(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】サージ防護デバイスおよびモジュール式サージ防護システム
(51)【国際特許分類】
H01T 4/02 20060101AFI20230419BHJP
H01T 2/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
H01T4/02 B
H01T4/02 G
H01T2/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555926
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2021056562
(87)【国際公開番号】W WO2021185778
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】102020107318.6
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522067846
【氏名又は名称】デーン エスエー
【氏名又は名称原語表記】DEHN SE
【住所又は居所原語表記】Hans-Dehn-Strasse 1 92318 Neumarkt i.d.OPf. Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツォイナー、エドモンド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットマン、ゲオルク
(57)【要約】
サージ防護デバイスは、少なくとも1つの遮断デバイス(34)と、少なくとも1つの作動デバイス(36)と、指示器デバイス(40)と、少なくとも第1の位置と第2の位置の間で回転され得るシャフト(38)と、を有する。少なくとも1つの作動デバイス(36)は第1の設定と第2の設定の間で変更され得る。シャフト(38)、指示器デバイス(40)、および作動デバイス(36)が設計される様式、ならびに、第1の位置において作動デバイス(36)が、作動デバイスを予圧した状態で少なくとも1つの遮断デバイス(34)に固止される様式は、作動デバイス(36)が、遮断デバイス(34)がトリガされると解放され、シャフト(38)を介して指示器デバイス(40)をトリガするような様式である。本発明はモジュール式サージ防護システムにも関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの遮断デバイス(34)と、少なくとも1つの作動デバイス(36)と、指示デバイス(40)と、少なくとも第1の位置および第2の位置の間で回転するように取り付けられているシャフト(38)と、を備える、サージ防護デバイスであって、
該少なくとも1つの作動デバイス(36)は第1の位置と第2の位置の間で変動可能であり、
該シャフト(38)、該指示デバイス(40)、および該作動デバイス(36)が形成される様式、ならびに、該作動デバイス(36)が該第1の位置にあるときに該少なくとも1つの遮断デバイス(34)に固止されて予圧される様式は、該作動デバイス(36)が、該遮断デバイス(34)がトリガされると解放され、該シャフト(38)を介して該指示デバイス(40)をトリガするような様式であり、特に、該作動デバイス(36)は、該遮断デバイス(34)がトリガされると解放され、該指示デバイス(40)を解放し、以って該指示デバイス(40)を該シャフト(38)を介してトリガする、サージ防護デバイス。
【請求項2】
前記遮断デバイス(34)がトリガされると前記少なくとも1つの作動デバイス(36)は解放され前記第2の位置へと移動し、前記シャフト(38)は、前記少なくとも1つの作動デバイス(36)と関連させて、前記少なくとも1つの作動デバイス(36)が前記第1の位置にあるときに前記シャフト(38)が第1の位置にあるように、および、前記少なくとも1つの作動デバイス(36)が前記第2の位置にあるときに前記シャフト(38)が第2の位置にあるように配置され、
前記指示デバイス(40)は、前記第1の位置では前記シャフト(38)によって非トリガ位置に保持され、前記第2の位置では解放されることを特徴とする、請求項1記載のサージ防護デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの作動デバイス(36)を前記遮断デバイス(34)に前記固止することは、前記作動デバイス(36)において予め定められた温度を超えたときに、少なくとも前記作動デバイス(36)が、前記遮断デバイス(34)から少なくとも部分的に切り離された状態になり、前記作動デバイス(36)を解放するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のサージ防護デバイス。
【請求項4】
前記シャフト(38)は少なくとも軸方向における複数の区域において周方向の少なくとも1つの係合表面を有し、特に、前記シャフト(38)は該軸方向において離間された複数のカム(54)を含むカムシャフトとして形成されており、あるカム(54a)が前記少なくとも1つの作動デバイス(36)と関連付けられており、別のカム(54c)が前記指示デバイス(40)と関連付けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項記載のサージ防護デバイス。
【請求項5】
