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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】ネオアンチゲンの同定方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6876 20180101AFI20230419BHJP
   C12Q 1/6809 20180101ALI20230419BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230419BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230419BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230419BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20230419BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230419BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20230419BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20230419BHJP
【FI】
C12Q1/6876 Z
C12Q1/6809 Z ZNA
C12N5/0783
A61P37/04
A61K39/00 H
A61K39/39
A61P35/00
C12Q1/686 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554940
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 GB2021050456
(87)【国際公開番号】W WO2021181064
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】2003669.5
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507226592
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノヴェーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アーメッド、アーメッド アショール
(72)【発明者】
【氏名】チェドム-フォッツォ、ドナティエン
(72)【発明者】
【氏名】ヤウ、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】プロータ、ジェンナロ
(72)【発明者】
【氏名】セルンドロ、ヴィンチェンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ギレアディ、ウージ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C085
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA07
4B063QA18
4B063QA20
4B063QQ03
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AC14
4B065CA45
4C085AA03
4C085BB11
4C085FF24
(57)【要約】
本発明は、腫瘍を有する哺乳動物の対象において腫瘍に結合することができるT細胞を同定および/または単離するためのプロセスに関する。このようなT細胞は、がん免疫療法において有用である。本発明はまた、腫瘍を有する哺乳動物の対象におけるがん免疫療法に用いるペプチドネオアンチゲンを同定する方法にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を有する哺乳動物の対象において前記腫瘍由来のがん細胞を認識することができるT細胞を同定および/または単離するためのプロセスであって、
(a)前記対象の腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内のポリペプチドコード遺伝子における非同義変異を同定する工程であって、前記変異が前記対象の非腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内の対応する遺伝子に存在しないものであり、前記ポリペプチドがミトコンドリアポリペプチドである、工程と、
(b)前記非同義変異を有する遺伝子によってコードされる前記ポリペプチドの複数の断片を同定する工程であって、各断片が変異アミノ酸の部位にまたがるアミノ酸配列を有し、各断片が哺乳動物MHC1分子によって提示可能である、工程と、
(c)前記対象由来の細胞の集団を、前記複数の断片のうちの1つ以上と接触させる工程であって、前記細胞の集団がT細胞を含む、工程と、
(d)前記細胞の集団の中から、前記複数の断片のうちの1つ以上を認識するT細胞を同定および/または単離する工程と、を含み、
前記工程(d)において同定および/または単離されるT細胞が、前記対象における腫瘍由来のがん細胞を認識することができるT細胞である、プロセス。
【請求項2】
前記哺乳動物の対象が、ヒトである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
(i)前記腫瘍が、類内膜、結腸、黒色腫、胃もしくは直腸の腫瘍であるか、または、
