(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】患者の肥満または糖尿病の治療のための装置およびそのような装置を選択するための方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/04 20130101AFI20230419BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20230419BHJP
【FI】
A61F2/04
A61M25/10 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554682
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2021055850
(87)【国際公開番号】W WO2021180682
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522358102
【氏名又は名称】バリアテク・メディカル
【氏名又は名称原語表記】BARIATEK MEDICAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マノス,チエリ
(72)【発明者】
【氏名】バスティード,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】プレティ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ガード,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】セヨール,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ビアディラー,ヨセフ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA30
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD10
4C097EE09
4C097MM10
4C267BB02
4C267BB22
4C267BB28
4C267CC20
4C267GG05
4C267GG24
4C267GG32
(57)【要約】
肥満または糖尿病の治療のための装置(10)が、十二指腸管(12)、および十二指腸管(12)の近位端(15)から所定の距離(D)に配置された第1のアンカー(14)を備える。第1のアンカー(14)は、管(12)を粘膜関与を伴わずに幽門(P)の遠位側に固定するように構成される。円錐形の膨張可能なバルーンの形態の第2のアンカー(17)が、装置(10)を患者の胃(S)内に固定するために使用される。十二指腸管(12)は可撓性であり、患者の十二指腸(D)および空腸(J)に配置可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の肥満または糖尿病の治療のための装置(10;30)であって、
患者の十二指腸(D)および随意により空腸(J)または回腸に配置されるように構成された十二指腸管(12;32)を備えており、
前記管(12;32)を幽門(P)の遠位側に好ましくは実質的な粘膜関与を伴わずに固定するように構成された第1のアンカー(14;34)が、前記十二指腸管(12;32)の近位端(15;35)から所定の距離(d)に配置されている、装置(10;30)。
【請求項2】
前記第1のアンカー(34)は、拡張可能構造(36)、特に自己拡張型構造および/またはバルーン拡張型構造を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記拡張可能構造(36)は、金属、好ましくは形状記憶金属、特にニチノールで製作されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記自己拡張型構造(36)は、編組されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記拡張可能構造(36)は、少なくとも1つの材料層、特にDacronまたはポリウレタンを含み、あるいはDacronまたはポリウレタンで作られたポリマー層、または心膜組織などの生物学的層によって覆われている、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のアンカー、および特に前記第1の拡張可能構造は、回収可能かつ/または再配置可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のアンカーは、粘膜へと取り付け可能であり、コネクタを介して前記十二指腸管に連結されるパッチを備え、前記パッチは、好ましくは生体適合性接着剤を備え、好ましくは細胞のバイオコロニー形成を促進するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記十二指腸管(12;32)は、前記装置を実質的な粘膜関与を伴わずに胃内に固定するために幽門(P)の近位側に配置されるように構成された第2のアンカー(17;37)を近位端(15;35)に備えている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のアンカー(17)は、胃の機能可能な容積を減らすように患者の胃内に配置されるように構成され、胃の内壁との密接な接触を回避するように形作られた膨張可能なバルーン(18)として形成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記十二指腸管(12;32)は、近位端(15;35)に結合した第2のアンカーを備え、前記第2のアンカーは、前記装置を胃内に固定するために幽門(P)の近位側に配置されるように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第2のアンカーは、少なくとも1つのバルーン(17;60)を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記バルーン(18)は、前記十二指腸管を囲む環状の形状を有する、請求項9または11に記載の装置。
【請求項13】
前記バルーン(18)は、王冠形状を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記バルーン(18)は、環状体の形状を有する、請求項9、11、12、または13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記バルーン(18)は、随意により膨張状態において、前記十二指腸管(12)への接続部に近接する領域に、前記装置の軸を通り抜ける平面を通る断面において円錐形の外径または凹状の外形を有する、請求項9または11~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記バルーンは、前記十二指腸管への接続部に近接する領域においてチューリップ形状を有する、請求項9または11~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記バルーン(18)は、200ml~800ml、好ましくは300~450mlの体積まで膨張するように構成されている、請求項9または11~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記第2のアンカー(37)は、第2の拡張可能構造(38)、特に自己拡張型構造および/またはバルーン拡張型構造を備え、あるいはさらに備える、請求項8~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第2のアンカーは、少なくとも部分的に砂時計形状を有する、請求項8~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第2の拡張可能構造(38)は、金属、好ましくは形状記憶金属、特にニチノールで製作されている、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
