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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】複製可能ウイルスアッセイ
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20230419BHJP
   C12N 7/00 20060101ALI20230419BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20230419BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230419BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20230419BHJP
   C12N 15/48 20060101ALN20230419BHJP
【FI】
C12Q1/04 ZNA
C12N7/00
G01N33/569 G
C12N7/01
C12Q1/70
C12N15/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554638
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 GB2021050570
(87)【国際公開番号】W WO2021181074
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】2003412.0
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522357688
【氏名又は名称】オックスフォード・バイオメディカ・(ユーケイ)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Oxford Biomedica (UK) Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ストックデイル,サミュエル ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ラポソ,ルイ アンドレ サライバ
(72)【発明者】
【氏名】ファーリー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クラークソン,ニコラス ジョージ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QQ10
4B063QR77
4B063QR79
4B063QS25
4B065AA97X
4B065CA46
(57)【要約】
本発明は、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための新規な方法を提供する。該方法は、ウイルス許容性細胞および試験試料の一部を含む複数の個々の細胞培養アリコートを培養および希釈し、続いて複製可能ウイルスの存在について試験することを含む。該方法は、陽性対照と並行して使用されてもよく、これも本明細書に提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験試料中の複製可能ウイルスを検出する方法であって、
a)それぞれが12ml未満の最大水性容量を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供することであって、各アリコートは試料の一部およびウイルス許容性細胞を含む、提供すること;
b)アリコートを少なくとも9日間培養すること;
c)アリコートを少なくともさらに6日間培養することであって、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用してアリコートを継代する、培養すること;および
d)複製可能ウイルスの存在について試験すること
を含む、方法。
【請求項2】
ウイルスが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびワクシニアウイルスからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レトロウイルスがレンチウイルスである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)における個々の細胞培養アリコートのそれぞれの最大水性容量が、11ml、10ml、5mlまたは3mlから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程c)の間に、全てのアリコートにわたる総容量が少なくとも50%減少する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
試験試料がウイルス粒子または生産終了細胞を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ウイルス許容性細胞が非接着性である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ウイルス許容性細胞が、以下:
a)不死化T細胞株、所望により該細胞はジャーカット細胞、CEM-SS細胞、PM1細胞、Molt4細胞、Molt4.8細胞、SupT1細胞、MT4細胞またはC8166細胞から選択される;または
b)非T細胞株、所望により該細胞はHEK293細胞または92BR細胞から選択される
から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量が少なくとも約115mlである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程a)における複数の個々の細胞培養アリコートの初期播種密度が、約1×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲である、請求項1~9のいずれ一項かに記載の方法。
【請求項11】
工程a)における複数の個々の細胞培養アリコートの初期播種密度が、約1×10総細胞/mlから1×10総細胞/mlの範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程c)が、少なくともさらに8日間または9日間、アリコートを培養することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
各個々の細胞培養アリコートが細胞培養容器内にある、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
細胞培養容器が、細胞培養チューブ、細胞培養ディッシュ、または複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数のウェルを含む細胞培養プレートが、4ウェル、6ウェル、8ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェルおよび384ウェル細胞培養プレートからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
複数のウェルを含む細胞培養プレートが、12ウェルプレートまたは24ウェルプレートである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
自動化されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
複製可能ウイルスの存在が、PCRまたはELISAを使用して試験される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
複製可能ウイルスの存在が、逆転写酵素アッセイを使用して試験される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
方法が、試験試料中の複製可能レンチウイルスを検出するためのものであり、そして該方法が、核酸配列内に機能的に変異した少なくとも1つのアクセサリー遺伝子を有する弱毒化複製可能レンチウイルスを含む陽性対照試料と並行して実施され、ここで少なくとも1つのアクセサリー遺伝子が、vif、vpr、vpx、vpuおよびnefから選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
該方法が、該試験試料中の複製可能なHIV、SIV、SHIV、またはその変異体を検出するためのものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
弱毒化複製可能レンチウイルスが、機能的に変異したvif、vpr、vpx、vpuおよびnefのうちの少なくとも3つを有する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
弱毒化複製可能ウイルスが、配列番号1による核酸配列を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
遺伝子治療のための産物を試験するための方法である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
配列番号1による核酸配列を含む、複製可能ウイルス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための新規な方法を提供する。該方法は、ウイルス許容性細胞および試験試料の一部を含む複数の個々の細胞培養アリコートを培養および希釈し、続いて複製可能ウイルスの存在について試験することを含む。該方法は、陽性対照と並行して使用されてもよく、これも本明細書に提供される。
【背景技術】
【0002】
背景
遺伝子治療は、病気を治療するために遺伝物質を広く使用することを含む。治療用遺伝物質は、ベクターを使用して宿主の標的細胞に組み込まれ、核酸の伝達を可能にしてもよい。かかるベクターは、一般に、ウイルスと非ウイルスのカテゴリーに分けることができる。治療用遺伝子の送達にウイルスベクターを使用することは周知であり、遺伝子治療産物は現在、世界のヘルスケア市場の重要な部分を占めている。
【0003】
ウイルスは、複製サイクルの一部として宿主の標的細胞に遺伝物質を自然に導入する。設計されたウイルスベクターは、この機能を利用して、目的のヌクレオチド(NOI)を標的細胞に送達できるようにする。現在までに、多くのウイルスが遺伝子治療のためのベクターとして設計されている。これらは、レトロウイルス、アデノウイルス(AdV)、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、およびワクシニアウイルス(VACV)を含む。
【0004】
レトロウイルスベクターは、種々の遺伝性疾患の治療法として開発されており、臨床試験および承認された治療薬(例えばStrimvelis(登録商標)およびKymriah(登録商標))においてますます期待が高まり続けている。現在、Journal of Gene Medicineデータベースに登録されているレトロウイルス遺伝子治療を含む459件以上のヒト臨床試験がある。158の遺伝子治療臨床試験がレンチウイルスベクターを使用している(http://www.abedia.com/wiley/vectors.php、2017年4月に更新)。
【0005】
遺伝子治療に使用されるウイルスベクターは、典型的に、複製が欠損するように設計されている。このように、組換えベクターは標的細胞に直接感染することができるが、感染性ビリオンのさらなる世代を生産することはできない。他のタイプのウイルスベクターは、癌細胞内でのみ条件付きで複製可能であってもよく、そしてさらに毒性導入遺伝子またはプロ酵素をコードしてもよい。
【0006】
ヒト遺伝子治療およびワクチン接種のためのウイルスベクターの製造は、十分に文書化されている。ウイルスベクター製造の周知の方法は、ベクターDNA構成要素による初代細胞または哺乳類/昆虫細胞株のトランスフェクション、それに続く限られたインキュベーション期間、およびその後の培養培地および/または細胞からの粗ベクターの回収(本明細書では「回収上清」と呼ばれる)を含む。多くの場合、ベクター生産に必要な各構成要素は、生産プロセスを通じて複製可能ウイルス粒子を形成するために多数の組換え事象が発生する必要があるため、安全上の理由から、個別のプラスミドによってコードされる。
【0007】
ウイルスベクターは複製に欠陥があるように設計されているが、多くの場合、試料または投与のために処方された治療用組成物または薬学的組成物などの組成物中に複製可能ウイルス(例えば、複製可能なレトロウイルス(RCR)または複製可能レンチウイルス(RCL)など)が存在しないことを確認することが望ましいか、または必要でさえあってもよい。[1]ウイルスベクター粒子ではなくレトロウイルス(および推定RCR/RCL)で発現される遺伝子の転写を検出するPCRアッセイ(例えば、WO2019/152747)、[2]推定RCR/RCLの必要な機能特性を測定するアッセイ(Sastryら,2005)、および[3]プラーク形成アッセイなどの表現型アッセイ(Forestellら,1996)を含む、複製可能ウイルスが存在しないことを確認するための種々の方法が利用可能である。大多数のアッセイ形式では、細胞ベースの段階で被験物質内に存在してもよいRCR/RCLを増幅して信頼性/感度を高め、その後にエンドポイントアッセイを行う必要がある。被験物質(ベクター産物など)が推定RCR/RCLと同じ特性(逆転写酵素活性など)を共有している場合、増幅フェーズは、実際のRCRから潜在的なシグナルが得られるように、この活性を希釈するのに必要な時間も提供する。被験物質(例えばベクター産物)が推定上のRCR/RCLと同じ特性(例えば逆転写酵素活性)を共有する場合、増幅フェーズはこの活性を希釈するのに必要な時間も提供して、存在してもよい実際のRCR/RCLからの潜在的なシグナルをエンドポイントアッセイによって明確に検出できるようにする。これは、被験物質を接種される増幅細胞培養物中にスパイクされる適切な陽性対照ウイルスによってモデル化される。RCR/RCL試験において、被験物質はベクター材料であり、生産後の細胞でもあるため、ベクター産物の任意の所与のバッチに対して2つの試験が必要である。しかしながら、多くの要因により、特に培養段階の規模に関して、複製可能ウイルス(RCV)試験の設計が複雑になる。臨床使用のために開発されているウイルスベクターシステムに由来するRCVは過去に報告されているが、第3世代のレンチウイルスシステムに由来するRCLはまだ報告されていない。したがって、RCV検出システムは、現在理論上のウイルスを予測する必要がある。したがって、少なくとも40mlの培養物を含む15個以上のフラスコが典型的に、各アッセイを開始するために必要である。したがって、典型的に、アッセイの3~4週間の時間経過で100個を超えるフラスコを処理する必要がある。したがって、これらの方法は、特に使用する陽性対照ウイルスによっては、封じ込めレベル3で実施する必要があることが多いため、時間および労力がかかる可能性がある。大量の培養フラスコを長時間にわたって手動で継代すると、人的ミスまたは微生物汚染の可能性が高まり、いずれも費用のかかるアッセイの失敗または終了につながる。
【0008】
試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための改良された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
開示の要約
本発明は、少量の個々のアリコート容量(例えば、12ml未満)を使用した場合でも、複製可能ウイルスを正確に検出できるという驚くべき発見に基づいている。この発見により、例えば、ロボットで処理できる複数のウェルを含む組織培養プレートを使用することにより、かかるアッセイをより簡単に自動化することができる。かかるアッセイの自動化により、オペレーターの作業負荷が有意に軽減され、アッセイのスループットが向上する。さらに、本発明者らは、感度に悪影響を与えることなく、少量のアリコートの継代中、少なくとも2倍の希釈係数を使用できることを見出した。好都合なことに、本明細書に記載の方法を使用して、感度を維持しながら、複製可能ウイルス検出に使用される全体の容量および/またはアリコート数を減らしてもよい。
【0010】
本発明者らはまた、本明細書に記載の単位容量でどの初期細胞播種密度を使用できるかを調査した。有利なことに、彼らは、少なくとも1×10総細胞/mlの播種密度を使用できることを見出した。驚くべきことに、彼らはまた、初期播種密度を増加させると、対応する陽性対照の感染率に阻害効果を及ぼすことなく、アッセイの感度が向上することも見出した。有利には、約1×10総細胞/mlから1×10総細胞/mlの範囲の初期播種密度(例えば、約5×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲)したがって、1×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlなど)を使用してもよい。したがって、本明細書に記載の播種密度を使用して、感染率を増加させ、および/または必要な試験試料の初期総容量を減らしてもよく、FDAガイドラインを遵守してもよい。
【0011】
本明細書に記載の方法は、遺伝子治療のために製造されたウイルス産物を臨床的にリリースする前に試験する必要がある場合に有用である。この文脈において、本明細書に記載の方法は、任意の適切な陽性対照(例えば、ヌクレオチド配列内に機能的に変異した少なくとも1つのアクセサリー遺伝子を有する弱毒化複製可能レンチウイルス、ここで少なくとも1つのアクセサリー遺伝子は、本明細書の他の場所に記載されているように、vif、vpr、vpx、vpuおよびnefから選択される)と並行して実施されてもよい。この文脈において、本発明者らはまた、アッセイの時間経過を通じて感染性を維持するため本明細書に記載の方法と組み合わせて使用する場合に特に有用である、新規のvif+、Δvpr、ΔvpuおよびΔnef HIV-1複製可能ウイルス(本明細書では「HIVΔA3Vif+」と呼ぶ)を生成した。したがって、この陽性対照は、本明細書に記載のアッセイに関連して有利に使用してもよい。
【0012】
本発明者らは、レンチウイルスベクターを製造するために使用された生産終了細胞(EOPC)を含む試験試料を使用して本発明を実証した。しかしながら、レンチウイルスベクターまたはEOPCの試験について使用される細胞培養方法は、同じ要因、すなわち少なくとも15日間の(すなわち、アッセイの時間経過にわたって)ウイルス許容性細胞の存在下での感染性、感受性、および培養に依存しているため、本明細書に記載の方法論は、製造されたレンチウイルスベクター自体を含む試験試料(例えば、回収上清)中の複製可能ウイルスを検出するための方法にも同様に適用される。
