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特表2023-517575可撓性を増強した神経血管カテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】可撓性を増強した神経血管カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
A61M25/00 630
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554305
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 US2021021382
(87)【国際公開番号】W WO2021183444
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/987,546
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522151695
【氏名又は名称】インパラティブ、ケア、インク.
【氏名又は名称原語表記】IMPERATIVE CARE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レックス、フィリップ、ジャンセン
(72)【発明者】
【氏名】アショア、シャバジィ、ユアゲンロウ
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン、イー
(72)【発明者】
【氏名】ハオ、ドアン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド、ブルム
(72)【発明者】
【氏名】イー、ヤン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB15
4C267BB16
4C267CC08
4C267CC12
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG22
4C267GG24
4C267GG32
4C267GG33
4C267HH17
(57)【要約】
遠位での神経血管アクセス又は吸引などのために、可撓性を増強したカテーテルが提供される。カテーテルは、近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する、長尺の可撓体を含む。側壁は、螺旋コイルを含む遠位ゾーンと、側壁の遠位ゾーンと近位ゾーンとの間の移行部と、を含む。移行部は、遠位ゾーンと近位ゾーンとの間で、優れたキンク耐性を提供するように機能する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を増強したカテーテルであって、
近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、
前記側壁が、
チューブ状編組と、第1螺旋コイルと、を含む近位ゾーンと、
第2螺旋コイルを含む遠位ゾーンと、
前記遠位ゾーンと前記近位ゾーンとの間の移行部と、
を含み、
前記移行部が、前記第2螺旋コイルの近位端から1cm以内に前記チューブ状編組の遠位端を含み、前記第1螺旋コイルが、前記移行部を超えて遠位に延びている、可撓性を増強したカテーテル。
【請求項2】
前記チューブ状編組の前記遠位端が、前記第2螺旋コイルの前記近位端から5mm以内に位置している、請求項1に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項3】
前記第1螺旋コイルが、第1直径を有するワイヤから形成されており、前記第2螺旋コイルは、より大きな第2直径を有するワイヤから形成されている、請求項1に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項4】
前記第1螺旋コイルが、ステンレス鋼を含む、請求項3に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項5】
前記第2螺旋コイルが、ニチノール(登録商標)を含む、請求項3に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項6】
前記編組の遠位セクションが、熱アニールされたものである、請求項1に記載の、可撓性を増強したカテーテル。
【請求項7】
前記第1螺旋コイル及び前記第2螺旋コイルが、少なくとも約5mmの長さにわたって絡み合っている、請求項5に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項8】
前記側壁が、チューブ状の内側ライナと、前記内側ライナによって前記管腔から離間された結束層と、をさらに含み、前記遠位ゾーンの前記第2螺旋コイルが、前記結束層に対して隣接しており、前記近位ゾーンの前記編組が、前記結束層に対して隣接している、請求項9に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項9】
前記長尺の可撓体が、軸方向に隣接した複数のチューブ状セグメントから形成された外側ジャケットをさらに含み、前記チューブ状セグメントの近位側の1つが、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、前記チューブ状セグメントの遠位側の1つは、約35D以下のデュロメータを有している、請求項1に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項10】
前記長尺の可撓体が、前記側壁の内部に、軸方向に延びるフィラメントをさらに含む、請求項9に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項11】
チューブ状支持体をさらに含み、前記チューブ状支持体が、前記編組の遠位部分を取り囲む近位端と、前記第2コイルの近位部分を取り囲む遠位端と、を有している、請求項1に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項12】
前記チューブ状支持体が、スロット付き金属チューブを含む、請求項11に記載の、可撓性を増強したカテーテル。
【請求項13】
可撓性を増強したカテーテルであって、
近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、
前記側壁が、
螺旋コイルの近位端に対して隣接することで結合部を形成する遠位端を有する近位チューブ状編組と、
前記結合部にわたって延びるチューブ状金属支持体と、
前記チューブ状支持体を取り囲む外側ジャケットと、
を含む、可撓性を増強したカテーテル。
【請求項14】
前記チューブ状支持体の下から遠位向きに延びる軸方向フィラメントをさらに含む、請求項13に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項15】
前記側壁が、チューブ状の内側ライナと、前記内側ライナによって前記管腔から離間された結束層と、をさらに含み、遠位ゾーンの前記螺旋コイルが、前記結束層を取り囲んでおり、近位ゾーンの前記編組が、前記結束層を取り囲んでいる、請求項13に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項16】
前記長尺の可撓体が、前記螺旋コイルまわりに同軸的に延びる軸方向に隣接した複数のチューブ状セグメントから形成された外側ジャケットをさらに含み、前記チューブ状セグメントの近位側の1つが、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、前記チューブ状セグメントの遠位側の1つが、約35D以下のデュロメータを有している、請求項13に記載の可撓性を増強したカテーテル。
【請求項17】
可撓性を増強したカテーテルを製造するための方法であって、
前記カテーテルの近位ゾーンに編組を含む前記カテーテルを形成することと、
前記カテーテルの前記編組の少なくとも一部を、マンドレル上に配置することと、
コイル内において前記編組及び前記マンドレルを誘導加熱することを含み、前記編組の遠位セクションをアニールすることと、
前記編組のパラメータ変化を視覚的に監視することと、
を含む、可撓性を増強したカテーテルを製造するための方法。
【請求項18】
前記編組を誘導加熱することが、ERDO誘導加熱器の内部に前記編組及び前記マンドレルを配置することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記パラメータ変化が、前記編組の色の変化を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記遠位セクションが、約2cm以下の軸方向長さを有している、請求項17に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下で、2020年3月10日付けで出願された米国仮特許出願第62/987,546号の優先権を主張するものである。この米国仮特許出願の全体は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
脳卒中は、米国で3番目に多い死因であり、最も障害性の神経障害である。毎年約700,000人の患者が脳卒中に罹患している。脳卒中は、中枢神経系の限局的な合併症を反映して少なくとも24時間にわたって持続する神経学的欠損の急性発症を特徴とした症候群であり、脳循環の障害の結果である。発生率は、年齢とともに増加する。脳卒中の危険因子は、収縮期又は拡張期高血圧、高コレステロール血症、喫煙、大量飲酒、及び経口避妊薬の使用、を含む。
【0003】
出血性脳卒中は、年間の脳卒中人口の20%を占めている。出血性脳卒中は、動脈瘤又は動静脈奇形が破裂して脳組織内に出血することが多く、その結果、脳梗塞を起こす。脳卒中人口の残りの80%は、虚血性脳卒中であり、血管の閉塞により、酸素を運ぶ血液が脳から奪われることで起こる。虚血性脳卒中は、塞栓又は血栓性組織の破片が、他の部位から又は脳血管自体から外れて、より遠位の狭い脳動脈を閉塞させることで起こることが多い。患者が神経学的症状及び徴候を呈し、それらが1時間以内に完全に消失する時には、一過性脳虚血発作(TIA)という用語が使用される。病因論的には、TIA及び脳卒中は、同じ病態生理学的機序を共有しており、そのため、症状の持続性及び虚血性損傷の程度に基づいて、連続した病態を表している。
【0004】
塞栓は、心拍数が不規則である間に心臓の弁の周囲に又は左心耳内に形成されることがあり、その後に外れて、血流に乗って身体の遠位領域へと移動する。これらの塞栓は、脳へと到達し、塞栓性脳卒中を引き起こす可能性がある。後述するように、そのような閉塞の多くは、中大脳動脈(MCA)で起こるけれども、そこだけが塞栓の生じる部位ではない。
【0005】
患者が神経学的欠損を呈する時には、患者の病歴、脳卒中危険因子の検討、及び神経学的検査、に基づいて、脳卒中の原因に関する診断仮説を立てることができる。虚血性イベントが疑われる場合には、臨床医は、患者が、心原性塞栓源、大動脈の頭蓋外又は頭蓋内疾患、小動脈の実質内疾患、あるいは、血液学的な又は他の全身性疾患、を有しているかどうかを、暫定的に評価することができる。頭部CTスキャンが、多くの場合に実行され、これにより、患者が虚血性又は出血性の損傷を受けたかどうかが判断される。くも膜下出血、大脳皮質内血腫、又は脳室内出血では、CTスキャン上で血液が存在することとなる。
【0006】
従来、急性虚血性脳卒中の緊急管理は、一般的な支持療法、例えば、水分補給、神経学的状態の監視、血圧制御、及び/又は、抗血小板療法もしくは抗凝固療法、から主に構成されていた。1996年に、食品医薬品局は、急性脳卒中の処置に関して、ジェネンテック社の血栓溶解薬である組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)すなわちActivase(登録商標)を使用することを承認した。国立神経疾患研究所による無作為化二重盲検試験及びt-PA脳卒中研究により、虚血性脳卒中の発症後3時間以内にt-PAを静脈内投与された患者群では、24時間で脳卒中スケールスコアが統計学的に有意に良化することが明らかとなった。t-PAが承認されて以来、救急室の医師は、脳卒中患者に対して、支持療法以外の効果的な治療を初めて提供し得るようになった。
【0007】
しかしながら、全身性t-PAによる処置は、脳内出血及び他の出血性合併症のリスク増加と関連している。t-PAによる処置を受けた患者は、処置開始から36時間の間に、症候性脳内出血を持続する可能性が高くなる。脳卒中の発症から3時間を超えてt-PAを投与した時には、症候性脳内出血の頻度が増加する。急性虚血性脳卒中におけるt-PAの使用に際しての時間的制約の他に、他の禁忌は、患者が直近3ヵ月以内に既往として脳卒中又は重篤な頭部外傷を受けたことがある場合、患者の収縮期血圧が185mmHg以上であるもしくは患者の拡張期血圧が110mmHg以上である場合、血圧を規定限界へと下げるために患者が積極的な処置を必要としている場合、患者が抗凝固剤を服用しているもしくは出血傾向を有している場合、及び/又は、患者が最近侵襲的な外科的手術を受けた場合、を含む。したがって、t-PAを投与し得るのは、ごく一部の限られた脳卒中患者のみである。
【0008】
閉塞性塞栓は、また、長年にわたり、血管系における様々な部位から機械的に除去されてきた。機械的療法は、血餅を捕捉して除去すること、血餅を溶解すること、血餅を破壊して吸引すること、及び/又は、血餅を通しての流路を形成すること、を含んでいる。脳卒中処置のために開発された最初の機械的デバイスの1つは、MERCI回収器システム(コンセントリックメディカル、レッドウッドシティ、カリフォルニア州)である。大腿動脈から内頸動脈(ICA)へとアクセスするには、バルーン付き先端部を有するガイドカテーテルを使用する。ガイドカテーテルを通してマイクロカテーテルを配置し、これを使用して、コイル付き先端部を有する回収器を、血餅を横断して送り出し、その後、マイクロカテーテルを引き戻して、回収器を、血餅の周囲に配置する。次に、バルーンを膨張させ、シリンジをバルーンガイドカテーテルに対して接続して、血餅回収中にガイドカテーテルを吸引しつつ、マイクロカテーテル及び回収器をバルーンガイドカテーテル内へと引き戻して、最終的に血餅を取り去る。このデバイスは、血栓溶解療法単独と比較して、当初は良好な結果が得られていた。
【0009】
他の血栓除去デバイスは、拡張可能なケージ、バスケット、又はスネアを利用することで、血餅を捕捉して回収する。一時的なステントは、時にステントリーバ又は再灌流デバイスとも称されるものであって、血餅を除去又は回収するとともに、血管に対しての流れを回復させるために、利用される。能動型レーザ又は超音波エネルギを使用して血餅を破砕する一連のデバイスも、また、利用されてきた。他の能動型エネルギデバイスは、血栓の溶解を促進するために、動脈内血栓溶解剤の注入と組み合わせて、使用されてきた。これらのデバイスの多くは、血餅の除去を補助するとともに塞栓リスクを軽減するために、吸引と組み合わせて使用される。血餅の吸引は、また、血餅の破壊を伴うかどうかにかかわらず、単一管腔カテーテルと一緒に、及び、シリンジ又は吸引ポンプと一緒に、使用されてきた。この血栓除去方法の有効性を高めるために、吸引と組み合わせて、駆動された流体渦を適用するデバイスが利用されてきた。最後に、バルーン又はステントが、血餅の除去又は溶解が不可能な場合に、血餅を貫通した開存管腔を形成するために使用されてきた。
【0010】
上記にもかかわらず、急性虚血性脳卒中及び閉塞性脳血管疾患を含めた身体内の血管系閉塞を処置するための、新たなデバイス及び方法が、なおも要望されている。
【発明の概要】
【0011】
一態様によれば、可撓性を増強した神経血管カテーテルが提供され、このカテーテルは、近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、側壁の遠位ゾーンは、チューブ状の内側ライナと、内側ライナによって管腔から離間された軟質の結束層と、結束層を取り囲む螺旋コイルであり、コイルの隣接した巻線どうしが遠位向きに徐々に離間していくものとされた、螺旋コイルと、螺旋コイルを取り囲む外側ジャケットであり、コイルまわりに同軸的に配置された複数のチューブ状セグメントから形成されており、チューブ状セグメントの近位側の1つは、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、チューブ状セグメントの遠位側の1つは、約35D以下のデュロメータを有している、外側ジャケットと、を含む。本開示の一態様では、チューブ状のライナは、取り外し可能なマンドレルを浸漬塗布することによって形成される。本開示の別の態様では、チューブ状のライナは、PTFEを含む。
【0012】
本開示のさらに別の態様では、結束層は、ポリウレタンを含む。結束層は、約0.005インチ以下の壁厚さを有してもよく、可撓体の少なくとも最遠位の20cmに沿って延びてもよい。本開示の一態様では、コイルは、形状記憶材料を含む。コイルは、ニチノール(登録商標)を含んでよく、ニチノール(登録商標)は、体温で、オーステナイト状態を構成してもよい。
【0013】
