(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】使用済み透析液を分析するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20230420BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
A61M1/28 100
A61M1/16 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542189
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 US2021012583
(87)【国際公開番号】W WO2021142185
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】コタンコ、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】タオ、シャー
(72)【発明者】
【氏名】ガルバッチオ、ミア・ジー.
(72)【発明者】
【氏名】テイセン、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】グローブ、ナジャ
(72)【発明者】
【氏名】タピア・シルバ、レティシア・エム.
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA06
4C077BB01
4C077CC07
4C077DD13
4C077EE04
4C077HH06
4C077HH12
4C077HH17
4C077KK09
(57)【要約】
使用済み透析液を分析する際に使用される装置は、第1の所定の位置に透析液排液バッグを収容するように構成された少なくとも第1の表面と、第2の所定の位置に透析液分析デバイスを収容するように構成された少なくとも第2の表面とを含み、したがって、透析液排液バッグが、第1の所定の位置にあり、透析液分析デバイスが、第2の所定の位置にあるとき、透析液分析デバイスの光センサは、透析液排液バッグを通過する光を感知するように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1の所定の位置に透析液排液バッグを収容するように構成された少なくとも第1の表面と、
第2の所定の位置に透析液分析デバイスを収容するように構成された少なくとも第2の表面と
を備え、
前記透析液排液バッグが、前記第1の所定の位置にあり、前記透析液分析デバイスが、前記第2の所定の位置にあるとき、前記透析液分析デバイスの光センサは、前記透析液排液バッグを通過する光を感知するように配置される、装置。
【請求項2】
前記透析液分析デバイスの前記光センサに向かって前記透析液排液バッグを通して光を放出するように構成された光放出デバイスをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光放出デバイスは、前記透析液分析デバイスによって送信された命令に応答して動作するようにさらに構成された、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記透析液排液バッグが前記第1の所定の位置にあるときに前記透析液排液バッグの重さを測定するように構成されたスケールをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記透析液分析デバイスに前記透析液排液バッグの前記重さを送信するようにさらに構成された、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記透析液分析デバイスと通信するように構成されたワイヤレスデバイスをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記透析液分析デバイスは、スマートフォンである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の表面と前記第2の表面とは、前記装置の成型体の直角面である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
システムであって、
透析液排液ラインに沿って取外し可能に配設された、前記透析液排液ラインを通過する使用済み透析液の部分を受容するように構成された光透過チャンバと、
前記光透過チャンバと動作可能に結合され、前記光透過チャンバ中の使用済み透析液の前記部分を通る光線透過率を測定するように構成された光検知デバイスと、
1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、透析液分析デバイスに、前記光線透過率に少なくとも基づいて使用済み透析液の前記部分の濁り度を測定することを行わせる命令を記憶する1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体と
を備えるシステム。
【請求項10】
前記命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、前記透析液分析デバイスに、前記濁り度に基づいて白血球数を推定することと、前記白血球数が腹膜炎を診断するために設定されたしきい値を上回るのかどうかを決定することとをさらに行わせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記光検知デバイスは、前記光透過チャンバ中の使用済み透析液の前記部分を通して近赤外光を放出するように構成された光源を備え、
前記光検知デバイスは、前記光透過チャンバ中の使用済み透析液の前記部分を通した前記近赤外光の透過率を測定するようにさらに構成され、
前記命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、前記透析液分析デバイスに、前記近赤外光の前記透過率に少なくとも基づいて使用済み透析液の前記部分中のグルコース濃度を決定することをさらに行わせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記光検知デバイスは、クランピング機構を備え、
前記クランピング機構は、光源と光センサとを備え、
前記クランピング機構が前記光透過チャンバに動作可能に結合されるとき、前記光源と前記光センサとは前記光透過チャンバの対向表面に接触する、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記光検知デバイスは、前記透析液分析デバイスにデータをワイヤレスに送信するようにさらに構成された、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記光透過チャンバは、使い捨ての単回使用チャンバである、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
方法であって、
光センサによって、使用済み腹膜透析液を備える排液バッグを通って放出された光を感知することと、
透析液分析デバイスによって、前記排液バッグを通って放出された前記光に少なくとも基づいて前記使用済み腹膜透析液中の白血球の推定された比率を決定することと、
前記透析液分析デバイスによって、前記使用済み腹膜透析液中の白血球の前記推定された比率に少なくとも基づいて腹膜炎のリスクを決定することと
を備える方法。
【請求項16】
前記排液バッグを通って放出された前記光を検知する前に、前記排液バッグに対する前記光センサの意図された位置を示すように構成された装置を使用して前記光センサを前記排液バッグと位置合わせすること
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記排液バッグの重さを決定すること、ここにおいて、腹膜炎の前記リスクを決定することは、前記排液バッグの前記重さにさらに基づく、
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
ベースライン光の読取りを取得するために前記透析液分析デバイスを較正すること、
ここにおいて、前記使用済み腹膜透析液中の前記白血球の前記推定された比率を決定することは、前記ベースライン光の読取りと前記排液バッグを通って放出された前記光との間の差を決定することを備える、
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記透析液分析デバイスによって、前記使用済み腹膜透析液中の多形核細胞の推定された比率を決定すること、
ここにおいて、腹膜炎の前記リスクを決定することは、前記使用済み腹膜透析液中の多形核細胞の前記推定された比率にさらに基づく、
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記使用済み腹膜透析液中の多形核細胞の前記推定比率を決定することは、前記透析液分析デバイスによって、(a)前記使用済み腹膜透析液を通して散乱する光に対応するデータと、(b)側方流分析または乾燥化学試験片の画像とのうちの1つまたは複数を分析することを備える、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
腹膜透析は、腎疾患を病む患者のための腎代替療法である。腹膜透析のための技法は、連続携行式腹膜透析(CAPD)と自動腹膜透析(APD)とを含む。CAPDは、継続的に実施され、使用済み透析液は、後で破棄され、置き換えられる排液バッグに流出する。APDは、典型的に、患者が動かない間に(たとえば、寝ている間に)透析液を供給および排出するためにサイクラーを使用する。APDでは、使用済み透析液は、バッグ、シンク、または別のロケーションに流出し得る。
【0002】
腹膜透析は、腹膜を使用するので、腹膜炎のリスクファクタである。たとえば、腹膜透析は、腹部に細菌を不注意に導入し得る。見方によっては、24~48の患者入院月数当たり腹膜炎の約1回の事件がある。腹膜炎は、腹膜透析患者の死亡率および治療の失敗の主要な原因である。迅速な診断および治療は、治療の成功に必須である。
【0003】
腹膜炎に関連するリスクのために、腹膜透析患者の腹膜炎の症状および兆候を監視することが重要である。腹膜炎の兆候は、たとえば、増加した白血球(WBC)数および分画を含む。(たとえば、排液バッグ中の)使用済み透析液は、腹膜炎の兆候を与え得る。腹膜炎が十分に進行したとき、それらの兆候は肉眼でも可視であり得る。たとえば、使用済み透析液は、濁って見え得る。混濁(cloudiness)は、排液バッグの下に新聞を配置し、文字が読み取りにくいのかどうかを評価するなどの様々な手動技法によって査定され得る。使用済み透析液が濁って見えるとき、患者は、別の排出を行い、テストのためにクリニックに新たに排出されたバッグを持ち込むことが奨励される。場合によっては、患者は、臨床医に使用済み透析液の写真を送って、それの外見に基づいて臨床医の主観的な意見を取得し得る。しかしながら、そのような技法に依拠することは、特に、それらが使用済み透析液の「混濁」を主観的に査定するのをより困難にする視覚的な欠陥をもつ患者について、感染が比較的進行するまで腹膜炎が検出されないことがあることを意味する。いくつかの推定では、腹膜透析患者の60パーセント超が、視覚的な欠陥を有する。
【0004】
反応性測度として、臨床医が、使用済み透析液を適切にテストする機会を有する前に、患者は、抗生物質に配置され得る。患者が抗生物質を開始する間に、臨床医は、使用済み透析液を、白血球数および細菌について検査されるラボに送る。ラボの結果に応じて、臨床医は、患者の抗生物質治療を継続、中止、または変更し得る。したがって、腹膜炎を監視する従来の方法は、反応性で、非効率的であり、適切な医療治療を遅延し得る。さらに、従来の方法は、偽陽性の場合に不要なおよび/または部分的な抗生物質治療を生じ得る。
【0005】
本明細書で説明される1つまたは複数の手法は、その両方が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、(a)Carlson,D.およびVan Brackle,C.のParticle Sizing with a Smartphone(2014)、ならびに/または(b)Yang,Yeらの「Blood cell counting and classification by nonflowing laser light scattering method」、Advanced Photonic Sensors and Applications、第3897巻、International Society for Optics and Photonics、1999に記述されている発見および技法を組み込み得る。
【0006】
このセクションにおいて説明された手法は、必ずしも本出願の出願の前に想到および/または遂行されていないとは限らない。したがって、別段に規定されていない限り、このセクションにおいて説明された手法は、従来技術のものと解釈されてはならない。
【発明の概要】
【0007】