前記第2の拡張可能構造(38)は、編組されている、請求項18~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記第2の拡張可能構造(38)は、少なくとも1つの材料層、特にDacronを含み、あるいはDacronで作られたポリマー層、または心膜組織などの生物学的層によって覆われている、請求項18~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記十二指腸管上の少なくとも1つの追加の要素(19;39a、39b)、特に金属要素および/または放射線不透過性要素を備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの要素(19;39a、39b)は、前記十二指腸管(12;32)の遠位端(20;40)、および前記十二指腸管の前記遠位端から離れ、好ましくは8~12cmだけ離れた領域(21;41)、のうちの少なくとも一方に取り付けられたリングとして形成されている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記十二指腸管(12;32)は、患者の少なくとも1つの特性に合わせるために短縮されるように構成されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記十二指腸管、前記第1のアンカー、および前記第2のアンカーのうちの少なくとも1つは、腸および/または胃の内容物との接触によって活性化可能である、請求項1~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記第1のアンカーは、1cm~10cm、随意により1cm~3cmの軸方向長さを有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記第2のアンカー(17;37)は、2cm~10cmの軸方向長さを有する、請求項8~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記十二指腸管(12;32)は、前記管内を移動する栄養物と十二指腸壁との接触を低減する材料で作られ、特にポリウレタンで作られている、請求項1~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記十二指腸管(12;32)は、300mm~800mmの範囲内、特に約600mmの長さ、および/または25~35mm、特に約28mmの直径を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記第1のアンカーおよび前記第2のアンカーのうち、前記アンカーの一方のみが、前記バルーンと前記バルーンに結合した自己拡張型構造との組み合わせを備える、請求項9または11あるいは請求項9または11に従属する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
随意により請求項1~31のいずれか一項に記載の糖尿病または肥満を治療するための装置であって、
患者の消化管、随意により十二指腸および/または胃に設置することができる部分を備えており、
(i)前記装置の少なくとも一部分の状態、(ii)前記装置の少なくとも一部分の形状、(iii)前記装置の少なくとも一部分のサイズ、および(iv)前記装置を通り、例えば前記装置内を通る栄養物、のうちの1つ以上に関する情報をもたらす少なくとも1つのセンサを備えている、装置。
【請求項33】
前記センサは、前記情報を無線通信を介して前記装置の外部に送信するように構成される、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記装置は、バルーンを備え、前記センサは、バルーン圧力を検知するための圧力センサである、請求項32または33に記載の装置。
【請求項35】
患者の肥満または糖尿病の治療のための装置、特に請求項1~31のいずれか一項に記載の装置(10;30)を選択するための方法であって、
・腹部脂肪パニクル(panicle)の厚さ、腹腔周囲の脂肪量、内臓脂肪量、腹腔の内側および/または外側の脂肪、体表面積、ボディーマスインデックスおよび腹部周囲長、胃の弾力性、胃の弾力性指数、立位の患者について測定された臍における栄養物の吸収指数、からなる群から選択される患者の少なくとも1つの特性を決定するステップと、
・前記選択された特性に基づいて十二指腸管(12;32)の長さを定めるステップと、
・(i)前記十二指腸管(12;32)を前記定められた長さに短縮すること、または(ii)前記定められた長さを有する十二指腸管(12;32)を有する装置を選択すること、の少なくとも一方によって、前記定められた長さを有する十二指腸管(12;32)を備える装置(10;30)を提供するステップと、
を含む方法。
【請求項36】
前記決定された特性に基づいて胃内固定バルーンの充てん体積を定めるさらなるステップ
を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記腹腔の内側および/または外側の脂肪は、コンピュータ断面デンシトメトリーによって決定される、請求項35または36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の肥満または糖尿病の治療のための装置、およびそのような装置を選択するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、肥満の治療のために、十二指腸のうちの或る長さをバイパスする埋め込み型の装置を使用することが知られている。典型的には、そのような装置は、低侵襲なやり方で送入可能であり、1つ以上の位置に固定される。
【0003】
米国特許出願公開第2018/0214293号明細書が、ステントを用い、あるいは膨張可能なバルーンを使用することによって、装置を幽門に固定することを開示している。同様の固定が、米国特許第9,421,116号明細書に開示されている。
【0004】
国際公開第2014/195954号パンフレットが、いくつかのアンカーを有する装置を開示している。第1および第2のアンカーが、ステントを備え、十二指腸の一部分の壁に押し付けられる。患者の胃の内部に配置される追加の胃内アンカーが開示されている。国際公開第2012/087669号パンフレットも、胃内アンカーを開示している。
【0005】
米国特許出願公開第2005/273060号明細書が、胃の容積も減少させるバルーンによる装置の幽門への固定を開示している。
【0006】
米国特許第5,820,584号明細書も、幽門の両側における装置の固定を開示している。膨張式アンカーによる幽門への肥満および糖尿病の治療のための装置の固定は、米国特許出願公開第2011/0004320号明細書にも開示されている。
【0007】
米国特許出願公開第2017/312112号明細書が、胃から糜粥を受け取り、この糜粥をバイパスのようなやり方で患者の十二指腸を通って導くための幽門通過装置を開示している。装置は、幽門を通過する案内要素に配置されたバルーンセグメントによって所定の位置に保持される。
【0008】
先行技術による装置はいずれも、特定の欠点を有する。特に、展開および/または固定が困難である可能性があり、望ましくない粘膜との係合を生じる可能性があり、固定の信頼性に欠ける可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、特に製造が容易であり、展開が容易であり、信頼性の高い固定を提供し、とりわけ粘膜との係合に起因する負の副作用を有さない肥満または糖尿病の治療のための装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、患者の治療の改善を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、これらの目的および他の目的は、独立請求項に記載の装置および方法によって解決される。
【0011】
