(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】油及びガス生産のための界面活性剤
(51)【国際特許分類】
C09K 8/584 20060101AFI20230419BHJP
C09K 8/588 20060101ALI20230419BHJP
C09K 8/594 20060101ALI20230419BHJP
C09K 23/16 20220101ALI20230419BHJP
C09K 23/18 20220101ALI20230419BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20230419BHJP
E21B 43/16 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
C09K8/584
C09K8/588
C09K8/594
C09K23/16
C09K23/18
C09K3/00 111B
E21B43/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554758
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 US2021021574
(87)【国際公開番号】W WO2021183565
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517213094
【氏名又は名称】アドバンシックス・レジンズ・アンド・ケミカルズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ADVANSIX RESINS & CHEMICALS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】アシルバサム,エドワード
【テーマコード(参考)】
4D077
【Fターム(参考)】
4D077AA07
4D077AC01
4D077AC05
4D077AC06
4D077CA03
4D077CA12
4D077CA13
4D077DC14Z
4D077DC26Z
4D077DC39Z
4D077DC50Z
4D077DC64Z
(57)【要約】
炭化水素回収に適する製剤及びプロセスに用いるための界面活性剤。これらの製剤は、破砕、石油及び、又はガス増進回収、並びにバイオベース油の回収及び/又は製造に適する製剤を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素の回収のための製剤であって:
式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【化1】
式中、R
1及びR
2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択されてよく、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;
nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);
mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);
前記末端窒素はR
3でさらに置換されてもよく、この場合R
3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択され、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;
所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、前記化合物に付随する対イオン;並びに
水相、
を含む、製剤。
【請求項2】
スルホネート界面活性剤、サルフェート界面活性剤から成る群より選択される12~24炭素原子の疎水性鎖を有するアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び双性イオン性界面活性剤、から成る群より選択される少なくとも1つのさらなる界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記水相が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化マグネシウムから成る群より選択される少なくとも1つの無機塩を含む、請求項1又は請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
少なくとも1つのポリマーをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記少なくとも1つのポリマーが、四級ジアリルジアルキルアンモニウムモノマーを含むカチオン性ポリマーなどの四級アンモニウム化合物、並びに/又はアニオン性界面活性剤、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるアニオン性モノマーを含むアニオン性ポリマー、から成る群より選択され、前記アニオン性ポリマーの平均分子量は、約50,000~約10,000,000の範囲内である、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
レシチン又は修飾レシチンをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
少なくとも1つの水不混和性溶媒をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
少なくとも1つの水混和性溶媒をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
空気、窒素、二酸化炭素、及び天然ガスから成る群より選択される少なくとも1つのガスをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
塩化水素、アンモニウム塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、又は水酸化アンモニウム、アルコール、架橋剤、破壊遅延剤、粒子、プロパント、ガス成分、破壊補助剤、酸素捕捉剤、アルコール、スケール防止剤、腐食防止剤、脱水添加剤、殺生物剤/殺菌剤、摩擦低減剤、及びラテックスから成る群より選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
前記界面活性剤が、以下の式:
【化2】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【化3】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【化4】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【化5】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【化6】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の製剤を提供する工程;
前記少なくとも1つの製剤を坑井中に圧入する工程;及び
前記製剤を前記坑井中に圧入する前記工程の後、前記坑井から物質を回収する工程、
を含む、炭化水素を回収する方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の製剤を提供する工程;
前記製剤を、バイオ油を含む物質と混合する工程;及び
前記混合物から前記バイオ油を回収する工程、
を含む、炭化水素を回収する方法。
【請求項14】
前記バイオ油を含む前記物質が、蒸留残渣である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
発泡流体組成物を油井又はガス井に導入して、前記発泡流体組成物を用いた作業を行う工程を含み、前記発泡組成物は:
油系又は水系流体を含むベース流体;
ガス;
式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【化7】
式中、R
1及びR
2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択されてよく、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;
nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);
mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);
前記末端窒素はR
3でさらに置換されてもよく、この場合R
3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択され、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;
所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、前記化合物に付随する対イオン、
を含む、炭化水素を回収する方法。
【請求項16】
前記作業が、ガスリフト作業、掘削作業、仕上げ作業、刺激作業、破砕作業、圧入作業、石油増進回収作業、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記界面活性剤が、以下の式:
【化8】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【化9】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【化10】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【化11】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【化12】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に援用される2020年3月11日に出願された米国仮特許出願第62/988,194号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、坑井からの石油及びガス、並びにバイオベースのプロセスからの油を含む炭化水素の生産及び回収に用いるための界面活性剤に関する。そのような界面活性剤は、表面活性特性を有するアミノ酸の誘導体を含み得る。
【背景技術】
【0003】
界面活性剤(表面活性特性を有する分子)は、油及び天然ガスの商業的生産に広く用いられている。これらの製剤は、地中から及びバイオベース源から炭化水素を回収するために用いられる様々な液体、エマルジョン、及び泡を含む。油及び天然ガスはいずれも、水と接触して、又はそれに応じて水溶性の基材と接触して見出される場合があり、油及び/又はガスの回収率を向上させるために、製剤中に界面活性剤が含まれ得る。そのような生産及び回収プロセスのための製剤は、製造、活用、及び実用的である場合は再利用が容易であることが理想である。
【0004】
界面活性剤は、非イオン性、双性イオン性、カチオン性、又はアニオン性であり得る。原理上は、いかなる界面活性剤のクラス(例:カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性)も好適であるが、製剤は、2種類以上の界面活性剤クラスからの2つ以上の界面活性剤の組み合わせを含み得ることも可能である。
【0005】
多くの場合、界面活性剤は、相対的に非水溶性の疎水性「尾部」基及び相対的に水溶性の親水性「頭部」基を有する両親媒性分子である。これらの化合物は、2つの液体間、気液間、又は固液間の界面などの界面で吸着し得る。相対的に極性の成分と相対的に非極性の成分とを含む系では、疎水性の尾部は、相対的に非極性の成分と選択的に相互作用し、一方親水性の頭部は、相対的に極性の成分と選択的に相互作用する。水と油との間の界面の場合、親水性の頭部基は、選択的に水中へ延び、一方疎水性の尾部は、選択的に油中へ延びる。気水のみの界面に添加されると、親水性の頭部基は、選択的に水中へ延び、一方疎水性の尾部は、選択的に空気中へ延びる。界面活性剤が存在すると、水分子間の分子間相互作用の少なくとも一部が乱され、水分子間の相互作用の少なくとも一部が、水分子の少なくとも一部と界面活性剤との間の一般的にはより弱い相互作用に置き換わる。これは、表面張力を低下させる結果となり、界面を安定化させるようにも働き得る。
【0006】
充分に高い濃度では、界面活性剤は、疎水性の尾部が極性溶媒に曝露することを制限するように作用する凝集体を形成する場合がある。1つのそのような凝集体は、ミセルである。典型的なミセルでは、分子は球状に配列されて、界面活性剤の疎水性の尾部が選択的に球の内側に位置し、界面活性剤の親水性の頭部が選択的にミセルの外側に位置した状態となり、この場合、頭部がより極性の高い溶媒と選択的に相互作用する。任意の化合物が表面張力に対して有する効果及びそれがミセルを形成する濃度は、界面活性剤を規定する特徴として有用であり得る。
【0007】
石油を含む地層からの原油の開発及び生産は、一次回収、二次回収、及び三次(又は増進)回収の最大3つのフェーズを含み得る。一次回収の過程では、地層に存在する自然のエネルギー(例:水、ガス)及び/又は重力が、生産坑井中に石油を送り込む。石油を含む地層から石油が産出されると、地層中の圧力及び/又は温度が低下し得る。石油を地表に汲み上げるために、人工採油法(ポンプなど)が用いられ得る。一次回収時に生産されるのは、典型的には、貯留層の原始埋蔵量(OOIP)の僅かに約10パーセントである。二次回収法は、油田の生産寿命を延長するために用いられ、一般に、水(水攻法)などの置換流体を圧入して石油と置換し、生産坑井中に石油を送り込む
二次回収法では、典型的には、貯留層のOOIPのさらなる20~40パーセントの回収が得られる。しかし、水攻法を無期限に継続したとしても、典型的にはOOIPの半分以上が未回収で残ることになる。この非効率性に寄与する因子としては、水と石油との混合効率が低いこと(水と石油との間の高い界面張力による)、地層中の毛細管力、地層の温度、地層中の水の塩分濃度、地層中の石油の組成、圧入された水の地層を通る流動が悪いことなどがある。一次及び二次回収法は、したがって、貯留層中に著しい量の石油を残してしまう。
【0008】
油田から容易に生産される石油の多くが既に回収されると、生産者は、貯留層のOOIPの30~60パーセント又はそれ以上の回収の可能性が得られる三次回収法又は石油増進回収法(EOR)を用いてきた。EORの以下の3つの主要なカテゴリー:熱攻法、ガス圧入法、及びケミカル攻法が、商業的に成功している。熱攻法は、熱を導入して(例:蒸気の圧入)原油の粘度を低下させ、貯留層中のその流動性を向上させるものである。ガス圧入法は、貯留層中に拡散する窒素、二酸化炭素、又は他のガスを用いて、さらなる石油を生産坑井中に押し込むものである。他のガスは、石油に溶解してその粘度を低下させ、その流動性を向上させる。ケミカル攻法は、界面活性剤を圧入して(界面活性剤攻法)、石油液滴の貯留層中の移動を阻止又は阻害している界面張力を低下させる、又は地層中に存在する石油が地層中をより容易に移動可能とするポリマーを注入するものである。
【0009】
