(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】真空装置用のバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 1/12 20060101AFI20230419BHJP
F16K 31/126 20060101ALI20230419BHJP
F16K 51/02 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
F16K1/12 Z
F16K31/126 Z
F16K51/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554694
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2021055885
(87)【国際公開番号】W WO2021180699
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】アーツ ヨハン フスターフ カレル
(72)【発明者】
【氏名】クールス ロニー アントワーヌ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ホーフ ニルス
【テーマコード(参考)】
3H052
3H056
3H066
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA25
3H052CC03
3H052CD03
3H052EA09
3H056AA01
3H056BB32
3H056CA06
3H056CB02
3H056CC06
3H056CD04
3H056CD08
3H056GG14
3H066AA01
3H066BA17
3H066DA09
3H066EA03
(57)【要約】
第1のハウジング要素と、第1のハウジング要素と結合された第2のハウジング要素とを備える、真空装置用のバルブであって、外側チャンバが、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素14)とによって画定される。第1ハウジング要素は、第1の開口を有し、第2ハウジング要素は、外側チャンバを介して第1の開口と流体連通する第2の開口を有する。内側チャンバが、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素によって画定され、膜が、内側チャンバ内に配置されて内側チャンバを第1の内側チャンバ及び第2の内側チャンバに分離するようになっている。密封要素が、膜に結合され、密封要素は、第1の位置から第2の位置まで移動可能であり、第1の位置において、密封要素は、第1の開口を漏れない様式で閉鎖し、第2の位置において、密封要素は、第1の開口を開放してガス状媒質がバルブを通過するのを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハウジング要素(12)と、前記第1のハウジング要素(12)と結合された第2のハウジング要素(14)とを備える、真空装置用のバルブであって、
外側チャンバ(16)が、前記第1のハウジング要素(12)と前記第2のハウジング要素(14)とによって画定され、
前記第1のハウジング要素(12)は、第1の開口(18)を有し、前記第2のハウジング要素(14)は、前記外側チャンバ(16)を介して前記第1の開口(18)と流体連通する第2の開口(20)を有し、
内側チャンバ(22)が、前記第1のハウジング要素(12)及び前記第2のハウジング要素(14)によって画定され、膜(24)が、前記内側チャンバ(22)内に配置されて前記内側チャンバ(22)を第1の内側チャンバ(26)と第2の内側チャンバ(28)とに分離するようになっており、
密封要素(30)が、前記膜(24)に結合され、前記密封要素(30)は、第1の位置から第2の位置まで移動可能であり、前記第1の位置において、前記密封要素(30)は、前記第1の開口(18)を漏れない様式で閉鎖し、前記第2の位置において、前記密封要素は、前記第1の開口(18)を開放してガス状媒質が前記バルブを通過するのを可能にし、
前記内側チャンバ(22)は、前記外側チャンバ(16)によって少なくとも部分的に、好ましくは完全に取り囲まれる、バルブ。
【請求項2】
前記密封要素(30)を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させるために、前記第2の内側チャンバ(28)は、真空に接続され、前記第1の内側チャンバ(26)は、高い圧力又は大気圧に接続される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記第2の内側チャンバ(28)を低圧領域に、特に前記第2のハウジング要素(14)及び/又は前記外側チャンバ(16)に接続する第1の流路を備える、請求項1又は2に記載のバルブ。