本発明によれば、肥満または糖尿病の治療のための装置が提供される。典型的には、いくつかの些細な変更はあるが、装置の同じ原理を、肥満の治療および糖尿病の治療の両方に使用することができる。装置は、十二指腸管を備える。この管は、患者の十二指腸、随意により空腸、あるいは回腸にも配置されるように構成される。第1のアンカーが、十二指腸管の近位端から所定の距離に配置される。この第1のアンカーは、好ましくは、実質的な粘膜関与を伴わず、特に粘膜を貫通することなく、管を幽門の遠位側で固定するように構成される。これに関連して、実質的な粘膜関与を伴わないとは、たとえ第1のアンカーが粘膜に時折、または一時的に接触する可能性があったとしても、装置の固定が、例えばアンカーによる粘膜の接触、係合、または貫通には基づかないことを意味する。より具体的には、アンカーは、粘膜に連続的に強く接触することがないようなやり方で形成および/または構成される。そのようなアンカーを設けることにより、粘膜の刺激を回避することができる。典型的には、第1のアンカーは、蠕動作用に起因して位置決めおよび固定を生じる特定の重量をもたらすように設計される。固定が摩擦係合によるものではないため、第1のアンカーのサイズおよび形状を、粘膜係合を回避するように選択することができる。これに加え、あるいは代えて、実質的な粘膜関与を回避する別のやり方は、アンカーの少なくとも一部分の周りに緩衝材料、例えば可撓性カバーを提供することである。使用時に、緩衝材料は、使用される場合、アンカーを粘膜の直接的な接触、係合、または貫通から隔てることができる。緩衝材料は、組織に面する表面を、アンカー単独の表面よりも滑らかにし、あるいはより非外傷性にすることができる。緩衝材料は、例えば、第1のアンカーとは異なる材料であってよい。これに加え、あるいは代えて、緩衝材料は、例えば、ポリウレタン、シリコーン、心膜組織または他の生物材料、ダクロン、ポリテトラフルオロエチレン、のうちの1つ以上であってよく、あるいはこれらのうちの1つ以上を含んでよい。
【0012】
好ましい実施形態において、第1のアンカーは、拡張可能構造を備えることができ、あるいは拡張可能構造で形成されてよい。典型的には、ステントを提供するための自己拡張型構造が当技術分野において知られている。自己拡張型構造を、金属、好ましくはニチノールなどの形状記憶金属で製作することができる。形状記憶プラスチックも使用可能である。自己拡張型構造は、好ましくは編組されることができる。管から切断される自己拡張型構造を使用する実施形態など、他の実施形態も考えられる。バルーン拡張型構造、または或る程度まで自己拡張可能であるが、完全な拡張のためにバルーン支持を必要とする構造を使用することも可能である。他の金属、合金、または生体適合性プラスチック材料などの他の生体適合性材料も可能である。いくつかの実施形態において、拡張可能構造(例えば、自己拡張型構造)は管状であり、かつ/または十二指腸管の軸方向に細長い。
【0013】
拡張可能構造を、被覆材料の1つ以上の層、特にDacronを含み、あるいはDacronで作られたポリマー層、または心膜組織などの生物学的層によって覆うことができる。層は、プラスチック材料の箔であってもよい。ポリマーフィラメントの織布または編物構造であってもよい。被覆材料は、拡張可能構造の形状にかかわらず、アンカーと組織との間の実質的な粘膜関与を回避するために、拡張可能構造と粘膜との間の緩衝材として作用することができる。
【0014】
第1のアンカー、特に第1の拡張可能構造は、回収可能かつ再配置可能であってよい。回収可能な構造は、より狭い構成、典型的には初期の構成に戻すことが可能であり、患者の身体から構造および装置全体を取り出すことを可能にする。これにより、例えば予期せぬ副作用の場合に、装置を容易に取り除くことができる。さらに、構造、したがって装置は、再配置可能であってよく、すなわち適用部位において装置を変位させることができるようにサイズを縮小させ、その後に別の部位に固定するためにもう一度拡張させることが可能であってよい。
【0015】
構造およびデバイスをより狭い構成にするための任意の機構が可能であってよく、内部係合部材が、内側からのクリンプのために内部ツールとの係合を可能にすることができる。構造が径方向の力、例えば弾性変形に抗して拡張された場合に、膨張したバルーンなどの支持構造を無効化することで、拡張構造はつぶれることができる。また、構造をより狭い構成に戻すために、熱的または化学的機構を使用することも考えられる。
【0016】
これに加え、あるいは代えて、粘膜に取り付け可能であり、例えば糸、繊維、またはワイヤなどの接続部によって十二指腸管に連結されるパッチによって、十二指腸管を固定することも考えられる。パッチは、好ましくは、生体適合性接着剤を備える。これに代え、あるいは加えて、細胞のバイオコロニー形成を促進するように構成されてよい。さらに、パッチは、生分解性であってよい。そのようなパッチは、粘膜に対するいかなる外傷効果も有することなく、装置をさらに固定するうえで役立つことができる。
【0017】
層および/またはパッチは、内皮化を回避するように形成されてよい。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、十二指腸管は、近位端に配置された第2のアンカーを備えることができる。第2のアンカーは、装置を胃内に固定するために幽門の近位側に配置されるように構成される。随意により、この第2のアンカーのサイズおよび/または形状および/または構成は、粘膜係合を回避するように選択されてよい。
【0018】
第2のアンカーは、胃の機能する容積を減少させるように患者の胃内に配置されるように構成されたバルーン(例えば、膨張可能なバルーン)として形成されてよく、あるいはそのようなバルーンを備えることができる。バルーンは、適切に膨張したときに胃の内壁との緊密な接触を回避するような形状および/またはサイズおよび/または構成であってよい。
【0019】
本明細書において使用されるとき、用語「バルーン」は、気体(例えば、空気またはチッ素)または液体(例えば、生理食塩水)などの一定量の流体を漏れないように包み込むことができる任意の可撓性の嚢または袋を包含するように意図される。「膨張可能」などの用語は、バルーンが容量まで完全に満たされるか、あるいは途中まで満たされるにすぎないかにかかわらず、バルーンを少なくとも部分的に膨張させるために流体で少なくとも部分的に満たすことができるバルーンを指す。いくつかの実施形態において、バルーンを途中までしか満たさないこと(または、途中までの膨張)は、実質的な粘膜関与を回避するようにバルーンを構成するやり方であり得る。途中まで満たされたバルーンは、容量まで満たされる(あるいは、容量まで膨張させられる)ことによって完全に膨張したバルーンと比べ、より柔軟であり、胃筋収縮を被るときに胃壁に対してより適合することができる。
【0020】
第1の変種において、バルーンは、十二指腸管を囲む環状の形状を有することができる。これにより、均一な固定を達成することができる。さらに、十二指腸管を完全に取り囲む規則的な環状の形状は、十二指腸内への通路の規則的な閉鎖パターンをもたらすことができる。
【0021】
第1の変種において、バルーンは、膨張時に王冠形状を有することができる。
特に好ましい変種において、バルーンは、環状体の形状を有することができる。
【0022】
別の変種によれば、バルーンは、膨張状態において、十二指腸管への接続部に近接する領域に特定の形状およびサイズを有することができ、膨張したバルーンは、例えば、装置の軸を通り抜ける平面を通る断面において円錐形の外径または凹状の外形を有することができる。バルーンは、チューリップ形状を有してもよい。これらの形状は、確実な固定と装置の遠位移動の回避とを組み合わせるが、アンカーと組織との係合、特に粘膜係合を、継続的に必要とすることがない。
【0023】