ケミカル攻法は、一次回収法及び/又は二次回収法の実施前、実施中、又は実施後に用いられ得る。ケミカル攻法は、他のEOR法を補完する場合もある。界面活性剤攻法は、界面活性剤ポリマー(SP)攻法及びアルカリ界面活性剤ポリマー(ASP)攻法を含み得る。SP攻法では、貯留層に、約1重量%の界面活性剤及び約0.1重量%のポリマーを含有する水及び/又は塩水を圧入する。ASP攻法では、SP攻法に用いられる成分に加えてアルカリが含まれる。ASPシステムは、典型的には、約0.5~1重量%のアルカリ、約0.1~1重量%の界面活性剤、及び約0.1~1重量%のポリマーを含有する。典型的には、SP攻法又はASP攻法に続いて、水攻法及び/又はポリマー「押出流体(push fluid)を例とする置換流体の圧入が行われる。SP又はASPの間の選択は、回収されるべき石油の酸価、貯留層の塩水中の二価カチオンの濃度、プロジェクトの経済性、水の軟化又は脱塩を行う能力などの因子に依存する。アルカリは、地層塩水中の二価カチオンを捕捉し、それによって、地層全体の置換時の界面活性剤の吸着を低下させる。アルカリはまた、原油中に天然に存在するナフテン酸と反応することで、地層中、in situでアニオン性界面活性剤(ナフテン酸ナトリウムセッケン)を生成する。比較的安価なアルカリを使用することで、界面活性剤の残留を低減し、したがって、必要とされる界面活性剤の量を低減し、それによって、全体のコストも低下する。アルカリはまた、地層の濡れ性を変化させて水でより濡れた状態とし、膨潤率を向上させる補助にもなり得る。
【0010】
別のEOR法である「濡れ性改変(wettability alteration)」では、界面活性剤が、場合によっては電解質濃度を変化させることと組み合わせて貯留層に導入され、貯留岩への水の自発的な膨潤を起こすことで吸着された石油と置換させる。この方法では、石油と水相との間の低い界面張力やマイクロエマルジョン相の形成は必ずしも必要ではない。それはまた、置換流体の良好な流動効率も必要とせず、このため、割れが存在する可能性があり、典型的には適合性(conformance)の低い炭酸塩岩貯留層において有用である可能性がある。SP攻法及びASP攻法で用いられる界面活性剤は、濡れ性改変においても有用性を呈している。
【0011】
界面活性剤系は、石油を含む地層に圧入された後、地層から原油及び塩水を取り込んで、in situで多相マイクロエマルジョンを形成する。完了すると、マイクロエマルジョンは、貯留層の原油と不混和性であり、原油及び塩水との低い界面張力(IFT)を呈する。商業的な界面活性剤EORプロセスは、極低IFT(すなわち、10mN/m未満)を実現して、地層中の切り離された原油液滴を移動させ、石油及び水の両方が連続相として流動するオイルバンクを作り出す。IFTは、塩分濃度、界面活性剤組成、原油組成、地層温度などの可変因子と共に変化する。アニオン性界面活性剤の場合、最適な塩分濃度は、マイクロエマルジョンが石油及び水の同体積を可溶化し、並びにマイクロエマルジョンが石油及び塩水とほぼ等しいIFTを呈する濃度である。極低IFTは、一般に、任意のマイクロエマルジョンに対する最適塩分濃度と部分的に重なり合う狭い塩分濃度範囲内でのみ存在する。
【0012】
P. Zhao et al.(“Development of High-Performance Surfactants for Difficult Oils.”SPE/DOE Improved Oil Recovery Symposium, Tulsa, Okla., April 2008, SPE 113432)によって説明されるように、「増進回収用途のための界面活性剤の選択は、標的とする貯留層からの原油を用いた研究室での試験を必要とし、適切な界面活性剤、並びにポリマー、電解質、共界面活性剤、及び共溶媒などの…他の…成分を見出すための多大な努力を含み得る」。
【0013】
ドライミルエタノールプロセスでは、イエローデントコーンが製粉され、液化され、発酵槽へ送られる。酵素及び酵母菌が添加されて、デンプンがエタノールに変換され、続いてエタノールが蒸留される。これによって、全蒸留残渣(whole stillage)と称されるスラリーが残される。濃縮油分を含む全蒸留残渣は次に、遠心分離を介して、それぞれ薄蒸留残液(thin stillage)及びウェットケーキと称される液体分と固体分とに分離される。薄蒸留残液の一部は、製粉トウモロコシの液化を補助するために再循環される一方、残りは、蒸発を介して濃縮されて濃蒸留残液(又はシロップ)とされ、これは、乾燥され、ウェットケーキと混合されて、可溶性物質添加乾燥蒸留穀物残渣(DDGS)を形成する。これは、ウシの飼料として販売され、良好なタンパク源である。
【0014】
油分に対してドライミリングが有する濃縮効果のために、濃蒸留残液から抽出されたトウモロコシ油は、エタノール産業にとって収益をもたらす副産物となってきた。トウモロコシ油を取り除くことは、DDGSのエネルギー密度を低下させるものではあるが、いくつかの研究によると、DDGSの高油含有量は、乳牛の乳生産を妨げること、及びブタの場合は、望ましくないブタわき腹肉に繋がることが示唆されている。したがって、油の一部を取り除くことは、価値のある副産物に繋がるだけでなく、DDGSの品質も向上する可能性がある。
【0015】
トウモロコシ油を濃蒸留残液から抽出する現行の方法には、溶媒抽出(ヘキサンの場合が多い)及びデカンテーションが含まれる。ヘキサン抽出は、効果的ではあるが、エネルギー集約的であり、多大な設備投資も必要とする。デカンテーションは、ほとんど設備投資を必要とせず、ヘキサン抽出と同程度の効果が得られる可能性がある。
【0016】
遠心分離を用いるデカンテーションは、油と水相との間の密度差を利用して、溶液中に懸濁した油に浮力を掛けるものである。油上に働く界面相互作用及び表面摩擦を克服するのに充分に強い浮力とするために、個々の油滴は、充分な力を発生させることができるように、充分に大きい必要がある。業界で用いられる現行の分離装置は、直径20マイクロメートルという小さい粒子を分離することができる。現行のトウモロコシ油デカンテーションの成功は、上流での処理条件に大きく依存する。高温、高又は低pH、より小さい挽き具合、及び長い保持時間を用いる処理が、高い油収率をもたらす傾向にある。このような苛酷な条件は、そのような条件が最終製品の栄養及び官能特性に悪影響を及ぼす可能性があることから、ヒト又は動物の消費のための油を抽出するための好ましい方法ではないであろう。
【発明の概要】
【0017】
本開示は、坑井からの石油及び天然ガスの抽出に、並びにいくつかの用途において、バイオディーゼルなどの炭化水素燃料を生産するためのバイオベースプロセスで用いられる油系燃料と水性媒体との混合物からの油の抽出に有用である製剤を提供する。これらの製品は、本明細書で開示する1又は複数種類の界面活性剤のクラスからの1又は複数の界面活性剤を含むように製剤され得る。界面活性剤は、乳化剤、湿潤剤、分散剤、並びに/又は炭化水素の回収及び、若しくは水を含む環境からの炭化水素の分離を向上させる剤として用いられ得る。
【0018】
本開示は、表面活性特性を有するアミノ酸の誘導体の形態である、油及びガスの生産で用いるための界面活性剤を提供する。アミノ酸は、天然若しくは合成アミノ酸であってよい、又はカプロラクタムを例とするラクタムなどの分子の開環反応を介して得られてもよい。アミノ酸は、官能化されて、表面活性特性を有する化合物が形成されてもよい。特徴的なことには、これらの化合物は、低い臨界ミセル濃度(CMC)及び/又は液体の表面張力を低下させる能力を有し得る。
【0019】
本開示は、破砕流体製剤を提供し、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0020】
【0021】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;ポリマー又は粘弾性界面活性剤、を含む。
【0022】
本開示はさらに、石油改良回収法のための流体を提供し、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0023】
【0024】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択される、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;直鎖状、架橋、及び/若しくはブロックコポリマー;並びに/又は所望に応じて粘弾性界面活性剤;並びに所望に応じて共界面活性剤、を含む。
【0025】
本開示はさらに、生物学的に生産された油を回収するための製剤を提供し、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0026】
【0027】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;及び水、を含む。
【0028】
本開示はさらに、破砕流体と石油又は天然ガスとの混合物に用いられる製剤を提供し、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0029】
【0030】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;及び水、及び所望に応じてガス、を含む。
【0031】
本開示の上述の及び他の特徴、並びにそれらを達成する方法は、以下の実施形態の記述を添付の図面と合わせて参照することによって、より明らかとなり、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、例1bで述べるように、界面活性剤1についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図2】
図2は、例1cで述べるように、界面活性剤1についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【
図3】
図3は、例2bで述べるように、界面活性剤2についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図4】
図4は、例2cで述べるように、界面活性剤2についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【
図5】
図5は、例3bで述べるように、界面活性剤3についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図6】
図6は、例3cで述べるように、界面活性剤3についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【
図7】
図7は、例4bで述べるように、界面活性剤4についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図8】
図8は、例4cで述べるように、界面活性剤4についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【
図9】
図9は、例5bで述べるように、界面活性剤5についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図10】
図10は、例5cで述べるように、界面活性剤5についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で用いられる場合、「これらの終点を用いたいずれかの範囲内」の句は、文字通り、値が列挙の低い値の方にあるか、又は列挙の高い値の方にあるかにかかわらず、その句の前に列挙された値のいずれか2つからのいずれの範囲が選択されてもよいことを意味する。例えば、値の対は、低い方の値2つ、高い方の値2つ、又は低い方の値及び高い方の値、から選択されてよい。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」の語は、いずれの飽和炭素鎖をも意味し、直鎖であっても又は分岐鎖であってもよい。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「表面活性」の句は、関連する化合物が、それが少なくとも部分的に溶解されている媒体の表面張力及び/又は他の相との界面張力を低下させることができ、したがって、気液界面及び/又は他の界面に少なくとも部分的に吸着され得ることを意味する。「界面活性剤」の用語は、そのような化合物に適用され得る。
【0036】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」の用語は、交換可能に用いられてよく、記載された測定値を含み、その記載された測定値に対して合理的に近いいずれの測定値も含む測定値を意味する。記載された測定値に対して合理的に近い測定値は、該当する技術分野の当業者によって理解され、容易に確認される合理的に小さい量の分、記載された測定値から逸脱している。そのような逸脱は、例えば、測定誤差又は性能を最適化するために成される少しの調整に起因すると考えられ得る。該当する技術分野の当業者によって、そのような合理的に小さい差異に関する値が容易に確認されるものではないと判断される場合には、「約」及び「およそ」の用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味するものと理解されてよい。
【0037】
本開示は、炭化水素の生産及び/又は回収に用いるための製剤を提供する。そのような製剤は:破砕流体;石油改良回収法(IOR)圧入流体;天然ガスの生産を増加させるための製剤;蒸留残渣、並びに植物、果実、及びナッツなどの入手源からのバイオ油回収のための製剤、を含む。
【0038】
I.破砕流体
炭化水素を含む地下の地質学的地層から炭化水素を回収するために、坑井が地層中に掘削されて、地層中の貯留層から地表までの炭化水素の流通経路が得られる。しかし、多くの場合、水圧破砕と称される刺激法が、油井又はガス井からの炭化水素の流通経路及び回収を改善するために必要とされる。
【0039】
水圧破砕では、専用の流体が、地層岩の自然の透過性によって拡散可能な速度を超える速度で、標的とする地層に圧入される。この方法で用いられる専用の流体は、破砕流体と称される。この流体により、圧力は、そのような圧力が地層岩の強度を超えるまで蓄積する結果となる。このようなことが起こると、地層岩が破壊され、いわゆる「破砕」が開始される。圧入を継続すると、破砕が、長さ、幅、及び高さにおいて成長する。この刺激法の適用によって発生した破砕は、炭化水素のための坑井へ通じる経路を作り出す。
【0040】
理想的には、破砕流体は、置換の過程での坑井内のパイプの圧力低下を最小限とするべきであり、破砕が閉じることを防止するプロパント材を運ぶのに適する粘度を有するべきである。さらに、破砕流体は、地層岩中への流体の流出を回避するために、最小限のリークオフレートを有するべきであり、それによって、特に、坑井への正確な炭化水素の流動を阻止し得る残留物を残さないように、破砕は発生及び伝播が可能であり、及び浸食(degrade)を受けるはずである。
【0041】
いくつかの破砕流体は:(a)水性媒体、並びに(b)(i)化学的に結合した疎水性ペンダント基を有する水溶性又は水分散性共重合体、(ii)上記有機ポリマー上の疎水性基と会合することができる疎水性基を有する非イオン性界面活性剤、及び(iii)水溶性電解質、を含む増粘量の増粘剤組成物を含む。加えて、流体は、好ましくは、安定化量のチオ硫酸塩を含有する。例えば、アクリルアミドとドデシルアクリレートとの共重合体を、非イオン性界面活性剤(10~14のHLB)と組み合わせて、KCl及びチオ硫酸ナトリウムの希水溶液を増粘するために用い、この水溶液は、高温水圧破砕流体として用いるのに非常に優れた特性を有していた。例えば、「Hydraulic Fracturing Process and Compositions」と題するPCT出願国際公開第87/01758号を参照されたい。
【0042】
いくつかの破砕流体は:低せん断粘度が増加された水性液体媒体を含み、そのような低せん断粘度は、水性媒体中に(1)アクリルアミド ドデシルアクリレートコポリマーを例とする疎水性ペンダント基を有する水溶性ポリマー及び(2)オレイン酸ナトリウム又はドデシルポリエチレンオキシグリコールモノエーテルを例とする水分散性界面活性剤を分散させることによって得られる。例えば、「Water-Dispersible Hydrophobic Thickening Agent」と題する米国特許第4,432,881号を参照されたい。本明細書で列挙される本発明の界面活性剤のうちの少なくともいくつかは、これらの製剤中に含まれ得る。
【0043】
多くの破砕流体は、水、増粘剤、ポリマーゲル、及び界面活性剤を含む。別の選択肢としての破砕流体は、ポリマーゲルの代わりに粘弾性界面活性剤を含み得る。
