1025は、ハウジング1020の側壁に設置され、かつ後部キャビティ1024と流体連通してもよい。音響出力装置1000のアセンブリに関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図5及び図6並びにそれらの説明)で見つけることができる。さらに例えば、空気伝導アセンブリは、第1の振動膜1031及び第2の振動膜1033を含んでもよい。図5に示すように、第1の振動膜1031は、振動膜531と同じであってもよく、類似してもよい。図8に示すように、第2の振動膜1033は、第2の振動膜833と同じであってもよく、類似してもよい。
【0114】
図10に示すように、音響出力装置800とは異なり、第2の振動膜1033は、ハウジング1020の後部キャビティ1024内に位置してもよく、第2の振動膜1033は、ハウジング1020の底面から離れる。また、第2の振動膜1033は、放音孔1021の第1の振動膜1031に平行な方向に沿う平面と第1の振動膜1031との間に位置してもよい。いくつかの実施例において、第2の振動膜1033は、第1の振動膜1031と平行に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第2の振動膜1033は、第1の振動膜1031に対して傾斜するように設置されてもよい。
【0115】
いくつかの実施例において、第2の振動膜1033は、後部キャビティ1024を第1のサブキャビティと第2のサブキャビティとに分割してもよい。第1のサブキャビティは、第2の振動膜1033と第1の振動膜1031によって画定されてもよく、第2のサブキャビティは、第2の振動膜1033とハウジング1020の底面によって画定されてもよい。
【0116】
いくつかの実施例において、磁気回路システム1011及び第1の振動膜1031がハウジング1020に対して固定される場合、骨伝導アセンブリ1010の振動によるハウジング1020の振動は、第1の振動膜1031と第2の振動膜1033との間の第1のサブキャビティの圧力を変化させることができる。第1のサブキャビティの圧力変化は、第1のサブキャビティ内の空気を振動させることができる。第1のサブキャビティ内の空気の振動は、第2の振動膜1033を振動させることができる。第2の振動膜1033の振動は、第2のサブキャビティ内の空気を振動させることができ、ハウジング1020の振動は、第2のサブキャビティ内の空気を振動させることもできる。第2の振動膜1033の振動による空気の振動の位相は、放音孔1021から導出される空気伝導音波の音量を増加させるように、ハウジング1020の振動による空気の振動の位相と同じであってもよい。
【0117】
骨伝導アセンブリ1010の振動によるハウジング1020の振動は、第1の振動膜1031が振動するように駆動することができる。第1の振動膜1031及び/又はハウジング1020の振動は、第1の振動膜1031と第2の振動膜1033との間の空気が振動するように駆動することができ、第1の振動膜1031と第2の振動膜1033との間の空気の振動及びハウジング1020の振動は、第2の振動膜1033が振動するように駆動することができる。第2の振動膜1033の共振ピークが小さい(例えば、第2の振動膜1033が柔らかい材料を採用するか、又は受動振動膜1033が硬度を低下させた「皺」構造を有する)場合、第2の振動膜1033は、骨伝導アセンブリ1010が発生する低周波数の振動による第1の振動膜1031と第2の振動膜1033との間の空気の振動によりよく応答することができる。換言すれば、第2の振動膜1033は、より多くの低周波数音声を提供することにより、低周波数の空気伝導音波の音量を増加させることができる。音響出力装置1000は、豊富な音声(例えば、より低い周波数の音声)を出力することにより、空気伝導音波の音量を増加させることができる。
【0118】
図11は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。図11に示すように、音響出力装置1100は、骨伝導アセンブリ1110、ハウジング1120及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。骨伝導アセンブリ1110は、図5の音響出力装置500の骨伝導アセンブリ510と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、骨伝導アセンブリ1110は、磁気回路システム1111と、1つ以上の振動板1112と、コイル1113とを含んでもよい。音響出力装置1100における骨伝導アセンブリ1110のアセンブリに関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図5及びその説明)で見つけることができる。音響出力装置1100は、ハウジング1120に設置された放音孔1121をさらに含み、かつハウジング1120のキャビティと流体連通してもよく、減圧孔1122は、ハウジング1120の側壁に設置され、かつハウジング1120のキャビティと流体連通してもよい。
【0119】
