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▶ ネーデルランツ オルガニサティー フォール トゥーゲパスト‐ナトゥールヴェテンシャッペリーク オンデルズーク テーエンオーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】半導体薄膜デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20230419BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
H01L29/78 627C
H01L21/316 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555769
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 NL2021050182
(87)【国際公開番号】W WO2021187982
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】20164000.0
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515124288
【氏名又は名称】ネーデルランツ オルガニサティー フォール トゥーゲパスト‐ナトゥールヴェテンシャッペリーク オンデルズーク テーエンオー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マメリ,アルフレド
(72)【発明者】
【氏名】クロネメイイェル,アウケ ジスク
(72)【発明者】
【氏名】ローゼボーム,フレディ
【テーマコード(参考)】
5F058
5F110
【Fターム(参考)】
5F058BA20
5F058BB01
5F058BC02
5F058BD04
5F058BE10
5F058BF07
5F058BF27
5F058BF29
5F058BJ04
5F110AA16
5F110CC01
5F110DD02
5F110DD13
5F110DD17
5F110EE04
5F110EE08
5F110FF02
5F110GG01
5F110HK04
5F110HK08
5F110NN23
5F110NN33
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、薄膜デバイス(100)の製造方法に関する。マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート(20)は、電極層(11)および電極層を覆うブランケット犠牲層(12)を備える、薄膜積層体に転写される。テンプレートが転写され、これにより、デバイス(100)をパターン化し、電極の所定の電気的コンタクト領域(A1)を覆う犠牲層の残りの部分(12a)を維持しながら、電極の所定の絶縁領域(A2)を露出させる。領域選択的ALDプロセスが実行され、電極層の露出した領域を被覆層で選択的に覆う。犠牲層(12)の残りの部分(12a)を除去した後に、さらなる処理のために、電極層(11)の電気的コンタクト領域(A1)が露出される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体薄膜デバイス(100)を製造する方法であって、
電極層(11)を備える、薄膜積層体(10)を準備するステップ、
前記電極層(11)を覆う、ブランケット犠牲層(12)を堆積するステップ、
前記ブランケット犠牲層(12)上に、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート(20)を配置するステップであって、前記マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート(20)が、
前記電極層(11)の所定の電気的コンタクト領域(A1)に対応する、第1のレベル(L1)の少なくとも第1の部分(P1)と、
前記電極層(11)の所定の絶縁領域(A2)に対応する、前記第1のレベルとは相異なる第2のレベル(L2)の第2の部分(P2)と
を備える、ステップ、
前記マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート(20)を前記薄膜積層体(10)に転写(T)し、これにより、前記薄膜デバイス(100)をパターン化し、前記電極層(11)の前記所定の電気的コンタクト領域(A1)を覆う、前記ブランケット犠牲層(12)の残りの部分(12a)を維持しながら、前記電極層の前記所定の絶縁領域(A2)を露出させるステップ、
前記電極層(11)の前記露出した領域を、被覆材料(30m)の被覆層(30)で選択的に覆うために、領域選択的ALDプロセス(AS-ALD)を実行するステップであって、前記領域選択的ALDプロセスが、前記ブランケット犠牲層(12)上よりも前記電極層(11)上で、比較的速い前記被覆材料(30m)の堆積速度を有するよう調整される、ステップ、ならびに
前記ブランケット犠牲層(12)の前記残りの部分(12a)を除去して、前記電極層(11)の前記電気的コンタクト領域(A1)を露出させるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記準備された薄膜積層体(10)が、埋め込まれた別の電極層(17)、および前記電極層(11)を前記別の電極層(17)と分離する絶縁体層18を備え、
前記マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート(20)が、前記別の電極層(17)の所定のコンタクト領域(A3)に対応する、前記第1のレベルおよび第2のレベルとは異なる、別のレベル(L3)の別の部分(P3)を備え、転写時に、前記別の電極層(17)の前記所定のコンタクト領域(A3)が露出される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電極材料(11m)上への前記被覆材料(30m)の前記堆積速度が、前記別の電極層(17)上への前記堆積速度よりも比較的速い、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記堆積された被覆材料(30m)の一部を除去する、1回または複数のバックエッチング・プロセスのステップをさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、金属化プロセスを実行して、前記電極層(11)の前記露出したコンタクト領域(A1)上に導電性コンタクト・パッド(41)を形成するステップを含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記領域選択的ALDプロセス(AS-ALD)が、領域選択的空間分解式ALDプロセスである、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、金属化プロセスを実行して、前記電極層および前記別の電極層(11、17)の両方の前記露出したコンタクト領域(A1、A3)上に、導電性コンタクト・パッド(41、42)を形成するステップを含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、トランジスタ・デバイスを製造するよう調整され、
前記電極層(11)および前記電極層(17)のうちの一方が、ゲート(110)を形成するよう調整され、他方が、半導体電荷キャリア層(170)を形成するよう調整され、
前記絶縁体層(18)が、ゲート絶縁体(180)を形成するよう調整される、
請求項2から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、TFTデバイス(1000)を製造するよう調整され、
前記電極層(11)および前記別の電極層(17)のうちの一方が、本質的に金属、たとえばモリブデンからなり、
前記電極層(11)および前記別の電極層(17)のうちの他方が、本質的に酸化インジウムガリウム亜鉛からなり、
前記ゲート絶縁体層(18)が、本質的に酸化ケイ素からなる、
請求項2から8のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体薄膜デバイスの製造方法に関する。本開示は、より詳細には、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートおよび領域選択的ALDプロセスの使用を含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
