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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】粉末床の予熱
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/13 20210101AFI20230420BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230420BHJP
   B22F 12/41 20210101ALI20230420BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230420BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20230420BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20230420BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20230420BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230420BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230420BHJP
   B33Y 40/10 20200101ALI20230420BHJP
【FI】
B22F12/13
B22F10/28
B22F12/41
B29C64/153
B29C64/295
B29C64/205
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544253
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 SE2021050352
(87)【国際公開番号】W WO2021211049
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2050445-2
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520420584
【氏名又は名称】フリーメルト エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アケリッド、ウルフ
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AR07
4F213WA25
4F213WA52
4F213WA83
4F213WB01
4F213WE06
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL43
4F213WL67
4F213WL76
4F213WL87
4F213WL96
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
本明細書の1または複数の実施形態によれば、連続的に形成された粉末層240を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造のための装置200が提供される。装置200は、粉末層対向面355を有する加熱要素350であって、粉末層240からの3次元製品の層の選択的溶融の前に、加熱要素から発せられる熱放射が粉末層240の少なくとも一部を加熱するように、粉末層240の上方にある粉末層加熱位置に配置されている加熱要素350を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造のための装置であって、
粉末層対向面を有する加熱要素であって、前記粉末層からの前記3次元製品の層の前記選択的溶融の前に、前記加熱要素から発せられる熱放射が前記粉末層の少なくとも一部を加熱するように、粉末層の上方にある粉末層加熱位置に配置されている加熱要素を備える装置。
【請求項2】
前記加熱要素は、前記粉末層からの前記3次元製品の層の前記選択的溶融の前に、前記粉末層加熱位置から静止位置へ移動可能なように配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
粉末を分散させ、前記粉末層を形成するように配置された粉末分散部材をさらに備え、前記粉末分散部材は、前記粉末層加熱位置と前記静止位置との間で前記加熱要素を移動させるように配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
IR加熱、抵抗加熱、誘導加熱、レーザビーム加熱、電子ビーム加熱、および/または前記加熱要素との物理的接触による伝導加熱を用いて、前記加熱要素を前記静止位置において加熱するように配置された加熱デバイスをさらに備える、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記3次元製品の前記選択的溶融は、エネルギービーム、好ましくは電子ビームを用いる、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記エネルギービームは、好ましくは、前記粉末層から離れて面する前記加熱要素の上面を加熱することによって、前記加熱要素を加熱するために用いられる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記加熱要素は、少なくとも、前記加熱要素が前記粉末層加熱位置にある場合に、正電位に保持されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱要素は、薄いシートまたは箔を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造に関連して粉末層を加熱するための方法であって、