【0013】
以下に示すデータは、本明細書に記載の新規方法を使用して複製可能レンチウイルスを検出できることを示している。しかしながら、本発明はレンチウイルス系に限定されず、互換性のあるウイルス許容性細胞および対応する陽性対照が使用される場合はレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルスまたはワクシニアウイルスなどの任意の複製可能ウイルスを検出するために使用してもよい。以下により詳細に記載されるように、当業者は、選択したウイルスと共に使用するための適合するウイルス許容性細胞および対応する陽性対照を容易に特定することができる。
【0014】
試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法が提供され、該方法は以下を含む:
a)それぞれが12ml未満の最大水性容量を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供することであって、各アリコートは試料の一部およびウイルス許容性細胞を含む、提供すること;
b)アリコートを少なくとも9日間培養すること;
c)アリコートを少なくともさらに6日間培養することであって、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用してアリコートを継代する、培養すること;および
d)複製可能ウイルスの存在について試験すること。
【0015】
適切には、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスからなる群から選択されてもよい。
【0016】
適切には、レトロウイルスはレンチウイルスであってもよい。
【0017】
適切には、工程a)における個々の細胞培養アリコートのそれぞれの最大水性容量は、11ml、10ml、5mlまたは3mlから選択されてもよい。
【0018】
適切には、全てのアリコートにわたる総容量は、工程c)の間に少なくとも50%減少してもよい。
【0019】
適切には、試験試料は、ウイルス粒子または生産終了細胞を含んでもよい。
【0020】
適切には、ウイルス許容性細胞は非接着性であってもよい。
【0021】
適切には、ウイルス許容性細胞は、以下:
a)不死化T細胞株、所望により該細胞はジャーカット細胞、CEM-SS細胞、PM1細胞、Molt4細胞、Molt4.8細胞、SupT1細胞、MT4細胞またはC8166細胞から選択される;または
b)非T細胞株、所望により該細胞はHEK293細胞または92BR細胞から選択される
から選択されてもよい。
【0022】
適切には、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも約115mlであってもよい。
【0023】
適切には、工程a)における複数の個々の細胞培養アリコートの初期播種密度は、約1×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲であってもよい。
【0024】
適切には、工程a)における複数の個々の細胞培養アリコートの初期播種密度は、約1×10総細胞/mlから1×10総細胞/mlの範囲であってもよい。
【0025】
適切には、工程c)は、アリコートを少なくともさらに8日間または9日間培養することを含んでもよい。
【0026】
適切には、個々の細胞培養アリコートのそれぞれが細胞培養容器内にあってもよい。
【0027】
適切には、細胞培養容器は、細胞培養チューブ、細胞培養ディッシュ、または複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択されてもよい。
【0028】
好適には、複数のウェルを含む細胞培養プレートは、4ウェル、6ウェル、8ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェルおよび384ウェル細胞培養プレートからなる群から選択されてもよい。
【0029】
適切には、複数のウェルを含む細胞培養プレートは、12ウェルプレートまたは24ウェルプレートであってもよい。
【0030】
適切には、該方法は自動化されてもよい。
【0031】
適切には、複製可能ウイルスの存在は、PCRまたはELISAを使用して試験されてもよい。
【0032】
適切には、複製可能ウイルスの存在は、逆転写酵素アッセイを使用して試験されてもよい。
【0033】
適切には、該方法は、試験試料中の複製可能レンチウイルスを検出するためのものであってもよく、該方法は、そのヌクレオチド配列内で機能的に変異した少なくとも1つのアクセサリー遺伝子を有する弱毒化複製可能レンチウイルスを含む陽性対照試料と並行して実施されてもよく、ここで少なくとも1つのアクセサリー遺伝子は、vif、vpr、vpx、vpuおよびnefから選択される。
【0034】
適切には、該方法は、試験試料中の複製可能なHIV、SIV、SHIV、またはその変異体を検出するためのものであってもよい。
【0035】
適切には、弱毒化複製可能レンチウイルスは、機能的に変異したvif、vpr、vpx、vpuおよびnefのうちの少なくとも3つを有してもよい。
【0036】
適切には、弱毒化複製可能ウイルスは、配列番号1による核酸配列を含んでもよい。
【0037】
適切には、該方法は、遺伝子治療のための産物を試験するためのものであってもよい。
【0038】
適切には、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法は、以下を含んでもよい:
a)それぞれが10ml以下の最大水性容量を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供することであって、各アリコートは試料の一部およびウイルス許容性細胞を含む、提供すること;
b)アリコートを少なくとも9日間培養すること;
c)アリコートを少なくともさらに6日間培養することであって、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用してアリコートを継代する、培養すること;および
d)複製可能ウイルスの存在について試験すること。この例において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも約115mlであってもよい。
【0039】
適切には、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法は、以下を含んでもよい:
a)それぞれが5ml以下の最大水性容量を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供することであって、各アリコートは試料の一部およびウイルス許容性細胞を含む、提供すること;
b)アリコートを少なくとも9日間培養すること;
c)アリコートを少なくともさらに6日間培養することであって、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用してアリコートを継代する、培養すること;および
d)複製可能ウイルスの存在について試験すること。この例において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも約115mlであってもよい。
【0040】
適切には、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法は、以下を含んでもよい:
a)それぞれが3ml以下の最大水性容量を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供することであって、各アリコートは試料の一部およびウイルス許容性細胞を含む、提供すること;
b)アリコートを少なくとも9日間培養すること;
c)アリコートを少なくともさらに6日間培養することであって、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用してアリコートを継代する、培養すること;および
d)複製可能ウイルスの存在について試験すること。この例において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも約115mlであってもよい。
【0041】
適切には、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法は、以下を含んでもよい:
a)それぞれが2ml以下の最大水性容量を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供することであって、各アリコートは試料の一部およびウイルス許容性細胞を含む、提供すること;
b)アリコートを少なくとも9日間培養すること;
c)アリコートを少なくともさらに6日間培養することであって、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用してアリコートを継代する、培養すること;および
d)複製可能ウイルスの存在について試験すること。この例において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも約115mlであってもよい。
【0042】
適切には、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法は、以下を含んでもよい:
a)それぞれが1ml以下の最大水性容量を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供することであって、各アリコートは試料の一部およびウイルス許容性細胞を含む、提供すること;
b)アリコートを少なくとも9日間培養すること;
c)アリコートを少なくともさらに6日間培養することであって、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用してアリコートを継代する、培養すること;および
d)複製可能ウイルスの存在について試験すること。この例において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも約115mlであってもよい。
【0043】
適切には、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法は、以下を含んでもよい:
a)それぞれが0.6ml以下の最大水性容量を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供することであって、各アリコートは試料の一部およびウイルス許容性細胞を含む、提供すること;
b)アリコートを少なくとも9日間培養すること;
c)アリコートを少なくともさらに6日間培養することであって、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用してアリコートを継代する、培養すること;および
d)複製可能ウイルスの存在について試験すること。この例において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも約115mlであってもよい。
【0044】
配列番号1による核酸配列を含む複製可能ウイルスも、提供される。
【0045】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む」および「含有する」なる言葉およびそれらの変形は、「含むが、これらに限定されない」を意味し、そしてそれらは、他の部分、添加物、構成要素、完全体または工程を排除することを意図しない(そして排除しない)。
【0046】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、単数形は、文脈上別段の要求がない限り、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、文脈上別段の要求がない限り、単一性だけでなく複数性も考慮していると理解されるべきである。
【0047】
本発明の特定の態様、実施形態または実施例に関連して記載される特徴、整数、特徴、化合物、化学部分または基は、両立しない場合を除き、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態または実施例に適用可能であると理解されるべきである。
【0048】
本発明の様々な態様を以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図の簡単な説明
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下にさらに説明される。
【0050】
図1は、計算された感染力価(オペレーター1)に対する初期播種密度の増加の影響を示している。
【0051】
図2は、計算された感染力価に対する初期播種密度の増加の影響を示している(オペレーター2)。
【0052】
図3は、8x24ウェルプレートがアッセイの期間にわたって1x12ウェルプレートに順次プールされる特定の例を示す概略図を示している。
【0053】
図4は、RCLアッセイの陽性対照ウイルスを生成するために使用されるアクセサリー遺伝子のノックアウトを示す概略図である。野生型(wt)HIV-1プロウイルスのゲノム構造が表示され;U3プロモーターは、tatによって活性化される転写を駆動する。スプライシングされていないおよび単一のスプライシングされたmRNAは、それぞれgagpolおよびenvタンパク質をコードし、スプライシングされていないvRNAはビリオンにパッケージ化される。スプライシングされていないmRNAは、核から搬出されるためにrev in transを必要とする。アクセサリー遺伝子vif、vpr、vpu、およびnefはベクターシステムには存在せず、一般に初代細胞における複製にのみ必要である。RCLアッセイに適した陽性対照ウイルスは、理想的には、ベクターシステムのベースとなる親ウイルス(この場合はHIV-1)の最も弱毒化バージョンである必要がある。弱毒化変異体HIVΔA3Vif+およびHIVΔA4は、複製に確実に必要なtatおよびrevをコード/発現する。アクセサリー遺伝子は、C8166-45細胞を使用する場合のHIVΔA3Vif+でのVifの要件を除いて、両方の変異体において機能的に変異している、なぜならこれらの細胞はVifが対抗する制限因子APOBEC3Gを低レベルで発現するためである。
【0054】
図5は、完全に弱毒化HIV-1(HIVΔA4)がC8166細胞での継代中に感染性を失うことを示す実験の概要およびデータを示している。vif、vpr、vpu、およびnefに機能的変異を有するHIVΔA4プロウイルスDNAは、一過性トランスフェクションによってHEK293T細胞において最初に生成された。得られたHIVΔA4ウイルスストックをF-PERT(RT-qPCR)で滴定し、RT単位の数を定量化した。次いで、ウイルスストックをC8166細胞で力価測定し、10倍連続希釈ウイルスを3回感染させ(1000対1RT単位/ウェル)、接種後数日後にF-PERTでHIVΔA4のde novo生産を測定した。F-PERTアッセイにおいて、感染の陽性-陰性閾値をCt25に設定した。Ct25未満は、継代1(継代0)前のHIVΔA4の明確なde novo生産を示した。並行して、C8166細胞の主培養に100RT単位のHIVΔA4ウイルスストックを接種し、RCLアッセイでの使用を目的としたウイルスPCバンクを生成する前に6回継代した。しかしながら、継代0で実施されるこの最終的なHIVΔA4ウイルスストックのF-PERT分析を繰り返すと、新鮮なC8166細胞にRT単位一致量のHIVΔA4ウイルスを接種したにもかかわらず、de novoHIVΔA4の生産は開始ウイルスストックと比較して劇的に減少したことが示された。このことは、C8166細胞において継代されたウイルスが経時的に弱毒化することを示した。これは文献において報告されるC8166細胞におけるAPOBEC3Gの低レベルの発現によるものであるという仮説が立てられた。
【0055】
図6は、HIVΔA4またはHIVΔA3Vif+をコードするプラスミドDNAの制限酵素消化物の臭化エチジウム染色アガロースゲル分析を示し、クローニングによる成功したVif ORFの「再挿入」を実証する。
【0056】
図7は、C8166細胞の長期感染によってウイルス活性を維持するためにVif機能が必要であることを実証するために実施される実験の概要およびデータを示している。野生型HIV-1(NL4-3)、HIVΔA4、およびHIVΔA3Vif+ウイルスストックは、一過性トランスフェクションによってHEK293T細胞で最初に生成された。T25フラスコにおいて、1.5x10個のC8166細胞に100RT単位の各ウイルスストックを感染させ、3~4日間培養してde novoウイルスを生産させた。各継代点で、無細胞培養上清をサンプリングし、RT活性を分析(F-PERTアッセイ)した後、新鮮なC8166細胞培養物に無細胞上清0.1mLを接種した(すなわち、ウイルスの上清のみの継代)。各継代点での上清中のRT活性がプロットされ、HIVΔA4は新しい細胞に感染する能力を徐々に失ったのに対し、HIVΔA3Vif+ウイルスは継代前の各点で最大限に感染した培養物につながる細胞に生産的に感染することができたことが示された。継代6での3つのウイルスゲノムにおけるPol内の領域の配列決定により、野生型またはHIVΔA3Vifと比較して、HIVΔA4内のG>A超変異事象が約10倍増加することが明らかになった(データは示していない)。HIVΔA4はAPOBEC3Gの半制限レベルによるものである。
【0057】
本明細書で参照される特許、科学的および技術的文献は、出願時に当業者が利用できた知識を確立する。発行された特許、公開されたおよび係属中の特許出願、および本明細書で引用されている他の刊行物の開示全体は、それぞれが参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合は、本開示が優先される。
【0058】
本発明の様々な態様を以下でさらに詳細に説明する。
【0059】
詳細な説明
複製可能ウイルスを検出する方法
本明細書では、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための新規な方法が提供される。
【0060】
該方法は、ウイルス許容性細胞および試験試料の一部を含む複数の個々の細胞培養アリコートを培養および希釈し、続いて複製可能ウイルスの存在について試験することを含む。本明細書に記載の方法は、遺伝子治療のための産物を試験するのに特に有用である。
【0061】
本明細書で使用される場合、「試験試料」は、複製能力のあるウイルスを含んでもよい対象の任意の試料を指す。典型的に、試験試料が複製可能ウイルスを含むかどうかは、方法の開始時には知られていない。
【0062】