図11に示すように、音響出力装置500とは異なり、空気伝導アセンブリは、振動膜1133及び振動伝達アセンブリ1131を含んでもよい。振動伝達アセンブリ1131は、骨伝導アセンブリ1110、振動膜1133及び/又はハウジング1120に物理的に接続されてもよい。振動伝達アセンブリ1131は、骨伝導アセンブリ1110及び/又はハウジング1120の振動を振動膜1133に伝達することにより、空気伝導音波を発生させるように構成されてもよい。振動伝達中に、振動伝達アセンブリ1131は、骨伝導アセンブリ1110及び/又はハウジング1120の振動方向を変更することができる。換言すれば、振動膜1133の振動方向は、骨伝導アセンブリ1110及び/又はハウジング1120の振動方向と異なっていてもよい。
【0120】
いくつかの実施例において、振動膜1133は、放音孔1121内に位置してもよい。振動膜1133と磁気回路システム1111とは、振動伝達アセンブリ1131により接続されてもよく、磁気回路システム1111は、振動伝達アセンブリ1131によりハウジング1120に接続されてもよい。振動伝達アセンブリ1131は、複数の接続ロッドを含んでもよい。例えば、複数の接続ロッドのうちの1つは、振動膜1133に物理的に接続されてもよく、複数の接続ロッドのうちの1つは、磁気回路システム1111に物理的に接続されてもよく、複数の接続ロッドのうちの1つは、ハウジング1120に物理的に接続されてもよく、かつ複数の接続ロッドは、互いに物理的に接続されてもよい。
【0121】
振動伝達アセンブリ1131は、ハウジング1120の振動方向を変更し、かつ振動方向が変更されたハウジング1120の振動を振動膜1133に伝達してもよい。例えば、図11において、ハウジング1120は、磁気回路システム1111に対して左右方向に振動することにより、骨伝導音波を発生させることができる。ハウジング1120は、磁気回路システム1111の振動を、人体の骨格を介して、ハウジング1120の上部表面から人体の蝸牛に伝達してもよい。振動伝達アセンブリ1131は、ハウジング1120の左右方向の振動を上下の振動に変換し、かつ振動を振動膜1133に伝達することにより、振動膜1133を上下に振動させて空気伝導音波を発生させてもよい。いくつかの実施例において、放音孔1121は、人の耳の方向に直接向けられてもよく、すなわち、振動膜1133は、人の耳に向かう方向に振動する。
【0122】
図12は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。音響出力装置1200は、図6の音響出力装置600と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、音響出力装置1200は、骨伝導アセンブリ1210、ハウジング1220及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。骨伝導アセンブリ1210と空気伝導アセンブリは、同一のハウジング1220内に一緒に収容されてもよい。また例えば、骨伝導アセンブリ1210は、磁気回路システム1211と、1つ以上の振動板1212と、コイル1213とを含んでもよい。空気伝導アセンブリは、振動膜1231を含んでもよい。さらに例えば、放音孔1221及び音響管1240は、ハウジング1220に設置され、かつ後部キャビティ1224と流体連通してもよく、減圧孔1222は、ハウジング1220の側壁に設置され、かつ前部キャビティ1223と流体連通してもよい。音響出力装置1200のアセンブリに関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図5及び図6並びにそれらの説明)で見つけることができる。
【0123】
図12に示すように、音響出力装置600とは異なり、音響出力装置1200は、磁気回路システム1211とハウジング1220との間に設置された弾性部材1250(振動伝達シートとも呼ばれる)をさらに含んでもよい。具体的には、弾性部材1250は、前部キャビティ1223内に位置してもよく、弾性部材1250は、磁気回路システム1211及びハウジング1220に物理的に接続されてもよい。弾性部材1250は、磁気回路システム1211に対してより高い固定効果を果たし、ハウジング1220の振動中に磁気回路システム1211が反転することを防止することができ、これにより音響出力装置1200の音質効果を向上させる。
【0124】
また、弾性部材1250は、一定の共振周波数を有してもよく、骨伝導アセンブリ1210が発生する骨伝導音波が弾性部材1250の共振ピークの近傍で高い音量を有するように、ハウジング1220の振動に共振ピークを提供してもよい。いくつかの実施例において、振動膜1231の1つ以上の特性(例えば、大きさ、材料の弾性率、リブ及び他の特殊な力学的構造)及び弾性部材1250の弾性係数を調整することにより、骨伝導音波の出力特性を調整してもよい。なお、該実施例における弾性部材1250は、本明細書の範囲に限定されず、本明細書の他の図面に示す音響出力装置にも適用される。
【0125】
図13は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置の概略図である。音響出力装置1300は、図6の音響出力装置600と同じであってもよく、類似してもよい。例えば、音響出力装置1300は、骨伝導アセンブリ1310、ハウジング1320及び空気伝導アセンブリを含んでもよい。また例えば、骨伝導アセンブリ1310は、磁気回路システム1311と、1つ以上の振動板1312と、コイル1313とを含んでもよい。空気伝導アセンブリは、振動膜1331を含んでもよい。さらに例えば、放音孔1321及び音響管1340は、ハウジング1320に設置され、かつ後部キャビティ1324と流体連通してもよく、減圧孔1322は、ハウジング1320に設置され、かつ前部キャビティ1323と流体連通してもよい。音響出力装置1300のアセンブリに関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、図5及び図6並びにそれらの説明)で見つけることができる。