(ii)前記腫瘍が卵巣腫瘍であり、前記がん細胞が卵巣がん微小残存病変(MRD)細胞である、請求項1または請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記変異が単一ヌクレオチド置換である、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記非腫瘍組織が、血液、または前記腫瘍組織に隣接する正常な組織である、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記工程(a)が、1つ以上の非同義変異を同定するために、前記対象の腫瘍組織および非腫瘍組織の試料のヌクレオチド配列データを比較することによって実施される、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記工程(a)が、前記非同義変異を有するポリペプチドコード遺伝子由来のmRNA転写物の、前記腫瘍組織における発現レベルを測定する工程をさらに含む、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記工程(a)が、前記対象の腫瘍組織由来の試料における、前記非同義変異を有するがん細胞の割合を計算する工程をさらに含む、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記工程(b)において、前記断片のそれぞれの長さがアミノ酸7~11個である、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記工程(c)において、前記T細胞がCD8+細胞である、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記工程(d)が、(d)前記細胞の集団の中から、MHC1と断片との複合体に結合することができるT細胞を同定および/または単離することであって、前記断片が前記T細胞の増殖を刺激することができるものである、ことを含む、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記工程(d)において、刺激されたT細胞をMHC四量体アッセイによって同定する、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記工程(d)において、刺激されたT細胞をFACSによって単離する、先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
先行する請求項のうちのいずれか一項に記載のプロセスによって取得されたかまたは取得可能であるT細胞。
【請求項15】
腫瘍を有する哺乳動物の対象におけるがん免疫療法に用いるペプチドネオアンチゲンを同定する方法であって、
(a)前記対象の腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内のポリペプチドコード遺伝子における非同義変異を同定する工程であって、前記変異が前記対象の非腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内の対応する遺伝子に存在しないものであり、前記ポリペプチドがミトコンドリアポリペプチドである、工程と、
(b)前記非同義変異を有する遺伝子によってコードされる前記ポリペプチドの複数の断片を同定する工程であって、各断片が変異アミノ酸の部位にまたがるアミノ酸配列を有し、各断片が哺乳動物MHC1分子によって提示可能である、工程と、
(c)前記対象由来の細胞の集団を、前記複数の断片のうちの1つ以上と接触させる工程であって、前記細胞の集団がT細胞を含む、工程と、
(d)前記細胞の集団の中のT細胞を刺激することができる断片を同定する工程と、を含み、
前記工程(d)において同定される断片が、前記腫瘍を有する哺乳動物の対象におけるがん免疫療法に用いるのに適したペプチドである、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって同定された(ペプチド)断片を含み、任意に1つ以上の製薬上許容可能なアジュバント、担体、または希釈剤を共に含んでいてもよい、ワクチン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍を有する哺乳動物の対象において腫瘍に結合することができるT細胞を同定および/または単離するためのプロセスに関する。このようなT細胞は、がん免疫療法において有用である。本発明はまた、腫瘍を有する哺乳動物の対象におけるがん免疫療法に用いるペプチドネオアンチゲンを同定する方法にも関する。
ヒトがんに対するT細胞応答は、腫瘍成長の制御に寄与し、CTLA-4およびPD-1/PD-L1軸の標的化は、抗腫瘍免疫応答の増強に非常に有効であって、特に、高い遺伝子変異数(高TMB)を示す腫瘍患者において[1,2]、臨床的な客観的奏功が得られている[1,2]。これらの結果は、多くの低TMBがん患者(すなわち、がん患者のうちの最大の割合を占めるがん患者)のアンメットクリニカルニーズを明らかに示しており、最適なネオエピトープを同定してワクチン接種戦略に用いることができれば、このような患者であっても、免疫チェックポイント阻害治療の恩恵をより大きく受けることができるであろう。
【0002】
この目的のためには、最も免疫原性の高いがん関連ネオエピトープを同定するための新しい戦略を開発する必要がある。現在ネオアンチゲン予測に採用されているパイプラインは、バリデーション率が低いという結果になっており、現在のペプチド免疫原性の決定因子がまだ最適ではないことを示唆している[3~5]。したがって、このようなアルゴリズムを改善するためには、がんミュータノームの提示に関する生物学の理解を深めることが必要である。
【0003】
現在、がん細胞における変異の免疫原性のランク付けの際にはいくつかのパラメータが考慮されている[6~8]。しかし、腫瘍抗原の細胞内局在が抗腫瘍特異的免疫応答のプライミング効率を調節し得るかどうか、また、このパラメータをがん細胞における変異ペプチドの免疫原性をランク付けするアルゴリズムにおいて考慮すべきかどうかは、不明のままである。このことは、重大な知識の欠如を意味している。それは、免疫チェックポイント阻害剤に対する反応性に関する現在の予後スコアが、主に変異数に基づいており、このような変異タンパク質抗原の細胞内局在がそれらの免疫応答開始能力に影響するかどうかは考慮されていないためである。
【0004】
腫瘍細胞は、おそらく、共刺激が少ない結果として、腫瘍特異的免疫応答を直接プライミングすることができず、その代わりに、樹状細胞(DC)が、「クロスプライミング」と呼ばれるプロセスにおいて、抗原提示細胞(腫瘍破片を取り込むことができる)およびIL-12産生細胞の両方として同時に機能する[9,10]。腫瘍特異的T細胞応答のクロスプライミングにおけるDCの役割と一致して、最近の結果によれば、腫瘍細胞から抗原提示細胞への細胞成分の移動が実証されており[9,11]、特に、ミトコンドリアが細胞質体を介して腫瘍からDCに移動し得ることが示されている[11]。