前記作動デバイス(36)は、前記作動デバイス(36)が前記第1の位置にあるときに第1の位置にあり、前記作動デバイス(36)が前記第2の位置にあるときに第2の位置にある、作動要素(48)を含み、該作動要素(48)は、前記シャフト(38)を回転させるべく、前記作動要素(48)の該第1の位置と該第2の位置の間で前記シャフト(38)、特にカム(54a)のうちの1つに少なくとも一時的に係合するように構成および配置されている、作動部分(52)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項記載のサージ防護デバイス。
【請求項6】
前記指示デバイス(40)は、各々が第1の位置と第2の位置の間で移動可能である指示要素(62)と阻止要素(56)とを備え、該阻止要素(56)および該指示要素(62)は、該阻止要素(56)が該第1の位置にあるときに前記シャフト(38)、特に前記シャフト(38)のカム(54c)に押し付けられて予圧され、該指示要素(62)が該阻止要素(56)に押し付けられて予圧されるように配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項記載のサージ防護デバイス。
【請求項7】
前記指示デバイス(40)は、指示エリア(58)と、該指示エリア(58)内に固定されている第1の指示表面と、移動可能な第2の指示表面と、を含み、該第2の指示表面は、該第2の指示表面が該第1の指示表面を覆うロック位置、特に第1の位置と、該第2の指示表面が該第1の指示表面からずらして配置される引外し位置、特に第2の位置と、の間で移動可能であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項記載のサージ防護デバイス。
【請求項8】
前記指示デバイス(40)は、指示エリア(58)と、該指示エリア(58)内に固定されている第1の指示表面と、移動可能な第2の指示表面と、を含み、該第2の指示表面は、該第2の指示表面が該第1の指示表面を覆うロック位置、特に第1の位置と、該第2の指示表面が該第1の指示表面からずらして配置される引外し位置、特に第2の位置と、の間で移動可能であり、
前記第2の指示表面は前記指示要素(62)上に形成されており、前記指示要素(62)はバネ(68)によって前記第1の位置にロックされ前記第2の位置に向けて予圧され、前記第2の位置において前記指示要素(62)の前記ロックが前記阻止要素(56)によって解放されることを特徴とする、請求項6記載のサージ防護デバイス。
【請求項9】
前記シャフト(38)の回転軸と指示要素(62)の長手軸、特に変位の軸は互いに平行であり、特に、阻止要素(56)の長手軸、特に変位の軸および/または作動要素(48)の長手軸は、前記シャフト(38)の該回転軸、および前記指示要素(62)の該長手軸、特に該変位の軸と実質的に直交することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項記載のサージ防護デバイス。
【請求項10】
前記シャフト(38)の回転軸と作動要素(48)の回転軸が互いに平行であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項記載のサージ防護デバイス。
【請求項11】
サージ防護デバイス(14)が、前記シャフト(38)を介して前記指示デバイス(40)を互いに独立的にトリガするように適合されている少なくとも1つの作動デバイス(36)を各々有する、複数の遮断デバイス(34)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項記載のサージ防護デバイス。
【請求項12】
ベース部分(12)と、請求項1~11のいずれか一項記載のサージ防護デバイス(14)と、を備え、該ベース部分(12)はサージ防護デバイス(14)用のレセプタクル(20)を含む、モジュール式サージ防護システム。
【請求項13】
サージ防護システム(10)は、前記シャフト(38)が前記第1の位置にあるときに、前記レセプタクル(20)内へと部分的に突出し、前記シャフト(38)、特に前記シャフト(38)のカム(54b)に押し付けられて予圧され、前記シャフト(38)が前記第2の位置にあるときに作動される、スイッチ(22)を含むことを特徴とする、請求項12記載のモジュール式サージ防護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ防護デバイスに、特にタイプ1、タイプ2、タイプ3、またはタイプ1、2、および3の組合せのものに関し、また、モジュール式サージ防護システムに、特にタイプ1、タイプ2、タイプ3、またはタイプ1、2、および3の組合せのものに関する。
【背景技術】
【0002】
タイプ1のサージ防護デバイスは、例えば落雷の発生時の建物への侵入を防護するために使用される。コンパクトな設計の、すなわちまとまって導入されるユニットを構成する、または、多極ベース部分といくつかのプラグイン・モジュールとから構築される、タイプ1のサージ防護デバイスが知られている。
【0003】
建物の中にはタイプ2およびタイプ3のサージ防護デバイスが更に配置され、これらは同様にコンパクトなまたはモジュール式の設計であり得る。
【0004】
そのようなサージ防護デバイスは、指示デバイス、いわゆるグループ・ディスプレイ、すなわちデバイスの状態に関する視覚的指示器と、遠隔シグナリング・スイッチと、を備え得る。
【0005】
しかしながらそのようなコンパクトなサージ防護デバイスの欠点は、不具合が生じるとすぐに、例えば過負荷後に、常にユニット全体の交換が必要になることである。また更に、グループ・ディスプレイおよび/または遠隔シグナリング・スイッチをトリガするための既知の機構は故障を起こし易く、また衝突および衝撃への耐性が低い。
【0006】
多極ベース部分と単極プラグイン・モジュールとから構成されるサージ防護デバイスは通常、ベース部分に遠隔シグナリング指示器が取り付けられており、個々のプラグイン・モジュールは不具合指示器を有する。