1つまたは複数の実施形態は、従来の手法よりも早期の腹膜炎の診断を可能にする。本明細書で説明されるシステムおよび方法は、腹膜炎に関連する兆候(たとえば、白血球数、分画、および/または細菌)を検出することによって使用済み透析液の(たとえば、在宅での)ポイントオブケア分析を可能にする。本明細書で説明される技法は、患者が関連する症状(たとえば、腹痛)を経験していないか、またはそれに気づいていない場合でも、そのような兆候を検出し得る。早期診断によって、偽陽性の場合に不適切な治療を回避しながら、腹膜炎のより速い治療が可能になり得る。本明細書で説明される技法により、患者は、「混濁」などの主観的観察に依拠するのではなく客観的な測定を使用して腹膜炎を監視することが可能になる。たとえば、1つまたは複数の実施形態は、複数の使用にわたる一貫した測定条件を保証するのを助ける装置を与える。さらに、本明細書で説明される技法は、腹膜透析患者を監視するための多機能ツールを与えるために他の医療監視および診断技法と組み合わされ得る。さらに、1つまたは複数の実施形態が、治療の有効性を予測または評価するために抗生物質治療の過程の中でおよび/またはそれの後に使用済み透析液を分析するために使用され得る。1つまたは複数の実施形態は、患者がすでに所有しているスマートフォン、タブレット、または他のコンピューティングデバイスを利用し、このようにして、そうでない場合、本明細書で説明される技法に関連したであろう費用を低減する。本明細書で説明される技法は、臨床医のオフィスに連絡し、場合によっては、分析のためにラボに使用済み透析液を送ることをも必要とする従来の技法と比較して、瞬く間に(たとえば、約30~40秒で)実施され得る。
【0008】
概して、一態様では、装置は、第1の所定の位置に透析液排液バッグを収容するように構成された少なくとも第1の表面を含む。本装置は、第2の所定の位置に透析液分析デバイスを収容するように構成された少なくとも第2の表面をさらに含み、したがって、透析液排液バッグが、第1の所定の位置にあり、透析液分析デバイスが、第2の所定の位置にあるとき、透析液分析デバイスの光センサは、透析液排液バッグを通過する光を感知するように配置される。本装置は、透析液分析デバイスの光センサに向かって透析液排液バッグを通して光を放出するように構成された光放出デバイスをさらに含み得る。光放出デバイスは、透析液分析デバイスによって送信された命令に応答して動作するようにさらに構成され得る。本装置は、透析液排液バッグが第1の所定の位置にあるときに透析液排液バッグの重さを測定するように構成されたスケールをさらに含み得る。本装置は、透析液分析デバイスに透析液排液バッグの重さを送信するようにさらに構成され得る。本装置は、透析液分析デバイスと通信するように構成されたワイヤレスデバイスをさらに含み得る。透析液分析デバイスは、スマートフォンであり得る。第1の表面と第2の表面とは、装置の成型体の直角面であり得る。
【0009】
概して、別の態様では、システムは、透析液排液ラインに沿って取外し可能に配設された、透析液排液ラインを通過する使用済み透析液の部分を受容するように構成された光透過チャンバを含む。本システムは、光透過チャンバと動作可能に結合され、光透過チャンバ中の使用済み透析液の部分を通る光線透過率を測定するように構成された光検知デバイスをさらに含む。本システムは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、透析液分析デバイスに、光線透過率に少なくとも基づいて使用済み透析液の部分の濁り度を測定することを行わせる命令を記憶する1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体をさらに含む。本命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、透析液分析デバイスに、使用済み透析液の部分の濁り度に少なくとも基づいて腹膜炎について使用済み透析液の部分を評価することをさらに行わせ得る。光検知デバイスは、光透過チャンバ中の使用済み透析液の部分を通して近赤外光を放出するように構成された光源を含み得、光検知デバイスは、光透過チャンバ中の使用済み透析液の部分を通した近赤外光の透過率を測定するようにさらに構成され得、本命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、透析液分析デバイスに、近赤外光の透過率に少なくとも基づいて使用済み透析液の部分中のグルコース濃度を決定することをさらに行わせ得る。光検知デバイスは、光源と光センサとを含むクランピング機構を含み得る。クランピング機構が光透過チャンバに動作可能に結合されるとき、光源と光センサとは光透過チャンバの対向表面に接触し得る。光検知デバイスは、透析液分析デバイスにデータをワイヤレスに送信するようにさらに構成され得る。光透過チャンバは、使い捨ての単回使用チャンバであり得る。
【0010】
概して、別の態様では、システムは、透析液排液ラインに沿って取外し可能に配設された、透析液排液ラインを通過する使用済み透析液の部分を受容するように構成された光透過チャンバを含む。本システムは、光透過チャンバと動作可能に結合された光検知デバイスをさらに含む。光検知デバイスは、光透過チャンバ中の使用済み透析液の部分を通して近赤外光を放出するように構成された光源と、光透過チャンバ中の使用済み透析液の部分を通した近赤外光の透過率を測定するように構成された光センサとを含む。本システムは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、透析液分析デバイスに、近赤外光の透過率に少なくとも基づいて使用済み透析液の部分中のグルコース濃度を決定することを行わせる命令を記憶する1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体をさらに含む。本命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、透析液分析デバイスに、光透過チャンバ中の使用済み透析液の部分を通した光線透過率に少なくとも基づいて使用済み透析液の部分の濁り度を測定することをさらに行わせ得る。本命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、透析液分析デバイスに、使用済み透析液の部分の濁り度に少なくとも基づいて腹膜炎について使用済み透析液の部分を評価することをさらに行わせ得る。光検知デバイスは、光源と光センサとを含むクランピング機構を含み得る。クランピング機構が光透過チャンバに動作可能に結合されるとき、光源と光センサとは光透過チャンバの対向表面に接触し得る。光検知デバイスは、透析液分析デバイスにデータをワイヤレスに送信するようにさらに構成され得る。光透過チャンバは、使い捨ての単回使用チャンバであり得る。
【0011】
概して、別の態様では、方法は、光センサによって、使用済み腹膜透析液を備える排液バッグを通って放出された光を感知することと、透析液分析デバイスによって、排液バッグを通って放出された光に少なくとも基づいて使用済み腹膜透析液中の白血球の推定された比率を決定することと、透析液分析デバイスによって、使用済み腹膜透析液中の白血球の推定された比率に少なくとも基づいて腹膜炎のリスクを決定することとを含む。本方法は、排液バッグを通って放出された光を検知する前に、排液バッグに対する光センサの意図された位置を示すように構成された装置を使用して光センサを排液バッグと位置合わせすることをさらに含み得る。本方法は、排液バッグの重さを決定することをさらに含み得る。腹膜炎のリスクを決定することは、排液バッグの重さにさらに基づき得る。本方法は、ベースライン光の読取りを取得するために透析液分析デバイスを較正することをさらに含み得る。使用済み腹膜透析液中の白血球の推定された比率を決定することは、ベースライン光の読取りと排液バッグを通って放出された光との間の差を決定することを含み得る。本方法は、透析液分析デバイスによって、使用済み腹膜透析液中の多形核細胞の推定された比率を決定することをさらに含み得る。腹膜炎のリスクを決定することは、使用済み腹膜透析液中の多形核細胞の推定された比率にさらに基づき得る。使用済み腹膜透析液中の多形核細胞の推定比率を決定することは、透析液分析デバイスによって、(a)使用済み腹膜透析液を通して散乱する光に対応するデータと、(b)側方流分析または乾燥化学試験片の画像とのうちの1つまたは複数を分析することを含み得る。
【0012】
本明細書、および/または特許請求の範囲に記載された1つまたは複数の実施形態は、この概要セクションに含まれないことがある。
【0013】
少なくとも1つの実施形態の様々な態様は、一定の縮尺で描かれたものではない添付の図を参照しながら以下で説明される。図は、様々な態様および実施形態の例示およびそれらのさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書の部分に組み込まれ、それを構成するが、本開示の限定を定義するものではない。図では、様々な図に示されているそれぞれの同じまたはほぼ同じ構成要素は、同様の番号によって表される。明快のために、いくつかの構成要素があらゆる図面においてラベル付けされていないことがある。図では、以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】一実施形態による、システムの例のブロック図。
【
図1B】一実施形態による、システムの例のブロック図。
【
図2A】一実施形態による、装置の一例の透視図の図。
【
図2B】一実施形態による、光コンパートメントなしの
図2Aの装置のトップダウンビューの図。
【
図2C】一実施形態による、光コンパートメントありの
図2Aの装置のトップダウンビューの図。
【
図2D】一実施形態による、
図2Aの装置のための光コンパートメントの一例の透視図の図。
【
図2E】一実施形態による、
図2Dの光コンパートメントのための蓋の一例の透視図の図。
【
図2F】一実施形態による、
図2Dの光コンパートメントのトップダウンビューの図。
【
図2G】一実施形態による、
図2Dの光コンパートメントのための電気構成要素レイアウトのトップダウンビューの図。
【
図2I】一実施形態による、
図2Aの装置のボトムアップビューの図。
【
図3A】一実施形態による、装置の別の例の透視図の図。
【
図3B】一実施形態による、
図3Aの装置のトップダウンビューの図。
【
図4】一実施形態による、排液バッグ中の使用済み透析液を分析するための動作の一例の流れ図。
【
図5A】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの一例の図。
【
図5B】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの一例の図。
【
図5C】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの一例の図。
【
図5D】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの一例の図。
【
図6A】一実施形態による、光透過チャンバの一例の図。
【
図6B】一実施形態による、光検知デバイスの一例の図。
【
図7】一実施形態による、排液ラインに沿った使用済み透析液を分析するための動作の一例の流れ図。
【
図8A】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの別の例を示す図。
【
図8B】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの別の例を示す図。
【
図8C】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの別の例を示す図。
【
図8D】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの別の例を示す図。
【
図8E】一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの別の例を示す図。
【
図9】一実施形態による、コンピュータシステムの一例のブロック図。
【
図10】一実施形態による、コネクテッドヘルスシステムの一例のブロック図。
【
図11】相対的な光度と白血球濃度との間の相関を示すテスト結果のチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の目次は、読者の利便性のために与えられるものであり、本開示の限定を定義するものではない。
【0016】
1. システム構成
2. 排液バッグ中の使用済み透析液を分析すること
2.1. 装置
2.2. 方法
2.3. ユーザインターフェース
3. 排液ライン中の使用済み透析液を分析すること
3.1. 装置
3.2. 方法
4. 患者追跡のためのユーザインターフェース
5. 様々な拡張
6. コンピューティングデバイス
7. コンピュータネットワーク
8. コネクテッドヘルスシステム
1.システム構成
概して、1つまたは複数の実施形態は、使用済み腹膜透析液を分析するように構成されたポイントオブケア(POC)システムを含む。
図1A~
図1Bは、一実施形態による、システムの例のブロック図である。システムは、
図1A~
図1Bの例に示されているものよりも多いまたはそれよりも少ない構成要素を含み得る。これらの例に示されている構成要素は、互いにローカルであるか、またはリモートであり得る。これらの例に示される構成要素は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで実装され得る。各構成要素は、複数のアプリケーションおよび/または機械に分散され得る。複数の構成要素は、1つのアプリケーションおよび/または機械に組み合わされ得る。1つの構成要素に関して説明された動作は、代わりに、別の構成要素によって実施され得る。
【0017】
