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特表2023-517616急性呼吸窮迫症候群およびウイルス感染の治療用のCXCR4阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】急性呼吸窮迫症候群およびウイルス感染の治療用のCXCR4阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/10 20060101AFI20230419BHJP
   A61K 31/395 20060101ALI20230419BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230419BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230419BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20230419BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230419BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
A61K38/10
A61K31/395
A61P11/00
A61P43/00 111
C12N15/113 140Z
C07K16/28 ZNA
C07K7/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554639
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 IL2021050273
(87)【国際公開番号】W WO2021181398
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/987,995
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/026,059
(32)【優先日】2020-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/106,419
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515264805
【氏名又は名称】バイオラインアールエックス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BioLineRx Ltd.
【住所又は居所原語表記】2 HaMaayan Street, 7177871 ModiIn, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタイン ギデオン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA09
4C084BA18
4C084BA26
4C084CA59
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZC421
4C084ZC422
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC58
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZC42
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA16
4H045EA20
4H045EA22
4H045EA29
4H045FA40
(57)【要約】
急性呼吸窮迫症候群の治療方法である。当該方法は、治療を必要とする対象に治療有効量のCXCR4阻害剤を投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための方法であって、前記対象に対して治療有効量のCXCR4阻害剤を投与して前記ARDSを治療することを含み、前記ARDSは細菌感染または真菌感染と関連しない、方法。
【請求項2】
治療を必要とする対象における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療用であり、前記ARDSは細菌感染または真菌感染と関連しない、CXCR4阻害剤。
【請求項3】
前記ARDSはウイルス感染と関連する、請求項1または2に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項4】
前記ウイルス感染は、インフルエンザ、コロナウイルス科、およびヘルペスウイルス科からなる群より選ばれるウイルス由来である、請求項3に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項5】
前記ARDSは敗血症と関連しない、請求項1または2に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項6】
前記ARDSは、気圧性外傷(容量損傷)、肺塞栓症(PE)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、消化管出血、運動障害、誤嚥、血管損傷、(肺動脈カテーテルの留置による)気胸、挿管および/または気管内チューブによる炎症の結果として気管損傷/狭窄症、血餅、吸入肺損傷、肺挫傷、胸部外傷、溺水、外傷、心肺バイパス、火傷、ウイルス感染からなる群より選ばれる病態と関連する、請求項1または2に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項7】
気圧性外傷(容量損傷)、肺塞栓症(PE)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、消化管出血、運動障害、誤嚥、血管損傷、気胸、気管損傷/狭窄症、血餅、吸入肺損傷、肺挫傷、胸部外傷、溺水、外傷、心肺バイパス、および火傷からなる群より選ばれる病態を有する対象を治療するための方法であって、前記対象に対して治療有効量のCXCR4阻害剤を投与して前記対象の前記病態を治療することを含む、方法。
【請求項8】
コロナウイルス感染を治療するための方法であって、治療を必要とする対象に対して治療有効量のCXCR4阻害剤を投与してコロナウイルス感染を治療することを含み、前記治療はワクチン接種ではない、方法。
【請求項9】
コロナウイルス感染の治療用であり、ワクチン接種用ではない、CXCR4阻害剤。
【請求項10】
前記コロナウイルスはSARS-Cov-2、中東呼吸器症候群コロナウイルス、または重症急性呼吸器症候群コロナウイルスである、請求項4、8および9のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項11】
前記治療は、前記感染を起こした病原の抗原の投与を含まない、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項12】
治療有効量の抗ウイルス薬の投与をさらに含む、請求項1、3~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
治療有効量の抗ウイルス薬の使用をさらに含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のCXCR4阻害剤。
【請求項14】
前記抗ウイルス薬は、インターフェロン、レミデシビル、リバビリン、アデフォビル、テノフォビル、アシクロビル、ブリブジン、シドフォビル、ホミビルセン、ホスカルネット、ガンシクロビル、ペンシクロビル、アマンタジン、リマンタジンおよびザナミビルからなる群より選ばれる、請求項12または13に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項15】
前記CXCR4阻害剤は、ペプチド、小分子、抗体、核酸またはこれらの組み合わせである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項16】
前記CXCR4阻害剤はペプチドである、請求項15に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項17】
前記ペプチドは、配列番号1で表されるペプチドまたはその類似体である、請求項16に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項18】
前記CXCR4阻害剤は小分子である、請求項15に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項19】
前記小分子はAMD3100である、請求項15に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項20】
前記対象は、CRP、フィブリノーゲン、フェリチン、Di-ダイマー、プロカルシトニン、IL6、IL-8、IL-10、IL1ra、hMPO、アンジオポイエチン2、RAGE、t-プラスミノーゲンおよびSERPIN E1からなる群より選ばれる少なくとも1種のマーカーによって特定される炎症を発症している、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項21】
前記配列番号1で表されるペプチドは皮下投与される、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項22】
前記配列番号1で表されるペプチドは0.5~5mg/kgの用量で投与される、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項23】
前記配列番号1で表されるペプチドは0.5~2.5mg/kgの用量で投与される、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項24】
前記配列番号1で表されるペプチドは、0.75~1.5mg/kgの用量で投与される、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項25】
前記配列番号1で表されるペプチドは、1.25mg/kgの用量で投与される、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項26】
前記配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って10日間まで投与される、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項27】
前記配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って7日間まで投与される、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項28】