特定の例において、試験試料は、ウイルス粒子または生産終了細胞を含む。
【0063】
したがって、一例において、試験試料はウイルス粒子を含んでもよい。本明細書では、ウイルス粒子は、ウイルスベクター粒子、ビリオン、またはウイルスとも呼ばれる。ウイルス粒子は、遺伝子治療のためのウイルスベクターの製造中に回収される細胞培養上清中に存在してもよい。かかる細胞培養上清は、本明細書では回収上清とも呼ばれる。したがって、試験試料は回収上清であってもよい。典型的には、かかるアッセイは「複製可能ウイルス」アッセイ(RCVアッセイ、例えばRCRアッセイ(レトロウイルスに対して)またはRCLアッセイ(レンチウイルスに対して))と呼ばれる。
【0064】
別の例において、試験試料は、生産終了細胞試料であってもよい。典型的には、かかるアッセイは、生産終了細胞およびウイルス許容性細胞の共培養を必要とするため、「複製可能ウイルス共培養」アッセイ(RCVCCアッセイ、例えばRCRCCアッセイ(レトロウイルスに対して)またはRCLCCアッセイ(レンチウイルスに対して))と呼ばれる。「生産終了細胞試料」なる語は、生産終了細胞を含む任意の試料を指す。「生産終了細胞」は、ウイルスベクターの製造に使用された細胞である。言い換えると、製造サイクルの最後に残る生産細胞である。生産細胞は、ウイルスベクター生産細胞、またはベクター生産細胞としても知られている。
【0065】
「ウイルスベクター生産細胞」、「ベクター生産細胞」、または「生産細胞」は、ウイルスベクターまたはウイルスベクター粒子を生産することができる細胞として理解されるべきである。ベクター生産細胞は、「プロデューサー細胞」または「パッケージング細胞」であってもよい。ウイルスベクター系の1つまたは複数のDNA構築物は、ウイルスベクター生産細胞内に安定的に組み込まれるか、またはエピソーム的に維持されてもよい。あるいは、ウイルスベクター系の全てのDNA構成要素は、ウイルスベクター生産細胞に一過性にトランスフェクトされてもよい。さらに別の代替法において、構成要素のいくつかを安定して発現する生産細胞は、ベクター生産に必要な残りの構成要素で一過性にトランスフェクトされてもよい。
【0066】
本明細書で使用される「パッケージング細胞」なる語は、ウイルスベクター粒子の生産に必要な要素を含有するが、ベクターゲノムを欠く細胞を指す。所望により、かかるパッケージング細胞は、ウイルス構造タンパク質(gag、gag/polおよびenvなど)を発現することができる1つまたは複数の発現カセットを含有する。
【0067】
プロデューサー細胞/パッケージング細胞は、任意の適切な細胞型であってもよい。それらは、組織培養細胞系などのインビトロで培養された細胞であってもよい。それらは一般に哺乳動物細胞であるが、例えば昆虫細胞であってもよい。適切な哺乳動物細胞は、マウス線維芽細胞由来の細胞株またはヒト細胞株を含む。ベクター生産細胞は、ヒト細胞系に由来することが好ましい。哺乳類またはヒト細胞などの適切な真核細胞の非限定的な例は、HEK293T、HEK293、CAP、CAP-T、CHO細胞、またはPER.C6細胞を含む。適切な昆虫細胞の非限定的な例は、SF9細胞であってもよい。
【0068】
生産細胞に核酸を導入する方法は、当技術分野で周知であり、以前に記載されている。
【0069】
本明細書に記載の方法は、試験試料中の複製可能ウイルスの存在を検出するためのものである。本明細書で使用される場合、「複製能力のあるウイルス」とは、複製することができるウイルス、すなわち、複製欠損ではない、またはもはや複製欠損ではないウイルスを指す。このように、ウイルスは標的細胞に直接感染することができ、さらに世代の感染性ビリオンを生産することができる。
【0070】
本明細書に記載の方法を使用して、任意の適切なウイルスを検出することができる。例えば、ウイルスは、哺乳動物(好ましくはヒト)細胞に感染することができてもよい。適切なウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスからなる群から選択されてもよい。例えば、ウイルスはレンチウイルスであってもよい。一例において、ウイルスはSIN(自己不活化)ウイルスである。いくつかの例において、目的のウイルスは、MMLV、HIV-1、EIAV、またはそれらの変異体から選択されてもよい。これらの各ウイルスの詳細は、以下の「一般的な定義」セクションに記載されている。
【0071】
複数の個々の細胞培養アリコートを提供する
本明細書に記載の方法は、a)それぞれが12ml未満の最大水性容量(例えば、必要に応じて11ml、10ml、5mlまたは3mlの最大水性容量)を有する複数の個々の細胞培養アリコートを提供する工程を含み、ここで各アリコートは試験試料およびウイルス許容性細胞の一部を含む。比較的少量の複数のアリコートを使用することにより、本明細書で提供される方法をより容易に自動化することができる。驚くべきことに、RCRおよびRCRCCアッセイ(およびRCLおよびRCLCCアッセイを含む同等のアッセイ)において、少量の培養物量で複数のアリコートを使用すると、アッセイ全体で感度が保持される。かかる検出システムは、現在理論上のウイルスを予測する必要があるため、この文脈において感度が重要である。
【0072】
本明細書に記載の方法は、それぞれが小さい最大水性容量(例えば、3ml以下)を有する複数の個々の細胞培養アリコートと組み合わせて使用される場合に特に有利である。
【0073】
本明細書で使用される「個々の細胞培養アリコート」(本明細書では「アリコート」とも略される)は、単一の細胞培養反応チャンバー内に存在する別個の細胞培養容量を指す。換言すれば、個々の細胞培養反応チャンバー内に存在する細胞培養組成物の総容量を指す。細胞培養反応チャンバーは、細胞培養ウェル(例えば、細胞培養プレート内のウェル)、細胞培養チューブ、細胞培養ディッシュ、または細胞培養フラスコであってもよい。
【0074】
細胞培養チューブ、細胞培養フラスコ、細胞培養ディッシュ、および細胞培養プレートは、本明細書に記載の方法内で使用されてもよい別個の細胞培養産物(または消耗品)の例であるため、本明細書では細胞培養容器と呼ばれる。細胞培養チューブ、細胞培養フラスコ、細胞培養ディッシュは典型的に、単一の細胞培養反応チャンバーを有する細胞培養容器であるが、細胞培養プレートは典型的に、複数の細胞培養反応チャンバー(すなわち、複数のウェル)を有する細胞培養容器である。他の適切な細胞培養容器は、当技術分野で周知である。
【0075】
したがって、特定の例として、細胞培養容器は、複数のウェルを含む細胞培養プレートであってもよい。この文脈において、細胞培養容器(プレート)は、いくつかの細胞培養反応チャンバー(ウェル)を有し、それぞれが個々の細胞培養アリコート(細胞培養の離散容量)を保持することができる。
【0076】
所望により、細胞培養容器は、細胞培養チューブ、細胞培養ディッシュ、または複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択される。好ましくは、細胞培養容器は、複数のウェルを含む細胞培養プレートであり、これはこの形式が自動化に最も適しているからである。例えば、細胞培養プレートは、4ウェル、6ウェル、8ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェルまたは384ウェル細胞培養プレートから選択されてもよい。特定の例において、12ウェルプレートおよび/または24ウェルプレートを使用してもよい。当業者には明らかであるように、複数のウェルを含む細胞培養プレートに関して、各ウェルは、個々の細胞培養アリコートを含んでもよい別個の細胞培養反応チャンバーであると考えられる。したがって、4ウェルプレートは、最大4つの個別の細胞培養アリコート(個別の細胞培養反応チャンバー/ウェルのそれぞれに1つ)を含有してもよい細胞培養容器である。6ウェルプレートは、最大6つの個別の細胞培養アリコート(個別の細胞培養反応チャンバー/ウェルのそれぞれに1つずつ)などを含んでもよい細胞培養容器である。
【0077】
一例において、個々の細胞培養アリコートは、細胞培養プレートである細胞培養容器内に存在する。なぜなら、細胞培養プレートは自動化に特に適しており、ハイスループットアッセイで使用できるからである。当業者には明らかなように、特定の状況下では、細胞培養チューブを使用することも有用である可能性があり、かかる細胞培養容器は自動化された方法でも使用してもよい(例えば、エッペンドルフ管のストリップを使用してもよい)。細胞培養ディッシュは、自動化された方法において使用されてもよい。したがって、いくつかの例において、個々の細胞培養アリコートは、細胞培養プレート、ディッシュ、またはチューブである細胞培養容器内に存在してもよい。いくつかの例において、細胞培養容器は細胞培養フラスコではない。
【0078】
好ましい例において、複数の個々の細胞培養アリコートは、1つ(またはそれ以上)の細胞培養プレート中にある。したがって、複数の個々の細胞培養アリコート(例えば、各々が小さい最大水性容量(例えば、12ml未満、例えば3ml以下)を有する)は、1つ以上の細胞培養プレート内に存在することができ、ここで該プレートのウェルはアリコートを含有する(1アリコート/ウェル)。この文脈において、例えば、48以上の個々の細胞培養アリコートは2つ以上の24ウェル細胞培養プレート内に提供されてもよい(すなわち、各アリコートは別々のプレート内に提供される)。複数のアリコートをどのように提供できるかの他の例(例えば、1つまたは複数の4ウェル、6ウェル、8ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェルまたは384ウェル細胞培養プレート、またはそれらの組み合わせ)は、当業者によって容易に特定されてもよい。
【0079】
本明細書で使用される場合、「複数の個々の細胞培養アリコート」は、2つ以上の個々の細胞培養アリコートを指す。本明細書に記載の方法は、8以上、16以上、24以上、32以上、40以上、48以上、56以上、64以上、72以上、80以上、88以上、96以上、104以上、112以上、120以上、128以上、136以上、144以上、152以上、160以上、168以上、176以上、184以上、192以上、384以上等工程a)における個々の細胞培養アリコートより多い。
【0080】
本明細書で提供される方法は、複数の個々の細胞培養アリコートが並行して(すなわち同時に)培養される状況、ならびに複数の個々の細胞培養アリコートが連続的に(すなわち正確に同時にではない)培養される状況を包含する。例えば、該方法は、個々の細胞培養アリコートが、例えば1回のバッチで培養される状況を包含する。8、12、24、48、96などであり、各バッチは、例えば全バッチが1バッチになるまで順次培養される。192個の個々の細胞培養アリコートが培養されており、複製可能ウイルスの存在について試験する準備ができている。しかしながら、一般的には同時培養が好ましい。
【0081】
特定の例において、48個以上の個々の細胞培養アリコートが工程a)で提供される。別の例において、96個以上の個々の細胞培養アリコートが工程a)で提供される。別の例において、工程a)で120個以上の個々の細胞培養アリコートが提供される。さらなる例において、192個以上の個々の細胞培養アリコートが工程a)で提供される。別の例において、工程a)で384個以上の個々の細胞培養アリコートが提供される。
【0082】
本明細書で述べたように、工程a)の個々の細胞培養アリコートのそれぞれは、12ml未満の最大水性容量を有する。
【0083】
工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートは、それぞれの個々の細胞培養アリコートの最大水性容量が12ml未満である場合、すべて同じ容量を有してもよく、または異なる容量を有してもよい。本明細書で使用する場合、「最大水性容量」とは、個々の細胞培養アリコートに使用できる総水性容量を指す。換言すれば、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、12ml未満(例えば、11ml、10ml、5ml、または3ml以下)であってもよい。
【0084】
当業者には明らかであるように、「個々の細胞培養アリコート」は一定の容量を有していなければならず、そうでなければアリコートではない。したがって、アリコートの最小水溶液量をゼロにすることはできない。最小水量の合理的な下限は、使用する反応チャンバーによって異なる。例えば、下限を0.1mlに設定することができる。換言すれば、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、0.1mlの最小水性容量で、12ml未満(例えば、11ml、10ml、5ml、または3ml、またはそれ以下など)であってもよい。したがって、本明細書に記載の個々の細胞培養アリコートは、約0.1mlから所望の最大水性容量(12ml、11ml、10ml、5ml、3ml未満など)までの範囲の水性容量を有するとみなすことができる。
【0085】
上述のように、本明細書に記載の方法は、最大水性容量が3mlのアリコートと組み合わせて使用する場合に特に有利である。したがって、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、好ましくは、3mlまたは3ml未満(例えば、2.9ml以下、2.8ml以下、2.7ml以下、2.6ml以下、2.5ml以下、2.4ml以下、2.3ml以下2.2ml以下2.1ml以下2.0ml以下1.9ml以下1.8ml以下1.7ml以下1.6ml以下1.5ml以下1.4ml1.3ml以下1.2ml以下1.1ml以下1.0ml以下0.9ml以下0.8ml以下0.7ml以下0.6ml以下0.5ml以下0.4ml以下、0.3ml以下、0.2ml以下など)であってもよい。典型的には、上記のように、各アリコートの最小水性容量は0.1mlであってもよい。
【0086】
特定の例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、工程a)において2ml以下であってもよい。別の例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、工程a)において1ml以下であってもよい。さらなる例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、工程a)において0.6ml以下であってもよい。
【0087】
当業者には明らかであるように、必要とされる個々の細胞培養アリコートの数は、アリコートのサイズおよび方法内で試験される試験試料の総容量に依存する。当業者は、所望の目的のために、最大水性容量が12ml未満である適切な数の個々の細胞培養アリコートを決定することができる。
【0088】
例えば、24ウェルプレートを使用する場合、0.6ml/ウェルの最大水性容量を使用できる。
【0089】
例えば、RCLCC試験に関するFDAガイドラインは、1%または最大1x108個の生産終了細胞(EOPC)を試験する必要があると述べている。標準的な試験条件下で、当業者は、EOPCをウイルス許容性細胞株(例えばC8166細胞)と共培養し、細胞を継代し、回収上清を分析する(例えばF-PERTによる)ことにより、これを実施することができる。従来のフラスコベースのアッセイを使用して、10個のT225フラスコに1.00E+07C8166細胞および1.00E+07EOPCを40mlの総容量で個別に播種できる。したがって、RCLCCアッセイの初期播種密度は5.00E+05細胞/mlになる。
【0090】
本明細書に記載の方法を使用してFDAガイドラインに準拠するために、当業者は、上記のフラスコベースのアッセイで使用される播種密度に基づいて、0.6ml/mlの最大水溶液量を使用して、28×24ウェルプレートを使用して、24ウェルプレートスケールでのRCLCCアッセイを実施してもよいことを理解する。したがって、当業者は、本明細書に記載のパラメーターを使用して所望の方法を実施するために、適切な培養容量(および適切な播種密度)で適切な数のアリコートを選択することができる。
【0091】
誤解を避けるために、同様の方法論を使用して、RCLアッセイ(またはその他の複製可能ウイルスアッセイ)などの他のアッセイに必要なアリコートの数および対応する容量を決定することができる。
【0092】
一例において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも約115mlであってもよい。総容量は、1つの細胞培養容器内にある場合もあれば(例えば、1つの細胞培養プレートのみが使用される場合、総容量はプレートに存在する全てのアリコートの合計である場合)、または複数の細胞培養容器に分散する場合もある(例えば、1つ以上の細胞培養プレートを使用する場合、総容量は全てのプレートに存在する全てのアリコートの合計である)。
【0093】
例えば、生産終了細胞を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上など)であってもよい。
【0094】
したがって、例えば、生産終了細胞を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上より多い、450ml以上など)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ10ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ10ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0095】
あるいは、生産終了細胞を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上など)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ5ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ5ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0096】
例えば、生産終了細胞を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上など)、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ3ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ3ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0097】