粉末層対向面を有する加熱要素を、粉末層の上方にある粉末層加熱位置に配置する段階と、
前記粉末層からの前記3次元製品の層の前記選択的溶融の前に、前記加熱要素からの熱放射により前記粉末層の少なくとも一部を加熱する段階と
を備える方法。
【請求項10】
前記粉末層からの前記3次元製品の層の前記選択的溶融の前に、前記加熱要素を前記粉末層加熱位置から静止位置へ移動させる段階をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱要素は、粉末を分散させて前記粉末層を形成するように配置された粉末分散部材を用いて、前記粉末層加熱位置と前記静止位置との間で移動させられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
IR加熱、抵抗加熱、誘導加熱、レーザビーム加熱、電子ビーム加熱、および/または前記加熱要素との物理的接触による伝導加熱を用いて、前記加熱要素を前記静止位置において加熱する段階をさらに備える、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記3次元製品の前記選択的溶融は、エネルギービーム、好ましくは電子ビームを用いる、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
好ましくは、前記粉末層から離れて面する前記加熱要素の上面を加熱することによって、前記加熱要素を加熱するために、前記エネルギービームを用いる段階をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも、前記加熱要素が前記粉末層加熱位置にある場合に、前記加熱要素を正電位に保持する段階をさらに備える、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱要素は、薄いシートまたは箔を含む、請求項9から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビームの粉末床溶融中に電子ビームが粉末床と相互作用する場合、電子ビームからの電子は、粉末床の粉末粒子中に電荷を形成し得る。粉末床の電気伝導率が低すぎて、電子ビームにより誘起されたこのような電荷を消散させることができない場合、粉末床が、粉末粒子間の反発し合う静電力が重力を超えるような臨界値まで電荷を蓄積することになり、これにより、粉末粒子が粉末床から浮揚する。浮揚した帯電粉末粒子は、他の浮揚した帯電粉末粒子から反発を受け、そこで、粉末の塵が、瞬時に製造チャンバ中に広がることになる。この現象は、付加製造プロセスの即座の失敗および終了をもたらす。
【0003】
このことが生じるリスクを低下させるために、粉末床は予熱され、後続の溶融および固化段階のために適切な処理条件を準備してよい。このような粉末床の予熱の主目的は、電気および熱伝導を増大させるために部分的焼結された粉末床を実現することである。部分的焼結された粉末床は、帯電した粉末の浮揚および散乱に対しても、より良好な抵抗力を有する。
【0004】
(従来技術の課題)
電子ビームの粉末床溶融に基づく付加製造において、粉末床における過剰な電荷の形成を回避するように設計された予め定められたパターンで、粉末床に対して電子ビームスポットを走査することによって、新たな粉末層の各々を予熱することが可能となる。ビーム走査スピードは、粉末が部分的焼結するが融解しない温度まで粉末のみが加熱されるように、十分に高くなければならない。予熱走査パターンは、粉末床が部分的焼結状態に到達するために必要な場合には、複数回繰り返されてよい。ひとたび粉末床が部分的焼結されると、電子ビームは、帯電した粉末が浮揚および散乱するリスクなしに、粉末層の融解を開始してよい。
【0005】
この予熱方式は、例えば、低導電性および/または小粒径の粉末を除き、いくつかの金属粉末に対して良好に機能し得るが、好適な予熱パラメータを見出すことは非常に困難であり、または不可能でさえあろう。これは、予熱領域が小さい場合にもあてはまる。
【0006】
この予熱方式の別の問題は、粉末床では、ある程度の部分的焼結を得ることさえ困難だということである。粉末床に対する直接的な走査電子ビームスポットによる予熱は、通常、走査線に沿ってより多くの部分的焼結を形成し、走査線間に形成される部分的焼結は少ない。
【0007】
この予熱方式の更に別の問題は、電子ビームの直接的衝撃によって加熱される場合、部分的焼結粉末の充填密度が非常に低くなることである。これは、粉末粒子が部分的焼結される前に、電子ビームによってわずかに移動するからである。粉末床の充填密度が低いことは、形成されたコンポーネントの品質に影響するので、概して、付加製造における欠点とみなされる。
【0008】
そこで、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造のための改善された装置および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
