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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】レーザ硝子体切除及び照明プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
A61F9/007 130F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555790
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 IB2021052048
(87)【国際公開番号】W WO2021186305
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,639
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ポール アール.ハレン
(57)【要約】
本開示は、一般に、眼科手術処置用の顕微手術器具に関し、より具体的には、照明とレーザ硝子体切除機能とを組み合わせた顕微手術器具に関する。いくつかの実施形態では、手術器具は、ベース部と、主内腔及びその遠位先端にポートを有するプローブと、を含む。いくつかの実施形態では、プローブは、主内腔内に、レーザ光及び照明光を投射するように構成された1つ以上の光ファイバを更に含み得る。いくつかの実施形態によれば、硝子体材料が、例えばポートを通って、プローブ内に引き込まれるとすぐに、硝子体材料は、光ファイバにより放出されたレーザ光が照射した体積を通過し、硝子体材料を分離する。同時に、照明光は、硝子体材料の分離及び除去中に眼内空間の視覚化を強化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具であって、
ベースユニットと、
前記ベースユニットの遠位端部の開口部を通って配置されたプローブであって、
前記プローブの遠位先端に近接して形成されたポートと、
前記プローブを通って形成された内腔と、
前記内腔内に配置された1つ以上の光ファイバであって、前記光ファイバが前記ポートに近接した領域を照射して前記ポートを通って吸引された硝子体材料のコラーゲン繊維を切断するためのレーザ光を投射し、前記1つ以上の光ファイバが患者の眼内空間を照明するための照明光を更に投射する、1つ以上の光ファイバと、を含むプローブと、を備える、手術器具。
【請求項2】
前記1つ以上の光ファイバが、前記レーザ光及び前記照明光を投射するように構成された単一の光ファイバを含む、請求項1に記載の手術器具。
【請求項3】
前記レーザ光が、前記光ファイバのコアに集束し、前記照明光が、前記光ファイバのクラッドに集束する、請求項2に記載の手術器具。
【請求項4】
前記照明光が、前記光ファイバの前記コアにも集束する、請求項3に記載の手術器具。
【請求項5】
前記1つ以上の光ファイバが、レーザ光を投射するように構成された第1の光ファイバと、照明光を投射するように構成された第2の光ファイバと、を含む、請求項1に記載の手術器具。
【請求項6】
前記照明光が、前記第2の光ファイバのクラッドに集束する、請求項5に記載の手術器具。
【請求項7】
前記照明光が、前記第2の光ファイバのコアに集束する、請求項5に記載の手術器具。
【請求項8】
前記照明光が、前記第2の光ファイバのコアにも集束する、請求項6に記載の手術器具。
【請求項9】
前記レーザ光が、パルスレーザ光である、請求項1に記載の手術器具。
【請求項10】
前記パルスレーザ光が、ピコ秒レーザ光である、請求項9に記載の手術器具。
【請求項11】
前記パルスレーザ光が、フェムト秒レーザ光である、請求項9に記載の手術器具。
【請求項12】
前記レーザ光が、連続レーザ光である、請求項1に記載の手術器具。
【請求項13】
前記照明光が、パルス照明光である、請求項1に記載の手術器具。
【請求項14】
前記レーザ光及び照明光が、前記1つ以上の光ファイバから同軸で投射される、請求項1に記載の手術器具。
【請求項15】
前記プローブが、照明光の透過を容易にするために半透明又は透明な材料で形成された1つ以上の部分を更に含む、請求項1に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、発明者がPaul R.Hallenである、2020年3月19日に出願された「LASER VITRECTOMY AND ILLUMINATION PROBE」と題する、米国仮特許出願第62/991,639号の優先権の利益を主張するものであり、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、手術処置用の小型ゲージ器具に関し、より具体的には、レーザ硝子体手術用の小型ゲージ器具に関する。
【背景技術】
【0003】
解剖学的に、人間の眼は、前眼部及び後眼部の2つの別個の領域に分割される。前眼部は水晶体を含み、角膜の最外層から水晶体嚢の後方まで延びている。眼の後眼部には、硝子体液、網膜、脈絡膜、視神経など、前部硝子体膜及びその背後にある全ての眼球構造が含まれる。
【0004】
網膜硝子体手術は、一般的に、加齢黄斑変性症(AMD)、黄斑円孔、黄斑前線維症、網膜剥離、網膜上膜、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎、糖尿病性網膜症、硝子体出血、及び他の眼科的状態などの深刻な状態を治療するため、人間の眼の後眼部内で行われる。そのような手術では、しばしば、眼の体積の約3分の2を構成する無色でゲル状の物質である硝子体液の一部分を、後眼部から分離及び除去する必要がある。硝子体切除手術では、外科医は、眼の中に作られた1つ以上の切開部を通って顕微手術器具を挿入し、その内部から硝子体を切断して除去する。複数の器具を同時に使用する際、各顕微手術器具に対して別々の切開部が提供され得る。
【0005】
硝子体切除中に典型的に利用される顕微手術器具は、硝子体を分離及び除去するための硝子体切除プローブと、眼内空間内に照明を提供するための照明プローブと、を含む。外科医が硝子体切除プローブを用いて除去する目的で、可能な範囲で、硝子体を適切に観察するために、眼内空間の適切な照明が有利である。場合によっては、眼の周辺領域に位置する硝子体に到達するために、外科医はまた、他の顕微手術器具に加えて、強膜圧迫子を利用して網膜を内側に移動させることができる。したがって、任意の所与の硝子体切除中、3つ以上の顕微手術器具を同時に使用する場合があるが、外科医は手術を行うための2つの手しか有していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一般に、眼科手術処置用の顕微手術器具に関し、より具体的には、照明とレーザ硝子体切除機能とを組み合わせた顕微手術器具に関する。