図1Aに示されているように、システム100の一例は、使用済み透析液106を通して光104を放出するように構成された光源102を含む。たとえば、使用済み透析液106は、排液バッグ中にまたは排液ラインに沿って位置し得る。光源102は、システム100が位置する環境中の周辺光(たとえば、日光および/または1つもしくは複数の汎用ランプ)であり得る。代替的に、光源102は、使用済み透析液を分析する際に使用される専用の光源であり得る。たとえば、光源102は、本明細書で説明される例示的な装置のうちの1つなどの装置の中で格納される1つまたは複数の発光ダイオード(LED)および/またはレーザーを含み得る。専用の光源102は、発光の比較的一貫した方向、大きさ、および/または波長を与え、したがって、周辺光に依拠することに対して、使用済み透析液分析において使用される光の読取りの品質および整合性を改善し得る。
【0018】
一実施形態では、光源102は、使用済み透析液106を通して単一の波長の光を放出するように構成される。代替的に、光源102は、複数の波長の光を放出するように構成され得る。光源102は、約1300nm、約810nm、および/または約660nmで光を放出するように構成され得る。約1300nmで放出される光は、たとえば、浄水または清浄な透析液(図示せず)を通して光を放出することによって較正のために使用され得る。約810nmで放出される光は、使用済み透析液106中のヘモグロビンを検出するために使用され得る。約660nmで放出される光は、使用済み透析液106中の白血球を検出するために使用され得る。1つまたは複数の他の波長が使用され得る。一実施形態では、光源102は、近赤外光を放出するように構成され、これは、以下でさらに詳細に説明されるように、透析液中のグルコース濃縮物を検出するために使用され得る。
【0019】
一実施形態では、光センサ108は、使用済み透析液106を通過する光を感知するように構成される。特に、光センサ108は、使用済み透析液106を通した光線透過率を感知するように構成される。光センサ108は、光源102のほぼ反対側に配置され、使用済み透析液106は、それらの間に配設される。いくつかの実施形態は、システム100が暗室など、および/または光源102以外のソースからの光を実質的にブロックする筐体内に光センサ108を配置することによって比較的暗い環境に配置される場合に、より良く実施し得る(すなわち、より信頼できる光測定値を取得し得る)。
【0020】
一実施形態では、透析液分析デバイス110は、使用済み透析液106を分析するために光センサ108からのデータを使用するように構成される。透析液分析デバイス110は、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、または他のタイプの多目的デバイスなどの多目的コンピューティングデバイスであり得る。たとえば、透析液分析デバイス110は、光センサ108からのデータに基づいて使用済み透析液106を分析するための命令を含む設置可能なアプリケーションを実行するように構成され得る。代替的に、透析液分析デバイス110は、使用済み透析液106を分析するように構成された専用の医療デバイスであり得る。たとえば、透析液分析デバイス110は、腹膜透析(PD)サイクラーおよび/または他のタイプの透析機器の部分であり得る。
【0021】
一実施形態では、光センサ108は、
図1Aに示されているように、透析液分析デバイス110の部分である。たとえば、光センサ108は、スマートフォン、タブレット、または専用の医療デバイスの部分であるカメラまたは他のタイプの光検知構成要素であり得る。代替的に、光センサ108は、透析液分析デバイス110とは物理的に別個であり得る。たとえば、光センサ108は、
図6Bに示される例などにおける排液ラインの管のクリアなセクションと結合されたもしくはそれの近くの、または排液ラインに沿って配置されるチャンバと結合されたもしくはそれの近くの装置の一部であり得る。物理的に別個の光センサ108は、ケーブル(たとえば、ユニフォームシリアルバス(USB)ケーブル、Apple Lightningケーブル、イーサネット(登録商標)ケーブル、および/もしくは別のタイプのケーブル)を介して、ならびに/またはBluetooth(登録商標)および/もしくはWi-Fi(登録商標)などの1つもしくは複数のワイヤレス送信プロトコルを介して透析液分析デバイス110と通信するように構成され得る。物理的に別個の光センサ108は、たとえば、透析液分析デバイス110が、光検知構成要素(たとえば、スマートフォンカメラ)を含むが、光検知構成要素からのデータに十分なアクセスを可能にするアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を含まない場合に役立ち得る。
【0022】
一実施形態では、透析液分析デバイス110は、透析に関連するデータを収集するように構成される1つまたは複数の追加のハードウェア構成要素を含む、および/またはそれと通信可能に結合される。例えば、透析液分析デバイス110は、顕微鏡(図示せず)を含み得るか、またはそれと通信可能に結合され得る。顕微鏡は、カメラ、カメラ拡大アタッチメント、または物理的に別個の顕微鏡デバイスの一部であり得る。たとえば、スマートフォンアタッチメントは、約400倍または別の好適な拡大係数だけスマートフォンのカメラを拡大するために使用され得る。透析液分析デバイス110は、使用済み透析液106中のグラムで染色された細菌を検出し、分析するのを助けるために顕微鏡からの画像を使用し得る。
【0023】
別の例として、透析液分析デバイス110は、近接センサ(図示せず)を含み得るか、またはそれと通信可能に結合され得る。透析液分析デバイス110は、装置(たとえば、
図2Aに示されている例示的な装置200)に対する、および/または装置の特定の部分(たとえば、
図2Aに示されているデバイス設置エリア206)に対する透析液分析デバイス110の設置を検出するのを助けるために近接センサを使用し得る。近接センサは、装置の無線周波数識別子(RFID)チップ、Bluetooth送信機、および/または他の構成要素に基づいて特定のロケーションに対する近接度を検出し得る。
【0024】
さらに別の例として、透析液分析デバイス110は、ジャイロスコープ(図示せず)を含み得るか、またはそれと通信可能に結合され得る。透析液分析デバイス110は、透析液分析デバイス110の移動を検出するためにジャイロスコープを使用し得、患者または他の人間オペレータが特定のロケーション(たとえば、
図2Aに示されているデバイス設置エリア206)に透析液分析デバイス110を案内するのを助ける視覚および/または聴覚命令を生成するために移動データを使用し得る。
【0025】
一実施形態では、透析液分析デバイス110は、複数の構成要素からのデータを組み合わせるように構成される。たとえば、透析液分析デバイス110は、患者または他の人間オペレータが特定のロケーションに透析液分析デバイス100を案内するのを助ける視覚および/または聴覚命令を生成するためにジャイロスコープと近接センサとからのデータを組み合わせ得る。透析液分析デバイス110の1つもしくは複数の構成要素または透析液分析デバイス110に通信可能に結合された1つもしくは複数の構成要素は、複数の目的のために使用され得る。たとえば、透析液分析デバイス110は、光検知のためと、以下でさらに詳細に説明されるように評価されることになる側方流分析または乾燥化学試験片の画像を取得することとの両方のためにカメラ(たとえば、透析液分析デバイス110の部分であるかまたは透析液分析デバイス110から物理的に別個であるカメラ)からのデータを使用するように構成され得る。
【0026】
一実施形態では、透析液分析デバイス110は、光源102および/または光センサ108などの本明細書で説明される1つまたは複数の構成要素の動作を制御するように構成される。たとえば、透析液分析デバイス110は、光源102をオンすること、光源102をオフにすること、および/または光源102の動作パラメータ(たとえば、明るさ、波長など)を変更することを行うために電気信号を送信するように構成され得る。別の例として、透析液分析デバイス110は、光を感知することを開始または停止するように光センサ108に命令するために電気信号を送信するように構成され得る。透析液分析デバイス110中で実行するアプリケーションソフトウェアは、そのような構成要素の動作を制御するために電気信号を送信すべきかどうかおよびまたは/いつそうすべきかを決定し得る。たとえば、アプリケーションソフトウェアは、使用済み透析液106を分析するプロセスを開始するように透析液分析デバイス110に命令する(たとえば、ユーザインターフェース111を介した)ユーザ入力に応答して電気信号を送信し得る。
【0027】
一実施形態では、サーバ112は、透析液分析デバイス110から離れて(たとえば、1つまたは複数のネットワーク接続を介して透析液分析デバイス110に通信可能に結合された別個のデバイスおよび/またはデータセンター中に)位置する。サーバ112は、使用済み透析液106を分析することおよび/または透析に関係する他の分析機能を実施すること(たとえば、カメラ、顕微鏡、近接センサ、ジャイロスコープ、および/または別のタイプのデータもしくはそれらの組合せからのデータを分析すること)を行うための本明細書で説明される1つまたは複数の動作を実施するように構成され得る。透析液分析デバイス110は、分析のためにサーバ112にデータを送信し、サーバ112から分析結果を受信するように構成され得る。透析液分析デバイス110によって実施されるものとして本明細書で説明される1つまたは複数の動作は、代わりに、サーバ112によって実施され得る。
【0028】
一実施形態では、透析液分析デバイス110は、ユーザインターフェース111を含むかまたはそれと通信可能に結合される。ユーザインターフェース111は、ユーザと透析液分析デバイス110との間の通信を容易にするように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを指す。ユーザインターフェース111は、ユーザインターフェース要素をレンダリングし、ユーザインターフェース要素を介して入力を受信する。ユーザインターフェース111は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、コマンドラインインターフェース(CLI)、触覚インターフェース、ボイスコマンドインターフェース、および/または任意の他の種類のインターフェースもしくはそれらの組合せであり得る。ユーザインターフェース要素の例は、チェックボックス、ラジオボタン、ドロップダウンリスト、リストボックス、ボタン、トグル、テキストフィールド、日付および時間セレクタ、コマンドライン、スライダ、ページ、およびフォームを含む。ユーザインターフェース111の異なる構成要素は、異なる言語で指定され得る。ユーザインターフェース要素の行動は、Java(登録商標)Scriptなどの動的プログラミング言語で指定され得る。ユーザインターフェース要素のコンテンツは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、拡張可能マークアップ言語(XML)、またはXMLユーザインターフェース言語(XUL)などのマークアップ言語で指定され得る。ユーザインターフェース要素のレイアウトは、カスケーディングスタイルシート(CSS)などのスタイルシート言語で指定され得る。代替または追加として、ユーザインターフェース111の態様は、Java、Python、Perl、C、C++、および/または任意の他の言語もしくはそれらの組合せなどの1つまたは複数の他の言語で指定され得る。
【0029】
一実施形態では、ユーザインターフェース111は、以下で説明されるようにオーディオおよび/またはビジュアルキューを与えるように構成される。オーディオおよび/またはビジュアルキューは、詳細には、たとえば、患者が視力障害をもっており、通常ならば、有効な透析液分析のために排液バッグおよび/または透析液分析デバイス110を配置するのが困難であろうときに役立ち得る。視覚的な障害をもつ患者は、詳細には、従来の「混濁」方法を使用して初期ステージに腹膜炎を検出する可能性が低いであろうことに留意されたい。
【0030】
一実施形態では、透析液分析デバイス110および/またはサーバ112は、1つまたは複数のデータリポジトリ113中にデータを記憶するように構成される。データリポジトリ113は、データを記憶するための任意のタイプのストレージユニットおよび/またはデバイス(たとえば、ファイルシステム、データベース、表の集合または任意の他の記憶機構)である。データリポジトリ113は、複数の異なるストレージユニットおよび/またはデバイスを含み得る。複数の異なるストレージユニットおよび/またはデバイスは、同じタイプのものであることもそうでないこともあり、または同じ物理的サイトに位置することも位置しないこともある。さらに、データリポジトリ113は、システム100の1つまたは複数の他の構成要素と同じコンピューティングシステム上に実装され得るかまたはその上で実行し得る。代替または追加として、データリポジトリ113は、システム100の1つまたは複数の他の構成要素とは別個のコンピューティングシステム上で実装され得るかまたはその上で実行し得る。データリポジトリ113は、システム100の1つまたは複数の他の構成要素と論理的に統合され得る。代替または追加として、データリポジトリ113は、直接接続を介してまたはネットワークを介してシステム100の1つまたは複数の他の構成要素に通信可能に結合され得る。代替または追加として、情報は、システム100の構成要素のいずれかにわたって実装および/または分散され得る。
【0031】
一実施形態では、システム100は、使用済み透析液の在宅のポイントオブケア分析を与えるために患者の自宅に位置する。代替的に、システム100は、透析センターまたは病院などの臨床の場に位置し得る。
【0032】