上述の問題は、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造のための、特許請求の範囲に記載の装置によって対処される。装置は、粉末層対向面を有する加熱要素であって、粉末層からの3次元製品の層の選択的溶融の前に、加熱要素から発せられる熱放射が粉末層の少なくとも一部を加熱するように、粉末層の上方にある粉末層加熱位置に配置されている加熱要素を含んでよい。このような付加製造装置において、粉末層は、単純、効率的、かつ統一された方式で予熱されてよい。粉末層対向面は、本質的に、平坦かつ粉末層の少なくとも一部と平行であってよいが、加熱要素が粉末層に向けて熱放射を発することができる限り、他の形状が想到可能である。
【0010】
実施形態において、加熱要素は、粉末層からの3次元製品の層の選択的溶融の前に、粉末層加熱位置から静止位置へ移動可能なように配置されている。
【0011】
実施形態において、装置は、粉末を分散させ、粉末層を形成するように配置された粉末分散部材を含み、粉末分散部材は、粉末層加熱位置と静止位置との間で加熱要素を移動させるように配置されている。これにより、可動アクチュエータの数が減少する。
【0012】
実施形態において、装置は、IR加熱、抵抗加熱、誘導加熱、レーザビーム加熱、(例えば、別個の電子ビームによる)電子ビーム加熱、および/または加熱要素との物理的接触による伝導加熱を用いて、加熱要素を静止位置において加熱するように配置された加熱デバイスを含む。実施形態において、加熱要素は、加熱デバイスを含む。
【0013】
実施形態において、加熱要素は、静止位置において熱反射デバイスによって囲まれており、これにより、加熱要素の冷却速度が減少する。このような熱反射デバイスは、例えば、単一または複数の層の金属箔を含んでよい。
【0014】
上述の問題は、さらに、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造に関連して、粉末層を加熱するための特許請求の範囲に記載の方法によって対処される。方法は、粉末層の上方の粉末層加熱位置に、粉末層対向面を有する加熱要素を配置する段階と、3次元製品の層の選択的溶融の前に、加熱要素からの熱放射により、粉末層の少なくとも一部を加熱する段階と、を含んでよい。このような方法は、単純、効率的、かつ統一された方式で粉末層を予熱するために用いられてよい。粉末層対向面は、本質的に、平坦かつ粉末層の少なくとも一部と平行であってよいが、加熱要素が粉末層に向けて熱放射を発することができる限り、他の形状が想到可能である。
【0015】
実施形態において、方法は、粉末層からの3次元製品の層の選択的溶融の前に、加熱要素を粉末層加熱位置から静止位置へ移動させる段階を含む。
【0016】
実施形態において、加熱要素は、粉末を分散させて粉末層を形成するように配置された粉末分散部材を用いて、粉末層加熱位置と静止位置との間で移動させられる。これにより、可動アクチュエータの数が減少する。
【0017】
実施形態において、方法は、IR加熱、抵抗加熱、誘導加熱、レーザビーム加熱、電子ビーム加熱、および/または加熱要素との物理的接触による伝導加熱を用いて、加熱要素を静止位置において加熱する段階を含む。
【0018】
実施形態において、加熱要素は、静止位置において熱反射デバイスによって囲まれており、これにより、加熱要素の冷却速度が減少する。このような熱反射デバイスは、例えば、単一または複数の層の金属箔を含んでよい。実施形態において、加熱要素は、熱損失を防止するために、熱的に絶縁される。
【0019】
実施形態において、加熱要素の粉末層対向面は、本質的に、少なくとも1つの粉末層の、形成される3次元製品の断面に対応する領域に平行である。
【0020】
実施形態において、粉末層加熱位置は、均一な熱放射を粉末層に伝達するために、粉末層の上方において、粉末層から例えば20mm未満、好ましくは10mm未満のような極近傍にある。
【0021】
実施形態において、3次元製品の選択的溶融は、エネルギービーム、好ましくは電子ビームを用いる。エネルギービームは、例えば、レーザビームであってもよい。
【0022】
実施形態において、エネルギービームは、好ましくは、粉末層から離れて面する加熱要素の上面を加熱することによって、加熱要素を加熱するために用いられる。
【0023】
実施形態において、加熱要素は、加熱要素の温度を測定するための温度センサに接続されている。測定された温度は、過熱防止として、および/または、電子ビームまたは加熱要素を加熱するために用いられる他の加熱システムを制御するためのフィードバックのために、用いられてよい。
【0024】
実施形態において、加熱要素の上面は、上面の効率的面積を増大させる構造を有する。
【0025】
実施形態において、加熱要素の上面は、加熱要素の材料よりも熱放射効率の低い材料でコーティングされている。
【0026】
実施形態において、加熱要素の上面は、加熱要素の材料よりも電子放出効率の低い材料でコーティングされている。
【0027】
実施形態において、加熱要素は、加熱要素における電荷の形成を回避するために、電気的に接地されている。
【0028】
実施形態において、加熱要素の粉末層対向面は、本質的に、粉末床の面と同じ形状を有する。実施形態において、加熱要素からの熱放射は、赤外線放射である。
【0029】
実施形態において、加熱要素は、例えば、耐火金属またはグラファイトのような、高融点材料を含む。
【0030】
実施形態において、少なくとも加熱要素が粉末層加熱位置にある場合、加熱要素は、例えば、+60kVのような正電位に保持される。これにより、特に、エネルギービームが電子ビームである場合、エネルギービームを引き付け、さらに、その加熱力を増大させてよい。