【請求項4】
第1の三方弁(36)が、第1の流路に配置され、大気に接続されている、請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
前記第1の内側チャンバ(26)を大気に接続する第2の流路を備える、請求項1から4のいずれかに記載のバルブ。
【請求項6】
第2の三方弁(38)が、前記第2の流路に配置され、低圧領域に、特に前記第2のハウジング要素及び/又は前記外側チャンバ(16)に接続されている、請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
前記第1の三方弁(36)及び/又は前記第2の三方弁(38)は電磁弁であり、好ましくは常閉型電磁弁である、請求項4から6のいずれかに記載のバルブ。
【請求項8】
前記密封要素(30)の直径は、前記第1の開口(18)の直径よりも小さい、請求項1から7のいずれかに記載のバルブ。
【請求項9】
前記密封要素(30)は、前記第1の開口(18)に結合可能なフランジに対して前記第1の開口(18)を密封する、請求項1から8のいずれかに記載のバルブ。
【請求項10】
ばね(34)が、前記密封要素(30)に結合され、前記ばね(34)のばね定数は、前記密封要素(30)の質量のみを補償するようになっている、請求項1から9のいずれかに記載のバルブ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のバルブと、前記バルブの前記第2の開口に接続された真空ポンプと、前記バルブの前記第1の開口に接続される真空チャンバとを備え、前記バルブは、前記真空ポンプを前記真空チャンバから分離するようになっている、真空装置。
【請求項12】
制御ユニットを備え、前記第1の三方弁(36)は前記制御ユニットに接続され、前記制御ユニットは、前記低圧領域の圧力が前記第1の内側チャンバ(26)の圧力より低い場合に、前記第1の三方弁(36)によって前記第2の内側チャンバ(28)を低圧領域に接続し、前記密封要素(30)を前記第2の位置に移動させるように構成されている、請求項11に記載の真空装置。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記第1の三方弁によって前記第2の内側チャンバ(28)を大気に接続し、前記密封要素(30)を前記第1の位置に移動させるように構成されている、請求項12に記載の真空装置。
【請求項14】
前記制御ユニットは、前記第2の三方弁(38)に接続され、前記低圧領域の圧力が大気を下回る場合でも前記密封要素(30)を前記第1の位置に維持するために、前記第2の三方弁(38)によって前記第1の内側チャンバ(26)を前記低圧領域に接続するが、前記第1の三方弁(36)によって前記第2の内側チャンバ(28)を大気に接続するように構成されている、請求項12又は13に記載の真空装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空装置用のバルブ及びそのような真空装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、バルブは、真空ポンプと受容器又は真空チャンバとの間に配置される。真空ポンプの作動停止時には、バルブは、真空チャンバ内の真空を維持するために及び真空ポンプから真空チャンバ内に潤滑油が引き込まれて真空チャンバ内が汚染されるのを避けるために閉鎖される。
【0003】
バルブとしては、バタフライバルブが知られている。しかしながら、これらのバルブは、バタフライバルブのバルブディスクの回転運動に起因するシールの極端な摩耗に悩まされる。さらに、先行技術によれば、このようなバタフライバルブを制御するために圧縮空気が必要である。
【0004】
さらに、公知のリターンバルブの多くは、低い入口圧力では完全に開放されず、結果として高い圧力損失が生じ、性能低下につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、より単純であり、制御される加圧空気を必要としないバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、請求項1によるバルブ及び請求項12による真空装置によって解決される。
【0007】