【0005】
本発明者らは、このことによって、がん細胞のミトコンドリア局在タンパク質に含まれる変異がインビボで特定の強いT細胞応答を誘発する可能性が高くなるということを認識した。
【0006】
ミトコンドリアDNAは13のタンパク質のみをコードし、それらは呼吸鎖複合体のサブユニットとして機能する[13]。しかしながら、ミトコンドリアには、核DNAによってコードされ、特定のシグナル伝達モチーフの発現を介してミトコンドリアに標的化される1,200を超えるタンパク質が含まれている[14]。ミトコンドリア遺伝子によってコードされたタンパク質の変異が、CD8+T細胞応答の生成を引き起こし得ることが知られている[15,16]。
【0007】
これまでの研究で、タンパク質抗原の細胞内局在がT細胞エピトープの直接提示に及ぼす影響が述べられている[17~20]。さらに、ヤマザキ(Yamazaki)と同僚達は、以前に、抗原タンパク質LIVAT-BPが細胞質内にあるかミトコンドリア内にあるかに応じて、LIVAT-BPの異なる部分がCD8+T細胞認識のための抗原エピトープとして選択されることを実証した[20]。これらの結果は興味深いものであるが、この論文は、抗原の位置が、i)T細胞応答のインビボ・クロスプライミング、ii)抗原タンパク質のプロテアソーム依存性分解、およびiii)腫瘍成長、を調節するかどうかを区別するまでには至らなかった。
【0008】
今では、がん関連組織特異的ネオアンチゲン、特にミトコンドリア特異的ネオアンチゲンに特異的なT細胞集団を作製するためのプロセスが開発されている。このプロセスは、がん患者のミトコンドリア局在ネオアンチゲンに特異的なCD8+T細胞応答の存在を実証することによって、ヒト検体で臨床的にバリデーション済みである。このようなT細胞は、がん免疫療法において特に有用である。
【0009】
一実施形態において、本発明は、腫瘍を有する哺乳動物の対象において当該腫瘍由来のがん細胞を認識することができるT細胞を同定および/または単離するためのプロセスであって、
(a)上記対象の腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内のポリペプチドコード遺伝子における非同義変異を同定する工程であって、上記変異が上記対象の非腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内の対応する遺伝子に存在しないものであり、上記ポリペプチドがミトコンドリアポリペプチドである、工程と、
(b)上記非同義変異を有する遺伝子によってコードされる上記ポリペプチドの複数の断片を同定する工程であって、各断片が変異アミノ酸の部位にまたがるアミノ酸配列を有し、各断片が哺乳動物MHC1分子によって提示可能である、工程と、
(c)上記対象由来の細胞の集団を、上記複数の断片のうちの1つ以上と接触させる工程であって、上記細胞の集団がT細胞を含む、工程と、
(d)上記細胞の集団の中から、上記複数の断片のうちの1つ以上を認識するT細胞を同定および/または単離する工程と、を含み、
上記工程(d)において同定および/または単離されるT細胞が、上記対象の腫瘍由来のがん細胞を認識することができるT細胞である、プロセスを提供する。
【0010】
好ましくは、上記T細胞は、腫瘍由来のがん細胞を特異的に認識することができるものである。好ましくは、上記T細胞は、腫瘍由来のがん細胞を認識して死滅させることができるものである。好ましくは、上記がん細胞は、ネオアンチゲンを発現するものである。
【0011】
工程(a)は、上記対象から腫瘍組織の試料および/または上記対象から非腫瘍組織の試料を採取することを含んでもよい。好ましくは、工程(a)は、上記対象の腫瘍組織および非腫瘍組織の試料のヌクレオチド配列データを比較することによって実施される。工程(a)は、上記非同義変異を有するポリペプチドコード遺伝子由来のmRNA転写物の、上記腫瘍組織における発現レベルを測定する工程をさらに含んでもよい。
【0012】
好ましくは、工程(d)は、(d)上記細胞の集団の中から、MHC1と断片との複合体に結合することができるT細胞を同定および/または単離することによって行われ、上記断片は上記T細胞の増殖を刺激することができるものである。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、腫瘍を有する哺乳動物の対象におけるがん免疫療法に用いるペプチドネオアンチゲンを同定する方法であって、
(a)上記対象の腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内のポリペプチドコード遺伝子における非同義変異を同定する工程であって、上記変異が上記対象の非腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内の対応する遺伝子に存在しないものであり、上記ポリペプチドがミトコンドリアポリペプチドである、工程と、
(b)上記非同義変異を有する遺伝子によってコードされる上記ポリペプチドの複数の断片を同定する工程であって、各断片が変異アミノ酸の部位にまたがるアミノ酸配列を有し、各断片が哺乳動物MHC1分子によって提示可能である、工程と、
(c)上記対象由来の細胞の集団を、上記複数の断片のうちの1つ以上と接触させる工程であって、上記細胞の集団がT細胞を含む、工程と、
(d)上記細胞の集団の中のT細胞を刺激することができる断片を同定する工程と、を含み、
上記工程(d)において同定される断片が、上記腫瘍を有する哺乳動物の対象におけるがん免疫療法に用いるのに適したペプチドである、方法を提供する。
【0014】
好ましくは、上記断片は、(例えば、四量体アッセイで)MHC1と断片との複合体において提示された場合に、刺激されたT細胞に特異的に結合することができるものである。
【0015】
本発明のプロセスは、インビトロまたはエキソビボで実施される。
【0016】