【0007】
この場合の欠点は、不具合/損傷が生じた場合にその不具合のあるプラグイン・モジュールだけが故障を示し交換されるが、近隣のモジュールのその前から存在する不具合を排除することができず、それらの交換もやはり推奨されることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、グループ・ディスプレイおよび遠隔シグナリング・スイッチの両方/一方を作動させることができ、同時に高い衝突および衝撃耐性を有しかつ任意の所望の数の作動デバイスに拡張可能な、サージ防護デバイスおよびモジュール式サージ防護システムを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は本発明に従って、サージ防護デバイス、特に、少なくとも1つの遮断デバイス、特に電熱によって動作するものと、少なくとも1つの作動デバイスと、指示デバイスと、少なくとも第1の位置と第2の位置の間で回転するように取り付けられているシャフトと、を備える、例えばタイプ1、タイプ2、タイプ3、またはタイプ1、2、および3の組合せの、多極サージ防護デバイス、によって達成される。この場合、少なくとも1つの作動デバイスは、第1の位置と第2の位置の間で変動可能である。また更に、シャフト、指示デバイス、および作動デバイスが形成される様式、ならびに、作動デバイスが第1の位置にあるときに少なくとも1つの遮断デバイスに固止されて予圧される様式は、作動デバイスが、遮断デバイスがトリガされると解放され、シャフトを介して指示デバイスをトリガするような様式であり、特に、作動デバイスは、遮断デバイスがトリガされると解放され、指示デバイスを解放し、以って指示デバイスをシャフトを介してトリガする。このようにして、作動デバイスおよびシャフトは、遮断デバイスによってもたらされた遮断を指示デバイスに伝達することのできる伝達機構を構成する。シャフトはここでは伝達機構のための特に単純かつ空間を最適化した解決法を提供し、このことにより製造の容易な、特にコンパクトなサージ防護デバイスを提供することが可能になる。更に、この伝達機構は衝撃および衝突に対する耐性が極めて高く、この結果、特に信頼性の高いサージ防護デバイスを保証でき、またほぼどのような数の遮断デバイスでも対象にすることができる。
【0010】
確実で安全な遮断を可能にするために、少なくとも1つの遮断デバイスはスパーク・ギャップを有してもよく、ハウジングはスパーク・ギャップを包囲し得る。スパーク・ギャップは例えばホーン・ギャップである。
【0011】
遮断デバイスおよびそのような遮断デバイス用の作動デバイスが、先行技術から、例えば独国特許公開第DE102018116354A1号から知られている。
【0012】
特に、作動デバイス、シャフト、および指示デバイスは純粋に機械的に動作する、すなわち作動デバイス、シャフト、および指示デバイスの電気的な作動は存在せず、この場合、サージ防護デバイスについての単純で確実な機能指示および/または遠隔シグナリング指示が保証され得る。したがって、作動デバイス、シャフト、および/または指示デバイスが何らかの導電性材料を含む必要がなく、このためより費用効果が高くより製造の容易な材料、例えばプラスチックを使用することができる。
【0013】
一態様では、遮断デバイスがトリガされると少なくとも1つの作動デバイスが解放され第2の位置へと移動し、このときシャフトが、少なくとも1つの作動デバイスと関連させて、少なくとも1つの作動デバイスが第1の位置にあるときにシャフトが第1の位置にあるように、および、少なくとも1つの作動デバイスが第2の位置にあるときにシャフトが第2の位置にあるように配置されることが実現される。この場合、指示デバイスは、第1の位置ではシャフトによってロック位置に保持され、第2の位置では解放される。このようにして、シャフトの位置の変更が行われると指示デバイスの状態の変更を単純な様式で実現することができる。
【0014】
例えば、作動デバイスおよび/または指示デバイスは、シャフトに押し付けられて予圧される。予圧によって即時の作動およびしたがって短い応答時間が実現される。
【0015】
一実施形態では、サージ防護デバイスは、作動デバイスおよび/または指示デバイスを予圧するバネを含み得る。
【0016】
特に、シャフトは第1の位置と第2の位置の間で、好ましくはシャフトの長手軸を中心にして回転可能である。回転移動によって、作動デバイスと指示デバイスの間の特に空間効率の高い強固な伝達手段を確保することが可能になる。
【0017】
少なくとも1つの作動デバイスを遮断デバイスに固止することは、作動デバイスにおいて予め定められた温度を超えたときに、少なくとも作動デバイスが遮断デバイスから少なくとも部分的に切り離された状態になり、作動デバイスを解放するように構成され得る。このようにして、作動デバイスを解放するために遮断デバイスの熱の生成を利用することが可能である。
【0018】
一実施形態では、シャフトは、少なくとも軸方向における複数の区域において、周方向の少なくとも1つの係合表面を有する。係合表面には作動デバイスおよび/または指示デバイスが係合することができる、すなわち、これらは例えば係合表面に押し付けられて張力をかけられてもよく、または、軸方向において複数の係合表面を設けてもよく、このとき係合表面のうちの1つは作動デバイスと関連付けられ、係合表面のうちの他の1つは指示デバイスと関連付けられる。係合表面はそれらと係合しているデバイスをそれらの初期位置に留めさせて、指示デバイスのトリガが行われないようにする。
【0019】