本発明による真空装置用のバルブは、第1ハウジング要素と、この第1ハウジング要素に結合された第2のハウジング要素とを備える。第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素は、外側チャンバを画定する。さらに、第1のハウジング要素は、真空チャンバに接続可能な第1の開口を有し、第2のハウジング要素は、真空ポンプに接続可能な第2の開口を有する。第1の開口及び第2の開口は、外側チャンバを介して流体連通しており、バルブが開放状態にある場合、ガス状媒質は第1の開口から第2の開口へ、又はその逆にバルブを介して流れることができる。さらに、第1のハウジング要素及び第2のハウジング要素によって内側チャンバが画定され、内側チャンバ内に膜が配置され、内側チャンバを第1の内側チャンバと第2の内側チャンバに分離するようになっている。密封要素が膜に結合され、密封要素は、膜と連動して又は膜の移動と連動して第1の位置から第2の位置へ移動することができる。第1の位置では、密封要素は、第1の開口を漏れない又は真空気密の様式で閉鎖する。第2の位置では、密封要素は、第1の開口を開放し、ガス状媒質はバルブを通過することができる。膜の動きにより、密封要素は、閉鎖バルブに対応する第1の位置から開放バルブに対応する第2の位置へ移動する。内側チャンバ内で膜を移動させるために加圧空気は必要ない。外側チャンバは、真空チャンバと真空ポンプとの間でガス状媒質が流れるチャンバを画定するが、膜を備える内側チャンバは、バルブの状態を制御するために利用される。
【0008】
好ましくは、内側チャンバは、少なくとも部分的に、より好ましくは完全に外側チャンバによって取り囲まれる。これは、コンパクトな設計の利点を有することができる。
【0009】
好ましくは、第1の開口及び第2の開口は、1つの軸上に配置される。従って、ガス状媒質は、バルブ内を容易に通過することができる。特に、第1の開口及び第2の開口は、例えば真空伝達性を低下させる角度付き構成で配置されない。
【0010】
好ましくは、第2の内側チャンバは真空に接続され、第1の内側チャンバは、密封要素を第1の位置から第2の位置に移動させるために高い圧力又は大気圧又は周囲圧力に接続される。第2の内側チャンバと第1の内側チャンバとの間の圧力差により、内側チャンバ内の膜が移動し、それによって密封要素を第2の位置に移動させる。従って、動作時、真空ポンプが十分な低圧を生じると、膜と一緒に密封要素が第2の位置に移動し、バルブが開放する。
【0011】
好ましくは、第1の流路が、第2の内側チャンバとバルブの好ましくは低圧領域とを接続する。より好ましくは、第1の流路は、第2のハウジング要素に接続される。真空ポンプが作動している場合、第2のハウジング要素の領域で真空が生成される。より好ましくは、第1の流路は、外側チャンバに接続される。その結果、第1の流路によって、第2の内側チャンバは、低圧又は真空領域に接続される。
【0012】
好ましくは、第1の三方弁が第1の流路に配置される。この三方弁は、第1の流路によって第2の内側チャンバに接続され、第2の内側チャンバを低圧領域、又は大気圧もしくは周囲圧力に選択的に接続することができる。従って、三方弁によって、第2の内側チャンバは、低圧又は真空(それによって密封要素が第2の位置に移動する)と、大気圧(それによって密封要素が第1の位置に移動する、つまりバルブを閉鎖する)との間で切り替え可能である。従って、第1の三方弁を制御することで、バルブを完全に制御することができる。加圧空気のような追加的なエネルギーは必要ない。
【0013】
好ましくは、第2の流路が、第1の内側チャンバを大気圧又は周囲圧力に接続する。従って、第1の内側チャンバによって、大気圧又は周囲圧力を第1の内側チャンバに加え、第2の内側チャンバとの間に圧力差を作り、密封要素を動かすことができる。
【0014】
好ましくは、第2の三方弁は、第2の流路に配置され、第1の内側チャンバを大気圧又は周囲圧力に、又は低圧領域すなわち真空に選択的に接続する。より好ましくは、この三方弁は、第1の内側チャンバを第2のハウジング要素及び/又は外側チャンバに選択的に接続することができる。
【0015】
好ましくは、第1の三方弁は、電磁弁であり、好ましくは、常閉型電磁弁である。代替的に又は追加的に、第2の三方弁は、電磁弁であり、より好ましくは、常閉型電磁弁である。
【0016】
好ましくは、密封要素の直径は、第1の開口の直径よりも小さい。従って、密封要素は、第1のハウジング要素を第2のハウジング要素に結合する前に膜に組み付けることができる。
【0017】
好ましくは、膜は、第1のハウジング要素と第2のハウジング要素との間に固定される。
【0018】
好ましくは、密封要素は、第1の開口に結合可能なフランジに対して第1の開口を密封する。好ましくは、フランジは、バルブの第1の開口に結合される真空チャンバのフランジである。