一実施形態では、システム100の1つまたは複数の構成要素は、1つまたは複数のデジタルデバイス上に実装される。「デジタルデバイス」という用語は、概して、プロセッサを含む任意のハードウェアデバイスを指す。デジタルデバイスは、アプリケーションまたは仮想マシンを実行する物理的デバイスを指し得る。デジタルデバイスの例は、コンピュータ、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、ネットブック、サーバ、ウェブサーバ、ネットワークポリシーサーバ、プロキシサーバ、一般的な機械、特定機能ハードウェアデバイス、ハードウェアルータ、ハードウェアスイッチ、ハードウェアファイアウォール、ハードウェアネットワークアドレストランスレータ(NAT)、ハードウェアロードバランサ、メインフレーム、テレビジョン、コンテンツ受信機、セットトップボックス、プリンタ、モバイルハンドセット、スマートフォン、携帯情報端末(「PDA」)、ワイヤレス受信機および/もしくは送信機、基地局、通信管理デバイス、ルータ、スイッチ、コントローラ、アクセスポイント、ならびに/またはクライアントデバイスを含む。
【0033】
図1Bは、一実施形態による、システム101の別の例を示す。
図1Bに示されているように、清浄な透析液114が透析のために使用される。使用済み透析液は、排液ライン116を介して排液バッグ120に流出する。他の実施形態では、使用済み透析液は、固定された排出(たとえば、トイレ、シンク、または他の排出)に排出し得る。使用済み透析液が排出すると、光透過チャンバ118は、使用済み透析液の少なくとも一部分を受容するように構成される。光源102は、光透過チャンバ118を通して光を放出するように構成され、光センサ108は、光透過チャンバ118を通って放出された光を感知するように構成される。光センサ108は、透析液分析デバイス110にデータを送信するように構成される。光透過チャンバ118の一例について、
図6Aに関して以下で説明される。光源102と光センサ108とは、
図6Bに示されている例示的な光検知デバイス605などの光検知デバイスの一部であり得る。
2.排液バッグ中の使用済み透析液を分析すること
2.1 装置
一実施形態では、排液バッグ中の使用済み透析液に対する光センサの設置を容易にする装置が提供される。特に、装置は、光センサと排液バッグとが、正確な一貫した光の読取りを保証するのを助ける構成に互いに位置することを保証するのを助け得る。以下の例では、光センサは、スマートフォンまたはタブレットなどの透析液分析デバイスの部分であると仮定される。他の例では(図示せず)、光センサは、透析液分析デバイスから物理的に別個であり得、「デバイス」または「透析液分析デバイス」への下記の言及は、光センサのみを指し得る。
【0034】
図2Aは、一実施形態による、装置200の一例の透視図の図である。この例では、装置200は、透析排液バッグ(図示せず)の少なくとも部分を受容するように構成されたバッグトレイ202を含む。排液バッグに対して光センサを配置するのを助ける実施形態は、使用済み透析液がシンクまたは他のロケーションに対してバッグに流出する任意の透析設定において使用され得る。バッグトレイ202は、使用済み透析液分析中の排液バッグの一貫した配置を保証するのを助ける。デバイス設置エリア206は、透析液分析デバイスの意図された配置を示す装置200の1つまたは複数の表面(この例では、矩形領域を定義する3つの表面)によって定義される。たとえば、
図2Aに示されているように、デバイス設置エリア206は、透析液分析デバイスが排液バッグの隅の下に位置することを保証するのを助ける。さらに、デバイス設置エリア206は、光源に対する透析液分析デバイスの一貫した配置を保証するのを助け得る。たとえば、
図2Aに示されているように、デバイス設置エリア206は、透析液分析デバイスが以下でさらに詳細に説明されるように1つまたは複数の光源を格納する光コンパートメント204の下に位置することを保証するのを助ける。デバイス設置エリア206は、特定のタイプの透析液分析デバイス(たとえば、専用の医療デバイス)を収容するためにサイズ決定され得る。代替的に、デバイス設置エリア206は、複数のタイプの透析液分析デバイス(たとえば、型およびモデルに応じてサイズが異なり得るスマートフォンおよび/またはタブレット)を収容するようにサイズ決定され得る。
【0035】
図2Bは、一実施形態による、光コンパートメントなしの
図2Aの装置200のトップダウンビューの図である。特に、
図2Bは、バッグトレイ202上での透析液排液バッグ208の設置を示す。さらに、
図2Bは、透析液分析デバイス210(この例では、光検知カメラをもつスマートフォン)の設置を示す。この例では、デバイス設置エリア206は、透析液分析デバイス210が透析液排液バッグ208の隅の下に位置することを保証するのを助ける。
図2Bは、複数のタイプのデバイスを収容するのに十分大きいデバイス設置エリア206の一例をさらに示す。
【0036】
図2Cは、一実施形態による、光コンパートメント204が取り付けられた状態の
図2Aの装置200のトップダウンビューの図である。
図2Cに示されているように、光コンパートメント204は、透析液分析デバイス210の上に位置し、したがって、光コンパートメント204中に格納された1つまたは複数の光源は、透析液分析デバイス210中の光センサに向かってまたはほぼ向かって光を放出する。光コンパートメント204は、装置200の取外し不可能な部分であり得る。代替的に、光コンパートメント204は、装置200から取外し可能であり得る。たとえば、
図2Dは、
図2Aの装置200のための光コンパートメント204の一例の透視図の図であり、これは、バッグトレイ202に光コンパートメント204を取り付けるための取付けインターフェース214を含む。光コンパートメント204は、限定はしないが、光源を含む電気構成要素を格納するように構成された空洞212を含む。
図2Eは、一実施形態による、
図2Dの光コンパートメント204のための蓋216の一例の透視図の図である。この例では、蓋216は、光コンパートメント204中に格納された電気構成要素へのアクセスを与えるために(たとえば、LEDを置き換えるために、および/または他の電気構成要素をサービスするために)取外し可能である。
【0037】
図2Fは、一実施形態による、
図2Dの光コンパートメント204のトップダウンビューの図である。特に、
図2Fは、蓋216が除去された状態で、いかなる電気構成要素も設置されていない状態の光コンパートメント204のトップダウンビューの図である。
図2Fに示されているように、光コンパートメント204は、1つまたは複数の光源が光を放出する1つまたは複数の光穴218を含む。この例では、光コンパートメント204は、3つの光穴218を含む。光穴218は、異なるそれぞれの波長で光を放出する光源(たとえば、レーザーおよび/またはLED)を収容するように設計され得る。たとえば、光穴218のうちの1つは、約1300nmで光を放出す光源に適応し得、光穴218の別のものは、約810nmで光を放出する光源に適応し得、光穴218の別のものは、約660nmで光を放出する光源に適応し得る。他の例では(図示せず)、より多いまたはより少ない光源が使用され得る。1つまたは複数の光穴218は、空洞212内に配置され得、したがって、1つまたは複数の電気構成要素は、設置されたときに光穴218のうちの1つまたは複数をカバーする。
【0038】
図2Gは、一実施形態による、
図2Dの光コンパートメント204のための電気構成要素レイアウトのトップダウンビューの図である。この例では、電気構成要素は、電源220(たとえば、バッテリおよび/またはA/CアダプタもしくはUSBケーブルなどの外部電源)によって電力供給される。
図2Gに示されている例では、9ボルトのバッテリが使用される。別の例では、電気構成要素は、充電式バッテリを含み得、したがって、充電式バッテリは、十分に充電されているとき装置200は外部電力から切断され得る。回路板222は、電気構成要素の動作を制御するためにハードウェアおよび/またはソフトウェア中に論理を実装する。ワイヤレスモジュール224(たとえば、Bluetoothおよび/またはWi-Fiモジュール)は、透析液分析デバイス210と通信しているデータを送信および受信するように構成される。この例では、3つの光源226があり、それらのうちの1つは、ワイヤレスモジュール224によって隠れている。
【0039】
図2Hは、一実施形態による、
図2Aの装置の別の透視図の図である。
図2Hに示されているように、取付けインターフェース226は、たとえば、
図2Dに示されている光コンパートメント204の取付けインターフェース214とインターフェースすることによって光コンパートメント204を受容するように構成される。
【0040】
一実施形態では、装置200は、透析液排液バッグ208の重さを量るように構成されたスケールを含む。説明しやすいように、本明細書で使用される「重さを量る」および「重さ」という用語は、それらの用語が当技術において定義されているように、透析液排液バッグ208の質量または重さのいずれかを測定することを指し得る。たとえば、
図2Iは、一実施形態による、
図2Aの装置200のボトムアップビューの図である。
図2Iに示されているように、1つまたは複数の力感受性抵抗器228が、バッグトレイ202中にまたはそれに沿って配設される。力感受性抵抗器228は、透析液排液バッグ208の重さを感知するように構成される。力感受性抵抗器228は、装置200および/または空の透析液排液バッグ208の知られている重さに基づいて事前に風袋引きされ得る。代替的に、使用済み透析液を分析するときに、力感受性抵抗器228は、風袋引きおよび/または他の較正を必要とし得る。排液バッグの重さを量ることは、腹膜透析のいくつかの形態における要求であり得、装置200は、その要求を満たすのを助けることができる。さらに、排液バッグの重さは、濁り度の測定を較正するために使用され得る。特に、より重い排液バッグは、より満杯であり、したがって、物理的により深いと仮定され得、より軽い排液バッグは、より空であり、したがって、物理的により浅いと仮定され得る。濁り度の計算は、排液バッグの仮定された深度を考慮するために調整され得、これは、たとえば、ラボラトリ設定中に行われ、透析液分析デバイスのプログラミングに組み込まれた平均深度の測定に基づき得る。
【0041】
図3Aは、一実施形態による、装置300の別の例の透視図の図である。この例では、装置300は、光コンパートメントを含まず、バッグ設置エリア302は、バッグトレイを含まない。装置300は、視界を増加し、周辺光の読取りに干渉しかねない陰影を低減するために透明プラスチックから形成され得る。さらに、装置300の上側部分は、透析液分析デバイスの光センサの上に落とされかねない陰影を低減するために十分に高く配置され、すなわち、排液バッグの上に十分なクリアランスを有し得る。
【0042】
図2A~
図2Iの例の場合のように、デバイス設置エリア304は、透析液分析デバイスの意図された配置を示す装置300の1つまたは複数の表面(この例では、矩形領域を定義する3つの表面)によって定義される。さらに、バッグ設置エリア302は、使用済み透析液分析中の排液バッグの一貫した配置を保証するのを助ける。たとえば、
図3Bは、一実施形態による、
図3Aの装置300のトップダウンビューの図であり、装置300は、透析液分析デバイス308に対する透析液排液バッグ306の一貫した配置を保証するのを助ける。
図3A~
図3Bの装置300は、
図2A~
図2Iの装置200よりも少数の特徴を有するが、より持ち運びが容易であり、および/またはより安価であり得る。一実施形態では、透析液分析デバイスは、たとえば、ハードウェアスイッチおよび/またはソフトウェアアプリケーション中の設定を介して2つ以上の異なるタイプの装置に適合するように構成される。
【0043】
上記の例は、透析液分析デバイスに対する透析液排液バッグの一貫した配置を保証するための装置について説明する。代替的に、透析排液バッグ自体は、透析液分析デバイスを配置するための誘導を与えるように設計され得る。たとえば、排液バッグは、透析液分析デバイスの意図された位置を示す1つまたは複数の線、定規、および/または他のマーキングを含み得る。排液バッグの相対的な透過性により、マーキングを使用する患者または他の人間オペレータは、比較的一貫したロケーションに透析液分析デバイスを配置することが可能になり得る。本開示に照らして、透析液分析デバイスに対する透析液排液バッグの一貫した配置を保証するのを助ける多くの様々なタイプの装置および/または他の案内特徴が想定され得る。
【0044】
2.2 方法
図4は、一実施形態による、排液バッグ中の使用済み透析液を分析するための動作の一例の流れ図である。
図4に示されている1つまたは複数の動作は、一斉に修正されるか、並べ替えられるか、または省略され得る。したがって、
図4に示されている特定の一連の動作は、1つまたは複数の実施形態の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0045】
一実施形態では、使用済み透析液分析は、使用済み透析液の重さを量るためのスケールを含む装置(たとえば、
図2A~
図2Iの例示的な装置)を使用して実施される。スケールは、使用の前に較正(動作402)を必要とし得る。たとえば、スケールを較正することは、装置および/または空の排液バッグの重さを無視するためにスケールを風袋引きすることを含み得る。スケールを較正することは、その重さが使用済み透析液を含んでいる排液バッグの重さと比較され得る清浄な透析液を含んでいるバッグに基づき得る。
【0046】
一実施形態では、透析液分析デバイスは、装置と位置合わせされる(動作404)。特に、透析液分析デバイスは、装置の物理的な構成によって示される特定の位置(たとえば、
図2A~
図2Iに示されている例示的な装置200のデバイス設置エリア206または