前記配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って7~10日間投与される、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項29】
前記対象は、SARS-CoV-2ウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)またはヒト・メタニューモウイルス(hMP)に感染している、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【請求項30】
前記有効量は、10日目のPaO/FIOに好ましい変化をもたらす、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法またはCXCR4阻害剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年10月28日出願の米国仮特許出願第63/106,419号、2020年5月17日出願の米国仮特許出願第63/026,059号、および2020年3月11日出願の米国仮特許出願第62/987,995号の優先権を主張するものであり、この特許出願の全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
配列表に関する陳述
本願の出願と同時に提出された、2021年3月10日作成の40,960バイトのASCIIファイル「86423 sequence listing.txt」を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0003】
技術分野
本発明は、そのいくつかの実施形態において、急性呼吸窮迫症候群およびウイルス感染の治療に関する。
【背景技術】
【0004】
新型コロナウイルス(2019-nCoVまたはCOVID-19)は、2019年12月後半に中国武漢で始めて同定された、新たに発生した病原体である。このウイルスは、流行中のヒトの重篤な呼吸器疾患および肺炎様感染症の病原である。中国および中国以外での症例数の増加に伴い、WHOはコロナウイルスを世界的な医療の緊急事態であると宣言した。米国を含むいくつかの国ではヒト間の伝染が報告されている。この感染症に対する効果的な抗ウイルス剤またはワクチンは現在存在しない。
【0005】
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は、新たな非常に感染力の強いコロナウイルスとして2012年に発生し、今日までに患者を治療するための抗ウイルス剤または療法は承認されていない。2012年の9月以来、86の死亡例を含む206症例がMERS-CoV感染によるものとされている。現在、支持療法が唯一の治療選択肢である。
【0006】
2002年以前には、コロナウイルスは重要なヒト病原体とは考えられていなかった。HCoV-229EおよびHCoV-OC43等の他のヒトコロナウイルスは、健康な成人において中症の呼吸器感染のみをもたらした。しかし、2002年に、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)が中国の広東省で発生した。このウイルスは29の異なる国々へ急速に広がり、8,273症例が確認され、775(9%)の死亡例をもたらした。SARS-CoVは、主として東南アジアで流行し、中国、香港、台湾、シンガポールおよびベトナムで顕著な大量感染をもたらし、ウイルスはこの地域外に運ばれた。カナダへのウイルスの流入による251の症例と44の死亡例が確認された。
【0007】
SARS-CoV、MERS-CoVおよび最近のCOVID-19の発生は、効果的な治療法の無いヒト病原体としてのコロナウイルスの重要性を示している。
【0008】
ウイルスは、自らの複製および環境への分散について宿主依存的であり、そのため、最も成功したウイルスは、その宿主と共進化したものである。CXCR4は、そのリガンドであるCXCL12によって誘導されるシグナル伝達を介した発生、血球新生、および免疫監視において主要な役割を担う細胞ケモカイン受容体である。CXCR4-CXCL12軸はCXCR4活性を修飾または開発するための広範囲にわたる戦略を使用する多くの病原体によって攻撃されている。
【0009】
CXCR4は、初期にはHIVのCD4+ T細胞への侵入のために重要な補因子として同定されたが、他のウイルスも細胞に侵入するためにCXCR4を使用し得る。加えて、いくつかのウイルスがCXCR4発現の調節またはその機能的活性の変化を行い、細胞移動、免疫応答、細胞増殖および細胞生存に直接影響を与えることが見いだされた。
【0010】
CXCR4は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の一般的な原因である感染部位への好中球およびマクロファージの浸潤を調節する際にも主要な役割を担う。具体的には、好中球およびマクロファージはARDSおよび急性肺疾患(ALI)の病態生理学において重要な細胞の1つであり、様々な病態によって発生することが臨床前研究によって示された。一度放出されると、肺組織に動員され、そこで活性酸素(ROS)および窒素種(RNS)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)等のカチオン性タンパク質、脂質メディエーター、炎症性サイトカイン、並びにエラスターゼおよびマトリクスメタロプロテアーゼを放出する。これら分子は侵襲してくる病原体にとって毒性ではあるものの、上皮および内皮の損傷を促進する。加えて、マラリア関連ARDS/ALI患者の肺の死体解剖は、肺水腫、炎症性浸潤、および間質および肺胞腔内の好中球を含む蓄積された炎症性細胞の存在を示した。COVID-19患者の肺の検死サンプルに基づく発展的データからは、肺毛細血管への好中球の浸潤、線維素沈着を伴う急性毛細血管炎、肺胞腔への好中球の血管外漏出、および好中球性粘膜炎が観察された。CXCR4/CXCL12軸は、ARDSの際の、骨髄からの好中球の放出および肺への移動の調節において重要である
【0011】
追加の背景技術:
米国特許第8,663,651号明細書
米国特許出願公開第2011/0262386号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、治療を必要とする対象における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための方法であって、対象に対して治療有効量のCXCR4阻害剤を投与してARDSを治療することを含み、ARDSは細菌感染または真菌感染と関連しない、方法が提供される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、治療を必要とする対象における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療用であり、ARDSは細菌感染または真菌感染と関連しない、CXCR4阻害剤が提供される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によると、ARDSはウイルス感染と関連する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によると、ウイルス感染は、インフルエンザ、コロナウイルス科、およびヘルペスウイルス科からなる群より選ばれるウイルス由来である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によると、ARDSは敗血症と関連しない。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によると、ARDSは、気圧性外傷(容量損傷)、肺塞栓症(PE)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、消化管出血(潰瘍)、運動障害、誤嚥、血管損傷、(肺動脈カテーテルの留置による)気胸、(挿管および/または気管内チューブによる炎症の結果としての)気管損傷/狭窄症、血餅、吸入肺損傷、肺挫傷、胸部外傷、溺水、外傷(例:脂肪塞栓症)、心肺バイパス、火傷、ウイルス感染からなる群より選ばれる病態と関連する。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、気圧性外傷(容量損傷)、肺塞栓症(PE)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、消化管出血、運動障害、誤嚥、血管損傷、気胸、気管損傷/狭窄症、血餅、吸入肺損傷、肺挫傷、胸部外傷、溺水、外傷、心肺バイパス、および火傷からなる群より選ばれる病態を有する対象を治療するための方法であって、対象に対して治療有効量のCXCR4阻害剤を投与して対象の病態を治療することを含む、方法が提供される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、コロナウイルス感染を治療するための方法であって、治療を必要とする対象に対して治療有効量のCXCR4阻害剤を投与してコロナウイルス感染を治療することを含む方法が提供される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、コロナウイルス感染の治療用であるCXCR4阻害剤が提供される。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によると、コロナウイルスはCOVID-19、中東呼吸器症候群コロナウイルス、または重症急性呼吸器症候群コロナウイルスである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によると、方法は治療有効量の抗ウイルス薬の投与をさらに含む。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によると、使用は、治療有効量の抗ウイルス薬をさらに含む。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によると、抗ウイルス薬は、インターフェロン、クロロキン、リバビリン、アデフォビル、テノフォビル、アシクロビル、ブリブジン、シドフォビル、ホミビルセン、ホスカルネット、ガンシクロビル、ペンシクロビル、アマンタジン、リマンタジンおよびザナミビルからなる群より選ばれる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によると、CXCR4阻害剤は、ペプチド、小分子、抗体、核酸またはこれらの組み合わせである。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によると、CXCR4阻害剤はペプチドである。