より小型でより高性能な半導体デバイスに対する需要が、ますます高まっている。半導体薄膜デバイスの製造では、典型的には、それぞれが典型的には1回または複数の堆積、リソグラフィ、および/またはエッチング工程を含む、多数のパターン化工程が必要となる。デバイスの複雑さ、たとえばトランジスタの数が増加するにつれて、パターン化方法についての制約が、たとえば解像度に関して、厳しくなっている。同時に、製造方法の複雑さ、および/または半導体デバイスの製造に必要な処理工程の総数を減らすための、継続的な動きがある。(3次元の)相互接続構造体の製造では、典型的には、たとえば、電極層とのコンタクト領域を選択的に開口するために、複数回のフォトリソグラフィおよびエッチング工程が必要となる。たとえば、TFTの典型的なプロセス・フローは、第1のマスクを使用し、ゲート構造体を画定する、第1のパターン化手順から開始することができる。その上に、たとえば絶縁体層、半導体層、およびソース/ドレインのコンタクト層を含む、機能層が堆積される。ソース-ドレインのコンタクト構造体の製造は、典型的には、別のパターン化工程、たとえばフォトリソグラフィを必要とする。続いて、チャネル幅の画定およびコンタクト・ホールの形成には、さらなるパターン化工程が必要であり、通常、さらに別のフォトレジスト層の堆積およびさらに別のマスクの使用が必要となる。
【0003】
米国特許出願公開第20170330794A1号(特許文献1)は、ビア遮断層の使用に関する。遮断層を使用して、所与の相互接続層内の選択されたビアを絶縁するので、その上に堆積される導電経路は、そうして選択され、絶縁されたビアをとばすことができる。堆積された導電経路層が、選択され絶縁されたビアをとばす機能は、選択されたビアの金属コンタクト上への、絶縁体層の原子層堆積によって成し遂げられる。側壁への絶縁体層の堆積を防止するために、これらの壁は遮断層で覆われる。この方法では、選択されたビアだけを遮断するため、遮断層および/または絶縁体層の堆積プロセスから、他の構成要素、たとえば他のビアをシールドする、第1の専用パターン化工程が必要となる。さらに、遮断層堆積プロセスは、ブランケット遮断層の、領域選択的組立プロセスおよび/または領域を選択しない堆積によって変わり、続いてブランケット遮断層の選択された領域を開口する、リソグラフィ・プロセスによって変わり得る。米国特許出願公開第20170330794A1号の方法は、遮断層が配置される手法によっては、必要な処理工程の数、具体的には必要なパターン化、たとえばマスキング工程の数に関して、程度の差はあれ、削減できない。したがって、処理工程数の削減によって恩恵を受ける、同じ構成物(composition)の別個のターゲット領域上への材料の選択的堆積に好適な、薄膜デバイスを製造する方法について、依然としてニーズがある。
【0004】
米国特許第10243080B2号(特許文献2)は、半導体デバイスの犠牲遮断層を利用する選択的堆積に関し、より詳細には、酸化膜の選択的堆積に関する。米国特許第10243080B2号の方法は、米国特許出願公開第20170330794A1号と同様に、たとえば遮断層が適用されることになる窓を形成するために、遮断層を適用させる前に多くの処理工程が必要となる。酸化物の選択的堆積は、さらに、犠牲遮断層を選択的に堆積させる第1の選択的堆積プロセスと、酸化膜を堆積させる第2の選択的堆積プロセスとを含む。したがって、米国特許第10243080B2号では、必要な処理工程数を減らすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第20170330794A1号
【特許文献2】米国特許第10243080B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、薄膜デバイス、具体的には多層薄膜デバイスを製造する、より効果的で、より時間がかからない、かつ/またはより簡単で、したがってよりコストのかからない方法について、依然としてニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様は、半導体薄膜デバイスを製造する方法に関する。この方法は、薄膜、たとえばデバイス層の積層体を提供することを含む。積層体は、少なくとも電極層を備える。いくつかの実施形態では、積層体は、1つまたは複数のさらに下にあるデバイス層を備える。積層体は、デバイスの製造の基礎を形成する。電極層をパターン化する前に、ブランケット犠牲層が積層体上に堆積され、電極層を覆うことが好ましい。後に続く工程では、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートが、ブランケット犠牲層上に配置される。マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートは、パターン転写時に、下にある犠牲層および電極層の少なくとも一部をパターン化するよう調整される。いくつかの実施形態では、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートはさらに、パターン化するときに、さらに下にあるデバイス層の少なくとも一部もパターン化するよう調整される。マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートは、電極層をパターン化するために、少なくとも第1のレベルの第1の部分と、第1レベルとは相異なる第2のレベルの第2の部分とを備える。第1の部分は、電極層の所定の電気的コンタクト領域に対応する。第2の部分は、電極層の所定の絶縁領域に対応する。
【0008】
いくつかの実施形態では、準備された薄膜積層体は、埋め込まれた別の電極層、および電極層を別の電極層と分離する絶縁体層を備える。マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートは、それに応じて、第1および第2のレベルとは相異なる、別のレベルの別の部分を備えることが好ましい。別の部分は、別の電極層の所定のコンタクト領域に対応する。別の部分のレベルは、転写時に、別の電極層の所定のコンタクト領域が曝露されるよう調整される。別のレベルの別の部分を備えるマルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートを配置することによって、デバイスのより複雑な部分、たとえば上部の電極および下にあるデバイス層を、ただ1回のパターン転写工程で画定することができる。マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートは、コンタクト領域および非コンタクト領域を有する薄膜デバイスの電極を含む、薄膜デバイスを画定するよう調整されることが好ましい。別のレベルを有するマルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートを使用すると、たとえば、露出した電極層上にコンタクト窓を画定するための、別個のフォトリソグラフィでのパターン化プロセスを含むプロセスと比較して、パターン化工程の数を減らして、複雑なマルチレベル薄膜デバイスを画定することができるので有利である。したがって、パターン化工程の数を最小限に抑え、たとえば、プロセス時間および/または製造プロセスのコストを削減することができる。
【0009】
マルチナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートは、薄膜積層体に転写、たとえばエッチングされ、これにより、薄膜デバイスをパターン化する。パターン化は、電極層の所定の電気的コンタクト領域を覆うブランケット犠牲層の残りの部分を維持しながら、電極層の所定の絶縁領域と、存在する場合、より深くに位置する別の電極の所定のコンタクト領域とを露出させる。電極の所定の電気的コンタクト領域を覆うブランケット犠牲層の一部を保持しながら、電極層の所定の絶縁領域に属する電極層の一部を露出させることは、パターン化プロセスを適時に終了することで成し遂げられ得る。パターン化の時間は、パターン化速度、たとえば、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートの厚さと共に、エッチング速度によって変わり得る。パターン化プロセスを適時に終了させることは、実験的に、たとえば見た目で判断することができる。いくつかの実施形態では、積層体には、積層体内の対応する深さに置かれるマーカ、たとえば、視覚的または電気的マーカが設けられる。
【0010】