特に、シャフトは軸方向において離間された複数のカムを含むカムシャフトとして形成されており、このときあるカムは少なくとも1つの作動デバイスと関連付けられており、別のカムは指示デバイスと関連付けられている。この場合、カムは係合表面を各々有する。カムは係合表面を形成するための単純で空間効率の高い選択肢を提供する。
【0020】
更なる実施形態では、作動デバイスが、作動デバイスが第1の位置にあるときに第1の位置にあり、作動デバイスが第2の位置にあるときに第2の位置にある、作動要素を含むことが実現される。この場合、作動要素は、シャフトを回転させるべく作動要素の第1の位置と第2の位置の間で少なくとも一時的にシャフト、特にカムのうちの1つに係合するように構成および配置されている、作動エリアを有する。作動要素はシャフトに遮断を伝える役割を果たす。
【0021】
特に、作動要素は、作動要素のその第1の位置から第2の位置への回転によってシャフトへの遮断の伝達が行われるように、遮断デバイスに回転可能に固止される。
【0022】
作動要素は例えば、特にバネによって、シャフトに押し付けられて予圧される。この予圧に起因して、直接的な作動、およびしたがって短い応答時間が達成される。
【0023】
任意選択的に、作動要素の作動エリアは第1の位置においてのみまたは第2の位置においてのみシャフトに接触し、この結果、遮断の前にまたは後で、作動要素とシャフトの間に公差域、例えば間隙が形成される。
【0024】
別法として、作動要素の作動エリアは常に、すなわち第1の位置において、中間位置において、および第2の位置において、シャフトと接触する。この配置によってシャフトと作動要素の間の遊びが防止される。
【0025】
1つの態様によれば、指示デバイスは、各々が第1の位置と第2の位置の間で移動可能、特に変位可能な、指示要素、特に指示スライダと、阻止要素、特に阻止スライダと、を備える。阻止要素および指示要素はこの場合、第1の位置では阻止要素がシャフト、特にシャフトのカムに押し付けられて予圧されて配置され、指示要素は阻止要素に押し付けられて予圧される。この場合、第1の位置はロック位置に対応しており、第2の位置はトリガ位置に対応している。互いと関連させた指示要素および阻止要素のこの配置によって、単純な機械的連鎖反応によって指示要素を解放し、このようにして遮断を示すことが可能になる。
【0026】
例えば、指示要素は特にバネによって、阻止要素に押し付けられて予圧される、および/または、阻止要素は特にバネによって、シャフト、特にシャフトのカムに押し付けられて予圧される。予圧によって即時の作動およびしたがって短い応答時間の達成が可能になる。
【0027】
阻止要素および作動要素は、シャフトの異なるカムに押し付けられて予圧されてもよい。この結果、サージ防護デバイスにおける阻止要素および作動要素の互いに対する配置において、より高い多様性が得られる。
【0028】
更なる態様によれば、指示デバイスは、指示エリアと、指示エリア内に固定されており特に第1の色を有する第1の指示表面と、特に第1の色とは異なる第2の色を有する、移動可能な第2の指示表面と、を含む。第2の指示表面は、第2の指示表面が第1の指示表面を覆うロック位置、特に第1の位置と、第2の指示表面が第1の指示表面からずらして配置される引外し位置(tripped position)、特に第2の位置と、の間で移動可能である。このようにして、移動可能な第2の指示表面がそのロック位置、特にその第1の位置から、そのトリガ位置、特にその第2の位置へと移動されると、指示エリアに変化が、特に色の変化が生じる。このようにして、行われた遮断の視覚フィードバックが提供される。
【0029】
特に、第2の指示表面は指示要素上に形成されており、指示要素はバネによって第1の位置にロックされ第2の位置に向けて予圧され、第2の位置では阻止要素によって指示要素のロックが解放される。互いに対する指示要素および阻止要素のこの配置によって、単純な機械的連鎖反応によって指示要素を解放することが可能になり、この結果、特に色の変化によって遮断を指示することが可能になる。
【0030】
シャフトの回転軸と長手軸、特に指示要素の変位の軸とが互いに平行になっていてもよい。この様式では、シャフトおよび指示要素がそれらの回転軸または長手軸から側方に必要とする空間の量はごく僅かである。
【0031】
特に、長手軸、特に阻止要素の変位の軸および/または作動要素の長手軸は、シャフトの回転軸および長手軸、特に指示要素の変位の軸と実質的に直交し得る。このように、作動要素または阻止要素によって、シャフトのおよび指示要素の単純で確実な阻止が達成され得る。
【0032】
シャフトの回転軸および作動要素の回転軸は任意選択的に互いに平行であってもよい。その結果、必要とする構成要素の数はごく僅かで、作動要素とシャフトの間に単純な伝達手段を形成することができる。
【0033】
ある実施形態では、サージ防護デバイスが、シャフトを介して指示デバイスを互いに独立的にトリガするように適合されている少なくとも1つの作動デバイスを各々有する、複数の遮断デバイスを含むことが実現される。これによれば、シャフトは、個々の作動デバイスと関連付けられている、全ての遮断デバイスに共有されるシャフトである。ここでは、少なくとも1つの遮断デバイスによる遮断がシャフトを通して指示デバイスに論理OR操作として伝えられる。これに応じて、指示デバイスは全ての遮断デバイスのためのグループ・ディスプレイを構成し、1つの遮断デバイスだけでも遮断を完了していれば、指示デバイスにおいて視覚フィードバックが事前に与えられる。シャフトによって、任意の所望の数の遮断デバイスを対象とするかまたは捕捉することができる。
【0034】
例えば、遮断デバイスはシャフトの軸方向において互いから距離を置いて配置される。このことによって、シャフトとの関連において特に空間効率の高い遮断デバイスの配置が実現される。