【0007】
1つの実施形態では、手術器具が提供される。手術器具は、ベースユニットと、ベースユニットの遠位端部の開口部を通って配置されたプローブと、を含む。プローブは更に、プローブの遠位先端に近接して形成されたポートと、プローブを通って形成された内腔と、内腔内に配置された1つ以上の光ファイバと、を含む。光ファイバは、ポートに近接した領域を照射してポートを通って吸引された硝子体材料のコラーゲン繊維を切断するためのレーザ光と、患者の眼内空間を照明するための照明光と、を投射する。
【0008】
上記で列挙した本開示の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡潔に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ得、そのうちのいくつかを添付図面に示す。しかしながら、添付図面は、例示的な実施形態を示すにすぎないため、その範囲を限定するとみなされるべきではなく、他の同様に効果的な実施形態が認められ得ることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の斜視図を示す。
図2A図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、図1の手術器具の一部分の平面図を示す。
図2B図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による、図1の手術器具の一部分の様式化された長手方向の断面図を示す。
図2C図2Cは、本開示のいくつかの実施形態による、図1の手術器具の一部分の様式化された長手方向の断面図を示す。
図2D図2Dは、本開示のいくつかの実施形態による、図1の手術器具の一部分の長手方向の概略図を示す。
図3A図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図3B図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図3C図3Cは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図4A図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図4B図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図4C図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図4D図4Dは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図5A図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図5B図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の正面断面図を示す。
図6A図6Aは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の一部分の平面図を示す。
図6B図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の一部分の平面図を示す。
図6C図6Cは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の一部分の平面図を示す。
図6D図6Dは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な手術器具の一部分の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合、複数の図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照符号が使用されている。1つの実施形態の要素及び特徴は、更に記述することなく他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが考えられる。
【0011】
本開示は、一般に、眼科手術処置用の顕微手術器具に関し、より具体的には、照明とレーザ硝子体切除機能とを組み合わせた顕微手術器具に関する。いくつかの実施形態では、手術器具は、ベース部と、主内腔及びその遠位先端にポートを有するプローブと、を含む。いくつかの実施形態では、プローブは、主内腔内に単一の光ファイバを更に含むことができ、単一の光ファイバは、レーザ光及び照明光の両方を投射するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、硝子体材料が、例えばポートを通って、プローブ内に引き込まれると(例えば、すぐに)、硝子体材料は、光ファイバにより放出されたレーザ光が照射した体積を通過し、それによって硝子体材料を分離する。同時に、照明光は、硝子体材料の分離及び除去中に眼内空間の視覚化を強化する。いくつかの他の実施形態では、レーザ光及び照明光を投射するために別個の光ファイバを使用することができる。例えば、そのような実施形態では、第1の光ファイバを使用してレーザ光を投射し、一方、1つ以上の追加の光ファイバを使用して照明光を投射することができる。
【0012】
図1は、本明細書に記載の特定の実施形態による、例示的な手術器具100の斜視図を示している。図1に示されるように、手術器具100は、プローブ110と、ベースユニット120と、を備える。プローブ110は、ベースユニット120の遠位端部121を通って部分的且つ長手方向に配置され、ベースユニット120の内部チャンバ内で直接的又は間接的に取り付けられ得る。本明細書に記載されるように、構成要素の遠位端部又は一部分は、その使用中に患者の身体により近い端部又は一部分を指すことに留意されたい。一方、構成要素の近位端部又は一部分は、患者の身体から更に離れた端部又は一部分を指す。
【0013】