【0031】
実施形態において、加熱要素は、薄いシートまたは箔を含む。これにより、嵩が小さくなることに起因して、加熱要素を加熱するために必要とされる時間およびエネルギーが減少してよい。薄いシートまたは箔は、別の場合には加熱中に変形することがあるので、このような薄いシートまたは箔は、好ましくは、構造的な支持のために、何らかの種類のフレーム内に配置される。
【0032】
実施形態において、加熱要素の粉末層対向面は、加熱要素の材料よりも熱放射効率の高い材料でコーティングされている。
【0033】
実施形態において、粉末層は、例えば、純金属、金属合金、金属間化合物、セラミック、ガラス、グラファイト、ダイヤモンド、複合材料、ポリマー、ナノ材料、イオン化合物、またはこれらの任意の粉末混合物で構成される粉末のような任意の種類の粉末材料を含む。粉末層は、導電性材料、半導電性材料、絶縁材料、またはこれらの任意の混合物を含んでよい。粉末層の加熱のおかげで、特に伝導性がない材料も、粉末床溶融結合に用いられてよい。
【0034】
実施形態において、加熱要素は、粉末層からの3次元製品の層の選択的溶融後に、粉末層を加熱するためにも用いられる。実施形態において、加熱は、真空で行われる。
【0035】
本発明の範囲は、参照によって本章に組み込まれる特許請求の範囲によって定義される。当業者であれば、1または複数の実施形態の以下の詳細な説明を考慮することによって、本発明の実施形態をより完全に理解し、それらのさらなる利点を認識するであろう。最初に、簡潔に説明される添付の図面のページが参照される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】電子ビーム源の実施形態を概略的に示す。
図2】本明細書において説明される1または複数の実施形態に係る、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の選択的溶融による付加製造のための装置を概略的に示す。
図3】本明細書において説明される1または複数の実施形態に係る、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の選択的溶融による付加製造のための装置を概略的に示す。
図4】本明細書において説明される1または複数の実施形態に係る、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の選択的溶融による付加製造のための装置を概略的に示す。
図5】本明細書において説明される1または複数の実施形態に係る、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の選択的溶融による付加製造に関連して、粉末層を加熱するための方法を概略的に示す。 本開示の実施形態およびその利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解される。同様の参照番号は、図の1または複数に示される同様の要素を識別するために使用されることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
付加製造および3D印刷は、層ごとに粉末材料を接合することにより、3Dモデルデータからオブジェクトを製造するプロセスを指す。粉末床溶融は、オブジェクトが粉末床内に形成される付加製造または3D印刷を意味する。薄い粉末層は、粉末床上で粉末分散部材によって繰り返し広げられ、エネルギー源からのビームにより溶融されて、各層が予め定められた幾何学形状になる。粉末床は、好ましくは、次の粉末層の分散前に、より低下した1つの粉末層厚さ(例えば、0,020-0,100mm)である。エネルギー源は、例えば、レーザまたは電子ビーム源であってよい。(電子ビームという用語は、本明細書において用いられる場合、任意の帯電した粒子のビームを含んでよい。)粉末床溶融プロセスが終了すると、溶融されたオブジェクトが、粉末内に埋め込まれる。粉末は、形成完了後に除去される。
【0038】
本開示は、概して、連続的に形成された粉末層を有する粉末床からの3次元製品の選択的溶融による付加製造のための装置および方法に関する。開示される解決手段の実施形態は、図に関連してさらに詳細に提示される。
【0039】
図1は、電子ビーム源100の実施形態を概略的に示す。電子ビーム源100は、真空チャンバ内のカソード保持システム105に搭載された帯電粒子エミッタ115の裏面を加熱するためのレーザビーム155を生成するように適合されたレーザ150を含む。帯電粒子エミッタ115は、レーザビーム155で放射される場合、アノード120の帯電粒子チャネル125に電子ビーム130を発する。電子ビーム130の方向を制御するために、電子ビーム源100は、少なくとも1つの偏向コイル190も含む。実施形態において、レーザ150は、COレーザである。動作中、例えば60kVの範囲の高電圧が、それ自体は公知の方式で、カソード110およびアノード120に印加される。
【0040】
電子ビーム源100が電子ビームの粉末床溶融のために用いられる場合、電子ビーム130は、粉末床140上に向けられる。そこで、図1に概略的に示される電子ビーム源100は、少なくとも1つの偏向コイル190において用いられるように適合され、カソード110の裏面を加熱された帯電粒子エミッタ115によって生成される電子ビーム130を、アノード120を介して粉末床140上に向け、それにより、電子ビーム130を用いて粉末床140の粉末を層ごとに選択的溶融することによって3次元製品を製造する。