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によると、ペプチドは、配列番号1で表されるペプチドまたはその類似体である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によると、CXCR4阻害剤は小分子である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によると、小分子はAMD3100である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によると、対象は、CRP、フィブリノーゲン、フェリチン、Di-ダイマー、プロカルシトニン、IL6、IL-8、IL-10、IL1ra、hMPO、アンジオポイエチン2、RAGE、t-プラスミノーゲンおよびSERPIN E1からなる群より選ばれる少なくとも1種のマーカーによって特定される炎症を発症している。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは皮下投与される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは0.5~5mg/kgの用量で投与される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは0.5~2.5mg/kgの用量で投与される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、0.75~1.5mg/kgの用量で投与される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、1.25mg/kgの用量で投与される。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って10日間まで投与される。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って7日間まで投与される。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って7~10日間投与される。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によると、対象は、SARS-CoV-2ウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)またはヒト・メタニューモウイルス(hMP)に感染している。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によると、有効量は、10日目のPaO/FIOに好ましい変化をもたらす。
【0041】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および/又は科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様の又は等価な方法および材料を、本発明の実施形態の実行又は試験に使用することができるが、例示的な方法および/又は材料を後述する。矛盾する場合、定義を含む本特許明細書が優先する。更に、材料、方法および実施例は単なる例示であり、必ずしも限定を意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、急性呼吸窮迫症候群およびウイルス感染の治療におけるCXCR4阻害剤の使用に関する。
【0043】
本発明の少なくとも一実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、必ずしもその用途が、以下の説明で示すか又は実施例で例示する詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、また、さまざまな手段で実施または実行することが可能である。
【0044】
中国から始まった新型コロナウイルス(2019-nCov)の流行は、地球上の多くの国に広がり、日に日に症例の確認数が増加している。2002年および2003年の中国におけるSARS-CoVの流行時の死亡者数を超え、2019-nCoVは国際的に問題視される公衆衛生緊急事態となり、全医療機関が厳戒態勢中である。
【0045】
本発明者は、ここで、コロナウイルス感染の治療にCXCR4阻害剤を使用することを想到した。
【0046】
骨髄から末梢血への好中球の放出を仲介するというCXCR4の重要な役割にもかかわらず、本発明者は、CXCR4/CXCL12軸の拮抗がARDSおよび関連疾患の治療に使用可能であることを示唆する。
【0047】
実際に、本発明者は、CXCR4/CXCL12軸の阻害による、(マクロファージおよび好中球の活性の維持が望まれる)非細菌性/非真菌性感染に対して表面上有益な、ARDSの新規治療様式を示唆する。論理に縛られるものではないが、in situの好中球およびマクロファージを阻害することの正味の効果は、動員に対する効果に対して増加することが示唆されている。
【0048】
よって、一態様によると、治療を必要とする対象における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための方法であって、対象に対して治療有効量のCXCR4阻害剤を投与してARDSを治療することを含み、ARDSは細菌感染または真菌感染と関連しない、方法が提供される。
【0049】
一態様によると、治療を必要とする対象における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療用であり、ARDSは細菌感染または真菌感染と関連しない、CXCR4阻害剤が提供される。
【0050】
本願で使用する「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」とは、肺の広範囲にわたる炎症の急激な(2時間~3日の)発症によって特徴づけられる呼吸不全である。症状には、息切れ、呼吸促拍、および皮膚の青色への変色が含まれる。
【0051】
成人の診断は、呼気終末陽圧(PEEP)が5cm HO超であるにもかかわらず、PaO/FiO比(動脈血酸素分圧と吸入気酸素濃度との比)が300mmHg未満であることに基づく。心臓関連肺水腫を原因とするものは除く。
成人: PaO/FiO比が300mmHg未満[1]
小児: 酸素付加指数>4
【0052】
特定の実施形態によると、ARDSは、気圧性外傷(例:容量損傷)、肺塞栓症(PE)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、消化管出血(例:潰瘍)、運動障害、誤嚥、血管損傷、気胸(例:肺動脈カテーテルの留置による)、気管損傷/狭窄症(例:挿管および/または気管内チューブによる炎症の結果として)、血餅、吸入肺損傷、肺挫傷、胸部外傷、溺水、外傷(例:脂肪塞栓症)、心肺バイパス、火傷、ウイルス感染からなる群より選ばれる病態または外傷と関連する。
【0053】
特定の実施形態によると、ARDSは敗血症と関連しない。
【0054】
特定の実施形態によると、ARDSはウイルス感染と関連する。
【0055】
特定の実施形態によると、ウイルス感染は、インフルエンザ(例:H1N1およびH5N1)、コロナウイルス科(例:下記に列挙したもの)およびヘルペスウイルス科(例:単純ヘルペスウイルス(HSV)およびサイトメガロウイルス(CMV))からなる群より選ばれるウイルス由来である。
【0056】
特定の実施形態によると、ウイルスはコロナウイルス科である。
【0057】
本願の教示は、サイトカインストーム症候群の治療または予防に利用可能であることを理解されたい。
【0058】
本願で使用する「サイトカインストーム」、「サイトカイン放出症候群」または「炎症性カスケード」とも呼ばれる「ストーム症候群」は、循環サイトカインレベルの上昇を伴う全身性炎症性病態を意味し、免疫細胞の過剰活性と、典型的には死に至る多臓器機能障害および/または不全をもたらす。1つの炎症促進性サイトカインが、典型的には、免疫応答の増強および増幅し得る複数の他の炎症促進性サイトカインの産生をもたらすことから、多くの場合、サイトカインストームは、連鎖またはカスケードの一部として言及される。
【0059】
サイトカインストーム症候群の診断は、対象の身体評価、血液検査、および画像診断等の当業界で公知の任意の方法で実施することができる。サイトカインストームの初期症状は、例えば、高熱、倦怠感、食欲不振、頭痛、発心、下痢、関節痛、筋肉痛、および精神神経症状、あるいはこれらの組み合わせを含み得る。しかし、初期症状は、急速に(例:数時間から数日間で)より重篤且つ命にかかわる症状に変化し得る。よって、サイトカインストーム症候群の対象は、典型的には、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)へ進行し得る、咳および頻呼吸を含む呼吸器症状と、機械的な人工呼吸を必要とし得る低酸素血症とを有する。サイトカインストームの重症症状には、例えば、制御不能な出血、重篤な代謝調節不全、低血圧症、心筋症、頻拍、呼吸困難、発熱、虚血または不十分な組織潅流、腎不全、肝臓障害、急性肝障害または胆汁うっ滞、多臓器不全およびこれらの組み合わせが含まれる。血液検査は、典型的には、C反応性タンパク質(CRP)レベル等によって測定される過剰炎症、および白血球増多症、白血球減少症、貧血症、血小板減少症、およびフェリチンおよびd-ダイマーレベルの上昇等の血算異常を示す。
【0060】
一実施形態によると、サイトカインストーム症候群は、典型的には、1以上のサイトカインまたはケモカインの血清レベルの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、例えば、(基底状態と比べて)少なくとも50%の上昇と関連付けられており、サイトカインとしては、これらに限定されるものではないが、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、IL-1(例:IL-1α、IL-1β)、IL-2、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12、IL-178、IL-18、IL-21、IL-17、IL-33およびHMGB-1が挙げられ、ケモカインとしては、これらに限定されるものではないが、IL-8、MIG、IP-10、MCP-1(例:MIP-1α、MIP-1β)、およびBLCが挙げられる。サイトカインレベルの評価は、当業界で公知の任意の方法であるELISAまたは免疫アッセイで実施することができるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