一例において、生産終了細胞を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上)であってもよい。、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上など)であり、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ2ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ2ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0098】
さらなる例において、生産終了細胞を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110mlまたは以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上より多い、450ml以上など)、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ1ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ1ml以下であってもよく、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0099】
一例において、生産終了細胞を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上など)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ0.6ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ0.6ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0100】
例えば、ウイルス粒子を含む試料(例えば、回収上清)を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも30ml(例えば、少なくとも40ml、少なくとも50ml、少なくとも60ml、少なくとも70ml、少なくとも80ml、少なくとも90mlなど)であってもよい。例えば、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上等)であってもよい。
【0101】
したがって、例えば、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも30ml(例えば、少なくとも40ml、少なくとも50ml、少なくとも60ml、少なくとも70ml、少なくとも80ml、少なくとも90mlなど)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ10ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ10ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約50mlであってもよい。
【0102】
あるいは、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも30ml(例えば、少なくとも40ml、少なくとも50ml、少なくとも60ml、少なくとも70ml、少なくとも80ml、少なくとも90mlなど)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ5ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ5ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約50mlであってもよい。
【0103】
例えば、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも30ml(例えば、少なくとも40ml、少なくとも50ml、少なくとも60ml、少なくとも70ml、少なくとも80ml、少なくとも90mlなど)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ3ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ3ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約50mlであってもよい。
【0104】
一例において、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも30ml(例えば、少なくとも40ml、少なくとも50ml、少なくとも60ml、少なくとも70ml、少なくとも80ml、少なくとも90mlなど)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水溶液容量は、それぞれ2ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ2ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約50mlであってもよい。
【0105】
さらなる例において、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも30ml(例えば、少なくとも40ml、少なくとも50ml、少なくとも60ml、少なくとも70ml、少なくとも80ml、少なくとも90mlなど)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ1ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ1ml以下であってもよく、全てのアリコートの総容量は少なくとも約50mlであってもよい。
【0106】
一例において、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも30ml(例えば、少なくとも40ml、少なくとも50ml、少なくとも60ml、少なくとも70ml、少なくとも80ml、少なくとも90mlなど)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ0.6ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ0.6ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約50mlであってもよい。
【0107】
あるいは、例えば、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上など)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ10ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ10ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0108】
例えば、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ5ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ5ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0109】
あるいは、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上等)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ3ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ3ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0110】
一例において、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上など)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ2ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ2ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0111】
さらなる例において、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上など)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ1ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ1ml以下であってもよく、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0112】
一例において、ウイルス粒子を含む試料を試験するという文脈において、工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、少なくとも100ml(例えば、100ml以上、110ml以上、115ml以上、120ml以上、130ml以上、140ml以上、150ml以上、200ml以上、250ml以上、300ml以上、350ml以上、400ml以上、450ml以上ml以上など)であってもよく、個々の細胞培養アリコートの水性容量は、それぞれ0.6ml以下であってもよい。この例において、個々の細胞培養アリコートの水性容量はそれぞれ0.6ml以下であり、全てのアリコートの総容量は少なくとも約115mlであってもよい。
【0113】
当業者には明らかであるように、工程a)に必要な複数の個々の細胞培養アリコートの総容量は、工程a)に必要な細胞の総数および初期播種密度に依存する。工程a)の複数の個々の細胞培養アリコートで使用される。当業者は、これらのパラメーターをそれらの所望の目的に適するように調整することができる。
【0114】
発明者らは、複数の個々の細胞培養アリコートをそれぞれが12ml未満の最大水性容量(例えば、最大水性容量が11ml、10ml、5ml、または3ml以下の適宜)で使用する場合、)、少なくとも1x10総細胞/mlの初期播種密度を使用できる。本明細書で使用される場合、「播種密度」は、容器に細胞を播種するために細胞培養容器に添加される単位容量当たりの細胞の総数を指す。本発明の文脈において、「初期播種密度」は、工程a)で提供される単位容量当たりの細胞数を指す。本発明の方法による適切な播種密度は、本明細書の他の場所で提供される。
【0115】
典型的には、本明細書に記載の方法における培養の開始時に、アリコートに存在する細胞の密度(初期播種密度)は、約1×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲であってもよい。この文脈において、「総細胞数/ml」は、アリコート中の全ての細胞を指すために使用される(それらが試験試料由来の細胞(例えば、生産終了細胞)またはウイルス許容性細胞であるかどうかに関係なく)。この播種密度は、従来のフラスコベースの培養方法で使用される播種密度とほぼ同等である。
【0116】
したがって、一例において、工程a)における複数の個々の細胞培養アリコートの初期播種密度は、少なくとも1×10総細胞/ml、少なくとも2×10総細胞/ml、少なくとも3×10総細胞である。/ml、少なくとも4x10総細胞/ml、少なくとも5x10総細胞/ml、少なくとも6x10総細胞/ml、少なくとも7x10総細胞/ml、少なくとも8x10総細胞/ml、少なくとも9x10総細胞/ml、少なくとも1x10総細胞/ml、少なくとも2x10総細胞/ml、少なくとも3x106総細胞/ml、少なくとも4x10総細胞/ml、少なくとも5x10総細胞/ml、少なくとも6x106総細胞/ml、少なくとも7x10総細胞/ml、少なくとも8x10総細胞/ml、少なくとも9x10総細胞/ml、または少なくとも1x10総細胞/ml。
【0117】
したがって、別の例において、工程a)における複数の個々の細胞培養アリコートの初期播種密度は、約1×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲である。
【0118】
例えば、工程a)における複数の個々の細胞培養アリコートの初期播種密度は、約5×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲である。
【0119】
別の例において、工程a)における複数の個々の細胞培養アリコートの初期播種密度は、約1×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲である。
【0120】
複数の個々の細胞培養アリコートはそれぞれ、試験試料の一部(すなわち、試験される全試料のパーセンテージ)およびウイルス許容性細胞を含む。ウイルス許容性細胞は、ウイルスの増殖をサポートし、ウイルスの複製を可能にする細胞である。許容性細胞または宿主とは、ウイルスがその防御を回避して複製することを可能にするものである。本明細書に記載の方法で使用するためのウイルス許容性細胞のタイプは、典型的に、目的のウイルスに基づいて選択される(すなわち、目的のウイルスおよびウイルス許容性細胞が適合するように選択される)。適切なウイルス許容性細胞の非限定的な例は、C8166細胞などの不死化T細胞株(例えば、HIVに対して許容)、およびHEK293細胞などの非T細胞株(例えば、MLVおよびEIAVに対して許容)を含む。当業者は、目的のウイルスに適したウイルス許容性細胞を容易に特定することができる。
【0121】
一例において、ウイルス許容性細胞は不死化T細胞株である。適切なT細胞株は、Jurkat、CEM-SS、PM1、Molt4、Molt4.8、SupT1、MT4またはC8166細胞を含む。
【0122】
別の例において、ウイルス許容性細胞は非T細胞株である。適切な非T細胞株は、HEK293または92BR細胞を含む。
【0123】
一例において、ウイルス許容性細胞は非接着性である。本明細書で使用される「非付着細胞」は、表面に付着しない細胞である。誤解を避けるために、非接着細胞は、細胞培養アリコート内で細胞凝集体を形成してもよい。多くの細胞タイプは溶液中で増殖し、表面に付着しない。非接着細胞は、少量の親培養物を取り、新鮮な増殖培地で希釈するだけで継代培養できる。これらの培養における細胞密度は、典型的に、細胞/mlで測定される。細胞はしばしば最適な増殖のための好ましい範囲の密度を有し、継代培養(本明細書では「継代」と呼ばれる)は典型的に、細胞をこの範囲に維持しようとする。本明細書に記載の方法における非接着細胞の使用は、例えば方法が自動化されている場合に特に有利である。
【0124】
非付着性ウイルス許容性不死化T細胞株の非限定的な例は、C8166細胞である。C8166細胞は、典型的には、C8166が許容されるウイルス(例えば、HIVまたは同等物)が検出される場合に、本明細書に記載の方法で使用される。
【0125】
別の例において、ウイルス許容性細胞は付着性である。接着細胞は、細胞培養容器の底などの表面に付着して成長する。これらの細胞タイプは、継代培養する前に表面から切り離す必要がある。継代培養の場合、表面接着の原因となるタンパク質を分解するためのトリプシン処理、一部のタンパク質接着メカニズムを破壊するEDTAによるカルシウムイオンのキレート化、または繰り返しの洗浄やセルスクレーパーの使用などの機械的方法など、いくつかの方法のいずれかによって細胞を剥がすことができる。次に、分離した細胞を新鮮な増殖培地に再懸濁し、増殖表面に沈降させる。
【0126】
接着性ウイルス許容性細胞の非限定的な例は、HEK293細胞(非T細胞株である)である。HEK293細胞は、典型的には、HEK293が許容されるウイルス(例えば、EIAVまたは同等物)が検出されている場合に、本明細書に記載の方法で使用される。いくつかの例において、HEK293細胞は、浮遊状態に適応できるため、非接着性であると見なすこともできる。
【0127】
複数の個々の細胞培養アリコートを提供する工程は、ソース試料から複数の個々の細胞培養アリコートを生成することを含んでもよい。換言すれば、該方法は、個々の細胞培養アリコートを生成するために、ソース試験試料をウイルス許容性細胞と混合し、それをアリコートに分割する工程を含んでもよい。したがって、試験試料とウイルス許容性細胞の単一の混合物を最初に提供し、次にアリコートして、複数の個々の細胞培養アリコートを提供することができる。あるいは、該方法は、ソース試験試料の一部をウイルス許容性細胞の一部と混合して、個々の細胞培養アリコートを別々に生成する工程を含んでもよい。
【0128】
アリコートの培養
本明細書に記載の方法は、細胞培養アリコートを培養することを含む。本明細書で使用される「培養」なる語は、人工的な(例えば、インビトロまたはエクスビボ)環境で細胞を維持することを指す。典型的に、細胞は、増殖、分化、および/または継続的な生存に有利な条件下で培養される。細胞は、典型的には細胞培養培地で培養される。
【0129】
「細胞培養培地」および「培養培地」(それぞれ複数の「培地」)なる語は、生細胞を培養するための栄養溶液を指す。様々な細胞培養培地が当業者に知られており、当業者は、培養される細胞のタイプが、使用される培養培地のタイプを決定してもよいことも理解する。
【0130】
例えば、培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ハムF-12(F-12)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、RPMI-1640、ハムF-10、α最小必須培地(αMEM)、グラスゴー最少必須培地(G-MEM)、およびイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。市販されている(例えば、Thermo Fisher Scientific,Waltham,MAから)、または当技術分野で知られている他の培地が、本開示の文脈において同等に使用されてもよい。再び、単なる例として、培地は、293SFM、CD-CHO培地、VP SFM、BGJb培地、ブリンスターBMOC-3培地、細胞培養凍結培地、CMRL培地、EHAA培地、eRDF培地、フィッシャー培地、ガンボルグB-5培地、GLUTAMAX(登録商標)添加培地、グレース昆虫細胞培地、HEPES緩衝培地、リヒター改変MEM、IPL-41昆虫細胞培地、リーボヴィッツL-15培地、マッコイ5A培地、MCDB131培地、培地199、改変イーグル培地(MEM)、培地NCTC-109、シュナイダーショウジョウバエ培地、TC-100昆虫培地、ウェイマスMB752/1培地、ウィリアム培地E、無タンパク質ハイブリドーマ培地II(PFHM II)、AIM V培地、ケラチノサイトSFM、定義ケラチノサイトSFM、STEMPRO(登録商標)SFM、STEMPRO(登録商標)完全メチルセルロース培地、HepatoZYME-SFM、Neurobasal(登録商標)培地、Neurobasal-A培地、Hibernate(登録商標)A培地、HibernateE培地、内皮SFM、ヒト内皮SFM、ハイブリドーマSFM、PFHMII、Sf900培地、Sf900IISFM、EXPRESS FIVE(登録商標)培地、CHO-S-SFM、AMINOMAX-II完全培地、AMINOMAX-C100完全培地、AMINOMAX-C140基本培地、PUB-MAX(登録商標)核型分析培地、KARYOMAX(登録商標)骨髄核型分析培地、およびKNOCKOUT(登録商標)D-MEM、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0131】