【0041】
図2は、本明細書において説明される1または複数の実施形態に係る、連続的に形成された粉末層240を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造のための装置200を概略的に示す。粉末層240は、例えば、純金属、金属合金、金属間化合物、セラミック、ガラス、グラファイト、ダイヤモンド、複合材料、ポリマー、ナノ材料、イオン化合物、またはこれらの任意の粉末混合物で構成される粉末のような任意の種類の粉末材料を含んでよい。粉末層240は、導電性材料、半導電性材料、絶縁材料、またはこれらの任意の混合物を含んでよい。
【0042】
粉末層240は、形成タンク245に含まれる粉末床の最上層である。粉末層240は、リコータ機構を用いて粉末タンク220から分散させられた粉末によって形成されてよいが、他の方式で形成されてもよい。リコータ機構が用いられる場合、例えば、それは、粉末層分散部材またはリコータ270の形式であってよく、これは、例えば、粉末床において粉末を分散させるための線形アクチュエータであってよい。付加製造装置200は、溢出ビン275を含んでもよく、ここで、溢出した粉末が回収されてよい。
【0043】
図2に示される付加製造装置200は、エネルギービーム源210を含む。エネルギービーム源210は、選択的溶融のために利用可能な任意のタイプのエネルギービーム230を発してよい。エネルギービーム源210は、例えば、電子ビーム源、例えば、図1に概略的に示される電子ビーム源100のようなものであってよい。その場合、エネルギービーム230は、電子ビームである。しかしながら、エネルギービーム230は、例えば、レーザビームであってもよい。付加製造は、好ましくは、真空チャンバ290で行われる。
【0044】
電子ビームの粉末床溶融は、通常、真空で行われ、電子ビームは、いくつかのプロセス段階にて動作してよい。これは、粉末層を部分的焼結状態になるように予熱してよく、粉末層中の粉末を融解または固化させることにより粉末を溶融させることができ、粉末床の予め定められた温度を形成中に維持するように、粉末床に追加の熱を加えることができる。これらのプロセス段階は、好ましくは、製造オブジェクトの予め定められた品質要件を実現するために、コンピュータ制御下で実行される。
【0045】
金属部品のための付加製造プロセスのような電子ビームの粉末床溶融プロセスでは、粉末の部分的焼結のために粉末床を予熱してよく、後で帯電した粉末が浮揚するリスクを減少させ、粉末床内での電気伝導を増大させることで、粉末床からの電子の移動を増大させる。時間を節約するために、予熱中の帯電に起因する粉末粒子の浮揚および散乱のリスクなく、効率的な加熱方法で粉末床を予熱することが望ましい。時間効率の良い粉末床の加熱を実現するために、通常は、粉末床を加熱する場合、面積当たりのパワーを最大化することが望ましい。ひとたび粉末床が加熱され、粉末が部分的焼結されると、粉末の静電浮揚および散乱のリスクが低下する。
【0046】
粉末の溶融前に粉末床を加熱することは、多くの異なる方法、高温面からの、例えば赤外線放射等の、例えば、電子ビーム照射によって、または熱放射によって実行可能である。熱放射による加熱は、真空チャンバで粉末床を加熱する効率的な方式である。加熱プロセス段階では、粉末床が、3次元コンポーネントを製造するために、選択された領域内での粉末を溶融するために使用される総エネルギーよりも大きい総エネルギーで照射されてよい。
【0047】
粉末床が熱源からの熱放射で加熱される場合、高温面のサイズ、形状、および位置によって定義される最適化された加熱領域を実現することが望ましい。この加熱面による加熱方法は、時間、表面温度、放射効率、およびどの程度放射熱が粉末床によって吸収されるかを検討する必要がある。
【0048】
本開示は、粉末床に面する加熱要素からの熱放射による粉末床の加熱を可能にする。付加製造では、粉末床の粉末層の領域が溶融または融解される前に、粉末床を制御された方式で加熱することが望ましい。粉末床を加熱要素から加熱することによって、後続の溶融段階において、固化した材料を実現するために、粉末床に向けて照射されるために必要なエネルギーを少なくできるという利点を提供するプロセス温度が実現可能となる。加熱を行う他の理由は、粉末粒子から表面酸化物を溶解させることであってよい。粉末床を加熱することによって、粉末は、電気伝導率を増大させるために部分的焼結されてよく、これは、結果としての製造プロセスの溶融段階において、電子床からの電子の移動を改善するために有利となる。粉末床を加熱することにより、電気伝導率が増大する。粉末床を加熱することにより、後続のプロセス段階において粉末の溶融をより効率的にするために、熱伝導率も増大させてよい。粉末床が部分的焼結されている場合、粉末は、粉末床における電気伝導率の増大に起因して、静電的に帯電する傾向が小さくなる。従って、付加製造プロセスにおいて、帯電した粉末粒子の浮揚および散乱リスクが低下する。
【0049】
例えば電子ビームを用いる代わりに、加熱要素からの熱放射を用いて粉末床を加熱する利点は、加熱要素からの熱放射は、粉末床に電荷を付加しないことである。これは、熱放射によって部分的焼結されている間、粉末床が停滞したままであることを意味する。一方で、電子ビームによる加熱は電荷を付加し、これにより、粉末粒子は、部分的焼結に先立って移動し、部分的焼結粉末の有効密度の低下をもたらし得る。付加製造プロセスにおいて、通常は、可能な限り高い有効密度を実現することが望ましい。
【0050】