パターン転写(パターン化)の後、被覆材料の被覆層が、電極層の露出した領域上に選択的に堆積される。選択的堆積とは、対象とされるターゲット領域上への優先的堆積、および他のターゲットでない領域上への比較的少ない堆積、好ましくは本質的に堆積がないことが、同時に起こるものと理解することができる。好ましい実施形態では、被覆材料は、領域選択的ALDプロセス(AS-ALD:area selective ALD process)を使って堆積される。領域選択的ALDプロセスは、比較的速い、たとえば電極層上で犠牲層上よりも速く、かつ/または別の電極上よりも速い、被覆材料の堆積速度を有するよう調整される。したがって、パターン化された犠牲層により、第1の構成物の基板の露出された領域上へ、同じ基板上の相異なる構成物の他の少なくとも2つの露出された領域よりも、所与の材料を選択的に堆積することを可能にする方法を、提供することができる。犠牲層の使用は、各層の個別のパターン化および/または保護を別個に必要とすることなく、多層薄膜デバイス100の複数の層の同時処理を可能にする、領域選択的ALDプロセスのための化学的差異を実現するものと理解することができる。したがって、たとえば、選択的堆積が、他の1つの材料の上の第1の構成物の材料に限定される、米国特許出願公開第20170330794A1号および米国特許第10243080B2号で説明されているような、既知の製造プロセスで一般的に使用される、さらなるパターン化またはシールド工程の必要性を低減する。
【0011】
マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートを使用することのさらなる利点は、本明細書で説明されているように、パターンの画定が、もはや(大面積の)フォトリソグラフィ・ツールに依存しないことである。パターンの画定は、そうではなくて、たとえば他のリソグラフィ手段を使って別個に実現できる、再利用可能なマスタに依存する。したがって、この方法は、大面積リソグラフィ・ツールの必要性および/または負荷を低減し、標準的な光学パターン化ツールに依存する方法と比較して、スループットを高め、かつ/または製造コストを削減しながらも、依然として、達成可能な高いパターンの解像度による恩恵を受ける。したがって、さらに、低コストの製造ツールを使用しての、高解像度の、たとえばより小型および/またはより高密度のデバイスの製造が可能となる。
【0012】
好ましい実施形態では、被覆層は、電気絶縁被覆材料からなる。電気絶縁被覆層を設けることにより、使用時に、下にある電極の一部(たとえば、電極の所定の絶縁領域)を、望ましからざるコンタクトから保護することができる。
【0013】
被覆材料の領域選択的堆積に続いて、犠牲層の残りの部分が除去される。犠牲層の残りの部分を除去することにより、電極層の電気的コンタクト領域が露出される。犠牲層が除去されるとき、被覆層の少なくとも一部が残ることが好ましく、これにより、電極層の所定の絶縁領域が被覆されたまま残る。
【0014】
テンプレートに少なくとも第1の部分および第2の部分を設けることにより、転写時に、第1の部分が電極の第1の部分に対応し、第2の部分が第2の、たとえば隣り合う電極の部分に対応する、複雑な電極の全体的な形状を画定することができる。テンプレートに相異なるレベルを設けることにより、たとえば下にある薄膜積層体内の膜の高さを、相異なるレベルに画定する、たとえばエッチングすることができる。テンプレートに、少なくとも第1のレベルの第1の部分、および第1のレベルとは高さが相異なる第2レベルの第2の部分を設けることにより、リソグラフィ・テンプレートを薄膜積層体10内に画定、たとえばエッチングし、これにより薄膜デバイス100をパターン化し、電極層の所定の電気的コンタクト領域を覆うブランケット犠牲層の残りの部分を維持しながらも、電極層の所定の絶縁領域を露出させることができる。
【0015】
少なくとも第1の部分、第2の部分、および別の部分を有するテンプレートを使った積層体のパターン化を、領域選択的ALDプロセスの使用と組み合わせて、コンタクト領域および非コンタクト領域を有する電極、ならびに半導体層のコンタクト領域を含む薄膜デバイスの、少ない製造工程数での製造を可能にすることができる。これにより、電極層のコンタクト領域および非コンタクト領域を画定するための個別のマスキングおよび/またはパターン化工程、たとえばフォトリソグラフィ工程の必要性が低減される。
【0016】
いくつかの実施形態では、この方法は、金属化プロセスを実行して、電極層の露出したコンタクト領域上に導電性コンタクト・パッドを形成することを含む。加えて、この方法は、金属化プロセスを実行して、別の電極層、たとえば半導体層の露出したコンタクト領域上に、導電性コンタクト・パッドを形成することを含むことができる。電極層および別の電極層上の導電性コンタクト・パッドが、単一の金属化工程で形成されることが好ましい。
【0017】
本開示のさらなる態様は、薄膜デバイスの製造、具体的には薄膜トランジスタ、たとえばFETまたはMOSFETデバイスの製造における、本発明による方法の使用に関する。
【0018】
本開示の装置、システム、および方法のこうした特徴、態様、および利点、ならびに他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付図面から、よりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、一実施形態を概略的に示す図である。
図1B】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、一実施形態を概略的に示す図である。
図1C】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、一実施形態を概略的に示す図である。
図1D】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、一実施形態を概略的に示す図である。
図2A】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、一実施形態を概略的に示す図である。
図2B】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、一実施形態を概略的に示す図である。
図2C】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、一実施形態を概略的に示す図である。
図3A】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、さらなる実施形態を概略的に示す図である。
図3B】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、さらなる実施形態を概略的に示す図である。
図4A】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、さらなる実施形態を概略的に示す図である。
図4B】様々なステージにおける薄膜デバイスの製造方法の、さらなる実施形態を概略的に示す図である。
図5】領域選択的ALDプロセスを、概略的に示す図である。
図6A】領域選択された成長速度を示すグラフである。
図6B】領域選択された成長速度を示すグラフである。
図7】TFTデバイスの製造に適用された本方法の、実施形態の様々なステージを示す図である。
図8】TFTデバイスの製造に適用された本方法の、実施形態の様々なステージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特定の実施形態を説明するために使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。単数形「a」、「an」、および「the」は、本明細書で使用されている場合、文脈上明らかにそうでないと示していない限り、複数の形態も同様に含むことを意図する。「and/or」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の、ありとあらゆる組合せを含む。「comprises」および/または「comprising」という用語は、記載された特徴の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を排除するものではないことが理解されよう。方法の特定のステップが、別のステップの後に続くと言及される場合、別段の指定がない限り、該他のステップに直接続くことができるか、または特定のステップを実行する前に、1つまたは複数の中間ステップが実行されてもよいことが、さらに理解されよう。同様に、構造体または構成要素間の接続が説明されている場合、この接続は、別段の指定がない限り、直接または中間の構造体もしくは構成要素を介して、確立され得ることが理解されよう。