【0126】
図13に示すように、音響出力装置600とは異なり、ハウジング1320には、少なくとも1つの調節孔1326(第3の孔とも呼ばれる)が設置されてもよい。いくつかの実施例において、調節孔1326は、放音孔1321が位置するハウジングの側壁に隣接しない側壁に位置してもよい。いくつかの実施例において、調節孔1326は、放音孔1321が位置する側壁に隣接する1つ以上の側壁に位置してもよい。例えば、ハウジング1320は、少なくとも4つの順に物理的に接続される側壁を含んでもよい。放音孔1321は、第1の側壁に設置されてもよく、減圧孔1322は、第1の側壁に隣接しない第2の側壁に設置されてもよい。第1の側壁と第2の側壁とは、略平行であってもよい。調節孔1326は、第2の側壁、第3の側壁、第4の側壁などに設置されてもよい。第3の側壁及び第4の側壁は、第1の側壁に隣接してもよい。サイズ(例えば、面積)は、1~50平方ミリメートルの範囲内、又は5~30平方ミリメートルの範囲内、又は10~20平方ミリメートルの範囲内にあってもよい。
【0127】
いくつかの実施例において、調節孔1326は、後部キャビティ1324及び/又は前部キャビティ1323内の空気の共振周波数を増加させるように、放音孔1321が位置するハウジングの側壁に対向する側壁に位置してもよい。いくつかの実施例において、後部キャビティ1324と前部キャビティ1323内の空気の共振周波数は、同じであってもよい。いくつかの実施例において、後部キャビティ1324及び/又は前部キャビティ1323内の空気の共振周波数は、4000Hz以上であってもよく、5000Hz以上であってもよい。いくつかの実施例において、後部キャビティ1324内の空気の共振周波数は、5500Hz~6000Hzの範囲内、又は4000Hz~6000Hzの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、前部キャビティ1323内の空気の共振周波数は、4500Hz~5000Hzの範囲内、又は4000Hz~5000Hzの範囲内にあってもよい。後部キャビティ1324及び前部キャビティ1323内の空気の共振周波数は、図4及びその説明に基づいて調整することができる。
【0128】
いくつかの実施例において、調節孔1326及び/又は減圧孔1322は、貫通孔であってもよい。いくつかの実施例において、調節孔1326及び/又は減圧孔1322は、貫通孔でなくてもよい。調節孔1326及び/又は減圧孔1322は、放音孔1321又は音響管1340により音響出力装置の外部と流体連通してもよい。例として、ハウジング1320は、通路(又は連通管)を含んでもよい。通路は、放音孔1321及び音響管1340に接続されてもよい。前部キャビティ1323及び/又は後部キャビティ1324内の空気は、減圧孔1322及び/又は調節孔1326を介して、前部キャビティ1323及び/又は後部キャビティ1324から通路に流れ、さらに放音孔1321及び音響管1340を介して外部に流れることができる。
【0129】
いくつかの実施例において、調節孔1326及び/又は減圧孔1322は、貫通孔であってもよい。1つ以上の第2の孔又は1つ以上の第3の孔のうちの少なくとも1つは、音響抵抗材、例えば綿で覆われてもよい。音響抵抗材は、5~500MKSのレイリー範囲、又は10~260MKSのレイリー範囲、又は20~200MKSのレイリー範囲の音響抵抗を含んでもよい。
【0130】
空気伝導アセンブリが発生する空気伝導音波(元の空気伝導音波とも呼ばれる)は、ハウジング1320の底面と衝突し、かつ伝達過程においてハウジング1320の底面によって反射され得る。反射された空気伝導音波と元の空気伝導音波は、定在波を形成する可能性があり、その結果、放音孔1321から出力される音の歪みを引き起こす。本実施例において、ハウジング1320に調節孔1326を設置することにより、一部の空気伝導音波は、調節孔1326から直接出力することができ、これにより、反射された一部の空気伝導音波と元の空気伝導音波が定在波を形成することを防止する。
【0131】
いくつかの実施例において、ハウジング1320は、前部キャビティ1323と後部キャビティ1324を連通する連通管(図示せず)をさらに含んでもよい。例えば、連通管は、減圧孔1322と調節孔1326との間に設置されてもよい。連通管の前部キャビティ1323に位置する一端から出力される音声と連通管の後部キャビティ1324に位置する他端から出力される音声とは、位相が逆であり、互いに相殺することができ、これにより音漏れを低減する効果をさらに向上させる。
【0132】
いくつかの実施例において、減圧孔1322には、減衰構造(例えば、調音メッシュ)が設置されてもよい。減圧孔1322での減衰構造は、音響抵抗を改善し、かつ減圧孔1322から漏れる音波の振幅を調整(例えば、低下)するように構成されてもよい。
【0133】