該方法は、アリコートを適切な期間培養することを含む。典型的に、細胞を少なくとも2日間培養する場合、細胞を新鮮な培地に継代することが有益である。本明細書で使用する場合、「継代」とは、1つの「親」細胞培養アリコート(本明細書では「親アリコート」とも呼ばれる)から増殖した細胞を回収し、それらを再播種して新しい「娘」細胞培養アリコート(本明細書では「娘アリコート」とも呼ばれる)。すなわち、細胞培養の継代を指す。この文脈において、娘アリコートは、細胞が継代培養される新しいアリコートであり、親アリコートは、継代または継代培養される前のアリコートである。したがって、継代とは、アリコートから別のアリコートへの細胞懸濁液および/または上清の割合の移動を指す。
【0132】
接着細胞が継代される場合、典型的に、細胞はまだ接着している間にPBSで洗浄され、アリコートから切り離されてから培地に再懸濁される。再懸濁した細胞の一部を新しいアリコートに移す。非接着細胞が継代されると、細胞は浮遊状態になるため、一定割合のアリコートを新しいアリコートに直接移すことができる。
【0133】
細胞培養の継代数とは、細胞を回収して再播種した回数を指す。継代中、一定量の親細胞培養アリコートが回収され、新しい娘アリコートに再播種される(典型的に、新鮮な細胞培養培地に)。娘アリコートに再播種される親アリコートの容量は、親アリコートから細胞を回収し、細胞を再播種して娘アリコートを生成する際に使用される希釈係数によって特徴付けることができる。あるいは、親細胞培養アリコートからの細胞のパーセンテージとして、または娘アリコートの初期細胞播種密度として特徴付けることができる。
【0134】
工程b)でのアリコートの培養
本明細書に記載の方法の工程b)では、アリコートを少なくとも9日間培養する。例えば、アリコートは、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、または少なくとも12日間など、方法の工程b)内で培養されてもよい。
【0135】
したがって、本明細書に記載の方法の文脈において、方法の工程b)は、親アリコートからの細胞を回収し、新しい娘アリコートに再播種する少なくとも1回の継代を含んでもよい。細胞を継代するための標準的な方法は、当技術分野で周知である。
【0136】
典型的には、工程b)でアリコートを継代する場合、「直接継代」が使用される。本明細書で使用する場合、「直接継代」とは、1つの娘アリコート中の細胞が1つの親アリコートに由来する継代を指す。「直接継代」および「連続継代」なる語は、本明細書では交換可能に使用される。したがって、直接継代では、各世代(親から娘)の間のアリコートの総数は一定のままであるが、親および娘のアリコートの細胞数は異なる(継代中に発生する希釈係数により、親細胞培養アリコートの細胞は、娘アリコートに移される)。
【0137】
言い換えると、「直接継代」とは、アリコートをプールせずに実施される継代を指す。すなわち、容量Xがアリコート1からアリコート2に移される。以下の表は、直接継代の文脈で分割および希釈係数がどのように使用されるかのいくつかの例を示している。
【表1】
【0138】
したがって、本明細書に記載の方法の工程b)は、アリコートを少なくとも9日間培養することを含んでもよく、アリコートは少なくとも9日間直接継代される。一例において、本明細書に記載の方法の工程b)は、アリコートを少なくとも9日間培養することを含んでもよく、アリコートは少なくとも9日間の間に少なくとも2回直接継代される。
【0139】
典型的に(常にではないが)、アリコートの直接継代中、娘アリコートの総容量は、それが由来する親アリコートの総容量と同等(または同じ)である。言い換えれば、親アリコートの総容量が3mlの場合、典型的に、娘アリコートの総容量も3mlになる。かかる場合、全ての親アリコートの総容量は、全ての娘アリコートの総容量と同じである。
【0140】
典型的に、アリコートの直接継代では、親アリコートの全ての細胞が娘アリコートに移されるわけではない。例えば、少なくとも2から20の分割比、例えば、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、最大20の分割比が使用されてもよい。「分割比」とは、親アリコートから娘アリコートに移された細胞懸濁液および/または上清の割合を指す。したがって、分割比2は、新しい「娘」アリコートに再播種される親細胞培養アリコートの細胞懸濁液および/または上清の50%に相当すると見なすことができる。同様に、分割比4は、新しい「娘」アリコートに再播種される親細胞培養アリコートの細胞懸濁液および/または上清の25%に等しいと見なすことができる。さらに、分割比20は、新しい「娘」アリコートに再播種される親細胞培養アリコートの細胞懸濁液および/または上清の5%に相当すると見なすことができる。以下に提供する実施例において、方法の工程b)中に分割比4を使用した。しかしながら、異なる分割比が異なる細胞型または異なる培養条件に適していてもよいことは理解される。
【0141】
したがって、本明細書に記載の方法の工程b)は、アリコートを少なくとも9日間培養することを含んでもよく、ここでアリコートは少なくとも9日間直接継代され、少なくとも2(例えば少なくとも4)の分割比が使用される。所望により、親アリコートの全てにわたる総容量は、各継代の娘アリコートの全てにわたる総容量と同じである。分割比は、例えば、約2から約20までの範囲であってもよい。
【0142】
適切な初期播種密度は、本明細書の他の場所で議論されており(例えば、工程a)のコンテストで)、ここでも等しく適用される。これらの初期播種密度は、工程b)の継代中の各娘アリコートの再播種に必要な細胞数(およびゆえに使用できる適切な分割比)のガイドとして使用されてもよい。例えば、各継代の娘アリコートの初期播種密度は、約1×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲であってもよい。例えば、各継代の娘アリコートの初期播種密度は、約5×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlなどの範囲であってもよい。
【0143】
工程c)における希釈係数を使用した培養および継代
本明細書に記載の方法は、工程c)を含み、ここでアリコートは工程b)の後に少なくともさらに6日間培養される。工程c)の間、アリコートは、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用して継代される。換言すれば、工程c)における各アリコートは、親アリコートを少なくとも2倍に希釈して娘アリコートを生成することによって継代される。本明細書で使用される場合、「希釈率」なる語は、最終溶液(娘アリコート)の容量に対する最初の溶液の容量(親アリコートから移された容量)の比、すなわち、V1対V2またはV1:V2の比を指す。希釈係数DFは次のように計算できる:DF=V2÷V1。例えば、500μlの親アリコートを使用して総容量1mlの娘アリコートを生成する場合、これは2の希釈係数(DF)を表す。別の例として、250μlの親アリコートを使用する場合総容量1mlの娘アリコートを生成するために、これは希釈係数(DF)4などを表す。当業者は、他の適切な希釈係数を特定することができる。
【0144】
希釈係数2は、当技術分野では希釈係数1:2または1対2の希釈係数とも呼ばれる。これは、親アリコートの1単位容量を1つの新しい単位容量(例えば新しい培養培地の)と組み合わせて、合計2単位容量の新しい娘アリコートを生成することを指す。同様に、4の希釈係数は、1:4の希釈係数または1対4の希釈係数とも呼ばれる。これは、親アリコートの1単位容量を3つの新しい単位容量(例えば新しい培養培地の)と組み合わせて、合計4単位容量の新しい娘アリコートを生成することを指す。同様に、希釈係数8は、当技術分野では1:8の希釈係数または1対8の希釈係数とも呼ばれる。これは、親アリコートの1単位容量および7つの新しい単位容量(例えば新しい培養培地の)を組み合わせて、合計8単位容量の新しい娘アリコートを生成することを指す。
【0145】
いくつかの例において、アリコートは、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用して継代される。いくつかの例において、アリコートは、各継代で少なくとも4の希釈係数を使用して継代される。いくつかの例において、アリコートは、各継代で少なくとも6倍の希釈係数を使用して継代される。
【0146】
いくつかの例において、アリコートは、工程c)で行われる各継代で少なくとも8の希釈係数を使用して継代される。
【0147】
いくつかの例において、アリコートは、工程c)で行われる各継代で約2から約20の 範囲の希釈係数を使用して継代される。
【0148】
工程c)中に行われる継代の数は、工程c)の全体的な期間に応じて異なる。継代の適切な数は、当業者の共通の一般知識を使用して、当業者によって容易に決定されてもよい。例えば、工程c)は、2回の継代、3回の継代、またはそれ以上(例えば、工程c)の期間が6日を超える場合)を含んでもよい。
【0149】
本明細書で提供される方法は、少なくとも2の希釈係数(例えば、約2~約20の範囲)を使用し、個々のアリコート量が少ない(12ml未満)ため、有利である。本明細書に記載の方法は、工程c)において以下の特徴の1つ以上をさらに含んでもよい:
(i)アリコート全体の総容量の減少(工程c)の開始時の総容量と工程c)の終了時の総容量を比較する場合)
(ii)全体のアリコート数を減らすためのアリコートのプール(工程c)の開始時の総アリコート数を工程c)の終了時の総アリコート数と比較する場合))
(iii)工程c)の継代中に少なくとも4の分割比を使用する
(iv)(i)および(ii)の組み合わせを使用する
(v)(i)および(iii)の組み合わせを使用する
(vi)(ii)および(iii)の組み合わせを使用する
(vii)(i)、(ii)、および(iii)の全てを組み合わせて使用する。
【0150】
これらの各態様について、以下で個別に説明する。以下で個別に説明する全ての特徴は、本明細書で説明する組み合わせにも適用できる。これらの態様は、自動化を促進するため、3ml以下の容量などの小さなアリコート容量で使用する場合に特に役立つ。
【0151】
(i)工程c)におけるアリコートの容量
工程c)における継代中、娘アリコートの総容量は、それが由来する親アリコートの総容量と同等(または同じ)であってもよい。例えば、親アリコートの総容量が3mlの場合、娘アリコートの総容量も3mlになってもよい。
【0152】
あるいは、工程c)における継代の間、娘アリコートの総容量は、それが由来する親アリコートの総容量とは異なってもよい(例えば、より高いが、好ましくはより低い)。言い換えると、親アリコートの総容量が3mlの場合、娘アリコートの総容量は3mlとは異なってもよい(例えば、より高いが、好ましくはより低い)。
【0153】
いくつかの例において、工程c)の終了時のアリコートの全てにわたる総容量は、工程c)の開始時のアリコートの全てにわたる総容量と同じかまたはそれより小さい。これは、継代中に娘アリコートの量を減らすことによって(親アリコートと比較して)、または継代中に親アリコートをプールして2つの親を有する娘アリコートを生成することによって達成できる。アリコート全体の総容量の減少は、典型的に、全体の培養容量を大きく使用する(したがって、実施するのが面倒な場合がある)複製可能ウイルスを検出する方法で特に有利である。例えば、全てのアリコートにわたる総容量は、工程c)の間に少なくとも50%減少してもよい。それは、少なくとも75%、少なくとも83%、少なくとも87.5%、少なくとも90%など減少してもよい。特定の例において、全てのアリコートにわたる総容量は、工程c)の間に少なくとも87.5%減少してもよい。
【0154】
言い換えれば、工程c)は、アリコートを少なくともさらに6日間培養することを含んでもよく、ここで、アリコートは、各継代で少なくとも2の希釈係数(例えば、約2~約20の範囲)を使用して継代される。工程c)の間(例えば、少なくとも2回の継代または少なくとも3回の継代で)、全てのアリコートにわたる総容量が少なくとも50%または少なくとも87.5%減少する。
【0155】
上述のように、継代中の娘アリコートの容量を(親アリコートと比較して)減少させることによって、または継代中に親アリコートをプールすることによって、工程c)の終了時のアリコートの全てにわたる総容量を、工程c)の開始時と比較して減少させることができる。
【0156】
(ii)工程c)におけるプーリング継代
プーリング継代は、工程c)で使用される継代よりも総アリコート数を減らすために使用できるので、本明細書に記載の方法の工程c)で特に有利であってもよい(さらに、最終的にアリコート全体の容量を減少させるために使用されてもよい)。これにより、液体の取り扱いが容易になる。本明細書で使用される場合、「プーリング継代」とは、親アリコートを回収し、親アリコートをプールして、1つの娘アリコートに2つ以上の親アリコートからの細胞または上清を再播種することを指す。プーリングは、2つの親、3つの親、または4つの親などからの細胞を含む1つの娘アリコートの再播種を含んでもよい。1つの娘アリコートを再播種するために使用される。別の例において、2つの親アリコートからの細胞を収集するが組み合わせることはできず、親細胞のそれぞれの割合を1つの娘アリコートに加えて、それらの親からの細胞のプールを行うことができる。したがって、プーリングは、各継代後のアリコート全体の数を減らす。
【表2】
【0157】
したがって、いくつかの例において、工程c)でプーリング継代を使用して、全体のアリコート数を少なくとも2のプーリング係数だけ減らすことができる。本明細書で使用する「プーリング係数」なる語は、アリコートの総数の比率を指す。工程c)の開始時(「A1」と呼ばれる)と工程c)の終了時のアリコートの総数(「A2」と呼ばれる)との比、すなわち、A1とA2の比率。またはA1:A2。プーリング係数PFは、PF=A1÷A2で計算できる。例えば、工程c)の開始時のアリコートの総数が96で、工程c)の終了時のアリコートの総数が24の場合、プーリング係数は96÷24=4である。
【0158】
2のプーリング係数は、本明細書では2:1のプーリング係数または2対1のプーリング係数とも呼ばれる。これは、2つの親アリコートを1つの娘アリコートにプールすることを指す。同様に、4のプーリング係数は、本明細書では4:1のプーリング係数または4対1のプーリング係数とも呼ばれる。これは、4つの親アリコートを1つの娘アリコートにプールすることを指す。同様に、8のプーリング係数は、本明細書では8:1のプーリング係数または8対1のプーリング係数とも呼ばれる。これは、8つの親アリコートを1つの娘アリコートにプールすることを指す。
【0159】
プーリングは、ペアワイズアプローチを使用して実施できる(各継代の終わりに、2つの親アリコートが1つの娘アリコートにプールされる)。プーリングへのペアワイズアプローチは、以下の例のセクションで示されている。例えば、一度に3つ以上の親アリコートをプールすることを含む、他の適切なプール方法を使用することもできる。この非限定的な例は、4つの親アリコートを1つの娘アリコートにプールすることである(例えば、24ウェルプレートからの4つのアリコートを6ウェルプレート上の1つのアリコートにプールする)。このアプローチにより、オペレーターは、アッセイ感度を損なうことなく、アッセイの期間にわたってアリコート(またはアッセイプレート)の総数を順次減らすことができる。すなわち、アッセイは8プレートで開始し、3~4週間かけて1プレートに順次減らすことができる。
【0160】
アリコートは、工程c)の間に、約2から約8の範囲のプーリング係数でプールすることができる。
【0161】
いくつかの例において、アリコートは、工程c)の間に少なくとも2のプーリング係数でプールされる(すなわち、工程c)の開始時のアリコートの数を工程c)の終了時のアリコートの数と比較するとき、総数は、少なくとも2のプーリング係数(例えば、少なくとも2つの継代、または少なくとも3つの継代)だけ減少している)。いくつかの例において、アリコートは、工程c)の間に少なくとも4のプーリング係数でプールされる(すなわち、工程c)の開始時のアリコートの数を工程c)の終了時のアリコートの数と比較するとき、総数は、少なくとも4のプーリング係数(例えば、少なくとも2回の継代または少なくとも3回の継代)だけ減少している)。いくつかの例において、アリコートは、工程c)の間に少なくとも6のプーリング係数でプールされる(すなわち、工程c)の開始時のアリコートの数を工程c)の終了時のアリコートの数と比較する場合、総数は、少なくとも6のプーリング係数(例えば、少なくとも2回の継代、または少なくとも3回の継代)だけ減少している)。
【0162】
いくつかの例において、アリコートは、工程c)の間に少なくとも8のプーリング係数でプールされる(すなわち、工程c)の開始時のアリコートの数を工程c)の終了時のアリコートの数と比較するとき、総数は、少なくとも8のプーリング係数(例えば、少なくとも2回の継代または少なくとも3回の継代)だけ減少している)。
【0163】
アリコートは、工程c)における各継代の間、約2~約8の範囲のプール係数でプールされてもよい。
【0164】
いくつかの例において、工程c)の各継代の間、少なくとも2のプーリング係数を使用してアリコートをプールする。いくつかの例において、工程c)の各継代の間、少なくとも4のプーリング係数を使用してアリコートをプールする。いくつかの例において、少なくとも6のプーリング係数を使用して、工程c)の各継代中にアリコートをプールする。少なくとも2つ、または少なくとも3つのパッセージ。
【0165】
したがって、いくつかの例において、工程c)は、アリコートを少なくともさらに6日間培養することを含み得、アリコートは、各継代で少なくとも2倍の希釈係数を使用して継代され、アリコートは工程c)中にプールされて、少なくとも4または少なくとも8のプーリング係数による工程c)の終了時の全体のアリコート数。