図3A~
図3Bに示されている装置300のデバイス設置エリア304)中に配置され得る。さらに、装置および/または透析液分析デバイスによって供給されるオーディオおよび/またはビジュアルキューは、透析液分析デバイスを装置に位置合わせするのを支援し得る。たとえば、透析液分析デバイスは、患者または他の人間オペレータが透析液分析デバイスを装置と位置合わせするのを支援するために近接センサおよび/またはジャイロスコープからのデータに基づいてオーディオおよび/またはビジュアルキューを供給し得る。オーディオおよび/またはビジュアルキューは、
図5A~
図5Dに示されている例示的なグラフィカルユーザインターフェースなどのグラフィカルユーザインターフェースで提示され得る。
【0047】
一実施形態では、透析液分析デバイスが較正される(動作406)。透析液分析デバイスを較正することは、使用済み透析液を含んでいる排液バッグが存在しないときに光センサを使用して1つまたは複数の光の読取りを取ることを伴い得る。したがって、透析液分析デバイスを較正することは、使用済み透析液を含んでいる排液バッグが存在するときに取られた光の読取りとの比較のためにベースライン光の読取りを与え得る。たとえば、ベースラインは、読取りの履歴平均に基づき得る。代替または追加として、ベースラインは、ラボラトリ設定でおよび/または実際に複数の腹膜炎でない排液バッグから取られた読取りのデータ(たとえば、平均または中間)に基づき得る。
【0048】
一実施形態では、使用済み透析液を含んでいる排液バッグが装置と位置合わせされる(動作408)。特に、排液バッグは、装置の物理的な構成によって示される特定の位置(たとえば、
図2A~
図2Iに示されている例示的な装置200のバッグトレイ202または
図3A~
図3Bに示されている装置300のバッグ設置エリア302)中に配置され得る。さらに、装置および/または透析液分析デバイスによって供給されるオーディオおよび/またはビジュアルキューは、排液バッグを装置に位置合わせするのを支援し得る。たとえば、透析液分析デバイスは、患者または他の人間オペレータが排液バッグを装置と位置合わせするのを支援するためにスケール(たとえば、
図2Iに示されている1つまたは複数の力感受性抵抗器228)からのデータに基づいてオーディオおよび/またはビジュアルキューを供給し得る。オーディオおよび/またはビジュアルキューは、
図5A~
図5Dに示されている例示的なグラフィカルユーザインターフェースなどのグラフィカルユーザインターフェースで提示され得る。
【0049】
一実施形態では、光は、排液バッグを通って放出される(動作410)。排液バッグを通って放出される光は、環境中の(たとえば、日光および/または1つもしくは複数の汎用ランプからの)周辺光であり得る。代替的に、専用の光源は、排液バッグを通して光を放出し得る(たとえば、
図2Gに示されている装置200の1つまたは複数の光源226)。上記で説明されたように、専用の光源は、透析液分析デバイスによって送信された電気信号または他のタイプの命令に応答して光を放出し得る。
【0050】
一実施形態では、光センサは、排液バッグを通して放出された光を感知する(動作412)。特に、光センサは、使用済み透析液を分析するために注目する1つまたは複数の特定波長で放出された光を感知する。上記で説明されたように、光センサは、透析液分析デバイスによって送信された電気信号または他のタイプの命令に応答して光を感知し得る。光センサは、単一の読取りで光を感知し得る。代替的に、光センサは、複数の読取りを取り得る。以下で説明されるように光センサから受信されたデータを評価するとき、透析液分析デバイスは、複数の読取りに基づいて平均、中間、または他の統計値を決定し得る。さらに、透析液分析デバイスは、平均、中間、または他の基準値から著しく逸脱する外れ値を破棄し得る。光センサは、光の読取り(たとえば、相対的な光度)を出力し得る。
【0051】
一実施形態では、透析液分析デバイスは、光センサおよび/または1つもしくは複数の他のソースから受信されたデータを評価する(動作414)。透析液分析デバイスは、使用済み透析液の様々なプロパティ(または疑わしい/予測されたプロパティ)を決定するために多くの様々なタイプのデータを評価し得る。たとえば、
- 透析液分析デバイスは、相対的な光度または相対的な光度の変化に基づいて使用済み透析液中の濁り度(すなわち、透過性の損失)を測定し得る。濁り度または相対的な光度は、白血球濃度と相関することができる。たとえば、
図11は、相対的な光度と白血球濃度との間の相関を示すテスト結果のチャートを示す。使用済み透析液がない場合の(たとえば、澄んだ空気、水、または清浄な透析液を通した)透過率に対する使用済み透析液を通した透過率の下降の大きさは、白血球濃度と相関することができる。したがって、使用済み透析液を通した光線透過率の下降は、白血球の増加を示し得る。濁り度を測定するための本明細書で説明される技法は、「混濁」を査定するための従来の主観的技法よりも客観的であり、感度が高くなり得るしたがって、本明細書で説明される技法は、従来の主観的な手法よりもはるかに早期のステージに臨床的に有意なレベルの濁り度を検出し得る。たとえば、国際腹膜透析学会(IPSD)は、以下のうちの少なくとも2つが存在するときに腹膜炎が診断されることを推奨している。(1)臨床像が腹膜炎に一致する(たとえば、腹痛および/または濁った透析排液)。(2)透析排液の白血球数>50%の多形核WBCである状態で、透析排液の白血球数>少なくとも2時間の滞留時間後に100個/μlである。(3)正の透析排液培養である。比較すると、
図11に示されているように、1つまたは複数の実施形態は、本明細書で説明されるように光センサを使用してμl当たり100個を下回る白血球濃度をうまく検出することができる。
【0052】
- 透析液分析デバイスは、粒径を測定し、白血球の種類を区別するために光散乱データを使用し得る。特に、光源はレーザーであり得、光センサは、使用済み透析液を通したレーザーの散乱を感知し得る。散乱の特性は、粒径を示し、および/または白血球を分類するために使用され得る。この手法は、散乱を検出する光センサの能力を改善するために暗い環境を必要とし得る。白血球のいくつかのクラスおよび/またはそれの比は、腹膜炎のより高い可能性を示し得る。たとえば、使用済み透析液中の白血球の約1/2が顆粒球である場合、その比は、腹膜炎の強い兆候であり得る。
【0053】
- 透析液分析デバイスは、側方流分析または乾燥化学試験片を評価するためにカメラ(たとえば、スマートフォンまたはタブレット中のカメラ)からのデータを使用し得る。特に、カメラによってキャプチャされた試験片の外見に基づいて、透析液分析デバイスは、白血球濃度の代用として白血球エステラーゼを測定し得る。
【0054】
- グラム染色液が、使用済み透析液と混合されていることがある。透析液分析デバイスは、染色された細菌を識別するために使用済み透析液を検査するために顕微鏡からのデータを使用し得る。
【0055】
- 透析液分析デバイスは、透析液中のグルコース濃度を測定し得る。特に、光源は、透析液中のグルコース濃度を検出するために使用され得る近赤外光を放出し得る。グルコース濃度は、たとえば、較正の前後処理において使用され得る。特に、新しい透析液中のグルコース(ブドウ糖)濃度が知られている(たとえば、1.5%、2.5%、4.25%、または別の知られている濃度)。知られている濃度のブドウ糖の近赤外信号が、たとえば、ラボ設定であらかじめ決定され得る。患者の透析液処方は、電子医療記録からまたは別のソースからデータをロードすることによって手動のユーザエントリを介して取得され得る。たとえば、透析液分析デバイスは、患者の透析液処方に関する標示からの情報を取得するためにスマートフォンのカメラまたは別の種類のカメラによってキャプチャされた新しい透析液バッグの標示の写真を分析し得る(たとえば、テキスト分析を実施し、バーコードを読み取り、QRコード(登録商標)を読み取り、および/または別の種類の分析もしくはそれらの組合せを実施する)。したがって、透析の前の患者の新しい透析液中のブドウ糖の近赤外信号が知られる。透析液分析デバイスは、透析後に使用済み透析液中のブドウ糖の近赤外信号を取得し得る。一実施形態では、透析液中のグルコース量の変化は、グルコメートルによって取得される血液中のグルコースレベルとともに、腹膜状態の輸送状態を推定するのに役立ち得る。一部の患者が、他の患者よりも高い限外ろ過体積を有するので、濁り度は、使用済み透析液の体積によって正規化され得る。
【0056】
- 透析液分析デバイスは、複数のソースから受信されたデータの組合せを評価し得る。たとえば、濁り度データが、マイクロリットル当たり100個よりも多い白血球数を示し、光散乱データおよび/または側方流分析もしくは乾燥化学試験片データが、半分超が多形核細胞であることを示す場合、データの組合せは、腹膜炎を示唆し得る。
【0057】
一実施形態では、透析液分析デバイスは、警報基準が満たされたのかどうかを決定する(動作416)。警報基準は、満たされたとき、人間の注意を必要とし得るかまたはそれから利益を得る条件を示すルールである。たとえば、警報基準は、上記で説明された1つまたは複数のタイプのデータの評価に基づいて、患者が腹膜炎の増加したリスクまたは可能性を有することを示し得る。増加したリスクまたは可能性は、絶対値(たとえば、しきい値量を上回る濁り度、もしくは顆粒球のしきい値比)、傾向(たとえば、しきい値率を上回って増加する濁り度もしくは特定のクラスの白血球の比)、および/または別の種類のメトリックもしくはそれらの組合せに基づき得る。
【0058】
一実施形態では、警報基準は、腹膜炎および/または別の症状を有する患者のリスクまたは可能性を計算するために1つまたは複数のファクタ(たとえば、濁り度、粒径、粒子タイプの比、白血球エステラーゼ、細菌の存在、および/または別のファクタまたはそれらの組合せ)を組み合わせる複合ルールである。たとえば、追加のファクタは、喫煙、腹膜透析ユニットから離れた生活、および/もしくはペットなどの社会/環境ファクタ、肥満、うつ、低カリウム血、低アルブミン血、ビタミンD補充の欠如、および/もしくは侵襲性の介入(たとえば、結腸鏡検査)などの医療ファクタ、血液透析前、患者の選択に対する腹膜透析、トレーニング、生体不適合性流体、および/もしくはウェット汚染などの透析関連のファクタ、鼻黄色ブドウ球菌キャリアの状態および/もしくは前の出口部感染などの感染関連のファクタ、および/もしくは別のファクタまたはそれの組合せを含み得る。さらなるファクタは、たとえば、患者が腹膜透析のために休日を取ったのかどうか、使用済み透析液が、乾燥日をもつAPD患者の最初の排出からのものであるのかどうか、および/またはどのくらいの時間の間滞留時間が持続したのかを含み得る。場合によっては、1つまたは複数のファクタは、濁り度が腹膜デブリによって生じる可能性を示し得、感染を処置することを対象とする任意の手法ではなく、洗浄が示唆され得る。
【0059】
一実施形態では、特定の症状の患者のリスクまたは可能性は、数値スコアとして計算され、しきい値数値と比較され得る。警報基準が満たされる場合、透析液分析デバイスは、警報を生成する(動作418)。警報は、リスクスコア、診断、推奨される手順、(たとえば、抗生物質治療または洗浄)、ならびに/または腹膜透析および/もしくは他の健康問題に関係する他の情報を含み得る。場合によっては、治療の推奨される過程は、自己申告の症候(たとえば、以下で説明されるグラフィカルユーザインターフェースを介して収集される症候)によって通知され得る。テスト結果が、病状(たとえば、腹膜炎)について正であり、自己申告の症候もその症状について正である場合、適切な治療(たとえば、抗生物質)が推奨され得る。テスト結果が負であり、症候も負である場合、治療は、推奨されないことがある。テスト結果と症候とが互いに一致しない(すなわち、1つは、症状について正であり、他方は、その症状について負である)場合、臨床評価が推奨され得る。警報を生成することは、腹膜透析に関連する腹膜炎および/または1つもしくは複数の他の症状の早期検出および治療を保証するのに役立ち得る。場合によっては、警報を生成することは、たとえば、さらなる分析のためにラボラトリに透析液排液バッグおよび/または使用済み透析液の一部または全部を送ることによって警報の有効性を確認するためのさらなる技法の適用を促し得る。
【0060】
2.3 ユーザインターフェース
一実施形態では、透析液分析デバイスは、排液バッグ中の使用済み透析液を分析するのを支援するためにオーディオおよび/またはビジュアルキューを与えるユーザインターフェース(たとえば、
図1Aに関して上記で説明されたユーザインターフェース111)を含む。ユーザインターフェースは、透析液分析デバイスを位置合わせすること、排液バッグを位置合わせすること、透析液分析デバイスを較正すること、排液バッグを風袋引きすること、および/または本明細書では説明される1つまたは複数の動作を行うのを支援するためにオーディオおよび/またはビジュアルキューを提示し得る。さらに、ユーザインターフェースは、警報基準に基づいて警報を提示し得る。
【0061】
図5A~
図5Dは、一実施形態による、グラフィカルユーザインターフェースの一例の図である。これらの図は、例として与えられているにすぎず、1つまたは複数の実施形態を限定するものと解釈すべきではない。この例では、グラフィカルユーザインターフェースは、スマートフォン中で実行するソフトウェアアプリケーションによって生成される。
【0062】
図5Aは、透析液分析デバイスを位置合わせするのを支援するためのキューを提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。この例では、キューは、透析液分析デバイスを平坦な表面の上に配置するための視覚命令を含む。