一実施形態によると、対象は、サイトカインストームのどの段階の対象でもよく、例えば、サイトカインストームの初期症状(例:上昇したCRPレベル、上昇したサイトカインレベル、上述したサイトカインストームの初期症状)を示す対象、サイトカインストームの中等症(例:臓器不全の兆候、酸素の要求、過剰炎症を示す血液検査結果)を示す対象、サイトカインストームの重等症(例:機械的人工呼吸を要する、出血、機能障害および/または不全)を示す対象、またはサイトカインストームの重症期を経た対象でもよい。
【0062】
サイトカインストームは、後述するように、種々の病原体、療法、癌、自己免疫性および自己炎症性の病態、および単一遺伝子障害によって引き起こされ得る。
【0063】
一実施形態によると、サイトカインストーム症候群は感染症と関連付けられる。
【0064】
特定の実施形態によると、サイトカインストームはウイルス誘導性である。
【0065】
サイトカインストームと関連付けられるウイルス感染症としては、マラリア、トリインフルエンザ、天然痘、季節性インフルエンザ、成人型呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態によると、感染源としては、エボラ、マーバーグ、クリミア-コンゴ出血熱(CCHF)、南米出血熱、デング、黄熱病、リフトバレー熱、オムスク出血熱ウイルス、キャサヌール森林病、フニンウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、グアナリトウイルス、ガリッサウイルス、イレシャウイルスまたはラッサ熱ウイルスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態によると、ウイルス性感染源としてコロナウイルス、ライノウイルス、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザウイルス、エプスタインバールウイルス、サイトメガロウイルス、フラビウイルス、天然痘ウイルスおよびハンタウイルスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
一実施形態によると、サイトカインストームは、呼吸器感染症を起こすウイルス、非限定的であるが、インフルエンザウイルスまたはコロナウイルス等によって誘導される。
【0067】
一実施形態によると、サイトカインストームはコロナウイルスによって誘導される。例示的なコロナウイルスとしては、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。追加の具体例については後述する。
【0068】
一実施形態によると、サイトカインストームはインフルエンザウイルスによって誘導される。例示的なインフルエンザウイルスとしては、H1N1(スペイン風邪)およびH5N1(トリインフルエンザ)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
一実施形態によると、サイトカインストームは細菌誘導性である。サイトカインストームを誘導することができる例示的な細菌性病原体としては、ストレプトコッカス種(例:A群連鎖球菌)およびStaphylococcus aureusが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
一実施形態によると、サイトカインストーム症候群は、急性呼吸窮迫症候群等の病態と関連する。
【0071】
一実施形態によると、サイトカインストーム症候群は肺関連である。
【0072】
一実施形態によると、サイトカインストーム症候群は気道関連である。
【0073】
本発明の一態様によると、コロナウイルス感染を治療するための方法であって、治療を必要とする対象に対して治療有効量のCXCR4阻害剤を投与してコロナウイルス感染を治療することを含む方法が提供される。
【0074】
他の態様によると、コロナウイルス感染の治療用であるCXCR4阻害剤が提供される。
【0075】
本願で使用する「コロナウイルス」とは、コロナウイルス科、ニドウイルス目に属する、エンベロープ化されたプラス鎖RNAウイルスである。
【0076】
本願において想定されるコロナウイルスの例としては、229E、NL63、OC43、およびHKU1が挙げられるが、これらに限定されるものではない。尚、初めの2種は抗原決定基1に分類され、後の2種は抗原決定基2に分類され、典型的には、一般的な風邪の症状を示す上気道の感染症をもたらすものである。
【0077】
呼吸器病原体用の市販のマルチプレックスPCRアッセイは、これらウイルスを検出し得る。これらウイルスに対する陽性結果をMERS-CoVと混同しないことが重要である。
【0078】
しかし、動物を起源とするコロナウイルスは、ヒトに感染し、致命的となる種に進化することができる。よって、本願において想定するコロナウイルスの具体例は、SARS-CoV、MERS-CoV、および近年同定された2019-nCoV(「COVID-19」とも称する)の原因であるSARS-CoV-2である。
【0079】
コロナウイルス間の遺伝的多様性の拡大およびその結果であるヒトに疾患を生じする能力は、中間宿主として機能し、組換えおよび変異事象を育てる、家屋周囲の動物に感染することで主として獲得される。
【0080】
よって、本発明の実施形態は、ヒト以外の対象に関する。
【0081】
他の実施形態によると、対象はヒト対象である。
【0082】
特定の実施形態によると、対象は感染症の臨床症状を示さない。
【0083】
本願においては、いくつかの株について詳細を示すことで強調しているが、全てのコロナウイルス株を想定していることを理解されたい。
【0084】
従って、コロナウイルス感染症の臨床所見には、肺の炎症、肺胞障害、発熱、咳、息切れ、下痢、臓器不全、肺炎および/または感染性ショックからなる群より選ばれる症状が含まれる。
【0085】
特定の実施形態によると、対象は症状を示さない、即ち無症候性キャリアである。
【0086】
感染症を分析するための方法は当業界で公知であり、血清学、タンパク質マーカー、または核酸アッセイのいずれかに基づくものである。
【0087】
いくつかの実施形態によると、感染症は、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(c-PCR)と、必要な場合は核酸シーケンシングによる確認といった、NAATによるウイルスRNAの独自の配列の検出に基づくものである。
【0088】
本願において「治療する」とは、病態(疾病、疾患又は病態)の発達を阻害、予防若しくは停止させる、および/または、病態の減少、寛解若しくは軽減を引き起こすことを指す。当業者は、様々な方法論およびアッセイを用いて病態の発達を評価でき、また同様に、様々な方法論およびアッセイを用いて病理の減少、寛解又は軽減を評価できることを理解するであろう。
【0089】
本願で使用する「予防する」は、疾病のリスクを有し得るが、まだ疾病にかかったと診断されていない患者において、疾病、疾患又は状態の発生を防ぐことを指す。
【0090】
本願において「対象」という用語には、病理を患うすべての年齢の哺乳動物、好ましくはヒトを含む。いくつかの実施形態によると、この用語には、病理を発生するリスクを有する(例:呼吸器ウイルス感染に暴露された、または曝露されるリスクのある)個体も包含される。
【0091】
特定の実施形態によると、対象は、CRP、フィブリノーゲン、フェリチン、Di-ダイマー、プロカルシトニン、IL6、IL-8、IL-10、IL1ra、hMPO、アンジオポイエチン2、RAGE、t-プラスミノーゲンおよびSERPIN E1からなる群より選ばれる少なくとも1種のマーカーによって特定される炎症を発症している。
【0092】
特定の実施形態によると、対象は、例えばRT-PCRによって決定される、コロナウイルス(例:SARS-CoV-2)、インフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス(RSV)またはヒトメタニューモウイルス(hMP)に感染している。
【0093】
本願で使用する「CXCR4阻害剤」という用語は、CXCR4受容体に干渉するか、またはその生物活性を阻害する分子または組成物を意味する。CXCR4受容体の生物活性には、ウイルスの細胞への侵入またはウイルスの細胞内での複製が含まれ得る(が論理に縛られるものではない)。
【0094】
CXCR4阻害剤は、種々のクラスの化合物分子(例:小さな有機または無機分子)、多糖類、生物学的巨大分子(例:ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体および誘導体)、ペプチド模倣体、抗体、抗体断片、核酸、核酸類似体および誘導体(アプタマー等)、生物学的材料(細菌、植物、真菌、または動物の細胞または組織)の抽出物、天然または合成組成物を包含することができる。
【0095】
論理に拘束されるものではないが、CXCR4阻害剤は、種々の経路で作用することができる。例えば、CXCR4阻害剤は、CXCR4受容体上のリガンド結合部位に結合してリガンドのCXCR4受容体への結合に干渉したり、CXCR4受容体上の非リガンド結合部位に結合してリガンドのCXCR4受容体への結合に干渉したり、CXCR4受容体のリガンドと結合してリガンドのCXCR4受容体への結合に干渉したり、CXCR4発現ポリヌクレオチド(例:mRNA)の発現を阻害したりすることができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、CXCR4阻害剤は、CXCR4受容体の生物活性を、対照に対して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、or少なくとも95%阻害する。いくつかの実施形態において、CXCR4阻害剤は、CXCR4受容体の生物活性を、対照に対して、完全に喪失させる。対照は、阻害剤で処理されていないサンプルを含むことができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、CXCR4阻害剤は核酸である。例示的なCXCR4核酸阻害剤としては、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、マイクロRNA、アプタマー、リボザイム、およびデコイオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。CXCR4核酸阻害剤はCXCR4遺伝子の発現を阻害することができる。
【0098】
例示的な抗CXCR4 siRNAは、例えば、米国特許出願公開第2007/0238868号および第2009/0253772号明細書に記載されており、本参照をもってその内容を援用する。いくつかの例示的なCXCR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、米国特許出願公開第2004/0209837号明細書に記載されており、本参照をもってその内容を援用する。