本開示の一態様では、外側ジャケットは、離散的な少なくとも5個のチューブ状セグメントから形成される。外側ジャケットは、離散的な少なくとも9個のチューブ状セグメントから形成されてもよい。チューブ状セグメントの近位側の1つと、チューブ状セグメントの遠位側の1つと、の間での、デュロメータの差は、少なくとも約20Dであってもよい。チューブ状セグメントの近位側の1つと、チューブ状セグメントの遠位側の1つと、の間での、デュロメータの差は、少なくとも約30Dであってもよい。
【0014】
本開示の別の態様では、可撓性を増強した神経血管カテーテルは、遠位ゾーンにおける張力抵抗を増大させるために、張力支持体をさらに含む。張力支持体は、フィラメントを含んでもよく、軸方向に延びるフィラメントを含んでもよい。軸方向に延びるフィラメントは、内側ライナと螺旋コイルとの間に担持されてもよい。軸方向に延びるフィラメントは、引張強度を、少なくとも約5ポンドへと、増大させてもよい。
【0015】
一態様によれば、可撓性を増強したカテーテルが提供され、このカテーテルは、近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、側壁は、螺旋コイルを含む遠位ゾーンと、側壁の遠位ゾーンと近位ゾーンとの間の移行部と、を含み、移行部は、遠位ゾーンの螺旋コイルがなす近位面の少なくとも一部と適合する遠位面を含む。いくつかの実施形態では、適合により、遠位ゾーンの螺旋コイルがなす近位面の少なくとも一部と、移行部の遠位面と、の間に、一様なギャップが形成される。いくつかの実施形態では、移行部の遠位面は、段差を含む。いくつかの実施形態では、移行の遠位面は、段差を含み、段差の接線方向面が、遠位ゾーンの螺旋コイルの終端と適合する。いくつかの実施形態では、移行部は、チューブ状ボディを含む。いくつかの実施形態では、移行部は、平面状の近位面を有するチューブ状ボディを含む。いくつかの実施形態では、移行部は、近位ゾーンのデュロメータと、遠位ゾーンのデュロメータと、の間のデュロメータを含む。いくつかの実施形態では、移行部は、白金及び白金合金を含む。いくつかの実施形態では、白金合金は、約90%の白金と、約10%のイリジウムと、を含む。いくつかの実施形態では、側壁の近位ゾーンは、編組を含む。いくつかの実施形態では、側壁は、チューブ状の内側ライナと、内側ライナによって管腔から離間された結束層と、をさらに含み、遠位ゾーンの螺旋コイルは、結束層を取り囲んでおり、近位ゾーンの編組は、結束層を取り囲んでいる。いくつかの実施形態では、長尺の可撓体は、螺旋コイルまわりに同軸的に延びる複数のチューブ状セグメントから形成された外側ジャケットをさらに含み、チューブ状セグメントの近位側の1つは、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、チューブ状セグメントの遠位側の1つは、約35D以下のデュロメータを有している。いくつかの実施形態では、長尺の可撓体は、側壁の内部に、軸方向に延びるフィラメントをさらに含む。
【0016】
一態様によれば、可撓性を増強したカテーテルが提供され、このカテーテルは、近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、側壁は、螺旋コイルを含む遠位ゾーンと、側壁の遠位ゾーンと近位ゾーンとの間の移行部と、を含み、移行部は、段差を有する遠位面を含み、遠位面は、遠位ゾーンの螺旋コイルがなす近位面の少なくとも一部と適合している。いくつかの実施形態では、適合により、遠位ゾーンの螺旋コイルがなす近位面の少なくとも一部と、移行部の遠位面と、の間に、一様なギャップが形成される。いくつかの実施形態では、移行部の遠位面の段差は、遠位面から切除された5/1000ピッチを含む。いくつかの実施形態では、段差の接線方向面は、遠位ゾーンの螺旋コイルの終端と適合している。いくつかの実施形態では、移行部は、チューブ状ボディを含む。いくつかの実施形態では、移行部は、平面状の近位面を有するチューブ状ボディを含む。いくつかの実施形態では、移行部は、近位ゾーンのデュロメータと、遠位ゾーンのデュロメータと、の間のデュロメータを含む。いくつかの実施形態では、移行部は、白金及び白金合金を含む。いくつかの実施形態では、白金合金は、約90%の白金と、約10%のイリジウムと、を含む。いくつかの実施形態では、側壁の近位ゾーンは、編組を含む。いくつかの実施形態では、側壁は、チューブ状の内側ライナと、内側ライナによって管腔から離間された結束層と、をさらに含み、遠位ゾーンの螺旋コイルは、結束層を取り囲んでおり、近位ゾーンの編組は、結束層を取り囲んでいる。いくつかの実施形態では、長尺の可撓体は、螺旋コイルまわりに同軸的に延びる複数のチューブ状セグメントから形成された外側ジャケットをさらに含み、チューブ状セグメントの近位側の1つは、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、チューブ状セグメントの遠位側の1つは、約35D以下のデュロメータを有している。いくつかの実施形態では、長尺の可撓体は、側壁の内部に、軸方向に延びるフィラメントをさらに含む。
【0017】
上記のカテーテルの任意のものには、カテーテルの曲げ特性を改良するために、編組とコイルとの結合部上など、異なる2つの壁構造どうしの結合部上に、移行支持体が設けられてもよい。よって、可撓性を増強したカテーテルが提供され、このカテーテルは、近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、側壁は、チューブ状編組と、第1螺旋コイルと、を含む近位ゾーンと、第2螺旋コイルを含む遠位ゾーンと、遠位ゾーンと近位ゾーンとの間の移行部と、を含み、移行部は、第2螺旋コイルの近位端から1cm以内のところに、チューブ状編組の遠位端を含み、第1螺旋コイルは、移行部を超えて遠位向きに延びている。
【0018】
チューブ状編組の遠位端は、第2螺旋コイルの近位端から、5mm以内又は2mm以内であってもよく、又は第2螺旋コイルの近位端と接触していてもよい。第1螺旋コイルは、第1直径を有するワイヤから形成されてもよく、第2螺旋コイルは、より大きな第2直径を有するワイヤから形成されてもよい。第1螺旋コイルは、ステンレス鋼を含んでもよく、第2螺旋コイルは、ニチノール(登録商標)を含んでもよい。
【0019】
編組の遠位セクションは、少なくとも約1cm又は2cmの長さで、典型的には10cm又は5cm以下の長さで、熱アニールしてもよい。第1螺旋コイル及び第2螺旋コイルには、少なくとも約5mm又は2cm又は5cmの長さの、かつ一般に約20cm以下の長さの、軸方向にオーバーラップした絡み合いゾーンが設けられてもよい。
【0020】
側壁は、チューブ状の内側ライナと、内側ライナによって管腔から離間された結束層と、をさらに含んでもよく、遠位ゾーンの第2螺旋コイルは、結束層に対して隣接しており、近位ゾーンの編組は、結束層に対して隣接している。長尺の可撓体は、軸方向に隣接した複数のチューブ状セグメントから形成された外側ジャケットをさらに含んでもよく、チューブ状セグメントの近位側の1つは、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、チューブ状セグメントの遠位側の1つは、約35D以下のデュロメータを有している。長尺の可撓体は、側壁の内部に、軸方向に延びるフィラメントをさらに含んでもよい。
【0021】
カテーテルは、チューブ状支持体をさらに含んでもよく、チューブ状支持体は、編組の遠位部分を取り囲む近位端と、第2コイルの近位部分を取り囲む遠位端と、を有している。チューブ状支持体は、スロット付き金属チューブを含んでもよい。
【0022】
また、可撓性を増強したカテーテルが提供され、このカテーテルは、近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、側壁は、螺旋コイルの近位端に対して隣接することで結合部を形成する遠位端を有する近位チューブ状編組と、結合部にわたって延びるチューブ状金属支持体と、チューブ状支持体を取り囲む外側ジャケットと、を含む。カテーテルは、チューブ状支持体の直下から遠位向きに延びる軸方向フィラメントをさらに含んでもよい。
【0023】
側壁は、チューブ状の内側ライナと、内側ライナによって管腔から離間された結束層と、をさらに含んでもよく、遠位ゾーンの螺旋コイルは、結束層を取り囲んでおり、近位ゾーンの編組は、結束層を取り囲んでいる。長尺の可撓体は、螺旋コイルまわりに同軸的に延びる軸方向に隣接した複数のチューブ状セグメントから形成された外側ジャケットをさらに含んでもよく、チューブ状セグメントの近位側の1つは、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、チューブ状セグメントの遠位側の1つは、約35D以下のデュロメータを有している。
【0024】
また、可撓性を増強したカテーテルを製造するための方法が提供される。この方法は、カテーテルの近位ゾーンに編組を含むようにして、カテーテルを形成することと、カテーテルの編組の少なくとも一部を、マンドレル上に配置することと、コイル内において編組及びマンドレルを誘導加熱することを含むようにして、編組の遠位セクションをアニールすることと、編組のパラメータ変化を視覚的に監視することと、を含む。編組を誘導加熱することは、ERDO誘導加熱器の内部に編組及びマンドレルを配置することを含んでもよい。パラメータ変化は、編組の色の変化を含む。遠位のアニールされたセクションは、約2cm以下の軸方向長さを有してもよい。
【0025】
本明細書で開示するあらゆる、特徴点、構造、又はステップは、本明細書で開示するあらゆる他の、特徴点、構造、又はステップと、置き換えたり又は組み合わせたりすることができる、あるいは、省略することができる。さらに、本開示を要約することを目的として、実施形態に関する特定の、態様、利点、及び特徴点、について本明細書で説明した。そのような利点の必ずしもあらゆるもの又はすべてのものが、本明細書で開示したあらゆる特定の実施形態に基づいて達成されるわけでもないことは、理解されよう。本開示の個々の態様は、必須でも不可欠でもない。実施形態のさらなる特徴点及び利点は、添付図面及び特許請求の範囲と一緒に考慮された時には、以下の詳細な記載に鑑みて、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、いくつかの実施形態による頭蓋内吸引カテーテルの概略的な側面図であり、遠位セグメントが近位に引き込まれた構成とされている。
図2図2は、図1と同様の側図であり、遠位セグメントが遠位に延伸された構成とされている。
図3-1】図3Aおよび図3Bは、吸引のために神経血管閉塞に対してアクセスすることに関与する、いくつかの実施形態によるステップシーケンスを示している。
図3-2】図3Cおよび図3Dは、吸引のために神経血管閉塞に対してアクセスすることに関与する、いくつかの実施形態によるステップシーケンスを示している。
図3-3】図3Eおよび図3Fは、吸引のために神経血管閉塞に対してアクセスすることに関与する、いくつかの実施形態によるステップシーケンスを示している。
図4図4は、いくつかの実施形態によるカテーテル壁の断面図を示している。
図5図5Aは、いくつかの実施形態によるカテーテル壁の断面図であり、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメントを示している。図5Bは、図5Aのカテーテルの側面図である。図5Cは、図5Bの線C-Cに沿って取られた断面図であり、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメントを示している。
図6図6Aは、いくつかの実施形態によるカテーテルの側面図を示している。図6Bは、図6Aの線A-Aに沿って取られた断面図である。図6Cは、図6Aの線B-Bに沿って取られた断面図である。
図7図7Aは、いくつかの実施形態によるカテーテルの側面図を示している。図7Bは、図7Aの線A-Aに沿って取られた断面図であり、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメントを示している。図7Cは、図7Aの線B-Bに沿って取られた断面図であり、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメントを示している。
図8図8Aは、いくつかの実施形態による可撓性を漸次的に増強したカテーテルの側面図である。図8Bは、図8Aの可撓性を増強したテーテルの近位端面図である。
図9図9は、いくつかの実施形態によるカテーテルのバックアップ支持を示している。
図10図10は、近位端から遠位端までにわたって、カテーテルの長さに沿って、カテーテルの弾性率又はデュロメータのグラフを示している。
図11図11は、従来のカテーテルと比較した、いくつかの実施形態によるカテーテルの曲げ試験プロファイルのグラフを示している。
図12図12は、いくつかの実施形態による、遠位移行カバーを有するカテーテルの側面図を示している。
図13図13は、図12に示すカテーテル壁セグメントの長手方向断面図である。
図14図14A図14Fは、いくつかの実施形態によるカテーテル壁の遠位移行部での断面図を示している。
図15図15A図15Fは、いくつかの実施形態によるカテーテル壁の遠位移行部での断面図であり、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメントを示している。
図16図16A図16Fは、いくつかの実施形態によるカテーテル壁の、遠位移行カバーを有する遠位移行部での断面図を示している。
図17図17A図17Fは、いくつかの実施形態によるカテーテル壁の、遠位移行カバーを有する遠位移行部での断面図であり、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメントを示している。
図18図18A図18Fは、いくつかの実施形態によるカテーテル壁の、遠位移行カバーを有する遠位移行部での断面図を示している。
図19図19A図19Fは、いくつかの実施形態によるカテーテル壁の、遠位移行カバーを有する遠位移行部での断面図であり、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメントを示している。
図20図20は、異なるアニールプロセスによる、いくつかの実施形態の編組に関する可撓性を示している。
図21図21A図21Bは、異なるアニールプロセスによる、いくつかの実施形態の編組に関する微細構造の画像を示している。
図22A図22Aは、いくつかの実施形態による、編組の可撓性に関しての、アニール電力及び時間の効果に関するプロットを示している。
図22B図22Bは、いくつかの実施形態による、様々なアニール時間に対して、編組の可撓性とアニール電力との関係に関するプロットを示している。
図23図23は、いくつかの実施形態による遠位移行コネクタの斜視図を示している。
図24図24A図24Bは、いくつかの実施形態による遠位移行コネクタの様々な構成の側面図を示している。
図25図25は、いくつかの実施形態による、遠位移行コネクタを有するカテーテルの側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1及び図2を参照しつつ、本実施形態の一態様によるカテーテル10について開示する。主に、単一の中央管腔を有する、軸方向に伸縮可能な遠位セグメント吸引カテーテルの文脈で説明するけれども、本実施形態のカテーテルは、追加の構造を組み込むように容易に変更することができ、そのような構造は、例えば、恒久的な又は取り外し可能な柱強度増強マンドレルであり、あるいは、薬物や造影剤やもしくは灌注液の注入を可能とするためのもの、又は、カテーテルによって支持された1つ又は複数の膨張可能なバルーンに対して膨張媒体を供給するためのもの、などの、2つ以上の管腔であり、あるいは、これらの特徴点どうしの組合せであり、このことは、本明細書の開示に鑑みれば、当技術分野の当業者には容易に明らかとなろう。加えて、本実施形態は、主に、脳内の、遠隔動脈から、遠隔静脈から、又は遠隔血管系から、閉塞性物質を除去するという文脈で説明するけれども、吸引の有無にかかわらず、様々な診断デバイス又は治療デバイスのいずれかを送達したり除去したりするためのアクセスカテーテルとしての適用可能性を有している。
【0028】
本明細書で開示するカテーテルは、より大きな直径の近位セグメントから、低プロファイルの又はより小さな直径の遠位カテーテルセグメントを、遠位向きに前進させることが望ましい場所であれば、身体のあらゆるところで使用し得るように容易に構成することができる。例えば、本実施形態による軸方向に伸縮可能なカテーテルシャフトは、冠動脈及び末梢血管系、消化管、尿道、尿管、卵管、ならびに他の管腔、ならびに考えられる管腔、のあらゆるところでの使用に適した寸法であってもよい。本実施形態の伸縮構造は、また、低侵襲の経皮的組織アクセスを提供するために、例えば、固形組織標的(例えば、乳房又は肝臓又は脳の生検又は組織切除)に対しての診断的アクセスもしくは治療的アクセス、あるいは、腹腔鏡検査器具の送達のためのアクセス、あるいは、ねじや骨セメントや他の器具やもしくはインプラントの送達のための、脊椎などの骨に対してのアクセス、などを提供するために、使用されてもよい。
【0029】