【0044】
1.ポリマーゲル
ポリマーゲルは、直鎖状ポリマー、架橋ポリマー、及び/又は共ブロックポリマーのうちの1又は複数を含み得る。
【0045】
有用な直鎖状ポリマーとしては、限定されるものではないが、グアー、グアーの誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
有用な架橋ポリマーとしては、限定されるものではないが、ホウ酸イオン、ジルコン酸イオン、及び/又はチタン酸イオンで架橋されたポリマーが挙げられる。
【0047】
有用な共ブロックポリマーとしては、限定されるものではないが、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、例えば、直鎖構成又は分岐鎖構成で約6個~約20個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物であり、エチレンオキシドは、アルキルフェノールの1モルあたり約1~約10モルのエチレンオキシドに等しい量で存在する。そのような化合物におけるアルキル置換基は、重合されたプロピレン、ジイソブチレン、オクタン、又はノナンから誘導され得る。
【0048】
2.界面活性剤
本開示の殺虫剤製剤は、界面活性剤系とも称される1又は複数の界面活性剤を含む。界面活性剤系は、組成物を乳化するために、及び/又は補助剤として作用するために含まれる。界面活性剤系は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であってよい少なくとも1つの界面活性剤、及び所望に応じて、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせであってよい少なくとも1つの他の界面活性剤を含む。そのような界面活性剤は、本明細書で述べる必須成分と物理的及び化学的に適合性を有するべきであり、又はそうでなければ、製品の安定性、審美性、若しくは性能を過度に損なうべきではない。
【0049】
本開示の破砕流体での使用に適する界面活性剤は、式Iの1又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤であって、
【0050】
【0051】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤及び/又は共界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0052】
適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書で述べる界面活性剤1~5のいずれか1つ以上を含み得る。
【0053】
破砕流体製剤中の界面活性剤系の濃度は、組成物の重量に対して、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、又は約50重量%以下、約60重量%以下、約70重量%以下、若しくは約80重量%以下の範囲内、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内であり得る。
【0054】
3.増粘剤
破砕流体製剤は、アクリルアミド ドデシルアクリレートコポリマーを例とする疎水性ペンダント基を有する水溶性ポリマーを含み得る。
【0055】
4.粘弾性界面活性剤
粘弾性界面活性剤は、一般に、実質的にポリマーを含まない試薬として定義される。様々な粘弾性界面活性剤流体が、例えば米国特許第4,615,825号、同第4,725,372号、同第4,735,731号、カナダ特許第1298697号、米国特許第5,551,516号、同第5,964,295号、同第5,979,555号、及び同第6,232,274号に開示されている。粘弾性界面活性剤を含む1つの公知のポリマー非含有水性破砕流体は、企業グループSchlumbergerからClearFRACの商標で市販されており、四級アンモニウム塩のN-エルシル-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアンモニウムクロリドとイソプロパノール及び塩水との混合物であり、塩水は、好ましくは3重量%の塩化アンモニウム及び4重量%の塩化カリウムを含む。
【0056】
5.他の添加剤
所望に応じて存在してよい添加剤は、回収石油中に同伴された状態となり得る砂などの固体の影響を低減又は軽減することができる化合物を含む。これらの化合物は、粘土安定化剤又は砂安定化剤を含む。適切な粘土安定化剤又は砂安定化剤としては、エポキシ樹脂、多官能性カチオン性ポリマーが挙げられる。ポリ(N-アクリルアミドメチルトリエチルアンモニウムクロリド)又はポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド)などである。
【0057】
本発明の流体に添加され得るさらに他の所望に応じて存在してよい原料成分としては、限定されるものではないが、腐食防止剤、酸素捕捉剤、及び殺菌剤が挙げられる。
【0058】
6.作製方法
方法は、界面活性剤若しくは界面活性剤系、ポリマー、及び/又は、及び/又は粘弾性界面活性剤を水と組み合わせる工程を含む。この工程は、上記で述べたいずれかの添加剤を添加することも含み得る。上述した成分及び化合物は、互いの1又は複数に対していかなる順序で、及びいかなる量で、及び1又は複数の個々の工程で、例えば一度に又は少しずつ、添加されてもよい。破砕流体を用いるいくつかの方法では、坑井への圧入時に、大量の水が流体と組み合わされる。
【0059】
7.使用方法
本開示の破砕流体製剤は、室温及び大気圧下で液体であってよく、不可欠な成分がその中に溶解されている。
【0060】
濃縮破砕流体が作製される場合は、水性媒体と混合されることを意図しており、水性媒体との混合は、流体の使用前及び/又は使用中に行われ得る。濃縮製剤のタンクへの添加は、水性媒体(水)をタンクへ添加する前、添加すると同時に、又は添加した後に成されてよい。濃縮流体は、坑井自体が既に水を含んでいる場合、坑井への圧入時に著しく希釈され得る。いくつかの場合では、流体は、坑井へ圧入され、それに続いて、水が、又はいくつかの場合では、追加の水が導入され得る。
【0061】
希釈された本発明の破砕製剤中の水含有量は、希釈組成物の総重量に基づいて、約75重量%以上、約90重量%以上、約99重量%以上、又は約99.9重量%以上であり得、最終的には、本開示の濃縮殺虫剤製剤中の破砕原料成分をすぐに使用できる組成物の所望される濃度に希釈するのに必要とされる水の量に依存する。
【0062】
水性媒体と混合、希釈される場合、流体の成分は、水性媒体中に均一に分布されることを意図している。
【0063】
II.石油改良回収法(IOR)のための製剤
原油及び/又は天然ガスは、ある特定の地下岩石の細孔中に存在する。典型的には、原油及び/又は天然ガスの初期又は一次回収は、原油を坑井を通して汲み上げるために、石油貯留層内の圧力を利用する。一次回収法の過程では、ほとんどの石油貯留層において、存在する原油の少ないパーセントしか、典型的には約10%~30%しか抽出されない。
【0064】
二次回収法として知られる水攻法又はガス圧入法を用いて、さらなる量の石油を生産することができる。二次回収法は、比較的安価であり、貯留層に最初に存在する原油のさらなる5%~20%までを生産するのに有効である。二次回収法は、石油貯留層に圧力を掛けて、坑井から原油を汲み上げるものである。しかし、一次及び二次回収法が抽出できるのは、貯留層に最初に存在する石油の半分未満である。残った石油の多くは、不連続的であり、非常に強い毛細管力によって岩石中に保持されている。コストが掛かるために、多くの坑井は、一次及び二次回収プロセスが完了した後、使用されていない。
【0065】
抽出される石油の量を増加させるさらなるプロセスは、石油増進回収法(EOR)又は石油改良回収法(IOR)又は三次回収法と称される場合がある。EORは、石油と水との間の界面張力(IFT)を低下させることによって、及び原油抽出のための地層圧力を回復させることによって、石油置換を改善するように作用する。EORの主要な3つの種類は、ケミカル又はアルカリ攻法、二酸化炭素(CO2)圧入又は炭化水素圧入を用いるミシブル攻法による置換、及び水蒸気攻法又は燃焼火攻法を用いた熱回収法を含む。
【0066】
坑井からの石油回収を改善するための別の方法は、ミシブルガス攻法である。ミシブルガス攻法は、炭化水素の生産坑井への流量を増加させる目的で、地下の地層に存在する原油の粘度を低下させるために二酸化炭素を用いて行われ得る。原油の粘度を低下させるための溶媒として作用する二酸化炭素は、有効で比較的安価なミシブルガスである。ミシブル二酸化炭素攻法手順の過程で、二酸化炭素は、典型的には、液相及び/又は超臨界相である。ミシブルガス攻法の有効性を高めるために用いられる方法は、プロセスに発泡性界面活性剤を添加することである。
【0067】
ミシブル置換では、ミシブルガスを石油貯留層に導入する。二酸化炭素は、石油の粘度を低下させ、液化石油ガスよりも安価であることから、最も一般的に用いられている。
【0068】
熱回収法は、石油貯留層に熱を導入して、石油が坑井に向かって流動するように原油の粘度低下を引き起こすものである。熱回収法の過程で、原油は、供給された熱の効果によって、物理的及び化学的変化を受ける。粘度、比重、及びIFTなどの物理的特性が変化される。化学的変化は、熱分解及び脱水素などの異なる反応を含む。しかし、大量のCO2を製造し、輸送するための巨大な施設及び配管システムを構築することはコストが掛かり、多くの油田は、そのような施設の構築を実行できない領域に位置している。また、CO2は、主として、軽質油田(lighter oil fields)に適している。熱回収法は、ある特定の油田のみに、特に深さが浅く、重質油が豊富な(heavy oils flood)油田に適しているものであるが、圧入に続いて、粘性水などのより安価な流体、及びその後は水単独が用いられ得る。界面活性剤、粘性水、及び水の圧入は、原油を生産坑井へ移動させることに関与する。
【0069】
さらに別の三次回収プロセスは、ケミカル又はアルカリ攻法を含む。この種類のEORは、界面活性剤、ポリマー、及び/又は苛性化合物を含む水性フラッド(aqueous flood)を用いる。水性フラッドは、IFTを低下させ、岩石から原油を押し出す。毛細管力でトラップされて固定された液滴の形態のこの原油は、界面活性剤を含む水性フラッドの圧入によって移動させることができる。界面活性剤は、原油と相互作用を起こして、トラップする毛細管力を非常に低いレベルまで低下させるマイクロエマルジョンを形成する。移動状態となると、原油は、貯留層のフラッディング部分にほとんどまったく石油を残さない成長するバンク(growing bank)を形成する。水性フラッドの後、圧入に続いて、粘性水などのより安価な流体、及びその後は水単独が用いられ得る。界面活性剤、粘性水、及び水の圧入は、原油を生産坑井へ移動させることに関与する。いくつかの特許及び刊行物は、界面活性剤を用いた石油増進回収法について議論している。
【0070】
本発明は、IOR、掘削、粘弾性界面活性剤、酸性化、破砕、発泡、及び生産を含むがこれらに限定されない用途のための低吸着性界面活性剤として、アルキルアミドプロピルベタインスルホネート、アルキルジメチルベタインスルホネート、アルキルヒドロキシスルタインスルホネート、アルキルスルホベタインスルホネート、及びアルキルアミンオキシドスルホネートを含むがこれらに限定されない様々な両性界面活性剤の使用を含む。本発明は、アルキレンアミドプロピルベタイン、アルキレンジメチルベタイン、アルキレンヒドロキシスルタイン、アルキレンスルホベタイン、及びアルキレンアミンオキシドを含むがこれらに限定されないある特定の両性界面活性剤の二重結合と反応させて、対応するスルホン化両性界面活性剤を製造するための、スルホン化剤の使用を含む。スルホン化両性界面活性剤は、極低界面張力(IFT)、粘弾性特性、高塩分及び二価イオンを含有する塩水との相溶性、及び低吸着性を貯留層岩に付与することが見出された。本発明のいくつかの実施形態は、IOR、掘削、粘弾性界面活性剤、酸性化、破砕、発泡、及び生産を含むがこれらに限定されない用途のための低吸着性界面活性剤として、アルキルアミドプロピルベタインスルホネート、アルキルジメチルベタインスルホネート、アルキルヒドロキシスルタインスルホネート、アルキルスルホベタインスルホネート、及びアルキルアミンオキシドスルホネートを含むがこれらに限定されない様々な両性界面活性剤の使用を含む。
【0071】
1.水性圧入流体/キャリア
様々な製剤で用いられ得る水性キャリアとしては、限定されるものではないが、水、塩水、河川水、合成塩水、及び海水が挙げられる。塩水は、多くの場合、一価及び/又は二価の無機塩などの1又は複数の塩を含む。
【0072】
本発明の製剤の多くにおいて、開示される水性水圧破砕組成物の約40重量%が、キャリアを含む(例:キャリアは、組成物中に、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、又はそれ以上などの、少なくとも約40重量%~約99.88重量%の範囲内の量で存在する)。キャリアは、活性原料成分及び共原料成分を溶解することができ、水圧破砕組成物を水圧破砕サイトに送達することができる適切ないかなる物質であってもよい。水は、開示される組成物の液体の実施形態における従来のキャリアである。水圧破砕組成物はまた、ゲル、ディップ(dip)、泡、又はスプレーとして製造されてもよい。
【0073】
2.アルカリ
アルカリは、本技術分野で公知であるように、いくつかの場合において、圧入された界面活性剤と相乗的に作用する界面活性剤を「in situ」で形成するために用いられる。本発明を実践するために用いられ得るアルカリの例としては、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムが挙げられる。典型的には、アルカリは、圧入流体の0~約5重量%の濃度で用いられるが、必要に応じてより多くが添加されてもよい。
【0074】
3.増粘剤
本発明の実践に用いられ得る増粘剤の例としては、限定されるものではないが、ポリアクリルアミド、AMPSコポリマー、キサンタンガム、本技術分野において一般的に公知であり、移動及び流動効率を制御する必要がある場合に圧入流体の粘度を増加させるために用いられる他の天然及び合成ガム並びにポリマー、が挙げられる。一般に、増粘剤は、圧入流体の0~約1重量%の濃度で用いられるが、必要に応じて用いられてもよい。
【0075】
4.共溶媒
共溶媒は、本技術分野で公知であるように、圧入流体の粘度を低下させるために、凍結融解又は高濃度での相溶性を改善するために用いられ得る。例示的な共溶媒としては、限定されるものではないが、C1~C8アルコール、C1~C8アルコールアルコキシレート、及びグリセリンが挙げられる。共溶媒は、圧入流体の0~約50重量%の濃度で用いられる。
【0076】
5.界面活性剤及び共界面活性剤
用いられ得る界面活性剤及び共界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を含む群より選択される1又は複数の化合物が挙げられる。これらは、当業者によって用いられてきた。一般に、共界面活性剤は、全圧入液体製剤の0~約5重量%の濃度で用いられるが、必要に応じてさらに添加されてもよい。
【0077】
本発明のIOR流体製剤は、界面活性剤系とも称される1又は複数の界面活性剤を含む。界面活性剤系は、分散剤又は湿潤剤として用いられ得る。界面活性剤系は、農業用途のために製造される場合、液体殺真菌剤形成物の安定なエマルジョンを形成するための乳化剤成分としても用いられ得る。乳化剤成分はまた、安定な乳化性濃縮物を形成するためにも用いられ得る。界面活性剤系は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であってよい少なくとも1つの界面活性剤、及び所望に応じて、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせであってよい少なくとも1つの他の界面活性剤を含む。
【0078】