【0019】
好ましくは、ばねが密封要素に結合される。ばねのばね定数は、密封要素の質量のみを補償するようになっている。従って、ばねは、第1の内側チャンバと第2の内側チャンバとの圧力差を打ち消すように構成されていない。従って、バルブには大きなばね力は存在せず、バルブ組立体及び保守整備が簡素化される。より好ましくは、ばねのばね定数は1から10N/mmであり、さらに好ましくは1から5N/mmである。
【0020】
好ましくは、バルブを開閉するために、すなわち密封要素を第1の位置から第2の位置へ、及び/又は第2の位置から第1の位置へ移動させるために、加圧空気を使用しない。
【0021】
さらに、本発明は、上述のバルブを備えた真空装置に関する。さらに、真空ポンプは、バルブの第2の開口に接続され、真空チャンバは、バルブの第1の開口に接続される。従って、バルブによって、真空ポンプの動作停止時に真空ポンプを真空チャンバから分離し、真空チャンバの内部の真空を維持することができる。
【0022】
さらに、真空装置は、制御ユニットを備え、第1の三方弁は、制御ユニットに接続される。制御ユニットは、低圧領域の圧力が第1の内側チャンバ内の圧力を下回る場合、第1の三方弁によって第2の内側チャンバを低圧領域に接続し、密封要素を第2の位置に移動させるように構成されている。従って、真空ポンプの動作時に、好ましくは外側チャンバ内の低圧領域は、大気圧又は周囲圧を下回る圧力となる。従って、第2の内側チャンバを低圧領域に接続することによって、密封要素は、圧力差によって第2の位置に押しやられる。
【0023】
好ましくは、制御ユニットは、第1の三方弁によって第2の内側チャンバを大気に接続し、密封要素を第1の位置に移動させるように構成されている。このことは、その時に第1の内側チャンバが大気圧又は周囲圧力に接続されているので、バルブの通常動作時の低圧領域の圧力に無関係である。第2の内側チャンバが第1の三方弁を制御する制御ユニットによって直ちに大気に接続されると、密封要素は第1の位置に移動する。
【0024】
好ましくは、制御ユニットは、第2の三方弁に接続され、さらに、第2の内側チャンバが第1の三方弁によって大気に接続されている間に、第2の三方弁によって第1の内側チャンバを低圧領域に接続し、低圧領域の圧力が大気圧を下回っていても密封要素を第1の位置に維持するように構成されている。この状況は、真空ポンプをパージするために使用することができる、すなわち、真空ポンプをポンプ送給せずに運転し、真空ポンプの温度を上昇させて、真空ポンプをパージすることができる。
【0025】
以下、本発明を添付の図面によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明によるバルブ10は、互いに連結された第1のハウジング要素12及び第2のハウジング要素14を備える。第1のハウジング要素12及び第2のハウジング要素14によって、外側チャンバ16が画定される。さらに、第1のハウジング要素12は、第1の開口18を備え、第2のハウジング要素14は、第2の開口20を備える。第1の開口18は、外側チャンバ16を介して第2の開口20と流体連通する。それにより、第1の開口18はフランジによって真空チャンバに結合することができ、第2の開口20は真空ポンプに結合することができる。従って、外側チャンバ16内の圧力は、概して第2の開口20に結合された真空ポンプの入口での圧力と等しい。
【0028】
第1のハウジング要素12及び第2のハウジング要素14によって、内側チャンバ22が画定される。第1のハウジング要素12と第2のハウジング要素14との間には、膜24が取り付けられており、これは内側チャンバ22を第1の内側チャンバ26(図では膜24の上)と第2の内側チャンバ28(図では膜24の下)とに分離する。
【0029】
密封要素30は膜24に結合されており、密封要素30は密封ディスクを備える。密封要素30は、密封要素30のディスクと膜24とを結合するシャフト32をさらに備える。密封要素30は、膜24の移動に関連して動く。従って、密封要素30は、第1の位置から第2の位置へ動くことができる。第1の位置では、密封要素は、第1の開口18を閉鎖する。図示のような第2の位置では、第1の開口18は開放されており、ガス状媒質はバルブ10を通過することができる。
【0030】
密封要素30のシャフト32には、ばね34が結合されている。ばね34は、第1の内側チャンバ26と第2の内側チャンバ28との間に圧力差が存在しない場合、第1の位置に密封要素30を維持するために、単に密封要素30(シャフト32及び密封ディスクを含む)の質量を補償するようになっている弱いばねである。