別の変種によれば、第2のアンカーは、複数のチャンバまたはボディを定める1つ以上のバルーンを備えることができる。ボディ60は、独立して膨張可能であってよく、あるいは互いに連通するように相互接続されてもよい。ボディを、随意により、それぞれの複数のバルーンによって定めることができ、かつ/または複数のボディに分けられ、あるいは仕切られた少なくとも第1のバルーンによって定めることができる。ボディは、球形、および/または涙滴、および/または任意の他の所望の形態から選択される1つ以上の形状を有することができる。ボディは、例えばチューリップ形状を有するが、組織に接触する末端が滑らかな球根状の単一のボディと比べて小さくなる溝付きまたはローブ状の外形を有する大きな球根を協働して定めるように、互いに寄り添うことができる。また、隣接するボディの間かつ隣接するボディの周囲の空間は、十二指腸管への糜粥の進入を可能にし、空洞における十二指腸管の外側への糜粥の捕捉を回避するために、開いた自然の通路を維持する役に立つ。
【0024】
円錐形、凹状の形状、またはチューリップ形状を使用すること、ならびに/あるいは複数のボディを定める1つ以上のバルーンを使用することによって、組織に接触する恐れを伴わずに、装置を幽門のより近くに配置することが可能である。
【0025】
典型的には、バルーンおよび/または使用される場合には複数のボディの全体が、200ml~800ml、より好ましくは300ml~450mlの体積まで膨張するように構成されてよい。
【0026】
そのような種類の第2のアンカーは、本明細書において上述したような第1のアンカーを有する装置との組み合わせにおいて特に好ましいと理解されるが、当業者であれば、そのような第2のアンカーを、そのような第1のアンカーを伴わずに使用しても、あるいは別の形状の第1のアンカーと共に使用してもよいことを、理解できるであろう。
【0027】
これに加え、あるいは代えて、第2のアンカーは、第2の拡張可能構造、特に自己拡張型構造を備えてもよい。そのような装置は、特に、糖および脂質の吸収を減少させることができ、糖尿病の治療に特に適することができる。
【0028】
第2のアンカーは、好ましくは第1のアンカーと協働して、幽門の両側における固定のための砂時計状の形状が存在できるように、少なくとも部分的な砂時計形状を有することができる。砂時計形状は、例えば、幽門の両側の形状に関し、かつ/または管の長手軸の周りの形状に関して、対称または非対称であってよい。
【0029】
この拡張可能構造も、金属、好ましくはニチノールなどの形状記憶金属で製作することができる。また、第2の拡張可能構造も、編組されてよく、あるいは金属管からレーザ切断されてよい。第2の拡張可能構造も、1つ以上の層、特にDacronを含み、あるいはDacronで作られたポリマー層、または心膜組織などの生物学的層によって覆うことができる。層は、プラスチック材料の箔であってもよい。ポリマーフィラメントの織布または編物構造であってもよい。層は、拡張可能構造と胃組織との間の実質的な粘膜関与を回避するための緩衝材として作用することができる。
【0030】
第2のアンカーの自己拡張型構造は、少なくとも管状部を含むことができる。いくつかの形態において、自己拡張型構造は、十二指腸管の遠位端から離れる方向において、外向きにフレア状である。フレア形状は、例えば、円錐形であってよく、あるいは少なくとも部分的に湾曲していてよい(例えば、曲線状)。フレア形状は、例えば、チューリップ、傘、皿、またはトランペットの口のいずれかに似ていてもよい。フレア状の部分は、例えば、ハブから延びる複数のアームまたはリブを備えることができる。あるいは、フレア形状は、格子構造または編組を備えることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、第2のアンカーは、自己拡張型構造および少なくとも1つのバルーンの両方を備えることができる。自己拡張型構造は、随意により、バルーンに取り付けられてもよい。自己拡張型構造は、バルーンの外側、またはバルーンの流体チャンバ内、または周囲にバルーンが配置される開放空間内、またはバルーンの壁内に配置されてよい。自己拡張型構造は、十二指腸管の近位端に隣接し、あるいは十二指腸管の近位端に位置する十二指腸管の一部分の周りに周状に延在することができる。
【0032】
自己拡張型構造は、胃内容物を排出するために十二指腸管および/またはバルーン内の通路を開いた状態に保ち、管または通路が周囲のバルーンが及ぼす膨張圧力の下で恒久的に潰れ、あるいは狭くなる傾向に抵抗する役に立つことができる。さらに、自己拡張型構造は、胃の収縮力に応答して一時的に変形することができるが、胃の収縮が緩和すると拡張状態に戻ることができる。これに加え、あるいは代えて、自己拡張型構造は、バルーンの膨張前および/または膨張後にバルーンを所定の拡張形状に向かって付勢するように機能することができる。
【0033】
自己拡張型構造およびバルーンは、一般に、十二指腸管の軸に関する少なくとも1つの軸方向、随意により両方の軸方向において、同一の広がりを有することができる。これに加え、あるいは代えて、自己拡張型構造およびバルーンの一方が、他方の近位側に延在でき、あるいは他方を越えて近位側に延在できる。例えば、バルーンは、自己拡張型構造の端部を越えて近位側に延びてよく、かつ/または十二指腸管の近位端を越えて近位側に延びてよい。
【0034】
随意により、2つのアンカーのうちの一方のみが、自己拡張型構造およびバルーンの両方を備える。これにより、導入のために圧縮状態へと折り畳み、かつ/または圧縮するために重ね合わせられる必要がある材料の量を減らすことができる。他方のアンカーは、拡張可能構造(例えば、自己拡張型構造)またはバルーンのみを選択的に備えることができる。
【0035】
例えば、いくつかの実施形態においては、第2のアンカーのみが、自己拡張型構造とバルーンとの組み合わせを備える。十二指腸よりも胃において、このようなアンカーのためのより大きな空間が存在する。また、流体膨張の必要性は、例えば流体膨張導管および取り外し可能な接続部によって送入システムをより複雑にするため、これらの特徴を胃側のみに含むことにより、とりわけ空間が少ない十二指腸の領域において送入システムが過度に複雑化することが回避される。また、患者への十二指腸管の導入および設置のための手順も簡単になる。
【0036】
第1のアンカーの文脈において説明したやり方と同様のやり方で、第2のアンカーも回収可能および/または再配置可能であってよい。
【0037】
第2のアンカーも、第1のアンカーの文脈において上述したパッチと同様のパッチを備えることができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置は、アンカーに加えて、十二指腸管上に少なくとも1つの要素を備えることができる。そのような要素は、いくつかの目的を有することができる。金属または他の放射線不透過性材料からなり、例えばX線撮像またはCTスキャンにおいてより高いコントラストをもたらす場合、撮像に使用することができる。高い比重を有する金属または他の材料から製作される場合、その重量ゆえに、装置をさらに固定するために使用することもできる。
【0039】
一実施形態において、少なくとも1つの要素は、金属製であり、十二指腸管の表面に取り付けられたリングとして形成することができる。典型的には、リングを、十二指腸管の遠位端に取り付けることができる。これに加え、あるいは代えて、十二指腸管のうちの遠位端から離れた領域に取り付けることも可能である。典型的には、十二指腸管の遠位端から8から12cmの距離に配置することができる。
【0040】