いくつかの実施形態では、ベースユニット120は、外科医などのユーザによって保持されるように構成された外部表面を有するハンドピースである。例えば、ベースユニット120は、ユーザの手に実質的にフィットするように人間工学的な輪郭を描くことができる。いくつかの実施形態では、外部表面は、テクスチャ加工されていてもよく、又はそこに形成された1つ以上の把持特徴、例えば1つ以上の溝及び/又は隆起を有してもよい。ベースユニット120は、そのような器具に一般的に使用され、且つ眼科手術に適切な任意の材料から作成することができる。例えば、ベースユニット120は、軽量アルミニウム、ポリマー、又は他の好適な材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、ベースユニット120は、滅菌されて2回以上の外科的処置に使用されてもよく、又は使い捨てデバイスであってもよい。
【0014】
ベースユニット120は更に、1つ以上の供給ラインがベースユニット120の内部チャンバにルーティングされるように、その近位端部125において1つ以上のポート123を提供する(例えば、1つのポート123が図1に示されている)。例えば、ポート123は、ベースユニット120と吸引用の真空源の真空ラインとの間の接続を提供することができる。ポート123はまた、レーザ光及び照明光を提供するための1つ以上の光源に結合する光ファイバケーブルへの接続を提供することができる。
【0015】
図2Aは、プローブ110及びベースユニット120の遠位端部121の平面図を示している。示されるように、プローブ110は、吸引又は非吸引であり得る硝子体切除を行うために、例えば挿入カニューレを通って眼内に挿入され得る細長いレーザ切断部材であり得る。したがって、プローブ110は、低侵襲の網膜硝子体手術に適切な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、プローブ110は、レーザ光、可視光、紫外線光、赤外線光、又は任意の他のタイプの光を伝達するように構成された材料で形成される1つ以上の部分を含む。例えば、プローブ110は、プラスチック及び/又はポリマー材料などの半透明又は透明な材料で形成された1つ以上の部分を含み得る。プローブ110は、ステンレス鋼及び/又はアルミニウムなどのより従来の手術グレードの材料で形成された1つ以上の部分を更に含み得る。
【0016】
特定の実施形態では、プローブ110は、約15mm(ミリメートル)~約30mmの長さLを有するが、いくつかの実施形態では、より長い又はより短い長さを有してもよい。プローブ110は、約20ゲージ未満の外径を有する中空チューブを含み得る。いくつかの実施形態では、プローブ110は、異なるサイズの外径を有する2つ以上の部分(例えば、領域又はセグメント)にセグメント化される。例えば、図2Aに示されるように、プローブ110は、遠位先端216において終端する遠位部分214よりも大きい外径を有する近位部分212を含み得る。いくつかの実施形態では、近位部分212は、約23ゲージの外径を有し、遠位部分214は、約25ゲージの外径を有する。いくつかの実施形態では、近位部分212は、約25ゲージの外径を有し、遠位部分214は、約27ゲージの外径を有する。いくつかの実施形態では、近位部分212は、約27ゲージの外径を有し、遠位部分214は、約29ゲージの外径を有する。いくつかの実施形態では、近位部分212は、注入部分として機能し、使用中にプローブに隣接する操作空間内に注入流体を導くように構成されている。したがって、近位部分212は、遠位部分214の周りに同心円状に配置され、且つベースユニット120を通って流体源に流体接続された、1つ以上の同軸注入ポートを含み得る。網膜硝子体手術中の眼の内部への注入液の送達は、眼圧の維持を可能にし、それによって、手術処置中の眼の虚脱を防止する。
【0017】
いくつかの実施形態では、手術器具100は、プローブ110の少なくとも一部分に固定的に又は摺動可能に結合されて、プローブ110を実質的に取り囲む補強材230を更に含む。例えば、補強材230は、プローブ110の外部表面236(図2B図2Cに示されている)に摺動可能に結合され、ベースユニット120から延びてベースユニット120内に後退することができる。補強材230は、プローブ110に対して調整可能であり得、ユーザがベースユニット120の外部でプローブ110の長さLに沿った異なる点に補強材230を配置することを可能にする。従って、ユーザは、遠位先端216に対して補強材230を再配置することによって、プローブ110の剛性のレベルを選択的に調整して、それによって、器具を使用している間にプローブ110に提供され且つ手術器具100を安定させる支持の量を操作することができる。
【0018】
上述のように、いくつかの実施形態では、手術器具100は、レーザ光及び照明光の両方を投射するように構成された単一の光ファイバを提供する。レーザ光及び照明光の両方を投射するために単一の光ファイバを使用する様々な例が、図2B図3Cに示されている。いくつかの他の実施形態では、1つ以上の光ファイバを使用してレーザ光を投射することができ、一方、1つ以上の追加の光ファイバを使用して照明光を投射することができる。レーザ光及び照明光を投射するために複数のファイバを使用する様々な例が、図4A図5Bに示されている。
【0019】
図2B及び図2Cは、内部に光ファイバ240が収容されたプローブ110の遠位部分214の様式化された長手方向の断面図を示している。図示されるように、プローブ110は、主内腔260と、遠位先端216の近くのポート222と、を含む。一例では、主内腔260は、図3A図5Bに示されるように、実質的に円形の断面を有する。遠位部分214の遠位先端216に位置するポート222は、硝子体切除中に硝子体コラーゲン繊維が主内腔206に入ることを可能にするようなサイズ及び形状にされている。いくつかの例では、硝子体コラーゲン繊維は、ポート222を通って主内腔206内に吸引され得る。以下で更に説明するように、光ファイバ240は、レーザ光241を投射して、ポート222に入る硝子体繊維を分離するように構成されている。
【0020】