【0021】
「ブランケット層」という用語は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の下にある層を覆う層を含むと、理解することができる。「ブランケット層」という用語は、具体的には、該下にある層がパターン化されることになる、1つまたは複数の所定の領域を覆う層も含むと、理解することができる。
【0022】
「電極層の所定の絶縁領域」という句は、本明細書で使用される場合、図1A図2C図3A図4B、および図7図8に示されるように、最終的なデバイスにおいて電気的に絶縁される、すなわち、被覆材料の層で覆われることになる、電極層の所定の領域(または部分)に相当する、電極層の領域に関係することが理解されよう。
【0023】
電極層は、本明細書で使用される場合、高い電気抵抗率を有する電気絶縁層とは対照的に、低い電気抵抗率ρを有することを特徴とすることができる。電極層は、典型的には、摂氏20度で約1μΩ・cm未満、好ましくはより低い、たとえば0.1、またはさらには0.01μΩ・cm未満の電気抵抗率を有する電極材料で形成され、電気絶縁材料(低κ誘電体または高κ誘電体)は、対照的に、20℃で10MΩ・mを超える、好ましくはより高い、たとえば1010Ω・mを超える、またはより高い、たとえば1013または1014Ω・mを超える、たとえば1013Ω・mから1015Ω・mの範囲の、電気抵抗ρを有することを特徴とする。
【0024】
本発明は、これ以降で、本発明の実施形態が示された添付図面を参照しながら、より十分に説明される。図面において、システム、構成要素、層、および区域の絶対的サイズおよび相対的サイズが、明確にするために、たとえば縮尺通りではなく、誇張されている場合がある。実施形態は、場合によっては本発明の理想化された実施形態および中間構造体の、概略図および/または断面図を参照しながら説明され得る。説明および図面において、同じ番号は、全体を通して同じ要素を指す。相対的な用語ばかりでなくその派生語も、そのときに説明されている、または議論中の図面に示されている向きを指すと解釈されるべきである。こうした相対的な用語は、説明の便宜上のものであり、別段の記載がない限り、システムを特定の向きで構築または操作する必要はない。
【0025】
図1Aから図2Cは、完成までの様々なステージにおける薄膜デバイス100の製造方法の、一実施形態の側断面図を概略的に示している。
【0026】
薄膜デバイス100の製造方法の最初の段階における、薄膜積層体10の概略側断面図を、図1Aに示す。積層体は、電極材料11mの1つの電極層11を備える。1つまたは複数の追加層16、たとえば絶縁層が、電極層11の下に示されている。本明細書で説明されているように、電極層11は、薄膜デバイス100に備えられる電極を形成するようパターン化され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加層16は、電極材料11と共にパターン化される。いくつかの実施形態では、電極11は、約1mΩ・cm以下、たとえば0.1mΩ・cm未満の電気抵抗率を有する、たとえば金属の、電極材料11mで形成され得る。他の実施形態では、電極層11は、半導体電極材料11m、たとえばドープされた半導体材料で形成されてもよい。電極層11の厚さは、典型的には、薄膜デバイス100が備える電極の厚さと一致する。電極層11は、典型的には、約100または200ナノメートルから100マイクロメートルの範囲の、たとえば、500ナノメートルから10マイクロメートルの範囲の、たとえば、約1または約5マイクロメートルの、厚さを有する。
【0027】
ブランケット犠牲層12が、電極層11上に堆積される。ブランケット層は、図示のように、電極層11が下にあり、該下にある層でパターン化されることになる、1つまたは複数の所定の領域を含む(たとえば、図1D参照)。犠牲層は、犠牲材料12mまたはかかる材料12mの組み合わせで形成することができる。犠牲層12および犠牲材料12mは、エッチングなどの標準的な薄膜製造プロセスを使用して、選択的に除去できる機能を特徴とすることができる。犠牲層12は、図示のように、薄膜積層体10上に堆積されるが、犠牲層12が、本発明による方法を使用して製造される最終製品、たとえばTFTデバイスのMOSFETなどの薄膜デバイス100に、必ずしも備えられるものではないことが理解されよう。犠牲材料の除去(たとえば、図2Bに関して説明されるような)は、選択的エッチング、たとえば選択的湿式エッチングによって達成することができる。たとえば、酸化アルミニウムの犠牲層12に、選択的湿式エッチング剤を用いる。ブランケット犠牲層12は、任意の好適な堆積方法、たとえば蒸着または原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)を使用して、堆積することができる。犠牲層12の堆積は、本明細書で説明されるように、高解像度パターン化技法を必要としないので有利である。犠牲層の厚さは、製造されるデバイスのタイプによって変わる可能性がある。犠牲層12は、約5ナノメートルまたは100ナノメートルの下限値、および最大数マイクロメートル、たとえば10マイクロメートルの上限値の範囲の厚さを有する。厚さは、典型的には、10ナノメートルから100または200ナノメートルの範囲である。
【0028】
犠牲層12上に、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートが配置される。たとえば図1Cに示されているような、テンプレート材料のマルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20は、少なくとも第1のレベルL1の第1の部分P1と、第1のレベルL1とは相異なる第2のレベルL2の第2の部分P2とを備える。部分P1は、電極層11の所定の電気的コンタクト領域(A1、たとえば図1D参照)に対応する。部分P2は、電極層11の所定の絶縁領域(A2、図1D参照)に対応する。ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートを配置する方法は、それ自体知られているかもしれない。説明された部分を含むマルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートは、下の層の積層体へのテンプレートの確実な転写を可能にする構成物で形成されることが好ましい。転写は、任意の既知のナノインプリント・リソグラフィ法、典型的にはエッチング、好ましくは均一エッチング手順で実行することができ、テンプレートは、レジストと隣り合う層の材料がエッチングされる間に、テンプレートで覆われる場所でエッチングを抑制するレジストとして機能する。好ましい実施形態では、転写は、一般に、乾式エッチング手順、たとえば反応性イオン・エッチングで実行される。
【0029】
マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20を配置することは、典型的には、たとえば、薄膜積層体10上にインプリント・レジストのコーティングを施すことを含む。続いて、所定の3D構造体を有するインプリントの型がインプリント・レジスト層に押し込まれ、これにより型の3Dパターンが、インプリント・レジスト内に転写される。インプリント・レジストのコーティングを施す前に、任意選択で、接着促進剤層(図示せず)または酸素プラズマ処理などの接着促進工程を設けて、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20の接着力を高めることができる。
【0030】
形成された3Dパターンは、配置されたデバイス層のブランケット犠牲層12を含む、下にあるデバイス層をパターン化するためのテンプレートを形成する。マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20の厚さおよびそのレベルは、下にあるデバイス層の厚さに対応する。テンプレートは、パターン転写Tを行うと、図1Dに示されているように、下にある層に転写される。これにより、薄膜デバイス100を積層体10からパターン化し、電極層11の所定の電気的コンタクト領域A1を覆うブランケット犠牲層12の残りの部分12aを維持しながら、電極層の所定の絶縁領域A2を露出させる。
【0031】