【0035】
特に、各作動デバイスにはそれ自体の係合表面、特にそれ自体のシャフトのカムが関連付けられている。このようにして、遮断デバイスによって、またはより正確には遮断デバイスと関連付けられた作動デバイスによって、シャフトの独立的な作動を行うことができる。
【0036】
また更に、目的は本発明に従い、ベース部分、特に多極ベース部分と、上述したタイプのサージ防護デバイス、特に多極サージ防護デバイスと、を含み、ベース部分がサージ防護デバイス用のレセプタクルを含む、モジュール式サージ防護システム、によって達成される。ベース部分およびサージ防護デバイスはこの場合、一緒にサージ防護システムを構成する、2つの別個の構成要素である。サージ防護デバイスは、特に何らかの器具を必要とすることなくベースに挿入することおよびそこから取り外すことが可能であり、その結果サージ防護デバイスは、例えば落雷後に、容易に交換可能である。
【0037】
1つの態様によれば、サージ防護システムは、シャフトが第1の位置にあるときに、レセプタクル内へと部分的に突出し、シャフト、特にシャフトのカムに押し付けられて予圧され、シャフトが第2の位置にあるときに作動される、スイッチを含む。この場合、遮断デバイスと指示デバイスの間の伝達機構を構成することに加えて、作動デバイスおよびシャフトは、遮断デバイスからスイッチへの伝達機構も構成する。一般に、少なくとも1つの遮断デバイス、少なくとも1つの作動デバイス、シャフト、および指示デバイスの間の関係に関する上記した考察は、少なくとも1つの遮断デバイス、少なくとも1つの作動デバイス、シャフト、およびスイッチの間の関係にも当てはまる。
【0038】
スイッチは例えば、作動されるとシグナリングをトリガするための電気回路を中断させるかまたは閉じることのできる、遠隔シグナリング・スイッチであり得る。こうして、視覚フィードバックに加えて、実行されている遮断についての更なるフィードバックを提供することができる。
【0039】
スイッチおよび作動要素は、シャフト上の異なるカムに押し付けられて予圧されてもよい。この結果、スイッチおよび作動要素の互いに対する配置においてより高い多様性が得られる。
【0040】
基本的には、指示デバイスの指示要素の解放はしたがって、作動デバイスが遮断デバイスによって、作動デバイス、特に作動デバイスの作動要素がシャフトを作動させる、例えばシャフトを回転させるかまたはシャフトにシャフトを回転させる衝撃を与えるようにトリガされる、というかたちで行われる。
【0041】
このことによって、指示デバイスの阻止要素がシャフトから、特にシャフトの関連付けられたカムから係脱される。この点に関して、阻止要素はその場合それ以上関連付けられたカムの係合表面に押し付けられて静止していることはないが、その理由は、その係合表面がシャフトと一緒に移動されている、特に回転されているからである。この結果、阻止要素はこの時点で特に垂直方向に、すなわちシャフトの軸と直交するように移動できる。これは阻止要素の解放と呼ばれる。
【0042】
阻止要素の(垂直)移動の結果、阻止要素が機械的に予圧されている指示デバイスの指示要素をそれ以上阻止しないことが保証され、この結果、指示要素は水平方向に、すなわち阻止要素の移動の方向と直交するように、およびしたがってシャフトの軸と平行に、移動することができる。これは指示要素の解放とも呼ばれる。
【0043】
これに応じて、指示要素が移動して遮断を指示できるように指示要素を解放させる、解放機構が設けられる。この点に関して、解放機構は、作動デバイスとシャフトとを備え、指示要素を阻止する阻止要素の解放をもたらして指示要素が移動できるようにする、動作が連鎖する構造(active chain)を備える。
【0044】
本発明に係るサージ防護デバイスの上記した利点および特徴はサージ防護システムにも等しく当てはまり、またその逆も成り立つ。
【0045】
本発明の更なる利点および特徴が以下の説明からおよび参照される以下の添付の図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明に係るサージ防護デバイスを有する、本発明に係るモジュール式サージ防護システムの斜視図である。
【
図2】
図1に係るサージ防護システムのサージ防護デバイスの内側部分を示す図である。
【
図3】
図1および
図2に係るサージ防護デバイスの個々の構成要素の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、多極ベース部分12と多極サージ防護デバイス14とを含む、モジュール式サージ防護システム10を示す。
【0048】
サージ防護システム10はモジュール式であり、例えば落雷後にサージ防護デバイス14をベース部分12から取り外して交換できるという効果を有する。
【0049】
ベース部分12は、端子18とレセプタクル20とを備えるハウジング16を有する。
【0050】
サージ防護デバイス14を挿入方向Rにおいてレセプタクル20に挿入し保持することができ、このことによりサージ防護システム10は動作の準備が整う。
【0051】
ハウジング16内に遠隔シグナリング・スイッチ22(RSスイッチ)が設けられている。
【0052】
サージ防護デバイス14は、デバイス・ハウジング24と、デバイス・ハウジング24によって覆われていないコンタクト26と、を含む。サージ防護デバイス14がレセプタクル20に挿入されているとき、サージ防護デバイス14はコンタクト26によってベース部分12の端子18に電気的に接続される。
【0053】
図2はより明確にするためにデバイス・ハウジング24を取り外したサージ防護デバイス14を示しており、したがってサージ防護デバイス14の内部を見ることができる。また更に、ベース部分12の遠隔シグナリング・スイッチ22が例として示されている。