カテーテル10は、一般に、近位端12と遠位機能端14との間に延びる長尺チューブ状ボディ16を含む。チューブ状ボディ16の長さは、所望の用途に依存する。例えば、約120cm~約140cmの、あるいはそれ以上の、範囲の長さが、大腿部アクセスによる経皮経管腔的冠動脈用途での使用には典型的である。頭蓋内又は他の用途では、当技術分野で理解されるように、血管アクセス部位に依存して、異なるカテーテルシャフトの長さが要求される場合がある。
【0030】
図示の実施形態では、チューブ状ボディ16は、少なくとも、固定された近位セクション33と、移行部32のところで分離された軸方向に伸縮可能かつ後退可能な遠位セクション34と、に分割されている。しかしながら、本明細書で開示するカテーテル側壁構成は、第1直径を有する第1の単一管腔吸引カテーテルと、任意選択的な、第1カテーテルを通して前進し得るように第1カテーテルよりも小さい第2直径かつ大きい長さを有する、第2の単一管腔吸引カテーテルと、などの、延長セグメントを使用しないカテーテルにおいて、適用性を有している。
【0031】
本実施形態による、血栓性閉塞物を吸引するための簡略化された方法について、図3A図3Fと関連して説明する。血栓性閉塞物を吸引するためのステップは、移行ガイドワイヤ及び移行ガイドシースを利用する。移行ガイドワイヤは、柔らかく追従可能な遠位セグメントを有しており、この遠位セグメントは、移行ガイドワイヤをより深くにまで前進させ得るよう、他の状況と比較して、より小さな直径のガイドワイヤを含むことができる。加えて、移行ガイドシースは、軟質で追従可能な遠位セグメントを有しており、これにより、移行ガイドシースを、以前のガイドシースと比較して、より深くにまで前進させることができる。血餅付近の領域にまで前進可能な移行ガイドワイヤ及び移行ガイドシースを使用することで、血餅へと到達させるために第2ガイドワイヤ又は再灌流カテーテルを使用する必要性が排除される。
【0032】
図3Aを参照すると、導入シース1220が、大腿動脈1218に導入されている。導入シース1220の外径は、約12F、約11F、約10F、約9F、約8F、約7F、又は約6F、に等しくてもよく、あるいはそれより小さくてもよい。次いで、以下でより詳細に説明するアクセス及び吸引の組合せカテーテルなどの移行ガイドシース1222を、大腿動脈1218から導入シース1220を通して挿入する。ガイドシース1222の外径は、約9F、約8F、約7F、約6F、約5F、約4F、又は約3F、に等しくてもよく、あるいはそれより小さくてもよい。図3Bを参照すると、挿入カテーテル1224が、移行ガイドシース1222内を通して挿入されている。挿入カテーテル1224の外径は、約9F、約8F、約7F、約6F、約5F、約4F、又は約3F、より小さくてもよく、移行ガイドシース1222の内径は、挿入カテーテル1224の外径より大きくてもよい。いくつかの事例では、第1ガイドワイヤを、挿入カテーテル1224内を通して導入してもよい(図3Bには図示していない)。第1ガイドワイヤの近位セクションの直径は、約0.079インチ、約0.066インチ、約0.053インチ、約0.038インチ、約0.035インチ、約0.030インチ、又は約0.013インチ、に等しくてもよく、あるいはそれより小さくてもよい。
【0033】
移行ガイドシース1222、挿入カテーテル1224、及び、任意選択的な第1ガイドワイヤを、大動脈弓1214まで追従させる。図3Bを参照されたい。挿入カテーテル1224は、血管の起点を選択するのに使用してもよい。図3Bでは、挿入カテーテル1224は、腕頭動脈82の起点1216に係合する。血管造影操作を、挿入カテーテル1224内を通して造影剤を注入することにより実行してもよい。血管造影操作の前に第1ガイドワイヤを使用する場合、第1ガイドワイヤを、造影剤を注入する前に除去してもよい。
【0034】
図3Cを参照すると、移行ガイドワイヤ1226が、挿入カテーテル1224又はガイドシース1222の管腔内を通して挿入されている。移行ガイドワイヤ1226の少なくとも一部の直径(例えば、近位直径)は、第1ガイドワイヤ1126の直径と実質的に同様である。移行ガイドワイヤ1226の少なくとも一部の直径(例えば、遠位直径)は、第1ガイドワイヤ1126の直径よりも小さくてもよく、近位セグメントに沿って、少なくとも約0.030インチの直径を有してもよく、いくつかの実施形態では、約0.038インチの直径を有してもよい。移行部は、遠位端から約15cm~約30cmの範囲内で始まり、典型的には遠位端から約20cm又は約25cm以下の範囲内で始まり、その遠位端から遠位に、直径はテーパ状となって、約0.018インチ以下のもの、いくつかの実施形態では約0.016インチ以下のもの、となっている。図3Dを参照すると、挿入カテーテル1224を利用する場合には、これを除去してもよく、その理由は、これが、MCA1204へと前進させるには硬すぎる場合があるからである。いくつかの実施形態では、移行ガイドワイヤ1226は、充分なバックアップ支持を提供するので、アクセス及び吸引の組合せカテーテル1224は、いかなる介在デバイスも必要なく、移行ガイドワイヤ上にわたって直接前進させることができる。次いで、移行ガイドワイヤ1226を、MCA1204まで前進させる。移行ガイドワイヤ1226は、図9Cに示す第1ガイドワイヤ1126の直径よりも小さい直径を有する遠位セグメントを有している。移行ガイドワイヤ1226の遠位セグメントは、軟質で非外傷性の先端部を含んでおり、ICA1206の錐体部セグメント1212に向かって遠位の遠隔神経血管系にまで、例えばMCA1204にまで、追従させることができる。
【0035】
図3Eを参照すると、移行ガイドシース1222は、ICA1206の海綿質セグメント1210又は大脳1208セグメントまで、あるいはそれを超えて、前進している。図9Dに示すガイドシース1122とは異なり、移行ガイドシース1222は、錐体部セグメント1212を超えて、ICA1206の海綿質セグメント1210又は大脳1208セグメントまで前進させ得るけれども、これは、移行ガイドシース1222が、例えば図14に関連して詳細に後述するように、軟質でありかつ追従可能な遠位セグメントを有しているからである。移行ガイドワイヤ1226のより大きな近位直径及びより硬質のボディは、移行ガイドシース1222が血管系内を通って追従するためのより良好な支持を提供し得る。
【0036】
図3Fを参照すると、移行ガイドシース1222をICA1206の大脳セグメント1208まで前進させた後、移行ガイドワイヤ1226が除去されている。次いで、移行ガイドシース1222の近位端から真空圧を印加して、移行ガイドシース1222の中央管腔を通して閉塞物1202を吸引する。移行ガイドシース1222の内径は、約0.100インチ、約0.088インチ、約0.080インチ、約0.070インチ、又は約0.060インチ、にほぼ等しくてもよく、あるいはそれより大きくてもよい。移行ガイドシース1222の内径は、以前の吸引カテーテルよりも大きく、これは、より効果的な吸引へと変換される。移行ガイドシース1222の中央管腔の断面積は、現在入手可能な最大の吸引カテーテル1128の断面積と比較して、ほぼ2倍大きくてもよい。
【0037】
ガイドシース1222を、閉塞物又は他の所望の標的部位へと到達させるために遠位血管系内の充分深くにまで追従させ得ない場合には、本明細書で別途説明する伸縮式の延長セグメントを、シース1222の近位端部内に導入して、シース1222の遠位端部を超えて延びるように遠位に前進させてもよく、これにより、吸引システムの到達範囲を延長することができる。いくつかの実施形態では、延長セグメントは、約0.070インチのIDを有している。
【0038】
血栓性物質を、一定の真空下ではシース1222又は延長セグメント内へと吸引し得ない場合には、後述するように、パルス性の真空を印加してもよい。パルス性の真空が閉塞物を上手く捕捉しない場合には、攪拌部材を、シース1222及び延長セグメントを通して前進させてもよく、これにより、血餅を中央管腔内に吸引しやすくしてもよい。攪拌部材及びその使用に関する追加的な詳細については、以下で開示する。
【0039】
血管の血栓を除去するための吸引の有効性を向上させるために、そして蛇行した血管系を通してのカテーテルの追従性を向上させるために、パルス性の真空圧吸引器を使用してもよい。いくつかの実施形態では、パルス性真空圧吸引器は、間欠的な又はパルス的な真空を、管腔40に対して、又は本明細書で説明する様々な実施形態の管腔に対して、適用してもよい。パルス性真空圧吸引器は、カテーテル10の近位端12と流体連通し得るとともに、真空発生器、真空チャンバ、収集キャニスタ、ソレノイドバルブ、周波数変調器、バルブコントローラ、又はリモートコントローラの、1つ又は複数を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、図4を参照すると、カテーテル3000は、マニホールドから遠位先端部までの有効長さが、約70cm~約150cm、約80cm~約140cm、約90cm~約130cm、約100cm~約120cm、又は約105cm~約115cm、であってもよい。カテーテル3000の外径は、約0.07インチ~約0.15インチ、約0.08インチ~約0.14インチ、約0.09インチ~約0.13インチ、約0.1インチ~約0.12インチ、又は約0.105インチ~約0.115インチ、であってもよく、また、近位セグメントよりも遠位セグメントの方が小さくてもよい。単一の中央管腔の実施形態におけるカテーテル3000の内径3108は、約0.11インチ以上、約0.1インチ以上、約0.09インチ以上、約0.088インチ以上、約0.08インチ以上、約0.07インチ以上、約0.06インチ以上、又は約0.05インチ以上、であってもよい。単一の中央管腔の実施形態におけるカテーテル3000の内径3108は、約0.11インチ以下、約0.1インチ以下、約0.09インチ以下、約0.088インチ以下、約0.08インチ以下、約0.07インチ以下、約0.06インチ以下、又は約0.05インチ以下、であってもよい。図4を参照すると、内側ライナ3014を、マンドレル(図示せず)を浸漬塗布することによって形成してもよく、これにより、カテーテルボディ3000の薄い壁のチューブ状内側層を提供してもよい。浸漬塗布は、銀で塗膜された銅線などのワイヤを、PTFEで塗膜することによって行ってもよい。マンドレルは、その後、軸方向に引き伸ばして直径を減少させてもよく、除去することで、チューブ状の内側ライナを残してもよい。チューブ状の内側ライナ3014の外面には、その後、ポリウレタン(例えば、Tecoflex(商標))などの軟質結束層3012を塗膜してもよく、これにより、約0.005インチ以下の厚さを有する、いくつかの実装では約0.001インチの厚さを有する、層を形成してもよい。結束層3012は、一般に、カテーテルシャフト3000の最遠位の少なくとも10cm又は20cmに沿って、一般に約50cm未満に沿って、延びていることとなり、いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト3000のおよそ遠位30cmにわたって延びてもよい。
【0041】
その後、75ppiのステンレス鋼編組3010などの編組を、近位ゾーンを通して遠位移行部3011にまで、内側ライナ3014の周囲に巻き付けてもよい。その後、ニチノール(登録商標)合金などの形状記憶材料からなるコイル3024を、遠位移行部3011からカテーテル3000の遠位端まで、内側ライナ3014の周囲に巻き付けてもよい。いくつかの実施形態では、ニチノール(登録商標)コイルは、ニチノール(登録商標)が体温でオーステナイト(バネ性/超弾性)状態に留まるように、体温を下回る転移温度を有している。コイルの隣接したループ又はフィラーは、近位ゾーンでは密にきつく巻かれてもよく、遠位セクションでは、隣接したループどうしの間の間隔がもっと緩くてもよい。軸方向長さがカテーテル全長の約20%~約30%であるコイルセクション3024を有する実施形態(例えば、110cmのカテーテルシャフト3000で、28cmのコイル長さ)では、コイルの遠位の少なくとも1cm、又は2cm、又は3cm、又は4cmは、近位コイルセクションの間隔と比較して、少なくとも約130%の間隔、いくつかの実装では少なくとも約150%又はそれ以上の間隔、を有することとなる。ニチノール(登録商標)コイルを有する110cmのカテーテルシャフト3000では、近位コイルにおける間隔は、約0.004インチであってもよく、そして遠位セクションでは少なくとも約0.006インチ、又は0.007インチ、又はそれ以上、であってもよい。
【0042】
コイル3024の遠位端は、内側ライナ3014の遠位端から近位に離間していてもよく、これにより、環状の放射線不透過性マーカ3040のための余地を提供することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル3000の遠位端には、カテーテル3000の長手方向軸に対して少なくとも約10°又は約20°の角度を有する平面上に存在する、いくつかの実施形態では約30°の角度を有する平面上に存在する、傾斜した遠位面3006が設けられている。放射線不透過性マーカ3040は、長手方向軸に対して横断方向の平面内に存在してもよい。これに代えて、環状の放射性不透過性(RO)マーカ3040の少なくとも遠位に面した端部は、長手方向軸に対して傾斜して遠位面3006の斜角と相補的となる平面上に存在する、楕円であってもよい。
【0043】
近位編組3010、遠位コイル3024、及びROマーカ3040を適用した後に、カテーテル3000のボディを取り囲むために、収縮ラップチューブなどの外側スリーブ又はジャケット3020を適用することができる。外側収縮ラップスリーブ3020は、ポリエチレン、ポリウレタン、PEBAX(登録商標)、ナイロン(登録商標)、又は当技術分野で知られている他のもの、などの、様々な材料のいずれかを含んでもよい。いくつかの実施形態では、外側収縮ラップスリーブ又はジャケット3020は、親水性材料を含んでもよい。充分な熱を印加することにより、ポリマーが近位編組及び遠位コイル内へと流れ込んで埋め込まれる。
【0044】
いくつかの実施形態では、外側収縮ラップジャケット3020は、複数の短いチューブ状セグメント3022、3026、3028、3030、3032、3034、3036、3038を、カテーテルシャフトサブアセンブリ上にわたって同心的に順次前進させ、熱を印加することで、カテーテル3000上にそれらセグメントを収縮させ、これにより、滑らかな連続した外側チューブ状ボディを提供することによって、形成される。上記の構造は、カテーテルボディ3000の、少なくとも最遠位の10cmに沿って、いくつかの実施形態では少なくとも最遠位の約20cm又は約25cmに沿って、延びてもよい。
【0045】
外壁セグメントのデュロメータは、遠位向きに減少してもよい。例えば、3022及び3026などの近位セグメントは、少なくとも約60D又は70Dのデュロメータを有してもよく、順次のセグメントのデュロメータは、約35D又は25Dあるいはそれ以下のデュロメータへと、遠位向きに徐々に減少している。25cmのセクションは、少なくとも、約3個の、約5個の、約7個の、又はそれ以上の個数の、セグメントを有してもよく、カテーテル3000全体は、少なくとも、約6個の、約8個の、約10個の、又はそれ以上の個数の、明確に異なる可撓性ゾーンを有してもよい。遠位の、1個の、2個の、4個の、又はそれ以上の個数の、セグメント3036、3038は、より近位のセグメント3022~3034と比較して、より小さな収縮後ODを有してもよく、これにより、完成したカテーテルボディ3000にODの逓減を形成する。より小さなODのセクション3004の長さは、約3cm~約15cmの範囲内であってもよく、いくつかの実施形態では、約5cm~約10cmの範囲内であり、例えば、約7cm又は約8cmであり、遠位セグメント3036、3038をより薄い壁厚さとすることによって達成されてもよい。
【0046】