上記対象は、哺乳動物である。哺乳動物としては、ヒトであってもよく、ヒト以外であってもよい。例えば、上記対象は、農場哺乳動物(例えば、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ、またはヤギ)であってもよく、コンパニオン哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、またはウサギ)であってもよく、実験室試験用哺乳動物(例えば、マウス、ラット、またはサル)であってもよい。好ましくは、上記対象は、ヒトである。ヒトは、例えば、0~10歳、10~20歳、20~30歳、30~40歳、40~50歳、50~60歳、60~70歳、70~80歳、80~90歳、90~100歳、または100歳よりも高齢であり得る。ヒトは、特定の疾患または障害を患っている者であってもよく、そのリスクがある者であってもよい。
【0017】
上記対象は、1種以上の腫瘍を有するものである。上記腫瘍は、良性腫瘍であってもよく、前悪性腫瘍であってもよく、悪性腫瘍であってもよい。上記腫瘍は、原発性腫瘍であってもよく、二次性腫瘍であってもよい。上記腫瘍は、固形腫瘍であることが好ましい。上記腫瘍は、がん細胞を含む。いくつかの実施形態では、上記腫瘍は、その大きさまたは発がん性(例えば、浸潤性)が以前に低減されたものである。例えば、上記腫瘍は、以前に少なくとも部分的に切除(除去)されたものであってもよい。あるいは、またはさらに、上記腫瘍は、以前に別の抗腫瘍治療、例えば、化学療法、免疫療法、放射線療法、またはそれらの組み合わせで治療されたものであってもよい。
【0018】
がんは、腫瘍細胞が似ているために腫瘍の起源であると推定される細胞の種類によって分類される。
このような種類には以下のものが含まれる。
癌腫:上皮細胞に由来するがん。このグループには最も一般的ながんの多くが含まれ、乳房、前立腺、肺、膵臓、および結腸のほぼすべてのがんが含まれる。
肉腫:結合組織(すなわち、骨、軟骨、脂肪、神経)から生じるがんであり、それぞれ、骨髄外の間葉系細胞に由来する細胞から発生する。
胚細胞腫瘍:多能性細胞に由来するがんであり、ほとんどの場合、精巣や卵巣に発生する(それぞれ、精上皮腫および未分化胚細胞腫)。
芽腫:未熟な「前駆」細胞または胚組織に由来するがん。
脳および神経系のがんとしては、星細胞腫、脳幹部神経膠腫、毛様細胞性星細胞腫、上衣腫、原始神経外胚葉性腫瘍、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、神経芽腫、乏突起膠腫、松果体星細胞腫、下垂体腺腫、ならびに視覚路および視床下部神経膠腫が挙げられる。
乳房のがんとしては、乳がん、浸潤性小葉がん、管状がん、浸潤性篩状がん、髄様がん、男性乳がん、葉状腫瘍、および炎症性乳がんが挙げられる。
内分泌系のがんとしては、副腎皮質がん、膵島細胞腺腫(膵内分泌部)、多発性内分泌腫瘍症候群、副甲状腺がん、褐色細胞腫、甲状腺がん、およびメルケル細胞がんが挙げられる。
眼のがんとしては、ブドウ膜黒色腫および網膜芽細胞腫が挙げられる。
消化器のがんとしては、肛門がん、虫垂がん、胆管がん、カルチノイド腫瘍(消化管)、結腸がん、大腸がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、肝細胞がん、膵がん(膵島細胞がん)、および直腸がんが挙げられる。
泌尿生殖器および婦人科のがんとしては、膀胱がん、子宮頚がん、子宮内膜がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣がん、卵巣上皮がん(表面上皮間質腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣がん微小残存病変(MRD)、陰茎がん、腎細胞がん、腎盂・尿管移行細胞がん、前立腺がん、精巣がん、妊娠性絨毛性腫瘍、尿管・腎盂移行細胞がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、およびウィルムス腫瘍が挙げられる。
頭頸部のがんとしては、食道がん、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)、上咽頭がん、口腔がん、中咽頭がん、副鼻腔・鼻腔がん、咽頭がん、唾液腺がん、および下咽頭がんが挙げられる。
皮膚のがんとしては、基底細胞がん、黒色腫、および皮膚がん(非黒色腫)が挙げられる。
胸部および呼吸器のがんとしては、気管支腺腫/気管支カルチノイド、小細胞肺がん、中皮腫、非小細胞肺がん、胸膜肺芽腫、喉頭がん、胸腺腫、および胸腺がんが挙げられる。
HIV/AIDS関連がんとしては、AIDS関連がんおよびカポジ肉腫が挙げられる。
【0019】
特に好ましい一実施形態では、上記腫瘍は、類内膜、結腸、黒色腫、胃または直腸の腫瘍であり、最も好ましくは、類内膜腫瘍である。
【0020】
別の特に好ましい一実施形態では、上記腫瘍は卵巣腫瘍であり、上記がん細胞は卵巣がん微小残存病変(MRD)細胞である。
【0021】
工程(a)は、(a)上記対象の腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内のポリペプチドコード遺伝子における非同義変異を同定することを含み、上記変異は上記対象の非腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内の対応する遺伝子に存在しないものであり、上記ポリペプチドはミトコンドリアポリペプチドである。
この工程では、可能性のあるネオアンチゲンが同定される。(ネオアンチゲンとは、正常な(野生型の)ヒトゲノムには存在しない抗原である。)
【0022】
非同義変異とは、ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させるヌクレオチド変異のことである。この場合、上記非同義変異は、上記遺伝子によってコードされるミトコンドリアポリペプチドのアミノ酸配列を変化させる変異である。したがって、ミトコンドリアポリペプチドは、変異アミノ酸配列を有することになる。
【0023】
変異の程度に応じて、1つ以上のアミノ酸が影響を受け得る。上記変異は、挿入、欠失、または置換であり得る。好ましくは、上記変異は単一ヌクレオチド置換である。
【0024】