光ファイバ240は、光導波路として動作し、その終端端部242を通ってレーザ光241を伝播するように設計され得る。光ファイバ240を通って伝播されるレーザ光241の特性は、レーザ光241がレーザ光241の経路内で硝子体コラーゲン線維の破壊を引き起こすようなものである。破壊とは、その組織の分子の急速なイオン化による組織の破壊を指す。いくつかの例では、レーザ光241は、上述のように、光ファイバケーブルを使用して光ファイバ240に光学的に結合されたレーザ光源264によって生成され得る。いくつかの実施形態では、光ファイバ240によって伝播されるレーザ光241は、紫外線(「UV」)(<350nm)レーザ光である。他の実施形態では、レーザ光241は、アルゴン青緑色レーザ光(488nm)、周波数倍増Nd-YAGレーザ光などのNd-YAGレーザ光(532nm)、クリプトン赤色レーザ光(647nm)、ダイオードレーザ光(805~810nm)、又は眼科手術用の他の適切なタイプのレーザ光である。
【0021】
いくつかの実施形態では、レーザ光源264は、約10キロヘルツ(kHz)~約500kHzの範囲内のパルスレートを有するレーザ光241を生成することができる。この範囲は、硝子体の破壊を効果的に提供することができる。他のパルスレート範囲もまた破壊を提供することができるため、同様に考えられる。いくつかの例では、レーザ光源264は、ピコ秒又はフェムト秒レーザ光241を生成する。いくつかの実施形態では、レーザ光源264は、連続コヒーレントレーザ光241を生成することができる。例えば、レーザ光源264は、低出力で連続コヒーレントレーザ光241を生成することができる。
【0022】
特定の実施形態では、光ファイバ240から投射されるレーザ光241が硝子体コラーゲン繊維を分離するのに十分な出力でポート222を横切って投射されることになるように、光ファイバ240は、主内腔260内に配置され、ポート222近くの終端端部242において終端する。図2Bに示される実施形態では、光ファイバ240がプローブ110の内部側壁226から分離され、且つ光ファイバ240が空間228によって円周方向に取り囲まれるように、光ファイバ240は、主内腔260内に堅固に懸架される。光ファイバ240とプローブ110の内部側壁226との間に形成された空間228は、プローブ110を通って分離された硝子体コラーゲン繊維の吸引のための同軸の経路を提供する。いくつかの実施形態では、光ファイバ240は、内部側壁226と光ファイバ240との間の半径方向距離が光ファイバ240の円周に沿って均一であるように、主内腔260内の中心に配置され得る。
【0023】
図2Cに示される実施形態では、光ファイバ240は、内部側壁226に沿って配置され(例えば、結合され)得る。例えば、光ファイバ240は、その長手方向の長さに沿って内部側壁226に結合され得る。いくつかの実施形態では、光ファイバ240の終端端部242がプローブ110の長手方向の中心軸に対してポート222の半径方向内側の点において終端するように、光ファイバ240は、ポート222と半径方向に整列された内部側壁226の一部分に沿って内部側壁226に結合される。光ファイバ240は、エポキシ又はアクリル接着剤などの任意の適切な接着剤又は接合機構を用いて内部側壁226に結合され得る。
【0024】
光ファイバ240の終端端部242は、プローブ110の長さLに沿った任意の点において終端し、硝子体繊維の最適な分離及びその吸引を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、光ファイバ240の終端端部242は、主内腔260内のポート222の近位端部224に対して遠位の点において終端する。他の実施形態では、光ファイバ240の終端端部242は、主内腔260内の近位端部224と実質的に整列された点において終端する。更に他の実施形態では、光ファイバ240の終端端部242は、主内腔260内の近位端部224に近位の点において終端する。
【0025】
いくつかの実施形態では、光ファイバ240によって投射されたレーザ光241は、ポート222の直径又は幅よりも実質的に小さい直径又は幅を有する。例えば、ポート222は、約300μmなどの、約250μm~約450μmなど、約200μm(マイクロメートル)~約500μmの直径又は幅を有し得る。レーザ光241は、約15μm~約30μmなどの、約10μm~約40μmなど、約5μm~約50μmの直径又は幅を有し得る。いくつかの例では、光ファイバ240によって投射されたレーザ光241は、ポート222を横切ってスキャンされる。
【0026】
図2B図2Dの実施形態では、光ファイバ240は、レーザ光241に加えて且つそれから分離して、(図2Dに示されている)照明光243を伝播するように更に構成されている。例えば、照明光源266を使用して、光ファイバ240に照明光243を提供することができる。光ファイバ240は、照明光243を様々な方法のうちの1つで伝播させて、眼内空間を照明する。照明光源266の例には、UV(紫外線)光源、紫色光源、青色光源、白色光源、赤外線(「IR」)光源、又は任意の他の適切なタイプの照明光源が含まれる。例えば、LEDベース(発光ダイオードベース)の照明光源266を利用することができる。更なる例では、キセノン又はハロゲンベースの照明光源266を利用することができる。
【0027】
レーザ光と照明光の両方を投射するために単一の光ファイバ240が使用される実施形態では、レーザ光源246は、レーザ光241を光ファイバ240のコアに集束させるように構成されてもよく、したがって、レーザ光241はコアを通って伝達される。いくつかの実施形態では、照明光源266は、照明光243を光ファイバ240のコア及びクラッドの両方に集束させるように構成され、この場合、クラッド及びコアの両方が照明光243を伝達する。更にいくつかの他の実施形態では、照明光源266は、照明光243をコア又はクラッドのみに集束させるように構成され、この場合、コア又はクラッドの一方のみが照明光243を伝達する。したがって、コア及びクラッドを含む光ファイバ240は、同じファイバ内で(コアを介して)レーザ光241を、及び(クラッド及びコアを介して)照明光243を伝達することができる。いくつかの実施形態では、照明光243は、光ファイバ240内の1つ以上の追加のコアを通って伝播される。したがって、光ファイバ240は、レーザ光241及び照明光243が別々に伝播される1つ以上のコアを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、照明光243は、光ファイバ240の終端端部242からレーザ光241で同軸に投射される。いくつかの実施形態では、照明光243は、終端端部242から拡散的に投射される。いくつかの実施形態では、照明光243は、光ファイバ240内で全内部反射を受け、したがって、終端端部242からのみ投射される。例えば、光ファイバ240は、端面発光光ファイバである。いくつかの実施形態では、照明光243は、光ファイバ240内で完全には反射されず、終端端部242の代わりに、又はそれに加えて、クラッドの側壁を通って放出され得る。例えば、光ファイバ240は、端面発光又は側面発光光ファイバであり、照明光243は、そこから半径方向外側に放出される。照明光243は、レーザ光241と同時に伝播されるか、又はレーザ光241で順次にパルス化される。特定の実施形態では、光ファイバ240を通って眼内空間に入る照明光243の伝播は、異なるタイプの照明光源266を利用すること、光ファイバ240に異なる材料を利用すること、プローブ110内の光ファイバ240の物理的配置を修正すること、及び/又はプローブ110に異なる材料を利用することによって、変調することができる。