図5A図5Cを参照すると、カテーテルは、遠位ゾーンにおける張力抵抗を増大させるための張力支持体をさらに含んでもよい。張力支持体は、フィラメントを含んでもよく、より詳細には、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042を含んでもよい。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042は、カテーテルの遠位端付近におけるカテーテル壁の内部に、軸方向に配置されてもよい。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042は、張力下で(例えば、カテーテルが、蛇行した血管系内を通して近位向きに後退する時に)張力支持体として機能し、カテーテル壁の伸張に抵抗する。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042の、少なくとも1本は、カテーテルの遠位端付近から、カテーテルの遠位端から約5cm未満のところまで、カテーテルの遠位端から約10cm未満のところまで、カテーテルの遠位端から約15cm未満のところまで、カテーテルの遠位端から約20cm未満のところまで、カテーテルの遠位端から約25cm未満のところまで、カテーテルの遠位端から約30cm未満のところまで、カテーテルの遠位端から約35cm未満のところまで、カテーテルの遠位端から約40cm未満のところまで、又はカテーテルの遠位端から約50cm未満のところまで、カテーテル壁の長さに沿って近位向きに延びてもよい。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042は、約50cm以上の長さ、約40cm以上の長さ、約35cm以上の長さ、約30cm以上の長さ、約25cm以上の長さ、約20cm以上の長さ、約15cm以上の長さ、約10cm以上の長さ、又は約5cm以上の長さ、を有してもよい。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042の、少なくとも1本は、約50cm未満の長さ、約40cm未満の長さ、約35cm未満の長さ、約30cm未満の長さ、約25cm未満の長さ、約20cm未満の長さ、約15cm未満の長さ、約10cm未満の長さ、又は約5cm未満の長さ、を有してもよい。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042の、少なくとも1本は、カテーテルの長さの少なくとも最遠位の約50cmにわたって、カテーテルの長さの少なくとも最遠位の約40cmにわたって、カテーテルの長さの少なくとも最遠位の約35cmにわたって、カテーテルの長さの少なくとも最遠位の約30cmにわたって、カテーテルの長さの少なくとも最遠位の約25cmにわたって、カテーテルの長さの少なくとも最遠位の約20cmにわたって、カテーテルの長さの少なくとも最遠位の約15cmにわたって、カテーテルの長さの少なくとも最遠位の約10cmにわたって、又はカテーテルの長さの少なくとも最遠位の約5cmにわたって、延びてもよい。
【0047】
軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042は、結束層3012又は内側ライナ3014の、付近に又は径方向外側に、配置されてもよい。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042は、編組3010及び/又はコイル3024の、付近に又は径方向内側に、配置されてもよい。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042は、内側ライナ3014と螺旋コイル3024との間に支持されてもよい。
【0048】
軸方向に延びる2本以上のフィラメント3042がカテーテル壁内に配置される時には、軸方向に延びるフィラメント3042は、径方向に対称な態様で、配置されてもよい。例えば、カテーテルの半径中心に対しての、軸方向に延びる2本のフィラメント3042どうしがなす角度は、約180度であってもよい。これに代えて、所望の臨床性能(例えば、可撓性、追従性)に応じて、軸方向に延びるフィラメント3042は、径方向に非対称な態様で、配置されてもよい。カテーテルの半径中心に対しての、軸方向に延びる任意の2本のフィラメント3042がなす角度は、約180度未満、約165度以下、約150度以下、約135度以下、約120度以下、約105度以下、約90度以下、約75度以下、約60度以下、約45度以下、約30度以下、約15度以下、約10度以下、又は約5度以下、であってもよい。
【0049】
軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042は、ケブラー、ポリエステル、メタパラアラミド、又はこれらの任意の組合せ、などの材料で形成されてもよい。軸方向に延びる1本又は複数のフィラメント3042の、少なくとも1本は、単一のファイバ、又は複数のファイバからなる束、を含んでもよく、ファイバ又は束は、円形、矩形、又は他の断面形状、を有してもよい。ファイバ又はフィラメントという用語は、組成を伝えるものではなく、設計上の考慮事項に応じて、例えば、所望の引張破壊限界及び壁厚さに応じて、様々な高張力ポリマー、金属、又は合金、のいずれを含んでもよい。軸方向に延びる1本また複数本のフィラメント3042の断面寸法は、径方向に測定した時に、カテーテル3000の断面寸法の、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約20%、約25%、又は約30%、以下のものであってもよい。軸方向に延びる1本また複数本のフィラメント3042の断面寸法は、径方向に測定した時に、約0.001インチ、約0.002インチ、約0.003インチ、約0.004インチ、約0.005インチ、約0.006インチ、約0.007インチ、約0.008インチ、約0.009インチ、約0.010インチ、約0.015インチ、約0.020インチ、約0.025インチ、又は約0.030インチ、以下のものであってもよい。
【0050】
軸方向に延びる1本また複数本のフィラメント3042は、カテーテルの遠位ゾーンの引張強度が、少なくとも約1ポンドへと、少なくとも約2ポンドへと、少なくとも約3ポンドへと、少なくとも約4ポンドへと、少なくとも約5ポンドへと、少なくとも約6ポンドへと、少なくとも約7ポンドへと、少なくとも約8ポンドへと、又は少なくとも約10ポンドへと、あるいはそれ以上へと、増大してもよい。
【0051】
図6A図6Cを参照すると、標的部位へと到達させるよう充分に遠位にまでカテーテル3000をナビゲートし得るかどうかに応じて、管腔内カテーテル3200を、例えば、本明細書で別途説明したような近位向きに延びる制御ワイヤを有する伸縮性延長セグメントなどを、カテーテル3000の近位端から、カテーテル3000内を通して、挿入してもよい。管腔内カテーテル3200は、管腔内カテーテル3200の遠位端がカテーテル3000の遠位端を超えてより遠位へと到達するようにして、挿入される。管腔内カテーテル3200の外径は、カテーテル3000の内径よりも小さい。このようにして、管腔内カテーテル3200は、カテーテル3000の管腔の内部をスライドすることができる。
【0052】
管腔内カテーテル3200は、本明細書で説明するカテーテル3000の側壁構造の特徴点を組み込んでいる。チューブ状延長セグメントの軸方向長さは、カテーテル3000の長さの、約50%未満であってもよく、典型的には約25%未満であってもよい。チューブ状延長セグメントの軸方向長さは、一般に、少なくとも、約10cm、又は約15cm、又は約20cm、又は約25cm、あるいはそれ以上であり、かつ、一般に、約70cm、又は約50cm、又は約30cm、を超えるものではない。
【0053】
図7A図7Cを参照すると、管腔内カテーテル3200は、軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3242を有してもよい。軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3242は、カテーテル3000の軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3042の特性を組み込んでいるけれども、管腔内カテーテル3200の軸方向に延びる1本又は複数本のフィラメント3242の径方向に測定される断面寸法が、カテーテル3000のフィラメント3042の対応する寸法よりも小さくてもよい点では、相違している。
【0054】
図8A図8Bを参照すると、図4に関連して説明したタイプの漸次的可撓性カテーテルのための、外側ジャケットセグメントの積層パターンの一例が図示されている。遠位セグメント3038は、約1cm~約3cmの範囲内の長さと、約35D未満の、又は約30D未満の、デュロメータと、を有してもよい。隣接した近位セグメント3036は、約4cm~約6cmの範囲内の長さと、約35D未満の、又は30D未満の、デュロメータと、を有してもよい。隣接した近位セグメント3034は、約4cm~約6cmの範囲内の長さと、約35D以下のデュロメータと、を有してもよい。隣接した近位セグメント3032は、約1cm~約3cmの範囲内の長さと、約35D~約45Dの範囲内の(例えば、40Dの)デュロメータと、を有してもよい。隣接した近位セグメント3030は、約1cm~約3cmの範囲内の長さと、約50D~約60Dの範囲内の(例えば、約55Dの)デュロメータと、を有してもよい。隣接した近位セグメント3028は、約1cm~約3cmの範囲内の長さと、約35Dから、約50Dまでの、さらには約60Dまでの、範囲内の(例えば、約55Dの)デュロメータと、を有してもよい。隣接した近位セグメント3026は、約1cm~約3cmの範囲内の長さと、少なくとも約60Dの、典型的には約75D未満の、デュロメータと、を有してもよい。より近位のセグメントは、少なくとも約65D又は約70Dのデュロメータを有してもよい。最遠位の2つ又は3つのセグメントは、Tecothaneなどの材料を含んでもよく、より近位のセグメントは、PEBAX(登録商標)、又は当技術分野で公知の他のカテーテルジャケット材料、を含んでもよい。少なくとも、3個の、5個の、7個の、9個の、又はそれ以上の個数の、個別セグメントを利用してもよく、これらのセグメントは、カテーテルシャフトの長さに沿った最高値と最低値との間にわたるデュロメータの変化が、少なくとも約10D、好ましくは少なくとも約20D、いくつかの実装では少なくとも約30D、又は40D、あるいはそれ以上、であるセグメントとされている。
【0055】
カテーテルの性能指標は、バックアップ支持と、追従性と、押込性と、キンク耐性と、を含む。バックアップ支持とは、カテーテルが解剖学的に正しい位置に留まり、内部を通して体腔内デバイスを前進させ得る安定したプラットフォームを提供する能力を意味する。図9を参照すると、デバイスがカテーテル3202内を通して押し込まれる時に、カテーテル3202内で充分なバックアップ支持が存在しないと、カテーテル3202の遠位部分3204は、主血管(例えば、腕頭動脈82、総頸動脈80、又は、鎖骨下動脈84)から分岐する血管3206から、脱出したり、引き出されたり、又は逆戻りしたり、する可能性がある。カテーテル3202のバックアップ支持は、大きなデュロメータ又は弾性率を有する近位領域と、小さなデュロメータ又は弾性率を有する遠位領域と、を設けることによって、改良され得る。カテーテル3202の近位領域のデュロメータ又は弾性率は、編組による補強によって、改良され得る。カテーテルの、デュロメータ又は弾性率を強化した領域は、大動脈弓1114、1214が腕頭動脈82や総頸動脈動脈80や又は鎖骨下動脈84へと分岐する分岐点の近くに、あるいは、主血管が1本又は複数本のより小さな血管へと分岐してバックアップ支持の貧弱なカテーテルを脱出させるきっかけとなる他の解剖学的構造(すなわち、分岐点)の近くに、配置されてもよい。例えば、カテーテルの、デュロメータ又は弾性率を強化した領域は、主血管が1本又は複数本のより小さな血管へと分岐する分岐点から、約0.5cm、約1cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、又は約6cm、の範囲内に配置されてもよい。
【0056】
追従性とは、他のカテーテルと比較して、より遠位にまで(例えば、M1にまで)追従するカテーテルの能力を意味する。例えば、内頚動脈(ICA)の大脳セグメントへと到達し得るカテーテルは、ICAの海綿状セグメント又は石綿状セグメントへと到達し得るカテーテルと比較して、より良好な追従性を有している。カテーテルの追従性は、小さなデュロメータ又は弾性率を有するカテーテル壁を使用することによって、あるいは、カテーテル壁の少なくとも一部上に塗膜(例えば、親水性塗膜)を追加することによって、改良され得る。いくつかの実施形態では、親水性塗膜は、カテーテルの最遠位領域に沿って配置されてもよい。カテーテル上の親水性塗膜は、カテーテルの遠位端から、約1cm、約5cm、約10cm、約15cm、又は約20cm、のところまで延びてもよい。より小さなデュロメータ又は弾性率を有する領域は、カテーテルの最遠位領域に配置されてもよい。より小さなデュロメータ又は弾性率を有する領域は、カテーテルの遠位端から、約1cm、約5cm、約10cm、約15cm、又は約20cm、のところまで延びてもよい。
【0057】
押込性とは、「座屈」することなく解剖学的構造内を通して押し込むのに充分なカテーテルの剛性を意味する。カテーテルの押込性は、そのデュロメータ又は弾性率を増大させることによって改良され得る。カテーテルの押込性は、また、大きなデュロメータ又は弾性率を有する近位領域と、小さなデュロメータ又は弾性率を有する遠位領域と、を設けることによって、改良され得る。カテーテルの、デュロメータ又は弾性率をその長手方向の長さに沿って変化させた(例えば、近位端から遠位端へと、デュロメータ又は弾性率を減少させた)移行領域は、その近位端から、カテーテルの長さの、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、又はそれ以上、のところで始まってもよい。
【0058】
キンク耐性とは、キンクに対しての、カテーテルの耐性を意味する。加えて、カテーテルが実際にキンクする場合には、カテーテルのキンク耐性は、カテーテルが元の形状に戻ることを補助する。キンク耐性は、カテーテルの、近位セグメントよりもキンクしやすい遠位セグメントにおいて、重要である。カテーテルのキンク耐性は、カテーテル壁に対して、1つ又は複数のNiTiコイル(又は、その少なくとも一部がニチノール(登録商標)とされたコイル)を追加することによって、改良され得る。
【0059】
図10は、近位端(x=0)から遠位端(x=1)までの、カテーテルの長さに沿った、本実施形態によるカテーテルのデュロメータ又は弾性率を示すグラフである。いくつかの実施形態によるカテーテルは、その遠位端に近づくにつれて減少するデュロメータ又は弾性率(E)を有してもよい。カテーテルの近位端は、カテーテルの遠位端と比較して、より大きなデュロメータ又は弾性率を有している。近位端付近でデュロメータ又は弾性率が大きいことにより、カテーテルの優れたバックアップ支持が得られる。カテーテルのデュロメータ又は弾性率は、カテーテルの近位端3302付近では、その長さに沿って実質的に一定である。次いで、カテーテルのデュロメータ又は弾性率は、カテーテルの遠位端3304の付近で減少する。カテーテルのデュロメータ又は弾性率は、その近位端から、カテーテルの長さの、約50%、約70%、約75%、80%、又は約90%、のところで減少し始めてもよい(すなわち、移行領域)。カテーテルは、遠位端付近でデュロメータ又は弾性率が小さな材料を使用することにより、又は遠位端付近でカテーテル壁をより薄くすることにより、あるいはそれら両方により、遠位端付近で逐次的に減少するデュロメータ又は弾性率を有してもよい。遠位端付近で減少したデュロメータ又は弾性率により、カテーテルの優れた追従性が得られる。
【0060】
図11は、従来のカテーテルと比較した、本実施形態によるカテーテルの可撓性試験プロファイルを示している。カテーテルの可撓性は、1インチのスパンと2mmの変位とを使用した3点曲げ試験によって測定した。換言すると、図11は、応力解放(すなわち、カテーテルの近位端)から力の印加点までの距離に関して、1インチの長さのカテーテルセグメントを垂直方向に2mm変位させるのに必要な力(すなわち、曲げ荷重)を示している。図21において試験したすべてのカテーテルは、図10に示すものと同様の弾性率又は可撓性のプロファイルを示している。カテーテルの弾性率は、近位端付近ではその長さに沿って実質的に一定のままであり、次いで、遠位端付近では、徐々に減少する。
【0061】
本明細書のいくつかの実施形態によるカテーテルは、近位端付近で長手方向の長さに沿って実質的に一定の曲げ荷重と、遠位端付近で急速に減少する曲げ荷重と、を有してもよい。約125cmの長さを有するカテーテルでは、カテーテルは、近位端から約85cmのところで、約1.0lbF、約1.5lbF、約2.0lbF、約2.5lbF、約3.0lbF、又は約3.5lbF、以上である曲げ荷重を有してもよい。カテーテルは、近位端から約95cmのところで、約2.5lbF、約2.0lbF、約1.5lbF、約1.0lbF、又は約0.5lbF、以下の曲げ荷重を有してもよい。カテーテルは、近位端から約105cmのところで、約1.5lbF、約1.0lbF、約0.75lbF、約0.5lbF、約0.25lbF、又は約0.1lbF、以下の曲げ荷重を有してもよい。カテーテルは、近位端から約115cmのところで、約1.0lbF、約0.75lbF、約0.5lbF、約0.4lbF、約0.3lbF、約0.2lbF、又は約0.1lbF、以下の曲げ荷重を有してもよい。異なる長さを有するカテーテルの場合、上記の寸法は、カテーテルの長さの割合として、カテーテルの遠位端から拡縮することができる。
【0062】
図4に従って構築されたいくつかの実施形態では、曲げ荷重は、近位端から65cmのところで、約3.0lbF又は約3.25lbF未満であり、近位端から65cm~85cmのところでは、平均して、約2.25lbF又は約2.5lbFよりも大きい。曲げ荷重は、近位端から約95cmのところでは、約1.0lbFを超えることなく、好ましくは約0.5lbFを超えることなく、低下してもよい。これにより、遠位血管系内での増強された追従性を維持しつつ、大動脈内における増強されたバックアップ支持が得られる。