【0054】
遠隔シグナリング・スイッチ22は、サージ防護システム10またはサージ防護デバイス14の状態を示すように建築設備制御システム、スイッチ・キャビネット制御システムなどに組み込み可能な、トリガ30を有するマイクロスイッチ28を備える。
【0055】
サージ防護デバイス14は、フレーム32と、複数の、この場合3つの遮断デバイス34と、遮断デバイス34と各々関連付けられている複数の作動デバイス36と、シャフト38と、指示デバイス40と、を有する。
【0056】
当然ながら、ちょうど1つ、2つ、または4つ以上の遮断デバイス34を設けることも想到され得る。
【0057】
フレーム32は特にサージ防護デバイス14の底部の役割を果たし、この底部にコンタクト26、遮断デバイス34、作動デバイス36、シャフト38、および指示デバイス40が固止されるか、またはこの底部において案内される。
【0058】
フレーム32はレセプタクル20の底部と直接接触し、レセプタクル20と相補的に形成される。
【0059】
遮断デバイス34は各々、フレーム32の2つの支柱状の構造物の間に受けられる。支柱状の構造物は、サージ防護デバイス14またはサージ防護システム10の上向き方向Hに延在する。
【0060】
本発明の文脈では、サージ防護デバイス14またはサージ防護システム10の上向き方向Hは、サージ防護デバイス14がベース部分12に挿入される挿入方向Rと反対になることが意図されている。これは単に説明を目的としたものであり、図の向きに対応したものである。他方で、サージ防護システム10が通常取り付けられる向きでは、上向き方向Hは水平である。
【0061】
方向指示語の「上」および「下」は、図に示されている向きを指している。
【0062】
上向き方向Hと直交するように、サージ防護デバイス14は横方向Qおよび長手方向Lを有し、これらは、サージ防護デバイス14の短い方の側縁部の方向および長い方の側縁部の方向にそれぞれ対応している。
【0063】
遮断デバイス34は、
図2において遮断デバイス34のうちの1つについて点線で示されているハウジング42を各々含む。
【0064】
ハウジング42の各々の中には、スパーク・ギャップまたはバリスタなどの、少なくとも1つの過電圧制限構成要素も配置されている。
【0065】
遮断デバイス34のこの例示的な実施形態では、ハウジング42の各々の中にスパーク・ギャップ(図示せず)、例えばホーン・ギャップが形成される。
【0066】
遮断デバイス34、またはより正確にはハウジング42は、主として上向き方向Hおよび横方向Qにおいて延在し、長手方向Lにおいて前後に整列されて配置される。
【0067】
作動デバイス36は長手方向Lに見たときの対応する遮断デバイス34の正面に配置されており、フレーム32におよび/またはそこに割り当てられた遮断デバイス34に固止されている。
【0068】
作動デバイス36は、実質的に上向き方向Hおよび横方向Qに延在する、ベース・プレート44を各々備える。長手方向Lにおいて、ベース・プレート44および遮断デバイス34またはハウジング42は、前後に整列されて配置される。
【0069】
更に、作動デバイス36は、回転移動するようにベース・プレート44に取り付けられているトリガ要素46および作動要素48を各々含む。2つの要素(46、48)の回転軸は互いに平行であって長手方向Lを指していてもよい。
【0070】
トリガ要素46は例えば星のような形状を有し、
図2に示すように、作動デバイス36の第1の位置において作動要素48用の停止部を形成する。
【0071】
トリガ要素46は、示されている第1の位置にトリガ要素46をロックする対応する遮断デバイス34の構成要素上の、所定位置に固定される。
【0072】
例えば、この構成要素は感温性を有し、特定の温度を超えるとトリガ要素46を解放する。
【0073】
別の実施形態では、トリガ要素46は対応する遮断デバイス34と他の様式で協働してもよい。
【0074】
作動要素48は例えばレバーのような様式で成形され、
図2に示すような作動デバイス36の第1の位置において、初期位置に相当する第1の位置にある。
【0075】
第1の位置では、作動要素48は、上側部分において作動要素48に係合するバネ50によってトリガ要素46に押し付けられて予圧され、このとき作動要素48はトリガ要素46に押し付けられて支持される。
【0076】
バネ50は例えば螺旋バネであり得る。
【0077】
下側の部分において、作動要素48は、少なくとも時々はシャフト38に係合する作動部分52を有する。
【0078】
サージ防護デバイス14の下側部分にシャフト38が、これが第1の位置および第2の位置をとることができるよう回転するように取り付けられる。シャフト38の回転軸はこの場合長手方向Lに向けられており、2つの要素(46、48)の回転軸と平行であり得る。
【0079】
シャフト38はこの場合カムシャフトの形態であり、軸方向において離間された複数のカム54を有し、それらの各々は係合表面を有する。
【0080】
シャフト38はタイプの異なるカム54を有し、それらは
図3においてはっきりと見ることができる。
【0081】
第1のタイプのカム54aは、個々の作動デバイス36、またはより正確には個々の作動要素48の各々に割り当てられる。
【0082】
ここでは、カム54aの係合表面55aはシャフト38の周方向に向けられている。特に、係合表面55aは、シャフト38の実質的に半径方向および軸方向に延在する。
【0083】
係合表面55aは例えば、カム54aの作動要素48の作動部分52に対向する側にある。
【0084】
第2のタイプのカム54bは遠隔シグナリング・スイッチ22に割り当てられており、特に半径方向において第1のタイプのカム54aよりも小さい寸法を有する。