【0029】
図2Dは、レーザ光241及び照明光243の両方を伝播する光ファイバ240の一例を示している。図2Dの例では、レーザ光241は、光ファイバ240の終端端部242を通って放出され、一方、照明光243は、光ファイバ240から半径方向外側に放出される。換言すれば、図2Dの例では、レーザ光241は、光ファイバ240のコアに集束し、一方、照明光243は、光ファイバ240のクラッドに集束する。しかしながら、上述のように、いくつかの他の実施形態では、照明光243は、代わりに、光ファイバ240のクラッド及びコアの両方に集束されてもよい。そのような実施形態では、照明光243は、半径方向に放出されるだけでなく、光ファイバ240の終端端部242を通っても放出される。更に他の実施形態では、照明光243は、光ファイバ240のコアのみに集束する。
【0030】
いくつかの実施形態では、光ファイバ240は、Alcon製のNGENUITY(登録商標)3D視覚化システムなどのデジタル視覚化システムに通信可能に結合される。他の製造業者によって製造されたものを含む他のデジタル視覚化システムもまた、本明細書に記載の実施形態と共に使用することが考えられる。デジタル視覚化システムの利用により、色相、彩度、ガンマ、色合い、及び/又は他の光パラメータの調整によって、光ファイバ240から放射される照明光243の色及び強度の修正を可能にすることができる。
【0031】
本明細書では「光」が論じられているが、本開示の範囲は可視光に限定されることを意図するものではない。むしろ、UV及びIR放射などの他のタイプの放射が、光ファイバ240から伝達されてもよく、「光」という用語は、光ファイバ240と共に使用するための全てのタイプの放射を包含することを意図している。いくつかの例では、非可視光は、光ファイバ240によって伝達され、上述のデジタル視覚化システムによる分析のために非可視光センサによって捕捉され得る。したがって、非可視光源を、照明光源266及び/又はレーザ光源264に加えて光ファイバ240に結合することができ、非可視光は、レーザ光241及び照明光243と同時に、又は順次にパルス化されて伝播され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、光ファイバ240は、約40μm~約100μmの直径など、約20μm~約120μmの直径を有する。例えば、光ファイバ240は、約50μm~約80μmの直径を有する。しかしながら、より小さい又はより大きい直径も考えられる。いくつかの実施形態では、複数の光ファイバ240を含む光スリーブアセンブリが利用される。例えば、均一又は異なる直径を有する複数の光ファイバ240を含む光スリーブを利用することができる。更なる実施形態では、光ファイバ240は、マルチモード端面発光ファイバ、シングルモード端面発光ファイバなどである。
【0033】
図3A図3Cは、レーザ光及び照明光の両方を投射するために内部に光ファイバ240が収容されている、図2A~2Dのプローブ210の例示的な正面断面図を示している。図示されるように、プローブ210は、内部側壁226及び外部表面236によって画定される円形の断面を有する。一般に、光ファイバ240は、本開示の実施形態によれば、コア344と、コア344を円周方向に取り囲むクラッド346と、を含む。コア344は、溶融シリカ又はガラスなどの任意の透明材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コア344は、ドープされる。例えば、コア344は、ゲルマニウムをドープしたシリカであり得る。コア344をゲルマニウム又は同様のドーパントでドープすることにより、クラッド346材料の屈折率と比較してコア344の屈折率が増大し、したがって、コア344内でのレーザ及び光ガイド特性を可能にする。
【0034】
クラッド346はまた、溶融シリカ又はガラスなどの透明材料を含み得る。いくつかの実施形態では、クラッド346は、コア344のドープに加えて、又はその代わりにドープされる。例えば、溶融シリカを含み得るクラッド346は、コア344の屈折率に対してクラッド346の屈折率を低減するドーパントでドープされる。ドーパントの例には、フッ素(F)、塩素(Cl)、ホウ素(B)などが含まれる。ドープされると、クラッド346は、コア344よりも低い屈折率を有し、したがって、コア344内の光ガイド特性を可能にする。図3A図3Cの各々には1つのクラッド346が示されているが、光ファイバ340は、1つ以上の追加のクラッドを更に含むことができる。
【0035】
一例では、コア344は、約75μmの直径などの、約20μm~約80μmの直径など、5μm~約100μmの範囲の直径を有する。しかしながら、より小さい又はより大きい直径も考えられる。一例では、クラッド346は、約25μmの厚さなどの、約15μm~約40μmの厚さなど、約5μm~約50μmの厚さを有する。しかしながら、より小さい又はより大きい厚さも考えられる。
【0036】
図3B及び図3Cに示されるいくつかの実施形態では、光ファイバ240は、スリーブ348内に配置される。スリーブ348は、クラッド346の外部に直接的又は間接的に結合し、光ファイバ240のクラッド346及びコア344を円周方向に取り囲むことができる。スリーブ348は、プローブ210の主内腔260内での光ファイバ240の構造的支持及び整列を提供するためのチューブ状構造体として機能し得る。コア344及びクラッド346と同様に、スリーブ348は、溶融シリカ及びガラスなどの透明材料を含み得る。更なる実施形態では、スリーブ348は、ドーパントでドープされ、スリーブ348の屈折率を所望通りに操作する。スリーブ348は、約25μmの厚さなどの、約15μm~約40μmの厚さなど、約5μm~約50μmの厚さを有し得る。しかしながら、より小さい又はより大きい厚さも考えられる。スリーブ348が光ファイバ240に直接結合される実施形態では、スリーブ348の内部表面は、光ファイバ240の外径と実質的に同様の内径を有し得る。