本開示の殺真菌剤製剤での使用に適する界面活性剤は、式Iの1又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤であって、
【0079】
【0080】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤及び/又は共界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0081】
適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書で述べる界面活性剤1~5のいずれか1つ以上を含み得る。
【0082】
殺真菌剤製剤中の1又は複数の界面活性剤の総量は、約1重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、又は約15重量%以下、約20重量%以下、約25重量%以下、約30重量%以下、約35重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内であり得る。
【0083】
6.共乳化剤又は共界面活性剤
本発明のいくつかの実施形態は、本開示に従う少なくとも1つの界面活性剤、さらにはスルホスクシナメート界面活性剤などの少なくとも1つのさらなる界面活性剤と、モノエステルスルホスクシネート界面活性剤、及びジエステルスルホスクシネート界面活性剤、及びこれらのブレンドから選択される少なくとも1つのスルホスクシネート界面活性剤との界面活性剤混合物、さらには、とりわけアルカノールアミド、アルキルサルフェート、アルファ-オレフィンスルホネート、ベタイン、脂肪酸セッケン、脂肪アルコールアルコキシレート、エトキシル化ソルビタンエステル、及びスルホベタインであるさらなる界面活性剤とブレンドされたこれらの界面活性剤混合物、を含む発泡性界面活性剤組成物の使用を含み、海水、海水/ディーゼル混合物、及び塩水中での延長された発泡半減期をとりわけ呈する安定な泡の量を増加させる。これらの界面活性剤混合物は、所望に応じて溶媒を含んでよく、溶媒は、好ましくは水、又は塩、キサンタンガムなどの起泡力増進剤、炭化水素油又は植物油であってよい油、及び増粘剤又は保存剤も含む水性溶液である。先行技術の発泡性組成物と比較して、これらの製剤は、発生させる泡の量、泡の安定性、及び泡の寿命に関する改善をもたらすものである。
【0084】
本明細書で述べるいくつかの商業的に望ましい発泡性界面活性剤組成物は、海水(通常は、約3.5%の平均質量分率の溶解塩を含有し、その最大部分は、塩化ナトリウムである)及び塩水(すなわち、0.1%~11%の一価及び二価カチオンの溶解塩など、典型的には12%までの質量分率を含有する塩水溶液)を含む多様な水性媒体において改善された発泡性能をもたらす。改善された界面活性剤組成物は、周囲温度(典型的には23℃)、及び1℃~23℃までなどのより低い温度又は23℃超~95℃までなどの高い温度の両方で機能性である。これは、全体の泡体積の増加、改善された泡安定性、及び泡の最大寿命(すなわち、泡の半減期で、液体媒体の体積の50%を元の泡から分離するのに要する時間)を提供する製剤の作製を含む。さらに、発泡性界面活性剤組成物は、本明細書で充分に記載されるように、有利には、より低い濃度で改善された性能を提供し、それによって、環境及び作業者への曝露が低減され、同時に、水中油型エマルジョン形成のより低い傾向を呈し、このことも、生産時の石油回収を単純化することから有利である。
【0085】
III.エマルジョン及び/又は泡
水性発泡性界面活性剤組成物は、ここから、水又は海水若しくは塩水などの塩水溶液を、所望に応じて炭化水素又は炭化水素混合物との混合物として、並びに有効発泡量の本明細書で述べる1又は複数の発泡性界面活性剤組成物を添加することによって作製することができる。液体媒体として超臨界ガスを用いることも可能であり、これに、有効発泡量の本明細書で述べる発泡性界面活性剤組成物が添加される。本発明で詳述される界面活性剤の種類としては、アニオン性界面活性剤、2つ以上のアニオン性界面活性剤の混合物、並びにこれらのいずれかと、カチオン性、両性、双性イオン性、及び非イオン性界面活性剤との組み合わせが挙げられ、ガスとしては、例えば、空気、二酸化炭素、窒素、メタン、又は他の天然及び生成されたガスのうちの1又は複数が挙げられ得る。
【0086】
坑井からの石油回収を改善するための1つの方法は、ミシブルガス攻法である。ミシブルガス攻法は、炭化水素の生産坑井への流量を増加させる目的で、地下の地層に存在する原油の粘度を低下させるために二酸化炭素を用いて行われ得る。原油の粘度を低下させるための溶媒として作用する二酸化炭素は、有効で比較的安価なミシブルガスである。ミシブル二酸化炭素攻法手順の過程で、二酸化炭素は、典型的には、液体及び/又は超臨界相である。ミシブルガス攻法の有効性を高めるために用いられる方法は、プロセスに発泡性界面活性剤を添加することである。
【0087】
本発明の1つの態様は、本発明に従う発泡性界面活性剤組成物を用いたガスの圧入の過程で、貯留層又は地下の石油若しくはガスを含む地質学的地層から石油又は天然ガスを回収するための方法を含む。本発明によって考慮される方法は、地層中の石油又はガスを、発泡性界面活性剤組成物のいずれか1又は複数及び圧入ガスと接触させて、石油の回収を補助することを含む。本明細書で述べる発泡性界面活性剤組成物を用いた石油又は天然ガスの回収のために本明細書で考慮される方法は、業界標準である一次、二次、又は三次回収法のうちのいずれか1又は複数の一部として実施することができる。本発明の発泡性界面活性剤組成物は、溶媒又は液体ビヒクル中の溶液として用いられてもよく、溶媒は、水、塩水溶液、液化ガス、超臨界ガス、及びこれらの混合物から選択される。典型的には、界面活性剤は、水性媒体に組み込まれて、泡が生成される。塩水溶液が溶媒として用いられると、水性発泡性界面活性剤組成物が得られ、発泡性界面活性剤組成物と水又は塩水溶液との組み合わせは、好ましくは、少なくとも0.2%、好ましくは10%までの質量分率の溶解無機塩を含み、泡は、それから、泡発生器中でガスと密接に混合することによって生成させることができる。また、ガス及び発泡性界面活性剤組成物の交互のスラグ流(alternating slugs)を、圧力下、多くの場合水又は塩水溶液も含有している地下の石油又はガスを含む地質学的地層に導入することで、泡をin situで生成させることも可能である。通常は、これによって、少なくとも0.2%、及び好ましくは10%までの同じ質量分率の溶解無機塩が得られる。
【0088】
石油及び天然ガスなどの炭化水素の回収においてエマルジョンが成す役割は、坑井源からのガス又は石油の回収を高めるために例えば用いられ得る泡を含む。いくつかの実施形態では、例えば坑井から、又はバイオプロセスの生成物から回収されるべき油又はガスと共にそのエマルジョンが形成され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書の開示がエマルジョンを、例えば泡を生成するために用いられることを明確にする。さらに他の実施形態では、界面活性剤は、回収されるべき油又はガスを含むエマルジョンを破壊するために用いられ得る。
【0089】
泡は、高塩分濃度の発泡流体組成物中に10-mN/mという低いIFTを発生させるのに有効な量で存在するように、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤の有効量を添加することによって形成され得る。アニオン性界面活性剤は、本発明の界面活性剤、又はスルホネート界面活性剤及び/若しくはサルフェート界面活性剤であってよい。発泡流体組成物は、ガスリフト作業、掘削作業、仕上げ作業、刺激作業、破砕作業、圧入作業、石油増進回収作業、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない作業を実施するために用いられ得る。
【0090】
発泡流体は、地下貯留層から炭化水素を回収する際の様々な用途に用いられる。発泡流体は、ベース流体、発泡剤、及び、窒素、二酸化炭素、空気、メタンなどが挙げられるがこれらに限定されないガス、を含む流体を含む。ベース流体は、必要なベース流体の量を減少させるために、地層への脱水量を低減するために、及び/又は破砕流体中でのプロパントの懸濁を向上させるために、発泡されてもよい。「発泡剤」は、本明細書において、ガスが混合された際のベース流体の発泡を促進するための剤であると定義される。
【0091】
発泡流体はまた、坑井中に既に存在しているいずれの流体/地層流体も置換するために、刺激作業(例:ガス井のアンロード(unloading))の過程でも用いられ得る。「既に存在している流体」は、本明細書において、地下貯留層の坑井に発泡添加剤及び/又は発泡流体組成物を導入する前に、地下貯留層の坑井中に存在する流体として定義される。「地層流体」は、本明細書において、石油を含んでいる地下の地層から産出される石油、天然ガス、水などを含むがこれらに限定されないいずれかの流体であると定義される。地層流体は、既に存在している流体と見なされ得るが、既に存在している流体は、必ずしも地層流体とは限らないであろう。例えば、他のダウンホール流体は、地下の貯留層の坑井に圧入され得るが、発泡添加剤が坑井に導入される際に、坑井中に既に存在している。したがって、ダウンホール流体(例:掘削流体、仕上げ流体、破砕流体、圧入流体など)は、発泡添加剤及びガスを地下貯留層の坑井へ導入する際に、「ベース流体」であり得る。
【0092】
発泡流体のベース流体は、掘削流体、仕上げ流体、刺激流体、破砕流体、圧入流体、及びこれらの組み合わせであり得る。そのような流体の使用の限定されない例としては、油井又はガス井のアンロード、石油増進回収作業、重質油回収、掘削作業、破砕作業、加圧採油(pressure pumping)、セメンチング、酸性化又は他の刺激作業などが挙げられ得る。
【0093】
発泡掘削流体の限定されない例は、掘削作業が、低密度を有する掘削流体を必要とする場合の流体であり得、例えば、発泡掘削流体の密度は、約2.0ppg(約0.24g/cm3)から独立して約8.0ppg(約0.96g/cm3)までの範囲内であり得る。
【0094】
掘削流体は、典型的には、そのベース流体に従って分類される。水系流体の場合、固体粒子は、水又は塩水から成る連続相中に懸濁される。油は、連続相である水に乳化され得る。「水系流体」は、本明細書において、水性連続相を有する流体であって、水性連続相は、すべて水若しくは塩水、水中油型エマルジョン、又は塩水中油型エマルジョンであってよい、流体を含むように用いられる。塩水系流体は、当然、水系流体であり、この場合、水性成分は水系である。油系流体は、水系流体の反対又は逆である。
【0095】
「油系流体」は、本明細書において、非水性連続相を有する流体であって、非水性連続相は、すべて油、非水性流体、油中水型エマルジョン、非水性中水型エマルジョン、油中塩水型エマルジョン、又は非水性中塩水型エマルジョンである、流体を含むように用いられる。油系流体の場合、固体粒子は、油又は別の非水性流体から成る連続相中に懸濁される。水又は塩水は、油中に乳化され得ることから、油は連続相である。油系流体において、油は、ディーゼル、鉱油、エステル、製油所カット及びブレンド、又はアルファ-オレフィンが挙げられ得るがこれらに限定されないいかなる油又は水不混和性流体からも成り得る。本明細書で定められる油系流体は、天然物質からの精製ではなく合成によって製造された合成ベースの流体又は泥(SBM)も含み得る。合成ベースの流体は、必ずしも限定はされないが、多くの場合、エチレンのオレフィンオリゴマー、植物性脂肪酸及びアルコールから作製されたエステル、アルコール及び多価アルコールから作製されたエーテル及びポリエーテル、パラフィン又は芳香族炭化水素、アルキルベンゼン、テルペン及び他の天然産物、並びにこれらの塩水タイプの混合物を含む。
【0096】
掘削作業の1つの種類は、セメントが坑井中の正しい位置に圧送されるセメンチングを含む。セメンチング作業は、ケーシングストリングを入れ終わった後にアニュラスを封止するために、逸泥ゾーンを封止するために、プラグを既存の坑井に設置し、そこから指向性ツールで押し出す(push off with directional tools)ために、又は放棄することができるように坑井を閉塞するために用いられ得る。セメンチング作業開始の前に、坑井中に配置するべきセメントの体積、さらには、必要なスラリー及び固化セメントの密度及び粘度を含む物理的特性が決定される。掘削流体が置換されて、坑井中にセメントが配置され得る。プライマリーセメンチング、さらには補修セメンチング作業を坑井中で行う場合、用いられるセメントスラリーは、多くの場合、坑井が貫通している地下地層に過剰な静水圧が掛かることを防止するために、軽量でなければならない。その結果、発泡セメントスラリーを含む様々な軽量セメントスラリーが、開発され、用いられてきた。
【0097】
軽量であることに加えて、発泡セメントスラリーは、圧縮ガスも含有しており、これは、スラリーが圧力を維持し、その遷移時間、すなわち、セメントスラリーが真の流体から硬い固化された塊に変化する時間の間に地層流体がスラリー中に流入することを防止する能力を向上させる。発泡剤として用いられるもの以外の他の界面活性剤は、発泡スラリーがスラリー成分とガス成分とに早期に分離することを防止するための泡安定剤として用いられ得、スラリーにも添加され得る。発泡セメントスラリーは、低い脱水特性を有し得る。
【0098】
仕上げ流体には、期待される様々な機能及び特性が存在する。仕上げ流体は、生産開始の前の最終作業を促進するために坑井中に配置され得る。仕上げ流体は、典型的には、塩化物、臭化物、ギ酸塩を含む塩水であるが、適切な密度及び流動特性を有する損傷を与えないいかなる流体であってもよい。塩水を形成するための適切な塩としては、必ずしもこれらに限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化カリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸セシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。貯留層の地層及び流体と仕上げ流体との化学的適合性が非常に重要であり得る。塩水の粘度上昇及び密度上昇を含むがこれらに限定されない様々な理由から坑井のサービス流体(servicing fluids)に用いられる塩水に導入されるポリマー及び界面活性剤などの化学的添加剤は、本技術分野で公知である。
【0099】
補修流体、刺激流体、改修流体などのサービス流体は、損傷した坑井を修復するのに必要ないくつかの機能及び特性を有する。そのような流体は、既に形成されているエマルジョンを破壊するために、並びに掘削、仕上げ、及び/又は生産作業の過程で発生した可能性のある地層の損傷を除去するために用いられ得る。「補修作業」及び「補修する」の用語は、本明細書において、ゲル損傷の粘度の低下(lowering of the viscosity of gel damage)及び/又は地下の地層からいずれかの種類の損傷を部分的に若しくは完全に取り除くことを含むものと定義される。同様に、「補修流体」の用語は、本明細書において、補修作業で有用であり得るいかなる流体も含むものと定義される。刺激流体は、坑井の生産性を刺激、回復、又は増進するために調製される処理流体であり得、1つの限定されない例としては、破砕流体及び/又はマトリックス刺激流体などである。
【0100】
水圧破砕は、刺激作業の1種、30であり、地層からの炭化水素の回収を向上させるためのプロセスにおいて、ポンプ速度及び水圧を用いて地下の地層を破砕する又は割るものである。割れ目が形成されると、地層の浸透性に対して高浸透性のプロパントを破砕部分にポンプ送入して、割れ目を広げる支持とする。適用されたポンプ速度及び圧力が低下された、又は地層から取り除かれた場合でも、割れ目又は破砕部は、高浸透性プロパントが割れ目を開いた状態で維持することから、完全に閉じることや元に戻ることは不可能となる。支持された割れ目又は破砕部は、生産坑井とより大きい地層領域とを接続する高浸透性経路40を提供し、炭化水素の生産が向上される。
【0101】