いくつかの実施例において、音響管1340から出力される音声の音量を増加させ、調節孔1326での音漏れの音量を低下させるために、調節孔1326に減衰構造(例えば、調音メッシュ)を設置してもよい。調節孔1326での減衰構造は、音響抵抗を改善し、かつ調節孔1326から漏れる音波の振幅を調整(例えば、低減)するように構成されてもよい。調節孔1326から漏れた音波の振幅と減圧孔1322から漏れた音波の振幅とが等しい場合、調節孔1326から漏れた音波と減圧孔1322から漏れた音波とは、互いに相殺することができ、これにより音漏れを低減し、音響管1340から出力される音声の音量を増加させる。
【0134】
なお、本実施例における調節孔1326は、図13に示す実施例に限定されず、さらに図5図12及び図13に示す実施例又は類似の音響出力装置に適用することができる。いくつかの実施例において、調節孔と減圧孔の数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0135】
図14及び図15は、本明細書のいくつかの実施例に示す振動膜の断面図である。図14に示すように、振動膜1400は、本体部1410及び補助部1420を含んでもよい。本体部1410は、底板及び側壁を含んでもよい。底板及び側壁は、空間を形成することができ、該空間は、本明細書の他の箇所に記載の磁気回路システムの少なくとも一部を収容するように構成されてもよい。
【0136】
補助部1420は、本体部1410の上部(例えば、本体部1410の側壁の上部)と面一となってもよく、補助部1420は、凹面領域1421を有してもよく、凹面領域1421は、本体部1410の底板に向かって凹む。いくつかの実施例において、振動膜1400の特性、例えば、本体部1410の高さ、補助部1420の本体部1410に対する高さ、凹面領域1421の高さ、本体部1410及び/又は補助部1420の厚さなどを調整することにより振動膜1400の弾性係数を調整してもよい。例えば、凹面領域1421の高さが大きいほど、補助部1420の厚さが小さく、凹面領域の数が多いほど、振動膜1400の弾性係数が大きくなり得る。
【0137】
図15に示す振動膜1500は、図14に示す振動膜1400と類似してもよい。例えば、振動膜1500は、本体部1510及び補助部1520を含んでもよい。振動膜1400とは異なり、補助部1520は、凸面領域1521を有してもよく、凸面領域1521は、本体部1510から離れる底板に向かって突出する。いくつかの実施例において、振動膜1500の特性、例えば、本体部1510の高さ、補助部1520の本体部1510に対する高さ、凸面領域1521の高さ、本体部1510及び/又は補助部1520の厚さなどを調整することにより振動膜1500の弾性係数を調整してもよい。例えば、凸面領域1521の高さが大きいほど、補助部1520の厚さが小さく、凸面領域の数が多いほど、振動膜1500の弾性係数が大きくなる。
【0138】
図14に示す振動膜1400と図15に示す振動膜1500とを比較すると、振動膜1400と振動膜1500が同じ材料を含む場合、振動膜1400は、振動膜1500よりも小さい弾性係数及び低い低周波共振周波数を有することができる。いくつかの実施例において、振動膜1400の補助部1420及び振動膜1500の補助部1520には、孔部(図示せず)が設置されてもよい。これらの孔部は、貫通孔であってもよく、本明細書の他の箇所で説明された音響出力装置のハウジングの第1のキャビティと第2のキャビティは、孔部を介して流体連通することができる。孔部の両端で発生する音声の位相が逆であり、かつ互いに相殺することができるため、音響出力装置に発生する音漏れ(例えば、減圧孔の音漏れ)を効果的に低減することができる。本実施例に係る振動膜1500は、上記音響出力装置(例えば、図5図13に示す音響出力装置)に適用することにより、音響出力装置の音声出力効果を向上させ、かつ音漏れを低減することができる。
【0139】
図16は、本明細書のいくつかの実施例に示す音響出力装置に対する異なる位置の概略図である。図16に示すように、音響出力装置に対する4つの位置は、点p1、p2、p3及びp4として表すことができる。ユーザが音響出力装置を着用する場合、p1は、ユーザの皮膚の近傍に位置する。p1は、音響出力装置の前側と呼ばれてもよい。ユーザが音響出力装置を着用する場合、p3は、ユーザの皮膚から離れる位置に位置する。p3は、音響出力装置の裏側と呼ばれてもよい。本明細書の他の箇所に記載のように、p2は、音響管の近傍に位置する。本明細書の他の箇所に記載のように、p4は、減圧孔の近傍に位置する。
【0140】
図17図21は、本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置の異なる位置に対する音漏れ周波数応答曲線の概略図である。音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線は、音響出力装置の音漏れが音声信号の周波数に応じて変化する曲線を指す。横軸は、音響出力装置に入力される音声信号の周波数を表してもよい。縦軸は、音響出力装置のある位置(例えば、p1、p2、p3、p4)での音漏れの音量であってもよい。図17図21に示す音漏れ周波数応答曲線L1~L4は、それぞれ、音響出力装置の位置p1~p4での音漏れの、音声信号の周波数に伴う変化を表す。図22図25に示す音漏れ周波数応答曲線S1~S5は、それぞれ、異なる音響出力装置の位置p1~p4での音漏れの、音声信号の周波数に伴う変化を表す。
【0141】