テンプレートに少なくとも第1の部分P1および第2の部分P2を設けることにより、第1の部分が電極の第1の部分に対応し、第2の部分が第2の、たとえば隣り合う電極の部分に対応する、電極の全体的な形状の画定、たとえば、エッチングが可能となる。テンプレートに相異なるレベルを設けることにより、たとえば下にある薄膜積層体内の膜の高さを、相異なるレベルに画定する、たとえばエッチングすることができる。テンプレートに、少なくとも第1のレベルL1の第1の部分P1、および第1のレベルとは高さが相異なる第2レベルのL2の第2の部分P2を設けることにより、リソグラフィ・テンプレート20を薄膜積層体10内に画定する、たとえばエッチングすることができ、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20は、電極層11の所定の電気的コンタクト領域A1を覆うブランケット犠牲層12の残りの部分を維持しながら、電極層の所定の絶縁領域A2を露出させることを含む、単一の転写工程で薄膜デバイス100をパターン化するよう調整することができるので、必要な処理工程の数を最小限に抑えることができる。
【0032】
パターン化された積層体は、領域選択的堆積プロセスに曝露される。図2Aは、領域選択的ALDプロセス(AS-ALD)を実行した後、電極層11の露出した絶縁領域A2上に、被覆材料30mの被覆層30がある、図1Dに示されたパターン化された積層体を概略的に示す。領域選択的ALDプロセスは、犠牲層12上よりも電極層11上で比較的速い、被覆材料30mの堆積速度を有するよう調整される。領域選択的ALDプロセスはさらに、任意選択で、追加層16(図示せず)上よりも電極層11上で比較的速い、被覆材料30mの堆積速度を有するよう調整することができる。AS-ALDプロセスは、堆積されることになる材料が、ある材料上に、1つまたは複数の他の材料よりも優先的に堆積されるALDプロセスに関すると、理解することができる。領域選択的堆積または優先的堆積は、堆積されることになる材料、たとえば、被覆材料30mの堆積速度が、ターゲットの堆積領域上で、ターゲットの非堆積領域よりも比較的速い堆積に関すると、理解することができる。AS-ALDでは、プロセス条件、堆積されることになる材料に対する阻害剤、前駆体、および共反応体のうちの1つまたは複数が、相互に選択され、たとえば所与の構成物の層の上に、他の所与の構成物の層よりも、被覆材料を選択的に堆積できるよう調節される。ターゲット材料上の被覆材料30mの相対堆積速度は、好ましくは、非ターゲット領域上の速度よりも少なくとも3倍速く、より好ましくは、堆積速度は少なくとも5倍以上、たとえば10倍速い。相対的な差がより大きいほど、たとえば、所与の数のALD堆積サイクルごとに、一層選択的な堆積が可能になる。ターゲット材料上の被覆材料30mの絶対堆積速度は、ALDサイクル当たり0.1nm程度であることが好ましい。非ターゲット領域上への堆積は、無視できることが好ましい。犠牲層12上への被覆材料30mの堆積は、犠牲層の残りの部分12aの今後の除去を、不利になるように妨げる可能性がある。したがって、犠牲層12、電極層11、および任意選択で追加層16は、被覆材料30mの犠牲層12上への堆積速度が、電極層11上への堆積速度より比較的遅くなるよう選択されると理解することができる。好ましい実施形態では、被覆層30は、電気絶縁性の被覆層、たとえば二酸化ケイ素(SiO)である。電気絶縁性の被覆層を設けることにより、薄膜デバイス100の電極を、たとえば使用中の望ましからざるコンタクトから保護することができる。AS-ALDに関する詳細は、図5に関連して後の方で、より詳細に説明することにする。
【0033】
被覆層30を堆積させた後、犠牲層12の残りの部分12aを除去して、電極層11の電気的コンタクト領域A1を露出させる。図2Bは、犠牲層12を除去した後の状態にある積層体を概略的に示す。犠牲材料12mの除去は、説明されたように、湿式エッチングなどの任意の好適な方法で実行される。犠牲層12および被覆層30は、図示のように、犠牲層12を選択的に除去できるよう選択されることが好ましい。たとえば、犠牲層12および被覆層30のうちの一方は、AlOベースとすることができ、他方はSiOベースとすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、この方法は、たとえば図2Cに示されているように、金属化プロセスを実行して、電極層11の露出されたコンタクト領域A1上に導電性コンタクト・パッド40を形成することを含む。金属化は、導電性材料40m、たとえば金属の、電着を含むことができる。絶縁領域A2は露出されていないので、絶縁領域上へのコンタクト・パッドの堆積を回避することができる。任意選択または追加で、(たとえば図4Bに示されているように)この方法は、金属化プロセスを実行して、別の電極層、たとえばより深くに位置する電極層17の露出されたコンタクト領域上に、導電性コンタクト・パッド42を形成することを含むことができる。電極層11および別の電極層17上の導電性コンタクト・パッドが、単一の金属化プロセスで形成できるので有利である。
【0035】
他の実施形態またはさらなる実施形態では、薄膜積層体は、別の追加層16を備える(設けられる)。いくつかの実施形態では、積層体10は、たとえば図3Aに示されているように、埋め込まれた別の電極層17、および電極層11を別の電極層17と分離する絶縁体層18を備える。積層体は、任意選択で、緩衝材料19mの緩衝層19および/またはキャリア16cなどの、別の層を備えることができる。犠牲層12には、別の部分、たとえば第1および第2のレベルとは相異なる別のレベルL3の、第3の部分P3を備える、マルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20が配置される。マルチレベルのスタンプ、たとえば3つのレベルのNIL用テンプレートを使って、単一の処理工程で複数の層の情報をエンコードして転送することができる。たとえば、2つのレベルのスタンプが、単一のデバイス層しかエンコードしてパターン化できないのと対照的に、3つのレベルのスタンプは、2つのデバイス層をエンコードすることができる。第3の部分は、別の電極層17の所定のコンタクト領域A3に対応する。対応する第3の部分は、転写時に、別の電極層17の所定のコンタクト領域A3が露出されるような厚さ(レベル)を有する(図3B参照)。したがって、第3の部分を含むマルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20は、コンタクト領域および非コンタクト領域を有する薄膜デバイスの電極を含む、薄膜デバイス100を画定するよう調整されると理解することができる。別のレベルを有するマルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20を使用することにより、削減された、好ましくはただ1度のパターン転写工程で、複雑なマルチレベルの薄膜デバイス100を画定することができるので有利である。したがって、薄膜デバイス100の製造におけるパターン化工程の総数を最小限に抑え、たとえば、プロセス時間および/または製造コストを削減することができる。好ましい実施形態では、電極層11、17のうちの一方が、半導体材料、たとえばドープされた半導体材料で形成されるのに対して、他方は、1mΩ・cm未満、たとえば0.1mΩ・cm未満の電気抵抗率を有する材料、たとえば金属で形成される。したがって、この方法は、複雑さおよび/またはコストを削減して、トランジスタ、たとえばFETまたはMOSFETデバイスの製造に、適用することができる。
【0036】
好ましい実施形態では、電極材料11m上への被覆材料30mの堆積速度は、別の電極層17上への堆積速度よりも比較的速い。図4Aは、製造段階において、被覆材料30mの被覆層30を選択的に堆積した後の薄膜デバイス100を概略的に示す。電極材料11m上への被覆材料30mの堆積速度が、別の電極層17上への堆積速度より比較的速いので、犠牲層の残りの部分12a上および別の電極層17のコンタクト領域A3上への被服材料30mの堆積を削減、好ましくは本質的に回避することができる。別の電極層17のコンタクト領域A3上の、被覆材料30m、具体的には電気絶縁性の被覆材料の層の存在は、別の電極層17上への導電性のコンタクト・パッド42(図4B参照)の形成を、不利となるように阻止するであろう。
【0037】
したがって、犠牲層12、電極層11、および別の電極層17は、被覆材料が、犠牲層12および別の電極層17の露出した部分よりも優先的に、電極層11上に堆積されるよう選択されると理解することができる。言い換えると、犠牲層12、電極層11、および別の電極層17は、被覆材料30mの犠牲層12および別の電極層17上への堆積速度が、電極層11上への堆積速度より比較的遅くなるよう選択されると理解することができる。
【0038】