図5Bは、透析液分析デバイスを較正するのを支援するためのキューを提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。この例では、キューは、透析液分析デバイスがベースライン光の読取りを行う間に陰影を落とすのを回避するために透析液分析デバイスから離れるための視覚命令を含む。
図5Cは、排液バッグを位置合わせするのを支援するためのキューを提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。この例では、キューは、排液バッグをどこに配置すべきか(すなわち、光センサを含む透析液分析デバイスの領域の上)についての視覚ガイドを含む。さらに、キューは、たとえば、スケールおよび/または光センサからの読取りに基づいて排液バッグが正しい位置で検出されたのかどうかを示す。
図5Dは、排液バッグ中の使用済み透析液を分析する間に収集および/または計算されたデータを提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。この例では、データは、周辺光の測定されたルクスと、使用済み透析液の測定された濁り度と、2つのルクス値間の差とを含む。
【0063】
一実施形態では、オーディオおよび/またはビジュアルキューを与えるユーザインターフェースは、患者または他の人間オペレータがそのようなキューを与えられなかった場合よりも正確な透析液分析および/または複数の使用にわたる一貫した透析液分析を保証するのを助ける。
3.排液ラインに沿った使用済み透析液を分析すること
一実施形態では、排液ライン(たとえば、排液ラインの管のクリアなセクションまたは排液ラインに沿って配置された光透過チャンバ)に沿った使用済み透析液に対する光センサの設置を容易にする装置が提供される。特に、本装置は、正確で一貫した光読取りを保証するのを助ける構成中で排液ラインのクリアなセクション、排液ライン視覚化チャンバ、または光透過チャンバに対して光センサが配置されることを保証するのを助け得る。以下の例では、光センサは、透析液分析デバイスとは別個のデバイスの部分であると仮定される。他の例では(図示せず)、光センサは、透析液分析デバイスの部分であり得る。
【0064】
3.1 装置
図6Aは、一実施形態による、光透過チャンバ602の一例の図である。光透過チャンバ602は、排液ライン取付け点604を使用して排液ラインに沿って設置可能である。排液ライン取付け点604は、排液ライン自体中の相互取付け点(図示せず)に取り付けるように構成される。従来の排液ラインは、そのような取付け点を含まない。したがって、光透過チャンバ602を使用することは、光透過チャンバ602を収容するように構成された非従来型の排液ラインを必要とし得る。光透過チャンバ602との使用のために光検知デバイスを較正するために、光検知デバイスは、最初に、たとえば、知られている光品質を有する層状のプラスチックまたはガラスで作られ得る較正チャンバまたは他の光透過構成要素(図示せず)に固定され得る(たとえば、クランプされ得る)。較正チャンバを通して光を感知することにより、使用済み透析液を分析するために光透過チャンバ602を使用するより前のベースライン状態への較正が可能になり得る。
【0065】
図6Bは、一実施形態による、光検知デバイス605の一例の図である。特に、
図6Bは、
図6Aに示されている例示的な光透過チャンバ602などの光透過チャンバを通して光を放出し、検出するように構成された光検知デバイス605の一例を示す。光検知デバイス605は、クランピング機構(たとえば、クリップ)の反対側に配設された光源606と光センサ608とを含む。クランピング機構は、光検知デバイス605が光透過チャンバにクランプされるとき、光源606によって放出された光が光センサ608に向けられるまたはほぼそれに向けられるように構成される。光源606は、単一の波長の光または複数の波長の光を放出するように構成され得る。光センサ608は、単一の波長の光または複数の波長の光を感知するように構成され得る。光検知デバイス605は、この例ではUSBケーブルである通信インターフェース610を介して光センサ608から透析液分析デバイスにデータを送信するように構成される。
【0066】
一実施形態では、光透過チャンバ602および/または光検知デバイス605は、ヘマトクリット、血液容量のパーセント変化、および/または酸素飽和などの血液性状を測定するために使用される機器と構成の点で同様である。たとえば、光透過チャンバ602は、Fresenius Medical Careによって製造されたCrit-Line血液チャンバと構成の点で同様であり得、これは、典型的に、やはりFresenius Medical Careによって製造されたCrit-Line IIIモニタと一緒に使用される。光透過チャンバ602は、たとえば、光透過チャンバ602を排液ラインに沿って配置することを可能にするために血液チャンバ構成からの構造修正を含み得る。光検知デバイス605は、Crit-Line血液チャンバ上にクランプするように設計されたFresenius Medical Careによって製造されたCLiC(登録商標)デバイスであり得る。Crit-Line血液チャンバとCLiC(登録商標)デバイスとは、相互の適合性のために設計される。特に、Crit-Line血液チャンバは、ほぼ平行で対向する位置にCLiC(登録商標)デバイスの光源606と光センサ608とを収容する平坦な外面を有し、したがって、光源606からの光は、光センサ608に向かってチャンバを通って向けられる。典型的に血液分析において使用される既存の機器を修正および/または再利用することは、本明細書で説明される非慣習的な透析液分析技法に機器のユーティリティを拡張しながら機器を製造している会社にコスト削減を与え得る。
【0067】
一実施形態では、光透過チャンバ602は、取外し可能な、使い捨ての、単一用途の、または複数用途のチャンバである。代替的に、光透過チャンバ602は、排液ラインに固定され、および/または廃棄より前の複数の使用のために設計され得る。
【0068】
例について、
図6A~
図6Bの図に関して上記で説明したが、光検知デバイスは、別の形態を取り得る。たとえば、光検知デバイスは、排液ラインに沿って(たとえば、排液ライン視覚化チャンバ、光透過チャンバ、または排液ラインのクリアなセクションにわたって)取り付けられるか、あるいは配置されるように構成された筐体(たとえば、立方形の筐体)を含み得る。1つまたは複数の光源と1つまたは複数の光センサとが筐体内に配設され得る。筐体は、筐体内に含まれている光源以外のソースからの光汚染を回避するのを助け得る。
【0069】
3.2 方法
図7は、一実施形態による、排液ラインに沿った使用済み透析液を分析するための動作の一例の流れ図である。
図7に示されている1つまたは複数の動作は、一斉に修正されるか、並べ替えられるか、または省略され得る。したがって、
図7に示されている特定の一連の動作は、1つまたは複数の実施形態の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0070】
一実施形態では、光検知デバイス(たとえば、
図6Bに示されている例示的な光検知デバイス605)は、排液ラインに沿って配置される。光検知デバイスは、たとえば、排液ラインのクリアなセクションまたは光透過チャンバ(たとえば、
図6Aに示されている例示的な光透過チャンバ602)に配置され得る。光検知デバイスは、(光検知デバイスの部分である光源によってまたは別のソースから)排液ラインを通して流出する使用済み透析液を通って光が放出されるとき、光検知デバイス中の光センサが放出された光を感知することが可能であるように配置される。
【0071】
一実施形態では、光は、使用済み透析液を通って放出される(動作704)。特に、光は、光検知デバイスが位置する排液ラインのクリアなセクション、排液ライン視覚化チャンバ、または光透過チャンバを通って放出される。使用済み透析液を通って放出される光は、環境中の(たとえば、日光および/または1つもしくは複数の汎用ランプからの)周辺光であり得る。代替的に、専用の光源は、使用済み透析液を通して光を放出し得る(たとえば、
図6Bに示されている光検知デバイス605の1つまたは複数の光源606)。上記で説明されたように、専用の光源は、透析液分析デバイスによって送信された電気信号または他のタイプの命令に応答して光を放出し得る。
【0072】
一実施形態では、光検知デバイス中の光センサは、使用済み透析液を通して放出された光を感知する(動作706)。特に、光センサは、使用済み透析液を分析するために使用される1つまたは複数の特定波長で放出された光を感知する。上記で説明されたように、光センサは、透析液分析デバイスによって送信された電気信号または他のタイプの命令に応答して光を感知し得る。光センサは、単一の読取りで光を感知し得る。代替的に、光センサは、複数の読取りを取り得る。以下で説明されるように光センサから受信されたデータを評価するとき、透析液分析デバイスは、複数の読取りに基づいて平均、中間、または他の統計値を決定し得る。さらに、透析液分析デバイスは、平均、中間、または他の基準値から著しく逸脱する外れ値を破棄し得る。
【0073】
一実施形態では、透析液分析デバイスは、光センサおよび/または1つもしくは複数の他のソースから受信されたデータを評価する(動作708)。透析液分析デバイスは、警報基準が満たされたのかどうかを決定し得る(動作710)。警報基準が満たされる場合、透析液分析デバイスは、警報を生成し得る(動作712)。データを評価することと、警報基準が満たされるのかどうかを決定することと、警報を生成することとは、
図4に関して上記で説明されたように実施され得る。
4.患者追跡のためのユーザインターフェース
一実施形態では、透析液分析デバイスは、本明細書で説明される任意のタイプの測定および/または計算の履歴を含み得る患者の履歴を追跡するハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。履歴はまた、症候、尿量などの自己申告のデータを含み得る。患者病歴は、患者の電子健康記録にアップロードされ、保存され得る。透析液分析デバイスは、ユーザインターフェース(たとえば、
図1Aに関して上記で説明されたユーザインターフェース111)中に追跡する患者に関する情報を提示するように構成され得る。代替または追加として、透析液分析デバイスは、患者の追跡および/または診断を支援するユーザ入力を取得するためにユーザインターフェースを提示するように構成され得る。
図8A~
図8Eは、一実施形態による、患者の追跡のためのグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す図である。これらの図は、例として与えられているにすぎず、1つまたは複数の実施形態を限定するものと解釈すべきではない。この例では、グラフィカルユーザインターフェースは、スマートフォン中で実行するソフトウェアアプリケーションによって生成される。
【0074】
図8Aは、腹膜炎の患者のリスクまたは可能性を定量化する患者のリスクスコアを提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。リスクスコアは、上記で説明されたように計算され得る。この例では、リスクスコアは数値スコアである。
図8Bは、患者が経験していることがある任意の症候(たとえば、腹膜炎関連の症候)を患者が示すことを可能にするユーザインターフェース制御を提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。透析液分析デバイスは、そのような症状の履歴を記憶し得る。代替または追加として、いくつかの症候は、腹膜炎のリスクを示す警報をトリガし得る。症候は、上記で説明されたように、推奨される手順(たとえば、治療または臨床フォローアップ)を決定するためにテスト結果と比較され得る。
図8Cは、使用済み透析液の濁り度の履歴を提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。履歴は、患者または他の人間オペレータが、たとえば、改善または悪化する健康状態を示し得る傾向を識別するのを助け得る。たとえば、清浄な排液バッグが、治療に続いてしきい値時間量(たとえば、抗生物質治療を開始した後の5日)内に存在しない場合、さらなる臨床注意が必要とされ得る。別の例として、白血球数が減少する傾向は、治療が成功したことを示し得る。傾向が予想通りでない(たとえば、白血球が予想されたほど迅速に減少しない)場合、治療が依然として継続中である間に治療が(たとえば、抗生物質のタイプおよび/または適用量を調節することによって)調整され得る。同様に、
図8Dは、やはり傾向を提示しながら患者が排液の重さと尿量とを入力することを可能にするユーザインターフェース制御を提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。
図8Eは、ゲーミフィケーションインターフェース、すなわち、患者または他の人間オペレータがいくつかの課題および/または目的を完了することの報酬として「ポイント」(この場合、スター)を獲得することを可能にするインターフェースを提示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。たとえば、スターは、一貫した健康管理を奨励するのを助けるために使用済み透析液を分析するために透析液分析デバイスが使用されるたびに授与され得る。
図8Eに示されているように、ゲーミフィケーション特徴は、ユーザが同じ課題および/または目的に参加する1人または複数人の友人/接触者と比較されるソーシャル構成要素を含み得る。概して、ゲーミフィケーションは、改善された治療の遵守に関連付けられ得る。