図17は、第1の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を示し、該第1の音響出力装置は、音響管及び減圧孔を含み、該音響管及び該減圧孔は、音響出力装置のハウジングの2つの対向する側壁に設置される。第1の音響出力装置は、図6に説明された音響出力装置600と同じであってもよく、類似してもよい。
【0142】
図18は、第2の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を示し、該第2の音響出力装置は、音響管及び減圧孔を含み、該音響管及び該減圧孔は、音響出力装置のハウジングの2つの対向する側壁に設置される。第2の音響出力装置は、少なくとも1つの調節孔をさらに含み、該調節孔は、減圧孔が位置する側壁に設置される。第2の音響出力装置は、図13に説明された音響出力装置1300と同じであってもよく、類似してもよい。
【0143】
図19は、第3の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を示し、該第3の音響出力装置は、音響管及び減圧孔を含み、該音響管及び該減圧孔は、音響出力装置のハウジングの2つの対向する側壁に設置される。第3の音響出力装置は、少なくとも1つの調節孔をさらに含み、該調節孔は、減圧孔が位置する側壁に設置される。第3の音響出力装置は、図13に説明された音響出力装置1300と同じであってもよく、類似してもよい。第2の音響出力装置とは異なり、第3の音響出力装置の後部キャビティの音量は、第2の音響出力装置の後部キャビティの音量より小さい。
【0144】
図20は、第4の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を示し、該第4の音響出力装置は、音響管及び減圧孔を含み、該音響管及び該減圧孔は、音響出力装置のハウジングの2つの対向する側壁に設置される。第4の音響出力装置は、少なくとも1つの調節孔をさらに含み、該調節孔は、減圧孔が位置する側壁に設置される。第4の音響出力装置は、図13に説明された音響出力装置1300と同じであってもよく、類似してもよい。第2の音響出力装置とは異なり、音響管及び減圧孔は、調節孔と流体連通する。換言すれば、減圧孔及び調節孔は、貫通孔ではない。
【0145】
図21は、第5の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を示し、該第5の音響出力装置は、音響管及び第1の減圧孔を含み、該音響管及び該第1の減圧孔は、音響出力装置のハウジングの2つの対向する側壁に設置される。第4の音響出力装置は、少なくとも1つの調節孔をさらに含み、該調節孔は、第1の減圧孔が位置する側壁に設置される。第4の音響出力装置は、図13に説明された音響出力装置1300と同じであってもよく、類似してもよい。音響管及び第1の減圧孔は、調節孔と流体連通する。換言すれば、第1の減圧孔及び調節孔は、貫通孔ではない。第4の音響出力装置とは異なり、第5の音響出力装置は、第2の減圧孔をさらに含み、該第2の減圧孔は、第1の減圧孔が位置する側壁に設置される。第2の減圧孔は、貫通孔である。
【0146】
図22図25は、本明細書のいくつかの実施例に示す、図16に説明された異なる音響出力装置のそれぞれの同じ位置での音漏れ周波数応答曲線の比較を示す概略図である。図22に示すように、周波数応答曲線S1~S5は、図17図21に記載の第1の音響出力装置、第2の音響出力装置、第3の音響出力装置、第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の位置p1での音漏れ周波数応答曲線を表すことができる。図23に示すように、周波数応答曲線S1~S5は、図17図21に記載の第1の音響出力装置、第2の音響出力装置、第3の音響出力装置、第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の位置p2での音漏れ周波数応答曲線を表すことができる。図24に示すように、周波数応答曲線S1~S5は、図17図21に記載の第1の音響出力装置、第2の音響出力装置、第3の音響出力装置、第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の位置p3での音漏れ周波数応答曲線を表すことができる。図25に示すように、周波数応答曲線S1~S5は、図17図21に記載の第1の音響出力装置、第2の音響出力装置、第3の音響出力装置、第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の位置p4での音漏れ周波数応答曲線を表すことができる。
【0147】
図17図19及び図21によれば、1000Hzを超える周波数での音漏れの多くは、1000Hzより低い周波数での音漏れより大きいことがわかる。
【0148】