上記のいずれかに加え、あるいは代えて、十二指腸管は、少なくとも1つ以上の局所領域において十二指腸管がねじれる傾向に抵抗するための補強を備えることができる。管のねじれは、管を狭め、深刻な場合には、ねじれた領域を通る胃の内容物のすべての通過に対して管自体を完全に塞ぎかねないよじれを生じる可能性がある。一変種において、十二指腸管の補強は、第1のアンカーと第2のアンカーとの間に設けられてよい。補強は、例えば、随意により一方または両方のアンカーから延びる管内または管上の構造体、ストラット、またはフィラメントを備えることができる。これに加え、あるいは代えて、補強を管のうちの第1のアンカーの遠位側の部分に設けてもよい。補強は、随意により管の軸に沿ってらせんにて延びる管内または管上の構造体、ストラット、またはフィラメントをやはり備えることができる。いずれの場合も、構造体、ストラット、またはフィラメントのいくつかは、管をねじれに対して支持するために、少なくとも部分的に軸方向である方向に延びることができる。構造体、ストラット、またはフィラメントは、例えばニチノールまたはステンレス鋼など、金属製であってよく、あるいはPETまたはポリウレタンまたはポリテトラフルオロエチレンなど、プラスチック製であってよい。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態によれば、十二指腸管は、患者の少なくとも1つの特性に合わせるために短縮されるように構成されてよい。この目的のために、特に管に、特定の長さを示すマーキングおよび/または短縮を容易にする弱いゾーンを設けることができる。治療の対象の患者の特定の特性に応じて、より短い管またはより長い管を埋め込み用に選択することができる。特性は、典型的には、腹部脂肪パニクル(panicle)の厚さ、腹腔周囲の脂肪量、内臓脂肪量、あるいは腹腔の内側および/または外側の脂肪であってよい。コンピュータ断層撮影法を、非侵襲的かつ客観的で反復が容易な評価に使用することができる。他の特性は、体表面積、ボディーマスインデックス、または腹部周囲長であってよい。このような適応を提供することにより、最適な治療を達成することができる。特に、バイパスによって生まれる効果の大きさを個別に選択することができる。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、装置は、胃および/または腸の内容物との接触に応じて活性化可能であってよい。この目的のために、十二指腸管、第1のアンカー、および第2のアンカーのうちの少なくとも1つが、体液または栄養物と接触した場合に活性化し、例えば拡張することができる。特に、十二指腸管が、胃または腸の内容物との接触に応答して拡張することができる。したがって、特に、装置は、必要な場合、すなわち胃または腸が満たされている場合にのみ、拡張することができる。
【0043】
典型的には、第1のアンカーは、1~10cm、随意により1~3cmの軸方向長さを有する。典型的には、第2のアンカーは、2~10cmの軸方向長さを有する。
【0044】
十二指腸管は、300~800mm、好ましくは400~700mmの範囲内の長さを有することができる。また、20~35mmの範囲内の直径を有することができる。特に好ましい実施形態において、管は、約600mmの長さおよび約28mmの直径を有する。
【0045】
好ましくは、十二指腸管は、管内を移動する栄養物と十二指腸壁との接触を回避する材料で作られる。典型的には、十二指腸管をポリウレタンで製作することができる。栄養物について適切な移動防止効果を有する任意の他の材料を使用することができる。さらに、胃または腸の内容物に対して反応性である十二指腸管の材料を選択することが可能であり、特に、十二指腸管の材料は、栄養素の含有量が多いほど低くなってよい特定の栄養素の浸透透過性を有することができる。十二指腸内の特定の成分の保持または吸収を選択的に減少させる材料を選択することも可能である。材料は、例えば、所望の治療に応じて、脂肪、タンパク質、または糖に関して選択的に透過性であってよい。
【0046】
別の好ましい実施形態によれば、十二指腸管は、状況の変化に応じて十二指腸管の構造および/または形状および/またはサイズを能動的に変更するためのセンサおよび/またはアクター(例えば、アクチュエータ)を含むことができる。特に、センサによって測定される体液の量または種類に応じて管の形状を変更するアクターが装置上に存在できる。この目的のために、装置は、センサによってもたらされる信号を処理し、アクチュエータ、例えば十二指腸管の材料の構造に影響を及ぼす電圧、あるいは例えば圧電素子などの形状またはサイズを変更するための駆動部材を制御するための電子機器を含むことができる。
【0047】
本発明の別の態様は、肥満または糖尿病の治療のために患者の消化管に設置される装置(例えば、上述の特徴のいずれかを随意により有する十二指腸管)であって、例えば栄養物の含有量、あるいは装置の状態、形状、またはサイズなどに関する情報を提供する1つ以上のセンサ、例えば1つ以上のバイオセンサを有する装置を提供する。そのような情報は、閉ループフィードバックにて装置内で使用されてよく、さらには/あるいは介護者による後の使用のために、例えば無線通信を介して外部に送信されてよい。特に、胃および/または腸において測定される栄養物の量に応じて装置のサイズおよび形状を選択的に変更することが可能であると考えられる。特に、栄養物の量が多い場合に、装置によって占められる体積ならびに/あるいは装置によって覆われる胃および/または腸の表面を増やすことができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、センサは、バルーン内の膨張圧力を測定するための圧力センサであってよい。バルーンは、例えば、上述のとおりの十二指腸管の一方または両方のアンカーのバルーンであってよい。これに加え、あるいは代えて、バルーンは、胃内に設置されるバルーンであってもよい。測定された圧力を、外部のモニタまたはディスプレイ(例えば、手首装着型またはハンドヘルド型のポータブル電子デバイス)へと外部に送信することができる。
【0049】
装置と外部のモニタとの間のデータの送信は、例えば誘導結合または無線周波数通信結合によってセンサへと電力を伝送することも可能にする近距離無線通信技術など、任意の有線または無線通信経路によることができる。
【0050】
装置、特に十二指腸管のための特定の適応的または選択的な材料または機構またはセンサは、本明細書において上述したとおりのアンカーを有する装置の文脈において特に有利であると理解されるが、そのような材料または機構は、消化管に設置可能な肥満または糖尿病の治療のための任意の他の植込み型の装置の文脈において使用可能であると理解される。装置は、随意により、胃内に配置されるように構成されてよく、かつ/または患者の十二指腸内、および場合により空腸または回腸内に配置されるように構成された十二指腸管を有することができる。
【0051】
本発明の別の態様は、患者の肥満または糖尿病の治療のための装置を選択するための方法に関する。特に、本方法は、本明細書において上述したとおりの装置を選択するために使用される。
【0052】
第1のステップにおいて、患者の少なくとも1つの特性が決定される。この特性は、腹部脂肪パニクル(panicle)の厚さ、腹腔周囲の脂肪量、内臓脂肪量、あるいは腹腔の内側および/または外側の脂肪であってよい。特性は、体表面積、ボディーマスインデックス、または立位の患者について臍において測定された腹部周囲長であってもよい。さらに、特性は、胃の弾力性、胃の弾力性指数、または栄養物の吸収の評価試験であってもよい。これにより、例えば脂肪の患者特有の吸収を考慮に入れることができる。当然ながら、これらの特性のいくつかを互いに組み合わせて使用することも可能である。
【0053】
次いで、選択された1つ以上の特性に基づいて、十二指腸管の適切な長さが定められる。
【0054】
最後のステップにおいて、定められた長さを有する十二指腸管を備える装置が提供される。これを、十二指腸管を定められた長さに短縮すること、または定められた長さを有する十二指腸管を有する装置を選択することによって行うことができる。そのような選択を、さまざまな長さを有する一式の装置から装置を選択すること、または選択された長さを有する装置を個別に製造することによって行うことができる。
【0055】
十二指腸管の長さを定めるステップに代え、あるいは加えて、胃内固定バルーンの充てん体積を、決定された1つ以上の特性に基づいて定めることができる。
【0056】
本発明の好ましい実施形態によれば、腹腔の内側および/または外側の脂肪を、コンピュータ断面デンシトメトリーによって決定することができる。
【0057】
この方法は、個々の患者のための特定的な治療のための個別化および最適化された装置を提供する。
【0058】