【0063】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、近位端から約60cmのところで、約1.0lbF、約1.5lbF、約2.0lbF、約2.5lbF、約3.0lbF、又は約3.5lbF、以上の曲げ荷重を有してもよい。カテーテルは、近位端から約70cmのところで、約2.0lbF、約1.5lbF、約1.0lbF、又は約0.5lbF、以下の曲げ荷重を有してもよい。カテーテルは、近位端から約80cmのところで、約1.0lbF、約0.75lbF、約0.5lbF、約0.4lbF、約0.3lbF、約0.2lbF、又は約0.1lbF、以下の曲げ荷重を有してもよい。カテーテルは、近位端から約90cmのところで、約1.0lbF、約0.75lbF、約0.5lbF、約0.4lbF、約0.3lbF、約0.2lbF、又は約0.1lbF、以下の曲げ荷重を有してもよい。
【0064】
カテーテルは、約1.0lbF、約1.5lbF、約2.0lbF、約2.5lbF、約3.0lbF、又は約3.5lbF、以上の分だけ、曲げ荷重を変化させた移行領域を有してもよい。移行領域の長手方向の長さは、約20cm、約15cm、約10cm、約5cm、約3cm、又は約1cm、以下であってもよい。
【0065】
ニューロンマックス(Neuron Max)(ペヌンブラ社(Penumbra,Inc.))3402と比較して、本明細書で説明するいくつかの実施形態によるカテーテル(例えば、3404、3406、3408、3410)は、それらの近位端付近では、同程度の弾性率を有している。このようにして、いくつかの実施形態によるカテーテルは、ニューロンマックス3402と同等のバックアップ支持を提供する。加えて、カテーテルは、移行領域(近位端と遠位端との間)の付近では、ニューロンマックスの弾性率と比較して、より急速に低下する弾性率を有している。
【0066】
エース(Ace)68カテーテル(ペヌンブラ)3412、エース64カテーテル(ペヌンブラ)3414、ベンチマーク(Benchmark)71カテーテル(ペヌンブラ)3416、及びソフィアプラス(Sofia Plus)(マイクロベンション(MicroVention))3418と比較して、本明細書のいくつかの実施形態によるカテーテルは、それらの近位端付近では、より大きな弾性率を有しているとともに、遠位端付近では、同程度の弾性率を有している。このようにして、本明細書のいくつかの実施形態によるカテーテルでは、従来のカテーテルと比較して、同程度の追従性を有する優れたバックアップ支持が得られる。本明細書のいくつかの実施形態によるカテーテルは、それらの内径(及び、ひいては管腔容積)が、エース68、エース64、ベンチマーク71、及びソフィアプラスにおける0.064インチ~0.071インチの内径と比較して、それ以上である場合であっても、この弾性率プロファイルを達成し得る。
【0067】
本発明によるカテーテルの多くは、編組3010などの近位チューブ状支持構造と、コイル3024などの軸方向に隣接した異なるチューブ状支持構造と、の間に、図4における移行部3011などの側壁結合部を含む。図12図25に示すように、移行部にわたって力を分散させて曲げ特性を改良するために、様々な構造的特徴点を含んでもよい。
【0068】
カテーテルの軸方向長さに沿った結合部の位置は、所望の性能に応じて変化させてもよい。いくつかの実装では、結合部よりも遠位のカテーテルセグメントは、約80cm~約110cmの範囲内の全長を有するカテーテルでは、約12cm~約20cmの範囲内の長さ、又は約14cm~約18cmの範囲内の長さ、を有することとなる。他の実装では、結合部よりも遠位のカテーテルセグメントは、約150cm~約170cmの範囲内の、又は約155cm~約161cmの範囲内の、全長を有するカテーテルでは、約35cm~約45cmの範囲内の長さ、又は約38cm~約42cmの範囲内の長さ、を有することとなる。
【0069】
図12及び図13を参照すると、側壁内に埋め込まれているとともに近位編組3010と遠位コイル3024との間の結合部にわたって延びている力散逸支持体又は力散逸カバー3060を有する例示的なカテーテルの、側面図及び長手方向断面図が示されている。支持体は、ステントなどのチューブ状セグメントであってもよい。この実施形態では、ステントは、薄い壁のニチノール(登録商標)チューブの一部をレーザ切断し、続いてステントを電気研磨することによって、形成されたものであり、これにより、図示のように、約0.0015インチのストラット厚さを有する主に周方向に配向したストラットを有するステントが形成される。ステントは、少なくとも約2cm、又は少なくとも約3cm、又は少なくとも約5cm、の軸方向長さを有し得るものであり、かつ、一般に、約20cm、又は約15cm、又はそれ未満、を超えるものではない。
【0070】
ステントは、組立前にマンドレル上へと装填することにより、編組3010を有する近位ゾーンと、遠位移行部3011にコイル3024を有する遠位ゾーンと、を含むカテーテル上へと、装填されてもよい。さらにこの例に示すように、遠位移行カバージャケット3070は、ステント上に重ね合わされているとともに、ステント上へと熱収縮によって装着された約0.00025インチ厚さの薄い壁のPETスリーブを含む。
【0071】
よって、ステントは、編組3010からなる遠位端と、コイル3024からなる近位端と、の間の結合部にわたって延びている。任意選択的な近位コイル3023が、ハブから延びているなどのように、編組に沿って遠位向きに延びてもよく、さらに、結合部にわたって延びてもよく、よって、2つのコイルどうしが絡み合っている絡み合いゾーンに沿って、遠位コイル3024に対して軸方向に重なり合っていてもよい。絡み合いゾーンは、所望の性能特性に応じて、約5mm~約10mmの範囲内の軸方向長さを有してもよく、あるいは、5cm、又は10cm、又はそれ以上、の長さにまで延びてもよい。
【0072】
近位コイル3023は、絡み合いゾーンにわたって遠位向きに延びてもよく、支持体の軸方向長さ内で終端してもよい。図示の実装では、コイル3023の遠位端は、軸方向に延びるフィラメント3242の近位端に対して、ほぼ隣接している。近位コイルは、ステンレス鋼ワイヤから形成されてもよく、NiTiワイヤから形成され得る遠位コイル3024と比較して、より大きな直径を有している。SSは、NiTiよりも著しく大きな弾性率を有するので、SSコイルの直径を相対的に減少させることで、剛性の観点では、一方から他方への移行を「滑らか」に維持するに際して、有用である。
【0073】
また、この例に示すように、近位ゾーンの編組3010は、遠位移行部3011内の結合部へと連接した厚さ減少ゾーン3050を含む。特に、厚さ減少ゾーン3050は、厚さが約0.0015インチで幅が約0.004インチのステンレス鋼リボンからなる編組3010の軸方向長さを、約2cmエッチングして、リボン厚さを約0.0015インチへと減少させて形成したものであり、それは、この例で図示したような編組が、相互織込された2本のステンレス鋼リボンからなるからであり、エッチングプロセスによって、編組全体の外径が、約0.0030インチから、約0.0024インチへと、減少し、ニチノール(登録商標)からなるコイル3024の、約0.0025インチの外径と、ほぼ一致するからである。この構成で形成されたカテーテルは、本明細書で説明するU字形状曲げキンク試験では、直径が24mm(この直径は、大動脈弓の典型的な内径よりわずかに小さい)のピン上でキンクするものであり、これにより、このようなカテーテルは、キンクすることなく、ヒトの大動脈弓の内部へと脱出することができる。
【0074】
別の例では、0.001インチ外径のワイヤで形成されたニチノール(登録商標)編組からなる遠位移行カバー3060を、本明細書で説明するカテーテルの近位ゾーン及び遠位ゾーン上へと、配置した。この例では、カテーテルは、厚さが0.0015インチで幅が0.004インチのワイヤリボンを有するステンレス鋼編組を含み、その遠位端が2cmエッチングされ、全体の厚さを、0.0024インチへと減少させた(ステンレス鋼編組は、2つのワイヤリボンを含み、各リボンは、エッチングプロセスにより、0.0012インチ厚さへと減少していた)。これにより、近位部のステンレス鋼編組の厚さ(0.0024インチ)が形成され、この厚さは、遠位部のニチノール(登録商標)コイルの厚さ(0.0025インチ)とほぼ一致するものである。この構成で形成されたカテーテルは、本明細書で説明するU字形状曲げキンク試験において、直径が24mm(この直径は、大動脈弓の典型的な内径よりわずかに小さい)のピン上でキンクするものであり、これにより、このようなカテーテルは、キンクすることなく、ヒトの大動脈弓の内部へと脱出することができる。
【0075】
別の例では、液晶ポリマーVectran(登録商標)からなる遠位移行カバー3060を、本明細書で説明するカテーテルの近位ゾーン及び遠位ゾーン上へと、配置した。この例では、Vectran(登録商標)は、カテーテル上へと組み立てる前に、マンドレル上でVestamid(登録商標)の薄層に対してラミネートされた。さらにこの例では、Vectran(登録商標)のファイバは、その場所でのカテーテルの引張強度を増大させるために、カテーテルの長手方向軸まわりに配向された(すなわち、この遠位移行カバー実施形態の全体的厚さを最小化するために、編み組みされない)。別の例では、Vectran(登録商標)のファイバは、カテーテルの長手方向軸に対して、約45度で配向された。
【0076】
図14A図14F及び図15A図15Fを参照すると、本明細書で説明する様々な実施形態のカテーテルは、遠位移行部3011を含んでもよい。図14A図14F及び図15A図15Fは、近位編組3010が遠位移行部3011に厚さ減少ゾーン3050を有している遠位移行部3011の様々な実施形態を有するカテーテル壁の断面図を示している。
【0077】
いくつかの実施形態では、可撓性を増大させた(例えば、厚さを減少させた)ゾーン3050は、約0.5cm、約1.0cm、約1.5cm、約2.0cm、約2.5cm、約3.0cm、及び約3.5cm、の長さを含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、少なくとも約0.5cmの長さを含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、約3.0cm未満の長さを含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、約1.5cm~約2.5cmの長さを含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、本明細書で説明するカテーテルの近位ゾーンの、厚さを減少させた編組を含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、本明細書で説明するカテーテルの近位ゾーンの、外径を減少させた編組を含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、本明細書で説明するカテーテルの近位ゾーンの、内径を増大させた編組を含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、本明細書で説明するカテーテルの近位ゾーンの、外径を減少させかつ内径を増大させた編組を含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、厚さに関する、滑らかな、湾曲した、曲線的な、直線的な、及び段差状の、移行を含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、カテーテルの近位ゾーンと遠位ゾーンとの間におけるカテーテル剛性に関しての、滑らかで、湾曲した、曲線状の、直線状の、及び段階的な、移行を含んでもよく、優れたキンク耐性を提供してもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、カテーテルの近位ゾーンと遠位ゾーンとの間におけるカテーテル剛性に関しての移行を形成してもよく、優れたキンク耐性を提供してもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、カテーテルの近位ゾーンの剛性を減少させてもよく、優れたキンク耐性を提供してもよい。いくつかの実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、カテーテルの近位ゾーンにおける編組の剛性を減少させてもよく、優れたキンク耐性を提供してもよい。
【0078】
遠位移行部3011における近位編組3010に関して、厚さを減少させることは、遠位移行部3011に対して当接した遠位端で編組をエッチングすることにより、達成されてもよい。エッチングは、アニールの前に実行されてもよい。エッチングは、アニールの後に実行されてもよい。エッチングは、内側ライナ3014及び結束層3012の適用の前に実行されてもよい。エッチングは、内側ライナ3014及び結束層3012を適用した後に実行されてもよい。エッチングは、近位編組3010の外面に対して適用されてもよく、これにより、遠位移行部3011における、外径を減少させた近位編組が形成される。エッチングは、近位編組3010の内面に対して適用されてもよく、これにより、遠位移行部3011における、内径を増大させた近位編組が形成される。エッチングは、近位編組3010の外面及び内面に対して適用されてもよく、これにより、遠位移行部3011における、外径を減少させたかつ内径を増大させた近位編組が形成される。エッチングは、遠位移行部3011において近位編組3010の内面と外面との間に、ほぼ同じ(例えば、±10%)厚さプロファイルを、又は異なる厚さプロファイルを、形成するように実行されてもよい。これに代えて、遠位移行部3011における近位編組3010に関して、厚さを減少させることは、編組からなるリボンの押出によってなど、遠位移行部3011に対して当接するところでより薄い厚さを有する編組を利用することによって、達成されてもよい。
【0079】
非限定的な一例では、0.0015インチの厚さを有するステンレス鋼リボンからなるステンレス鋼編組の遠位2cmをエッチングすることにより、編組の厚さを0.0011インチへと減少させた。このエッチングされたステンレス鋼編組を含むカテーテルを、0.0035インチ壁厚さのVestamid(登録商標)に対してラミネートした時には、得られるエッチング済みカテーテルは、U字形状曲げキンク試験(すなわち、カテーテルの支持されていないシャフトを、比較的大きな外径のピンから始めて徐々に小さな直径のピン上で試験しながら、ピンまわりに180度曲げる)において、外径18mmのピンまわりに巻き付けるまで、キンク耐性を示すことが確認された。実用的には、これにより、本実施形態のカテーテルは、キンクすることなく、ヒトの大動脈弓の内部で脱出することができる。
【0080】
図14Aを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、遠位向きではカテーテル3000の外径を減少させることを可能とし得るけれども、カテーテル3000の内径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)ままであってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0081】
図14Bを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径よりも小さい外径と、遠位ゾーンのコイル3024の内径とほぼ同じ(例えば、±10%)内径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、カテーテル3000の外径及び内径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)であってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0082】
図14Cを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の内径とほぼ同じ(例えば、±10%)内径と、コイル3024の外径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、遠位向きではカテーテル3000の内径を増大させ得るけれども、カテーテル3000の外径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)ままであってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0083】
図14Dを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の内径よりも大きい内径と、遠位ゾーンのコイル3024の外径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、カテーテル3000の外径及び内径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)であってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0084】