別の種類の刺激作業は、油井又はガス井が「アンロード」される作業である。ほとんどのガス井において、水及び/又はコンデンセートがガスと共に産出される。成熟したガス井では、地層圧力及びガス速度の低下65により、坑井が液体で「ロード」された状態となる。液体でロードされた坑井をより高いコンデンセートカットで処理することが困難であることから、作業者は、マージナルガス井において液体のロードを防止するために様々な方法を用い得る。
【0102】
油井又はガス井をアンロードすることは、一次生産法(すなわち、原油の回収に初期の地層エネルギーのみを用いる)、及び続いて水攻法の二次生産法によって、地層に存在する原始埋蔵量のうちの少ないパーセントしか回収されない場合に必要であり得る。二次回収作業の後、平均回収率は、油田の場合は約25~35%、ガス田の場合は約70%である。ガス井及び油井の生産システムは、一般に、フローライン中に石油及び水がロードすることに起因して、その生産が制限される。
【0103】
坑井のガスリフト及び/又は脱液体(deliquification)は、液体ロードの問題を抱えた坑井を、連続流動状態に戻すこと、現行の生産坑井の流量を増加させること、坑井を再開すること、及びこれらの組み合わせを可能とし得る。典型的には、石油及び/又はガスが貯留層から産出されるに従って、貯留層の地層の圧力は低下し、生産量も低下する。加えて、坑井の生産量は、仕上げの問題(completion issues)に起因して経時で低下する場合もあり、坑井の再開が困難となり得る。これらの坑井を脱液体又は「アンロード」するために一般的に用いられる方法は、化学的発泡剤の適用によるものである。
【0104】
ガス界面活性剤交互(SAG)圧入によってin situで発生させた泡の使用は、アルカリ/界面活性剤/ポリマー(ASP)石油増進回収(EOR)プロセスにおけるポリマードライブ(polymer drive)の代替として、R. F. Li, et al., "Foam Mobility Control for Surfactant Enhanced Oil Recovery," SPE 113910, SPE/DOE Symposium on 20 Improved Oil Recovery, Tulsa, Okla., SPE Journal, March, 2010に記載されている。
【0105】
ミセル、アルカリ、セッケン状などの物質は、貯留層中の石油と水との間の界面張力を低下させて、貯留層中に存在する石油を移動させるために用いられ得るが、一方ポリアクリルアミド又はポリサッカリドなどのポリマーは、圧入された流体が接触した貯留層の体積に依存するEOR作業の有効性の尺度である移動速度及び流動効率を向上させるために用いられ得る。
【0106】
方法の別の選択肢としての限定されない実施形態では、方法は、既に流体が存在している地下の貯留層の坑井中に発泡流体組成物を導入することによって、地下の石油を含んでいる地層内の油井又はガス井をアンロードすることを含み得る。発泡流体組成物は、ベース流体、ガス、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、並びにカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも1つの第二の界面活性剤を有し得る又は含み得る。少なくとも1つのアニオン性界面活性剤は、スルホネート界面活性剤及び/又はサルフェート界面活性剤から成る群より選択され、アニオン性界面活性剤は、C20~C24炭素鎖及び内部オレフィンを含む。発泡流体組成物は、30,000TDS以上の塩分濃度を有する。界面活性剤は、組成物を発泡するのに有効な量で存在する。方法はさらに、地下の貯留層の坑井中に既に存在する流体を少なくとも部分的に置換することを含む。
【0107】
さらに、別の形態において、ベース流体、ガス、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、及び少なくとも1つの第二の界面活性剤を有する発泡流体組成物も提供される。ベース流体は、油系流体、水系流体、及びこれらの組み合わせであり得る、又はこれらを含み得る。アニオン性界面活性剤は、少なくとも20炭素原子の疎水性鎖を有し、アニオン性界面活性剤は、スルホネート界面活性剤、サルフェート界面活性剤、又はこれらの組み合わせである。アニオン性界面活性剤は、発泡流体組成物中に、約10-1mN/m~約10-3mN/mのIFTを得るのに有効な量で存在する。少なくとも1つの第二の界面活性剤としては、必ずしもこれらに限定されないが、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。発泡流体組成物は、30,000以上の総溶解固形分(TDS)の塩分濃度を有する。
【0108】
発泡流体組成物の別の限定されない実施形態では、アニオン性スルホネート界面活性剤は、C20~C24炭素鎖及びその中に内部オレフィンを有してよく又は含んでよく、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤の量は、全発泡流体組成物に基づいて、約1体積%~約50体積%の範囲内である。
【0109】
1つの形態では、発泡流体組成物による作業を実施することを含み得る方法が提供される。発泡流体組成物は、ベース流体、ガス、少なくとも20炭素原子の疎水性鎖を有する少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を有してよく又は含んでよく、アニオン性界面活性剤は、スルホネートから成る群より選択される。
【0110】
1.界面活性剤
本開示の除草剤製剤での使用に適する界面活性剤は、式Iの1又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤であって、
【0111】
【0112】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤及び/又は共界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0113】
特に、適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書で述べる界面活性剤1~5のいずれか1つ以上を含み得る。
【0114】
2.第二の界面活性剤
12~24炭素原子の疎水性鎖を有する少なくとも1つのアニオン性界面活性剤であり、アニオン性界面活性剤は、スルホネート界面活性剤、サルフェート界面活性剤、及びこれらの組み合わせから成る群より選択され、少なくとも1つの第二の界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0115】
3.ベース流体
ベース流体は、掘削流体、仕上げ流体、刺激流体、破砕流体、ガス井脱液体流体、コイルドチュービング作業流体、リサイクルされた掘削流体、サービス流体、坑井洗浄流体、坑井介入流体、キャピラリーコイルドチュービング流体(capillary coiled tubing fluid)、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される油系流体又は水系流体であってよい。
【0116】
4.ガス
本技術分野で公知の適切ないかなるガスが、液体製剤の適切ないかなる液体部分と混合されてもよい。そのようなガスとしては、限定されるものではないが、空気、窒素、二酸化炭素、天然ガス、及びこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0117】
IV.バイオ油を回収するための流体
バイオベース油は、天然源由来の食用油を含み、ヒトの栄養の主要な要素であり、比較的最近までは光及びエネルギーの源でさえあったものである。油の天然源としては、種子及び果実が挙げられ、その一部は、本質的に油源として栽培されている。バイオディーゼル燃料を含む燃料のために用いられ得るバイオベース油源としては、ダイズ、天然及びバイオ操作された藻類、が挙げられる。回収される油の回収率及び/又は品質を高めるのに用いることができるいかなる製剤及び/又はプロセスも有益である。
【0118】
バイオベース油の他の源としては、トウモロコシなどのフィードストックの発酵からの、並びにダイズ及び藻類などの油が豊富な植物の処理からの蒸留残渣が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態は、油と水とのエマルジョンからの乳化油の抽出を補助するために製剤を含む。組成物は、アルコキシル化植物油、アルコキシル化植物脂肪、アルコキシル化動物油、アルコキシル化動物脂肪、アルキルポリグルコシド、アルコキシル化グリセロール、及びこれらの混合物から選択される非イオン性界面活性剤を含み得る。組成物は、ケイ素含有粒子を含み得る。トウモロコシからエタノールへのプロセスから油を回収するためのいくつかの方法も提供される。これらの方法は、トウモロコシからエタノールへのプロセスのプロセス流に組成物を添加する工程、及びプロセス流から油を抽出する工程を含み得る。
【0119】
食用油を回収するための製剤は、米国農務省及び米国食品医薬品局などの監督機関によって安全と認められる(GRAS)として特徴付けられる試薬のみを含む。
【0120】
バイオディーゼル燃料を含む燃料のために用いられ得るバイオベース油源としては、ダイズ、天然及びバイオ操作された藻類、が挙げられる。
【0121】
(新しいパラグラフか又は前のパラグラフの一部か?)ほとんどの市販のトウモロコシ油は、ウェットミリングトウモロコシプロセスの過程で、トウモロコシ胚芽のフロントエンド画分によって製造される。最近、トウモロコシ油の新規な入手源が、エタノール産業で用いられるドライミルプロセスの副産物として出現した。ドライミリングは、ウェットミリングよりも必要なエネルギーが少なく、設備投資も少ないプロセスである。ドライミルプロセスのテールエンドで捕捉されたトウモロコシ油は、食品としての使用には適さないが、バイオディーゼルのフィードストックとして用いることができる。
【0122】
1.水性成分
水性成分としては、例えば、淡水、海水を挙げることができ、最も一般的には、水相は、1又は複数の無機塩を含む水を含む。
【0123】
2.超臨界ガス
いくつかの本発明の泡は、二酸化炭素を例とする超臨界ガスを含む。超臨界二酸化炭素(CO2)は、ガスがその臨界温度及び臨界圧力以上に保持されているガスの流体の状態である。この状態のガスは、ガスの特性と液体の特性との間の中間的ないくつかの特性を呈する。超臨界二酸化炭素は、約31.1℃以上の温度及び約7.39MPa超の圧力で存在する。
【0124】
3.界面活性剤
本開示の除草剤製剤での使用に適する界面活性剤は、式Iの1又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤であって、
【0125】
【0126】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤及び/又は共界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0127】
特に、適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書で述べる界面活性剤1~5のいずれか1つ以上を含み得る。
【0128】
上述した界面活性剤は、例えばスルホスクシナメート型の以下の式の表面を含む他の界面活性剤と組み合わされてよく:
R-NX-CO-CHY1-CHY2-CO-O-M4+
式中、Y1はHで、Y2は(SO3M3+である、又はY1は(SO3M3+)で、Y2はHである。M3+及びM4+は、カチオンであり、同じであってもよく又は異なっていてもよく、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から成る元素周期律表の第1族及び第2族から、好ましくはLi+、Na+、K+から、及びさらにはアンモニウムNH4+から選択され;Rは、8~24個の炭素原子を有し、所望に応じて1又は複数の炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分岐鎖状又は環状の脂肪族基、又はそのような基の2つ以上の混合である。Xは、水素原子であってよく、又はアルキルカルボキシレート基、-(CRR)-COOM2+であってよく、式中、R’及びRは、両方がHであってよく、又はRはHであり、Rは-CHCOOM3+であり、式中、M3+及びM+は、カチオンであり、同じであってもよく又は異なっていてもよく、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から成る元素周期律表の第1族及び第2族から、好ましくはLi、Na+、K+から、及びさらにはアンモニウムNHから選択される。M3+、M+、M2+、及びM4+に対する特に好ましいアルカリ金属イオンは、互いに独立して、ナトリウムカチオン、Na+、及びカリウムカチオン、K+である。
【0129】
示される分離補助組成物に所望に応じて含まれるさらに他の界面活性剤は、例えば、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はアニオン性界面活性剤であり得る。界面活性剤(1又は複数であってよい)は、非イオン性界面活性剤であってよく、例えば、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化ソルビタンエステル、PEG、ポロキサマー、アセチレン系グリコール、若しくはスルホネート、又はこれらの組み合わせであってよい。非イオン性界面活性剤は、例えば、カルボン酸のエトキシレート、モノ-、ジ-、若しくはトリグリセリドのエトキシレート、ソルビタンのモノ-、ジ-、若しくはトリエステルのエトキシレート、又は脂肪アルコールのエトキシレートなどの非イオン性ポリエチレングリコールであってよい。エトキシル化ソルビタンエステルは、TWEEN(登録商標)又はポリソルベートシリーズの界面活性剤として商業的に入手可能である。他の適する非イオン性界面活性剤は、12~22個の炭素原子を有する脂肪酸ベースのモノ-、ジ-、若しくはトリグリセリド、又は12~22個の炭素原子を有する脂肪酸ベースのソルビタンのモノ-、ジ-、若しくはトリエステルである。本発明の分離補助剤で用いられ得る非イオン性界面活性剤の市販源としては、例えば、Lambent Technologies Corporation(Gurnee,Ill.USA)からのLumisorb Polysorbatesが挙げられる。非イオン性界面活性剤は、少なくとも1つのポロキサマーであってよい。ポロキサマーは、疎水性ポリアルキレンオキシドブロックの中央ブロックを含み、その両側に親水性ポリアルキレンオキシドブロックが位置する非イオン性トリブロックコポリマーであり得る。ポロキサマーは、食品グレードのものが市販されている。ポロキサマーの市販源は、例えば、BASF Corporation(Florham Park,N.J.,USA)からのPLURONIC(登録商標)コポリマーである。
【0130】
非イオン性界面活性剤などの界面活性剤の水溶性は、その親水性-親油性バランス(HLB)値又は数に関連付けられ得る。非イオン性界面活性剤は、少なくとも約6、又は少なくとも約9、又は少なくとも約12、又は約6~20、又は約7~約19、又は約8~約18、又は約9~約17、又は約10~約16、又は他の値のHLB値を有し得る。非イオン性界面活性剤の水溶性はその親水性-親油性バランス(HLB)値又は数に関連付けられ得る。HLB値は、従来の方法で算出され得る。例えば、非イオン性界面活性剤のHLB値は、非イオン性界面活性剤の親水性部分の分子量パーセントを5で除することによって算出され得る。例えば、80モル96の親水性部分(合計)を有する非イオン性界面活性剤は、16(すなわち、80/5=16)として算出されるHLB値を有することになる。20を超えるHLB値は、相対値又は比較値である。
【0131】
いくつかの本発明の製剤は、1又は複数の界面活性剤を、約0重量%以上、約2重量%以上、約4重量%以上、約6重量%以上、約8重量%以上、又は約10重量%以下、約12重量%以下、約14重量%以下、約16重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含み得る。