上記のいずれかに加え、あるいは代えて、本発明の一態様は、肥満または糖尿病の治療のための装置を提供する。装置は、十二指腸管を備える。この管は、患者の十二指腸、随意により空腸、あるいは回腸にも配置されるように構成される。第1のアンカーが、十二指腸管上に、随意により十二指腸管の近位端から所定の距離に配置される。この第1のアンカーは、管を幽門の遠位側に(例えば、実質的な粘膜関与を伴わずに)固定するように構成される。第2のアンカーが、管の近位端に配置され、かつ/または管の近位端に結合する(例えば、実質的な粘膜関与を伴わずに)。第1および第2のアンカーの各々は、例えば、形状記憶材料、随意により形状記憶金属、随意によりニチノールで製作された自己拡張型構造を備えることができる。第1および第2のアンカーの一方、随意により第2のアンカーのみが、例えば膨張可能なバルーンなどのバルーンをさらに備える。
【0059】
次に、本発明を、特定の実施形態および添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明の第1の実施形態の概略図を示している。
【
図2】本発明の第2の実施形態の概略図を示している。
【
図4】患者の体内に展開された
図3による装置を示している。
【
図5】本発明の第4の実施形態の概略図を示している。
【
図7】本発明による方法のステップを示すフローチャートを示している。
【
図8】本発明の第5の実施形態の概略図を示している。
【
図9】腹部脂肪の評価のためのCT画像を示している。
【
図10】本発明の第6の実施形態の概略図を示しており、本来の位置にあるときのアンカーを主に示している。
【
図11】本発明の第7の実施形態の概略図を示しており、本来の位置にあるときのアンカーを主に示している。
【
図12】本来の位置にある本発明の第8の実施形態の概略図を示している。
【
図13】本来の位置にある本発明の第9の実施形態の概略図を示している。
【
図14】本来の位置にある本発明の第10の実施形態の概略図を示している。
【
図15】
図14の装置を単独で示した概略の斜視図を示している。
【
図16A】患者の消化管に装置を展開するための技術の概略図を示している。
【
図16B】患者の消化管に装置を展開するための技術の概略図を示している。
【
図16C】患者の消化管に装置を展開するための技術の概略図を示している。
【
図16D】患者の消化管に装置を展開するための技術の概略図を示している。
【
図16E】患者の消化管に装置を展開するための技術の概略図を示している。
【
図16F】患者の消化管に装置を展開するための技術の概略図を示している。
【
図16G】患者の消化管に装置を展開するための技術の概略図を示している。
【
図17】本発明の第11の実施形態の概略図を示している。
【
図18】装置の状態を監視するための電子システムの概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の説明において、同じ参照番号が使用される場合、それらは、明示的に説明されているか否かにかかわらず、類似の特徴または対応する特徴を指す。したがって、一実施形態の開示は、別の実施形態と組み合わせて理解されるべきである。また、説明の助けになる場合には、同様の特徴または対応する特徴を指すために、異なる参照番号が使用されることもある。
【0062】
図1が、肥満を患う患者を治療するために使用される装置10の第1の実施形態を開示している。装置10は、主に、近位端15に第2のアンカー17が取り付けられた十二指腸管12によって形成される。近位端15から距離dに、第1のアンカー14が配置されている。第1のアンカー14は、十二指腸管12を十二指腸内で遠位方向に移動させる傾向を有するマスとして形成される。この移動を、蠕動および/または重力の作用によって生じさせることができる。第2のアンカー17は、遠位方向への装置10の過度の移動を回避する。
【0063】
第2のアンカー17は、環状体の形状に形成され、近位端15に隣接する十二指腸管12の周囲を取り囲む。入口開口部18が、環状体である第2のアンカー18に配置される。栄養物が、
図1に矢印で示されるように、胃から開口部18を通って十二指腸管12の内部に進入することができる。次いで、栄養物は、やはり矢印によって示されるように、遠位端20において十二指腸管12を離れる。これにより、十二指腸のうちの或る距離がバイパスされ、栄養物が十二指腸の壁に接触することができない。
【0064】
本実施形態において、十二指腸管は、600mmの長さおよび28mmの直径を有し、バルーン状の第2のアンカー17と一体に形成される。それは、ポリウレタンで形成される。マス14は、好ましくは、形状記憶材料からなるワイヤの自己拡張型編組構造で形成される。第2のアンカー17は、バルーンを適切な容積およびサイズ、典型的には350mlの容積まで膨張させることを可能にする膨張用装置へと接続可能な入口開口部(図示せず)を備える。
【0065】
図2が、第2のアンカー17の代替の実施形態を示している。
図2の実施形態への相違において、第2のアンカー17は、環状体として形成されるのではなく、むしろチューリップ形状、すなわち装置の軸を通過する平面を通る断面においてわずかに凸状である形状を有する。
【0066】
図2に示される実施形態において、第1のアンカー14は、編組されたニチノールワイヤで製作された自己拡張型構造として設計されている。装置の安定化および/または装置の固定に役立つ追加の支持構造22が開示されている。
【0067】
図3が、肥満の患者を治療するための装置10のより具体的な実施形態を示している。装置は、
図1の装置に部分的にはよく似ているが、以下の相違点を有する:第1のアンカー14が、編組されたニチノールで製作された自己拡張型構造として形成されている。
図3の実施形態は、ポリウレタン製の十二指腸管12と、膨張可能な第2のアンカー17とで形成される。第2のアンカー17は、接着によって十二指腸管2に取り付けられ、シリコンで作られている。第2のアンカー17は、環状体形状、円錐形状、またはチューリップ形状を有することができる。第2のアンカー17は、軸方向の長さl1が約50mmであり、開口部18の内径d1が約28mmであり、外径d2が約50mmである。第2のアンカー17のリップは、典型的には、10~25mmの径方向長さrを有することができる。十二指腸管12のサイズ、厚さ、および/または材料を適切に選択することにより、管が、例えば十二指腸Dおよび随意により空腸Jの形状に合った形状をとるように充分に可撓性であることを、保証することができる。
【0068】
患者の体内に展開された装置10が、
図4に示されている。装置は、第2のアンカー17によって幽門Pの近位側に固定される一方で、第1のアンカー14によって幽門Pの遠位側に固定される。第2のアンカー17は、胃Sの粘膜壁との接触を回避する円錐状またはチューリップ状の形状を有する。第2のアンカー17は、二重の機能を有する。一方では、患者の空腹感を低減するために、胃の容積を減少させる。さらに、遠位方向への装置の移動を回避する。しかしながら、円錐状またはチューリップ状の形状ゆえに、粘膜壁との永続的な接触は回避される。第2のアンカー17は、胃において自由に浮遊することができる。第1のアンカー14も、粘膜との接触を回避できるようなサイズおよび形状とされる。これは、充分に短く製作され、典型的には10mm~25mmの長さを有し、例えば、
図3および
図4においては詳細に示されていないが、Dacronなどの生体適合性材料で作られ、0.7mm~2mmの厚さを有している緩衝材料の層によって覆われる。
【0069】
さらに、
図3に示される実施形態において、十二指腸管12は、放射線不透過性材料、特に金属のリング19を備える。リング19は、十二指腸管12の近位端20から離れた十二指腸管12の領域21に配置される。これは、X線制御下での装置の位置決めに役立つ。
【0070】
図5が、糖尿病患者の治療に適した本発明の実施形態を示している。
図5による装置30も、十二指腸管32を備える。十二指腸管32に第1のアンカー34および第2のアンカー37が設けられる。第2のアンカー37が、十二指腸管32の近位端35に隣接して配置される一方で、第1のアンカー34は、近位端35の距離dに配置される。第1のアンカー34および第2のアンカー37は、どちらも編組ニチノールワイヤからなる拡張可能構造36、38でそれぞれ形成されている。