【0099】
いくつかの実施形態において、CXCR4阻害剤はCXCR4またはCXCL12(SDF-1 アルファ)に結合する。他の実施形態において、CXCR4阻害剤は抗体または抗体断片である。いくつかの実施形態において、CXCR4阻害剤は小分子、例えば、AMD-3100、ALX40-4C、T22、T140、Met-SDFl ベータ、T134、またはAMD-3465である。
【0100】
例示的なCXCR4阻害剤としては、2,2’-ビシクラム、6,6’-ビシクラム、米国特許第5,021,409号および第6,001,826号明細書に記載の実施形態、特に米国特許第5,583,131号明細書に記載され、本願でAMD3100と称する1,1’-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]-ビス-1,4,8,11テトラアザシクロテトラデカンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、CXCR4阻害剤は、米国特許出願公開第2003/0220341号明細書に記載のN’-(1Hベズイミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラハイドロキノリン8-イル)-ブタン-1,4-ジアミンであるCTCF-0214、CTCF-9908、CP-1221(直鎖ペプチド、環状ペプチド、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびペプチド模倣化合物)、4F-ベンゾイルTN24003、KRH-1120、KRH-1636、KRH-2731、ポリフェムシン類似体、ALX40-4C、あるいは国際公開第01/85196号、第99/50461号、第01/94420号、第03/090512号に記載のものであり、それぞれ、本参照をもって本願にその全体を援用する。
【0101】
いくつかの実施形態において、CXCR4阻害剤は、米国特許出願公開第2010/0055088号明細書に記載のT-140類似体および抗体、米国特許出願公開第2009/0221683号明細書に記載の環状ポリアミン、ならびに米国特許出願公開第2004/0209921号、第2005/0059702号、第2005/0043367号、第2005/0277670号、第2010/0178271号および第2003/0220341号明細書、米国特許第5,021,409号、第6,001,826号、第5,583,131号明細書、国際公開第03/011277号に開示された化合物が含まれ、それぞれ、本参照をもって本願にその全体を援用する。
【0102】
CXCR4阻害剤としては、CXCR4に特異的に結合するポリペプチドも挙げられるが、これに限定されるものではない。このような阻害剤には、T140、およびT140の誘導体が含まれる。例示的なT140の誘導体としては、TN14003、TC14012、およびTE14011、さらには本参照をもって本願にその全体を援用するTamamura, H. et al. Org. Biomol. Chem. 1:3656-3662, 2003に記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
本発明の特定の実施形態によると、本発明のCXCR4アンタゴニスト様ペプチド、例えば、4F-ベンゾイル-TN14003(配列番号1)、その類似体または誘導体は、国際公開第2002/020561号および国際公開第2004/020462号に開示されたペプチドに構造的および機能的に関連しており、詳細に後述するように、「T-140類似体」としても公知である。
【0104】
様々な特定の実施形態において、T-140の類似体または誘導体は、下記式(I)で表されるアミノ酸配列またはその塩を有する。
【0105】
【化1】
(式中:
は、アルギニン、リシン、オルニチン、シトルリン、アラニンまたはグルタミン酸残基、もしくはこれらアミノ酸のN-α-置換誘導体であるか、またはAは存在しない、
は、Aが存在する場合、アルギニンまたはグルタミン酸残基を表し、Aが存在しない場合、アルギニンもしくはグルタミン酸残基、またはこれらのアミノ酸のN-α-置換誘導体を表し、
は、芳香族アミノ酸残基を表し、
、AおよびAは、それぞれ独立に、アルギニン、リシン、オルニチン、シトルリン、アラニンまたはグルタミン酸残基を表し、
は、プロリン、グリシン、オルニチン、リシン、アラニン、シトルリン、アルギニンまたはグルタミン酸残基を表し、
は、プロリン、グリシン、オルニチン、リシン、アラニン、シトルリンまたはアルギニン残基を表し、
は、チロシン、フェニルアラニン、アラニン、ナフチルアラニン、シトルリンまたはグルタミン酸残基を表し、
10は、シトルリン、グルタミン酸、アルギニンまたはリシン残基を表し、
11は、アルギニン、グルタミン酸、リシンまたはシトルリン残基を表し、C末端のカルボキシル基は、誘導体化されていてもよく、
4位または13位のシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成していてもよく、前記アミノ酸は、L型とD型のいずれでもよい。)
【0106】
式(I)で表される例示的なペプチドは、以下の表1に示したように、配列番号1~72のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチドである。
【0107】
【表1-1】
【0108】
【表1-2】
【0109】
具体的な実施形態によれば、配列番号1~72のそれぞれにおいて、2つのシステイン残基は、ジスルフィド結合でカップリングされている。
【0110】
別の実施形態において、類似体または誘導体は、配列番号65に記載のアミノ酸配列(H-Arg-Arg-Nal-Cys-Tyr-Cit-Lys-DLys-Pro-Tyr-Arg-Cit-Cys-Arg-OH、TC14003)を有する。
【0111】
別の実施形態において、本発明の組成物および方法で使用するペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列から実質的になる。別の実施形態において、本発明の組成物および方法で使用するペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1と少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%相同である。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1と少なくとも90%相同である。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1と少なくとも約95%相同である。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0112】
様々な他の実施形態において、ペプチドは、配列番号1~72から選択され、それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0113】
別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1~4、10、46、47、51~56、65、66、68、70および71のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号4、10、46、47、68および70のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1、2、51、65および66のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号53~56のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する。
【0114】
一実施形態において、ペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号66に記載のアミノ酸配列を有する。
【0115】
他のCXCR4ペプチド阻害剤(拮抗薬)としては、LY2510924(Lilly Oncologyによる)、CTCE-9908(Huang et al. 2009 Journal of Surgical Research 155:231-236)、Fc131類似体、および下記の引用文献(その各々は、その全体が参照により本明細書に援用される)に特定されているナノボディが挙げられるが、これらに限定されない。
Tan NC, Yu P, Kwon Y-U, Kodadek T. High-throughput evaluation of relative cell permeability between peptoids and peptides. Bioorg Med Chem. 2008; 16:5853-61.
Kwon Y-U, Kodadek T. Quantitative evaluation of the relative cell permeability of peptoids and peptides. J Am Chem Soc. 2007; 129:1508.
Miller S, Simon R, Ng S, Zuckermann R, Kerr J, Moos W. Comparison of the proteolytic susceptibilities of homologous L-amino acid, D-amino acid, and N-substituted glycine peptide and peptoid oligomers. Drug Dev Res. 1995; 35:20-32.
Yoshikawa Y, Kobayashi K, Oishi S, Fujii N, Furuya T. Molecular modeling study of cyclic pentapeptide CXCR4 antagonists: new insight into CXCR4-FC131 interactions. Bioorg Med Chem Lett. 2012; 22:2146-50.
Jaahnichen S, Blanchetot C, Maussang D, Gonzalez-Pajuelo M, Chow KY, Bosch L, De Vrieze S, Serruys B, Ulrichts H, Vandevelde W. CXCR4 nanobodies (VHH-based single variable domains) potently inhibit chemotaxis and HIV-1 replication and mobilize stem cells. Proc Natl Acad Sci USA. 2010; 107:20565-70.