【0166】
工程c)の間、全アリコート数およびアリコート全体の総容量を減少させることが特に有利であってもよい。したがって、一例において、工程c)は、アリコートを少なくともさらに6日間培養することを含んでもよく、アリコートは、各継代で少なくとも2の希釈係数を使用して継代され、アリコートはプールされて全体のアリコートを減少させる。工程c)の間、少なくとも4または少なくとも8のプーリング係数によって数を増やし、全てのアリコートにわたる総容積も、工程c)の間に少なくとも50%または少なくとも87.5%減少する。
【0167】
工程b)に関連して上述したように、アリコートの継代中、親アリコートからの細胞の全てが娘アリコートに移されるわけではない。これは、工程c)の継代にも適用される。したがって、工程c)では、少なくとも2~20の分割比を使用してもよい。直接継代の文脈における分割比は、本明細書の別の場所で詳細に議論されている。継代をプールするという文脈において、「分割比」は、親ごとに個別に計算される(娘アリコートに移されるその親アリコートからの細胞懸濁液および/または上清の比率として)。
【0168】
驚くべきことに、本発明者らは、工程c)で使用される分割比が、方法の感度に悪影響を与えることなく、工程b)で使用される分割比よりも高くなり得ることを見出した(特に、継代をプールする状況において)。したがって、工程c)では少なくとも4の分割比が好ましい(特に、継代をプールする状況において)。
【0169】
工程c)における分割比による継代
本明細書に記載の方法の工程c)の間、アリコートは、各継代で希釈係数2を使用して継代される。継代の間、任意の適切な分割比を使用してもよい。本明細書の別の場所で議論されるように、適切な分割比は、4から20を含む。
【0170】
驚くべきことに、本発明者らは、12ml未満(例えば、3ml以下)の少量のアリコート量が使用される場合でも、方法の感度に悪影響を与えることなく、工程c)で使用される分割比が工程b)で使用される分割比よりも高くなり得ることを見出した。使用済み。言い換えれば、アッセイの全体的な感度に悪影響を与えることなく、親アリコートのかなりの割合を各継代で廃棄することができる。したがって、一例において、工程c)は、アリコートを少なくともさらに6日間培養することを含んでもよく、アリコートは、各継代で少なくとも2の希釈係数および少なくとも4の分割比を使用して継代される。所望により、工程c)の間に、全てのアリコートにわたる総容量を同時に少なくとも50%または少なくとも87.5%減少させることができる。
【0171】
かかる分割比が使用される場合、娘アリコートの総容量は、それが由来する親アリコートの総容量と同等(または同じ)であってもよい。言い換えれば、親アリコートの総容量が3mlの場合、娘アリコートの総容量も3mlになる可能性がある。あるいは、工程c)における継代の間、娘アリコートの総容量は、それが由来する親アリコートの総容量とは異なってもよい(例えば、より高いが、好ましくはより低い)。言い換えると、親アリコートの総容量が3mlの場合、娘アリコートの総容量は3mlとは異なってもよい(例えば、より高いが、好ましくはより低い)。
【0172】
いくつかの例において、少なくとも4の分割比が使用される場合、工程c)の終了時のアリコートの全てにわたる総容量は、工程c)の開始時のアリコートの全てにわたる総容量と同じか、またはそれより小さい。これは、継代中の娘アリコートの量を(親アリコートと比較して)減らすか、継代中の親アリコートをプールすることによって達成できる。アリコート全体の総容量の減少は、典型的に、全体の培養容量を大きく使用する(したがって、実施するのが面倒な場合がある)複製可能ウイルスを検出する方法で特に有利である。例えば、全てのアリコートにわたる総容量は、工程c)の間に少なくとも50%減少してもよい。それは、少なくとも75%、少なくとも83%、少なくとも87.5%、少なくとも90%など減少してもよい。特定の例において、全てのアリコートにわたる総容量は、工程cの間に少なくとも87.5%減少してもよい。)。
【0173】
継代の間、再播種細胞数も考慮に入れる必要がある。適切な初期播種密度は、本明細書の他の場所で議論されており(例えば、工程a)のコンテストで)、ここでも等しく適用される。これらの初期播種密度は、工程b)の継代中の各娘アリコートの再播種に必要な細胞数のガイドとして使用することもできる。例えば、各継代の娘アリコートの初期播種密度は、約1×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlの範囲であってもよい。例えば、各継代の娘アリコートの初期播種密度は、約5×10総細胞/mlから約1×10総細胞/mlなどの範囲であってもよい。
【0174】
工程c)における培養期間
本明細書に記載の方法の工程c)は、アリコートを少なくともさらに6日間培養することを含む。疑義を避けるために、アリコートは、例えば、複製可能ウイルスについて試験する前に、少なくともさらに7、8、9、10、11日、またはそれ以上、より長い期間培養することができる。したがって、本明細書に記載の方法は、完了するまでに少なくとも3週間、例えば3~4週間または4~5週間かかってもよい。
【0175】
試験試料が細胞(例えば生産終了細胞)を含む例において、本明細書に記載の方法の複製可能ウイルスを試験する前のある時点(例えば工程dの前)に、追加のろ過工程(例えば、0.45μmフィルターを使用)を含めることが有益であってもよい。
【0176】
有利なことに、本明細書に記載の方法は自動化することができる。本明細書で使用される場合、「自動化された」とは、電子デバイスを含む高度に自動化された手段によって方法を操作または制御する技術、方法、またはシステムを指す。方法の自動化により、オペレーターの作業負荷が軽減されたり、方法のスループットが向上したりしてもよい。自動化された方法で使用されてもよい自動手段の非限定的な例は、液体ハンドラーである。適切な液体ハンドラーは、当技術分野で知られている。有利なことに、自動化された方法は、本明細書に記載の方法の信頼性を高めることができる。
【0177】
誤解を避けるために、工程b)およびc)のみが自動化されてもよい。所望により、工程a)および/または工程d)も自動化されてもよい。工程b)およびc)は工程d)に別々に自動化されてもよい。例えば、工程c)から工程d)に移行するために、何らかのオペレーターの対話および/または入力が必要となってもよい。
【0178】
本明細書で提供される工程のいずれか(または全て)は、手動で実施することもできる。例えば、工程a)は手動で実施でき、工程b)およびc)(および所望によりd))は自動化される。
【0179】
該方法は、多数の対照と並行して実施することができる。対照は、陰性対照および/または陽性対照を含んでもよい。
【0180】
陰性対照の例は、ウイルス許容性細胞(および適切な試薬などの全て)を含むが、試験試料を含まないアリコートを使用して方法を実施することであってもよい。この文脈において、該方法は「陰性対照法」と呼ばれることがある。適切には、陰性対照法は、同じ試薬、培養条件、ウイルス許容性細胞、プール戦略、検出手段などを使用して、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法と並行して実施される。
【0181】
陽性対照の例は、ウイルス許容性細胞および複製可能ウイルスを含むアリコートを(試験試料の代わりとして)用いて方法を実施することであってもよい。この文脈において、複製能力のあるウイルス(「陽性対照」)は、「陽性対照試料」内に含まれると称されてもよく、方法は「陽性対照法」と称されてもよい。適切には、陽性対照法は、同じ試薬、培養条件、ウイルス許容性細胞、プール戦略、検出手段などを使用して、試験試料中の複製可能ウイルスを検出するための方法と並行して実施される。
【0182】
典型的に(常にではないが)、陽性対照ウイルスは、ベクターシステム(RCR/RCLアッセイで試験されている)が基づいているのと同じウイルスに由来する。例えば、限定するものではないが、SIVベクターの陽性対照ウイルスはSIVに由来し、HIVウイルスの陽性対照ウイルスはHIVに由来するなどである(最近ではMLV由来の陽性対照がより一般的な陽性対照としてますます使用されるようになっているが)。理想的には、陽性対照ウイルスのゲノムは、RCR/RCLアッセイで使用される選択された増幅/指標細胞株内の複製能力に余分な全ての遺伝子で機能的に弱毒化される。レンチウイルスに由来する陽性対照ウイルスの場合、弱毒化遺伝子は典型的に、宿主/免疫調節/脱出で知られるアクセサリー遺伝子である。これは、これらの遺伝子/機能が、使用されているレトロウイルス/レンチウイルスベクターシステムには典型的に存在しないためであり、ベクター製造プロセスから理論的に生成された推定RCR/RCLがこれらの機能を獲得する可能性は非常に低いためである。tatやrevなどの補助レンチウイルス遺伝子は、典型的に、複製に不可欠であるため、陽性対照ウイルスゲノム内に維持される。あるいは、MLVが陽性対照ウイルスとして使用される。これは、レンチウイルスゲノム内に存在する特殊なアクセサリー遺伝子の多くを欠く単純なレトロウイルスであり、高度に設計された現代のレトロウイルス/レンチウイルスベクターシステムから出現する可能性が高い推定RCR/RCLを最も厳密にモデル化する。したがって、理想的には、全てのアクセサリー遺伝子を欠く陽性対照ウイルスが選択されるが、これは経験的に増幅/指標細胞株内の複製効率に依存してもよい。したがって、堅牢なRCR/RCLアッセイを開発するために、陽性対照ウイルスが増幅/指標細胞株内で1つまたは複数の機能的なアクセサリー遺伝子を発現することがある。
【0183】
一例において、陽性対照試料は、そのヌクレオチド配列内で機能的に欠失した少なくとも1つのアクセサリー遺伝子を有する弱毒化複製可能レンチウイルスを含んでもよく、少なくとも1つのアクセサリー遺伝子は、vif、vpr、vpx、vpuおよびnefから選択される。例えば、弱毒化複製可能レンチウイルスは、機能的に欠失したvif、vpr、vpx、vpuおよびnefのうちの少なくとも3つを有してもよい。
【0184】
特定の例において、陽性対照弱毒化複製可能ウイルスは、配列番号1による核酸配列を含むか、またはそれからなり得るか、またはその変異体であってもよい。この陽性対照は、試験試料中の複製可能レンチウイルスを検出するために使用される方法の陽性対照として特に有用であり(特に、複製可能なHIV、SIV、SHIVまたはその変異体を検出する場合)、これはそれがいくつかの継代にわたって感染性を維持するのに特に効果的であるためである(そのvif+状態のため)。
【0185】
変異体は、配列番号1のコドン最適化変異体であってもよい。本明細書で使用される場合、「コドン最適化」(または「c.o.」)は、当技術分野で広く知られている。ポリヌクレオチド配列のコドン最適化は、細胞内のコードされたタンパク質の全体的な翻訳効率/発現レベルを増加させるいくつかの効果につながる可能性がある。
【0186】
変異体はまた、配列番号1の機能的変異体であってもよい。機能的変異体は、典型的には、配列番号1によってコードされるタンパク質の重要でない領域において、1つ以上のアミノ酸の保存的置換、または重要でないアミノ酸の置換、欠失または挿入のみを含有する。機能的および非機能的変異体(例えば、機能的および非機能的対立遺伝子変異体)を特定する方法は、当業者に周知である。
【0187】
機能的変異体は、配列番号1の核酸配列に対して少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する核酸配列を含んでもよい。適切には、パーセント同一性は、参照配列(例えば、配列番号1)の全長、またはその部分もしくは断片に対する同一性のパーセンテージとして計算することができる。
【0188】
「非必須」(または「重要でない」)アミノ酸残基は、生物学的活性を無効にすることなく、またはより好ましくは実質的に変更することなく、配列番号1によってコードされるアミノ酸配列から変更することができる残基である一方、「必須」(または「重要な」)アミノ酸残基はかかる変化をもたらす。例えば、保存されているアミノ酸残基は、ドメインの疎水性コア内のアミノ酸残基が、活性を有意に変化させることなく、ほぼ同等の疎水性を有する他の残基によって一般的に置換されてもよいことを除いて、特に変化を受けにくいと予測される。
【0189】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、タンパク質中の非必須(または重要でない)アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換される。あるいは、別の実施形態において、突然変異をランダムに導入することができ、得られた突然変異体を生物学的活性についてスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を特定することができる。
【0190】
配列番号1の保存的アミノ酸置換変異体は、少なくとも1つ(例えば、2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下、6つ以下、7つ以下、8つ以下、9つ以下、10以下など)の配列番号1によってコードされる対応するアミノ酸配列と比較した保存的アミノ酸置換を有してもよい。
【0191】
上記の陽性対照は、本明細書に記載の方法以外にも、いくつかの異なる状況で有用であってもよい。例えば、それは、複製可能ウイルスを検出するために現在使用されている従来のフラスコベースの細胞培養方法における陽性対照として使用されてもよい。したがって、上記の陽性対照は、任意のRCLまたはRCLCC方法で有用であってもよい。この文脈において、それは、例えば複製可能なHIV、SIV、SHIVまたはそれらの変異体を検出する場合、試験試料中の複製可能レンチウイルスを検出するために使用される方法の陽性対照として特に有用である。
【0192】
本明細書に記載の陽性対照は、キットの一部であってもよい。適切には、キットは、緩衝液などの1つまたは複数の追加の試薬をさらに含んでもよい。緩衝液は、安定化緩衝液、希釈緩衝液などであってもよい。
【0193】
上述の構成要素に加えて、キットは、キットの構成要素を使用して本明細書に記載の方法を実施するための説明書をさらに含むことができる。これらの方法を実施するための説明書は、一般に適切な記録媒体に記録される。例えば、説明書は、紙またはプラスチックなどの基材に印刷されてもよい。説明書は、添付文書としてキット内に、キットまたはその構成要素の容器のラベル(すなわち、パッケージまたはサブパッケージに関連付けられて)などに存在してもよい。説明書は、適切なコンピュータ可読記憶媒体、例えばCD-ROM、ディスケット、フラッシュドライブなど上に存在する電子記憶データファイルとして存在することができる。場合によっては、実際の説明書はキットに含まれていないが、リモートソースから(インターネット経由などで)説明書を取得する手段を提供することができる。この実施形態の例は、説明書を見ることができる、および/またはそこから説明書をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。説明書と同様に、説明書を取得するためのこの手段は、適切な基材に記録することができる。
【0194】
本明細書に記載の方法は、複製可能ウイルスの存在について試験する工程(該方法の工程d))を含む。複製可能ウイルスの存在を検出するための任意の適切な方法を使用してもよい。典型的に、複製可能ウイルスの存在について試験する工程は、継代工程が完了すると実施され(例えば、培養の少なくとも3週間、少なくとも4週間、または少なくとも5週間後)、しかしながら、試験試料を各継代での残りの試料から収集することもできる。しかしながら、それは、継代工程の全てが完了する前に(例えば、方法の中間工程で)追加的に(または代替的に)実施されてもよい。例えば、それは、15日後、18日後、21日後、24日後、27日後、30日後、33日後、またはそれ以上後に実施されてもよい。したがって、それは、複数回(例えば、方法中に少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回など)実施されてもよい。この文脈において、上清を所望の時点で回収し、方法が完了するまで保存して、全ての上清(方法における異なる時点を表す)を同時に(または並行して)複製可能ウイルスについて試験できるようにしてもよい。上清を取得および/または保存するための適切な手段は、当技術分野で周知である。
【0195】
例えば、複製可能ウイルスの存在は、PCRを使用して試験することができる。一例において、標的遺伝子、例えばpsi-gagののRNAまたはDNAレベルは、複製可能ウイルスを検出するための手段としてPCR(例えば、qPCR)を使用して測定される。複製可能ウイルスを検出する手段として、VSV-Gを検出するためのqPCRアッセイも開発されている。別の例において、逆転写酵素活性のレベルは、複製可能ウイルスを検出するための手段として、(例えば、F-PERTを使用して)測定される(すなわち、複製可能ウイルスの存在は、F-PERTなどの逆転写酵素アッセイを使用して試験される)。非限定的な例として、F-PERTを使用した複製可能ウイルスの検出は、以下の実施例セクションで詳細に説明されている。
【0196】
タンパク質ベースのアッセイなどの代替アッセイも、複製可能ウイルスを検出するために使用してもよい。例えば、p24を検出するためのELISAアッセイは以前に開発されており、使用してもよい。
【0197】
PCRに基づく方法は、当技術分野で周知である。適切な試薬および方法論は、当業者によって容易に特定されてもよい。同様に、タンパク質検出法(例えばELISA)も当技術分野で周知である。適切な試薬および方法論は、当業者によって容易に特定されてもよい。
【0198】
上記の方法は、試料中の複製可能ウイルスの存在を検出する。本明細書で使用される場合、「検出する」は、試料中の複製可能ウイルスの存在を示すことを指す。方法が、例えば、ウイルス遺伝子、ウイルスタンパク質、および/またはウイルス活性、例えば所与の値を有する試料中の逆転写酵素活性の存在を示す場合、複製可能ウイルスが検出される。所与の値は、典型的には、基準値、および/または陽性対照から生成された対応する値、および/または陰性対照から生成された対応する値と比較される。典型的には、基準値(それを超えると複製能力のあるウイルスが存在する閾値)以上の所与の値は、試験試料中の複製能力のあるウイルスの存在を示すと見なされる。逆に、参照値を下回る所与の値は、試料に複製可能ウイルスがないことを示すと見なされる。適切な基準値および対照(陽性および陰性の両方)は、当技術分野で周知である。
【0199】
一般的な定義
いくつかの一般的な定義を以下に提供する。
【0200】
生産細胞の培養
