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特表2023-517627発泡性防炎塗料用の改良された樹脂系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】発泡性防炎塗料用の改良された樹脂系
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/10 20060101AFI20230419BHJP
   C09D 5/18 20060101ALI20230419BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20230419BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
C08F220/10
C09D5/18
C09D133/00
C09D4/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554655
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2021054789
(87)【国際公開番号】W WO2021180488
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】20162308.9
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319013746
【氏名又は名称】レーム・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Deutsche-Telekom-Allee 9, 64295 Darmstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ケラー
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン バルク
【テーマコード(参考)】
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4J038CG141
4J038CG142
4J038CH151
4J038CH152
4J038FA121
4J038FA122
4J038GA06
4J038JA66
4J038JB36
4J038JC24
4J038KA04
4J038KA08
4J038KA12
4J038MA13
4J038MA14
4J038NA15
4J038PB05
4J038PC02
4J100AB02P
4J100AE77R
4J100AJ01Q
4J100AJ02Q
4J100AJ08Q
4J100AL03P
4J100AL04P
4J100AL08Q
4J100BA16Q
4J100BC75R
4J100CA03
4J100CA05
4J100CA06
4J100DA01
4J100DA09
4J100DA25
4J100FA34
4J100JA01
(57)【要約】
本発明は、新規の発泡性防炎塗料用反応系および該樹脂系の製造方法に関する。発泡性防炎塗料は、特に建築物の梁などの金属部材の防火に使用される。火災時には、これらの塗料は反応して発泡し、金属支持体の周囲に熱伝導率の低い耐火断熱層を形成し、このように形成された断熱材により、この部材の早期破損が遅延される。特に、本発明は、モノマー分を最大70%の程度までしか重合させない新規の方法によって製造される樹脂系に関する。この場合、その際に形成される組成物のポリマー成分のガラス転移温度は、先行技術と比較して特に低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性防炎塗料用反応性樹脂の製造方法であって、少なくとも1つの酸官能性モノマーを含むモノマー混合物を最大70%の重合度まで重合させ、その後、前記重合を停止させ、その際に形成されたポリマーは、23℃未満のガラス転移温度を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記モノマー混合物の少なくとも90重量%は、アクリレートおよび/またはメタクリレートからなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記酸官能性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸および/または2-カルボキシエチルアクリレート、好ましくは2-カルボキシエチルアクリレートである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記モノマー組成物は、20~60重量%のMMAを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