図17によれば、調節孔を含まない第1の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4は、異なる位置p1~p4で、特に前側p1と裏側p3で、それぞれ第1のピーク値と第2のピーク値を含み、第1のピーク値の周波数は約2000Hzであり、第2のピーク値の周波数は約2200Hzである。周波数2000Hzでの第1のピーク値は、第1の音響出力装置の前部キャビティによるものであり、周波数2200Hzでの第2のピーク値は、第1の音響出力装置の後部キャビティによるものである。図18によれば、調節孔を含む第2の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4は、異なる位置p1~p4で、特に前側p1と裏側p3で、約2000Hz及び4800Hzの周波数での第1のピーク値及び第2のピーク値を含む。第1の音響出力装置及び第2の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を比較すると、調節孔により後部キャビティによる第2のピーク値の周波数がより高いと推定することができる。したがって、調節孔は、後部キャビティ内の空気の共振周波数(すなわち、音漏れ周波数応答曲線L1~L4におけるピーク値)を増加させることができる。図22図25によれば、図22図25における第1の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線S1と、第2の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線S2とを比較すると、第2の音響出力装置の位置p2(すなわち、音響管の周囲の位置)での音漏れは、調節孔の音漏れであるが、第2の音響出力装置の他の位置、例えばp1、p3、p4での音漏れの変化は明らかではない。
【0149】
図19によれば、第2の音響出力装置よりも小さい音量の後部キャビティを含む第3の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4は、異なる位置p1~p4で、2つの周波数でのピーク値を含む。第2の音響出力装置及び第3の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を比較すると、図19に示すように、後部キャビティによる図18における第2のピーク値の周波数は、後部キャビティの音量の低下に伴って高周波数に移動すると推定することができる。図22図25によれば、第2の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線S2と、第3の音響出力装置のp1、p2、p3及びp4の各位置での音漏れ周波数応答曲線S3とを比較すると、第3の音響出力装置のp1、p2、p3、及びp4の各位置での音漏れは、後部キャビティの音量の低下に伴って明らかな変化が発生しない。
【0150】
図20によれば、音響管と、流体連通する減圧孔及び調節孔とを含む第4の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4は、700Hzの周波数での第1のピーク値と1000Hzを超える周波数での第2のピーク値とを含む。第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を比較すると、前部キャビティと後部キャビティとが流体連通するときにキャビティの体積が大きいため、図20における第1のピーク値が低周波数に移動すると推定することができる。図22図25によれば、第4の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線S4と、第5の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線S5とを比較すると、第4の音響出力装置の位置p2及びp4での音漏れが明らかに低減する(すなわち、音響管及び減圧孔の位置で、特に中低周波数の音漏れが明らかに低減する)。
【0151】
図21によれば、流体連通する音響管、第1の減圧孔、第2の減圧孔及び調節孔を含む第5の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4は、第1のピーク値及び第2のピーク値を含む。第2の音響出力装置及び第5の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線L1~L4を比較すると、図21における第2のピーク値がより高い周波数に移動すると推定することができる。図22図25によれば、第2の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線S2と、第5の音響出力装置の音漏れ周波数応答曲線S5とを比較すると、第5の音響出力装置は、第2の音響出力装置に対して位置p2(すなわち、音響管の周囲)での音漏れ変化が明らかではないが、第5の音響出力装置は、第2の音響出力装置に対して位置p4(すなわち、第2の減圧孔の周囲)での音漏れが明らかに低減する。
【0152】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されておるため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0153】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0154】