単一のパターン転写工程の使用を、領域選択的ALDプロセス(AS-ALD)の使用と組み合わせることにより、電極層11のコンタクト領域と非コンタクト領域を画定するための別個のマスキングおよび/またはパターン化工程、たとえばフォトリソグラフィ工程の必要性を低減し、製造工程数を削減した状態で、コンタクト領域A1および非コンタクト領域A2、ならびに半導体層17のコンタクト領域A3を有する薄膜デバイスの電極を含む、薄膜デバイス100を画定することができるので有利である。
【0039】
この方法は、図2Cに関して説明されたように、いくつかの実施形態では、金属化プロセスを実行することを含む。金属化、たとえば導電性材料の電着により、電極層および別の電極層の露出したコンタクト領域上に、導電性コンタクト・パッド41、42を形成することが好ましい。
【0040】
AS-ALDは、従来の原子層堆積法とは対照的であり得る。ALD自体は、ターゲット材料の層を堆積する方法として知られている。原子層堆積は、原子層堆積が少なくとも2つのプロセス・サイクルを要するという点で、たとえば化学気相堆積と相異なる。これらのサイクルのうちの最初のサイクルは、典型的には、前駆体部分の、ターゲット基板の表面上への自己停止(self-limiting)結合または化学吸着を含む。前駆体の吸着に続いて、基板は、前駆体と反応し、ターゲット材料の第1の吸着層を形成する、共反応体に対して基板を曝露する、第2のサイクルに曝露される。層の厚さは、基板をプロセス・サイクルに繰り返し曝露することにより、増大させることができる。前駆体と共反応体との間の気相反応を低減、好ましくは本質的に回避するために、曝露が、分離されることが好ましい。プロセス・サイクルは、空間的ALD(sALD:spatial ALD)などで、時間的に分離、かつ/または空間的に分離することができる。既知のALD法は、優れた適合性でターゲット層を堆積させることができるが、堆積領域を空間的に制御する機能に欠けており、したがって、特に大規模な、または高スループットの堆積法と組み合わせたターゲット材料層の領域選択的堆積にはあまり適していない。ACS Nano、11月、9303~9311頁(2017年)において、A.Mameli等は、Al、TiO、およびHfOの表面が存在する場合に、阻害剤としてアセチルアセトン、前駆体としてBDEAS(HSi(N(C)、共反応体としてOプラズマを使用して、GeO、SiN、SiO、およびWO上へのSiOの選択的堆積を可能にする、いわゆる枚葉式プロセスについて報告している。報告されたプロセスは、基板がこれらの3つの曝露工程に順次曝露される、容器タイプの真空リアクタに依存する。したがって、報告されたプロセスは、領域選択的ALD(AS-ALD)の時間的に分離された実施形態と呼ばれ得る。欧州特許出願第19208861.5号は、空間的に分離された一連の投与ユニットに沿って基板が搬送される、領域選択的ALDプロセスの空間的に分離された実施形態について開示している。両方のレポート(Mameli等および欧州特許出願第19208861.5号)が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
ここで、図5および図6に関して、領域選択的ALDプロセス、AS-ALDについて説明することにする。図5(上)に示されているのは、電極層11の露出した部分、犠牲層12、および埋め込まれた追加層16を備える基板の概略側面図である。基板は、最初の処理工程70Fにおいて、阻害剤部分70に対して曝露される。阻害剤部分70は、たとえば、欧州特許出願第19208861.5号に説明されているように、阻害層71が犠牲層の上に形成されるように、犠牲層12に対する吸着選択性を有するよう選択される。阻害剤部分70および電極層11が低い相互親和性を有するよう選択されるので、電極層11上への阻害層の形成を回避することができる。基板は、阻害工程70Fに続いて、80Fで、前駆体部分80のフローに対して曝露される。前駆体部分80は、電極層11の露出した部分に化学吸着し、電極層の上に層を形成する。反応は、典型的には自己停止するので、過剰な前駆体部分80は、たとえばキャリア・ガス(図示せず)を用いて除去することができる。前駆体部分80で覆われた領域は、続いて81Fで、吸着された前駆体部分80と反応して、被覆層30を構成する被覆材料の第1の吸着層を形成する、共反応体81のフローに対して曝露される。
【0042】
この分野で知られているように、被覆層30の厚さを増大させるために、工程80Fおよび81Fが複数回、たとえばn回、繰り返され得る。阻害層は、前駆体部分の吸着を阻害し、したがって、1回または複数のその後の前駆体および共反応体への曝露サイクルの結果形成される、被覆材料30mの堆積速度を局所的に低下させると考えられる。したがって、阻害層は、被覆材料30mの堆積場所に関して、化学的差異を実現する手段を形成すると、理解することができる。阻害層がその上に形成される材料は、被覆材料30mの堆積速度が遅く、一方、阻害層が形成されない材料は、堆積速度が速い。
【0043】
工程70Fは、任意選択で、m回(1≦m≦n)ごとに繰り返されてもよい。阻害を繰り返すことにより、(部分的に)劣化した阻害層71を回復させることができる。具体的には、共反応体が高反応性プラズマ種を含む実施形態では、阻害工程は、より頻繁に、たとえばそれぞれの前駆体への曝露の前に、実行することができる。
【0044】
領域選択的ALDプロセス(AS-ALD)に含まれる工程70F、80F、および/または81Fは、たとえば単一の反応チャンバ内で、基板、たとえば薄膜積層体10が続いて処理工程に曝露される、時間分解方式で実行でき、これにより処理工程間にチャンバを不活性ガスでパージし、かつ/または排気して、前の曝露からの影響を除去できることが理解されよう。領域選択的ALDプロセスは、空間分解式ALDツール、たとえば欧州特許出願第19208861.5号に開示されているデバイスで実行されることが好ましい。空間分解式の領域選択的ALDツールは、有利なことに、バッチ式の、またはウェーハごとの製造プロセスとは対照的に、連続製造プロセスに組み込むことができ、これにより製造時間を短縮し、スループットを高め、かつ/または製造コストを削減する。
【0045】
いくつかの実施形態では、基板、たとえば薄膜積層体10は、パターン転写後に、一連の空間的に分離された堆積またはプロセス空間に沿って、移送、たとえば移動され得る。空間的に分離されたプロセス空間には、第1の処理空間が含まれ、基板、たとえばパターン化された薄膜積層体10は、ステップ70Fで、阻害剤部分を含むプロセス・フローに対して曝露される。空間的に分離されたプロセス空間には、第2のプロセス空間が含まれ、基板、たとえば、パターン化された薄膜積層体10は、工程80Fで、前駆体部分80を含むプロセス・フローに対して曝露される。空間的に分離されたプロセス空間には、第3のプロセス空間が含まれ、基板、たとえばパターン化された薄膜積層体10は、ステップ81Fで、共反応体部分81を含むプロセス・フローに対して曝露される。空間的に分離されたプロセス空間とプロセス空間との間に、薄膜積層体10を不活性プロセス・ガス、たとえば窒素のセパレータのフローに対して曝露できるセパレータ空間を設け、隣り合うプロセス空間でプロセス・フローを分離することが好ましい。プロセス空間を分離することにより、たとえば共反応体部分と前駆体部分との間の気相反応を低減、好ましくは本質的に回避することができるので有利である。したがって、一実施形態では、領域選択的ALDプロセス(AS-ALD)を実行することは、薄膜積層体10と複数の堆積空間との間の相対移動を実現することを含む。複数の堆積空間は、少なくとも、阻害剤の供給が行われ、薄膜積層体10を、阻害剤部分70を含むプロセス・フローに対して曝露する第1の堆積空間と、前駆体の供給が行われ、薄膜積層体10を、前駆体部分80を含むプロセス・フローに対して曝露する第2の堆積空間と、共反応体の供給が行われ、薄膜積層体10を、共反応体部分81を含むプロセス・フローに対して曝露する第3の堆積空間とを含み、複数の堆積空間のうちの堆積空間のそれぞれが、薄膜積層体10をセパレータのフローに対して曝露するための、不活性ガスの供給を含むセパレータ空間によって、複数の堆積空間のうちの隣り合う堆積空間から空間的に分離される。層の厚さを増大させるために、たとえば往復移動を行うことによって、サンプルをプロセス・フローに対して繰り返し曝露することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、阻害剤を含むプロセス・フローは、セパレータのフロー、前駆体部分80を含むプロセス・フロー、および共反応体部分81を含むプロセス・フローのうちの1つに含まれてもよい。阻害剤を他のフローのうちの1つに含めることにより、ALDツールの接地面積を削減し、かつ/またはプロセス時間を短縮することができる。