記モノマー組成物は、前記酸官能性モノマーと、MMA、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよび/またはスチレンから選択されるさらなるモノマーとからなる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記モノマー混合物は、最大3重量%の二または三官能性(メタ)アクリレートを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー成分は、10,000~200,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記形成されたポリマーは、-20℃~20℃のガラス転移温度を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記重合の停止時の前記重合度は、10~50重量%である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
2K発泡性防炎塗料用の配合物であって、前記配合物は、2K系の混合後に、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法により製造可能な反応性樹脂を30~50重量%、発泡剤を35~60重量%、過酸化物および/またはアゾ開始剤を0.1~2.5重量%、任意に促進剤を最大2重量%、任意に添加剤を4.9~15重量%、および充填剤を5~30重量%含むことを特徴とする、配合物。
【請求項11】
前記配合物は、さらに顔料を含む、請求項10記載の配合物。
【請求項12】
金属表面に発泡性防炎塗装を施す方法であって、請求項10または11記載の配合物を製造し、これを1~20分以内に前記金属表面に施与し、そこで0~30℃の温度にて60分以内で硬化させることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の発泡性防炎塗料用反応系および該樹脂系の製造方法に関する。発泡性防炎塗料は、特に建築物の梁などの金属部材の防火に使用される。火災時には、これらの塗料は反応して発泡し、金属支持体上に熱伝導率の低い耐火断熱層を形成し、このように形成された断熱材により、この部材の熱による早期破損が遅延される。
【0002】
特に、本発明は、モノマー分を最大70%の程度までしか重合させない新規の方法によって製造される樹脂系に関する。この場合、その際に形成される組成物のポリマー成分のガラス転移温度は、先行技術と比較して特に低い。
【0003】
先行技術
第一世代の発泡性防炎塗料系は、アクリレート、メタクリレートおよび/またはビニルモノマー系の高分子熱可塑性樹脂をベースにしており、対応する金属表面への施与に多量の溶媒分や水分を必要とし、それに応じて乾燥時間も長い。
【0004】
このような発泡性防炎塗料は、通常、建設段階で現場にて施与される。しかし、管理された条件下での施与が可能であることから、建設現場への搬入前に現場外で施与することが望ましい。しかし、乾燥がゆっくりである場合には、特に塗装を完了するために異なる面から順次行う必要があるため、処理時間が非効率になる。
【0005】
好ましくはオフショア産業では、エポキシ系発泡性防炎塗料が使用される。この塗料は、耐老化性に優れ、乾燥時間が比較的短いことを特徴とする。ポリウレタン系は集中的に研究されている。ポリウレタン系も同様に、乾燥時間が比較的短く、耐水性に優れていることを特徴とする。しかし、この場合、塗料が鋼に良好に付着しないため、火災試験の結果は劣悪であった。これに関する詳細は、Development of alternative technologies for off-site applied intumescent, Longdon, P. J., European Commission, [Report] EUR (2005), EUR 21216, 1-141に記載されている。
【0006】
さらなる世代の発泡性防炎塗料は、(メタ)アクリレート反応性樹脂をベースとするものである。この塗料の施与には、この場合には溶媒が不要であり、施与後の樹脂の硬化が比較的迅速であるという大きな利点がある。これにより、加工速度が向上するだけでなく、特に施与された塗膜に残存する揮発成分の割合も少なくなる。このような発泡性防炎塗料系は、欧州特許出願公開第1636318号明細書に初めて開示された。
【0007】
その後、この(メタ)アクリレートベースの系をさらに改良したものが、例えば欧州特許出願公開第2171004号明細書に開示されている。これは、金属との密着性を向上させるために酸基の割合を特に高くしていることを特徴とする。
【0008】
欧州特許出願公開第2171005号明細書には、このような系をさらに発展させたものが開示されている。これは、特に二酸またはスペーサー基を有する共重合性の酸の共重合を特徴とする。これにより、金属との密着性をさらに向上させることができる。