工程(a)は、上記対象から腫瘍組織の試料および/または上記対象から非腫瘍組織の試料を採取することを含んでもよい。好ましくは、本工程は、上記対象から腫瘍組織の試料および/または上記対象から非腫瘍組織の試料を採取する工程を含まない。この後者の場合、同定は、上記対象からあらかじめ採取された試料に基づいて行われる。
【0025】
上記変異は、上記対象の非腫瘍組織には存在しないものである。好ましくは、上記非腫瘍組織は、生殖系列組織である。好ましくは、上記非腫瘍組織は、血液、または上記腫瘍組織に隣接する正常(非腫瘍)組織である。
【0026】
この時点で、上記腫瘍組織の試料が、その後の解析を可能にするのに十分な割合のがん細胞を有していることが検証されてもよい。
【0027】
好ましくは、工程(a)は、上記対象の腫瘍組織および非腫瘍組織の試料のヌクレオチド配列データを比較することによって実施される。ヌクレオチド配列データは、上記腫瘍組織および非腫瘍組織から抽出されたRNAまたはDNAから取得され得る。好ましくは、1つ以上の非同義変異を同定するために、上記対象の腫瘍組織および非腫瘍組織の細胞由来のDNAを配列決定し、比較する。DNA配列決定は、任意の適切な方法、例えばイルミナ(Illumina)シーケンシングを用いて行うことができる。
【0028】
上記ポリペプチドはミトコンドリアポリペプチドである。すなわち、上記ポリペプチドは、細胞内でミトコンドリア内に位置している。上述のように、ミトコンドリアゲノムは13のポリペプチドのみをコードするが、ミトコンドリアには、核ゲノムによってコードされ、特定のシグナル伝達モチーフの発現を介してミトコンドリアに標的化される1,200を超えるポリペプチドが含まれている。本明細書中、「ミトコンドリアポリペプチド」という用語は、ミトコンドリアゲノムによってコードされるポリペプチドと、核ゲノムによってコードされ、その後ミトコンドリアに標的化されるポリペプチドとの両方を包含する。
【0029】
工程(a)は、上記非同義変異を有するポリペプチドコード遺伝子由来のmRNA転写物の、上記腫瘍組織における発現レベルを測定する工程をさらに含んでもよい。このようにして、1つ以上の変異を有すると同定されたポリペプチドが上記腫瘍組織においてかなりの程度まで実際に発現していることを検証することができる。RNAは、任意の適切な方法を用いて、例えばQiagen RNeasy Mini Kitを用いて、上記組織から抽出することができる。品質は、Agilent TapeStationで評価することができる。
【0030】
工程(a)は、上記対象の腫瘍組織由来の試料中の、非同義変異を有するがん細胞の割合を計算する工程も含んでもよい。
【0031】
好ましくは、上記腫瘍におけるがん細胞の大部分(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%、好ましくは少なくとも70%)に存在する変異、すなわち、出現率が高い変異が選択される。これは出現率推定として知られている。好ましくは、出現率推定は、OncoPhase技術を用いて実施される(Chedom-Fotsoら、"OncoPhase: Quantification of somatic mutation cellular prevalence using phase information", bioχRiv doi: https://doi.org/10.1101/046631)。
【0032】
工程(b)は、(b)上記非同義変異を有する遺伝子によってコードされる上記ポリペプチドの複数の断片を同定することを含み、各断片は変異アミノ酸の部位にまたがるアミノ酸配列を有し、各断片は哺乳動物MHC1分子によって提示可能である。
【0033】
ポリペプチドコード遺伝子における非同義変異を同定した後、上記ポリペプチドにおける変異の部位にまたがる異なるアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のテストペプチドを同定する。これらのペプチドは、上記ポリペプチドの断片であるとみなすことができ、各断片は変異アミノ酸を含む。
【0034】
好ましくは、上記断片のそれぞれの長さは、アミノ酸7~11個、より好ましくはアミノ酸8~10個である。好ましくは、上記複数の断片は、1~45個の断片であり、より好ましくは5~30個の断片である。
【0035】
作製される断片は、MHC1分子によって提示可能なものである。MHCクラス1分子は、哺乳動物の体内のすべての有核細胞の細胞表面に見られる主要組織適合性複合体(MHC)分子である。それらの機能は、細胞内部からタンパク質のペプチド断片を細胞障害性T細胞に示すことであり、これにより、MHCクラスIタンパク質の助けを借りて示される特定の非自己抗原に対する免疫系からの即時応答がトリガーされる。
【0036】
ヒトの主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質は、ヒト白血球抗原(HLA)系またはヒト白血球抗原(HLA)複合体によってコードされる。ヒトにおいて、MHCクラス1に対応するHLAは、HLA-A、HLA-B、およびHLA-Cである。テストペプチドがMHC1分子に結合してMHC1分子によって提示可能であるかどうかを決定するための方法は、当該技術分野においてよく知られている(例えば、Stronen, E. et al., "Targeting of cancer neoantigens with donor-derived T cell receptor repertoires." Science, 2016. 352(6291): pp. 1337-41)。MHCクラス1分子は、主にアミノ酸8~10個分の長さのペプチドに結合するが、より長いペプチドの結合も報告されている。MHCクラス1分子は、上記対象と同種由来でなければならず、例えば、MHC1も対象もヒトである。
【0037】
工程(c)は、(c)上記対象由来の細胞の集団を、上記複数の断片のうちの1つ以上と接触させることを含み、上記細胞の集団はT細胞を含む。
【0038】
この工程では、工程(b)において同定された断片のうちの1つ以上を、上記対象由来のT細胞と接触させる。
【0039】