加熱要素を用いて粉末床を加熱するさらなる利点は、形成プロセスの終了後、および/または各層の溶融後にも、加熱要素が、粉末床を加熱するために用いられてよいことである。このように、製造されたコンポーネントの冷却速度は減速されてよく、最終的な材料特性に利益をもたらし得る。
【0051】
加熱要素が粉末床加熱位置にある場合、これは、真空環境に残留した気体への露出からも粉末床を保護し得る。これは、真空においてN、OおよびHOのような残留気体分子と反応する傾向がある、例えばチタン粉末のような、汚染を容易に取り込む反応性の粉末材料にとって有利となり得る。
【0052】
加熱要素の高温面が粉末床に面するように粉末床の上方の位置に保持された加熱要素の高温面による、粉末床の効率的な加熱が開示される。加熱要素は、例えば、粉末床に面する高温面と反対側の上面に加熱要素を放射する電子ビームによって加熱されてよい。
【0053】
粉末床を加熱するための期間は、例えば、粉末材料の特性、後続の製造プロセスが行われる温度、および/または、後続のプロセスに必要とされる焼結の程度に基づいて計算されてよい。通常は、粉末床を加熱するための時間を最小化することは、製造時間を減少させるので、有利である。
【0054】
図3および4は、本明細書において説明される1または複数の実施形態に係る、連続的に形成された粉末層240を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造のための装置200を概略的に示す。粉末層240は、例えば、純金属、金属合金、金属間化合物、セラミック、ガラス、グラファイト、ダイヤモンド、複合材料、ポリマー、ナノ材料、イオン化合物、またはこれらの任意の粉末混合物で構成される粉末のような任意の種類の粉末材料を含んでよい。粉末層240は、導電性材料、半導電性材料、絶縁材料、またはこれらの任意の混合物を含んでよい。開示された粉末層の加熱のおかげで、特に伝導性がない材料も、粉末床溶融結合に用いられてよい。
【0055】
図3および4に概略的に示される付加製造装置200は、図2に示す付加製造装置200と同様であるが、粉末層240の上方の粉末層加熱位置に配置される加熱要素350も含む。粉末層加熱位置は、均一な熱放射を粉末層240に伝達するために、粉末層240の上方において、粉末層240から例えば20mm未満、好ましくは10mm未満のような極近傍にあってよい。しかしながら、粉末層加熱位置は、加熱要素350が粉末層240と物理的接触するほど近くないことが好ましい。なぜなら、その場合、加熱要素350および粉末層240が、互いに汚染され得るからである。
【0056】
加熱要素350は、好ましくは、粉末層240に面する粉末層対向面355を有し、これにより、加熱要素350から発せられた熱放射が、粉末層240からの3次元製品の選択的溶融前に、粉末層240を加熱し得る。加熱は、好ましくは、真空で行われる。加熱要素350の粉末層対向面355は、好ましくは、粉末層240を用いて形成される3次元製品の層の断面に対応する粉末層240の領域に、少なくとも面している。
【0057】
加熱要素350は、粉末層240に向かって熱放射を発することができる粉末層対向面355を有する限りにおいて、ほぼ任意の形状を有してよい。加熱要素350は、例えば、凹状、凸状、半球状またはレンズ形状であってよい。加熱要素350は、例えば、リング、トーラスまたは穿孔体のような、穴を有する形状であってもよい。
【0058】
加熱要素350の粉末層対向面355は、本質的に平坦であってよいが、例えば、リブまたは鋸歯形状のような任意の形状を有してよい。加熱要素350の粉末層対向面355は、粉末層240の少なくとも一部と平行であってよいが、加熱要素350が粉末層240に向けて熱放射を発することができる限り、必ずしもそうではない場合がある。
【0059】
加熱要素350は、一体的構造を有していなくてよい。加熱要素350は、代わりに、例えば、多数のプレートまたはシートを含んでよい。加熱要素350は、例えば、薄いシートまたは箔を含んでよい。これにより、嵩が小さくなることに起因して、加熱要素350を加熱するために必要とされる時間およびエネルギーが減少してよい。薄いシートまたは箔は、別の場合には加熱中に変形することがあるので、このような薄いシートまたは箔は、好ましくは、構造的な支持のために、何らかの種類のフレーム内に配置される。
【0060】
加熱要素350は、例えば、加熱要素350の上面352、すなわち、粉末層対向面355の反対側の面を走査するエネルギービーム230によって加熱されてよい。エネルギービーム230の走査は、予め定められたパターンに従って制御されてよい。代替的に、エネルギービーム230は、加熱要素350の上面352の大部分をカバーするように焦点をずらされてよく、この場合、エネルギービーム230が上面252を走査する必要はなくてよい。
【0061】
加熱要素350は、好ましくは、例えば、耐火金属またはグラファイトのような、高融点材料を含む。実施形態において、少なくとも加熱要素350が粉末層加熱位置にある場合、加熱要素350は、例えば、+60kVのような正電位に保持される。これにより、特に、エネルギービーム230が電子ビームである場合、エネルギービーム230を引き付け、さらに、その加熱力を増大させてよい。
【0062】
加熱要素350からの熱放射は、好ましくは、赤外線放射である。実施形態において、加熱要素350の粉末層対向面355は、加熱要素350の材料よりも熱放射効率の高い材料でコーティングされている。
【0063】