5.様々な拡張
一実施形態では、システムは、本明細書で説明されるおよび/または特許請求の範囲のいずれかに記載の動作のいずれかを実施するように構成された1つまたは複数のハードウェアプロセッサを含む1つまたは複数のデバイスを含む。
【0075】
一実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数のハードウェアプロセッサによって実行されたとき、本明細書で説明されるおよび/または特許請求の範囲のいずれかに記載の動作のいずれかの実施を行わせる命令を記憶する。
【0076】
本明細書で説明される特徴および機能の任意の組合せは、一実施形態に従って使用され得る。上記の明細書では、実施形態は、実装形態ごとに変化し得る多数の具体的な詳細を参照しながら説明された。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的なものと考慮されるべきである。本発明の範囲の唯一の排他的な指標、および本発明の範囲であることが出願人によって意図されているものは、何らかの後の訂正を含む、そのような特許請求の範囲が公表する特定の形態で本出願から公表する特許請求の範囲全文の文字通りの等価な範囲である。
6.コンピューティングデバイス
一実施形態では、本明細書で説明される技法は、1つまたは複数の専用コンピューティングデバイス(すなわち、ある機能を実施するために特別に構成されたコンピューティングデバイス)によって実装される。専用コンピューティングデバイスは、本技法を実施するために有線接続され得、および/または本技法を実施するように永続的にプログラムされる1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/またはネットワーク処理ユニット(NPUs)などのデジタル電子デバイスを含み得る。代替または追加として、コンピューティングデバイスは、ファームウェア、メモリ、および/または他の記憶装置中のプログラム命令に従って本技法を実施するようにプログラムされた1つまたは複数の汎用ハードウェアプロセッサを含み得る。代替または追加として、専用コンピューティングデバイスは、本技法を達成するためにカスタムハードワイヤード論理、ASIC、FPGA、またはNPUをカスタムプログラミングと組み合わせ得る。専用コンピューティングデバイスは、本技法を実装するためにハードワイヤードおよび/またはプログラム論理を組み込んだデスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム、ハンドヘルドデバイス、ネットワークデバイス、および/または任意の他のデバイスを含み得る。
【0077】
たとえば、
図9は、一実施形態による、コンピュータシステム900の一例のブロック図である。コンピュータシステム900は、情報を通信するためのバス902または他の通信メカニズムと、情報を処理するためのバス902に結合されたハードウェアプロセッサ904とを含む。ハードウェアプロセッサ904は、汎用マイクロプロセッサであり得る。
【0078】
コンピュータシステム900はまた、プロセッサ904によって実行される情報および命令を記憶するためのバス902に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的ストレージデバイスなどのメインメモリ906を含む。メインメモリ906はまた、プロセッサ904によって実行される命令の実行中に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用され得る。そのような命令は、プロセッサ904にアクセス可能な1つまたは複数の非一時的記憶媒体中に記憶されたときに、コンピュータシステム900を命令中に指定されている動作を実施するようにカスタマイズされた専用機械にする。
【0079】
コンピュータシステム900は、プロセッサ904のための静的情報および命令を記憶するためのバス902に結合された読取り専用メモリ(ROM)908または他の静的記憶デバイスをさらに含む。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶デバイス910は、情報および命令を記憶するために与えられ、バス902に結合される。
【0080】
コンピュータシステム900は、コンピュータユーザに情報を表示するために液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、電子インクディスプレイ、陰極線管(CRT)モニタ、または任意の他の種類のデバイスなどのディスプレイ912にバス902を介して結合され得る。英数字および他のキーを含む入力デバイス914は、プロセッサ904に情報およびコマンド選択を通信するためにバス902に結合され得る。代替または追加として、コンピュータシステム900は、プロセッサ904に方向情報およびコマンド選択を通信するために、およびディスプレイ912上でのカーソルの移動を制御するためにマウス、トラックボール、トラックパッド、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御916を介してユーザ入力を受信し得る。この入力デバイスは、一般に、デバイスが平面中の位置を指定することを可能にする第1の軸(たとえば、x)と第2の軸(たとえば、y)との2つの軸に2つの自由度を有する。代替または追加として、コンピュータシステム9は、タッチスクリーンを含み得る。ディスプレイ912は、1つまたは複数の感圧センサ、マルチタッチセンサ、および/またはジェスチャセンサを介してユーザ入力を受信するように構成され得る。代替または追加として、コンピュータシステム900は、マイクロフォン、ビデオカメラ、および/または何らかの他の種類のユーザ入力デバイス(図示せず)を介してユーザ入力を受信し得る。
【0081】
コンピュータシステム900は、コンピュータシステム900の他の構成要素と組み合わせてコンピュータシステム900を専用機械にするかまたはプログラムするカスタマイズされたハードワイヤード論理、1つまたは複数のASICもしくはFPGA、ファームウェア、および/またはプログラム論理を使用して本明細書で説明される技法を実装し得る。一実施形態によれば、本明細書における技法は、メインメモリ906中に含まれている1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ904が実行することに応答してコンピュータシステム900によって実施される。そのような命令は、記憶デバイス910などの別の記憶媒体からメインメモリ906に読み取られ得る。メインメモリ906中に含まれている命令のシーケンスの実行は、プロセッサ904に本明細書で説明されるプロセスステップを実施させる。代替または追加として、ハードワイヤード回路は、ソフトウェア命令の代わりにまたはそれと組み合わせて使用され得る。
【0082】
本明細書で使用される「記憶媒体」という用語は、機械に特定の様式で動作させるデータおよび/または命令を記憶する1つまたは複数の非一時的媒体を指す。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を備え得る。不揮発性媒体は、たとえば、ストレージデバイス910などの光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ906などのダイナミックメモリを含む。記憶媒体の共通の形態は、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープまたは他の磁気データ記憶媒体、CD-ROMまたは任意の他の光データ記憶媒体、穴のパターンを用いる任意の物理媒体、RAM、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、FLASH-EPROM、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、連想メモリ(CAM)、および3値連想メモリ(TCAM)を含む。
【0083】
記憶媒体は、伝送媒体とは別個であるが、それと併せて使用され得る。伝送媒体は、記憶媒体間で情報を転送することに関与する。伝送媒体の例は、バス902を備えるワイヤを含む同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。伝送媒体はまた、電波および赤外線データ通信中に生成されるものなど、音響波または光波の形態をとり得る。
【0084】
媒体の様々な形態は、実行のために1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ904に搬送することに関与し得る。たとえば、命令は、最初に、リモートコンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上で搬送され得る。リモートコンピュータは、それのダイナミックメモリに命令をロードし、イーサネットコントローラまたはWi-Fiコントローラなどのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)を介してネットワークにわたって命令を送り得る。コンピュータシステム900にローカルのNICは、ネットワークからデータを受信し、バス902上にデータを配置し得る。バス902は、プロセッサ904が命令を取り出し、実行するメインメモリ906にデータを搬送する。メインメモリ906によって受信された命令は、随意に、プロセッサ904による実行の前または後のいずれかにストレージデバイス910に記憶され得る。
【0085】
コンピュータシステム900はまた、バス902に結合された通信インターフェース918を含む。通信インターフェース918は、ローカルネットワーク922に接続されるネットワークリンク920への二方向データ通信結合を与える。たとえば、通信インターフェース918は、対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を与えるための統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、またはモデムであり得る。別の例として、通信インターフェース918は、適合性があるLANへのデータ通信接続を与えるためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであり得る。ワイヤレスリンクも実装され得る。任意のそのような実装形態では、通信インターフェース918は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁または光信号を送信および受信する。
【0086】
ネットワークリンク920は、一般に、他のデータデバイスに1つまたは複数のネットワークを通してデータ通信を与える。たとえば、ネットワークリンク920は、ホストコンピュータ924に、またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)926によって動作されるデータ機器にローカルネットワーク922を通して接続を与え得る。ISP926は、次に、「インターネット」928と現在一般に呼ばれるワールドワイドパケットデータ通信ネットワークを通してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク922およびインターネット928はどちらも、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁または光信号を使用する。コンピュータシステム900との間でデジタルデータを搬送する様々なネットワークを通る信号とネットワークリンク920上の通信インターフェース918を通る信号は、伝送媒体の例示的な形態である。
【0087】
コンピュータシステム900は、ネットワーク、ネットワークリンク920および通信インターフェース918を通してメッセージを送り、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ930は、インターネット928、ISP926、ローカルネットワーク922、および通信インターフェース918を通してアプリケーションプログラムのための要求されたコードを送信することがある。
【0088】
受信されたコードは、それが受信されるにつれてプロセッサ904によって実行され、および/または後の実行のために記憶デバイス910もしくは他の不揮発性記憶装置中に記憶され得る。
7.コンピュータネットワーク
一実施形態では、コンピュータネットワークは、本明細書で説明される技法を利用するソフトウェアを動作するノードのセット間の接続性を与える。ノードは、互いにローカルであり、および/またはリモートであり得る。ノードは、リンクのセットによって接続される。リンクの例は、同軸ケーブル、非シールドツイストケーブル、銅ケーブル、光ファイバ、および仮想リンクを含む。
【0089】
ノードのサブセットは、コンピュータネットワークを実装する。そのようなノードの例は、スイッチ、ルータ、ファイアウォール、およびネットワークアドレス変換器(NAT)を含む。ノードの別のサブセットは、コンピュータネットワークを使用する。(「ホスト」とも呼ばれる)そのようなノードは、クライアントプロセスおよび/またはサーバプロセスを実行し得る。クライアントプロセスは、コンピューティングサービスを求める要求(たとえば、特定のアプリケーションを実行することおよび/またはデータの特定のセットを取り出すことを求める要求)を行う。サーバプロセスは、要求されたサービスを実行することおよび/または対応するデータを戻すことによって応答する。