【0071】
十二指腸管32は、外面に2つのリングを備え、第1のリング39aが遠位端40に配置される一方で、第2のリング39bが遠位端40から離れた領域41に配置される。
図3の実施形態と同様に、
図5の十二指腸管32は、ポリウレタンで製作される。アンカー34、37およびリング39a、39bは、接着によって十二指腸管に取り付けられる。しかしながら、特にリング39a、39bを、十二指腸管の複数の層の間に一体化することも考えられる。
【0072】
図5に示される実施形態において、第2のリング39は、典型的には、遠位端40から10cmの距離に配置される。
【0073】
図6が、患者の体内に展開された
図5の装置30を示している。第1および第2のアンカー34、37が、幽門の両側に配置され、関係する胃Sまたは十二指腸Dの組織との直接接触を依然として回避しつつ、装置の遠位方向または近位方向の移動を防止する。アンカー37は、
図3および
図4の実施形態のアンカー17よりも実質的に小さく、したがって
図5および
図6の装置30は、肥満の治療にはあまり適していないが、糖尿病の治療に適している。
【0074】
図7が、個々の患者に適した装置を選択するための種々のステップを概略的に示している。第1のステップ「画像化」において、患者は、当業者に知られた検査方法で検査され、特に画像診断によって検査される。次いで、この検査または画像化ステップに基づいて、患者の特定の特性が、ステップ「特性判断」において判断される。CTスキャンに基づいて、腹部脂肪パニクル(panicle)の厚さ、腹腔周囲の脂肪量、および内臓脂肪量が判断される。さらに、体表面積、ボディーマスインデックス、および腹部周囲長が、臨床的に定められる。さらに、腹腔の内側および/または外側の脂肪をCTスキャンによって定めることも可能である。これらの6つまたは7つの客観的基準に基づいて、十二指腸管の長さが、ステップ「長さ決定」において定められる。長さは、典型的には450~600mmである。一般的なルールとして、例えば、肥満がより重度であるほど、より長い管が選択される。
【0075】
最初の3つの基準は、第3腰椎に沿った断面に基づき、CTスキャナの表示画面に示される画像に基づいて手動で容易に決定することができる。当然ながら、これらの基準を、人工知能ソフトウェアを使用することによって完全に、または部分的に自動で評価することも可能である。
【0076】
最後のステップ「管短縮」において、管が定められた長さに短縮される。短縮を、切断によって行なうことができる。その目的のために、十二指腸管の外面にマーキングを設けることができる(
図3には具体的には示されていない)。定規を装置に組み合わせることができる。
【0077】
管を短縮するステップの代わりに、適切な長さを有する管を、一式の標準寸法から選択してもよく、あるいは個別に製造してもよい。
【0078】
長さ決定のステップに加え、あるいは代えて、第2のアンカー17などのバルーンの膨張容積も、特性に基づいて決定することができる。バルーンをさまざまな容積に膨張させることにより、個々の患者へのさらなる適応が可能である。胃をどの程度まで占めるべきか、したがって第2のアンカーのサイズを、定めることができる。
【0079】
図8が、
図1に示した装置と同様の装置10の別の実施形態を示している。
図8の実施形態において、第1および第2のアンカーは、膨張式バルーン14、17によって形成される。
【0080】
図9が、2つのCT画像を示している。腹部脂肪は、CT画像およびグレースケールの変動を使用して評価される。
【0081】
図10~
図17が、先の実施形態と同様の装置10のさらなる実施形態を示している。
図10~
図17の実施形態は、装置10が十二指腸管12に取り付けられた第1のアンカー14を備える点で、互いに類似している。第1のアンカーは、随意により編組ワイヤからなるステント状構造の形態であってよい自己拡張型構造を備える。第1のアンカー14は、形状記憶材料、例えばニチノールで製作されてよい。第1のアンカー14を、例えばポリウレタンからなる緩衝材料50で覆うことができる。第1のアンカー14の構成および/または緩衝材料の提供により、第1のアンカー14と十二指腸粘膜との間の実質的な粘膜関与を回避することができる。
【0082】
例えば、
図10に見られるように、第1のアンカー14は、実質的な粘膜関与を伴わずに十二指腸球部DBを越えるように寸法付けられる。第1のアンカー14は、約50mm~100mm、例えば約80mmの長さを有することができる。第1のアンカー14は、幽門を通って近位側へと胃Sに向かって移動する十二指腸管の傾向に第1のアンカー14が抵抗するような直径(例えば、約20mm~40mm、例えば約25mmまたは30mm)を有することができる。第1のアンカー14は、さらなるストッパを提供するために、遠位肩部(例えば、直径約40mm)を含んでもよい。
【0083】
図10~
図17の実施形態は、第2のアンカー17の実現において互いに相違する。
図10の実施形態において、第2のアンカー17は、
図6と同様の自己拡張構造52を備える。しかしながら、
図10において、自己拡張構造は、ラッパ口のような形状を有し、近位端がフランジ54を形成している。自己拡張構造52は、例えばニチノールなどの形状記憶材料で作られた編組構造または格子構造を有することができる。自己拡張構造は、例えばシリコーンまたはポリウレタンなどの緩衝材料50で覆われる。
【0084】
図10に見られるように、第2のアンカー17は、胃洞Aを閉鎖する。近位フランジ54が、胃壁と係合し、フランジの背後に閉鎖空間を定めることにより、食物の受け入れに利用することができる胃の容積を減少させる。
【0085】
図11の実施形態において、第2のアンカー17は、複数の発散するリブまたはフィンガ56によって定められるフレア形状を備える。フィンガ56は、管12の遠位端から遠ざかる方向に発散し、管12の近位端のカラー58から延びている。
図10を参照して上述したように、第2のアンカー17を緩衝材料50によって覆うことができる。
【0086】
図12~
図17の実施形態において、第2のアンカー17は、自己拡張型構造52と、例えば膨張可能なバルーンなどのバルーン60とを備える。さまざまな実施態様が想定される。自己拡張型構造52とバルーン60とが一緒に使用される場合、随意により、これは、図示の実施形態においては第2のアンカー17であるが、アンカーのうちの一方についてだけであることが好ましい。両方の構造の組み合わせは、アンカーにおいて使用される材料の量を増加させ、アンカーを送入のためにどのようなサイズまで畳み、あるいは圧縮することができるかに、何らかの影響を及ぼす可能性がある。一方のアンカーに構造の組み合わせを使用することは、両方のアンカーにそのような組み合わせを使用する場合と比較して、サイズへの影響を抑えることに役立つことができる。特に第2のアンカー17について構造の組み合わせを使用することが、十二指腸よりも胃において利用可能な空間が多いがゆえに、身体構造にとって適切であると考えられる。また、糜粥の自然な流れ、および筋肉運動の大部分が、胃側からであるため、(胃に向かう変位に抵抗するための)十二指腸側からの固定よりも(腸に向かう変位に抵抗するための)胃側からの固定の方が必要性が大きくなると考えられる。
【0087】
図12において、自己拡張構造52は、管12の遠位端から遠ざかる方向において外向きに広がるフレア形状を有する。自己拡張構造52は、例えばニチノールなどの形状記憶材料からなる編組または格子を備えることができる。自己拡張構造52は、アンカー17を拡張状態に向かって付勢する。バルーン60の膨張が、胃内の容積を占有し、したがって機能する胃容積を減少させ、管12への入口の周りの非外傷性のリップをもたらすための追加の嵩を提供する。
【0088】
図13において、自己拡張構造52は、アンカーを拡張状態に向かって付勢する複数のリブまたはフィンガ56を備える。その後のバルーンの膨張が、中央の排出チャネルの周りのチューリップ形の形態を完成させ、あるいは埋めて、チャイムが十二指腸管12へと進入するように中央の排出チャネルを開いた状態に保ちつつ、機能する胃容積を減少させる。
【0089】