図14Eを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径よりも小さい外径と、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の内径よりも大きい内径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、カテーテル3000の外径及び内径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)であってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0085】
図14Fを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径と、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の内径とほぼ同じ(例えば、±10%)内径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、遠位移行部3011における近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、遠位向きにおいて、カテーテル3000の、減少した外径と、増大した内径と、を可能とし得る。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で説明するように、内側ライナ3014と、結束層3012と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0086】
図15Aを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、遠位向きではカテーテル3000の外径を減少させることを可能とし得るけれども、カテーテル3000の内径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)ままであってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0087】
図15Bを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径よりも小さい外径と、遠位ゾーンのコイル3024の内径とほぼ同じ(例えば、±10%)内径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、カテーテル3000の外径及び内径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)であってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0088】
図15Cを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の内径とほぼ同じ(例えば、±10%)内径と、コイル3024の外径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、遠位向きではカテーテル3000の内径を増大させ得るけれども、カテーテル3000の外径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)ままであってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0089】
図15Dを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の内径よりも大きい内径と、遠位ゾーンのコイル3024の外径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、カテーテル3000の外径及び内径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)であってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0090】
図15Eを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径よりも小さい外径と、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の内径よりも大きい内径と、を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、カテーテル3000の外径及び内径は、遠位移行部3011では、近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、ほぼ同じ(例えば、±10%)であってもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0091】
図15Fを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を備えた、近位ゾーンの編組3010が示されている。この実施形態では、厚さ減少ゾーン3050は、遠位移行部3011における近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、遠位向きにおいて、カテーテル3000の、減少した外径と、増大した内径と、を可能とし得る。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、スリーブ3020と、を含んでもよい。
【0092】
図16A図16F図17A図17F図18A図18F図19A図19F、及び図20、を参照すると、本明細書で説明する様々な実施形態のカテーテルは、遠位移行カバー3060を有する遠位移行部3011を含んでもよい。また、図16C図16F図17C図17F図18B図18E図19B図19E、及び図20、に示すように、本明細書で説明する様々な実施形態のカテーテルは、遠位移行カバー3060と遠位移行カバースリーブ3070とを有する遠位移行部3011を含んでもよい。なお、図16A図16F図17A図17F図18A図18F、及び図19A図19Fが、これらの様々な実施形態のいくつかによるカテーテル壁の断面図を示していることに、注意されたい。
【0093】
いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060は、編組(例えば、ワイヤ編組、ステンレス鋼ワイヤ編組、ステンレス鋼リボン編組、形状記憶又は超弾性ワイヤ編組、形状記憶又は超弾性リボン編組、ニチノール(登録商標)ワイヤ編組、ニチノール(登録商標)リボン編組、ポリマー編組、ナイロン(登録商標)編組、ポリプロピレン編組、ポリエステル編組)、ステント(例えば、ステンレス鋼ステント、形状記憶又は超弾性ステント、ニチノール(登録商標)ステント、ポリマーステント、ナイロン(登録商標)ステント、ポリプロピレンステント、ポリエステルステント)、コイル(例えば、ステンレス鋼コイル、形状記憶又は超弾性コイル、ポリマーコイル、ナイロン(登録商標)コイル、ポリプロピレンコイル)、液晶ポリマー(例えば、PETコポリエステル、コポリイミド、ポリエステル-アミド、Vectran(登録商標))、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び、複合材料、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060は、遠位移行部3011まわりで、遠位向きと近位向きとに関して、ほぼ同じ長さで延在してもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060は、遠位移行部3011まわりで、遠位向きと比較して、近位向きにおいて、より長く延びてもよい(例えば、カテーテルの遠位ゾーンと比較して、カテーテルの近位ゾーンを、より多く覆うために)。いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060は、遠位移行部3011まわりで、近位向きと比較して、遠位向きにおいて、より長く延びてもよい(例えば、カテーテルの近位ゾーンと比較して、カテーテルの遠位ゾーンを、より多く覆うために)。いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060は、編組を含む近位ゾーンと、コイルを含む遠位ゾーンと、を有するカテーテルを、覆ってもよい。遠位移行カバー3060をなす、編組、ステント、コイル、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び複合材料、のパラメータは、カテーテルの剛性及び可撓性を調整するために変更されてもよい(例えば、編組ワイヤの厚さ、編組ワイヤ幅、ステントストラット配向、ステントウィンドウサイズ、ステントの厚さ、カテーテル軸まわりにおける液晶ポリマー配向、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブの厚さ及び組成)。
【0094】
いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060を有するカテーテルは、遠位移行カバー3060を覆う遠位移行カバースリーブ3070を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行カバースリーブ3070は、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、ポリマー、及び/又は複合材料、を含んでもよい。遠位移行カバースリーブ材料の一例は、薄い壁のPETを含む。いくつかの実施形態では、遠位移行カバースリーブ3070は、遠位移行カバー3060を超えて延びてもよく、カテーテル3000の近位ゾーン及び遠位ゾーンを覆ってもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行カバースリーブ3070は、遠位移行カバー3060を覆ってもよく、可変長さでもって、カテーテル3000の近位ゾーン及び遠位ゾーンを覆ってもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060は、カテーテルの近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、カテーテル剛性の移行部を提供してもよく、これにより、優れたキンク耐性を提供し得る。いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060及び遠位移行カバースリーブ3070は、カテーテルの近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、カテーテル剛性に関する移行部を提供してもよく、これにより、優れたキンク耐性を提供し得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、カテーテル上への組立前に、マンドレル上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行カバースリーブは、遠位移行カバー3060上に組み立てられてもよい(例えば、遠位移行カバー上へと熱収縮された約0.00025インチの薄い壁のPETスリーブ)。
【0097】
図16Aを参照すると、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060であるとともに、直下に位置した近位ゾーンの編組3010に対して及び直下に位置した遠位ゾーンのコイル3024に対して直接的に当接している遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、遠位ゾーンの少なくとも一部を覆うスリーブ3020によって覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0098】
図16Bを参照すると、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている(すなわち、カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060の下に形成されている)。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0099】
図16Cを参照すると、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、この例では遠位移行カバー3060を超えて近位向き及び遠位向きに延びている遠位移行カバースリーブ3070によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0100】
図16Dを参照すると、直下に位置した近位ゾーンの編組3010に対して及び直下に位置した遠位ゾーンのコイル3024に対して直接的に当接しているコイルからなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、遠位ゾーンの少なくとも一部を覆うスリーブ3020によって覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0101】
図16Eを参照すると、コイルからなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0102】
図16Fを参照すると、コイルからなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、この例では遠位移行カバー3060を超えて近位向き及び遠位向きに延びている遠位移行カバースリーブ3070によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0103】
図17Aを参照すると、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060であるとともに、直下に位置した近位ゾーンの編組3010に対して及び直下に位置した遠位ゾーンのコイル3024に対して直接的に当接している遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、遠位ゾーンの少なくとも一部を覆うスリーブ3020によって覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0104】
図17Bを参照すると、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0105】
図17Cを参照すると、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、この例では遠位移行カバー3060を超えて近位向き及び遠位向きに延びている遠位移行カバースリーブ3070によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0106】
図17Dを参照すると、直下に位置した近位ゾーンの編組3010に対して及び直下に位置した遠位ゾーンのコイル3024に対して直接的に当接しているコイルからなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、遠位ゾーンの少なくとも一部を覆うスリーブ3020によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0107】
図17Eを参照すると、コイルからなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0108】
図17Fを参照すると、コイルからなる遠位移行カバー3060によって覆われた遠位移行部3011を有する、カテーテルが示されている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、この例では遠位移行カバー3060を超えて近位向き及び遠位向きに延びている遠位移行カバースリーブ3070によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、カテーテル3000は、本明細書で説明する様々な遠位移行部に関する複数の態様を組み合わせてもよい。図18Aを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び複合材料、からなる遠位移行カバー3060であるとともに、直下に位置した近位ゾーンの編組3010に対して及び直下に位置した遠位ゾーンのコイル3024に対して直接的に当接している遠位移行カバー3060によって、覆われている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、遠位ゾーンの少なくとも一部を覆うスリーブ3020によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0110】