【0047】
別の実施形態またはさらなる実施形態では、図6Bに関してより詳細に説明されるように、領域選択的ALDプロセス(AS-ALD)には、バックエッチング工程が含まれ得る。したがって、薄膜積層体10をエッチング剤のフローに対して曝露するための、エッチング剤の供給を含むエッチング空間を含めることができる。
【0048】
前駆体または前駆体部分は、本明細書で使用される場合、表面上の反応基(たとえば、サイト)との自己停止反応に関与できる任意の化合物、たとえば分子を含むと理解することができる。この分野で知られているように、かかる前駆体部分は、典型的には、配位子に囲まれた中心金属イオンを含む金属種である。塩化アルミニウムおよび塩化ハフニウムなどの金属-ハロゲン化物、ならびにトリメチルアルミニウムおよびジエチル亜鉛などの金属-アルキルを含むがこれらに限定されるものではない金属-有機種、鉄(0)ペンタカルボニルなどの-カルボニル、チタン(IV)イソプロポキシドなどの-アルコキシド、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(V)などの-アルキルアミド、コバルトセンなどの-シクロペンタジエニル、-β-ジケトネート、-アミジナート、ならびにビス(t-ブチルアセトアセタト)銅(II)、ビス(N,N’-ジ-sec-ブチルアセトアミジナト)ジ銅(I)、およびトリス(1,3-ジイソプロピル-2-ジメチルアミノグアジナト)ガドリニウム(III)を含む-グアジネートを含むがこれらに限定されるものではない、多種多様な前駆体化合物がこの分野で知られている。
【0049】
共反応体は、本明細書で使用される場合、たとえばALDの分野で知られているように、吸着された前駆体部分と反応する任意の部分を含むと理解することができる。かかる部分は、この分野では通常、共反応体ガス・フロー(B)を形成するために、1種または複数の不活性キャリア・ガスのストリームに含まれる蒸気またはガスの状態で供給され得る。共反応体部分には、吸着された前駆体部分に、たとえば配位子交換反応で反応できる、水および/または酸素などの分子種が含まれる。代替的または追加的に、共反応体は、反応性プラズマ種を含むと理解することができる。プラズマは、遠隔で生成される、たとえば上流位置で生成され、キャリア・フローによって反応空間に運ばれるプラズマであり得る。前駆体および/または共反応体は、それぞれ前駆体部分、共反応体部分の混合物で構成され得ることが理解されよう。
【0050】
どの阻害剤がどの表面上で機能するかの選択は、主に、表面の酸度および塩基度、ならびに阻害剤の塩基性/酸性の特性によって規定される。詳細については、参照により本明細書に組み込まれる、欧州特許出願第19208861.5号および刊行物である、A.Mameli等によるACS Nano、11月、9303~9311頁(2017年)を参照されたい。発明者等は、酸化物表面の場合、表面と可能性のある阻害剤分子との間の相互作用が、酸化物中の陽イオンの電気陰性度(たとえば、Linus Paulingによって定義された)および典型的には阻害剤分子の配位子基に組み込まれた、結合の分極率から導き出すことができる、表面と阻害剤分子との化学的親和性によって決定されることを発見した。これは、元素または化合物のブレンステッド酸度(陽子の引力もしくは斥力に基づく)またはルイス酸度(電子の引力または斥力に基づく)に変換することができる。発明者等は、以下のクラスの阻害剤を選択できることを発見した。ケトン、たとえばアセトン、アセトフェノン、メチルプロピルケトンなど、ベータジケトン、好ましくはジアセチルなどの1-2ジケトン、アセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトンなど、第1級、第2級、および第3級アルコールであるが、好ましくは第3級アルコール、エチル酪酸、およびトリメチル酢酸などのカルボン酸、メチルアミン、ジメチルアミン、およびトリメチルアミンなどの第1級、第2級、および第3級アミン、エタンジアミンなどのジアミン、ならびにエタンジチオールなどの小さいアルキル鎖(1<n<6であるCn)チオール。
【0051】
ALDプロセスでは、前駆体および/または共反応体部分は、典型的には、本質的に、それぞれ所定量(分圧)の前駆体部分、共反応体部分と混合された、不活性キャリア・ガスで形成されたフロー、すなわち前駆体のフローまたは共反応体のフローの形で供給される。
【0052】
好適な不活性ガスには、典型的には、ALDプロセスの性質に応じて、ジ窒素、アルゴン、他の希ガス、またはこれらの混合物が含まれる。共反応体が、反応性プラズマ、たとえば酸素プラズマ、希ガス、またはこれらの混合物であるALDプロセスでは、キャリアおよび分離ガスのストリームとして使用されることが好ましい。
【0053】
ここで図6Aおよび図6Bを参照すると、空間的ALDの設定(sALD)を使用して、酸化亜鉛(ZnO)および酸化ケイ素(SiO)で終端をなす表面領域を有する例示的な基板上への、被覆材料30(SiO)の層の領域選択的堆積の、実験的証拠が提示されている。ZnOで終端をなす領域上への堆積を回避するために、ZnOに選択的に結合する阻害剤部分70を使用した。堆積領域(SiO)上のSiO層の厚さは、ALDサイクル数の増加と共に着実に増大することが判明した。約65プロセス・サイクルまで、非堆積領域(ZnO)上に、ターゲット材料は観察されなかった。この時点で、堆積したSiOの総厚さは、約7nmに達した。約80プロセス・サイクルの後、ZnOで終端をなす領域上にも同様に、SiOが堆積することが判明した。
【0054】
図6Bは、同様の実験に関するものであるが、約110プロセス・サイクルごとに(110、220、330、および440)、エッチング剤に対して曝露することを含んでいる。各エッチング剤の工程は、堆積されたSiO層の厚さを、約4nm減少させた。これにより、ZnOで終端をなす表面領域上に堆積したSiOの厚さが、検出限界未満になった。図示のように、エッチング剤の工程を含めることにより、エッチング工程を含まない方法で領域を選択しない堆積が生じるレベルを超えて、厚さを増大させながら、被覆材料30mの領域選択的堆積が可能となる。したがって、この方法は、いくつかの実施形態では、1回または複数のバックエッチング工程を含む。バックエッチングは、堆積された被覆材料30mの一部を除去するよう調整された。1回または複数のバックエッチング処理工程を組み込むことにより、非選択的に堆積された被覆材料30m、たとえば前駆体種と共反応体との間の望ましからざる気相反応の結果堆積した被覆材料30mを、除去することができるので有利である。かかる望ましからざる気相反応は、化学気相堆積(CVD:chemical vapor deposition)の副反応と呼ばれることがあり、具体的には、空間的ALD堆積ツールでの領域選択的ALDプロセスの際の、理想的でないプロセス条件に起因して生じる可能性がある。好ましい実施形態では、領域選択的ALDプロセスは、10、50、またはそれを上回る、たとえば100または200のALD堆積プロセス・サイクルごとに1回または複数の、バックエッチング処理工程を含む。バックエッチングは、任意選択で、たとえば、領域選択的ALDプロセス間で、犠牲層12を除去する前の工程として、専用のツールで実行することができる。1回または複数のバックエッチング・プロセスは、領域選択的ALDプロセス(AS-ALD)が実行される同じツール、たとえば、同じ空間分解式の領域選択的ALDツール(AS-ALD)で実行されることが好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、空間的に分離されたプロセス空間は、さらなるプロセス空間、たとえば、エッチング空間を含む。空間的に分離されたプロセス空間は、基板、たとえばパターン化された薄膜積層体10がエッチング剤を含むプロセス・フローに対して曝露される、第3のプロセス空間を含む。
【0055】