T細胞を含む、上記対象由来の細胞の集団は、好ましくは、血液試料、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)の集団から採取される。PBMCは、全血から、血液を上層の血漿とPBMCの層と下層部分の多形核細胞(好中球や好酸球など)および赤血球とに分離するフィコールおよび勾配遠心分離を用いて抽出することができる。
【0040】
好ましくは、上記T細胞はCD8+細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞を含む上記細胞の集団は、実質的にT細胞からなり、好ましくは、実質的にCD8+T細胞からなる。
【0041】
上記複数の断片のそれぞれを個別にT細胞の集団と接触させてもよく(すなわち、異なる断片のそれぞれをT細胞を含む集団と接触させる)、上記複数の断片をまずはプールしてもよい(その後、T細胞を含む集団と接触させてもよい)。例えば、1~30個の断片のプール、好ましくは15~25個の断片のプールを、T細胞を含む細胞の集団と接触させることができる。
【0042】
工程(d)は、d)上記細胞の集団の中から、上記複数の断片のうちの1つ以上を認識するT細胞を同定および/または単離することを含む。
【0043】
T細胞を含む、上記対象由来の細胞の集団の中には、
(i)上記複数の断片のうちのいずれをも認識しないいくつかのT細胞と、
(ii)上記複数の断片のうちの1つ以上を初めて認識するいくつかのT細胞と、
(iii)上記複数の断片のうちの1つを含む抗原に以前に曝されたことがあるいくつかのT細胞と、が存在し得る。
【0044】
カテゴリー(ii)および特にカテゴリー(iii)に該当する細胞は、刺激されて分裂しクローン増殖する。すなわち、上記複数の断片のうちの1つ以上を認識するT細胞が、それらの断片によって刺激される。刺激されたT細胞は、任意の適切な方法、例えばMHC四量体アッセイによって同定することができる。
【0045】
好ましくは、工程(d)は、(d)上記細胞の集団の中から、MHC1と断片との複合体に結合することができるT細胞を同定および/または単離することによって行われ、上記断片はT細胞の増殖を刺激することができるものである。
【0046】
例えば、刺激されたT細胞を同定するのに四量体アッセイ(四量体染色としても知られる、参考文献4)を用いることができる。このようなアッセイでは、T細胞を刺激するのに用いられた個々の断片を提示するMHC四量体を、刺激されたT細胞を含む細胞集団と接触させ、当該MHC:断片四量体が結合するT細胞を、例えばFACSアッセイによって、選別して単離する。
【0047】
工程(d)において同定および/または単離されるT細胞は、上記対象の腫瘍中のがん細胞に結合することができるT細胞である。工程(d)において同定および/または単離されるT細胞は、上記対象の腫瘍由来のがん細胞を認識することができるT細胞である。好ましくは、上記T細胞は、上記腫瘍由来のがん細胞を特異的に認識することができるものである。好ましくは、上記T細胞は、上記腫瘍由来のがん細胞を認識して死滅させることができるものである。好ましくは、上記がん細胞は、ネオアンチゲンを発現するものである。
【0048】
上記刺激されたT細胞の、細胞、MHC:断片提示細胞を死滅させる能力は、例えば本明細書の実施例に記載するように、上記対象のPBMCから生成された自己由来エプスタイン・バーウイルス形質転換リンパ芽球細胞株(EBV-LCL)を用いて評価することができる。
【0049】
さらに別の実施形態では、本発明は、本発明のプロセスによって取得されたかまたは取得可能なT細胞を提供する。
【0050】
上記T細胞の増殖を刺激することができる1つまたは複数の断片を同定し得る。このような断片は、腫瘍におけるネオアンチゲンを模倣するものとみなすことができる。このような断片は、腫瘍に対するワクチンや、がん免疫療法に用いることができる。
【0051】
したがって、さらに別の実施形態では、本発明は、腫瘍を有する哺乳動物の対象におけるがん免疫療法に用いるペプチドネオアンチゲンを同定する方法であって、
(a)上記対象の腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内のポリペプチドコード遺伝子における非同義変異を同定する工程であって、上記変異が上記対象の非腫瘍組織の細胞の核ゲノム内またはミトコンドリアゲノム内の対応する遺伝子に存在しないものであり、上記ポリペプチドがミトコンドリアポリペプチドである、工程と、
(b)上記非同義変異を有する遺伝子によってコードされる上記ポリペプチドの複数の断片を同定する工程であって、各断片が変異アミノ酸の部位にまたがるアミノ酸配列を有し、各断片が哺乳動物MHC1分子によって提示可能である、工程と、
(c)上記対象由来の細胞の集団を、上記複数の断片のうちの1つ以上と接触させる工程であって、上記細胞の集団がT細胞を含む、工程と、
(d)上記細胞の集団の中のT細胞を刺激することができる断片を同定する工程と、を含み、
上記工程(d)において同定される断片が、上記腫瘍を有する哺乳動物の対象におけるがん免疫療法に用いるのに適したペプチドである、方法を提供する。
【0052】
好ましくは、上記断片は、(例えば四量体アッセイにおいて)MHC1と断片との複合体において提示された場合に、刺激されたT細胞に特異的に結合することができるものである。
【0053】
さらなる実施形態では、本発明は、本発明の方法によって同定された(ペプチド)断片を含み、任意に1つ以上の製薬上許容可能なアジュバント、担体、または希釈剤を共に含んでもよい、ワクチン組成物を提供する。
【0054】
細胞培養方法およびその他の組換え分子生物学的技術は、当該技術分野においてよく知られている(例えば、"Molecular Cloning: A Laboratory Manual"(第4版)、Green, MRおよびSambrook, J.(2014年改訂))。
【0055】
本明細書中に記載する各参考文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1A図1:がん患者におけるミトコンドリアタンパク質に特異的なCD8+T細胞クローンの同定。 (A)散布図は、がんゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas)(TCGA、バージョン02-04-2018)から入手した31種類のがん種にわたる9,508検体由来のgDNAによって発現されるミトコンドリアタンパク質における非同義体細胞変異の分散頻度を示す。ミトコンドリア局在タンパク質における非同義体細胞変異の総数は93,679個である。x軸は、患者1人当たりのそのような変異の数を表す。平均頻度が最も高い上位5つのがん種は、高いものから順に、類内膜(endometrioid)、結腸(colon)、黒色腫(melanoma)、胃(stomach)、および直腸(rectal)である。体細胞変異は、hg38アセンブリでのMuTect2[49]の出力である。