【0037】
図3A及び図3Bは、光ファイバ240がプローブ210の内部側壁226に対して配置される例示的な配置を示している。光ファイバ240は、(図2A図2Cに示されている)ポート222と半径方向に整列されたその長手方向部分に沿って内部側壁226に結合され得る。したがって、空間228は、光ファイバ240が結合される内部側壁226の長手方向部分を除いて、光ファイバ240の周りの主内腔260内に形成される。そのような構成により、プローブ210の内部を通って、分離された硝子体コラーゲン繊維の改善された吸引を可能にすることができる。光ファイバ240は、任意の適切な接着剤又は結合機構を介して内部側壁226に結合又は接合され得る。例えば、クラッド346又はスリーブ348の外部表面は、エポキシ又はアクリル接着剤を用いてプローブ210の内部側壁226に接合され得る。しかしながら、他の接着剤も考えられる。
【0038】
図3Cは、光ファイバ240が主内腔260内に懸架されている、代替の例示的な配置を示している。いくつかの例では、スリーブ348は、光ファイバ240を内部側壁226に結合することなく、主内腔260の内側に光ファイバ240を懸架することを可能にするように、光ファイバ240に構造的支持及び剛性を提供することができる。図3Cに示されるように、光ファイバ240は、光ファイバ240の外部表面上の点と内部側壁226との間の半径方向距離が光ファイバ240の全周にわたって均一であるように、主内腔260内の中心に配置され得る。
【0039】
図4A図4Dは、少なくとも2本の光ファイバ440a、440bを内部に収容したプローブ410の例示的な正面断面図を示している。したがって、第1の光ファイバ440aは、硝子体線維分離用のレーザ光を伝播するために利用することができ、第2の光ファイバ440bは、眼内空間の照明用の照明光を伝播するために利用することができる。光ファイバ440a、440bの各々は、それぞれ、コア444a、444b、及びクラッド446a、446bを更に含む。コア444a、444b、及びクラッド446a、446bは、それぞれ、レーザ及び照明光ビームの伝播に適した任意の材料で形成され得る。例えば、コア444a、444b、及びクラッド446a、446bは、上述のように、溶融シリカ又はガラスなどの透明材料を含み得る。コア444a、444b、及びクラッド446a、446bは、光ファイバ440a、440bのそれぞれの所望の屈折特性に応じて、1つ以上のドーパントで更にドープされ得る。
【0040】
コア444a、444b、及びクラッド446a、446bを含む光ファイバ440a、440bの寸法は、上述の光ファイバ240、コア344、及びクラッド346の寸法と実質的に同様であり得る。図4A図4Dでは異なる寸法を有するように示されているが、光ファイバ440a、440b、コア444a、444b、及びクラッド446a、446bは、互いに同様の又は異なる寸法を有し得る。
【0041】
図4A及び図4Bに示されるように、光ファイバ440a、440bは両方とも、スリーブ448の2次内腔462内に配置される。スリーブ348と同様に、スリーブ448は、プローブ410の主内腔460内での光ファイバ440a、440bの構造的支持及び封じ込めを提供することができる。スリーブ448は、溶融シリカ及びガラスなどの透明材料を含み得る。更なる実施形態では、スリーブ448は、ドーパントでドープされ、スリーブ448の屈折率を所望通りに操作する。スリーブ448は、約15μm~約40μmの厚さなどの、約5μm~約50μmの厚さなど、光ファイバ440a、440bに好適な支持及び剛性を提供するための任意の適切な厚さを有し得る。例えば、スリーブ448は、約25μmの厚さを有し得る。しかしながら、より小さい又はより大きい厚さも考えられる。いくつかの実施形態では、内部の光ファイバ440a、440bの移動を防止するために、透明な充填材料を2次内腔462内で使用してもよい。例えば、接着剤により、光ファイバ440a、440bによって占有されていない2次内腔462内の全ての領域を充填することができる。他の実施形態では、光ファイバ440a、440bは、充填材料を利用することなく、2次内腔462内に配置される。
【0042】
図4C及び図4Dは、スリーブ448を利用することのない、光ファイバ440a、440bの代替の例示的な配置を示している。図4Cでは、光ファイバ440a、440bは、プローブ410自体以外のいかなる周囲構造なく、プローブ410の主内腔460内に配置されている。いくつかの例では、光ファイバ440a、440bは、接着剤による接合などによって、主内腔460内で一緒に結合され得る。他の実施形態では、光ファイバ440a、440bは、主内腔460内で互いに分離されて、絶縁され得る。図4Dでは、光ファイバ440a、440bは、光ファイバ440a、440bの配置を可能にするために貫通して開けられた1つ以上の長手方向ボア472を有するスペーサチューブ470を通って配置されている。スペーサチューブ470は、スリーブ448と実質的に同様の方式で作用し、光ファイバ440a、440bの構造的支持及び封じ込めを提供することができる。スペーサチューブ470は、溶融シリカ及び/又はガラスを含む、任意の適切な透明材料から形成され得る。
【0043】
光ファイバ440a、440bが主内腔460内の別の構造体内に収容されているかどうかに関係なく、光ファイバ440a、440bは、内部側壁426に直接的若しくは間接的に接触するか、又は内部側壁426と接触することなく懸架されるか、のいずれかで配置され得る。図4A図4C、及び図4Dは、光ファイバ440a、440bがプローブ410の内部側壁426に直接的又は間接的のいずれかで結合される例を示している。上述のように、光ファイバ440a、440bは、エポキシ又はアクリル接着剤などの任意の適切な接着剤又は接合機構を介して、内部側壁326に直接的又は間接的に結合され得る。或いは、光ファイバ440a、440bは、図4Bに示されるように、内部側壁426に直接的又は間接的に接触しないように、主内腔460内に配置され得る。図4A図4Dには2本の光ファイバ440a、440bのみが示されているが、3本以上の光ファイバを実質的に同様の構成で利用することができる。