【0009】
しかし、これらのいずれの系もさらに改善の余地がある。例えば、配合の自由度が著しく制限されている。また、比較的厚い層しか施与することができない。これらを組み合わせると、これらの欠点から、例えば必要時や火災時の泡高さを事前にわずかにしか調整できないことにもなる。
【0010】
さらに、樹脂の製造方法が比較的複雑であることも欠点である。先行技術に記載されている、それ以外の点では非常に有利な(メタ)アクリレート系はいずれも、この場合には樹脂に含まれる固体熱可塑性ポリマーをまず別個で製造し、次にモノマー成分に溶解させ、これに添加剤を予備配合し、最終的に施与直前に2K系として最終配合するという点で共通している。この一連の製造は比較的手間がかかり、簡略化に大きな関心が寄せられている。
【0011】
課題
したがって本発明は、(メタ)アクリレート系発泡性防炎塗料の大幅に簡略化された製造方法を提供するという課題に基づく。
【0012】
ここで特に、(メタ)アクリレート系発泡性防炎塗料の先行技術に記載された製造方法と比較して、少なくとも1つの単離または配合ステップを削減できる簡略化された製造方法が必要とされていた。
【0013】
さらに、金属との密着性が非常に良好であり、かつ加工が容易であることに加えて、添加剤の添加およびその後の泡制御の調整に関して、特にその後の泡高さおよび泡品質の事前調整、例えば独立気泡の割合を特に高くすることに関してより大きな自由度を可能にする2K発泡性防炎塗料の新規の配合を提供することが課題であった。
【0014】
明示されていないさらなる課題は、以下に、発明の詳細な説明または実施例から、また本発明の全体的な文脈から明らかである。
【0015】
解決策
上述の課題は、発泡性防炎塗料用反応性樹脂の新規の製造方法によって解決される。この新規の方法は、少なくとも1つの酸官能性モノマーを含むモノマー混合物を、バッチモードで不連続的に、または後続の流管を備えた連続撹拌釜内で連続的に、最大70%の重合度まで重合させることを特徴とする。その後、重合を停止させる。さらに、本方法は、本方法で形成されたポリマーが、23℃未満、好ましくは20℃未満、特に好ましくは15℃未満のガラス転移温度を有することを特徴とする。特に好ましくは、本方法による重合停止時に形成されたポリマーのガラス転移温度は、少なくとも-20℃であり、特に好ましくは少なくとも-10℃である。
【0016】
好ましくは、重合停止時の重合度は10~50重量%であり、特に好ましくは20~40重量%である。
【0017】
驚くべきことに、本発明による方法で形成されたポリマーが、周囲の室温より低いガラス転移温度を有する場合、すなわち、単離状態であっても室温で液体である場合が特に有利であることが判明した。
【0018】
好ましくは、モノマー混合物の少なくとも90重量%は、アクリレートおよび/またはメタクリレートからなる。ここで特に好ましくは、モノマー組成物は、20~60重量%、特に好ましくは25~50重量%のMMAを含む。
【0019】
酸官能性モノマーは、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸および/または2-カルボキシエチルアクリレート、特に好ましくは2-カルボキシエチルアクリレートである。好ましくは、5重量%までの酸官能性モノマーがモノマー混合物中で使用される。
【0020】
酸官能性モノマーに加えて、モノマー組成物は、好ましくはMMA、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよび/またはスチレンから選択される、さらなるモノマーを含む。
【0021】
本発明による方法の特定の実施形態では、モノマー混合物は、さらに、最大3重量%、好ましくは最大1重量%、特に好ましくは最大0.3重量%の二もしくは三官能性(メタ)アクリレートまたはトリアリルシアヌレートを有する架橋剤を含むことができる。ここで、これらの架橋性モノマーの量は、特に、分子量、重合度、および残留モノマー混合物に応じて、架橋が起こらず、形成されたポリマー鎖の分岐のみが起こるように調整される。この調整は、当業者であれば、前述の他のパラメータに応じてわずかな実験を行うだけで実施することができる。
【0022】
好ましくは、重合停止時のポリマー成分は、重量平均分子量Mが10,000~200,000g/mol、好ましくは20,000~150,000g/mol、特に好ましくは30,000~100,000g/molである。ここで、重量平均分子量は、THFを溶離液とする少なくとも4本の適切なカラムを用いたPMMA標準物質に対するGPCにより実施される。
【0023】