【0116】
本発明のいくつかの実施形態におけるCXCR4アンタゴニスト(例:配列番号1)は、そのまま、又は、好適な担体若しくは賦形剤と混合した医薬組成物として対象に投与されてもよい。
【0117】
本明細書で使用される「医薬組成物」とは、生理学的に適切な担体や賦形剤等の他の化学成分を用いた、本明細書に記載の1種以上の有効成分の調製物を意味する。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることである。
【0118】
本明細書における「有効成分」という用語は、生物学的効果に関与するCXCR4アンタゴニスト(例:配列番号1)を意味する。
【0119】
以下、互換的に使用することができる「生理学的に許容し得る担体」と「薬学的に許容し得る担体」という語句は、生物に対して大きな刺激を引き起こさず、投与された化合物の生物活性および特性を無効にしない担体又は希釈剤を意味する。アジュバントはこれらの語句に含まれる。
【0120】
本明細書における「賦形剤」という用語は、有効成分の投与を更に容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を意味する。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な種類の糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
薬物の処方と投与に関する技法は、“Remington's Pharmaceutical Sciences” Mack Publishing Co.(ペンシルベニア州イーストン)最新版に見出すことができるが、これを本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0122】
適切な投与経路としては、例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、特に経鼻送達、腸送達又は非経口送達、例えば、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射の他に、髄腔内注射、直接脳室内注射、心臓内注射(例えば、右心室腔又は左心室腔への注射、通常の冠動脈への注射)、静脈内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射、又は眼内注射を挙げることができる。
【0123】
中枢神経系(CNS)への薬物送達のための従来アプローチとして、神経外科的戦略(例えば、大脳内注射または脳室内注入)、BBBの内因性輸送経路の1種を利用する薬剤の構築を目的とした分子操作(例えば、内皮細胞表面分子に対して親和性を有する輸送ペプチドと、自身ではBBBを通過できない薬剤との組み合わせを含む、キメラ融合タンパク質の製造)、薬剤の脂溶性を増大するように設計する薬理学的戦略(例えば、脂質担体またはコレステロール担体への水溶性薬剤の結合)、および高浸透圧性の破壊によるBBBの完全性の一過性の破壊(頚動脈へのマンニトール溶液の注入、またはアンジオテンシンペプチドなどの生物学的に活性な薬剤の使用によるもの)が挙げられる。しかし、これらの戦略の各々には、侵襲的外科的手順に関連する固有のリスク、内因性輸送系に固有の制限によって課せられるサイズの限界、CNSの外では活性であり得る担体モチーフを含むキメラ分子の全身投与と関連する潜在的に望ましくない生物学的副作用、およびBBBが破壊された脳の領域内で生じうる脳損傷のリスクといった限界が存在し、これら限界故に、準最適な送達法となる。
【0124】
上記の代わりに、医薬組成物を全身にではなく局所的に、例えば、患者の組織領域への直接的な医薬組成物の注射によって、投与してもよい。
【0125】
本発明の幾つかの実施形態の医薬組成物は、当技術分野で周知のプロセス、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、水簸、乳化、カプセル化、捕捉又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。
【0126】
従って、本発明の幾つかの実施形態によって使用する医薬組成物は、有効成分を薬学的に使用できる調製物に加工することを容易にする賦形剤および助剤を含む1種以上の生理学的に許容し得る担体を使用して従来の方法で処方することができる。適切な製剤は、選択した投与経路によって決まる。
【0127】
注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩緩衝液等の生理学的に適合性のある緩衝液に処方することができる。経粘膜投与の場合、浸透させるバリアに適した浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は、当技術分野で一般に知られている。
【0128】
経口投与の場合、医薬組成物は、有効化合物を当技術分野で周知の薬学的に許容し得る担体と組み合わせることによって容易に処方することができる。そのような担体によって、医薬組成物を錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方することができ、患者が経口摂取できるようになる。経口使用のための薬理学的調製物は、固体賦形剤を使用して調製することができ、場合によっては得られた混合物を粉砕し、必要に応じて適切な助剤を添加した後、顆粒の混合物を処理して錠剤又は糖衣錠コアを得る。適切な賦形剤は、特に、糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトール)等の充填剤、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロース等のセルロース調製物、および/又はポリビニルピロリドン(PVP)等の生理学的に許容し得るポリマーである。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)等の崩壊剤を添加することができる。
【0129】
糖衣錠コアには適切なコーティングが施されている。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒又は溶媒混合物を必要に応じて含むことが可能な濃縮糖溶液を使用することができる。識別用に、又は有効化合物の用量の様々な組み合わせを特徴付けるために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠コーティングに添加することができる。
【0130】
経口使用可能な医薬組成物としては、ゼラチンで作製されたプッシュフィットカプセルの他、ゼラチンと可塑剤(例えば、グリセロールやソルビトール)で作製された密封軟カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、タルクやステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、および必要に応じて安定剤と混合した有効成分を含むことができる。軟カプセルでは、有効成分を適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、又は液状ポリエチレングリコール)に溶解又は懸濁させることができる。更に、安定剤を添加することができる。経口投与用の全ての製剤は、選択した投与経路に適した投与量とすべきである。
【0131】
頬側投与の場合、組成物は、従来の方法で処方された錠剤又はトローチ剤の形態を採ることができる。
【0132】
経鼻吸入による投与の場合、本発明の幾つかの実施形態に係る使用のための有効成分は、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン又は二酸化炭素)を使用して、加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達することが便利である。加圧エアロゾルの場合、計量された量を送達するバルブを設けて投与単位を決めることができる。ディスペンサーで使用する、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物の粉末混合物と適切な粉末ベース(例えば、ラクトースやデンプン)を含むように処方することができる。
【0133】
本明細書に記載の医薬組成物は、例えば、ボーラス注射又は連続輸注による非経口投与用に処方することができる。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプル又は必要に応じて防腐剤を添加した複数回投与容器で提供することができる。組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又は乳濁液とすることができ、懸濁剤、安定剤および/又は分散剤等の配合剤を含むことができる。
【0134】
非経口投与用の医薬組成物としては、水溶性形態の活性製剤の水溶液が挙げられる。更に、有効成分の懸濁液は、適切な油性又は水性の注射懸濁液として調製することができる。適切な親油性溶媒又は媒体としては、ゴマ油等の脂肪油、又はオレイン酸エチル、トリグリセリド又はリポソーム等の合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストラン)を含むことができる。必要に応じて、懸濁液は、有効成分の溶解度を高めて高濃度溶液の調製を可能にさせる適切な安定剤又は剤も含むことができる。
【0135】
或いは、有効成分を粉末形態として、使用前に適切な媒体(例えば、無菌のパイロジェンフリーの水性溶液)を用いて構成することができる。
【0136】
また、本発明の幾つかの実施形態の医薬組成物は、例えば、カカオバターや他のグリセリド等の従来の坐剤ベースを使用して、坐剤や停留浣腸等の直腸用組成物に処方することもできる。
【0137】
本発明の幾つかの実施形態の状況での使用に適した医薬組成物としては、有効成分が用途を実現するのに有効な量で含まれる組成物が挙げられる。より詳細には、治療有効量とは、障害(例えば、コロナウイルス感染)の症状を予防、緩和又は改善するか、又は治療対象の生存を延長するのに有効な有効成分(CXCR4アンタゴニスト(例:配列番号1))の量を意味する。
【0138】
治療有効量の決定は、特に本明細書に記載の詳細な開示を考慮して、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0139】
本発明の方法で使用される任意の調製物に関して、治療有効量又は用量は、最初にインビトロアッセイおよび細胞培養アッセイから推定することができる。例えば、ある用量を動物モデルで処方して所望の濃度又は力価を得ることができる。このような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
【0140】
COVID-19について、ウイルスはヒト、コウモリ、ブタ、ジャコウネコのACE2を利用可能であると初期の報告は示唆している。
【0141】
本明細書に記載の有効成分の毒性と治療有効性は、インビトロ、細胞培養又は実験動物での標準的な薬学的手順によって決定することができる。このようなインビトロアッセイおよび細胞培養アッセイと動物実験から得たデータを使用して、ヒトにおいて使用する投与量の範囲を処方することができる。投与量は、使用する剤形および利用する投与経路に応じて変わり得る。正確な処方、投与経路および投与量は、患者の病態を考慮して個々の医師で選択することができる(例えば、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Ch. 1 p.1内のFingl, et al., 1975を参照)。
【0142】
投与量と投与間隔を個別に調整して、生物学的効果を誘導又は抑制するのに十分な有効成分のレベル(最小有効濃度、MEC)を得ることができる。MECは各調製物で異なるが、インビトロデータから推定することができる。MECを得るのに必要な投与量は、個々の特性と投与経路に応じて決まる。検出アッセイを使用して血漿中濃度を決定することができる。
【0143】
治療する病態の重症度と応答性に応じて、投薬は単回又は複数回の投与とすることができ、治療の過程は数日間~数週間、或いは治癒がもたらされるか又は病状が減少するまで続く。
【0144】
投与する組成物の量は、当然のことながら、治療対象、苦痛の重症度、投与方法、処方する医師の判断等に依存する。
【0145】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは皮下投与される。
【0146】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、0.5~5mg/kgの用量で投与される。
【0147】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、0.5~2.5mg/kgの用量で投与される。
【0148】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、0.75~1.5mg/kgの用量で投与される。
【0149】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、1.25mg/kgの用量で投与される。
【0150】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って21日間まで投与される。
【0151】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って14日間まで投与される。
【0152】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って10日間まで投与される。
【0153】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って7日間まで投与される。
【0154】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って7~10日間投与される。
【0155】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って5~20日間投与される。
【0156】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って5~14日間投与される。