【0044】
図5A及び図5Bは、レーザ光を伝播するように構成された第1の光ファイバ550と、第1の光ファイバ550を取り囲み、且つ照明光を伝播するように構成された複数の第2の光ファイバ540と、を有するプローブ510の例示的な正面断面図を示している。第1の光ファイバ550及び第2の光ファイバ540は、それぞれ、コア554、544及びクラッド556、546を含む。コア554、544及びクラッド556、546の材料及び寸法は、上述の光ファイバ240及び440の材料及び寸法と実質的に同じであってもよい。しかしながら、図5A及び図5Bに示されるように、第2の光ファイバ540の寸法は、第1の光ファイバ550の寸法より小さくてもよく、主内腔560内の空間528に十分な体積を与えて、そこを通る硝子体コラーゲン繊維の吸引を可能にする。
【0045】
図5Aの例示的な構成では、単一の第1の光ファイバ500が主内腔560内に配置され、その外径に沿って複数の第2の光ファイバ540によって円周方向に取り囲まれている。換言すれば、コア554の中心がコア544の中心から等距離又は少なくとも実質的に等距離になるように、第2の光ファイバ540のリングが、第1の光ファイバ550のクラッド556の周りに配置され且つそれと接触している。更なる実施形態では、任意選択のスリーブ548が、複数の第2の光ファイバ540の周りに配置され、第2の光ファイバ540を第1の光ファイバ550に対して強固に保持するように構成されている。スリーブ548は、第2のファイバ540が強固に詰め込まれ、第2のファイバ540が緩んだり移動したりする余地がないことを確実にするように、任意の適切な厚さ及び寸法を有し得る。主内腔560内の中心に懸架されているように図示されているが、第1の光ファイバ550及び取り囲む第2の光ファイバ540は、主内腔560内の任意の適切な位置に配置され得る。例えば、第1の光ファイバ550及び取り囲む第2の光ファイバ540は、ポート222と半径方向に整列された長手方向部分に沿って、プローブ510の内部側壁526に結合され得る。
【0046】
図5Bは、主内腔560内の単一の第1の光ファイバ550及び複数の第2の光ファイバ540の別の例示的な配置を示している。図5Aとは異なり、第2の光ファイバ540は、レーザファイバ500の外径に沿ってではなく、内部側壁526に沿って配置されている。したがって、第2の光ファイバ540は依然として第1の光ファイバ550を取り囲んでいるが、コア554の中心は、コア544の中心から等距離又は実質的に等距離ではない。更に、硝子体コラーゲン繊維は、第2の光ファイバ540の半径方向内側に位置する空間528に吸引されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光ファイバ550は、内部側壁526をライニングする第2の光ファイバ540のいずれにも接触しないように、主内腔560内に懸架される。しかしながら、図5Bの実施形態では、第1の光ファイバ550は、1つ以上の第2の光ファイバ540に対して配置され、したがって、第1の光ファイバ550は、1つ以上の第2の光ファイバ540によって内部側壁526に間接的に結合される。図5A及び図5Bに示される第1の光ファイバ550及び第2の光ファイバ540の配置は、第1の光ファイバ550の周りの第2の光ファイバ540の360度の配置により、その使用中に眼内空間の照明を改善することができる。
【0047】
手術器具のプローブ内で光ファイバの異なる配置を利用することに加えて、手術領域(例えば、眼内空間)への照明光の伝播は、プローブに異なる材料を利用することによって、及び/又はマスクを使用することによって修正され得る。例えば、プローブは、半透明又は透明な材料で形成された1つ以上の部分、及び不透明又は半不透明な材料で形成された1つ以上の部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、プローブの遠位部分は、半透明又は透明な材料で形成され、一方、プローブの近位部分は、ステンレス鋼又はアルミニウムなどの金属で形成される。いくつかの実施形態では、プローブの遠位先端(ポートの周囲の領域を含む)のみが半透明又は透明な材料で形成され、遠位部分の残りの部分及び近位部分の全体が、金属で形成される。更なる実施形態では、プローブの遠位部分及び近位部分の両方が、半透明又は透明な材料で全体的に形成される。
【0048】
図6A図6Dは、そうでなければ半透明又は透明な材料で形成された遠位部分614及び近位部分612を通る照明光の伝播を修正するマスク680の異なる例示的な配置を有するプローブ610の外部の平面図を示している。マスク680は、照明光の透過を低減又は防止するための任意の適切なデバイス、材料、又は機構を指す。例えば、マスク680は、プローブ610の他の領域に対してより高い屈折率を有するプローブ610の領域を指し得る。いくつかの例では、マスク680は、通過し得る照明光が低減された又は全くない、プローブ610の不透明又は半不透明な部分を指す。他の例では、マスク680は、プローブ610の外部表面又は内部表面に適用された不透明又は半不透明なフィルム又は層を指す。更に他の例では、マスク680は、プローブ610の金属部分を指す。任意の形態では、マスク680は、プローブ610の長さLに沿って任意の適切な構成で配置されて、眼内空間の最適な照明を提供し、照明光によって引き起こされる手術器具のユーザに対するグレアを低減することができる。
【0049】
図6Aに示される例示的な1つの実施形態では、マスク680は、ポート622に隣接する半透明又は透明な部分Tを除いて、プローブ610の近位部分612及び遠位部分614を実質的に取り囲む。領域Tは、ポート622の近位で始まり、遠位先端616で終わり、プローブ610の周りを円周方向に包む。したがって、プローブ610内の1つ以上の光ファイバから周囲環境への照明光の伝達は、マスク680によって覆われた、半透明又は透明部分Tに対して近位の長さLの大部分に沿って、実質的に低減又は防止される。むしろ、図6Aのプローブ610から放出された照明光の大部分は、半透明又は透明部分Tから半径方向外側360°に伝播され得る。したがって、プローブ610の使用中の照明は、硝子体材料を分離して吸引することができるポート622に隣接する操作領域(例えば、眼内空間)内の領域に限定させることができ、そのユーザに対するグレアを低減して視認性を改善する。