図1B(i)-D(i)】(B)腫瘍DNAと正常なDNAとから得られた配列を比較することによって、腫瘍特異的な非同義単一ヌクレオチド変異(SNV)を同定した。演算パイプラインを用いて、変異体ペプチド領域が患者のHLAアレルに結合するかどうかを調べた。次に、エピトープを、ミトコンドリアに局在するタンパク質に由来するのか、サイトゾルに局在するタンパク質に由来するのかに基づいて、既存のデータベースを利用して分類し、タンパク質のグループごとに60個のペプチドを合成した。UV媒介リガンド交換技術[50]を用いて、ペプチド-HLA-A2複合体を生成した。再刺激後、ミトコンドリア局在タンパク質(左図、(i))および非ミトコンドリア局在タンパク質(右図、(ii))に特異的なクローンを同定した。同定されたCD8+T細胞クローンの、ペプチドをパルスした自己由来EBV不死化B細胞株を死滅させる能力(C)およびIFNγを産生する能力(D)を調べた。
図1B(ii)-D(ii)】非ミトコンドリア局在タンパク質(右図、(ii))
【実施例
【0057】
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。以下の実施例では、特に明記しない限り、「部」および「パーセント」は重量基準であり、「度」は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものではあるが、例示のためにのみ提示されていることが理解されるべきである。上記の説明およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的特徴を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明をさまざまな使用法および条件に適合させるために、本発明をさまざまに変更および変形することが可能である。そのため、当業者には、本明細書中に図示し説明したものに加えて、本発明のさまざまな変形例が、前述の説明から明らかであろう。このような変形例もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されている。
【0058】
実施例1:子宮内膜がん患者における非同義体細胞変異
変異したミトコンドリア局在タンパク質に特異的なCD8+T細胞の存在を、ヒトがんにおいて調べた。がんゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas)(TCGA、バージョン02-04-2018)から入手した31種類のがん種にわたる9,508検体由来のゲノムDNAによって発現されるミトコンドリアタンパク質における非同義体細胞変異の頻度を調べた。異なる腫瘍型にわたってミトコンドリア局在タンパク質の変異の存在を観察し、類内膜がん(Endometrioid Cancer)に存在する平均頻度が最も高いことが分かった(図1A)。したがって、子宮内膜がん患者に研究の焦点を当て、プルーフリーディングDNAポリメラーゼイプシロン(POLE)の機能喪失による超変異表現型を呈する患者1名における免疫応答を研究した[38]。
【0059】
実施例2:ネオアンチゲン予測、およびスクリーニングのためのペプチドの選択
腫瘍DNAと生殖細胞系DNAとから得られた配列を比較することによって、腫瘍特異的非同義単一ヌクレオチド変異(SNV)を同定した。
【0060】
研究倫理承認番号11-SC-0014の下で、婦人科腫瘍学標的療法研究01(Gynaecological Oncology Targeted Therapy Study 01)(GO-Target-01)に採用された1名の患者から、子宮内膜腫瘍組織と血液を採取した。患者はインフォームドコンセントに同意した。血液と腫瘍組織に対して、以前に述べられているように[S1]、全ゲノム配列決定を行った(BGI Tech Solutions Ltd社、香港、中国)。
可能性のあるネオエピトープの発現を確認するために、RNA配列決定を行った。Qiagen RNeasy Mini Kitを用いてRNAを抽出し、その品質をAgilent TapeStationで評価してから、シーケンシングライブラリーを調製した。NEBNext Ultra ディレクショナルRNAライブラリー調製キット、Illumina用(NEBNext Ultra Directional RNA Library Prep Kit for Illumina)(E7420)を、NEBNext ポリ(A)mRNAマグネティック単離モジュール(NEBNext Poly(A) mRNA Magnetic Isolation Module)(E7490)およびNEBNext Q5 ホットスタート HiFi PCRマスターミックス(NEBNext Q5 Hot Start HiFi PCR Master Mix)(M0543)と併用して、RNA400ngずつから2つのテクニカルレプリケートを調製した。
【0061】
上記ライブラリーを、14サイクルの増幅によってインデックス付加して濃縮し、Agilent TapeStationを用いて評価した後、Qubitによって定量した。多重化されたライブラリープールを、KAPAライブラリー定量キット(KAPA Library Quantification Kit)(KK4835)で定量し、Illumina社のNextSeq500プラットフォームで80bpのPEリードを用いて配列決定した。
【0062】
予測された変異体ペプチド領域が患者のHLAアレルHLAA*02:01に結合するかどうかを調べるために、演算パイプラインを用いた。以前に示されているように[S2]、腫瘍特異的非同義変異を予測し、ランク付けした。