加熱要素350は、粉末層240の上方の粉末層加熱位置から静止位置360、460まで移動可能となるように配置されてよい。静止位置360、460は、例えば、図3に概略的に示されるように、粉末層加熱位置の側方に位置してよく、加熱要素350は、ここまで水平に移動してよい。付加製造装置200が、粉末を分散させて新たな粉末層240を形成するように配置された粉末分散部材270を含む場合、粉末分散部材270は、各溶融段階の後でも、粉末層加熱位置と静止位置360との間で加熱要素350を移動させるように配置されよい。
【0064】
代替的に、加熱要素350は、静止位置460に移動してよく、ここで、図4に概略的に示されるように、例えば、上または下方向に傾斜し、または回転することによって、熱シールドとして動作する。この場合、加熱要素350は、静止位置460にある場合、溶融プロセスから熱を回収してよく、加熱要素350が粉末層加熱位置にある場合に、この熱が、粉末層240を加熱するための時間を減少させることに寄与し得る。
【0065】
図示を容易にするために、図3および4は、静止位置360、460が粉末タンク220の真上に位置するものとして示しているが、これは、粉末タンク220中の粉末の望ましくない加熱または焼結を生じさせ得るので、大半の実際の場合、静止位置360、460は、好ましくは、粉末タンク220の近くには位置していない。
【0066】
付加製造装置200は、好ましくは、粉末層240を層ごとに選択的溶融して3次元製品にするために用いられるエネルギービーム230を発するエネルギービーム源210を含む。この場合、エネルギービーム230は、好ましくは、粉末層240から離れて面する加熱要素350の上面352を加熱することによって、加熱要素350を加熱することにも用いられてよい。この場合、加熱要素350は、粉末層240の溶融前に、静止位置360、460に移動しなければならない。3次元製品の選択的溶融中、加熱要素350は次に、好ましくは、新たな粉末層240を加熱するために粉末層加熱位置に戻り、次に静止位置360、460に戻って、エネルギービーム230がさらなる溶融のために粉末層240に到達することを可能にする。エネルギービーム230は、好ましくは電子ビームであるが、例えば、レーザビームのような他のエネルギービーム230が用いられてもよい。
【0067】
代替的に、または追加的に、加熱要素350は、好ましくは、加熱要素350が静止位置360、460にある場合に、加熱デバイス380によって加熱されてよい。加熱デバイス380は、例えば、IR加熱、抵抗加熱、誘導加熱、レーザビーム加熱、電子ビーム加熱、および/または加熱要素350との物理的接触による伝導加熱を用いて、静止位置360、460にある加熱要素350を加熱するように配置されてよい。加熱要素350が静止位置360、460において加熱される場合、これが粉末層加熱位置に移動する前に、より多くのエネルギーを蓄積することを可能にするために、より厚い加熱要素350を用いることが好ましいことがある。
【0068】
実施形態において、加熱要素350は、加熱要素350の温度を測定するための温度センサに接続されている。測定された温度は、過熱防止として、および/または、加熱要素350を加熱するために用いられるエネルギービーム230または加熱デバイス380を制御するためのフィードバックのために、用いられてよい。例えば、加熱要素350の温度を測定するために、遠隔パイロメーターまたはIRカメラを用いることも可能である。
【0069】
加熱要素350は、静止位置360、460において熱反射デバイスによって囲まれており、これにより、加熱要素350の冷却速度が減少する。このような熱反射デバイスは、例えば、単一または複数の層の金属箔であってよい。実施形態において、加熱要素350は、熱損失を防止するために、熱的に絶縁される。
【0070】
加熱要素350の上面352は、好ましくは、上面352の効率的面積を増大させる構造を有する。代替的に、または追加的に、加熱要素350の上面352は、加熱要素350の材料よりも熱放射効率の低い材料でコーティングされている。代替的に、または追加的に、加熱要素350の上面352は、加熱要素350の材料よりも電子放出効率の低い材料でコーティングされていてよい。実施形態において、加熱要素350は、加熱要素350における電荷の形成を回避するために、電気的に接地されている。実施形態において、少なくとも加熱要素350が粉末層加熱位置にある場合、加熱要素350は、例えば、+60kVのような正電位に保持される。これにより、特に、エネルギービーム230が電子ビームである場合、エネルギービーム230を引き付け、さらに、その加熱力を増大させてよい。
【0071】
付加製造機器は、粉末床の周りに熱シールドを有してよく、ここで、固化プロセスが行われる。これらの熱シールドは、熱が粉末床から消失することを防止する。このような熱シールドを加熱要素350と組み合わせることは、粉末層240の効率的な加熱を実現するために有利となることがある。
【0072】
加熱要素350が、一体的構造ではないが、代わりに、例えば、多数のプレートまたはシートを含む場合、これは、全体として、単一の静止位置360、460に移動可能ではなくてよい。代わりに、この場合、加熱要素350の異なる部分が、異なる静止位置360、460に移動してよい。加熱要素350が静止位置460に移動し、ここで、熱シールドとして動作する場合、加熱要素350は、静止位置460において、粉末層240を囲む異なる静止位置460に移動する熱シールドの異なる部分に分割されてよい。
【0073】