【0157】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って5~10日間投与される。
【0158】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って5~8日間投与される。
【0159】
特定の実施形態によると、配列番号1で表されるペプチドは、毎日のレジメンに従って7日間投与される。
【0160】
特定の実施形態によると、有効量は、例えば、治療開始から10日目に、PaO/FIOに好ましい変化をもたらす。
【0161】
特定の実施形態によると、治療は、機械的な人工呼吸や、遠因に対する治療といった模範的な療法と組み合わされるが、これらに限定されるものではない。人工呼吸の方法には、低容量および低圧の使用も含まれる。酸素負荷が不十分な場合、肺リクルートメント手技および神経筋遮断薬を使用してもよい。これらでも不十分な場合、体外膜型酸素供給(ECMO)を使用してもよい。
【0162】
本発明の幾つかの実施形態の組成物は、必要に応じて、有効成分を含む1種以上の単位剤形を含むことが可能なFDA承認キット等のパック又はディスペンサーデバイスとして提供することができる。パックは、例えば、ブリスターパック等の金属又はプラスチック箔を含むことができる。パック又はディスペンサーデバイスには投与用説明書を添付することができる。また、パック又はディスペンサーには、医薬品の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって定められた形式の容器に関連する通知を添付することもでき、この通知は、組成物の形態やヒト又は動物への投与に関する機関(the agency of the form of compositions or human or veterinary administration)による承認を反映している。このような通知は、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局によって承認された標識、又は承認された製品の添付文書に関するものとすることができる。上で更に詳述したように、適合性のある医薬担体で処方した本発明の調製物を含む組成物を調製し、適切な容器に入れ、示された病態の治療用に標識することもできる。
【0163】
本教示は、他の抗ウイルス薬または抗炎症薬、あるいは抗凝固剤による、別個の治療または共処方による治療も想定している。
【0164】
特定の実施形態によると、抗ウイルス薬は、レミデシビル、インターフェロン、リバビリン、アデフォビル、テノフォビル、アシクロビル、ブリブジン、シドフォビル、ホミビルセン、ホスカルネット、ガンシクロビル、ペンシクロビル、アマンタジン、リマンタジンおよびザナミビルからなる群より選ばれる。
【0165】
生還した感染者の血清による治療、および/またはクロロキンに加え、ロピナビルおよびリトナビル等の抗HIV薬の使用もさらに想定される。
【0166】
COVID-19の治療に日常的に使用されている薬剤の具体例としては、ロピナビル/リトナビル、ヌクレオシド類似体、ニューラミニダーゼ阻害剤、レミデシビル、ペプチド(EK1)、アビドール、RNA合成阻害剤(TDF、3TC等)、抗炎症薬(ホルモンおよび他の分子等)、除風・解毒カプセル(Shu Feng Jie Du Capsules)および蓮花清風カプセル(Lian hua qing wen Capsule)等の中国漢方が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらは2019-nCoVに対する薬剤療法の選択肢となり得る。
【0167】
他の実施形態によると、CXCR4阻害剤は、アクテムラ(トシリズマブ)、レミデシビル、バリシチニブ(例:レミデシビルとの組み合わせ)、デキサメタゾン、抗凝固薬(例:クレキサン、エリキュース(アピキサバン))、ネキシウム(エソメプラゾール)、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、タバニック(レボフロキサシン)、アセチルシステイン、吸入コルチコステロイド(ICS)、エアロベント、ソルベックス(ブロムヘキシン塩酸塩)、Sopa K(グルコン酸カリウム)、クロロキン(例:ヒドロキシクロロキン)、抗生物質(例:アゼニル/アジスロマイシン/ジスロマック、アモキシリン/モキシペンフォルテ、セフトリアキソン/ロセフィン)からなる群より選ばれる他の薬品と組み合わされる。
【0168】
本出願に基づき成立する特許の存続期間にわたり、多数の関連CXCR4阻害剤が開発されることが予想されることから、用語CXCR4阻害剤の範囲には、推測されるこのような新規技術の全てが含まれるものとする。
【0169】
本明細書で用いられる用語「約」とは、±10%を指す。
【0170】
用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有している(having)」およびその同根語は、「それだけには限定されないが含む」を意味する。
【0171】
用語「からなる」とは、「含み、それに限定されること」を意味する。
【0172】
用語「実質的になる(consisting essentially of)」は、組成物、方法または構造が、追加の成分、ステップ、および/または部分を含んでいてもよいが、当該追加の成分、ステップ、および/または部分が、特許請求の範囲に記載された組成物、方法、または構造の基本的および新規な特徴を物質的に変化させない場合に限られることを意味する。
【0173】
本明細書において、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「化合物」または「少なくとも1種の化合物」は、その混合物を含む、複数の化合物を含み得る。
【0174】
本出願の全体を通して、本発明の様々な実施形態を範囲の形で提示することができる。範囲の形の記載は、単なる便宜上および簡潔さのためであり、本発明の範囲の変更不可能な限定と解釈すべきではないことを理解されたい。したがって、ある範囲の記述は、その範囲に含まれうる全ての部分範囲のみならず、範囲内の個々の数値をも具体的に開示するものと見なすべきである。例えば、1から6などの範囲の記述は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5、および6を具体的に開示するものと見なすべきである。これは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0175】
本明細書に数値範囲が記載されている場合、当該数値範囲内の任意の引用された数字(分数または整数)を全て含むものとする。第1指示数から第2指示数との「間の範囲」という表現、および第1指示数「から」第2指示数「までの範囲/の範囲」は、本明細書において同義的に使用され、第1および第2の指示数と、それらの間のすべての分数および整数を含むものとする。
【0176】
特定の配列表に言及する場合、このような言及は、その相補的配列に実質的に対応する配列、例えば、シーケンシングエラー、クローニングエラー、または塩基置換、塩基欠失もしくは塩基付加をもたらす他の変更に起因するわずかな配列の変化を含むものをも含むものであるが、但し、当該変換の頻度は、50ヌクレオチド中1未満、あるいは、100ヌクレオチド中1未満、あるいは、200ヌクレオチド中1未満、あるいは、500ヌクレオチド中1未満、あるいは、1000ヌクレオチド中1未満、あるいは、5,000ヌクレオチド中1未満、あるいは、10,000ヌクレオチド中1未満であることを理解されたい。
【0177】
本発明の特徴であって、明確にするために個別の実施形態のとして記載したものは、組み合わせて1つの実施形態としても提供可能であることを理解されたい。逆に、簡潔にするために1つの実施形態として記載した本発明の様々な特徴を、個別に、または任意の適切な部分組合せで、または本発明で記載した他の実施形態との適切な組み合わせとして提供することもできる。様々な実施形態に関連して記載された特徴は、その特徴なしでは実施形態が動作不能でない限り、それらの実施形態の必須要件とは見なさない。
【0178】
上記で詳細に説明し、下記の請求の範囲内で請求する発明の様々な実施形態および態様について、以下の実施例で実験的裏付けを示す。
【実施例
【0179】
次に、以下の実施例に参照するが、これらは上記説明と共に本発明の実施形態の一部を詳細に示すものであるが、本発明を限定するものではない。
【0180】
実施例1
細胞変性エンドポイントアッセイ
使用したプロトコルはAl-Jabri et al.(Virology methods manual. London: Academic Press Ltd; 1996. p. 293-356)から採用し、配列番号1で表されるペプチドの試験は4セットで実施した。簡単には、100μLのペプチドの10倍希釈系列を100μLのVero E6細胞とインキュベートし、最終細胞数を96穴プレートのウェル当たり20,000細胞とした。インキュベーションの期間は37℃、5%COで1時間とし、但しインターフェロンは細胞と共に一晩インキュベートした。濃度10,000PFU/ウェルとなる10μLのウイルス(例:SARSまたはCOVID-19)を試験ウェルのそれぞれに添加した。プレートを37℃、5%COで3日間インキュベートし、CPEについて毎日観察した。エンドポイントは、4セットのウェルでCPEを100%(CIA100)阻害したペプチド希釈率である。細胞毒性を決定するために、100μLのペプチドを10倍段階希釈したものを100μLのVero E6細胞とインキュベートし、最終細胞数を96穴プレートのウェル当たり20,000細胞、ウイルスチャレンジ無しとした。プレートを次に37℃、5%COで3日間インキュベートし、倒立顕微鏡を用いて毒性効果について調査した。
【0181】
実施例2
臨床プロトコル
目的: 呼吸器ウイルス感染による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の患者に対する標準療法に加えたBL-8040(配列番号1に示したCXCR4アンタゴニスト)の安全性および有効性を研究すること。
【0182】
プロトコルの概要:
【表2-1】
【0183】
【表2-2】
【0184】
【表2-3】
【0185】
【表2-4】
【0186】
【表2-5】
【0187】
【表2-6】
【0188】
本発明をその特定の実施形態との関連で説明したが、多数の代替、修正および変種が当業者には明らかであろう。したがって、そのような代替、修正および変種の全ては、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に含まれることを意図するものである。
【0189】
本明細書で言及した全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許および特許出願のそれぞれについて具体的且つ個別の参照により本明細書に組み込む場合と同程度に、それらの全体が参照により本明細書に援用される。加えて、本願におけるいかなる参考文献の引用または特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として使用できることの容認として解釈されるべきではない。また、各節の表題が使用される範囲において、必ずしも限定として解釈されるべきではない。更に、本願の優先権書類の全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0190】
本明細書で言及した全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許および特許出願のそれぞれについて具体的且つ個別の参照により本明細書に組み込む場合と同程度に、それらの全体が参照により本明細書に援用されることを出願人は意図する。加えて、本願におけるいかなる参考文献の引用または特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として使用できることの容認として解釈されるべきではない。また、各節の表題が使用される範囲において、必ずしも限定として解釈されるべきではない。更に、本願の優先権書類の全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0191】
参考文献
(他の文献は本願明細書の全体にわたって引用されている)
1. Jochen Grommes Contribution of Neutrophils to Acute Lung Injury Mol Med. 2011 Mar-Apr; 17(3-4): 293-307. Published online 2010 Oct 18. doi: 10.2119/molmed.2010.00138
2. Sercundes MK, Ortolan LS, Debone D, Soeiro-Pereira PV, Gomes E, et al. (2017) Correction: Targeting Neutrophils to Prevent Malaria-Associated Acute Lung Injury/Acute Respiratory Distress Syndrome in Mice. PLOS Pathogens 13(11): e1006730. www(dot)doi(dot)org/10(dot)1371/journal(dot)ppat(dot)1006730
3. Betsy J. Barnes; Targeting potential drivers of COVID-19: Neutrophil extracellular traps J Exp Med (2020) 217 (6): e20200652. www(dot)doi(dot)org/10(dot)1084/jem(dot)20200652
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5. Shaabani, N., Zak, J., Johnson, ISG15 drives immune pathology and respiratory failure during viral infection doi: www(dot)doi(dot)org/10(dot)1101/2020(dot)04(dot)13(dot)039321