【0085】
例えば、カム54bは単なるかなり小さい膨らみとして成形されてもよい。
【0086】
ここでは、カム54bの係合表面55bはシャフト38の半径方向に向けられている。特に、係合表面55bは、シャフトの周方向および軸方向に延在する。
【0087】
係合表面55bは例えばカム54bの遠隔シグナリング・スイッチ22に対向する側に設けられ、これに押し付けられて遠隔シグナリング・スイッチ22、またはより具体的にはトリガ30が予圧される。
【0088】
第3のタイプのカム54cは指示デバイス40に割り当てられており、特に半径方向において第1のタイプのカム54aよりも小さい寸法を有する。
【0089】
例えば、カム54cは単なるかなり小さい膨らみとして成形されてもよい。
【0090】
ここでは、カム54cの係合表面55cはシャフト38の半径方向に向けられている。特に、係合表面55cは、シャフト38の周方向および軸方向に延在する。
【0091】
指示デバイス40の一部はサージ防護デバイス14の頂部に、すなわち遮断デバイス34の上方に設けられており、その一部はフレーム32内に設けられている。
【0092】
指示デバイス40は、阻止要素56と、指示エリア58と、ベース・プレート60と、ベース・プレート60に対して移動可能な指示要素62と、を含む。
【0093】
阻止要素56はフレーム32内で上向き方向Hに対して垂直に変位できるように取り付けられ、第1の位置および第2の位置をとることができる。この場合阻止要素56は阻止スライダである。
【0094】
図2に示す第1の位置では、阻止要素56はシャフト38のカム54cの係合表面55c上で、シャフト38の半径方向において実質的に垂直に支持される。この目的のために、係合表面は例えば、カム54cの、シャフト38の半径方向に配置されており阻止要素56に対向する側に設けられている。
【0095】
任意選択的に、阻止要素56は、バネによってシャフト38に押し付けられその結果第2の位置に向けて予圧されてもよい。
【0096】
フレーム32の支柱状の構造物の上面には、長手方向Lに対して水平に変位するように指示要素62が取り付けられており、これはロック位置および引外し位置をとることができる。この場合、指示要素62は支持スライダである。
【0097】
指示要素62はガイド・セクション64を、および、指示エリア58内に主セクション66を含む。ガイド・セクション64および主セクション66は指示要素の62の両端に設けられている。
【0098】
ガイド・セクション64は、フレーム32の支柱状の構造物上に運び台のように設置される。
【0099】
螺旋バネであってもよいバネ68は、例えば、指示要素62、またはより正確にはガイド・セクション64に係合する。
【0100】
サージ防護デバイス14のデバイス・ハウジング24は、指示エリア58内に視認窓70を追加的に含んでもよく、これにより指示エリア58を見ることが可能になる。
【0101】
示されている例示的な実施形態では、ベース・プレート60は、フレーム32の支柱状の構造物のうちの1つの頂面によって形成される。このことは、ベース・プレート60がフレーム32の支柱状の構造物の一部であることを意味する。
【0102】
指示エリア58内にあるベース・プレート60の部分は、固定された第1の指示表面を形成する。第1の指示表面の色は例えば赤色である。
【0103】
指示エリア58内で指示要素62の主セクション66は第2の指示表面を有し、これもまた相応に移動可能である。
【0104】
第2の指示表面は主セクション66の、ガイド・セクション64から離れる方に面する端部に設けられている。
【0105】
第2の指示表面、特に指示要素62全体の色は緑色である。
【0106】
図2に示すロック位置では、指示要素62の第2の指示表面はベース・プレート60の第1の指示表面を覆い、この結果、視認窓70を通して緑色の第2の指示表面を見ることができる。
【0107】
更に、指示要素62はバネ68によって阻止要素56に押し付けられその結果引外し位置に向けて予圧される。
【0108】
要するに、サージ防護システム10において作動デバイス36は、シャフト38を用いて、指示デバイス34および遠隔シグナリング・スイッチ22に動作可能に結合される。この場合、作動デバイス36には、またはより正確には作動要素48には、対応するカム54aが割り当てられ、遠隔シグナリング・スイッチ22には、またはより正確にはトリガ30には、カム54bが割り当てられ、指示デバイス40には、またはより正確には阻止要素56には、カム54cが割り当てられる。
【0109】
図3では、作動デバイス36、シャフト38、指示デバイス40、および遠隔シグナリング・スイッチ22は、遮断デバイス34、ベース・プレート44、およびフレーム32のない状態で描かれている。
【0110】
図2および
図3を参照して、指示デバイス40による表示の変更、および遮断デバイス34のうちの1つによる遮断時の遠隔シグナリング・スイッチ22のトリガについて検討する。
【0111】
図2および
図3に示す状況では、トリガ要素46および作動デバイス36の作動要素48は第1の位置にあり、シャフト38は第1の位置にあり、阻止要素56および指示要素62はロック位置にある。
【0112】
作動デバイス36の作動要素48は各々が、この場合対応するバネ50によって、関連付けられたトリガ要素46に押し付けられて予圧され、阻止要素56は-任意選択的にバネ力によって支援されて-シャフト38のカム54c上で支持され、指示要素62は、バネ68によって長手方向Lにおいて阻止要素56に押し付けられて予圧される。この状態では、視認窓70を通して緑色の第2の指示表面だけしか見ることができない。