上述したように、加熱要素350は、少なくとも2つの位置の間で移動可能であってよい。粉末層加熱位置において、粉末層対向面355が熱放射により粉末層240を照射する間、加熱要素350の上面352は、エネルギービーム230によって照射されてよい。静止位置360、460において、加熱要素350は、粉末層240を照射するエネルギービーム230の経路から外れてよい。従って、加熱要素350が静止位置360、460にある場合、粉末層240を直接エネルギービーム230で融解、溶融および加熱することが可能である。加熱要素350が粉末層加熱位置にある場合、加熱要素350を介して、粉末層240を間接的にエネルギービーム230で加熱することが可能である。
【0074】
実施形態において、図3に概略的に示されるように、加熱要素350は、線形アクチュエータによって粉末層加熱位置へと水平に移動する。この移動は、定位置に残った熱シールドと共に行われてよい。加熱要素350は、例えば、粉末層分散部材またはリコータ270上に配置されてよく、これは、粉末床において粉末を分散させるための線形アクチュエータであってよい。これにより、可動アクチュエータの数が減少する。
【0075】
別の実施形態において、図4に概略的に示されるように、加熱要素350は、静止位置460に移動し、ここで、熱シールドとして動作する。この場合、加熱要素350は、静止位置460にある場合、固化プロセスから熱を回収してよく、加熱要素350が粉末層加熱位置にあり、エネルギービーム230によって加熱されている場合に、この熱が、粉末層240を加熱するための時間を減少させることに寄与し得る。
【0076】
加熱要素350は、粉末層加熱位置に移動する前に、静止位置360、460において、別個の加熱デバイス380によって加熱されてもよい。別個の加熱デバイス380は、例えば、電気、抵抗、誘導、伝導、電子ビーム、またはレーザ加熱源であってよい。別個の加熱デバイス380は、例えば、IR加熱、抵抗加熱、誘導加熱、レーザビーム加熱、電子ビーム加熱、および/または加熱要素350との物理的接触による伝導加熱を用いて、異なる方式で加熱要素350を加熱してよい。異なる加熱源からの加熱は、加熱要素350が静止位置360、460において1つの熱源を用いて加熱され、粉末層加熱位置においてエネルギービーム230によって加熱されるように、組み合わせられてもよい。実施形態において、加熱要素350は、加熱デバイス380を含む。
【0077】
実施形態において、加熱要素350は、粉末床の溶融のために用いられるものと同じエネルギービーム230によって加熱される。加熱は、例えば、エネルギービーム230によって、例えば、焦点をずらしたモードの電子ビームによって、行われてよい。
【0078】
図5は、連続的に形成された粉末層240を有する粉末床からの3次元製品の層の選択的溶融による付加製造に関連して、粉末層を加熱するための方法500を概略的に示す。方法500は、以下を含んでよい。
【0079】
段階510:粉末層240の上方の粉末層加熱位置に粉末層対向面355を有する加熱要素350を配置する。
【0080】
段階520:3次元製品の層の選択的溶融の前に、加熱要素350からの熱放射により粉末層240の少なくとも一部を加熱する。
【0081】
粉末層対向面355は、本質的に、平坦かつ粉末層240の少なくとも一部と平行であってよいが、加熱要素350が粉末層240に向けて熱放射を発することができる限り、他の形状が想到可能である。方法500は、以下の少なくとも1つをさらに含んでよい。
【0082】
段階530:粉末層240からの3次元製品の層の選択的溶融の前に、加熱要素350を粉末層加熱位置から静止位置360、460へ移動させる。
【0083】
段階540:IR加熱、抵抗加熱、誘導加熱、レーザビーム加熱、電子ビーム加熱、および/または加熱要素350との物理的接触による伝導加熱を用いて、静止位置360、460にある加熱要素350を加熱する。
【0084】
段階550:3次元製品の選択的溶融がエネルギービーム230、好ましくは電子ビームを用いる場合、好ましくは、粉末層240から離れて面する加熱要素350の上面352を加熱することによって加熱要素350を加熱するために、エネルギービーム230を用いる。エネルギービーム230は、例えば、レーザビームであってもよい。
【0085】
段階560:少なくとも加熱要素350が粉末層加熱位置にある場合、加熱要素350を、例えば、+60kVのような正電位に保持する。これにより、特に、エネルギービーム230が電子ビームである場合、エネルギービーム230を引き付け、さらに、その加熱力を増大させてよい。
【0086】
実施形態において、加熱要素350は、粉末を分散させて粉末層240を形成するように配置された粉末分散部材270を用いて、粉末層加熱位置と静止位置360、460との間で移動させられる。
【0087】
実施形態において、3次元製品の選択的溶融は、エネルギービーム230、好ましくは電子ビームを用いる。エネルギービーム230は、例えば、レーザビームであってもよい。実施形態において、加熱要素350からの熱放射は、赤外線放射である。実施形態において、加熱要素350は、薄いシートまたは箔を含む。
【0088】
上記の開示は、開示されている厳密な形式、または、特定の利用分野に本発明を限定することを意図するものではない。本明細書において明示的に説明されるか、または、示唆されるかに関わらず、本開示に鑑み、様々な代替的な実施形態および/または本発明の変形が可能であると考えられる。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】