【0050】
図6Bは、マスク680がポート622の周りに更に延びる、図6Aのものと実質的に同様の別の例示的な実施形態を示している。例えば、マスク680は、ポート622の周りに(例えば、取り囲んで)周囲を形成することができ、ポート622は、マスク680によって「囲われている」ように説明され得る。ポート622の周りの追加のマスクは、プローブ610の側壁を通って伝達している照明光によって引き起こされるグレアを更に低減し、眼内空間の可視性を改善することができる。
【0051】
図6Cに示される例示的な実施形態では、プローブ610の遠位部分614は、遠位先端616においてマスク680によって覆われた領域を除いて、実質的に透明である。覆われた領域は、ポート622の遠位端部で始まり、プローブ610の遠位先端616を包む。硝子体切除中、プローブ610の遠位先端616は、しばしば、患者の眼の網膜に近接して配置され、遠位先端616を通る過剰な照明は、網膜損傷を引き起こす場合がある。したがって、図6Cのマスク配置を利用することにより、患者の網膜の近くを伝達している照明光によって引き起こされる網膜の損傷を軽減又は排除することができ、照明光は、半透明又は透明部分Tを通って、ポート622の遠位端部と近位部分612との間でプローブ610から半径方向外側のみに伝達され得る。
【0052】
図6Dは、プローブ610用のマスク配置の別の例示的な実施形態を示している。図6Dに示されるように、マスク680は、遠位部分614の長手方向象限682のみを覆い、近位部分612を横切ってプローブ610の長さLに沿って続く。マスク680によって覆われた長手方向象限682は、ポート622を包含し、したがって、照明光は、プローブ610に沿ってポート622に向かって、ユーザの視線に沿ってプローブ610から放出されない。したがって、照明光は、網膜硝子体手術を行う際に、ユーザの視線から離れる方向にプローブ610から半径方向外側に伝達され、したがって、干渉グレアを低減又は除去することができる。長手方向象限682のみを覆うように図示されているが、マスク680は、プローブ610の長手方向の半球など、プローブ610のより広い領域又はより狭い領域を覆うことができることも考えられる。
【0053】
要約すると、本開示の実施形態は、網膜硝子体手術を行うためのデバイス及び構造体を含む。特に、上述の手術器具は、レーザ硝子体切除及び眼内照明の機能を組み合わせて、硝子体除去のより効率的な実施を可能にする。レーザ硝子体切除プローブの利用により、硝子体物質のコラーゲン線維を容易に除去することが可能になり、硝子体物質を除去することによって生じる網膜牽引力を低減させることができる。さらに、半透明材料で形成された部分を有する硝子体切除プローブを通る照明光の伝播により、非効率的な眼内照明を提供し得、又は眼内空間内の操作場所を制限し得る、2次照明デバイスを必要とせずに拡散眼内照明を可能にする。なおも更に、本明細書に記載の実施形態は、従来の眼科照明器に共通の問題である、硝子体切除プローブのユーザに対するグレアの発生を低減する構成を提供する。したがって、記載された実施形態は、より効率的で、侵襲性が低く、且つより安全な硝子体網膜手術の実施を可能にする。
【0054】
硝子体手術は、記載された実施形態からの恩恵を受け得る外科的処置の例として論じられているが、本明細書に記載される手術用デバイス及びシステムの利点は、他の外科的処置にも同様に恩恵をもたらし得る。
【0055】
本明細書に開示される実施形態の例は、手術器具を含み、手術器具は、ベースユニットと、ベースユニットの遠位端部の開口部を通って配置されたプローブであって、プローブの遠位先端に近接して形成されたポートと、プローブを通って形成された内腔と、内腔内に配置された1つ以上の光ファイバであって、光ファイバがポートに近接した領域を照射してポートを通って吸引された硝子体材料のコラーゲン繊維を切断するためのレーザ光を投射し、1つ以上の光ファイバが患者の眼内空間を照明するための照明光を更に投射する、1つ以上の光ファイバと、を含むプローブと、を備える。1つ以上の光ファイバは、レーザ光及び照明光を投射するように構成された単一の光ファイバを含み得る。レーザ光は、光ファイバのコアに集束することができ、照明光は、光ファイバのクラッドに集束することができる。照明光はまた、光ファイバのコアに集束することができる。1つ以上の光ファイバは、レーザ光を投射するように構成された第1の光ファイバと、照明光を投射するように構成された第2の光ファイバと、を含み得る。照明光は、第2の光ファイバのコア又はクラッド(又は両方)に集束することができる。レーザ光は、連続又はパルスレーザ光であってもよい。パルスレーザ光は、ピコ秒又はフェムト秒レーザ光であってもよい。レーザ光及び照明光は、1つ以上の光ファイバから同軸で投射され得る。プローブは、照明光の透過を容易にするために半透明又は透明な材料で形成された1つ以上の部分を更に含み得る。照明光は、光ファイバから半径方向外側に放出され、プローブの半透明又は透明な材料を通って伝達され得る。プローブは、照明光の透過を低減し、照明光によって引き起こされるグレアを低減するために、不透明な材料を更に含み得る。ポートに隣接するプローブの一部分は、半透明又は透明な材料で形成することができ、プローブの残りの部分は不透明な材料を含むことができる。不透明な材料は、ポートの周辺部を更に形成することができる。プローブの長さに沿った長手方向象限は、不透明な材料を含むことができ、プローブの残りの部分は、半透明又は透明な材料で形成することができる。レーザ光及び照明光は、1つ以上の光ファイバを通って同時に投射することができる。レーザ光及び照明光は、1つ以上の光ファイバを通って順次にnパルス化され得る。1つ以上の光ファイバは、吸引空間が1つ以上の光ファイバを円周方向に取り囲むように、内腔内に懸架され得る。1つ以上の光ファイバは、内腔の側壁に結合され、ポートと整列され得る。
【0056】
上記は本開示の実施形態に関するが、その基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の及び更なる実施形態が考案され得、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
【国際調査報告】