【0132】
4.油
本発明の実践に用いられ得る油としては、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化ダイズ油、エトキシル化パーム核油、エトキシル化アーモンド油、エトキシル化トウモロコシ油、エトキシル化キャノーラ油、エトキシル化ナタネ油、及びエトキシル化ココナッツ油から成る群より選択されるアルコキシル化植物油が挙げられる。
【0133】
示される分離補助剤に含まれる油は、例えば、鉱油、トリグリセリド植物油、炭化水素油、又はこれらのいずれかの組み合わせであってよい。鉱油は、例えば、白色鉱油又はミネラルシール油であってよい。鉱油の例は、原油の蒸留で得られる常圧残油、常圧残油の減圧蒸留によって得られる減圧軽油及び減圧残油、これらの水素化処理油、熱分解油、並びに 又はこれらの混合物であり得る。これらの鉱油の中でも、常圧残油、減圧残油、及びこれらの水素化処理生成物又は熱分解生成物は、本発明において残油と称される。トリグリセリド植物油は、例えば、トリグリセリドトウモロコシ油であり得る。炭化水素油は、例えば、白色鉱油又はそのいずれかの組み合わせであってよい。本発明の分離補助剤で用いられ得る油の市販源としては、例えば、Clarion White Mineral Oil 70,CITGO Petroleum(Houston,USA)が挙げられる。
【0134】
5.レシチン
分離補助剤で用いられるレシチンは、天然由来、修飾由来、又は合成由来であってよい。本発明で用いられ得るレシチンは、いかなる植物源、動物源、又は微生物源から得られたレシチンであってもよい。適切なレシチン出発物質は、市販されており、市販のダイズレシチン製品及び卵黄レシチン製品が挙げられる。レシチンは、卵黄、及び植物油精製の副産物であるダイズ、メイズ、ナタネなどの植物などの天然源から得ることができる。ダイズ油は、最大の市販レシチン源である。市販レシチンの組成は、入手源、製造方法、及び精製度に応じて異なるが、最も純粋な形態では、主としてホスファチドを含んでいる。市販のレシチンは、例えば、脱ガム工程で得られる油処理の副産物である。例えば、ダイズレシチンは、複雑な混合物であり、リン脂質及びトリグリセリドを、植物糖脂質、植物ステロール、トコフェロール、及び脂肪酸などの少量の他の構成成分と共に含む。植物レシチンに存在する主たるリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及びホスファチジルイノシトールである。卵黄レシチンは、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを主たるリン脂質として含有する。レシチンは、ダイズなどの容易に入手可能な入手源から、化学的に(ヘキサンを用いて)又は機械的に抽出することができる。レシチンは、水への溶解度が低い。水溶液中、そのリン脂質は、水和及び温度に応じて、リポソーム、二層シート、ミセル、又は層状構造のいずれかを形成し得る。この結果、両親媒性として通常は分類される種類の物質となる。本明細で用いられる場合、「修飾レシチン」とは、限定されるものではないが、アセチル化、ヒドロキシル化、水素化、レシチンの加水分解生成物、塩素化、臭素化、ヨウ素化、ハロゲン化、リン酸化、及びスルホン化、さらには当業者に公知の他のいずれかの修飾を意味する。アセチル化レシチンは、例えば、その全内容が参照により本明細書に援用される米国特許第3,301,881号に示されるなどのように、植物レシチンからのリン脂質のアセチル化のための無水酢酸などのカルボン酸無水物を用いて製造され得る。ダイズレシチン、ナタネレシチンなどの植物レシチン、及び卵黄レシチンなどの動物レシチン、又は上記レシチンから単離された純ホスファチジルエタノールアミンからのアセチル化リン脂質の製造に、酵素プロセスが用いられ得る。市販のレシチンは、例えば、その全内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,403,344号に示されるなどのように、触媒として1,3-位特異性を有するムコール-ミエヘイ(Mucor-Miehei)由来リパーゼの存在下、アセチル化剤として酢酸ビニルを用いてアセチル化され得る。アセチル化レシチンにおいて、例えば、アセチル化は、ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基上で主として発生する。修飾レシチン上でのアセチル化の度合いは、用いられる場合、部分的であっても又は完全であってもよい。修飾レシチン上でのアセチル化の度合いは、例えば、約5%~100%、又は約10%~約99%、又は約15%~約95%、又は約20%~約90%、又は約25%~約75%、などの値であり得る。レシチンはさらに、様々な化学反応を起こし易くする数多くの化学官能基を有する。これらの基としては、炭素-炭素二重結合、エステル、リン酸エステル、アミン、及びヒドロキシル基が挙げられる。修飾はまた、エステル交換レシチンをもたらす結果にもなり得る。加えて、レシチンは、酵素修飾もされ得る。本明細書で用いられる場合、「ホスファチド」(リン脂質)とは、限定されるものではないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、N-アシルホスファチジルエタノールアミン、及び他の関連する少量構成成分の混合物を意味する。本発明の分離補助剤で用いられ得るレシチン又は修飾レシチンの市販源としては、例えば、Solae LLC(Memphis,Tenn.USA)からのSolec HR2Bが挙げられる。
【0135】
6.シリカ
例えば、分離補助剤は、ヒュームドシリカなどのシリカを含有し得る。ヒュームドシリカは、疎水性であっても又は親水性であってもよい。ヒュームドシリカは、食品グレードであり、この理由からより望ましいものであり得る。溶融ヒュームドシリカは、分離補助剤中に、例えば約1重量%~10重量%の量で含有され得る。
【0136】
7.水不溶性溶媒及び油
適切な水不溶性不混和性有機溶媒は、例えば植物及び動物などの天然の非石油源から誘導される又は作製される溶媒を含み、植物油、種子油、動物油などが挙げられ、N,N-ジメチルカプリルアミド(N,N-ジメチルオクタナミド)、N,N-ジメチルカプラミド(N,N-ジメチルデカナミド)、及びこれらの混合物などであり、これらは、Agnique(登録商標)AMD 810及びAgnique(登録商標)AMD 10としてBASF Corp.(Florham Park,N.J.)から、Genegen(登録商標)4166、Genegen(登録商標)4231、及びGenegen(登録商標)4296としてClariant(Charlotte,N.C.)から、Hallcomid M-8-10及びHallcomid M-10としてStepan(Northfield,Ill.)から、並びにAmid DM10及びDM810としてAkzoNobel(Chicago,Ill.)から市販されている。天然由来の有機溶媒のさらなる例としては、Huntsman International LLC(The Woodlands,Tex.)からJEFFSOL(登録商標)AG-1730 Solventとして市販されているカプリル/カプリン脂肪酸(C8/C10)のモルホリンアミドが挙げられる。
【0137】
他の適切な水不溶性溶媒としては、芳香族炭化水素、混合ナフタレン及びアルキルナフタレン画分、芳香族溶媒、特にキシレン又はプロピルベンゼン画分などのアルキル置換ベンゼンなど;植物油、種子油、又は動物油由来の脂肪酸のC1~C6エステルで、カプロン酸メチル、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチルなど;イソホロン及びトリメチルシクロヘキサノン(ジヒドロイソホロン)などのケトン;酢酸メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はヘプチルなどの酢酸エステル;及び環状炭酸アルキルで、Huntsman(The Woodlands,Tex.)からJEFFSOL(登録商標)炭酸アルキレンとして入手可能である炭酸プロピレン及び炭酸ブチレン、及びやはりHuntsmanからの炭酸ジブチルなど、並びに本明細書で述べる水不混和性有機溶媒のいずれかの混合物が挙げられ得る。
【0138】
水不溶性溶媒は、除草剤製剤中に、約0重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、又は約30重量%以下、約40重量%以下、約50重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0139】
8.水
水は、本開示の製剤中に、水性溶媒及び記載される組成物中の原料成分のためのキャリアの両方として作用するために存在し得る。本開示のいくつかの製剤は、約200g/L以上、約300g/L以上、約400g/L以上、又は約500g/L以下、約600g/L以下、約700g/L以下、約800g/L以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で水を含み得る。
【0140】
9.他の添加剤
除草剤製剤は、1又は複数の追加の相溶性原料成分を含み得る。これらの追加の原料成分としては、例えば、組成物中に溶解又は分散されていてよい1若しくは複数の殺虫剤又は他の原料成分を挙げることができ、殺ダニ剤、アルジサイド、摂食抑制物質、殺鳥類剤、殺菌剤、鳥忌避剤、化学不妊剤から選択され得る。また、例えば消泡剤、抗菌剤、緩衝剤、腐食防止剤、分散剤、染料、香料、凝固点降下剤、中和剤、着臭剤、浸透補助剤、封鎖剤、安定剤、粘着剤、粘度調整添加剤、水溶性溶媒などの機能的な有用性を提供する他のいずれかの追加原料成分も、これらの組成物中に含まれてよい。
【0141】
製剤が、などの追加の活性原料成分と組み合わせて用いられる場合、本明細書で述べる組成物は、他の1又は複数の活性原料成分と共にプレミックス濃縮物として製剤され、水中で他の活性原料成分とタンク混合され得る。
【0142】
10.作製方法
本開示の製剤は、1)有機溶媒及び界面活性剤の溶液を調製する工程;2)工程1)で調製した溶液を、水溶性塩の濃縮水溶液へ添加して充分に混合し、透明な溶液を形成する工程;及び3)所望に応じて、いずれかの追加の相溶性活性原料成分又は不活性原料成分を添加する工程、によって製造され得る。
【0143】
別の選択肢として、本開示の製剤は、1)油を提供し、所望に応じてそれを有機溶媒及び界面活性剤と混合する工程;2)工程1)で調製した組成物を、水溶性塩の濃縮溶液へ添加して充分に混合し、透明な溶液を形成する工程;及び3)所望に応じて、いずれかの追加の相溶性活性原料成分又は不活性原料成分を添加する工程、によって製造され得る。
【0144】
製剤に添加され得る適切な水混和性原料成分としては、限定されるものではないが、本開示の界面活性剤などの水溶性又は水不溶性分散性界面活性剤、水不溶性活性原料成分、並びに所望に応じてpH緩衝剤、湿潤剤、凍結防止剤、消泡剤、及び殺生物剤などの他の不活性原料成分が挙げられる。
【0145】
11.使用方法
溶液は、ダイズマッシュ若しくは藻類バイオマスなどの天然油源に、又はトウモロコシエタノール製造プロセスからの蒸留残渣などの合成油源に添加され得る。バイオ油源と混合されると、例えば沈降、加熱、冷却、凍結などを含む本技術分野で公知のいかなる手段で油源から分離されてもよい。
【0146】
IV.界面活性剤
本開示は、アミノ酸の誘導体の形態である、農業製品に用いるための界面活性剤を提供する。アミノ酸は、天然若しくは合成であってよい、又はカプロラクタムなどのラクタムの開環反応から得られてもよい。本開示の化合物は、表面活性特性を有することが示されており、例えば界面活性剤及び湿潤剤として用いられ得る。特に、本開示は、式Iの化合物であって:
【0147】
【0148】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、化合物;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を提供する。
【0149】
本開示によって提供される1つの具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド(界面活性剤1)であり、以下の式を有する:
【0150】
【0151】
本開示によって提供される第二の具体的な化合物は、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド(界面活性剤2)であり、以下の式を有する:
【0152】
【0153】
上記の構造において、「N→O」の表記は、窒素と酸素との間の非イオン性結合相互作用を意味することを意図している。
【0154】
本開示によって提供される第三の具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤3)であり、以下の式を有する:
【0155】
【0156】
本開示によって提供される第四の具体的な化合物は、4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート(界面活性剤4)であり、以下の式を有する:
【0157】
【0158】
本開示によって提供される第五の具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤5)であり、以下の式を有する:
【0159】
【0160】
これらの界面活性剤は、様々な方法によって合成され得る。1つのそのような方法は、ラクタムを開環してN末端及びC末端を有するアミノ酸を得ることを含む。N末端を、1又は複数のアルキル化剤及び/又は酸と反応させることで、第四級アンモニウム塩が得られ得る。別の選択肢として、N末端を酸化剤と反応させることで、アミンNオキシドが得られ得る。C末端を、酸の存在下でアルコールと反応させることで、エステルが得られ得る。
【0161】
アミノ酸は、天然若しくは合成であってよい、又はカプロラクタムなどのラクタムの開環反応から誘導されてもよい。開環反応は、酸又はアルカリ触媒反応であってよく、酸触媒反応の例を以下のスキーム1に示す。
【0162】
【0163】
アミノ酸は、少なくは1個の又は多くは12個の炭素を、N末端とC末端との間に有し得る。アルキル鎖は、分岐鎖又は直鎖であってよい。アルキル鎖には、窒素、酸素、又は硫黄が介在していてもよい。アルキル鎖は、さらに、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてもよい。N末端窒素は、アシル化又は1若しくは複数のアルキル基でアルキル化されていてもよい。例えば、アミノ酸は、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸であってよい。
【0164】
界面活性剤1は、以下のスキーム2に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N-末端が、炭酸ナトリウムの存在下、ヨウ化メチルでアルキル化される。
【0165】
【0166】
界面活性剤2は、以下のスキーム3に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N-末端が過酸化水素で酸化されて、アミンオキシドが得られる。
【0167】
【0168】
界面活性剤3は、以下のスキーム4に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N-末端が、炭酸ナトリウムの存在下、ヨウ化メチルでアルキル化される。
【0169】
【0170】
界面活性剤4は、以下のスキーム5に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N-末端が、還流下の酢酸エチル中、1,4-ブタンスルトンで処理されて、所望されるスルホネートが得られる。
【0171】
【0172】
界面活性剤5は、以下のスキーム6に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-アミノヘキサノエートが得られる。N末端が塩酸でプロトン化されて、所望される塩酸塩が得られる。