さらに、当業者には理解されように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。さらに、本願の各態様は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0155】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータプログラムコードを搬送するための、ベースバンド上で伝播されるか又は搬送波の一部として伝播されるデータ信号を含んでもよい。該伝播信号は、電磁気信号、光信号又は適切な組み合わせ形態などの様々な形態を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスに接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RF、又は類似の媒体、又は上記媒体の任意の組み合わせを含む任意の適切な媒体で伝播されてもよい。
【0156】
本願の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのようなオブジェクト指向プログラミング言語、C言語、Visual Basic、Fortran 2003、Perl、COBOL 2002、PHP、ABAPのような従来の手続き型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyのような動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語などを含む、いずれか1種又は複数種のプログラミング言語でコーディングしてもよい。該プログラムコードは、完全にユーザコンピュータ上で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとしてユーザコンピュータ上で実行されてもよく、部分的にユーザコンピュータ上で部分的にリモートコンピュータ上で実行されてもよく、完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形態を介してユーザコンピュータに接続されてもよく、(例えば、インターネットを介して)外部コンピュータに接続されてもよく、クラウドコンピューティング環境にあってもよく、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)を利用したサービスであってもよい。
【0157】
さらに、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、反対に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にある全ての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることが理解されよう。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイル装置に説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0158】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることが理解されるであろう。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求される主題は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴より少ない場合がある。
【0159】
いくつかの実施例において成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものとして理解されるべきである。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、上記数字が説明する値の±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも特定の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例におけるその範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例では、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0160】
本願において参照されている全ての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などのような他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の特許請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0161】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることが理解されよう。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0162】
130、300、350、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300 音響出力装置
321、326、510、610、710、810、910、1010、1110、1210、1310 骨伝導アセンブリ
511、611、711、811、911、1011、1111、1211、1311 磁気回路システム
512、612、712、812、912、1012、1112、1212、1312 振動板
513、613、713、813、913、1013、1113、1213、1313 コイル
520、620、720、820、920、1020、1120、1220、1320 ハウジング