図18Bを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、この例では遠位移行カバー3060を超えて近位向き及び遠位向きに延びている遠位移行カバースリーブ3070によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0111】
図18Cを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0112】
図18Dを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、直下に位置した近位ゾーンの編組3010に対して及び直下に位置した遠位ゾーンのコイル3024に対して直接的に当接しているコイルからなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、遠位ゾーンの少なくとも一部を覆うスリーブ3020によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0113】
図18Eを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、コイルからなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、この例では遠位移行カバー3060を超えて近位向き及び遠位向きに延びている遠位移行カバースリーブ3070によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0114】
図18Fを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、コイルからなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、を含んでもよい。
【0115】
図19Aを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060であるとともに、直下に位置した近位ゾーンの編組3010に対して及び直下に位置した遠位ゾーンのコイル3024に対して直接的に当接している遠位移行カバー3060によって、覆われている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、遠位ゾーンの少なくとも一部を覆うスリーブ3020によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0116】
図19Bを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、この例では遠位移行カバー3060を超えて近位向き及び遠位向きに延びている遠位移行カバースリーブ3070によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0117】
図19Cを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、編組、ステント、液晶ポリマー、収縮ラップチューブ若しくは熱収縮チューブ、及び/又は複合材料、からなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0118】
図19Dを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、直下に位置した近位ゾーンの編組3010に対して及び直下に位置した遠位ゾーンのコイル3024に対して直接的に当接しているコイルからなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、本明細書で説明するように、遠位ゾーンの少なくとも一部を覆うスリーブ3020によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0119】
図19Eを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、コイルからなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。さらに示すように、遠位移行カバー3060は、この例では遠位移行カバー3060を超えて近位向き及び遠位向きに延びている遠位移行カバースリーブ3070によって、覆われてもよい。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0120】
図19Fを参照すると、遠位移行部3011に、遠位ゾーンのコイル3024の外径及び内径とほぼ同じ(例えば、±10%)外径及び内径を有する厚さ減少ゾーン3050を有する近位ゾーンの編組3010を備えた、カテーテルが示されている。遠位移行部3011は、コイルからなる遠位移行カバー3060によって、覆われている。カバースリーブ3020は、遠位移行カバー3060から、近位ゾーンの編組3010及び遠位ゾーンのコイル3024を、離間させている。また、図示のように、この実施形態は、本明細書で別途説明するように、任意選択的に、内側ライナ3014と、結束層3012と、軸方向に延びるフィラメント3042と、を含んでもよい。
【0121】
図20図21A図21B、及び図22A図22Bを参照すると、カテーテルは、カテーテルの1つ又は複数の部分に関して、剛性、可撓性、及び/又はデュロメータを有利に調整するために、アニールしてもよい。図20図22Bに関連するアニールプロセスは、本明細書で説明する1つ又は複数の様々な実施形態のカテーテルに関連して説明され得るけれども、当業者であれば、本明細書で説明するアニールプロセスにおける1つ又は複数のステップが、カテーテルの1つ又は複数の特性を有利に調整する目的で、任意の適切なカテーテルに対して使用され得ることは、理解されよう。
【0122】
図を参照すると、本明細書で説明する様々な実施形態のカテーテルは、編組の、剛性、可撓性、及び/又はデュロメータを調整するために、アニールした編組を遠位移行部3011に含む近位ゾーンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、編組のアニールは、編組の、剛性、可撓性、及び/又はデュロメータの、少なくとも1つを有利に調整するために使用されてもよい。アニールは、いくつかの実例では、近位ゾーンから遠位ゾーンへの、カテーテルの剛性、可撓性、及び/又はデュロメータの滑らかな移行を可能としてもよい、並びに/あるいは、優れたキンク耐性を有するカテーテルを提供してもよい。いくつかの実施形態では、編組の、剛性、可撓性、及び/又はデュロメータを調整するための編組のアニールは、近位ゾーンから、コイルを含む遠位ゾーンへの、カテーテルの剛性、可撓性、及び/又はデュロメータの滑らかな移行を可能とするとともに、優れたキンク耐性を有するカテーテルを提供する。
【0123】
編組を含む近位ゾーンを有するカテーテルは、任意の適切な加熱プロセスによってアニールしてもよい。いくつかの実施形態では、加熱プロセスは、誘導加熱プロセスを含んでもよい。誘導加熱プロセスは、マンドレル上へと編組の少なくとも一部を配置することによって、実行されてもよい。マンドレルのいくつかの例は、フェライト系ステンレス鋼マンドレル、マルテンサイト系ステンレス鋼マンドレル、及び、二相ステンレス鋼マンドレル、のいずれか1つを含んでもよい。誘導加熱プロセスは、いくつかの実例では、誘導加熱器(例えば、RDO誘導加熱器)のコイル内に、編組及びマンドレルを配置することを含んでもよい。マンドレル内で生成された誘導熱は、編組内へと伝達されてもよい。いくつかの実例では、編組内への誘導熱の伝達が、アニールを実行してもよい。
【0124】
誘導加熱プロセスは、有利には、誘導電力及び時間などの様々なパラメータの制御を可能とし得る。1つ又は複数のパラメータの制御は、いくつかの実例では、マンドレルから編組へと伝達される熱量を変化させ得るとともに、実行されるアニールの量を変化させ得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、編組のアニール量は、編組をなすワイヤの可視パラメータの変化によって評価されてもよい。可視パラメータの変化は、色の変化、サイズの変化、形状の変化、又は、他の物理的特性の変化、の少なくとも1つを含んでもよい。例えば、編組をなすワイヤの、アニールしたものは、アニールプロセス中に、色が変化してもよい。図21A及び図21Bは、アニールした編組が、アニールの増加につれて、銀色から青色へと変化し、さらに黄色へと変化する、例示的な実施形態を示している。いくつかの状況では、過度のアニールにより、編組の表面が酸化したり、及び/又は、編組を加熱するために使用されているマンドレルに対して固着したり、する可能性がある。アニールプロセスにおけるパラメータ変化を視覚的に識別する能力は、有利には、過剰なアニールを回避する目的で、アニールプロセスの制御を容易とし得る。
【0126】
本明細書で説明するような編組のアニールは、有利には、以前のアニールプロセスと比較して、可撓性を増大させた、また、剛性を低下させた、さらに、デュロメータを低下させた、編組を製造することができる。例えば、従来のアニールプロセスでは、編組の切断時にほつれないような応力緩和された編組を形成し得る。図21に示すように、異なるアニールプロセスを受けた例示的なカテーテルの編組(すなわち、アニールしていない編組(左側の棒グラフ)、従来プロセスに基づいてアニールした編組(中央の棒グラフ)、及び、フルアニールした編組を形成する新たなプロセスに基づいてアニールした編組(右側の棒グラフ))に関して、インストロン(例えば、TM00075)片持ち曲げ試験を使用して、編組の可撓性をテストした。図20に見られるように、アニールが進むと、同じ曲げ量を得るために編組に対して印加されるべき必要なグラム力(gf)が、減少した(図示のように、アニールしていない編組に対しては、約97gfが必要であり、旧プロセスに基づいてアニールした編組に対しては、約80gfが必要であり、新たなプロセスに基づいてアニールした編組に対しては、約34gfが必要である)。割合の観点からは、この初期的な実験において、旧アニールプロセスでは、編組の可撓性が約18%増大し、新たなアニールプロセスでは、編組の可撓性が約65%増大することが判明した。いくつかの実例では、カテーテルが圧潰された後に生じるスプリングバックの量は、アニールを増加させた結果として、有利には、減少し得る。
【0127】
図21A図21Bを参照すると、本明細書で説明して図20に対応する旧アニールプロセス(図21A)及びフルアニールプロセス(図21B)に基づく、アニール後の編組の一部に関する顕微鏡写真が示されている。
【0128】
図22A図22Bを参照すると、アニール電力及び時間を入力として変化させ、編組のワイヤ色及び編組の可撓性を出力として測定した実験を通して見出された、編組に対してのアニールの効果に関するプロットが示されている。この実験により、本明細書で説明するインストロン片持ち曲げ試験によって測定した際に約30gfの可撓性を有する編組を生成するパラメータが、見出された。また、実験により、アニール時間が増加するにつれて、アニールした編組の酸化が増加することが判明した。
【0129】
いくつかの実施形態では、編組の酸化を軽減するために、及び/又はアニール時間の短縮を可能とするために、アニール電力を増加させてもよい。編組のアニールによる機能的な影響は、キンク試験により評価してもよい。例えば、本明細書で説明するフルアニールプロセスに基づいてアニールした編組は、旧アニールプロセスに基づいて処理したサンプルと比較して、キンク耐性の向上を示した。生産に際しては、編組の色を視覚的に検査することにより、さらに、圧潰後の編組のスプリングバック量を測定することにより、アニールプロセスを監視して制御してもよい。
【0130】
図23図24A図24B、及び図25を参照すると、いくつかの実施形態では、本明細書で説明するカテーテルは、遠位移行コネクタ3080を含む遠位移行部3011を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、コネクタ、段付きコネクタ、マーカバンド、段付きマーカバンド、ステント、又は段付きステント、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、溶接、ろう付け、半田、又はエポキシ、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、溶接、ろう付け、半田、又はエポキシは、本明細書で説明するように、カテーテルの近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、周方向に位置してもよい。いくつかの実施形態では、溶接、ろう付け、半田、又はエポキシは、本明細書で説明するように、カテーテルの近位ゾーンと遠位ゾーンとの間で、周方向に、不規則な間隔で又は規則的に間隔で、適用されてもよい(例えば、間隔を空けたタック溶接)。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位ゾーンの近位対向面の少なくとも一部と適合する遠位対向面を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するカテーテルの近位ゾーンの編組は、遠位ゾーンのコイルの、近位対向面の少なくとも一部と適合する段差を、含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、平面をなす近位対向面と、段差を含む遠位対向面と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、平面をなす近位対向面と、遠位対向面からピッチを除去することによって形成された段差を含む遠位対向面と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタ3080の遠位対向面が遠位ゾーンの近位対向面に対して当接する時に一様な又はほぼ一様なギャップが形成されるように、本明細書で説明するカテーテルにおける遠位ゾーンの近位対向面を反映した遠位対向面を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタ3080の遠位対向面が遠位ゾーンのコイルの近位対向面に対して当接する時に一様な又はほぼ一様なギャップが形成されるように、本明細書で説明するカテーテルにおける遠位ゾーンのコイルの近位対向面を反映した遠位対向面を、含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタ3080の遠位対向面の少なくとも一部が遠位ゾーンの近位対向面の少なくとも一部に対して当接する時に一様な又はほぼ一様なギャップが形成されるように、本明細書で説明するようにカテーテルにおける遠位ゾーンの近位対向面の少なくとも一部を反映した少なくとも一部を有する遠位対向面を、含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタ3080の遠位対向面の少なくとも一部が遠位ゾーンのコイルの近位対向面における少なくとも一部に対して当接する時に一様な又はほぼ一様なギャップが形成されるように、本明細書で説明するようにカテーテルにおける遠位ゾーンのコイルの、近位対向面の少なくとも一部を反映した少なくとも一部を有する遠位対向面を、含んでもよい。
【0131】
図23を参照すると、いくつかの実施形態による遠位移行コネクタ3080が示されている。遠位移行コネクタ3080は、遠位端3081と、近位端3082と、外径3084と、内径3085と、近位面3086と、遠位面3087と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、図23に示すように、遠位移行コネクタ3080の遠位面3087は、接線方向面3088を形成する段差を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位面3087の段差により、接線方向面3088がコイルの端部に対して当接する時には、本明細書で説明するカテーテルにおける遠位ゾーンのコイルの近位端は、遠位面3087と、遠位ゾーンのコイルの近位端と、の間に、一様な又はほぼ一様なギャップを形成することができる。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080の近位面3086は、平面とされていて、本明細書で説明するように、近位面3086と、カテーテルにおける近位ゾーンの編組の遠位端と、の間に、一様な又はほぼ一様なギャップを形成する。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080の内径3085は、本明細書で説明するように、カテーテルの、近位ゾーンの内部管腔に対して、及び遠位ゾーンの内部管腔に対して、流体連通した内部管腔を形成している。
【0132】