パッケージング細胞株またはプロデューサー細胞株、または構成要素をコードするウイルスベクターで一時的にトランスフェクトされた生産細胞を培養して、細胞およびウイルスの数および/またはウイルス力価を増加させる。細胞の培養は、細胞が代謝、および/または増殖、および/または分裂、および/または目的のウイルスベクターを生産することを可能にするために行われる。これは、当業者に周知の方法によって達成することができ、例えば適切な培養培地中で細胞に栄養素を提供することを含むが、これに限定されない。該方法は、表面に付着する成長、懸濁液中での成長、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。培養は、例えば、組織培養マルチウェルプレート、ディッシュ、ローラーボトル、ウェーブバッグ、またはバイオリアクターにおいて、バッチ、フェドバッチ、連続システムなどを使用して行うことができる。細胞培養によるウイルスベクターの大規模生産を達成するために、懸濁液中で増殖できる細胞を有することが当技術分野で好ましい。
【0201】
核酸
本明細書で使用される「核酸」なる語は、典型的には、本質的にヌクレオチドから構成される任意の長さのオリゴマーまたはポリマー(好ましくは線状ポリマー)を指す。ヌクレオチド単位は、一般に、複素環式塩基、糖基、および修飾または置換されたリン酸基を含む、少なくとも1つ、例えば1つ、2つ、または3つのリン酸基を含む。複素環塩基は、とりわけ、天然に存在する核酸、他の天然に存在する塩基(例えばキサンチン、イノシン、ヒポキサンチン)、および化学的または生化学的に修飾された(例えばメチル化)、非天然または誘導体化された塩基を含んでもよい。糖基は、とりわけ、天然に存在する核酸に共通する好ましくはリボースおよび/または2-デオキシリボースなどのペントース(ペントフラノース)基、またはアラビノース、2-デオキシアラビノース、トレオースまたはヘキソース糖基、ならびに修飾または置換糖基を含んでもよい。本明細書で意図する核酸は、天然に存在するヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、またはそれらの混合物を含んでもよい。修飾ヌクレオチドは、修飾複素環塩基、修飾糖部分、修飾リン酸基、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。リン酸基または糖の修飾を導入して、安定性、酵素分解に対する耐性、またはその他の有用な特性を改善することができる。「核酸」なる語は、さらに好ましくは、DNA、RNAおよび、具体的にはhnRNA、mRNA前駆体、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、増幅産物、オリゴヌクレオチド、および合成(例えば、化学合成)DNA、RNAまたはDNA RNAハイブリッドを含むDNA RNAハイブリッド分子を包含する。核酸は、天然に存在する、例えば天然に存在する、または天然から単離されたものであることができる。または非天然、例えば組み換え、すなわち組み換えDNA技術によって生成されたもの、および/または部分的または完全に、化学的または生化学的に合成されたものであってもよい。「核酸」は、二本鎖、部分的に二本鎖、または一本鎖であってもよい。一本鎖の場合、核酸はセンス鎖またはアンチセンス鎖であってもよい。さらに、核酸は環状または線状であってもよい。
【0202】
ベクター
ベクターは、ある環境から別の環境への実体の移送を許可または促進するツールである。例として、組換え核酸技術で使用されるいくつかのベクターは、核酸のセグメント(例えば、異種cDNAセグメントなどの異種DNAセグメント)などの実体が標的細胞に移入され、標的細胞によって発現されることを可能にする。ベクターは、目的の核酸/ヌクレオチド(NOI)の組み込みを促進して、標的細胞内でのNOIおよびその発現を維持することができる。あるいは、ベクターは、一過性系におけるNOIの発現を通じてベクターの複製を促進することができる。ベクターは、異種核酸(DNAまたはRNA)を細胞内に維持する目的、またはDNAまたはRNAのセグメントを含むベクターの複製または核酸のセグメントによってコードされるタンパク質の発現を促進する目的を果たしてもよい。ベクターは、目的の核酸/ヌクレオチド(NOI)の組み込みを促進して、標的細胞内でのNOIおよびその発現を維持することができる。あるいは、ベクターは、一過性系におけるNOIの発現を通じてベクターの複製を促進することができる。
【0203】
本明細書に記載の方法に関して、目的のベクターはウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターは、ベクター、ベクタービリオンまたはベクター粒子と呼ばれることもある。ベクターは、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子)および/または追跡可能なマーカー遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子)を含有してもよい。ベクターは、例えば、標的細胞に感染および/または形質導入するために使用されてもよい。
【0204】
ベクターは発現ベクターであってもよい。本明細書に記載の発現ベクターは、転写可能な配列を含有する核酸の領域を含む。したがって、mRNA、tRNA、およびrRNAをコードする配列は、この定義に含まれる。好ましくは、発現ベクターは、標的細胞によるコード配列の発現を提供することができる制御配列に作動可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを含む。
【0205】
レトロウイルスベクター
レトロウイルスベクターは、任意の適切なレトロウイルスに由来してもよい、または由来できてもよい。多数の異なるレトロウイルスが特定されている。例は、マウス白血病ウイルス(MLV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、藤波肉腫ウイルス(FuSV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、FBRマウス骨肉腫ウイルス(FBRMSV)、モロニーマウス肉腫ウイルス(Mo-MSV)、アベルソンマウス白血病ウイルス(A-MLV)、トリ骨髄細胞腫ウイルス-29(MC29)およびトリ赤芽球症ウイルス(AEV)を含む。レトロウイルスの詳細なリストは、Coffinetら(1997)「Retroviruses」、Cold Spring Harbor Laboratory Press Eds: JM Coffin、SM Hughes、HE Varmus pp 758-763に記載されている。
【0206】
レトロウイルスは、「単純」および「複合」の2つのカテゴリーに大別できる。レトロウイルスは、さらに7つの群に分けられる。これらの群のうち5つは、発癌性の可能性があるレトロウイルスを表している。残りの2つの群は、レンチウイルスおよびスプマウイルスである。これらのレトロウイルスの総説は、Coffinら(1997)同上に示されている。
【0207】
レトロウイルスおよびレンチウイルスのゲノムの基本構造は、5’LTRおよび3’LTRなどの多くの共通の特徴を共有しており、その間またはその中に、ゲノムのパッケージングを可能にするパッケージングシグナル、プライマー結合部位、統合部位を可能にする。標的細胞ゲノムへの組み込み、およびパッケージング構成要素をコードするgag/polおよびenv遺伝子-これらは、ウイルス粒子のアセンブリに必要なポリペプチドである。レンチウイルスは、HIVのrev遺伝子やRRE配列などの追加機能を有し、感染した標的細胞の核から細胞質への統合されたプロウイルスのRNA転写産物の効率的な搬出を可能にする。
【0208】
プロウイルスでは、これらの遺伝子の両端には、長末端反復配列(LTR)と呼ばれる領域が隣接している。LTRは、プロウイルスの統合および転写を担当する。LTRはエンハンサープロモーター配列としても機能し、ウイルス遺伝子の発現を制御することができる。
【0209】
LTR自体は、U3、R、およびU5と呼ばれる3つの要素に分割できる同一の配列である。U3は、RNAの3’末端に固有の配列に由来する。RはRNAの両端で繰り返される配列に由来し、U5はRNAの5’末端に固有の配列に由来する。3つの要素のサイズは、レトロウイルスによってかなり異なる。
【0210】
典型的なレトロウイルスベクターにおいて、複製に不可欠な1つまたは複数のタンパク質コード領域の少なくとも一部がウイルスから除去されてもよい。例えば、gag/polおよびenvが存在しないか、機能していない可能性がある。これにより、ウイルスベクターが複製不能になる。
【0211】
レンチウイルスは、より大きな群のレトロウイルスの一部である。レンチウイルスの詳細なリストは、Coffinら(1997)「Retroviruses」 Cold Spring Harbor Laboratory Press Eds: JM Coffin, SM Hughes, HE Varmus pp 758-763)に記載されている。本明細書で使用されるレンチウイルスベクターは、レンチウイルスに由来できる少なくとも1つの構成要素部分を含むベクターである。好ましくは、その構成部分は、ベクターが標的細胞に感染または形質導入し、NOIを発現する生物学的メカニズムに関与する。
【0212】
簡単に言えば、レンチウイルスは霊長類および非霊長類の群に分けることができる。霊長類レンチウイルスの例は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV、例えばHIV-1またはHIV-2)、ヒト自己免疫不全症候群(AIDS)の原因因子、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)を含むが、これらに限定されない。非霊長類レンチウイルス群は、プロトタイプの「遅いウイルス」visna/maediウイルス(VMV)、および関連するヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、マエディビスナウイルス(MVV)およびウシ免疫不全ウイルス(BIV)を含む。他の例は、visnaレンチウイルスを含む。
【0213】
レンチウイルスファミリーは、レンチウイルスが分裂細胞と非分裂細胞の両方に感染する能力を有する点でレトロウイルスとは異なる (Lewis ら (1992) EMBO J 11(8):3053-3058 および Lewis および Emerman (1994) J Virol 68 (1 ):510-516)。対照的に、MLVなどの他のレトロウイルスは、筋肉、脳、肺、肝臓組織などを構成する非分裂細胞またはゆっくり分裂する細胞に感染することができない。
【0214】
アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクター
アデノウイルスは、本明細書に記載の方法を使用して検出することもできる。アデノウイルスは、RNA中間体を介して複製しない二本鎖の直鎖状DNAウイルスである。アデノウイルスの50以上の異なるヒト血清型があり、その遺伝子配列に基づいて6つのサブ群に分けられる。
【0215】
アデノウイルスは、ヒトおよび非ヒト起源の広範囲の細胞型のインビボ、エクスビボおよびインビトロでの形質導入が可能な二本鎖DNA非エンベロープウイルスである。これらの細胞は、気道上皮細胞、肝細胞、筋肉細胞、心筋細胞、滑膜細胞、初代乳房上皮細胞、ニューロンなどの有糸分裂後の最終分化細胞を含む。
【0216】
アデノウイルスベクターは、非分裂細胞に形質導入することもできる。これは、嚢胞性線維症など、肺上皮の影響を受ける細胞の代謝回転速度が遅い疾患にとって非常に重要である。実際、罹患した成人の嚢胞性線維症患者の肺への嚢胞性線維症トランスポーター(CFTR)のアデノウイルス媒介伝達を利用するいくつかの試験が進行中である。
【0217】
アデノウイルスは、遺伝子治療および異種遺伝子の発現のためのベクターとして使用されてきた。大きな(36kb)ゲノムは、最大8kbの外来インサートDNAを収容でき、補完細胞株で効率的に複製して、最大1012トランスデューシング単位/mlという非常に高い力価を生成できる。このように、アデノウイルスは、一次非複製細胞における遺伝子の発現を研究するための最良のシステムの1つである。
【0218】
アデノウイルスゲノムからのウイルスまたは外来遺伝子の発現には、複製細胞は必要ない。アデノウイルスベクターは、受容体を介したエンドサイトーシスによって細胞に入る。細胞内に入ると、アデノウイルスベクターが宿主染色体に組み込まれることはめったにない。代わりに、それらは、宿主核内で線状ゲノムとして(宿主ゲノムとは独立して)エピソーム的に機能する。
【0219】
遺伝子治療のための組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)およびアデノウイルスベースのウイルスベクターの使用は広く行われており、その製造は十分に文書化されている。典型的に、AAVベースのベクターは、哺乳動物細胞株(例えばHEK293ベース)で、またはバキュロウイルス/Sf9昆虫細胞系を使用して生成される。AAVベクターは、典型的にはアデノウイルスまたは単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のヘルパー機能と共に、DNAをコードするベクター構成要素の一過性トランスフェクションによって、またはAAVベクター構成要素を安定して発現する細胞株の使用によって生産されてもよい。アデノウイルスベクターは、典型的に、アデノウイルスE1機能を安定して発現する哺乳動物細胞株(例えばHEK293ベース)で生成される。
【0220】
アデノウイルスベクターは、典型的に、生産細胞株を使用した一連の「感染」ラウンドによるヘルパー機能依存複製によって「増幅」される。アデノウイルスベクターおよびその生産系は、アデノウイルスゲノムの全部または一部を含むポリヌクレオチドを含む。アデノウイルスは、限定されないが、Ad2、Ad5、Ad12、およびAd40に由来するアデノウイルスであることは周知である。アデノウイルスベクターは、典型的には、アデノウイルスコートにカプセル化されたDNAの形態、または別のウイルスまたはウイルス様形態(単純ヘルペスおよびAAVなど)にパッケージ化されたアデノウイルスDNAの形態である。
【0221】
AAVベクターは、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7およびAAV-8を含むがこれらに限定されない、アデノ随伴ウイルス血清型に由来するベクターであると一般に理解されている。AAVベクターは、1つまたは複数のAAV野生型遺伝子の全体または一部、好ましくはrepおよび/またはcap遺伝子が欠失しているが、機能的隣接ITR配列を保持している可能性がある。機能的なITR配列は、AAVビリオンのレスキュー、複製、およびパッケージングに必要である。したがって、AAVベクターは、本明細書において、ウイルスの複製およびパッケージング(例えば、機能的ITR)のためにシスで必要とされる配列を少なくとも含むと定義される。ITRは、野生型ヌクレオチド配列である必要はなく、配列が機能的なレスキュー、複製およびパッケージングを提供する限り、例えばヌクレオチドの挿入、欠失または置換によって変更されてもよい。「AAVベクター」は、そのタンパク質シェルまたはキャプシドも指し、ベクター核酸を標的細胞の核に送達するための効率的な媒体を提供する。AAV生産系は、AAV遺伝子産物を提供するために発現することができるAAV由来のコード配列を典型的に指すヘルパー機能を必要とし、次に、生産的なAAV複製のためにトランスで機能する。そのため、AAVヘルパー機能は、主要なAAVオープンリーディングフレーム(ORF)、repおよびcapの両方を含む。Rep発現産物は、とりわけ以下を含む多くの機能を有することが示されている:DNA複製のAAV起点の認識、結合、およびニッキング;DNAヘリカーゼ活性;およびAAV(または他の異種)プロモーターからの転写の調節。Cap発現産物は、必要なパッケージング機能を提供する。AAVヘルパー機能は、AAVベクターから欠落しているトランスのAAV機能を補完するために本明細書で使用される。AAVヘルパー構築物は、一般に、目的のヌクレオチド配列の送達のための形質導入ベクターを生成するために使用されるAAVベクターから削除されたAAV機能を提供するヌクレオチド配列を含む核酸分子を指すことが理解される。AAVヘルパー構築物は、AAV複製に必要なAAV機能の欠落を補完するために、AAVrepおよび/またはcap遺伝子の一過性発現を提供するために一般的に使用される。しかしながら、ヘルパー構築物にはAAVITRがなく、複製もパッケージ化もできない。AAVヘルパー構築物は、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、ウイルス、またはビリオンの形をとることができる。RepおよびCap発現産物の両方をコードする一般的に使用されるプラスミドpAAV/AdおよびpIM29+45など、多くのAAVヘルパー構築物が記載されている。例えば、サムルスキら(1989) J. Virol. 63:3822-3828;およびマッカーティら(1991)J.Virol. 65:2936-2945を参照のこと。Repおよび/またはCap発現産物をコードする多くの他のベクターが記載されている。例えば、U.S.Pat.No.5,139,941および6,376,237を参照のこと。さらに、「付属機能」なる語は、AAVがその複製に依存する非AAV由来のウイルスおよび/または細胞機能を指すことは周知の事実である。したがって、この語は、AAV遺伝子転写の活性化、段階特異的なAAVmRNAスプライシング、AAVDNA複製、Cap発現産物の合成、およびAAVキャプシドアセンブリに関与する部分を含む、AAV複製に必要なタンパク質およびRNAを捉える。ウイルスベースの補助機能は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型以外)、およびワクシニアウイルスなどの既知のヘルパーウイルスのいずれかに由来する可能性がある。
【0222】
単純ヘルペスウイルスベクター
単純ヘルペスウイルス(HSV)は、ニューロンに自然に感染するエンベロープを有する二本鎖DNAウイルスである。それは、外来DNAの大きな部分を収容できるため、ベクター系として魅力的であり、ニューロンへの遺伝子送達用のベクターとして使用されている(Manservigiet ら Open Virol J. (2010) 4:123-156)。
【0223】