本発明による方法に加えて、2K発泡性防炎塗料用の配合物も本発明の主題である。この配合物は特に、2K系の混合後の時点で、本発明による方法によって製造された反応性樹脂を30~50重量%、発泡剤を35~60重量%、過酸化物および/またはアゾ開始剤、好ましくは過酸化ベンゾイルなどの過酸化物のみを0.1~2.5重量%、任意に促進剤を最大2重量%、任意に添加剤を4.9~15重量%、および充填剤を5~30重量%含むことを特徴とする。任意に、配合物は追加の顔料を含むことができる。
【0024】
添加剤は、特に湿潤剤、皮膜形成剤、脱気試薬および/または分散助剤であってよい。任意に使用される促進剤は、通常は第二級アミンである。
【0025】
充填剤は、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、石英などであってよく、特に熱的に安定な無機化合物であってよい。火災時の塗料の無秩序な追加発泡を避けるためには、炭酸塩のような熱分解性の無機充填剤の使用をわずかにすべきである。特に好ましい充填剤は、二酸化チタンである。
【0026】
発泡剤については、様々な選択肢が存在する。特に好ましい選択肢では、190~300℃でリン酸に転化するポリリン酸塩を使用することができる。さらに、配合物はペンタエリスリトールを含み、このペンタエリスリトールは、次いでリン酸の存在下で水および二酸化炭素の脱離下に300℃以上で炭素発泡体を形成する。ここで、水および二酸化炭素は発泡剤として作用する。ここで、この選択肢のさらなる利点は、ポリリン酸塩およびリン酸が追加の難燃剤として作用することである。
【0027】
第2の選択肢ではメラミンが使用され、メラミンは、350℃以上でアンモニア、窒素および二酸化炭素に分解され、この場合、これら3つがすべて発泡剤として作用する。
【0028】
これら2つの選択肢を組み合わせることで、さらに難燃効果以外の追加の利点をも実現することができる。例えば、発泡度を細かく調整することができる。また、泡が徐々に生じ、これにより泡の安定性に関する利点が生じる。開始剤系は、通常は、1種以上の過酸化物および/またはアゾ開始剤、好ましくは過酸化物と、促進剤、通常は1種以上の第三級アミン、特に芳香族第三級アミンとからなる。このような開始剤の特に好適な例は、ジベンゾイルペルオキシドであり、これは例えば、予備配合される安全なペーストとして使用することもでき、例えばパラフィンなどのこのペーストの助剤は、適切な濃度では配合物に支障をきたさない。促進剤の例は、特にN,N-ジアルキル-p-トルイジン、例えばN,N-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、またはN,N-ジメチル-p-トルイジンまたはN,N-ジメチルアニリンである。
【0029】
実際の塗料組成物の配合は、次のように行うことができる:反応性樹脂に、発泡剤、添加剤、任意の充填剤、およびさらなる任意の充填剤を配合する。次いで、この中間配合物を、例えば同量の2つのフラクションに分割する。その後、これらのフラクションのうちの一方を、さらに促進剤と混合する。よって、これら両フラクションは、長期にわたって保存安定性である。
【0030】
実際の施与の前に、促進剤不含のフラクションを、次いで開始剤または開始剤混合物と混合する。長期の保存や輸送の後には例えば充填剤が沈殿していることがあるため、事前に両フラクションを再度撹拌する必要がある場合がある。開始剤を撹拌あるいは混合により導入した後、2K系の両フラクションを混合する。その際に反応性樹脂のモノマー成分の重合が始まり、いわゆるポットライフが始まる。このポットライフの間に、例えば鋼枠などの基材への施与を行わなければならない。近年の施与装置では、2K系の両フラクションの混合は、圧力による吹付けの直前に施与ノズルの混合室で行われることもある。ポットライフは、開始剤および促進剤の種類および濃度と、モノマー組成と、例えば周囲温度などの外部影響因子との組み合わせにより決定される。これらの因子は、当業者であれば容易に推定および調整することができる。通常であれば数分ないし数時間のポットライフで作業が行われるが、ポットライフが20時間を超えることもある。
【0031】
さらに、金属表面に発泡性防炎塗装を施す方法も本発明の主題である。本方法では、上述の2K発泡性防炎塗料用の配合物を製造し、これを1~20分以内に金属表面に施与し、そこで0~30℃の温度にて60分以内で硬化させる。ここで、未発泡の塗膜の好ましい層厚は、1~20mm、好ましくは2.5~7.5mmである。これは、火災の際に該塗膜が好ましくは20~100mm、好ましくは30~50mmの発泡体層厚を生じるように配合されている。
【0032】
実施例
特許請求の範囲に記載されているガラス転移温度は、Foxの式で算出されたものであり、これは重要である。制御のため、DSCによりガラス転移温度を測定した。ここで、Foxの式で求めた値からの差を求めたところ、2℃以下であった。
【0033】
DSCによるガラス転移温度の測定は、DIN EN ISO 11357-4に準拠して、以下の測定プログラムで実施される:
1.) -30℃まで冷却し、この温度を10分間保持
2.) 10K/minで-30℃から60℃まで加熱
3.) 60℃の温度を5分間保持
4.) 0℃まで冷却し、この温度を5分間保持
5.) 試料を10K/minで0℃から120℃まで加熱
6.) 120℃の温度を5分間保持。
【0034】
ここで、ガラス転移温度の測定を、ステップ5.)で行う。ここで、機器として以下のものを使用した:
DSC 1、Mettler Toledo社製の動的ヒートフロー示差熱量計
精度0.001mgの分析天秤
Mettler Toledo社製のるつぼおよび万能るつぼプレス。
【0035】
分子量を、DIN 55672-1に準拠してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した:
SDVカラム
溶離液:THFに0.1重量%のトリフルオロ酢酸を混合したもの
測定温度 35℃
ポリスチレン標準物質に対するユニバーサルキャリブレーション、およびMark-Howinkの式によるPMMA当量への換算。
【0036】
実施例1:
MMA 44.64重量%、エチルヘキシルメタクリレート 46.24重量%、n-ブチルメタクリレート 8.81重量%、β-CEA 0.31重量%からなるモノマー混合物に、ジ-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートまたは2,2’-アゾビス-(イソブチロニトリル)を室温にて混合して、目標分子量を60,000g/molとする。モノマー混合物の50%分を撹拌しながらプレバッチとして74℃に加熱し、加熱を止め、86℃でモノマー混合物の50%を占める第2の部分を連続添加することにより93℃での自己発熱を伴って重合させる。約30分の供給時間後、本方法は完了する。後反応時間の経過後に、バッチを30℃までゆっくりと冷却し、15ppm(15mg/kg)の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(Topanol O)で安定化させる。
【0037】
粘度をカップ4にて20℃で測定したところ、流出時間は55秒であり、これは30~150mPa・sに相当する。目標ポリマー含有率は、約25%である。Foxの式によれば、形成されたポリマーは-7.71℃のガラス転移温度を有し、架橋されていない。
【0038】
実施例2:
使用されるモノマーの総量に対してエチルヘキシルメタクリレート15.09重量%、n-ブチルメタクリレート8.81重量%、およびβ-CEA 0.31重量%からなるモノマー混合物を、室温で1Lダブルジャケット型反応器に装入し、その後、開始剤tert-ブチル-2-エチルペルオキシヘキサノエート(TBPEH)および調節剤チオグリコール酸2-エチルヘキシルエステル(TGEH)と混合する。量は、目標ポリマー重量である約60,000g/molとなるように調整されている。この反応混合物を撹拌しながら75℃まで加熱する(水浴)。
【0039】
約15分後に反応が始まり、約15~20℃の連続的な温度上昇が観察される。約2.5時間後に最高温度に達し、本方法が完了する。
【0040】
内部温度が低下する。約80℃でサーモスタットを80℃にセットし、バッチを約1時間にわたって後反応させる。その際、粘度の増加が観察される。
【0041】
冷却前に、ポリマーを、MMA 44.64重量%とエチルヘキシルメタクリレート31.15重量%とからなる第2のモノマー混合物で希釈し、15ppm(15mg/kg)の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(Topanol O)で安定化させる。
【0042】
粘度を20℃で測定したところ、流出時間は30~80秒(カップ4)である。これは、30~150mPa・sの粘度に相当する。Foxの式によれば、形成されたポリマーは5.4℃のガラス転移温度を有し、架橋されていない。
【0043】
目標ポリマー含有率は約25%である。
【0044】
応用例:
実施例1による反応性樹脂42重量%に、それぞれリン酸アンモニウム29重量%、ペンタエリスリトール8重量%、メラミン10重量%、および二酸化チタン10重量%を予備配合する。その後、これらの配合物をそれぞれ等量の2つのフラクションに分割し、その際、一方のフラクションには、配合物全体に対して0.5重量%のN,N-ジメチル-p-トルイジンを、他方のフラクションには0.5重量%のベンゾイルペルオキシドを添加する。その後、これらの両フラクションを互いに混合し、量の少ない方の部分を取り出す。量の多い方の部分を鋼板に7mmの層厚で塗装し、量の少ない方の試料について、ポットライフおよび混合後の最高温度を測定する。ポットライフ、すなわち塗料の施与にとって理想的な粘度になるまでの時間は、13分であった。40分後に、最高温度59.8℃に達する。
【国際調査報告】