図24A図24Bを参照すると、本明細書で説明するカテーテルのいくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタの側壁に対してほぼ垂直な角度のプロファイルを有する近位端3082と、遠位端3081内に接線方向面3088を形成するように切除された段差を含んだプロファイルを有する遠位端3081と、を含んでもよい。本明細書で説明するカテーテルのいくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタの側壁に対してほぼ垂直な角度のプロファイルを有する近位端3082と、遠位端内にほぼ接線方向の面3088を形成するように切除された遠位端3081の段差を含んだプロファイルを有する遠位端3081と、を含んでもよい(例えば、面3088は、面3087に対して、約85度、約86度、約87度、約88度、約89度、約90度、約91度、約92度、約93度、約94度、約95度、少なくとも約80度、最大で約95度、約85度~約95度、約88度~約91度、約89度~約90度、の角度である)。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080の遠位端3081から切除された段差は、遠位端3081から除去された、約5/1000ピッチ、約4/1000ピッチ、約3/1000ピッチ、約6/1000ピッチ、約7/1000ピッチ、少なくとも約3/1000ピッチ、約7/1000ピッチ未満、約3/1000ピッチ~約7/1000ピッチ、及び、約4/1000ピッチ~約6/1000ピッチ、を含む。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080の遠位端3081の段差により、本明細書で説明するカテーテルにおける遠位ゾーンのコイル3024は、遠位移行コネクタ3080の遠位面3087に対して、面一に結合することができる。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080の遠位端3081の段差により、本明細書で説明するカテーテルにおける遠位ゾーンのコイル3024は、遠位移行コネクタ3080の遠位面3087に対して面一に結合するとともに、遠位移行コネクタ3080とコイル3024との間に、一様な又はほぼ一様なギャップを形成し、これにより、溶接、ろう付け、及び/又はエポキシ化を含む手順を介しての、構成要素に対する結合を、容易とする。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080の遠位端3081の段差により、本明細書で説明するカテーテルにおける遠位ゾーンのコイル3024は、遠位移行コネクタ3080の遠位面3087に対して面一に結合するとともに、遠位移行コネクタ3080とコイル3024との間に、一様な又はほぼ一様なギャップを形成し、これにより、直下に位置したライナ(例えば、結束層3012、内側ライナ3014)に対する損傷を防止しつつ、溶接、ろう付け、及び/又はエポキシ化を含む手順を介しての、構成要素に対する結合を、容易とする。
【0133】
図25を参照すると、いくつかの実施形態による、遠位移行コネクタを有するカテーテルの側面図が示されている。図25に示すように、この実施形態におけるカテーテルは、編組3010を含む近位ゾーンと、図23による遠位移行コネクタ3080と、螺旋コイル3024を含む遠位ゾーンと、を含み、遠位移行コネクタの近位面3086は、編組3010の遠位端に対して結合しており、遠位移行コネクタの遠位面3087及び接線方向面3088は、螺旋コイル3024の近位端に対して結合している。この実施形態では、遠位移行コネクタ3080の近位端の、編組3010に対しての結合は、溶接、ろう付け、及び/又は半田、を含んでもよい。この実施形態では、遠位移行コネクタ3080の遠位端の、コイル3024に対しての結合は、溶接、ろう付け、及び/又は半田、を含んでもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、近位ゾーンのステンレス鋼編組3010と、遠位移行コネクタ3080の近位端3082との、溶接、ろう付け、及び/又は半田付け、並びに、遠位ゾーンのニチノール(登録商標)コイル3024と、遠位移行コネクタ3080の遠位端3081と、の溶接、ろう付け、及び/又は半田付け、を容易とする材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタは、白金、白金合金(例えば、90%の白金、及び、10%のイリジウム)、ニッケル、ニッケル合金、金、又は、金合金(例えば、Au-22Ni-8Pd、Au-20Cu)、を含む。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、カテーテルの近位ゾーンと遠位ゾーンとの間における、カテーテルの、可撓性、デュロメータ、及び/又は剛性に関する移行を可能とする材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、カテーテルの近位ゾーンと遠位ゾーンとの間における、カテーテルの、可撓性、デュロメータ、及び/又は剛性に関する、滑らかな、湾曲した、曲線的な、直線的な、及び/又は段差状の、移行を可能とする材料から構成されてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタの長さにわたって一貫した、内径3085及び外径3084を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタの長さにわたって異なる、内径3085及び外径3084を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、遠位移行コネクタの長さにわたって先細りとなる、内径3085及び外径3084を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、その近位端3082に、本明細書で説明するカテーテルにおける近位ゾーンの編組の内径及び外径と一致する、内径3085及び外径3084を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、その遠位端3081に、本明細書で説明するカテーテルにおける遠位ゾーンのコイルの内径及び外径と一致する、内径3085及び外径3084を含んでもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、ピンゲージ上で転がすことによってその内径3085を開放することで、本明細書で説明するカテーテルにおける内側ライナ上へと追加することができる。いくつかの実施形態では、遠位移行コネクタ3080は、ピンゲージ上で転がすことによってその内径3085を開放することで、内側ライナに対する損傷を防止しつつ、本明細書で説明するカテーテルにおける内側ライナ上へと追加することができる。
【0137】
一例では、90%の白金と10%のイリジウムとからなる合金から形成された遠位移行コネクタ3080において、遠位端3081から5/1000ピッチを除去した図25の実施形態によるカテーテルは、その近位端3082で、ステンレス鋼編組3010に対して溶接されているとともに、その遠位端3081で、本明細書で説明するU字形状曲げキンク試験において直径が24mm(この直径は、大動脈弓の典型的な内径よりわずかに小さい)のピン上でキンクするニチノール(登録商標)螺旋コイル3024に対して溶接されており、これにより、このようなカテーテルは、キンクすることなく、ヒトの大動脈弓の内部へと脱出することができる。
【0138】
本明細書で説明するカテーテルのいくつかの実施形態では、遠位コイル3024は、厚さ、断面直径、及び/又は断面積、が可変とされたワイヤから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位コイル3024は、厚さ、断面直径、及び/又は断面積が遠位向きに減少するワイヤから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位コイル3024は、遠位向きに可撓性を増大させたカテーテルを提供するために、厚さ、断面直径、及び/又は断面積が遠位向きに減少するワイヤから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位コイル3024は、遠位向きにデュロメータを減少させたカテーテルを提供するために、厚さ、断面直径、及び/又は断面積が遠位向きに減少するワイヤから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位コイル3024は、その近位端で近位編組3010のデュロメータに対してより密接に一致したデュロメータを有するカテーテルを提供するために、厚さ、断面直径、及び/又は断面積が遠位向きに減少するワイヤから構成されてもよく、また、遠位での可撓性を増大させたカテーテルを提供するために、デュロメータが遠位向きに減少するワイヤから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位コイル3024は、その近位端で遠位移行コネクタ3080のデュロメータに対してより密接に一致したデュロメータを有するカテーテルを提供するために、厚さ、断面直径、及び/又は断面積が遠位向きに減少するワイヤから構成されてもよく、また、遠位での可撓性を増大させたカテーテルを提供するために、デュロメータが遠位向きに減少するワイヤから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するカテーテルは、デュロメータの減少が滑らかであるとともにデュロメータの変化に著しい段差がないようにして、遠位向きに減少するデュロメータを有してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するカテーテルは、優れたキンク耐性を有するカテーテルを製造するために、デュロメータの減少が滑らかであるとともにデュロメータの変化に著しい段差がないようにして、遠位向きに減少するデュロメータを有してもよい。
【0139】
本実施形態について、特定の好ましい実施形態の観点から説明したけれども、本実施形態は、本明細書の開示に鑑みて、当業者によって他の実施形態の中へと組み込まれてもよい。したがって、本実施形態の範囲は、本明細書で開示した特定の実施形態によって限定されることを意図するものではなく、以下の請求項の全範囲によって規定されることが意図されている。
【0140】
例示的な実施形態
可撓性を増強したカテーテルであって、
【0141】
近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、
【0142】
側壁は、
【0143】
チューブ状編組と、第1螺旋コイルと、を含む近位ゾーンと、
【0144】
第2螺旋コイルを含む遠位ゾーンと、
【0145】
遠位ゾーンと近位ゾーンとの間の移行部と、を含み、
【0146】
移行部は、第2螺旋コイルの近位端から1cm以内のところに、チューブ状編組の遠位端を含み、第1螺旋コイルは、移行部を超えて遠位向きに延びている、可撓性を増強したカテーテル。
【0147】
チューブ状編組の遠位端は、第2螺旋コイルの近位端から5mm以内に位置している、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0148】
第1螺旋コイルは、第1直径を有するワイヤから形成されており、第2螺旋コイルは、より大きな第2直径を有するワイヤから形成されている、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0149】
第1螺旋コイルは、ステンレス鋼を含む、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0150】
第2螺旋コイルは、ニチノール(登録商標)を含む、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0151】
編組の遠位セクションは、熱アニールされたものである、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0152】
第1螺旋コイル及び第2螺旋コイルは、少なくとも約5mmの長さにわたって絡み合っている、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0153】
側壁は、チューブ状の内側ライナと、内側ライナによって管腔から離間された結束層と、をさらに含み、遠位ゾーンの第2螺旋コイルは、結束層に対して隣接しており、近位ゾーンの編組は、結束層に対して隣接している、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0154】
長尺の可撓体は、軸方向に隣接した複数のチューブ状セグメントから形成された外側ジャケットをさらに含み、チューブ状セグメントの近位側の1つは、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、チューブ状セグメントの遠位側の1つは、約35D以下のデュロメータを有している、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0155】
長尺の可撓体は、側壁の内部に、軸方向に延びるフィラメントをさらに含む、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0156】
チューブ状支持体をさらに含み、チューブ状支持体は、編組の遠位部分を取り囲む近位端と、第2コイルの近位部分を取り囲む遠位端と、を有している、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0157】
チューブ状支持体は、スロット付き金属チューブを含む、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0158】
可撓性を増強したカテーテルであって、
【0159】
近位端と、遠位端と、中央管腔を規定する側壁と、を有する長尺の可撓体を含み、
【0160】
側壁は、
【0161】
螺旋コイルの近位端に対して隣接することで結合部を形成する遠位端を有する近位チューブ状編組と、
【0162】
結合部にわたって延びるチューブ状金属支持体と、
【0163】
チューブ状支持体を取り囲む外側ジャケットと、を含む、可撓性を増強したカテーテル。
【0164】
チューブ状支持体の直下から遠位向きに延びる軸方向フィラメントをさらに含む、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0165】
側壁は、チューブ状の内側ライナと、内側ライナによって管腔から離間された結束層と、をさらに含み、遠位ゾーンの螺旋コイルは、結束層を取り囲んでおり、近位ゾーンの編組は、結束層を取り囲んでいる、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0166】
長尺の可撓体は、螺旋コイルまわりに同軸的に延びる軸方向に隣接した複数のチューブ状セグメントから形成された外側ジャケットをさらに含み、チューブ状セグメントの近位側の1つは、少なくとも約60Dのデュロメータを有しており、チューブ状セグメントの遠位側の1つは、約35D以下のデュロメータを有している、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテル。
【0167】
可撓性を増強したカテーテルを製造するための方法であって、
【0168】
カテーテルの近位ゾーンに編組を含むようにして、カテーテルを形成することと、
【0169】
カテーテルの編組の少なくとも一部を、マンドレル上に配置することと、
【0170】
コイル内において編組及びマンドレルを誘導加熱することを含むようにして、編組の遠位セクションをアニールすることと、
【0171】
編組のパラメータ変化を視覚的に監視することと、を含む、可撓性を増強したカテーテルを製造するための方法。
【0172】
編組を誘導加熱することは、ERDO誘導加熱器の内部に編組及びマンドレルを配置することを含む、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテルを製造するための方法。
【0173】
パラメータ変化は、編組の色の変化を含む、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテルを製造するための方法。
【0174】
遠位セクションは、約2cm以下の軸方向長さを有している、本明細書で開示した任意の実施形態における、可撓性を増強したカテーテルを製造するための方法。

図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4
図5
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図7
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図10
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図13
図14
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図20
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図22A
図22B
図23
図24
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【国際調査報告】