治療手順でHSVを使用するには、菌株が溶解サイクルを確立できないように弱毒化する必要がある。特に、HSVベクターがヒトの遺伝子治療に使用される場合、ポリヌクレオチドは必須遺伝子に挿入されることが好ましい。これは、ウイルスベクターが野生型ウイルスに遭遇した場合、組換えによって異種遺伝子が野生型ウイルスに導入される可能性があるためである。しかしながら、ポリヌクレオチドが必須遺伝子に挿入されている限り、この組換え伝達はレシピエントウイルスの必須遺伝子も削除し、異種遺伝子が複製可能な野生型ウイルス集団に「逃げる」ことを防ぐ。
【0224】
ワクシニアウイルスベクター
本明細書に記載の方法はまた、複製可能なワクシニアウイルスの存在を検出するために使用されてもよい。ワクシニアウイルスベクターは、MVAまたはNYVACを含む。ワクシニアベクターの代替物は、ALVACとして知られる鶏痘またはカナリア痘などのアビポックスベクター、およびヒト細胞に感染して組換えタンパク質を発現することができるが、複製することができないそれらに由来する株を含む。
【0225】
本明細書で特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Singleton および Sainsbury,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,第 2 版、John Wiley および Sons,NY (1994); HaleおよびMarham著,Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)は、当業者に、本発明で使用される多くの用語の一般的な辞書を提供している。本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料はいずれも本発明の実施に使用できるが、好ましい方法および材料を本明細書に記載する。したがって、すぐ下に定義されている用語は、仕様全体を参照することにより、より完全に説明されている。また、本明細書で使用される単数形の用語「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の参照を含む。特に明記しない限り、核酸は5’から3’の方向で左から右に書かれている。アミノ酸配列は、それぞれアミノからカルボキシの方向で左から右に書かれている。本発明は、記載された特定の方法論、プロトコル、および試薬に限定されず、これらは当業者によって使用される状況に応じて変化してもよいことが理解されるべきである。
【0226】
SINベクター
本発明の方法で使用するためのベクターは、好ましくは、ウイルスのエンハンサーおよびプロモーター配列が欠失している自己不活化(SIN)構成で使用される。SINベクターを生成し、インビボ、エクスビボ、またはインビトロで、野生型ベクターと同様の効果で非分裂標的細胞に形質導入することができる。SINプロウイルスの長末端反復配列(LTR)の転写不活性化は、複製可能ウイルスによる動員を防ぐはずである。これはまた、LTRのシス作用効果を排除することにより、内部プロモーターからの遺伝子の調節された発現を可能にするはずである。
【0227】
例として、3’LTRのU3領域の転写エンハンサーまたはエンハンサーおよびプロモーターを欠失させることにより、自己不活化レトロウイルスベクターシステムが構築されている。ベクターの逆転写および統合のラウンドの後、これらの変更は5’LTRおよび3’LTRの両方にコピーされ、転写的に不活性なプロウイルスを生成する。しかしながら、かかるベクター内のLTRの内部にある任意のプロモーターは、依然として転写的に活性である。この戦略は、内部に配置された遺伝子からの転写に対するウイルスLTRのエンハンサーとプロモーターの影響を排除するために採用されている。かかる効果は、転写の増加または転写の抑制を含む。この戦略は、3’LTRからゲノムDNAへの下流転写を排除するためにも使用できる。これは、任意の内因性癌遺伝子の偶発的な活性化を防ぐことが重要なヒト遺伝子治療において特に重要である。Yuら,(1986) PNAS 83: 3194-98; Martyら,(1990) Biochimie 72: 885-7; Naviauxら,(1996)J.Virol. 70: 5701-5; Iwakuma ら, (1999) Virol. 261: 120-32; Deglon ら, (2000) Human Gene Therapy 11: 179-90。SINレンチウイルスベクターは、US6,924,123およびUS7,056,699に記載されている。
【0228】
本明細書に記載のベクターは、VSV-G(水疱性口内炎ウイルス-G)で偽型化されてもよい。これにより、ウイルスを高力価に濃縮することができる。
【0229】
配列同一性
「同一性」および「同一」などの語は、2つのポリマー分子間、例えば、2つの核酸分子間、2つのDNA分子間の配列類似性を指す。配列アラインメントおよび配列同一性の決定は、例えば、Tatusova および Madden 1999 (FEMS Microbiol Lett 174: 247-250)によって記載された「Blast2配列」アルゴリズムなどの、Altschul ら 1990 (J Mol Biol 215: 403-10)によって最初に記載された Basic Local Alignment Search Tool (BLAST)を使用して行うことができる。
【0230】
比較のために配列を整列させる方法は、例えば、Smith およびWaterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:482; Needleman およびWunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443; Pearson および Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444; Higgins および Sharp (1988) Gene 73:237-44; Higgins および Sharp (1989) CABIOS 5:151-3; Corpet ら(1988) Nucleic Acids Res. 16:10881-90; Huang ら (1992) Comp. Appl. Biosci. 8:155-65; Pearson ら (1994) Methods Mol. Biol. 24:307-31; Tatiana ら (1999) FEMS Microbiol. Lett. 174:247-50に記載されているように、当技術分野で周知である。 配列アラインメント方法および相同性計算の詳細な考察は、例えば、Altschul ら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10において見出すことができる。
【0231】
National Center for Biotechnology Information (NCBI) Basic Local Alignment Search Tool (BLAST(登録商標); Altschul ら (1990)) は、National Center for Biotechnology Information (Bethesda, MD)を含むいくつかの情報源から入手でき、インターネット上でいくつかの配列解析プログラムと組み合わせて使用される。このプログラムを使用して配列同一性を決定する方法の説明は、インターネットのBLAST(登録商標)の「ヘルプ」セクションで入手できる。核酸配列の比較には、BLASTTM(Blastn)プログラムの「Blast2配列」機能をデフォルトのパラメーターを使用して使用してもよい。参照配列との類似性がさらに高い核酸配列は、該方法で評価した場合、パーセンテージ同一性の増加を示す。典型的に、配列同一性パーセンテージは、配列の全長にわたって計算される。
【0232】
例えば、グローバル最適アラインメントは、Needleman-Wunschアルゴリズムによって次のスコアリングパラメータで適切に検出される。一致スコア:+2、不一致スコア:-3、ギャップペナルティ:ギャップオープン5、ギャップエクステンション2。結果として得られる最適なグローバルアラインメントのパーセンテージ同一性は、100を掛けられるアラインメントの全長に対するアラインメントされた塩基の数の比率によって適切に計算され、ここでアラインメント長は一致および不一致の両方を含む。
【0233】
本発明の態様は、以下の非限定的な実施例によって実証される。
【0234】
実施例
実施例1:RCLCCアッセイ-T225フラスコスケールおよび24wプレートスケールアッセイの比較
【0235】
T225フラスコスケールアッセイ
RCLCCアッセイは、T225フラスコスケールで以前に実施されている。10xT225フラスコを、1.00E+07C8166細胞および1.00E+07生産終了細胞(EOPC)を50ml/フラスコの最終容量において播種する。したがって、RCLCCアッセイの初期播種密度は、4.00E+05細胞/mlである。FDARCLCC試験ガイダンスを満たすために、合計1.00E+08のEOPCを試験するために10x被検物質フラスコをセットアップする。フラスコを最大9継代まで直接継代し、継代6以降から上清を回収する。
【表3】
【0236】
フラスコスケールRCLCCアッセイの期間中、処理される被験物質の総容量は、アッセイ期間中一定のままである。
【表4】
【0237】
プレートスケールRCLCCアッセイ
合計1.00E+08個のEOPCを試験するために、2.60E+05個のC8166細胞および2.60E+05個の生産終了細胞(EOPC)を1ml/ウェルの最終容量において16×24ウェルプレートに播種した。プレートを最大9継代まで直接継代し、継代7以降から上清を回収した。継代3から、24ウェルプレートを、後続の継代(図3)にわたって単一の24ウェルプレートにプールした。
【表5】
【0238】
プレートスケールRCLCCアッセイの期間中、処理される被験物質の総容量は、アッセイ期間中に順次減少する。
【表6】
【0239】
プーリングがアッセイ感度を損なわないことを示すために、比較研究が行われた。データを以下の表7A~Cに示す。
【0240】
この研究において、3つの異なるHIVΔA3Vif+陽性対照ウイルスの接種用量(用量A、B、およびC)を使用して、細胞培養培地およびウイルス許容性細胞を含有する細胞培養ウェルをスパイクした。
【0241】
スパイクしたウェルを少なくとも15日間培養し(継代を用いて)、次いでウイルスの存在について試験した。2つの異なる継代体制を並行して試験した:直接継代(表7の左側)およびプーリング継代(表7の右側)。比較研究を通して、等量のアリコート容量(3ml未満)を使用した。直接継代またはプーリング継代のいずれを使用しても、同じ結果が示される。これは、3ml未満の少量のアリコート容量を使用した場合でも、プーリングがアッセイの感度に悪影響を及ぼさないことを実証する。
【表7】

【0242】
実施例2:新しいHIV-1陽性対照の生成
遺伝子治療において使用するためのレンチウイルスベクターは、典型的に、いくつかのベクターシステム構成要素から開発されている。HIVベースの最小限の第3世代ベクターシステムには、アクセサリー遺伝子vif、vpr、vpu、nef、および補助遺伝子tatがない。標準的なベクターゲノムは、パッケージングシグナル(Ψ)、rev応答要素(RRE)、中央ポリプリントラクト(cppt)、目的の内部ヌクレオチド(NOI)発現カセット、典型的には転写後調節要素(PRE)、3’ポリプリントラクト(ppt)および自己不活化(SIN)LTRを含む。生産システムにおいて、ベクターゲノム、gagpol、rev、およびエンベロープという、別々のDNAにエンコードされた4つのコア構成要素が使用される。第3世代のベクターは、野生型またはコドン最適化されたgagpol ORFを利用してもよいが、後者を使用すると、RCLの生成につながる可能性のあるベクター構成要素間の相同組換えの可能性が大幅に減少する。それにもかかわらず、最終的なベクター医薬産物の臨床リリースの要件は、RCLの存在について試験することである。
【0243】
RCLアッセイ設計の1つの態様は、適切な陽性対照ウイルスを利用することである。したがって、HIVΔA4およびHIVΔA3Vif+の2つの陽性対照が生成された(図4を参照)。
【0244】
HIVΔA4の生成
野生型HIV-1を、アクセサリー遺伝子vif、vpr、vpu、およびnefが機能的に削除されてHIVΔA4が生成されるように設計し、ゆえに最小ベクターシステムから生じる可能性のある推定RCLをモデル化している。
【0245】
C8166-45細胞株は、HTLV-1 tax1発現によるT細胞の不死化に由来し、HIV-1感染に対して非常に許容性である。したがって、これらの細胞は典型的に、HIV-1ベースの陽性対照を使用したRCLアッセイ増幅細胞株として使用される。しかしながら、野生型または弱毒化HIV-1による感染に対する感受性が評価されているその他の(より低く)許容性の細胞は、CEM-SS、MT4、Molt4、Molt4.8、PM1、H9、Jurkat、およびSupT1細胞を含む。最初に、プロウイルスDNAをHEK293T細胞にトランスフェクトすることによってHIVΔA4の大きなマスターウイルスバンクを生成し、C8166-45細胞を介してウイルスを増幅し、蛍光生成物増強逆転写酵素(F-PERT)アッセイによってバンクの物理力価を定量化した。このデータを使用して、バンクの感染力価を、48ウェルスケールでのC8166-45細胞の連続希釈感染によって決定した。しかしながら、マスターウイルスバンクは、HEK293T製の開始ウイルスと比較して、感染性が1000倍以下であった(図5)。
【0246】
F-PERTアッセイは、十分に説明されたプロトコルであり、当業者に知られている。例えば、試料を、溶解バッファー/溶液を使用して破壊/溶解し、F-PERTqPCRを介して丁寧に分析してもよい。F-PERTマスターミックスは、MS2RNAとプライマー、およびMS2に特異的なプローブを含有してもよい。逆転写酵素活性のレベルを、既知の活性レベルを有するRT標準と比較して測定する。
【0247】
HIVΔA3Vif+の生成
合成プラスミド(pVif Repair)をGeneArtで作成し、SbfI-EcoRI断片をpMK4-3ΔA4(Miniprep H10)に挿入した。新しいミニプレップからのクローンDNAを消化して、pMK4-3ΔA3Vif+をスクリーニングした。追加のNdeI部位が存在し、pMK4-3ΔA3Vif+においてAseI部位が失われている(図6)。
【0248】
クローン3および4からのDNAをプールし、HIVΔA3Vif+のウイルスストックを生成するために使用した。
【0249】
HIVΔA3Vif+マスターウイルスストックの生産
細胞播種
HEK293T細胞は、典型的にのGLP継代ストックから回収した。T150フラスコに9.2x106細胞/26.3mLを播種し、10cm2プレートに3.5x106細胞/10mLを播種し、培養物を37℃で一晩インキュベートした。
【0250】
プロウイルスDNAによる細胞のトランスフェクション
培養物は健全に見え、以下のようにプロウイルスDNAでトランスフェクトした。
【表8】
【0251】
プロトコル
-DNA(a)を5mLビジューチューブにおけるOPTiMem(b)に加える-混合する
-LipofectamineをビジューチューブにおけるOPTiMem(d)に加える-穏やかに混合し、5分間インキュベートする
-L2K/OPTiM(c)をa+b混合物に滴下して加える-よくかき混ぜて混合する
-トランスフェクション混合物を室温で25分間インキュベートする
-TXNmixを適切に標識された培養物に滴下して加える-かき混ぜて混合する
【0252】
培養物を37℃で一晩インキュベートした。
【0253】
誘導
酪酸ナトリウムを培養物に添加して最終培養物を10mMとし、6時間後、53mLおよび10mLの新鮮な培地を10cm2プレート(TXN1)およびT150フラスコ(TXN2)にそれぞれ添加した。培養物を37℃で約20時間インキュベートした。
【0254】
ウイルス回収
2つの培養物の上清を回収し、0.2μmフィルターでろ過した。HIVΔA4の0.6mLアリコート15個およびHIVΔA3Vif+の0.5mLアリコート92個をクライオバイアル中で作成し、-80℃で保存した。
【0255】
HIVΔA3Vif+の生産に成功した。このマスターウイルスバンクは現在、HIVΔA3Vif+と呼ばれている。
【0256】
C8166培養物におけるwtHIV、HIVΔA3Vif+およびHIVΔA4の感染性の試験
C8166-45細胞は、vif欠損HIV-1に対して半許容性であることが以前に報告されている。wtHIV、HIVΔA3Vif+、およびHIVΔA4の感染性は、C8166-45培養物を4週間にわたってウイルスのみで直接継代することによって比較された。感染はMOI~0.1で開始し、F-PERT分析の3~4日前にインキュベートし、0.1mLのウイルス含有上清を新しい培養物に接種した(図7)。
【0257】
野生型HIVおよびHIVΔA3Vif+はどちらもC8166細胞に連続的に感染することができたが、vif欠損の弱毒化HIVウイルスであるHIVΔA4は、直接継代にわたって非感染性になった。このことは、C8166細胞がvif欠損HIV-1に対して半許容性であることを示唆した。
【0258】
読者の注意は、本出願に関連して本明細書と同時にまたは本明細書より前に提出され、本明細書とともに公衆の閲覧に開放されている全ての論文および文書に向けられており、かかる全ての論文および文書の内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0259】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示される全ての特徴、および/またはそのように開示される任意の方法またはプロセスの全ての工程は、かかる特徴および/または工程の少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0260】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示される各機能は、別段の明示的な記載がない限り、同じ、同等、または類似の目的を果たす別の機能に置き換えることができる。したがって、別段の明示的な記載がない限り、開示された各機能は、一連の同等または類似の一般的な機能の一例にすぎない。
【0261】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示される特徴の任意の新規の1つまたは任意の新規の組み合わせ、またはそう開示される任意の方法またはプロセスの工程の任意の新規の1つまたは任意の新規の組み合わせにまで及ぶ。
【0262】
配列







【0263】
参考文献
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2023517615000001.app
【国際調査報告】