【0173】
【0174】
本開示の化合物は、表面活性特性を呈する。これらの特性は、様々な方法によって測定し、表され得る。界面活性剤を表し得る1つの方法は、分子の臨界ミセル濃度(CMC)による。CMCは、ミセルを形成する界面活性剤の濃度として定義され得るものであり、それよりも高い濃度では、追加の界面活性剤はすべてミセルに取り込まれる。
【0175】
界面活性剤濃度が上昇するに従って、表面張力は低下する。表面が界面活性剤分子で完全に覆われると、ミセルが形成し始める。この時点が、CMCを、さらには最小表面張力を表している。界面活性剤をさらに添加しても、表面張力にさらに影響を与えることはない。CMCは、したがって、界面活性剤濃度の関数として表面張力の変化を観察することによって測定され得る。この値を測定するためのそのような1つの方法は、ウィルヘルミープレート法である。ウィルヘルミープレートは、通常、ワイヤで天秤に取り付けられた薄いイリジウム-白金プレートであり、空気-液体界面に対して垂直に配置される。天秤を用いて、濡れによってプレートに働く力が測定される。次に、この値を用い、式1に従って表面張力(γ)が算出され:
式1:γ=F/l cosθ
式中、lは、濡れ周長(w及びdをそれぞれプレートの厚さ及び幅とした場合に、2w+2d)に等しく、cosθについては、液体とプレートとの間の接触角は、現存文献値がない場合は0と仮定する。
【0176】
界面活性剤の性能を評価するために用いられる別のパラメータは、動的表面張力である。動的表面張力は、特定の表面又は界面の経過時間に対する表面張力の値である。界面活性剤が添加された液体の場合、これは、平衡値と異なり得る。表面が生成された直後は、表面張力は、純液体の表面張力と等しい。上記で述べたように、界面活性剤は、表面張力を低下させるものであるため、表面張力は、平衡値に到達するまで低下する。平衡に到達するのに要する時間は、界面活性剤の拡散速度及び吸着速度に依存する。
【0177】
動的表面張力を測定する1つの方法は、最大泡圧式張力計によるものである。この装置は、キャピラリーによって液体中に形成された気泡の最大内圧を測定する。測定された値は、気泡形成の開始から最大圧力となるまでの時間である、ある特定の表面経過時間での表面張力に相当する。表面張力の表面経過時間に対する依存性は、気泡が生成される速度を変動させることによって測定することができる。
【0178】
表面活性化合物は、接触角によって測定される固体基材上での湿潤能力によっても評価され得る。液滴が、空気などの第三の媒体中で固体表面と接触する場合、液体、気体、及び固体間で三相線が形成される。三相線で役割を果たしており、液滴の接線である表面張力の単位ベクトルと、表面と、の間の角度が、接触角として表される。接触角(湿潤角としても知られる)は、液体による固体の濡れ性の尺度である。完全濡れの場合、液体は固体上に完全に拡がっており、接触角は0°である。濡れ特性は、典型的には、任意の化合物に対して1~100×CMCの濃度で測定されるが、濃度に依存する特性ではないことから、濡れ特性の測定値は、これよりも高い又は低い濃度で測定されてもよい。
【0179】
1つの方法では、光学接触角ゴニオメーターが、接触角の測定に用いられ得る。この装置は、デジタルカメラ及びソフトウェアを用いて、表面上の液体の静止液滴の輪郭形状を分析することによって接触角を求める。
【0180】
本開示の表面活性化合物に対する考え得る用途としては、シャンプー、ヘアコンディショナー、洗剤、スポットフリーリンス溶液、床及びカーペットクリーナー、落書き除去用の洗浄剤、作物保護用の湿潤剤、作物保護用の補助剤、並びにエアロゾルスプレーコーティング用の湿潤剤として用いるための製剤が挙げられる。
【0181】
当業者であれば、化合物間の少しの相違が、著しく異なる界面活性剤特性に繋がり得ることから、異なる用途においては、異なる基材と共に異なる化合物が用いられ得ることは理解される。
【0182】
以下の限定されない実施形態は、異なる界面活性剤の異なる特性を示すために提供される。以下の表1では、界面活性剤の略称と、それらの対応する化学構造との関連を示している。
【0183】
【0184】
5つの化合物の各々は、表面活性剤として有効であり、数ある用途の中でも、湿潤剤又は発泡剤、分散剤、乳化剤、及び洗剤用として有用である。
【0185】
界面活性剤1、界面活性剤3、及び界面活性剤5は、カチオン性である。これらの界面活性剤は、上記で述べた用途、及び表面処理剤などの、パーソナルヘアケア製品などの、いくつかのさらなる特別な用途の両方に有用であり、また、撥水性表面を生成するために用いることもできる。
【0186】
界面活性剤4は、非イオン性であり、シャンプー、洗剤、硬質表面クリーナー、及び様々な他の表面洗浄製剤に用いることができる。
【0187】
界面活性剤5は、双性イオン性である。これらの界面活性剤は、上記で述べた用途のすべてにおける共界面活性剤として有用である。
【0188】
製剤に用いられる本明細書で開示される化合物の量は、低くは約0.001重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、若しくは約5重量%、又は高くは約8重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、若しくは約25重量%、又は上記の値のいずれか2つを用いたいずれかの範囲内であり得る。
【0189】
実施例
核磁気共鳴(NMR)分光法は、Bruker 500MHz分光計で行った。臨界ミセル濃度(CMC)は、ウィルヘルミープレート法により、Pt-Irプレートを備えた張力計(DCAT 11,DataPhysics Instruments GmbH)を用いて23℃で特定した。動的表面張力は、最大泡圧式張力計(Kruss BP100,Kruss GmbH)を用いて23℃で特定した。接触角は、デジタルカメラを備えた光学接触角ゴニオメーター(OCA 15 Pro,DataPhysics GmbH)を用いて特定した。
【0190】
例1a:
6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド(界面活性剤1)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0191】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、アセトニトリル(10mL)中に溶解した。次に、炭酸ナトリウム(0.388g、3.66mmol)を添加し、反応物を室温で10分間撹拌した。ヨウ化メチル(0.57mL、9.16mmol)を添加し、反応混合物を24時間にわたって40℃に加熱し、続いて室温まで冷却した。この混合物をろ過し、濃縮して、6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドを、黄色固体として92%の収率で得た。1H NMR (DMSO)δ 4.00 (t,J=6.7Hz,2H),3.30-3.22(m,2H),3.04(s,9H),2.34(t,J=7.4Hz,2H),1.70-1.63(m,2H),1.62-1.46(m,4H),1.31-1.20(m,20H),0.86(t,J=6.9Hz,3H)。
【0192】
例1b:
界面活性剤1の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約1mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約33mN/m、すなわち33mN/m±3.3mN/mである。
図1は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。プロットから、表面張力は、CMCでは約34mN/mであり、1.0mmol以上の濃度では、約33.8mN/mである。
【0193】
例1c:
界面活性剤1の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図2は、表面張力対時間としての結果のプロットを表し、1ms~75msの時間間隔で、表面張力が約55.5mN/mから約39.9mN/mに急速に低下することを示している。75ms~50,410msの時間間隔では、表面張力は、約39.9mN/mから約34mN/mにゆっくり低下し、CMCでの表面張力の飽和値に漸近的に近づいている。
【0194】
例1d:
界面活性剤1の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角32°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、67.1°であった(表2)。
【0195】
【0196】
例2a:
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド(界面活性剤2)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0197】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、蒸留水(80mL)中に溶解した。過酸化水素(50%溶液、1.04g、30.5mmol)を添加した。反応物を加熱して12時間還流し、次に溶媒を真空除去した。得られた固体をアセトンで洗浄して、所望されるN-オキシドを90%の収率で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO)δ 4.00(t,J=6.6Hz,2H),3.30-3.26(m,2H),3.18(s,6H),2.31(t,J=7.4Hz,2H),1.76-1.73(m,2H),1.54-1.57(m,4H),1.30-1.24(m,22H),0.86(t,J=6.9Hz,3H)
例2b:
界面活性剤2の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.08mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約28mN/m、すなわち28mN/m±2.8mN/mである。
図3は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、CMCでの表面張力は、約30mN/m以下である。プロットはさらに、0.08mmol以上の濃度において、表面張力が30mN/m以下であることも示している。
【0198】
例2c:
界面活性剤2の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図4は、表面張力対時間のプロットを表し、化合物が、およそ7.6秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから分かるように、動的表面張力は、4900ms以上の表面経過時間で、40mN/m以下である。
【0199】
例2d:
界面活性剤2の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、水よりも非常に低い接触角39.3°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、57.4°であった(表3)。
【0200】
【0201】
例3a:
6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤3)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0202】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(100mg、0.305mmol)を、水(10mL)中に溶解した。濃塩酸(11.14mg、0.305mmol)を添加した。
【0203】
例3b:
界面活性剤3の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約1.4mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約30mN/m、すなわち30mN/m±3mN/mである。
図5は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、CMCでの表面張力は、約30mN/m以下である。プロットはさらに、2.7mmol以上の濃度において、表面張力が33mN/m以下であることも示している。
【0204】
例3c:
界面活性剤3の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図6は、表面張力対時間のプロットを表し、1~100msの時間間隔で、表面張力が約50mN/mから約40mN/mに急速に低下することを示している。100~50000msの時間間隔では、表面張力は、40mN/mから約34mN/mにゆっくり低下し、CMCでの表面張力の飽和値に漸近的に近づいている。
【0205】
例3d:
界面活性剤3の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角42.5°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、66.6°であった(表4)。
【0206】
【0207】
例4a:
4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート(界面活性剤4)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、酢酸エチル(30mL)中に溶解した。次に、1,4-ブタンスルトン(0.62g、4.57mmol)を添加し、この混合物を加熱して12時間還流した。反応物を室温まで冷却し、溶媒を真空除去した。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.7Hz,2H),3.29-3.15(m,4H),2.97(s,6H),2.47(t,J=7.4Hz,2H),2.33(t,J=7.4Hz,2H),1.81-1.70(m,2H),1.66-1.55(m,6H),1.32-1.23(m,20H),0.86(t,J=6.9Hz,3H)。
【0208】
例4b:
界面活性剤4の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.1mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約38mN/m、すなわち38mN/m±3.8mN/mである。
図7は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、表面張力は、CMCでは約38mN/mであり、1mmol以上の濃度では、表面張力は37mN/m以下である。
【0209】
例4c:
界面活性剤4の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図8は、表面張力対時間のプロットを表し、化合物が、およそ1秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから、動的表面張力は、4000ms以上の表面経過時間で、40.5mN/m以下である。
【0210】
例4d:
界面活性剤4の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角46.5°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、62.7°であった(表5)。
【0211】
【0212】
例5a:
6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤5)の合成