【0113】
これが、全ての遮断デバイス34が動作可能であるときの、サージ防護デバイス14の動作状態である。
【0114】
サージ防護システム10またはサージ防護デバイス14を使用する場合、雷によるまたは他の過電圧が、少なくとも1つの過電圧制限構成要素、例えばスパーク・ギャップおよび/またはバリスタによって放散される。
【0115】
特に大きな高エネルギーの過電圧の発生時には、過電圧制限構成要素のうちの1つまたは複数がその/それらの機能性を失い、その後対応する遮断デバイス34によって安全に遮断され、そのことが指示デバイス40および遠隔シグナリング・スイッチ22によって連絡される。この目的のために、指示デバイス40および遠隔シグナリング・スイッチ22の両方がトリガされる。
【0116】
過電圧制限構成要素、例えばスパーク・ギャップまたはバリスタの過負荷が生じた場合には大量の熱が発生し、この熱が感温構成要素を介して遮断デバイス34によって検出されるか、またはこの熱によって遮断デバイス34がトリガされる。遮断デバイス34はその後、過負荷となった電圧制限構成要素を遮断する。
【0117】
遮断デバイス34のうちの1つまたは複数における感温構成要素のうちの1つが、この場合感温構成要素の融点によって決定される予め定められた温度に達するとすぐに、感温構成要素が破壊され、この結果トリガ要素46はもはや所定位置にロックされなくなる。
【0118】
トリガ要素46は、感温構成要素から係脱されると、もはや作動要素48をバネ50のバネ力に抗してロック位置に保持することができない。
【0119】
トリガ要素46および作動要素48は次いで、それらがベース・プレート44の1つまたは複数の停止ポイントにおいて停止されるまで、反時計回りに回転することになる。トリガ要素46および作動要素48はその後は各々がそれらの第2の位置にある。
【0120】
当然ながら、作動デバイス36、またはより正確にはトリガ要素46が、何らかの他のやり方で解放されることも想到され得る。
【0121】
作動要素48の回転中、または既に第1の位置にある間、作動要素48の作動部分52は、作動要素48に割り当てられたシャフト38のカム54aの係合表面に当接して静止している。作動要素48が回転されると作動要素48は周方向においてカム54aに係合し、シャフト38にトルクを生成し、このことによりシャフト38を時計回り方向に、特にその第2の位置へと回転させる。
【0122】
シャフト38のその第2の位置への回転は、遠隔シグナリング・スイッチ22と関連付けられており、トリガ30が押し付けられてシャフト38の本質的に半径方向において予圧されている、カム54bを、トリガ30からシャフト38の周方向において離れる方へと移動させる。
【0123】
このことによってトリガ30が例えばシャフト38が第2の位置に達したときに解放され、特にバネで予圧される様式で、シャフトに向かって半径方向に移動され、これによりマイクロスイッチ28が作動される。
【0124】
遠隔シグナリング・スイッチ22の作動に起因して、回路が切断されるかまたは閉じられて、遠隔シグナリングが発生する。
【0125】
シャフト38のその第2の位置への回転によって、カム54bが遠隔シグナリング・スイッチ22のトリガ30に押し付けられるように移動され、このことによりトリガ30がある程度後退し、この結果マイクロスイッチ28が作動されることも想到され得る。
【0126】
シャフト38がその第2の位置へと回転されると、指示デバイス40に割り当てられて上に阻止要素56がシャフト38の半径方向において実質的に垂直に支持されているカム54cは同時に、カム54cが阻止要素56から離れる方へと移動するように、シャフト38の周方向へと移動される。
【0127】
結果的に、阻止要素56はある時点からは、例えばシャフト38が第2の位置に達すると、もはやカム54c上では支持されなくなる。この時点から阻止要素56は-任意選択的にバネ力によって支援されて-解放され、上向き方向Hに沿ってその引外し位置へと下向きに変位される。
【0128】
阻止要素56の移動によって、長手方向Lにおいて指示要素62のロックが取り除かれる。指示要素62は次いで-バネ68によって駆動されて-その引外し位置まで長手方向Lに移動する。
【0129】
引外し位置では、第2の指示表面または主セクション66は第1の指示表面またはベース・プレート60からずらされており、このため第1の指示表面はもはや覆われていない。
【0130】
言い換えれば、第1の指示表面だけが依然として指示エリア58内に位置付けられており、このため視認窓70から赤色の表面を見ることができる。
【0131】
赤色の第1の指示表面は遮断デバイス34のうちの少なくとも1つにおける不具合を示しており、この場合サージ防護デバイス14を交換しなければならない。
【0132】
このように、遮断デバイス34のうちの1つに欠陥が生じるとすぐに、遠隔シグナリング・スイッチ22および指示デバイス40の両方が作動される。シャフト38はしたがってここでは、一方では遮断デバイス34間のまたは関連付けられた作動デバイス36間の、および他方では遠隔シグナリング・スイッチ22と指示デバイス40との間の、論理OR操作として機能する。遠隔シグナリング・スイッチ22はこの場合グループ・アナンシエータを構成し、指示デバイス40はグループ・ディスプレイを構成する。
【0133】
遮断デバイス34の下流のまたはトリガ要素46からの動作過程は純粋に機械的なものであり、したがって他の伝達機構よりもかなり信頼性が高い。
【0134】
この場合、指示デバイス40および遠隔シグナリング・スイッチ22の両方が同じシャフト38によってトリガされ作動され、このことにより、指示が一致しない事態が回避される。
【国際調査報告】