【0031】
さらに、図示の実施形態では、第1の三方弁36及び第2の三方弁38が、バルブ10に接続されている。特に、第2の内側チャンバ28は、第1の三方弁36によって、大気40又はバルブ内部の低圧領域のいずれかに接続することができる。さらに、第1の内側チャンバ26は、第2の三方弁38によって、大気40又は外側チャンバ16の低圧領域のいずれかに接続することができる。別の実施形態では、第1の三方弁36のみが使用されるが、第1の内側チャンバ26は、大気14に直接接続され、第1の内側チャンバ26は第2の三方弁38によって外側チャンバ16の低圧領域に接続される可能性はない。従って、この実施形態は、第1の三方弁のみを使用し、第2の三方弁38を回避する。
【0032】
バルブは次のように機能する。すなわち、第2の三方弁38による通常動作時には、第1の内側チャンバ26は大気40に接続される。最初は、第2の内側チャンバ28も第1の三方弁36によって大気40に接続される。従って、第1の内側チャンバ26と第2の内側チャンバ28との間に圧力差は存在しない。従って、ばね34によって、密封要素30は、第1の開口を密封する第1の位置に押しやられる。特に、第1の開口18に真空チャンバが接続され、真空チャンバ内が低圧真空である場合、真空チャンバ内の圧力と外側チャンバ16内の圧力との間の圧力差によって、密封要素30は、第1の位置に押しやられる。従って、動作開始のために、第2の内側チャンバ28は、第1の三方弁36によって外側チャンバ16の低圧領域に接続される。しかしながら、第1の開口18に接続された真空チャンバと外側チャンバ16内の圧力との間の圧力差により、密封要素30は依然として第1の位置に留まる。次に、第2の開口20に接続された真空ポンプが起動され、外側チャンバ16が真空排気される。次に、真空チャンバと外側チャンバとの圧力差がほぼ同じであれば、第1の内側チャンバ26と第2の内側チャンバ28との間の圧力差により、密封要素30は第2の位置に押しやられる。上述したように、通常動作時には、第1の内側チャンバ26は大気圧であるが、第2の内側チャンバ28は、第2の開口20に接続された真空ポンプによる真空排気に起因して低くなった外側チャンバ16の圧力である。次に、密封要素は、第1の開口18を開放する第2の位置に位置し、従って、第1の開口18に接続された真空チャンバからのガス状媒質は、バルブを通って第2の開口20を通り、第2の開口20に接続された真空ポンプに向かって直接流れることができる。次に、真空ポンプの停止前に、第2の内側チャンバ28は、第1の三方弁36によって大気40に接続される。従って、第1の内側チャンバ26と第2の内側チャンバ28との間に圧力差は存在しない。ばね34により、密封要素30は、第1の開口18を密封する第1の位置に押しやられる。真空ポンプの通気時、又は外側チャンバ16が通気される場合で、真空と第1の開口18に接続された真空チャンバに起因して、次に、密封要素は、第1の位置に留まるように押しやられる。
【0033】
真空ポンプをパージする必要がある場合、すなわち、閉じた入口が本バルブによって閉じられる状態で真空ポンプを運転させる場合、バルブの機能は、第2の三方弁38によって逆転される。従って、密封要素が第1の位置にある場合で、真空ポンプの起動時に、第1の内側チャンバ26は、第2の三方弁38によって外側チャンバ16の低圧領域に接続される。同時に、第2の内側チャンバ28は、第1の三方弁36によって大気に接続される。最初は、第1の内側チャンバ26と第2の内側チャンバ28との間に圧力差がないので、密封要素30は、第1の開口18に接続された真空チャンバと外側チャンバ16との間の圧力差によって第1の位置に留まる。真空ポンプの作動時、外側チャンバ16は真空排気され、真空が形成され始める。従って、第2の三方弁38によって、第1の内側チャンバ26に真空が発生し、一方で第2の内側チャンバ28は大気圧が維持される。この圧力差により、外側チャンバ16内の圧力が第1の開口18に接続された真空チャンバの圧力を下回る場合でも、密封要素30は、依然として第1の位置に押しやられる。この動作モードの間、本バルブによって、真空ポンプの入口を閉じた状態に維持しながら、真空ポンプを効率的にパージすることができる。
【0034】
従って、より単純であり、強いばね力がないので保守が容易であり、加圧空気なしで制御可能なバルブが提供される。
【符号の説明】
【0035】
12 第1のハウジング要素
14 第2のハウジング要素
16 外側チャンバ
18 第1の開口
20 第2の開口
22 内側チャンバ
24 膜
26 第1の内側チャンバ
28 第2の内側チャンバ
30 密封要素
【国際調査報告】