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9. Lukacs NW, Berlin A, Schols D, Skerlj RT, Bridger GJ. AMD3100, a CxCR4 antagonist, attenuates allergic lung inflammation and airway hyperreactivity. Am J Pathol. American Society for Investigative Pathology; 2002; 160: 1353±60. doi: 10.1016/S0002-9440(10)62562-X PMID: 11943720
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【配列表フリーテキスト】
【0192】
配列番号1: 合成ペプチド、1位は4-フルオロベンゾイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号2: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号3: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン
配列番号4: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン
配列番号5: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、11~12位はシトルリン
配列番号6: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化シトルリン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号7: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化シトルリン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン
配列番号8: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-シトルリン、11~12位はシトルリン
配列番号9: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化シトルリン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、11~12位はシトルリン
配列番号10: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号11: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、11~12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号12: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化シトルリン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン、14位はアミド化
配列番号13: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化シトルリン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号14: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-シトルリン、11~12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号15: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化シトルリン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、11~12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号16: 合成ペプチド、1位はD-グルタミン酸、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号17: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号18: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号19: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号20: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン
配列番号21: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号22: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号23: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号24: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はD-グルタミン酸、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号25: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はD-グルタミン酸、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号26: 合成ペプチド、1位はD-グルタミン酸、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号27: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、0位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号28: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はD-グルタミン酸、14位はC末端アミド化
配列番号29: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化D-グルタミン酸、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号30: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、10位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号31: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はD-グルタミン酸、14位はC末端アミド化
配列番号32: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号33: 合成ペプチド、1位はグアニルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号34: 合成ペプチド、1位はテトラメチルグアニルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号35: 合成ペプチド、1位はテトラメチルグアニルアルギニン、2位は3-((2-ナフチル)アラニン、5位はシトルリン、7位はD-グルタミン酸、11位はシトルリン、13位はC末端アミド化
配列番号36: 合成ペプチド、1位は4-フルオロベンゾイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はアミド化
配列番号37: 合成ペプチド、1位は2-フルオロベンゾイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号38: 合成ペプチド、1位は5-アミノペンタノイルアルギニン、2位は3-((2-ナフチル)アラニン、5位はシトルリン、7位はD-グルタミン酸、11位はシトルリン、13位はC末端アミド化
配列番号39: 合成ペプチド、1位は2-デザミノアルギニル、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号40: 合成ペプチド、1位はグアニルアルギニン、2位は3-((2-ナフチル)アラニン、5位はシトルリン、7位はD-グルタミン酸、11位はシトルリン、13位はC末端アミド化
配列番号41: 合成ペプチド、1位はスクシニルアルギニン、2位は3-((2-ナフチル)アラニン、5位はシトルリン、7位はD-グルタミン酸、11位はシトルリン、13位はC末端アミド化
配列番号42: 合成ペプチド、1位はグルタリルアルギニン、2位は3-((2-ナフチル)アラニン、5位はシトルリン、7位はD-グルタミン酸、11位はシトルリン、13位はC末端アミド化
配列番号43: 合成ペプチド、1位はデザミノTMG-APA(明細書中の式IV)、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号44: 合成ペプチド、1位はR-CH(明細書中の式V)、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号45: 合成ペプチド、2位は3-((2-ナフチル)アラニン、5位はシトルリン、7位はD-グルタミン酸、11位はシトルリン、13位はC末端アミド化
配列番号46: 合成ペプチド、1位はテトラメチルグアニルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号47: 合成ペプチド、1位は6-アミノヘキサノイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号48: 合成ペプチド、1位は6-アミノヘキサノイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号49: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号50: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号51: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号52: 合成ペプチド、1位はN末端アセチル化、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号53: 合成ペプチド、1位は4-フルオロベンゾイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はNH-メチル基で誘導化
配列番号54: 合成ペプチド、1位は4-フルオロベンゾイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はNH-エチル基で誘導化
配列番号55: 合成ペプチド、1位は4-フルオロベンゾイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はNH-イソプロピルで誘導化
配列番号56: 合成ペプチド、1位は4-フルオロベンゾイルアルギニン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-グルタミン酸、12位はシトルリン、14位はチラミン残基で誘導化
配列番号57: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号58: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号59: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号60: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-アラニン、12位はシトルリン
配列番号61: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号62: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号63: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号64: 合成ペプチド、1位はシトルリン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号65: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号66: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号67: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、7位はシトルリン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号68: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
配列番号69: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-リシン、12位はシトルリン
配列番号70: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、6位はシトルリン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン
配列番号71: 合成ペプチド、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン
配列番号72: 合成ペプチド、1位はシトルリン、3位は3-((2-ナフチル)アラニン、8位はD-シトルリン、12位はシトルリン、14位はC末端アミド化
【配列表】
2023517616000001.app
【国際調査報告】