次に、優先順位を付けたエピトープを、ミトコンドリア局在かまたは非ミトコンドリア局在かに基づいて分類し、位置グループごとに60個のペプチドを合成した。ペプチドは、Pepscan Presto BV社(オランダ)によって合成された。
【0063】
実施例3:抗原特異的T細胞の増殖
患者のPBMCを、各ペプチドの存在下で刺激し増殖させた。
120個のペプチドを、ペプチド20個ずつの6つのグループにプールした。CD8T細胞のインビトロ刺激を、以前に述べられているように[S3]行った。簡単に説明すると、25ng/mLのヒトIL-7(Peprotech社)を添加したRH10(10%熱不活性化ヒト血清(Sigma社)、2mM L-グルタミン、10mM HEPES、1mM ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸(1×)、ペニシリン(25,000U)、ストレプトマイシン(25mg)、50μM β-メルカプトエタノール(Gibco社)を含有するRPMI)中で、患者由来の5~8×106個の末梢血単核細胞細胞(PBMC)を、最終濃度20μg/mL(各ペプチド2μg/mL)の各ペプチドプールで3日間刺激した。3日目に、培地の半分をRH10-IL2(1000IUのヒトIL-2(Novartis社)を添加したRH10)と交換した。コンフルエントになった時点で、RH10-IL2を用いて細胞を分けた。細胞増殖をさらに増加させるために、4週間後に、細胞を、RH10-IL2中フィトヘマグルチニン1μg/mLで、照射PBMCフィーダーの存在下で再刺激し、3~4週間静置してからスクリーニングした。
【0064】
実施例4:ネオアンチゲン特異的T細胞スクリーニング
ミトコンドリア由来ペプチドおよびサイトゾル由来ペプチドを負荷したHLA-A2四量体を用いて、増殖させたPBMCにおけるネオアンチゲン特異的T細胞の存在を評価した。
ペプチド-MHCクラスI単量体の生成と四量体化を、以前に述べられているように[S4]行った。簡単に説明すると、ビオチン標識したHLA-A2複合体を、UV感受性ペプチドKILGFVFLV(配列番号1)と共に折り畳んだ。HLA-A2複合体2μgを、各スクリーニングペプチドと、20μL中、最終濃度200μg/mLで1時間UV交換した。2250gで遠心分離した後、複合体1.5μg(15μLの上清)を回収し、1:1混合ストレプトアビジン-APC/ストレプトアビジン-PE(eBioscience社)1.5μLで四量体化した。50μM D-ビオチン20μLを添加することによって複合体中の遊離ビオチンをブロックした。1×105個の刺激されたPBMCを、多量体2.5μLを含有する染色緩衝液(PBS 0.5% BSA)50μl中で、37℃で30分間インキュベートした。細胞を、染色緩衝液で2回洗浄し、LIVE/DEAD Fixable Aqua(Thermo Fisher社)、抗CD3 FITC(クローンSK7、Biolegend社)、および抗CD8 PerCP-Cy5.5(クローンSK1、Biolegend社)で染色した。BD LSR Fortessa装置で細胞解析をした。PEおよびAPC四量体陽性細胞をBD Fusion装置で選別し、機能アッセイのためにさらに増殖させた。
【0065】
実施例5:VITALアッセイ
同定されたCD8+T細胞の細胞死滅能力を測定するためにVITALアッセイを用いた。
自己由来エプスタイン・バーウイルス形質転換リンパ芽球細胞株(EBV-LCL)を、EBV産生B95-8マーモセット細胞の上清と2μg/mLシクロスポリンA(Sigma社)とを用いて、PBMCから生成した。標的細胞として使用したEBV-LCLに、1μMペプチドを37℃で1時間負荷した。負荷細胞と非負荷細胞とを、CellTrace Far Red色素またはCellTracker Orange CMTMR色素(Thermo Fisher社)で染色し、FCSでクエンチした。2回の洗浄サイクルの後、負荷標的と非負荷標的とを1:1の比率で混合し、U底96ウェルプレートに播種した。あらかじめIL-2非存在下で一晩インキュベートしておいたエフェクターT細胞を、表示したエフェクター対標的比で、2点で(in duplicate)ウェルに添加した。37℃で4.30時間インキュベーションした後、LIVE/DEAD Fixable Aqua(Thermo Fisher社)および抗CD8-FITC(クローンSK1、Biolegend社)で細胞を染色した。BD LSR Fortessa装置で細胞解析をした。
【0066】
ELISAでは、EBV-LCLに1μMペプチドを37℃で1時間負荷し、2回洗浄した。負荷細胞を、2点で(in duplicate)、U底96ウェルプレートに1ウェル当たり25,000個の細胞となるように播種し、2,500個のT細胞を刺激するために使用した。16時間インキュベートした後、IFNγの産生をELISA(BD Pharmingen社)によって評価した。
【0067】
本発明者らは、2つのミトコンドリア局在変異タンパク質に由来する4つのネオアンチゲンとサイトゾルに局在するタンパク質に由来する3つのネオアンチゲンとを認識するCD8+T細胞を同定した(図1Bおよび以下の表1)。これらのCD8+T細胞は、ペプチドをパルスした自己由来EBV-LCLを特異的に死滅させる能力(図1C)とIFNγを産生する能力(図1D)とを有していた。
【表1】
【0068】
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【0069】
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【0070】
配列表フリーテキスト(Sequence Listing Free Text)
<210> 1 <223> UV-sensitive peptide
<210> 2 <223> Neo-antigen
<210> 3 <223> Neo-antigen
<210> 4 <223> Neo-antigen
<210> 5 <223> Neo-antigen
<210> 6 <223> Neo-antigen
<210> 7 <223> Neo-antigen
<210> 8 <223> Neo-antigen
図1A
図1B(i)-D(i)】
図1B(ii)-D(ii)】
【配列表】
2023517689000001.app
【国際調査報告】