本発明による方法がトランジスタ・デバイス100の製造に適用されるいくつかの実施形態では、電極層11および電極層17のうちの一方が、ゲートを形成するよう調整され、他方が半導体電荷キャリア層を形成するよう調整される。ここで、図7図8を参照して、TFTデバイス100を製造する方法を説明することにする。図7(上)に示されているように、ガラス・キャリア16cに、障壁層16b、緩衝層16a、別の電極層を形成するドープされた半導体層17、ゲート絶縁体層18、および第1の電極層を形成するゲート電極層11を(下から上へ順に)備える、薄膜積層体が設けられる。ブランケット犠牲層12およびマルチレベル・ナノインプリント・リソグラフィ用テンプレート20が、積層体上に配置される。テンプレートは、それぞれ相異なるレベルL1~L3の、3つの部分P1~P3を有する。図3図4に即して、部分P1の領域は、TFTデバイス100の電極の電気的コンタクト領域A1に対応する。部分P2は、TFTデバイス100の電極の絶縁領域A2に対応する。領域P3は、半導体層17のコンタクト領域A3に対応する。P3の部分のレベル(厚さ)は、下にある層の厚さと一致する。図7(下)は、パターン転写後の積層体を示しており、絶縁体層18によって分離されたゲート層11および半導体層17によって形成されることになる、トランジスタ・デバイスの形成を既に示している。領域A1およびA2が示されており(図7(下)の点線および一点鎖線)、領域A3(示されていない)は、半導体層17の露出した上面で形成されている。上記で説明されたように、犠牲層12の残りの部分12aは、後に続くAS-ALD工程で、下にある領域A1を保護する。図8(上)は、被覆層30堆積後の製造中のステージにおけるデバイスを概略的に示している。被覆層30は、堆積速度の相対的な違いにより、電極層11の絶縁領域A2上およびパターン化されていない緩衝層16a上に、選択的に堆積されている。犠牲層の残りの部分12a(領域A1に対応する)および半導体層の露出した部分(領域A3)は、覆われないままである。図8(下)は、犠牲層の残りの部分を除去した後の、金属化プロセスに続く、電極層11のコンタクト領域および半導体層17上への、導電性金属コンタクト・パッド42、43の形成を概略的に示している。
【0056】
前述のように、好適な材料の組み合わせは、文献によって知るか、かつ/または実験的に特定することができる。TFTデバイスの製造の例示的な実施形態では、電極層11および別の電極層17のうちの一方が、金属、たとえばモリブデンを含み、好ましくは本質的にモリブデンからなり、電極層11および別の電極層17のうちの他方が、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)を含み、好ましくは本質的にIGZOからなる。ゲート絶縁体層18および/または緩衝層16aはそれぞれ、金属または半導体酸化物、たとえば、酸化ケイ素を含む(本質的に金属または半導体酸化物からなる)ことができる。好ましい実施形態では、犠牲層12は、AlO 12mの層である。他の実施形態またはさらなる好ましい実施形態では、被覆材料30mの被覆層30は、SiO 30mの層である。
【0057】
表Iは、領域選択的ALDプロセス、AS-ALDへの曝露後に観察された、様々な材料上の層の堆積をまとめたものである。
表I 基板上へのSiOの層の選択的堆積
【0058】
【表1】
左側の2列は、IGZOを半導体の別の電極層17として、またモリブデンを電極層11として備える層の積層体を使用した、比較用のTFT製造プロセスに関する。比較例では、ブランケット犠牲層12を使用しなかった。AS-ALDプロセスの後の、IGZO層上へのSiOの堆積は見られなかった。犠牲層12を使用しなかったので、電極層11全体がAS-ALDプロセス中に露出され、これにより電極が、全面的に絶縁酸化物層で覆われたことが判明した。比較方法に従って作製されたTFTデバイスの場合、電極にコンタクト可能な領域を設けるために、多数の後に続くパターン化工程(たとえば、フォトリソグラフィおよびエッチング)が必要となるであろう。対照的に、表Iの右端の2列は、AlOのブランケット犠牲層の堆積を含む、本発明の方法に従って製造されたTFTに関する。AS-ALDプロセスの後、IGZO層上には堆積されたSiOが見られず、電極のコンタクト領域A1を覆うAlO層の部分12a上にも見られなかった。犠牲層12を使用したので、SA-ALDプロセス中に、電極11は、首尾よく選択的に覆われた。したがって、電極にコンタクト領域を開口するのに、単純な湿式または乾式エッチング工程で十分であることが判明した。Al用の湿式エッチングの例には、脱イオン化した水中で希釈されたHF溶液が含まれ、希釈されたHF溶液とは、200:1から50:1(質量:質量)の範囲の、水に対するHFの比率と理解することができ、ALD成長した(かつPDAアニール処理された)Alのエッチング速度は、0.6から0.1nm/秒と報告されている(たとえば、C.Lee等によって、第206回ECS Meeting、2004年、要約845頁で報告されている)。Al用の湿式エッチング剤の例には、たとえば、80~95°Cで、1リットルのHOに、50mLのHPOと7mLのCrO(500g/L)とを含む、HPO/CrOの水溶液がさらに含まれる(たとえば、J.Electrochem.Soc.、1978年3月、470頁で報告されている)。Al用の乾式エッチングの例には、以下が含まれる。CFおよび/またはCHFプラズマ、ならびにO/BCl/Arプラズマ(X.Yang等によって、Trans.Electr.Electron.Mater.、11(5)、202頁(2010年)で報告されている)。
【0059】
本発明のさらなる態様は、上記に即して、領域選択的ALDプロセスと組み合わせた、薄膜積層体上でのパターン転写プロセスの使用に関する。具体的には、電極層11を覆うブランケット犠牲層を備える、薄膜積層体上でのパターン転写プロセスの使用において、電極層11の所定の部分を覆う、パターン化された犠牲層12を形成する。パターン化された構造体は、後に続く領域選択的ALDプロセスにおいて化学的差異を実現するので有利である。いくつかの実施形態では、領域選択的ALDプロセスと組み合わせた薄膜積層体上でのパターン転写プロセスの使用は、トランジスタ、たとえば、MOSFETデバイスまたはTFTデバイスの製造に使用される。
【0060】
特徴は、明瞭かつ簡潔に説明するために、同じまたは別個の実施形態の一部として本明細書で説明されているが、本発明の範囲には、説明されている特徴のすべてまたは一部の組合せを有する実施形態が、含まれ得ることが理解されよう。もちろん、上記の実施形態またはプロセスのうちのいずれか1つを、1つまたは複数の他の実施形態またはプロセスと組み合わせて、設計および利点を発見して適合させる、さらに別の諸改善を実現できることを理解されたい。この開示は、複雑なマイクロ電子デバイスの製造に特定の利点を提供し、概して、材料の領域選択的堆積から恩恵を受ける任意の用途、具体的には、さもなければ機能層をパターン化するための追加のパターン化工程、たとえば、電極にコンタクト可能な領域を設けるためのフォトリソグラフィのパターン化工程が必要となるデバイスに、適用できることが理解される。この方法は、さらに、2つのレベルのインプリント・リソグラフィ用テンプレートにも、2つのインプリント・レベルを有する3つのレベル(層)にも限定されないものと、解釈されるべきであることが理解されよう。この方法を、それどころか、3つを超える、たとえば多数のレベルを有するインプリント・リソグラフィ用テンプレートを使用する、より広範な方法で使用して、同等の利点を得ることができる。この方法は、たとえば、10以上のレベルを有するナノインプリント・リソグラフィ用テンプレートを使用して、光学構造体の製造に適用することができる。この方法は、同様に、複数の、たとえばその後のインプリント・リソグラフィ用テンプレート化工程を使用する方法で、同等の利点を得るように使用することができる。
【0061】
添付の特許請求の範囲を解釈するに当たって、「comprising」という単語が、提示された請求項に列挙された要素または行為以外の要素または行為の存在を排除するものではないこと、要素に先行する単語「a」または「an」が、複数のかかる要素の存在を排除するものではないこと、特許請求の範囲内のどの参照符号も、特許請求の範囲を限定するものではないこと、いくつかの「手段」が、同じまたは相異なるアイテム、または実装された構造体もしくは機能で表すことができること、開示されたデバイスまたはデバイスの部分のいずれも、特に記載されていない限り、別の部分と一体に組み合わせるか、または分離できることを理解されたい。ある請求項が別の請求項を参照している場合、これは、それぞれの特徴の組合せによって実現する、相乗作用による利点を示している場合がある。しかし、特定の手段が、互いに相異なる請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せもまた、有利に使用できないことを示すものではない。したがって、本実施形態は、請求項のすべての実用的な組合せを含むことができ、文脈によって明確に除外されない限り、各請求項が、原則として、先行するどの請求項をも参照できる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
【国際調査報告】