523 第1のキャビティ
524 第2のキャビティ
322、327 空気伝導アセンブリ
531、621、731、931、1133、1231、1331、1400、1500 振動膜
640、740、840、940、1040、1240、1340 音響管
831、1031 第1の振動膜
833、1033 第2の振動膜
1131 振動伝達アセンブリ
1410、1510 本体部
1420、1520 補助部
1421 凹面領域
1521 凸面領域
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2022-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨伝導音波を発生させるように構成された骨伝導アセンブリと、
空気伝導音波を発生させるように構成された空気伝導アセンブリであって、前記骨伝導音波と前記空気伝導音波が、同じオーディオ信号を表し、前記骨伝導音波と前記空気伝導音波との位相差が、閾値より小さい空気伝導アセンブリと、
前記骨伝導アセンブリ及び前記空気伝導アセンブリの少なくとも一部を収容するように構成されたハウジングとを含む、音響出力装置
【請求項2】
前記空気伝導アセンブリは、
前記骨伝導アセンブリ又は前記ハウジングのうちの少なくとも1つに物理的に接続される1つ以上の振動膜であって、前記空気伝導音波が、前記1つ以上の振動膜と前記骨伝導アセンブリ又は前記ハウジングのうちの少なくとも1つの振動とにより発生する振動膜を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、空間を含み、前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、前記空間内に位置し、前記空間は、少なくとも前記1つ以上の振動膜で仕切られた第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、前記ハウジングにおける前記第1のキャビティを取り囲む第1の部分は、前記骨伝導アセンブリに接続され、前記骨伝導アセンブリの振動を伝達するように構成され、前記空気伝導音波は、前記第2のキャビティを介して出力される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングにおける前記第2のキャビティを取り囲む第2の部分は、前記第2のキャビティと流体連通する1つ以上の第1の孔を有するように構成され、前記空気伝導音波は、前記1つ以上の第1の孔を介して前記第1の孔から出力される、請求項3に記載の装置
【請求項5】
前記ハウジングの前記第1の部分は、前記第1のキャビティと流体連通する1つ以上の第2の孔を有するように構成され、前記1つ以上の第2の孔は、前記第1のキャビティの圧力を調整するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の第1の孔は、前記ハウジングの第1の側壁に設置され、前記1つ以上の第2の孔は、前記ハウジングの第2の側壁に設置され、前記第1の側壁は、前記第2の側壁に平行である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジングに1つ以上の第3の孔が設置され、前記1つ以上の第3の孔は、前記第1のキャビティ又は前記第2のキャビティのうちの少なくとも1つと流体連通する、請求項6に記載の装置
【請求項8】
前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、
前記骨伝導アセンブリに物理的に接続され、底板及び側壁を含み、前記骨伝導アセンブリの少なくとも一部を収容するサブ空間を形成する本体部と、
前記ハウジングに物理的に接続される補助部とを含む、請求項2~7のいずれか一項に記載の装置
【請求項9】
前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、環状構造を含み、前記振動膜の内壁は、前記骨伝導アセンブリを取り囲み、前記振動膜の外壁は、前記ハウジングに物理的に接続される、請求項2~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ以上の振動膜のうちの少なくとも1つは、前記骨伝導アセンブリの底面と前記ハウジングの底面との間に位置する、請求項2~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の振動膜は、前記骨伝導アセンブリに物理的に接続される第1の振動膜と、前記ハウジングに物理的に接続される第2の振動膜とを含む、請求項2~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジングの底面は、閾値より小さい共振周波数を有し、前記底面は、ユーザが前記装置を着用する場合にユーザと接触する前記ハウジングの側壁と対向する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記空気伝導アセンブリは、振動膜及び振動伝達アセンブリを含み、前記振動伝達アセンブリは、前記骨伝導アセンブリ及び前記振動膜に物理的に接続され、前記振動伝達アセンブリは、前記骨伝導アセンブリの振動を前記振動膜に伝達することにより、前記空気伝導音波を発生させるように構成される、請求項1に記載の装置
【国際調査報告】