【0090】
コンピュータネットワークは、物理的なリンクによって接続される物理的なノードを含む物理的なネットワークであり得る。物理的なノードは、何らかのデジタルデバイスである。物理的なノードは特定機能ハードウェアデバイスであり得る。特定機能ハードウェアデバイスの例は、ハードウェアスイッチ、ハードウェアルータ、ハードウェアファイアウォール、およびハードウェアNATを含む。代替または追加として、物理的なノードは、それぞれの機能を実施する様々な仮想マシンおよび/またはアプリケーションを実行するように構成されたタスクなどのタスクを実施するために計算能力を与える任意の物理的なリソースであり得る。物理的なリンクは、2つ以上の物理的なノードを接続する物理的な媒体である。リンクの例は、同軸ケーブル、非シールドツイストケーブル、銅ケーブル、および光ファイバを含む。
【0091】
コンピュータネットワークは、オーバーレイネットワークであり得る。オーバーレイネットワークは、別のネットワーク(たとえば、物理的なネットワーク)の上に実装される論理ネットワークである。オーバーレイネットワーク中の各ノードは、基礎をなすネットワーク中のそれぞれのノードに対応する。したがって、オーバーレイネットワーク中の各ノードは、(オーバーレイノードをアドレス指定するための)オーバーレイアドレスと(オーバーレイノードを実装するアンダーレイノードをアドレス指定するための)アンダーレイアドレスとの両方に関連付けられる。オーバーレイノードは、デジタルデバイスおよび/またはソフトウェアプロセス(たとえば、仮想マシン、アプリケーションインスタンス、またはスレッド)であり得る。オーバーレイノードを接続するリンクは、基礎をなすネットワークを通るトンネルとして実装され得る。トンネルのいずれかの端にあるオーバーレイノードは、それらとの間の基礎をなすマルチホップ経路を単一の論理リンクとして扱い得る。トンネリングは、カプセル化およびカプセル化解除を通して実施される。
【0092】
一実施形態では、クライアントは、コンピュータネットワークにローカルであり、および/またはそれからリモートであり得る。クライアントは、プライベートネットワークまたはインターネットなどの他のコンピュータネットワークを介してコンピュータネットワークにアクセスし得る。クライアントは、ハイパーテキストトランスファープロトコル(HTTP)などの通信プロトコルを使用してコンピュータネットワークに要求を通信し得る。要求は、(ウェブブラウザなどの)クライアントインターフェース、プログラムインターフェース、またはアプリケーションプログラミングインターフェース(API)などのインターフェースを通して通信される。
【0093】
一実施形態では、コンピュータネットワークは、クライアントとネットワークリソースとの間の接続性を与える。ネットワークリソースは、サーバプロセスを実行するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。ネットワークリソースの例は、プロセッサ、データ記憶装置、仮想マシン、コンテナ、および/またはソフトウェアアプリケーションを含む。ネットワークリソースは、複数のクライアントの間で共有され得る。クライアントは、互いに独立してコンピュータネットワークにコンピューティングサービスを要求する。ネットワークリソースは、オンデマンドベースで要求および/またはクライアントに動的に割り当てられる。各要求および/またはクライアントに割り当てられたネットワークリソースは、たとえば、(a)特定のクライアントによって要求されたコンピューティングサービス、(b)特定のテナントによって要求されたアグリゲートされたコンピューティングサービス、および/または(c)コンピュータネットワークの要求されたアグリゲートされたコンピューティングサービスに基づいてスケールアップまたはダウンされ得る。そのようなコンピュータネットワークは、「クラウドネットワーク」と呼ばれることがある。
【0094】
一実施形態では、サービスプロバイダは、1つまたは複数のエンドユーザにクラウドネットワークを与える。様々なサービスモデルは、限定はしないが、サービスとしてのソフトウェア(SaaS:Software-as-a-Service)、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS:Platform-as-a-Service)、およびサービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS:Infrastructure-as-a-Service)を含むクラウドネットワークによって実装され得る。SaaSでは、サービスプロバイダは、ネットワークリソース上で実行されるサービスプロバイダのアプリケーションを使用する能力をエンドユーザに与える。PaaSでは、サービスプロバイダは、ネットワークリソース上にカスタムアプリケーションを展開する能力をエンドユーザに与える。カスタムアプリケーションは、サービスプロバイダによってサポートされるプログラミング言語、ライブラリ、サービス、およびツールを使用して作成され得る。IaaSでは、サービスプロバイダは、ネットワークリソースによって与えられた処理、記憶、ネットワーク、および他の基本的なコンピューティングリソースをエンドユーザに提供する能力を与える。オペレーティングシステムを含む任意のアプリケーションがネットワークリソース上に展開され得る。
【0095】
一実施形態では、限定はしないが、プライベートクラウド、パブリッククラウド、およびハイブリッドクラウドを含む様々な展開モデルがコンピュータネットワークによって実装され得る。プライベートクラウドでは、ネットワークリソースは、1つまたは複数のエンティティの特定のグループによる排他的使用のために提供される(本明細書で使用される「エンティティ」という用語は、会社、組織、人、または他のエンティティを指す)。ネットワークリソースは、エンティティの特定のグループの構内にローカルであり、および/またはそれからリモートであり得る。パブリッククラウドでは、クラウドリソースは、(「テナント」または「顧客」とも呼ばれる)互いに独立している複数のエンティティのために提供される。ハイブリッドクラウドでは、コンピュータネットワークは、プライベートクラウドとパブリッククラウドとを含む。プライベートクラウドとパブリッククラウドとの間のインターフェースは、データとアプリケーションとの携帯性を可能にする。プライベートクラウドに記憶されたデータとパブリッククラウドに記憶されたデータとは、インターフェースを通して交換され得る。プライベートクラウドに実装されるアプリケーションとパブリッククラウドに実装されるアプリケーションとは互いに依存関係を有し得る。プライベートクラウドのアプリケーションからパブリッククラウドのアプリケーションへの(その逆も同様)呼出しは、インターフェースを通して実行され得る。
【0096】
一実施形態では、システムは、複数のテナントをサポートする。テナントは、共有されたコンピューティングリソース(たとえば、パブリッククラウド中で共有されるコンピューティングリソース)にアクセスする会社、組織、企業、ビジネスユニット、従業員、または他のエンティティである。1つのテナントは、(動作、テナント固有のプラクティス、従業員、および/または外の世界に対する識別を通して)別のテナントとは別個のものであり得る。コンピュータネットワークとそれのネットワークリソースとは、異なるテナントに対応するクライアントによってアクセスされる。そのようなコンピュータネットワークは、「マルチテナントコンピュータネットワーク」と呼ばれることがある。いくつかのテナントは、異なる時間におよび/または同時に同じ特定のネットワークリソースを使用し得る。ネットワークリソースは、テナントの構内にローカルであり、および/またはそれからリモートであり得る。異なるテナントは、コンピュータネットワークのための異なるネットワーク要件を要求し得る。ネットワーク要件の例は、処理速度、データストレージの量、セキュリティ要件、性能要件、スループット要件、レイテンシ要件、弾性要件、サービス品質(QoS)要件、テナントの分離、および/または整合性を含む。同じコンピュータネットワークは、異なるテナントによって要求される異なるネットワーク要件を実装する必要があり得る。
【0097】
一実施形態では、マルチテナントコンピュータネットワークでは、テナントの分離は、異なるテナントのアプリケーションおよび/またはデータが互いに共有されないことを保証するために実装される。様々なテナントの分離手法が使用され得る。一実施形態では、各テナントは、テナントIDに関連付けられる。コンピュータネットワークによって実装されるアプリケーションは、テナントIDを用いてタグ付けされる。追加または代替として、コンピュータネットワークによって記憶されたデータ構造および/またはデータセットは、テナントIDを用いてタグ付けされる。テナントおよび特定のアプリケーション、データ構造、ならびに/またはデータセットが同じテナントIDに関連付けられている場合にのみ、テナントは、特定のアプリケーション、データ構造、および/またはデータセットへのアクセスを許可される。一例として、マルチテナントコンピュータネットワークによって実装される各データベースは、テナントIDを用いてタグ付けされ得る。対応するテナントIDに関連するテナントのみが、特定のデータベースのデータにアクセスし得る。別の例として、マルチテナントコンピュータネットワークによって実装されるデータベース中の各エントリは、テナントIDを用いてタグ付けされ得る。対応するテナントIDに関連するテナントのみが、特定のエントリのデータにアクセスし得る。しかしながら、データベースは、複数のテナントによって共有され得る。サブスクリプションリストは、どのテナントがどのアプリケーションにアクセスする認可を有するのかを示し得る。アプリケーションごとに、アプリケーションにアクセスすることを認証されたテナントのテナントIDのリストが記憶される。テナントのテナントIDが特定のアプリケーションに対応するサブスクリプションリスト中に含まれる場合にのみ、テナントは、特定のアプリケーションへのアクセスを許可される。
【0098】
一実施形態では、異なるテナントに対応する(デジタルデバイス、仮想マシン、アプリケーションインスタンス、およびスレッドなどの)ネットワークリソースは、マルチテナントコンピュータネットワークによって維持されたテナント固有のオーバーレイネットワークに隔離される。一例として、テナントオーバーレイネットワーク中の任意のソースデバイスからのパケットは、同じテナントオーバーレイネットワーク内の他のデバイスにのみ送信され得る。カプセル化トンネルは、テナントオーバーレイネットワーク上のソースデバイスから他のテナントオーバーレイネットワーク中のデバイスへのあらゆる送信を禁止するために使用され得る。特に、ソースデバイスから受信されたパケットは、外部パケット内にカプセル化される。外部パケットは、(テナントオーバーレイネットワーク中でソースデバイスと通信している)第1のカプセル化トンネルエンドポイントから(テナントオーバーレイネットワーク中の宛先デバイスと通信している)第2のカプセル化トンネルエンドポイントに送信される。第2のカプセル化トンネルエンドポイントは、ソースデバイスによって送信された元のパケットを取得するために外部パケットをカプセル化解除する。元のパケットは、第2のカプセル化トンネルエンドポイントから同じ特定のオーバーレイネットワーク中の宛先デバイスに送信される。
8.コネクテッドヘルスシステム
本明細書で説明されるシステム100および101は、コネクテッドヘルス(CH:connected health)システム1000の部分であるかまたはそれと通信するように構成され得る。
図10は、特に、本明細書で説明されるシステムのネットワーク態様とともに使用され得る処理システム1005と、コネクテッドヘルス(CH)クラウドサービス1010と、ゲートウェイ(CHゲートウェイ)1020とを含み得るCHシステム1000の一例を示す概略図である。処理システム1005は、CHシステム1000のデータ送信動作に関して、適合性検査を処理し、および/またはクリニックもしくは病院の臨床情報システム(CIS)1004において生成された処方情報を含む医療情報をフォーマットするサーバおよび/またはクラウドベースのシステムであり得る。CHシステム1000は、適切な暗号化およびデータセキュリティ機構を含み得る。CHクラウドサービス1010は、インターネットなどのネットワークへの接続を介してCHシステム1000の構成要素の間で通信パイプラインとして働く(たとえば、データの転送を容易にする)クラウドベースのアプリケーションであり得る。ゲートウェイ1020は、CHシステム1000の構成要素の間での通信を容易にする通信デバイスとして働き得る。様々な実施形態では、ゲートウェイ1020は、Bluetooth、Wi-Fi、および/または他の適切なタイプのローカルもしくは短距離ワイヤレス接続などのワイヤレス接続1001を介して透析装置1002(たとえば、PDサイクラー)およびシステム100/101と通信していることがある。ゲートウェイ1020はまた、セキュアなネットワーク(たとえば、インターネット)接続を介してCHクラウドサービス1010に接続していることがあり得る。ゲートウェイ1020は、CHクラウドサービス1010との間でデータを送信/受信し、透析装置1002およびシステム100/101との間でデータを送信/受信するように構成され得る。透析装置1002は、(たとえば、ゲートウェイ320を介して)利用可能なファイルについてCHクラウドサービス1010をポーリングし得、透析装置1002および/またはシステム100/101は、処理のために利用可能なファイルを一時的に記憶し得る。
【国際調査報告】