図14および
図15において、バルーン60の径方向内側に設けられた自己拡張構造52は、バルーン60の膨張圧力に抗して管12を支える。これにより、管12を補強することができ、したがって周囲のバルーン60の膨張圧力によって管12が押し潰されたり、崩れたりすることがなく、閉塞のリスクが回避される。しかしながら、自己拡張構造52とバルーン60との組み合わせは、チャイムを管12へと進め、管12に沿って進めて十二指腸へと排出するために、胃の収縮が管12に伝わることを可能にする。バルーン62を、自己拡張型構造52への胃収縮の伝達を容易にし、バルーン60に可撓性および従順性をもたらすために、例えば全容量までは満たさないなど、途中まで膨張させることができる。
【0090】
自己拡張構造52は、少なくとも装置の近位端に向かって、バルーン60とおおむね同一の広がりを有することができる。自己拡張構造52は、例えばニチノールなどの形状記憶金属で作られた編組構造または格子構造などの管状のステント様構造を備えることができる。いくつかの形態において、自己拡張構造の軸方向長さは、約50mm~100mmであってよく、例えば約80mmであってよい。自己拡張構造52の直径は、その長さの大部分に沿って約30mmであってよく、随意により、近位端にフレア状の口を有することができる。
【0091】
図16a~
図16gが、
図14および
図15の装置の導入および展開のための技術を示している。
図16aを参照すると、装置10は、小さなサイズに圧縮され、装置10を径方向に圧縮された状態に保持するためのシース72を有する送入システム70へと装てんされる。送入システム70は、消化管に沿って配置されたガイドワイヤ74上を、患者の口を通って胃の中へと導入される。画像化センサ76が、随意により、医療実施者に案内を提供することができる。
【0092】
図16bを参照すると、送入システム70は、放射線不透過性マーカー78(管12上または送入システム70上のいずれか)が幽門の位置に整列するまで、幽門を通って十二指腸へと進められる。
【0093】
図16cおよび
図16dを参照すると、シース72を引き戻すことで、十二指腸管12が遠位端から徐々に展開され、第1のアンカー14および第2のアンカー17の自己拡張構造が、幽門の両側において広がることができる。
図16eを参照すると、シース72を完全に引き戻すことで、当初は膨張していないバルーン60が露わになる。
図16fを参照すると、バルーン60は、バルーン60の膨張ポート80に接続された送入システム70の膨張ライン79によって、作動サイズまで膨張させられる。
図16gを参照すると、膨張後に、膨張ライン78はポート80から切り離され、次いで送入システム70が、装置10をその場に残して取り除かれる。
【0094】
図17が、第2のアンカー17が複数の膨張可能ボディ60を定める1つ以上のバルーンを備えるさらなる実施形態を示している。図示の形態において、ボディ60は別個のバルーンによって形成されているが、他の実施形態において、ボディ60は、同一のバルーン構造のそれぞれのチャンバとして実現されてもよい。ボディ60は、独立して膨張可能であってよく、あるいはボディ60は、互いに連通していてもよい。ボディ60は、細長い形状および/または球形、および/または涙滴、および/または任意の他の所望の形態から選択される1つ以上の形状を有することができる。ボディ60は、例えばチューリップ形状を有するが、組織に接触する末端が滑らかな球根状の単一のボディと比べて小さくなる溝付きまたはローブ状の外形を有する大きな球根を協働して定めるように、互いに寄り添うことができる。また、隣接するボディの間かつ隣接するボディの周囲の空間は、十二指腸管への糜粥の進入を可能にし、十二指腸管およびボディの外側に糜粥が捕捉されることを回避するために、開いた自然の通路を維持する役に立つ。
【0095】
随意により、第2のアンカー17は、自己拡張型構造52をさらに備える。自己拡張型構造52は、ボディ60に少なくとも部分的に重なってよく、あるいは自己拡張型構造は、重なりが存在してもわずかであるように、より短くてもよい。
【0096】
本明細書に記載の実施形態のすべてにおいて、図面に示されているか否かにかかわらず、十二指腸管12は、随意により、少なくとも1つ以上の局所領域において十二指腸管のねじれの傾向に抵抗するための補強材82(例えば、
図10および
図17)を備えることができる。管のねじれは、管を狭め、極端な場合には、ねじれた領域を通る胃の内容物のすべての通過に対して管自体を完全に塞ぎかねないよじれを生じる可能性がある。一変種において、十二指腸管12の補強材82は、第1のアンカー14と第2のアンカー17との間に設けられてよい。補強材82は、例えば、随意により一方または両方のアンカー14および17から延びる管内または管上の構造体、ストラット、またはフィラメントを備えることができる。これに加え、あるいは代えて、
図17に示されるように、補強材を管12のうちの第1のアンカー14の遠位側の部分に設けてもよい。補強材82は、随意により管12の軸に沿ってらせんにて延びる管12内または管12上の構造体、ストラット、またはフィラメントをやはり備えることができる。いずれの場合も、構造体、ストラット、またはフィラメントのいくつかは、管をねじれに対して支持するために、少なくとも部分的に軸方向である方向に延びることができる。構造体、ストラット、またはフィラメントは、例えばニチノールまたはステンレス鋼など、金属製であってよく、あるいはPETまたはポリウレタンまたはポリテトラフルオロエチレンなど、プラスチック製であってよい。
【0097】
本明細書に記載の実施形態のさらなる態様は、装置10の状態、形状、またはサイズを監視するために有用な特性、あるいは装置10を通る(例えば、通過する)栄養素に関する情報を検知するための少なくとも1つのセンサ90を提供することである。一形態において、センサ90は、随意により、アンカー14および17の一方または両方の状態、形状、またはサイズを監視することができる。
図16および
図17を参照すると、1つのそのようなセンサ90は、バルーンまたはボディ60の膨張圧力ならびに/あるいは胃の収縮によってバルーンを介して伝達される圧力変化を測定するための圧力センサであってよい。これに加え、あるいは代えて、センサ90(
図17)は、流量などの管12を通過する糜粥のパラメータを検知するためのセンサであってよい。
【0098】
図18を参照すると、通信インターフェース(図示せず)が、検知された情報を、外部の受信機および/またはモニタ92、例えば手首装着型またはハンドヘルド型電子機器などの携帯機器に、通信することを可能にする。例として、外部の機器は、スマートウォッチまたは専用の手首装着型電子ブレスレット92であってよい。装置10と外部のモニタ92との間のデータの送信は、例えば外部の機器92を装置10またはそのセンサ90に近接させたときに誘導結合または無線周波数通信結合によってセンサ90へと電力を伝送することも可能にする近距離無線通信技術など、任意の有線または無線通信経路によることができる。通信インターフェースは、随意により、一体型モジュールとしてセンサ90に組み込まれてもよい。手首装着型機器92は、血圧および/または脈拍および/または血糖値および/または血中酸素飽和度のうちの1つ以上を測定するための皮膚接触センサをさらに有することができる。
【0099】
随意により、監視機器92、または患者のスマートフォン92aなどのパートナー機器は、センサ90から経時的に受信される情報を格納し、患者への設置後の装置10の働きを監視するために有線または無線通信によって医療実施者のシステム(例えば、医療実施者のスマートフォン92b)に情報を伝えることを可能にするソフトウェアアプリケーションを含むことができる。減量を目的とした装置10の場合、スマート機器は、患者が定期的に自身の体重、および随意によりボディーマスインデックスを監視することができる体重計94からも情報を受信することができる。糖尿病の治療を目的とした装置10の場合、スマート機器92/92a/92bは、皮膚装着型機器(例えば、92)または電子パッチなどのグルコースモニタからも情報を受信することができる。
【国際調査報告】