6-アミノヘキサン酸(5.0g、38.11mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(6.41g、38.11mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(7.24g、38.11mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-アミノヘキサノエートを40%の収率で得た。
【0213】
ドデシル6-アミノヘキサノエート(100mg、0.363mmol)を、水(10mL)中に溶解した。次に、濃塩酸(13.23mg、0.363mmol)を添加した。
【0214】
例5b:
界面活性剤5の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.75mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約23mN/m、すなわち23mN/m±2.3mN/mである。
図9は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、表面張力は、CMCでは約23mN/mであり、0.7mmol以上の濃度では、表面張力は23.2mN/m以下である。
【0215】
例5c:
界面活性剤5の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図10は、表面張力対時間のプロットを示し、化合物が、およそ1.5秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから、動的表面張力は、3185ms以上の表面経過時間で、28.5mN/m以下である。
【0216】
例5d:
界面活性剤5の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、非常に低い接触角16.6°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、39.3°であった(表6)。
【0217】
【0218】
例6
破砕流体
本発明の組成物の1つは、水、水溶性ブロックコポリマー、並びに非イオン性界面活性剤、並びに一価及び/又は二価及び/又は三価のイオンを含有する無機塩、の混合物を含む。本発明の好ましい組成物は、水、水溶性ブロックコポリマーの混合物を含有する。上記で挙げた成分の組成物中の相対量は、様々であり得る。典型的には、組成物は、湿潤ベースで、0.05~20重量%の水溶性ブロックコポリマー、0.01~10重量%の非イオン性界面活性剤、並びに0.1~20重量%の一価及び/又は二価及び/又は三価のイオンを含有する無機塩を有する。水溶性の一価及び/又は二価電解質は、典型的には、水性組成物の重量に基づいて(湿潤ベースで)、約1重量パーセントから約15重量パーセント又は約1から10重量パーセントの量で用いられる。
【0219】
本発明のいくつかの組成物は、水、水溶性ブロックコポリマーの混合物を含む。本発明の好ましい組成物は、水、水溶性ブロックコポリマーポリマー、無機塩、及び非イオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤は本質的に含まない。
【0220】
上記で挙げた成分の組成物中の相対量は、様々であり得る。典型的には、組成物は、湿潤ベースで、0.05~20重量%の水溶性ブロックコポリマー、0.01~10重量%の非イオン性界面活性剤、並びに0.1~20重量%の一価及び/又は二価及び/又は三価のイオンを含有する無機塩を有する。水溶性の一価及び/又は二価電解質は、典型的には、水性組成物の重量に基づいて(湿潤ベースで)、約1重量パーセントから約15重量パーセント又は約1から10重量パーセントの量で用いられる。
【0221】
上記で挙げた成分の組成物中の相対量は、様々であり得る。しかし、本発明のいくつかの実施形態の全体組成物の水溶性ブロックコポリマー及び非イオン性界面活性剤に対する典型的な範囲を、湿潤ベースで表7に挙げる。
【0222】
【0223】
水溶性無機塩は、一価及び/又は二価及び/又は三価のイオンを含有する。典型的には、水性媒体の重量に基づいて、約0.01重量パーセント~約20重量パーセント、又は約1重量パーセント~約15重量パーセントの量の無機塩濃度が用いられ、例えば、約1~10重量パーセントの量である。
【0224】
例7:
破砕流体
本発明の製剤の限定されない例は、表8に挙げる組成を含む。
【0225】
【0226】
例9:
トウモロコシ油解乳化
トウモロコシ油解乳化に用いるための本発明の製剤の限定されない例は、表9に挙げる組成を含む。
【0227】
【0228】
例10:
石油改良回収のための流体
坑井からの石油及びガスの回収を改良するのに適する圧入流体の例示的な組成物は、以下の通りである:10(a)0.01~5重量%の本発明の1又は複数の界面活性剤、(b)水性圧入流体、(c)0~5重量%の1又は複数のアルカリ、15(d)0~1%の1又は複数の増粘剤、(e)0~50重量%の1又は複数の共溶媒、(f)0~50重量%の1又は複数の共界面活性剤、及び(g)0~5重量%の1又は複数の共界面活性剤。水性キャリアとしては、限定されるものではないが、水、製造された塩水、河川水、合成塩水、海水が挙げられる。
【0229】
例11:
蒸留残渣からトウモロコシ油を回収するための製剤
いくつかの例示的なトウモロコシ油抽出製剤を、表10にまとめて示す。各製剤は、トウモロコシ油解乳化に用いられ得る。
【0230】
ポリグリセロールエステルは、製品名Lumulse POE(26)GlycでLambent Technologiesから入手可能である。それは、重合グリセロールを含み、重合グリコール1モルあたり平均26モルのエトキシル化を有する。用いたアルキルポリグルコシドは、BASF Glucopon(登録商標)225 DKであり、これは、C8~C10アルキル基、及びアルキルポリグルコシドの1モルあたり平均1.7グルコース単位を含むアルキルポリグルコシドである。
【0231】
用いたPeg 400は、平均分子量400ダルトンのポリエチレングリコールである。用いたPeg 400 MOは、平均分子量400ダルトンのポリエチレングリコールモノオレエートである。用いたPeg 400 DOは、平均分子量400ダルトンのポリエチレングリコールジオレエートである。
【0232】
用いたPEG 400 Mono Soyateは、ポリエチレングリコール(平均分子量400ダルトン)及びダイズ油由来脂肪酸のエステルである。ダイズ油は、典型的には以下の脂肪酸:ミリスチン酸0.1%;パルミチン酸11.0%;パルミトレイン酸0.1%、ステアリン酸4.0%、オレイン酸23.4%、リノール酸53.2%、リノレン酸7.8%、アラキジン酸0.3%、及びベヘン酸0.1%を含むトリグリセリドである。
【0233】
疎水性シリカは、PP-35-FGKとして入手可能である。
【0234】
親水性シリカは、Sipernat 35として入手可能である。
【0235】
【0236】
態様
態様1は、炭化水素回収のための製剤であり、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0237】
【0238】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);
末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;及び水相、を含む。
【0239】
態様2は、スルホネート界面活性剤、サルフェート界面活性剤から成る群より選択される12~24炭素原子の疎水性鎖を有するアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び双性イオン性界面活性剤、から成る群より選択される少なくとも1つのさらなる界面活性剤をさらに含む、態様1に記載の製剤である。
【0240】
態様3は、水相が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化マグネシウムから成る群より選択される少なくとも1つの無機塩を含む、態様1又は態様2に記載の製剤である。
【0241】
態様4は、少なくとも1つのポリマーをさらに含む、態様1~3のいずれか1つに記載の製剤である。
【0242】
態様5は、少なくとも1つのポリマーが、四級ジアリルジアルキルアンモニウムモノマーを含むカチオン性ポリマーなどの四級アンモニウム化合物、並びに/又はアニオン性界面活性剤、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるアニオン性モノマーを含むアニオン性ポリマー、から成る群より選択され、上記アニオン性ポリマーの平均分子量は、約50,000~約10,000,000の範囲内である、態様4に記載の製剤である。
【0243】
態様6は、レシチン又は修飾レシチンをさらに含む、態様1~3のいずれか1つに記載の製剤である。
【0244】
態様7は、少なくとも1つの水不混和性溶媒をさらに含む、態様1~6のいずれか1つに記載の製剤である。
【0245】
態様8は、少なくとも1つの水混和性溶媒をさらに含む、態様1~7のいずれか1つに記載の製剤である。
【0246】
態様9は、空気、窒素、二酸化炭素、及び天然ガスから成る群より選択される少なくとも1つのガスをさらに含む、態様1~8のいずれか1つに記載の製剤である。
【0247】
態様10は、塩化水素、アンモニウム塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、又は水酸化アンモニウム、アルコール、架橋剤、破壊遅延剤、粒子、プロパント、ガス成分、破壊補助剤、酸素捕捉剤、アルコール、スケール防止剤、腐食防止剤、脱水添加剤、殺生物剤/殺菌剤、摩擦低減剤、及びラテックスから成る群より選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、態様1~9のいずれか1つに記載の製剤である。
【0248】
態様11は、界面活性剤が、以下の式:
【0249】
【0250】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、態様1~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0251】
態様12は、界面活性剤が、以下の式:
【0252】
【0253】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、態様1~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0254】
態様13は、界面活性剤が、以下の式:
【0255】
【0256】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様1~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0257】
態様14は、界面活性剤が、以下の式:
【0258】
【0259】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、態様1~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0260】
態様15は、界面活性剤が、以下の式:
【0261】
【0262】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様1~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0263】
態様16は、態様1~15のいずれか1つに記載の少なくとも1つの製剤を提供する工程;少なくとも1つの製剤を坑井中に圧入する工程;及び製剤を坑井中に圧入する工程の後、坑井から物質を回収する工程、を含む、炭化水素を回収する方法である。
【0264】
態様17は、態様1~15のいずれか1つに記載の少なくとも1つの製剤を提供する工程;製剤を、バイオ油を含む物質と混合する工程;及び混合物からバイオ油を回収する工程、を含む、炭化水素を回収する方法である。
【0265】
態様18は、バイオ油を含む物質が、蒸留残渣である、態様16に記載の方法である。
【0266】
態様19は、発泡流体組成物を油井又はガス井に導入して、発泡流体組成物を用いた作業を行う工程を含む炭化水素を回収する方法であり、発泡組成物は、油系又は水系流体を含むベース流体;ガス;並びに式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0267】
【0268】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);
末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0269】
態様20は、作業が、ガスリフト作業、掘削作業、仕上げ作業、刺激作業、破砕作業、圧入作業、石油増進回収作業、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、態様19に記載の方法である。
【0270】
態様21は、界面活性剤が、以下の式:
【0271】
【0272】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、態様19又は態様20に記載の製剤である。
【0273】
態様22は、界面活性剤が、以下の式:
【0274】
【0275】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、態様19又は態様20に記載の製剤である。
【0276】
態様23は、界面活性剤が、以下の式:
【0277】
【0278】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様19又は態様20に記載の製剤である。
【0279】
態様24は、界面活性剤が、以下の式:
【0280】
【0281】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、態様19又は態様20に記載の製剤である。
【0282】
態様25は、界面活性剤が、以下の式:
【0283】
【0284】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様19又は態様20に記載の製剤である。
【0285】
態様26は、界面活性剤が、以下の式:
【0286】
【0287】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【0288】
【0289】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【0290】
【0291】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【0292】
【0293】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【0294】
【0295】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド、のうちの少なくとも1つを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0296】
態様27は、界面活性剤が、以下の式:
【0297】
【0298】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【0299】
【0300】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【0301】
【0302】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【0303】
【0304】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【0305】
【0306】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド、のうちの少なくとも1つを含む、態様19又は態様20に記載の製剤である。
【国際調査報告】